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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1378606
審判番号 不服2021-3750  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-23 
確定日 2021-10-26 
事件の表示 特願2017- 17846「被加工物の処理装置,及び載置台」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月 9日出願公開,特開2018-125463,請求項の数(8)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,2017年(平成29年) 2月 2日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 1年 9月 9日 :手続補正書の提出
令和 2年 6月19日付け:拒絶理由通知
令和 2年 7月20日 :意見書,手続補正書の提出
令和 2年12月25日付け:拒絶査定
令和 3年 3月23日 :審判請求書,手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和 2年12月25日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由2 本願請求項3,5,8,11に係る発明は,以下の引用文献1-5に基いて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1 特開2002-009049号公報
引用文献2 特開2002-217178号公報
引用文献3 特開2014-011382号公報
引用文献4 特開2010-123809号公報
引用文献5 特開2001-068538号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は,特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正前後における各請求項の対応関係は,概略,以下のとおりである。
補正後 補正前
請求項1 請求項1を引用する請求項6
請求項2 請求項2
請求項3 請求項3を引用する請求項7
請求項4 請求項4
請求項5 請求項5
請求項6 請求項7
請求項7 請求項8
請求項8 請求項10
ここで,前記第2のとおり,補正前の請求項3,5,8,11は拒絶査定されているが,補正前の請求項2,4,6,7,10は拒絶査定されていない。
そうすると,対応する補正後の請求項1-4,6,8は拒絶査定されておらず,補正後の請求項5,7は拒絶査定されているといえる。
そして,「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように,補正後の請求項5,7に係る発明は,独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1-8に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は,令和 3年 3月23日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される,以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
被加工物の処理装置であって,
チャンバ本体と,
前記チャンバ本体の内部に設けられ前記被加工物を載置する載置台と,
冷媒を前記載置台に出力するチラーユニットと,
を備え,
前記載置台は,
前記チラーユニットから出力される前記冷媒が流れる冷却台と,
前記冷却台の上に設けられた静電チャックと,
を備え,
前記冷却台は,第1の部分と第2の部分と第1の流路と第2の流路と第3の流路とを備え,
前記静電チャックは,前記第1の部分上に設けられ,
前記第1の部分は,前記第2の部分上に設けられ,
前記第1の流路は,第1の端部と第2の端部とを備え,前記第1の部分内に設けられ,
前記第2の流路は,第3の端部と第4の端部とを備え,前記第2の部分内に設けられ,
前記第3の流路は,前記第1の流路の前記第1の端部と前記第2の流路の前記第3の端部とに接続され,該第1の端部と該第3の端部との間に延在し, 前記チラーユニットは,前記第1の流路の前記第2の端部と前記第2の流路の前記第4の端部とに接続され,
前記第1の流路は,前記静電チャックに沿うように前記第1の部分内に延在し,該静電チャックの上から見て,前記第1の端部から該静電チャックに沿って渦巻き状に延びて前記第2の端部に至り,
前記第2の流路は,前記静電チャックに沿うように前記第2の部分内に延在し,
前記チラーユニットから出力される前記冷媒は,前記第1の流路の前記第2の端部に入力し,該第1の流路,前記第3の流路,前記第2の流路を順に流れて,該第2の流路の前記第4の端部から前記チラーユニットに入力し, 前記第3の流路は,前記静電チャックの上から見て,該静電チャックの中央部と重なるように,前記第1の部分内と前記第2の部分内との間で延在し, 前記第2の流路は,前記静電チャックの上から見て,前記第3の端部から前記静電チャックに沿って渦巻き状に延びて前記第4の端部に至る,
処理装置。
【請求項2】
被加工物の処理装置であって,
チャンバ本体と,
前記チャンバ本体の内部に設けられ前記被加工物を載置する載置台と,
冷媒を前記載置台に出力するチラーユニットと,
圧力調節装置と,
を備え,
前記載置台は,
前記チラーユニットから出力される前記冷媒が流れる冷却台と,
前記冷却台の上に設けられた静電チャックと,
を備え,
前記冷却台は,第1の部分と第2の部分と第1の流路と第2の流路と第3の流路と伝熱空間とを備え,
前記静電チャックは,前記第1の部分上に設けられ,
前記第1の部分は,前記第2の部分上に設けられ,
前記第1の流路は,第1の端部と第2の端部とを備え,前記第1の部分内に設けられ,
前記第2の流路は,第3の端部と第4の端部とを備え,前記第2の部分内に設けられ,
前記第3の流路は,前記第1の流路の前記第1の端部と前記第2の流路の前記第3の端部とに接続され,該第1の端部と該第3の端部との間に延在し,
前記チラーユニットは,前記第1の流路の前記第2の端部と前記第2の流路の前記第4の端部とに接続され,
前記第1の流路は,前記静電チャックに沿うように前記第1の部分内に延在し,
前記第2の流路は,前記静電チャックに沿うように前記第2の部分内に延在し,
前記チラーユニットから出力される前記冷媒は,前記第1の流路の前記第2の端部に入力し,該第1の流路,前記第3の流路,前記第2の流路を順に流れて,該第2の流路の前記第4の端部から前記チラーユニットに入力し,
