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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04L 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H04L |
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管理番号 | 1379282 |
審判番号 | 不服2021-2248 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-02-19 |
確定日 | 2021-11-11 |
事件の表示 | 特願2019-507310「仮想無線アクセス・ネットワークを管理するための方法およびソフトウェア・コンポーネントを較正するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 2月15日国際公開、WO2018/029047、令和 1年 9月 5日国内公表、特表2019-525650、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)8月1日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2016年8月9日 欧州)を国際出願日とする出願であって、令和元年12月24日付けで拒絶理由が通知され、令和2年7月7日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年10月13日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和3年2月19日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、令和3年4月2日に前置報告がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和2年10月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 [理由1]新規性 本願請求項1ないし9に係る発明は、以下の引用文献1又は2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 [理由2]進歩性 本願請求項1ないし9に係る発明は、以下の引用文献1又は2に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1 特開2015-056182号公報 引用文献2 米国特許出願公開第2016/0127169号明細書 なお、令和3年4月2日になされた前置報告においては、上記引用文献1及び2に加えて、以下の引用文献3が周知技術を示す文献として引用されている。 引用文献3 5G PPP Architecture Working Group,View on 5G Architecture,White Paper,5G PPP,2016年 7月 1日,[検索日 2021.03.31],URL,https://5g-ppp.eu/wp-content/uploads/2014/02/5G-PPP-5G-Architecture-WP-For-public-consultation.pdf 第3 本願発明 本願請求項1ないし8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明8」という。)は、令和3年2月19日に提出された手続補正書に係る手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される発明であり、このうち、本願発明1は、以下のとおりの発明である。 「 無線セルにサーブする仮想無線アクセス・ネットワークを管理するための方法(100)であって、 前記無線セルの無線アクセス技術に基づいて、リポジトリにおいて前記仮想無線アクセス・ネットワークのための構築スキームを選択するステップ(102)と、 前記構築スキームに関連付けられた少なくとも1つのソフトウェア・コンポーネントを前記リポジトリから検索するステップ(104)であって、前記ソフトウェア・コンポーネントが、前記仮想無線アクセス・ネットワークの仮想化されたネットワーク機能に相当する、検索するステップ(104)と、 前記ソフトウェア・コンポーネントを使用して、前記構築スキームに従って、前記仮想化されたネットワーク機能をランタイム・プラットフォーム上にセットアップするステップ(106)と を含み、 前記ソフトウェア・コンポーネントはパケット・データ収束プロトコル(PDCP)コンテナを備える、方法(100)。」 なお、括弧内は参照情報にすぎないので、以降では省略する。 また、本願発明2ないし7は、本願発明1を減縮したものであり、本願発明8は、請求項1ないし7を引用するコンピュータ・プログラムの発明であるから、本願発明2ないし8は、本願発明1の構成又は当該構成に対応する技術事項をすべて含むものである。 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)引用文献1記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、強調のため、当審が付与した。以降も同様。) 「【0001】 本発明は、仮想化されたネットワーク機能を実施するための方法及び装置に関する。」 「【0047】 本発明の実施形態を説明する前に、まず以下の説明において用いられる幾つかの用語を定義する。 CMS:クラウド管理システム。クラウド環境に含まれる物理リソースを管理するためのツール及び方法と、そのようなインフラストラクチャの上位で実行される論理(仮想)マシンインスタンスとを備えるシステム。 KPI:重要業績評価指標(key performance indicator)。特定のネットワーク機能アクティビティの成功を評価するのに用いられる性能測定タイプ。 NCP:ネットワーク構成プラットフォーム。仮想化されたネットワーク機能の仮想化固有の面を管理するネットワーク運用及び管理システム。 NFV:ネットワーク機能仮想化。仮想ハードウェア抽象化を用いることによって、ネットワーク機能をそれらが実行されるハードウェアから分離する原理。 NMS:ネットワーク管理システム。個々のネットワーク要素から構成されるネットワークを構成及び監視するためのツール及び方法を含むシステム。 OSS運用サポートシステム。ネットワークインベントリをメンテナンスし、サービスを供給し、ネットワーク構成要素を構成し、障害を管理するためのサポートプロセスを提供する、電気通信サービスプロバイダによって用いられるコンピュータシステム。 VM:仮想マシン。物理マシンのようにプログラムを実行するマシンのソフトウェアによる実装。 VNF:仮想化ネットワーク機能。仮想化され、ネットワークサービスとして提供することができるか、又は仮想化されたネットワーク機能及び/又は仮想化されていないネットワーク機能の組から構成されるサービスの一部とすることができるネットワーク機能。」 「【0049】 本発明の実施形態は、3GPP発展型パケットコア(EPC)サービングゲートウェイ(S-GW)のようなネットワーク機能又は移動ネットワークのファイアウォールが仮想化され、商用オフザシェルフ(COTS)ITサーバ上で実装されるシナリオを検討する。