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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1379070
審判番号 不服2021-3060  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-08 
確定日 2021-10-15 
事件の表示 特願2018-502779「共有されたキーを使用する無線デバイスの選択的ペアリング」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月26日国際公開、WO2017/013488、平成30年10月11日国内公表、特表2018-530185〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)7月12日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2015年7月21日 米国、2016年1月11日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年 3月30日付け 拒絶理由通知書
令和2年 7月22日 意見書、手続補正書の提出
令和2年12月24日付け 拒絶査定
令和3年 3月8日 拒絶査定不服審判の請求
令和3年 4月22日付け 拒絶理由通知書(当審)
令和3年 6月18日 意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明について
本願の請求項1ないし32に係る発明は、令和3年6月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし32に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。

「 【請求項1】
ペアリングデバイスにおいて実行される方法であって、該方法は、
該ペアリングデバイスが、通信デバイスからアドバタイジングパケットを受信することと、
該ペアリングデバイスが、該アドバタイジングパケットが共有されたキーを含むか否かをチェックすることと、
該アドバタイジングパケットが該共有されたキーを含む場合には、該ペアリングデバイスが、該アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該ペアリングデバイスに格納されている共有されたキーと一致するか否かをチェックすることと、
該アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該ペアリングデバイスに格納されている共有されたキーと一致する場合には、該ペアリングデバイスが、該アドバタイジングパケットに応答することによって該ペアリングデバイスと該通信デバイスとの間の通信を確立することと、
該アドバタイジングパケットが該共有されたキーを含まない場合、または、該アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該ペアリングデバイスに格納されている共有されたキーと一致しない場合には、該ペアリングデバイスが、該アドバタイジングパケットに応答しないことと
を含む、方法。」

第3 拒絶の理由
令和3年4月22日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)は、
「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」
という理由を含むものであり、特許請求の範囲の請求項1に対して次の引用例が引用されている。

引用例:特開2005-204123号公報

第4 引用発明及び周知事項について
1.引用例について
当審拒絶理由で引用された特開2005-204123号公報(以下、「引用例」という。)には、次の記載がある。(下線は当審が付与。)

(1)「【0027】
図1に示すように、本発明の実施の形態1における無線ネットワークシステムには、第1の無線ネットワーク2と第2の無線ネットワーク4の二つの無線ネットワークが含まれている。第1の無線ネットワーク2には、電子装置であるコードレス電話機の親機3と、第2の無線ネットワーク4との間の中継装置として動作するリピータ5と、第2の無線ネットワーク4内で通話をしている移動体電子装置であるコードレス電話機の子機6aとを有している。また第1の無線ネットワーク2には、その他の電子装置として、携帯電話7や、通信機能を有するデジタルカメラ8や、親機3の子機6bなどが、通信を行っている。
(略)
【0029】
コードレス電話機の親機3と、リピータ5と、子機6と、携帯電話7と、デジタルカメラ8と、子機6は、ブルートゥースの規格に準拠した手順で通信を行っている。従って、ブルートゥースでは、第1の無線ネットワーク2と第2の無線ネットワーク4のような通信ネットワークをピコネットと呼んでいる。
(略)
【0032】
また、親機3及び子機6a,6b,6cは、同じメーカであるA社製のコードレス電話機の親機及び子機であり、これら親機及び子機はコードレス電話機として1セットである。また、リピータ5およびデジタルカメラ8もA社製とし、携帯電話7はB社製とする。」

(2)「【0053】
以上のように構成される本発明の実施の形態に係る移動体電子装置の動作を図に基づいて説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る移動体電子装置の動作を説明する図である。なお、子機6aはまだ、どこの無線ネットワークであるピコネットとも同期を取っていない状態である。
【0054】
まず、子機6aは、リピータに対して、ピコネット内の同期をとるため、「問い合わせ」であるInquiryパケットを送信する。その際のInquiryパケットは、子機6aが接続可能なピコネット内の全ての電子装置が対象となるよう、「問い合わせアクセスコード」であるGIAC(General Inquiry Access Code)を示すブルートゥースアドレス(BD_ADDR)をパケットの先頭部であるアクセスコードに格納して送信される。しかし、ピコネット内の子機6aから送信されたInquiryパケットは、リピータ5 および親機3 へ到達しているが、周波数ホッピングで通信を行っているため、問い合わせ周波数ホッピングパターンが合わなければ応答はない(S10)。
(略)
【0056】
次に、再度、子機6は、Inquiryパケットを送信するが、今度は各電子装置が任意に決定することができるブルートゥースアドレスを使用してInquiryパケットを送信する。すなわち子機6は、接続対象装置を絞り込んだ「問い合わせアクセスコード」であるDIAC(Dedicated Inquiry Access Code)をパケットに付加して送信を試みる。
【0057】
子機6aおよび親機3やリピータ5は同じA社製なので、互いにDIACを待っている。また子機6aは、同じA社製のリピータ5のブルートゥースアドレスが予め判っている。従って子機6aは、通信制御部21に設定されたA社製のリピータ5のブルートゥースアドレスを使用したDIACをInquiryパケットとして、前述のGIACと同様に通信制御部21が送信パケット生成部37へ送信指示を出すことで送信することができる。
【0058】
これにより、A社製の子機6aから発したInquiryに対してはリピータ5を始めとする同じA社製の電子装置のみが応答するため、それだけ通信相手である電子装置がInquiryパケットを受信できる確率が高くなり、通信確立が早くなる。子機6aはこのDIACを用いたInquiryパケットを数回繰り返して送信する(S20)。
【0059】
S20の最後で送信したInquiryパケットにリピータ5が受信することができた場合、Inquiryパケットに対する応答パケットであるInquiry_resパケットをリピータ5が送信する(S30)。
【0060】
このデータパケットであるInquiry_resパケットは、受信パケット処理部18のデータパケット処理部34にて処理され、データバッファに格納され、通信制御部21で解析されて、次のステップである「呼び出し」(Page)のパケットを送信するため、通信制御部21から送信パケット処理部24の送信パケット生成部37へ「呼び出し」のパケットの送信指示を出す。
【0061】
そして、子機6aはリピータ5との無線ネットワークであるピコネットでの同期をはかるため、子機6aとリピータ5の間で「呼び出し」や「呼び出し応答」(Page_res)が行われ、子機6aは、リピータ5の内部クロックを子機6aに同期させるために、ブルートゥースクロックの情報をリピータ5へ通知する(S40)。」

