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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03F
管理番号 1379065
審判番号 不服2020-8113  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-11 
確定日 2021-10-15 
事件の表示 特願2018-513637号「リソグラフィプロセスにおけるレチクル加熱及び/又は冷却の影響を低減する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年3月30日国際公開、WO2017/050523号、平成30年10月11日国内公表、特表2018-529996号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)8月26日(パリ条約による優先権主張 2015年9月24日 欧州特許庁、2015年11月30日 欧州特許庁、2016年5月18日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 5月 9日 :翻訳文提出
平成31年 4月 5日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 7月10日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年10月 1日付け:拒絶理由通知書
令和 元年12月24日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 3月 3日付け:拒絶査定
令和 2年 6月11日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和2年12月7日付け :拒絶理由通知書(以下「当審拒
絶理由」という。)
令和 3年 3月 4日 :意見書、手続補正書の提出(以下、この手続
補正書による補正を「本件補正」という。)

第2 本願発明
本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
リソグラフィプロセスにおけるレチクルの加熱及び/又は冷却の影響を低減する方法であって、
システム同定法を使用して線形時不変レチクル加熱モデルを較正するステップと、
較正された前記レチクル加熱モデル及び前記リソグラフィプロセスにおける入力を使用して、リソグラフィ装置における前記レチクルの歪みを予測するステップと、
前記予測した前記レチクルの歪みに基づいて、前記リソグラフィプロセスにおいて補正を計算及び適用するステップと、を含み、
前記歪みは、1または複数のモード形状で表現され、
較正された前記レチクル加熱モデルは、入力と前記入力から生じる歪みの関係を記述する1つ以上のモード形状を含む、方法。」

第3 拒絶の理由
当審拒絶理由のうちの理由3は、次のとおりのものである。
請求項1?15に係る発明は、本願の最先の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その最先の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:国際公開第2007/123189号
引用文献2:特開2011-137627号公報
周知文献1:(今井純、「熱伝導系の有限次元モデリング-周波数応答デー
タによる可能性集合の特徴づけ」、第50回システム制御情報
学会研究発表講演会講演論文集、2006年5月10日発行、
p67?68
周知文献2:特表2013-514510号公報
周知文献3:特開2010-199243号公報
周知文献4:特開2012-212881号公報
周知文献5:特開2013-79939号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明
1.引用文献1
(1)引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
ア 「[0001] 本発明は、露光装置及び露光方法並びにデバイスの製造方法に関するものである。・・・」

イ 「[0043] このような走査露光を継続すると、照明光(露光光IL)の照射熱によってレチクルRが伸縮、又は変形し、これらに応じてウエハW上に投影される投影像の倍率が次第に変化し、目標とする投影像が露光されなくなる可能性がある。そのため、投影倍率を補正する。この場合、投影倍率の変更に伴って、投影領域33の像中心がずれるため、ずれた投影領域33の位置に合わせてウエハWの位置(ショット領域SAの位置)を補正する必要がある。・・・
[0045](レチクルRの伸縮に伴う補正)
ここでは、まず、レチクルRの伸縮(熱変形)を求める手順について説明する。
なお、レチクルRの伸縮量(変形量)を算出する方法は、例えば特開平11-195602号公報に詳述されているため、ここでは簡単に説明する。
このレチクル伸縮は、照明光(露光光IL)の照射量を計測することで算出する。具体的には、レチクル伸縮は、レチクルRの温度分布に依存して発生するため、熱変形量を計算するために、レチクルRの或る時点における温度分布を求める。この温度分布を計算する方法として、レチクルRを所定の有限な要素に分解し、各点の温度変化を差分法、又は有限要素法等により計算する。
[0046]図4はレチクルRのパターン領域61を走査方向(Y方向)に5分割、非走査方向(X方向)に4分割、即ち、5×4個の20ブロックに分割した状態を示す。図4において、分割されたブロックをブロックB1?B20とし、また、各ブロックB1?B20の中心点をP1?P20とする。なお、分割数、及び計算方法の選択は最終的に必要な精度やコンピュータの計算速度等から決定すればよく本実施形態ではパターン領域61を便宜的に20分割した。
レチクルRのブロックB1?B20が互いに同一な照度で照明された場合であっても、レチクルRに吸収される熱量はパターン存在率の分布によりブロックB1?B20ごとに異なる。このため、レチクルR上のブロックB1?B20ごとにパターン存在率を求める必要がある。但し、吸収される熱量は各ブロック内においては均一であると仮定する。」