前記伝熱空間は,前記第1の部分と前記第2の部分との間において前記静電チャックに沿って延在し,該伝熱空間内の圧力を調節する圧力調節装置に接続される,
処理装置。
【請求項3】
被加工物の処理装置であって,
チャンバ本体と,
前記チャンバ本体の内部に設けられ前記被加工物を載置する載置台と,
冷媒を前記載置台に出力するチラーユニットと,
圧力調節装置と,
伝熱空間と,
を備え,
前記載置台は,
前記チラーユニットから出力される前記冷媒が流れる冷却台と,
前記冷却台の上に設けられた静電チャックと,
を備え,
前記冷却台は,第1の部分と第2の部分と第1の流路と第2の流路と第3の流路とを備え,
前記静電チャックは,前記第1の部分上に設けられ,
前記第1の部分は,前記第2の部分上に設けられ,
前記第1の流路は,第1の端部と第2の端部とを備え,前記第1の部分内に設けられ,
前記第2の流路は,第3の端部と第4の端部とを備え,前記第2の部分内に設けられ,
前記第3の流路は,前記第1の流路の前記第1の端部と前記第2の流路の前記第3の端部とに接続され,該第1の端部と該第3の端部との間に延在し,
前記チラーユニットは,前記第1の流路の前記第2の端部と前記第2の流路の前記第4の端部とに接続され,
前記第1の流路は,前記静電チャックに沿うように前記第1の部分内に延在し,
前記第2の流路は,前記静電チャックに沿うように前記第2の部分内に延在し,
前記チラーユニットから出力される前記冷媒は,前記第1の流路の前記第2の端部に入力し,該第1の流路,前記第3の流路,前記第2の流路を順に流れて,該第2の流路の前記第4の端部から前記チラーユニットに入力し,
前記伝熱空間は,前記静電チャックと前記冷却台との間に設けられ,該静電チャックに沿って延在し,該伝熱空間内の圧力を調節する圧力調節装置に接続され,
前記第3の流路は,前記静電チャックの上から見て,該静電チャックの中央部と重なるように,前記第1の部分内と前記第2の部分内との間で延在し, 前記第1の流路は,前記静電チャックの上から見て,前記第1の端部から該静電チャックに沿って渦巻き状に延びて前記第2の端部に至り, 前記第2の流路は,前記静電チャックの上から見て,前記第3の端部から前記静電チャックに沿って渦巻き状に延びて前記第4の端部に至る,
処理装置。
【請求項4】
前記伝熱空間は,複数の第1の領域に気密に分離され,
前記圧力調節装置は,前記複数の第1の領域のそれぞれに接続され,該複数の第1の領域のそれぞれの内部の圧力を調節する,
請求項2に記載の処理装置。
【請求項5】
被加工物の処理装置であって,
チャンバ本体と,
前記チャンバ本体の内部に設けられ前記被加工物を載置する載置台と,
冷媒を前記載置台に出力するチラーユニットと,
圧力調節装置と,
伝熱空間と,
を備え,
前記載置台は,
前記チラーユニットから出力される前記冷媒が流れる冷却台と,
前記冷却台の上に設けられた静電チャックと,
を備え,
前記冷却台は,第1の部分と第2の部分と第1の流路と第2の流路と第3の流路とを備え,
前記静電チャックは,前記第1の部分上に設けられ,
前記第1の部分は,前記第2の部分上に設けられ,
前記第1の流路は,第1の端部と第2の端部とを備え,前記第1の部分内に設けられ,
前記第2の流路は,第3の端部と第4の端部とを備え,前記第2の部分内に設けられ,
前記第3の流路は,前記第1の流路の前記第1の端部と前記第2の流路の前記第3の端部とに接続され,該第1の端部と該第3の端部との間に延在し,
前記チラーユニットは,前記第1の流路の前記第2の端部と前記第2の流路の前記第4の端部とに接続され,
前記第1の流路は,前記静電チャックに沿うように前記第1の部分内に延在し,
前記第2の流路は,前記静電チャックに沿うように前記第2の部分内に延在し,
前記チラーユニットから出力される前記冷媒は,前記第1の流路の前記第2の端部に入力し,該第1の流路,前記第3の流路,前記第2の流路を順に流れて,該第2の流路の前記第4の端部から前記チラーユニットに入力し,
前記伝熱空間は,前記静電チャックと前記冷却台との間に設けられ,該静電チャックに沿って延在し,該伝熱空間内の圧力を調節する圧力調節装置に接続され,
前記伝熱空間は,複数の第2の領域に気密に分離され,
前記圧力調節装置は,前記複数の第2の領域のそれぞれに接続され,該複数の第2の領域のそれぞれの内部の圧力を調節し,前記複数の第2の領域のそれぞれの圧力調節によって静電チャックから冷却台への熱量を調節することにより抜熱の速さを該複数の第2の領域のそれぞれにおいて調節する,
処理装置。
【請求項6】
前記第3の流路は,前記静電チャックの上から見て,該静電チャックの中央部と重なるように,前記第1の部分内と前記第2の部分内との間で延在し,
前記第1の流路は,前記静電チャックの上から見て,前記第1の端部から該静電チャックに沿って渦巻き状に延びて前記第2の端部に至り,
前記第2の流路は,前記静電チャックの上から見て,前記第3の端部から前記静電チャックに沿って渦巻き状に延びて前記第4の端部に至る,
請求項2,請求項4,請求項5の何れか一項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記第1の流路は,断面積の大きさが略一定の領域を含む,
請求項1?請求項6の何れか一項に記載の処理装置。
【請求項8】
被加工物を載置する載置台であって,
チラーユニットから出力される冷媒が流れる冷却台と,
前記冷却台の上に設けられた静電チャックと,
を備え,
前記冷却台は,第1の部分と第2の部分と第1の流路と第2の流路と第3の流路と伝熱空間とを備え,
前記静電チャックは,前記第1の部分上に設けられ,
前記第1の部分は,前記第2の部分上に設けられ,
前記第1の流路は,第1の端部と第2の端部とを備え,前記第1の部分内に設けられ,
前記第2の流路は,第3の端部と第4の端部とを備え,前記第2の部分内に設けられ,
前記第3の流路は,前記第1の流路の前記第1の端部と前記第2の流路の前記第3の端部とに接続され,該第1の端部と該第3の端部との間に延在し,
前記チラーユニットは,前記第1の流路の前記第2の端部と前記第2の流路の前記第4の端部とに接続され,
前記第1の流路は,前記静電チャックに沿うように前記第1の部分内に延在し,
前記第2の流路は,前記静電チャックに沿うように前記第2の部分内に延在し,
前記チラーユニットから出力される前記冷媒は,前記第1の流路の前記第2の端部に入力し,該第1の流路,前記第3の流路,前記第2の流路を順に流れて,該第2の流路の前記第4の端部から前記チラーユニットに入力し,
前記伝熱空間は,前記第1の部分と前記第2の部分との間において前記静電チャックに沿って延在し,該伝熱空間内の圧力を調節する圧力調節装置に接続される,
載置台。」

