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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G16H
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G16H
管理番号 1379159
審判番号 不服2020-7854  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-08 
確定日 2021-11-08 
事件の表示 特願2016-549782「皮下外来患者管理」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月 6日国際公開、WO2016/069475、平成30年 1月25日国内公表、特表2018-502341、請求項の数(30)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)10月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年10月27日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 7月17日 :手続補正書の提出
令和 元年 5月 9日付け:拒絶理由通知
令和 元年 8月16日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 1月29日付け:拒絶査定
令和 2年 6月 8日 :審判請求書の提出
令和 3年 5月13日付け:拒絶理由通知
令和 3年 8月10日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の理由の概要
原査定(令和2年1月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1-30に係る発明は、以下の引用文献1、2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2014-24699号公報
2.特開2012-210366号公報

第3 当審拒絶理由の概要
令和3年5月13日付け拒絶理由の概要は次のとおりである。
1 この出願は、特許請求の範囲の請求項1-30の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2 この出願は、特許請求の範囲の請求項1-30の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願請求項1-30に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明30」という。)は、令和3年8月10日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲1-30に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

【請求項1】
投薬コントローラ(160)であって、
データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)と通信するメモリハードウェア(24、114、144)と、
を含み、
前記メモリハードウェア(24、114、144)は、前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)上で実行される時に、当該データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)をして、
患者(10)に対する皮下情報(216、216a)を受信する段階、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)と通信して遠隔ヘルスケアプロバイダコンピュータデバイス(142)から1日の順次のスケジュールされた血糖時間間隔(260)を受信する段階であって、スケジュールされた血糖時間間隔の各々は、他のスケジュールされた血糖時間間隔(260)に関連付けられた他の時間境界とは重なり合わない対応する調整可能な時間境界に関連付けられている、という段階、
前記患者(10)の血糖測定値と、前記血糖測定値に関連付けられた血糖時間と、前記患者(10)によって投与され且つ前記血糖測定値に関連付けられたインスリン投薬量と、を含む前記患者(10)の血糖データを、前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)と通信するグルコメーター(124)から取得する段階、
スケジュールされた血糖時間間隔の各々に対して、前記血糖時間に基づいて、対応するスケジュールされた血糖時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値を集約して、当該対応するスケジュールされた血糖時間間隔(260)に関連付けられた対応する代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)を決定する段階、
選択された時間間隔の直後に生じるスケジュールされた血糖時間間隔(260)に関連付けられた前記代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)及び前記皮下情報(216、216a)に基づいて、前記選択された時間間隔中の前記患者(10)に対する以前の推奨食事ボーラスを調節することによって、前記選択された時間間隔中の前記患者(10)に対する次の推奨食事ボーラス(2402、2404、2406)を決定する段階、及び
前記次の推奨食事ボーラス(2310、2402、2404、2406)を、前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)と通信する投与デバイス(123、123a、123b)に送信する段階、
を含む動作を実行させる、という皮下外来患者プログラムのための命令を格納する、
ことを特徴とする投薬コントローラ(160)。
【請求項2】
前記投与デバイス(123、123a、123b)は、
投薬器(223a、223b)と、
前記投薬器(223a、223b)と通信し、前記次の推奨食事ボーラスのためのインスリンの単位数を自動的にダイヤルして前記投薬器(223a、223b)をして前記次の推奨食事ボーラスのためのインスリンの前記単位数を投与させるように構成された投与コンピュータデバイス(112d、112e)と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の投薬コントローラ(160)。
【請求項3】
前記血糖データを取得する段階は、
バッチダウンロード処理(1908、1912)中に当該投薬コントローラ(160)と通信する遠隔コンピュータデバイスから前記血糖データを受信する段階であって、前記遠隔コンピュータデバイスは、前記グルコメーター(124)から前記血糖データをダウンロードするためのダウンロードプログラム(196)を実行する、という段階、
前記血糖測定値の測定時に前記グルコメーター(124)から前記血糖データを受信する段階、
前記バッチダウンロード処理(1908、1912)中に当該投薬コントローラ(160)と通信するメーター製造業者コンピュータデバイスから前記血糖データを受信する段階であって、前記メーター製造業者コンピュータデバイスは、前記グルコメーター(124)から前記血糖データを受信する、という段階、及び、
当該投薬コントローラ(160)及び前記グルコメーター(124)と通信する患者デバイス(110a、110b)から前記血糖データを受信する段階であって、前記患者デバイス(110a、110b)は、前記グルコメーター(124)から前記血糖データを受信する、という段階、
のうちの1又は2以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の投薬コントローラ(160)。
【請求項4】
前記動作は、
朝食血糖時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値のうちの1又は2以上を集約し、代表集約朝食血糖測定値(2306、2226、2228)を決定する段階と、
就寝中血糖時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値のうちの1又は2以上を集約し、代表集約就寝中血糖測定値(2304、2226、2228)を決定する段階と、
支配的血糖値を、前記代表集約就寝中血糖測定値(2304、2226、2228)又は前記代表集約朝食血糖測定値(2306、2226、2228)のうちの小さい方の値として選択する段階と、
前記選択された支配的血糖測定値に基づいて次の推奨基礎投薬量(2310)を調節するための調節係数(AF1)を決定する段階と、
前日推奨基礎投薬量(2312)を取得する段階と、
前記調節係数(AF1)を前記前日推奨基礎投薬量(2312)に乗算することによって前記次の推奨基礎投薬量(2310)を決定する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の投薬コントローラ(160)。
【請求項5】
前記動作は、
昼食血糖時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値のうちの1又は2以上を集約し、代表集約昼食血糖測定値(2256、2258)を決定する段階と、
支配的血糖値を前記代表集約昼食血糖測定値(2256、2258)として選択する段階と、
前記選択された支配的血糖測定値に基づいて次の推奨朝食ボーラス(2402)を調節するための調節係数(AF1)を決定する段階と、
前日推奨朝食ボーラス(2408)を取得する段階と、
前記調節係数(AF1)を前記前日推奨朝食ボーラス(2408)に乗算することによって前記次の推奨朝食ボーラス(2402)を決定する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の投薬コントローラ(160)。
【請求項6】
前記動作は、
夕食血糖時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値のうちの1又は2以上を集約し、代表集約夕食血糖測定値(2256、2258)を決定する段階と、
支配的血糖値を前記代表集約夕食血糖測定値(2256、2258)として選択する段階と、
前記選択された支配的血糖測定値に基づいて次の推奨昼食ボーラス(2404)を調節するための調節係数(AF1)を決定する段階と、
前日推奨昼食ボーラス(2414)を取得する段階と、
前記調節係数(AF1)を前記前日推奨昼食ボーラス(2414)に乗算することによって前記次の推奨昼食ボーラス(2404)を決定する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の投薬コントローラ(160)。
【請求項7】
前記動作は、
就寝時血糖時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値のうちの1又は2以上を集約し、代表集約就寝時血糖測定値(2226、2228)を決定する段階と、
支配的血糖値を前記代表集約就寝時血糖測定値(2226、2228)として選択する段階と、