ウ 「[0050] 続いて、各ブロックB1?B20のパターン存在率に基づいて各ブロックの熱吸収量を計算する。各ブロックは照明光(露光光IL)の照度(エキシマレーザ光源1のパワーに比例する)とパターン存在率とに比例して熱量を吸収する。吸収された熱量は空気中、あるいはレチクルステージ20へ放射や拡散によって移動する。各ブロック間においても熱移動が生じる。そこで、主制御装置23は、各ブロックのパターン存在率、照明光(露光光IL)の照度(インテグレータセンサ9の出力に対応)、露光装置における空気の温度、レチクルステージ20の温度等を用いて、所定の計算式によりレチクルRの温度分布を算出する。
主制御装置23は、求めた温度分布とレチクルR(例えば石英ガラス)の線膨張係数とから、各ブロックB1?B20の中心点P1?P20の相互の距離の変化を求め、伸縮計測装置としてレチクルR上の各点の変位(すなわち伸縮量)を決定する。
[0051] 次に、求めたレチクルRの各ブロックB1?B20の中心点P1?P20の移動量を各成分に分解する。図5は、レチクルRのY座標と分解された熱変形量の各成分との関係の一例とそれに応じた補正量とを示す。図5の(a)?(g)部において、横軸はレチクルR走査方向の位置(Y座標)を表し、縦軸はY座標に対応するレチクルRの各熱変形量、又は補正量を表す。また、点線の曲線C1?C7がそれぞれ変形量の計算値を表し、実線の曲線D1?D7がそれぞれ対応する補正量を表している。図5の(a)部のX倍率1は、図4の外側の中心点P1とP4とのX方向への移動量から算出される倍率変化量である。図5の(b)部のX倍率2は、内側の中心点P2とP3とのX方向への移動量から算出される倍率変化量である。図5の(c)部のX倍率傾斜1は、外側の中心点P1とP4とのX方向への移動量の差から算出される値である。図5の(d)部のX倍率傾斜2は、内側の中心点P2とP3とのX方向への移動量の差から算出される値である。
[0052] レチクルRのパターン存在率の分布に偏りがある場合、例えばブロックB1,B2でパターン存在率が大きくブロックB3,B4でパターン存在率が小さい場合には、レチクルRの熱変形量はブロックB3,B4側で大きくなり、X方向の倍率に偏りが現れる。図5の(e)部のYシフトは、図4の中心点P1?P4の平均的なY方向への移動量を表す。図5の(f)部の回転は、中心点P1?P4のY方向への移動量と各像高の関係とを直線近似することで求められる回転角を表す。図5の(g)部のXシフトは、中心点P1?P4の平均的なX方向への移動量を表している。上述の各成分は、レチクルRを計算上でY方向に順次所定ステップ量だけ移動するごとに算出される。
[0053] 次に、求めた各成分を所定の計算式を用いてY座標の関数として表す。
これらの結像特性の関数化された各成分は、主制御装置23内の記憶部に記憶される。主制御装置23は、一例として記憶された各成分を相殺するように、レンズコントローラLCを介して投影光学系PLの倍率をそれぞれ変更する。
[0054] このように投影倍率を変更した際には、レチクルRの中心(投影光学系PLの光軸AX1)と投影光学系PLの投影領域33の中心とが異なることから、投影領域33の位置が若干ずれる像シフトが生じる可能性がある。この場合、主制御装置23は、算出装置として投影倍率の変更に伴う投影領域33の中心のずれ量を算出する。この算出されたずれ量に基づいて、主制御装置23内のステージ制御部(補正装置)が駆動系41を用いてウエハステージ35を制御して、ウエハWの位置をX方向及びY方向のそれぞれについて補正する。
[0055] 以下、X方向及びY方向の補正について説明する。
(X方向補正)
X方向に関する倍率変化をΔΧ、上述した中心の偏心量をkとする。主制御装置23は、下式を用いて像シフト量Sを算出する。
S=kXΔΧ・・・(1)
ステージ制御部は位置制御装置として、予め設定されているウエハW上のショット領域SAの位置を、上記式(1)で算出された像シフト量Sで補正したX方向の位置に位置決めする。
このとき、レチクルRのブロックB1?B4が照明されている際には、照明領域に対してブロックB1?B4の中心点P1?P4のXシフト量が照明領域中心でのシフト量となるようにY座標に応じてXシフト量(補正量)を制御する。
[0056] なお、上記のように、露光処理中にリアルタイムでX方向の位置を補正するのではなくショット毎に像シフト量を補正する手順としてもよい。この場合には、例えば上記のベースライン量を用いてウエハW上のショット領域SAを投影領域33に位置決めする際に、ベースライン量に像シフト量を加算した駆動量で位置決めしたり、像シフト量により補正したベースライン量を用いてウエハを送り込む構成としてもよい。
[0057](Y方向補正)
走査方向であるY方向の像シフト量を補正するには、レチクルRとウエハWとの相対速度をレチクルRのY座標に応じて変更する。具体的に、上述のようにY座標に応じてYシフト量を求め、Y座標に応じてそのYシフト量を相殺するようにレチクルRの走査速度(レチクルとウエハとの速度比、同期移動速度)を変更して補正を行う。
例えば照明光の吸収によりレチクルRがY方向に膨張したようにYシフトが発生しているときは、ウエハW(ウエハステージ35)の走査速度を低速にし、その逆の場合は、ウエハW(ウエハステージ35)の走査速度を高速にする。
なお、図5の(f)部の回転成分を補正する場合には、レチクルRとウエハWとの相対回転量を変更することで補正できる。即ち、レチクルステージ20上を介してレチクルRを回転するか、ウエハステージ35を介してウエハWをθZ方向(Z軸周りの回転方向)に回転させればよい。
このようにして、レチクルの伸縮を補正するために投影倍率を変更した場合にも、像シフト量を補正した状態で露光処理を実施することができる。
[0058](EGA計測に伴う補正)
上述したように、ウエハWに対する露光が第2層目以降の露光であるときには、既に形成されている回路パターンと重ね合わせ精度良く回路パターンを形成するためアライメンセンサ43を使用してウエハW上の不図示のウエハマーク(基板マーク)を計測するEGA計測が行われる。また、主制御装置23においてウエハW上におけるショット領域の配列座標とともに、倍率補正値が求められる。主制御装置23は、求めた倍率補正値が反映されるようにレンズコントローラLCを介して投影光学系PLの倍率を変更させる。」