第5 引用文献,引用発明等
1 引用文献1について
(1) 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。以下同様である。)

「【0002】
【従来の技術】図4と図5は,従来のICP方式のプラズマ源を搭載したプラズマ処理装置を示す。
【0003】図4に示すように,プラズマ処理装置は,熱交換流体を内部に流して温度制御されたステージ9cのステージ面上に被加工物である基板11を載置してプラズマ処理を行うよう構成されている。
【0004】プラズマチャンバ3の上側には,絶縁部材5とヒータ2を介して上部電極としてのICPプラズマ源1が設けられ,下側にはプラズマチャンバ3内を高真空排気する排気口7が配置されている。排気口7の先には,図示していないプラズマチャンバ3内のガス圧力をコントロールするバルブと高真空排気を達成するターボポンプとその先端に取り付けられたドライポンプとが配置されている。
【0005】プラズマチャンバ3の側壁には処理ガスの供給口6が配設されており,側壁の内側にはヒータ4が配置されている。このヒータ4とICPプラズマ源1の側に設けられたヒータ2によって,プラズマチャンバ3内で発生した堆積物の付着が防止される。
【0006】プラズマチャンバ3の内部には,基板11を載置する下部電極としてのステージ9cが配設されており,ステージ9cの脚部にはブロッキングコンデンサ15を介してRF電源20が接続されている。プラズマチャンバ3とステージ9cとの間は,絶縁部材8にて絶縁されている。
【0007】ステージ9cには,プラズマ処理を行う際の基板11上でのレジスト焼けの発生などを防止するために,基板11の温度を一定に保つよう各種の温度制御手段が設けられている。
【0008】まず,ステージ9cの内部には,水やエチレングリコールなどの熱交換流体の流路10cが形成されている。熱交換流体は供給口21aから矢印M1方向に供給され,図5に示すようにステージ9cの周方向に沿って配置された流路10cを通ってステージ9cの温度調整を行い,排出口21bへから矢印M2方向に排出される。この熱交換流体は図示されていないチラーを介して循環され,常に一定の温度の熱交換流体がステージ9c内に供給される。
【0009】また,ステージ9cの基板11の設置面には静電チャック17が配置され,この静電チャック17により基板11がステージ9cの面上に吸着保持され,上記の熱交換流体による温度制御効率が高められる。
【0010】さらに,基板11と静電チャック17との間の微小空間d1(図中では説明の都合上,極めて大きく描いている)にはヘリウムなどの温調ガスが充填され,基板11の温度制御効率が高められる。温調ガスは,例えば,ステージ9cの中央部付近に穿設された温調ガス供給口22aより矢印N1方向に供給され,静電チャック17の中心穴22b或いは外周部の細孔から放出され,静電チャック17の表面に刻まれた溝部に沿って基板11の裏面全面に供給される。」

「【0025】(実施の形態1)図1と図2は,本発明の(実施の形態1)を示す。この(実施の形態1)では,熱交換流体をステージ9aの内側と外側のうちの一方から他方へ流してプラズマ処理を行うよう構成した点で上記従来例とは異なる。
【0026】このようなプラズマ処理方法を実現するために,この(実施の形態1)では,図1に示すように構成されたプラズマ処理装置を用いる。上記従来例を示す図4と同様に構成されたプラズマ処理装置において,ステージ9aの内部には,熱交換流体をステージ9a面の近傍でステージ9aの内側から外側へ流して基板11の温度制御を行うために,流路区間18a?18dで構成された流路10aが形成されている。
【0027】熱交換流体は供給口22aから流路区間18aを通ってステージ9aの中央部へ供給され,流路区間18bによって中央部から外周部へ向かってステージ9b面に同心円状に拡散され,外周部では流路区間18cによってステージ9aの下側へ流動して流路区間18dにて排出口21bへ送られ,プラズマチャンバ3の外部に設置された図示されていないチラーによって温度制御される。」









(2)ここで,引用文献1に記載されている事項を検討する。

ア 段落0026の「この(実施の形態1)では,図1に示すように構成されたプラズマ処理装置を用いる。上記従来例を示す図4と同様に構成されたプラズマ処理装置において」の記載を参酌すれば,図1の「プラズマ処理装置」においても,図4の「プラズマ処理装置」と同様の構成を有すると認められる。
そして,段落0003,0006,0008-0009の記載から,図1の「プラズマ処理装置」においても,「ステージ9a」のステージ面上に「被加工物である基板11」を載置してプラズマ処理を行うよう構成され,「ステージ9a」が「プラズマチャンバ3」の内部に配設され,「熱交換流体」が「チラー」を介して循環され,「ステージ9a」内に供給され,「ステージ9a」の基板11の設置面には「静電チャック17」が配置され,この「静電チャック17」により「基板11」が「ステージ9a」の面上に吸着保持されていると認められる。

