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審決分類 |
審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) A63F |
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管理番号 | 1378792 |
判定請求番号 | 判定2021-600003 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2021-01-28 |
確定日 | 2021-10-15 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第6232528号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | 甲第1号証から甲第11号証に示す、Nintendo Switch又はNintendo Switch Liteに、「ポケットモンスター ソード」又は「ポケットモンスター シールド」をインストールした対戦ゲームシステムは、特許第6232528号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
第1 請求の趣旨 本件判定の請求の趣旨は、甲第1号証から甲第11号証に示す、Nintendo Switch又はNintendo Switch Liteに、「ポケットモンスター ソード」又は「ポケットモンスター シールド」をインストールした対戦ゲームシステム(以下「イ号物件」という。)は、特許第6232528号の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属する、との判定を求めるものと認める。 (当審注:判定請求書の請求の趣旨の欄には「イ号資料1から11に示す、Nintendo Switch又はNintendo Switch Liteに、「ポケットモンスター ソード」又は「ポケットモンスター シールド」をインストールした対戦ゲームシステム(以下「イ号物件」という。)は、特許第6232528号発明の技術的範囲に属する、との判定を求める。」と記載されているところ、令和3年4月13日付けで補正された判定請求書の「6 請求の理由」の「(5)本件特許発明とイ号物件との対比」の欄における本件特許発明に関する記載及び「(6)イ号物件が本件特許発明の技術的範囲に属するとの説明」の欄における本件特許発明に関する記載からみて、請求の趣旨の欄における「特許第6232528号発明」は「特許第6232528号の請求項1に係る発明」の趣旨であり、「イ号資料1から11」は「甲第1号証から甲第11号証」の趣旨であるものと判断し、上記のとおり認める。) 第2 手続の経緯 本件特許第6232528号に係る特許出願は、平成28年7月25日(優先権主張平成27年12月18日)に出願され、平成29年10月27日にその特許権の設定登録がなされたものである。 そして、令和3年1月28日付けで本件判定請求がなされた。当審は、判定請求書の14頁の間接侵害に関する記載の趣旨についての釈明、及び被請求人がイ号物件を現に実施し、又は実施していたことについての釈明を求めて、同年3月9日付けで審尋するとともに、判定請求書の4頁ないし9頁の記載ではイ号物件が不明確であったため明確に記載すること、及び資料1ないし11を証拠方法(甲各号証)として判定請求書に記載すること等を要請するために、同日付けで手続補正指令を行った。これに対し、同年4月13日付けで回答書が提出されるとともに、判定請求書の補正がなされた。 第3 本件特許発明 本件特許発明は、特許第6232528号に係る願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(本件特許発明の構成要件ごとに記号A?Hを付した。以下、各構成要件を「構成要件A」などという。) 「A 据置型ゲーム機と、携帯型端末装置と、サーバ装置と、を備えるゲームシステムであって、 B 前記据置型ゲーム機は、 B1 ユーザへと前記据置型ゲーム機を利用した第1のゲームとしてのキャラクタの育成ゲームを提供する第1のゲーム提供手段と、 B2 前記第1のゲームの実行結果によって作成された第1キャラクタデータを保持する第1のキャラクタデータ記憶部と、 B3 作成された前記第1キャラクタデータを定期的に前記サーバ装置へと送信する第1のキャラクタデータ送信手段と、を有し、 C 前記携帯型端末装置は、 C1 前記サーバ装置より前記第1キャラクタデータを受信する第1のキャラクタデータ受信手段と、 C2 前記第1のキャラクタデータ受信手段により受信された前記第1キャラクタデータを保持する第2のキャラクタデータ記憶部と、 C3 前記ユーザへと前記携帯型端末装置を利用した第2のゲームとしての連携ゲームを提供する第2のゲーム提供手段と、 C4 前記第2のゲームの実施のために複数の前記携帯型端末装置の間での通信を行う連携手段と、を有し、 D 前記第2のゲームとしての連携ゲームは、複数の前記ユーザが複数の前記携帯型端末装置を利用し、かつ前記第1のキャラクタデータ受信手段により受信されて前記据置型ゲーム機から持ち出された前記第1キャラクタデータを用いた対戦及び/又は協力プレイを行うものであり、 E 前記第2のゲーム提供手段が、前記第1のゲームとしての前記キャラクタの育成ゲームの実行結果によって作成され、かつ前記サーバ装置を介して前記第1のキャラクタデータ受信手段により受信されて前記据置型ゲーム機から持ち出された前記第1キャラクタデータを使用した前記ユーザによる前記第2のゲームの実行結果に基づいて、前記第1キャラクタデータの更新を行い、 F 前記携帯型端末装置は、前記第2のゲーム提供手段により更新された前記第1キャラクタデータを第2キャラクタデータとして同一ユーザ利用の前記据置型ゲーム機へと前記サーバ装置を介することなく直接通信により送信する第2のキャラクタデータ送信手段を更に有し、 G 前記据置型ゲーム機は、前記第2のキャラクタデータ送信手段より送信された前記第2キャラクタデータを前記第1のゲームとしての前記キャラクタの育成ゲームに反映するために受信する第2のキャラクタデータ受信手段を更に有する、 H ゲームシステム。」 第4 イ号物件 1 甲各号証の記載 令和3年4月13日付けの手続補正書において、「判定請求書へ添付した別紙1から別紙11の名称を、それぞれ順に甲第1号証から甲第11号証に変更します。判定請求書へ添付した甲第1号証から甲第6号証の名称をそれぞれ順に甲第12号証から甲第17号証へ変更します。」との記載は、同日付けで提出された証拠説明書において、令和3年1月28日の判定請求書に添付された資料1ないし資料11に対応する標目が甲第1号証ないし甲11号証に対応していること、同年3月9日の手続補正指令において資料1ないし11を証拠方法(甲各号証)として判定請求書に記載することを要請したことに鑑みれば、「判定請求書へ添付した資料1から資料11の名称を、それぞれ順に甲第1号証から甲第11号証に変更します。判定請求書へ添付した甲第1号証から甲第6号証の名称をそれぞれ順に甲第12号証から甲第17号証へ変更します。」との記載の誤記であることは明らかであるから、以下、判定請求書へ添付した資料1から資料11を、それぞれ順に甲第1号証から甲第11号証に読み替え、判定請求書へ添付した甲第1号証から甲第6号証の名称をそれぞれ順に甲第12号証から甲第17号証へ読み替えて検討する。 (1)甲第1号証(“どっちのSwitch? 「Nintendo Switchファミリー」の機能を比較する”,[online],任天堂,[令和3年1月18日出力],インターネット<URL:https://www.nintendo.co.jp/hardware/switch/compare/index.html>) 甲第1号証には、次の事項が記載されている。 「どっちのSwitch? 「Nintendo Switchファミリー」の機能を比較する さまざまなプレイスタイルで遊べて、Joy-Conをつかったゲームが購入してすぐに遊べる「Nintendo Switch」。 小さく、軽く、持ち運びやすい、携帯専用の「Nintendo Switch Lite」。 あなたのライフスタイルにあわせて、お選びいただくことができます。 ・・・ ・・・ Nintendo Switch Nintendo Switch Lite 希望小売価格:29,980円+税 希望小売価格:19,980円+税 ・・・ ・・・ プレイモード TVモード、テーブルモード、 携帯モード専用。 携帯モード、 コントローラと一体型で、 3つのプレイスタイルで、 小さく、軽く、持ち運びやすい。 遊ぶことができます。 遊べるソフト すべてのNintendo Switchソフト 携帯モードに対応した すべてのNintendo Switchソフト」 (出力1/5頁?2/5頁) 上記記載から、Nintendo Switchは、TVモード、テーブルモード、携帯モードの3つのプレイスタイルで遊ぶことができ、すべてのNintendo Switchソフトで遊べるゲーム機であること、Nintendo Switch Liteは、携帯モード専用で、携帯モードに対応したすべてのNintendo Switchソフトで遊べるゲーム機であること、及び任天堂がこれらを販売していたことが認められる。 (2)甲第2号証の前半(“任天堂Nintendoポケットモンスター シールド[Nintendo Switchソフト]”,[online],ヨドバシ.com,[令和3年1月19日出力],インターネット<URL:https://www.yodobashi.com/product/100000001004689535/>) 甲第2号証の前半には、次の事項が記載されている。 「www.yodobashi.com ・・・ 任天堂Nintendo ポケットモンスター シールド[Nintendo Switchソフト] ・・・ 希望小売価格:\6,578 価格:\5,940(税込)(希望小売価格より\638の値引き) ・・・ メーカー:任天堂 ・・・ カテゴリランキング ゲーム-271位 45日間100位以内 ゲーム>TVゲーム> Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)>ゲームソフト> ロールプレイング-14位 104日間100位以内 ゲーム>携帯型ゲーム> Nintendo Switch Lite(ニンテンドースイッチ ライト)> ゲームソフト>ロールプレイング-12位 104日間100位以内 あわせて買いたい、よく一緒に購入されている商品 ・・・ 任天堂Nintendo ポケットモンスター シールド[Nintendo Switchソフト]\5,940 ・・・ 任天堂Nintendo Nintendo Switch Liteグレー[Nintendo Switch Lite本体]\21,970」(出力1/4頁) 上記記載から、ポケットモンスター シールドは、Nintendo Switch及びNintendo Switch Liteのいずれにもインストール可能なゲームソフトであり、これを任天堂がwww.yodobashi.comを介して販売していたことが認められる。 (3)甲第2号証の後半(“任天堂Nintendoポケットモンスター ソード[Nintendo Switchソフト]”,[online],ヨドバシ.com,[令和3年1月19日出力],インターネット<URL:https://www.yodobashi.com/product/100000001004689534/>) 甲第2号証の後半には、次の事項が記載されている。 「www.yodobashi.com ・・・ 任天堂Nintendo ポケットモンスター ソード[Nintendo Switchソフト] ・・・ 希望小売価格:\6,578 価格:\5,940(税込)(希望小売価格より\638の値引き) ・・・ メーカー:任天堂 ・・・ カテゴリランキング ゲーム-163位 62日間100位以内 ゲーム>TVゲーム> Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)>ゲームソフト> ロールプレイング-8位 104日間100位以内 ゲーム>携帯型ゲーム> Nintendo Switch Lite(ニンテンドースイッチ ライト)> ゲームソフト>ロールプレイング-7位 104日間100位以内 あわせて買いたい、よく一緒に購入されている商品 ・・・ 任天堂Nintendo ポケットモンスター ソード[Nintendo Switchソフト]\5,940 ・・・ 任天堂Nintendo Nintendo Switch Liteグレー[Nintendo Switch Lite本体]\21,970」(出力1/4頁) 上記記載から、ポケットモンスター ソードは、Nintendo Switch及びNintendo Switch Liteのいずれにもインストール可能なゲームソフトであり、これを任天堂がwww.yodobashi.comを介して販売していたことが認められる。 (4)甲第3号証(“YY通信を使いこなそう”,[online],『ポケットモンスター ソード・シールド』公式サイト,[令和3年1月12日出力],インターネット<URL:https://www.pokemon.co.jp/ex/sword_shield/howtoplay/191206_01.html>) 甲第3号証には、次の事項が記載されている。 「YY通信とは 『ポケットモンスター ソード・シールド』では、「YY通信」という機能を使うことで、ローカル通信もしくはインターネット通信で、さまざまな人と交換や対戦などを楽しめる。冒険中、画面左下に「Y」マークがでているときに、ボタンを押すことで、YY通信の画面を開くことができる。 インターネット通信を用いて遊ぶには、Nintendo Switch Online(有料)への加入が必要です。ローカル通信を用いて遊ぶ場合は、加入の必要はございません。」(出力1/11頁) 「YY通信でできること 通信交換 「通信交換」は、他の人とポケモンを交換することができる機能だ。ポケモンを交換する場合、お互いにYY通信の画面で、「通信交換」を開始する必要がある。」(出力3/11頁) 「通信対戦 「通信対戦」では、他の人とポケモンバトルを楽しむことができる。シングルバトル、ダブルバトル、マルチバトルで遊べるぞ。」(出力6/11頁) 上記記載から、ポケットモンスター ソード・シールドで、YY通信という機能を使うことで、ローカル通信もしくはインターネット通信で、他の人とのポケモン交換や、他の人とのポケモンバトルという対戦ができることが認められる。また、この種のゲームに係るサービスにおいてインターネット通信を行うためには、サーバ装置が必要であることは技術常識である。