ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04L |
---|---|
管理番号 | 1379482 |
審判番号 | 不服2020-17122 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-12-14 |
確定日 | 2021-11-16 |
事件の表示 | 特願2018-565961「端末及び基地局」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月 9日国際公開、WO2018/142746、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2017年12月 1日(優先権主張 2017年 2月 3日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 2019年 7月22日 :手続補正書の提出 2020年 4月28日付け:拒絶理由通知書 2020年 7月15日 :意見書、手続補正書の提出 2020年 9月 7日付け:拒絶査定 2020年12月14日 :審判請求書、手続補正書の提出 2021年 2月22日 :前置報告書 2021年 4月 9日 :上申書 第2 原査定の概要 原査定(2020年 9月 7日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1?6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1?4に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 1.Qualcomm Incorporated,Views on DL DMRS[online],3GPP TSG-RAN WG1#86b R1-1610152,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_86b/Docs/R1-1610152.zip>,2016年10月 1日 2.Ericsson,DMRS placement configurations[online],3GPP TSG-RAN WG1#86b R1-1609770,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_86b/Docs/R1-1609770.zip>,2016年 9月30日 3.LG Electronics,DMRS Design Issues in NR[online],3GPP TSG-RAN WG1#86b R1-1609259,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_86b/Docs/R1-1609259.zip>,2016年10月 1日 4.米国特許出願公開第2015/0282124号明細書 第3 本願発明 本願の請求項1?6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明6」という。)は、2020年12月14日の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 下り共有チャネルの信号、及び、復調用参照信号のマッピング方法に対応するインデックスを与える情報を受信する受信部と、 前記インデックスを与える情報に基づいて、前記下り共有チャネルのスロット内の固定のシンボルに前記復調用参照信号がマッピングされる第1のマッピング方法、及び、前記下り共有チャネルがスケジューリングされるシンボルの先頭に前記復調用参照信号がマッピングされる第2のマッピング方法を選択的に用いて、前記復調用参照信号の受信を制御する制御部と、 を具備する端末。 【請求項2】 前記受信部は、前記インデックスを与える情報を、下り制御情報において受信する、 請求項1に記載の端末。 【請求項3】 復調用参照信号のマッピング方法に対応するインデックスを与える情報を受信する受信部と、 前記インデックスを与える情報に基づいて、上り共有チャネルのスロット内の固定のシンボルに復調用参照信号がマッピングされる第1のマッピング方法、及び、前記上り共有チャネルがスケジューリングされるシンボルの先頭に前記復調用参照信号がマッピングされる第2のマッピング方法を選択的に用いて、前記復調用参照信号をマッピングする制御部と、 前記復調用参照信号を送信する送信部と、 を具備する端末。 【請求項4】 前記受信部は、前記インデックスを与える情報を、下り制御情報において受信する、 請求項3に記載の端末。 【請求項5】 下り共有チャネルのスロット内の固定のシンボルに復調用参照信号がマッピングされる第1のマッピング方法、及び、前記下り共有チャネルがスケジューリングされるシンボルの先頭に前記復調用参照信号がマッピングされる第2のマッピング方法を選択的に用いて、前記復調用参照信号をマッピングする制御部と、 前記復調用参照信号、及び、前記復調用参照信号のマッピング方法に対応するインデックスを与える情報を送信する送信部と、 を具備する基地局。 【請求項6】 前記送信部は、前記インデックスを与える情報を、下り制御情報において送信する、 請求項5に記載の基地局。」 第4 引用文献、引用発明等 1.Qualcomm Incorporated,Views on DL DMRS[online],3GPP TSG-RAN WG1#86b R1-1610152,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_86b/Docs/R1-1610152.zip>,2016年10月 1日(以下、「引用文献1」という。) 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の記載がある。(下線は当審が付与。) 「(3 Configurable DMRS pattern) Note one DMRS pattern may not be able to satisfy the requirements of various applications under the various conditions. Therefore, it is desirable to adapt the pattern, depending on the scenarios (e.g. the number of necessary DMRS ports, low latency applications, delay-tolerant applications, and possibly also depending on delay spread, Doppler spread, SINR). DMRS pattern may be dynamically configured for each UE, the signalling of which may happen through DCI (similar to TM9/TM10 in LTE ).」 (当審訳: (3 設定可能DRMSパターン) 1つのDMRSパターンでは、様々な条件下で様々なアプリケーションの要件を満たすことができない場合があることに留意されたい。したがって、シナリオ(たとえば、必要なDMRSポートの数、低レイテンシアプリケーション、遅延耐性アプリケーション、および場合によっては遅延拡散、ドップラー拡散、SINRにも依存する)に応じて、パターンを適応させることが望ましい。DMRSパターンは、各UEのために動的に設定され得、そのシグナリングは、(LTEにおけるTM9/TM10と同様に)DCIを通して起こり得る。) 「(4 DMRS Position) The position of the DMRS within a slot could be UE-specific and dynamically configurable depending on the latency requirement, as explained below.」 (当審訳: (4 DMRSポジション) スロット内のDMRSの位置は、以下で説明するように、UE固有で、レイテンシ要件に応じて動的に設定可能であり得る。) 