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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1378589
審判番号 不服2020-16962  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-12-09 
確定日 2021-10-20 
事件の表示 特願2019-128697「任意後見人業務システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月12日出願公開、特開2021- 15374、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和元年7月10日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 元年12月20日付け:拒絶理由通知
令和 2年 5月 1日 :意見書・手続補正書の提出
令和 2年 8月27日付け:拒絶査定(原査定)
令和 2年12月 9日 :審判請求書・手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年8月27日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願の請求項1-8に係る発明は、以下の引用文献1-8に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2016-105245号公報
2.特開2019-67329号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2005-339386号公報(周知技術を示す文献)
4.国際公開第2008/117471号(周知技術を示す文献)
5.特開2018-165977号公報(周知技術を示す文献)
6.特開2008-243159号公報(周知技術を示す文献)
7.成年後見業務支援システムみると,[online],2016年3月13日,[検索日:2020年8月27日],インターネット:<URL:https://web.archive.org/web/20160313075936/https://miruto.vintage.ne.jp/intro/merit/>(周知技術を示す文献、新たに引用された文献)
8.成年後見システム,[online],2016年3月2日,[検索日:2020年8月27日],インターネット:<URL:https://web.archive.org/web/20160302011121/https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/solution/sam/software/sam/lineup/seinen.html>(周知技術を示す文献、新たに引用された文献)

第3 本願発明
本願の請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、令和2年12月9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、そのうち「本願発明1」は、以下のとおりの発明である。

【請求項1】
任意後見人業務のための、後見人の業務及び顧客情報を記憶するサーバと、ネットワークからサーバへのアクセスを管理する管理部とを持ち、
管理部においてサーバへのアクセス者ごとに権限レベルが設定されていると共に、権限レベルごとにサーバへの書き込み、読み出しの範囲を変化させて成り、
管理部はサーバ内の情報から監査資料を自動生成すると共に、自動生成された監査資料はサーバ内へ記憶され、
監査人がアクセス者としてネットワークを介して該監査資料を閲覧及び認証可能であると共に、該監査資料の確認結果をサーバ上に記憶出来ることを特徴とする任意後見人業務システム。