また、インターネット通信を用いて遊ぶには、Nintendo Switch Online(有料)への加入が必要であり、加入者のみにインターネット通信を可能にしていることから、サーバ装置を用いて通信していることは明らかである。 (5)甲第4号証(“ポケモンバトルをしよう”,[online],『ポケットモンスター ソード・シールド』公式サイト,[令和3年1月12日出力],インターネット<URL:https://www.pokemon.co.jp/ex/sword_shield/howtoplay/190605_02.html>) 甲第4号証には、次の事項が記載されている。 「ポケモンバトルを楽しもう 冒険中に草むらや洞窟などで野生のポケモンに遭遇したり、ポケモントレーナと目が合ったりすると、ポケモンバトルが始まる。(出力1/11頁) 「バトルではお互いのポケモンが技をくりだして、相手のポケモンのHPを減らしていく。HPが0になるとポケモンは倒れてしまうので、自分のポケモンにうまく指示を出して先に相手を倒そう。」(出力2/11頁) 「ローカル通信では近くのお友だちとバトルできたり、インターネット通信では遠く離れた世界中のプレイヤーとバトルできたりと楽しみが広がるぞ! 手塩にかけて育てたポケモン同士で繰り広げる、手に汗握るバトルを楽しもう!」(出力8/11頁) 上記記載から、ポケットモンスター ソード・シールドは、ローカル通信もしくはインターネット通信でポケモンバトルを楽しめることが認められる。 (6)甲第5号証(“ポケモンを育てよう”,[online],『ポケットモンスター ソード・シールド』公式サイト,[令和3年1月12日出力],インターネット<URL:https://www.pokemon.co.jp/ex/sword_shield/howtoplay/190605_03.html>) 甲第5号証には、次の事項が記載されている。 「ポケモンを育てよう ポケモンをレベルアップさせよう ポケモンは、バトルに勝利すると経験値を積んで、レベルが上がっていく。レベルアップすると、ポケモンの能力もどんどん成長していくぞ!」(出力1/7頁) 上記記載から、ポケットモンスター ソード・シールドで、ポケモンが、バトルに勝利すると経験値を積んで、レベルが上がっていくことが認められる。 (7)甲第6号証(“ポケモンを育てるために役立つ道具などを紹介!”,[online],『ポケットモンスター ソード・シールド』公式サイト,[令和3年1月12日出力],インターネット<URL:https://www.pokemon.co.jp/ex/sword_shield/howtoplay/191106_01.html>) 甲第6号証には、次の事項が記載されている。 「ポケモンを育てるために役立つ道具などを紹介!」(出力1/8頁) 「けいけんアメ 「けいけんアメ」は、通常はポケモンバトルなどで手に入る「けいけんち」を、直接ポケモンに与えることができるアメ。マックスレイドバトルなどで手に入れることができるので、たくさん集めてポケモンをレベルアップさせよう。」(出力4/8頁) 上記記載から、ポケットモンスター ソード・シールドで、「けいけんアメ」という道具を使うことで「けいけんち」を直接ポケモンに与えてポケモンをレベルアップさせることができることが認められる。 (8)甲第7号証の前半(“Nintendo Switch^(TM)本体”,[online],Nintendo Switch|任天堂,[令和3年1月12日出力],インターネット <URL:https://www.nintendo.co.jp/hardware/switch/modal/specs/body.html?width=960>) 甲第7号証の前半には、次の事項が記載されている。 「通信機能 無線LAN(IEEE 802.11 a/b/g/n/ac準拠)Bluetooth 4.1 (TVモード時のみ、市販の有線LANアダプターを使用して有線LAN接続も可能)」(出力1/3頁) 上記記載から、Nintendo Switchが、無線LANやBluetoothによる通信機能を備えることが認められる。 (9)甲第7号証の後半(“ユーザの引っ越しとセーブデータの引っ越し”,[online],Nintendo Switchサポート情報|Nintendo,[令和3年1月25日出力],インターネット <URL:https://www.nintendo.co.jp/support/switch/secondary/transfer.html>) 甲第7号証の後半には、次の事項が記載されている。 「元々使用していた本体から別の本体に、ユーザーやセーブデータの引っ越し(移動)することができます。 引っ越しには、「ユーザーとセーブデータをまとめて移す方法」と、「セーブデータだけを移す方法」の2種類があります。 ・・・ ※Nintendo Switch本体を使って説明していますが、Nintendo Switch Lite本体の場合も同様です(Nintendo Switch本体とNintendo Switch Lite本体の組み合わせの場合も同様です)。 ・・・ ユーザーの引っ越し 新しい本体だけを使用する場合は、元々使用していた本体から新しい本体に、ユーザーやセーブデータなどをまとめて引っ越し(移動)します。 ※Nintendo Switch本体/Nintendo Switch Lite本体間でも、同様に引っ越しできます。 引っ越しできるデータ/ 引っ越しできないデータ ・・・ 引っ越しできる 引っ越しできない ・・・ ソフト関連 プレイしたソフトのセーブデータ ・・・ (ユーザーごとに保存されるセーブデータ) 」 (出力1/5?2/5頁) 「セーブデータの引っ越し 別の本体にセーブデータだけを引っ越し(移動)します。 複数の本体をお持ちの場合に、前回プレイした本体からセーブデータの引っ越しをすると、最新のセーブデータで遊ぶことができます。 ・・・ ※Nintendo Switch本体/Nintendo Switch Lite本体間でも、同様に引っ越しできます。 ・・・ 引っ越し前の準備 引っ越し元/引っ越し先のそれぞれの本体が手元に必要です。 引っ越し元/引っ越し先のそれぞれの本体で、次の条件を満たしているか確認してください。 - セーブデータを引っ越しさせたいユーザに、同じニンテンドーアカウントが連携されていますか? 確認方法はこちら - 本外のシステムバージョンは最新ですか? - インターネット通信ができる環境ですか?」(出力3/5?4/5頁) 上記記載から、同じニンテンドーアカウントが連携されたNintendo SwitchとNintendo Switchの間で、または、同じニンテンドーアカウントが連携されたNintendo SwitchとNintendo Switch Liteとの間で、セーブデータの引っ越しにより、保存されたセーブデータを移動することができることが認められる。 (10)甲第8号証(“【ポケモンソード・シールド】新しく買った本体にセーブデータを移す方法を知りたい”,[online],任天堂,[令和3年1月25日出力],インターネット<URL:https://www.pokemon-support.com/swsh/s/answers/000002027>) 甲第8号証には、次の事項が記載されている。 「【ポケモンソード・シールド】新しく買った本体にセーブデータを移す方法を知りたい ・・・ 回答 Nintendo Switchシリーズ本体は、『ポケットモンスター ソード・シールド』に限らず、別の本体に、任意のソフトのセーブデータの引っ越しをすることが可能です。」