以下において、そのような機能は「仮想化ネットワーク機能(VNF)」と呼ばれる。「Sゲートウェイ(S-Gateway)」が仮想化される仮想化シナリオが図1において概略的に示されている。図1は、様々なITサーバ上に搭載された複数の要素からクラスタS-GWをどのように構成することができるかを示している。外部に対し、このクラスタは単一のS-GWのように見える。 【0050】 …(中略)… 【0051】 そのようなアーキテクチャの例として、「ロードバランサ」VNFモジュール及び「ベアラ処理」VNFモジュール(図1を参照されたい)から構成されるS-GWを検討することができる。ロードバランサは、到来するパケットをそれらのトンネルIDに従って分類し、担当のベアラ処理VNFモジュールに転送することができる。ベアラ処理モジュールはS-GWにおいて必要な全ての計算及びトンネルハンドリングを行う。そのようなアーキテクチャにより、クラスタの容量はベアラ処理モジュールを追加又は除去することによって容易にスケーリングすることができる一方、外部にはシステム全体が単一のS-GWのように見える。」 「【0094】 1.6VNF初期化フローチャート 図6は、少なくとも1つのVM402上で実行される少なくとも1つのVNFモジュール401からなる仮想化ネットワーク機能400を初期化するためのシーケンスの例を示している。ステップS101において、オペレーティングサポートシステムは、ネットワーク構成プラットフォームに新たなVNFをセットアップするように命令する。このステップは、セットアップ(SETUP)要求メッセージ600のOSS-NCPインタフェースを介した送信を含む。このメッセージは、限定ではないが、セットアップするネットワーク機能のタイプ、ネットワーク機能の所望の容量、OSSからのログイン認証情報、及び少なくともジオロケーションデータを含む要件に関する情報を含む。NCP(200)は、セットアップメッセージ600を受信すると、メッセージを処理する。ステップS102において、NCPは、以前のメッセージにおいて要求されたVNFのタイプに適したテンプレート201をリポジトリ(202)からロードする。テンプレートデータと、セットアップメッセージにおいてOSSによって表された容量及び要件とに基づいて、NCPはステップS102におけるように候補クラウドを計算する。 【0095】 次のステップは、見積り(QUOTE)メッセージを選択されたクラウド、特に対応するNCP Cエージェント203に送信することを含む。エージェントは見積り要求を受信すると、ステップS104のようにCMSを照会することによってクラウドにおいて利用可能なリソースのオンデマンド更新を実行することができる。このオプションのステップ(すなわち、エージェントは定期的な更新も実行することができる)の後、エージェントはステップS105に示すような手順620を実行して、利用可能なクラウドリソースにおけるVNF埋め込みの効用費用とともに構築計画を計算する。後続の要求に対して衝突を回避するために、エージェントは埋め込み計算S106において計画されたリソースの予約を行う。 【0096】 次に、エージェントはステップS107におけるように、VNF埋め込みの結果とともに主要NCPにメッセージを返送する。この際、NCPはステップS108において、少なくとも1つのNCPエージェントからのクラウドリソース見積り及びネットワークリソース見積りをチェックし、VNFが最終的にインスタンス化されることになる場所を選択することができる。したがって、NCPは選択されたエージェントにV-SETUPメッセージを送信する(S109)。これらは、ステップS110に規定されているように、対応するCMSインタフェースAPIに従って特定のVNF展開テンプレート変換を実行しなくてはならない場合がある。 【0097】 この後、展開(DEPLOY)コマンドS111がCMSに送信され、CMSは、ステップS112に示すように新たなVNF400の物理リソース及び仮想リソースを割り当てる。エージェントは、CMSからの確認を受信した後(OKメッセージS113を参照されたい)、VNF展開を記憶し、ステップS114、S115、S116、及びS117に従って、VNFに向けて任意の特定のVNF仮想構成を実行する。 【0098】 VNFインスタンス化の最終ステップは、NCPエージェントからNCPへのV-SETUP確認応答を含み(ステップS118を参照されたい)、NCPは次にインスタンス化の結果を記憶することができる(S119)。これらの全てのステップが完了すると、NCPはステップS120においてセットアップ完了(SETUP-COMPLETE)メッセージをOSSに送信し、ネットワーク機能の展開及び起動が完了し、このネットワーク機能が以後OSSによって動作を管理されるべきであることを通知する。」 「【0101】 …(中略)… -NCP-NCP-Cエージェント(104):見積り要求(S103/612)は、要求パラメータ(OSSからのKPI…)及びインスタンス化されることになるVNF記述子テンプレートを含む。応答メッセージは、要求が送信されたクラウド内にVNFを埋め込む費用、効用と、見積りがどれだけの期間有効であるかのタイマとをそれぞれ提供する。」 「【図1】 ![]() 」 「【図2】 ![]() 」 「【図6】 ![]() 」 (2)引用発明 前記(1)より、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 仮想化されたネットワーク機能を実施するための方法であって、 本発明の実施形態は、3GPP発展型パケットコア(EPC)サービングゲートウェイ(S-GW)のようなネットワーク機能が仮想化され、商用オフザシェルフ(COTS)ITサーバ上で実装されるシナリオを検討し、そのような機能は「仮想化ネットワーク機能(VNF)」と呼ばれ、 そのようなアーキテクチャの例として、「ロードバランサ」VNFモジュール及び「ベアラ処理」VNFモジュールから構成されるS-GWを検討することができ、 少なくとも1つのVM402上で実行される少なくとも1つのVNFモジュール401からなる仮想化ネットワーク機能400を初期化するためのシーケンスは、 オペレーティングサポートシステムは、ネットワーク構成プラットフォームに新たなVNFをセットアップするように命令し、このステップは、セットアップ(SETUP)要求メッセージ600のOSS-NCPインタフェースを介した送信を含み、このメッセージは、セットアップするネットワーク機能のタイプ、ネットワーク機能の所望の容量、OSSからのログイン認証情報、及び少なくともジオロケーションデータを含む要件に関する情報を含み、 NCP(200)は、セットアップメッセージ600を受信すると、メッセージを処理し、メッセージにおいて要求されたVNFのタイプに適したテンプレート201をリポジトリ(202)からロードし、テンプレートデータと、セットアップメッセージにおいてOSSによって表された容量及び要件とに基づいて、候補クラウドを計算し、 見積り(QUOTE)メッセージを選択されたクラウド、特に対応するNCP Cエージェント203に送信し、エージェントは見積り要求を受信すると、利用可能なクラウドリソースにおけるVNF埋め込みの効用費用とともに構築計画を計算し、計画されたリソースの予約を行い、 エージェントは、VNF埋め込みの結果とともに主要NCPにメッセージを返送し、NCPはVNFが最終的にインスタンス化されることになる場所を選択し、選択されたエージェントにV-SETUPメッセージを送信し、 この後、展開(DEPLOY)コマンドS111がCMSに送信され、CMSは、新たなVNF400の物理リソース及び仮想リソースを割り当て、VNFに向けて任意の特定のVNF仮想構成を実行し、セットアップ完了メッセージをOSSに送信し、 見積もり要求は、要求パラメータ(OSSからのKPI…)及びインスタンス化されることになるVNF記述子テンプレートを含む、 方法。」 