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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1379215
審判番号 不服2020-16204  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-11-25 
確定日 2021-10-21 
事件の表示 特願2018- 63875「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月10日出願公開、特開2019-170779〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成30年3月29日の特許出願であって、令和1年12月25日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年2月25日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月27日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年6月30日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月24日付け(謄本送達日:同年10月6日)で、同年6月30日に提出された手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年11月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和2年11月25日に提出された手続補正書による補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年11月25日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和2年2月25日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「遊技の進行を制御する主制御手段と、前記主制御手段からのコマンドに基づき遊技の演出を制御する従制御手段と、を備えた遊技機において、
前記主制御手段は、
遊技者に有利な特別遊技を行うか否かの判定を行う判定手段と、
前記判定の権利を保留可能な保留手段と、
前記判定の結果に基づいて、図柄を変動表示させてから当該図柄を停止表示させる変動制御手段と、を備え、
前記従制御手段は、
保留している前記権利に対応して、保留画像を表示手段に表示する画像表示手段と、
遊技の進行過程で演出手段に所定の報知演出を実行させる演出実行手段と、を備え、
前記画像表示手段は、
所定のフレーム更新タイミングとなる毎に前記表示手段に表示させる画像を更新するよう構成され、
前記保留画像を通常態様よりも前記特別遊技を行う可能性が高いことを示す特別態様の保留画像に変化させる変化演出と、前記変化演出が実行されることを示唆する変化示唆画像を表示する示唆演出と、を行うことが可能であり、
前記変化演出は、
前記主制御手段から送信された前記権利が発生したことを示すコマンドの受信に応じたフレーム更新タイミングで実行する第1変化演出と、
前記図柄の変動表示が開始するときに前記主制御手段から送信されたコマンドの受信後の所定のフレーム更新タイミングで実行する第2変化演出と、を含み、
前記演出実行手段は、
前記第2変化演出が開始されるフレーム更新タイミングで前記報知演出を開始し、前記第2変化演出における前記保留画像の態様の変化が終了するフレーム更新タイミングとは異なるフレーム更新タイミングで前記報知演出を終了し、
前記変化示唆画像は、
前記報知演出が終了するタイミングよりも早いフレーム更新タイミングで表示を終了することを特徴とする遊技機。」
とあったものを
「遊技の進行を制御する主制御手段と、前記主制御手段からのコマンドに基づき遊技の演出を制御する従制御手段と、を備えた遊技機において、
前記主制御手段は、
遊技者に有利な特別遊技を行うか否かの判定を行う判定手段と、
前記判定の権利を保留可能な保留手段と、
前記判定の結果に基づいて、図柄を変動表示させてから当該図柄を停止表示させる変動制御手段と、を備え、
前記従制御手段は、
保留している前記権利に対応して、保留画像を表示手段に表示する画像表示手段と、
遊技の進行過程で演出手段に所定の報知演出を実行させる演出実行手段と、を備え、
前記画像表示手段は、
所定のフレーム更新タイミングとなる毎に前記表示手段に表示させる画像を更新するよう構成され、
前記保留画像を通常態様よりも前記特別遊技を行う可能性が高いことを示す特別態様の保留画像に変化させる変化演出と、前記変化演出が実行されることを示唆する変化示唆画像を表示する示唆演出と、を行うことが可能であり、
前記変化演出は、
前記主制御手段から送信された前記権利が発生したことを示すコマンドの受信に応じたフレーム更新タイミングで実行する第1変化演出と、
前記図柄の変動表示が開始するときに前記主制御手段から送信されたコマンドの受信後の所定のフレーム更新タイミングで実行する第2変化演出と、を含み、
前記演出実行手段は、
前記第2変化演出が開始されるフレーム更新タイミングで前記報知演出を開始し、前記第2変化演出における前記保留画像の態様の変化が終了するフレーム更新タイミングとは異なるフレーム更新タイミングで前記報知演出を終了し、
前記変化示唆画像は、
前記報知演出が終了するタイミングよりも早いフレーム更新タイミングで表示を終了し、
前記保留画像の特別態様は、
第1特別態様と、前記第1特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第2特別態様と、前記第2特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第3特別態様と、を含み、
前記第1特別態様は、
前記保留画像が前記第2特別態様又は前記第3特別態様に変化することを期待させる表示態様であり、
前記第1変化演出においては、
前記保留画像を前記第1特別態様で表示させるときと、前記第2特別態様で表示させるときと、前記第3特別態様で表示させるときがあり、
前記第2変化演出においては、
前記保留画像を前記第2特別態様又は前記第3特別態様に変化させることがあり、
前記第1変化演出が実行される場合よりも、前記第2変化演出が実行される場合の方が、前記保留画像が前記第3特別態様に変化し易いことを特徴とする遊技機。」
とする補正を含むものである(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。

2 補正の目的及び新規事項について
(1)補正の目的
上記の補正は、本件補正前の請求項1において記載されていた「保留画像の特別態様」について、
「第1特別態様と、前記第1特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第2特別態様と、前記第2特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第3特別態様と、を含み、
前記第1特別態様は、
前記保留画像が前記第2特別態様又は前記第3特別態様に変化することを期待させる表示態様であり、
前記第1変化演出においては、
前記保留画像を前記第1特別態様で表示させるときと、前記第2特別態様で表示させるときと、前記第3特別態様で表示させるときがあり、
前記第2変化演出においては、
前記保留画像を前記第2特別態様又は前記第3特別態様に変化させることがあり、
前記第1変化演出が実行される場合よりも、前記第2変化演出が実行される場合の方が、前記保留画像が前記第3特別態様に変化し易い」
ことを限定するものである。
また、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、上記の補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項
本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の【0318】、【0319】、【0339】?【0344】、【0359】、【0512】?【0514】、図14、図17、図20等の記載に基づくものであり、新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件について
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、次のとおり分説することができる(以下、分説に係る各発明特定事項を符号に対応させて「発明特定事項A」などという。)。
「A 遊技の進行を制御する主制御手段と、前記主制御手段からのコマンドに基づき遊技の演出を制御する従制御手段と、を備えた遊技機において、
B 前記主制御手段は、
B1 遊技者に有利な特別遊技を行うか否かの判定を行う判定手段と、
B2 前記判定の権利を保留可能な保留手段と、
B3 前記判定の結果に基づいて、図柄を変動表示させてから当該図柄を停止表示させる変動制御手段と、を備え、
C 前記従制御手段は、
C1 保留している前記権利に対応して、保留画像を表示手段に表示する画像表示手段と、
C2 遊技の進行過程で演出手段に所定の報知演出を実行させる演出実行手段と、を備え、
D 前記画像表示手段は、
D1 所定のフレーム更新タイミングとなる毎に前記表示手段に表示させる画像を更新するよう構成され、
D2 前記保留画像を通常態様よりも前記特別遊技を行う可能性が高いことを示す特別態様の保留画像に変化させる変化演出と、前記変化演出が実行されることを示唆する変化示唆画像を表示する示唆演出と、を行うことが可能であり、
E 前記変化演出は、
E1 前記主制御手段から送信された前記権利が発生したことを示すコマンドの受信に応じたフレーム更新タイミングで実行する第1変化演出と、
E2 前記図柄の変動表示が開始するときに前記主制御手段から送信されたコマンドの受信後の所定のフレーム更新タイミングで実行する第2変化演出と、を含み、
F 前記演出実行手段は、
前記第2変化演出が開始されるフレーム更新タイミングで前記報知演出を開始し、前記第2変化演出における前記保留画像の態様の変化が終了するフレーム更新タイミングとは異なるフレーム更新タイミングで前記報知演出を終了し、
G 前記変化示唆画像は、
前記報知演出が終了するタイミングよりも早いフレーム更新タイミングで表示を終了し、
H 前記保留画像の特別態様は、
第1特別態様と、前記第1特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第2特別態様と、前記第2特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第3特別態様と、を含み、
I 前記第1特別態様は、
前記保留画像が前記第2特別態様又は前記第3特別態様に変化することを期待させる表示態様であり、
J 前記第1変化演出においては、
前記保留画像を前記第1特別態様で表示させるときと、前記第2特別態様で表示させるときと、前記第3特別態様で表示させるときがあり、
K 前記第2変化演出においては、
K1 前記保留画像を前記第2特別態様又は前記第3特別態様に変化させることがあり、
K2 前記第1変化演出が実行される場合よりも、前記第2変化演出が実行される場合の方が、前記保留画像が前記第3特別態様に変化し易い
L ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用文献1、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-93775号公報公報(平成29年6月1日出願公開、以下「引用文献1」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。

ア 「【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。」

イ 「【0046】
可変入賞装置56は、遊技盤43の正面視下方右側に配設され、遊技盤43の背面側へと通じる大入賞口56aと、当該大入賞口56aを覆う横長矩形状の開閉板56bと、当該開閉板56bの下辺を軸として開閉板56bを前方側に開閉駆動するためのソレノイド等の可変入賞駆動部56d(図10参照)とを有する構成とされている。大入賞口56aは、通常時は、遊技球が入球できないか、または入球し難い閉状態となっている。そして、後述する主制御装置91で開閉実行モードへの移行に当選した(当たり抽選に当選した)と判定した場合には、可変入賞駆動部56dが駆動されて開閉板56bを前面下側に傾倒し、遊技球が大入賞口56aに入球し易い開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。例えば、通常時には閉鎖されている大入賞口56aが、所定期間(例えば、30秒経過するまで、或いは、遊技球が10個入球するまで)開放される。この可変入賞装置56の開閉動作は、決定された当たりの種別によって決定され、例えば、後述する16R確変当たり結果であれば、16回(16ラウンド)繰り返し行われる。そして、この開閉動作が行われている状態が遊技者にとって有利な特典遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。このため、開閉実行モード中には、遊技者は、遊技球が図柄表示装置80の右側を通過して大入賞口56aに入球されるように当該遊技球を発射する(いわゆる右打ち)。なお、開閉実行モードとは、後述する主制御装置91での第1抽選遊技または第2抽選遊技の当たりに関する抽選に当選した場合に移行するモードのことであり、この開閉実行モードについては後に説明する。」

ウ 「【0051】
メイン表示部71は、第1始動口54への入賞に基づいて主制御装置91で行われた第1抽選遊技の結果を示す第1結果表示部71a、第2始動口55への入賞に基づいて主制御装置91で行われた第2抽選遊技の結果を示す第2結果表示部71b、当たり抽選に当選することで可変入賞装置56が開閉実行モードとなった場合(または開閉実行モードとなる場合)において、その開閉実行モードにおける可変入賞装置56が開放される回数を示すラウンド表示部71cとを有している。
【0052】
具体的には、第1結果表示部71aでは、第1抽選遊技に関する変動表示が行われ、第1抽選遊技に基づいて決定された変動時間(動的表示時間)が経過するまで変動表示(点滅表示)した後、その変動表示の停止結果として、第1抽選遊技の結果を示す点灯状態で停止表示される。そして、第1抽選遊技の抽選結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、第1結果表示部71aにて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、開閉実行モードへ移行する。
【0053】
また、第2結果表示部71bでは、第2抽選遊技に関する変動表示が行われ、第2抽選遊技に基づいて決定された変動時間(動的表示時間)が経過するまで変動表示(点滅表示)した後、その変動表示の停止結果として、第2抽選遊技の結果を示す点灯状態で停止表示される。そして、第2抽選遊技の抽選結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、第2結果表示部71bにて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、開閉実行モードへ移行する。」

エ 「【0059】
図柄表示装置80は、17インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されている。そして、図7に示されるように、第1始動口54への入賞を契機とする第1遊技抽選の判定結果を示す第1特別図柄、および第2始動口55への入賞を契機とする第2抽選遊技の判定結果を示す第2特別図柄を表示する上側の上側表示領域Dmと、保留図柄(第1抽選遊技および第2抽選遊技の保留)を表示する下側の下側表示領域Dsとを有している。
【0060】
なお、この図柄表示装置80は、後述する表示制御装置93によって表示画面80aの表示内容が制御される。また、図柄表示装置80は、液晶ディスプレイであることに限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置、またはCRTといった表示画面を有する他の表示装置であってもよい。」

オ 「【0069】
一方、下側表示領域Dsは、上側表示領域Dmよりも横長に設けられている。この下側表示領域Dsは、本パチンコ機10では、第1始動口54または第2始動口55への入賞(第1抽選遊技または第2抽選遊技)は、それぞれ最大4回まで保留されることで全体で最大8個まで保留されるように構成されているため、左右方向に8つの小領域の第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8に等区分されている。なお、以下では、第1?第8保留図柄表示エリアを保留図柄表示エリアDs※とも示し、※は1?8の数字のうちの該当する文字を示している。つまり、保留図柄表示エリアDs※は、第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8のうちの該当するものを示している。」

カ 「【0073】
図3に示されるように、内枠13(具体的には遊技盤43)の背面には、遊技の主たる制御を司る主制御装置91と、音声やランプ表示等の制御を司る音声ランプ制御装置92と、図柄表示装置80の制御を司る表示制御装置93とが搭載されている。」

キ 「【0086】
図10および図11に示されるように、主制御装置91は、遊技の主たる制御を司る主制御基板111を備えている。主制御基板111には、MPU112が搭載され、MPU112にはROM113およびRAM114が内蔵されている。なお、以下では、主制御装置91のMPU112、ROM113、RAM114を主側MPU112、主側ROM113、主側RAM114として説明する。」

ク 「【0094】
主側MPU112の出力側には、可変入賞装置56の開閉板56bを開閉動作させる可変入賞駆動部56dと、電動役物63を開閉動作させる電動役物駆動部63cとが電気配線を介して電気的に接続されている。また、主側MPU112の出力側には、メイン表示部71が電気配線を介して電気的に接続されている。そして、主制御基板111には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じて主側MPU112は可変入賞駆動部56dおよび電動役物駆動部63cの駆動制御を実行すると共にメイン表示部71の表示制御を実行する。
【0095】
例えば、開閉実行モードにおいては大入賞口56aが開閉されるように、主側MPU112において可変入賞駆動部56dの駆動制御が実行される。また、電動役物63の開放状態当選となった場合には、電動役物63が開閉されるように主側MPU112において電動役物駆動部63cの駆動制御が実行される。さらに、各遊技回に際しては、主側MPU112においてメイン表示部71(第1、第2結果表示部71a、71b)の表示制御が実行される。そして、電動役物63を開放状態とするか否かの抽選結果を示す場合には、主側MPU112においてメイン表示部71(その他表示部71d)の表示制御が実行される。」

