ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H05K |
---|---|
管理番号 | 1378715 |
異議申立番号 | 異議2019-701045 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-12-20 |
確定日 | 2021-07-21 |
異議申立件数 | 6 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6537172号発明「プリント配線板」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6537172号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。 特許第6537172号の請求項1ないし5、7に係る特許を取り消す。 特許第6537172号の請求項6に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6537172号の請求項1ないし7に係る発明についての出願は、平成27年6月1日に出願され令和1年6月14日にその特許権が設定登録され、令和1年7月3日に特許掲載公報が発行された。その特許に対して6件の特許異議の申立てがあり、次のとおりに手続が行われた。 令和1年12月20日 :特許異議申立人古川興輝による請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立て 令和1年12月25日 :特許異議申立人田上浩による請求項1、5、7に係る特許に対する特許異議の申立て、特許異議申立人市川正による請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立て 令和1年12月27日 :特許異議申立人横沢聡による請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立て、特許異議申立人服部昇による請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立て、特許異議申立人末久真弘による請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立て 令和2年 5月 7日付け:取消理由通知書 令和2年 7月 2日 :特許権者による上申書の提出 令和2年 7月 7日付け:指定期間についての通知書 令和2年 8月 7日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和2年 9月25日 :特許異議申立人横沢聡による意見書の提出 令和2年 9月26日 :特許異議申立人服部昇による意見書の提出 令和2年 9月28日 :特許異議申立人末久真弘による意見書の提出 令和2年12月15日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和3年 2月 3日 :特許権者と面接 令和3年 2月19日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和3年 4月 5日 :特許異議申立人服部昇による意見書の提出 令和3年 4月 7日 :異議申立人横沢聡による意見書の提出、特許異議申立人末久真弘による意見書の提出 なお、令和3年2月19日に訂正の請求がなされたので、特許法第120条の5第7項の規定により、令和2年8月7日になされた訂正の請求は取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和3年2月19日付けの訂正請求の趣旨は、特許第6537172号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし7について訂正することを求めるものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 請求項1に「上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの主成分がフッ素樹脂又は液晶ポリマーであり、上記導電パターンが、信号線と、この信号線の幅方向両側に略平行に配設される一対のシールド配線とを有し、上記導電パターンの平均厚さが1μm以上100μm以下であり、上記第1樹脂フィルムの上記導電パターンと反対の面側に積層される第1グランド層と、上記第2樹脂フィルムの上記第1樹脂フィルムと反対の面側に積層される第2グランド層と、上記一対のシールド配線と上記第1グランド層とを接続するスルーホールとをさらに備え、上記一対のシールド配線と上記第1グランド層及び上記第2グランド層とが電気的に接続されており、上記第1グランド層及び上記第2グランド層が平面視で少なくとも上記信号線と重なる領域において開口を実質的に有さないベタ状に形成されており、上記スルーホールが長手方向に1cm以内の間隔を空けて複数形成されており、高速伝送に用いられる」との構成を付加する。 (2)訂正事項2 請求項2に「上記接着剤層が、250℃以下の硬化温度を有する熱硬化性樹脂を主成分とする請求項1に記載のプリント配線板。」と記載されているのを、「上記接着剤層が、250℃以下の硬化温度を有する熱硬化性樹脂を主成分とし、上記第1樹脂フィルム及び上記第2樹脂フィルムの平均厚さが5μm以上500μm以下である請求項1に記載のプリント配線板。」と訂正する。 (3)訂正事項3 請求項4に、「上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの融点が250℃以上である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプリント配線板。」と記載されているのを、「上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの融点が250℃以上であり、上記信号線と上記シールド配線との幅方向の平均間隔が50μm以上1000μm以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプリント配線板。」と訂正する。 (4)訂正事項4 請求項6を削除する。 (5)訂正事項5 請求項7に、「高速伝送に用いられる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプリント配線板。」と記載されているのを、「信号の周波数が1GHz以上である信号の伝送に用いられる請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプリント配線板。」と訂正する。 (6)一群の請求項 上記訂正事項1ないし5に係る本件訂正前の請求項1ないし7について、請求項2ないし7は請求項1を引用しているものであるから、本件訂正前の請求項1ないし7に対応する本件訂正後の請求項1ないし7は、特許法第120条の5第4項に規定する関係を有する一群の請求項である。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載されていた「第1樹脂フィルム」及び「第2樹脂フィルム」について、「主成分がフッ素樹脂又は液晶ポリマー」であると限定し、訂正前の請求項1に記載されていた「導電パターン」について、「信号線と、この信号線の幅方向両側に略平行に配設される一対のシールド配線とを有し、」「平均厚さが1μm以上100μm以下」であると限定するものである。 また、訂正前の請求項1に記載されていた「第1樹脂フィルム」及び「第2樹脂フィルム」について、「上記第1樹脂フィルムの上記導電パターンと反対の面側に積層される第1グランド層と、上記第2樹脂フィルムの上記第1樹脂フィルムと反対の面側に積層される第2グランド層と、上記一対のシールド配線と上記第1グランド層とを接続するスルーホールとをさらに備え、上記一対のシールド配線と上記第1グランド層及び上記第2グランド層とが電気的に接続されており、上記第1グランド層及び上記第2グランド層が平面視で少なくとも上記信号線と重なる領域において開口を実質的に有さないベタ状に形成されており、上記スルーホールが長手方向に1cm以内の間隔を空けて複数形成」されていると限定し、訂正前の請求項1に記載されていた「プリント配線板」について、「高速伝送に用いられる」と限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 (ア)「フッ素樹脂又は液晶ポリマー」について 訂正前の請求項6には、「第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの主成分がフッ素樹脂又は液晶ポリマーである」ことが記載されている。 また、明細書の段落【0031】に「このように、第1樹脂フィルムの主成分として比通電率及び誘電正接が小さい樹脂を用いる・・・比誘電率及び誘電正接が小さい樹脂としては、フッ素樹脂又は液晶ポリマーが挙げられる。」、段落【0058】に「この第2樹脂フィルム4の構成としては、上記第1樹脂フィルムと同様とすることができる。」と記載されている。 よって、訂正事項1のうち「上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの主成分がフッ素樹脂又は液晶ポリマー」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (イ)「信号線」、「シールド配線」について 明細書の段落【0044】に「導電パターン2は、当該プリント配線板の長手方向に沿って配設され、高周波信号を伝送する電路となる信号線9と、信号線9の幅方向両側に略平行に配設される一対のシールド配線10を有する。」と、段落【0048】に「この導電パターン2の平均厚さの下限としては、1μmが好ましく、・・・一方、導電パターン2の平均厚さの上限としては、100μmが好ましく」と記載されている。 よって、訂正事項1のうち「上記導電パターンが、信号線と、この信号線の幅方向両側に略平行に配設される一対のシールド配線とを有し、上記導電パターンの平均厚さが1μm以上100μm以下」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (ウ)「第1グランド層」、「第2グランド層」、「スルーホール」について 明細書の段落【0024】に「また、当該プリント配線板は、第1樹脂フィルム1の他方の面側(図中下側)に積層される第1グランド層6と、第2樹脂フィルムの一方の面側(第1樹脂フィルム1と反対側)に積層される第2グランド層7とをさらに備える。」と、段落【0044】に「一対のシールド配線10はスルーホール11によってそれぞれ第1グランド層6及び第2グランド層7と電気的に接続される。」と、段落【0068】に「第1グランド層6は、・・・シールド効果を向上できるよう平面視で少なくとも信号線9と重なる領域において開口を実質的に有さないベタ状に形成されることが好ましい。」と、段落【0071】に「第2グランド層7の構成は、上記第1グランド層6と同様とすることができる。」と、段落【0055】に「シールド配線10と第1グランド層6及び第2グランド層7とを接続するスルーホール11は、図2に示すように、長手方向(図1の奥行方向)に間隔を空けて複数形成される。」と、段落【0056】に「スルーホール11の間隔は、・・・1cm以内であることが好ましい。」と記載されている。 よって、訂正事項1のうち「上記第1樹脂フィルムの上記導電パターンと反対の面側に積層される第1グランド層と、上記第2樹脂フィルムの上記第1樹脂フィルムと反対の面側に積層される第2グランド層と、上記一対のシールド配線と上記第1グランド層とを接続するスルーホールとをさらに備え、上記一対のシールド配線と上記第1グランド層及び上記第2グランド層とが電気的に接続されており、上記第1グランド層及び上記第2グランド層が平面視で少なくとも上記信号線と重なる領域において開口を実質的に有さないベタ状に形成されており、上記スルーホールが長手方向に1cm以内の間隔を空けて複数形成」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (エ)「高速伝送」について 訂正前の請求項7には、「高速伝送に用いられる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプリント配線板。」と記載されている。 また、明細書の段落【0019】に「当該プリント配線板は、高速伝送に用いられるとよい。」