なお、本願発明2-7は、本願発明1を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
原査定で引用された引用文献1(特開2016-105245号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、福祉支援管理システム、福祉支援管理方法に関する。」
「【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる福祉支援管理システム、福祉支援管理方法の実施の形態を詳細に説明する。本システムは、例えば、本人が高齢で認知症となった者、あるいは知的障がい者等、自身の意思表示ができなくなった場合に、その本人が日々の生活で使用しているお金等の財産をどのように使用するのかといった意図をあらかじめ登録しておき、また、医療や介護について、その後どのような支援を行うべきかを登録しておき、登録内容に基づいて財産を管理しつつ福祉面で本人を支援し、その家族や親族等の関係者が財産の管理や支援の状況を把握するとともに、福祉支援の状況については、さらに第三者機関で連携して情報共有することができるものである。
【0012】
図1は、本実施の形態における福祉支援管理システム1000の構成例を示す図である。図1に示すように、福祉支援管理システム1000は、利用者端末100と、福祉支援管理サーバ200と、見守り管理サーバ300と、担当者端末400と、医療機関サーバ500と、担当者端末600と、金融機関サーバ700と、後見管理サーバ800と、ネットワークNとを有している。なお、ネットワークNは、インターネット等の一般的な公衆回線網である。なお、以下では、見守り管理サーバ300および医療機関サーバ500を身の回り管理サーバの一例、金融機関サーバ700および後見管理サーバ800を財産管理サーバの一例として示している。
【0013】
利用者端末100は、スマートフォン等の携帯端末であり、本システムのユーザが操作する端末である。図1に示すように、利用者端末100は、入力部101と、表示部102と、通信部103と、制御部104とを有して構成されている。
【0014】
入力部101は、ユーザからの操作を受け付け、表示部102は、その操作に対する結果を表示する。通信部103は、ネットワークNに接続された他のサーバと各種データを送受信する。制御部104は、利用者端末100の上記各部の動作を制御する。
【0015】
福祉支援管理サーバ200は、本システムの管理者が有する一般的なコンピュータであり、本人が意思表示できなくなった場合にあらかじめ登録した意図にしたがって財産を管理し、医療または介護といった福祉面で、医療機関や介護施設等の本人を支援するための第三者機関と連携し、その支援状況を管理するサーバである。図1に示すように、福祉支援管理サーバ200は、記憶部201と、処理部202と、通信部203と、制御部204とを有して構成されている。
【0016】
記憶部201は、本システムで利用される各種データを記憶する。処理部202は、上述したサポートをするための各種処理を実行する。通信部203は、福祉支援管理サーバ200と他のサーバや端末との間のデータの送受信を司る。制御部204は、福祉支援管理サーバ200の各部の動作を制御する。福祉支援管理サーバ200が行う具体的な処理については後述する。
【0017】
図2は、記憶部201が記憶する各種データの例を示す図である。図2に示すように、記憶部201は、ユーザ管理DB2011と、意向DB2012と、医療介護DB2013とを記憶している。
【0018】
ユーザ管理DB2011は、本システムの利用者を管理するためのデータベースである。図3は、ユーザ管理DB2011の例を示す図である。図3に示すように、ユーザ管理DB2011には、ユーザID、パスワード、氏名、住所、家族構成、家族・親族アドレス、端末IDが対応付けて記憶されている。
【0019】
ユーザIDは、本システムの利用者を識別するためのIDである。パスワードは、本システムを利用する際に必要となる入力情報である。氏名および住所は、それぞれ、利用者自身の氏名および住所である。家族構成は、利用者の家族構成である。家族・親族アドレスは、本人の財産管理や福祉面での支援の状況を記載した報告メールを福祉支援管理サーバ200から受信するメールアドレスである。端末IDは、本システムの利用者端末100の端末を識別するためのIDである。図3では、例えば、ユーザID「U0001」、パスワード「ABCD」のユーザである日立太郎さんは、3人家族で東京と品川区○○に居住し、端末ID「T12345」の利用者端末100を用いて本システムを利用することを示している。また、報告メールを受け取るメールアドレスは、「xxx@xx」であることを示している。
【0020】
意向DB2012は、本システムの利用者が、認知症や障がい者となり、自身の意思表示ができなくなった場合に備え、財産をどのように支出するのかといった財産の取り扱いに関する財産意向情報、あるいは自身がどのように身の回りの行動をサポートしてほしいのかといった身の回り意向情報をあらかじめ登録しておくためのデータベースである。財産意向情報は、上述した支出に関する情報のほか、どのように収入を得るのか、財産をどのように運用するのかといった情報を含み、信託口座、普通口座等の金融資産についての意向を含む。また、身の回り意向情報は、介護等の見守り時に注意すべき情報、投薬や病歴を示す情報、趣味や能力といった本人の特性を示す情報、介護面や医療面で必要とする福祉サービスや医療機関、介護施設等を示す情報を含む。」
「【0028】
処理部202は、上記のようなユーザ情報、意向情報の登録、見守り記録や医療記録の登録、財産の取引結果の登録、後見記録の登録、およびこれら登録の利用者端末100への報告、これら登録に対する結果の各サーバへのフィードバックを実行する。通信部203は、ネットワークNに接続された他のサーバや端末と各種データを送受信する。制御部204は、福祉支援管理サーバ200の上記各部の動作を制御する。福祉支援管理サーバ200が行う具体的な処理については、図6を用いて後述する。」
「【0038】
後見管理サーバ800は、弁護士等の後見人が所属する事務所や会社が有する一般的なコンピュータであり、利用者の後見記録を管理するサーバである。図1に示すように、後見管理サーバ800は、記憶部801と、処理部802と、通信部803と、制御部804とを有して構成されている。
【0039】
記憶部801は、財産管理や身上監護等の後見人の事務に関する後見情報(例えば、財産管理であれば毎月の収支報告)を記憶する。後見情報については、裁判所等で用いられている情報と同様であるためここではその説明を省略する。
【0040】
処理部802は、上記のような後見情報を上記記憶部801に記録し、その後見記録を福祉支援管理サーバ200に送信する。また、後見記録の登録結果についてのフィードバックを福祉支援管理サーバ200から受け取る。通信部803は、ネットワークNに接続された他のサーバや端末と各種データを送受信する。制御部804は、後見管理サーバ800の上記各部の動作を制御する。後見管理サーバ800が行う具体的な処理については、図6を用いて後述する。なお、後見情報は、例えば、弁護士等の担当者が使用する担当者端末から入力され、後見管理サーバ800に記録される。」