(3)「【0099】
操作者によってリピータ5が選択されたことが通知された通信制御部21は、リピータ5に対して通信開始し、図3のS130で示されるように、「呼び出し」や「呼び出し応答」であるPageやPage_resから通信を始める。これは、S40によりブルートゥースクロックの通知を受けているため周波数ホッピングのパターンが判っているため、「呼び出し」や「呼び出し応答」から開始することができる。S130以降は、通常の接続手順で子機6aとリピータ5間で通信を行い、操作者が会話を開始する。」

(4)図3


上記記載及び当業者における技術常識からみて、引用例には以下の技術的事項が記載されている。
ア.上記(1)の段落29に「コードレス電話機の親機3と、リピータ5と、子機6と、携帯電話7と、デジタルカメラ8と、子機6は、ブルートゥースの規格に準拠した手順で通信を行っている。」と記載されていることから、携帯電話7はブルートゥースの規格に準拠した手順で通信する携帯電話7である。
また、上記(1)の段落32に「携帯電話7はB社製とする。」と記載されていることから、B社製の携帯電話7といえる。
そして、引用例では携帯電話7の動作が読み取れることから、ブルートゥースの規格に準拠した手順で通信するB社製の携帯電話7において実行される方法が記載されているといえる。

イ.上記(2)の段落54に「子機6aは、・・・「問い合わせ」であるInquiryパケットを送信する。その際のInquiryパケットは、子機6aが接続可能なピコネット内の全ての電子装置が対象となるよう、・・・送信される。」及び段落56に「再度、子機6は、Inquiryパケットを送信するが、今度は各電子装置が任意に決定することができるブルートゥースアドレスを使用してInquiryパケットを送信する。」と記載され、段落27に「無線ネットワークシステムには、第1の無線ネットワーク2と第2の無線ネットワーク4の二つの無線ネットワークが含まれている。第1の無線ネットワーク2には、・・・第2の無線ネットワーク4内で通話をしている移動体電子装置であるコードレス電話機の子機6aとを有している。また第1の無線ネットワーク2には、・・・携帯電話7・・・が、通信を行っている。」及び段落29に「子機6と、携帯電話7・・・は、ブルートゥースの規格に準拠した手順で通信を行っている。従って、ブルートゥースでは、第1の無線ネットワーク2と第2の無線ネットワーク4のような通信ネットワークをピコネットと呼んでいる。」と記載されていることから、Inquiryパケットはピコネット内の電子装置に送信されるものであって,ピコネット内の電子機器として携帯電話7があるから,携帯電話7がInquiryパケットを受信するといえる。
よって、携帯電話7が、子機6からのInquiryパケットを受信するといえる。