と記載されている。 よって、訂正事項1のうち「高速伝送に用いられる」と訂正することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (オ)上記(ア)ないし(エ)より、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項2に記載されていた「請求項1に記載のプリント配線板」について、「プリント配線板」を構成する「第1樹脂フィルム」及び「第2樹脂フィルム」を「上記第1樹脂フィルム及び上記第2樹脂フィルムの平均厚さが5μm以上500μm以下である」と限定するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 明細書の段落【0029】に「第1樹脂フィルム1の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、・・・一方、第1樹脂フィルム1の平均厚さの上限としては、500μmが好ましく」と、段落【0058】に「この第2樹脂フィルム4の構成としては、上記第1樹脂フィルム1と同様とすることができる。」と記載されている。 よって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項4に記載されていた「請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプリント配線板」について、訂正事項1により「プリント配線板」を構成する「導電パターン」が「信号線」と「シールド配線」を有するものとなったものを、「上記信号線と上記シールド配線との幅方向の平均間隔が50μm以上1000μm以下である」と限定するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 明細書の段落【0054】に「信号線9とシールド配線10との幅方向の平均間隔の下限としては、50μmが好ましく、・・・一方、平均間隔の上限としては、1000μmが好ましく」と記載されている。 よって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、請求項6を削除する訂正である。 請求項6を削除する訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的 訂正事項5は、訂正前の請求項7に記載されていた「高速伝送」について、「信号の周波数が1GHz以上である信号の伝送」と限定するものである。 また、訂正事項4により請求項6が削除されたことにより、従属する請求項を「請求項1から請求項5のいずれか1項」と限定するものである。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 明細書の段落【0020】に「また、『高速伝送』とは信号の周波数が1GHz以上である信号の伝送をいう。」と記載されている。 よって、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 3 小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記「第2」のとおり本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明7」という。)は、その訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された次の事項により特定されるものである。なお、下線部は訂正箇所を示す。 「【請求項1】 第1樹脂フィルムと、 この第1樹脂フィルムの一方の面側に積層される導電パターンと、 この導電パターン及び第1樹脂フィルムを含む積層体の一方の面側に配設される第2樹脂フィルムと、 この第2樹脂フィルム及び上記積層体間に充填される接着剤層と を備えるプリント配線板であって、 上記接着剤層の比誘電率が3以下、誘電正接が0.05以下であり、 上記接着剤層の比誘電率が上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの比誘電率より小さく、上記接着剤層の誘電正接が上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの誘電正接より小さく、 上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの主成分がフッ素樹脂又は液晶ポリマーであり、 上記導電パターンが、信号線と、この信号線の幅方向両側に略平行に配設される一対のシールド配線とを有し、 上記導電パターンの平均厚さが1μm以上100μm以下であり、 上記第1樹脂フィルムの上記導電パターンと反対の面側に積層される第1グランド層と、 上記第2樹脂フィルムの上記第1樹脂フィルムと反対の面側に積層される第2グランド層と、 上記一対のシールド配線と上記第1グランド層とを接続するスルーホールとをさらに備え、 上記一対のシールド配線と上記第1グランド層及び上記第2グランド層とが電気的に接続されており、 上記第1グランド層及び上記第2グランド層が平面視で少なくとも上記信号線と重なる領域において開口を実質的に有さないベタ状に形成されており、 上記スルーホールが長手方向に1cm以内の間隔を空けて複数形成されており、 高速伝送に用いられるプリント配線板。 【請求項2】 上記接着剤層が、250℃以下の硬化温度を有する熱硬化性樹脂を主成分とし、 上記第1樹脂フィルム及び上記第2樹脂フィルムの平均厚さが5μm以上500μm以下である請求項1に記載のプリント配線板。 【請求項3】 上記熱硬化性樹脂が、変性ポリフェニレンエーテル又はスチレン系樹脂である請求項2に記載のプリント配線板。 【請求項4】 上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの融点が250℃以上であり、 上記信号線と上記シールド配線との幅方向の平均間隔が50μm以上1000μm以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプリント配線板。 【請求項5】 上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの比誘電率が4以下、誘電正接が0.05以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプリント配線板。 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 信号の周波数が1GHz以上である信号の伝送に用いられる請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプリント配線板。」 第4 当審の判断 1 引用文献の記載事項・引用発明 (1)特開2014-86591号公報(特許異議申立人市川正提出の甲第2号証、特許異議申立人横沢聡提出の甲第3号証、特許異議申立人服部昇提出の甲第2号証、特許異議申立人末久真弘提出の甲第10号証) ア 令和2年12月15日付け取消理由通知(決定の予告)で引用された特開2014-86591号公報(取消理由通知の記載に合わせて、以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。 「【請求項1】 (A)下記一般式(1)で示されるビニル化合物、 【化1】 (式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基またはフェニル基である。-(O-X-O)-は下記構造式(2)で示される。 【化2】 R8,R9,R10,R14,R15は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R11,R12,R13は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。-(Y-O)-は下記構造式(3)で定義される1種類の構造、または下記構造式(3)で定義される2種類以上の構造がランダムに配列したものである。 【化3】 R16,R17は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R18,R19は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。Zは、炭素数1以上の有機基であり、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子を含むこともある。a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0?300の整数を示す。c,dは、0または1の整数を示す。) (B)ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体、 (C)ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)ブロック共重合体、 (D)エポキシ樹脂、 (E)ビスマレイミド を含み、各成分の質量比が、(A+E)/(B+C)=0.81以上1.00以下、(B)/(C)=1.00以上4.00以下であり、かつ、前記成分(A)?(E)の合計質量に対して、前記成分(D)を1?10質量%含有する接着層が、 前記接着層の熱硬化温度より、高い融点を有し、周波数1?10GHzの領域における、誘電率(ε)が4.0以下であり、誘電正接(tanδ)が0.02以下の有機フィルムの片面に形成されていることを特徴とするカバーレイフィルム。」 「【請求項5】 前記接着層の熱硬化後の、周波数1?10GHzの領域における、誘電率(ε)が3.5以下であり、誘電正接(tanδ)が0.02以下である、請求項1?4のいずれかに記載のカバーレイフィルム。 【請求項6】 前記接着層の熱硬化後の、周波数1?10GHzの領域における、該接着層の誘電率(ε)が2.5以下であり、誘電正接(tanδ)が0.004以下である、請求項1?5のいずれかに記載のカバーレイフィルム。 【請求項7】 前記有機フィルムが、液晶ポリマー、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、および、ポリテトラフルオロエチレンのいずれか一つを用いて作製されている、請求項1?6のいずれかに記載のカバーレイフィルム。 【請求項8】 液晶ポリマー、ポリイミド、および、ポリエチレンナフタレ-トのいずれかを主成分とする樹脂基板の主面に配線パターンが形成された配線付樹脂基板の配線パターン側に、請求項1?7のいずれかに記載のカバーレイフィルムが、接着層が対向するように配置され、熱圧着により、前記配線付樹脂基板と前記カバーレイフィルムとが一体化されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。」 「【0001】 本発明は、カバーレイフィルムに関する。より具体的には、フレキシブルプリント配線板用のカバーレイフィルムに関する。 また、本発明は、該カバーレイフィルムを用いたフレキシブルプリント配線板に関する。 また、本発明は、該カバーレイフィルム及び該フレキシブルプリント配線板の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、電子機器の高性能化、高機能化、小型化が急速に進んでおり、電子機器に用いられる電子部品の高密度化、小型化、薄型化の要請が高まっている。これに伴い、電子部品の素材についても、耐熱性、機械的強度、電気特性等の諸物性の更なる改善が要求されるようになってきている。例えば、半導体素子を実装するプリント配線板についても、より高密度、高機能、高性能なものが求められている。 【0003】 こうした状況の中、狭い空間に立体的な配線、実装が可能なフレキシブルプリント配線板(以下、FPCという)の需要が増大している。一般に、FPCは耐熱性、屈曲性に優れるポリイミドフィルム上に回路パターンを形成し、その表面は接着剤層を持つカバー層、所謂カバーレイフィルムが貼りあわされた構造を有している。 【0004】 FPCのカバーレイフィルムには、FPCの配線をなす金属箔や、ポリイミドフィルム等のFPCの基板材料に対して優れた接着強度を有することが要求されており、これを達成するカバーレイフィルムが、例えば特許文献1?3で提案されている。 