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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J
管理番号 1379168
審判番号 不服2020-9629  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-09 
確定日 2021-10-13 
事件の表示 特願2018- 82707「万能型の超音波ワイヤレス充電」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月 6日出願公開、特開2018-139487〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)9月26日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2013年(平成25年)10月1日 米国)を国際出願日とする特願2016-537953号の一部を2018年(平成30年)4月24日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。

平成31年 2月26日付け:拒絶理由通知書
令和 1年 5月30日 :意見書、手続補正書の提出
令和 1年10月21日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 1月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 3月 3日付け:拒絶査定
令和 2年 7月 9日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和2年7月9日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年7月9日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「【請求項1】
充電するための機器であって、当該機器は、
電力を受け取る入力部と、
前記受け取った電力を交流に変換する回路と、
前記交流を受け取って超音波エネルギーを生成し、且つ1つ以上の超音波エネルギーを媒体を介して1つ以上の装置にそれぞれ送信するためのトランスデューサのアレイと、
論理回路と、を有しており、
前記1つ以上の装置は、第1及び第2の装置を含み、前記トランスデューサのアレイは第1の超音波エネルギーの第1のビームを前記第1の装置に供給し、第2の超音波エネルギーの第2のビームを前記第2の装置に供給し、
前記論理回路は、
前記第1及び第2の装置の少なくとも一方の超音波受信器の現在位置を検出し、
前記第1又は第2の超音波エネルギーと、前記トランスデューサのアレイ上で移動する前記第1及び第2の装置の前記少なくとも一方の超音波受信器の周囲に位置付けされたビーム反射体から反射されたビーム反射エネルギーとの差に基づいて、前記第1及び第2の装置の前記少なくとも一方の移動の3次元特性を決定する、
機器。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和2年1月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
充電するための機器であって、当該機器は、
電力を受け取る入力部と、
前記受け取った電力を交流に変換する回路と、
前記交流を受け取って超音波エネルギーを生成し、且つ1つ以上の超音波エネルギーを媒体を介して1つ以上の装置にそれぞれ送信するためのトランスデューサのアレイと、
論理回路と、を有しており、
前記1つ以上の装置は、第1及び第2の装置を含み、前記トランスデューサのアレイは第1の超音波エネルギーの第1のビームを第1の装置に供給し、第2の超音波エネルギーの第2のビームを第2の装置に供給し、
前記論理回路は、
前記トランスデューサのアレイ上を移動する前記第1及び第2の装置の少なくとも一方の超音波受信器の現在位置を検出し、
該検出した現在位置に基づいて、前記トランスデューサのアレイ上で前記第1及び第2の装置の前記少なくとも一方の超音波受信器と重なる、前記アレイのうちの1つ又は複数のトランスデューサのみを選択的に活性化する、
機器。」

(3)補正の適否
上記補正は、補正前の請求項1に記載のあった「該検出した現在位置に基づいて、前記トランスデューサのアレイ上で前記第1及び第2の装置の前記少なくとも一方の超音波受信器と重なる、前記アレイのうちの1つ又は複数のトランスデューサのみを選択的に活性化する」を削除する補正事項を含むから、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものではなく、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。また、上記補正事項を含む補正が、同項第1号、第3号、第4号のいずれを目的とするものでないことも明らかである。
したがって、上記補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和2年7月9日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和2年1月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし21に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記「第2[理由](2)」に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略次のとおりである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1-5、8、12-21
・引用文献等 1-2

・請求項 6-11
・引用文献等 1-2,4

<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2012/0299542号明細書
2.米国特許出願公開第2013/0241468号明細書
4.米国特許第06798716号明細書

3 引用文献、引用発明等
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である上記引用文献1(米国特許出願公開第2012/0299542号明細書(2012年11月29日公開。)には、図面とともに、次の記載がある。(なお、括弧内の仮訳は当審で作成した。また、仮訳中の下線は当審で付した。)