イ 段落0026-0027及び図1には,引用文献1の「ステージ9a」は,内部に「流路区間18a?18dで構成された流路10a」が形成されている点が記載されている。
ここで,「流路10a」の「流路区間18c」は,「熱交換流体」を「ステージ9aの外周部において下側へ流動させる流路区間」と,「ステージ9aの下側の外周部から流路区間18dまでの流路区間」とを備えているものと認められる。

(3) 以上から,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「熱交換流体を内部に流して温度制御されたステージ9aのステージ面上に被加工物である基板11を載置してプラズマ処理を行うよう構成されているプラズマ処理装置であって,
プラズマチャンバ3の内部に,ステージ9aが配設されており,
熱交換流体はチラーを介して循環され,ステージ9a内に供給され,
ステージ9aの基板11の設置面には静電チャック17が配置され,この静電チャック17により基板11がステージ9aの面上に吸着保持され,
ステージ9aの内部には,流路区間18a?18dで構成された流路10aが形成されており,
熱交換流体は供給口22aから流路区間18aを通ってステージ9aの中央部へ供給され,流路区間18bによって中央部から外周部へ向かってステージ9b面に同心円状に拡散され,外周部では流路区間18cによってステージ9aの下側へ流動して流路区間18dにて排出口21bへ送られ,
流路区間18cは,熱交換流体をステージ9aの外周部において下側へ流動させる流路区間と,ステージ9aの下側の外周部から流路区間18dまでの流路区間とを備える,
プラズマ処理装置。」

2 引用文献2について
(1) 原査定の拒絶の理由において引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0012】
【発明の実施の形態】以下に,本発明に係る処理装置及び処理方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る処理装置を示す構成図,図2は図1中の載置台中に形成された熱媒体流路を示す水平断面図,図3は図1中の載置台中に形成された補助熱媒体流路を示す水平断面図である。ここでは,処理として前述したプレクリーニング処理を行う場合を例にとって説明する。この処理装置20は,図示するように例えばアルミニウムにより内部が筒体状に成形された処理容器24を有している。この処理容器24の底部26の中心部には,挿通孔28が形成されると共に周辺部には,排気口30が形成されており,この排気口30には,図示しない真空引きポンプ等を介設した真空排気系32が接続されており,容器内部を真空引き可能としている。この排気口30は,容器底部26に複数個,例えば等間隔で同一円周上に4個程度設けられ,各排気口30は,真空排気系32により共通に真空引きされている。
【0013】また,この処理容器24の側壁の一部には,ウエハ搬出入口34が設けられ,ここに真空引き可能になされたトランスファチャンバ36との間を連通・遮断する前記ゲートバルブ38を設けている。尚,トランスファチャンバ36に替えて,ロードロック室を設ける場合もある。この処理容器24内には,例えば表面がアルマイト処理されたアルミニウム製の円板状の載置台40が設けられ,この上面に被処理体としての例えばシリコン基板よりなる半導体ウエハWを載置するようになっている。この載置台40の下面中央部には下方に延びる中空円筒状の脚部42が一体的に形成されている。この脚部42の下端は上記容器底部26の挿通孔28の周辺部にOリング等のシール部材44を介在させてボルト等を用いて気密に取り付け固定される。従って,この中空脚部42内は,外側に開放され,処理容器24内に対して気密状態となっている。
【0014】上記載置台40は,薄い円板状の上段ブロック40Aと,同じく薄い円板状の下段ブロック40Bとを上下2段に分離して接合されて構成されている。そして,上段及び下段ブロック40A,40Bはそれぞれ2cm程度の厚さに設定されると共に,両ブロック40A,40Bの接合部には,その周縁部に沿ってOリング等のシール部材46が介在されており,両ブロック40A,40B間に形成される微細な隙間48を処理容器24内側に対して気密にシールしている。そして,上記上段ブロック40A内には,図2にも示すように,断面が例えば矩形状になされた熱媒体流路50が上段ブロック40Aの全域に亘って例えば1?2周程度,あたかも巻回するように形成されている。また,上記下段ブロック40B内にも,図3にも示すように,断面が例えば矩形状になされた熱媒体流路52が下段ブロック40Bの全域に亘って例えば1?2周程度,あたかも巻回するように形成されている。尚,これらの流路50,52の巻回数は上述したものに限定されず,更に多く設定してもよい。」

「【0018】更に,上記上段ブロック40Aと下段ブロック42Bとの接合部の僅かな隙間48には,これに不活性ガスよりなる熱対流用ガス,例えばヘリウムガスを供給するための熱対流用ガス供給機構92が接続される。具体的には,上記隙間48に熱対流用ガスライン94を接続し,このライン94の基端部にヘリウム源96を接続している。尚,ヘリウムガスに替えてアルゴンガスを用いるようにしてもよい。そして,この熱対流用ガスライン94には,上記ヘリウム源96より開閉弁98及びマスフローコントローラのような流量制御器100が順次介設されている。」





3 引用文献3について
(1) 原査定の拒絶の理由において引用された引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0032】
(第1実施例)
図4A,図4B,図4Cは,冷媒流路の設置態様の第1実施例を示す図である。図4A,図4Bに示すように,第1実施例では,第1の冷媒管70a,第2の冷媒管70bは,下部電極12(載置台)の内部のウエハWが設置される領域に対応する領域に上下方向に分離して形成されている。具体的には,第2の冷媒管70bは,下部電極12の内部の上部領域に渦巻き状に形成されている。また,第1の冷媒管70aは,下部電極12の内部の第2の冷媒管70bが形成された領域の下部に渦巻き状に形成されている。また,図4Cは渦巻き状に形成された冷媒管70bを上からみたときの概念図である。
【0033】
また,チラーユニット71で冷却された冷媒は配管72を介して流出し,配管72から第1の配管72a及び第2の配管72bに分岐する。第1の配管72aは第1の冷媒管70aの一方の端部に連結されており,第2の配管72bは第2の冷媒管70bの一方の端部に連結されている。また,第1の冷媒管70a内を通流した冷媒は,第1の冷媒管70aの他方の端部に連結された第1の配管72aを介して流出し,第2の冷媒管70b内を通流した冷媒は,第2の冷媒管70bの他方の端部に連結された第2の配管72bを介して流出する。第1の配管72a及び第2の配管72bを介して流出した冷媒は1本の配管72に合流し,反転ユニット92を介してチラーユニット71へ戻り,チラーユニット71で冷却されて再び下部電極12の内部を通流して循環する。」