エ 「[0079] 次に、本発明の実施形態による露光装置及び露光方法をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図6は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。・・・」

オ 図4及び5は次のものである。
[図4]

[図5]


(2)上記(1)の記載を踏まえて上記「(1)」「オ」の図4及び5を見ると、レチクルRのパターン領域61をそれぞれ走査方向(Y方向)、非走査方向(X方向)に複数のブロックに分割し、各ブロックの中心点を定め([0046]、図4)、当該中心点に関して、変形量の計算値、及び、対応する補正量をそれぞれ曲線C1?C7、D1?D7で表すと、変形量の計算値、及び、補正量は、ゆるやかな凹凸からなる曲線で表されることが見てとれる([0051]?[0052]、図5)。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)によれば、引用文献1には以下の発明が記載されている(以下「引用発明」という。)。
「リソグラフィ工程([0079])における、照明光(露光光)の照射熱によってレチクルが伸縮、又は変形し、これらに応じてウエハ上に投影される投影像の倍率が次第に変化し、目標とする投影像が露光されなくなる可能性があるため、投影倍率を補正し、前記投影倍率の変更に伴ってウエハWの位置を補正する([0043])方法であって、
熱変形量を計算するために、前記レチクルの或る時点における温度分布を、前記レチクルを所定の有限な要素に分解し、各点の温度変化を差分法または有限要素法により計算して求めることにより、前記レチクルの温度分布に依存して発生するレチクルの伸縮(熱変形)を求めることで、レチクルの伸縮に伴う補正を行う手順として([0045])、
各ブロックのパターン存在率、照明光(露光光)の照度、露光装置における空気の温度、レチクルステージの温度等を用いて、所定の計算式によりレチクルの温度分布を算出し([0050])、求めた温度分布とレチクルの線膨張係数とから、各ブロックの中心点の相互の距離の変化を求め、レチクル上の各点の変位(伸縮量)を決定する([0050])ステップと、
求めたレチクルの各ブロックの中心点の移動量(変位)を各成分に分解し([0051])、
求めた前記各成分をY座標の関数として表し、前記関数化された各成分は、主制御装置内の記憶部に記憶され、前記主制御装置は、前記記憶された各成分を相殺するように、レンズコントローラを介して投影光学系の倍率をそれぞれ変更し([0053])、
投影倍率を変更した際には、レチクルの中心と投影光学系の投影領域の中心とが異なることから、主制御装置は、算出装置として投影倍率の変更に伴う投影領域の中心のずれ量を算出し、前記算出されたずれ量に基づいて、主制御装置内のステージ制御部(補正装置)が駆動系を用いてウエハステージを制御して、ウエハの位置をX方向及びY方向のそれぞれについて補正し([0054])、
前記レチクルのパターン領域を、それぞれ走査方向(Y方向)、非走査方向(X方向)に複数のブロックに分割し、各ブロックの中心点を定め、当該中心点に関して、変形量の計算値、及び対応する補正量をそれぞれ曲線で表すと、変形量の計算値、及び補正量は、ゆるやかな凹凸からなる曲線で表される(上記(2))ステップと、を含む、方法。」

