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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1379435 |
審判番号 | 不服2020-17543 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-12-23 |
確定日 | 2021-10-28 |
事件の表示 | 特願2018- 40013号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 9月12日出願公開、特開2019-150478号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成30年3月6日の出願であって、令和2年3月25日付けで拒絶理由が通知され、同年5月25日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月14日付け(謄本送達日:同年同月20日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年12月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年12月23日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和2年5月25日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1ないし4のうち、請求項2に、 「遊技中に実行される演出を決定するためのモードとして、第一モードと、当該第一モードよりも特定演出の発生頻度が高まる第二モードと、が設定された遊技機であって、 前記第二モードが設定された状態で、前記特定演出が発生することに基づく所定条件が成立した場合には、当該第二モードを自動的に終了させるものであり、 当否判定結果を報知する報知演出に前記特定演出が含まれても当該当否判定結果が当たりとなることが確定するわけではなく、 前記特定演出を含む前記報知演出により報知される当否判定結果が当たりとなることは前記所定条件の成立として設定されている一方、前記特定演出を含む報知演出により報知される当否判定結果がはずれとなることは前記所定条件の成立として設定されていない ことを特徴とする遊技機。」とあったものを、 「所定の領域に遊技球が進入することを契機として取得される当否判定情報に基づき実行される当否判定結果を報知する演出であって識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出中に実行される演出を決定するためのモードとして、第一モードと、当該第一モードよりも前記報知演出にて前記特定演出が実行される蓋然性が高まる第二モードと、が設定された遊技機であって、 前記第二モードが設定された状態で、前記特定演出が発生することに基づく所定条件が成立した場合には、当該第二モードを自動的に終了させるものであり、 前記特定演出は、当否判定結果が当たりとなる場合、はずれとなる場合のいずれであっても前記報知演出にて実行されることがあり、 前記特定演出が実行された前記報知演出により報知される当否判定結果が当たりとなることは前記所定条件の成立として設定されている一方、前記特定演出が実行された前記報知演出により報知される当否判定結果がはずれとなることは前記所定条件の成立として設定されていない ことを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。下記2(1)についても同様。)。 2 補正の適否について (1) 補正の目的 本件補正のうち、請求項2に係る補正の目的は、以下のア-エのとおりである。 ア 本件補正は、本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「遊技中に実行される演出」を「所定の領域に遊技球が進入することを契機として取得される当否判定情報に基づき実行される当否判定結果を報知する演出であって識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出中に実行される演出」と、「遊技中」について具体的に限定するものである。 イ 本件補正は、本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「当該第一モードよりも特定演出の発生頻度が高まる第二モード」を「当該第一モードよりも前記報知演出にて前記特定演出が実行される蓋然性が高まる第二モード」とすることにより、「特定演出が実行される」のが「報知演出にて」と、「特定演出」の実行される時期を具体的に限定するとともに、また、「特定演出」の「発生頻度が高まる」ことを「実行される蓋然性が高まる」と限定するものである。 ウ 本件補正は、本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「当否判定結果を報知する報知演出に前記特定演出が含まれても当該当否判定結果が当たりとなることが確定するわけではなく、」を「前記特定演出は、当否判定結果が当たりとなる場合、はずれとなる場合のいずれであっても前記報知演出にて実行されることがあり、」とすることにより、「特定演出」が「報知演出にて実行される」のが、「当否判定結果が当たりとなる場合、はずれとなる場合」のいずれの場合でもあることに具体的に限定するものである。 エ 本件補正は、本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記特定演出を含む前記報知演出」を「前記特定演出が実行された前記報知演出」とすることにより、当該「報知演出」が「特定演出」を実行したものであることに具体的に限定するものである。 オ 上記アないしエからみて、本件補正は、補正前の請求項2に記載された発明と補正後の請求項2に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。 (2)新規事項 本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0014】、【0015】及び【0017】等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 独立特許要件について そこで、本件補正後の請求項2に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、以下、検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(なお、AないしEについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。下記第3の1でも同様。)。 「A 所定の領域に遊技球が進入することを契機として取得される当否判定情報に基づき実行される当否判定結果を報知する演出であって識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出中に実行される演出を決定するためのモードとして、第一モードと、当該第一モードよりも前記報知演出にて前記特定演出が実行される蓋然性が高まる第二モードと、が設定された遊技機であって、 B 前記第二モードが設定された状態で、前記特定演出が発生することに基づく所定条件が成立した場合には、当該第二モードを自動的に終了させるものであり、 C 前記特定演出は、当否判定結果が当たりとなる場合、はずれとなる場合のいずれであっても前記報知演出にて実行されることがあり、 D 前記特定演出が実行された前記報知演出により報知される当否判定結果が当たりとなることは前記所定条件の成立として設定されている一方、前記特定演出が実行された前記報知演出により報知される当否判定結果がはずれとなることは前記所定条件の成立として設定されていない E ことを特徴とする遊技機。」 (2)引用例、引用発明 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-196343号公報(平成29年11月2日出願公開、以下「引用例」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(なお、下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、遊技機に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、遊技機の一種であるパチンコ遊技機では、演出表示装置(例えば、液晶)を搭載し、当該装置を用いて演出を実行させている。また、パチンコ遊技機では、例えば押しボタンを搭載し、その押しボタンを遊技者に操作させることによってその操作結果を演出表示装置で行われる演出に反映させることも行われている(例えば、特許文献1,2参照)。 ・・・略・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 前述したような押しボタンを用いる演出は、パチンコ遊技機主導で行われる演出に遊技者が参加する要素を取り入れたものであり、遊技者に定着している。このため、押しボタンを操作させるなどの遊技者を参加させる演出の改良は、遊技の興趣を向上させる目的において必要である。 【0005】 この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、興趣の向上を図り得る遊技機を提供することにある。」 イ 「【発明を実施するための形態】 【0013】 以下、パチンコ遊技機に具体化した一実施形態を図1?図8にしたがって説明する。 図1に示すように、遊技機としてのパチンコ遊技機10には、遊技盤YBが備えられている。パチンコ遊技機10の前面側には、遊技盤YBへ遊技球を発射させるときに遊技者によって操作される発射ハンドルHDが配設されている。遊技盤YBの中央には、画像表示部GHを有する演出表示装置11が設けられている。演出表示装置11の画像表示部GHは、例えば液晶ディスプレイ型の表示部である。演出表示装置11では、飾り図柄(演出図柄)を用いた図柄変動ゲームなど、画像を用いた各種演出が表示される。また、パチンコ遊技機10には、発光演出を行う装飾ランプLaが設けられている。装飾ランプLaは、パチンコ遊技機10を構成する枠(例えば前枠)や遊技盤YBに配置されている。また、パチンコ遊技機10には、効果音や楽曲などの各種の音を出力し、音声演出を行うスピーカ(音出力部)Spが設けられている。 【0014】 遊技盤YBには、遊技球が入球可能な複数の入賞口(入球口)が配設されている。入賞口には、第1始動口12と、第2始動口13と、大入賞口14と、を含む。 第1始動口12は、図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において第1始動口12は、演出表示装置11の下方に位置しており、常時、遊技球を入球させることができるように開口されている。第1始動口12には入球した遊技球を遊技盤YBの裏側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には第1始動口12に入球した遊技球を検知するセンサ(図2に示す始動センサSE1)が配設されている。 【0015】 第2始動口13は、図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において第2始動口13は、第1始動口12の下方に位置している。第2始動口13は、所定条件の成立時(普通図柄の当選時)に開閉羽根(普通電動役物)15が開動作を行うことによって遊技球を入球させることができる、若しくは入球し易いように開放される。一方、第2始動口13は、開閉羽根15が閉動作を行うことによって遊技球を入球させることができない、若しくは入球し難いように閉鎖される。開閉羽根15は、アクチュエータ(ソレノイドやモータなど)から動力を受けて動作する。この実施形態において開閉羽根15を動作させるアクチュエータは、図2に示す普通電動役物ソレノイドSOL1である。また、第2始動口13には入球した遊技球を遊技盤YBの裏側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には第2始動口13に入球した遊技球を検知するセンサ(図2に示す始動センサSE2)が配設されている。 ・・・略・・・ 【0022】 また、始動条件が成立した場合には、大当り抽選の抽選結果を導出するために特別図柄表示装置18a,18bで特別図柄の図柄変動ゲームが行われるとともに、当該図柄変動ゲームで導出される特別図柄に応じた結果を導出する図柄変動ゲームが演出表示装置11においても飾り図柄を用いて行われる。 【0023】 この実施形態において特別図柄表示装置18a,18bは、何れも7セグメント型の表示装置である。特別図柄の図変動ゲームでは、7セグメント型の表示装置を構成する発光体を任意に組み合わせたものが特別図柄として導出される。特別図柄には、大当り抽選に当選した場合に導出される大当り図柄と大当り抽選に当選しなかった場合に導出されるはずれ図柄とを含む。一方、飾り図柄を用いた図柄変動ゲームでは、複数列の飾り図柄の組み合わせが導出される。飾り図柄は、例えばアラビア数字を模した意匠で構成されている。そして、全列の飾り図柄が同一の飾り図柄となる組み合わせを大当り抽選に当選したことを特定可能な大当りの組み合わせとし、全列の飾り図柄が同一の飾り図柄とならない組み合わせを大当り抽選に当選しなかったことを特定可能なはずれの組み合わせとしている。 【0024】 飾り図柄の図柄変動ゲームで導出される結果は、特別図柄の図柄変動ゲームで導出される結果に対応する。このため、特別図柄の図柄変動ゲームでは大当り抽選の抽選結果を特別図柄で導出させる一方で、飾り図柄の図柄変動ゲームにおいても大当り抽選の抽選結果を特定可能な情報が飾り図柄で導出される。 ・・・略・・・ 【0028】 また、この実施形態のパチンコ遊技機10は、入球率向上機能を備えている。入球率向上機能は、第2始動口13への単位時間当たりの遊技球の入球率が向上される入球率向上状態を付与することができる機能である。入球率向上状態は、所謂「電サポ状態」、「高ベース状態」である。なお、以下の説明では、入球率向上状態が付与されていない状態を「非入球率向上状態」と示す場合がある。非入球率向上状態は、所謂「非電サポ状態」、「低ベース状態」である。」 ウ 「【0040】 主制御用CPU30aは、第1始動口12へ遊技球が入球した場合、第1特別図柄の始動保留数が上限数(この実施形態では4)未満であるかを判定する。そして、主制御用CPU30aは、第1特別図柄の始動保留数が上限数未満である場合、始動保留数を1加算して書き換えるとともに、加算後の始動保留数を表示させるように保留表示装置19aを制御する。また、主制御用CPU30aは、第2始動口13へ遊技球が入球した場合、第2特別図柄の始動保留数が上限数(この実施形態では4)未満であるかを判定する。