【0005】 近年、FPCにおける伝送信号の高周波化が顕著に進んでいることから、FPCに用いる材料には高周波領域、具体的には、周波数1?10GHzの領域での電気信号損失を低減できることが求められる。カバーレイフィルムについても、高周波領域で優れた電気特性(低誘電率(ε)、低誘電正接(tanδ))を示すことが求められる。」 「【0012】 本発明は上記した従来技術の問題点を解決するため、ポリイミドフィルム等のFPCの基板材料に対して優れた接着強度を有し、かつ、周波数1?10GHzの高周波領域での電気特性、具体的には、周波数1?10GHzの領域で低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ)を示すことに加えて、めっき耐性が付与され、熱硬化時のカールの発生が抑制されたカバーレイフィルムを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】」 「【0027】 以下、本発明のカバーレイフィルムについて詳細に説明する。 本発明のカバーレイフィルムは、有機フィルムの片面に接着層が形成された二層構造のカバーレイフィルムである。 【0028】 [有機フィルム] 本発明のカバーレイフィルムにおける有機フィルムは、カバーレイフィルムにめっき耐性を付与する保護被覆としての機能を有する。 上述したように、FPCに接着する際の回路の埋込み性が良好であるためには、カバーレイフィルムは、FPCとの熱圧着時において、流動性が高いことが好ましい。 しかしながら、FPCとの熱圧着時において、カバーレイフィルムの流動性が高いと、カバーレイフィルムの端部で薄膜化が起こり、プレス面表面のカバーレイフィルムの薄膜化した部分に対応する位置に、微細な凸部が存在すると、カバーレイフィルムに凹部が形成されめっき工程時に電荷の集中により孔が形成されてしまうことがある。そして、この孔を通じて、めっき工程後の洗浄工程時にめっき洗浄液が浸入すると、FPCの銅配線の黒色化(酸化)、あるいは白化(剥離)を引き起こし、回路の信頼性低下につながってしまう。 本発明のカバーレイフィルムは、FPCに接着する際の回路の埋込み性を、FPCとの熱圧着時において、流動性が高い接着層で達成する一方で、該接着層を片面に形成した有機フィルムにより、めっき耐性を付与する。 このため、本発明における有機フィルムは、FPCとの熱圧着時において、接着層にめっき処理不良につながるような凹部を形成しないことが求められる。 これを達成するため、本発明における有機フィルムには、接着層の熱硬化温度より高い融点を有するものを用いる。融点を持たない樹脂については、例えば接着層の硬化温度よりガラス転移温度が高いものを用いる。有機フィルムが、接着層の熱硬化温度より高い融点を有していれば、FPCとの熱圧着時において、接着層に凹部が形成されることがなく、カバーレイフィルムへの孔の形成が防止される。この結果、めっき処理時のめっき耐性が付与される。 なお、詳しくは後述するが、接着層の熱硬化温度は180?210℃である。 【0029】 本発明のカバーレイフィルムに対する要求特性として、周波数1?10GHzの領域において、低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ)である点がある。具体的には、FPCとの接着後、すなわち、接着層の熱硬化後に、周波数1?10GHzの領域において、誘電率(ε)が3.5以下であり、誘電正接(tanδ)が0.02以下であることが求められる。 このため、有機フィルムについても、周波数1?10GHzの領域おいて、低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ)であることが求められる。具体的には、周波数1?10GHzの領域において、誘電率(ε)が4.0以下であり、誘電正接(tanδ)が0.02以下であることが求められる。 なお、接着層については、周波数1?10GHzの領域において、該接着層の熱硬化後の誘電率(ε)が2.5以下であり、誘電正接(tanδ)が0.004以下であることが求められる。 【0030】 本発明における有機フィルムは、上述した融点に関する条件、ならびに、誘電率および誘電正接に関する条件を満たすものから選択される。 これらを満たす有機フィルムの具体例としては、液晶ポリマー(LCP)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いて作製された有機フィルムが挙げられる。LCPやPTFEは、周波数1?10GHzの高周波領域の電気特性に優れているので、LCPやPTFEを用いて作製された有機フィルムは、周波数1?10GHzの領域において、誘電率(ε)が3.0以下、誘電正接(tanδ)が0.0030以下となる。 また、これらを満たす有機フィルムの別の具体例としては、ポリイミド(PI)やポリエチレンナフタレート(PEN)を用いて作製された、周波数1?10GHzの領域における誘電率(ε)が4.0以下、誘電正接(tanδ)が0.02以下の有機フィルムがある。 これらPIやPENを用いて作製された有機フィルムについては、フィルムのグレードを適宜選択することで、周波数1?10GHzの領域における誘電率(ε)が4.0以下、誘電正接(tanδ)が0.02以下となる。また、PIやPENのグレードやフィルムの厚さによっては、周波数1?10GHzの領域における誘電率を3.0以下、誘電正接を0.006以下にすることができる。 したがって、使用する有機フィルムの材質に応じて、フィルムの厚さを選択することになる。ここで、LCPやPTFEは上述のように高周波領域の電気特性に優れているため、厚さは特に限定されないが、カバーレイフィルムの薄膜化の観点から厚さが1?100μmであることが好ましく、1?50μmであることがより好ましく、1?30μmであることがさらに好ましい。 PIやPENを用いて作製された有機フィルムの場合、そのグレードにもよるが、厚さが0.5?100μmであることが好ましく、0.5?50μmであることがより好まし く、0.5?30μmであることがさらに好ましい。」 「【0032】 [接着層] 上述したように、本発明のカバーレイフィルムは、FPCに接着する際の回路の埋込み性を良好にするため、FPCとの熱圧着時において、接着層の流動性が高いことが求められる。後述するように、本発明のカバーレイフィルムの仮圧着時の温度は、100?150℃、加熱硬化時の温度は150?210℃である。本発明のカバーレイフィルムにおいて、150?210℃の温度域における接着層の最低溶融粘度が2000Pa・s以上10000Pa・s以下であることが好ましい。ここで、最低溶融粘度とは、接着層を加熱した際に、該接着層が溶融した際の粘度の最低値である。 【0033】 本発明のカバーレイフィルムに対する要求特性として、周波数1?10GHzの領域において、低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ)である点がある。具体的には、FPCとの接着後、すなわち、接着層の加熱硬化後に、周波数1?10GHzの領域において、誘電率(ε)が3.5以下であり、誘電正接(tanδ)が0.02以下であることが求められる。 このため、本発明における接着層は、その硬化物が、周波数1?10GHzの領域において、誘電率(ε)が2.5以下であり、誘電正接(tanδ)が0.004以下であることが求められる。 【0034】 上記した最低溶融粘度に関する条件、ならびに、誘電率および誘電正接に関する条件を満たすため、本発明における接着層は、以下に示す成分(A)?(E)を必須成分とする。 【0035】 (A)下記一般式(1)で示されるビニル化合物、 」 「【0040】 成分(B)ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体 成分(C):ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)ブロック共重合体 本発明のカバーレイフィルムにおいて、成分(B),(C)は、接着層の高周波での優れた電気特性(周波数1?10GHzの領域での低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ))、および、耐熱性に寄与する。 これらのうち、成分(B)は、ポリ(エチレン/ブチレン)部分の結晶性が高いため耐熱性が高く、接着層に耐熱性を付与する。一方、成分(C)は、ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)部分の結晶性が、成分(B)の対応する部分(ポリ(エチレン/ブチレン)部分)に比べて低いため、成分(B)より基材に対する接着強度が高い。 このため、本発明では、接着層において、成分(B),(C)を以下に述べる特定の配合割合で用いる。」 「【0042】 成分(D):エポキシ樹脂 本発明のカバーレイフィルムにおいて、成分(D)はカバーレイフィルムの接着層の熱硬化性、および、接着性に寄与する。 本発明のカバーレイフィルムの接着層は、成分(A)?(E)の合計質量に対して、成分(D)を1?10質量%含有する。 上記成分(D)が1質量%未満だと、カバーレイフィルムの接着性が不十分となる等の問題がある。 上記成分(D)が10質量%超だと、相溶性が悪化し、また、所望する誘電正接(tanδ)値を得られなくなる。また、カバーレイフィルムの接着時のしみ出し量が過剰に大きくなる。さらに、全成分中に占める成分(D)の割合が多くなるため、耐熱性に劣る成分(D)の特性がカバーレイフィルムの接着層全体に影響する。そのため、カバーレイフィルムの接着層の耐熱性や硬化性が低下するおそれがある。 本発明のカバーレイフィルムは、成分(A)?(E)の合計質量に対して、成分(D)を1?5質量%含有することがより好ましい。」 「【0045】 成分(E):ビスマレイミド 本発明のカバーレイフィルムにおいて、成分(E)のビスマレイミドは、成分(A)のビニル化合物と作用し、カバーレイフィルムの接着層の加熱硬化をより低い温度(例えば、通常200℃で硬化させるものを150℃で硬化)で進行させることができる。 本発明において、ビスマレイミドを使用するのは、誘電特性の保持、接着強度の付与及び高Tg(ガラス転移点)化の観点から好ましいからである。」 「【0049】 本発明のカバーレイフィルムの接着層は、上記成分(A)?(E)に加えて、成分(F)として、硬化触媒を含有してもよい。この硬化触媒は、成分(D)のエポキシ樹脂の硬化触媒として作用する。 成分(F)として、硬化触媒を含有する場合、成分(A)?(F)の合計質量に対して、0.001?5質量%含有することが好ましい。 成分(F)の含有量が0.001質量%未満だと、カバーレイフィルムの接着層の短時間での熱硬化ができないため、接着性が不十分となる等の問題がある。 一方、成分(F)の含有量が5質量%超だと、硬化触媒が接着層の形成後に析出する等の問題がある。 成分(F)として、硬化触媒を含有する場合、成分(A)?(F)の合計質量に対して、0.01?3質量%含有することがより好ましい。 【0050】 成分(F)として使用する硬化触媒は、エポキシ樹脂の硬化触媒であれば、特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、イミダゾール系硬化触媒、アミン系硬化触媒、リン系硬化触媒等が挙げられる。」 「【0067】 次に、本発明のカバーレイフィルムの使用手順を示す。 本発明のカバーレイフィルムを、主面に配線パターンが形成された配線付樹脂基板の所定の位置、すなわち、配線パターンが形成された側の、カバーレイフィルムで被覆する位置に、該カバーレイフィルムの接着層が対向するように配置した後、所定温度及び所定時間熱圧着させればよい。 熱圧着のうち仮圧着時の温度は好ましくは100?150℃である。仮圧着の時間は好ましくは0.5?10分である。 加熱硬化の温度は、好ましくは150?210℃である。加熱硬化時間は、好ましくは30?120分である。 【0068】 本発明のフレキシブルプリント配線板(FPC)は、主面に配線パターンが形成された配線付樹脂基板の配線パターン側に、本発明のカバーレイフィルムを、接着層が対向するように配置し、熱圧着することで、配線付樹脂基板とカバーレイフィルムとを一体化したものである。 本発明のFPCに使用する樹脂基板も、高周波領域の電気特性が優れていること、すなわち、周波数1?10GHzの領域おいて、低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ)であることが好ましい。