前記選択された支配的血糖測定値に基づいて次の推奨夕食ボーラス(2406)を調節するための調節係数(AF1)を決定する段階と、
前日推奨夕食ボーラス(2420)を取得する段階と、
前記調節係数(AF1)を前記前日推奨夕食ボーラス(2420)に乗算することによって前記次の推奨夕食ボーラス(2406)を決定する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の投薬コントローラ(160)。
【請求項8】
前記動作は、
スケジュールされた血糖時間間隔のうちの選択された時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値のうちの1又は2以上を集約し、当該選択されたスケジュールされた血糖時間間隔に関連付けられた代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)を決定する段階と、
支配的血糖値を、前記選択されたスケジュールされた血糖時間間隔に関連付けられた代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)として選択する段階と、
前記選択された支配的血糖測定値に基づいて前記選択されたスケジュールされた血糖時間間隔によって支配される次の推奨炭水化物対インスリン比(2502、2504、2506)を調節するための調節係数(AF1)を決定する段階と、
前記選択されたスケジュールされた血糖時間間隔によって支配される前日推奨炭水化物対インスリン比(2508、2514、2520)を取得する段階と、
前記調節係数(AF1)を前記前日推奨炭水化物対インスリン比(2508、2514、2520)に乗算することによって前記次の推奨炭水化物対インスリン比(2502、2504、2506)を決定する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の投薬コントローラ(160)。
【請求項9】
前記選択されたスケジュールされた血糖時間間隔は、昼食血糖時間間隔、夕食血糖時間間隔、又は就寝時血糖時間間隔のうちの1つを含むことを特徴とする請求項8に記載の投薬コントローラ(160)。
【請求項10】
各スケジュールされる血糖時間間隔が、朝食前血糖測定値、昼食前血糖測定値、夕食前血糖測定値、就寝時血糖測定値、及び、就寝中血糖測定値のうちの1つを含む関連付けられた血糖タイプに相関付けられることを特徴とする請求項1に記載の投薬コントローラ(160)。
【請求項11】
前記動作は、
血糖測定値の各々に対して、当該血糖測定値を測定する時に前記患者(10)によってタグ付けされる前記血糖タイプを決定する段階
を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の投薬コントローラ(160)。
【請求項12】
前記スケジュールされる血糖時間間隔の一部分が、前記患者(10)が食事を摂取している時の時間間隔に関連付けられ、
前記スケジュールされる血糖時間間隔の残りの部分が、前記患者(10)が食事を摂取していない時の時間間隔に関連付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の投薬コントローラ(160)。
【請求項13】
前記動作は、
当該投薬コントローラ(160)と通信する前記遠隔ヘルスケアプロバイダコンピュータデバイス(142)から、指定された日付範囲を受信する段階と、
前記スケジュールされた血糖時間間隔のうちの少なくとも1つに関連付けられ、かつ、前記指定された日付範囲内にある、前記血糖測定値のうちの1又は2以上を集約する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の投薬コントローラ(160)。
【請求項14】
前記代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)は、前記関連付けられてスケジュールされた血糖時間間隔に対する平均血糖値を含むことを特徴とする請求項1に記載の投薬コントローラ(160)。
【請求項15】
前記代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)は、前記関連付けられてスケジュールされた血糖時間間隔に対する中央血糖値を含むことを特徴とする請求項1に記載の投薬コントローラ(160)。
【請求項16】
データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)で、患者(10)に対する皮下情報(216、216a)を受信する段階と、
推奨インスリン投薬量(2310、2402、2404、2406)を決定するために、皮下外来患者処理(1800、1800a、1800b)を前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)で実行する段階と、
を備え、
前記皮下外来患者処理(1800、1800a、1800b)は、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)において、前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)と通信して遠隔ヘルスケアプロバイダコンピュータデバイス(142)から1日の順次のスケジュールされた血糖時間間隔(260)を受信する段階であって、スケジュールされた血糖時間間隔の各々は、他のスケジュールされた血糖時間間隔(260)に関連付けられた他の時間境界とは重なり合わない対応する調整可能な時間境界に関連付けられている、という段階、
前記患者(10)の血糖測定値と、前記血糖測定値に関連付けられた血糖時間と、前記患者(10)によって投与され且つ前記血糖測定値に関連付けられたインスリン投薬量と、を含む前記患者(10)の血糖データを、コンピュータデバイスと通信するグルコメーター(124)から前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)で取得する段階、
スケジュールされた血糖時間間隔の各々に対して、前記血糖時間に基づいて、対応するスケジュールされた血糖時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値を前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)によって集約して、当該対応するスケジュールされた血糖時間間隔(260)に関連付けられた対応する代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)を決定する段階、
選択された時間間隔の直後に生じるスケジュールされた血糖時間間隔(260)に関連付けられた前記代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)及び前記皮下情報(216、216a)に基づいて、前記選択された時間間隔中の前記患者(10)に対する以前の推奨食事ボーラスを調節することによって、前記選択された時間間隔中の前記患者(10)に対する次の推奨食事ボーラス(2402、2404、2406)を、前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)によって決定する段階、及び
前記次の推奨食事ボーラス(2310、2402、2404、2406)を、前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)と通信する投与デバイス(123、123a、123b)に送信する段階、
を含むことを特徴とする方法(1300)。
【請求項17】
前記投与デバイス(123、123a、123b)は、
投薬器(223a、223b)と、
前記投薬器(223a、223b)と通信し、前記次の推奨食事ボーラスのためのインスリンの単位数を自動的にダイヤルして前記投薬器(223a、223b)をして前記次の推奨食事ボーラスのためのインスリンの前記単位数を投与させるように構成された投与コンピュータデバイス(112d、112e)と、
を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法(1300)。
【請求項18】
前記血糖データを取得する段階は、
バッチダウンロード処理(1908、1912)中に前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)と通信する遠隔コンピュータデバイス(142)から前記血糖データを受信する段階であって、前記遠隔コンピュータデバイスは、前記グルコメーター(124)から前記血糖データをダウンロードするためのダウンロードプログラム(196)を実行する、という段階、
前記血糖測定値の測定時に前記グルコメーター(124)から前記血糖データを受信する段階、
前記バッチダウンロード処理(1908、1912)中に前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)と通信するメーター製造業者コンピュータデバイス(192)から前記血糖データを受信する段階であって、前記メーター製造業者コンピュータデバイス(192)は、前記グルコメーター(124)から前記血糖データを受信する、という段階、及び
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)及び前記グルコメーター(124)と通信する患者デバイス(110a、110b)から前記血糖データを受信する段階であって、前記患者デバイス(110a、110b)は、前記グルコメーター(124)から前記血糖データを受信する、という段階、
のうちの1又は2以上を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法(1300)。
【請求項19】
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、朝食血糖時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値のうちの1又は2以上を集約し、代表集約朝食血糖測定値(2306、2226、2228)を決定する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、就寝中血糖時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値のうちの1又は2以上を集約し、代表集約就寝中血糖測定値(2304、2226、2228)を決定する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、支配的血糖値を、前記代表集約就寝中血糖測定値(2304、2226、2228)又は前記代表集約朝食血糖測定値(2306、2226、2228)のうちの小さい方の値として選択する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、前記選択された支配的血糖測定値に基づいて次の推奨基礎投薬量(2310)を調節するための調節係数(AF1)を決定する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)において、前日推奨基礎投薬量(2312)を取得する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、前記調節係数(AF1)を前記前日推奨基礎投薬量(2312)に乗算することによって前記次の推奨基礎投薬量(2310)を決定する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の方法(1300)。
