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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 D06F
管理番号 1379271
審判番号 不服2021-813  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-20 
確定日 2021-11-09 
事件の表示 特願2016- 14394「洗濯機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月 3日出願公開、特開2017-131424、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年1月28日の出願であって、令和元年8月5日付けで拒絶理由が通知され、令和元年10月16日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年3月25日付けで最後の拒絶理由が通知され、令和2年5月29日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年10月28日付けで拒絶査定がされた。これに対し、令和3年1月20日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。


第2 本願発明について
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、令和2年5月29日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものであると認める。
また、本願の特許請求の範囲の請求項2?6に係る発明(以下「本願発明2?6」という。)は、令和元年10月16日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項2?6に記載された事項により特定される以下のとおりのものであると認める。
「【請求項1】
洗濯槽を有する本体と、
前記本体の上部に設けられ、前記洗濯槽に対して洗濯物を出し入れする出入口と、
前記本体の上面部に支持され前記出入口を開閉可能に覆う蓋とを具備し、
前記蓋は、
上面に配置されるガラス面材と、
前記ガラス面材の下面側に配置され上面に該ガラス面材を重ねるように載置した状態に保持する合成樹脂製のガラス貼付部材と、
前記蓋の側面及び/又は底面に配置され結晶性樹脂材料から構成された蓋本体部材とを備えると共に、
前記ガラス貼付部材は、前記蓋本体部材を構成する材料に対し、収縮率が小さい材料から構成されている洗濯機。
【請求項2】
前記蓋本体部材は、前記ガラス貼付部材の底面及び周囲全体を覆うように配置されている請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記蓋本体部材は、前記ガラス貼付部材の底面及び左右の側面を覆うように配置されて いる請求項1記載の洗濯機。
【請求項4】
前記ガラス貼付部材の前面側には、前記蓋本体部材とは別部材の前部カバーが配置され、前記前部カバーには、前記ガラス面材の上面を押さえる係止片部が設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記ガラス貼付部材の後面側には、前記蓋本体部材とは別部材の後部カバーが配置され、前記後部カバーには、前記ガラス面材の上面を押さえる係止片部が設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記ガラス貼付部材の左右の側面は、前記蓋本体部材とは別部材により夫々覆われる請求項1記載の洗濯機。」

第3 拒絶査定の理由について
拒絶査定の理由は、概略以下のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1?6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び周知の事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.米国特許出願公開第2010/0116005号明細書
2.特開2001-314694号公報
3.国際公開第2013/187508号(周知技術を示す文献)
4.特開平3-203828号公報(周知技術を示す文献)

第4 引用発明等
(1)引用文献1記載事項
引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。日本語訳は当審による。)。
ア 「[0031] It is noted that the casing member does not essentially take the form of a single body to realize a shape of the home appliance, and may include a plurality of casing members, such as, e.g., a control unit casing member, a door casing member, and a pedestal casing member, which are coupled to each other so as to realize the overall shape of the home appliance(e.g. laundry treating machine).」(当審訳:なお、ケーシング部材は、基本的に家電機器の形状を実現するために、単一の本体の形でなく、例えば、家庭電化製品(例えば、洗濯処理機)の全体的な形状を実現するために、制御ユニットのケース部材、ドアケース部材と台座ケース部材のように、互いに結合された複数のケーシング部材を備えていてもよい。)