「【0042】
図6に示すように、本システムでは、S601?S603において、ユーザおよびユーザの意向を登録する処理を実行する。利用者端末100の入力部101が利用者から登録要求を受け付けると、通信部103は、その登録要求を福祉支援管理サーバ200に送信する(S601)。登録要求時に受け付ける情報としては、例えば、図3に示したユーザ管理DB2011、図4に示した意向DB2012と同様の情報である。
【0043】
福祉支援管理サーバ200の処理部202は、利用者端末100から登録要求を受けると、その情報を、ユーザ管理DB2011、意向DB2012に登録し(S602)、その登録結果を利用者端末100に送信する(S603)。その後、利用者端末100の表示部104は、福祉支援管理サーバ200から受信した登録結果を表示し、利用者がその内容を確認する。
【0044】
このとき、福祉支援管理サーバ200の処理部202は、登録された意向DB2012に含まれる財産意向情報や身の回り意向情報を他のサーバに送信して情報を共有化してもよい。例えば、福祉支援管理サーバ200の処理部202は、財産意向情報を後見管理サーバ800に送信して、後見管理サーバ800が、利用者の財産の支出の意向を登録しておくことにより、後見人は常日頃から利用者の財産管理の状況を把握することができ、利用者が意思表示できなくなった場合でも、その意図を把握して適切に財産を管理することができる。また、例えば、福祉支援管理サーバ200の処理部202は、身の回り意向情報を見守り管理サーバ300に送信して、見守り管理サーバ300が身の回りのサポートとして徘徊に注意する意向を登録しておくことにより、介護施設では常日頃から利用者の介護の状況を把握することができ、利用者が意思表示できなくなった場合でも、その意図を把握して徘徊に注意した適切な介護支援を行うことができる。同様に、例えば、医療機関では、「神経外科」の医師やそれ以外の医師が、「神経痛」が持病としてあることを前提に治療を実行することができ、それが趣味の「ゴルフ」による可能性があることを判断材料として把握したうえで、治療にあたることができる。」
「【0057】
さらに、後見管理サーバ800の処理部802が、利用者本人の後見に関する手続き処理が実行された際の手続き記録を担当者端末から受け取ると(S621)、その手続き記録を福祉支援管理サーバ200に送信する(S622)。福祉支援管理サーバ200の処理部202は、後見管理サーバ800から受け取った手続き記録と、図4に示した意向DB2012とを比較し、その手続きが利用者の意向に沿ったものであるか否かを確認し、登録する(S623)。例えば、手続き記録が毎月の収支報告であった場合、引き出し金額が、意向DB2012に登録されている金額を超える金額であるか、引き出しサイクルが定められたサイクルとなっているかを確認し、その手続き記録を登録する。登録する手続き記録は、既に説明した後見情報と同様の情報であり、記憶部201に蓄積される。
【0058】
さらに、福祉支援管理サーバ200の処理部202は、手続き記録の確認、登録を実行すると、その記録内容を利用者本人または家族や親族にメール送信し(S624)、これらの者は、利用者端末100の表示部102を見る等してその報告内容を確認する(S625)。メールの送信先はS609等の場合と同様である。このように、利用者本人の後見記録の状況を、利用者本人だけでなく、家族や親族等の関係者に報告することにより、利用者本人が認知症や障がい者となり、本人が意思表示できなくなった場合でも、利用者本人の後見管理を行うことができるため、その家族や親族等の関係者が安心できるようになる。
【0059】
さらに、福祉支援管理サーバ200の処理部202は、受け取った後見記録による手続きが利用者の意向に沿ったものでないと判断した場合、その結果を後見管理サーバ800に送信し(S626)、後見管理サーバ800の処理部802は、記憶部801にその情報を登録し、情報共有する(S627)。このような情報を金融機関との間で共有することにより、不審者のみならず弁護士等の後見人であっても、利用者の意図に反する後見手続きを防ぐことができる。もちろん、取引が利用者の意向に沿ったものか否かにかかわらず、日常的に上記情報を共有することとしてもよい。この場合、利用者に対して日々どのような後見手続きが実行されているのかを把握することができる。
【0060】
金融機関サーバ700や後見管理サーバ800の場合も、見守り管理サーバ300や医療機関サーバ500と同様に、福祉支援管理サーバ200の処理部202は、ステップS619やS626において、あらかじめ登録されている財産意向情報と、S616やS623で確認した取引記録や手続き記録の内容との間で齟齬がある場合には、見守り管理サーバ300や医療機関サーバ500にその齟齬についての情報を送信してフィードバックする。例えば、預貯金の引き出し金額があらかじめ定められた金額(例えば、図4に示した「XX円」を超えて引き出されている場合には、登録されている金額を超えて引き出された旨のメッセージを金機関サーバ700に送信し、その金融機関に対して注意を促す。このとき、登録した金額を超えて預貯金が引き出された旨を利用者端末100に送信してもよい。この場合、利用者や家族、その親族は、利用者本人ではない悪意のある第三者が預貯金を引き出した等の状況を把握することができ、警察に通報する等の対応を速やかにとることができる。
【0061】
上記のような処理を、本システムを構成するすべてのサーバについて行うことで、利用者や財産や身の回りの情報が各機関や施設において共有されるとともに、財産や身の回りの状況が、利用者だけでなく親族にも報告され、安心することができる。また、それぞれのサーバでは、他のサーバの情報を共有することで、各施設や各機関が連携しつつ利用者の財産や身の回りの行動についてサポートすることができる。すなわち、単に各サーバで財産や身の回りの行動についての意向を登録しておくだけでなく、これらの意向、各サーバを有する施設や機関で行われた介護処置、医療行為、取引、手続き等の結果を共有しておくことで、意思表示できなくなった場合でも、その意思を引き継いで、財産面、身の回りの面で継続して支援をすることができる。
【0062】
なお、前記実施例では、見守り管理サーバ300および医療機関サーバ500を身の回り管理サーバの一例、金融機関サーバ700および後見管理サーバ800を財産管理サーバの一例として示し、見守り管理サーバ300は、介護施設が有する一般的なコンピュータ、金融機関サーバ700は、金融機関が有する一般的なコンピュータ、後見管理サーバ800は、弁護士等の後見人が所属する事務所や会社が有する一般的なコンピュータ、として説明してきたが、福祉支援管理サーバ200、見守り管理サーバ300、医療機関サーバ500、金融機関サーバ700、後見管理サーバ800の全部または一部(例えば、各サーバの制御部により実行される上記福祉支援管理処理の全部または一部の機能)を、1つのシステム、または、1つのITサービスとして提供し、施設、金融機関、後見人に使用させる福祉支援管理システム1000も構成として可能である。」