【請求項20】
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、昼食血糖時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値のうちの1又は2以上を集約し、代表集約昼食血糖測定値(2256、2258)を決定する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、支配的血糖値を前記代表集約昼食血糖測定値(2256、2258)として選択する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、前記選択された支配的血糖測定値に基づいて次の推奨朝食ボーラス(2402)を調節するための調節係数(AF1)を決定する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)において、前日推奨朝食ボーラス(2408)を取得する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、前記調節係数(AF1)を前記前日推奨朝食ボーラス(2408)に乗算することによって前記次の推奨朝食ボーラス(2402)を決定する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の方法(1300)。
【請求項21】
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、夕食血糖時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値のうちの1又は2以上を集約し、代表集約夕食血糖測定値(2256、2258)を決定する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、支配的血糖値を前記代表集約夕食血糖測定値(2256、2258)として選択する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、前記選択された支配的血糖測定値に基づいて次の推奨昼食ボーラス(2404)を調節するための調節係数(AF1)を決定する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)において、前日推奨昼食ボーラス(2414)を取得する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、前記調節係数(AF1)を前記前日推奨昼食ボーラス(2414)に乗算することによって前記次の推奨昼食ボーラス(2404)を決定する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の方法(1300)。
【請求項22】
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、就寝時血糖時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値のうちの1又は2以上を集約し、代表集約就寝時血糖測定値(2226、2228)を決定する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、支配的血糖値を前記代表集約就寝時血糖測定値(2226、2228)として選択する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、前記選択された支配的血糖測定値に基づいて次の推奨夕食ボーラス(2406)を調節するための調節係数(AF1)を決定する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)において、前日推奨夕食ボーラス(2420)を取得する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、前記調節係数(AF1)を前記前日推奨夕食ボーラス(2420)に乗算することによって前記次の推奨夕食ボーラス(2406)を決定する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の方法(1300)。
【請求項23】
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、スケジュールされた血糖時間間隔のうちの選択された時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値のうちの1又は2以上を集約し、当該選択されたスケジュールされた血糖時間間隔に関連付けられた代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)を決定する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、支配的血糖値を、前記選択されたスケジュールされた血糖時間間隔に関連付けられた前記代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)として選択する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、前記選択されたスケジュールされた血糖支配的血糖測定値に基づいて前記選択された時間間隔によって支配される次の推奨炭水化物対インスリン比(2502、2504、2506)を調節するための調節係数(AF1)を決定する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)において、前記選択されたスケジュールされた血糖時間間隔によって支配される前日推奨炭水化物対インスリン比(2508、2514、2520)を取得する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、前記調節係数(AF1)を前記前日推奨炭水化物対インスリン比(2508、2514、2520)に乗算することによって前記次の推奨炭水化物対インスリン比(2502、2504、2506)を決定する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の方法(1300)。
【請求項24】
前記選択されたスケジュールされた血糖時間間隔は、昼食血糖時間間隔、夕食血糖時間間隔、又は就寝時血糖時間間隔のうちの1つを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法(1300)。
【請求項25】
各スケジュールされる血糖時間間隔が、朝食前血糖測定値、昼食前血糖測定値、夕食前血糖測定値、就寝時血糖測定値、及び、就寝中血糖測定値のうちの1つを含む関連付けられた血糖タイプに相関付けられることを特徴とする請求項16に記載の方法(1300)。
【請求項26】
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)により、前記血糖測定値の各々に対して、当該血糖測定値を測定する時に前記患者(10)によってタグ付けされる前記血糖タイプを決定する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項25に記載の方法(1300)。
【請求項27】
前記スケジュールされる血糖時間間隔の一部分が、前記患者(10)が食事を摂取している時の時間間隔に関連付けられ、
前記スケジュールされる血糖時間間隔の残りの部分が、前記患者(10)が食事を摂取していない時の時間間隔に関連付けられる
ことを特徴とする請求項16に記載の方法(1300)。
【請求項28】
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)において、前記遠隔ヘルスケアプロバイダコンピュータデバイス(142)から、指定された日付範囲を受信する段階と、
前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192,160)により、前記スケジュールされた血糖時間間隔のうちの少なくとも1つに関連付けられ、かつ、前記指定された日付範囲内にある、前記血糖測定値のうちの1又は2以上を集約する段階と、を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の方法(1300)。
【請求項29】
前記代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)は、前記関連付けられてスケジュールされた血糖時間間隔に対する平均血糖値を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法(1300)。
【請求項30】
前記代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)は、前記関連付けられてスケジュールされた血糖時間間隔に対する中央血糖値を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法(1300)。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1の記載事項と引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2004-24699号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下、同様。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、患者の血糖値を管理するための血糖管理システム、血糖管理プログラム、装着システムおよび血糖管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、1型糖尿病及び一部の2型糖尿病の患者においては、血糖値を適正な範囲に調整するため、日常的にインシュリンを投与する必要がある。
一般的に、糖尿病の患者は、1月に1回程度、通院して医師の診察および指導を受ける。また、日常生活においては、インシュリン投与が必要な患者は、血糖値の測定器およびインシュリンを投与するための注射器を携帯し、医師の指導を前提に、必要に応じて自ら注射することにより、血糖値を調整している。また、インシュリン投与は、注射器にて、毎回投与量を患者自身が調整するものの他に、インシュリンインフュージョンポンプ(以下、インシュリンポンプと称す)がある。これは、予めプログラムされた投与パターンに従って、インシュリンが自動的に体内に持続・間欠的に投与されるもので、より健常人のインシュリン濃度に近い血中濃度パターンを実現できる。また、近年、血糖値を測定する機能、インシュリンの投与量を算出する機能およびインシュリンの投与を行う機能が一体となった人工膵臓装置が研究されており、人工膵臓装置を装着することにより、患者は自らインシュリンの注射を行うことなく血糖値の調整を行うことができることを目指して研究開発が進められている。」