ウ.上記(2)の段落54に「子機6aは、・・・「問い合わせ」であるInquiryパケットを送信する。その際のInquiryパケットは、子機6aが接続可能なピコネット内の全ての電子装置が対象となるよう、「問い合わせアクセスコード」であるGIAC(General Inquiry Access Code)を示すブルートゥースアドレス(BD_ADDR)をパケットの先頭部であるアクセスコードに格納して送信される。」と記載されていることから、「問い合わせアクセスコード」であるGIACを格納したInquiryパケットは全ての電子装置が送信対象となっている。ここで、ブルートゥースの規格ではInquiryパケットの送信対象となった装置が応答を返すことは技術常識であるから、全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを格納したInquiryパケットに対しては全ての電子装置が応答するといえる。
また、上記(2)の段落56に「再度、子機6は、Inquiryパケットを送信するが、今度は各電子装置が任意に決定することができるブルートゥースアドレスを使用してInquiryパケットを送信する。すなわち子機6は、接続対象装置を絞り込んだ「問い合わせアクセスコード」であるDIAC(Dedicated Inquiry Access Code)をパケットに付加して送信を試みる。」、段落57に「子機6aおよび親機3やリピータ5は同じA社製なので、互いにDIACを待っている。」及び段落58に「A社製の子機6aから発したInquiryに対してはリピータ5を始めとする同じA社製の電子装置のみが応答する」と記載されていることから、全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを格納したInquiryパケットに対しては全ての電子装置が応答するのに対し、A社製の電子装置のみが送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるDIACを付加したInquiryパケットに対しては同じA社製の電子装置のみが応答する。
ここで、段落56に「再度、子機6は、Inquiryパケットを送信するが、今度は各電子装置が任意に決定することができるブルートゥースアドレスを使用してInquiryパケットを送信する。すなわち子機6は、接続対象装置を絞り込んだ「問い合わせアクセスコード」であるDIAC(Dedicated Inquiry Access Code)をパケットに付加して送信を試みる。」と記載されていることから、GIACを格納したInquiryパケットもGIACを付加したInquiryパケットといえることは明らかである。
そして、上記(1)の段落32に「携帯電話7はB社製とする。」と記載されていることから、B社製の携帯電話7は、全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを付加したInquiryパケットに対しては応答するが、A社製の電子装置のみが送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるDIACを付加したInquiryパケットに対しては応答しないといえる。

以上を総合すると、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 ブルートゥースの規格に準拠した手順で通信するB社製の携帯電話7において実行される方法であって、該方法は、
携帯電話7が、子機6からのInquiryパケットを受信することと、
携帯電話7は、全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを付加したInquiryパケットに対しては応答するが、A社製の電子装置のみが送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるDIACを付加したInquiryパケットに対しては応答しないことと
を含む、方法。」

2.周知事項について
(1)特開2007-329768号公報には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)

「【0023】
次に、上述した図3のステップS103の各通信端末の端末用識別情報を取得する処理について、図5Aに基づいて詳述する。ここでは、携帯電話10と通信端末20との間の処理について説明するが、携帯電話10と他の各通信端末21、22との間の処理もこれと同様である。
まず、携帯電話10(制御部106)は、例えば、Bluetooth(登録商標)の通信方式に基づいて、通信端末20との間の通信を確立する(S201)。
そして、携帯電話10(制御部106)は、通信を確立した通信端末20に対して、その端末用識別情報の要求を行う(S202)。
当該要求の応答として、通信端末20(処理部206)、あらかじめ割り当てられている端末用識別情報を記憶部103から読み出して、携帯電話10に送信する(S203)。
【0024】
次に、上述した図5AのステップS201の通信の確立処理について図5Bに基づいて詳述する。ここでも、携帯電話10と通信端末20との間の処理について説明するが、携帯電話10と他の各通信端末21、22との間の処理も同様である。
このときの前提として、携帯電話10および通信端末20は、パケットの送受信が行われていない状態、すなわちStandby状態S30にあるものとする。
【0025】
その後、携帯電話10は、通信の基準となる周波数やタイミングを制御するマスタ機器として、このマスタ機器に同期するスレーブ機器となる通信端末20と無線接続する。この場合、携帯電話10の制御部106は、上述したスレーブ機器となるデバイスを認識するために、IQパケットをブロードキャストする(S301:Inquiry状態S31)。このとき、IQパケットのアクセスコードとして、IAC(Inquiry Access Code)が用いられる。
なお、IACには、GIAC(General IAC)とDIAC(Dedicated IAC)の2種類が存在するが、いずれのIACを用いてもよい。なお、GIACは、すべてのデバイスで共有するアクセスコードであり、DIACは、特定のグループ内でのみ共有されるアクセスコードである。
【0026】
上述したブロードキャストによりIQパケットを受信した通信端末20は、その属性情報を示すためのFHSパケットを携帯電話10に送信する(S302:Inquiry状態S31)。この送信は、繰り返し行われる。なお、上述した属性情報には、通信端末20のデバイスの種類やBluetooth(登録商標)アドレス、Bluetooth(登録商標)クロックなどがある。
【0027】
FHSパケットを受信した携帯電話10は、そのFHSパケットに含まれる属性情報に基づいて、通信端末20に対して、IDパケットを送信する(S303:Page状態S32)。具体的には、携帯電話10は、FHSパケットに含まれる通信端末20のBluetooth(登録商標)アドレスに基づいて、IDパケットを送信する。
当該IDパケットを受信した通信端末20は、そのIDパケットと同一のIDパケットを携帯電話10に送信する(S304:Page状態S32)。これにより、通信端末20は、携帯電話10からのIDパケットを受信した旨の確認情報を通知する。
【0028】
携帯電話10は、Bluetooth(登録商標)アドレスおよびBluetooth(登録商標)クロックを通知するために、FHSパケットを通信端末20に送信する(S305:Page状態S32)。
FHSパケットを受信した通信端末20は、IDパケットを携帯電話10に送信する(S306:Page状態S32)。これにより、通信端末20は、携帯電話10からのFHSパケットを受信した旨の確認情報を通知する。
【0029】
このような通信手順を経て、携帯電話10と通信端末20との間の通信が確立し(S307:Active状態S33)、携帯電話10と通信端末20を含む通信端末(図1の通信端末21、22)とからなるピコネットが形成される。これにより、携帯電話10と各通信端末20、21、22とは、通信可能なActive状態S33となる。」