(2)引用発明
上記(1)の記載より、引用文献1には、「福祉支援管理システム1000」について、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。なお、引用発明の構成要素を、便宜上A-Hに分説する。

「A 利用者端末100と、福祉支援管理サーバ200と、見守り管理サーバ300と、医療機関サーバ500と、金融機関サーバ700と、後見管理サーバ800と、ネットワークNとを有している福祉支援管理システム1000であって、(【0012】)
B 利用者端末100は、スマートフォン等の携帯端末であり、ネットワークNに接続された他のサーバと各種データを送受信する通信部103を備え、(【0013】、【0014】)
C 福祉支援管理サーバ200は、記憶部201と、処理部202と、通信部203と、制御部204とを有して構成され、(【0015】)
記憶部201は、ユーザ管理DB2011と、意向DB2012を記憶しており、(【0017】)
ユーザ管理DB2011は、本システムの利用者を管理するためのデータベースであって、ユーザ管理DB2011には、ユーザID、パスワード、氏名、住所、家族構成、家族・親族アドレス、端末IDが対応付けて記憶されており、(【0018】)
意向DB2012は、本システムの利用者が、認知症や障がい者となり、自身の意思表示ができなくなった場合に備え、財産をどのように支出するのかといった財産の取り扱いに関する財産意向情報、あるいは自身がどのように身の回りの行動をサポートしてほしいのかといった身の回り意向情報をあらかじめ登録しておくためのデータベースであり、(【0020】)
通信部203は、ネットワークNに接続された他のサーバや端末と各種データを送受信するものであり、制御部204は、福祉支援管理サーバ200の上記各部の動作を制御し、(【0028】)
D 後見管理サーバ800は、弁護士等の後見人が所属する事務所や会社が有する一般的なコンピュータであり、利用者の後見記録を管理するサーバであり、記憶部801と、処理部802と、通信部803と、制御部804とを有して構成されており、(【0038】)
記憶部801は、財産管理や身上監護等の後見人の事務に関する後見情報(例えば、財産管理であれば毎月の収支報告)を記憶し、(【0039】)
処理部802は、上記のような後見情報を上記記憶部801に記録し、その後見記録を福祉支援管理サーバ200に送信し、通信部803は、ネットワークNに接続された他のサーバや端末と各種データを送受信し、制御部804は、後見管理サーバ800の上記各部の動作を制御し、後見情報は、例えば、弁護士等の担当者が使用する担当者端末から入力され、後見管理サーバ800に記録され、(【0040】)
E 福祉支援管理サーバ200の処理部202は、財産意向情報を後見管理サーバ800に送信して、後見管理サーバ800が、利用者の財産の支出の意向を登録しておくことにより、後見人は常日頃から利用者の財産管理の状況を把握することができ、利用者が意思表示できなくなった場合でも、その意図を把握して適切に財産を管理することができ、(【0044】)
F 後見管理サーバ800の処理部802が、利用者本人の後見に関する手続き処理が実行された際の手続き記録を担当者端末から受け取ると、その手続き記録を福祉支援管理サーバ200に送信し、福祉支援管理サーバ200の処理部202は、後見管理サーバ800から受け取った手続き記録と、意向DB2012とを比較し、その手続きが利用者の意向に沿ったものであるか否かを確認し、登録するものであり、例えば、手続き記録は毎月の収支報告であり、(【0057】)
G 福祉支援管理サーバ200の処理部202は、手続き記録の確認、登録を実行すると、その記録内容を利用者本人または家族や親族にメール送信し、これらの者は、利用者端末100の表示部102を見る等してその報告内容を確認することができる(【0058】)ものであり、
H 福祉支援管理サーバ200、見守り管理サーバ300、医療機関サーバ500、金融機関サーバ700、後見管理サーバ800の全部または一部(例えば、各サーバの制御部により実行される上記福祉支援管理処理の全部または一部の機能)を、1つのシステム、または、1つのITサービスとして提供し、施設、金融機関、後見人に使用させる福祉支援管理システム1000。(【0062】)」。