ケ 「【0132】
音声ランプ制御装置92は、音声ランプ制御基板151を備え、当該音声ランプ制御基板151にはMPU152が搭載されており、MPU152にはROM153およびRAM154が内蔵されている。なお、以下では、音声ランプ制御装置92に設けられたMPU152、ROM153およびRAM154を音声側MPU152、音声側ROM153および音声側RAM154として説明する。」

コ 「【0137】
そして、音声側MPU152では、主制御装置91から受信した各種コマンド(後述する変動用コマンド、種別コマンド、確定停止コマンド、オープニングコマンド、エンディングコマンド、および保留コマンド等)に基づき、遊技回や開閉実行モード等において実行する演出の内容を決定する。そして、その決定した内容に対応した動作が行われるように、ランプ制御装置155を制御して電飾部33の発光制御を行うと共に、音声出力装置156を制御してスピーカ部34の音声制御を行う。また、音声側MPU152の入力側には、第1、第2枠ボタン26、27が電気的に接続されている。そして、音声側MPU152では第1、第2枠ボタン26、27の操作有無の監視を行い、当該第1、第2枠ボタン26、27が操作された場合にはその操作に対応した処理を実行する。さらに、音声側MPU152では、主制御装置91から受信したコマンドに基づき、報知を行う必要があるか否かを特定し、ランプ制御装置155の発光制御および音声出力装置156の音声制御を行うことで報知を行う。」

サ 「【0139】
また、音声側MPU152は、表示制御装置93と電気的に接続されており、主制御装置91から受信したコマンドに基づいて決定した演出の内容を含む各種コマンドを表示制御装置93に送信する。なお、音声側MPU152から出力される各種コマンドは、音声側ROM153のコマンド情報記憶エリア153dが参照される。また、本実施形態の表示制御装置93は、音声ランプ制御装置92を介することなく主制御装置91からコマンド受信を行う構成とはなっておらず、主制御装置91との関係では音声ランプ制御装置92よりも通信方向の下流側に存在していると言える。
【0140】
表示制御装置93は、表示制御基板161を備え、当該表示制御基板161にはMPU162が搭載されており、MPU162にはプログラムROM163およびワークRAM164が内蔵されている。また、表示制御基板161には、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)165、キャラクタROM166およびビデオRAM167が内蔵されている。なお、以下では、表示制御装置93のMPU162を表示側MPU162として説明する。」

シ 「【0148】
また、ビデオRAM167は、保留図柄表示用エリア167aを有しており、保留図柄表示用エリア167aには、図柄表示装置80における第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8と1対1で対応するように、第1?第8単位エリアRD1?RD8が設定されている。そして、第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8には、第1?第8単位エリアRD1?RD8に書き込まれたデータに応じた画像が表示される。なお、第1?第8単位エリアRD1?RD8にデータが設定されていない場合(ブランクを意味するデータが設定されている場合)には、当該第1?第8エリアRD1?RD8と対応する第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8では、何ら画像が表示されない、または図柄表示装置80の表示画面80aにおける背景画像が表示される。」

ス 「【図11】



セ 「【0150】
主側MPU112は、遊技に際し、各種カウンタ情報を用いて、当たり抽選、メイン表示部71の表示の設定、図柄表示装置80の図柄表示の設定等を行う。具体的には、図13に示されるように、当たり抽選に使用する当たり乱数カウンタC1と、当たり種別を判定する際に使用する当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置80が外れ変動する際のリーチ発生抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINI1と、メイン表示部71および図柄表示装置80における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSと、電動役物63を電動役物開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放乱数カウンタC4と、電動役物開放乱数カウンタC4の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINI2とを用いている。各カウンタの一部は、後述するタイマ割込処理(図18参照)の実行間隔である4msec間隔で更新され、残りのカウンタは後述するメイン処理(図17参照)の中で不定期に更新され、その更新値が主側RAM114の抽選カウンタ用バッファ114aに逐次格納される。そして、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞したタイミングで抽選カウンタ用バッファ114aに格納されている所定の数値が主側RAM114における特別図柄保留球格納エリア114bに逐次格納され、遊技球が普通図柄始動ゲート57を通過したタイミングで抽選カウンタ用バッファ114aに格納されている所定の数値が主側RAM114における普通図柄保留球格納エリア114cに格納される。なお、上記各カウンタC1?C3、CINI1、CS、CINI2、C4は、主側RAM114のその他各種カウンタエリア114kに設けられている。
【0151】
ここで、特別図柄保留球格納エリア114bおよび普通図柄保留球格納エリア114cの構成について説明する。
【0152】
特別図柄保留球格納エリア114bは、第1?第8保留エリアRA1?RA8の8個の保留エリアと、1つの実行エリアRA9とを有している。図14は、第1保留エリアRA1の構成を示す図である。なお、第2?第8保留エリアRA2?RA8および実行エリアRA9の構成についても図14と同様である。
【0153】
第1?第8保留エリアRA1?RA8および実行エリアRA9は、図14に示されるように、当たり乱数カウンタ格納エリア201、当たり種別カウンタ格納エリア202、リーチ乱数カウンタ格納エリア203、入賞始動口格納エリア204、先報知当たりフラグ格納エリア205を有している。そして、第1?第8保留エリアRA1?RA8には、第1始動口54および第2始動口55への遊技球の入賞履歴に合わせて、当たり乱数カウンタC1、当たり種別カウンタC2、およびリーチ乱数カウンタC3の各値(抽選カウンタ用バッファ114aの各値)が当たり乱数カウンタ格納エリア201、当たり種別カウンタ格納エリア202、リーチ乱数カウンタ格納エリア203に格納されると共に、第1始動口54または第2始動口55のどちらに対する入賞であるかの情報が入賞始動口格納エリア204に格納される。そして、第1始動口54および第2始動口55に対して遊技球の入賞が交互に連続して発生した場合には、第1保留エリアRA1→第2保留エリアRA2→第3保留エリアRA3→第4保留エリアRA4→第5保留エリアRA5→第6保留エリアRA6→第7保留エリアRA7→第8保留エリアRA8の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このように、8個の保留エリアが設けられていることにより、第1始動口54および第2始動口55への遊技球の入賞履歴が全体として最大8個まで記憶(保留記憶)されるようになっている。
【0154】
なお、第1始動口54および第2始動口55への遊技球の入賞履歴は、それぞれ最大4個まで記憶される。つまり、第1始動口54および第2始動口55への遊技球の入賞履歴がそれぞれ最大4個まで記憶されることにより、全体として最大8個まで記憶される。また、入賞した始動口に対する保留個数が上限値(本実施形態では、4個)以上である場合には、各カウンタ値等の取得はされずに賞球(本実施形態では、遊技球3個)のみが遊技者に払い出される無効球として扱われる。本実施形態では、保留記憶可能な数を8個として説明するが、保留記憶可能な数は8個に限定されることはなく任意であり、6個、7個または9個以上といったように他の複数であってもよい。また、第1始動口54と第2始動口55とで保留記憶可能な数が異なっていてもよい。
【0155】
実行エリアRA9は、メイン表示部71(第1結果表示部71aまたは第2結果表示部71b)の変動表示を開始する際に、第1保留エリアRA1に格納された各値を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアR9に記憶されている各種数値情報に基づいて当否判定等が行われる。」

ソ 「【0205】
次に、図18を参照しつつ、主側MPU112が定期的(本実施の形態では4msec周期で)に実行するタイマ割込み処理について説明する。図18は、タイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【0206】
まず、主側MPU112にてタイマ割込み処理を定期的に実行するためのハード構成について説明する。主制御基板111には所定周期でパルス信号を出力するパルス信号出力手段として図示しないクロック回路が設けられており、さらに当該クロック回路と主側MPU112との間の信号経路の途中位置に存在するように図示しない分周回路が設けられている。
【0207】
分周回路は、クロック回路からのパルス信号の周期を変更する周波数変更手段として機能し、タイマ割込み処理の起動タイミングを主側MPU112にて特定するためのパルス信号を出力するように構成されている。つまり、分周回路から主側MPU112に対して特定周期である4msec周期の間隔でパルス信号が供給されるようになっている。主側MPU112では、このパルス信号の立ち上がりまたは立ち下りといった特定の信号形態の発生を確認する処理を実行し、特定の信号形態の発生を確認したことを少なくとも1つの条件としてタイマ割込み処理を起動して実行する。
【0208】
この場合、タイマ割込み処理の起動が禁止されている状況において上記特定の信号形態の発生を確認した場合には、その割込みが禁止されている状態から割込みが許可された状態となった場合にタイマ割込み処理が起動される。つまり、主側MPU112における処理の実行状況によっては前回のタイマ割込み処理が開始されてから4.1msec経過後に次のタイマ割込み処理が開始される場合が生じ、このような事象が発生した場合には次のタイマ割込み処理は直前のタイマ割込み処理が開始されてから3.9msec経過後に開始されることとなる。

【0222】
次に、遊技回(変動表示回)の実行制御および開閉実行モードの実行制御を行うための特図特電制御処理を実行すると共に(S215)、電動役物63の開閉制御を行うための普図普電制御処理を実行する(S216)。これらステップ215における特図特電制御処理およびステップ216における普図普電制御処理については、具体的に後述する。」

タ 「【0239】
上記のように、特図特電制御処理には、遊技回用の演出に係る処理、開閉実行モードに関する処理が含まれている。この場合、遊技回用の演出に係る処理として、遊技回用の演出を開始させるための処理である特図変動開始処理(S307)と、遊技回用の演出を進行させるための処理である特図変動中処理(S308)と、遊技回用の演出を終了させるための処理である特図確定中処理(S309)と、が設定されている。また、開閉実行モードに関する処理として、開閉実行モードのオープニングを制御するための処理である特電開始処理(S310)と、大入賞口56aの開放中の状態を制御するための処理である特電開放中処理(S311)と、大入賞口56aの閉鎖中の状態を制御するための処理である特電閉鎖中処理(S312)と、開閉実行モードのエンディングおよび開閉実行モード終了時の遊技状態の移行を制御するための処理である特電終了処理(S313)と、が設定されている。」

チ 「【0249】
まず、ステップ307の特図変動開始処理について、図22を参照しつつ説明する。図22は、特図変動開始処理を示すフローチャートである。特図変動開始処理では、保留情報が記憶されていることを条件に、各種判定処理を実行し、メイン表示部71および図柄表示装置80において変動表示が行われる遊技回を開始するための処理を実行する。
…【0261】
続いて、変動用コマンドおよび種別コマンドを出力対象に設定する(S511)。なお、変動用コマンドには、変動表示時間の情報が含まれている。ここで、本実施形態では、上記のように、リーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して取得される変動表示時間は、リーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して取得される変動表示時間と異なっているため、変動用コマンドにリーチ発生の有無の情報が含まれていなかったとしても、サブ側の制御装置である音声ランプ制御装置92では変動表示時間の情報からリーチ発生の有無を特定することは可能である。この点、変動用コマンドには、リーチ発生の有無を示す情報が含まれているとも言える。なお、変動用コマンドにリーチ発生の有無を直接示す情報が含まれていてもよい。
【0262】
また、種別コマンドには、遊技結果の情報が含まれる。つまり、種別コマンドには、遊技結果の情報として、16R確変当たり結果、4R確変当たり結果、16RRU確変当たり結果、8RRU確変当たり結果、4RRU確変当たり結果の情報が含まれる。なお、ステップ511にて出力対象として設定された変動用コマンドおよび種別コマンドは、サブ側の制御装置である音声ランプ制御装置92に、タイマ割込み処理(図18)におけるポート出力処理(S208)によって送信される。」

ツ 「【0321】
次に、保留情報の取得処理(図20)におけるステップ406において実行される第1始動口54への入賞を契機とする保留コマンドの設定処理について図32を参照しつつ説明する。図32は保留コマンドの設定処理を示すフローチャートである。」

テ 「【0324】
なお、保留情報の取得処理(図20)のステップ412において実行される第2始動口55への入賞を契機とする保留コマンドの設定処理は、第1始動口54への入賞を契機とする保留コマンドの設定処理と同様であるため、具体的な説明については省略する。」

ト 「【0364】
次に、音声側MPU152のタイマ割込み処理における主側コマンド対応処理について図37を参照しつつ説明する。図37は、主側コマンド対応処理を示すフローチャートである。
…【0368】
続いて、今回の遊技回の演出パターンを決定するための処理を実行する(S2005)。この処理では、今回受信している変動用コマンドおよび種別コマンドの内容から遊技回の変動表示時間の情報を特定すると共に、当該変動表示時間の情報、上記ステップ2002にて特定した遊技結果の情報、および上記ステップ2003における予告抽選処理の抽選結果の情報の組合せに対応した演出パターンを選択する。」

ナ 「【0417】
また、表示側MPU162では、コマンド対応処理において各種設定処理(書き込み処理)をワークRAM164に対して行うが、コマンド対応処理とは別処理において、各種設定処理に応じて更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるための描画リストを作成し、その作成した描画リスト(内部コマンド)をVDP165に送信する。そして、VDP165では、この描画リストに従ってビデオRAM167のフレーム領域に描画データを作成し、フレーム領域に作成した描画データに従って図柄表示装置80に信号出力を行う。これにより、図柄表示装置80において1フレーム分の画像が表示されることになる。なお、上記のように、第1?第8単位エリアRD1?RD8にデータが設定されていない(ブランクを意味するデータが設定されている)場合、第1?第8単位エリアRD1?RD8に対応した第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8では、何ら画像が表示されない、または図柄表示装置80の表示画面80aにおける背景画像が表示される。」