「【0007】
ところが、従来のように患者が自らインシュリンを注射する方法や人工膵臓装置を装着する方法においては、医師が患者の血糖状態をより頻繁に把握し、指示を与える等して厳重な管理を行う必要がある場合であっても、厳重な管理を柔軟に行うことができないか、あるいは、厳重な管理を柔軟に行うことが容易なものではなかった。
【0008】
なお、医師や管理栄養士等、患者の血糖状態を管理する者にとって、患者に対するインシュリンの投与量を指示する場合を含め、患者の健康状態を診断する際に、患者の現在の血糖値および血糖値の変動の履歴を適宜確認することができればさらに便宜である。
本発明の課題は、患者の負担を軽減しつつ、適確な血糖管理を可能とすることである。」

「【0056】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。まず、構成を説明する。図1は、本実施の形態に係る血糖管理システム1のネットワーク構成を示す図である。図1において、血糖管理システム1は、血糖管理サーバ10と、装着システム20とを含んで構成され、血糖管理サーバ10と装着システム20とはネットワーク30を介して通信可能に構成されている。
【0057】
血糖管理サーバ10は、装着システム20から患者の血糖値、インシュリン投与量、運動量および食事の画像を受信する。そして、これら血糖値を管理するための要素となるデータ(以下、「要素データ」と言う。)に基づいて決定されたインシュリンの投与量を、ネットワーク30を介して装着システム20に送信する。
【0058】
ここで、要素データに基づいてインシュリンの投与量を決定する場合、血糖管理サーバ10において要素データを表示し、医師、管理栄養士あるいは看護師が表示された要素データから経験上あるいは統計上適切と考えられるインシュリンの投与量を決定した上で、その値を入力することが可能である。また、血糖管理サーバ10がインシュリンの投与量を算出するためのプログラムを実行することにより、要素データに基づいて、その患者に対するインシュリン投与量を自動的に算出して決定することも可能である。
【0059】
なお、これらの場合のいずれにおいても、血糖管理サーバ10は、その患者に関する従前の血糖値とインシュリンの投与量とを履歴として記憶しておき、新たなインシュリンの投与量を決定するために利用することが可能である。また、食事の画像に基づいて、インシュリンの投与量を決定する場合には、医師や管理栄養士等、血糖管理の権限を有する管理者が食事の画像から摂取カロリー、糖分あるいは脂質等を推測し、インシュリンの投与量を適宜増減することや、画像処理によって食事のメニューあるいは材料を判別し、自動的に摂取カロリー等を算出した上で、インシュリンの投与量を決定することが可能である。
【0060】
さらに、血糖管理サーバ10は、装着システム20から受信した血糖値、食事の画像あるいは運動量等の要素データや、その要素データに基づいて算出あるいは推測された摂取カロリー、糖分、脂質、消費カロリー等のデータ(以下、「血糖管理データ」と言う。)を医師あるいは管理栄養士等が使用する携帯電話やPC(Personal Computer)等の端末装置(以下、「指導者端末」と言う。)に送信する。
【0061】
この血糖管理データは、血糖管理サーバ10に履歴として記憶され、医師あるいは管理栄養士等が、ネットワークに接続された携帯電話やPC等によって適宜閲覧することが可能である。そして、その血糖管理データに基づき、医師あるいは管理栄養士は、推奨する食事量や運動量、インシュリンの投与量および生活習慣に関する注意等、患者に対する種々の指導内容を入力してアップロードし、患者は、装着システム20あるいは所定の端末装置から血糖管理サーバ10にアクセスすることで、その指導内容を閲覧することが可能となる。」

「【0063】
上述の機能を実現するため、血糖管理サーバ10は、例えばPCあるいはワークステーション等の情報処理装置で構成される。図2は、血糖管理サーバ10のハードウェア構成を示す図である。図2において、血糖管理サーバ10は、入力部11と、制御部12と、記憶部13と、RAM(Random Access Memory)14と、VRAM(Video Random Access Memory)15と、表示部16と、通信部17とから構成される。
【0064】
入力部11は、カーソルキーや数字入力キー等を備えたキーボード及びマウス等のポインティングデバイスを含み、キーボードにおいて押下されたキーの押下信号やマウスの位置信号を制御部12に出力する。制御部12は、血糖管理サーバ10全体を制御するもので、入力部11から入力される各種の指示信号に従って、記憶部13に記憶された各種処理に関するプログラムを読み出して実行する。また、制御部12は、装着システム20から送信された要素データを受信し、インシュリンの投与量を算出したり、食事の画像から摂取カロリーを算出するといった、血糖管理サーバ10の機能に伴う種々の演算を実行する。そして、制御部12は、各種処理結果を記憶部13やRAM14の所定の領域に格納したり、表示部16に表示させたりする。
【0065】
記憶部13は、ハードディスク装置あるいはフラッシュROM等の不揮発性の記憶装置で構成される。この記憶部13は、血糖管理サーバ10の制御のための各種処理に関するプログラムを記憶する。また、記憶部13は、血糖管理データを患者と対応付けて記憶している。RAM14は、各種データを記憶するもので、制御部12により実行される各種処理において生成された各種データを一時的に格納するワークエリア14aを有する。」