(2)特表2003-516033号公報には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)
「【0012】
アドホック・ネットワーク技術における重要な機能は、周辺探索機能である。これはまたBluetoothにおいてもそうである。この周辺探索機能なしでは、BTユニットは、通信の対象となる他のBTユニットを見るけることはできない。従って、アドホック・ネットワークが形成されることもない。Bluetoothにおける周辺探索プロシージャには、INQUIRY(問い合わせ)メッセージとINQUIRY RESPONSE(問い合わせに対する応答)メッセージが含まれている。無線カバレッジ内において隣接するBTユニットを探索したいと望むBTユニットは、規定されたタイミングと周波数シーケンスに従って、繰り返しINQUIRYメッセージを送信し、INQUIRY REPONSEメッセージをリッスンする。INQUIRYメッセージには、問い合わせアクセスコードだけが含まれている。問い合わせアクセスコードには、一般問い合わせアクセスコード(GIAC)又は専用問い合わせアクセスコード(DIAC)とがある。GIACは近隣のいずれかのBTユニットを探索するために送信され、DIACは、特定のDIACが割り当てられたあるタイプのBTユニットを探索するために送信される。
【0013】
GIAC又はDIACを含んだINQUIRYメッセージを受信するとBTユニットは、INQUIRY RESPONSEメッセージを用いて応答する。INQUIRY RESPONSEメッセージは、実際のところ、周波数ホッピング同期(FHS)パケットである。Bluetoothでは、FHSパケットを様々な目的に使用しており、例えば、名称が示すように周波数ホップチャネルシーケンスの同期に使用している。INQUIRY RESPONSEメッセージを受信することによって、INQUIRY(問い合わせ)処理を開始したBTユニットは、隣接BTユニットのBD_ADDRと内部クロック値を収集する。これらは、ともにFHSパケットに含まれている。
【0014】
INQUIRYプロシージャに関連するものとして、PAGE(呼び出し)プロシージャがある。PAGEプロシージャは、2つのBTユニット間で実際のコネクションを確立するために使用されるプロシージャである。INQUIRYプロシージャの実行結果として、一旦、隣接BTユニットのBD_ADDRが取得できれば、PAGEメッセージを使用することで隣接BTユニットを呼び出すことが可能となる。呼び出されているBTユニットの内部クロック値を知ることで、PAGEプロシージャをスピードアップできる。これは、隣接BTユニットがPAGEメッセージをリッスンするタイミングと周波数ホップチャネルとを、呼び出す側のユニットが推定できるようになるからである。PAGEメッセージは、デバイスアクセスコード(DAC)を含んでおり、これは呼び出されるBTユニットのBD_ADDRから導き出される。DACを含むPAGEメッセージを受信したBTユニットは、同一のパケットを用いて応答する。呼び出す側のBTユニットは、FHSパケットを用いて返答する。このFHSパケットには、呼び出す側のBTユニットのBD_ADDR、その現在の内部クロック値、呼び出される側のBTユニットに割り当てられたAM_ADDR及び他のパラメータが含まれている。呼び出されるBTユニットは、もう一度DACを用いて応答し、二つのBTユニット間のコネクションが確立される。」

ア.上記(1)の段落23に「携帯電話10(制御部106)は、例えば、Bluetooth(登録商標)の通信方式に基づいて、通信端末20との間の通信を確立する」と記載され、更に、段落25に「携帯電話10の制御部106は、・・・IQパケットをブロードキャストする(S301:Inquiry状態S31)。このとき、IQパケットのアクセスコードとして、IAC(Inquiry Access Code)が用いられる。・・・IACには、GIAC(General IAC)とDIAC(Dedicated IAC)の2種類が存在するが、いずれのIACを用いてもよい。なお、GIACは、すべてのデバイスで共有するアクセスコードであり、DIACは、特定のグループ内でのみ共有されるアクセスコードである。」と記載されている。ここで、「いずれのIACを用いてもよい。」と記載されていることからGIACのみを使ってもよいことが読み取れる。よって、Bluetoothの通信方式のIQパケットのアクセスコードとして、GIACのみを用いてもよいことが記載されているといえる。
そして、上記(1)の段落26の「上述したブロードキャストによりIQパケットを受信した通信端末20は、その属性情報を示すためのFHSパケットを携帯電話10に送信する(S302:Inquiry状態S31)。」との記載、及び、段落29の「このような通信手順を経て、携帯電話10と通信端末20との間の通信が確立」との記載によれば、IQパケット送信とIQパケットに対する応答とが行われ、2つの装置間の通信が確立することが記載されているといえる。
よって、上記(1)には、Bluetoothの通信方式において、アクセスコードとしてGIACのみを用いたIQパケットを受信した装置は、IQパケットに対する応答をし、2つの装置間で通信が確立することが記載されているといえる。そして、IQパケットがINQUIRYメッセージのことであり、IQパケットに対する応答がINQUIRY RESPONSEメッセージであることは明らかであるから、Bluetoothの通信方式において、GIACのみを含んだINQUIRYメッセージを受信すると受信したデバイスは、INQUIRY RESPONSEメッセージを用いて応答し、二つのBTユニット間のコネクションが確立することが記載されているといえる。

