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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1379417
審判番号 不服2019-17458  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-12-24 
確定日 2021-11-19 
事件の表示 特願2018-513452「適応入力列を有するキーボード」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月 6日国際公開、WO2017/059355、平成30年10月18日国内公表、特表2018-530820、請求項の数(19)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)9月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年9月30日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 3月13日 手続補正書の提出
平成31年 2月 4日付け 拒絶理由通知書
令和 元年 5月10日 意見書、手続補正書の提出
令和 元年 8月15日付け 拒絶査定
令和 元年12月24日 審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年 4月27日付け 拒絶理由通知書
令和 3年 8月 4日 意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和元年8月15日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1ないし7に係る発明は、以下の引用文献1ないし3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1 国際公開第2015/112868号
2 特開平10-113969号公報(周知技術を示す文献)
3 特開2005-84982号公報(周知技術を示す文献)

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由(令和3年4月27日付け拒絶理由)の概要は次のとおりである。

本願請求項1ないし19に係る発明は、以下の引用文献AおよびBに基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
A 国際公開第2015/112868号(拒絶査定時の引用文献1)
B 特開2012-64108号公報

第3 本願発明
本願請求項1ないし19に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明19」という。)は、令和3年8月4日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ポータブルコンピューティングシステムであって、
筐体と、
前記筐体内に位置付けられた英数字キーのセットと、
英数字キーの前記セットに隣接して位置付けられた適応入力列であって、
前記筐体の開口部とカバーの縁部の間に間隙が形成されるように配置された前記カバー、
前記カバーの下方に位置付けられたディスプレイであって、
前記ポータブルコンピューティングシステムが第1のモードで動作させられている時には、標識の第1のセットを表示し、
前記ポータブルコンピューティングシステムが第2のモードで動作させられている時には、標識の第2のセットを表示する、
ように構成されたディスプレイ、
前記ディスプレイによって照明される表示領域を越えて延在し、専用の機能を実行するように構成されたタッチ感知領域、
前記カバーの下方に位置付けられており、前記カバー上におけるタッチの場所を検出するように構成されたセンサ、
前記開口部の前記タッチ感知領域の下に配置された、前記ディスプレイと前記センサの少なくとも1つを制御する回路、及び
前記開口部への通路を通る、前記回路に接続されたたわみ管路、
を含む、適応入力列と、
を備え、
前記第1のモードになっている時には、前記センサからの出力がコマンドの第1のセットとして解釈され、
前記第2のモードになっている時には、前記センサからの出力がコマンドの第2のセットとして解釈される、ポータブルコンピューティングシステム。」

なお、本願発明2ないし19は、本願発明1を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定および当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「[0039] Figure 1A is an illustrative diagram of a portable computing system 100, in accordance with some embodiments. Portable computing system 100 may be, for example, a laptop computer, such as a MACBOOK? device, or any other portable computing device. Portable computing system 100 includes: (A) a display portion 110 with a primary display 102; and (B) a body portion 120 with a dynamic function row 104, a set of physical (i.e., movably actuated) keys 106, and a touch pad 108 partially contained within a same housing. Display portion 110 is typically mechanically, electrically, and communicatively coupled with body portion 120 of portable computing system 100. For example, portable computing system 100 may include a hinge, allowing display portion 110 to be rotated relative to body portion 120. Portable computing system 100 includes one or more processors and memory storing one or more programs for execution by the one or more processors to perform any of the embodiments described herein. In some embodiments, dynamic function row 104, which is described in more detail with reference to Figure 1B, is a touch screen display using resistive sensing, acoustic sensing, capacitive sensing, optical sensing, infrared sensing, or the like to detect user touch inputs and selections. In some embodiments, primary display 102 of display portion 110 is also a touch screen display.」
(当審訳:[0039]図1Aは、ポータブルコンピュータシステム100の例示的な図で、いくつかの実施形態に従ったものである。ポータブルコンピュータシステム100は、例えば、ラップトップコンピュータ、MACBOOK(登録商標)デバイスなど、または他の任意の携帯型コンピューティングデバイスとすることができる。ポータブルコンピュータシステム100は、(A)プライマリディスプレイ102を有する表示部110と、(B)動的ファンクション行104と、物理的(すなわち、可動に作動される)キーのセット106、およびハウジング内に部分的に含まれるタッチパッド108を有する本体部120を含む。表示部110は、典型的にはポータブルコンピュータシステム100の本体部120と機械的、電気的、および通信可能に結合されている。例えば、ポータブルコンピュータシステム100はヒンジを含み、表示部110は、本体部120に対して回転することを可能にする。ポータブルコンピュータシステム100は、本明細書に記載の実施形態のいずれかを実行するために、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行される1つ以上のプログラムを記憶するためのメモリを含む。いくつかの実施形態では、図1Bを参照してより詳細に説明される、動的ファンクション行104は、抵抗感知、音響感知、容量性感知、光学感知、赤外線感知などを使用して、ユーザタッチ入力及び選択を検出するタッチスクリーンディスプレイである。いくつかの実施形態では、表示部110のプライマリディスプレイ102は、タッチスクリーンディスプレイである。)