(出力1/1頁) 上記記載から、Nintendo Switchシリーズ本体が、ポケットモンスター ソード・シールドに限らず、別の本体に、任意のソフトのセーブデータの引っ越しをすることが可能なことが認められる。 (11)甲第9号証(“Nintendo Switch Lite”,[online],任天堂,[令和3年1月19日出力],インターネット<URL:https://www.nintendo.co.jp/hardware/switch/lite/index.html>) 甲第9号証には、次の事項が記載されている。 「持ち寄ってつながる 「Nintendo Switch」でも「Nintendo Switch Lite」でも、本体を持ち寄れば、最大8台までローカル通信でつながって、『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』や『スプラトゥーン2』などのソフトで対戦・協力プレイが楽しめます。」(出力3/10頁) 上記記載から、Nintendo Switch及びNintendo Switch Liteで、本体を持ち寄り、最大8台までローカル通信でつながって、『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』や『スプラトゥーン2』などのソフトで対戦・協力プレイが楽しめることが認められる。 (12)甲第10号証(tanco,“【Nintendo Switch】 ローカル通信プレイとは、本体を持ち寄ってつながるマルチプレイ”,[online],[令和3年1月19日出力],インターネット<URL:https://t011.org/game//153348.html>) 甲第10号証には、次の事項が記載されている。 「何台まで本体を接続して遊べる? ローカル通信のマルチプレイは、最大8台までSwitch本体を接続して参加が可能。 例えば『スプラトゥーン2』では、8人集まって4対4のチーム戦でバトルを楽しむことができます。 『スウラトゥーン2』でローカル通信プレイを遊ぶ時は、ゲーム内施設の「イカッチャ」から。ここから「プライベートマッチ」や「サーモンラン」を楽しむことができます。 また『マリオカート8デラックス』のローカル通信プレイは、1台のSwitch本体から最大2人まで参加して、最大8人まで同時に遊ぶことができます。 ・・・ ローカル通信プレイなら、本体を持ち寄って、インターネット環境がなくてもマルチプレイを楽しめる 基本的に、参加する人数分の本体とソフトが必要 ソフトによっては、事前にフレンド登録や認証が必要な場合も」 (出力3/8頁) 上記記載から、Nintendo Switchが、ローカル通信プレイで遊ぶ時は、最大8台まで接続して、8人集まって遊ぶことができることが認められる。 (13)甲第11号証(“Nintendo Switch^(TM)本体”,[online],Nitendo Switch|任天堂,[令和3年1月12日出力],インターネット<URL:https://www.nintendo.co.jp/hardware/switch/modal/specs/body.html?width=960>) 甲第11号証は、上記甲第7号証の前半と同じ証拠であり、記載内容も同一である。 (14)その他の甲各号証 甲第12号証は本件特許に係る特許公報であり、甲第13号証から甲第17号証は、本件特許の審査において引用された文献であって、いずれも、Nintendo Switch又はNintendo Switch Liteや、「ポケットモンスター ソード」又は「ポケットモンスター シールド」を開示するものではなく、イ号物件の認定に関わるものではない。 (甲第12号証)(特許第6232528号公報) (甲第13号証)(特開2000-210472号公報) (甲第14号証)(特開2000-157721号公報) (甲第15号証)(特開平11-207034号公報) (甲第16号証)(特開2014-216789号公報) (甲第17号証)(国際公開第2013/111246号) (15)認定事項 ア 甲第3号証ないし甲第6号証に記載されたポケットモンスター ソード・シールドは、甲第2号証に記載されたゲームソフトであるポケットモンスター ソード及びポケットモンスター シールドを意味するものと認められる。 イ 令和3年4月13日付けで補正された判定請求書の「6 請求の理由」の「(4)イ号物件の説明」の欄の記載からみて、請求人は、ポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドというゲームソフトをインストールしたNintendo Switch又はNintendo Switch Liteと、サーバ装置とを備えるゲームシステムをイ号物件として、判定を求めていると認められるところ、これに鑑みれば、甲第1号証から甲第3号証から、ポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドというゲームソフトをインストールしたTVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switchと、ポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドというゲームソフトをインストールした携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又はポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドというゲームソフトをインストールした携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteと、インターネット通信でYY通信を行うためのサーバ装置と、を備えるゲームシステムを認めることができる。 2 イ号物件 上記1(1)?(15)で認定した事項からみて、当該イ号物件は次の構成を具備するものである(以下「構成a」などという。)。 「a ポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドというゲームソフトをインストールしたTVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switchと、ポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドというゲームソフトをインストールした携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又はポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドというゲームソフトをインストールした携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteと、インターネット通信でYY通信を行うためのサーバ装置と、を備えるゲームシステムであって、 b 前記TVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switchは、 b1 「けいけんアメ」という道具を使うことで「けいけんち」を直接ポケモンに与えてポケモンをレベルアップさせることができ、 b2 