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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01G
管理番号 1379437
審判番号 不服2021-1823  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-09 
確定日 2021-10-28 
事件の表示 特願2016-235075「電子部品」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 6月14日出願公開、特開2018- 93051〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成28年12月2日の出願であって、令和2年7月6日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年9月9日に意見書が提出されたが、同年11月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、令和3年2月9日に拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされたものである。

第2 令和3年2月9日の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
令和3年2月9日の手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正について
令和3年2月9日の手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正前には、
「【請求項1】
積層コンデンサと、
電気絶縁性を有する基板本体を含み、該基板本体の一方主面側に前記積層コンデンサが実装されたインターポーザと、を備える電子部品であって、
前記積層コンデンサは、複数の誘電体層及び複数の内部電極層が積層された積層体と、第1外部電極と、第2外部電極とを備え、
前記積層体は、前記基板本体の前記一方主面に直交する厚さ方向に相対する第1主面と、前記基板本体の前記一方主面に直交する厚さ方向に相対し、前記基板本体の前記一方主面と対向する第2主面と、前記厚さ方向に直交する長さ方向に相対する第1端面及び第2端面と、前記厚さ方向及び前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第1側面及び第2側面とを有し、
前記第1外部電極は、前記積層体の前記第1端面に配置され、前記複数の内部電極層のうちの少なくとも一部の内部電極層と電気的に接続されており、
前記第2外部電極は、前記積層体の前記第2端面に配置され、前記複数の内部電極層のうちの少なくとも一部の内部電極層と電気的に接続されており、
前記積層体は、前記第1外部電極及び前記第2外部電極にそれぞれ接続された内部電極層が誘電体層を介して積層された有効領域、及び、該有効領域を囲む非有効領域からなり、前記有効領域の幅W_(11e)は、前記基板本体の幅W_(21)よりも大きく、
前記積層体の幅をW_(11)、前記積層体の厚さをT_(11)、前記基板本体の厚さをT_(21)としたとき、W_(11)/(T_(11)+T_(21))の値は、0.90以上、1.10以下であることを特徴とする電子部品。」

とあったものが、

「【請求項1】
積層コンデンサと、
電気絶縁性を有する基板本体を含み、該基板本体の一方主面側に前記積層コンデンサが実装されたインターポーザと、を備える電子部品であって、
前記積層コンデンサは、複数の誘電体層及び複数の内部電極層が積層された積層体と、第1外部電極と、第2外部電極とを備え、
前記積層体は、前記基板本体の前記一方主面に直交する厚さ方向に相対する第1主面と、前記基板本体の前記一方主面に直交する厚さ方向に相対し、前記基板本体の前記一方主面と対向する第2主面と、前記厚さ方向に直交する長さ方向に相対する第1端面及び第2端面と、前記厚さ方向及び前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第1側面及び第2側面とを有し、
前記第1外部電極は、前記積層体の前記第1端面に配置され、前記複数の内部電極層のうちの少なくとも一部の内部電極層と電気的に接続されており、
前記第2外部電極は、前記積層体の前記第2端面に配置され、前記複数の内部電極層のうちの少なくとも一部の内部電極層と電気的に接続されており、
前記積層体は、前記第1外部電極及び前記第2外部電極にそれぞれ接続された内部電極層が誘電体層を介して積層された有効領域、及び、該有効領域を囲む非有効領域からなり、前記有効領域の幅W_(11e)は、前記基板本体の幅W_(21)よりも大きく、
前記非有効領域の前記第1側面側の幅W_(a)、及び、前記非有効領域の前記第2側面側の幅W_(b)は、いずれも10μm以上、20μm以下であり、
前記積層体の幅をW_(11)、前記積層体の厚さをT_(11)、前記基板本体の厚さをT_(21)としたとき、W_(11)/(T_(11)+T_(21))の値は、0.90以上、1.10以下であることを特徴とする電子部品。」
と補正された(下線部は補正箇所を示す。)。

2.補正の適否
上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「積層体」について、「前記非有効領域の前記第1側面側の幅W_(a)、及び、前記非有効領域の前記第2側面側の幅W_(b)は、いずれも10μm以上、20μm以下」であることの限定を付加するものである。
よって、上記補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)否かについて以下に検討する。