ア.「1. A system, comprising:
a sender comprising:
a signal generator;
an amplifier coupled to the signal generator, said amplifier configured to receive power from a power source and to generate an electrical transmission signal adapted to be used to generate ultrasonic waves;
a sender transducer coupled to the amplifier, the sender transducer adapted and configured to generate ultrasonic waves based on the electrical transmission signal received from the amplifier; and
a sender controller coupled to at least one of the signal generator, the amplifier and the sender transducer; and
a receiver having a first value of a configuration parameter and comprising:
a receiver transducer adapted and configured to receive ultrasonic waves generated by the sender transducer and to generate a receiver electrical signal based on the received ultrasonic waves;
a receiver electrical storage device adapted and configured to store electrical energy based on the receiver electrical signal generated by the receiver transducer;
a receiver controller coupled to at least one of the receiver transducer and the receiver electrical storage device, the receiver controller causing the receiver to receive ultrasonic energy in accordance with a second value of the configuration parameter such that the ultrasonic energy is converted into electrical energy more efficiently at the receiver than with the receiver configuration parameter at the first value.」
(請求項1.送信機と受信器とを備えるシステムであって、
前記送信機は、
信号発生器と、
前記信号発生器に結合された増幅器であって、電源から電力を受け取り、超音波を生成するために使用されるように適合された電気伝送信号を生成するように構成された増幅器と、
前記増幅器に結合された送信トランスデューサであって、前記増幅器から受信された前記電気伝送信号に基づいて超音波を生成するように適合および構成された送信トランスデューサと、
前記信号発生器、前記増幅器、および前記送信側トランスデューサのうちの少なくとも1つに結合された送信側コントローラと、を備え、
前記受信器は、構成パラメータの第1の値を有し、
前記送信トランスデューサによって生成された超音波を受信し、前記受信された超音波に基づいて受信機電気信号を生成するように適合および構成された受信機トランスデューサと、
前記受信機トランスデューサによって生成された前記受信機電気信号に基づいて電気エネルギーを蓄積するように適合および構成された受信機蓄電デバイスと、
前記受信機トランスデューサおよび前記受信機蓄電デバイスのうちの少なくとも1つに結合された受信機コントローラであって、前記受信機コントローラは、前記第1の値における前記受信機構成パラメータよりも前記受信機においてより効率的に前記超音波エネルギーが電気エネルギーに変換されるように、前記構成パラメータの第2の値に従って前記受信機に超音波エネルギーを受信させる受信機コントローラとを備える、システム。)

イ.「[0011] FIG. 1 shows a system in accordance with the disclosed subject matter. Transmitter 101 can receive electrical energy from power source 102 (such as an electrical outlet or a battery) as input. Signal generator 103 can generates a signal that can be amplified by amplifier 104. This can be done under the control of controller 105. The amplified signal can be sent to sending transducer 106, and the ultrasonic energy in the form of ultrasound waves 107 can be transmitted through a medium such as the air. Receiver 108 can includes receiving transducer 109, which receives ultrasonic energy in the form of ultrasonic waves and converts it to electrical energy, which can be used to charge energy storage device 110 or power processor 111. Examples of energy storage device 110 can include a battery, a capacitor, an induction circuit, etc. Examples of device 105 can include a smartphone (such as an Android mobile device, an iPhone, a mobile device having a Microsoft operating system), a portable computer (such as an Apple laptop, a laptop having a Microsoft operating system, etc.), an electronic content reader, (such as the Amazon Kindle, the Apple iPad, etc.) and so on. Controller 111 can control the receiving transducer 109 and/or energy storage device 110.」
([0011] 図1は、開示される主題によるシステムを示す。送信機101は、入力として電源102(電気コンセントまたは電池など)から電気エネルギーを受け取ることができる。信号発生器103は、増幅器104によって増幅することができる信号を生成することができる。これは、コントローラ105の制御下で行うことができる。増幅された信号は、送信トランスデューサ106に送信することができ、超音波107の形態の超音波エネルギーは、空気などの媒体を通して送信することができる。受信器108は、超音波の形態で超音波エネルギーを受信し、それを電気エネルギーに変換する受信変換器109を含むことができ、電気エネルギーは、エネルギー貯蔵デバイス110を充電するために使用することができ、またはプロセッサ111の電源として使用することができる。エネルギー貯蔵デバイス110の例は、バッテリ、キャパシタ、誘導回路などを含むことができる。デバイス105の例は、スマートフォン(Androidモバイルデバイス、iPhone、Microsoftオペレーティングシステムを有するモバイルデバイスなど)、ポータブルコンピュータ(Appleラップトップ、Microsoftオペレーティングシステムを有するラップトップなど)、電子コンテンツリーダ(アマゾン・キンドル、Apple iPadなど)などを含むことができる。コントローラ111は、受信トランスデューサ109および/またはエネルギー蓄積デバイス110を制御することができる。)

ウ.「[0013] Sending transducer 106 can comprise a plurality of transducers arranged in an array that can produce a focused beam of ultrasonic energy. Sending transducer 106 may include at least one Capacitive Micro machined Ultrasonic Transducer (CMUT), a Capacitive Ultrasonic Transducer (CUT), an electrostatic transducer or any other transducer suitable for converting electrical energy into acoustic energy. To generate focused ultrasonic energy via a phased array, sending transducer 106 can include a timed delay transducer or a parametric array transducer, or a bowl-shaped transducer array. (以下略)」
([0013] 送信トランスデューサ106は、超音波エネルギーの集束ビームを生成することができるアレイ状に配置された複数のトランスデューサを備えることができる。送信トランスデューサ106は、容量性マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)、容量性超音波トランスデューサ(CUT)、静電トランスデューサ、又は電気エネルギーを音響エネルギーに変換するのに適した任意の他のトランスデューサの少なくとも1つを含むことができる。フェーズドアレイにより集束超音波エネルギーを生成するために、送信トランスデューサ106は、時間遅延トランスデューサまたはパラメトリックアレイトランスデューサ、あるいはボウル形状のトランスデューサアレイを含むことができる。(以下略))