イ.上記(2)の段落13に「GIAC又はDIACを含んだINQUIRYメッセージを受信するとBTユニットは、INQUIRY RESPONSEメッセージを用いて応答する。」と記載されていることから、GIACのみを含んだINQUIRYメッセージを受信するとBTユニットは、INQUIRY RESPONSEメッセージを用いて応答することが記載されているといえる。
そして、上記(2)の段落12に「Bluetoothにおける周辺探索プロシージャには、INQUIRY(問い合わせ)メッセージとINQUIRY RESPONSE(問い合わせに対する応答)メッセージが含まれている。無線カバレッジ内において隣接するBTユニットを探索したいと望むBTユニットは、・・・INQUIRYメッセージを送信し、INQUIRY REPONSEメッセージをリッスンする。INQUIRYメッセージには、問い合わせアクセスコードだけが含まれている。問い合わせアクセスコードには、一般問い合わせアクセスコード(GIAC)又は専用問い合わせアクセスコード(DIAC)とがある。GIACは近隣のいずれかのBTユニットを探索するために送信され、DIACは、特定のDIACが割り当てられたあるタイプのBTユニットを探索するために送信される。」と記載されていることから、Bluetoothにおける周辺探索プロシージャには、INQUIRY(問い合わせ)メッセージとINQUIRY RESPONSE(問い合わせに対する応答)メッセージが含まれている。
よって、Bluetoothにおける周辺探索プロシージャには、INQUIRY(問い合わせ)メッセージとINQUIRY RESPONSE(問い合わせに対する応答)メッセージが含まれ、GIACのみを含んだINQUIRYメッセージを受信するとBTユニットは、INQUIRY RESPONSEメッセージを用いて応答することが記載されているといえる。
そして、上記(2)の段落14に「INQUIRYプロシージャに関連するものとして、PAGE(呼び出し)プロシージャがある。PAGEプロシージャは、2つのBTユニット間で実際のコネクションを確立するために使用されるプロシージャである。・・・二つのBTユニット間のコネクションが確立される。」と記載されていることから、INQUIRYプロシージャに関連してPAGEプロシージャを行うことで二つのBTユニット間のコネクションが確立することが記載されているといえる。よって、Bluetoothにおける周辺探索プロシージャであるINQUIRY(問い合わせ)メッセージとINQUIRY RESPONSE(問い合わせに対する応答)メッセージのやりとりが行われ、二つのBTユニット間のコネクションが確立することが記載されているといえる。
以上のことから、上記(2)には、Bluetooth通信方式における周辺探索プロシージャには、INQUIRY(問い合わせ)メッセージとINQUIRY RESPONSE(問い合わせに対する応答)メッセージが含まれ、GIACのみを含んだINQUIRYメッセージを受信するとBTユニットは、INQUIRY RESPONSEメッセージを用いて応答し、二つのBTユニット間のコネクションが確立することが記載されているといえる。

したがって、上記ア及びイによれば、次の技術的事項(以下、「周知事項」という。)は周知であると認められる。

「Bluetoothの通信方式において、GIACのみを含んだINQUIRYメッセージを受信すると受信したデバイスは、INQUIRY RESPONSEメッセージを用いて応答し、二つのBTユニット間のコネクションが確立する。」

第5 対比及び判断
本願発明と引用発明とを対比する。

1.引用発明の「携帯電話7」は、デバイスといえることから、本願発明の「ペアリングデバイス」と引用発明の「携帯電話7」は「デバイス」である点で共通する。
また、引用発明の「子機6」は、携帯電話7と通信するデバイスといえることから、本願発明の「通信デバイス」に相当する。
そして、引用発明の「Inquiryパケット」は1つのデバイスを宛先として特定して送信しているパケットではないので周囲のデバイスに向けたパケットといえ、また、Inquiryパケットを受信したデバイスではInquiryパケットを受信することでInquiryパケットを送信するデバイスが周囲に存在していることが認識されるのであるから、引用発明の「Inquiryパケット」はInquiryパケットを送信するデバイスの存在を周囲のデバイスに知らせる広告パケットであるといえることから、引用発明の「Inquiryパケット」は、広告パケットであるアドバタイジングパケットに含まれる。よって、引用発明の「Inquiryパケット」は、本願発明の「アドバタイジングパケット」に含まれる。

2.上記「1」で説示したように、本願発明の「ペアリングデバイス」と引用発明の「携帯電話7」は「デバイス」である点で共通することから、本願発明の「ペアリングデバイスにおいて実行される方法」と引用発明の「携帯電話7において実行される方法」とは、「デバイスにおいて実行される方法」である点で共通する。