(1)引用例、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開2014-207422号公報(以下、「引用例」という。)には、「電子部品および電子部品連」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項7】
誘電体層と内部電極とを複数積層した長方体状の構成の積層体と、内部電極に電気的に接続され、前記積層体の長手方向の両端面それぞれに形成される第1の外部電極および第2の外部電極と、を備える積層コンデンサと、
絶縁性の基板本体、前記積層コンデンサが配置される該基板本体の第1主面に形成され前記第1の外部電極と接続する第1の部品接続用電極、前記基板本体の前記第1主面に形成され前記第2の外部電極と接続する第2の部品接続用電極、前記基板本体の前記第1主面に対向する第2主面に形成された第1の外部接続用電極、前記基板本体の前記第2主面に形成された第2の外部接続用電極、前記第1の部品接続用電極と前記第1の外部接続用電極を接続する第1の接続電極、および、前記第2の部品接続用電極と前記第2の外部接続用電極を接続する第2の接続電極を備える基板型の端子と、を備える電子部品であって、
前記基板本体の長手方向と直交する短手方向における前記基板本体の寸法は、前記短手方向における前記積層コンデンサの寸法よりも小さい、電子部品。」

イ.「【0020】
この発明の電子部品は、次のような特徴を有していてもよい。この発明の電子部品は、積層コンデンサと基板型の端子を備える。積層コンデンサは、誘電体層と内部電極とを複数積層した長方体状の構成の積層体と、内部電極に電気的に接続され積層体の長手方向の両端面それぞれに形成される第1の外部電極および第2の外部電極と、を備える。
【0021】
基板型の端子は、絶縁性の基板本体、積層コンデンサが配置される該基板本体の第1主面に形成され第1の外部電極と接続する第1の部品接続用電極、基板本体の第1主面に形成され第2の外部電極と接続する第2の部品接続用電極、基板本体の第1主面に対向する第2主面に形成された第1の外部接続用電極、基板本体の第2主面に形成された第2の外部接続用電極、第1の部品接続用電極と第1の外部接続用電極を接続する第1の接続電極、および、第2の部品接続用電極と第2の外部接続用電極を接続する第2の接続電極を備える。そして、この発明の電子部品の基板本体は、当該基板本体の長手方向と直交する短手方向における基板本体の寸法は、短手方向における積層コンデンサの寸法よりも小さい。
【0022】
この構成では、はんだが過剰に供給されても、基板型の端子をぬれ上がったはんだは、積層コンデンサの底面(基板側の端子に実装される面)でぬれ上がりが阻害される。したがって、はんだが積層コンデンサの両端面にぬれ上がりにくい。これにより、可聴音の発生を抑制できる。」

ウ.「【0045】
電子部品1は、図2(A)に示すように、積層コンデンサ2と基板型の端子3とを備える。
【0046】
積層コンデンサ2は、所謂、積層セラミックコンデンサであり、積層体21と外部電極22A,22Bと内部電極23とを備える。なお、積層コンデンサ2としては、複数の誘電体層が積層された構造であればよく、誘電体材料に樹脂フィルムを使用した積層型金属化フィルムコンデンサ等を用いてもよい。
【0047】
積層体21は、長手方向の両端面である第1端面(同図における左側面)および第2端面(同図における右側面)が略正方形の略長方体状であり、複数のセラミック誘電体層を短手方向に積層して構成される。積層体21は、第1端面と第2端面に接続する積層方向に垂直な第1主面と第2主面、積層方向に平行な第1側面と第2側面を有する。内部電極23は積層体21の内部に誘電体層を挟んで積層される。なお、第1端面と第2端面は、略正方形に限らず略長方形であってもよく、例えば、積層方向に短くなっていてもよい。
【0048】
外部電極22Aは、積層体21の第1端面(同図における左側面)に設けられ、積層体21の第1端面に接続する4つの面(第1主面、第2主面、第1側面および第2側面)の一部に延設されている。外部電極22Bは、積層体21の第2端面(同図における右側面)に設けられ、積層体21の第2端面に接続する4つの面(第1主面、第2主面、第1側面および第2側面)の一部に延設されている。なお、外部電極22A,22Bは、積層体21の少なくとも1つの面に設けられていればよい。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0051】
基板型の端子3は基板本体31と部品接続用電極32A,32Bと外部接続用電極33A,33Bと接続電極34A,34Bとを備える。基板本体31は、積層コンデンサ2が搭載される第1主面と、第1主面に対向する第2主面を有する。すなわち、基板本体31の第1主面側が、基板型の端子3の実装面となる。部品接続用電極32A,32Bは、基板本体31の第1主面に設けられ、外部接続用電極33A,33Bは基板本体31の第2主面に設けられている。
【0052】
基板本体31は材質が絶縁性の無機材料を主成分として含み、実装面に直交する基板法線方向の厚みが0.05?0.4mmの略直方体形状である。基板本体31は、基板法線方向と直交する第1主面と、第1主面に対向する第2主面を有する。基板本体31の第1主面は、基板型の端子3の実装面である。基板本体31は、基板本体31の第1及び第2主面に直交し、基板本体31の短手方向に沿った第1端面と第2端面を有し、基板本体31の第1及び第2主面に直交し、基板本体31の長手方向に沿った第1側面と第2側面を有する。基板本体31は、基板法線方向から視た平面形状が略矩形状である。ここでは、基板本体31の平面形状は積層コンデンサ2の平面形状よりも若干小さく形成している。例えば、積層コンデンサ2の平面寸法に対して0.9倍の寸法の平面形状としている。基板本体31の外形寸法は、姿勢安定性を考慮して、長手寸法が積層コンデンサ2の長手寸法(L)の0.8倍以上が好ましく、0.9倍以上がより好ましい。また、短手寸法が積層コンデンサ2の短手寸法(W)の0.8倍が好ましく、0.9倍以上がより好ましい。さらに、実装面積を考慮して、長手寸法が積層コンデンサ2の長手寸法(L)の2.0倍以下が好ましく1.5倍以下がより好ましい。また、短手寸法が積層コンデンサ2の短手寸法(W)の2.0倍以下が好ましく、1.5倍以下がより好ましい。」