エ.「[0014] Transmitter controller 105 can cause the sending transducer 106 to emit ultrasonic waves based on the proximity of the sending transducer 106 (or transmitter 101 in general) to receiving transducer 109. Receiving transducer 109 can convert ultrasonic energy received from sending transducer 106 to electrical energy. As used herein, proximity can be the actual or effective distance between the sending transducer 106 or the like and receiving transducer 109 or the like. Effective distance can be based on the efficiency of energy transmission between sending transducer 106 and receiving transducer 109 based on various factors that can include, without limitation, their relative locations; the characteristics of the conductive medium (e.g., the air, tissue, etc.) between transmitter and receiver; the relative orientation of the transmitter and receiver; obstructions that may exist between the transmitter and receiver; relative movement between transmitter and receiver; etc. In some cases, a first transmitter/receiver pair may have a higher proximity than a second transmitter/receiver pair, even though the first pair is separated by a greater absolute distance than the second pair.
[0015] Transmitter controller 105 may cause a beam of ultrasonic energy to be directed toward receiver transducer 109. Further, transmitter controller 105 can cause sending transducer 105 to emit ultrasonic waves having at least one frequency and at least one amplitude. Transmitter controller 105 can cause the sending transducer 106 to change the frequency and/or amplitude of at least some of the ultrasonic waves based on the proximity and/or location of sending transducer 106 to receiving transducer 109. Additionally, transmitter controller 105 can cause sending transducer 105 to change the amplitude of at least some of the ultrasonic waves based on the frequency of the ultrasonic energy emitted by sending transducer or based on information regarding the receipt of ultrasonic energy as determined by receiving controller 111.」
([0014] 送信機コントローラ105は、受信トランスデューサ109に対する送信トランスデューサ106(または一般に送信機101)の近接度に基づいて、送信トランスデューサ106に超音波を放出させることができる。受信トランスデューサ109は、送信トランスデューサ106から受信した超音波エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。本明細書で使用される場合、近接度は、送信トランスデューサ106などと受信トランスデューサ109などとの間の実際のまたは有効な距離であり得る。有効距離は、それらの相対位置、送信機と受信機との間の伝導媒体(例えば、空気、組織等)の特性、送信機と受信機との相対配向、送信機と受信機との間に存在し得る障害物、送信機と受信機との間の相対運動等を含み得るが、それらに限定されない、種々の要因に基づく、送信変換器106と受信変換器109との間のエネルギー伝送の効率に基づくことができる。いくつかの場合には、第1の送信機/受信機ペアは、第1のペアが第2のペアよりも大きい絶対距離だけ分離されているにもかかわらず、第2の送信機/受信機ペアよりも高い近接度を有し得る。
[0015] 送信機コントローラ105は、超音波エネルギーのビームを受信機トランスデューサ109に向けて方向付けることができる。さらに、送信機コントローラ105は、送信トランスデューサ105に、少なくとも1つの周波数および少なくとも1つの振幅を有する超音波を放出させることができる。送信機コントローラ105は、送信トランスデューサ106に、受信トランスデューサ109に対する送信トランスデューサ106の近接性および/または位置に基づいて、超音波の少なくとも一部の周波数および/または振幅を変更させることができる。加えて、送信機コントローラ105は、送信トランスデューサ105に、送信トランスデューサによって放出された超音波エネルギーの周波数に基づいて、または受信コントローラ111によって決定された超音波エネルギーの受信に関する情報に基づいて、超音波の少なくとも一部の振幅を変更させることができる。)

オ.「[0022] The transmitter 101 may scan an area for receivers, may sense location of a receiver within a room, may track a receiver, and may steer an ultrasonic beam toward the receiver. Transmitter 101 may optionally not emit ultrasonic energy unless a receiver 108 is determined to be within a given range.」
([0022] 送信機101は、受信機のためにエリアをスキャンすることができ、部屋内の受信機の位置を感知することができ、受信機を追跡することができ、受信機に向かって超音波ビームをステアリングすることができる。任意選択であるが、送信機101は、受信機108が所与の範囲内にあると判定されない限り、超音波エネルギーを放出しなくてもよい。)

カ.「[0038] Embodiments of communications protocols between transmitter 101 and receivers 108 can be used to dynamically tune the beam characteristics and/or device characteristics to enable and/or to optimize the transmission of power from transmitter 101 to receiver 108. For example, at a given distance, it may be optimal to operate at a given frequency and intensity. A transmitter 101 may server several different devices by, for example, steering and tuning the beam for each receiver device 108, e.g., in a round-robin or random fashion. Thus, the beam for a device A may be at 40 kHz and 145 dB, device B may be at 60 kHz and 130 dB and device C at 75 kHz and 150 dB. The transmitter can tune itself to transmit an optimally shaped beam to each of these dynamically, changing beam characteristics as the transmitter shifts from one device to another. Further, dwell time on each receiver device 108 can be modulated to achieve particular power transfer objectives.」
([0038] 送信機101と受信機108との間の実施形態の通信プロトコルは、送信機101から受信機108への電力の送信を可能にし、および/または最適化するために、ビーム特性および/またはデバイス特性を動的に調整するために使用され得る。例えば、所与の距離において、所与の周波数および強度で動作することが最適であり得る。送信機101は、例えば、各受信機デバイス108のためのビームをステアリングおよびチューニングすることによって、例えば、ラウンドロビン方式やランダム方式で、いくつかの異なるデバイスに供給することができる。したがって、デバイスAのビームは40kHzおよび145dBであり得、デバイスBのビームは60kHzおよび130dBであり得、デバイスCのビームは75kHzおよび150dBであり得る。送信機は、最適に整形されたビームをこれらのデバイスの各々に動的に送信するようにそれ自体を同調させることができ、送信機が1つのデバイスから別のデバイスにシフトするにつれてビーム特性を変化させる。さらに、各受信機デバイス108上の滞留時間は、特定の電力伝送目的を達成するように調節され得る。 )