冒険中、画面左下に「Y」マークがでているときに、ボタンを押すことで、YY通信の画面を開くことができ、インターネット通信で、YY通信の画面から、通信交換を開始して、前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteを操作する他の人とポケモンを交換することができ、 c 前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteは、 c1 冒険中、画面左下に「Y」マークがでているときに、ボタンを押すことで、YY通信の画面を開くことができ、ローカル通信で、YY通信の画面から、通信対戦として、前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteを操作する他の人とポケモンバトルができ、 c2 ポケモンは、バトルに勝利すると経験値を積んで、レベルが上がっていき、 d 前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteは、前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteから、同じニンテンドーアカウントが連携されたTVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switchに、セーブデータの引っ越しにより、保存されたセーブデータを移動することができる、 e ゲームシステム。」 3 被請求人によるイ号物件の実施について 本件判定請求書の被請求人の欄には「任天堂株式会社」と記載されているところ、被請求人を相手に判定を求めるには、被請求人が現に実施し、又は実施していた技術についてのイ号を判定の対象として求めることとなる。 これに対し、請求人が提出した甲第1号証ないし甲第3号証から、被請求人が、Nintendo Switch又はNintendo Switch Liteと、それらのソフトとして利用可能な、ポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドを販売していた事実は認められるものの、請求人が提出した甲各号証から、Nintendo Switch又はNintendo Switch Liteに、ポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドをインストールしたものと、YY通信サーバ装置からなるゲームシステムに関して販売等の実施をしていたことは開示も示唆もなく、常識的にみてもそのような事実があったことは考え難いことから、被請求人がイ号物件を実施していたとは認めることができない。 また、請求人は、令和3年4月13日付けの回答書において、特許第6232528号発明に係る「据置型ゲーム機等と携帯型端末装置とを連携したゲームシステム」を実施するのは、主として被請求人よりゲーム機Nintendo Switch又はNintendo Switch Liteとゲームソフトであるポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドを購入した個人と考えられるが、上記ゲーム機及び上記ゲームソフトは、どちらも被請求人が販売しており、被請求人は上記ゲーム機及び上記ゲームソフトを販売するため、サイトにゲームを動作させた動画を掲載するとともに、公式通販サイトで、上記ゲーム機及び上記ゲームソフトの両方を直接販売しており、このような被請求人の行為は、特許第6232528号発明に係る物の譲渡の申出に該当するから、被請求人は特許第6232528号発明を実施している旨主張するが、たとえ、被請求人が上記ゲーム機及び上記ゲームソフトを販売するため、サイトにゲームを動作させた動画を掲載していたとしても、この行為は、あくまでも、上記ゲーム機や上記ゲームソフトの譲渡の申出にすぎないのであって、被請求人が、Nintendo Switch又はNintendo Switch Liteに、ポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドをインストールした、据置型ゲーム機及び携帯型端末装置と、サーバ装置と、を備えるゲームシステムについて譲渡の申出をしたものではないことは明らかであり、請求人がイ号として特定しようとしている「据置型ゲーム機と、携帯型端末装置と、サーバ装置と、を備えるゲームシステム」という構成要件に相当する構成を備えたゲームシステムを、被請求人が実施又は実施していたと認めることはできない。 しかしながら、判定は、実施されていないイ号についての判定の請求も許されるし、本件において、請求人の求めるイ号物件に対して、本件特許発明の技術的範囲に属するか否かの見解を示すことは、請求人及び被請求人の利益に資するものであると考えられることから、上記2で認定したイ号物件に対して、本件特許発明の技術的範囲に属するか否かの見解を以下に示す。 第5 本件特許発明の各構成要件の充足について 1 構成要件Aについて イ号物件の構成aの「ポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドというゲームソフトをインストールした、TVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switch」は、これらのモードにおいては据え置いてゲームを行うゲーム機といえるから、据置型ゲーム機といえる。 また、イ号物件の構成aの「ポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドというゲームソフトをインストールした、携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又はポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドというゲームソフトをインストールした、携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Lite」は、「インターネット通信」を行うための端末になる携帯型の装置といえることから、携帯型端末装置といえる。 したがって、イ号物件の構成「a ポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドというゲームソフトをインストールした、TVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switchと、ポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドというゲームソフトをインストールした、携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又はポケットモンスター ソード又はポケットモンスター シールドというゲームソフトをインストールした、携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteと、インターネット通信でYY通信を行うためのサーバ装置と、を備えるゲームシステム」は、本件特許発明の構成要件「A 据置型ゲーム機と、携帯型端末装置と、サーバ装置と、を備えるゲームシステム」を充足する。 