イ 「[0036] The ornament 100 is preferably made of a metal, which can be easily photo-etched. When the ornament 100 is made of a metal, aesthetics of the ornament 100 can be improved by maximizing material texture of the metal via polishing or photo-etching. In particular, the ornament 100 may be made of stainless steel (hereinafter, referred to as “STS”). As is known, STS has excellent corrosion-resistance, durability, and reflectivity and is easily photo-etched. In addition, when STS is subjected to cutting or photo-etching, a processed surface of STS exhibits a high gloss that is peculiar to a metal, making an external appearance of a product look more luxurious.」(当審訳:装飾品100は、容易にエッチングすることができる金属で形成することが好ましい。装飾体100は、金属製であると、装飾品100の審美性は、研磨またはエッチングによって金属の材料の質感を最大にすることにより向上させることができる。具体的には、装飾体100は、ステンレス鋼(以下、「STS」という。)を挙げることができる。知られているように、STSは、優れた耐腐食性、耐久性、及び反射率を有し、フォトエッチングが容易である。また、STSは、切削又はフォトエッチングした時、STSの処理された表面が金属に特徴的なものであり、製品の外観が高級で高い光沢度を示す。)

ウ [0049] The transparent member 130 is made of a transparent material suitable to allow the patterned portion 110 and the hair lines 102 to be seen from the outside. The transparent material may be selected from reinforced glass, glass, a PolyCarbonate (PC) sheet, and the like.」(当審訳:透明部材130は、パターン部分110およびヘアライン102を外部から見ることができるようにする適切な透明材料で形成されている。透明材料は、強化ガラス、ガラス、ポリカーボネート(PC)シートなどから選択され得る。)

エ 「[0054] FIG. 4 is a sectional view showing the door 20 of the laundry treating machine 1 according to the first embodiment of the present invention. Referring to FIG. 4 , as described above, the door exterior panel 20a is formed by integrally coupling the transparent member 130 and the ornament 100 to each other by use of the adhesive member 120. The door exterior panel 20a is coupled to the outer surface of the door casing member 22, completing formation of the door 20. In this case, the door exterior panel 20a may be attached to the door casing member 22 by use of a sealant or a double-sided tape 125. In particular, the sealant 125 is filled between the door exterior panel 20a and the door casing member 22 and can act to attach an object with excellent adhesive strength while exhibiting high water-resistance, strong cohesion for a long time, and less material deterioration and variation.」(当審訳:図4は、本発明の第1の実施形態に係る洗濯処理機1のドア20を示す断面図である。図4を参照すると、上述したように、ドア外板20aは、接着部材120を用いて、透明部材130と装飾品100とを互いに結合し、一体的に形成されている。ドア外板20aは、ドアケース部材22の外面に結合され、ドア20の形成が完了する。この場合、ドア外板20aには、シーラントまたは両面テープ125を用いることにより、ドアケース部材22に取り付けることができる。具体的には、封止材125は、ドア外板20aとドアケース部材22との間に充填され、耐水性が高く、長時間の強い結合、及びより少ない材料劣化と変動を示しながら優れた接着強度で物体を貼り付けるために作用することができる。)

オ 「FIG.1



カ 「FIG.4



キ 「洗濯処理機1」は、FIG.1を参照すると、洗濯槽を有する本体を備え、洗濯槽に対して洗濯物を出し入れする出入口を有すること、及び「ドア20」が出入口を開閉可能に覆うことが明らかである。
また、FIG.1から、「ドア20」が前面に設けられている点が看取できる。

(2)引用発明
上記記載を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「洗濯槽を有する本体と、
前記洗濯槽に対して洗濯物を出し入れする出入口と、前記出入口を開閉可能に覆うドア20とを具備し、
ドア20は、
接着部材120を用いて、ガラスの透明部材130と装飾品100とを互いに結合したドア外板20aと、
ドア外板20aを外面に結合するドアケース部材22とからなる洗濯処理機1。」

第5 当審の判断
(1)本願発明1と引用発明の対比・判断
ア 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「ドア20」は、その機能及び構造から、本願発明1の「蓋」に相当する。
(イ)引用発明の「ガラスの透明部材130」は、ドア20の最も外側に配置されるものであって、ドア20の上面に配置されていると表現できるから、本願発明1の「上面に配置されるガラス面材」に相当する。
(ウ)引用発明の「ドアケース部材22」は、本願発明1の「蓋本体部材」に相当する。
(エ)引用発明の「接着部材120を用いて、」「装飾品100とを互いに結合した」「ガラスの透明部材130」と、本願発明1の「前記ガラス面材の下面側に配置され上面に該ガラス面材を重ねるように載置した状態に保持する合成樹脂製のガラス貼付部材」とは、「前記ガラス面材の下面側に配置され上面に該ガラス面材を重ねるように載置した状態に保持するガラス貼付部材」の限りで一致する。