エ.「【0066】
ここで、音圧測定実験に利用した積層コンデンサ2は、外形寸法が1.6mm(長さ)×0.8mm(幅)×0.8mm(厚み)であり、誘電体層の材料は、チタン酸バリウムが主成分である。積層コンデンサ2の静電容量は10μFであり、内部電極23と基板型の端子3の実装面とは垂直である。基板型の端子3は、基板本体31の外形寸法が1.4mm(長さ)×0.7mm(幅)であり、基板本体31の厚みおよびヤング率は、実験用のパラメータとなっている。厚みは0.05mmから0.4mmを範囲とし、ヤング率は20GPa,100GPa,200GPa,400GPaである。ここで、ヤング率が20GPaである場合が従来のガラスエポキシ樹脂(ガラエポ)製の基板本体31であり、ヤング率が100GPa,200GPa,300GPa,400GPaである場合がセラミック基板(アルミナ)にガラス成分の添加量を変化させて形成した基板本体31である。
【0067】
【表1】

【0068】
表1に示すように、同等の厚みで比較した場合、ヤング率が20GPaであるガラスエポキシ基板に比べて、ヤング率100?400GPaのセラミック基板の音圧レベルが低い。したがって、樹脂基板の代わりに、ヤング率の高い無機材料基板を使用することで、実装高さを抑えながら、実装される回路基板100からの可聴音の発生を抑制できる電子部品1を提供することができる。
【0069】
さらに、不快な可聴音と認識される音圧レベル65dBを基準にすると、基板本体31の厚みが0.05mm?0.4mmの間で常に音圧レベルが65dB未満となる条件は、100?400GPaのヤング率を有するセラミック基板であった。」