キ.上記記載から次のことがいえる。
・上記ア及びイによれば、電源から電力を受け取り、超音波を生成するために使用される電気伝送信号を生成する増幅器と、増幅器から受信された電気伝送信号に基づいて超音波を生成し、空気などの媒体を通して送信する送信トランスデューサと、送信側コントローラとを備えた送信機が記載されている。
・上記ウによれば、送信トランスデューサが、超音波エネルギーの集束ビームを生成することができるアレイ状に配置された複数のトランスデューサを備えることが記載されている。
・上記エによれば、送信機コントローラは、送信トランスデューサに超音波を放出させることができ、超音波エネルギーのビームを受信機トランスデューサに向けて方向付けることができることが記載されている。
・上記カによれば、送信機は、各受信機デバイスのためのビームをステアリングおよびチューニングすることによって、ラウンドロビン方式やランダム方式で、いくつかの異なるデバイスに供給することができ、デバイスAのビームおよびデバイスBのビームを、これらのデバイスの各々に動的に送信することが記載されている。
・上記オによれば、送信機101は、受信機の位置を感知することができ、受信機を追跡することができ、受信機に向かって超音波ビームをステアリングすることができることが記載されている。
・上記ア及びイによれば、超音波エネルギーは、受信機のエネルギー貯蔵デバイスを充電するために使用することができることが記載されている。

ク.したがって、上記アないしキによれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「送信機であって、
電源から電力を受け取り、超音波を生成するために使用される電気伝送信号を生成する増幅器と、
増幅器から受信された電気伝送信号に基づいて超音波を生成し空気などの媒体を介して送信する送信トランスデューサであって、超音波エネルギーの集束ビームを生成することができるアレイ状に配置された複数のトランスデューサを備える送信トランスデューサと、
送信トランスデューサに超音波を放出させることができ、超音波エネルギーのビームを受信機トランスデューサに向けて方向付けることができる送信機コントローラと、を備え、
各受信機デバイスのためのビームをステアリングおよびチューニングすることによって、ラウンドロビン方式やランダム方式で、いくつかの異なるデバイスに供給することができ、デバイスAのビームおよびデバイスBのビームを、これらのデバイスの各々に動的に送信し、
受信機の位置を感知することができ、受信機を追跡することができ、受信機に向かって超音波ビームをステアリングすることができ、
超音波エネルギーは、受信機のエネルギー貯蔵デバイスを充電するために使用することができる、送信機。」

(2)引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である上記引用文献2(米国特許出願公開第2013/0241468号明細書(2013年9月19日公開。)には、図面とともに、次の記載がある。(なお、括弧内の仮訳は当審で作成した。また、仮訳中の下線は当審で付した。)