「[0041] Each physical key of the set of physical keys 106 has at least one associated input. The input may be a printable character, non-printable character, function, or other input. The input associated with a physical key may be shown by a letter, word, symbol, or other indicia shown (e.g., printed) on the surface of the key in Latin script, Arabic characters, Chinese characters, or any other script. For example, the particular physical key indicated at 138 is associated with alphabetic character "z" as indicated by the letter z shown on the key. In another example, a physical key labeled with the word "command" may be associated with a command function. For example, the set of physical keys 106 is associated with a QWERTY, Dvorak, or other keyboard layouts with alphanumeric, numeric, and/or editing/function sections (e.g., standard, extended, or compact) according to ISO/IEC 9995, ANSI-INCITS 154-1988, JIS X 6002-1980, or other similar standards.
(当審訳:[0041]1組の物理キー106のそれぞれの物理的なキーは、少なくとも1つの関連する入力を有する。この入力は、印刷可能な文字、印刷不可能な文字、機能、またはその他の入力とすることができる。物理キーと関連付けられた入力は、ラテン文字、アラビア文字、漢字、又は任意の他のスクリプト内のキーの表面に表された(例えば、印刷された)文字、単語、記号、または他のしるしによって示されてもよい。例えば、キーに示された文字zによって示されるように、138で示される特定の物理キーは、アルファベット文字「z」が関連付けられている。別の例では、「コマンド」という語で標識された物理キーは、コマンド機能に関連付けることができる。例えば、一組の物理的キー106は、ISO/IEC-9995、ANSI INCITS154-1988、JIS6002-1980、または他の類似の規格に従って英数字、数字、および/または編集機能部(例えば、標準的な、拡張された、またはコンパクトな)を有する、QWERTY、Dvorak、もしくは他のキーボードレイアウトと関連づけられている。)

「[0043] In some embodiments, dynamic function row 104 is a touch screen display that displays one or more user-selectable symbols 142 (sometimes also herein called "user interface elements," "user interface components," "affordances," "buttons," or "soft keys"). For example, dynamic function row 104 replaces the function row keys on a typical keyboard. A user may select a particular one of the one or more user-selectable symbols 142 by touching a location on the touch screen display that corresponds to the particular one of the one or more user-selectable symbols 142. For example, a user may select the user- selectable symbol indicated by magnifying glass symbol 144 by tapping dynamic function row 104 such that the user's finger contacts dynamic function row 104 at the position of the magnifying glass indicator 214. In some embodiments, a tap contact or a tap gesture includes touch-down of a contact and lift-off of the contact within a predetermined amount of time (e.g., 250 ms or the like). In some embodiments, the touch screen display of dynamic function row 104 is implemented using resistive sensing, acoustic sensing, capacitive sensing, optical sensing, infrared sensing, or the like to detect user inputs and selections.」
(当審訳:[0043]一部の実施形態では、動的ファンクッション行104は、1つ以上のユーザ選択可能な記号142を表示する(ここでは、しばしば「ユーザ・インターフェース要素」、「ユーザ・インターフェース・コンポーネント」、「アフォーダンス」、「ボタン」、または「ソフトキー」とも呼ばれる)タッチスクリーンディスプレイである。例えば、動的ファンクション行104は、典型的なキーボード上のファンクション行のキーに取って代わる。ユーザは、1つまたは複数のユーザ選択可能な記号142のうちの特定の1つに対応するタッチスクリーンディスプレイ上の位置に触れることによって、1つ以上のユーザ選択可能な記号142のうちの特定の1つを選択することができる。例えば、ユーザは、ユーザの指が虫眼鏡インジケータ214の位置で動的ファンクション行104に接触するように、動的ファンクション行104をタップすることによって虫眼鏡記号144で示されるユーザ-選択可能な記号を選択することができる。いくつかの実施形態では、タップ接触またはタップジェスチャーは、所定の時間(例えば、250ms等)内の接触のタッチダウンおよび接触のリフトオフを含む。いくつかの実施形態では、動的ファンクション行の104のタッチスクリーンは、抵抗感知、音響感知、容量性感知、光学的感知、赤外線感知などを用いて実現され、ユーザ入力及び選択を検出する。)