ニ 「【0419】
パターン用データテーブルとは、今回の遊技回用の演出に対応した動画を図柄表示装置80の表示画面80aに表示させる場合において、画像の各更新タイミングにおける1フレーム分の画像を表示させるのに必要な処理が定められた情報群である。つまり、パターン用データテーブルには、今回の遊技回用の演出における開始タイミングから終了タイミングまでの各フレーム(フレームの更新周期は20msec)に対応した情報群が定められている。」

ヌ 「【0638】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1実施形態に対して、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留された際に入賞音(表示音)を発生するようにすると共に、表示されている保留図柄または実行図柄が遊技回中に別の図柄に変化音を伴って変化するようにしたものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0639】
まず、本実施形態の下側表示領域Dsについて説明する。本実施形態の下側表示領域Dsは、上記第6実施形態と同様に実行図柄表示エリアDs0が設けられており(図78参照)、実行図柄表示エリアDs0には、第1保留図柄表示エリアDs1に表示されていた保留図柄に対応すると共に、図柄表示装置80で表示されている変動表示に対応する実行図柄が表示される。なお、以下では、実行図柄表示エリアDs0および第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8をまとめて図柄表示エリアDsともいう。但し、図柄表示エリアDs※と示す場合には、※は0?8の数字のうちの該当する数字を示している。
【0640】
次に、本実施形態の第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8に表示される保留図柄および実行図柄表示エリアDs0に表示される実行図柄について説明する。本実施形態では、基本的には、保留図柄または実行図柄として「○」が表示され、リーチ結果が発生したり当たりが発生したりするかもしれない(当たり抽選に当選するかもしれない)と遊技者に察知させる(期待させる)保留図柄または実行図柄として、「◎」、または「●」が表示される。つまり、本実施形態では、第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8に表示され得る保留図柄と、実行図柄表示エリアDs0に表示され得る実行図柄は共通の図柄とされている。なお、以下では、保留図柄および実行図柄をまとめて図柄ともいい、「○」を非報知図柄ともいい、「◎」および「●」をまとめて報知図柄ともいう。但し、保留図柄と実行図柄とを明確に区別する場合には、「○」を保留非報知図柄または実行非報知図柄ともいい、「◎」および「●」を保留報知図柄または実行報知図柄ともいう。また、以下では、「○」、「◎」、「●」の図柄の順に遊技者が当たり期待度が高いと認識する例について説明する。
【0641】
そして、本実施形態では、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留されると入賞音が出力される。具体的には、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留されると、基本的には保留図柄が保留図柄表示エリアDs※に表示されるため、表示される保留図柄に対応した入賞音が出力される。詳述すると、図89に示されるように、保留図柄として保留非報知図柄「○」が保留図柄表示エリアDs※に表示される場合には「チャリン」という入賞音が出力され、保留図柄として保留報知図柄「◎」が保留図柄表示エリアDs※に表示される場合には「チャリリン」という入賞音が出力され、保留図柄として保留報知図柄「●」が保留図柄表示エリアDs※に表示される場合には「チャリリリン」という入賞音が出力される。つまり、本実施形態では、各保留図柄に対応する入賞音は、それぞれ異なっているが、一部の音(リの音)が共通とされることで互いに類似する音声とされている。そして、遊技者に当たり期待度が高いと認識させる図柄の順に、共通の音(リの音)が増えていく構成とされている。なお、図89は、後述する変化音にも対応しているため、図中では効果音と示してある。」

ネ 「【0643】
さらに、本実施形態では、保留図柄が第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8に表示された後、または実行図柄が実行図柄表示エリアDs0に表示された後であっても、表示されている図柄が変化することがあるようにしている。例えば、保留図柄表示エリアDs※に保留非報知図柄「○」が表示されている場合には、当該保留非報知図柄「○」が保留報知図柄「◎」または「●」に変化することがあるようにしている。また、実行図柄表示エリアDs0に実行非報知図柄「○」が表示されている場合は、当該実行非報知図柄「○」が実行報知図柄「◎」または「●」に変化することがあるようにしている。」

ノ 「【図92】



ハ 「【0680】
これにより、後述するタイマ割込み処理(図99)では、発光制御処理(S1904)にて当該発光データに応じた発光が行われるように電飾部33の発光制御を行い、音声制御処理(S1905)では当該音声出力データに応じた音声の出力が行われるようにスピーカ部34の音声出力制御を行う。音声出力制御についてさらに詳細に説明すると、ステップ2908で保留特殊報知コマンドを送信した場合、ステップ2909で保留特殊報知待機コマンドを送信した場合、ステップ2911で保留報知待機コマンドを送信した場合、ステップ2913で保留特殊非報知コマンドを送信した場合、ステップ2914で保留非報知コマンドを送信した場合には、「チャリン」という音声が出力される。これに対し、ステップ2910で保留報知コマンドを送信した場合には、最終図柄が「◎」の場合には「チャリリン」という音声が出力され、最終図柄が「●」の場合には「チャリリリン」という音声が出力される。」

ヒ 「【0712】
例えば、図104中の時点T11において、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留されると、図柄表示装置80では通常変動に関する演出が表示され、第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8も表示されている。このため、対応する保留図柄表示エリアDs※に新たな保留図柄が表示される。図104の例では、時点T1において第1?第3保留図柄表示エリアDs1?Ds3に保留図柄が表示されているため、第4保留図柄表示エリアDs4に、音声側MPU152の報知対応処理(図95)によって決定された「○」、「◎」、または「●」のいずれかの保留図柄が表示される。この際、音声側MPU152の音声制御処理(図99、S1905)により、スピーカ部34から表示する保留図柄に対応した音声が出力される。具体的には、保留非報知図柄「○」が表示される場合には「チャリン」という音声が出力され、保留報知図柄「◎」が表示される場合には「チャリリン」という音声が出力され、保留報知図柄「●」が表示される場合には「チャリリリン」という音声が出力される(図89参照)。」

フ 「【0714】
次に、図柄表示装置80でスーパーリーチ演出が表示されている際、つまり図柄表示装置80に第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8が表示されていない際に、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留された際の表示態様について、図105を参照しつつ説明する。図105は、スーパーリーチ中に遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留された場合の図柄表示装置80の表示態様を示す図である。なお、図105(a)中の「チャリン」という記載、および図105(e)中の「チャリリン」という記載は、スピーカ部34から出力される入賞音を示している。
【0715】
例えば、図104中の時点T31において、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留されると、図柄表示装置80にはスーパーリーチ演出が表示されているために第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8の表示が削除されている。このため、上記問題点で説明したように、例えば、保留された抽選遊技に対応する保留図柄が「◎」であり、「◎」に対応する「チャリリン」という音声のみが出力されると、実行図柄表示エリアDs0に実行非報知図柄「○」が表示されている場合には、遊技者は表示されている実行非報知図柄「○」が報知図柄「◎」に変化する音声が出力されたと誤認する可能性がある。
【0716】
このため、本実施形態では、時点T31において遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留されると、図105(a)に示されるように、まず、保留非報知図柄「○」に対応する「チャリン」という音声が出力される。これにより、遊技者は、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して新たに抽選遊技が保留されたことを認識できる。なお、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞しても抽選遊技が保留されない場合(スーパーリーチ中でなければ第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8の全てに保留図柄が表示されている場合)には、遊技球が入賞したことに対する音声は出力されない。
【0717】
そして、時点T31において抽選遊技が保留された場合、保留報知抽選に当選すると共に最終図柄到達シフト回数抽選処理にて0が選択されると(音声側MPU152から保留特殊報知コマンドが送信されると)、図105(b)に示されるように、第8保留図柄表示エリアDs8が表示されていた部分の正面視上方に女の子のキャラクタ図柄が表示される。
【0718】
その後、図105(c)に示されるように、図104中の時点T1では第1?第3保留図柄表示エリアDs1?Ds3に保留図柄が表示されているため、遊技球が時点T31で第1始動口54または第2始動口55に入賞したことを契機とする保留図柄が表示される第4保留図柄表示エリアDs4のみが再び表示される。なお、この時点では、第4保留図柄表示エリアDs4には、保留非報知図柄「○」が表示されている。そして、図105(d)に示されるように、女の子のキャラクタ図柄が第4保留図柄表示エリアDs4に向かって報知図柄を投げる演出が表示される。なお、ここでは、報知図柄として「◎」が表示される例を示している。
【0719】
そして、時点T31から所定期間(報知対応処理(図95)におけるステップ2907で決定された期間)が経過した後、図105(e)に示されるように、第4保留図柄表示エリアDs4に女の子のキャラクタ図柄が投げた報知図柄「◎」が表示される(第4保留図柄表示エリアDs4の非報知図柄「○」が報知図柄「◎」に変化して表示される)と共に、保留報知図柄「◎」に対応する「チャリリン」という音声が出力される。これにより、遊技者はスーパーリーチ中に新たに発生した保留が保留報知図柄であることを明確に認識でき、遊技者が誤って実行図柄または他の保留図柄が報知図柄に変化したと誤認することを抑制できる。
【0720】
その後は、図105(f)に示されるように、女の子のキャラクタ図柄が消去されると共に、第4保留図柄表示エリアDs4が消去される。なお、図105(f)は、図104中の時点T4よりも前の時点の演出態様を示している。
【0721】
以上が本実施形態におけるスーパーリーチ中に遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留され、かつ保留報知抽選に当選すると共に最終図柄到達シフト回数抽選処理として0が選択された(音声側MPU152から保留特殊報知コマンドが送信された)場合の図柄表示装置80の表示態様である。本実施形態では、このような表示態様とすることにより、スーパーリーチ中において、新たに発生した保留によって遊技者が遊技状態(保留図柄または実行図柄の状態)を誤認することを抑制できる。また、スーパーリーチ中においても保留報知抽選処理を実行して保留報知図柄が報知されるようにすることにより、保留報知図柄で遊技者に当たり結果が発生することを期待させるという意義が低下することを抑制できる。
【0722】
なお、図105(b)における女の子のキャラクタ図柄を表示するタイミングは、図105(a)と同じタイミングであってもよい。つまり、スーパーリーチ中に遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して保留非報知図柄に対応する「チャリン」という音声が出力されたのと同時に女の子のキャラクタ図柄を表示するようにしてもよい。但し、本実施形態では、具体的には後述するが、スーパーリーチ中において、既に報知されている非報知図柄を報知図柄に変化させる演出においても女の子のキャラクタ図柄が表示される。このため、図105(a)の保留非報知図柄に対応する「チャリン」という音声が出力されるタイミングと、図105(b)の女の子のキャラクタ図柄が表示されるタイミングとを一致させないことにより、遊技者は、女の子のキャラクタ図柄がどの図柄を変化させるために表示されたのかが判別し難くなる。つまり、図105(a)の保留非報知図柄に対応する「チャリン」という音声が出力されるタイミングと、図105(b)の女の子のキャラクタ図柄が表示されるタイミングとを一致させないことにより、遊技者に女の子のキャラクタ図柄がどの図柄を変化させるのかを推測するという遊技性も付与でき、遊技の多様化を図ることができると共に、女の子のキャラクタ図柄に対する注目度を向上させることができる。
【0723】
また、上記図105(c)で再び表示される第4保留図柄表示エリアDs4は、図105(d)の女の子のキャラクタ図柄が報知図柄を投げる演出と同時に表示されるようにしてもよいし、女の子のキャラクタ図柄が報知図柄を投げる演出より後に表示されるようにしてもよい。さらに、図105(c)では、第4保留図柄表示エリアDs4に保留非報知図柄が表示されていなくてもよく、図105(e)において初めて第4保留図柄表示エリアDs4に保留図柄が表示されるようにしてもよい。」

ヘ 「【0729】
次に、図柄表示装置80でスーパーリーチ演出が表示されている際、つまり図柄表示装置80に第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8が表示されていない際に、非報知図柄を報知図柄に変化させる際の表示態様について図107を参照しつつ説明する。図107は、スーパーリーチ中に保留非報知図柄が保留報知図柄に変化する際の図柄表示装置80の表示態様を示す図である。なお、図107(e)中の「チャリリン」という記載は、スピーカ部34から出力される変化音を示している。また、ここでは、第3保留非報知図柄「○」が保留報知図柄「◎」に変化する例について説明する。
【0730】
図107(a)に示されるように、スーパーリーチ中では、下側表示領域Dsは、実行図柄表示エリアDs0のみが表示され、第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8が削除されている。この状態で、保留非報知図柄を保留報知図柄に変化させる場合、保留非報知図柄を保留報知図柄に変化させる所定期間前において、図107(b)に示されるように、女の子のキャラクタ図柄が表示される。なお、この女の子のキャラクタ図柄は、上記図105を参照して説明した女の子のキャラクタ図柄と同じキャラクタ図柄であり、第8保留図柄表示エリアDs8が表示されていた部分の正面視上方に表示される。
【0731】
その後、図107(c)に示されるように、保留図柄が変化される第3保留図柄表示エリアDs3が再び表示され、図107(d)に示されるように、女の子のキャラクタ図柄が保留報知図柄「◎」を第3保留図柄表示エリアDs3に向かって投げる演出が表示される。そして、図107(e)に示されるように、第3保留図柄表示エリアDs3に女の子のキャラクタ図柄が投げた報知図柄「◎」が表示されると共に、保留報知図柄「◎」に対応する「チャリリン」という音声が出力される。これにより、スーパーリーチ中においても、遊技者は、第3保留表示エリアDs3に表示される保留非報知図柄「○」が保留報知図柄「◎」に変化したことを明確に理解できる。その後、図107(f)に示されるように、女の子のキャラクタ図柄が消去される。
【0732】
なお、ここでは、第3保留図柄表示エリアDs3に表示される保留非報知図柄を保留報知図柄に変化させる例について説明したが、その他の保留図柄表示エリアDs※や実行図柄表示エリアDs0に表示される非報知図柄を報知図柄に変化させる場合においても同様である。但し、実行非報知図柄を実行報知図柄に変化する場合においては、実行図柄表示エリアDs0がスーパーリーチ中においても表示されているため、図107(c)のように削除されているエリアを再び表示するという演出は表示されない。
【0733】
このように、本実施形態では、スーパーリーチ中に既に表示されている非報知図柄を報知図柄に変化させる場合(図107)と、スーパーリーチ中に新たに発生した保留が保留報知図柄であることを報知する場合(図105)とで共通の演出態様としている。このため、上記のように、図105(b)の女の子のキャラクタ図柄を表示するタイミングを適宜設定することにより、女の子のキャラクタ図柄がどの図柄を変化させるために表示されたのかということを遊技者が判別し難くなり、女の子のキャラクタ図柄に対する遊技者の注目度を向上させることができる。」