4 引用文献4について
(1) 原査定の拒絶の理由において引用された引用文献4には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0031】
本実施形態に係るウエハ載置台4は,略円柱状をなしており,絶縁部材3の上に設けられた金属製,例えばアルミニウム製の載置台本体41を有する。載置台本体41の上には,ウエハWの載置部として機能する,ウエハWの載置面を有する静電チャック42とを有している。静電チャック42は載置台本体41よりも小径であり,載置台本体41の上端周縁部には,静電チャック42を囲むように,環状のフォーカスリング43が配置されている。このフォーカスリング43は例えば絶縁材料からなっており,これによりエッチングの均一性が向上される。なお,載置台本体41は下部電極として機能する。
【0032】
載置台本体41の内部には,冷媒循環路45が設けられており,この冷媒循環路45には,冷媒導入管46および冷媒排出管47が接続されている。この冷媒循環路45には,例えばフッ素不活性液体などの冷媒が冷媒供給機構48から冷媒導入管46を介して供給されて循環され,その冷熱がウエハWに伝達されるようになっている。冷媒温度は低い方が冷却能力が高く好ましいが,低すぎると結露を起こす。」

「【0051】
<第2の実施形態>
次に,本発明の第2の実施形態に係るウエハ載置台(基板載置台)について説明する。図6は,本発明の第2の実施形態に係るウエハ載置台を示す断面図である。本実施形態に係るウエハ載置台4′は,内部の冷媒循環路45と静電チャック42との間に伝熱コントロール部60′が水平に設けられている。伝熱コントロール部60′は,載置台本体41内のウエハWに対応する位置に設けられた,ウエハWよりも大径の円板状をなす空間部61′を有しており,その中は円環状の分離部材61cにより副空間部として,中央空間部61aと外側空間部61bとに同心円状に分離されている。そして,これら中央空間部61aと外側空間部61bに,それぞれ固体部材62a,62bが充填されている。固体部材62a,62bは上記固体部材62と同様,多数の連通する空隙が存在するものであり,典型例として多孔質セラミックスを挙げることができる。
【0052】
そして,中央空間部61aには,その中に伝熱ガスを供給する供給流路63aおよびその中から伝熱ガスを排出する排出流路66aが設けられており,これらはそれぞれ供給配管64aおよび排出配管67aを介して図示しない伝熱ガス供給機構および伝熱ガス排出機構に接続されている。また,外側空間部61bには,その中に伝熱ガスを供給する供給流路63bおよびその中から伝熱ガスを排出する排出流路66bが設けられており,これらはそれぞれ供給配管64bおよび排出配管67bを介して図示しない上記伝熱ガス供給機構および伝熱ガス排出機構に接続されている。
【0053】
このように伝熱コントロール部60′では,空間部61′を中央空間部61aと外側空間部61bとに分け,これらに独立に伝熱ガスの供給および排出を行うようにしたので,中央空間部61aと外側空間部61bに供給する伝熱ガスの圧力を異ならせたり,これらに異なる種類の伝熱ガスを供給することにより,伝熱コントロール部60′の中央部分と外側部分とで伝熱を異ならせて別個に温度制御を行うことができる。」





(2) 以上から,引用文献4には次の技術的事項が記載されている。

「 載置台本体41と,載置台本体41の上に,ウエハWの載置面を有する静電チャック42とを有し,
載置台本体41の内部には,冷媒循環路45が設けられている
ウエハ載置台4′であって,
載置台本体41の内部の冷媒循環路45と静電チャック42との間に伝熱コントロール部60′が水平に設けられ,
伝熱コントロール部60′は,円板状をなす空間部61′を有しており,
その中は円環状の分離部材61cにより,中央空間部61aと外側空間部61bとに同心円状に分離されており,
中央空間部61aには,その中に伝熱ガスを供給する供給流路63aおよびその中から伝熱ガスを排出する排出流路66aが設けられており,これらはそれぞれ供給配管64aおよび排出配管67aを介して伝熱ガス供給機構および伝熱ガス排出機構に接続され,
また,外側空間部61bには,その中に伝熱ガスを供給する供給流路63bおよびその中から伝熱ガスを排出する排出流路66bが設けられており,これらはそれぞれ供給配管64bおよび排出配管67bを介して上記伝熱ガス供給機構および伝熱ガス排出機構に接続され,
伝熱コントロール部60′では,空間部61′を中央空間部61aと外側空間部61bとに分け,これらに独立に伝熱ガスの供給および排出を行うようにしたので,中央空間部61aと外側空間部61bに供給する伝熱ガスの圧力を異ならせたり,これらに異なる種類の伝熱ガスを供給することにより,伝熱コントロール部60′の中央部分と外側部分とで伝熱を異ならせて別個に温度制御を行うことができる,
ウエハ載置台4′。」