このような樹脂基板の具体例としては、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、および、ポリエチレンナフタレ-ト(PEN)のいずれかを主成分とする樹脂基板が挙げられる。」 「【0087】 (実施例1?12、比較例1?9) サンプル作成と測定方法(接着性フィルムのみ) 本発明のカバーレイフィルムの接着層の代わりに、該接着層と同一組成の接着性フィルムを作製して、その物性を評価した。 各成分を下記表に示す配合割合(質量%)になるように、計量配合した後、それらを70℃に加温された反応釜に投入し、回転数300rpmで回転させながら、常圧混合を3時間行った。硬化剤を加える場合には、冷却後に硬化剤を加えた。 このようにして得られた樹脂組成物を含むワニスを支持体(離型処理をほどこしたPETフィルム)の片面に塗布し、100℃で乾燥させることにより、支持体付の接着性フィルムを得た。 なお、表中の略号はそれぞれ以下を表わす。 成分(A) OPE2200:オリゴフェニレンエーテル(上記一般式(1)で示されるビニル化合物)(Mn=2200)、三菱ガス化学株式会社製 成分(B) タフテックH1052:ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体(スチレン量20%)、旭化成株式会社製 タフテックH1031:ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体(スチレン量30%)、旭化成株式会社製 成分(C) セプトン4044:ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)ブロック共重合体(スチレン量32%)、株式会社クラレ製 成分(B´) TR2003:ポリスチレン-ポリブタジエンブロック共重合体(スチレン/ブタジエン=43/57)、JSR株式会社製 成分(D) NC3000H:ビフェニル型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製 成分(E) BMI-70:ビスマレイミド、ケイ・アイ化成株式会社製 成分(F) C11ZCN:1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、四国化成工業株式会社製 2E4MZ:2-エチル-4-メチルイミダゾール、四国化成工業株式会社製 TPP-MK:テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、北興化学工業株式会社製」 「【0089】 【0090】 」 「【0094】 サンプル作成と測定方法(接着層の熱硬化温度より、高い融点を有する有機フィルムの片面に接着層が形成された2層構造のカバーレイフィルム。) 上記と同様の手順で得られた樹脂組成物(実施例5)を含むワニスを、樹脂組成物の熱硬化温度より高い融点を有する有機フィルムの片面に塗布し、100℃で乾燥させることにより、有機フィルムの片面に接着層が形成された2層構造のカバーレイフィルムを得た。 また、別の方法として、上記と同様の手順で得られた支持体付の接着性フィルム(実施例5)を、該接着性フィルムの熱硬化温度より高い融点を有する有機フィルムの片面に120℃で仮圧着することにより、有機フィルムの片面に接着層が形成された2層構造のカバーレイフィルムを得た。 なお、有機フィルムとしては、LCPフィルムとして、ベクスター(登録商標)CT-Z(株式会社クラレ製)、厚み25μmを使用した。該LCPフィルムの融点は335℃であった。また、接着層の厚さは15μmと、25μmの2通りとした。 作製した2層構造のカバーレイフィルムについて以下の評価を実施した。 誘電率(ε)、誘電正接(tanδ):2層構造のカバーレイフィルムを200℃で加熱硬化させ、該2層構造のカバーレイフィルムから試験片(40±0.5mm×100±2mm)を切り出し、厚みを測定した。試験片を長さ100mm、直径2mm以下の筒状に丸めて、空洞共振器摂動法(10GHz)にて、誘電率(ε)および誘電正接(tanδ)を測定した。 ピール強度:2層構造のカバーレイフィルムの接着層に銅箔光沢面を貼りあわせ、プレス機で熱圧着させた(200℃60min、10kgf)。この試験片を10mm幅にカットし、オートグラフで銅箔を引きはがし、ピール強度を測定した。測定結果について、各N=5の平均値を計算した。 クロスカット接着性:2層構造のカバーレイフィルムの接着層に、銅箔光沢面を貼りあわせ、プレス機で熱圧着させた(200℃60min、10kgf)。該カバーレイフィルムの有機フィルム(LCPフィルム)面に1mm間隔で格子状に切り込みをいれた時にできる100マス上にテープを貼り、有機フィルム(LCPフィルム)面に対して90°の角度でテープを瞬間的に引き剥がした。そのとき有機フィルム(LCPフィルム)が銅箔光沢面より剥離するか否かを判定した。 【0095】 接着層の厚さが15μmのカバーレイフィルムでは、誘電率(ε)が2.9であり、誘電正接(tanδ)が0.0024であった。ピール強度は6.58N/cmであった。クロスカット接着性評価では剥離は生じなかった。 接着層の厚さが25μmのカバーレイフィルムでは、誘電率(ε)が2.8であり、誘電正接(tanδ)が0.0026であった。ピール強度は6.77N/cmであった。クロスカット接着性評価では剥離は生じなかった。 これらの結果から、接着層の厚さを変えて作製した2層構造のカバーレイフィルムは、いずれも、高周波領域の電気特性(誘電率ε、誘電正接tanδ)、ピール強度、クロスカット接着性が優れていることが確認された。 なお、LCPフィルム単独での誘電率(ε)は3.2であり、誘電正接(tanδ)が0.0022であった。また、接着層(接着性フィルム)単独(厚さ25μm)での誘電率(ε)は2.3であり、誘電正接(tanδ)が0.0030であった。」 「【0099】 上記の手順で得られた樹脂基板の両面に、粗化面を内側にして銅箔を貼りあわせ、プレス機で熱圧着させた(200℃60min、10kgf)。熱圧着させた銅箔の片面もしくは両面をエッチングして、配線パターンを描き、配線付樹脂基板を作製した。この配線付樹脂基板の配線パターン側に、上記の手順で得られた2層構造のカバーレイフィルムを接着層が対向するように配置し、プレス機で熱圧着させて(200℃60min、10kgf)、プリント配線版を作製した。」 イ 上記記載から、引用文献2には、フレキシブルプリント配線板について、以下の技術的事項が記載されている。 (ア)段落【0068】によれば、「フレキシブルプリント配線板(FPC)は、主面に配線パターンが形成された配線付樹脂基板の配線パターン側に、」「カバーレイフィルムを、接着層が対向するように配置」したものである。 (イ)段落【0068】によれば、「樹脂基板」「としては、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)」「のいずれかを主成分とする樹脂基板が挙げられる」ものである。 (ウ)段落【0027】によれば、「カバーレイフィルムは、有機フィルムの片面に接着層が形成された二層構造」である。 (エ)段落【0028】によれば、「接着層の熱硬化温度は180?210℃」である。 (オ)段落【0094】によれば、「有機フィルムとしては、LCPフィルムとして、ベクスター(登録商標)CT-Z(株式会社クラレ製)」「を使用し」、当該LCPフィルムの「融点は335℃」である。また、段落【0095】によれば、当該LCPフィルムの「誘電率(ε)は3.2であり、誘電正接(tanδ)が0.0022」である。 (カ)段落【0087】によれば、「各成分を下記表に示す配合割合(質量%)になるように、計量配合し」、「得られた樹脂組成物を含むワニスを支持体(離型処理をほどこしたPETフィルム)の片面に塗布し、」「支持体付の接着性フィルムを得」、「カバーレイフィルムの接着層の代わりに、該接着層と同一組成の接着性フィルムを作製して、その物性を評価」している。 してみると、段落【0089】及び【0090】の表1及び2に示された実施例の樹脂組成物は接着層の成分であるといえる。 また、段落【0087】によれば、表中の各成分は、「成分(A)OPE2200:オリゴフェニレンエーテル」「(Mn=2200)、三菱ガス化学株式会社製」、「成分(B)タフテックH1052:ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体(スチレン量20%)、旭化成株式会社製」、「成分(C)セプトン4044:ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)ブロック共重合体(スチレン量32%)、株式会社クラレ製」、「成分(D)NC3000H:ビフェニル型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製」、「成分(E)BMI-70:ビスマレイミド、ケイ・アイ化成株式会社製」、「成分(F)C11ZCN:1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、四国化成工業株式会社製」である。そして、段落【0090】の【表2】によれば、実施例8は「成分(A)OPE2St-2200が31.4%、成分(B)タフテックH1052が32.3%、成分(C)セプトン4044が21.5%、成分(D)NC3000Hが2.0%、成分(E)BMI-70が12.6%、成分(F)C11ZCNが0.1%であり、ε(10GHz)2.32、tanδ(10GHz)0.0021」である。 してみると、実施例8は、接着層として「OPE2200:オリゴフェニレンエーテル(Mn=2200)三菱ガス化学株式会社製が31.4%、タフテックH1052:ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体(スチレン量20%)旭化成株式会社製が32.3%、セプトン4044:ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)ブロック共重合体(スチレン量32%)株式会社クラレ製が21.5%、NC3000H:ビフェニル型エポキシ樹脂日本化薬株式会社製が2.0%、BMI-70:ビスマレイミドケイ・アイ化成株式会社製が12.6%、C11ZCN:1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール四国化成工業株式会社製が0.1%であり、ε(10GHz)が2.32、tanδ(10GHz)が0.0021の樹脂組成物」を使用したものである。 (キ)段落【0094】によれば、得られた樹脂組成物と有機フィルムとしてLCPフィルムであるベクスター(登録商標)CT-Z(株式会社クラレ製)を用いてカバーレイフィルムを得ることにより、「樹脂組成物の熱硬化温度より高い融点を有する有機フィルムの片面に」「接着層が形成された」「カバーレイフィルム」とする。 (ク)段落【0003】、【0005】によれば、「フレキシブルプリント配線板」は、「周波数1?10GHzの領域での電気信号損失を低減できる」ものである。 ウ 上記技術的事項を総合勘案すると、実施例8に記載された樹脂組成物により接着層を形成したフレキシブルプリント配線板として、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「主面に配線パターンが形成された配線付樹脂基板の配線パターン側に、カバーレイフィルムを、接着層が対向するように配置したフレキシブルプリント配線板(FPC)において、 樹脂基板としては、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のいずれかを主成分とする樹脂基板であり、 カバーレイフィルムは、有機フィルムの片面に接着層が形成された二層構造であり、 接着層の熱硬化温度は180?210℃であり、 有機フィルムとしては、LCPフィルムとして、ベクスター(登録商標)CT-Z(株式会社クラレ製)(融点は335℃、誘電率εは3.2、誘電正接tanδは0.0022)を使用し、 接着層として、OPE2200:オリゴフェニレンエーテル(Mn=2200)、三菱ガス化学株式会社製が31.4%、タフテックH1052:ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体(スチレン量20%)、旭化成株式会社製が32.3%、セプトン4044:ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)ブロック共重合体(スチレン量32%)、株式会社クラレ製が21.5%、NC3000H:ビフェニル型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製が2.0%、BMI-70:ビスマレイミド、ケイ・アイ化成株式会社製が12.6%、C11ZCN:1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、四国化成工業株式会社製が0.1%であり、εが2.32、tanδが0.0021の樹脂組成物を使用することにより、 該樹脂組成物の熱硬化温度より高い融点を有する有機フィルムの片面に接着層が形成されたカバーレイフィルムとした、 周波数1?10GHzの領域での電気信号損失を低減できるフレキシブルプリント配線板。」 (2)特開2015-2271号公報(特許異議申立人服部昇提出の資料2、特許異議申立人末久真弘提出の甲第8号証) ア 令和2年12月15日付け取消理由通知(決定の予告)で引用された特開2015-2271号公報(取消理由通知の合わせて、以下「引用文献4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。 「【0001】 本発明は、フレキシブルプリント配線板及び電子部品に関する。 【背景技術】 【0002】 フレキシブルプリント配線板は、高周波信号、デジタル信号等を伝送するものとして用いられている。このようなフレキシブルプリント配線板としては、ノイズ防止やクロストーク防止等のために、ストリップライン構造やマイクロストリップ構造等を有するシールド機能付きフレキシブルプリント配線板が用いられている。このストリップライン構造及びマイクロストリップ構造は、誘電層の一方の面側に信号線が配設され、誘電層の他方の面側にグランド層が積層される構造である。 【0003】 ところで、上記シールド機能付きフレキシブルプリント配線板の薄型化を図るべく誘電層を薄くする場合には、インピーダンスの整合性のため寄生キャパシタンスを一定に保つ必要があるが、寄生キャパシタンスを一定に保つために信号線の幅を狭くすると、信号線における伝送損失が大きくなる。このため、グランド層に開口を設けることで、グランド層と信号線との対向する面積を少なくすることで、寄生キャパシタンスを一定に保つことが提案されている(特開2000-77802号公報参考)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2000-77802号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかし、上述のようにグランド層に開口を設けた場合には、この開口の存在によってシールド効果が不十分となるおそれがあるという不都合がある。また、十分なシールド効果を得るためにグランド層をベタ状とする場合、上述のように信号線の伝送損失の増加を抑制するためには、誘電層に一定の厚みを持たせる必要があり、誘電層が一定の厚みを有する場合には、誘電層の側面におけるシールド効果が不十分となるおそれがある。 【0006】 本発明は、上記のような不都合に鑑みてなされたものであり、インピーダンスの整合性及び伝送損失を維持しつつ高いシールド効果を奏することのできるフレキシブルプリント配線板及びこれを用いた電子部品を提供することを課題とする。」 「【0011】 [本発明の実施形態の説明] 本発明に係るフレキシブルプリント配線板は、 可撓性を有する誘電層と、この誘電層の一方の面側に積層される信号線パターン層と、誘電層の他方の面側に積層されるグランド層とを備えるシールド機能付きフレキシブルプリント配線板であって、 上記信号線パターン層が、信号線と、この信号線を囲むよう連続して配設されるシールド配線とを有するフレキシブルプリント配線板である。 【0012】 当該フレキシブルプリント配線板は、上記誘電層の他方の面側に積層されるグランド層がシールド機能を有するとともに、信号線パターン層のシールド配線層もシールド機能を有する。このように当該フレキシブルプリント配線板は、信号線と同一の層(信号線パターン層)に配設されたシールド層によってもシールド機能が得られるので、当該フレキシブルプリント配線板の周縁方向においてもシールド効果を奏する。特に、このシールド配線は、不連続ではなく信号線を囲むよう連続して設けられているので、シールド配線内における導通に優れ、このため上記周縁方向のシールド効果が高い。このため、当該フレキシブルプリント配線板は、インピーダンスの整合性及び伝送損失を維持しつつ、高いシールド効果を奏することができる。 【0013】 上記グランド層はベタ状に形成されているとよい。これにより、当該フレキシブルプリント配線板は、上記他方の面側(誘電層に対してグランド層の積層側)のシールド効果が高い。なお、「ベタ状」とは、平面視で少なくとも信号線と重なる領域において開口を実質的に有さないような状態を意味する。なお、「開口を実質的に有さない」とは、開口が完全に存在しない場合のほか、気泡抜き等のような微小な穴が存在する場合等を含む。 【0014】 上述のようにグランド層がベタ状に形成される場合には、上記信号線と上記グランド層との厚み方向の平均間隔(H)が25μm以上200μm以下であり、上記信号線の平均幅(W1)が25μm以上500μm以下であり、上記誘電層の見かけ誘電率が2.0以上4.0以下であり、上記信号線及びシールド配線の平均厚み(T1)が5μm以上40μm以下であり、上記信号線とシールド配線との幅方向の平均間隔(W2)が50μm以上1000μm以下であるとよい。」 「【0021】 <フレキシブルプリント配線板> 図1のフレキシブルプリント配線板1は、可撓性を有する誘電層2と、この誘電層2の一方の面に積層される信号線パターン層3と、誘電層2の他方の面側に積層されるグランド層4とを備えている。なお、「一方の面側」とは図1における上方を意味し、「他方の面側」とは図1における下方を意味するが、以下の本実施形態の説明において、説明の便宜上、「一方の面」を「裏面」、「他方の面」を「表面」として説明する。 【0022】 当該フレキシブルプリント配線板1は、帯状のシート体から構成されている。なお、図4?6において模式的に平面視長方形状のものを図示しているのが、当該フレキシブルプリント配線板1にあっては、使用される場所等に応じて形状は適宜設計変更される。 【0023】 当該フレキシブルプリント配線板1の具体的構成を説明すると、当該フレキシブルプリント配線板1は、第一絶縁フィルム6と上記信号線パターン層3とが積層されて構成される第一積層体7、第二絶縁フィルム8と上記グランド層4とが積層されて構成される第二積層体9、及びこの第一積層体7と第二積層体9とを接着する接着剤層10を備えている。そして、上記信号線パターン層3は、第一絶縁フィルム6の裏面に積層され、上記グランド層4は、第二絶縁フィルム8の裏面に積層されている。このため、当該フレキシブルプリント配線板1において、上記誘電層2は、上記第二絶縁フィルム8及び接着剤層10の一部(信号線パターン層3よりも裏面側の部分)から構成されている。また、当該フレキシブルプリント配線板1は、第一積層体7の表面側及び第二積層体9の裏面側に積層される一対のカバーレイ11をさらに備えている。 【0024】 (第一積層体) 上記第一積層体7の信号線パターン層3は、直線状の信号線12と、図5に示すように信号線12を囲むよう連続して配設されるシールド配線13とを有している。また、上記第一積層体7は、第一絶縁フィルム6における表面(信号線パターン層3を積層した面の反対側の面)かつ平面視で上記シールド配線13と重複する領域に積層される第二シールド配線14をさらに有している。」 「【0028】 上記信号線12及びシールド配線13の平均厚み(T1)は特に限定されるものではないが、この平均厚み(T1)の下限としては、5μmが好ましく、12μmがより好ましい。一方、平均厚み(T1)の上限としては、40μmが好ましく、33μmがより好ましく、25μmがさらに好ましい。上記信号線12の平均厚み(T1)が上記下限未満であると、信号線12における伝送損失が大きくなり過ぎるおそれがある。また、上記シールド配線13の平均厚み(T1)が上記下限未満であると、シールド配線13自体の導通性が十分に得られず、シールド配線13によるシールド効果が十分に得られなくなるおそれがある。逆に、上記信号線12及びシールド配線13の平均厚み(T1)が上記上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1のフレキシブル性が低下し過ぎるおそれがあるとともに、シールド配線13が寄生キャパシタンスに影響を与え、インピーダンスの整合性が得られ難くなるおそれがある。 【0029】 なお、信号線12は、平面方向の任意の箇所の厚みが略均一であることが好ましく、同様に、シールド配線13は、平面方向の任意の箇所の厚みが略均一であることが好ましい。なお、「略均一」とは、上記平均厚み(T1)に対して誤差が40%以内であることを意味する。 【0030】 上記信号線12とシールド配線13(の上記長手方向部位13a)との幅方向の平均間隔(W2)は、特に限定されるものではないが、この平均間隔(W2)の下限としては、50μmが好ましく、100μmがより好ましく、200μmがさらに好ましい。一方、平均間隔(W2)の上限としては、1000μmが好ましく、600μmがより好ましく、400μmがさらに好ましい。上記平均間隔(W2)が上記下限未満であると、シールド配線13が寄生キャパシタンスに影響を与え、インピーダンスの整合性が得られ難くなるおそれがある。逆に、上記平均間隔(W2)が上記「上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1が幅方向に大きくなり過ぎるおそれがある。 【0031】 上記シールド配線13の平均幅は、特に限定されるものではないが、この平均幅の下限としては、100μmが好ましく、200μmがより好ましい。一方、平均幅の上限としては、500μmが好ましく、400μmがより好ましい。上記平均幅が上記下限未満であると、シールド配線13自体の導通性が十分に得られず、シールド配線13によるシールド効果が十分に得られなくなるおそれがある。逆に、上記平均幅が上記上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1が幅方向に大きくなり過ぎるおそれがある。 【0032】 上記第一絶縁フィルム6の平均厚みは、特に限定されるものではなく、第一絶縁フィルム6の平均厚みの下限としては、40μmが好ましく、50μmがより好ましい。一方、第一絶縁フィルム6の平均厚みの上限としては、100μmが好ましく、90μmがより好ましい。上記第一絶縁フィルム6の平均厚みが上記下限未満であると、第一絶縁フィルム6の強度等が劣り、信号線12等の積層工程が困難となるおそれがある。逆に、上記第一絶縁フィルム6の平均厚みが上記上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1のフレキシブル性が低下し過ぎるおそれがある。」 「【0035】 また、第一積層体7は、シールド配線13及び第二シールド配線14の配設領域においても表裏方向に貫通するスルーホール16を有している。このため、このスルーホール16の内壁をメッキする、またはスルーホール16に導電材料を充填することで所望の表裏方向の導通が得られることになる。なお、スルーホール16はビアホールで形成されていてもよい。 【0036】 このスルーホール16の配設箇所、個数、大きさ等は、特に限定されるものではなく、適宜設計可能である。なお、本実施形態にあっては、シールド配線13及び第二シールド配線14の配設領域において信号線12の伝送方向に沿って複数の上記スルーホール16が配設されている。この信号線12の伝送方向に隣接するスルーホール16同士の間隔L(図4参照)は、特に限定されるものではないが、1cm以内であることが好ましい。これにより、シールド配線13によるシールド効果をより向上させることができる。また、上記スルーホール16の内径は特に限定されるものではないが、例えば50μm以上500μm以下が好ましい。同様に、入出力部15の内径は特に限定されるものではないが、例えば50μm以上500μm以下が好ましい。」 「【0048】 (第二積層体) 第二積層体9は、上述のように第二絶縁フィルム8と、この第二絶縁フィルム8の裏面に積層されるグランド層4とを有している(図3参照)。このグランド層4は、網目状パターン等とすることもできるが、平面視で少なくとも信号線と重なる領域において開口を実質的に有さないベタ状に形成されている(図6参照)。