2.引用文献2
引用文献2には、下記の事項が記載されている。
「【0002】
システムモデル
動的システムモデルは、時間領域又は周波数領域のいずれかにおいてシステムの動作を記述する。本発明が特に対象とするシステムは、占有者及び環境制御サブシステムを有する建造物である。建造物内の熱伝達をモデル化すると共に予測することが所望されている。」
「【0005】
ブラックボックスモデル及びグレーボックスモデル
ブラックボックスモデルは、システムの内部の仕組みを知ることなく、入力データと出力データとの間の関係に厳密に基づく。しかしながら、結果としてのモデルパラメーターは、物理的な意味を有せず、モデルは理解するのが困難である。
【0006】
グレーボックスモデルは、物理的に意味のあるパラメーターのようなシステムの中間変数に基づき、それによって、状態-空間モデルはデータを正確にモデル化する。しかしながら、モデルはモデル化の間、ブラックボックスとして動作する。入力及び出力データの操作はグレイボックスとして適格でない。これは、入力及び出力が明確に『ブラックボックス』の外側にあるためである。
【0007】
ブラックボックス
線形時不変のブラックボックスモデルでは、入力信号と出力信号との間の関係は、状態ベクトル(シーケンス)x(k)を使用して、一次微分方程式として表される。時刻kにおいて定期的な時間間隔でサンプリングされる入力信号はu(k)であり、出力信号はy(k)である。ブラックボックスシステムは以下のようにモデル化される。
【0008】
【数1】



「【0016】
本発明の実施の形態は、部分空間システム同定を使用してシステムのグレーボックスモデルを構築するための方法を提供する。部分空間システム同定は、システム同定の一形態である。例示的な応用形態では、システムは建造物であり、建造物におけるサーマル伝達がモデル化される。しかしながら、本方法は概して任意のシステムのためのグレーボックスモデルを構築するのに使用することができることを理解されたい。」

第5 対比・判断
1.対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「リソグラフィ工程」は、本願発明の「リソグラフィプロセス」に相当する。

イ 引用発明の「照明光(露光光)の照射熱によってレチクルが伸縮、又は変形し、これらに応じてウエハ上に投影される投影像の倍率が次第に変化し、目標とする投影像が露光されなくなる可能性があるため、投影倍率を補正し、前記投影倍率の変更に合わせてウエハWの位置を補正する」ことは、「レチクルの加熱の影響を低減する」といえるから、本願発明の「レチクルの加熱及び/又は冷却の影響を低減する」との要件を満たしている。

ウ 引用発明は、「各ブロックのパターン存在率、照明光(露光光)の照度、露光装置における空気の温度、レチクルステージの温度等を用いて、所定の計算式によりレチクルの温度分布を算出し、求めた温度分布とレチクルの線膨張係数とから、各ブロックの中心点の相互の距離の変化を求め、レチクル上の各点の変位(伸縮量)を決定」している。
そうすると、引用発明は、「レチクルの温度分布を算出」する「所定の計算式」を用いて、最終的に、レチクルの変位(歪み)を求めているといえるから、全体として見れば、レチクルについて温度に基づく変位モデルを用いているといえる。
これに対して、本願発明の「レチクル加熱モデル」は「リソグラフィプロセスにおける入力を使用して、リソグラフィ装置における前記レチクルの歪みを予測する」ものである。
したがって、引用発明の上記温度に基づく変位モデルは、本願発明の「レチクル加熱モデル」に相当する。