「[0049] In some embodiments, a first subset 146 of the one or more user-selectable symbols 142 of dynamic function row 104 may be associated with one group of functions and a second subset 148 of the one or more user-selectable symbols 142 of function row 104 may be associated with a second group of functions. For example, the user-selectable symbols in first subset 146 may be global functions (e.g., system-level functions or affordances), and the user-selectable symbols in second subset 148 may be application-specific functions. As such, the user-selectable symbols in first subset 148 change when the focus shifts from a first element of a graphical user interface displayed on primary display 102 (e.g., a first window corresponding to an Internet browser application) to a second element of the graphical user interface (e.g., a second window corresponding to an e-mail application). In contrast, the user-selectable symbols in first subset 146 are maintained when the focus shifts from the first element of the graphical user interface to the second element of the graphical user interface.」(なお、上記記載の「in first subset 148」は、「in second subset 148」の誤記であると判断した。)
(当審訳:[0049]一部の実施形態では、動的ファンクション行104の1つ以上のユーザ選択可能な記号142の第1のサブセット146は、機能の1つのグループに関連付けられ、ファンクション行104の1つ以上のユーザ選択可能な号142の第2のサブセット148は、機能の第2グループに関連付けることができる。例えば、第1のサブセット146内のユーザが選択可能な記号は、グローバル機能(例えば、システムレベル機能またはアフォーダンス)であり、第2のサブセット148のユーザ選択可能な記号は、アプリケーション固有の機能である。そのため、フォーカスが、プリマリディスプレイ102に表示されたグラフィカル・ユーザ・インターフェースの第1の要素(例えば、インターネットブラウザアプリケーションに対応する第1のウィンドウ)から、第2の要素(例えば、電子メールアプリケーションに対応する第2のウィンドウ)へ移ると、第2のサブセット148のユーザ選択可能な記号は、変化する。対照的に、グラフィカル・ユーザ・インターフェースの第1の要素からグラフィカル・ユーザ・インターフェースの第2の要素へフォーカスが移っても、第1のサブセット146におけるユーザ選択可能な記号は維持される。)

Figure1A

Figure1B

Figure1AおよびFigure1Bに示されているように、動的ファンクション行104は、物理的キーのセット106に隣接して設けられていると認められる。

そうすると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ポータブルコンピュータシステム100であって、
本明細書に記載の実施形態のいずれかを実行するために、1つ以上のプロセッサと、
表示部110と、表示部110とヒンジを介して回転可能に機械的に結合された本体部120を備え、
表示部110は、プリマリディスプレイを有し、
本体部分120は、
QWERTYキーボードレイアウトと関連づけられている、物理的(すなわち、可動に作動される)キーのセット106と、
物理的キーのセット106に隣接して設けられた、タッチスクリーンディスプレイである動的ファンクション行104と
を備え、
動的ファンクッション行104は、1つ以上のユーザ選択可能な記号142を表示するタッチスクリーンディスプレイであり、
動的ファンクション行104の1つ以上のユーザ選択可能な記号142の第2のサブセット148は、機能の第2グループに関連付けることができ、第2のサブセット148のユーザ選択可能な記号は、アプリケーション固有の機能であり、フォーカスが、プリマリディスプレイ102に表示されたグラフィカル・ユーザ・インターフェースの第1の要素(例えば、インターネットブラウザアプリケーションに対応する第1のウィンドウ)から、第2の要素(例えば、電子メールアプリケーションに対応する第2のウィンドウ)へ移ると、第2のサブセット148のユーザ選択可能な記号は、変化する、
ポータブルコンピュータシステム100。」