2 引用文献2について
原査定で引用された引用文献2(特開2019-67329号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、登録者の生前若しくは死後に関する契約情報を管理する契約情報管理システムに関する。」
「【0028】
図5に示す後見人登録画面35には、複数の後見人の氏名入力欄36と、各氏名入力欄36の横に表示され氏名入力欄36に入力された後見人の閲覧権限を示す閲覧権限入力欄37と、後見人の電話番号入力欄38と、メールアドレス入力欄39と、登録者から見た後見人との関係を入力する関係入力欄40と、を備えている。閲覧権限入力欄37は選択表示となっており、契約情報の入力画面30における重要度入力欄32の重要度を示す表示と同様のA,B,Cが選択可能となっている。閲覧権限Aである場合には、入力画面30における重要度A,B,C全ての情報を閲覧可能であり、閲覧権限Bである場合には、入力画面30における重要度Aの情報が閲覧不可能であり、重要度B,Cの情報が閲覧可能となる。
【0029】
登録者は、閲覧権限入力欄37にて後見人に付与する閲覧権限に応じてA,B,Cの中から適宜選択し、それぞれの閲覧権限を設定する(ステップSb5)。尚、ここでは図示しないが、関係入力欄40も選択表示となっており、例えば、友人、1親等、2親等、3親等、等から適宜選択されるものとなっている。
【0030】
そして、ステップSb5のランク付けの選択が完了すると、後見人登録画面35に入力した情報を情報データベース4に記憶する記憶処理を行うか否かを選択する画面(図示せず)がディスプレイ9に表示され、記憶処理が選択されると、氏名入力欄36と閲覧権限入力欄37と電話番号入力欄38とメールアドレス入力欄39とに入力された情報が端末装置3から管理サーバ2に送信され、情報データベース4に記憶される(ステップSb6)。」
「【0042】
また、管理サーバ2は、登録者の契約情報に対応付けられて記憶される複数の後見人を示す情報に対して、当該登録者の契約情報内で閲覧できる情報の範囲を、登録者との関係性に応じて閲覧制限を設けることができる。」
「【0052】
管理サーバ2は、各後見人に後見人ログインIDとパスワードを発行(Se2)し、後見人データベース(図示略)に記憶する。後見人データベースには、当該後見人が対応付けられている登録者のログインIDと、閲覧権限の情報とが、後見人ログインIDに対応付けられて記憶される(Se3)。
【0053】
続いて、管理サーバ2は、登録者に認知症の疑いがあり、登録者の契約情報の閲覧権限を付与された旨を示す文章とともに、発行した後見人ログインIDとパスワードとを後見人のメールアドレスに対してそれぞれ送信する(Se4)。
【0054】
後見人は、発行された後見人ログインIDとパスワードを用いて端末装置3から登録者の契約情報を閲覧できる。詳しくは、後見人が後見人ログインIDとパスワードを入力すると、後見人ログインIDとパスワードとは管理サーバ2に送信され、管理サーバ2は端末装置3から受け付けた後見人ログインIDとパスワードとを後見人データベースにて照会し、登録者のログインIDと閲覧制限情報とを読み出す。次いで、読み出された登録者のログインIDを対応テーブル6にて照会し、対応する契約情報を情報データベース4より読み出し、設定された閲覧制限に基づいて、閲覧可能な契約情報をディスプレイ9に表示する。」

3 引用文献3について
原査定で引用された引用文献3(特開2005-339386号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0014】
この管理コンピュータ21は、利用者端末30との間でのデータ送受信や、各種データ処理を行う。この管理コンピュータ21は、図示しない制御手段(CPU)、記憶手段(RAM、ROM等)、入力手段、出力手段、通信手段等を有し、後述する処理を行う。そのためのディスクロージャ文書作成支援プログラムを実行することにより、管理コンピュータ21は、特許請求の範囲に記載の利用者認証手段、アクセス権限決定手段、閲覧可否判断手段、アクセス履歴記録手段等として機能する。
【0015】
利用者認証手段は、利用者端末30から利用者情報を取得し、利用者のユーザ認証を行う。文書特定手段は、利用者端末30から要求されたディスクロージャ文書を特定する。アクセス権限決定手段は、ディスクロージャ文書の作成の進捗状況に応じて、後述する作成文書データ記憶部25を用いてアクセス権限を決定する。閲覧可否判断手段は、利用者端末30から受信した利用者情報と、アクセス権限とに基づいて、要求されたディスクロージャ文書の閲覧可否を判断する。アクセス履歴記録手段は、ディスクロージャ文書の閲覧可否を判断結果に基づいてディスクロージャ文書の閲覧を許容した場合に、アクセス履歴を記録する。」

