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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1379442
審判番号 不服2021-3527  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-17 
確定日 2021-11-16 
事件の表示 特願2017-544581「デバイスの、モデルにおける表現へのマッピング」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月29日国際公開、WO2016/150795、平成30年 4月19日国内公表、特表2018-511117、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,2016年3月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年3月26日(以下,「優先日」という。),アメリカ合衆国)を国際出願日とする特許出願であって,平成31年2月25日に手続補正書が提出され,令和元年12月16日付けで拒絶理由が通知され,令和2年6月12日に意見書及び手続補正書が提出されたが,同年11月20日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,令和3年3月17日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年11月20付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-14に係る発明は,以下の引用文献1に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2014-056670号公報

第3 本願発明
本願請求項1-14に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明14」という。)は,令和2年6月12日にされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-14に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は,以下のとおりの発明である。なお,符号「A」?「E」は,当審において付与したものであり,それぞれの構成を,「構成A」などという。
「【請求項1】
A デバイスを,モデルにおける前記デバイスの表現にマッピングするための装置であって,
B 表現を表示するためのディスプレイと,
C 前記デバイスをトリガするためのトリガプロシージャであって,或る順序でトリガされるべき前記デバイスを規定するトリガプロシージャを規定するトリガ情報を記憶するためのメモリと,
D トリガされたデバイスから,前記デバイスの識別子を含む識別情報を受信するための入力部と,
E 前記トリガプロシージャを介して前記デバイスの前記表現及び前記識別子を関連づけるためのプロセッサとを有する
A 装置。」

また,本願発明2-9は,本願発明1を減縮した発明であり,本願発明10,11は,本願発明1の装置を含むシステムの発明である。そして,本願発明12は,本願発明1に対応する方法の発明であり,本願発明13は,同方法のステップを実施するコンピュータプログラムの発明であり,本願発明14は,同コンピュータプログラムを記憶した媒体の発明である。

第4 引用文献,引用発明
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2014-056670号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。

ア「【0014】
本発明の第1の実施形態に係る照明制御システムについて,図1乃至図12を参照して説明する。図1に示すように,本実施形態の照明制御システム1は,所定の空間に配された複数の照明器具L11?L1n(以下,総称して照明器具2という)と,各照明器具2の明るさ及び色温度といった点灯条件を設定するためのコントローラ3と,を備える。また,照明制御システム1は,コントローラ3によって設定された点灯条件に従って各照明器具2を点灯制御するための調光信号を出力する調光装置4を備える。この照明制御システム1は,例えば,オフィスビルの会議室や一般住宅や店舗や一般住宅等に好適に用いられる。
【0015】
図2に示すように,照明器具2は,照明負荷21と,調光装置4からの調光信号を受信する調光信号受信部22と,照明負荷21を点灯させる所要電力を供給する点灯回路部23と,これらを駆動する制御部24と,を備える。また,照明器具2は,商用電源を点灯回路部23で用いられる所定の電流に変換変圧する電源部(不図示)を備える。照明負荷21は,発光色が異なる複数種のLEDや有機EL素子等を組み合わせることにより,照射光の色温度が可変となるように構成される。点灯回路部23は,制御部24の指示を受けて照明負荷21に所定の電流を供給するためのスイッチ回路及び変圧回路等を備える。制御部24は,汎用の照明制御用マイコン及びメモリ等から構成され,当該照明器具2の識別情報を記憶し,その照明制御システム1内におけるIDアドレス(識別番号)を設定するためのアドレス設定部25を有する。このアドレス設定部25は,直接入力用のディップスイッチ又は外部から専用端末を介してその照明器具2固有のIDアドレスを入力するためコネクタ及びメモリ等から構成される。上記識別情報は,照明器具2の出荷段階において予め設定されている。
【0016】
また,照明器具2は,照明負荷21からの照射光を変調して,照射光に照明器具2の識別情報及びその点灯情報に関する情報信号を重畳する変調部26を更に備える。この変調部26は,制御部24によって設定された所定の変調制御信号に基づいて,点灯回路部23から照明負荷21に供給される電流を切り替えることにより,照射光に照明器具2の識別情報及びその点灯情報を重畳する。ここで言う点灯情報には,照明器具2の調光範囲,色温度範囲等のプロファイルデータや,消費電力やランプ交換時期を知らせるための累積点灯時間情報といった状態データが含まれる。」