ア.「[0016] Certain embodiments of the invention may be found in a method and system for wireless battery charging utilizing ultrasonic transducer array based beamforming. In accordance with various exemplary embodiments of the invention, an ultrasound power transmitter comprising a transmit (Tx) ultrasonic transducer array has a plurality of Tx ultrasonic transducers. The ultrasound power transmitter may activate a set of Tx ultrasonic transducers in close proximity to an ultrasound power receiver of an electronic device. The activated set of Tx ultrasonic transducers may be arranged to beam ultrasound energy to the ultrasound power receiver of the electronic device. The ultrasound beaming may be managed by aligning alignment magnets of the ultrasound power transmitter with alignment magnets of the ultrasound power receiver. The ultrasound energy may be converted into electric power to charge the battery of the electronic device. A feedback regard to the ultrasound beaming may be provided by the electronic device to the ultrasound power transmitter to increase power transmission efficiency. The ultrasound power transmitter may activate a set of transmit ultrasonic transducers of the Tx ultrasonic transducer array in close proximity of a specific geographic area with good ultrasound transmission, permeability, and/or magnetic property. The activated set of transmit ultrasonic transducers may be utilized to beam ultrasound energy to the specific geographic area. The electronic device may be moved or sent into the specific geographic area for ultrasound battery charging. The ultrasound power transmitter may pair the electronic device with other electronic devices utilizing ultrasonic signals. In this regard, device pairing information such as device identity identifiers and/or communication protocols may be embedded into the ultrasonic signals. The ultrasound power transmitter may emit the resulting ultrasonic signals to the electronic devices utilizing different sets of Tx ultrasonic transducers activated based on corresponding proximity of the electronic devices. A spacer with good ultrasound power transmission properties may be located or placed between the ultrasound power transmitter and an intended electronic device to enhance power transmission.」
([0016] 本発明の特定の実施形態は、超音波トランスデューサアレイベースのビームフォーミングを利用するワイヤレスバッテリ充電のための方法およびシステムにおいて見出され得る。本発明の様々な例示的な実施形態によれば、超音波電力送信機は、複数のTx超音波トランスデューサを有する送信(Tx)超音波トランスデューサアレイを備える。超音波電力送信機は、電子デバイスの超音波電力受信機に近接したTx超音波トランスデューサのセットをアクティブ化し得る。Tx超音波トランスデューサのアクティブ化されたセットは、電子デバイスの超音波電力受信機に超音波エネルギーをビームするように構成され得る。超音波ビームは、超音波電力送信機のアライメント磁石を超音波電力受信機のアライメント磁石と位置合わせすることによって管理され得る。超音波エネルギーは、電子デバイスのバッテリを充電するために電力に変換され得る。超音波ビームに関するフィードバックは、電力伝送効率を高めるために、電子デバイスによって超音波電力送信機に提供され得る。超音波電力送信機は、良好な超音波送信、透過性、および/または磁気特性を有する特定の地理的エリアに近接したTx超音波トランスデューサアレイの送信超音波トランスデューサのセットをアクティブ化し得る。送信超音波トランスデューサのアクティブ化されたセットは、特定の地理的エリアに超音波エネルギーをビームするために利用され得る。電子デバイスは、超音波バッテリ充電のために特定の地理的エリアに移動または送信され得る。超音波電力送信機は、超音波信号を利用して電子デバイスを他の電子デバイスとペアリングすることができる。この点に関して、デバイスアイデンティティ識別子および/または通信プロトコル等のデバイスペアリング情報が、超音波信号に埋め込まれてもよい。超音波電力送信機は、電子デバイスの対応する近接性に基づいてアクティブ化されるTx超音波トランスデューサの異なるセットを利用して、結果として生じる超音波信号を電子デバイスに放出し得る。良好な超音波電力伝送特性を有するスペーサは、電力伝送を向上させるために、超音波電力送信機と意図される電子デバイスとの間に配置または設置され得る。)

イ.「[0025] The ultrasound power transmitter 210 may comprise suitable logic, circuitry, interfaces and/or code that are operable to convert electric power into inaudible ultrasound energy. The ultrasound power transmitter 210 comprises a plurality of sensors 212, communicators 214a, a networking unit 214b, a power source 214c, a processor 216, a beam former circuitry 217, a ultrasonic transducer array 218, and a memory 219.
[0026] The sensors 212 may comprise suitable logic, circuitry, interfaces and/or code that are operable to sense power or signals. The sensors 212 may capture and receive sensed signals and communicate with the processor 216 so that the processor 216 may use that information for optimal charging or may transmit the sensed signals over the communicators 214a and/or the networking unit 214b, for example. In an exemplary embodiment of the invention, the sensors 212 may sense the location of the battery adapter 120 of an electronic device such as the electronic device 130a. The sensors 212 may provide that location information to the processor 216 so that an optimal subset of transducer elements of the ultrasonic transducer array 218, for example, those transducer elements that are close to the receive transducers 222a, may be activated.」
([0025] 超音波電力送信機210は、電力を不可聴超音波エネルギーに変換するように動作可能な好適な論理、回路、インターフェース、及び/又はコードを備え得る。超音波電力送信機210は、複数のセンサ212と、コミュニケータ214aと、ネットワーキングユニット214bと、電源214cと、プロセッサ216と、ビームフォーマ回路217と、超音波トランスデューサアレイ218と、メモリ219とを備える。
[0026] センサ212は、電力または信号を感知するように動作可能な適切な論理、回路、インターフェース、および/またはコードを備え得る。センサ212は、感知された信号を捕捉および受信し、プロセッサ216と通信してもよく、それにより、プロセッサ216は、例えば、最適な充電のためにその情報を使用してもよく、またはコミュニケータ214aおよび/もしくはネットワーキングユニット214bを介して感知された信号を送信してもよい。本発明の例示的な実施形態では、センサ212は、電子デバイス130aなどの電子デバイスのバッテリアダプタ120の位置を感知することができる。センサ212は、超音波トランスデューサアレイ218のトランスデューサ素子の最適なサブセット、例えば、受信トランスデューサ222aに近いトランスデューサ素子がアクティブ化され得るように、その位置情報をプロセッサ216に提供し得る。)