4 引用文献4について
原査定で引用された引用文献4(国際公開第2008/117471号)には、以下の事項が記載されている。
「[0032] ログ保存サーバ13は、各サーバから出力されたサーバログおよび管理サーバのログについて記録し、ログ保存サーバ自体の監査情報についてもログ保存サーバ内に監査ログ(図5に例示)として保存する。この際に、複数顧客毎の情報に分離しつつ記録を行い、全顧客に公開すべき情報およびその顧客に関係するログが記録される顧客毎ログを作成して記憶する。また、ログ保存サーバ13は、ハッシュ値化された管理ログ(ハッシュ値化)を作成して、ハッシュ値化ログ公開サーバ14に出力する。
[0033] ここで、図7を用いて、ログ保存サーバ13が共通管理ログから他のログを作成する処理を説明する。同図に示すように、ログ保存サーバ13は、全顧客に共通する管理ログから各顧客用の管理ログ(顧客A、顧客B)と、ハッシュ値化ログ公開サーバ14を介して公開されるハッシュ値化された管理ログ(ハッシュ値化)とを作成する。図7の例を用いて説明すると、ログ保存サーバ13は、管理ログ(顧客A)として、顧客A以外の「対象顧客」および顧客A以外に関する「発生事象」をハッシュ値化する。また、ログ保存サーバ13は、管理ログ(ハッシュ値化)として、全ての「対象顧客」および全ての「発生事象」をハッシュ値化する。
[0034] なお、ログ保存サーバ13は、長期間のログを保存する場合は一定期間(1日、1週間または1ヶ月等)ごとにログファイルを切り替えていくものとし、サーバログは顧客が切り替わった時点でもログファイルを切り替えるものとする。」

5 引用文献5について
原査定で引用された引用文献5(特開2018-165977号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0024】
図2において、前記ステータスコード処理モジュール1104は、ハッシュ関数によって前記被監査情報に基づいた集約ステータスコードを作成している。前記ハッシュ関数は、「MD5」、「RIPEMD160」、「SHA1」、「SHA256」、「SHA384」、「SHA512」或いはその他のハッシュ関数を利用することができる。好ましい実施例では、SHAシリーズハッシュ関数を利用し、特に、「SHA256」ハッシュ関数を利用することができる。これにより、前記集約ステータスコードは、前記被監査情報の完全性及び同一性を検査するために用いることができ、且つ不可逆的性質を有し、逆からオリジナルデータを導き出すことができない。なお、集約することは、ファイルの大きさを圧縮する効果があることから、伝送し易い。」

6 引用文献6について
原査定で引用された引用文献6(特開2008-243159号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0007】
実施例1はこの出願に係わる発明(請求項1に係わる発明をいう)に関するものであり図2のフロー図を参照しながら説明する。
「ステップS01:登録準備」
制作依頼者AはメモリアルプレートXの制作とインターネットのホームページの制作を依頼する為に管理運営組織Zへ当該者の属性情報、著作物、写真等を制作原稿として準備する。このような準備の為には「自分史」を作成すれば作業がはかどるであろう。
「ステップS02:受付・確認・登録」
制作依頼者Aは当該者に関する制作原稿を管理運営組織Zに提出する。管理運営組織Zはこれを受付、内容確認、更に受付した事を証明する為に台帳登録管理を行う。
「ステップS03:制作」
管理運営組織ZはメモリアルプレートXの制作、及びインターネットのホームページの制作を実施する。ここでは制作依頼者Aの希望によりインターネットのホームページの制作は行わない場合がある。その場合にはS05-1からS05-3の作業は行なわれない。以下メモリアルプレートX及びインターネットのホームページに関して各々その制作から閲覧までの流れを説明する。
「ステップS04-1:メモリアルプレートの制作」
制作依頼者Aの原稿を基にその中で指示を受けたものに限り編集作業を行いパソコンにより二次元バーコード1画像を作り転写紙へこれを印刷する。その後半永久的な耐久性のあるセラミック板へ印刷する。なお二次元バーコード1ではパスワードを設け故人の公開したくない情報は暗号化して制作する事ができる。
「ステップS04-2:設置」
メモリアルプレートXは故人の所縁のある場所に奉納する。その場所は、例えば墓石、納骨堂、さらに日本のみならず世界中の景勝地、又は故人の思い出の場所を選びその場所にメモリアルプレート保管の空間を確保して奉納する。
「ステップS04-3:公開」(略)
「ステップS04-4:閲覧」
参拝者Bはこの二次元バーコード1を彼の携帯端末2のデジタルカメラで読み取り、その後直ちに内蔵ソフトにより解析され当該端末画面にその内容が表示できる。(略)」