5 引用文献5について
(1) 原査定の拒絶の理由において引用された引用文献5には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0026】そして,上記下側電極部38と下側絶縁体42及び下側絶縁体42と冷却ブロック40は共に上下に接合されるが,これらの間にそれぞれ僅かな間隙の空間,すなわち上側電極側伝熱空間(上側空間)62と下側電極側伝熱空間(下側空間)64が発生することは避けられない。これらの両伝熱空間62,64に対して何ら手段を講じないと両伝熱空間62,64は処理容器26内へ連通していることからプラズマ処理時に両伝熱空間62,64内が真空状態となって上下方向への伝熱効率が低下してしまう。そのために,リング状の両伝熱空間62,64の内周側及び外周側には,それぞれリング状に耐熱性メタルシール部材66A,66B,68A,68Bが介在されており,両伝熱空間62,64の気密性を高く維持している。更に,シール部材66A?68Bの気密性を高く維持しても,僅かにガスが漏れることは避けられないので,両伝熱空間62,64には,それぞれガス供給通路70,72が接続されており,後述するように圧力制御されたAr,He,N_(2) 等の不活性ガスより成る伝熱ガス,例えばN_(2) ガスを供給できるようになっている。」

「【0030】次に,図3を参照して上記電極側伝熱空間62,64及びチャック側伝熱空間74への伝熱ガスの供給系について説明する。図3に示すように,各電極側伝熱空間62,64及びチャック側伝熱空間74へ連通される各ガス供給通路70,72,76,78には,それぞれマスフローコントローラのような流量制御機器88A?88Dが介設されて伝熱ガス源であるN_(2) ガス源90,92に接続されており,それぞれ電極側伝熱ガス供給手段94とチャック側伝熱ガス供給手段96を構成している。尚,N_(2) ガス源90,92は共用してもよい。そして,各流量制御機器88A?88Dは,各伝熱空間62,64,74に設けられる耐熱圧力センサ98A?98Dの検出値に基づいて,制御部100により制御されることになる。具体的には,各ガス供給通路70,72,76,78のガス出口70A,72A,76A,78Aの近傍に上記各耐熱圧力センサ98A?98Dは設けられており,対応する空間部分の圧力を検出するようになっている。尚,図3中の66C?66Gは上述したと同様な構造の耐熱性メタルシール部材であり,各ガス供給通路をシールしている。ここで上記各耐熱圧力センサ98A?98Dは,全て同様な構造となっており,このセンサ構造を例えばセンサ98Aを例にとって図4を参照して説明する。」





6 その他の文献について
(1) 本願の出願前に公開された特開2011-84770号公報(以下,「周知文献」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0029】
図5に示すように,第1の例の基板ホルダ1は,スパッタリング装置に代表されるプラズマ処理装置の真空容器(図示せず)内に設けられる。この基板ホルダ1は,ホルダ本体1Aの基板保持側(上部)に配された静電チャック3上に静電吸着により基板10を保持する。
【0030】
ホルダ本体1Aは,例えば,基板10として半導体ウエハを支持する円板状もしくは円柱状の支持部材である。ホルダ本体1Aの内部には,循環媒体(冷却媒体)101を流すための循環媒体流通経路100が区画形成されている。この循環媒体流通経路100には,循環媒体101を循環供給する循環媒体供給手段2が接続され,循環媒体循環経路100内へ循環媒体101を循環させることにより,ホルダ本体1Aに熱交換機能及び排熱機能をもたせている。本例では,循環媒体供給手段2として温度制御センサ2A付きの循環チラーを採用しており,循環チラー2は略200℃以下の温度(具体的には,100?250℃の温度)に制御可能となっている。循環媒体101としては,例えば,フッ素系媒体もしくはエチレングリコールを混合した冷却水や純水を用いることができる。」

「【0032】
ホルダ本体1Aと静電チャック3との隙間には伝熱ガス(封止ガス)103が封止され,封止圧力を調整可能な伝熱ガス供給系110に接続された熱伝達能可変手段6が形成されている。ホルダ本体1Aと静電チャック3との隙間に区画された熱伝達能可変手段6の周囲には,リング状の断熱部材7が配置されている。断熱部材7としては,例えば,アルミナやステンレス等の熱伝達率が25W/m^(2)・K以下の材料が挙げられるが,ジルコニアや石英等の熱伝達率10W/m^(2)・K未満の材料で形成することがより好ましい。この断熱部材7は,ホルダ本体1Aと静電チャック3を断熱し,ガス封止圧の調整による熱伝達率の制御を可能にする。
【0033】
熱伝達能可変手段6は,ガス圧力の調整により熱伝達率が可変となるように,使用するガスの平均自由行程をもとに,クヌーセン数(Ku=λ/L λ(m):分子の平均自由行程L(m):代表長さ)が1より大きな値が得られる隙間寸法とする。クヌーセン数を1より十分に大きい値とするのは,この場合に分子間衝突を無視することができ,流体を連続体として取り扱うことができるからである。
【0034】
伝熱ガスとしては,例えば,アルゴン(Ar),ヘリウム(He),または窒素(N_(2))等の不活性ガスが使用できる。基板設定温度450℃で,Ar,Heを用いる場合は,ホルダ本体1Aと静電チャック3との隙間を0.15?0.5mmに設定し,封止圧を100Pa,1000Paとすることで,下記表1のように熱伝達率が可変となる。プラズマ11等による入熱12がない場合等,ホルダ本体1Aの循環媒体101による排熱エネルギーを小さくしたい場合には,封止圧を0Paとして熱伝達率を最小にする。」





(2) 以上から,周知文献には次の技術的事項が記載されている。
「プラズマ処理装置の真空容器内に設けられる基板ホルダ1であって,
ホルダ本体1Aの基板保持側に配された静電チャック3上に静電吸着により基板10を保持し,
ホルダ本体1Aと静電チャック3との隙間には伝熱ガス103が封止され,封止圧力を調整可能な伝熱ガス供給系110に接続された熱伝達能可変手段6が形成されており,
熱伝達能可変手段6は,ガス圧力の調整により熱伝達率が可変となる,
基板ホルダ1。」