ホ 「【図95】



マ 「【図105】



ミ 「【図107】



ム 「【0741】
(第8実施形態の変形例)
上記第8実施形態の変形例について説明する。上記第8実施形態において、報知図柄および非報知図柄の形状を共通とし(例えば、「○」の形状)、表示色を変化させるようにしてもよい。例えば、非報知図柄を白色で表示し、報知図柄を青色、赤色で表示するようにし、白色、青色、赤色の順に遊技者が当たり期待度が高いと認識させる構成としてもよい。さらに、報知図柄は2つでなく、3つ以上であってもよい。
【0742】
また、上記第8実施形態において、最終図柄が「●」の報知図柄であると共に、最初に表示される保留図柄が保留非報知図柄「○」の場合、保留非報知図柄「○」を報知図柄「◎」に変化させた後、報知図柄「◎」を報知図柄「●」に変化させるようにしてもよい。つまり、図柄変化が複数回発生するような構成としてもよい。この場合、共通の遊技回で図柄変化を2回発生させるようにしてもよいし、複数の遊技回に渡って変化させるようにしてもよい。また、複数の遊技回に渡って変化させる場合には、連続した遊技回で変化させるようにしてもよいし、連続していない遊技回で変化させるようにしてもよい。例えば、第5保留図柄表示エリアDs5に保留非報知図柄「○」が表示され、当該保留非報知図柄「○」が第3保留図柄表示エリアDs3にシフトされた後に保留報知図柄「◎」に変化すると共に、実行図柄表示エリアDs0にシフトされた後に保留報知図柄「●」に変化するようにしてもよい。さらに、例えば、図柄表示エリアDsに複数の非報知図柄が表示されている場合、同時に複数の非報知図柄が報知図柄に変化することがあるようにしてもよい。なお、このような構成としても、上記第8実施形態のように図柄を変化させることにより、遊技者は、変化音が出力される契機となる事象を誤認することを抑制できる。
【0743】
さらに、上記第8実施形態において、最終図柄が報知図柄「●」である場合、最初に表示される保留図柄は報知図柄「◎」であってもよい。つまり、期待度の低い報知図柄が最初に表示された後、より期待度の高い報知図柄に変化する構成を備えるようにしてもよい。」

メ 上記アないしムからみて、引用文献1には、第1実施形態の記載を援用する第8実施形態の変形例として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、本願補正発明の発明特定事項AないしLに概ね対応させて符号aないしlを付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「a 遊技の主たる制御を司る主制御装置91と、音声やランプ表示等の制御を司る音声ランプ制御装置92と、図柄表示装置80の制御を司る表示制御装置93とが搭載された(【0073】)遊技機であって(【0001】)、主制御装置91は、遊技の主たる制御を司る主制御基板111を備え、主制御基板111には、主側MPU112が搭載され、主側MPU112には主側ROM113および主側RAM114が内蔵され(【0086】)、音声ランプ制御装置92は、音声ランプ制御基板151を備え、当該音声ランプ制御基板151には音声側MPU152が搭載されており(【0132】)、音声側MPU152では、主制御装置91から受信した保留コマンド等の各種コマンドに基づき、遊技回や開閉実行モード等において実行する演出の内容を決定し、その決定した内容に対応した動作が行われるように、音声出力装置156を制御してスピーカ部34の音声制御を行い(【0137】)、
b1 主制御装置91で開閉実行モードへの移行に当選した(当たり抽選に当選した)と判定した場合には、可変入賞駆動部56dが駆動されて開閉板56bを前面下側に傾倒し、遊技球が大入賞口56aに入球し易い開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動し、この開閉動作が行われている状態が遊技者にとって有利な特典遊技状態の一形態であり(【0046】)、
b2 主側RAM114における特別図柄保留球格納エリア114bは、第1?第8保留エリアRA1?RA8の8個の保留エリアと、1つの実行エリアRA9とを有し(【0150】、【0152】)、第1?第8保留エリアRA1?RA8には、第1始動口54および第2始動口55への遊技球の入賞履歴に合わせて、当たり乱数カウンタC1、当たり種別カウンタC2、およびリーチ乱数カウンタC3の各値(抽選カウンタ用バッファ114aの各値)が当たり乱数カウンタ格納エリア201、当たり種別カウンタ格納エリア202、リーチ乱数カウンタ格納エリア203に格納されると共に、第1始動口54または第2始動口55のどちらに対する入賞であるかの情報が入賞始動口格納エリア204に格納され(【0153】)、
b3 メイン表示部71は、第1始動口54への入賞に基づいて主制御装置91で行われた第1抽選遊技の結果を示す第1結果表示部71a、第2始動口55への入賞に基づいて主制御装置91で行われた第2抽選遊技の結果を示す第2結果表示部71bとを有し(【0051】)、第1結果表示部71a及び第2結果表示部71bでは、第1抽選遊技及び第2抽選遊技に関する変動表示が行われ、第1抽選遊技及び第2抽選遊技に基づいて決定された変動時間(動的表示時間)が経過するまで変動表示(点滅表示)した後、その変動表示の停止結果として、第1抽選遊技及び第2抽選遊技の結果を示す点灯状態で停止表示され(【0052】、【0053】)、主制御基板111には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じて主側MPU112はメイン表示部71の表示制御を実行し(【0094】)、
c1 図柄表示装置80は、液晶ディスプレイで構成され、保留図柄(第1抽選遊技および第2抽選遊技の保留)を表示する下側の下側表示領域Dsを有し(【0059】)、下側表示領域Dsは、8つの小領域の第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8に等区分され(【0069】)、表示制御装置93は、表示制御基板161を備え、当該表示制御基板161には表示側MPU162が搭載されており、表示側MPU162にはプログラムROM163およびワークRAM164が内蔵され、表示制御基板161には、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)165、キャラクタROM166およびビデオRAM167が内蔵され(【0140】)、ビデオRAM167は、保留図柄表示用エリア167aを有しており、保留図柄表示用エリア167aには、図柄表示装置80における第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8と1対1で対応するように、第1?第8単位エリアRD1?RD8が設定され、第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8には、第1?第8単位エリアRD1?RD8に書き込まれたデータに応じた画像が表示され(【0148】)、
c2 遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留された際に入賞音(表示音)を発生し、表示されている保留図柄または実行図柄が遊技回中に別の図柄に変化音を伴って変化し(【0638】)、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留されると、第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8のうちの対応する保留図柄表示エリアDs※に新たな保留図柄が表示され、この際、音声側MPU152の音声制御処理により、スピーカ部34から表示する保留図柄に対応した音声が出力され(【0069】、【0712】)、
d1 表示側MPU162では、コマンド対応処理において各種設定処理(書き込み処理)をワークRAM164に対して行い、コマンド対応処理とは別処理において、各種設定処理に応じて更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるための描画リストを作成し、その作成した描画リスト(内部コマンド)をVDP165に送信し、VDP165では、この描画リストに従ってビデオRAM167のフレーム領域に描画データを作成し、フレーム領域に作成した描画データに従って図柄表示装置80に信号出力を行うことにより、図柄表示装置80において1フレーム分の画像が表示され(【0417】)、フレームの更新周期は20msecであり(【0419】)、
d2 保留図柄または実行図柄として「○」が表示され、リーチ結果が発生したり当たりが発生したりするかもしれない(当たり抽選に当選するかもしれない)と遊技者に察知させる(期待させる)保留図柄または実行図柄として、「◎」、または「●」が表示され、「○」、「◎」、「●」の図柄の順に遊技者が当たり期待度が高いと認識し(【0640】)、
e1-1 保留情報の取得処理において、第1始動口54及び第2始動口55への入賞を契機とする保留コマンドの設定処理が実行され(【0321】、【0324】)、
e1-2 スーパーリーチ中に遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留された場合(【0714】)、まず、保留非報知図柄「○」に対応する「チャリン」という音声が出力され(【0716】)、保留報知抽選に当選すると共に最終図柄到達シフト回数抽選処理にて0が選択されると(音声側MPU152から保留特殊報知コマンドが送信されると)、女の子のキャラクタ図柄が表示され(【0717】)、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞したことを契機とする保留図柄が表示される第4保留図柄表示エリアDs4のみが再び表示され、この時点では、第4保留図柄表示エリアDs4には、保留非報知図柄「○」が表示され、女の子のキャラクタ図柄が第4保留図柄表示エリアDs4に向かって報知図柄として「◎」を投げる演出が表示され(【0718】)、第4保留図柄表示エリアDs4に女の子のキャラクタ図柄が投げた報知図柄「◎」が表示される(第4保留図柄表示エリアDs4の非報知図柄「○」が報知図柄「◎」に変化して表示される)と共に、保留報知図柄「◎」に対応する「チャリリン」という音声が出力され(【0719】)、その後、女の子のキャラクタ図柄が消去されると共に、第4保留図柄表示エリアDs4が消去され(【0720】)、
e2-1 主側MPU112が定期的(4msec周期で)に実行するタイマ割込み処理において(【0205】)、遊技回(変動表示回)の実行制御および開閉実行モードの実行制御を行うための特図特電制御処理を実行し(【0222】)、特図特電制御処理には、遊技回用の演出に係る処理が含まれ、遊技回用の演出に係る処理として、遊技回用の演出を開始させるための処理である特図変動開始処理が設定され(【0239】)、特図変動開始処理では、保留情報が記憶されていることを条件に、各種判定処理を実行し、メイン表示部71および図柄表示装置80において変動表示が行われる遊技回を開始するための処理を実行し(【0249】)、変動用コマンドおよび種別コマンドを出力対象に設定し、変動用コマンドには、変動表示時間の情報が含まれ、サブ側の制御装置である音声ランプ制御装置92では変動表示時間の情報からリーチ発生の有無を特定することは可能であり(【0261】)、種別コマンドには、遊技結果の情報が含まれ、出力対象として設定された変動用コマンドおよび種別コマンドは、サブ側の制御装置である音声ランプ制御装置92に、タイマ割込み処理におけるポート出力処理によって送信され(【0262】)、音声側MPU152のタイマ割込み処理における主側コマンド対応処理において(【0364】)、今回の遊技回の演出パターンを決定するための処理を実行し、この処理では、今回受信している変動用コマンドおよび種別コマンドの内容から遊技回の変動表示時間の情報を特定すると共に、当該変動表示時間の情報、遊技結果の情報、および予告抽選処理の抽選結果の情報の組合せに対応した演出パターンを選択し(【0368】)、
e2-2 スーパーリーチ中では、下側表示領域Dsは、実行図柄表示エリアDs0のみが表示され、第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8が削除されている状態で、保留非報知図柄を保留報知図柄に変化させる場合、保留非報知図柄を保留報知図柄に変化させる所定期間前において、女の子のキャラクタ図柄が表示され(【0730】)、保留図柄が変化される第3保留図柄表示エリアDs3が再び表示され、女の子のキャラクタ図柄が保留報知図柄「◎」を第3保留図柄表示エリアDs3に向かって投げる演出が表示され、第3保留図柄表示エリアDs3に女の子のキャラクタ図柄が投げた報知図柄「◎」が表示されると共に、保留報知図柄「◎」に対応する「チャリリン」という音声が出力され、これにより、スーパーリーチ中においても、遊技者は、第3保留表示エリアDs3に表示される保留非報知図柄「○」が保留報知図柄「◎」に変化したことを明確に理解でき、その後、女の子のキャラクタ図柄が消去され(【0731】)、その他の第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8のうちの該当する保留図柄表示エリアDs※や実行図柄表示エリアDs0に表示される非報知図柄を報知図柄に変化させる場合においても同様であり(【0069】、【0732】)、
i 最終図柄が「●」の報知図柄であると共に、最初に表示される保留図柄が保留非報知図柄「○」の場合、保留非報知図柄「○」を報知図柄「◎」に変化させた後、報知図柄「◎」を報知図柄「●」に変化させ(【0742】)、最終図柄が報知図柄「●」である場合、最初に表示される保留図柄は報知図柄「◎」であってもよく(【0743】)、
jk 第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8のうちの該当する保留図柄表示エリアDs※に保留非報知図柄「○」が表示されている場合には、当該保留非報知図柄「○」が保留報知図柄「◎」または「●」に変化することがある(【0069】、【0643】)
l 遊技機。(【0001】)。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(l)は、本願補正発明のAないしLに概ね対応させている。

(a)引用発明の「遊技の主たる制御を司る主制御装置91」は、本願補正発明の「遊技の進行を制御する主制御手段」に相当する。
引用発明の「音声やランプ表示等の制御を司る音声ランプ制御装置92と、図柄表示装置80の制御を司る表示制御装置93」は、「主制御装置91から受信した各種コマンドに基づき、遊技回や開閉実行モード等において実行する演出の内容を決定し、その決定した内容に対応した動作が行われるように、音声出力装置156を制御してスピーカ部34の音声制御を行」う「音声側MPU152」が搭載されている「音声ランプ制御基板151」を備えることから、本願補正発明の「前記主制御手段からのコマンドに基づき遊技の演出を制御する従制御手段」に相当する。
引用発明の「遊技機」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明の発明特定事項aは、本願補正発明の発明特定事項Aに相当する。

(b1)引用発明の「主制御装置91」は、「開閉実行モードへの移行に当選した(当たり抽選に当選した)と判定した場合には」、「遊技者にとって有利な特典遊技状態の一形態であ」る「開閉動作が行われている状態」に移行することから、「開閉実行モードへの移行に当選した(当たり抽選に当選した)と判定」する手段を備えていることは明らかである。
このことは、本願補正発明において、
「B 前記主制御手段は、
B1 遊技者に有利な特別遊技を行うか否かの判定を行う判定手段」
を備えることに相当する。
したがって、引用発明の発明特定事項b1は、本願補正発明の発明特定事項B及びB1に相当する。