イ「【0017】
コントローラ3は,調光装置4との間で制御信号を無線通信により出力する無線通信部31と,時刻を計時する計時部32と,照明器具2の画像(静止画)等を記憶する記憶部33と,無線通信部31等を動作させる制御部34と,を備える。上記制御信号には,照明器具2の点灯条件の設定情報が含まれる。また,コントローラ3は,照明器具2の静止画等を表示する表示部35と,表示部35に表示される静止画をユーザが指定するためのタッチパネル部36と,を備える。表示部35は,制御部34の指示を受けて表示ドライバ部37によって駆動される。
【0018】
また,コントローラ3は,所定条件で照明器具2の照射光を受信したとき,その照射光に重畳された情報信号から照明器具2の識別情報及び点灯情報を読み取る可視光受信部38を備える。この可視光受信部38は,CCD又はCMOS等の受光素子を有し,照明器具2の静止画を撮影する等により照明器具2の画像を取得するための画像取得部としても機能する。
【0019】
コントローラ3は,屋内の任意の場所に持ち運び自在の端末であり,照明器具2と有線接続された調光装置4との間で無線通信により上記制御信号を伝送する。好ましくは,コントローラ3として,専用のソフトウェアをインストールしたタブレット端末又はスマートフォン等の多機能携帯端末が用いられるが,照明制御システム1の専用端末であってもよい。コントローラ3は,外部電源から所要電力を得る制御電源部及び所定容量のバッテリー(いずれも不図示)を備える。
【0020】
無線通信部31は,制御部34の指示を受けて,後述する手順によって設定された照明器具2の点灯条件に従って,調光装置4に向けて所定の制御信号を出力する。無線通信には,NFC/FeliCa,IrDA(赤外線),無線LAN(WiFi)等が用いられる。本例においては,コントローラ3から調光装置4への一方向の無線通信が可能であればよく,汎用のリモコンに用いられる赤外線伝送等が用いられてもよい。
【0021】
計時部32には,汎用のクロック素子が用いられ,24時間スケジュール制御を行なうための現在時刻を計時する。記憶部33には,EEPROM等の不揮発性記憶素子が用いられる,又は制御部34に用いられるマイコン(例えば,ワンチップマイコン)に内蔵のものが用いられる。この記憶部33は,可視光受信部38によって撮影された照明器具2の静止画を,照明器具2に付された識別情報と関連付けて記憶する。制御部34には,汎用のマイクロコンピュータ(CPU)が用いられる。表示部35には,LED等のバックライトを備えた液晶ディスプレイ,又は有機ELディスプレイ等が用いられる。表示ドライバ部37は,記憶部33に記憶された静止画をアイコン化して表示部35に表示させる。タッチパネル部36は,抵抗膜方式又は静電方式等により,表示部35上に接触するユーザの指先の位置を検出する。」

ウ「【0022】
調光装置4は,コントローラ3の無線通信部31と無線通信を行なう無線通信部41と,所定の調光信号を照明器具2へ出力する調光信号出力部42と,照明器具2の識別情報等を記憶する記憶部43と,調光信号出力部42等を動作させる制御部44と,を備える。また,調光装置4は,コントローラ3によって設定された点灯情報に従って調光信号出力部42を駆動させる時刻を計時する計時部45を備える。無線通信部41は,コントローラ3の無線通信部31に応じた受信部を備える。調光信号出力部42は,無線通信部31から受信した制御信号に従って所定の調光信号を出力する。調光信号としては,デジタル調光信号(DALI,DMX等)やPWM信号等が用いられる。調光装置4は,コントローラ3を用いることなく点灯制御するためのフェーダ又はボリュームスイッチ等の操作部(不図示)を備えていてもよい。記憶部43及び制御部44は,コントローラ3のものと同様である。計時部45には,リアルタイムクロックIC等が用いられる。」