ウ.「[0045] FIG. 4 is a diagram that conceptually illustrates proximity based ultrasound transmit beamforming for wireless battery charging, in accordance with an embodiment of the invention. Referring to FIG. 4, there is shown the Tx ultrasonic transducer array 412 in the ultrasound power transmitter 410 may be utilized to emit or provide ultrasonic signals so as to wirelessly power or charge different electronic devices 422, 424 and 426. In an embodiment of the invention, different subsets of Tx ultrasonic transducers of the Tx ultrasonic transducer array 412 may be activated based on corresponding proximity to Rx ultrasonic transducers of the different electronic devices that are being charged. For example, as shown, the electronic device 422 comprises a Rx transducer 423 and is placed in close vicinity of Tx transducers 412a and 412b of the Tx ultrasonic transducer array 412. The electronic device 424 comprises Rx transducers 425 and is in the vicinity of Tx transducers 412e and 412f of the Tx ultrasonic transducer array 412. The electronic device 426 comprises Rx transducers 427 and is in the vicinity of Tx transducers 412i, 412j, and 412k of the Tx ultrasonic transducer array 412. In this regard, the ultrasound power transmitter 410 may activate corresponding Tx transducers close to the electronic devices 422 through 426, respectively. The ultrasound power transmitter 410 may arrange the activated transducers 412a and 412b, the activated transducers 412e and 412f, and the activated transducers 412i, 412j, 412k, to transmit ultrasound power, accordingly. In another embodiment of the invention, the ultrasound power receiver 222 may be operable to provide feedback to the ultrasound power transmitter 210 in order to optimize power transmission from the ultrasound power transmitter 210 to the ultrasound power receiver 222. In particular, the power combiner 222b may combine and sum the received power from the Rx transducers 222a. The resulting sum may then be transmitted back to the ultrasound power transmitter 210. The feedback may occur over the ultrasound channel between the ultrasonic transducer array 218 and the ultrasonic power receiver 222. The feedback may also occur over other communication channels such as, for example, Bluetooth channels, WLAN channels, cellular channels, and/or WiMAX channels, between data communicators 229 and 214a. The ultrasound power transmitter 210 may then change the set of activated transducer elements of the ultrasonic transducer array 218 to increase the power received at the power combiner 222b.」
([0045] 図4は、本発明の一実施形態による、ワイヤレスバッテリ充電のための近接ベースの超音波送信ビームフォーミングを概念的に示す図である。図4を参照すると、超音波電力送信機410内のTx超音波トランスデューサアレイ412は、異なる電子デバイス422、424、および426にワイヤレスに電力供給または充電するように超音波信号を放出または提供するために利用され得ることが示されている。本発明の一実施形態では、Tx超音波トランスデューサアレイ412のTx超音波トランスデューサの異なるサブセットは、充電されている異なる電子デバイスのRx超音波トランスデューサへの対応する近接性に基づいてアクティブ化され得る。例えば、図示のように、電子デバイス422は、Rxトランスデューサ423を備え、Tx超音波トランスデューサアレイ412のTxトランスデューサ412aおよび412bのすぐ近くに配置される。電子デバイス424は、Rxトランスデューサ425を備え、Tx超音波トランスデューサアレイ412のTxトランスデューサ412eおよび412fの近傍にある。電子デバイス426は、Rxトランスデューサ427を備え、Tx超音波トランスデューサアレイ412のTxトランスデューサ412i、412j、および412kの近傍にある。このとき、超音波電力送信部410は、電子デバイス422ないし426それぞれに近接した対応する送信トランスデューサーをアクティブ化させることができる。超音波電力送信部410は、アクティブ化されたトランスデューサ412a、412b、412e、412f、412i、412j、412kを配置して超音波電力を送信する。本発明の別の実施形態では、超音波電力受信機222は、超音波電力送信機210から超音波電力受信機222への電力伝送を最適化するために、超音波電力送信機210にフィードバックを提供するように動作可能であり得る。特に、電力合成器222bは、Rxトランスデューサ222aからの受信電力を合成および合計し得る。結果として生じる和は、次いで、超音波電力送信機210に返信され得る。フィードバックは、超音波トランスデューサアレイ218と超音波電力受信機222との間の超音波チャネルを介して行われ得る。フィードバックはまた、データ通信機229と214aとの間で、例えば、Bluetoothチャネル、WLANチャネル、セルラーチャネル、および/またはWiMAXチャネル等の他の通信チャネルを介して生じてもよい。次いで、超音波電力送信機210は、電力結合器222bにおいて受信される電力を増加させるために、超音波トランスデューサアレイ218のアクティブ化されたトランスデューサ要素のセットを変更し得る。)

エ.「図4



オ.上記記載から、次のことがいえる。
・上記アによれば、超音波トランスデューサアレイベースのビームフォーミングを利用するワイヤレスバッテリ充電のためのシステムに用いられる超音波電力送信機が、複数のTx超音波トランスデューサを有するTx超音波トランスデューサアレイを備えることが記載されている。
・上記イには、超音波電力送信機が、電子デバイスの位置を感知することができ、超音波トランスデューサアレイのトランスデューサの素子の最適なサブセット、例えば、受信トランスデューサに近いトランスデューサ素子がアクティブ化され得るように、その位置情報をプロセッサに提供するセンサと、最適な充電のためにその情報を使用するプロセッサと、を備えることが記載されているから、電子デバイスの位置情報を使用して、超音波トランスデューサアレイのトランスデューサの素子のうち、受信トランスデューサに近いトランスデューサ素子を最適なサブセットとしてアクティブ化することにより、最適な充電を行うことが読み取れる。
・上記ア及びウによれば、電子デバイスの超音波電力受信機に近接したTx超音波トランスデューサのセットをアクティブ化し、アクティブ化されたされたTx超音波トランスデューサのセットを用いて、異なる電子デバイスに超音波エネルギーをビームすることが記載されている。
さらに、上記図4からは、アクティブ化するTx超音波トランスデューサのセットが、電子デバイスと重なるTx超音波トランスデューサであることについても確認できる。