2 構成要件B1について イ号物件において、構成b1の「「けいけんアメ」という道具を使うことで「けいけんち」を直接ポケモンに与えてポケモンをレベルアップさせること」は、ポケモンというキャラクタを育成する第1のゲームといえ、「b 前記TVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switch」は、ユーザへと「前記TVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switch」を利用した、そのようなキャラクタを育成するゲームを提供するものであることから、そのためのゲーム提供手段に相当する構成を有するものといえる。 したがって、イ号物件は、本件特許発明の構成要件「B 前記据置型ゲーム機は」「B1 ユーザへと前記据置型ゲーム機を利用した第1のゲームとしてのキャラクタの育成ゲームを提供する第1のゲーム提供手段」「を有し」を充足する。 3 構成要件B2について イ号物件において、「b 前記TVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switch」は、構成b1の「「けいけんアメ」という道具を使うことで「けいけんち」を直接ポケモンに与えてポケモンをレベルアップさせることができ」るというポケモンというキャラクタを育成する第1のゲームを提供するのであるから、ゲーム制御の観点からみれば、そのゲームの実行結果によって作成されたポケモンのレベルという第1のキャラクタデータを保持する記憶部に相当する構成を有することは、明らかである。 したがって、イ号物件は、本件特許発明の構成要件「B 前記据置型ゲーム機は」「B2 前記第1のゲームの実行結果によって作成された第1キャラクタデータを保持する第1のキャラクタデータ記憶部」「を有し」を充足する。 4 構成要件B3について イ号物件において、構成bの「前記TVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switch」が、構成b2の「冒険中、画面左下に「Y」マークがでているときに、ボタンを押すことで、YY通信の画面を開くことができ、インターネット通信で、YY通信の画面から、通信交換を開始して、前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteを操作する他の人とポケモンを交換する」際に、それ以前に、構成b1の「「けいけんアメ」という道具を使うことで「けいけんち」を直接ポケモンに与えて」「レベルアップさせ」ているのであれば、そのレベルアップされたポケモンのレベルという第1キャラクタデータを、相手方である他の人のゲーム機Nintendo Switch又はNintendo Switch Liteに、インターネット通信で送信する必要があることは技術的にみて明らかであるから、構成bの「前記TVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switch」は、レベルアップさせたポケモンのレベルという第1キャラクタデータを送信する第1のキャラクタデータ送信手段を有するものといえる。 しかしながら、レベルアップされたポケモンのレベルという第1キャラクタデータを、相手方である他の人のゲーム機Nintendo Switch又はNintendo Switch Liteに、インターネット通信で送信する際に、例えば、サーバ装置では、どのゲーム機からどのゲーム機に対してどのキャラクタデータを送信するのかだけを決定して、データの送信は、サーバ装置を介することなくゲーム機間で直接P2P通信する方法もあり得ることから、イ号物件においてキャラクタデータをサーバ装置に送信していると認めるに足りる証拠を見いだすことはできない。 また、この送信は、構成b2の「冒険中、画面左下に「Y」マークがでているときに、ボタンを押すことで、YY通信の画面を開くことができ、インターネット通信で、YY通信の画面から、通信交換を開始し」た際に行われるのであって、定期的に行われるものとはいえない。 したがって、イ号物件は、本件特許発明の構成要件「B 前記据置型ゲーム機は」「B3作成された第1キャラクタデータを」「送信する第1のキャラクタデータ送信手段」「を有し」を充足するが、「定期的に前記サーバ装置へと」との構成要件を充足しない。 なお、請求人は、イ号物件は、「作成された前記ポケモンの第1キャラクタデータを定期的に前記YY通信により前記YY通信のサーバ装置へと送信する第1のキャラクタデータ送信手段」を備える旨主張するが、請求人は「定期的に」送信するとの根拠を何ら示しておらず、甲各号証の記載からみてもその根拠を見いだすことはできないので、上記のように判断した。 5 構成要件C1について 上記4で述べたことと同様に、イ号物件において、構成bの「前記TVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switch」が、構成b2の「冒険中、画面左下に「Y」マークがでているときに、ボタンを押すことで、YY通信の画面を開くことができ、インターネット通信で、YY通信の画面から、通信交換を開始して、前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteを操作する他の人とポケモンを交換する」際に、それ以前に、構成b1の「「けいけんアメ」という道具を使うことで「けいけんち」を直接ポケモンに与えて」「レベルアップさせ」ているのであれば、そのレベルアップされたポケモンのレベルという第1キャラクタデータを、相手方である他の人のゲーム機Nintendo Switch又はNintendo Switch Liteに、インターネット通信で送信し、構成cの「前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Lite」がそれを受信する必要があることは明らかであり、そのレベルアップされたポケモンのレベルという第1キャラクタデータを受信する受信手段を有するものといえる。 しかしながら、上記4で述べたように、レベルアップされたポケモンのレベルという第1キャラクタデータを、相手方である他の人のゲーム機Nintendo Switch又はNintendo Switch Liteに、インターネット通信で送信する際に、例えば、サーバ装置では、どのゲーム機からどのゲーム機に対してどのキャラクタデータを送信するのかだけを決定して、データの送信は、サーバ装置を介することなくゲーム機間で直接P2P通信する方法もあり得ることから、イ号物件においてキャラクタデータをサーバ装置から受信していると認めるに足りる証拠を見いだすことはできない。 したがって、イ号物件は、本件特許発明の構成要件「C 前記携帯型端末装置は」「C1」「前記第1キャラクタデータを受信する第1のキャラクタデータ受信手段」「を有し」を充足するが、「前記サーバ装置より」との構成要件を充足しない。 6 構成要件C2について イ号物件において、構成bの「前記TVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switch」が、構成b2の「冒険中、画面左下に「Y」マークがでているときに、ボタンを押すことで、YY通信の画面を開くことができ、インターネット通信で、YY通信の画面から、通信交換を開始して、前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteを操作する他の人とポケモンを交換する」際に、それ以前に、構成b1の「「けいけんアメ」という道具を使うことで「けいけんち」を直接ポケモンに与えて」「レベルアップさせ」ているのであれば、そのレベルアップされたポケモンのレベルという第1キャラクタデータが、ポケモンの交換の相手方である他の人のゲーム機Nintendo Switch又はNintendo Switch Liteに、インターネット通信で受信され保持される必要があることは技術的にみて明らかであるから、携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteは、インターネット通信で受信したレベルアップされたポケモンのレベルという第1キャラクタデータを保持する第2のキャラクタデータ記憶部を有するものといえる。 