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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01H
管理番号 1379387
審判番号 不服2021-6144  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-05-13 
確定日 2021-11-16 
事件の表示 特願2017- 16334「電磁リレー」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月 9日出願公開、特開2018-125159、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願は、平成29年1月31日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 8月21日付け:拒絶理由通知書
令和2年10月21日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 2月12日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和3年 5月13日 :審判請求書の提出


第2 原査定の概要
原査定の概要は以下のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:米国特許出願公開第2014/0247099号明細書
引用文献2:特開2010-108661号公報(周知技術を示す文献)


第3 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、令和2年10月21日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
つば部を有するボビンにコイル線が多重に巻かれることによって形成される電磁コイルと、
固定接点と、
前記固定接点と対向して配置され、前記電磁コイルが発生する電磁力によって、前記固定接点とは離間される第1位置と、前記固定接点に接触する第2位置とのいずれかに移動される可動接点と、
前記電磁コイルから発せられる熱を前記固定接点に伝えるために設けられた熱伝導材と
を備え、
前記つば部は、切り欠き部を有し、
前記固定接点は、前記切り欠き部と対向配置されており、
前記熱伝導材は、前記切り欠き部と前記固定接点との間に設けられている
電磁リレー。」


第4 引用文献に記載された事項及び引用発明
1 引用文献1に記載された事項及び引用発明について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下同様。)。