カ.したがって、上記アないしオによれば、引用文献2には、
「超音波トランスデューサアレイベースのビームフォーミングを利用するワイヤレスバッテリ充電のためのシステムに用いられる超音波電力送信機であって
複数のTx超音波トランスデューサを有するTx超音波トランスデューサアレイを備え、
、電子デバイスの位置情報を使用して、超音波トランスデューサアレイのトランスデューサの素子のうち、電子デバイスと重なるTx超音波トランスデューサをアクティブ化し、アクティブ化されたされたTx超音波トランスデューサのセットを用いて異なる電子デバイスに超音波エネルギーをビームすることにより最適な充電を行う技術」が記載されている。

4 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア.引用発明の「送信機」は「電源から電力を受け取」ることから、本願発明の「電力を受け取るための入力部」を有していることは明らかである。

イ.本願発明の「交流」は、「トランスデューサのアレイ」が「受け取って超音波エネルギーを生成」するために使用されるものである。よって、引用発明の「超音波を生成するために使用される電気伝送信号」と本願発明の「交流」は、共に、超音波を生成するために使用される信号といえる。
したがって、引用発明の「電源から電力を受け取り、超音波を生成するために使用される電気伝送信号を生成する増幅器」と本願発明の「前記受け取った電力を交流に変換する回路」とは、「前記受け取った電力」を超音波を生成するために使用される信号に「変換する回路」であると認められる。
ただし、超音波を生成するために使用される信号が、本願発明では「交流」であるのに対して、引用発明にはその旨の特定がない点で相違する。

ウ.引用発明の「送信トランスデューサ」は、「アレイ状に配置された複数のトランスデューサを備える」から、本願発明の「トランスデューサのアレイ」に相当する。
引用発明の「送信トランスデューサ」が「増幅器から受信された電気伝送信号に基づいて超音波を生成」することと、本願発明の「トランスデューサのアレイ」が「前記交流を受け取って超音波エネルギーを生成」することとは、共に、超音波を生成するために使用される信号を「受け取って超音波エネルギーを生成」する。
また、引用発明の「送信トランスデューサ」が「超音波を」「空気などの媒体を介して送信する」ことは、本願発明の「トランスデューサのアレイ」が「超音波エネルギーを媒体を介して」「送信する」ことに相当する。
さらに、引用発明の「送信機」は「各受信機デバイスのためのビームをステアリングおよびチューニングすることによって」「いくつかの異なるデバイスに供給することができ、デバイスAのビームおよびデバイスBのビームを、これらのデバイスの各々に動的に送信」するから、「送信トランスデューサ」は、1つ以上の超音波エネルギーを1つ以上の装置にそれぞれ送信する。
したがって、引用発明の「送信トランスデューサ」と、本願発明の「トランスデューサのアレイ」とは、共に、超音波を生成するために使用される電気信号を「受け取って超音波エネルギーを生成し、且つ1つ以上の超音波エネルギーを媒体を介して1つ以上の装置にそれぞれ送信するためのトランスデューサのアレイ」であると認められる。
ただし、上記イと同様に、超音波を生成するために使用される電気信号が、本願発明では「交流」であるのに対して、引用発明にはその旨の特定がない点で相違する。

エ.引用発明の「送信機」が「各受信機デバイスのためのビームをステアリングおよびチューニングすることによって、」「いくつかの異なるデバイスに供給することができ、デバイスAのビームおよびデバイスBのビームを、これらのデバイスの各々に動的に送信」することは、本願発明の「前記1つ以上の装置は、第1及び第2の装置を含み、前記トランスデューサのアレイは第1の超音波エネルギーの第1のビームを第1の装置に供給し、第2の超音波エネルギーの第2のビームを第2の装置に供給」することに相当する。

オ.引用発明の「送信機」は、「受信機の位置を感知することができ、受信機を追跡することができ」ることから、移動する受信機の現在の位置を検出することができる。また、受信機が「アレイ状に配置された複数のトランスデューサ」上に位置する場合においても、当該受信機の位置を検出できることは明らかである。
よって、引用発明の「送信機」が、「受信機の位置を感知することができ、受信機を追跡することができ」ることは、本願発明の「前記トランスデューサのアレイ状を移動する前記第1及び第2の装置の少なくとも一方の超音波受信機の現在位置を検出」することに相当する。