(b2)引用発明の「主側RAM114」は、「第1?第8保留エリアRA1?RA8の8個の保留エリア」を備えるものであるから、本願補正発明の「前記判定の権利を保留可能な保留手段」に相当する。
引用発明の発明特定事項aより、「主制御装置91」は、「主側RAM114」を備えるものであり、このことは、本願補正発明の
「B 前記主制御手段は、」
「B2 前記判定の権利を保留可能な保留手段」を備えることに相当する。
したがって、引用発明の発明特定事項b2は、本願補正発明の発明特定事項B及びB2に相当する。

(b3)引用発明の「第1抽選遊技及び第2抽選遊技の結果」は、本願補正発明の「前記判定の結果」に相当する。
引用発明の「第1抽選遊技及び第2抽選遊技に関する変動表示が行われ」、「その変動表示の停止結果として、第1抽選遊技及び第2抽選遊技の結果を示す点灯状態で停止表示され」ることは、本願補正発明の「前記判定の結果に基づいて、図柄を変動表示させてから当該図柄を停止表示させる」ことに相当する。
引用発明の「第1抽選遊技」及び「第2抽選遊技」は、「主制御装置91」により行われるものであるから、「主制御装置91」が、「第1抽選遊技及び第2抽選遊技に関する変動表示が行われ」、「その変動表示の停止結果として、第1抽選遊技及び第2抽選遊技の結果を示す点灯状態で停止表示され」る制御を行う手段を備えていることは明らかであり、このことは、本願補正発明の
「B 前記主制御手段は、」
「B3 前記判定の結果に基づいて、図柄を変動表示させてから当該図柄を停止表示させる変動制御手段」を備えることに相当する。
したがって、引用発明の発明特定事項b3は、本願補正発明の発明特定事項B及びB3に相当する。

(c1)引用発明の「図柄表示装置80」は、本願補正発明の「表示手段」に相当する。
引用発明の「図柄表示装置80」が有する「下側表示領域Ds」の「等区分」された「第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8に」「表示され」る「第1?第8単位エリアRD1?RD8に書き込まれたデータに応じた画像」は、本願補正発明の「保留している前記権利に対応して」「表示手段に表示」される「保留画像」に相当する。
引用発明の「表示制御基板161」は、「図柄表示装置80における第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8と1対1で対応するように、第1?第8単位エリアRD1?RD8が設定され」た「保留図柄表示用エリア167a」を有する「ビデオRAM167」を内蔵するものであるから、本願補正発明の「保留している前記権利に対応して、保留画像を表示手段に表示する画像表示手段」に相当する。
上記(a)で検討したように、引用発明の「音声やランプ表示等の制御を司る音声ランプ制御装置92と、図柄表示装置80の制御を司る表示制御装置93」は、本願補正発明の「従制御手段」に相当するものであるから、引用発明の「表示制御装置93」が「表示制御基板161」を備えることは、本願補正発明の
「C 前記従制御手段は、
C1 保留している前記権利に対応して、保留画像を表示手段に表示する画像表示手段」を備えることに相当する。
したがって、引用発明の発明特定事項c1は、本願補正発明の発明特定事項C及びC1に相当する。

(c2)引用発明の「スピーカ部34」は、本願補正発明の「演出手段」に相当する。
引用発明の「音声側MPU152」は、「スピーカ部34から表示する保留図柄に対応した音声が出力され」る「音声制御処理」を実行させるものであるから、本願補正発明の「遊技の進行過程で演出手段に所定の報知演出を実行させる演出実行手段」に相当する。
上記(a)で検討したように、引用発明の「音声やランプ表示等の制御を司る音声ランプ制御装置92と、図柄表示装置80の制御を司る表示制御装置93」は、本願補正発明の「従制御手段」に相当するものであり、引用発明の発明特定事項aから、引用発明の「音声ランプ制御装置92」が、「音声側MPU152」が搭載された音声ランプ制御基板151を備えることは、本願補正発明の
「C 前記従制御手段は、」
「C2 遊技の進行過程で演出手段に所定の報知演出を実行させる演出実行手段」を備えることに相当する。
したがって、引用発明の発明特定事項c2は、本願補正発明の発明特定事項C及びC2に相当する。

(d1)上記(c1)で検討したように、引用発明の「表示制御基板161」は、本願補正発明の「画像表示手段」に相当する。
そして、引用発明の「表示制御基板161」に搭載されている「表示側MPU162」が、「更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるための描画リストを作成し、その作成した描画リスト(内部コマンド)をVDP165に送信し、VDP165では、この描画リストに従ってビデオRAM167のフレーム領域に描画データを作成し、フレーム領域に作成した描画データに従って図柄表示装置80に信号出力を行うことにより、図柄表示装置80において1フレーム分の画像が表示され」、「フレームの更新周期は20msecであ」ることは、本願補正発明の
「D 前記画像表示手段は、
D1 所定のフレーム更新タイミングとなる毎に前記表示手段に表示させる画像を更新するよう構成され」
ることに相当する。
したがって、引用発明の発明特定事項c1及びd1は、本願補正発明の発明特定事項D及びD1に相当する。

(d2)引用発明の「保留図柄または実行図柄として」の「○」は、本願補正発明の「通常態様」の「保留画像」に相当する。
引用発明の「保留図柄または実行図柄として」の「「◎」または「●」」は、「リーチ結果が発生したり当たりが発生したりするかもしれない(当たり抽選に当選するかもしれない)と遊技者に察知させる(期待させる)保留図柄または実行図柄」であり、「「○」、「◎」、「●」の図柄の順に遊技者が当たり期待度が高いと認識」することから、本願補正発明の「通常態様よりも前記特別遊技を行う可能性が高いことを示す特別態様の保留画像」に相当する。
引用発明の発明特定事項e1-2の「第4保留図柄表示エリアDs4の非報知図柄「○」が報知図柄「◎」に変化して表示される」演出及び発明特定事項e2-2の「保留非報知図柄を保留報知図柄に変化させる」演出は、いずれも本願補正発明の「前記保留画像を通常態様よりも前記特別遊技を行う可能性が高いことを示す特別態様の保留画像に変化させる変化演出」に相当する。
引用発明の発明特定事項e1-2及びe2-2において表示される「女の子のキャラクタ図柄」は、本願補正発明の「変化示唆画像」に相当する。
引用発明の発明特定事項e1-2の「女の子のキャラクタ図柄が表示され」、「女の子のキャラクタ図柄が第4保留図柄表示エリアDs4に向かって報知図柄として「◎」を投げる演出」及び発明特定事項e2-2の「女の子のキャラクタ図柄が表示され」、「女の子のキャラクタ図柄が保留報知図柄「◎」を第3保留図柄表示エリアDs3に向かって投げる演出」は、それぞれ発明特定事項e1-2の「第4保留図柄表示エリアDs4の非報知図柄「○」が報知図柄「◎」に変化して表示される」演出及び発明特定事項e2-2の「保留非報知図柄を保留報知図柄に変化させる」演出を示唆するものといえるから、本願補正発明の「前記変化演出が実行されることを示唆する変化示唆画像(キャラC1)を表示する示唆演出」に相当する。
発明特定事項e1-2及びe2-2の各演出は、音声及び「図柄表示装置80」を用いて行われるものであるから、引用発明の「音声やランプ表示等の制御を司る音声ランプ制御装置92と、図柄表示装置80の制御を司る表示制御装置93」によって行われるものである。そして、上記(a)で検討したように、引用発明の「音声やランプ表示等の制御を司る音声ランプ制御装置92と、図柄表示装置80の制御を司る表示制御装置93」は、本願補正発明の「従制御手段」に相当するものであるから、引用発明の「音声やランプ表示等の制御を司る音声ランプ制御装置92と、図柄表示装置80の制御を司る表示制御装置93」が、発明特定事項e1-2及びe2-2の各演出を行うことは、本願補正発明の
「D 前記画像表示手段は、」
「D2 前記保留画像を通常態様よりも前記特別遊技を行う可能性が高いことを示す特別態様の保留画像に変化させる変化演出と、前記変化演出が実行されることを示唆する変化示唆画像を表示する示唆演出と、を行うことが可能であ」ることに相当する。
したがって、引用発明の発明特定事項d2は、本願補正発明の発明特定事項D及びD2に相当する。

(e1)引用発明の発明特定事項e1-1の「第1始動口54及び第2始動口55への入賞を契機とする保留コマンド」は、発明特定事項aによれば、「音声側MPU152」が「主制御装置91から受信」するものであるから、本願補正発明の「前記主制御手段から送信された前記権利が発生したことを示すコマンド」に相当する。
引用発明の発明特定事項e1-2の
「スーパーリーチ中に遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留された場合、まず、保留非報知図柄「○」に対応する「チャリン」という音声が出力され、保留報知抽選に当選すると共に最終図柄到達シフト回数抽選処理にて0が選択されると(音声側MPU152から保留特殊報知コマンドが送信されると)、女の子のキャラクタ図柄が表示され、遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞したことを契機とする保留図柄が表示される第4保留図柄表示エリアDs4のみが再び表示され、この時点では、第4保留図柄表示エリアDs4には、保留非報知図柄「○」が表示され、女の子のキャラクタ図柄が第4保留図柄表示エリアDs4に向かって報知図柄として「◎」を投げる演出が表示され、第4保留図柄表示エリアDs4に女の子のキャラクタ図柄が投げた報知図柄「◎」が表示される(第4保留図柄表示エリアDs4の非報知図柄「○」が報知図柄「◎」に変化して表示される)と共に、保留報知図柄「◎」に対応する「チャリリン」という音声が出力され、その後、女の子のキャラクタ図柄が消去されると共に、第4保留図柄表示エリアDs4が消去され」る演出は、「遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留された場合」に行われるものであるところ、引用発明の発明特定事項d1によれば、
「各種設定処理に応じて更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるための描画リストを作成し、その作成した描画リスト(内部コマンド)をVDP165に送信し、VDP165では、この描画リストに従ってビデオRAM167のフレーム領域に描画データを作成し、フレーム領域に作成した描画データに従って図柄表示装置80に信号出力を行うことにより、図柄表示装置80において1フレーム分の画像が表示され」ることから、引用発明の発明特定事項e1-2における上記演出は、「音声側MPU152では、主制御装置91から受信した」「第1始動口54及び第2始動口55への入賞を契機とする」「保留コマンド」の受信に応じたフレーム更新タイミングで実行されるものであると認められ、このことは、本願補正発明の
「E 前記変化演出は、
E1 前記主制御手段から送信された前記権利が発生したことを示すコマンドの受信に応じたフレーム更新タイミングで実行する第1変化演出」を含むことに相当する。
したがって、引用発明の発明特定事項d1、e1-1及びe1-2は、本願補正発明の発明特定事項E及びE1に相当する構成を含む。

(e2)引用発明の発明特定事項e2-1の「変動用コマンドおよび種別コマンド」は、「メイン表示部71および図柄表示装置80において変動表示が行われる遊技回を開始するための処理を実行」する「特図変動開始処理」で「出力対象に設定」され、「サブ側の制御装置である音声ランプ制御装置92に、タイマ割込み処理におけるポート出力処理によって送信され」るものであるから、本願補正発明の「前記図柄の変動表示が開始するときに前記主制御手段から送信されたコマンド」に相当する。
引用発明の発明特定事項e2-2の
「スーパーリーチ中では、下側表示領域Dsは、実行図柄表示エリアDs0のみが表示され、第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8が削除されている状態で、保留非報知図柄を保留報知図柄に変化させる場合、保留非報知図柄を保留報知図柄に変化させる所定期間前において、女の子のキャラクタ図柄が表示され、女の子のキャラクタ図柄が保留報知図柄「◎」を実行図柄表示エリアDs0に向かって投げる演出が表示され、実行図柄表示エリアDs0に女の子のキャラクタ図柄が投げた報知図柄「◎」が表示されると共に、保留報知図柄「◎」に対応する「チャリリン」という音声が出力され、これにより、スーパーリーチ中においても、遊技者は、実行図柄表示エリアDs0に表示される保留非報知図柄「○」が保留報知図柄「◎」に変化したことを明確に理解でき、その後、女の子のキャラクタ図柄が消去される」演出は、「スーパーリーチ中」に行われるものであるから、「主側MPU112」から送信された「スーパーリーチ」という「演出パターン」が選択される「変動用コマンドおよび種別コマンド」の受信後に実行されるものである。
そして、引用発明の発明特定事項d1によれば、
「各種設定処理に応じて更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるための描画リストを作成し、その作成した描画リスト(内部コマンド)をVDP165に送信し、VDP165では、この描画リストに従ってビデオRAM167のフレーム領域に描画データを作成し、フレーム領域に作成した描画データに従って図柄表示装置80に信号出力を行うことにより、図柄表示装置80において1フレーム分の画像が表示され」ることから、引用発明の発明特定事項e2-2の上記演出は、「変動用コマンドおよび種別コマンド」の受信後の所定の「更新タイミング」で実行されることは明らかである。
したがって、引用発明の発明特定事項d1、e2-1及びe2-2は、本願補正発明の発明特定事項E及びE2に相当する構成を含む。

(f)引用発明の発明特定事項e2-2の
「実行図柄表示エリアDs0に女の子のキャラクタ図柄が投げた報知図柄「◎」が表示されると共に、保留報知図柄「◎」に対応する「チャリリン」という音声が出力され」ることは、本願補正発明の発明特定事項Fの
「前記第2変化演出が開始されるタイミングで前記報知演出を開始」することに相当する。
また、引用発明の発明特定事項e2-2の「保留報知図柄「◎」に対応」して出力される「チャリリン」という音声」がいずれかの時点で終了することは明らかであり、このことは、本願補正発明の発明特定事項fの「前記報知演出を終了」することに相当する。
したがって、引用発明の発明特定事項e1-2及びe2-2は、本願補正発明の発明特定事項Fと
「前記演出実行手段は、
前記第2変化演出が開始されるタイミングで前記報知演出を開始し、前記報知演出を終了」する点で共通する。