なお、第一積層体9で説明したスルーホール16は、第二積層体9も貫通し、このスルーホール16によってグランド層4はシールド配線13及び第二シールド配線14と導通している。 【0049】 上記第二絶縁フィルム8は、上記第一絶縁フィルム6と同様の材料によって形成することができるため、第二絶縁フィルム8の材料の説明は省略する。 【0050】 第二絶縁フィルム8の平均厚みは特に限定されるものではないが、第二絶縁フィルム8の平均厚みの下限としては、15μmが好ましく、40μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。一方、第一絶縁フィルム6(当審注:「第一絶縁フィルム6」は「第二絶縁フィルム8」の誤記と認める。)の平均厚みの上限としては、190μmが好ましく、100μmがより好ましく、90μmがさらに好ましい。第二絶縁フィルム8の平均厚みが上記下限未満であると、寄生キャパシタンスが大きくなり過ぎ、インピーダンスの整合性が得られなくなるおそれがある。逆に、第二絶縁フィルム8の平均厚みが上記上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1のフレキシブル性が低下し過ぎるおそれがある。」 「【0071】 さらに、第二シールド配線は本発明の必須の構成要件ではなく、また第二シールド配線 を設ける場合にあっても上記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば第二シールド配線を上記グランド配線と同様にベタ状に形成することも可能である。また、上記実施形態のような一対の第二シールド配線を架け渡すよう第二シールド配線及び第一絶縁フィルムの表面に配設される導電性のブリッジ状やメッシュ状の部材を第二積層体が有するよう設計変更することも可能である。」 「 」 イ 上記記載から、引用文献4には、フレキシブルプリント配線板について、以下の技術的事項が記載されている。 (ア)段落【0002】によれば、引用文献4に記載された「フレキシブルプリント配線板は、高周波信号」「を伝送するものとして用いられている」ものである。 (イ)段落【0021】によれば、「フレキシブルプリント配線板1は、可撓性を有する誘電層2と、この誘電層2の一方の面に積層される信号線パターン層3と、誘電層2の他方の面側に積層されるグランド層4とを備え」ている。 (ウ)段落【0023】によれば、「信号線パターン層3は、第一絶縁フィルム6の裏面に積層され」ている。 (エ)段落【0024】によれば、「信号線パターン層3は、直線状の信号線12と、」「信号線12を囲むよう連続して配設されるシールド配線13とを有し」、「第一絶縁フィルム6における表面(信号線パターン層3を積層した面の反対側の面)に積層される第二シールド配線14をさらに有し」ている。 (オ)段落【0028】によれば、「信号線12及びシールド配線13の平均厚み(T1)」「の下限としては、5μm」、「上限としては、40μm」である。 (カ)段落【0035】によれば、「シールド配線13及び第二シールド配線14の配設領域において」「表裏方向に貫通するスルーホール16を有し」、「このスルーホール16の内壁をメッキする、またはスルーホール16に導電材料を充填することで所望の表裏方向の導通が得られる」ものである。 (キ)図1から、スルーホール16は、第二シールド配線14とシールド配線13とグランド層4とを接続することが見てとれる。 (ク)段落【0036】によれば、「信号線12の伝送方向に沿って複数の上記スルーホール16が配設され」、「隣接するスルーホール16同士の間隔L」は、「1cm以内」である。 (ケ)段落【0048】によれば、「グランド層4は、平面視で少なくとも信号線と重なる領域において開口を実質的に有さないベタ状に形成」されている。 (コ)段落【0071】によれば、「第二シールド配線を」「ベタ状に形成」したものである。 ウ 上記技術的事項及び図面の記載を総合勘案すると、引用文献4には、次の技術事項(以下、「引用文献4記載の技術」という。)が記載されている。 「高周波信号を伝送するフレキシブルプリント配線板において、 フレキシブルプリント配線板は、可撓性を有する誘電層と、この誘電層の一方の面に積層される信号線パターン層と、誘電層2の他方の面側に積層されるグランド層とを備え、 信号線パターン層は、第一絶縁フィルムの裏面に積層され、 信号線パターン層は、直線状の信号線と、信号線を囲むよう連続して配設されるシールド配線とを有し、 第一絶縁フィルムにおける表面(信号線パターン層を積層した面の反対側の面)に積層される第二シールド配線をさらに有し、 信号線及びシールド配線の平均厚み(T1)の下限としては、5μm、上限としては、40μmとし、 シールド配線及び第二シールド配線の配設領域において表裏方向に貫通するスルーホールを有し、このスルーホールの内壁をメッキする、またはスルーホールに導電材料を充填することで所望の表裏方向の導通が得られ、 スルーホールは、第二シールド配線とシールド配線とグランド層とを接続し、 信号線の伝送方向に沿って複数のスルーホールが配設され、隣接するスルーホール同士の間隔Lは、1cm以内であり、 グランド層は、平面視で少なくとも信号線と重なる領域において開口を実質的に有さないベタ状に形成され、 第二シールド配線をベタ状に形成」する技術。 2 対比及び判断 (1)本件発明1について 本件発明1と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「樹脂基板」は、「主面に配線パターンが形成」されるものであり、また、「フレキシブルプリント配線板」を構成するから柔軟性を有するのは明らかである。 してみると、引用発明の「樹脂基板」は、本件発明1の一方の面側に導電パターンが積層される「第1樹脂フィルム」に相当し、引用発明の「配線パターン」は、本件発明1の「第1樹脂フィルムの一方の面側に積層される導電パターン」に相当する。 イ 引用発明の「配線付樹脂基板」は、「樹脂基板」の「主面に配線パターンが形成された」ものであるから積層体といい得るものであり、本件発明1の「導電パターン及び第1樹脂フィルムを含む積層体」に相当する。そして、引用発明の「カバーレイフィルム」は、「有機フィルムの片面に接着層が形成された二重構造であり」、「配線付樹脂基板の配線パターン側に」「接着層が対向するように配置」されるものである。つまり、「樹脂基板」、「配線パターン」、「接着層」、「有機フィルム」が順に積層されている構造となっている。 してみると、引用発明の「有機フィルム」は、本件発明1の「導電パターン及び第1樹脂フィルムを含む積層体の一方の面側に配設される第2樹脂フィルム」に相当する。また、引用発明の「接着層」は、本件発明1の「第2樹脂フィルム及び上記積層体間に充填される接着剤層」に相当する。 ウ 引用発明の「フレキシブルプリント配線板」は、本件発明1の「プリント配線板」に相当する。 エ 引用文献2の誘電率は全て無次元で記載されていることから、引用発明の「誘電率ε」、「ε」は「比誘電率」を表しているものと認められる。また、「tanδ」は「誘電正接」である。 ここで、本件発明1の比誘電率と誘電正接は、如何なる測定周波数における値であるのか特定されていない。 してみると、引用発明の「接着層」として使用する「樹脂組成物」が「εが2.32、tanδが0.0021」であることは、本件発明1の「接着剤層の比誘電率が3以下、誘電正接が0.05以下」であることに含まれる。 オ 引用発明は「有機フィルムとしては、LCPフィルムとして、ベクスター(登録商標)CT-Z(株式会社クラレ製)(融点は335℃、誘電率εは3.2、誘電正接tanδは0.0022)を使用」するものである。 そして、上記「エ」のように、引用発明の「接着層」として使用する「樹脂組成物」は、「εが2.32、tanδが0.0021」である。 してみると、引用発明の「接着層」の比誘電率及び誘電正接は「有機フィルム」の比誘電率及び誘電正接よりそれぞれ小さいから、引用発明の「接着層」及び「有機フィルム」は、本件発明1の「接着剤層の比誘電率が」「第2樹脂フィルムの比誘電率より小さく、上記接着剤層の誘電正接が」「第2樹脂フィルムの誘電正接より小さい」ことに相当する構成を備えているといえる。 ただし、本件発明1は「接着剤層の比誘電率が」「第1樹脂フィルム」「の比誘電率より小さく、」「接着剤層の誘電正接が」「第1樹脂フィルム」「の誘電正接より小さい」のに対して、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 カ 引用発明が「樹脂基板としては、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のいずれかを主成分とする樹脂基板であり、」「有機フィルムとしては、LCPフィルムとしてベクスター(登録商標)CT-Z(株式会社クラレ製)(融点は335℃、誘電率εは3.2、誘電正接tanδは0.0022)を使用」することは、樹脂基板(本件発明1の「第1樹脂フィルム」に相当)と有機フィルム(本件発明1の「第2樹脂フィルム」に相当)が共に液晶ポリマーを含んだものであるから、本件発明1の「上記第1樹脂フィルム及び上記第2樹脂フィルムの主成分が」「液晶ポリマー」に相当する構成を備えている。 キ 本件発明1は「上記導電パターンが、信号線と、この信号線の幅方向両側に略平行に配設される一対のシールド配線とを有し、上記導電パターンの平均厚さが1μm以上100μm以下であり、上記第1樹脂フィルムの上記導電パターンと反対の面側に積層される第1グランド層と、上記第2樹脂フィルムの上記第1樹脂フィルムと反対の面側に積層される第2グランド層と、上記一対のシールド配線と上記第1グランド層とを接続するスルーホールとをさらに備え、上記一対のシールド配線と上記第1グランド層及び上記第2グランド層とが電気的に接続されており、上記第1グランド層及び上記第2グランド層が平面視で少なくとも上記信号線と重なる領域において開口を実質的に有さないベタ状に形成されており、上記スルーホールが長手方向に1cm以内の間隔を空けて複数形成されて」いるのに対し、引用発明にはその旨特定されていない点で相違する。 ク 本件の明細書の段落【0020】に「また、『高速伝送』とは信号の周波数が1GHz以上である信号の伝送をいう。」と記載されていることを考慮すると、本件発明1の「高速伝送に用いられる」とは、周波数が1GHz以上である信号の伝送に用いられることである。 してみると、引用発明の「周波数1?10GHzの領域での電気信号損失を低減できるフレキシブルプリント配線板」は、本件発明1の「高速伝送に用いられるプリント配線板」に相当する。 ケ したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。 〈一致点〉 「第1樹脂フィルムと、 この第1樹脂フィルムの一方の面側に積層される導電パターンと、 この導電パターン及び第1樹脂フィルムを含む積層体の一方の面側に配設される第2樹脂フィルムと、 この第2樹脂フィルム及び上記積層体間に充填される接着剤層と を備えるプリント配線板であって、 上記接着剤層の比誘電率が3以下、誘電正接が0.05以下であり、 上記接着剤層の比誘電率が上記第2樹脂フィルムの比誘電率より小さく、上記接着剤層の誘電正接が上記第2樹脂フィルムの誘電正接より小さく、 上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの主成分が液晶ポリマーである、 高速伝送に用いられるプリント配線板。」 〈相違点1〉 本件発明1は「接着剤層の比誘電率が」「第1樹脂フィルム」「の比誘電率より小さく、」「接着剤層の誘電正接が」「第1樹脂フィルム」「の誘電正接より小さい」のに対して、引用発明はその旨特定されていない。 〈相違点2〉 本件発明1は「上記導電パターンが、信号線と、この信号線の幅方向両側に略平行に配設される一対のシールド配線とを有し、上記導電パターンの平均厚さが1μm以上100μm以下であり、上記第1樹脂フィルムの上記導電パターンと反対の面側に積層される第1グランド層と、上記第2樹脂フィルムの上記第1樹脂フィルムと反対の面側に積層される第2グランド層と、上記一対のシールド配線と上記第1グランド層とを接続するスルーホールとをさらに備え、上記一対のシールド配線と上記第1グランド層及び上記第2グランド層とが電気的に接続されており、上記第1グランド層及び上記第2グランド層が平面視で少なくとも上記信号線と重なる領域において開口を実質的に有さないベタ状に形成されており、上記スルーホールが長手方向に1cm以内の間隔を空けて複数形成されて」いるのに対し、引用発明にはその旨特定されていない。 