(1)「[0027] FIG. 4 depicts a cross-sectional view of a relay 330 in accordance to one embodiment. The relay 330 generally includes a housing 332, a coil 334, an armature 336, and contacts 338a and 338b (or “338”). The relay 330 also includes a first terminal 340 that is integrated with the armature 336, and the flexing terminal 337, and that is connected to the contact 338a. The first terminal 340 protrudes from an underside of the housing 332. The relay 330 further includes a second terminal 342 that is electrically coupled to the coil 334 to provide current when it is desired to activate the coil 334 and to cause the contacts 338a, 338b to contact one another. The plurality of second terminals 342 also protrudes from the housing 332. The relay 330 further includes a third terminal 344 that protrudes from the housing 332 and that is connected with the second contact 338b. The relay 330 also includes a normally closed contact terminal 353 that is coupled to the flexing terminal 337. The normally closed contact terminal 353 contacts the contact 338a when the relay 330 is off (or deactivated). When the relay 330 is activated, the contact 338a moves away from the normally closed contact terminal 353 to contact the contact 338b to enable current flow from the relay 330.
[0028] The coil 334 and the third terminal 344 define an opening 346 there between. A first thermal conductive material (e.g., thermal pad) 348 is positioned within the opening 346 to contact the coil 334 and a portion of the third terminal 344 that may include the contact 338 to transfer heat to the second contact 338b. A first support member 335 may be positioned within the housing 332 or be integral with the housing 332 to support or engage at least one side of the first thermal conductive material 348. It is recognized that the opening 346 may take on any number of sizes of shapes to facilitate receiving and supporting the first thermal conductive material 348. The first thermal conductive material 348 may also comprise thermally conductive foam which improves contact between heat generating electrical components and heat sinks.
[0029] In general, the first thermal conductive material 348 may be in thermal communication with the coil 334 and the contacts 338 for transferring heat from the coil 334 to the contacts 338. In one example, the first thermal conductive material 348 may be in direct contact with the coil 334. The coil 334 itself is generally the largest component within the relay 330 and it comprises copper. Once the coil 334 is energized (or activated), the coil 334 heats up. In this case, the coil 334 acts as a thermal storage element as the coil 334 provides for a larger thermal inertia than other components within the relay 330. For example, the coil 334 stores heat for a longer amount of time than the other components within the relay 330. In addition, the coil 334 requires more time than the other components within the relay 330 to cool down. In contrast, each of the contacts 338 generally have a small metal mass and therefore cool down quickly (e.g., this is also facilitated via a metal interface soldered to a PCB with generally copper track surface areas (not shown) in the relay 330).
[0030] The relay 330, with the use of the first thermal conductive material 348 may equalize the temperature between the contacts 338 and the coil 334. For example, the heat transfer from the coil 334 to the contacts 338 result in a temperature increase of the contacts 338 which provides for a slower cooling down period for the contacts 338 when the relay 330 is deactivated. This condition prevents water from migrating to the contacts 338 as soon as the relay 330 is deactivated. The water in this case will migrate to other areas within the housing 332 that may exhibit colder temperatures than the contacts 338 once the relay 330 is deactivated. Ultimately, the temperature of the contacts 338 will decrease when all of the heat is fully transferred from the coil 334 and through the first thermal conductive material 348. However, in this case, the water has already migrated to other parts of the relay 330 and the water will not freeze on the contacts 338.」
(当審仮訳)「[0027]図4は、一実施形態に係るリレー330の断面図を示す。リレー330は、一般的に、ハウジング332、コイル334、アーマチュア336及び接点338a,338b(又は“338”)を備えている。リレー330はまた、アーマチュア336に一体化される第1の端子340と、コンタクト338aに接続される曲げ端子337とを備えている。第1の端子340は、ハウジング332の下側から突出している。リレー330はさらに、コイル334を作動させ、接点338a,338bが相互に接触させることが望まれる際に、コイル334に電流を提供するように電気的に接続された第2の端子342を備えている。複数の第2の端子342もまた、ハウジング332から突出している。リレー330はさらに、ハウジング332から突出し、第2の接点338bと接続される第3の端子344を備えている。リレー330はまた、曲げ端子337に結合された常閉接点端子353を備えている。常閉接点端子353は、リレー330がオフ(または停止)した場合、接点338aと接触する。リレー330が作動すると、接点338aが常閉接点端子353から離れ、リレー330からの電流の流れを可能にするために接点338bに接触する。
[0028]コイル334と第3の端子344は、それらの間に開口部346を画定する。第1の熱伝導性材料(例えば、サーマルパッド)348は、第2の接点338bに熱を伝達するために、コイル334および接点338を含む第3の端子344の部分と接触するように、開口346内に配置される。第1の支持部材335は、ハウジング332内に配置されてもよく、あるいは第1の熱伝導性材料348の少なくとも1つの側を支持又は係合するようにハウジング332と一体化されてもよい。開口部346は、第1の熱伝導性材料348を受容および支持することを容易にするための任意のサイズの形状にすることができることが認識される。第1の熱伝導性材料348は、熱を発生する電気部品とヒートシンクとの間の接触を向上させた熱伝導性発泡体を含んでいてもよい。
[0029]一般的に、第1の熱伝導性材料348は、コイル334から接点338に熱を伝導するために、コイル334と接点338とを熱的に連通してもよい。一例では、第1の熱伝導性材料348は、コイル334に直接接触することができる。コイル334自体は、一般的に、リレー330内の最も大きな構成要素であり、それは銅を含む。コイル334が励磁(または作動)されたら、コイル334が加熱される。この場合、コイル334は、コイル334がリレー330内の他の構成部品よりも大きな熱慣性を提供する熱蓄積要素として作用する。例えば、コイル334は、リレー330内の他の構成要素よりも長い時間にわたって熱を蓄積する。さらに、コイル334は、冷却するために、リレー330内の他の構成要素よりも多くの時間を必要とする。対照的に、接点338の各々は、一般的に、小さな金属質量を有し、したがって、急速に冷却される(例えば、これは、リレー330内の一般に銅のトラック表面領域(図示せず)を有するPCBにはんだ付けされた金属インターフェースを介して促進される。)。
[0030]第1の熱伝導性材料348を使用することで、リレー330は、接点338とコイル334との間の温度を均一化することができる。例えば、コイル334から接点338への伝熱は、接点338の温度上昇をもたらし、それは、リレー330が停止されるときに、接点338のより遅い冷却期間を提供する。この状態は、リレー330が停止されるとすぐに、水が接点338に移動することを防止する。この場合の水は、リレー330が停止されると、接点338よりも低い温度を示し得るハウジング332内の他の領域に移動する。最終的に、全ての熱が、コイル334から第1の熱伝導性材料348を介して完全に伝達されると、接点338の温度は低下する。しかしながら、この場合には、水は既にリレー330の他の部分に移動しており、水は接点338の上で凍結しない。」