(h)引用発明の「保留図柄または実行図柄として」の「◎」及び「●」は、上記(d2)で検討したように、本願補正発明の「前記保留画像の特別態様」に相当するものであって、「「○」、「◎」、「●」の図柄の順に遊技者が当たり期待度が高いと認識」するものであるから、それぞれ本願補正発明の「第1特別態様」及び「前記第1特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第2特別態様」に相当する。
したがって、引用発明の発明特定事項d1は、本願補正発明の発明特定事項Hと、
「前記保留画像の特別態様は、
第1特別態様と、前記第1特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第2特別態様と、を含」む点で共通する。

(i)引用発明の発明特定事項iによれば、「最終図柄が「●」の報知図柄であると共に、最初に表示される保留図柄が保留非報知図柄「○」の場合、保留非報知図柄「○」を報知図柄「◎」に変化させた後、報知図柄「◎」を報知図柄「●」に変化させ」ることから、報知図柄「◎」は、報知図柄「●」に変化することを期待させる表示態様であるといえる。
したがって、引用発明の発明特定事項iは、本願発明の発明特定事項Iと、
「前記第1特別態様は、
前記保留画像が前記第2特別態様に変化することを期待させる表示態様であ」る点で共通する。

(j)引用発明の発明特定事項e1-2の「スーパーリーチ中に遊技球が第1始動口54または第2始動口55に入賞して抽選遊技が保留された場合」「第4保留図柄表示エリアDs4の非報知図柄「○」が報知図柄「◎」に変化して表示される」ときは、本願補正発明の発明特定事項Jの「前記第1変化演出において」「前記保留画像を前記第1特別態様で表示させるとき」に相当する。
また、引用発明の発明特定事項jkによれば、「保留図柄表示エリアDs※に保留非報知図柄「○」が表示されている場合には、当該保留非報知図柄「○」が保留報知図柄「◎」または「●」に変化することがある」ことから、発明特定事項e1-2の上記事項において、「第4保留図柄表示エリアDs4の非報知図柄「○」が報知図柄「●」に変化して表示される」ときがあり、このことは、本願補正発明の発明特定事項Jの「前記第1変化演出において」「前記保留画像を」「前記第2特別態様で表示させるとき」があることに相当する。
したがって、引用発明の発明特定事項e1-2及びjkは、本願補正発明の発明特定事項Jと
「前記第1変化演出においては、
前記保留画像を前記第1特別態様で表示させるときと、前記第2特別態様で表示させるときがあ」る点で共通する。

(k)引用発明の発明特定事項jkによれば、「第1?第8保留図柄表示エリアDs1?Ds8のうちの該当する保留図柄表示エリアDs※に保留非報知図柄「○」が表示されている場合には、当該保留非報知図柄「○」が保留報知図柄「◎」または「●」に変化することがある」から、引用発明の発明特定事項e2-2の「実行図柄表示エリアDs0に表示される保留非報知図柄「○」が保留報知図柄「◎」に変化」することがあると認められ、このことは、保留報知図柄「●」に変化することもあり、このことは、本願補正発明の発明特定事項K及びK1の「前記第2変化演出においては」「前記保留画像を前記第2特別態様」「に変化させることがあ」ることに相当する。
したがって、引用発明の発明特定事項e2-2及びjkは、本願補正発明の発明特定事項K及びK1と
「前記第2変化演出においては、
前記保留画像を前記第2特別態様に変化させることがあ」る点で共通する。

(l)引用発明の発明特定事項lの「遊技機」は、本願補正発明の発明特定事項の「遊技機」に相当する。

以上によれば、本願補正発明と引用発明は、
「A 遊技の進行を制御する主制御手段と、前記主制御手段からのコマンドに基づき遊技の演出を制御する従制御手段と、を備えた遊技機において、
B 前記主制御手段は、
B1 遊技者に有利な特別遊技を行うか否かの判定を行う判定手段と、
B2 前記判定の権利を保留可能な保留手段と、
B3 前記判定の結果に基づいて、図柄を変動表示させてから当該図柄を停止表示させる変動制御手段と、を備え、
C 前記従制御手段は、
C1 保留している前記権利に対応して、保留画像を表示手段に表示する画像表示手段と、
C2 遊技の進行過程で演出手段に所定の報知演出を実行させる演出実行手段と、を備え、
D 前記画像表示手段は、
D1 所定のフレーム更新タイミングとなる毎に前記表示手段に表示させる画像を更新するよう構成され、
D2 前記保留画像を通常態様よりも前記特別遊技を行う可能性が高いことを示す特別態様の保留画像に変化させる変化演出と、前記変化演出が実行されることを示唆する変化示唆画像を表示する示唆演出と、を行うことが可能であり、
E 前記変化演出は、
E1 前記主制御手段から送信された前記権利が発生したことを示すコマンドの受信に応じたフレーム更新タイミングで実行する第1変化演出と、
E2 前記図柄の変動表示が開始するときに前記主制御手段から送信されたコマンドの受信後の所定のフレーム更新タイミングで実行する第2変化演出と、を含み、
F’ 前記演出実行手段は、
前記第2変化演出が開始されるタイミングで前記報知演出を開始し、前記報知演出を終了し、
H’ 前記保留画像の特別態様は、
第1特別態様と、前記第1特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第2特別態様と、を含み、
I’ 前記第1特別態様は、
前記保留画像が前記第2特別態様に変化することを期待させる表示態様であり、
J’ 前記第1変化演出においては、
前記保留画像を前記第1特別態様で表示させるときと、前記第2特別態様で表示させるときがあり、
K 前記第2変化演出においては、
K1’ 前記保留画像を前記第2特別態様に変化させることがある
L 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)[発明特定事項Fの前半]
「演出実行手段」が「報知演出を開始」する「前記第2変化演出が開始されるタイミング」が、本願補正発明では「フレーム更新タイミング」であるのに対して、引用発明では「フレーム更新タイミング」であるか否か不明である点。

(相違点2)[発明特定事項Fの後半]
「演出実行手段」が「前記報知演出を終了」するのが、本願補正発明では、「前記第2変化演出における前記保留画像の態様の変化が終了するフレーム更新タイミングとは異なるフレーム更新タイミング」であるのに対して、引用発明では、「前記第2変化演出における前記保留画像の態様の変化が終了するフレーム更新タイミングとは異なるフレーム更新タイミング」であるか否か不明である点。

(相違点3)[発明特定事項G]
「変化示唆画像」が、本願補正発明では、「前記報知演出が終了するタイミングよりも早いフレーム更新タイミングで表示を終了」するのに対して、引用発明では、「前記報知演出が終了するタイミングよりも早いフレーム更新タイミングで表示を終了」するのか否か不明である点。

(相違点4)[発明特定事項H、I、J、K、K1、K2]
「保留画像の特別態様」が、本願補正発明では、
「第1特別態様と、前記第1特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第2特別態様と、前記第2特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第3特別態様と、を含み、
前記第1特別態様は、
前記保留画像が前記第2特別態様又は前記第3特別態様に変化することを期待させる表示態様であり、
前記第1変化演出においては、
前記保留画像を前記第1特別態様で表示させるときと、前記第2特別態様で表示させるときと、前記第3特別態様で表示させるときがあり、
前記第2変化演出においては、
前記保留画像を前記第2特別態様又は前記第3特別態様に変化させることがあり、
前記第1変化演出が実行される場合よりも、前記第2変化演出が実行される場合の方が、前記保留画像が前記第3特別態様に変化し易い」
のに対して、引用発明では、「前記第2特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第3特別態様」を含んでおらず、本願補正発明の「第3特別態様」に関する各構成を備えていない点。

(4)判断
ア 相違点1について
遊技機の画像と音声を用いた演出において、フレーム更新タイミングで音声を出力することは、例えば、原査定の拒絶の理由にそれぞれ引用文献2、引用文献3として引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-101270号公報、特開2013-90804号公報、本審決において引用する特開2008-197254号公報及び特開2016-54753に以下の事項が記載されているように、周知技術(以下、「周知技術」という。)である。
この周知技術は、本願補正発明の発明特定事項Fの
「前記演出実行手段は」、「フレーム更新タイミングで前記報知演出を開始し」に相当するものである。

特開2016-101270号公報:
「【0001】
本発明は、遊技機に関する。」

「【0634】
統括CPU142は、ステップT12において、音声制御部148に対して出力したサウンドリストに基づくサウンドの出力を指示する音出力指令処理を行う。この音出力指令処理が行われることで、音声制御部148ではサウンドリストに基づくサウンドを音声出力装置9から出力させる。
【0635】
そのため、各種のサウンドは、画像制御部145(VDP)によるフレーム更新タイミングと同期(同調)するように音声出力装置9からの出力を開始され、また、フレーム更新タイミングと同期(同調)するように音声出力装置9からの出力を終了される。」

特開2013-90804号公報:
「【0001】
本発明は、画像表示装置と音出力装置を含む演出装置を制御する演出制御装置を備える遊技機に関する。」

「【0259】
VDP558は、映像制御用マイコン(2ndCPU)554から出力されたVDP制御コマンドを受信すると(731のCOM)、受信したVDP制御コマンドに基づいて画像データを生成し(732の演算)、次の画像割込タイミングで画像表示装置(LCD)48に生成された画像データを出力する(733のLCD)。このとき、主制御用マイコン(1stCPU)551からは、音源LSI560に、当該画像データに対応する効果音の出力を指示する連動演出コマンドが出力される(714のSND)。
【0260】
これにより、画像表示装置(LCD)48に画像が表示されたタイミングで、スピーカ30a、30bから効果音が出力される。例えば、カウントダウン表示を行う場合には、数字が更新されたタイミングで効果音が出力される。」

「【図26】



特開2008-197254号公報:
「【0006】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。 図1はこの発明の一実施形態である音声の圧縮符号化および復号化方法を利用したマルチメディア伝送システムの構成を示すブロック図である。このマルチメディア伝送システムは、記録装置1と、再生装置2とにより構成されている。ここで、再生装置2は、例えばパチンコ台などのゲーム機に設けられる装置であり、ゲーム機において発生する各種のイベント(例えば、パチンコ台の場合には、賞玉の払い出しを割り当てられた特定のチャッカーに玉が入る入賞イベントなど)に応じて、アニメーションなどの各種の画像シーンと効果音などの各種の音声フレーズの同期再生を行う装置である。記録装置1は、再生装置2において画像シーンと同期再生される音声フレーズの圧縮符号化を行い、記録媒体Mに記録する装置である。」

「【0009】
音声エンコーダ13は、音声のサンプルレートf2を制御部11から通知された画像のフレームレートf1によって除算し、除算結果f2/f1を圧縮符号化の単位である1ブロック当たりのサンプル数とする。すなわち、例えば画像のフレームレートf1が30フレーム/秒である場合において、音声のサンプルレートf2が44.1kHzである場合には1ブロック当たりのサンプル数は1470サンプル、音声のサンプルレートf2が48kHzである場合には1ブロック当たりのサンプル数は1600サンプルとなる。そして、音声エンコーダ13は、圧縮符号化対象であるサンプルレートf2の音声サンプル列を各々f2/f1サンプルからなるブロックに区切り、ブロック毎に、他のブロックの音声サンプルを参照することなく、音声サンプル列の圧縮符号化を行い、圧縮符号化音声データを出力する。」

「【0020】
音声再生部24では、制御部21から指示された音声サンプル列に対応した圧縮符号化音声データをデータ読み取り部25が記録媒体から読み取り、音声デコーダ26がこの圧縮符号化音声データの復号化を行って音声サンプル列を音声出力部27のFIFOに書き込む。本実施形態において、画像フレームの1フレーム周期の長さは、1ブロック分の音声サンプル列の時間長と一致している。そこで、音声デコーダ26は、画像フレーム列を構成する各画像フレームが再生される間、各画像フレームの再生に間に合うように、各画像フレームと同期再生させる1ブロック分の音声サンプル列の復号化を開始し、1ブロック分の音声サンプル列を音声出力部27のFIFOに書き込む。音声出力部27は、画像再生部23において1つの画像フレームの再生されるとき、そのタイミングを捉えて、FIFO内の音声サンプル列をサンプルレートf2の読み出しクロックに応じて読み出し、音として出力する。本実施形態では、このように画像フレームが1個再生される毎に、それに合わせて、f2/f1個の1ブロック分の音声サンプル列が圧縮符号化データから復号化されて音声として再生される。このように、本実施形態においては、画像フレーム列の再生に同期して音声フレーズの音声サンプル列が再生される。」

特開2016-54753号公報:
「【0001】
本発明は、画面と音響を用いて演出を行う、スロットマシンやパチンコ機などの遊技機に関する。」

「【0092】
演出データ記憶部500に記憶されている映像データとサウンドデータとは時間的に同期されている。映像データとサウンドデータを時間的に同期させるとは、これらのデータをタイミングデータに関連付けることであり、演出データはこのような関連付けのなされた複数のデータ集合である。タイミングデータは例えばフレームであり、フレームの番号(1、2、3、・・・)に、映像データ(映像データ1、映像データ2、映像データ3、・・・)とサウンドデータ(サウンドデータ1、サウンドデータ2、サウンドデータ3、・・・)が対応するデータ(テーブル)である。フレームの繰り返し時間は短く、演出の内容は単位フレームよりも長い。このため、上記のようにテーブルを構成するとテーブルサイズが大きくなるので、映像とサウンドの開始タイミングをフレームの番号に対応付けるようにしてもよい。例えば、フレームの番号=0(図12の例のt1)で映像Aを開始する(映像データAを対応付ける)とともにサウンドAを開始する(サウンドデータAを対応付ける)ように設定し、フレームの番号=1000(図12の例のt2)で映像Bを開始する(映像データBを対応付ける)とともにサウンドBを開始する(サウンドデータBを対応付ける)ように設定する。」

「【図12】



引用発明における発明特定事項e2-2の「実行図柄表示エリアDs0に女の子のキャラクタ図柄が投げた報知図柄「◎」が表示されると共に、保留報知図柄「◎」に対応する「チャリリン」という音声が出力され」るとの演出において、周知技術を適用し、「報知図柄「◎」が表示される」フレーム更新タイミングに、「保留報知図柄「◎」に対応する「チャリリン」という音声が出力され」るよう構成して、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、上記周知技術に基づいて当業者が容易に想到できたことである。