オ.「



上記「ア.」ないし「オ.」から以下のことがいえる。
上記引用例に記載の「電子部品および電子部品連」のうちの「電子部品」は、上記「ア.」?「ウ.」の記載、及び「オ.」(図2(A)?(E))によれば、積層コンデンサ2と基板型の端子3を備え、積層コンデンサ2は基板型の端子3における絶縁性の基板本体31の第1主面に搭載されてなるものである。そして、積層コンデンサ2は、誘電体層と内部電極23とを複数積層した長方体状の構成の積層体21と、内部電極23に電気的に接続され、積層体21の長手方向の両端面それぞれに形成された一対の外部電極22A、22Bとを備え、積層体21は、長手方向の両端面である第1端面および第2端面と、第1端面と第2端面に接続する積層方向に垂直な第1主面および第2主面と、積層方向に平行な第1側面および第2側面とを有する。また、基板型の端子3は、基板本体31の第1主面に形成され積層コンデンサ2の一対の外部電極22A、22Bとそれぞれ接続する一対の部品接続用電極32A、32Bと、基板本体31の第1主面に対向する第2主面に形成された一対の外部接続用電極33A、33Bと、一対の部品接続用電極32A、32Bと一対の外部接続用電極33A、33Bとをそれぞれ接続する一対の接続電極34A、34Bとを備えるものである。
上記「ア.」?「ウ.」の記載、及び「オ.」(図2(A)?(E))によれば、長手方向と直交する短手方向における基板本体31の寸法は、短手方向における積層コンデンサ2の寸法よりも小さくされてなるものである。
上記「エ.」の記載によれば、実験用の電子部品は、積層コンデンサ2の外形寸法が1.6mm(長さ)×0.8mm(幅)×0.8mm(厚み)であり、基板型の端子3における基板本体31の外形寸法が1.4mm(長さ)×0.7mm(幅)で、厚みが0.05mmから0.4mmの範囲とされ、基板本体31はヤング率の高いセラミック(アルミナ)基板とされてなるものである。

以上のことから、表1に示される実験用の電子部品のうち、基板型の端子3の基板本体31の厚みが0.05mmである電子部品に着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「積層コンデンサと基板型の端子を備え、前記積層コンデンサが前記基板型の端子における絶縁性の基板本体の第1主面に搭載されてなる電子部品であって、
前記積層コンデンサは、誘電体層と内部電極とを複数積層した長方体状の構成の積層体と、前記内部電極に電気的に接続され、前記積層体の長手方向の両端面それぞれに形成された一対の外部電極とを備え、
前記基板型の端子は、前記基板本体の第1主面に形成され前記積層コンデンサの前記一対の外部電極とそれぞれ接続する一対の部品接続用電極と、前記基板本体の第1主面に対向する第2主面に形成された一対の外部接続用電極と、前記一対の部品接続用電極と前記一対の外部接続用電極とをそれぞれ接続する一対の接続電極とを備え、
前記積層コンデンサにおける前記積層体は、長手方向の両端面である第1端面および第2端面と、第1端面と第2端面に接続する積層方向に垂直な第1主面および第2主面と、積層方向に平行な第1側面および第2側面とを有し、
長手方向と直交する短手方向における前記基板本体の寸法は、短手方向における前記積層コンデンサの寸法よりも小さく、
前記積層コンデンサの外形寸法が1.6mm(長さ)×0.8mm(幅)×0.8mm(厚み)であり、前記基板本体の外形寸法が1.4mm(長さ)×0.7mm(幅)で、厚みが0.05mmであり、前記基板本体はヤング率の高いセラミック(アルミナ)基板である、電子部品。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア.電子部品について
引用発明における「積層コンデンサ」は、本願補正発明でいう「積層コンデンサ」に相当する。
また、引用発明における「基板型の端子」は、絶縁性の基板本体の第1主面に積層コンデンサが搭載され、基板本体の第1主面に形成され積層コンデンサの一対の外部電極とそれぞれ接続する一対の部品接続用電極と、基板本体の第1主面に対向する第2主面に形成された一対の外部接続用電極と、一対の部品接続用電極と一対の外部接続用電極とをそれぞれ接続する一対の接続電極とを備えるものであり、本願補正発明でいう「インターポーザ」に相当するということができる。
そして、引用発明における「電子部品」は、積層コンデンサと基板型の端子とを備えるものであるから、本願補正発明でいう「電子部品」に相当するものである。
したがって、本願補正発明と引用発明とは、「積層コンデンサと、電気絶縁性を有する基板本体を含み、該基板本体の一方主面側に前記積層コンデンサが実装されたインターポーザと、を備える電子部品」である点で一致する。

イ.積層コンデンサについて
引用発明における「誘電体層と内部電極とを複数積層した長方体状の構成の積層体」は、本願補正発明でいう「複数の誘電体層及び複数の内部電極層が積層された積層体」に相当する。
また、引用発明における「一対の外部電極」は、内部電極に電気的に接続され、積層体の長手方向の両端面それぞれに形成されてなるめものであり、本願補正発明でいう「第1外部電極」及び「第2外部電極」に相当する。
したがって、本願補正発明と引用発明とは、「前記積層コンデンサは、複数の誘電体層及び複数の内部電極層が積層された積層体と、第1外部電極と、第2外部電極と」を備え、「前記第1外部電極は、前記積層体の前記第1端面に配置され、前記複数の内部電極層のうちの少なくとも一部の内部電極層と電気的に接続されており、前記第2外部電極は、前記積層体の前記第2端面に配置され、前記複数の内部電極層のうちの少なくとも一部の内部電極層と電気的に接続され」ている点で一致するといえる。