エ 本願明細書の「レチクル加熱モデルは、入力、特にレチクルの加熱及び/又は冷却に影響を及ぼす入力と、結果として生じるレチクルの歪みの関係を含む。」(【0036】)及び「これらの入力は、例えば放射源SO及び/又はイルミネータILによって供給される放射ドーズ量、露光されているレチクルの領域サイズ、レチクルの放射照度及び/又は透過率、及び適応レチクル冷却システムCOS(図1)によって供給される冷却ドーズ量を含む。入力は、プロセスデータ、特にコントローラCTによって提供されるリソグラフィプロセスの実際の入力、又はリソグラフィ装置LA内のセンサによるインライン測定値から知ることができる。」(【0037】)との記載に照らして、本願発明の「リソグラフィプロセスにおける入力」は、「放射源SO及び/又はイルミネータILによって供給される放射ドーズ量」、「露光されているレチクルの領域サイズ」、「レチクルの放射照度及び/又は透過率」及び「適応レチクル冷却システムCOSによって供給される冷却ドーズ量」を含むと解される。
ここで 、引用発明の「レチクル」の「各ブロックのパターン存在率」は、「レチクル」の透過率に関する指標であるから、本願明細書における上記「レチクルの透過率」と同様な指標であるといえる。
また、引用発明の「照明光(露光光)の照度」は、「レチクル」に対する照明光(露光光)の光子の注入量に関する指標であり、本願明細書における「放射ドーズ量」とは、電子やイオン等の注入量を意味するから、引用発明の「照明光(露光光)の照度」は、本願明細書における上記「放射源SO及び/又はイルミネータILによって供給される放射ドーズ量」と同様な指標であるといえる。
そして、引用発明の「露光装置における空気の温度」及び「レチクルステージの温度等」は、露光装置やレチクルステージの温度を調節する場合、例えば、冷媒による冷却などによって影響を受ける指標である。さらに、本願明細書における上記「冷却ドーズ量」は冷媒の供給量等を意味するから、引用発明の「露光装置における空気の温度」及び「レチクルステージの温度等」は、本願明細書における上記「適応レチクル冷却システムCOSによって供給される冷却ドーズ量」と相互関係のある指標であるといえる。
そうすると、引用発明の「各ブロックのパターン存在率、照明光(露光光)の照度(インテグレータセンサの出力に対応)、露光装置における空気の温度、レチクルステージの温度等」は、本願発明の「放射源SO及び/又はイルミネータILによって供給される放射ドーズ量」、「レチクルの透過率」及び「適応レチクル冷却システムCOSによって供給される冷却ドーズ量」と同様な指標であるといえるから、本願発明の「リソグラフィプロセスにおける入力」に相当する。

オ 引用発明の「所定の計算式によりレチクルの温度分布を算出し、求めた温度分布とレチクルの線膨張係数とから、各ブロックの中心点の相互の距離の変化を求め、レチクル上の各点の変位(伸縮量)を決定する」ことは、本願発明の「リソグラフィ装置における前記レチクルの歪みを予測する」ことに相当する。

カ 引用発明の「求めたレチクルの各ブロックの中心点の移動量(変位)を各成分に分解し、求めた前記各成分をY座標の関数として表し、前記関数化された各成分は、主制御装置内の記憶部に記憶され、前記主制御装置は、前記記憶された各成分を相殺するように、レンズコントローラを介して投影光学系の倍率をそれぞれ変更し、投影倍率を変更した際には、レチクルの中心と投影光学系の投影領域の中心とが異なることから、主制御装置は、算出装置として投影倍率の変更に伴う投影領域の中心のずれ量を算出し、前記算出されたずれ量に基づいて、主制御装置内のステージ制御部(補正装置)が駆動系を用いてウエハステージを制御して、ウエハの位置をX方向及びY方向のそれぞれについて補正する」ことは、本願発明の「予測した前記レチクルの歪みに基づいて、前記リソグラフィプロセスにおいて補正を計算及び適用する」ことに相当する。

(2)したがって、両者は、
「リソグラフィプロセスにおけるレチクルの加熱及び/又は冷却の影響を低減する方法であって、
レチクル加熱モデル及び前記リソグラフィプロセスにおける入力を使用して、リソグラフィ装置における前記レチクルの歪みを予測するステップと、
前記予測した前記レチクルの歪みに基づいて、前記リソグラフィプロセスにおいて補正を計算及び適用するステップと、を含む、方法。」
である点で一致し、下記各点で相違する。

〈相違点1〉
「レチクル加熱モデル」を、本願発明は、「線形時不変」と特定するのに対して、引用発明は、「線形時不変」とは特定されない点。

〈相違点2〉
「レチクル加熱モデル」について、本願発明は、「システム同定法を使用して」「較正する」ステップを有するのに対して、引用発明は、このように特定されない点。

〈相違点3〉
本願発明の「歪み」は、「1または複数のモード形状で表現される」ものであるとともに、本願発明の「較正された前記レチクル加熱モデル」は、「入力と前記入力から生じる歪みの関係を記述する1つ以上のモード形状を含む」のに対して、引用発明は、このように特定されない点。