そして、主制御用CPU30aは、第2特別図柄の始動保留数が上限数未満である場合、始動保留数を1加算して書き換えるとともに、加算後の始動保留数を表示させるように保留表示装置19bを制御する。なお、主制御用CPU30aは、始動保留数が上限数に達している場合、始動保留数を加算せずに特別図柄入力処理を終了する。また、主制御用CPU30aは、始動保留数を加算した場合、加算後の始動保留数を特定可能な情報(保留指定コマンドなど)を副制御基板31に出力する。始動保留数を特定可能な情報を入力した副制御用CPU31aは、画像表示装置に当該情報から特定可能な始動保留数を示す画像を表示させる。 【0041】 また、主制御用CPU30aは、始動保留数の上限数未満で遊技球が入球した場合、その入球を契機に各種乱数の値を取得するとともに、該取得した各種乱数の値を特定可能な乱数情報を、主制御用RAM30cに記憶させる。乱数情報は、乱数の値によって構成されていても良いし、乱数の値を当該値を特定可能な他の情報に変換した情報によって構成されていても良い。また、主制御用CPU30aは、乱数情報を記憶させる場合、その乱数の値の取得契機となった遊技球の入球順序(情報の記憶順序)と、先に入球した遊技球の入球順序(情報の記憶順序)とが特定可能なように主制御用RAM30cに記憶させる。なお、主制御用CPU30aは、この処理において大当り乱数の値を乱数生成回路30dから取得するとともに、大当り図柄乱数の値や変動パターン振分乱数の値を主制御用RAM30cから取得する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄入力処理を終了する。 ・・・略・・・ 【0046】 次に、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cに記憶されている乱数情報のうち、最先に記憶された乱数情報を取得する。そして、主制御用CPU30aは、取得した乱数情報から特定される大当り乱数の値と大当り判定値とを比較し、大当り抽選を行う。大当り抽選では、大当り乱数の値と大当り判定値とが一致することによって大当りに当選する。 【0047】 大当り抽選に当選した場合、主制御用CPU30aは、大当り処理を行う。具体的に言えば、主制御用CPU30aは、取得した乱数情報から特定される大当り図柄乱数の値に基づき、特別図柄の大当り図柄を決定する。この決定した大当り図柄が、特別図柄の図柄変動ゲームにて導出される確定停止図柄となる。また、主制御用CPU30aは、取得した乱数情報から特定される変動パターン振分乱数の値に基づき、大当り変動用の変動パターンを決定する。 【0048】 一方、大当り抽選に当選しなかった場合、主制御用CPU30aは、はずれ処理を行う。はずれ処理において主制御用CPU30aは、特別図柄のはずれ図柄を決定する。この決定したはずれ図柄が、特別図柄の図柄変動ゲームにて導出される確定停止図柄となる。また、主制御用CPU30aは、取得した乱数情報から特定される変動パターン振分乱数の値に基づき、はずれ変動用の変動パターンを決定する。」 エ 「【0067】 次に、図4及び図5にしたがって、この実施形態のパチンコ遊技機10で行われる裏ボタン演出について説明する。 図4に示すように、このパチンコ遊技機10は、複数種類の演出モードMA,MBを備えており、演出モードMAから演出モードMBへの移行に伴って裏ボタン演出の結果が反映されるようになっている。 【0068】 裏ボタン演出は、前述したように遊技者に積極的に操作を促す表ボタン演出と異なり、遊技者に積極的な操作を促さない隠し要素的な演出である。換言すれば、裏ボタン演出は、自力及び他力を問わずにその存在を知り得た遊技者をさらに楽しませる要素になり得る演出である。 【0069】 裏ボタン演出は、少なくとも画像表示部GHにおいては遊技者の操作を促す報知が行われない。つまり、表ボタン演出のように画像表示部GHを視認していても、何ら報知が行われないことから操作期間が設定されているかが分からず、秘匿されている状態で行われる。また、裏ボタン演出は、ボタン操作に対して応答する報知が行われない。つまり、遊技者は、ボタン操作を行っても、そのボタン操作に対して応答する報知が表ボタン演出のように直ちに行われないので、ボタン操作が受付けられているかが分からない。そして、裏ボタン演出では、操作期間内において特定の操作(特定のボタン操作)が行われることによって、それまでのボタン操作自体が有効化され、飾り図柄の図柄変動ゲームの進行に反映される。例えば、大当り期待度を報知する報知演出(予告演出)が出現する。換言すれば、裏ボタン演出では、操作期間内において特定の操作が行われない場合、それまでのボタン操作は無効となり、特定の操作に合致しないボタン操作は飾り図柄の図柄変動ゲームの進行に反映されない。 【0070】 次に、この実施形態の演出モードMA,MBについて説明する。 演出モードMAは、パチンコ遊技機10の遊技状態が非入球率向上状態であるときに滞在する演出モードである。一方、演出モードMBは、パチンコ遊技機10の遊技状態が入球率向上状態であるときに滞在する演出モードである。 【0071】 この実施形態のパチンコ遊技機10は、大当りの種類として、大当り遊技の終了後に遊技状態を確変状態、かつ入球率向上状態とする確変大当りと、大当り遊技の終了後に遊技状態を非確変状態、かつ入球率向上状態とする非確変大当りと、がある。そして、この実施形態のパチンコ遊技機10における演出モードの移行は、大当り抽選に当選したことを契機とする場合と入球率向上状態の終了条件が成立したことを契機とする場合とがある。 【0072】 具体的に言えば、演出モードMA,MBの何れに滞在している場合であっても、大当り抽選に当選して大当り遊技の終了後に入球率向上状態が付与されるときには、大当り遊技の終了後、演出モードMBに滞在する。また、電源投入時に遊技状態が初期設定されている場合(非確変状態、かつ非入球率向上状態)や、入球率向上状態の終了条件が成立した場合など、非入球率向上状態が付与されるときには、演出モードMAに滞在する。これらの演出モードの移行は、副制御用CPU31aの制御によって行われる。副制御用CPU31aは、主制御用CPU30aが行う遊技状態に関する処理において出力される状態指定コマンドをもとに遊技状態を把握し、演出モードの移行を制御する。また、副制御用CPU31aは、演出モードの制御において滞在中の演出モードを遊技者が認識し得るように、画像表示部GHにモード固有の背景画像を表示させたり、スピーカSpからモード独自のBGM(例えば楽曲)を出力させたりする。 【0073】 なお、演出モードは、2種類に限らず、3種類以上備えていてもよい。例えば、確変状態の有無と入球率向上状態の有無の組み合わせから生じ得る遊技状態毎に演出モードを備えていてもよいし、同一の遊技状態において異なる演出モードを備えていてもよい。つまり、演出モードの種類や移行条件などは、パチンコ遊技機10が備える大当りの種類などの仕様によって任意に設定することができる。 【0074】 そして、この実施形態のパチンコ遊技機10において演出モードMBには、裏ボタン演出の結果が反映されていない通常モードMB1と、裏ボタン演出の結果が反映された完全告知モードMB2と、をさらに有する。 【0075】 完全告知モードMB2は、大当り抽選に当選したことを遊技者に告知する告知演出を、大当り抽選に当選したときの特別図柄及び飾り図柄の図柄変動ゲームに伴わせて100%の出現率で実行させる演出モードである。