2 引用文献2について
原査定に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はディスプレイの画面上に付設したタッチ入力パネルを有する射出成形機の入力装置に関する。」

「【0014】図中、2は液晶表示器を用いたディスプレイであり、このディスプレイ2の画面2v上には、タッチ入力パネル3を付設する。この場合、タッチ入力パネル3は画面2vよりも大きく形成し、画面2vの外側に延長したパネル延長部3eを設ける。タッチ入力パネル3は、静電容量方式,光方式,抵抗シート方式等の任意のタッチ入力パネルを利用できる。一例として、静電容量方式のタッチ入力パネルは、透明基板層,透明抵抗膜層及び透明絶縁層からなる多層構造を有し、表面を手でタッチすることにより、タッチした位置のXY座標情報を出力させることができる。
【0015】一方、パネル延長部3eの表面には、一又は二以上の特定のキーk…を有するテンキー部Sa,画面切換キー等を含むファンクションキー部Sb及びカーソルキー部Scを印刷する。また、ディスプレイ2の隣接位置には、上面を平面形成した支持プレート4を配設し、パネル延長部3eの下面をディスプレイ2の画面2vと同一の高さに支持する。この場合、支持プレート4は別途設けることなく、既設のハウジング用パネル等を用いてもよい。」

3 引用文献3について
原査定に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、入力方式に静電容量結合方式を採用したタッチパネル装置に関するものである。」