第6 対比・判断
1 本願発明5について
(1)対比
本願発明5と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。

ア 引用発明の「被加工物である基板11」は,本願発明5の「被加工物」に相当する。
そして,引用発明の「プラズマ処理装置」は,「被加工物である基板11を載置してプラズマ処理を行うよう構成されている」ものであるから,本願発明5の「処理装置」と,「被加工物の処理装置」である点で一致する。

イ 引用発明の「プラズマチャンバ3」が,本願発明5の「チャンバ本体」に相当することは明らかである。
そして,引用発明の「ステージ9a」は,「プラズマチャンバ3の内部」に配設され,また,「ステージ9a」の基板の設置面には「静電チャック17」が配置され,「静電チャック17」により「基板11」が「ステージ9a」の面上に吸着保持されるものである。
すると,引用発明の「ステージ9a」及び「静電チャック17」が,本願発明5の「載置台」と,「前記チャンバ本体の内部に設けられ前記被加工物を載置する載置台」である点で一致する。

ウ 引用発明の「熱交換流体」は,本願発明5の「冷媒」に相当する。
そして,引用発明において,「熱交換流体」は「チラー」を介して循環され,「ステージ9a」内に供給されることから,引用発明の「チラー」が,本願発明5の「冷媒を前記載置台に出力するチラーユニット」に相当する。

エ 引用発明の「ステージ9a」には,「熱交換流体」が「チラー」を介して循環され,供給されるから,本願発明5の「冷却台」と,「前記チラーユニットから出力される前記冷媒が流れる冷却台」である点で一致する。
また,引用発明の「静電チャック17」は,引用文献1の図1を参照すると,「ステージ9a」の上に配設されているから,本願発明5の「静電チャック」と,「前記冷却台の上に設けられた静電チャック」である点で一致する。

オ 引用発明の「ステージ9a」は,内部に「流路10a」を備えており,引用文献1の図1を参照すると,「ステージ9a」の上側部分には「流路区間18b」を,下側部分には「流路区間18c」における「ステージ9aの下側の外周部から流路区間18dまでの流路区間」を,それぞれ備えており,その間に「流路区間18c」における「ステージ9aの外周部において下側へ流動させる流路区間」が延在している。
ここで,引用発明の「流路区間18b」,「流路区間18c」における「ステージ9aの下側の外周部から流路区間18dまでの流路区間」,「流路区間18c」における「ステージ9aの外周部において下側へ流動させる流路区間」が,本願発明5の「第1の流路」,「第2の流路」,「第3の流路」に,それぞれ対応する。
そして,引用発明の「ステージ9a」において,「流路区間18b」を備える「上側部分」,「流路区間18c」における「ステージ9aの下側の外周部から流路区間18dまでの流路区間」を備える「下側部分」が,本願発明5の「第1の部分」,「第2の部分」に対応する。
また,特に引用文献1の図1を参照すると,引用発明において,「静電チャック」は,「ステージ9a」の「上側部分」上に設けられ,「上側部分」は「下側部分」上に設けられていることは明らかである。
以上から,引用発明の「ステージ9a」は,本願発明5の「冷却台」と,「前記冷却台は,第1の部分と第2の部分と第1の流路と第2の流路と第3の流路とを備え」,「前記静電チャックは,前記第1の部分上に設けられ,前記第1の部分は,前記第2の部分上に設けられ」る点で一致する。

カ 引用発明の「流路区間18b」の端部である,「流路区間18a」と「流路区間18b」が接続する箇所,「流路区間18b」と「流路区間18c」が接続する箇所が,それぞれ,本願発明5の「第2の端部」,「第1の端部」に相当する。
そして,引用発明の「流路区間18b」は,「ステージ9a」の「上側部分」内に設けられているから,本願発明5の「第1の流路」と,「第1の端部と第2の端部とを備え,前記第1の部分内に設けられ」る点で一致する。
さらに,引用発明の「流路区間18c」における「ステージ9aの下側の外周部から流路区間18dまでの流路区間」の端部である,「ステージ9aの外周部において下側へ流動させる流路区間」と「ステージ9aの下側の外周部から流路区間18dまでの流路区間」が接続する箇所,「ステージ9aの下側の外周部から流路区間18dまでの流路区間」と「流路区間18d」が接続する箇所が,それぞれ,本願発明5の「第3の端部」,「第4の端部」に相当する。
そして,引用発明の「流路区間18c」における「ステージ9aの下側の外周部から流路区間18dまでの流路区間」は,「ステージ9a」の「下側部分」内に設けられているから,本願発明5の「第2の流路」と,「第3の端部と第4の端部とを備え,前記第2の部分内に設けられ」る点で一致する。
また,上記記載から,引用発明の「流路区間18c」における「ステージ9aの外周部において下側へ流動させる流路区間」が,本願発明5の「第3の流路」と,「前記第1の流路の前記第1の端部と前記第2の流路の前記第3の端部とに接続され,該第1の端部と該第3の端部との間に延在」する点で一致することは,明らかである。

キ 引用文献1の図1を参照すると,引用発明の「流路区間18b」,「流路区間18c」における「ステージ9aの下側の外周部から流路区間18dまでの流路区間」は,それぞれ,「静電チャック17」に沿うように「ステージ9a」内に延在していると認められるから,本願発明5の「第1の流路」,「第2の流路」と,「前記第1の流路は,前記静電チャックに沿うように前記第1の部分内に延在し,前記第2の流路は,前記静電チャックに沿うように前記第2の部分内に延在」する点で一致する。