つまり、遊技者は、特別図柄及び飾り図柄の図柄変動ゲームの結果を待たずして、告知演出の出現によって大当りを認識することができる。この実施形態の告知演出は、スピーカSpから確定音を出力させることによって行われる。一方、通常モードMB1は、前述した告知演出の出現率を100%としていない、つまり大当り抽選に当選しているときであっても出現しない場合がある演出モードである。このため、完全告知モードMB2は、告知演出の出現率が通常モードMB1よりも上昇する演出モードであり、演出としての告知演出の出現率が変化していることになる。 【0076】 遊技者は、第1に大当り抽選に当選することを望んでいることから、大当り抽選の結果を導出させる図柄変動ゲームの展開に注目している。このため、告知演出は、遊技者が知りたいと思う事柄を報知する演出であり、注目度は必然的に高くなる。このような観点で考えると、通常モードMB1における告知演出の出現率を、完全告知モードMB2の出現率(100%)よりも極めて低い確率(この実施形態では出現率10%としている)とすれば、告知演出の希少性や価値観を高めることが可能である。また、この実施形態のように完全告知モードMB2への移行条件を裏ボタン演出によって成立させるのであれば、通常モードMB1における告知演出の出現率を0(零)%若しくは0(零)に極めて近い数値に設定することで、裏ボタン演出を経由する移行形態の価値観を高めることが可能である。通常モードMB1における告知演出の出現率を0(零)%に設定する場合、通常モードMB1は告知演出が実行されない演出モード(非告知モード)として位置付けることができ、図柄変動ゲームが終了するまで大当りか否か分からず、最後まで大当りへの期待感を抱かせる演出モードとなり得る。 【0077】 なお、非入球率向上状態の演出モードMAにおける告知演出の出現率は、演出モードMBの通常モードMB1における告知演出の出現率と同一出現率としてもよいし、通常モードMB1の出現率よりも低い出現率としてもよく、出現率0(零)%としてもよい。また、通常モードMB1と完全告知モードMB2との出現率の差をより強調しようとするならば、通常モードMB1の出現率を演出モードMAの出現率よりも低くし、通常モードMB1の出現率を最も低くしてもよい。 ・・・略・・・ 【0086】 また、この実施形態において告知演出の変更後の出現率は、完全告知モードMB2中に大当りに当選したことによって大当り遊技が生起されることを条件として初期出現率に戻される。つまり、副制御用CPU31aは、告知演出の出現率を初期出現率にリセットする。この実施形態の初期出現率は、通常モードMB1の出現率である。副制御用CPU31aは、滞在中の演出モードを特定可能な情報(フラグ)を副制御用RAM31cに記憶して管理している。このため、告知演出の出現率を初期出現率に戻すことは、演出モードを特定可能な情報を変更することに相当する。各演出モードMA,MB1,MB2における告知演出の出現率は、演出制御プログラムに設定されている。大当り遊技は、前述したようにパチンコ遊技機10において遊技を進行させることによって生じる事象であり、出現率を初期出現率に戻す契機となり得る特定の事象に相当する。つまり、この実施形態において変更後の出現率に相当する完全告知モードMB2における告知演出の出現率は、遊技者による操作ボタンBT1,BT2の操作を条件とせずに初期出現率に戻される。また、このように大当り遊技を契機として告知演出の出現率を初期出現率に戻す場合は、確変状態中や入球率向上状態中に連続して大当り遊技が生起されるとき、すなわち大当りに連続当選(連チャン)するとき、裏ボタン演出を経て毎回、告知演出の出現率を設定することになる。その結果、遊技者には、大当り遊技と演出モードMBを繰り返すとき、演出モードMBを通常モードMB1とするか、完全告知モードMB2とするか、を選択する権利を与えることになる。」 オ 「【0097】 したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。 (1)遊技者の操作(実施形態ではボタン操作)を演出(実施形態では告知演出)の出現率に反映させることで、遊技の進行に変化を与え、興趣の向上を図ることができる。この実施形態において遊技者の操作は、当該操作の有効化条件を成立させ得る特定の操作(連続操作)であることが特定されることで有効化される。換言すれば、有効化条件を成立させることに適合しない操作は無効化され、演出の出現率の変更には反映されない。このため、演出の出現率の変更は、有効化条件を成立させた遊技者への特典として捉えることもでき、遊技者の積極的な参加やチャレンジを促すことができ、興趣の向上を図ることができる。 【0098】 (2)有効化条件が成立するまでの遊技者の操作に対してパチンコ遊技機10側からの応答、つまり遊技者の操作が受付けられている報知が行われないので、遊技者の操作を通じて演出の出現率が変更されることを隠し要素的な位置付けとすることができる。このため、遊技者の積極的な参加やチャレンジを促すことができ、興趣の向上を図ることができる。 【0099】 (3)有効化条件の成立を契機に報知演出を実行させる、つまり演出の出現率の変更が受付けられたことを報知させるので、有効化条件が成立する過程を遊技者に認識させることができる。このため、演出の出現率の変更を希望する遊技者に有効化条件を成立させるための再三の操作を促すことができる。 【0100】 (4)有効化条件を成立させる条件として遊技者の操作に加え、有効化条件を成立させることができる状況(実施形態では大当りが生起されること)を追加している。このため、有効化条件を成立させること、つまり演出の出現率を変更させることの特殊性を際立たせることができ、興趣の向上を図ることができる。 【0101】 また、演出の出現率の変更は、遊技者の操作による条件に加え、他の条件(実施形態では大当りが生起されること)も満たすことによって受付けられることから、単に遊技者が例えば操作ボタンBT2などの部材を操作すれば出現率を変更できる場合に比して出現率の変更自体に付加価値を見出すことができる。つまり、遊技者が自身の希望を満たす過程に難易度を設定し、遊技者の参加意欲を掻き立てることができる。 【0102】 (5)そして、他の条件を、大当り抽選に当選することを前提とした条件に設定することで、演出の出現率を変更することに対する価値観を高めることができるとともに、大当り抽選に当選したことに対する特典の1つと位置付けることができる。 【0103】 (6)一方、遊技者の操作による条件を、隠し要素的な操作を行ったことを前提とした条件に設定することで、演出の出現率を変更させることの特殊性を際立たせることができる。裏ボタン演出は、画像表示部GHにおいて遊技者の操作を促す報知が行われていないときに行われる演出である。このため、演出の出現率の変更を、隠し要素的な操作を行ったことによって受付け可能としたことで、演出の出現率を変更させることの特殊性を際立たせることができる。 【0104】 (7)エンディング時間は、大当り遊技から次の大当り遊技を得るための遊技(図柄変動ゲーム)に切り替わる間にある時間であって、大当り遊技を消化した遊技者が一呼吸置く時間でもある。このため、このような時間を利用することで、有効化条件を成立させる操作を行わせることに遊技者を集中させることができる。 【0105】 (8)また、エンディング時間は、大当り遊技の終了後の最初の図柄変動ゲームが開始するよりも前に設定される時間である。このため、大当り遊技中に、演出の出現率を変更するかを遊技者に考えさせることができる。