「【0067】
通信部17は、制御部12から送信指示された各種データに対し、所定の形式へのデータ変換処理および変調処理を施して、ネットワークを介して送信先機器に出力する。また、通信部17は、装着システム20等の他の機器から送信された信号を受信し、原信号への復調処理およびオリジナルデータ形式へのデータ変換処理を施して、制御部12に出力する。
【0068】
次に、装着システム20について説明する。装着システム20は、患者が身体に装着あるいは携帯する等して、身体と共に移動可能に構成されている。そして、装着システム20は、患者の血糖値を測定し、移動通信ネットワークを含むネットワーク30を介して、測定した血糖値を血糖管理サーバ10に送信する。また、装着システム20は、送信した血糖値に基づいて決定されたインシュリンの投与量を血糖管理サーバ10から受信し、そのインシュリン投与量に基づいて、インシュリンポンプ23(後述)が患者に適切な量のインシュリンを投与する。さらに、装着システム20は、自装置の各機能部の動作を検査し、異常がある場合には、音、表示あるいは振動等により患者にその旨を通知すると共に、血糖管理サーバ10に異常であることを示すアラーム信号を送信する。
【0069】
なお、装着システム20は、複数のユニットからなり、それぞれのユニットが後述する所定の機能部を備えている。そして、それぞれのユニットは、ブルートゥースや赤外線通信等の近距離無線通信によって通信することにより連携して機能する。以下、装着システム20の各機能部について説明する。
【0070】
図3は、装着システム20の構成を示す図である。図3において、装着システム20は、血糖値測定部21と、制御部22と、インシュリンポンプ23と、運動量測定部24とを含んで構成される。血糖値測定部21は、侵襲式(人体に針等を刺すことにより血糖値を測定する方式)あるいは非侵襲式(皮膚に接触させることにより血糖値を測定する方式)のセンサを備え、患者の血糖値を測定する。また、血糖値測定部21は、制御部22と近距離無線通信を行い、制御部21からの指示に応じて、所定時期(例えば、所定時間毎あるいは患者が測定を指示した時等)に血糖値測定を行う。そして、血糖値測定部21は、測定した血糖値を近距離無線通信によって制御部21に送信する。
【0071】
なお、血糖値測定部21は、任意の時期に血糖値を測定可能とするため、センサが人体に常時設置された状態とすることが可能な構成である。例えば、指輪型あるいは腕に巻き付けるバンド型といった形状とし、これらが人体と接触する側に侵襲式あるいは非侵襲式のセンサを備えた構成とすることが可能である。制御部22は、装着システム20全体を制御するユニットであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を備えた小型の情報処理装置である。また、制御部22は、移動通信を行うための携帯電話あるいはカード型の移動通信ユニット等を接続するインターフェースを備え、これらの機器が接続されることにより移動通信端末として機能する。
【0072】
そして、制御部22は、血糖値測定部21から近距離無線通信によって送信された血糖値と運動量測定部24から近距離無線通信によって送信された運動量とを、移動通信を行うことによって血糖管理サーバ10に送信する。また、制御部22は、血糖管理サーバ10からネットワーク30を介して受信したインシュリン投与量を、近距離無線通信によってインシュリンポンプ23に送信する。
【0073】
さらに、制御部22は、デジタルカメラと、モニタと、警報装置とを備えている。そして、制御部22は、デジタルカメラで撮影した画像を血糖管理サーバ10に送信したり、血糖管理サーバ10から受信したインシュリン投与量や医師等による指導内容をモニタに表示したり、各機能部の動作あるいは血糖値に異常が生じた場合に警報装置によりその旨を報知したりする。
【0074】なお、制御部22は、患者が手動でインシュリンを投与するための指示ボタンを備え、血糖管理サーバ10からの指示による場合以外にも、患者が自らの判断で、インシュリンポンプ23により所定量のインシュリンを投与することが可能である。インシュリンポンプ23は、患者の血管にインシュリンを自動的に注射するための装置であり、制御部22から近距離無線通信によって送信されるインシュリン投与量に基づいて、投与プログラムを変更し患者の血管に所定量のインシュリンを注射する。また、インシュリンポンプ23は、インシュリンの投与が必要となった任意の時期にインシュリンを注射可能なように、注射針が患者の血管に常時刺された状態となっている。なお、インシュリンポンプ23は、インシュリンを患者に投与する機能に加え、ブドウ糖等の血糖値を上昇させる物質を投与する機能を備え、患者の血糖値が下がりすぎた場合に、血糖値をやや上昇させることとしてもよい。
【0075】
運動量測定部24は、例えば歩数計や加速度センサー等、患者の運動量を測定して数値化する装置であり、測定した運動量を近距離無線通信によって制御部22に送信する。
次に、動作を説明する。
ネットワーク30は、移動通信ネットワークおよび公衆ネットワークもしくは専用ネットワークを含み、装着システム20とは移動通信ネットワークにより、血糖管理サーバ10とは公衆ネットワークもしくは専用ネットワークにより接続されている。
【0076】
図4は、血糖管理システム1を用いた血糖管理の流れを示す図である。
血糖管理システム1を利用して血糖管理が行われる場合、患者は、血糖値測定部21およびインシュリンポンプ23を必ず身体に装着し、必要に応じて運動量測定部24も装着する。そして、患者は、身体に装着した血糖値測定部21等と近距離無線通信が可能な距離に制御部22を携帯する。例えば、患者は、血糖値測定部21をハンドバッグの中や上着のポケット等に携帯することが可能である。
【0077】
このような状態において、まず、血糖値測定部21が、患者の血糖値を測定する(ステップS1)。
そして、血糖値測定部21は、測定した血糖値を近距離無線通信によって制御部22に送信し(ステップS2)、制御部22は、その血糖値を含む要素データをネットワーク30を介して血糖管理サーバ10に送信する(ステップS3)。なお、このとき、患者が運動量測定部24を装着し、運動量測定部24から患者の運動量が送信されている場合や、患者がデジタルカメラで食事の画像を撮影した場合、制御部22は、併せて患者の運動量や食事の画像も血糖管理サーバ10に送信する。食事の画像からカロリーや糖分を推定することは、栄養士等が行ってもよいし、コンピュータによる自動画像解析で行ってもよい。
【0078】
すると、血糖管理サーバ10において、受信した血糖値を含む要素データと、その患者の既に記憶されている血糖管理データとに基づいて、インシュリンの投与量が決定される(ステップS4)。
次いで、血糖管理サーバ10は、決定したインシュリンの投与量をネットワーク30を介して装着システム20に送信する(ステップS5)。なお、血糖管理サーバ10は、ステップS5において、あるいは、所定の他のタイミングで、要素データおよび血糖管理データを指導者端末に送信する。
【0079】
そして、制御部22は、インシュリンの投与量を受信すると、近距離無線通信によって、その投与量をインシュリンポンプ23に送信し、インシュリンの投与を指示する(ステップS6)。
続いて、インシュリンポンプ23は、制御部22から指示された投与量のインシュリンを患者の血管に注射し(ステップS7)、血糖値の調整が行われる。
【0080】
さらに、制御部22は、インシュリンポンプ23によるインシュリンの投与量および血糖値測定部21によって測定された血糖値等の要素データを血糖管理サーバ10に送信し(ステップS8)、血糖管理サーバ10は、これらのデータを履歴として管理する(ステップS9)。
また、制御部22は、所定時期に、血糖値測定部21およびインシュリンポンプ23等の各機能部の動作を検査する(ステップS10)。この検査の方法は、一般に知られている種々の検査方法が可能であるが、例えば、制御部22が各機能部に検査信号を送信し、各機能部が対応する処理を行って正常に動作が終了した場合、正常である旨の応答信号を制御部22に返信するといった方法が可能である。
【0081】
そして、各機能部の動作に異常があると判定した場合、制御部22は、アラーム信号を血糖管理サーバ10に送信する(ステップS11)。
血糖管理サーバ10は、アラーム信号を受信した場合、指導者端末に異常が発生している旨を送信する(ステップS12)。また、このとき、血糖管理システム1のシステム管理を請け負う管理業者に対し、異常が発生している旨を送信することとしてもよい。この場合、管理業者が迅速に装着システム20の機能回復のための処置を行うことにより、患者の血糖管理をより適切に行うことが可能となる。」

以上の事項からみて、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「入力部と、制御部と、記憶部と、RAM(Random Access Memory)と、VRAM(Video Random Access Memory)と、表示部と、通信部とから構成される血糖管理サーバであって(【0056】、【0063】)、
前記制御部は、前記血糖管理サーバ全体を制御するもので、前記入力部から入力される各種の指示信号に従って、前記記憶部に記憶された各種処理に関するプログラムを読み出して実行し(【0064】)、
前記記憶部は、前記血糖管理サーバの制御のための各種処理に関するプログラムを記憶し(【0065】)、
前記血糖管理サーバは、
装着システムとネットワークにより接続されており(【0056】)、
患者の血糖管理をするにあたり(【0076】)、
前記制御部は、前記通信部を介して、前記装着システムの血糖値測定部から所定時間毎あるいは患者が測定を指示した時等に測定した患者の血糖値と、前記装着システムのインシュリンポンプからインシュリン投与量と、前記装着システムの運動測定部から運動量と、前記装着システムのデジタルカメラから撮影された食事の画像とをネットワークを介して受信し(【0057】、【0067】、【0068】、【0070】、【0072】、【0075】、【0077】、【0080】)、
前記制御部は、前記通信部が受信した患者の血糖値と、インシュリン投与量と、運動量と、食事の画像とを血糖値を管理するための要素となる要素データとし(【0057】)、前記要素データと、前記要素データに基づいて算出あるいは推測され患者に対応付けて既に前記記憶部に記憶されている血糖管理データと(【0060】、【0065】)、前記記憶部に履歴として記憶された患者に関する従前の血糖値とインシュリンの投与量とに基づいて(【0059】)、インシュリンの投与量を算出するためのプログラムを実行することにより、患者に対するインシュリン投与量を自動的に算出して決定し(【0058】、【0064】、【0078】)、
前記制御部は、前記通信部を介して、決定されたインシュリンの投与量を、前記ネットワークを介して前記装着システムの前記インシュリンポンプに送信し(【0057】、【0068】、【0079】)、
前記装着システムは、前記投与量のインシュリンを患者の血管に注射すると、前記インシュリンの投与量および前記血糖値測定部によって測定された血糖値等の要素データを前記通信部に送信し(【0080】)、
前記装着システムから受信した前記インシュリンの投与量および前記血糖値等の要素データを前記履歴として管理する(【0080】)
血糖管理サーバ。」