したがって、イ号物件は、本件特許発明の構成要件「C 前記携帯型端末装置は」「C2 前記第1のキャラクタデータ受信手段により受信された前記第1キャラクタデータを保持する第2のキャラクタデータ記憶部」「を有し」を充足する。 7 構成要件C3について イ号物件において、構成cの「前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Lite」が、構成c1の「冒険中、画面左下に「Y」マークがでているときに、ボタンを押すことで、YY通信の画面を開くことができ、ローカル通信で、YY通信の画面から、通信対戦として、前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteを操作する他の人とポケモンバトルができ」ることは、携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteを利用した第2のゲームとしてのポケモンバトルというローカル通信による連携ゲームを提供する第2のゲーム提供手段を有するものといえる。 しかしながら、イ号物件は、「けいけんアメ」という道具を使うことで「けいけんち」を直接ポケモンに与えてポケモンをレベルアップさせたユーザが、他のユーザとポケモンの交換を行って、前記他のユーザが、前記レベルアップしたポケモンによってポケモンバトルを行うものであることから、「けいけんあめ」を用いてポケモンをレベルアップさせるゲーム(第1のゲーム)を実行するユーザと、「ポケモンバトル」のゲーム(第2のゲーム)を実行するユーザが異なるものである。 したがって、イ号物件は、本件特許発明の構成要件「C 前記携帯型端末装置は」「C3」「前記携帯型端末装置を利用した第2のゲームとしての連携ゲームを提供する第2のゲーム提供手段」「を有し」を充足するが、「前記ユーザへと」との構成要件を充足しない。 8 構成要件C4について イ号物件において、構成cの「前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Lite」が、構成c1の「冒険中、画面左下に「Y」マークがでているときに、ボタンを押すことで、YY通信の画面を開くことができ、ローカル通信で、YY通信の画面から、通信対戦として、前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteを操作する他の人とポケモンバトルができ」ることは、ポケモンバトルという第2のゲームの実施のために複数の携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteの間でのローカル通信を行うものといえ、そのローカル通信を行うための連携手段を有することは明らかである。 したがって、イ号物件は、本件特許発明の構成要件「C 前記携帯型端末装置は」「C4 前記第2のゲームの実施のために複数の前記携帯型端末装置の間での通信を行う連携手段」「を有し」を充足する。 9 構成要件Dについて イ号物件において、構成「c1 冒険中、画面左下に「Y」マークがでているときに、ボタンを押すことで、YY通信の画面を開くことができ、ローカル通信で、YY通信の画面から、通信対戦として、前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteを操作する他の人とポケモンバトルができ」ることは、第2のゲームとしてのポケモンバトルというローカル通信での連携ゲームは、複数のユーザが複数の携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteを利用する対戦を行うものといえる。 また、イ号物件は、このポケモンバトルに用いられるポケモンのレベルのデータは、それ以前に、構成bの「前記TVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switch」が、構成b1の「「けいけんアメ」という道具を使うことで「けいけんち」を直接ポケモンに与えてポケモンをレベルアップさせ」、さらに、そのポケモンについて、構成b2の「冒険中、画面左下に「Y」マークがでているときに、ボタンを押すことで、YY通信の画面を開くことができ、インターネット通信で、YY通信の画面から、通信交換を開始して、前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteを操作する他の人と」「交換すること」を行った場合には、TVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switchから持ち出された「けいけんアメ」という道具を使った育成ゲームの実行結果によって作成され、交換されたポケモンのレベルという第1キャラクタデータを用いたポケモンバトルという対戦を行うものといえる。 しかしながら、上記7で述べたように、イ号物件は、「けいけんアメ」という道具を使うことで「けいけんち」を直接ポケモンに与えてポケモンをレベルアップさせたユーザが、他のユーザとポケモンの交換を行って、前記他のユーザが、前記レベルアップしたポケモンによってポケモンバトルを行うものであることから、「けいけんあめ」を用いてポケモンをレベルアップさせるゲーム(第1のゲーム)を実行するユーザと、「ポケモンバトル」のゲーム(第2のゲーム)を実行するユーザが異なるものである。 したがって、イ号物件は、本件特許発明の構成要件「D 前記第2のゲームとしての連携ゲームは、」「複数の前記携帯型端末装置を利用し、かつ前記第1のキャラクタデータ受信手段により受信されて前記据置型ゲーム機から持ち出された前記第1キャラクタデータを用いた対戦」「を行うものであり、」を充足するが、「複数の前記ユーザが」との構成要件を充足しない。 10 構成要件Eについて イ号物件において、構成bの「前記TVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switch」で、構成b1の「「けいけんアメ」という道具を使うことで「けいけんち」を直接ポケモンに与えて」「レベルアップさせ」た「ポケモン」が、構成b2の「インターネット通信で、YY通信の画面から、通信交換を開始して、前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteを操作する他の人と」「交換」され、構成cの「前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Lite」で、その「交換」された「ポケモン」を用いて、構成c1の「ローカル通信で、YY通信の画面から、通信対戦として、前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteを操作する他の人とポケモンバトル」をし、構成c2の「ポケモン」が「バトルに勝利すると経験値を積んで、レベルが上がってい」くことは、ポケモンバトルという第2のゲームを提供する手段が、第1のゲームとしての「けいけんアメ」という道具を使うポケモンというキャラクタの育成ゲームの実行結果によって作成され、かつ、インターネット通信を介して第1のキャラクタデータ受信手段により受信されてTVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switchから持ち出されたポケモンのレベルという第1のキャラクタデータを使用したポケモンバトルという第2のゲームの実行結果に基づいて、ポケモンのレベルという第1キャラクタデータの更新を行うものといえる。 