ウ.積層体について
引用発明における「積層体」は長方体状の構成であり、長手方向の両端面である「第1端面」及び「第2端面」、第1端面と第2端面に接続する積層方向に垂直な「第1主面」及び「第2主面」、積層方向に平行な「第1側面」及び「第2側面」が、それぞれ本願補正発明でいう積層体の「第1端面」及び「第2端面」、「第1主面」及び「第2主面」、「第1側面」及び「第2側面」に相当する。
そして、引用発明における「積層体」にあっても、誘電体層と内部電極とを複数積層してなるものであるところ、積層方向(厚さ方向)に見て、すべての内部電極が互いに重なってコンデンサの有効な容量部を形成する本願補正発明でいうところの「有効領域」と、該有効領域を囲む本願補正発明でいうところの「非有効領域」からなるといえる。
したがって、本願補正発明と引用発明とは、「前記積層体は、前記基板本体の前記一方主面に直交する厚さ方向に相対する第1主面と、前記基板本体の前記一方主面に直交する厚さ方向に相対し、前記基板本体の前記一方主面と対向する第2主面と、前記厚さ方向に直交する長さ方向に相対する第1端面及び第2端面と、前記厚さ方向及び前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第1側面及び第2側面と」を有し、「前記積層体は、前記第1外部電極及び前記第2外部電極にそれぞれ接続された内部電極層が誘電体層を介して積層された有効領域、及び、該有効領域を囲む非有効領域」からなる点で一致する。
ただし、本願補正発明では「前記有効領域の幅W_(11e)は、前記基板本体の幅W_(21)よりも大きく、前記非有効領域の前記第1側面側の幅W_(a)、及び、前記非有効領域の前記第2側面側の幅W_(b)は、いずれも10μm以上、20μm以下」であることを特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有していない点で相違する。

エ.幅と厚さの関係について
引用発明において、積層コンデンサの外形寸法のうち幅は0.8mm、厚みは0.8mmであり、基板本体の外形寸法のうち厚みは0.05mmであるから、W_(11)/(T_(11)+T_(21))=0.8/(0.8+0.05)≒0.94となり、本願補正発明で特定する「0.90以上、1.10以下」の範囲(条件)を満たす。
したがって、引用発明は、本願補正発明における「前記積層体の幅をW_(11)、前記積層体の厚さをT_(11)、前記基板本体の厚さをT_(21)としたとき、W_(11)/(T_(11)+T_(21))の値は、0.90以上、1.10以下」に含まれる構成を備えている。

上記ア.ないしエ.によれば、本願補正発明と引用発明とは、
「積層コンデンサと、
電気絶縁性を有する基板本体を含み、該基板本体の一方主面側に前記積層コンデンサが実装されたインターポーザと、を備える電子部品であって、
前記積層コンデンサは、複数の誘電体層及び複数の内部電極層が積層された積層体と、第1外部電極と、第2外部電極とを備え、
前記積層体は、前記基板本体の前記一方主面に直交する厚さ方向に相対する第1主面と、前記基板本体の前記一方主面に直交する厚さ方向に相対し、前記基板本体の前記一方主面と対向する第2主面と、前記厚さ方向に直交する長さ方向に相対する第1端面及び第2端面と、前記厚さ方向及び前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第1側面及び第2側面とを有し、
前記第1外部電極は、前記積層体の前記第1端面に配置され、前記複数の内部電極層のうちの少なくとも一部の内部電極層と電気的に接続されており、
前記第2外部電極は、前記積層体の前記第2端面に配置され、前記複数の内部電極層のうちの少なくとも一部の内部電極層と電気的に接続されており、
前記積層体は、前記第1外部電極及び前記第2外部電極にそれぞれ接続された内部電極層が誘電体層を介して積層された有効領域、及び、該有効領域を囲む非有効領域からなり、
前記積層体の幅をW_(11)、前記積層体の厚さをT_(11)、前記基板本体の厚さをT_(21)としたとき、W_(11)/(T_(11)+T_(21))の値は、0.90以上、1.10以下であることを特徴とする電子部品。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
積層体について、本願補正発明では「前記有効領域の幅W_(11e)は、前記基板本体の幅W_(21)よりも大きく、前記非有効領域の前記第1側面側の幅W_(a)、及び、前記非有効領域の前記第2側面側の幅W_(b)は、いずれも10μm以上、20μm以下」であることを特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有していない点。