エ「【0023】
次に,コントローラ3による照明器具2の識別情報を取得する操作について,図3及び図4を参照して説明する。ここでは,各照明器具2には予め識別情報が付されており,調光装置4の記憶部43には,それら照明器具2の識別情報が記憶されているものとする。また,記憶部43に記憶される照明器具2の識別情報には,照明器具2が出荷段階で予め付された個別のIDアドレスと,本システムを採用した照明環境における複数の照明器具2の相対座標情報が含まれる。なお,図例の照明空間は,図中左側に窓Wがあり,右側が廊下(不図示)側であり,窓側から廊下側に向けて照明器具2が明るく点灯している状況を示す。
【0024】
まず,ユーザは,コントローラ3のメイン画面(不図示)から,コントローラ3における照明器具2の識別情報取得モードを起動する(図2も参照)。コントローラ3は,無線通信部31を介して識別情報取得モードが起動されたことを調光装置4に伝達する。また,コントローラ3は,可視光受信部38(画像撮像部)を駆動して,図3及び図4(a)に示すように,照明器具2が配された照明空間を撮影し,その照明空間画像を表示部35に表示する。このとき,制御部34は,画像認識ソフトウェアを用いて,照明空間画像に含まれる照明器具2の画像を抽出する。また,調光装置4は,コントローラ3から識別情報取得モードの起動が伝達されると,各照明器具2の変調部26を順次駆動させることで,各照明負荷21からの照明光に,その照明器具2の識別情報,及びその照明器具2の点灯情報に関する情報信号を重畳させる。
【0025】
コントローラ3は,可視光受信部38を介して上記情報信号から各照明器具2の識別情報及び点灯情報を読み取る。制御部34は,上記識別情報に含まれる各照明器具2のIDアドレスと,各照明器具2の相対座標情報,及び照明空間画像から抽出された照明器具2の画像とを対比する。そして,制御部34は,各照明器具のアイコン2’(画像)が現実の照明空間と同様の相対位置になるように配された照明空間の2次元画像データを作製する。更に,制御部34は,図4(b)に示すように,照明器具のアイコン2’と,照明器具2の識別情報とを対応付けた上で,表示ドライバ部37を動作させ,上記2次元画像データに基づき,表示部35に,照明器具のアイコン2’を,このアイコン2’と対応する照明器具2の点灯情報が反映されるように表示させる。具体的には,表示部35に,照明器具のアイコン2’が,実際の照明器具2の明るさや照明光の色温度と同じ点灯条件で点灯しているように,表示部35上の照明器具のアイコン2’の明るさ及び色を表示させる。つまり,コントローラ3は,実際の照明器具2の明るさや照明光の色温度を,表示部35上でバーチャル表示する。なお,照明器具のアイコン2’の明るさ及び色を表示に加えて,各アイコン2’上に明るさ又は色温度の具体的な数値情報や,IDアドレスを表示してもよい。」

オ「【図1】



カ「【図2】



キ「【図4】



(2)引用発明の認定
ア 上記(1)ア,ウ,オ,カによれば,引用文献1には,照明器具と調光装置とコントローラとを備えた照明制御システムが記載され,照明器具には識別情報が付されており,照明器具は,当該識別情報を照射光に重畳して送信することができること,調光装置は,照明器具へ調光信号を出力すること,及び,コントローラと無線通信を行うことが記載されている。
また,上記(1)イによれば,引用文献1には,コントローラが,制御部としての汎用のマイクロコンピュータ(CPU)と,表示部としてのディスプレイと,照明器具が照射光に重畳して送信する識別情報を読み取ることができるとともに,照明器具の画像を取得するための画像取得部としても機能する可視光受信部を備えることが記載されている。
したがって,引用文献1には,「表示部であるディスプレイ」と,「照明光に重畳された当該照明器具の識別情報を受信する可視光受信部」と,「制御部であるCPU」とを有する「コントローラ」が記載されている。

イ 上記(1)エ,キによれば,引用文献1には,コントローラが照明器具の識別情報を取得する手順として,コントローラにて照明器具の識別情報取得モードが起動されると,その旨を無線通信部を介して調光装置に伝達する一方,照明器具が配された照明空間を撮影し,撮影した照明空間画像に含まれる照明器具の画像を制御部が抽出すること,調光装置はコントローラから識別情報取得モードの起動が伝達されると,各照明装置を順次駆動し,各照明装置の識別情報を照明光に重畳させること,コントローラの制御部は,可視光受信部を介して読み取った各照明装置の識別情報を,照明空間画像に含まれる照明器具の画像と対比して,照明器具のアイコンと,照明器具の識別情報とを対応付けた上で,各照明器具のアイコンが現実の照明空間と同様の相対位置になるように配された照明空間の2次元画像データに基づいて,表示部にアイコンを表示させることが記載されている。
したがって,引用文献1のコントローラは,「制御部」が,「照明器具のアイコンと識別情報とを対応付ける」ことにより,「表示部」に表示する「照明空間の2次元画像データ」における「照明器具のアイコン」に,「照明器具」を「対応付ける」ものであることが記載されている。