7 引用文献7について
原査定で引用された引用文献7(成年後見業務支援システムみると,[online],2016年3月13日,[検索日:2020年8月27日],インターネット:<URL:https://web.archive.org/web/20160313075936/https://miruto.vintage.ne.jp/intro/merit/>)には、以下の事項が記載されている。
「帳票の自動作成
システムに入力した情報を基に被後見人台帳や、財産目録・収支予定表等の帳票が出力できます。これまでのワードやエクセルファイルでの煩雑な管理は不要です。」

8 引用文献8について
原査定で引用された引用文献8(成年後見システム,[online],2016年3月2日,[検索日:2020年8月27日],インターネット:<URL:https://web.archive.org/web/20160302011121/https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/solution/sam/software/sam/lineup/seinen.html>)には、以下の事項が記載されている。
「LSシステム連携機能
本システムで入力したデータからLSシステム向けの報告データを作成することが可能です。報告データは被後見人の基本データ、財産、年間収支に対応しています。本システムは、LSシステムとの役割分担を明確に分けることで無駄な作業をできる限り減らし、操作性の向上とわかり易さを追求しました。」
「家庭裁判所への書類作成機能
印刷画面で出力する項目の選択が可能
後見開始申立書、事務遂行報告書(日誌)、財産目録、収支予定表など家庭裁判所へ提出する書類を作成することができます。事務遂行報告書、財産目録、収支予定表では、それぞれ独自の印刷画面を用意することで出力する項目の調整を可能にしました。例えば、本システムに登録した日誌の項目の中から、どの項目を家庭裁判所へ報告書にするか印刷画面にて選択することが可能です。」
「Excel 出力
成年後見システムで表示している表の多数が、右クリックでExcel ファイルとして保存することができます。この機能を利用することで、管轄裁判所独自の書類であっても作成が可能になります。」
「現金・預金の入出力と集計業務
お小遣い帳感覚で現金・預金を管理
面倒な仕訳入力は必要ありません。お小遣い帳感覚で現金・預金の入出金を管理することができます。入力したデータは収支予定表などの書類に反映されます。」
「成年後見システム書式一覧
東京家庭裁判所管轄
後見開始申立書 申立事情説明書 後見人等候補者事情説明書 代理行為目録 同意行為目録 診断書・診断書付票 居住用不動産処分の許可の申立書 後見事務報告書 保佐事務報告書 補助事務報告書 報告書別紙 監査事務報告書 特別代理人選任の申立書 報酬付与の申立書 報酬付与申立事情説明書」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の構成Cないし構成Gより、福祉支援管理サーバ200と後見管理サーバ800とを併せて任意後見業務を行うためのサーバであるといえる。そして、構成Dの後見管理サーバ800の記憶部801に記憶する「財産管理や身上監護等の後見人の事務に関する後見情報」は本願発明1の「後見人の業務」に相当し、構成Cの福祉支援管理サーバ200の記憶部201に記憶するユーザ管理DB2011の「ユーザID、パスワード、氏名、住所、家族構成、家族・親族アドレス、端末ID」及び意向DB2012の「財産意向情報」や「身の回り意向情報」は、本願発明1の「顧客情報」に相当する。
したがって、引用発明の「福祉支援管理サーバ200」と「後見管理サーバ800」とを併せたものは、本願発明1の「任意後見人業務のための、後見人の業務及び顧客情報を記憶するサーバ」に相当する。

イ 引用発明の構成Cの福祉支援管理サーバ200と構成Dの後見管理サーバ800は、「ネットワークNに接続された他のサーバや端末と各種データを送受信する通信部203、803」とその「動作を制御する制御部204、804」を備えるものであるから、該「制御部204、804」が、それぞれネットワークNからサーバへのアクセスを管理するものといえる。
したがって、前記「制御部204、804」は、本願発明1の「ネットワークからサーバへのアクセスを管理する管理部」に相当する。