2 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2012-210366号公報)には、以下の記載がある。

「【0001】
本発明は、血糖値を測定するために用いる血糖値測定装置、血糖値測定方法およびプログラムに関する。」

「【0007】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、血糖値の測定を行う前に、適切な測定期間における血糖値傾向を確実にユーザに知らせることができる血糖値測定装置、血糖値測定方法およびプログラムを提供することを目的とする。」

「【0027】
1?2.血糖値測定装置の内部構成例
次に、血糖値測定装置101の内部構成例について図4を参照して説明する。
【0028】
図4は、本発明の一実施形態に係る血糖値測定装置101の内部構成を示すブロック図である。
血糖値測定装置101は、上述した表示部102,発光部303,受光部304に加え、各部を制御する制御部402、発振部403、データ記憶部405、外部出力部406、電源407、電源電圧検出部408、操作部410およびブザー出力部411を有する。」

「【0033】
制御部402は、血糖値測定モード時において、受光部304から供給される受光信号に基づいて、受光光量を測定する。そして、制御部402は、測定された受光光量に基づいて、試験紙202に付着した血液の血糖値を測定する。測定された血糖値は、血糖値の測定日時と紐付けられてデータ記憶部405の第3のメモリ(後述)に記憶される。
【0034】
また、制御部402は、血糖値測定モードになる前に、適切な測定期間における過去数日分の血糖値の平均値(平均血糖値)を表示部102に表示させる。さらに、制御部402は、血糖値の測定が完了したのを機に、測定した血糖値およびこの血糖値と平均血糖値との比較結果を表示部102に表示させる。なお、平均血糖値と、測定した血糖値および比較結果を表示部102に表示させるための制御部402の構成については、図5にて後述する。」

「【0043】
1?3.制御部の機能的な構成例
次に、血糖値の測定を行う前に、適切な測定期間における平均血糖値を表示部102に表示させ、血糖値の測定後に、測定した血糖値とともにこの血糖値と平均血糖値との比較結果を表示部102に表示させるための制御部402の機能的な構成について図5を参照して説明する。
【0044】
図5は、本発明の一実施形態に係る制御部402の機能的な構成を示すブロック図である。
制御部402は、状態制御部501と、該当アラーム時刻検索部502と、血糖値傾向算出部504と、第1表示画面生成部505と、血糖値測定モード開始部506と、測定結果比較部507と、第2表示画面生成部508とを備える。
【0045】
状態制御部501は、ユーザによって電源ボタン103が押されなくとも、アラーム時刻になると血糖値測定装置101をアイドル状態から動作状態に切り替えるものである。
【0046】
この状態制御部501は、血糖値測定装置101がアイドル状態であるとき、制御部402が内蔵する時計制御回路で時刻が算出される度に、算出された時刻に一致するアラーム時刻を第3のメモリから検索する。そして、状態制御部501は、時計制御回路で算出された時刻に一致するアラーム時刻が検索されると、血糖値測定装置101を構成する各ブロック(図4参照)を起動させる。なお、以下では血糖値測定装置101がアイドル状態から動作状態に切り替わった時刻を動作状態開始時刻と呼ぶ。
【0047】
該当アラーム時刻検索部502は、状態制御部501によってではなく電源ボタン103が押されて血糖値測定装置101が動作状態になった際に、動作状態になった時刻(動作状態開始時刻)前後の所定期間内に含まれるアラーム時刻(該当アラーム時刻)を検索するものである。所定期間としては、例えば、朝食前、朝食後、昼食前等における数十分から数時間の期間として設定される。
【0048】
この該当アラーム時刻検索部502は、電源ボタン103が押されて血糖値測定装置101が動作状態になったタイミングに時計制御回路が算出した時刻を、動作状態開始時刻として取得する。そして、該当アラーム時刻検索部502は、取得した動作状態開始時刻に最も近いアラーム時刻を第3のメモリから検索し、検索したアラーム時刻と動作状態開始時刻との時刻差(以下、「動作時刻差」という)を算出する。そして、該当アラーム時刻検索部502は、算出した動作時刻差の絶対値が所定値以下であるか否かを確認する。そして、動作時刻差の絶対値が所定値以下であるならば、検索したアラーム時刻を該当アラーム時刻と認定する。これにより、動作開始時刻に最も近い該当アラーム時刻を検索できる。なお、状態制御部501によって検索されたアラーム時刻も該当アラーム時刻と呼ぶ。
【0049】
血糖値傾向算出部504は、該当アラームに対応する所定測定期間(朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前あるいは就寝前)に測定された過去数日分の血糖値の平均値(平均血糖値)を算出するものである。
【0050】
血糖値傾向算出部504は、該当アラーム時刻前後の所定期間に測定された過去数日分の血糖値を第3のメモリから検索して取得する。そして、血糖値傾向算出部504は、取得した数日分の血糖値の平均値(平均血糖値)を算出する。ただし、血糖値傾向算出部504では、動作時刻差の絶対値が所定値よりも大きい場合には、何の処理も行われない。これにより、所定測定期間(朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前あるいは就寝前)における平均血糖値だけを算出することができる。
【0051】
第1表示画面生成部505は、該当アラーム時刻前後の所定測定期間(朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前あるいは就寝前)における平均血糖値を表示部102に表示させるものである。すなわち、第1表示画面生成部505は、血糖値傾向算出部504で算出された平均血糖値を含む第1表示画面702(図7にて後述)を生成して表示部102に出力する。
【0052】
血糖値測定モード開始部506は、動作状態開始時刻がアラーム時刻の前後における所定期間内にない場合、あるいは、第1表示画面702(図7にて後述)が表示された場合、血糖値測定装置101の動作モードを血糖値測定モードに切り替えるものである。
【0053】
すなわち、血糖値測定モード開始部506は、該当アラーム時刻検索部502により動作時刻差絶対値が所定値より大きいことが確認された場合、あるいは、第1表示画面生成部505により第1表示画面702(図7にて後述)が表示部102に表示された場合、血糖値測定装置101の動作モードを血糖値測定モードに切り替える。
【0054】
測定結果比較部507は、測定した血糖値と、当該血糖値を測定した時刻に対応する所定測定期間(朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前あるいは就寝前)における平均血糖値とを比較し、その差(以下、血糖値変動値)を判定して、比較結果を生成するものである。
【0055】
すなわち、測定結果比較部507は、測定した血糖値と、血糖値傾向算出部504で算出された平均血糖値との差を血糖値変動値として算出する。そして、測定結果比較部507は、算出した血糖値変動値の大きさに基づいて、測定した血糖値が平均血糖値と比較して「変化なし」、「上昇している」あるいは「下降している」のいずれに該当するのかを判断する。
【0056】
第2表示画面生成部508は、測定した血糖値および測定結果比較部507による判断結果を表示部102に表示させるものである。
【0057】
第2表示画面生成部508は、測定結果比較部507により「変化なし」であると判断されると、血糖値の変動がないことを示すマークおよび測定した血糖値を含む第2表示画面703(図8Aにて後述)を生成して表示部102に出力する。
【0058】
また、第2表示画面生成部508は、測定結果比較部507により「上昇している」であると判断されると、血糖値が上昇していることを示すマークおよび測定した血糖値を含む第2表示画面704(図8Bにて後述)を生成して表示部102に出力する。
【0059】
また、第2表示画面生成部508は、測定結果比較部507により「下降している」であると判断されると、血糖値が下降していることを示すマークおよび測定した血糖値を含む第2表示画面705(図8Cにて後述)を生成して表示部102に出力する。
【0060】
また、第2表示画面生成部508は、所定測定期間(朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前あるいは就寝前)以外の期間に血糖値測定装置101が動作状態にされた場合、測定された血糖値だけを含む第2表示画面を生成して表示部102に出力する。」