(2)「FIG.4



(3)摘記事項(2)のFIG.4より、接点338aと接点338bは、対向して配置されていることが看取できる。

摘記事項(1)?(2)及び認定事項(3)から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「コイル334と、
第3の端子344と接続される接点338bと、
接点338bと対向して配置され、コイル334が停止すると、常閉接点端子353に接触し、コイル334が作動すると、常閉接点端子353から離れ、電流の流れを可能にするために接点338bに接触する接点338aと、
コイル334から接点338bに熱を伝導するために、コイル334と接点338bとを熱的に連通する第1の熱伝導性材料348と
を備える
リレー330。」

2 引用文献2に記載された事項について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1)「【0013】
(実施形態)
本実施形態における電磁継電器は、図1?3に示すように、樹脂等の絶縁性材料から箱型に形成されたケース1内部に電磁石ブロック2と、接極子3と、接点ブロック4とを収納している。以下、図1における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向とする。
【0014】
電磁石ブロック2は、コイル21が巻回される中空円筒状のコイルボビン22と、コイルボビン22の内径部22aを挿通する鉄心23と、鉄心23と共に磁気回路を形成する継鉄24とを備える。
【0015】
コイルボビン22は、樹脂等の絶縁材料から形成され、軸方向の上下両端に鍔部22b、22cが形成され、鍔部22bと鍔部22cとの間にコイル21が巻回される。」


第5 対比・判断
1 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「コイル334」は、本願発明1の「電磁コイル」に相当する。
引用発明の「第3の端子344と接続される接点338b」は、本願発明1の「固定接点」に相当する。
引用発明の「接点338a」は、本願発明1の「可動接点」に相当する。また、引用発明の「接点338a」が「常閉接点端子353に接触し」ていることは、本願発明1の「可動接点」が「前記固定接点とは離間される第1位置」にあることに相当し、引用発明の「接点338a」が「常閉接点端子353から離れ、電流の流れを可能にするために接点338bに接触する」ことは、本願発明1の「可動接点」が「前記固定接点に接触する第2位置」にあることに相当する。また、引用発明の「コイル334が作動する」ことは、本願発明1の「電磁コイル」が「電磁力」を「発生する」ことに相当する。
引用発明の「コイル334から接点338bに熱を伝導するために、コイル334と接点338bとを熱的に連通する」ことは、本願発明1の「前記電磁コイルから発せられる熱を前記固定接点に伝える」ことに相当するから、引用発明の「第1の熱伝導性材料348」は、本願発明1の「熱伝導材」に相当する。
引用発明の「リレー330」は、本願発明1の「電磁リレー」に相当する。

以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「電磁コイルと、
固定接点と、
前記固定接点と対向して配置され、前記電磁コイルが発生する電磁力によって、前記固定接点とは離間される第1位置と、前記固定接点に接触する第2位置とのいずれかに移動される可動接点と、
前記電磁コイルから発せられる熱を前記固定接点に伝えるために設けられた熱伝導材と
を備える
電磁リレー。」

【相違点】
本願発明1では、「電磁コイル」が「つば部を有するボビンにコイル線が多重に巻かれることによって形成される」ものであって、「前記つば部は、切り欠き部を有し」ており、「前記固定接点は、前記切り欠き部と対向配置されており、前記熱伝導材は、前記切り欠き部と前記固定接点との間に設けられている」のに対し、引用発明では、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

2 判断
上記相違点について検討する。
上記第4の2で示すとおり、引用文献2には、電磁継電器において、電磁石ブロック2は、コイル21が巻回される中空円筒状のコイルボビン22を備え、コイルボビン22は、軸方向の上下両端に鍔部22b、22cが形成され、鍔部22bと鍔部22cとの間にコイル21が巻回されること(以下、「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されている。
しかしながら、引用文献2には、鍔部22b及び鍔部22cが切り欠き部を有していることは記載されていない。
また、引用文献1及び2には、引用発明に対し、引用文献2に記載された事項を採用する際に、固定接点を、切り欠き部と対向配置させ、熱伝導材を、切り欠き部と固定接点との間に設けることを示唆する記載は無いし、かかる構成が、当業者が適宜なし得る設計変更であるともいえない。

よって、引用発明に対し、引用文献2に記載された事項を採用したとしても、上記相違点に係る本願発明1の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

したがって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。


第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-11-01 
出願番号 特願2017-16334(P2017-16334)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 片岡 弘之  
特許庁審判長 間中 耕治
特許庁審判官 田村 嘉章
中村 大輔
発明の名称 電磁リレー  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
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