ク 引用発明において,「熱交換流体」は,「チラー」を介して循環され,「ステージ9a」内に供給され,また,「供給口22aから流路区間18aを通ってステージ9aの中央部へ供給され,流路区間18bによって中央部から外周部へ向かってステージ9b面に同心円状に拡散され,外周部では流路区間18cによってステージ9aの下側へ流動して流路区間18dにて排出口21bへ送ら」れることから,本願発明5と,「前記チラーユニットから出力される前記冷媒は,前記第1の流路の前記第2の端部に入力し,該第1の流路,前記第3の流路,前記第2の流路を順に流れて,該第2の流路の前記第4の端部から前記チラーユニットに入力」する点で一致する。

ケ したがって,本願発明5と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「 被加工物の処理装置であって,
チャンバ本体と,
前記チャンバ本体の内部に設けられ前記被加工物を載置する載置台と,
冷媒を前記載置台に出力するチラーユニットと,
を備え,
前記載置台は,
前記チラーユニットから出力される前記冷媒が流れる冷却台と,
前記冷却台の上に設けられた静電チャックと,
を備え,
前記冷却台は,第1の部分と第2の部分と第1の流路と第2の流路と第3の流路とを備え,
前記静電チャックは,前記第1の部分上に設けられ,
前記第1の部分は,前記第2の部分上に設けられ,
前記第1の流路は,第1の端部と第2の端部とを備え,前記第1の部分内に設けられ,
前記第2の流路は,第3の端部と第4の端部とを備え,前記第2の部分内に設けられ,
前記第3の流路は,前記第1の流路の前記第1の端部と前記第2の流路の前記第3の端部とに接続され,該第1の端部と該第3の端部との間に延在し,
前記チラーユニットは,前記第1の流路の前記第2の端部と前記第2の流路の前記第4の端部とに接続され,
前記第1の流路は,前記静電チャックに沿うように前記第1の部分内に延在し,
前記第2の流路は,前記静電チャックに沿うように前記第2の部分内に延在し,
前記チラーユニットから出力される前記冷媒は,前記第1の流路の前記第2の端部に入力し,該第1の流路,前記第3の流路,前記第2の流路を順に流れて,該第2の流路の前記第4の端部から前記チラーユニットに入力する,
処理装置。」

(相違点)
(相違点1)本願発明5は,「前記静電チャックと前記冷却台との間に設けられ,該静電チャックに沿って延在」する「伝熱空間」を備え,「前記伝熱空間は,複数の第2の領域に気密に分離され」ると特定されているのに対し,引用発明は,そのように特定されていない点。

(相違点2)本願発明5は,「圧力調節装置」を備え,「前記伝熱空間」が,「該伝熱空間内の圧力を調節する圧力調節装置に接続され」るとともに,「前記複数の第2の領域のそれぞれに接続され,該複数の第2の領域のそれぞれの内部の圧力を調節し,前記複数の第2の領域のそれぞれの圧力調節によって静電チャックから冷却台への熱量を調節することにより抜熱の速さを該複数の第2の領域のそれぞれにおいて調節する」と特定されているのに対し,引用発明は,そのように特定されていない点。

(2)相違点についての判断
ア 相違点1について
周知文献には,プラズマ処理装置の真空容器内に設けられる「基板ホルダ1」(本願発明5の「載置台」対応する。)において,「ホルダ本体1A」(本願発明5の「冷却台」対応する。)と「静電チャック3」(本願発明5の「静電チャック」対応する。)との隙間に,伝熱ガス103が封止され,封止圧力を調整可能な伝熱ガス供給系110に接続された「熱伝達能可変手段6」(本願発明5の「伝熱空間」対応する。)が形成される点は記載されているが,該「熱伝達可変手段6」は,「複数の第2の領域に気密に分離され」ているものではない。
また,引用文献4には,「ウエハ載置台4′」(本願発明5の「載置台」対応する。)において,「載置台本体41」(本願発明5の「冷却台」対応する。)の内部の「冷媒循環路45」と「静電チャック42」(本願発明5の「静電チャック」対応する。)との間に「伝熱コントロール部60′」(本願発明5の「伝熱空間」対応する。)が設けられ,該「伝熱コントロール部60′」の円板状をなす空間部61′が,「中央空間部61aと外側空間部61bとに同心円状に分離され」(本願発明5の「前記伝熱空間は,複数の第2の領域に気密に分離され」に対応する。)る点は記載されているが,該「伝熱コントロール部60′」は,「載置台本体41」の内部に設けられており,「前記静電チャックと前記冷却台との間に設け」られるものではない。
そして,「前記静電チャックと前記冷却台との間に設けられ,該静電チャックに沿って延在」するとともに,「複数の第2の領域に気密に分離され」た「伝熱空間」は,引用文献2-3,5にも記載されておらず,また,本願出願前において周知技術であるともいえない。
してみると,当業者であっても,引用発明及び引用文献2-5,周知文献に記載された事項に基づいて,本願発明5の相違点1に係る構成とすることは,容易に発明できたものであるとはいえない。

イ したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明5は,当業者であっても引用発明及び引用文献2-5,周知文献に記載された事項に基づいて,容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明7について
本願発明7は,本願発明5のすべての構成要素を備えた発明であるから,本願発明5と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2-5,周知文献に記載された事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定について
本願発明5,7は,上記「第6 対比・判断」の「1 本願発明5について」の「(1)対比」における相違点1に係る構成を有するものとなっており,拒絶査定において引用された引用文献1及び引用文献2-5,周知文献に記載された事項に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。
したがって,原査定の理由2を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-10-06 
出願番号 特願2017-17846(P2017-17846)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 内田 正和  
特許庁審判長 河本 充雄
特許庁審判官 ▲吉▼澤 雅博
辻本 泰隆
発明の名称 被加工物の処理装置、及び載置台  
代理人 黒木 義樹  
代理人 柏岡 潤二  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 小曳 満昭  
代理人 阿部 寛  
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