2 引用文献2について (1)引用文献2記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 「[0002] This disclosure relates in general to the field of communications and, more particularly, to a system and method for providing dynamic Radio Access Network (RAN) orchestration in a network environment」 [当審訳] 「[0002] 本開示は、概して、通信分野であって、特に、ネットワーク環境において、動的な無線アクセスネットワーク(RAN)のオーケストレーションに関する。」 「[0015] A method is provided in one example embodiment and may include monitoring, by a radio access network (RAN) orchestration function, impairments between a plurality of candidate locations interconnected by a transport network, wherein one or more network elements capable of performing one or more operations associated with a RAN are located at the plurality of candidate locations; determining a decomposition of one or more operations associated with the RAN into a plurality of sets of virtualized network functions (VNFs) to execute the operations based, at least in part, on the monitored impairments; determining a distribution of the plurality of sets of VNFs among the one or more network elements associated with the RAN for one or more optimal locations of the plurality of candidate locations based, at least in part, on the monitored impairments; and instantiating the plurality of sets of VNFs at each of the one or more optimal locations. In some cases, network elements associated with the RAN include one or more of: one or more Radio Frequency (RF) termination points; and one or more data centers.」 [当審訳] 「[0015] 方法は、一例示的な実施形態で提供され、無線アクセスネットワーク(RAN)オーケストレーション機能によって、トランスポートネットワークによって相互接続された複数の候補場所(ここに配置された1つまたは複数のネットワーク要素は、RANに関する1つまたは複数の操作を実行することができる。)の間の障害を監視すること、少なくとも部分的に監視された障害に関する操作を実行するために、RANに関する1つまたは複数の操作を、仮想化ネットワーク機能(VNFs)の複数のセットに分解することを決定すること、VNFsの複数のセットを、少なくとも部分的に監視された障害に関する複数の候補場所のうち、1つまたは複数の最適な位置のために、RANに関する1つまたは複数のネットワーク要素の間に分散することを決定すること、及び、VNFsの複数のセットを、1つまたは複数の最適な位置の各々においてインスタンス化すること、を含む。場合によっては、RANに関するネットワーク要素は、1つ又は複数の無線周波数(RF)終端点、及び、1つまたは複数のデータセンター等を含む。 「[0021] As referred to herein in this Specification, the terms 'virtual machine', 'virtualized network function' and 'virtualized network functionality' can encompass an emulation of a computer system and/or computing platform operating based on the computer architecture and functions of a real or hypothetical computer, with particular embodiments involving specialized hardware, software, or a combination of both. In various embodiments, a virtualized network function (VNF), a virtual machine (VM), virtualized functionality and/or any virtualized network controller, module, aggregator, combinations thereof or the like as described herein may execute via a hypervisor-based virtualization or a container based virtualization of a server (e.g., blade server, rack server, stand-alone server) using the server's hardware (e.g., processor and memory element) and/or operating system for a given virtualized network environment.」 [当審訳] 「[0021] ここでこの明細書において参照されるように、用語「仮想マシン」、「仮想化ネットワーク機能」及び「仮想化ネットワーク機能性」は、現実の又は仮定のコンピュータのコンピュータアーキテクチャ及び機能、並びに、特定の実施形態においては、専用のハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせに基づいた、コンピュータシステム及び/又はコンピューティングプラットフォームのエミュレーションを包含する。様々な実施形態において、仮想化ネットワーク機能(VNF)、仮想マシン(VM)、仮想化機能性及び/又はあらゆる仮想化ネットワークコントローラ、モジュール、アグリゲータ、これらの組み合わせ等は、ここでは、提供すべき仮想化ネットワーク要素のために、サーバのハードウェア(例えば、プロセッサ及びメモリ)及び/又はオペレーティングシステムを使用したサーバ(例えば、ブレードサーバ、ラックサーバ、独立サーバ)の、ハイパバイザを基礎とする仮想化又はコンテナを基礎とする仮想化を介して実行される。 「[0030] The architecture of communication system 10 is equally applicable to small cell architectures and macro cell architectures that can be deployed within RAN 80. Small cells (e.g., HeNBs for 4G/LTE, HNBs for 3G) operate in a similar manner to macro cells (e.g., eNodeBs for 4G/LTE, NodeBs for 3G) but typically at a lower transmission power, thereby creating smaller coverage areas in which to serve UE. Small cell networks (e.g., grids or clusters of small cells) are typically deployed in enterprise or residential environments where coverage of macro cells is limited (e.g., by walls, roofs, etc.).」 [当審訳] 「[0030] 通信システム10のアーキテクチャは、RAM80内に配置可能なスモールセルアーキテクチャ及びマクロセルアーキテクチャにも同様に適用できる。スモールセル(例えば、4G/LTE用のHeNBs、3G用のHNBs)は、マクロセル(例えば、4G/LTE用のeNodeBs、3G用のNodeBs)と同様に動作するが、典型的には通信電力が小さいため、UEに提供するカバーエリアがより狭くなる。スモールセルネットワーク(例えば、スモールセルのグリッド又はクラスタ)は、典型的には、マクロセルのカバーが(例えば、壁、屋根等により)制限されている企業又は居住環境に配置される。」 「[0046] In various embodiments, the set of VNF(s) for each RAN controller portion(s) in various three-tiered RAN decompositions can be associated with one or more higher level operations such as, for example, Radio Resource Control (RRC) functionality, application level functionality, protocol signaling and/or Packet Data Convergence Protocol (PDCP) functionality. In various embodiments, the set of VNF (s) for each radio aggregator portion(s) can be associated with lower link level operations such as, for example, Media Access Control (MAC) functionality and/or Radio Link Control (RLC) functionality to support traffic (e.g., user data traffic and control traffic) for one or more RF termination point(s) 18.」 [当審訳] 「[0046] 様々な実施形態において、RANコントローラの様々に3分割されたRANの分割における各部分のためのVNFのセットは、例えば、無線リソース制御(RRC)機能アプリケーションレベル機能、プロトコルシグナリング及び/又はパケットデータ収束プロコトル(PDCP)機能のような、1つまたは複数の高レベル操作に関連付けられる。様々な実施形態において、無線アグリゲータの各部分のためのVNFのセットは、1つまたは複数のRF終端点18のために、トラフィック(例えば、ユーザデータトラフィック及び制御トラフィック)を支援するために、低リンクレベルの操作、例えば、メディアアクセス制御(MAC)機能、及び/又は無線リンク制御(RLC)機能に関連付けられる。」 (2)引用発明2 前記(1)で摘記した引用文献2の特に[0002]及び[0015]に着目すると、引用文献2には、「ネットワーク環境において、動的な無線アクセスネットワーク(RAN)のオーケストレーションに関する方法」が記載されているといえる。 よって、前記(1)より、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「 ネットワーク環境において、動的な無線アクセスネットワーク(RAN)のオーケストレーションに関する方法であって、 無線アクセスネットワーク(RAN)オーケストレーション機能によって、トランスポートネットワークによって相互接続された複数の候補場所(ここに配置された1つまたは複数のネットワーク要素は、RANに関する1つまたは複数の操作を実行することができる。)の間の障害を監視すること、少なくとも部分的に監視された障害に関する操作を実行するために、RANに関する1つまたは複数の操作を、仮想化ネットワーク機能(VNFs)の複数のセットに分解することを決定すること、VNFsの複数のセットを、少なくとも部分的に監視された障害に関する複数の候補場所のうち、1つまたは複数の最適な位置のために、RANに関する1つまたは複数のネットワーク要素の間に分散することを決定すること、及び、VNFsの複数のセットを、1つまたは複数の最適な位置の各々においてインスタンス化すること、を含み、場合によっては、RANに関するネットワーク要素は、1つ又は複数の無線周波数(RF)終端点、及び、1つまたは複数のデータセンター等を含み、 仮想化ネットワーク機能(VNF)はコンテナを基礎とする仮想化を介して実行され、 通信システム10のアーキテクチャは、RAM80内に配置可能なスモールセルアーキテクチャ及びマクロセルアーキテクチャにも同様に適用でき、 RANコントローラの様々に3分割されたRANの分割における各部分のためのVNFのセットは、例えば、無線リソース制御(RRC)機能アプリケーションレベル機能、プロトコルシグナリング及び/又はパケットデータ収束プロコトル(PDCP)機能のような、1つまたは複数の高レベル操作に関連付けられる、 方法。」 