これらの記載によると、引用文献2には、
「血糖値を測定するために用いる血糖値測定装置であって(【0001】)、
前記血糖値測定装置の制御部は、
血糖値測定モードになる前に、朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前あるいは就寝前である所定測定期間に測定された過去数日分の平均血糖値を算出して表示部に表示させ(【0034】、【0049】)、
血糖値測定モード時において血糖値を測定し(【0033】)、
血糖値の測定が完了したのを機に、測定した血糖値と、当該血糖値を測定した時刻に対応する所定測定期間(朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前あるいは就寝前)における平均血糖値とを比較し、その差(以下、血糖値変動値)を判定して測定した血糖値と、当該血糖値を測定した時刻に対応する朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前あるいは就寝前における平均血糖値とを比較した結果を前記表示部に表示させる【0034】、【0043】、【0054】)、
血糖値測定装置。」
が記載されている。

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「制御部」は「記憶部」に記憶された各種処理に関するプログラムを読み出して実行することから、引用発明の「制御部」、「記憶部」は、それぞれ、本願発明1の「データ処理ハードウェア」、「メモリハードウェア」に相当する。そして、引用発明において、制御部が記憶部からプログラムを「読み出して」いることは、本願発明1と同様に、制御部と記憶部が「通信する」することに相当する。
イ 引用発明の「記憶部」は、「制御部」により、読み出されて実行される「各種処理に関するプログラム」を記憶することは、本願発明1における「前記メモリハードウェアは、前記データ処理ハードウェア上で実行されるときに、当該データ処理ハードウェアをして」、「動作を実行させる」、「皮下外来患者プログラムのための命令を格納する」ことに相当する。
ウ 引用発明の「患者の血糖値」は、本願発明1における「患者の血糖測定値」に相当する。そして、引用発明において、患者の血糖値は「所定時間毎あるいは患者が指示した時」と時間を決めて測定されており、当該患者の血糖値は「履歴」として管理されるから、血糖値を測定した時点での「時間情報」と関連付けられていることは明らかであり、当該「時間情報」は、本願発明1における血糖測定値に関連付けられた「血糖時間」に相当する。そうすると、引用発明における「患者の血糖値」と「時間情報」を合わせたものは、インスリン投薬量を含まない点で相違するものの、本願発明1における「患者の血糖データ」に相当する。
また、引用発明の制御部は、血糖値測定部から装着システムを介して患者の血糖値と時間情報を受信していることから、引用発明の制御部と血糖値測定部は、本願発明1と同様に「通信する」といえ、引用発明における「血糖値測定部」は、本願発明1における「グルコメーター」に相当する。
よって、引用発明の「患者の血糖値」と、患者の血糖値に関連付けられた「時間情報」とを、装着システムを介して「血糖値測定部」から「受信する」ことと、本願発明1の「前記患者の血糖測定値と、前記血糖測定値に関連付けられた血糖時間と、前記患者によって投与され且つ前記血糖測定値に関連付けられたインスリン投薬量と、を含む前記患者の血糖データを、前記データ処理ハードウェアと通信するグルコメーターから取得する」こととは、「前記患者の血糖測定値と、前記血糖測定値に関連付けられた血糖時間と、を含む患者の血糖データを、前記データ処理ハードウェアと通信するグルコメーターから取得する」という点で共通する。
エ 引用発明の「制御部」は、装着システムを介してインシュリンポンプから受信した「履歴として記憶された患者に関する従前のインシュリンの投与量」を利用して「患者に対するインシュリンの投与量」を決定することと、本願発明1における「以前の推奨食事ボーラス」を調節することによって「次の推奨食事ボーラス」を決定することとは、「以前のインスリン投薬量」に基づいて「次のインスリン投薬量」を決定するという点で共通する。
オ 引用発明の制御部は、決定されたインシュリン投与量を、装着デバイスを介してインシュリンポンプに送信していることから、制御部とインシュリンポンプとは、本願発明1と同様に「通信する」ものである。そうすると、引用発明の「インシュリンポンプ」は、本願発明1における「投与デバイス」に相当する。
よって、引用発明の前記「制御部」は、前記「通信部」を介して、「決定されたインシュリンの投与量」を、前記「装着システム」を介して前記「インシュリンポンプ」に「送信する」ことと、本願発明1における「前記次の推奨食事ボーラスを、前記データ処理ハードウェアと通信する投与デバイスに送信する」こととは、「次のインスリン投薬量を、前記データ処理ハードウェアと通信する投与デバイスに送信する」という点で共通する。
カ 引用発明の「血糖管理サーバ」は、血糖値測定部から患者の血糖値を履歴として管理し、新たなインシュリンの投与量を決定するものであるから、本願発明1と同様の「投薬コントローラ」といえる。

上記アないしカより、本願発明1と引用発明とは、以下の一致点で一致し、また、相違点で相違する。

(一致点)
「投薬コントローラであって、
データ処理ハードウェアと、
前記データ処理ハードウェアと通信するメモリハードウェアと、
を含み、
前記メモリハードウェアは、前記データ処理ハードウェア上で実行される時に、当該データ処理ハードウェアをして、
患者の血糖測定値と、前記血糖測定値に関連付けられた血糖時間と、を含む前記患者の血糖データを、前記データ処理ハードウェアと通信するグルコメーターから取得する段階、
以前のインスリン投薬量に基づいて、次のインスリン投薬量を決定する段階、
前記次のインスリン投薬量を、前記データ処理ハードウェアと通信する投与デバイスに送信する段階、
を含む動作を実行させる、という皮下外来患者プログラムのための命令を格納する、
投薬コントローラ。」