イ 相違点2及び相違点3について
事案に鑑み、相違点2及び相違点3についてまとめて検討する。
まず、本願補正発明の相違点2に係る「前記保留画像の態様の変化が終了するフレーム更新タイミング」が、どのようなタイミングであるかについては、令和2年2月25日提出の意見書において、
「[3]拒絶理由に対する応答
(1)拒絶理由1について
補正前の請求項1の「第2変化演出が終了するフレーム更新タイミング」との構成は、以下の2通りの解釈が可能な構成となっており、明確ではないものとなっておりました。
(A)第2変化演出において変化した保留画像が消去されるフレーム更新タイミング
(B)第2変化演出における保留画像の態様の変化が終了するフレーム更新タイミング
そこで、出願人は、上記(B)に限定するために、補正前の請求項1の「前記演出実行手段は、前記第2変化演出が開始されるフレーム更新タイミングで前記報知演出を開始し、前記第2変化演出が終了するフレーム更新タイミングとは異なるフレーム更新タイミングで前記報知演出を終了する」との構成を本意見書と同日付けで提出した手続補正書により、「前記演出実行手段は、前記第2変化演出が開始されるフレーム更新タイミングで前記報知演出を開始し、前記第2変化演出における前記保留画像の態様の変化が終了するフレーム更新タイミングとは異なるフレーム更新タイミングで前記報知演出を終了し、」と補正致しました。」
と記載されている。
このことから、本願補正発明の相違点2に係る「前記保留画像の態様の変化が終了するフレーム更新タイミング」は、「第2変化演出における保留画像の態様の変化が終了するフレーム更新タイミング」を意味するものと認められる。

これに対して、原査定の拒絶の理由に引用文献等4として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった
[ぱちんこ 必殺仕事人5 豪剣 試打#01]新規演出・変更点特集![パチンコ新台],YouTube[video][online],2017年10月12日,特に4:45頃?4:51頃を参照。[検索日:2020年5月22日],URL,https://www.youtube.com/watch?v=InoCvMjFXj0(以下、「引用文献等2」という。)
の特に4:45頃?4:51頃から、以下の事項が見て取れる。

(ア)4:45頃に、画面およそ下部において、小判を3枚重ねたかのような図柄と、人影のような画像と、紫のもやのような画像とを表示する様子が見て取れる。


(イ)4:46頃に、画面およそ下部において、表示されていた人影のような画像が、その表示されていた位置を右側にずらしつつ男性を模した画像に変化し、当該変化とおよそ同じタイミングで、小判を3枚重ねたかのような図柄を隠すように刀を模した図柄が表示される様子が見て取れる。


(ウ)4:48頃に、当該男性を模した画像が、画面左手前側に移動しつつ当該刀を模した図柄を切り、当該刀を模した図柄が2つに分かれるとともに、ゼブラ柄の直方体を模した図柄が表示される様子が見て取れる。また、当該ゼブラ柄の直方体を模した図柄が表示されるとおよそ同時に、効果音が流れることが聞き取れる。


(エ)4:49頃には、当該男性を模した画像が表示されなくなる一方で、当該効果音は引き続き聞き取れることが理解できる。なお、当該ゼブラ柄の直方体を模した図柄は引き続き表示されている。


(オ)4:51を過ぎる頃に、当該効果音が聞き取れなくなることが理解できる。なお、当該ゼブラ柄の直方体を模した図柄は引き続き表示されている。


(カ)その後、ゼブラ柄の直方体を模した図柄が、他の図柄に変化することはないことから、上記(ウ)において、刀を模した図柄からゼブラ柄の直方体を模した図柄への変化が終了するタイミングが、図柄の態様の変化が終了するタイミングであると認められる。

上記(ア)ないし(カ)によれば、引用文献等2には、以下の事項が開示されている。
(引用文献等2開示事項1)図柄の態様の変化(小判を3枚重ねたかのような図柄→刀を模した図柄→ゼブラ柄の直方体を模した図柄)が終了するタイミング(上記(ウ)において、刀を模した図柄からゼブラ柄の直方体を模した図柄への変化が終了するタイミング)とは異なるタイミング(上記(オ)のタイミング)で効果音の出力を終了すること。
(引用文献等2開示事項2)図柄の変化演出が実行されることを示唆する画像(男性を模した画像)が、効果音が終了するタイミングよりも早いタイミングで表示を終了すること。

引用文献等2開示事項1は、本願補正発明の
「F 前記演出実行手段は、」
「前記第2変化演出における前記保留画像の態様の変化が終了するフレーム更新タイミングとは異なる」「タイミングで前記報知演出を終了」することに相当するものであり、引用文献等2開示事項2は、本願補正発明の
「G 前記変化示唆画像は、
前記報知演出が終了するタイミングよりも早いフレーム更新タイミングで表示を終了」することに相当するものである。

そして、上記「ア 相違点1について」で検討した、特開2016-101270号公報には、遊技機の画像と音声を用いた演出において、フレーム更新タイミングと同期(同調)するように音声出力装置からの出力を終了することが明記されていることを考慮すれば、上記「ア 相違点1について」で検討した「遊技機の画像と音声を用いた演出において、フレーム更新タイミングで音声を出力する」との周知技術において、フレーム更新タイミングで、直後のフレームに対応付けられた音声の出力が開始するとともに、直前のフレームに対応付けられた音声の出力が終了することは自明である。
そうすると、上記周知技術は、本願補正発明の発明特定事項Fの
「前記演出実行手段は、」
「フレーム更新タイミングで前記報知演出を終了し」に相当する構成を実質的に備えるものである。

引用発明と引用文献等2に開示された事項はいずれも、リーチ中に図柄を変化させるとともに効果音を出力する演出であることから、引用発明の発明特定事項e2-2の演出において、引用文献等2開示事項1及び2と上記周知技術を適用して、「第3保留図柄表示エリアDs3に女の子のキャラクタ図柄が投げた報知図柄「◎」が表示される」フレーム更新タイミングとは異なるフレームタイミングで、「保留報知図柄「◎」に対応する「チャリリン」という音声」の出力を終了するよう構成して、相違点2に係る本願補正発明の構成とするとともに、女の子のキャラクタ図柄が、「保留報知図柄「◎」に対応する「チャリリン」という音声」の出力が終了するタイミングよりも早いフレーム更新タイミングで消去されるよう構成して、相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。

ウ 相違点4について
相違点4について検討する。
本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-144717号公報(以下、「引用文献等3」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。

(ア)「【0001】
本発明は、遊技領域に設けられた始動領域を遊技媒体が通過した後に開始条件が成立したことにもとづいて各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示手段に、あらかじめ定められた特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機に関する。」

(イ)「【0262】
次いで、演出制御用CPU101は、先読み演出において、予告対象となる変動表示(保留情報)に対応する保留表示を、最終的にどの表示態様で表示するかを決定する(ステップS67106)。この実施の形態では、保留表示の表示態様として、通常態様の他に、特殊態様、第1特別態様および第2特別態様が設けられている。ただし、後述するように、特殊態様で表示された保留表示は、その保留表示に対応する保留情報にもとづく変動表示が開始されるまでに、特殊態様から第1特別態様または第2特別態様に変化して表示される。したがって、ステップS67106では、最終的な表示態様は第1特別態様または第2特別態様のいずれかに決定される。以下、第1特別態様と第2特別態様とを特別態様と総称することがある。」

(ウ)「【0264】
図29(B)に示す最終表示態様決定テーブルにおいて特徴的なことは、表示結果が「はずれ」である場合(入賞時判定結果1指定?入賞時判定結果7指定に相当)に比べて、表示結果が「通常大当り」または「確変大当り」である場合(入賞時判定結果8指定?入賞時判定結果12指定に相当)の方が、第2特別態様に決定される割合が高くなるように判定値が設定されていることである。このような特徴を備えていることによって、保留表示が第2特別態様で表示されたときには、第1特別態様で表示されたときに比べて、予告対象の変動表示において大当りが発生する割合を高くすることができる。したがって、第1特別態様よりも第2特別態様で表示された方が大当りとなる期待度を高くすることができ、先読み演出が実行されたときに、保留表示がどの表示態様で表示されるかについて着目させることができる。」

(エ)「【0268】
この実施の形態では、先読み演出パターンとして、第1先読み演出パターンと第2先読み演出パターンとが設けられている。第1先読み演出パターンでは、予告対象の変動表示(保留情報)に対応する保留表示が、一旦特殊態様で表示されることなく、第1特別態様または第2特別態様で表示される。なお、第1先読み演出パターンは、始動入賞のタイミングで予告対象の変動表示(保留情報)に対応する保留表示が第1特別態様または第2特別態様で表示されるものと、予告対象の変動表示(保留情報)が開始されるまでの任意のシフトタイミングで予告対象の変動表示(保留情報)に対応する保留表示が通常態様から第1特別態様または第2特別態様に変化して表示されるものとを含む。一方、第2先読み演出パターンでは、予告対象の変動表示に対応する保留表示が、始動入賞のタイミングで特殊態様で表示され、その予告対象の変動表示が開始されるまでの任意のシフトタイミングで、特殊態様から第1特別態様または第2特別態様に変化して表示される。」

(オ)「【0285】
図31に示す先読み演出変化タイミング決定テーブルにおいて特徴的なことは、第1先読み演出パターンの場合には、変動表示の表示結果が「はずれ」である場合に比べて、変動表示の表示結果が当り(例えば、「通常大当り」、「確変大当り」、「突然確変大当り」または「小当り」)である場合の方が、シフト回数が少ない変化タイミングに決定する割合が高くなるように判定値が設定されていることである。このような特徴を備えていることによって、第1先読み演出パターンで先読み演出が行われるとき(すなわち保留表示が一旦特殊態様で表示されることなく特別態様で表示されるとき)には、保留表示がより少ないシフト回数で通常態様から特別態様に変化した方が、予告対象の変動表示において当りが発生する割合を高くすることができ、さらに始動入賞時(シフト回数0)に特別態様で表示された方が、より当りが発生する割合を高くすることができる。したがって、保留表示が変化するタイミングに関心を持たせることができ、遊技興趣を高めることができる。
【0286】
図31に示す先読み演出変化タイミング決定テーブルにおいて特徴的なことは、第2先読み演出パターンの場合には、変動表示の表示結果が「はずれ」である場合に比べて、変動表示の表示結果が当り(例えば、「通常大当り」、「確変大当り」、「突然確変大当り」または「小当り」)である場合の方が、シフト回数が多い変化タイミングに決定する割合が高くなるように判定値が設定されていることである。このような特徴を備えていることによって、第2先読み演出パターンで先読み演出が行われるとき(すなわち始動入賞時に保留表示が特殊態様で表示され、その後、特別態様に変化されるとき)には、特殊態様の保留表示がより多くのシフト回数で(つまり多くのシフトが行われた後に)特別態様に変化した方が、予告対象の変動表示において当りが発生する割合を高くすることができる。すなわち、保留表示が特殊態様で表示されてから特別態様に変化するまでの期間が長くなるほど(つまり変化のタイミングが遅くなるほど)、予告対象の変動表示において当りが発生する割合を高くすることができる。したがって、保留表示を複数のタイミングで変化させることができるとともに、特殊態様で表示された保留表示が変化するタイミングに注目させることができ、遊技興趣を高めることができる。」

(カ)「【0288】
また、図31に示す例では、第1先読み演出パターンの場合にはシフト回数が少ない方(つまり変化のタイミングが早いほど)が有利になり、第2先読み演出パターンの場合にはシフト回数が多い方(つまり変化のタイミングが遅いほど)が有利になるように設定されているが、遊技者にわかりやすくするため、例えば、第1先読み演出パターンの場合にもシフト回数が多い方(つまり変化のタイミングが遅いほど)が有利になるように設定してもよい。また、例えば、第2先読み演出パターンの場合にもシフト回数が少ない方(つまり変化のタイミングが早いほど)が有利になるように設定してもよい。」

(キ)「【0379】
また、この実施の形態では、演出実行手段は、判定手段によって表示結果が大当りとなると判定されたときには、大当りとならないと判定したときに比べて高い割合で判定対象となった保留記憶に対応する保留表示を第2特別態様で表示する。また、演出実行手段は、保留表示を特殊態様から第1特別態様または第2特別態様に変化させて表示する第2先読み演出パターンで先読み演出を行うときには、保留表示を特殊態様で表示することなく第1特別態様または第2特別態様で表示する第1先読み演出パターンで先読み演出を行うときに比べて高い割合で保留表示を第2特別態様で表示するように構成されている。そのように構成されていることによって、保留表示が特殊態様で表示されたときには、大当りとなる期待度が高い第2特別態様で表示される割合が高くなるため、期待感を高めることができ、遊技興趣を向上させることができる。」

(ク)「【0386】
また、この実施の形態では、保留表示が特殊態様で表示されたときには、保留表示は、必ず特殊態様から第1特別態様または第2特別態様に変化させて表示されるが、例えば、特殊態様のまま変化させないようにしてもよい。この場合には、保留表示が特殊態様から特別態様に変化されることなく、その保留表示(保留情報)に対応する変動表示が開始されたときには、特殊態様から特別態様に変化されたときに比べて大当りとなる割合が低くなるように構成することが望ましい。このようにすることで、保留表示の表示態様が特殊態様から特別態様に変化することに対して、より関心を持たせることができる。また、この場合には、保留表示が特殊態様で表示されている状態の方が、通常状態で表示されている状態に比べて、特別態様に変化して表示される割合が高くなるように構成することが望ましい。このようにすることで、保留表示の表示態様が通常態様から特殊態様に変化することに対して関心を持たせることができ、さらに特殊態様で表示されているときの期待感を高めることもできる。」