したがって、本願発明1と引用発明とは、
<一致点>
「洗濯槽を有する本体と、
前記洗濯槽に対して洗濯物を出し入れする出入口と、前記出入口を開閉可能に覆う蓋とを具備し、
前記蓋は、
上面に配置されるガラス面材と、
前記ガラス面材の下面側に配置され上面に該ガラス面材を重ねるように載置した状態に保持するガラス貼付部材と、
蓋本体部材とを備える洗濯機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
本願発明1は、出入り口が「前記本体の上部に設けられ」、蓋が「前記本体の上面部に支持され」るのに対して、引用発明は、ドア20が前面に設けられている点。
<相違点2>
ガラス貼付部材について、本願発明1では、「合成樹脂製」であって、「前記蓋本体部材を構成する材料に対し、収縮率が小さい材料から構成されている」のに対して、引用発明では、そのように特定されていない点。
<相違点3>
本願発明1は、蓋本体部材が「前記蓋の側面及び/又は底面に配置され結晶性樹脂材料から構成され」ているのに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。

イ 当審の判断
事案に鑑みて、相違点2について検討する。
引用発明の「装飾品100」は、引用文献1の摘記事項(1)イを参照すると、エッチングすることができる金属を用いることで審美性を向上させるものであるから、これを合成樹脂製とする積極的な動機付けは存在しない。
また、原審の拒絶査定の理由に引用された、引用文献3には、ガラス同士を粘着シートで貼り付ける際に、重合時の体積収縮率の小さい樹脂からなる粘着シートを用いること([0008]、[0218]、[0225]等)、引用文献4には、接着面の剥離及び機械特性の変化を防止するために、両面テープのベースフィルムとして、熱収縮率が10%以下の材料を採用すること(請求項1、「発明が解決しようとする課題」の欄等)が記載されているが、いずれもガラスを貼り付けるガラス貼付部材に収縮率が小さい材料を用いることを示唆するものでない。
さらに、原審の拒絶査定の理由に引用された、引用文献2には、ガラスを貼り付けるガラス貼付部材に収縮率が小さい材料を用いることについて、記載も示唆もない。
そして、これにより、本願発明は、「ガラス面材14を保持するガラス貼付部材15を、蓋本体部材13を構成する材料(PP樹脂)と比較して、収縮率が小さい材料であるABS樹脂から構成した。これにより、ガラス貼付部材15の、温度変化等の環境ストレスによる収縮、ひいては変形や歪みを小さく抑えることができる。従って、ガラス貼付部材15の変形や歪みに起因してガラス面材14に加わる機械的なストレスを少なく済ませることができる。」(【0027】)という作用効果を奏するものであるから、単なる設計的事項でもない。
そうすると、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たものでない。

ウ 小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(2)本願発明2?6について
本願発明2?6は、本願発明1の発明特定事項を全て備え、さらに限定を付した発明であるから、本願発明2?6と引用発明とを対比すると、少なくとも上記<相違点1>?<相違点3>で相違する。
そして、<相違点2>について検討すると、上記(1)イで検討したのと同じ理由で、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明2?6の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たものでない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明2?6は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第6 まとめ
以上のとおり、拒絶査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。
また、他に拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-10-19 
出願番号 特願2016-14394(P2016-14394)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (D06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 遠藤 邦喜  
特許庁審判長 山本 信平
特許庁審判官 佐々木 正章
鈴木 充
発明の名称 洗濯機  
代理人 特許業務法人 サトー国際特許事務所  
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