3.上記「1」で説示したように、本願発明の「ペアリングデバイス」と引用発明の「携帯電話7」は「デバイス」である点で共通し、引用発明の「子機6」は本願発明の「通信デバイス」に相当し、引用発明の「Inquiryパケット」は本願発明の「アドバタイジングパケット」に含まれることから、本願発明の「該ペアリングデバイスが、通信デバイスからアドバタイジングパケットを受信すること」と引用発明の「携帯電話7が、子機6からのInquiryパケットを受信すること」は、「デバイスが、通信デバイスからアドバタイジングパケットを受信する」点で共通する。

4.引用発明では「携帯電話7は、全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを付加したInquiryパケットに対しては応答するが、A社製の電子装置のみが送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるDIACを付加したInquiryパケットに対しては応答しない」ことから、携帯電話7が、InquiryパケットがGIACを含むか否かをチェックして応答するかしないか判断しているといえる。そして、InquiryパケットがGIACを含むか否かをチェックするということはInquiryパケットが「問い合わせアクセスコード」を含むか否かもチェックしているといえる。よって、引用発明の携帯電話7が、Inquiryパケットが「問い合わせアクセスコード」を含むか否かをチェックしているといえる。
そして、上記「1」で説示したように、本願発明の「ペアリングデバイス」と引用発明の「携帯電話7」は「デバイス」である点で共通し、引用発明の「Inquiryパケット」は本願発明の「アドバタイジングパケット」に含まれる。
また、引用発明の「問い合わせアクセスコード」は、GIACでは全ての電子装置が送信対象であり、DIACではA社製の電子装置のみが送信対象であることから、複数の電子装置で「共有されたキー」といえる。よって、引用発明の携帯電話7が行う、Inquiryパケットが「問い合わせアクセスコード」を含むか否かをチェックすることは、本願発明の「アドバタイジングパケットが「共有されたキー」に含むか否かをチェックすること」に含まれる。
したがって、本願発明の「該ペアリングデバイスが、該アドバタイジングパケットが共有されたキーを含むか否かをチェックする」ことと、引用発明の「携帯電話7は、全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを付加したInquiryパケットに対しては応答するが、A社製の電子装置のみが送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるDIACを付加したInquiryパケットに対しては応答しない」ことは、「デバイスが、アドバタイジングパケットが共有されたキーを含むか否かをチェックする」点で共通する。

5.引用発明では「携帯電話7は、全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを付加したInquiryパケットに対しては応答するが、A社製の電子装置のみが送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるDIACを付加したInquiryパケットに対しては応答しない」ことから、携帯電話7が、InquiryパケットがGIACを含むか否かをチェックして応答するかしないか判断しているといえる。そして、携帯電話7が、InquiryパケットがGIACを含むか否かをチェックする上では、当該GIACが携帯電話7に格納されている必要があることは明らかである。してみれば、引用発明の携帯電話7が、InquiryパケットがGIACを含むかチェックすることは、Inquiryパケットが「問い合わせアクセスコード」を含む場合には、携帯電話7が、Inquiryパケットに付加した「問い合わせアクセスコード」が「携帯電話7に格納されている「問い合わせアクセスコード」であるGIAC」と一致するか否かチェックすることであるといえる。
ここで、上記「1」で説示したように、本願発明の「ペアリングデバイス」と引用発明の「携帯電話7」は「デバイス」である点で共通し、引用発明の「Inquiryパケット」は本願発明の「アドバタイジングパケット」に含まれる。
また、上記「4」で説示したように、引用発明の「問い合わせアクセスコード」は、複数の電子装置で「共有されたキー」といえることから、引用発明の『Inquiryパケットに付加した「問い合わせアクセスコード」』は、本願発明の「アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキー」に含まれる。
そして、引用発明のGIACも、全ての電子装置が対象となる「問い合わせアクセスコード」であって,複数の電子装置で「共有されたキー」といえることから、引用発明における「携帯電話7に格納されている「問い合わせアクセスコード」であるGIAC」は、本願発明と、「デバイスに格納されている共有されたキー」である点で共通する。
よって、引用発明においてInquiryパケットが「問い合わせアクセスコード」を含む場合は、本願発明の「アドバタイジングパケットが共有されたキーを含む場合」に含まれる。そして、引用発明のInquiryパケットに付加した「問い合わせアクセスコード」が「携帯電話7に格納されている「問い合わせアクセスコード」であるGIAC」と一致するか否かチェックすること、本願発明の「アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該ペアリングデバイスに格納されている共有されたキーと一致するか否かをチェックすること」とは、「アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、デバイスに格納されている共有されたキーと一致するか否かをチェックする」点で共通する。
よって、本願発明の「該アドバタイジングパケットが該共有されたキーを含む場合には、該ペアリングデバイスが、該アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該ペアリングデバイスに格納されている共有されたキーと一致するか否かをチェックする」ことと、引用発明の「携帯電話7は、全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを付加したInquiryパケットに対しては応答するが、A社製の電子装置のみが送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるDIACを付加したInquiryパケットに対しては応答しない」ことは、「アドバタイジングパケットが共有されたキーを含む場合には、デバイスが、該アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該デバイスに格納されている共有されたキーと一致するか否かをチェックする」点で共通する。