ウ 引用発明の構成D、Fの後見情報である「毎月の収支報告」は、構成Dより、弁護士等の担当者が使用する担当者端末から入力され、後見管理サーバ800に記録されるものであり、後見管理サーバ800の「制御部804」は、構成Dより後見管理サーバ800の各部の動作を制御するから、「制御部804」は、「毎月の収支報告」の生成と記憶を制御するものといえる。
そして、本願発明1の「監査資料」について、本願明細書には、「監査資料は、サーバ30内の収入、支出の情報、被後見人データ31、前の期間の監査資料から生成される。通常、これらの情報は、複数のファイル等に分散しており、後見人52は、監査の期間に合わせて、資料を生成しなければならない。これらの情報は監査上重要であり、誤りは許されないし、監査までに速やかに生成しなければならないので、監査人50にとって煩雑である。」(段落【0040】)と記載されているから、引用発明の「毎月の収支報告」と本願発明1の「監査資料」とは、「収入、支出の情報を含む情報」である点で共通する。
そうすると、上述の「制御部804」の毎月の収支報告の生成と記憶を制御する機能と、本願発明1の「管理部」の「サーバ内の情報から監査資料を自動生成すると共に、自動生成された監査資料はサーバ内へ記憶され」る機能とは、「収入、支出の情報を含む情報を生成するとと共に、生成された収入、支出の情報を含む情報はサーバ内へ記憶され」る機能である点で共通する。

エ 上記アより、引用発明の「福祉支援管理システム1000」は、本願発明1と同様の「任意後見人業務システム」であるといえる。

上記アないしエより、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また相違する。

<一致点>
任意後見人業務のための、後見人の業務及び顧客情報を記憶するサーバと、ネットワークからサーバへのアクセスを管理する管理部とを持ち、
管理部は収入、支出の情報を含む情報を生成すると共に、生成された収入、支出の情報を含む情報はサーバ内へ記憶される、
任意後見人業務システム。

<相違点1>
本願発明1は、「管理部においてサーバへのアクセス者ごとに権限レベルが設定されていると共に、権限レベルごとにサーバへの書き込み、読み出しの範囲を変化させて成」るのに対し、引用発明は、この点が特定されていない点。

<相違点2>
本願発明1は、「管理部はサーバ内の情報から監査資料を自動生成すると共に、自動生成された監査資料はサーバ内へ記憶され、監査人がアクセス者としてネットワークを介して該監査資料を閲覧及び認証可能であると共に、該監査資料の確認結果をサーバ上に記憶出来る」のに対し、引用発明では、この点が特定されていない点。

(2)判断
事案に鑑み、まず相違点2について検討する。
成年後見システムに関連して、原査定の理由で引用された引用文献7には、帳票を自動生成することが記載され、同じく引用文献8には、家庭裁判所への書類作成機能について記載されているから、引用発明7及び引用文献8に記載された事項を勘案すれば、引用発明において「毎月の収支報告」を自動生成することまではいえるものの、自動生成した「毎月の収支報告」は、「後見管理サーバ800の処理部802が、福祉支援管理サーバ200に送信し、福祉支援管理サーバ200の処理部202は、後見管理サーバ800から受け取った手続き記録と、意向DB2012とを比較し、その手続きが利用者の意向に沿ったものであるか否かを確認し、登録」(構成F)し、「福祉支援管理サーバ200の処理部202は、手続き記録の確認、登録を実行すると、その記録内容を利用者本人または家族や親族にメール送信し、これらの者は、利用者端末100の表示部102を見る等してその報告内容を確認することができる」(構成G)ものにとどまるものである。そして、引用文献8に記載されているように、一般に監査事務報告書等の監査資料は、裁判所に提出されるものである。
そうすると、当業者といえども「監査人」がサーバにアクセスすることを想定していない引用発明の福祉支援管理システムにおいて、引用文献7及び引用文献8を参照しても、「監査人がアクセス者としてネットワークを介して該監査資料を閲覧及び認証可能であると共に、該監査資料の確認結果をサーバ上に記憶出来る」ことまで導出できるとはいえない。さらに、引用文献2-6の記載から、相違点2に係る本願発明1の構成を導出することができないことは明らかである。
そして、本願発明1は、当該構成により、明細書の段落【0016】に記載された「後見人の報告業務の簡素化を行いつつ、後見人の業務の透明性を向上させることが可能である」という効果を奏するものである。

(3)小括
したがって、本願発明1は、相違点1について検討するまでもなく、当業者が引用発明と引用文献2-8に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2-7について
本願発明2-7は、本願発明1を減縮した発明であって、上記1で検討した相違点2に係る構成を備えるから、本願発明1についてと同様の理由により、当業者が引用発明と引用文献2-8に記載された周知事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-7は、当業者が引用発明と引用文献2-8に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-09-27 
出願番号 特願2019-128697(P2019-128697)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小山 和俊  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 後藤 嘉宏
中野 浩昌
発明の名称 任意後見人業務システム  
代理人 福田 信雄  

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