コ 相違点についての検討 (ア)相違点1について 引用発明は、「樹脂基板としては、液晶ポリマー(LPC)」「を主成分とする樹脂基板」を含み、「有機フィルムとしては、LCPフィルム」「を使用」するものであるから、引用発明の「樹脂基板」と「有機フィルム」とはいずれも、液晶ポリマーから成るものを含むものである。また、引用発明には、「樹脂基板」と「有機フィルム」を同一の材料とすることを妨げる格別な事情があるものとは認められない。 そして、高周波信号の伝送に用いるフレキシブルプリント配線板において、配線層を挟む2つのフィルム(引用発明でいう「樹脂基板」と「有機フィルム」)を同一の材料により構成することは、特開2013-151638号公報(特許異議申立人市川正提出の甲第3号証、特許異議申立人横沢聡提出の甲第2号証、特許異議申立人服部昇提出の甲第1号証)の段落【0033】や引用文献4の段落【0049】に記載されるように、本件の特許出願前周知の技術事項である。 してみると、引用発明の「フレキシブルプリント配線板」も高周波信号の伝送に用いることを想定したものであるから、上記周知の技術事項を考慮して、引用発明の液晶ポリマー(LCP)を主成分とする「樹脂基板」として、「有機フィルム」に使用されるLCPフィルムと同一材料の誘電率3.2、誘電正接0.0022のLCPフィルムを用いることは、当業者が容易になし得たことである。そしてその場合、「接着層」の比誘電率と誘電正接が「樹脂基板」の比誘電率と誘電正接より小さい構成を有することとなる。 よって、引用発明及び周知の技術事項に基づき、本件発明1の相違点1に係る構成はとすることは、当業者が容易になし得たことである。 (イ)相違点2について 周波数がGHzとなるような高周波数の信号を伝送する高速伝送用のフレキシブルプリント配線板において、特性インピーダンス、不要輻射の抑制等を考慮し、配線パターン構造をストリップ線路構造やコプレーナ線路構造等の信号線路の周囲にグランド導体を配置した構造とすることは、坂口征治 他5名「FPCにおけるインピーダンス制御の一考察」フジクラ技報第109号(株式会社フジクラ、2005年10月発行)の第27?30頁、特開2010-212300号公報の段落【0042】及び【0045】、特開2009-181804号公報の段落【0077】及び【0078】、特許第5658399号公報の段落【0026】及び【0027】に記載されるように、広く一般的に行われている周知の技術事項である。よって、当該周知の技術事項を考慮すれば、周波数1?10GHzの領域での電気信号損失を低減できるフレキシブルプリント配線板である引用発明の「配線パターン」の構造に、信号線路の周囲にグランド導体を配置した構造とする引用文献4記載の技術を適用することは、当業者が容易になし得たことである。 そして、引用文献4記載の技術は、本件発明1の相違点2に係る「導電パターンが、信号線と、この信号線の幅方向両側に略平行に配設される一対のシールド配線とを有し、上記導電パターンの平均厚さが1μm以上100μm以下であり、」「第1樹脂フィルムの上記導電パターンと反対の面側に積層される第1グランド層と、」「第2樹脂フィルムの上記第1樹脂フィルムと反対の面側に積層される第2グランド層と、上記一対のシールド配線と上記第1グランド層とを接続するスルーホールとをさらに備え、上記一対のシールド配線と上記第1グランド層及び上記第2グランド層とが電気的に接続されており、上記第1グランド層及び上記第2グランド層が平面視で少なくとも上記信号線と重なる領域において開口を実質的に有さないベタ状に形成されており、上記スルーホールが長手方向に1cm以内の間隔を空けて複数形成」される構成に相当するものである。 よって、引用発明に引用文献4記載の技術を適用し、本件発明1の相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (ウ)令和3年2月19日の意見書について a 上記相違点2について 特許権者は、本件発明1の「上記第1グランド層及び上記第2グランド層が平面視で少なくとも上記信号線と重なる領域において開口を実質的に有さないベタ状に形成されていること」を構成要件Hとし、 「相違点1(当審注:本異議の決定の「相違点2」に相当する。)に係る構成のうち構成要件Hに対応する構成は引用文献3及び4には何ら記載されておりません。具体的には、引用文献3の段落0047、図1及び図5の記載からも明らかなように、第1導電層11は、断面視において導電パターン10のシールド部14の厚み方向に対応した位置に設けられており、平面視で伝送部13と重なる領域には形成されていません。引用文献4についても同様です。」(意見書「(2-4-2)ア」第7頁第18-23行)、 「引用文献3の段落0005には、『高いシールド効果を得るべくグランド層をベタ状とする場合、信号線の伝送損失の増加を抑制するためには、誘電体層の厚みを大きくすることで対応する必要がある。このようにして誘電体層の厚みを大きくすると、誘電体層のシールド効果が不十分となるおそれがあり、特に誘電体層の側面におけるシールド効果が低くなりやすい。また、誘電層の厚みを大きくすることは、薄型化の要請に反する。』と記載されています。引用文献4の段落0005にも同様の記載があります。このように引用文献3及び4ではグランド層をベタ状とすることについて否定的な記載がなされていることからも、相違点1(当審注:本異議の決定の「相違点2」に相当する。)に係る構成が引用文献1ないし4から当業者が容易に想到し得るものではないといえます。」(意見書「(2-4-2)ア」第8頁第1-10行)、と主張している。 しかしながら、上記「1(2)」に記載したように、引用文献4の段落【0048】、【0071】には、「グランド層4」及び「第二シールド配線」を「平面視で少なくとも信号線と重なる領域において開口を実質的に有さないベタ状に形成」することが記載されている。 そして、引用文献4の段落【0013】に「上記グランド層はベタ状に形成されているとよい。」、段落【0064】に「また、グランド層4をベタ状に形成することで、当該フレキシブルプリント配線板1は、裏面側においても高いシールド効果を奏する。」、段落【0071】に「例えば第二シールド配線を上記グランド配線と同様にベタ状に形成することも可能である。」と、グランド層や第二シールド配線をベタ状とする効果が記載されており、特許権者が主張する引用文献4の段落【0005】の記載がグランド層や第二シールド配線をベタ状とすることを阻害するものとは認められない。 よって、特許権者の主張は採用できない。 b 上記相違点1について 特許権者は、本件発明1の「上記接着剤層の比誘電率が上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの比誘電率より小さく、上記接着剤層の誘電正接が上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの誘電正接より小さいこと」を構成要件Cとし、 「引用文献2の実施例1ないし11には、誘電正接が0.0021から0.0038のものが記載されています。液晶ポリマーの誘電正接2種及び接着剤層の誘電正接11種の中から何らの制約なく自由に組み合わせを選択できると仮定した場合、構成要件Cを満たすのは、22通りの組み合わせのうちわずか1通りです。・・・同様に、引用文献2では、実施例1ないし11において誘電正接が0.0021から0.0038のものが記載されているに過ぎません。・・・これに対して、本件発明1では、接着剤層の誘電正接が樹脂フィルムの誘電正接よりも小さいことによって、接着剤を用いず樹脂フィルム相互を熱圧着する場合、すなわち接着剤の誘電正接が樹脂フィルムの誘電正接と等しい場合よりも高周波信号を伝送する場合の誘電損失を小さくすることができ(段落0066)、構成要件Cを積極的に選択しています。さらに、ストリップライン、マイクロストリップライン、コプレーナーライン、同軸ライン等の高周波伝送路は、伝送路毎に伝送損失を低減できる接着剤層厚さ、樹脂フィルム厚さ、比誘電率、誘電正接の組合せが異なることが当業者の技術常識です。本件発明1の伝送路は、引用文献1ないし4に記載の伝送路とはその構成が相違しており、引用文献1ないし4から本件発明1の構成要件Cに想到することは困難です。」(意見書「(2-4-2)イ」第8頁第28行-第9頁第22行)、と主張している。 しかしながら、まず引用文献2には上記「1(1)」に記載したように、「有機フィルム」の比誘電率が3.2、誘電正接が0.0022、「接着層」の比誘電率が2.32、誘電正接が0.0021のフレキシブルプリント配線板である引用発明が記載されている事実がある。 そして、引用発明は、「接着層」の比誘電率が「有機フィルム」の比誘電率より小さく、「接着層」の誘電正接が「有機フィルム」の誘電正接より小さいものである。また、上記「2(1)コ」に記載したように、引用発明の「樹脂基板」として「有機フィルム」と同一材料のLCPフィルムを用いることは、当業者が容易になし得たことであり、引用発明の「樹脂基板」として「有機フィルム」と同一材料のLCPフィルムを用いたものは、「接着層」の比誘電率が「樹脂基板」の比誘電率より小さく、「接着層」の誘電正接が「樹脂基板」の誘電正接より小さいものである。 したがって、引用文献2に記載された実施例の数に関わりなく、引用発明において構成要件Cの構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 また、引用文献2には、段落【0005】に「FPCに用いる材料には高周波領域、具体的には、周波数1?10GHzの領域での電気信号損失を低減できることが求められる。カバーレイフィルムについても、高周波領域で優れた電気特性(低誘電率(ε)、低誘電正接(tanδ))を示すことが求められる。」、段落【0029】に「カバーレイフィルムに対する要求特性として、周波数1?10GHzの領域において、低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ)である点がある。具体的には、FPCとの接着後、すなわち、接着層の熱硬化後に、周波数1?10GHzの領域において、誘電率(ε)が3.5以下であり、誘電正接(tanδ)が0.02以下であることが求められる。このため、有機フィルムについても、周波数1?10GHzの領域おいて、低誘電率(ε)、および、低誘電正接(tanδ)であることが求められる。具体的には、周波数1?10GHzの領域において、誘電率(ε)が4.0以下であり、誘電正接(tanδ)が0.02以下であることが求められる。なお、接着層については、周波数1?10GHzの領域において、該接着層の熱硬化後の誘電率(ε)が2.5以下であり、誘電正接(tanδ)が0.004以下であることが求められる。」と記載されるように、電気信号損失を低減するために、接着層の比誘電率を有機フィルムの比通電率より小さく、接着層の誘電正接を有機フィルムの誘電正接より小さくすることが示唆されており、構成要件Cを積極的に選択することが、当業者に想起し得ない格別なものであるとは認められない。 そして、本件発明1の伝送路の構造において構成要件Cとすることにより、当業者が想起し得ない格別な効果を奏しているものは認められず、また、本件明細書にそのような作用効果が記載されているものとも認められない。 したがって、特許権者の主張は採用できない。 c 効果の非予測性について 特許権者は、「本件発明1では、薄型化の要請に応えつつ、トレードオフの関係である伝送損失の増加の抑制とシールド効果の向上との両立を図ることができます。・・・本件発明では、この信号線が接する誘電体(第1樹脂フィルム、第2樹脂フィルム及び接着剤層)のうち、信号線と接する面数の多い接着剤層の誘電特性に着目し、接着剤層の比通電率及び誘電正接を、第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの比誘電率及び誘電正接よりも小さくすることにより、高いシールド効果を発揮させつつ、信号線の伝送損失の増加を抑制することを可能にしています。引用文献1ないし4には、伝送損失の増加の抑制とシールド効果の向上との両立を図る際に、誘電体のうち信号線と接する面数の多い接着剤層の誘電特性に着目し、その誘電特性を他の層よりも小さくすることについては何ら記載されていません。」(意見書「(2-4-3)」第10頁第15-28行)、と主張している。 