「【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、図7のシステム構成図で示す通りパネル部と制御部からなる。パネル部は、PETフィルムにITO透明電極と銀ペースト電極を印刷した拡張電極シート(図5)を作成し、その電極シートをガラス板又はアクリル板(誘電体)に、透明な接着剤を用いて張り付けた構造になっている。(図6)。
拡張電極シート構造は、スイッチ電極と不透明スイッチ電極から構成される。透明スイッチ電極及び不透明スイッチ電極は、人の指が隠れるくらいの円又は四角形で形成し、GNDパターンはパネル周辺に這わしノイズ低減と信号レベルの安定化をはかる事を目的とする。拡張電極シートの構造図を図8に示す。接続端子は、PETフィルム上の1層目に銀ペーストで印刷し、2層目に接続端子保護のためカーボンで印刷した2層構造で形成される。
リードパターン1と透明スイッチ電極は、表示エリア内で下からの表示が見えるようにITO透明電極で印刷する。リードパターン2と不透明スイッチ電極は、非表示エリアのため透明の必要が無く抵抗値の低い銀ペーストの印刷をする。
制御部は、スイッチ電極(以降透明スイッチ電極及び不透明スイッチ電極を併せてスイッチ電極を指す)を順番に切り替えて発振回路に接続するためのアナログスイッチタイプのマルチプレクサと、周波数が可変出来る発振回路、しきい値データを記憶するための不揮発性メモリ、波形の幅が計測できるインプットキャプチャ機能が内蔵されたCPUで構成する。
この静電容量型タッチパネルの動作原理を図9に沿って説明する。まず図9のブロック図に於いてプログラムで指定したスイッチ電極と発振回路を接続させるために、CPUのI/O端子よりスイッチ電極切り替え回路に対し制御信号を出力する。このスイッチ電極切り替え回路は、CPUのI/O端子より制御信号に”1”(デジタル的にハイレベル)を出力すればスイッチ電極と発振回路を接続し、制御信号に”0”(デジタル的にローレベル)を出力すればスイッチ電極はGND信号に接続する機能を有している。
次に静電容量型タッチパネルを内蔵した実際のタッチパネルモニタを使い、スイッチが特定されるまでの手順を説明する。各スイッチのOn/Offレベルを規定するために次の2点を実施する。まず始めに、パネルに指が触れない非接触状態で、プログラムに従いCPUはI/O端子より制御信号を出力し、スイッチT1?F3(T1?T9、S1?S6、F1?F3の順番)まで発振周波数を測定し、各スイッチOff状態の発信周波数をCPUに接続された不揮発性メモリに記憶する。次にパネルに指1本を載せて同様にスイッチT1?F3まで周波数を測定し、各スイッチOn状態の発信周波数を不揮発性メモリに記憶する。この測定により各々容量変化が違うスイッチでもOn/Offレベルが判断でき誤認識せずOn/Offの判定できる。
実際に人の指がスイッチ電極に近づくと、スイッチ電極の静電容量が増加する。人間は元々容量が100pF程度持った導体であり、スイッチ電極に導体である人の指が近づくと静電誘導現象が発生し静電容量が増加する。発振回路は、増加した静電容量の変化を検知し容量の増加に追従して発信周波数が変化する。
制御部では、CPUに内蔵されたインプットキャプチャ機能を利用して発振周波数を測定する。CPUは、I/O端子より切り替えスイッチ回路を制御しスイッチT1?F3まで順番に発信周波数を測定する。今回測定した発信周波数と最初に不揮発性メモリに記憶しておいた各スイッチのOn/Off時の発信周波数を比較すると、指が近づいたスイッチだけが周波数が低下する。
この原理に基づき、人間の指がどのスイッチ電極の上を触ったかが判断出来、スイッチ機能と場所が確定できる為静電容量型タッチパネルが実現可能となる。
【実施例1】
【0008】
以下本発明を具体化した一実施例について図面を参照して説明する。スイッチ切り替え回路について、図9に沿って説明する。スイッチ電極T1と発振回路1を接続する時は、CPU2のI/O端子3から制御信号に”1”を出力しその他のスイッチ電極T2?F3までは制御信号に”0”を出力する。この状態の時は、スイッチ電極切り替え回路4によりスイッチ電極T1と発振回路を接続しスイッチ電極T2?F3はGNDに接続される。
【0009】
次に図10の発振回路は、TLC555で非常に一般的なC-MOSタイプのタイマーICである。発振周波数の計算式はメーカのデータシートより提示されており、f=1.44/(R1+2×R2)×C1で定数を代入すると求めることが出来る。今回は、一般的なCPUで測定可能な100kHz程度の発振周波数が好都合のため抵抗R1=1kΩ、R2=68kΩ、C1=100pFでマルチバイブレーターモードで発振する回路を構成した。次に点線で接続されているC2のコンデンサは、スイッチ電極に指がタッチした時の容量変化分に相当する等価容量用のコンデンサを表している。通常指1本でタッチすると0.1pF程度静電容量が増加し指2本では0.2pF程度増加する。C3のコンデンサは、発信を安定化させるためコンデンサである。
【0010】
では、実際に図11で示すタッチパネルモニタで指がファンクションキースイッチF1をタッチしたときの周波数の変化を説明する。
・ 指がF1スイッチにタッチしていない状態での発振周波数
・ C=100pF(C1)
・ 周波数 100.1kHz程度
・ 指でF1スイッチにタッチした状態での発振周波数
・ C=100.1pF(並列接続C1+C2)
・ 周波数 100kHz程度
指でスイッチF1にタッチした時、発振周波数が減少したのは、スイッチ電極と指の間で静電誘導が起こり、静電容量が増加した。
それによりTLC555のタイマーICの周波数を決定するコンデンサの容量が増加したことにより、図12で示すように発振周波数が100Hz減少した。
この原理を応用し、図9で示した発振周波数の変位をCPUの内蔵されたインプットキャプチャ機能のカウンタで各スイッチ毎に周波数を常時モニタし、70Hz以上減少した時がタッチした場合と規定すれば、ファンクションキーF1が特定可能になる。
【0011】
ファンクションキーF1が特定できたことで、図10の下図のように拡張電極シートを筐体に貼り付けて、筐体表面にスイッチ場所を特定のための表示シールを貼り付ければ、ファンクションキーにタクトスイッチが無い静電結合型タッチパネルモニタが実現できる。」

4 引用文献Bについて
当審拒絶理由に引用された引用文献Bには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、操作圧力を検出する感圧センサを備えたセンサ装置および情報処理装置に関する。」