3 引用文献3について 前置報告書において周知技術を示す文献として引用された上記引用文献3には図面とともに次の事項が記載されている。 (Page24/60) 「As already stated, NFV enables the execution of software-based network functions on commodity hardware (general-purpose servers) by leveraging software virtualization techniques. In this manner, flexible, dynamic and efficient use of the infrastructure resources can be achieved, facilitating the provisioning of orchestrated end-to-end services. The implementation of virtual functions should not be agnostic to the hosting platform capabilities: features of the latter should be taken into consideration during the development process and before the actual deployment in an operational environment. Moreover, hosting functions on virtual machines can be considered as a process directly related to resource assignment and management ([3-17]). Therefore, a number of management and configuration challenges arise in this case. For example, in OpenStack, service chain links between functions require significant manual configuration. When functions are deployed across both legacy infrastructures and SDN, the management scope is extended to cover legacy technology as well.」 [当審訳] 「すでに述べたように、NFVはソフトウェア仮想化技術を活用することによって、商品ハードウェア(汎用サーバ)上のソフトウェアベースのネットワーク機能の実行を可能にする。このようにして、インフラストラクチャリソースが柔軟に、動的に、効率的に使用され、オーケストレーションされたエンドツーエンドサービスのプロビジョニングが容易になる。仮想機能の実装は、ホスティングプラットフォームの能力に依存しない(agnostic)わけにはいかない。後者の特徴は、開発プロセス中および運用環境における実際の展開の前に考慮する必要がある。さらに、仮想マシン上のホスティング機能は、リソース割り当てと管理に直接関連するプロセスと見なすことができる([3-17])。したがって、この場合、多くの管理および構成の課題が発生する。たとえば、OpenStackでは、機能間のサービスチェーンリンクに多大な手動設定が必要である。機能がレガシインフラストラクチャとSDNの両方に展開されている場合、管理スコープもレガシーテクノロジをカバーするために拡張される。」 (Page48/60) 「5G RAN should support a wide range of physical deployments, and be able to maximally leverage centralization, while also supporting distributed base stations and being able to operate over non-ideal backhauls. A key enabler for this is the implementation of some radio functions as VNFs, allowing these to be flexibly shifted toward or away from the radio edge, depending on the physical architecture and specific application requirements. From the 5GPPP viewpoint, the following considerations are important regarding the softwarization of radio network functions. Preliminary analyses in [6-1] concluded that functions that are asynchronous to the radio interface ? in LTE these are packet data convergence protocol (PDCP) and radio resource control (RRC) functions related to measurement control and reporting, handover preparation and execution, dual connectivity, random access, RRC state transition etc. ? are most suitable to be implemented as VNFs and possibly centralized, as they typically require low data rates on their interfaces, and scale with the number of users and not the overall traffic. Further, these functions can typically cope with relatively larger latency (e.g. tens of milliseconds in LTE).」 [当審訳] 「5G RANは、幅広い物理的展開をサポートし、分散基地局をサポートし、理想的でないバックホールを介して動作することができるように集中化を最大限に活用することができなければならない。これは、VNFとしてのいくつかの無線機能の実装であり、物理アーキテクチャと特定のアプリケーション要件に応じてこれらの無線機能を無線エッジに向けてまたは離れて切り替えることができる。 5GPPPの視点から、無線ネットワーク機能のソフトウェア化に関しては、以下の考慮事項が重要である。[6-1]の予備分析は、無線インタフェースとは非同期であると結論付けた。