しかしながら、本件の明細書には、段落【0013】に「このように、上記接着剤層の比誘電率が上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの比誘電率より小さく、上記接着剤層の誘電正接が上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの誘電正接より小さいことによって、上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムを熱圧着するよりも誘電損失を小さくすることができる。その結果、高速伝送時の誘電損失がより低減される。」、段落【0064】に「このように、接着剤層5の比誘電率が第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム4の比誘電率よりも小さいことによって、接着剤を用いず第1樹脂フィルム1と第2樹脂フィルム4とを熱圧着する場合と比べても導電パターン2の信号線9により高周波信号を伝送する場合の誘電損失を小さくすることができる。」、段落【0066】に「このように、接着剤層5の誘電正接が第1樹脂フィルム1及び第2樹脂フィルム4の誘電正接よりも小さいことによって、接着剤を用いず第1樹脂フィルム1と第2樹脂フィルム4とを熱圧着する場合と比べても導電パターン2の信号線9により高周波信号を伝送する場合の誘電損失を小さくすることができる。」と記載されており、接着剤層の比通電率及び誘電正接を第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの比誘電率及び誘電正接よりも小さくすることによって、誘電損失を小さくすることができると記載されるのみである。 したがって、本件発明1による効果の主張(高いシールド効果を発揮させつつ、信号線の伝送損失の増加を抑制することを可能にした旨)は、明細書の記載に基づかないものである。 よって、特許権者の主張は採用できない。 (ウ)小活 以上のとおり、本件の請求項1に係る発明は、引用文献2に記載された発明、引用文献4に記載された技術事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)本件発明2及び3について 引用発明における「接着層の熱硬化温度は180?210℃」であり「接着層として、OPE2200:オリゴフェニレンエーテル(Mn=2200)、三菱ガス化学株式会社製が31.4%、タフテックH1052:ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体(スチレン量20%)、旭化成株式会社製が32.3%、セプトン4044:ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)ブロック共重合体(スチレン量32%)、株式会社クラレ製が21.5%」等から成る「樹脂組成物を使用する」ことは、本件発明2の「接着剤層が、250℃以下の硬化温度を有する熱硬化性樹脂を主成分とする」ことに含まれ、また、本件発明3の「熱硬化性樹脂が、変性ポリフェニレンエーテル又はスチレン系樹脂である」ことに相当する。 また、引用文献4には、第一樹脂フィルム6の平均厚を40μmから100μm(【0032】参照)、第二樹脂フィルム8の平均厚みを15μmから190μm(【0050】参照)とすることが記載されており、本件発明2の「上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの平均厚さが5μm以上500μm以下である」ことに含まれる構成が記載されている。 引用発明と引用文献4に記載された技術事項とは共に、高周波信号が伝送されるフレキシブルプリント配線板に関するものであり、引用発明に引用文献4に記載された技術事項を適用することを妨げる格別な事情があるものとは認められない。 したがって、引用発明に引用文献4に記載された技術事項及び周知の技術事項を適用し本件発明2および3に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 よって、本件の請求項2および3に係る発明は、引用文献2に記載された発明、引用文献4に記載された技術事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2および3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (3)本件発明4について 引用発明の「樹脂フィルム」を構成する液晶ポリマー(LCP)のベクスター(登録商標)CT-Z(株式会社クラレ製)の融点は335℃であるから、引用発明の「樹脂フィルム」の融点は、本件発明4の「第2樹脂フィルムの融点が250℃以上である」ことに含まれる。 また、引用発明の「樹脂基板」として「樹脂フィルム」に使用されるLCPフィルムを用いたものは、本件発明4の「第1樹脂フィルム」「の融点が250℃以上である」ことに含まれる。 そして、引用文献4には、信号線12とシールド配線13との幅方向の平均間隔(W2)は、50μmから1000μm(【0030】参照)であることが記載されており、本件発明4の「上記信号線と上記シールド配線との幅方向の平均間隔が50μm以上1000μm以下である」ことに相当する構成が記載されている。 引用発明と引用文献4に記載された技術事項とは共に、高周波信号が伝送されるフレキシブルプリント配線板に関するものであり、引用発明に引用文献4に記載された技術事項を適用することを妨げる格別な事情があるものとは認められない。 したがって、引用発明に引用文献4に記載された技術事項及び周知の技術事項を適用し本件発明4に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 よって、本件の請求項4に係る発明は、引用文献2に記載された発明、引用文献4に記載された技術事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (4)本件発明5について 引用発明の「樹脂フィルム」を構成する液晶ポリマー(LCP)のベクスター(登録商標)CT-Z(株式会社クラレ製)の誘電率(ε)は3.2、誘電正接(tanδ)は0.0022である。したがって、引用発明の「樹脂フィルム」の比誘電率、誘電正接は、本件発明5の「第2樹脂フィルムの比誘電率が4以下、誘電正接が0.05以下である」ことに含まれる。 また、引用発明の「樹脂基板」として「樹脂フィルム」に使用されるLCPフィルムを用いたものは、本件発明5の「第1樹脂フィルム」「の比誘電率が4以下、誘電正接が0.05以下である」ことに含まれる。 したがって、本件の請求項5に係る発明は引用文献2に記載された発明、引用文献4に記載された技術事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (5)本件発明7について 引用発明の「周波数1?10GHzの領域での電気信号損失を低減できるフレキシブルプリント配線板」は、本件発明7の「信号の周波数が1GHz以上である信号の伝送に用いられる」「プリント配線板」に相当する。 したがって、本件の請求項7に係る発明は引用文献2に記載された発明、引用文献4に記載された技術事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第5 むすび 以上のとおり、請求項1ないし5、7に係る発明は、引用文献2に記載された発明、引用文献4に記載された技術事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし5、7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、請求項1ないし5、7に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、請求項6に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人古川興輝、市川正、横沢聡、服部昇、末久真弘による特許異議の申立てについて、請求項6に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 第1樹脂フィルムと、 この第1樹脂フィルムの一方の面側に積層される導電パターンと、 この導電パターン及び第1樹脂フィルムを含む積層体の一方の面側に配設される第2樹脂フィルムと、 この第2樹脂フィルム及び上記積層体間に充填される接着剤層と を備えるプリント配線板であって、 上記接着剤層の比誘電率が3以下、誘電正接が0.05以下であり、 上記接着剤層の比誘電率が上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの比誘電率より小さく、上記接着剤層の誘電正接が上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの誘電正接より小さく、 上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの主成分がフッ素樹脂又は液晶ポリマーであり、 上記導電パターンが、信号線と、この信号線の幅方向両側に略平行に配設される一対のシールド配線とを有し、 上記導電パターンの平均厚さが1μm以上100μm以下であり、 上記第1樹脂フィルムの上記導電パターンと反対の面側に積層される第1グランド層と、 上記第2樹脂フィルムの上記第1樹脂フィルムと反対の面側に積層される第2グランド層と、 上記一対のシールド配線と上記第1グランド層とを接続するスルーホールと をさらに備え、 上記一対のシールド配線と上記第1グランド層及び上記第2グランド層とが電気的に接続されており、 上記第1グランド層及び上記第2グランド層が平面視で少なくとも上記信号線と重なる領域において開口を実質的に有さないベタ状に形成されており、 上記スルーホールが長手方向に1cm以内の間隔を空けて複数形成されており、 高速伝送に用いられるプリント配線板。 【請求項2】 上記接着剤層が、250℃以下の硬化温度を有する熱硬化性樹脂を主成分とし、 上記第1樹脂フィルム及び上記第2樹脂フィルムの平均厚さが5μm以上500μm以下である請求項1に記載のプリント配線板。 【請求項3】 上記熱硬化性樹脂が、変性ポリフェニレンエーテル又はスチレン系樹脂である請求項2に記載のプリント配線板。 【請求項4】 上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの融点が250℃以上であり、 上記信号線と上記シールド配線との幅方向の平均間隔が50μm以上1000μm以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプリント配線板。 【請求項5】 上記第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの比誘電率が4以下、誘電正接が0.05以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプリント配線板。 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 信号の周波数が1GHz以上である信号の伝送に用いられる請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプリント配線板。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2021-06-08 |
出願番号 | 特願2015-111780(P2015-111780) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZAA
(H05K)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 原田 貴志 |
特許庁審判長 |
酒井 朋広 |
特許庁審判官 |
須原 宏光 山田 正文 |
登録日 | 2019-06-14 |
登録番号 | 特許第6537172号(P6537172) |
権利者 | 住友電工プリントサーキット株式会社 |
発明の名称 | プリント配線板 |
代理人 | 天野 一規 |
代理人 | 各務 幸樹 |
代理人 | 藤中 賢一 |
代理人 | 石田 耕治 |
代理人 | 藤中 賢一 |
代理人 | 天野 一規 |
代理人 | 池田 義典 |
代理人 | 小川 博生 |
代理人 | 池田 義典 |
代理人 | 石田 耕治 |
代理人 | 各務 幸樹 |
代理人 | 小川 博生 |