そして、演出の出現率の変更は、大当り遊技の終了後の最初の図柄変動ゲームが開始するまでの間に行う必要があるから、何時でも変更が受付けられる場合に比して出現率を変更させることに価値を与えることができる。 【0106】 (9)単一の検知手段(実施形態では検知部K2)の検知結果をもとに有効化条件を成立させる場合には、隠し要素的な演出に対してチャレンジすることへの難易度を下げることができる。例えば、ある特定の部材を操作すれば良いかも、というように有効化条件を成立させることへの意欲を沸かせることができる。 【0107】 (10)演出の出現率は、遊技者の操作によって変更できる一方で、その変更後の出現率は遊技者の操作を条件とせずに初期出現率に戻される。このため、遊技者が自身の希望を満たすためには操作を積極的に行う必要があることから、遊技者の参加意欲を掻き立てることができる。 【0108】 (11)また、遊技の進行過程において特定の事象(実施形態では大当り遊技)が生じた場合に演出の出現率を初期出現率に戻すので、出現率が戻されることを理解し易い。 (12)また、大当り遊技は、遊技の区切りとなり得る事象であるから、演出の出現率を戻すタイミングとして適切である。つまり、大当り遊技の後も演出の出現率を変更するかを遊技者に選択させるタイミングとして相応しい。 【0109】 (13)完全告知モードMB2は、図柄変動ゲーム中に告知演出(実施形態では確定音の出力)が実行されないときにはずれを確定的に認識し得る演出モードにもなり得ることから、遊技者によって好む、好まないが比較的生じやすい。また、完全告知モードMB2を選択したことによって、大当りに連続当選している間、完全告知モードMB2で遊技を継続させることは、遊技者の興趣の低下に繋がる虞がある。このため、この実施形態の完全告知モードMB2は、その移行条件に裏ボタン演出で有効化条件を成立させることや大当り抽選に当選することを加えるとともに、大当り遊技が生じ得る毎に告知演出の出現率をリセットするようにしている。したがって、この実施形態の完全告知モードMB2によれば、当該完全告知モードMB2で遊技を行うか否か、並びに継続させるか否かを遊技者の判断に委ねることができ、興趣の低下を抑制し得る。 【0110】 (14)完全告知モードMB2は、前述したように図柄変動ゲーム中に告知演出が実行されないときにはずれを確定的に認識し得る演出モードにもなり得ることから、遊技者が次の大当りを強く意識する状況下で行われることが好ましい。例えば、確変状態であれば次の大当りは確約されており、また入球率向上状態であれば次の大当りは確約されてはいないが、非入球率向上状態に比べれば遊技者が次の大当りを強く意識する状況である。このため、完全告知モードMB2を、裏ボタン演出によって、確変状態かつ入球率向上状態、又は非確変状態かつ入球率向上状態となり得る演出モードMBにおいて突入させることで、完全告知モードMB2に移行させることを遊技者に意識させることができる。その結果、遊技者の積極的な参加やチャレンジを促すことができ、興趣の向上を図ることができる。」 カ 「【0111】 なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。 ・・・略・・・ 【0126】 ・告知演出は、音による演出に代えて又は加えて、演出表示装置11による画像を用いた演出としてもよいし、装飾ランプLaによる発光を用いた演出としてもよい。 ・演出の出現率の変更は、告知演出の出現率に代えて又は加えて他の演出の出現率としてもよい。例えば、メイン変動パターンに対して複数種類のサブ変動パターンを振分けておき、そのサブ変動パターンの選択率が変更されてもよい。また、例えば、図柄変動ゲームに伴う演出として、リーチが形成されるか否かを報知するリーチ予告、リーチ演出が大当り期待度の高い内容(所謂、スーパーリーチ)に発展するか否かを報知する発展予告などの出現率が変更されてもよい。また、図柄変動ゲームに伴う演出として、例えば、擬似連続演出(所謂、擬似連)、先読み演出(所謂、連続演出)、再抽選演出などの出現率が変更されてもよい。擬似連続演出は、1回の図柄変動ゲームにおいて複数回の変動を伴わせる演出であり、変動の回数が多くなるほど大当り期待度を増加させている。また、先読み演出は、始動口へ遊技球が入球した際に取得した大当り乱数の値を、大当り抽選よりも前に判定し、その判定結果をもとに当該判定対象とした始動保留に基づくゲーム開始以前に予告を開始させる演出である。先読み演出には、複数回のゲームを跨いで実行させる演出や、保留表示を変化させる演出がある。なお、上記した演出の出現率は、副制御用CPU31aによる実行抽選の当選確率によって制御してもよい。例えば、副制御用CPU31aは、先読み演出を実行させるかの実行抽選を行い、その実行抽選の当選確率を異ならせることで先読み演出の出現率を変更する。 【0127】 ・また、演出の出現率の変更は、図柄変動ゲームに伴う演出に代えて又は加えて、大当り遊技中に行われる演出の出現率としてもよい。例えば、大当り遊技中に行われる演出として、確変昇格演出やラウンド昇格演出などがある。確変昇格演出は、大当り遊技中に確変大当りかを報知する演出である。ラウンド昇格演出は、例えばラウンド数の異なる大当り遊技を有する場合に、ラウンド数の多い大当り遊技であるかを報知する演出である。なお、上記した演出の出現率は、副制御用CPU31aによる実行抽選の当選確率によって制御してもよい。」 キ 「【0136】 次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。 ・・・略・・・ 【0141】 (2-5)第2条件を成立させる特定の操作又は特定の動作は、操作又は動作の有効化条件を成立させ得る連続操作又は連続動作である前記(2-4)に記載の遊技機。 (3-1)遊技者の操作又は動作を検知する単数又は複数の検知手段と、演出を制御する演出制御手段と、を備えた遊技機において、演出制御手段は、検知手段の検知結果から特定の操作又は特定の動作を特定できる場合に演出の出現率の変更を受付け、変更後の出現率で演出の実行を制御し、変更後の出現率を遊技者の操作又は動作を条件とせずに初期出現率に戻す遊技機。 【0142】 (3-2)演出制御手段は、遊技を進行させることによって特定の事象が生じた場合に変更後の出現率を初期出現率に戻す前記(3-1)に記載の遊技機。 (3-3)特定の事象は、大当り抽選に当選したことによって大当り遊技が生起されることである前記(3-2)に記載の遊技機。」 ク 上記エの「【0086】また、この実施形態において告知演出の変更後の出現率は、完全告知モードMB2中に大当りに当選したことによって大当り遊技が生起されることを条件として初期出現率に戻される。・・・」との記載、上記オの「【0108】・・・遊技の進行過程において特定の事象(実施形態では大当り遊技)が生じた場合に演出の出現率を初期出現率に戻すので、出現率が戻されることを理解し易い。・・・大当り遊技は、遊技の区切りとなり得る事象であるから、演出の出現率を戻すタイミングとして適切である。つまり、大当り遊技の後も演出の出現率を変更するかを遊技者に選択させるタイミングとして相応しい。」との記載、上記カの「【0126】・・・演出の出現率の変更は、告知演出の出現率に代えて又は加えて他の演出の出現率としてもよい。・・・図柄変動ゲームに伴う演出として、リーチが形成されるか否かを報知するリーチ予告、リーチ演出が大当り期待度の高い内容(所謂、スーパーリーチ)に発展するか否かを報知する発展予告などの出現率が変更されてもよい。」