カ.引用発明の「送信機」は、「受信機の位置を感知することができ、受信機を追跡することができ、受信機に向かって超音波ビームをステアリングすることができ」るから、受信機を追跡し、感知した受信機の現在の位置に基づいて、送信トランスデューサを制御しているといえる。
そうすると、引用発明の「受信機の位置を感知することができ、受信機を追跡することができ、受信機に向かって超音波ビームをステアリングすることができ」ることと、本願発明とは、「該検出した現在位置に基づいて、前記トランスデューサのアレイを制御する」点で共通する。
ただし、本願発明では、「該検出した現在位置に基づいて」行う「前記トランスデューサのアレイ」の「制御」が「前記トランスデューサのアレイ上で前記第1及び第2の装置の前記少なくとも一方の超音波受信器と重なる、前記アレイのうちの1つ又は複数のトランスデューサのみを選択的に活性化する」制御であるのに対して、引用発明にはその旨の特定がない点で相違する。

キ.引用発明の「送信機コントローラ」は「送信トランスデューサに超音波を放出させることができ、超音波エネルギーのビームを受信機トランスデューサに向けて方向付けることができる」ものであり、送信機の動作を制御するものであるから、上記オ及びカにおいて説示した「送信機」が行う「受信機の位置を感知することができ、受信機を追跡することができ、受信機に向かって超音波ビームをステアリングする」という制御を行うものと認める。
よって、引用発明の「送信機コントローラ」は、本願発明の「論理回路」に相当する。

ク.引用発明の「送信機」が送信する「超音波エネルギー」は「受信機のエネルギー貯蔵デバイスを充電するために使用することができる」から、引用発明の「送信機」は、本願発明の「充電するための機器」に相当する。

(2)したがって、上記アないしクによれば、本願発明と引用発明とは、次の(一致点)及び(相違点)を有する。

(一致点)
「充電するための機器であって、当該機器は、
電力を受け取る入力部と、
前記受け取った電力を超音波を生成するために使用される電気信号に変換する回路と、
前記超音波を生成するために使用される電気信号を受け取って超音波エネルギーを生成し、且つ1つ以上の超音波エネルギーを媒体を介して1つ以上の装置にそれぞれ送信するためのトランスデューサのアレイと、
論理回路と、を有しており、
前記1つ以上の装置は、第1及び第2の装置を含み、前記トランスデューサのアレイは第1の超音波エネルギーの第1のビームを第1の装置に供給し、第2の超音波エネルギーの第2のビームを第2の装置に供給し、
前記論理回路は、
前記トランスデューサのアレイ上を移動する前記第1及び第2の装置の少なくとも一方の超音波受信器の現在位置を検出し、
該検出した現在位置に基づいて、前記トランスデューサのアレイを制御する、
機器。」

(相違点1)
超音波を生成するために使用される信号が、本願発明では「交流」であるのに対し、引用発明にはその旨の特定がない点。

(相違点2)
本願発明では、「該検出した現在位置に基づいて」行う「前記トランスデューサのアレイ」の「制御」が「前記トランスデューサのアレイ上で前記第1及び第2の装置の前記少なくとも一方の超音波受信器と重なる、前記アレイのうちの1つ又は複数のトランスデューサのみを選択的に活性化する」制御であるのに対して、引用発明にはその旨の特定がない点。

5 判断
(1)相違点1について
超音波を生成するための信号として交流を用いることは、例えば、特開平9-275644号公報(段落【0048】を参照。)や特開昭63-228933号公報(3頁右下欄10行目から17行目を参照。)に記載されるように周知の技術的事項であるから、引用発明の「超音波を生成するために使用される電気伝送信号」を交流として、相違点1に係る構成を採用することは当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点2について
引用文献2には、上記「3(2)」において説示したとおりの技術が記載されている。
そうすると、引用発明の「送信機」と、引用文献2に記載された技術に係る「超音波電力送信機」は、いずれも、超音波エネルギーの集束ビームを生成することができるアレイ状に配置された複数のトランスデューサを備え、受信機のエネルギー貯蔵デバイスを充電するシステムに用いられることから、共通の技術分野に属するものであり、また、受信機の位置を感知し、複数の受信機に超音波エネルギーのビームを送信することから、共通の作用・機能を有するものである。
そして、引用文献2に記載の技術は、「電子デバイスの位置情報を使用して、超音波トランスデューサアレイのトランスデューサの素子のうち、電子デバイスと重なるTx超音波トランスデューサをアクティブ化」することによって「最適な充電を行う」ことから、引用発明においても、最適な充電を行うために、引用文献2に記載の上記技術に倣って、「受信機を追跡」して検出した現在位置に基づき、「アレイ状に配置された複数のトランスデューサ」のうち各受信機デバイスと重なるトランスデューサをアクティブ化するよう構成することは当業者が容易になし得たことである。
したがって、引用発明及び引用文献2に記載の技術に基づき、相違点2に係る構成を採用することは当業者が容易になし得たことである。

(3)そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された技術並びに周知の技術的事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(4)したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術並びに周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2021-04-28 
結審通知日 2021-05-11 
審決日 2021-05-25 
出願番号 特願2018-82707(P2018-82707)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H02J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 卓馬阿部 陽  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 永井 啓司
山本 章裕
発明の名称 万能型の超音波ワイヤレス充電  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  
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