ウ 以上をまとめると,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

<引用発明>
「照明器具を,照明空間の2次元画像データにおける照明器具のアイコンに対応付けるコントローラであって,
アイコンを表示する表示部であるディスプレイと,
順次駆動される照明器具から,照明光に重畳された当該照明器具の識別情報を受信する可視光受信部と,
照明器具のアイコンと識別情報とを対応付ける制御部であるCPUとを有するコントローラ。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。
引用発明の「照明器具」,「照明空間の2次元画像データ」,「照明器具のアイコン」は,それぞれ,本願発明1の「デバイス」,「モデル」,「デバイスの表現」に相当し,引用発明において,「照明器具を,照明空間の2次元画像データにおける照明器具のアイコンに対応づける」ことは,本願発明1の「デバイスを,モデルにおける前記デバイスの表現にマッピングする」ことに相当する。
また,引用発明の「アイコンを表示する表示部であるディスプレイ」は,本願発明1の「表現を表示するためのディスプレイ」に相当し,引用発明の「順次駆動される照明器具から,照明光に重畳された当該照明器具の識別情報を受信する可視光受信部」は,本願発明1の「トリガされたデバイスから,前記デバイスの識別子を含む識別情報を受信するための入力部」に相当する。
そして,引用発明の「照明器具のアイコンと識別情報とを対応付ける制御部であるCPU」は,本願発明1の「前記デバイスの前記表現及び前記識別子を関連づけるプロセッサ」に相当する。
したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「デバイスを,モデルにおける前記デバイスの表現にマッピングするための装置であって,表現を表示するためのディスプレイと,トリガされたデバイスから,前記デバイスの識別子を含む識別情報を受信するための入力部と,前記デバイスの前記表現及び前記識別子を関連づけるプロセッサとを有する装置。」

(相違点1)
本願発明1は,「前記デバイスをトリガするためのトリガプロシージャを規定するトリガ情報を記憶するためのメモリ」を備えるのに対して,引用発明は,そのようなものを備えるか不明な点。

(相違点2)
本願発明1の「プロセッサ」は,「前記トリガプロシージャを介して」前記デバイスの前記表現及び前記識別子を関連づけるためのものであるのに対して,引用発明のCPUは,そのようなものであるか不明な点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1及び2について検討する。
上記第4の1(1)エによれば,引用発明のコントローラは,照明器具のアイコンと識別情報との対応づけに際し,(1)無線通信部を介して識別情報取得モードが起動されたことを調光装置に伝達すること,(2)可視光受信部を介して,調光装置により順次駆動される照明器具の照明光に重畳された情報信号から各照明器具の識別情報を読み取ること,(3)制御部が,各照明器具の識別情報を,可視光受信部が撮影した照明空間画像から抽出された照明器具の画像との対比により,照明器具のアイコンと識別情報とを対応づけることが記載されている。
ここで,引用発明のコントローラは,調光装置に対して,識別情報取得モードが起動されたことは伝達(上記(1))するものの,照明器具のアイコンと識別情報との対応付けに用いる,何らかの他の情報を,調光装置との間で送受することは,記載も示唆もされていないことに鑑みれば,引用発明のコントローラは,照明器具のアイコンと識別情報とを対応付けるに際して,調光装置により順次駆動される各照明器具の点灯順に関する情報(本願でいう「トリガプロシージャを規定するトリガ情報」)を必要としないものであることは,当業者が普通に理解することといえる。
そうすると,上記相違点1及び2に係る本願発明1の構成C及びDは,引用発明にとって不要な構成であるから,引用発明は,これらの相違点に係る構成を採用する動機を欠くものであり,また,これらの構成を採用すべき他の理由も見当たらない。
そして,本願発明1は,上記相違点1及び2に係る構成を備えることにより,「デバイスは,光の量及び距離が測定される必要なしに,モデルにおけるそれらの表現に容易にマッピングされることができる」等の,本願明細書に記載の作用効果を奏するものである。
したがって,引用発明において,上記相違点1及び2に係る構成を得ることは,当業者であっても,容易に想到し得ることとはいえないから,本願発明1は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。

2 本願発明2-11について
請求項1を引用する本願発明2-11も,引用発明との相違点1,2に係る,本願発明1の構成C及びEを備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明12-14について
本願発明12は,本願発明1に対応する方法の発明であり,本願発明1の構成Cに対応する「前記デバイスをトリガするためのトリガプロシージャを規定するトリガ情報を記憶するステップと,」との構成(以下,「構成C’」という。),及び,同Eに対応する「前記トリガプロシージャを介して前記デバイスの前記表現及び前記識別子を関連づけるステップ」との構成(以下,「構成E’」という。)を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
また,請求項12を引用する本願発明13,14も,上記構成C’及びE’を備えるものであるから,本願発明12と同様の理由により,当業者であっても,引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定について
原査定は,請求項1-14に係る発明について,引用文献1に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないというものであるが,上記のとおり,本願発明1-14は,拒絶査定において引用された引用文献1に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-11-01 
出願番号 特願2017-544581(P2017-544581)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 漆原 孝治  
特許庁審判長 田中 秀人
特許庁審判官 金子 秀彦
篠原 功一
発明の名称 デバイスの、モデルにおける表現へのマッピング  
代理人 柴田 沙希子  

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