との記載、及び、上記キの「【0142】・・・遊技を進行させることによって特定の事象が生じた場合に変更後の出現率を初期出現率に戻す・・・特定の事象は、大当り抽選に当選したことによって大当り遊技が生起されることである」との記載より、「演出の出現率を戻すタイミング」が「大当り」である理由が、「大当り遊技は、遊技の区切りとなり得る事象であるから、演出の出現率を戻すタイミングとして適切」との理由であることが示されていると理解できる。 そして、当該理由によれば、「演出の出現率を戻すタイミング」を「大当り」とすることは、出現率を変更する演出の種類に依存した理由によるものでないことから、告知演出でないリーチ予告又は発展予告の演出であっても、「大当り」で「出現率を戻す」ものと認められる。 そうすると、出現率が、告知演出の出現率若しくはリーチ予告又は発展予告の出現率のいずれであるかにかかわらず、変更後の出現率を初期出現率に戻すタイミングとして、大当り遊技であるといえる。 してみると、引用例の記載事項から、図柄変動ゲームに伴う演出として実行される、リーチ予告又は発展予告の変更後の出現率は、当該出現率中で大当りに当選したことによって大当り遊技が生起されることを条件として初期出現率に戻されることが認定できる。 ケ 上記エの「【0075】 完全告知モードMB2は、大当り抽選に当選したことを遊技者に告知する告知演出を、大当り抽選に当選したときの特別図柄及び飾り図柄の図柄変動ゲームに伴わせて100%の出現率で実行させる演出モードである。・・・一方、通常モードMB1は、前述した告知演出の出現率を100%としていない、つまり大当り抽選に当選しているときであっても出現しない場合がある演出モードである。このため、完全告知モードMB2は、告知演出の出現率が通常モードMB1よりも上昇する演出モードであり、演出としての告知演出の出現率が変化していることになる。」との記載、上記オの「【0097】・・・演出の出現率の変更は、有効化条件を成立させた遊技者への特典として捉えることもでき、」との記載、上記オの「【0101】・・・出現率の変更自体に付加価値を見出すことができる。」との記載、及び、上記カの「【0126】・・・演出の出現率の変更は、告知演出の出現率に代えて又は加えて他の演出の出現率としてもよい。・・・図柄変動ゲームに伴う演出として、リーチが形成されるか否かを報知するリーチ予告、リーチ演出が大当り期待度の高い内容(所謂、スーパーリーチ)に発展するか否かを報知する発展予告などの出現率が変更されてもよい。」との記載より、出現率がリーチ予告又は発展予告の出現率である場合にも、「出現率の変更」とは、出現率を上昇させるように変更することを意味するといえる。 そうすると、引用例の記載事項から、リーチ予告、発展予告などの出現率が上昇するように変更されることが認定できる。 コ 上記アないしケから、引用例には、実施形態における「告知演出」を「リーチ予告」又は「発展予告」と読み替えた態様として、次の発明が記載されている。なお、aないしeについては本願補正発明の特定事項AないしEに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。 「a、c 第1始動口12又は第2始動口13へ遊技球が入球した場合(【0040】)、その入球を契機に各種乱数の値を取得するとともに、該取得した各種乱数の値を特定可能な乱数情報を、主制御用RAM30cに記憶させ(【0041】)、取得した乱数情報から特定される大当り図柄乱数の値に基づき、特別図柄の大当り図柄又ははずれ図柄を決定し、この決定した大当り図柄又ははずれ図柄を特別図柄の図柄変動ゲームにて導出される確定停止図柄とし(【0047】、【0048】)、特別図柄に応じた結果を導出する図柄変動ゲームが演出表示装置11においても飾り図柄を用いて行い(【0022】)、飾り図柄の図柄変動ゲームで導出される結果は、特別図柄の図柄変動ゲームで導出される結果に対応するように、飾り図柄の図柄変動ゲームにおいても大当り抽選の抽選結果を特定可能な情報が飾り図柄で導出され(【0024】)、図柄変動ゲームに伴う演出として実行される、リーチが形成されるか否かを報知するリーチ予告、リーチ演出が大当り期待度の高い内容(所謂、スーパーリーチ)に発展するか否かを報知する発展予告などの出現率が上昇するように変更される(【0126】、上記ケ)、パチンコ遊技機10(【0013】)であって、 b、d リーチ予告又は発展予告の変更後の出現率は、当該出現率中で大当りに当選したことによって大当り遊技が生起されることを条件として初期出現率に戻される(上記ク)、 e パチンコ遊技機10(【0013】)。」(以下「引用発明」という。) (3)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する(見出し(a)ないし(e)は、本願補正発明の特定事項AないしEに概ね対応する。)。 (a)(e)引用発明の「第1始動口12又は第2始動口13」、「遊技球」、「大当り図柄乱数の値」、「『大当り』又は『はずれ』」、「大当り図柄又ははずれ図柄」、「図柄変動ゲーム」及び「パチンコ遊技機10」は、それぞれ本願補正発明の「所定の領域」、「遊技球」、「当否判定情報」、「当否判定結果」、「識別図柄」、「報知演出」及び「遊技機」に相当する。 そして、引用発明のa、cにおいて、第1始動口12又は第2始動口13(所定領域)へ遊技球が入球した場合、その入球を契機に各種乱数の値を取得するとともに、該取得した各種乱数の値を特定可能な乱数情報から特定される大当り図柄乱数の値(当否判定情報)に基づき、特別図柄の大当り図柄又ははずれ図柄(識別図柄)を決定し、この決定した大当り図柄又ははずれ図柄(識別図柄)を特別図柄の図柄変動ゲームにて導出される確定停止図柄とし、特別図柄に応じた結果を導出する図柄変動ゲームが演出表示装置11においても飾り図柄を用いて行い、飾り図柄の図柄変動ゲームで導出される結果は、特別図柄の図柄変動ゲームで導出される結果に対応するように、飾り図柄の図柄変動ゲーム(報知演出)においても大当り抽選の抽選結果を特定可能な情報が飾り図柄で導出されているものである。そうすると、引用発明のa、cは、本願補正発明の特定事項Aにおける、「所定の領域に遊技球が進入することを契機として取得される当否判定情報に基づき実行される当否判定結果を報知する演出であって識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出」を実行しているといえる。 また、引用発明の「リーチ予告」又は「発展予告」は、図柄変動ゲーム(報知演出)に伴う演出として実行されるから、本願補正発明の「報知演出中にて」「実行される」「特定演出」に相当する。 また、引用発明は、リーチ予告又は発展予告(特定演出)の出現率が上昇するように変更されるものであるから、上昇前の「低出現率状態」と上昇後の「高出現率状態」とが設定され得るといえる。そうすると、該「低出現率状態」及び「高出現率状態」は、それぞれ本願補正発明の「第一モード」及び「当該第一モードよりも前記報知演出にて前記特定演出が実行される蓋然性が高まる第二モード」に相当し、引用発明が本願補正発明の「第一モードと、」「第二モードと、が設定された遊技機」との特定事項を備えるといえる。 そうしてみると、引用発明のa、cは、本願補正発明の「A 所定の領域に遊技球が進入することを契機として取得される当否判定情報に基づき実行される当否判定結果を報知する演出であって識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出中に実行される演出を決定するためのモードとして、第一モードと、当該第一モードよりも前記報知演出にて特定演出が実行される蓋然性が高まる第二モードと、が設定された遊技機であ」るとの特定事項を備える。 