2.判断
上記相違点について検討する。
(1)相違点1について
熱応答モデルとして、線形時不変モデルを用いることは、引用文献2及び後記周知文献1、2に見られるように本願の最先の優先日当時の周知の技術事項である。
したがって、引用発明における、レチクルの温度分布を算出する所定の計算式として、熱伝導や拡散現象にかかわる線形時不変モデルを適用して、上記相違点1に係る本願発明の構成となすことは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

(2)相違点2について
ア 発明を具体的に実施するに際して、周知の技術事項を採用することは、当業者が適宜なし得る事項であるところ、モデルに基づく計算式を実際に適用する対象に合致するように較正することは、本願の最先の優先日当時の周知の技術事項であるから、引用発明の「レチクルの温度分布を算出」する「所定の計算式」を、当該計算式を適用するリソグラフィ工程に合致するように較正することは、当業者が適宜なし得る事項であるといえる。

イ また、モデルに基づく計算式を実際に適用する対象に合致(同定)する具体的手法として、システム同定法を使用することは、本願の最先の優先日当時の周知の技術事項である(例えば、熱伝達のモデルに基づく計算式を同定するに際してシステム同定法を使用することは、引用文献2に記載されている。)。
ここで、上記「1.」「(1)」「ウ」で説示したように、引用発明は、「レチクルの温度分布を算出」する「所定の計算式」を用いて、最終的に、レチクルの変位(歪み)を求めているといえるから、全体として見れば、レチクルについて温度に基づく変位モデルを用いているといえるものである。
したがって、引用発明において、上記温度に基づく変位モデルをリソグラフィ工程に合致する(同定する)ように較正するに際して、具体的な同定手法として、引用文献2に記載されたようなシステム同定法を採用することは、当業者が必要に応じて適宜選択しうる設計事項にすぎない。

ウ よって、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明1の構成となすことは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

(3)相違点3について
ア 本願発明における「前記歪みは、1または複数のモード形状で表現され」と「較正された前記レチクル加熱モデルは、入力と前記入力から生じる歪みの関係を記述する1つ以上のモード形状を含む」の「モード形状」は、いずれも「較正された前記レチクル加熱モデル及び前記リソグラフィプロセスにおける入力を使用して」予測される「レチクルの歪み」についての表現(記述)手段を意味していることは明らかであるから、それぞれの「モード形状」は、相互に関係した同種の「モード形状」を意味していると解される。
また、「モード形状」について、本願明細書には「【0043】レチクルの歪みは、・・・モード形状で表すことができる。・・・モード形状を使用する場合、レチクルの特定の位置における歪みを決定するために、レチクルの加熱及び/又は冷却によって生じるレチクルの典型的な変形形状が使用される。」と記載されていることから、「モード形状」とは、熱変形に伴う典型的な変形形状,、つまり、一種のモデル化された変形形状であると解される。

イ ここで、引用発明は、「熱変形量を計算するために、前記レチクルの或る時点における温度分布を、前記レチクルを所定の有限な要素に分解し、各点の温度変化を差分法または有限要素法により計算して求めることにより、前記レチクルの温度分布に依存して発生するレチクルの伸縮(熱変形)を求めることで、レチクルの伸縮に伴う補正を行う手順として、」「各ブロックのパターン存在率、照明光(露光光)の照度、露光装置における空気の温度、レチクルステージの温度等を用いて、所定の計算式によりレチクルの温度分布を算出し、求めた温度分布とレチクルの線膨張係数とから、各ブロックの中心点の相互の距離の変化を求め、レチクル上の各点の変位(伸縮量)を決定」し、「前記レチクルのパターン領域を、それぞれ走査方向(Y方向)、非走査方向(X方向)に複数のブロックに分割し、各ブロックの中心点を定め、当該中心点に関して、変形量の計算値、及び対応する補正量をそれぞれ曲線で表すと、変形量の計算値、及び補正量 は、ゆるやかな凹凸からなる曲線で表」すものである。