(3)判断
上記相違点について検討する。
引用発明においては、「長手方向と直交する短手方向における基板本体の寸法は、短手方向における前記積層コンデンサの寸法よりも小さ」いものであるところ、短手方向における寸法を幅と言うとすると、積層コンデンサの幅は基板本体の幅よりも大きいものであるものの、有効領域の幅についても基板本体の幅よりも大きいことまでは特定されていない。
しかしながら、積層コンデンサにおいて、小型化及び大容量化を図るために有効領域を最大化しようとすることは当業者にとって当然に望まれる技術事項であるところ、例えば特開2015-153764号公報(特に【請求項5】、段落【0030】?【0031】、【0044】(【表1】)、図1を参照)、特開2014-3328号公報(特に【請求項4】、段落【0044】?【0047】、【0071】?【0081】、図1a?図2fを参照)、特開2012-124458号公報(特に【請求項4】、段落【0047】?【0053】、【0072】?【0076】、図3、図5を参照)に記載されているように、内部電極を保護しショートを防止できる厚さであって有効領域を広くして容量を最大化できる厚さのセラミック層を10μm?20μmの範囲内で形成することは周知であり、引用発明においてもかかる周知の技術を採用し、相違点に係る構成とすることは当業者であれば容易になし得たことである。

そして、本願補正発明が奏する効果についてみても、引用発明及び周知の技術事項から当業者であれば予測し得る程度のものであり、格別顕著なものがあるとはいえない。

3.本件補正についてのむすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明
令和3年2月9日の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載されたとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
積層コンデンサと、
電気絶縁性を有する基板本体を含み、該基板本体の一方主面側に前記積層コンデンサが実装されたインターポーザと、を備える電子部品であって、
前記積層コンデンサは、複数の誘電体層及び複数の内部電極層が積層された積層体と、第1外部電極と、第2外部電極とを備え、
前記積層体は、前記基板本体の前記一方主面に直交する厚さ方向に相対する第1主面と、前記基板本体の前記一方主面に直交する厚さ方向に相対し、前記基板本体の前記一方主面と対向する第2主面と、前記厚さ方向に直交する長さ方向に相対する第1端面及び第2端面と、前記厚さ方向及び前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第1側面及び第2側面とを有し、
前記第1外部電極は、前記積層体の前記第1端面に配置され、前記複数の内部電極層のうちの少なくとも一部の内部電極層と電気的に接続されており、
前記第2外部電極は、前記積層体の前記第2端面に配置され、前記複数の内部電極層のうちの少なくとも一部の内部電極層と電気的に接続されており、
前記積層体は、前記第1外部電極及び前記第2外部電極にそれぞれ接続された内部電極層が誘電体層を介して積層された有効領域、及び、該有効領域を囲む非有効領域からなり、前記有効領域の幅W_(11e)は、前記基板本体の幅W_(21)よりも大きく、
前記積層体の幅をW_(11)、前記積層体の厚さをT_(11)、前記基板本体の厚さをT_(21)としたとき、W_(11)/(T_(11)+T_(21))の値は、0.90以上、1.10以下であることを特徴とする電子部品。」

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
この出願の請求項1ないし5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献:特開2014-207422号公報

3.引用例、引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用例(引用文献)、及び引用発明は、前記「第2 [理由]2.(1)」に記載したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は、前記「第2 [理由]2.」で検討した本願補正発明の発明特定事項である「積層体」について、「前記非有効領域の前記第1側面側の幅W_(a)、及び、前記非有効領域の前記第2側面側の幅W_(b)は、いずれも10μm以上、20μm以下」であることの限定を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2 [理由]2.(3)」に記載したとおり、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-08-18 
結審通知日 2021-08-24 
審決日 2021-09-08 
出願番号 特願2016-235075(P2016-235075)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01G)
P 1 8・ 575- Z (H01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 晃洋  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 井上 信一
山本 章裕
発明の名称 電子部品  
代理人 特許業務法人 安富国際特許事務所  
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