これは、LTEにおいて、測定の制御と報告、ハンドオーバ準備および実行に関連するパケットデータ収束プロトコル(PDCP)および無線リソース制御(RRC)機能であり、デュアル接続、ランダムアクセス、RRC状態遷移などはVNFsとして実装され、おそらく集約化されて実装されるのが最も適している。それらは通常、それらのインタフェースで低いデータレートを必要とし、そしてユーザーの数に応じた規模で、全体的なトラフィックではないためである。さらに、これらの機能は典型的には比較的大きい待ち時間(例えば、LTEにおいては数十ミリ秒)に対処することができる。」 第5 引用文献1を主引用例とする拒絶の理由について 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 a 引用発明の「仮想化されたネットワーク機能を実施するための方法」は、「3GPP発展型パケットコア(EPC)サービングゲートウェイ(S-GW)のようなネットワーク機能が仮想化され、商用オフザシェルフ(COTS)ITサーバ上で実装されるシナリオ」を想定しており、「サービングゲートウェイ(S-GW)」は、「無線セルにサーブする」ものではなく、また、「無線アクセス・ネットワーク」の構成要素でもない。 もっとも、引用発明は、「サービングゲートウェイ(S-GW)」を仮想化した「仮想化ネットワーク機能(VNF)」、具体的には、「「ロードバランサ」VNFモジュール及び「ベアラ処理」VNFモジュールから構成されるS-GW」として実現することを想定しており、「サービングゲートウェイ(S-GW)」は、ネットワークの構成要素である。 よって、引用発明は、「サービングゲートウェイ(S-GW)」を仮想化した仮想ネットワークを管理する方法といい得るものである。 よって、引用発明と、本願発明1の「無線セルにサーブする仮想無線アクセス・ネットワークを管理するための方法」とは、「仮想ネットワークを管理するための方法」である点において共通する。 b 本願発明1の「無線アクセス技術」は、本願明細書の【0031】に「異なる無線アクセス技術(RAT)のためには、vRANの異なる構造、ならびに異なるコンポーネントが必要とされることがある。したがって、構築スキームの選択は、無線セルの(所望の)RATに基づく。RATは、たとえば、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)によって標準化されたモバイル通信システムのうちの1つ、たとえば、モバイル通信用グローバル・システム(GSM)、GSMエボリューション用拡張データレート(EDGE)、GSM EDGE無線アクセス・ネットワーク(GERAN)、高速パケット・アクセス(HSPA)、ユニバーサル地上無線アクセス・ネットワーク(UTRAN)もしくは進化型UTRAN(E-UTRAN)、ロング・ターム・エボリューション(LTE)もしくはLTEアドバンスト(LTE-A)に対応することができる、または異なる標準によるモバイル通信ネットワーク、たとえば、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(WIMAX)IEEE802.16もしくはWLAN IEEE802.11、一般に、時分割多重アクセス(TDMA)、周波数分割多重アクセス(FDMA)、直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)、符号分割多重アクセス(CDMA)に基づいた任意のシステム、その他に対応することができる。」と記載されていることから、また、本願優先日前における技術常識を参酌すれば、標準化された又は標準的な通信方式を意味するものであり、本願発明1の「前記無線セルの無線アクセス技術に基づいて、リポジトリにおいて前記仮想無線アクセス・ネットワークのための構築スキームを選択する」及び「前記構築スキームに関連付けられた少なくとも1つのソフトウェア・コンポーネントを前記リポジトリから検索する」は、上記のような複数の異なる「無線アクセス技術」の存在を前提として、特定の「無線アクセス技術」に基づいた「構築スキーム」を選択し、選択された「構築スキーム」に関連付けられた「ソフトウェア・コンポーネント」を検索するものと理解することができる。 一方、引用発明は、「3GPP発展型パケットコア(EPC)サービングゲートウェイ(S-GW)」を想定していることから、「3GPP」に関する「無線アクセス技術」を前提とすることを示唆している程度であり、上記のような複数の異なる「無線アクセス技術」を前提として、特定の「無線アクセス技術」に基づいた処理を行うことを具体的に特定するものではない。 加えて、引用発明の「構築計画」は、本願発明1の「構築スキーム」と語句としては類似しているものの、引用発明の「構築計画」は、「要求パラメータ(OSSからのKPI…)及びインスタンス化されることになるVNF記述子テンプレート」を含む「見積もり要求」に基づいて、かつ、「VNFのタイプに適したテンプレート201をリポジトリ(202)からロード」した後に計算されるものであるため、「前記無線セルの無線アクセス技術」に基づいて選択されるものでも、「ソフトウェア・コンポーネント」が関連付けられたものでもなく、よって、本願発明1の「構築スキーム」に対応したものとはいえない。また、引用文献1には、摘記していない他の記載箇所を参酌しても、本願発明1の「前記無線セルの無線アクセス技術」に基づいて「構築スキーム」を選択すること等については、記載も示唆もない。 よって、引用発明は、本願発明1の「前記無線セルの無線アクセス技術に基づいて、リポジトリにおいて前記仮想無線アクセス・ネットワークのための構築スキームを選択するステップ」に対応する事項を備えない。 c 引用発明の「要求されたVNFのタイプに適したテンプレート201」(及び「インスタンス化されることになるVNF記述子テンプレート」)は、本願発明1の「仮想化されたネットワーク機能に相当する」「少なくとも1つのソフトウェア・コンポーネント」に相当する。 また、引用発明において、「要求されたVNFのタイプに適したテンプレート201をリポジトリ(202)からロード」する際には、「リポジトリ」から「テンプレート201」を「検索」する処理を要するものといえる。 よって、引用発明の「要求されたVNFのタイプに適したテンプレート201をリポジトリ(202)からロード」することと、本願発明1の「前記構築スキームに関連付けられた少なくとも1つのソフトウェア・コンポーネントを前記リポジトリから検索するステップ(104)であって、前記ソフトウェア・コンポーネントが、前記仮想無線アクセス・ネットワークの仮想化されたネットワーク機能に相当する、検索するステップ」とは、「少なくとも1つのソフトウェア・コンポーネントを(前記)リポジトリから検索するステップであって、前記ソフトウェア・コンポーネントが、仮想化されたネットワーク機能に相当する、検索するステップ」である点において共通する。 d 引用発明において、「新たなVNF400の物理リソース及び仮想リソースを割り当て、VNFに向けて任意の特定のVNF仮想構成を実行」した後に「セットアップ完了メッセージ」を送信していること、また、「VNF仮想構成を実行」すなわち「VNF記述子テンプレート」を「インスタンス化」する処理を仮想マシン又は既存のOS等の「ランタイム・プラットフォーム」上で行うことは仮想化技術における技術常識であるから、前記「VNF仮想構成を実行」することは、「ランタイム・プラットフォーム」上で「VNF記述子テンプレート」を「インスタンス化」した「VNF」を「セットアップ」するものといえる。 