ウ また、後記周知文献3?5にそれぞれ記載されているように、リソグラフィ装置の部材について、微動ステージの微小変位(周知文献3)、基板テーブルの歪み(周知文献4)あるいは熱力学的挙動(周知文献5)等をモード形状で表すことは本願の最先の優先日当時の周知の技術事項である。
そして、上記イで説示したように、引用発明において、「所定の計算式によりレチクルの温度分布を算出し、・・・各ブロックの中心点の相互の距離の変化を求め、レチクル上の各点の変位(伸縮量)を決定」していることから、引用発明に上記周知の技術事項を適用して、当該「所定の計算式」にモード形状を含めることにより、「レチクル上の各点の変位」をモード形状で表すようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、引用発明において、「レチクル上の各点の」「変形量の計算値」が、モード形状に近い「ゆるやかな凹凸からなる曲線」であることから見ても、上記のようにモード形状を採用することを妨げるものではない。

エ したがって、引用発明において、上記相違点3に係る本願発明の構成となすことは、当業者が容易になし得たことである。

(4)周知文献
ア 周知文献1(今井純、「熱伝導系の有限次元モデリング-周波数応答データによる可能性集合の特徴づけ」、第50回システム制御情報学会研究発表講演会講演論文集、2006年5月10日発行、p67?68
「熱伝導や拡散現象にかかわる線形時不変系の入力u(t)から観測出y(t)までの伝達関数は1次遅れ系の無限和

のように書かれることが知られている。」(67頁左欄下から6行?下から3行)

イ 周知文献2(特表2013-514510号公報)
「【0050】
実現されたシステムは、一のモデリング技法、すなわち線形時不変技法を用いる。この技法は、ビルの熱応答の三次線形時不変モデルをパラメータ化するための制約最小二乗適合アルゴリズムの使用に基づいて実施される。」

ウ 周知文献3(特開2010-199243号公報)
「【0010】
最良の形態を明確にするため、粗動ステージに対して微動可能な微動ステージの物理モデル、制御帯域評価値を具体的に定式化し、従来例との比較を行う。
【0011】
(モード座標系における運動方程式)
まず、ステージ装置の座標系を定義する。図2に示すように、移動可能な天板(微動ステージ)が固定部に対して平衡状態であるときの重心位置を原点0とし、微動ステージが最短寸法となる方向、即ち微動ステージの厚み方向をz軸とする。そして、座標系を微動ステージの慣性主軸に一致した右手座標系(x,y,z)とする。x軸、y軸、z軸の各軸周りで右ねじ方向の回転軸をそれぞれθx、θy、θzとする。この座標系をステージ座標系と呼ぶことにする。
【0012】
微動ステージの各時刻t、各座標(x,y,z) における(x,y,z)方向の微小変位を表すベクトル場w(x,y,z,t)を式1のように定義する。
【数1】

【0013】
なお、

はp×qの実数行列の集合を意味する。
【0014】
ベクトル場w(x,y,z,t)をモード座標系W(x,y,z)・ξ(t)に変換する。すなわち、w(x,y,z,t)=W(x,y,z)・ξ(t)であり、ξ(t)は式2のn次元モード座標系を意味する。
【数2】

【0015】
また、W(x,y,z)は式3のモード形状を意味する。
【数3】

ここで、引数(x,y,z)はWが定義される座標、添え字x、y、zは変位の方向である。例えばWxi(x,y,z)は、ステージ座標(x,y,z)における第i次モード形状のx方向成分を意味する。ただし、モード形状は数式4の質量正規化条件を満たすものとする。
【数4】

ρは微動ステージの平均密度、即ちJ0/Vである。J0は微動ステージの全質量、Vは微動ステージの全体積、上付き添え字Tは転置、Inはn次の単位行列を意味する。」

エ 周知文献4(特開2012-212881号公報)
「【0045】
[0059] ブラッグ格子22の場所は、基板テーブル6内の関連する変形を高精度に観察できるように選択される。例えば、ブラッグ格子は、基板テーブル6の屈曲及びトルクモード形状などの熱及び/又は動的モード形状の可観察性を最適化するような位置にある。
【0046】
[0060] 基板テーブル6内の様々な場所の決定された歪をコントローラ14内で用いて基板テーブル6が例えばトルク及び/又は屈曲モード形状を含むどの変形モードを受けるかを決定できる。これらの変形モード形状は、図4の制御方式に関連して説明されるように、基板テーブル6内の変形を抑制するためにアクチュエータ22が加える作動力をコントローラ14内で計算する際に有用である。」