(相違点1)
本願発明1では、「患者に対する皮下情報を受信する段階」を有するのに対し、引用発明では、そのような特定事項を有しない点。
(相違点2)
本願発明1では、「前記データ処理ハードウェアと通信して遠隔ヘルスケアプロバイダコンピュータデバイスから1日の順次のスケジュールされた血糖時間間隔を受信する段階であって、スケジュールされた血糖時間間隔の各々は、他のスケジュールされた血糖時間間隔に関連付けられた他の時間境界とは重なり合わない対応する調整可能な時間境界に関連付けられている、という段階」を有するのに対し、引用発明では、そのような特定事項を有しない点。
(相違点3)
「グルコメーター」から取得する「血糖データ」が、本願発明1では「インスリン投薬量」を含むのに対し、引用発明の「血糖データ」には、「インスリン投薬量」(インシュリン投与量)を含まず、「インスリン投薬量」(インシュリン投与量)を「グルコメーター」(血糖値測定部)から取得するのではなく、「インシュリンポンプ」から取得する点。
(相違点4)
本願発明1では、「スケジュールされた血糖時間間隔の各々に対して、前記血糖時間に基づいて、対応するスケジュールされた血糖時間間隔に関連付けられた前記血糖測定値を集約して、当該対応するスケジュールされた血糖時間間隔に関連付けられた対応する代表集約血糖測定値を決定する」のに対し、引用発明では、そのような特定事項を有しない点。
(相違点5)
「以前のインスリン投薬量に基づいて、次のインスリン投薬量を決定する」のに際し、本願発明1では「選択された時間間隔の直後に生じるスケジュールされた血糖時間間隔に関連付けられた前記代表集約血糖測定値及び前記皮下情報に基づいて、前記選択された時間間隔中の前記患者に対する以前の推奨食事ボーラスを調節することによって、前記選択された時間間隔中の前記患者に対する次の推奨食事ボーラスを決定する」のに対し、引用発明では、推奨食事ボーラスを決定するものではない点。
(相違点6)
「前記データ処理ハードウェアと通信する投与デバイスに送信」される「次のインスリン投薬量」が、本願発明1では「推奨食事ボーラス」であるのに対し、引用発明では「インシュリンの投与量」であって、推奨食事ボーラスではない点。

(2)判断
ア 相違点5について
事案に鑑みて、相違点5について検討する。
引用発明では、制御部は、通信部が受信した患者の血糖値と、インシュリン投与量と、運動量と、食事の画像とを血糖値を管理するための要素となる要素データとし、前記要素データと、前記要素データや前記要素データに基づいて算出あるいは推測され患者に対応付けて既に前記記憶部に記憶されている血糖管理データとに基づいて、インシュリンの投与量を算出するためのプログラムを実行することにより、患者に対するインシュリン投与量を自動的に算出して決定するものであるが、前記要素データと前記血糖管理データのそれぞれが、選択された時間間隔の直後に生じるスケジュールされた血糖時間間隔に関連付けられた代表集約血糖測定値および皮下情報に基づくものではないことから、上記相違点5に係る構成は導き出せない。
また、引用文献2には、朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前あるいは就寝前である所定測定期間に測定された過去数日分の平均血糖値を算出することは記載されているものの、平均血糖値を利用して、前記選択された時間間隔中の前記患者に対する以前の推奨食事ボーラスを調節することによって、前記選択された時間間隔中の前記患者に対する次の推奨食事ボーラスを決定する点は記載も示唆もされていない。そうすると、引用発明に引用文献2の記載事項を組み合わせたとしても、上記相違点5に係る構成は導き出せない。
したがって、相違点5に係る本願発明1の構成は、引用発明と引用文献2の記載事項から、当業者が容易に想到できたものとはいえない。
イ 作用効果について
本願発明1は、上記相違点5に係る構成により、食事を摂る糖尿病患者には、インスリン投与をモニタする人間よりも速く信頼できかつ効率的なインスリン投与を提供するという効果を、経管栄養又は食事を摂らない患者には、直前の食事ボーラス及びその後のBGに基づいて食事ボーラスを調節する専用サブプログラムを提供することにより、炭水化物のカウントなしに食事ボーラスの食事毎の調節を提供するという効果を奏するものである(【0048】を参照)。
(3)まとめ
したがって、相違点1-4、6について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明と引用文献2の記載事項に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。

2 本願発明2-15について
本願発明2-15は、本願発明1を減縮した発明であって、上記1(1)の相違点1-6に係る構成を備えるから、上記1(2)で検討した理由と同様の理由により、引用発明と引用文献2の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 本願発明16-30について
本願発明16-30は、本願発明1-15に対応する方法の発明であり、上記1(1)相違点1-6に係る構成に対応する構成を備えるから、上記1(2)で検討した理由と同様の理由により、引用発明と引用文献2の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第7 原査定について
1 令和3年8月10日にされた手続補正により、本願発明1-15は、「選択された時間間隔の直後に生じるスケジュールされた血糖時間間隔(260)に関連付けられた前記代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)及び前記皮下情報(216、216a)に基づいて、前記選択された時間間隔中の前記患者(10)に対する以前の推奨食事ボーラスを調節することによって、前記選択された時間間隔中の前記患者(10)に対する次の推奨食事ボーラス(2402、2404、2406)を決定する段階」を有するものとなっており、本願発明1-15は、拒絶査定において引用された引用文献1、2の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 令和3年8月10日にされた手続補正により、本願発明16-30は、それぞれ、本願発明1-15に対応する構成を備えたものとなっているから、本願発明16-30は、拒絶査定において引用された引用文献1、2の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由について
1 令和3年5月13日付け拒絶理由通知において、請求項1-15の記載は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、明確でないという拒絶理由を通知したところ、令和3年8月10日にされた手続補正により、請求項1の記載が「選択された時間間隔の直後に生じるスケジュールされた血糖時間間隔(260)に関連付けられた前記代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)及び前記皮下情報(216、216a)に基づいて、前記選択された時間間隔中の前記患者(10)に対する以前の推奨食事ボーラスを調節することによって、前記選択された時間間隔中の前記患者(10)に対する次の推奨食事ボーラス(2402、2404、2406)を決定する段階」と補正された結果、拒絶の理由は解消した。
2 令和3年5月13日付け拒絶理由通知において、請求項16-30の記載は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、明確でないという拒絶理由を通知したところ、令和3年8月10日にされた手続補正により、請求項16の記載が「選択された時間間隔の直後に生じるスケジュールされた血糖時間間隔(260)に関連付けられた前記代表集約血糖測定値(2226、2228、2256、2258)及び前記皮下情報(216、216a)に基づいて、前記選択された時間間隔中の前記患者(10)に対する以前の推奨食事ボーラスを調節することによって、前記選択された時間間隔中の前記患者(10)に対する次の推奨食事ボーラス(2402、2404、2406)を、前記データ処理ハードウェア(112、132、142、192、160)によって決定する段階」と補正された結果、拒絶の理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、本願発明1-30は、引用発明および引用文献2の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。また、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号及び第2項に規定する要件を満たすものである。
したがって、原査定の理由、および、当審の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-10-20 
出願番号 特願2016-549782(P2016-549782)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G16H)
P 1 8・ 121- WY (G16H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 原 忠  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 相崎 裕恒
上田 智志
発明の名称 皮下外来患者管理  
代理人 須田 洋之  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 ▲吉▼田 和彦  
代理人 磯貝 克臣  
代理人 松下 満  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 山本 泰史  
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