よって、引用発明において、「新たなVNF400の物理リソース及び仮想リソースを割り当て、VNFに向けて任意の特定のVNF仮想構成を実行」することと、本願発明1の「前記ソフトウェア・コンポーネントを使用して、前記構築スキームに従って、前記仮想化されたネットワーク機能をランタイム・プラットフォーム上にセットアップするステップ」とは、「前記ソフトウェア・コンポーネントを使用して、前記仮想化されたネットワーク機能をランタイム・プラットフォーム上にセットアップするステップ」である点において共通する。 (2)一致点・相違点 前記(1)より、本願発明1と引用発明は、次の点において一致ないし相違する。 [一致点] 「 仮想ネットワークを管理するための方法であって、 少なくとも1つのソフトウェア・コンポーネントをリポジトリから検索するステップであって、前記ソフトウェア・コンポーネントが、仮想化されたネットワーク機能に相当する、検索するステップと、 前記ソフトウェア・コンポーネントを使用して、前記仮想化されたネットワーク機能をランタイム・プラットフォーム上にセットアップするステップと を含む、 方法。」 [相違点] <相違点1> 本願発明1は、「無線セルにサーブする仮想無線アクセス・ネットワーク」を管理するための方法であるのに対し、引用発明の「仮想化されたネットワーク機能を実施するための方法」は、「3GPP発展型パケットコア(EPC)サービングゲートウェイ(S-GW)のようなネットワーク機能が仮想化され、商用オフザシェルフ(COTS)ITサーバ上で実装されるシナリオ」を想定しており、「無線セルにサーブする」「(仮想)無線アクセス・ネットワーク」を管理するための方法として特定されていない点。 <相違点2> 本願発明1は、「前記無線セルの無線アクセス技術に基づいて、リポジトリにおいて前記仮想無線アクセス・ネットワークのための構築スキームを選択するステップ」という構成を備えるのに対し、引用発明は、当該構成を備えていない点。 <相違点3> 本願発明1において、「ソフトウェア・コンポーネント」は、「前記構築スキームに関連付けられた」ものであるのに対し、引用発明の「要求されたVNFのタイプに適したテンプレート201」(及び「インスタンス化されることになるVNF記述子テンプレート」)は、「セットアップ(SETUP)要求メッセージ600」に含まれる「セットアップするネットワーク機能のタイプ」に適したものである点。 <相違点4> 本願発明1において、「前記仮想化されたネットワーク機能」の「セットアップ」が、「前記構築スキームに従って」なされるのに対し、引用発明においては、そのような限定がなされていない点。 <相違点5> 本願発明1は、「前記ソフトウェア・コンポーネントはパケット・データ収束プロトコル(PDCP)コンテナを備える」との構成を備えるのに対し、引用発明は、当該構成を備えない点。 (3)相違点についての判断 相違点1ないし5は連関しているのでまとめて判断する。 相違点1ないし5に係る本願発明1の構成は、「無線セルにサーブする仮想無線アクセス・ネットワーク」を管理の対象とするものであって、「前記無線セルの無線アクセス技術」に基づいて「前記仮想無線アクセス・ネットワークのための構築スキーム」を選択し、選択された前記「構築スキーム」に関連付けられた「ソフトウェア・コンポーネント」を検索し、前記「構築スキーム」に従って「ソフトウェア・コンポーネント」をセットアップするものであって、当該「ソフトウェア・コンポーネント」として「パケット・データ収束プロトコル(PDCP)コンテナ」を備えるものである。 一方、引用発明は、「3GPP発展型パケットコア(EPC)サービングゲートウェイ(S-GW)のようなネットワーク機能が仮想化され、商用オフザシェルフ(COTS)ITサーバ上で実装されるシナリオ」を想定しているが、これを「無線セルにサーブする仮想無線アクセス・ネットワーク」の構成要素(例えば基地局)を管理の対象とするように変更する動機付けはなく、そうすると、「前記無線セルの無線アクセス技術」に基づいて「構築スキーム」を選択したり、当該「構築スキーム」に関連付けられた「ソフトウェア・コンポーネント」を検索し、これを「構築スキーム」に従ってセットアップしたりする動機付けも存在しない。 加えて、仮に「パケット・データ収束プロトコル(PDCP)コンテナ」を仮想化することが、引用文献2、3に記載されているように本願優先日前の周知技術であったとしても、引用発明の「3GPP発展型パケットコア(EPC)サービングゲートウェイ(S-GW)」にセットアップされる「ロードバランサ」VNF又は「ベアラ処理」VNFに替えて又はこれらに加えて「パケット・データ収束プロトコル(PDCP)コンテナ」を採用することには動機付けがない。 したがって、本願発明1は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本願発明2ないし8について 本願発明2ないし8は、本願発明1の構成又は当該構成に対応する技術事項をすべて含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用文献1に記載された発明ではなく、当業者であっても、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第6 引用文献2を主引用例とする拒絶の理由について 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明2とを対比する。 e 引用発明2の「無線アクセスネットワーク(RAN)」は、「無線セルにサーブ」するものであり、また、引用発明2の「オーケストレーション」は、「管理」の概念を含む。 よって、引用発明2の「ネットワーク環境において、動的な無線アクセスネットワーク(RAN)のオーケストレーションに関する方法」は、本願発明1の「無線セルにサーブする仮想無線アクセス・ネットワークを管理するための方法」に相当する。 f 引用発明2は「通信システム10のアーキテクチャは、RAM80内に配置可能なスモールセルアーキテクチャ及びマクロセルアーキテクチャにも同様に適用でき」ること、すなわち、複数の「無線アクセス技術」に適用できることを示唆するものであるが、どのように適用するのかを具体的に特定していない。 よって、引用発明2は、本願発明1の「前記無線セルの無線アクセス技術に基づいて、リポジトリにおいて前記仮想無線アクセス・ネットワークのための構築スキームを選択するステップ」を備えない。 g 引用発明2の「仮想化ネットワーク機能(VNFs)」は、本願発明1の「仮想化されたネットワーク機能」に相当する。 ここで、「仮想化された」「機能」が、これに対応するソフトウェア・コンポーネントにより実現されることは、本願優先日前の技術常識である。 そうすると、引用発明2において、「少なくとも部分的に監視された障害に関する操作を実行するために、RANに関する1つまたは複数の操作を、仮想化ネットワーク機能(VNFs)の複数のセットに分解すること」及び「VNFsの複数のセットを、1つまたは複数の最適な位置の各々においてインスタンス化すること」を実現するにあたり、障害に関する操作を実行するために必要な「仮想化ネットワーク機能(VNFs)」に対応する「ソフトウェア・コンポーネント」を取得し、これをインスタンス化することにより最適な位置に実装しているといえる。 