6.引用発明の「携帯電話7は、全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを付加したInquiryパケットに対しては応答する」ことは、Inquiryパケットに付加した「問い合わせアクセスコード」が、携帯電話7に格納されている「問い合わせアクセスコード」であるGIACと一致する場合には、携帯電話7が、Inquiryパケットに応答するといえる。
ここで、上記「1」で説示したように、本願発明の「ペアリングデバイス」と引用発明の「携帯電話7」は「デバイス」である点で共通し、引用発明の「Inquiryパケット」は本願発明の「アドバタイジングパケット」に含まれる。
また、上記「5」で説示したように、引用発明の『Inquiryパケットに付加した「問い合わせアクセスコード」』は、本願発明の「アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキー」に含まれ、引用発明における「携帯電話7に格納されている「問い合わせアクセスコード」であるGIAC」は、本願発明と、「デバイスに格納されている共有されたキー」である点で共通する。
よって、本願発明の「該アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該ペアリングデバイスに格納されている共有されたキーと一致する場合には、該ペアリングデバイスが、該アドバタイジングパケットに応答する」ことと、引用発明の「全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを付加したInquiryパケットに対しては応答する」ことは、「アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、デバイスに格納されている共有されたキーと一致する場合には、該デバイスが、該アドバタイジングパケットに応答する」点で共通する。

7.引用発明の「B社製の」「携帯電話7は、」「A社製の電子装置のみが送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるDIACを付加したInquiryパケットに対しては応答しない」ことは、Inquiryパケットに付加した問い合わせアクセスコードが、携帯電話7に格納されている「問い合わせアクセスコード」と一致しない場合には、携帯電話7が、Inquiryパケットに応答しないことといえる。
ここで、上記「1」で説示したように、本願発明の「ペアリングデバイス」と引用発明の「携帯電話7」は「デバイス」である点で共通し、引用発明の「Inquiryパケット」は本願発明の「アドバタイジングパケット」に含まれる。
また、上記「5」で説示したように、引用発明の『Inquiryパケットに付加した「問い合わせアクセスコード」』は、本願発明の「アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキー」に含まれ、引用発明における「携帯電話7に格納されている「問い合わせアクセスコード」であるGIAC」は、本願発明と、「デバイスに格納されている共有されたキー」である点で共通する。
よって、本願発明と引用発明では、「アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該デバイスに格納されている共有されたキーと一致しない場合には、該デバイスが、該アドバタイジングパケットに応答しない」点で共通する。

そして、本願発明では「該アドバタイジングパケットが該共有されたキーを含まない場合、または、該アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該ペアリングデバイスに格納されている共有されたキーと一致しない場合」と択一的記載であるから、「該アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該ペアリングデバイスに格納されている共有されたキーと一致しない場合」は「該アドバタイジングパケットが該共有されたキーを含まない場合、または、該アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該ペアリングデバイスに格納されている共有されたキーと一致しない場合」に含まれる。

よって、本願発明と引用発明とは、「アドバタイジングパケットが共有されたキーを含まない場合、または、該アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、デバイスに格納されている共有されたキーと一致しない場合には、該デバイスが、該アドバタイジングパケットに応答しない」点で共通する。

以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「 デバイスにおいて実行される方法であって、該方法は、
該デバイスが、通信デバイスからアドバタイジングパケットを受信することと、
該デバイスが、該アドバタイジングパケットが共有されたキーを含むか否かをチェックすることと、
該アドバタイジングパケットが該共有されたキーを含む場合には、該デバイスが、該アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該デバイスに格納されている共有されたキーと一致するか否かをチェックすることと、
該アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該デバイスに格納されている共有されたキーと一致する場合には、該デバイスが、該アドバタイジングパケットに応答することと、
該アドバタイジングパケットが該共有されたキーを含まない場合、または、該アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該デバイスに格納されている共有されたキーと一致しない場合には、該デバイスが、該アドバタイジングパケットに応答しないことと
を含む、方法。」

(相違点)
本願発明では、「ペアリングデバイス」であって、「該ペアリングデバイスが、該アドバタイジングパケットに応答することによって該ペアリングデバイスと該通信デバイスとの間の通信を確立する」のに対し、引用発明では、携帯電話7であって、携帯電話7は全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを付加したInquiryパケットに対しては応答するが、その後、子機6と通信を確立することは特定されていない。