オ 周知文献5(特開2013-79939号公報)
「【0081】
[0086] 第1ステップでは、位置測定システムの熱力学的分析が行われる。そのような分析は、システムの熱力学的挙動をそれぞれの負荷(例えば、熱負荷)が適用される時間の関数として決定することを含むことができる。そのような分析は、システムの試験的設定を用いて行うことができるかまたはシミュレーションに基づくことができることに留意されたい。観測された性質から、最も関連性のある変形モードを説明する基本形状のセットを導き出すことができる。これは、例えば、特異値解析または分解、主成分分析またはPOD(固有直交分解)として公知である数学的手法を用いて行うことができる。そのような基本形状のセットは、したがって、発生する負荷状況を基本形状の組み合わせ(例えば、線形重み付き結合)の説明を可能にする。記述した手法を用いて、所望の精度内で説明するためにいくつの基本形状が必要かについて評価を行うことができる。したがって、理想的には、この基本形状の数は、センサのフィードバックを用いて実際の負荷状況を概算または近似するために必要とされるセンサの最小数も示す。上記した分析に基づいて、変形またはドリフトに影響を与える最も重要な動的コンポーネントを識別することができる。したがって、少なくとも動的コンポーネントの数と同じ数のセンサを採用するべきである。」

(5)本願発明が奏する効果について
本願発明により奏する「レチクル加熱は、レチクルの歪みの原因に優性効果をもたらすため、レチクル加熱を生じさせる入力パラメータに起因する歪みを記述するために、モード形状を使用するレチクル加熱モデルを使用することによって、レチクル上の任意の関心位置におけるレチクルの歪みの推定が大幅に改善する可能性がある。」(段落【0074】)という効果は、引用発明において、レチクル上の各点の変位(伸縮量)をモード形状で表現すれば、当然にもたらされる効果である。
また、「その結果、歪み推定を改善するためのレチクルの縁部に沿った追加のアライメントマークは、実質的に対応するオーバーレイ性能を得るためにもはや必要なくなる。これによってリソグラフィ装置のスループットに実質的に正の効果がもたらされる、及び/又は縁部上の追加のマークを使用することによって、レチクルアライメント精度を向上させることができる。」(段落【0074】)という効果は、アライメントマークを設けた場合の効果であって、そもそも、本願発明はアライメントマークを用いることが構成要件とはなっていないし、仮に、上記追加のアライメントマークが必要なくなるという効果を奏するとしても、引用発明において、レチクル上の各点の変位(伸縮量)をモード形状で表現すれば、結果としてもたらされる効果にすぎない。

(6)請求人の主張
ア 請求人の令和3年3月4日に提出された意見書【意見の内容】「3.特許されるべき理由の説明」(理由3:進歩性)において
「しかしながら、審判請求人は、以下のように主張申し上げます。本願では、請求項1に記載の『前記歪みは、1または複数のモード形状で表現され』の構成により、以下の明細書段落0074の下線部に記載されている有利な効果が奏されます。

明細書段落0074
レチクル加熱は、レチクルの歪みの原因に優性効果をもたらすため、レチクル加熱を生じさせる入力パラメータに起因する歪みを記述するために、モード形状を使用するレチクル加熱モデルを使用することによって、レチクル上の任意の関心位置におけるレチクルの歪みの推定が大幅に改善する可能性がある。その結果、歪み推定を改善するためのレチクルの縁部に沿った追加のアライメントマークは、実質的に対応するオーバーレイ性能を得るためにもはや必要なくなる。これによってリソグラフィ装置のスループットに実質的に正の効果がもたらされる、及び/又は縁部上の追加のマークを使用することによって、レチクルアライメント精度を向上させることができる。

よって、本願の当該請求項1に記載の上記の構成は、単なる設計事項でなく、周知技術ではありません。単に(相違点3に関し引用されておりました、)周知技術3ないし5と引用文献1を組み合わせても、本願の構成には到達せず、本願の効果も実現されません。
他の相違点1、2について引用されておりました、引用文献2、周知文献1,2もまた、本願の請求項1記載の上記の構成を何ら開示しておりません。
このように、請求項1に係る発明は、引用文献1、2、周知文献1ないし5に記載された発明から容易になし得るものではありません。」
と主張する。

イ しかしながら、請求人が上記アで主張する効果が格別のものではないことは上記(5)で述べたとおりである。
したがって、上記請求人の主張は採用できない。

(7)小括
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると認められる。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、その最先の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び周知の技術事項に基づいて、その最先の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2021-05-21 
結審通知日 2021-05-24 
審決日 2021-06-04 
出願番号 特願2018-513637(P2018-513637)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G03F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今井 彰  
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 野村 伸雄
松川 直樹
発明の名称 リソグラフィプロセスにおけるレチクル加熱及び/又は冷却の影響を低減する方法  
代理人 江口 昭彦  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 大貫 敏史  
代理人 内藤 和彦  

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