「【0039】
また、センサパネル10側に配置される第1の電極31は、図4に示すようにセンサシート11の一方の電極基板に形成されてもよい。図4は、センサシート11の上層側の電極基板に感圧センサ30の第1の電極31を形成した例を示す、情報処理装置の要部断面図である。
【0040】
図4において、センサシート11は、上層側の第1の電極基板111と下層側の第2の電極基板112と、これら電極基板111,112を相互に接着する接着層113とを有する。第1の電極基板111は、トッププレート12とほぼ同等の大きさで形成されており、接着層13を介してトッププレート12に接合されている。第2の電極基板112は、第1の電極基板111よりも小さい面積を有し、その周囲に感圧センサ30が配置される環状の領域を形成する。第1の電極基板111及び第2の電極基板112の相互に対向する各々の内面側には、例えばITO(Indium Tin Oxide)、銀(Ag)等の導電性物質で構成された配線パターンがそれぞれ形成されている。第1の電極31は、第1の電極基板111の内面側に形成され、例えば第1の電極基板111を形成する配線パターンと同時に形成される。第2の電極32は、筐体20内部の底部周縁20aに形成され、例えば上述と同様の導電性物質で構成される。弾性部材33の上面側は、接着層34を介して第1の電極31及び第1の電極基板111にそれぞれ接着され、弾性部材33の下面側は、接着層35を介して第2の電極32及び筐体20にそれぞれ接着される。
【0041】
入力操作面10aにz軸方向へ押圧力が作用すると、弾性部材33が圧縮変形し、その変形量に応じて電極31,32間の距離が変化する。感圧センサ30は、その押圧力を電極31,32間の静電容量の変化として検出する。すなわち、弾性部材33の変形前後における電極31,32間の静電容量の変化を検出することで、入力操作面10aに入力されたz軸方向への押圧力あるいは押圧量が判定される。これにより、入力操作面10aに対するユーザ操作に際して、センサパネル10による操作位置のxy面内座標と、操作位置における押圧力とが同時に検出でき、押圧操作位置に応じて異なる情報入力操作が可能となる。」

【図4】

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)引用発明との対比
ア 引用発明の「本体部分120」の筐体を構成する部分は、本願発明1の「筐体」に相当する。

イ 引用発明の「物理的キーのセット106」は、QWERTYキーボードレイアウトと関連づけられているのであるから、英数字キーを備えていると認められる。そうすると、引用発明の「物理的キーのセット106」は、本願発明1の「英数字キーのセット」に相当する。 そして、引用発明の「物理的キーのセット106」は、「本体部分120」に備えられているのであるから、このことは、本願発明1の「英数字キーのセット」が「前記筐体内に位置付けられ」ていることに相当する。

ウ 引用発明の「動的ファンクション行104」は、本願発明1の「適応入力列」に相当する。
そして、引用発明の「動的ファンクション行104」が、「物理的キーのセット106に隣接して設けられ」ることは、本願発明1の「適応入力列」が「数字キーの前記セットに隣接して位置付けられ」ることに相当する。