そうすると、引用発明2と本願発明1の「前記構築スキームに関連付けられた少なくとも1つのソフトウェア・コンポーネントを前記リポジトリから検索するステップ(104)であって、前記ソフトウェア・コンポーネントが、前記仮想無線アクセス・ネットワークの仮想化されたネットワーク機能に相当する、検索するステップ」とは、「少なくとも1つのソフトウェア・コンポーネントを取得するステップであって、前記ソフトウェア・コンポーネントが、前記仮想無線アクセス・ネットワークの仮想化されたネットワーク機能に相当する、取得するステップ」との共通の構成を備える。 h 前記gにおいて、「インスタンス化」を仮想マシン又は既存のOS等の「ランタイム・プラットフォーム」上で行うことは仮想化技術における技術常識であり、また、引用発明2において、「インスタンス化」した「仮想化ネットワーク機能(VNFs)」を最適な位置に実装することは、「セットアップ」といい得るものである。 よって、引用発明2と本願発明1の「前記ソフトウェア・コンポーネントを使用して、前記構築スキームに従って、前記仮想化されたネットワーク機能をランタイム・プラットフォーム上にセットアップするステップ」とは、「前記ソフトウェア・コンポーネントを使用して、前記仮想化されたネットワーク機能をランタイム・プラットフォーム上にセットアップするステップ」との共通の構成を備える。 i 引用発明2は、「仮想化ネットワーク機能(VNF)はコンテナを基礎とする仮想化を介して実行され」及び「VNFのセットは、例えば、無線リソース制御(RRC)機能アプリケーションレベル機能、プロトコルシグナリング及び/又はパケットデータ収束プロコトル(PDCP)機能のような、1つまたは複数の高レベル操作に関連付けられる」との構成を備えることから、引用発明2の「仮想化ネットワーク機能(VNF)」は、「パケット・データ収束プロトコル(PDCP)コンテナ」として実装される場合を含んでいる。 よって、引用発明2は、本願発明1の「前記ソフトウェア・コンポーネントはパケット・データ収束プロトコル(PDCP)コンテナを備える」に相当する構成を備える。 (2)一致点・相違点 前記(1)より、本願発明1と引用発明2は、次の点において一致ないし相違する。 [一致点] 「 無線セルにサーブする仮想無線アクセス・ネットワークを管理するための方法であって、 少なくとも1つのソフトウェア・コンポーネントを取得するステップであって、前記ソフトウェア・コンポーネントが、前記仮想無線アクセス・ネットワークの仮想化されたネットワーク機能に相当する、取得するステップと、 前記ソフトウェア・コンポーネントを使用して、前記仮想化されたネットワーク機能をランタイム・プラットフォーム上にセットアップするステップと を含み、 前記ソフトウェア・コンポーネントはパケット・データ収束プロトコル(PDCP)コンテナを備える、方法。」 [相違点] <相違点1> 本願発明1は、「前記無線セルの無線アクセス技術に基づいて、リポジトリにおいて前記仮想無線アクセス・ネットワークのための構築スキームを選択するステップ」を備えるのに対して、引用発明2は、「スモールセルアーキテクチャ」、「マクロセルアーキテクチャ」のような複数の「無線アクセス技術」に適用できることを示唆するものの、そのような「無線アクセス技術」に基づいて「構築スキーム」を選択する構成を具体的に備えない点。 <相違点2> 本願発明1において、「ソフトウェア・コンポーネント」は、「前記構築スキーム」に関連付けられたものであるが、引用発明2の「仮想化ネットワーク機能(VNFs)」は、「監視された障害に関する操作を実行するため」のものであり、「前記構築スキーム」との関連を具体的に特定していない点。 <相違点3> 本願発明1において、「ソフトウェア・コンポーネント」は、「リポジトリ」から「検索」されるのに対し、引用発明2において、「仮想化ネットワーク機能(VNFs)」に対応するソフトウェア・コンポーネントをどのように取得するのかについて具体的に特定していない点。 <相違点4> 「前記仮想化されたネットワーク機能」の「セットアップ」が、本願発明1においては「前記構築スキーム」に従ってなされるのに対し、引用発明2における「VNFs」の「最適な位置」における「インスタンス化」が、「無線アクセス技術」に基づいて選択された「前記構築スキーム」に従ってなされるものとは具体的に特定していない点。 (3)相違点についての判断 事案に鑑みて、先に、連関する相違点1、2及び4についてまとめて判断する。 相違点1、2及び4に係る本願発明1の構成は、「前記無線セルの無線アクセス技術」に基づいて「前記仮想無線アクセス・ネットワークのための構築スキーム」を選択し、選択された前記「構築スキーム」に関連付けられた「ソフトウェア・コンポーネント」を検索し、前記「構築スキーム」に従って「ソフトウェア・コンポーネント」をセットアップするものである。 一方、引用発明2は、「監視された障害に関する操作を実行するため」に「仮想化ネットワーク機能(VNFs)」を最適な位置に実装するものであるから、「仮想化ネットワーク機能(VNFs)」は、「障害」に対応できるものであればよく、「スモールセルアーキテクチャ」、「マクロセルアーキテクチャ」のような複数の「無線アクセス技術」に適用できることを示唆していることのみをもって、「無線アクセス技術」に基づいて「構築スキーム」を選択し、当該「構築スキーム」に関連付けられた、「仮想化ネットワーク機能(VNFs)」を使用するようにする動機付けが存在しない。 よって、本願発明1は、相違点3について検討するまでもなく、引用文献2に記載された発明ではなく、当業者であっても引用文献2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本願発明2ないし8について 本願発明2ないし8は、本願発明1の構成又は当該構成に対応する技術事項をすべて含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用文献2に記載された発明ではなく、当業者であっても、当業者であっても引用文献2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第7 原査定について 前記第5及び第6で述べたように、本願発明1ないし8は、引用文献1又は引用文献2に記載された発明ではなく、また、当業者が引用文献1又は引用文献2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものでもない。 したがって、原査定の理由1(新規性)及び理由2(進歩性)はいずれも維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-10-26 |
出願番号 | 特願2019-507310(P2019-507310) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04L)
P 1 8・ 113- WY (H04L) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 中川 幸洋 |
特許庁審判長 |
角田 慎治 |
特許庁審判官 |
林 毅 富澤 哲生 |
発明の名称 | 仮想無線アクセス・ネットワークを管理するための方法およびソフトウェア・コンポーネントを較正するための方法 |
代理人 | 吉澤 弘司 |
代理人 | 三村 治彦 |
代理人 | 岡部 洋 |
代理人 | 岡部 讓 |