また、引用発明のeは、本願補正発明の特定事項Eに相当する。 なお、本願補正発明の特定事項Aにおける「前記特定演出」は、該「前記特定演出」の記載より前に「特定演出」との記載がないため、「前記特定演出」を「前記」のない単なる「特定演出」であると解し、対比を行った。 (b)(d)引用発明のb、dにおいて、リーチ予告又は発展予告(特定演出)の上昇後の高出現率状態(第二モード)は、当該出現率中で大当りに当選したことによって大当り遊技が生起されることを条件として初期出現率に戻されるものであり、該「初期出現率」は前述の「低出現率」であるから、低出現率状態である初期出現率状態も、本願補正発明の「第一モード」に相当する。 また、引用発明のb、dにおいて、リーチ予告又は発展予告(特定演出)の変更後の出現率を初期出現率に戻す条件は、言い換えれば、高出現率状態(第二モード)で該高出現率状態(第二モード)を自動的に終了させる条件であって、リーチ予告又は発展予告(特定演出)が発生することに基づく所定条件ということができるから、引用発明のb、dは、本願補正発明の「B 前記第二モードが設定された状態で、前記特定演出が発生することに基づく所定条件が成立した場合には、当該第二モードを自動的に終了させるものであり、」との特定事項を備える。 また、引用発明のb、dにおいて、リーチ予告又は発展予告(特定演出)の変更後の出現率を初期出現率に戻す条件(所定条件)は、当該出現率中で大当りに当選したことによって大当り遊技が生起されることであるが、技術常識からみて、大当り遊技の生起が、大当り当選を経て、大当り図柄(識別図柄)が特別図柄の図柄変動ゲーム(報知演出)にて確定停止図柄として導出されることを条件としているから、引用発明のb、dは、本願補正発明の特定事項Dの「前記特定演出が実行された前記報知演出により報知される当否判定結果が当たりとなることは前記所定条件の成立として設定されている」との特定事項を備える。 さらに、引用発明のb、dにおいて、リーチ予告又は発展予告(特定演出)の変更後の出現率を初期出現率に戻す条件(所定条件)は、当該出現率中で大当たりとなることであって、はずれとなることではないから、引用発明のb、dは、本願補正発明の特定事項Dの「前記特定演出が実行された前記報知演出により報知される当否判定結果がはずれとなることは前記所定条件の成立として設定されていない」との特定事項を備える。 以上のとおりであるから、引用発明のb、dは、本願補正発明の「D 前記特定演出が実行された前記報知演出により報知される当否判定結果が当たりとなることは前記所定条件の成立として設定されている一方、前記特定演出が実行された前記報知演出により報知される当否判定結果がはずれとなることは前記所定条件の成立として設定されていない」との特定事項を備える。 (c)引用発明のa、cにおいて、リーチが形成されるか否かを報知するリーチ予告(特定予告)、リーチ演出が大当り期待度の高い内容(所謂、スーパーリーチ)に発展するか否かを報知する発展予告(特定予告)は、これらの予告が発生していない時に比べて、大当り期待度が高い状態であるが、大当りとなる場合及びはずれとなる場合のいずれであっても、図柄変動ゲーム(報知演出)で実行され得るから、引用発明のa、cは、本願補正発明の「C 前記特定演出は、当否判定結果が当たりとなる場合、はずれとなる場合のいずれであっても前記報知演出にて実行されることがあり、」との特定事項を備える。 以上のとおりであるから、本願補正発明と引用発明とは、 「A 所定の領域に遊技球が進入することを契機として取得される当否判定情報に基づき実行される当否判定結果を報知する演出であって識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出中に実行される演出を決定するためのモードとして、第一モードと、当該第一モードよりも前記報知演出にて前記特定演出が実行される蓋然性が高まる第二モードと、が設定された遊技機であって、 B 前記第二モードが設定された状態で、前記特定演出が発生することに基づく所定条件が成立した場合には、当該第二モードを自動的に終了させるものであり、 C 前記特定演出は、当否判定結果が当たりとなる場合、はずれとなる場合のいずれであっても前記報知演出にて実行されることがあり、 D 前記特定演出が実行された前記報知演出により報知される当否判定結果が当たりとなることは前記所定条件の成立として設定されている一方、前記特定演出が実行された前記報知演出により報知される当否判定結果がはずれとなることは前記所定条件の成立として設定されていない E 遊技機。」である点で一致し、相違する点がなく同一である。 (6)請求人の主張について ア 請求人は、審判請求書の「(4)原査定が取り消されるべき理由」において、概ね以下のとおり主張している。 「・・・以下に「理由1」および「理由2」として示す通り、当該引用発明の認定は明らかに誤りである。 ・理由1 引用文献1の段落0086の 「この実施形態において変更後の出現率に相当する完全告知モードMB2における告知演出の出現率は、遊技者による操作ボタンBT1,BT2の操作を条件とせずに初期出現率に戻される。」とした制御は、その記載通り、「完全告知モード」の対象となる演出、すなわち告知演出(大当たり確定演出)について制御について述べているのであり、告知演出ではない演出(大当たり確定ではない演出)についての制御を述べているものではない。 つまり、段落0126の 「演出の出現率の変更は、告知演出の出現率に代えて又は加えて他の演出の出現率としてもよい。・・・例えば・・・図柄変動ゲームに伴う演出として、リーチが形成されるか否かを報知するリーチ予告、リーチ演出が大当り期待度の高い内容(所謂、スーパーリーチ)に発展するか否かを報知する発展予告などの出現率が変更されてもよい。」との記載における「他の演出」(大当たり確定ではない演出)についても、段落0086のような制御がなされることが開示されているとする根拠は全く無い。 段落0086は「完全告知モード」についての記載であるのであるから、段落0126に記載されるように大当たり確定演出ではない「他の演出」の出現率を変更可能な構成としたのであれば、それはもはや「完全告知モード」ではなくなるのであるから、段落0086に記載されるような制御が実行されることは想定されていないといえる。 よって、原査定における引用発明の認定には誤りがあるといえる。 ・理由2 上述した通り、原査定では、 『引用文献1には、「また、この実施形態において告知演出の変更後の出現率は、完全告知モードMB2中に大当りに当選したことによって大当り遊技が生起されることを条件として初期出現率に戻される。」(段落0086)と記載されているから、引用文献1に記載された発明は、高出現率モード中に当否判定結果が当たりとなることを条件として、高出現率モードを自動的に終了させるものであると認められる。当否判定結果が当たりとなることが条件なのであるから、当否判定結果がはずれとなっても初期出現率に戻されることはないことは明らかである。』・・・とする判断がなされている。 ここで、段落0086は、告知演出、すなわち大当たり確定演出である演出について述べているものであるところ、その記載を受けて「はずれ」となる場合についてまで認定することは明らかに失当である。 つまり、告知演出は、はずれとなる場合には出現しないのであるから、告知演出が出現した上で『当否判定結果がはずれとな』ることは生じないのであり、このような生じることのない状況における制御まで認定し、引用発明と本願発明とが一致すると結論付けるのは妥当性を欠くといえる(当然ではあるが、引用文献1には、告知演出が出現した上ではずれとなった場合における初期出現率の制御に関する記載は全く存在しない)。 