エ 引用発明の「タッチスクリーンディスプレイ」は、本願発明1の「ディスプレイ」に相当する。
そして、引用発明の「タッチスクリーンディスプレイ」と、本願発明1の「前記カバーの下方に位置付けられており、前記カバー上におけるタッチの場所を検出するように構成されたセンサ」を備えることとは、「タッチの場所を検出するように構成されたセンサ」を備える点で共通する。
また、引用発明の「第2のサブセット148のユーザ選択可能な記号」は、本願発明1の「標識」に相当する。
加えて、引用発明の「動的ファンクション行104」は、「1つ以上のユーザ選択可能な記号142を表示するタッチスクリーンディスプレイであり」、「動的ファンクション行104の1つ以上のユーザ選択可能な記号142の第2のサブセット148は、機能の第2グループに関連付けることができ、第2のサブセット148のユーザ選択可能な記号は、アプリケーション固有の機能であり、フォーカスが、プリマリディスプレイ102に表示されたグラフィカル・ユーザ・インターフェースの第1の要素(例えば、インターネットブラウザアプリケーションに対応する第1のウィンドウ)から、第2の要素(例えば、電子メールアプリケーションに対応する第2のウィンドウ)へ移ると、第2のサブセット148のユーザ選択可能な記号は、変化する」ものである。
そうすると、引用発明の「フォーカスが、プリマリディスプレイ102に表示されたグラフィカル・ユーザ・インターフェースの第1の要素(例えば、インターネットブラウザアプリケーションに対応する第1のウィンドウ)」にあること、および、「フォーカスが、プリマリディスプレイ102に表示されたグラフィカル・ユーザ・インターフェース」の「第2の要素(例えば、電子メールアプリケーションに対応する第2のウィンドウ)」にあることは、それぞれ、本願発明1の「前記ポータブルコンピューティングシステムが第1のモードで動作させられている時」、および、「前記ポータブルコンピューティングシステムが第2のモードで動作させられている時」に相当する。
そして、引用発明は、上記フォーカスの「変化」により、「動的ファンクション行104」の第2のサブセット148のユーザ選択可能な記号は、変化するのであるから、このフォーカスの「変化」により「ユーザ選択可能な記号」の表示が変化することは、本願発明1の「前記ポータブルコンピューティングシステムが第1のモードで動作させられている時には、標識の第1のセットを表示し、前記ポータブルコンピューティングシステムが第2のモードで動作させられている時には、標識の第2のセットを表示する」ことに相当する。
そうすると、引用発明は、本願発明1の「前記ポータブルコンピューティングシステムが第1のモードで動作させられている時には、標識の第1のセットを表示し、前記ポータブルコンピューティングシステムが第2のモードで動作させられている時には、標識の第2のセットを表示する、ように構成されたディスプレイ」に相当する構成を備えていると認められる。
また、引用発明は、上記フォーカスの「変化」により、「第2のサブセット148のユーザ選択可能な記号」である「アプリケーション固有の機能」を示す「記号」が変化するから、それらの「記号」が示す「アプリケーション固有の機能」も変化していると認められる。そして、それらの「記号」は、対応するアプリケーションにおいて、「記号」が示す機能を実行するための、コマンドを示すものであり、「タッチスクリーン」上の「記号」を選択することにより、引用発明は、「タッチスクリーン」の出力に対応する「記号」が選択されたことを認識し、コマンドが解釈され実行されるものであるということができるから、引用発明は、本願発明1の「前記第1のモードになっている時には、前記センサからの出力がコマンドの第1のセットとして解釈され、前記第2のモードになっている時には、前記センサからの出力がコマンドの第2のセットとして解釈され」ると同様の動作を行っていると認められる。

オ そして、引用発明の「ポータブルコンピュータシステム100」は、本願発明1の「ポータブルコンピュータシステム」に対応する。

カ そうすると、本願発明1と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「ポータブルコンピューティングシステムであって、
筐体と、
前記筐体内に位置付けられた英数字キーのセットと、
英数字キーの前記セットに隣接して位置付けられた適応入力列であって、
ディスプレイであって、
前記ポータブルコンピューティングシステムが第1のモードで動作させられている時には、標識の第1のセットを表示し、
前記ポータブルコンピューティングシステムが第2のモードで動作させられている時には、標識の第2のセットを表示する、
ように構成されたディスプレイ、
タッチの場所を検出するように構成されたセンサ、
を含む、適応入力列と、
を備え、
前記第1のモードになっている時には、前記センサからの出力がコマンドの第1のセットとして解釈され、
前記第2のモードになっている時には、前記センサからの出力がコマンドの第2のセットとして解釈される、ポータブルコンピューティングシステム。」

[相違点1]
本願発明1の「適応入力列」は、「前記筐体の開口部とカバーの縁部の間に間隙が形成されるように配置された前記カバー」を備えているのに対して、引用発明は、本願発明1の「筐体」に対応する部分や「動的ファンクション行104」の具体的な構成の明示がないために、対応する構成が特定されていない点。

[相違点2]
本願発明1の「適応入力列」は「ディスプレイ」が「前記カバーの下方に位置付けられ」ているのに対して、引用発明は、上記相違点1で検討したように「カバー」に相当する構成が特定されていないために、引用発明の「タッチスクリーンディスプレイ」が、「カバーの下方に位置付けられ」ているとはいえない点。