(ケ)「【図31】



(コ)上記(ア)ないし(ケ)からみて、引用文献等3には、次の事項(以下、「引用文献等3記事事項」という。)が記載されている。なお、本願補正発明の発明特定事項HないしLに概ね対応させて符号hないしlを付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「hi 先読み演出において、保留表示の表示態様として、通常態様の他に、特殊態様、第1特別態様および第2特別態様が設けられ(【0262】)、保留表示が特殊態様で表示されたときには、保留表示は、特殊態様から第1特別態様または第2特別態様に変化させて表示されるときと、特殊態様のまま変化しないときがあり、特殊態様のまま変化しない場合には、その保留表示(保留情報)に対応する変動表示が開始されたときには、特殊態様から特別態様に変化されたときに比べて大当りとなる割合が低くなるように構成され(【0386】)、第1特別態様よりも第2特別態様で表示された方が大当りとなる期待度が高く(【0264】)、
jk1 先読み演出パターンとして、第1先読み演出パターンと第2先読み演出パターンとが設けられ、第1先読み演出パターンは、始動入賞のタイミングで予告対象の変動表示(保留情報)に対応する保留表示が第1特別態様または第2特別態様で表示されるものと、予告対象の変動表示(保留情報)が開始されるまでの任意のシフトタイミングで予告対象の変動表示(保留情報)に対応する保留表示が通常態様から第1特別態様または第2特別態様に変化して表示されるものとを含み、第2先読み演出パターンでは、予告対象の変動表示に対応する保留表示が、始動入賞のタイミングで特殊態様で表示され、その予告対象の変動表示が開始されるまでの任意のシフトタイミングで、特殊態様から第1特別態様または第2特別態様に変化して表示され(【0268】)、
k2 演出実行手段は、保留表示を特殊態様から第1特別態様または第2特別態様に変化させて表示する第2先読み演出パターンで先読み演出を行うときには、保留表示を特殊態様で表示することなく第1特別態様または第2特別態様で表示する第1先読み演出パターンで先読み演出を行うときに比べて高い割合で保留表示を第2特別態様で表示するように構成され、そのように構成されていることによって、保留表示が特殊態様で表示されたときには、大当りとなる期待度が高い第2特別態様で表示される割合が高くなるため、期待感を高めることができ、遊技興趣を向上させることができる(【0379】)
l 遊技機(【0001】)。」

(h)引用文献等3記載事項hiの保留表示の表示態様としての「特殊態様」、「第1特別態様」及び「第2特別態様」は、「特殊態様のまま変化しない場合には、その保留表示(保留情報)に対応する変動表示が開始されたときには、特殊態様から特別態様に変化されたときに比べて大当りとなる割合が低くなるように構成され、第1特別態様よりも第2特別態様で表示された方が大当りとなる期待度が高」いことから、それぞれ本願補正発明の「第1特別態様」、「前記第1特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第2特別態様」及び「前記第2特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第3特別態様」に相当する。
したがって、引用文献等3記載事項hiの「先読み演出において、保留表示の表示態様として、通常態様の他に、特殊態様、第1特別態様および第2特別態様が設けられ」ることは、相違点4に係る本願補正発明の発明特定事項のうち、
「H 前記保留画像の特別態様は、
第1特別態様と、前記第1特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第2特別態様と、前記第2特別態様よりも前記特別遊技の実行を期待させる第3特別態様と、を含」むことに相当する。
(i)引用文献等3記載事項hiの保留表示の表示態様としての「特殊態様」は、「第1特別態様または第2特別態様に変化させて表示されるとき」があることから、「第1特別態様または第2特別態様」に変化することを期待させる表示態様であるといえ、このことは、相違点4に係る本願補正発明の発明特定事項のうち、
「I 前記第1特別態様は、
前記保留画像が前記第2特別態様又は前記第3特別態様に変化することを期待させる表示態様であ」ることに相当する。

(j)引用文献等3記載事項jk1の「第1先読み演出パターンは、始動入賞のタイミングで予告対象の変動表示(保留情報)に対応する保留表示が第1特別態様または第2特別態様で表示されるもの」を含み、「第2先読み演出パターンでは、予告対象の変動表示に対応する保留表示が、始動入賞のタイミングで特殊態様で表示され」ることは、相違点4に係る本願補正発明の発明特定事項のうち、
「J 前記第1変化演出においては、
前記保留画像を前記第1特別態様で表示させるときと、前記第2特別態様で表示させるときと、前記第3特別態様で表示させるときがあ」ることに相当する。

(k1)引用文献等3記載事項jk1の「第2先読み演出パターンでは、予告対象の変動表示に対応する保留表示が、始動入賞のタイミングで特殊態様で表示され、その予告対象の変動表示が開始されるまでの任意のシフトタイミングで、特殊態様から第1特別態様または第2特別態様に変化して表示され」ることがあることは、相違点4に係る本願補正発明の発明特定事項のうち、
「K 前記第2変化演出においては、
K1 前記保留画像を前記第2特別態様又は前記第3特別態様に変化させることがあ」ることに相当する。

(k2)引用文献等3記載事項k2の「演出実行手段は、保留表示を特殊態様から第1特別態様または第2特別態様に変化させて表示する第2先読み演出パターンで先読み演出を行うときには、保留表示を特殊態様で表示することなく第1特別態様または第2特別態様で表示する第1先読み演出パターンで先読み演出を行うときに比べて高い割合で保留表示を第2特別態様で表示するように構成され」ることは、相違点4に係る本願補正発明の発明特定事項のうち、
「K 前記第2変化演出においては、」
「K2 前記第1変化演出が実行される場合よりも、前記第2変化演出が実行される場合の方が、前記保留画像が前記第3特別態様に変化し易い」ことに相当する。

以上によれば、引用文献等3記載事項は、相違点4に係る本願補正発明の発明特定事項H、I、J、K、K1及びK2の全てを開示するものである。

引用発明と引用文献等3記載事項は、いずれも遊技機において、複数種類ある保留図柄を変化させる演出に関するものであるから、引用発明において、引用文献3記載事項のように保留図柄の変化演出を行うこととして、相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。

エ 請求人の主張について
請求人は、令和2年11月25日提出の審判請求書において、次の主張をしている。
「(4)本願発明と引用文献との対比
(相違点1)
本願発明では、第1特別態様は、保留画像が第2特別態様又は第3特別態様に変化することを期待させる表示態様であるのに対し、引用文献1?4では、そのようになっていない点で相違します。
(相違点2)
本願発明では、第1変化演出においては、保留画像を第1特別態様で表示させるときと、第2特別態様で表示させるときと、第3特別態様で表示させるときがあり、第2変化演出においては、保留画像を第2特別態様又は第3特別態様に変化させることがあるのに対し、引用文献1?4では、そのようになっていない点で相違します。
(相違点3)
本願発明では、第1変化演出が実行される場合よりも、第2変化演出が実行される場合の方が、保留画像が第3特別態様に変化し易いのに対し、引用文献1?4では、そのようになっていない点で相違します。
本願発明では、上記相違点1及び2を備えたことで、保留画像が第1特別態様で表示されることで第2特別態様又は第3特別態様に変化することを遊技者に期待させることができ、遊技の興趣を向上させることが可能となります。
また、第1変化演出では、保留画像が第1特別態様に変化可能である一方で、第1変化演出よりも後のタイミングとなる第2変化演出では、保留画像が第2特別態様又は第3特別態様に変化可能となっているため、遊技の進行に応じて段階的に遊技者の期待感を高め易くなり、遊技の興趣を向上させることが可能となります。
また、上記相違点3を備えたことで、遊技者に変化演出の実行タイミング、つまり、第1変化演出が実行されるか、第2変化演出が実行されるかに注目させることができ、遊技の興趣を向上させることが可能となります。
まず、上記相違点1について検討すると、引用文献1には、保留画像の特別態様として、第1特別態様に相当する「◎」と、第2特別態様に相当する「●」とを含んでいることが認められます。
しかしながら、引用文献1では、第3特別態様に相当する表示態様がないため、第1特別態様「◎」が、第3特別態様に変化することを期待させるような機能を有しておらず、本願発明の第1特別態様とは、機能及び作用効果の面で相違します。
仮に、「◎」を第2特別態様とし、「●」を第3特別態様に当て嵌めたとしても、引用文献1には、第1特別態様に相当する表示態様が存在しないことになるため、この点においても本願発明とは相違します。
そして、引用文献2?4には、第2特別態様又は第3特別態様に変化することを期待させる第1特別態様については、開示も示唆もありません。
してみれば、引用文献1?4を参照しても、上記相違点1を想起することは容易な事項ではなく、上記相違点1を想起するための十分な動機付けにもならないと考えられます。
次に、上記相違点2について検討すると、引用文献1には、第1変化演出及び第2変化演出を実行することが開示されていると認められます。
しかしながら、引用文献1では、保留画像の表示態様として、第3特別態様に相当する表示態様がありません。
そのため、第1変化演出において、第3特別態様に変化することがありませんし、第2変化演出において、第3特別態様に変化することがなく、この点において相違します。
そして、引用文献1には、第1変化演出及び第2変化演出によって、遊技の進行に応じて段階的に遊技者の期待感を高め易くするといった着想が開示されていませんし、そのような示唆もありません。
そして、引用文献2?4には、第1変化演出及び第2変化演出の両方が開示されたものはありませんし、第1?第3特別態様のすべてが開示されたものもありません。
してみれば、引用文献1?4を参照しても、上記相違点2を想起することは容易な事項ではなく、上記相違点2を想起するための十分な動機付けにもならないと考えられます。
最後に、上記相違点3について検討すると、引用文献1には、第1変化演出及び第2変化演出を実行することが開示されていると認められます。
また、図96等に示されたように、保留図柄表示エリア毎に最終図柄が表示される割合(第1変化演出と第2変化演出の実行割合)が定められていると認められます。
しかしながら、引用文献1では、第3特別態様に相当する表示態様が存在しないため、第1変化演出と第2変化演出のどちらの方が第3特別態様に変化し易いのかといったことを把握することができるはずもなく、この点において本願発明とは相違します。
そして、引用文献2?4には、第1変化演出及び第2変化演出の両方が開示されたものはありませんし、第1?第3特別態様のすべてが開示されたものもありません。
してみれば、引用文献1?4を参照しても、上記相違点3を想起することは容易な事項ではなく、上記相違点3を想起するための十分な動機付けにもならないと考えられます。
このように、本願発明は引用文献1?4を参照した当業者であっても容易に想起することができない独特の構成要件及び作用効果を具備するものであるから、特許法第29条第2項違反には該当しないものと思料致します。」

請求人の上記主張について検討する。上記主張における相違点1ないし3は、いずれも上記「(3)対比」に記載の相違点4に対応するものであるところ、上記「ウ 相違点4について」で検討したように、引用発明において、引用文献3記載事項のように保留図柄の変化演出を行うこととして、上記「(3)対比」に記載の相違点4、すなわち上記主張における相違点1ないし3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
したがって、上記請求人の主張を採用することはできない。

オ 効果について
本願補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明、上記周知技術、引用文献等2開示事項1、引用文献等2開示事項2及び引用文献等3記載事項から予測し得た効果の範囲内のものであって、格別なものではない。

カ 小括
以上によれば、本願補正発明は、引用発明、上記周知技術、引用文献等2開示事項1、引用文献等2開示事項2及び引用文献等3記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

(5)まとめ
上記(1)ないし(4)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年2月25日提出の手続補正書の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
遊技の進行を制御する主制御手段と、前記主制御手段からのコマンドに基づき遊技の演出を制御する従制御手段と、を備えた遊技機において、
前記主制御手段は、
遊技者に有利な特別遊技を行うか否かの判定を行う判定手段と、
前記判定の権利を保留可能な保留手段と、
前記判定の結果に基づいて、図柄を変動表示させてから当該図柄を停止表示させる変動制御手段と、を備え、
前記従制御手段は、
保留している前記権利に対応して、保留画像を表示手段に表示する画像表示手段と、
遊技の進行過程で演出手段に所定の報知演出を実行させる演出実行手段と、を備え、
前記画像表示手段は、
所定のフレーム更新タイミングとなる毎に前記表示手段に表示させる画像を更新するよう構成され、
前記保留画像を通常態様よりも前記特別遊技を行う可能性が高いことを示す特別態様の保留画像に変化させる変化演出と、前記変化演出が実行されることを示唆する変化示唆画像を表示する示唆演出と、を行うことが可能であり、
前記変化演出は、
前記主制御手段から送信された前記権利が発生したことを示すコマンドの受信に応じたフレーム更新タイミングで実行する第1変化演出と、
前記図柄の変動表示が開始するときに前記主制御手段から送信されたコマンドの受信後の所定のフレーム更新タイミングで実行する第2変化演出と、を含み、
前記演出実行手段は、
前記第2変化演出が開始されるフレーム更新タイミングで前記報知演出を開始し、前記第2変化演出における前記保留画像の態様の変化が終了するフレーム更新タイミングとは異なるフレーム更新タイミングで前記報知演出を終了し、
前記変化示唆画像は、
前記報知演出が終了するタイミングよりも早いフレーム更新タイミングで表示を終了することを特徴とする遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2017-93775号公報
2.特開2016-101270号公報
3.特開2013-90804号公報
4.[ぱちんこ 必殺仕事人5 豪剣 試打#01]新規演出・変更点特集![パチンコ新台],YouTube[video][online],2017年10月12日,特に4:45頃?4:51頃を参照。[検索日:2020年5月22日],URL,https://www.youtube.com/watch?v=InoCvMjFXj0

3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用文献として引用された引用文献1の記載事項及び引用発明の認定については、上記「第2[理由]3(2)引用文献1、引用発明」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、実質的に、前記「第2[理由]3(1)本願補正発明」で検討した本願補正発明から、構成H、I、J、Kの限定事項を省くものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、前記「第2[理由]3(3)対比」における検討内容からみて、前記相違点1ないし3で相違し、その余の点において一致する。
そして、相違点1ないし3についての判断は、前記「第2[理由]3(4)判断」において検討したように、引用発明に上記周知技術、引用文献等2開示事項1及び引用文献等2開示事項2を適用することにより、当業者が容易になし得たものである。

5 むすび
上記1ないし4より、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-08-11 
結審通知日 2021-08-17 
審決日 2021-08-31 
出願番号 特願2018-63875(P2018-63875)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 弓指 洋平  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 千本 潤介
北川 創
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 エビス国際特許事務所  

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