以下、相違点について検討する。
上記「第4 引用発明及び周知事項について」の「1.引用例について」の(3)に「図3のS130で示されるように、「呼び出し」や「呼び出し応答」であるPageやPage_resから通信を始める。・・・S130以降は、通常の接続手順で子機6aとリピータ5間で通信を行い、操作者が会話を開始する。」と記載されており、更に、(4)の図3によれば、Inquiryパケットに対する応答であるS30やS90の後にS130が行われることが読み取れることから、Inquiryパケットに対する応答後にPageやPage_resの通信を行うことで、Inquiryパケットを送信したデバイスとInquiryパケットに対する応答を送信したデバイスとがペアリングを構成し通信することは、引用発明において明らかに行われる事項である。よって、引用発明において、携帯電話7は全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを付加したInquiryパケットに対しては応答することによって子機6との通信を確立することは明らかである。また、上記「第4 引用発明及び周知事項について」の「1.引用例について」の(3)や(4)の記載に基づき、引用発明における携帯電話7において、全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを付加したInquiryパケットに対して応答することによって子機6との通信を確立することは当業者が容易に想到し得たものである。
また、上記「第4 引用発明及び周知事項について」「2.周知事項について」で認定したように「Bluetoothの通信方式において、GIACのみを含んだINQUIRYメッセージを受信すると受信したデバイスは、INQUIRY RESPONSEメッセージを用いて応答し、二つのBTユニット間のコネクションが確立する。」ことは周知事項である。よって、引用発明において、周知事項に基づいて、携帯電話7は全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを付加したInquiryパケットに対しては応答することによって子機6との通信を確立することは当業者が容易に想到し得たものである。
そして、引用発明における携帯電話7は、全ての電子装置が送信対象となる「問い合わせアクセスコード」であるGIACを付加したInquiryパケットに対して応答することによって子機6と通信を確立しており、この通信を確立することをペアリングを行うということはBluetoothにおいて明らかであるから、Bluetoothで通信する携帯電話7をペアリングデバイスということもできることは自明であるし、また、当業者が容易に想到し得た事項にすぎない。

したがって、本願発明は引用発明であるし、又は、引用発明において引用例の(3)及び(4)の記載又は上記周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

ここで、令和3年6月18日の意見書において、審判請求人は、「補正後の請求項1に係る発明では、「共有されたキー」の一致によってペアリングデバイスと通信デバイスとの間の通信が確立されるのに対して、引用例4に記載された発明では、Bluetoothの規格に則って、「GIAC」および「DIAC」という2つのアクセスコードを利用してA社製の子機6とB社製の電子装置との間の通信が確立される点で、両者は根本的に相違しています。」、及び「「GIAC」のみを利用して電子装置間の通信の確立を達成することができないことはBluetoothの規格に鑑みても明らかです。」と主張している。(なお、ここでの引用例4は「第4 引用発明及び周知事項について」の「1.引用例について」の引用例のことである。)

請求人の上記主張について検討すると、まず、上記「6.」において検討したように、本願発明と引用発明は、「該アドバタイジングパケットに含まれる共有されたキーが、該デバイスに格納されている共有されたキーと一致する場合には、該デバイスが、該アドバタイジングパケットに応答する」点で共通し、上記相違点について検討したように、引用発明においてInquiryパケットに対する応答後にPageやPage_resの通信を行うことで、Inquiryパケットを送信したデバイスとInquiryパケットに対する応答を送信したデバイスとがペアリングを構成し通信することは、引用発明において明らかに行われる事項であるし、又は、当業者が容易に想到し得た事項にすぎない。
よって、審判請求人が主張する「補正後の請求項1に係る発明では、「共有されたキー」の一致によってペアリングデバイスと通信デバイスとの間の通信が確立される」点は、引用発明において明らかに行われているし、または、当業者が容易に想到し得たものである。

また、審判請求人は「引用例4に記載された発明では、Bluetoothの規格に則って、「GIAC」および「DIAC」という2つのアクセスコードを利用してA社製の子機6とB社製の電子装置との間の通信が確立される」と主張しているが、引用例4において「GIAC」および「DIAC」という2つのアクセスコードを利用してA社製の子機6とB社製の電子装置との間の通信が確立されるとは引用例には記載されておらず、当該主張は採用できない。

そして、審判請求人は、「「GIAC」のみを利用して電子装置間の通信の確立を達成することができないことはBluetoothの規格に鑑みても明らかです。」と主張している。
しかしながら、上記「第4 引用発明及び周知事項について」「2.周知事項について」で認定したように「Bluetoothの通信方式において、GIACのみを含んだINQUIRYメッセージを受信すると受信したデバイスは、INQUIRY RESPONSEメッセージを用いて応答し、二つのBTユニット間のコネクションが確立する。」ことは周知事項である。
よって、周知事項によれば、Bluetoothの通信方式において「「GIAC」のみを利用して電子装置間の通信の確立を達成することは可能であるから、審判請求人の「「GIAC」のみを利用して電子装置間の通信の確立を達成することができないことはBluetoothの規格に鑑みても明らかです。」という主張は採用することができない。そして、周知事項によれば、引用発明においても「GIAC」のみを利用して電子装置間の通信の確立を達成することが可能であることは明らかであるし、当業者が容易に想到し得た事項にすぎない。

したがって、審判請求人の上記主張を採用することはできない。

第6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明及び引用例の記載、又は、引用例に記載された発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-08-17 
結審通知日 2021-08-18 
審決日 2021-08-31 
出願番号 特願2018-502779(P2018-502779)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04W)
P 1 8・ 113- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 浩兵  
特許庁審判長 廣川 浩
特許庁審判官 本郷 彰
中木 努
発明の名称 共有されたキーを使用する無線デバイスの選択的ペアリング  
代理人 山本 健策  
代理人 山本 秀策  
代理人 石川 大輔  
代理人 森下 夏樹  
代理人 大塩 竹志  
代理人 飯田 貴敏  
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