よって、原査定における引用発明の認定には誤りがあるといえる。」 イ 請求人の主張について検討する。 まず、上記「・理由1」については、上記(2)クで示したとおり、引用例において、出現率が、告知演出の出現率若しくはリーチ予告又は発展予告の出現率のいずれであるかにかかわらず、変更後の出現率を初期出現率に戻すタイミングとして、大当り遊技が適切であるから、実施形態における「告知演出」を「リーチ予告」又は「発展予告」と読み替えたとしても、引用例の【0086】のように、大当り遊技が生起されることにより初期出現率に戻されるものである。 次に、上記「・理由2」については、上記(3)(c)で示したとおり、実施形態における「告知演出」を「リーチ予告」又は「発展予告」と読み替えることを前提とすれば、リーチ予告又は発展予告は、大当りとなる場合及びはずれとなる場合のいずれであっても、図柄変動ゲーム(報知演出)で実行され得るものである。 以上とおりであるから、請求人の主張は採用できない。 (7)まとめ 以上のように、本願補正発明は、引用発明である。 したがって、本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当するから特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明は、令和2年5月25日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)に本件補正前の請求項2として記載したとおりのものであり、再掲すると、次のとおりのものである。 「A 遊技中に実行される演出を決定するためのモードとして、第一モードと、当該第一モードよりも特定演出の発生頻度が高まる第二モードと、が設定された遊技機であって、 B 前記第二モードが設定された状態で、前記特定演出が発生することに基づく所定条件が成立した場合には、当該第二モードを自動的に終了させるものであり、 C 当否判定結果を報知する報知演出に前記特定演出が含まれても当該当否判定結果が当たりとなることが確定するわけではなく、 D 前記特定演出を含む前記報知演出により報知される当否判定結果が当たりとなることは前記所定条件の成立として設定されている一方、前記特定演出を含む報知演出により報知される当否判定結果がはずれとなることは前記所定条件の成立として設定されていない E ことを特徴とする遊技機。」 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、概略、以下の理由を含むものである。 (理由1)この出願の令和2年5月25日提出の手続補正書により補正された下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (理由2)この出願の令和2年5月25日提出の手続補正書により補正された下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ●理由1(特許法第29条第1項第3号)について ・請求項2-3 ・引用文献等 1 ●理由2(特許法第29条第2項)について ・請求項2-4 ・引用文献等 1 ・請求項4 ・引用文献等1-2 <引用文献等一覧> 1.特開2017-196343号公報 2.特開2012-10858号公報 3 引用例、引用発明 引用例(引用文献1)、引用発明は、上記第2[理由]3(2)に記載したとおりである。 4 対比 (a)(e)本願発明の特定事項Aの「遊技中に実行される演出」は、本願補正発明の特定事項Aの「所定の領域に遊技球が進入することを契機として取得される当否判定情報に基づき実行される当否判定結果を報知する演出であって識別図柄が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で停止するまでの報知演出中に実行される演出」を「演出」に関して上位概念化するとともに、本願発明の特定事項Aのその余の特定事項は、本願補正発明の特定事項Aのその余の特定事項と同じであるから、上記第2[理由]3(3)(a)(e)で示したとおり、引用発明のa、cは、本願補正発明の特定事項Aを備えるならば、本願発明の特定事項Aも同様に備えるといえる。 また、上記第2[理由]3(3)(a)(e)で示したとおり、引用発明のeは、本願発明の特定事項Eを備える。 (b)本願発明の特定事項Bと、本願補正発明の特定事項Bとは、本件補正の前後で実質変わらないから、引用発明のb、dは、上記第2[理由]3(3)(b)(d)で示したとおり、本願発明の特定事項Bを備える。 (c)本願発明の特定事項Cの「当否判定結果を報知する報知演出に前記特定演出が含まれても当該当否判定結果が当たりとなることが確定するわけではなく、」は、本願補正発明の特定事項Cの「前記特定演出は、当否判定結果が当たりとなる場合、はずれとなる場合のいずれであっても前記報知演出にて実行されることがあり、」を「特定演出」と「当否判定結果」との関係について上位概念化するものであるから、上記第2[理由]3(3)(c)で示したとおり、引用発明のa、cは、本願補正発明の特定事項Cを備えるならば、本願発明の特定事項Cも同様に備えるといえる。 (d)本願発明の特定事項Dの「前記特定演出を含む前記報知演出」は、本願補正発明の特定事項Dの「前記特定演出が実行された前記報知演出」を「報知演出」と「特定演出」との関係について上位概念化するとともに、本願発明の特定事項Dのその余の特定事項は、本願補正発明の特定事項Dのその余の特定事項と同じであるから、上記第2[理由]3(3)(b)(d)で示したとおり、引用発明のb、dは、本願補正発明の特定事項Dを備えるならば、本願発明の特定事項Dも同様に備えるといえる。 以上のとおりであるから、本願発明と引用発明とは、 「A 遊技中に実行される演出を決定するためのモードとして、第一モードと、当該第一モードよりも特定演出の発生頻度が高まる第二モードと、が設定された遊技機であって、 B 前記第二モードが設定された状態で、前記特定演出が発生することに基づく所定条件が成立した場合には、当該第二モードを自動的に終了させるものであり、 C 当否判定結果を報知する報知演出に前記特定演出が含まれても当該当否判定結果が当たりとなることが確定するわけではなく、 D 前記特定演出を含む前記報知演出により報知される当否判定結果が当たりとなることは前記所定条件の成立として設定されている一方、前記特定演出を含む報知演出により報知される当否判定結果がはずれとなることは前記所定条件の成立として設定されていない E 遊技機。」である点で一致し、相違する点がなく同一である。 よって、本願発明は、引用例に記載された発明である。 5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2021-08-17 |
結審通知日 | 2021-08-24 |
審決日 | 2021-09-08 |
出願番号 | 特願2018-40013(P2018-40013) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松平 佳巳、佐藤 久則 |
特許庁審判長 |
石井 哲 |
特許庁審判官 |
鉄 豊郎 澤田 真治 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 特許業務法人上野特許事務所 |