しかしながら、上記4及び5で述べたように、レベルアップされたポケモンのレベルという第1キャラクタデータを、相手方である他の人のゲーム機Nintendo Switch又はNintendo Switch Liteに、インターネット通信で送信する際に、例えば、サーバ装置では、どのゲーム機からどのゲーム機に対してどのキャラクタデータを送信するのかだけを決定して、データの送信は、サーバ装置を介することなくゲーム機間で直接P2P通信する方法もあり得ることから、イ号物件においてキャラクタデータをサーバ装置から受信していると認めるに足りる証拠を見いだすことはできない。 また、上記7及び9で述べたように、イ号物件は、「けいけんアメ」という道具を使うことで「けいけんち」を直接ポケモンに与えてポケモンをレベルアップさせたユーザが、他のユーザとポケモンの交換を行って、前記他のユーザが、前記レベルアップしたポケモンによってポケモンバトルを行うものであることから、「けいけんあめ」を用いてポケモンをレベルアップさせるゲーム(第1のゲーム)を実行するユーザと、「ポケモンバトル」のゲーム(第2のゲーム)を実行するユーザが異なるものである。 したがって、イ号物件は、本件特許発明の構成要件「E 前記第2のゲーム提供手段が、前記第1のゲームとしての前記キャラクタの育成ゲームの実行結果によって作成され、かつ前記第1のキャラクタデータ受信手段により受信されて前記据置型ゲーム機から持ち出された前記第1キャラクタデータを使用した」「前記第2のゲームの実行結果に基づいて、前記第1キャラクタデータの更新を行い、」を充足するが、「前記サーバ装置を介して」及び「前記ユーザへと」との構成要件を充足しない。 11 構成要件Fについて イ号物件において、構成dの「前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteから、同じニンテンドーアカウントが連携されたTVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switchに、セーブデータの引っ越しにより、プレイしたソフトのセーブデータであってユーザごとに保存されるデータを移動する」前に、構成c1の「ポケモンバトル」をして、構成c2の「バトルに勝利」して「経験値を積んで、レベルが上がっ」た場合には、そのポケモンバトルという第2のゲームにより更新されたポケモンのレベルのデータをセーブデータの引っ越しにより移動することとなることは技術的にみて明らかであるから、イ号物件は、携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteが、ポケモンバトルを提供する手段である第2のゲーム提供手段により更新されたポケモンのレベルという第1キャラクタデータを第2キャラクタデータとしてTVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switchへと送信する第2のキャラクタデータ送信手段を更に有するものといえる。 また、「同じニンテンドーアカウントが連携された」ものとは、アカウントがユーザー毎に作成されるという技術常識に鑑みれば、同一ユーザ利用のものであることは明らかである。 しかしながら、イ号物件の構成dの「前記携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は前記携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteから、同じニンテンドーアカウントが連携されたTVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switchに、セーブデータの引っ越しにより、プレイしたソフトのセーブデータであってユーザごとに保存されるデータを移動する」ことが、サーバ装置を介することなく直接通信により行われると認めるに足りる証拠は見いだせない。 したがって、イ号物件は、本件特許発明の構成要件「F 前記携帯型端末装置は、前記第2のゲーム提供手段により更新された前記第1キャラクタデータを第2キャラクタデータとして同一ユーザ利用の前記据置型ゲーム機へと送信する第2のキャラクタデータ送信手段を更に有し、」を充足するが、「前記サーバ装置を介することなく直接通信により」との構成要件を充足しない。 12 構成要件Gについて 上記11で述べたように、イ号物件は、携帯モードのゲーム機Nintendo Switch又は携帯モード専用のゲーム機Nintendo Switch Liteが、ポケモンバトルを提供する手段である第2のゲーム提供手段により更新されたポケモンのレベルという第1キャラクタデータを第2キャラクタデータとしてTVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switchへと送信する第2のキャラクタデータ送信手段を更に有するものといえることから、イ号物件において、構成bの「前記TVモード又はテーブルモードのゲーム機Nintendo Switch」が、第2のキャラクタデータ送信手段より送信されたポケモンのレベルという第2キャラクタデータを、構成b1の「「けいけんアメ」という道具を使うことで「けいけんち」を直接ポケモンに与えてポケモンをレベルアップさせる」という第1のゲームとしてのキャラクタの育成ゲームに反映するために受信する第2のキャラクタデータ受信手段を更に有するものといえる。 したがって、イ号物件は、本件特許発明の構成要件「G 前記据置型ゲーム機は、前記第2のキャラクタデータ送信手段より送信された前記第2キャラクタデータを前記第1のゲームとしての前記キャラクタの育成ゲームに反映するために受信する第2のキャラクタデータ受信手段を更に有する、」を充足する。 13 構成要件Hについて イ号物件の構成「e ゲームシステム」は、本件特許発明の構成要件「H ゲームシステム」を充足する。 第6 むすび 以上のとおり、イ号物件は、少なくとも本件特許発明の構成要件B3、C1、C3、D、E及びFを充足しないから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。 よって、結論のとおり判定する。 |
判定日 | 2021-10-05 |
出願番号 | 特願2016-145456(P2016-145456) |
審決分類 |
P
1
2・
1-
ZB
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宇佐田 健二 |
特許庁審判長 |
藤本 義仁 |
特許庁審判官 |
藤田 年彦 清水 康司 |
登録日 | 2017-10-27 |
登録番号 | 特許第6232528号(P6232528) |
発明の名称 | ゲームシステム |
代理人 | 角田 朗 |
代理人 | 飯田 圭 |
代理人 | 高石 秀樹 |