[相違点3]
本願発明1の「適応入力列」は、「前記ディスプレイによって照明される表示領域を越えて延在し、専用の機能を実行するように構成されたタッチ感知領域」を備えているのに対して、引用発明の「動的ファンクション行104」は、その具体的な構成の明示がないために、対応する領域が特定されていない点。

[相違点4]
本願発明1の「適応入力列」は、「前記カバーの下方に位置付けられており、前記カバー上におけるタッチの場所を検出するように構成されたセンサ」を備えているのに対して、引用発明の「動的ファンクション行104」は、「タッチスクリーンディスプレイ」を備えているから、「タッチの場所を検出するように構成されたセンサ」を備えていることはわかるものの、「動的ファンクション行104」の具体的な構成の明示がないために、「センサ」が、「前記カバーの下方に位置付けられ」ているとはいえない点。

[相違点5]
本願発明1の「適応入力列」は、「前記開口部の前記タッチ感知領域の下に配置された、前記ディスプレイと前記センサの少なくとも1つを制御する回路」を備えているのに対して、引用発明の「動的ファンクション行104」は、その具体的な構成の明示がないために、対応する「回路」が特定されていない点。

[相違点6]
本願発明1の「適応入力列」は、「前記開口部への通路を通る、前記回路に接続されたたわみ管路」を備えているのに対して、引用発明の「動的ファンクション行104」は、上記相違点5で検討したように、本願発明1の「回路」に対応する構成が特定されていないために、本願発明1の「回路」に接続される「たわみ管路」を備えているとはいえない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、「回路」および、それに接続された「たわみ管路」に関する、相違点5および6について、先にまとめて検討する。
引用文献2、3およびBには、上記相違点5および6に関する「回路」および「たわみ管路」は記載されていない。また、「前記開口部の前記タッチ感知領域の下に配置された、前記ディスプレイと前記センサの少なくとも1つを制御する回路」「に接続されたたわみ管路」について、「前記開口部への通路を通る」ことが、本願優先日前に周知の技術であったともいえない。
そうすると、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明並びに引用文献2、3およびBに記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし19について
本願発明2ないし19は、本願発明1の上記相違点5および6に関する構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であって、引用発明並びに引用文献2、3およびBに記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 原査定についての判断
令和3年8月4日付けの手続補正により、補正後の請求項1ないし19は、「前記開口部の前記タッチ感知領域の下に配置された、前記ディスプレイと前記センサの少なくとも1つを制御する回路、及び前記開口部への通路を通る、前記回路に接続されたたわみ管路」という技術的事項を有するものとなった。
当該、「前記開口部の前記タッチ感知領域の下に配置された、前記ディスプレイと前記センサの少なくとも1つを制御する回路、及び前記開口部への通路を通る、前記回路に接続されたたわみ管路」は、原査定における引用文献1ないし3には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1ないし19は、当業者であっても、原査定における引用文献1ないし3に基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第7 当審拒絶理由についての判断
令和3年8月4日付けの手続補正により、補正後の請求項1ないし19は、「前記開口部の前記タッチ感知領域の下に配置された、前記ディスプレイと前記センサの少なくとも1つを制御する回路、及び前記開口部への通路を通る、前記回路に接続されたたわみ管路」という技術的事項を有するものとなった。
当該、「前記開口部の前記タッチ感知領域の下に配置された、前記ディスプレイと前記センサの少なくとも1つを制御する回路、及び前記開口部への通路を通る、前記回路に接続されたたわみ管路」は、当審拒絶理由で引用した引用文献AおよびBには記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1ないし19は、当業者であっても、当審拒絶理由における引用文献AおよびBに基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、当審拒絶理由は解消した。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-11-02 
出願番号 特願2018-513452(P2018-513452)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐伯 憲太郎桜井 茂行  
特許庁審判長 角田 慎治
特許庁審判官 富澤 哲生
小田 浩
発明の名称 適応入力列を有するキーボード  
代理人 特許業務法人大塚国際特許事務所  
代理人 永川 行光  
代理人 大塚 康徳  
代理人 下山 治  
代理人 木村 秀二  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康弘  
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