「(4.1 ACK in the same slot ? low latency applications) In order for the UE to send ACK/NACK for the data received in the same slot, DMRS should be placed toward the beginning of the slot (The front-loaded DMRS is called “preamble” in this contribution). This allows the data decoding to start as soon as the data symbols are received. See Figure 4-1 (a) and (b), and also Figure 4-2 (a), and (b). This enables the receiver to achieve pipeline processing of channel estimation, data demodulation/decoding, and send self-contained ACK immediately in the same slot. The DMRS may span more than 1 OFDM symbols for the following reasons: ・Support larger delay spread for the given number of ports to multiplex. ・Multiplex more DMRS ports than is possible with one OFDM symbol with given requirement on the delay spread. ・Improve performance at low SINR. However, the channel estimation quality achievable even in moderate Doppler spread scenarios (e.g. 70 Hz) may cause significant degradation in the data throughput especially at high SNR. It may be attempted to improve the data performance by placing additional DMRS (“mid-amble”) later in the slot, as shown in Fig 1-c. But, as long as the extrapolation based channel estimation (i.e. causal channel estimation, or channel prediction) is employed, the increase in the supportable Doppler will be quite limited. To overcome this, many more mid-ambles may be needed. However, this leads to the loss in the available data dimensions. Therefore, in order to achieve meaningful expansion of supported Doppler range, the interpolation based channel estimation (i.e. non-causal channel estimation) has to be employed as much as possible. In other words, the interpolation is applied for the channel estimates in between the preamble and the mid-amble, and the extrapolation only for the channel estimates on the OFDM symbols after the mid-amble. Notice that this is only achieved at the cost of increase in the receiver complexity, since the data decoding cannot start until the mid-amble is received.」 (当審訳: (4.1 同じスロットにおけるACK - 低レイテンシアプリケーション) UEが同じスロットで受信されたデータに対するACK/NACKを送信するために、DMRSは、スロットの先頭付近に配置されるべきである(前方に配置されたDMRSは、この寄書において「プリアンブル」と呼ぶ)。これにより、データシンボルが受信されるとすぐにデータ復号を開始することができる。図4-1(a)および(b)、ならびに図4-2(a)および(b)も参照されたい。これにより、受信機は、チャネル推定、データ復調/復号のパイプライン処理を可能にし、自己完結型ACKを同じスロットで直ちに送信することができる。 DMRSは、次の理由により、複数のOFDMシンボルにまたがる場合がある。 ・多重化する特定の数のポートに対して、より大きな遅延スプレッドをサポートする。 ・遅延拡散に関する特定の要件を使用して、1つのOFDMシンボルで可能な数よりも多くのDMRSポートを多重化する。 ・低SINRでのパフォーマンスを向上させる。 ただし、中程度のドップラー拡散シナリオ(70Hzなど)でも達成可能なチャネル推定品質は、特に高いSNRでデータスループットの大幅な低下を引き起こす可能性がある。図1-cに示すように、スロットの後半に追加のDMRS(「ミッドアンブル」)を配置することにより、データパフォーマンスの向上を試みることができる。ただし、外挿ベースのチャネル推定(つまり、因果チャネル推定、またはチャネル予測)が採用されている限り、サポート可能なドップラーの増加は非常に制限される。これを克服するには、さらに多くのミッドアンブルが必要になる場合がある。ただし、これにより、使用可能なデータディメンションが失われる。したがって、サポートされるドップラー範囲の有意義な拡張を達成するために、補間ベースのチャネル推定(すなわち、非因果的チャネル推定)を可能な限り採用する必要がある。言い換えると、補間はプリアンブルとミッドアンブルの間のチャネル推定に適用され、外挿はミッドアンブル後のOFDMシンボルのチャネル推定にのみ適用される。ミッドアンブルが受信されるまでデータのデコードを開始できないため、これはレシーバーの複雑さが増すという犠牲を払ってのみ達成されることに留意されたい。) 「(4.2 ACK in the later slot: Delay-tolerant applications) For the delay tolerant applications, the ACK/NACK response can be delayed to later slots. In this case, the non-causal channel estimation can be performed in order to achieve the improved data throughput in high Doppler scenarios. See Figure 4 3. The DMRS placed at the end of DL transmission duration will be called “post-amble”. Notice that the channel estimation cannot finish fully until the post-amble is received. The number of necessary “mid-ambles” varies depending on the Doppler spread to support, which may be fixed or semi-statically/dynamically configurable. (当審訳: (4.2 後のスロットにおけるACK : 遅延耐性アプリケーション) 遅延耐性アプリケーションの場合、ACK/NACK応答は、後のスロットに遅延させることができる。この場合、非因果的チャネル推定は、高ドップラーシナリオにおいて改善されたデータスループットを達成するために実行され得る。図4-3を参照されたい。DL送信期間の最後に配置されるDMRSは、「ポストアンブル」と呼ばれる。チャネル推定は、ポストアンブルが受信されるまで完全に終了することができないことに留意されたい。必要な「ミッドアンブル」の数は、サポートすべきドップラー拡散に応じて変化し、固定されてもよく、または半静的/動的に構成可能であってもよい。) 「Figure4-1 (DMRS positions for low latency applications (RB outside the control subband)) ![]() 」 「Figure 4 3. DMRS positions for delay-tolerant applications (RB inside the control subband) ![]() 」 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。 「DMRSパターンがレイテンシ要件に応じて動的に設定されるUEであって、 スロット内のDMRSの位置は、UE固有で、レイテンシ要件に応じて動的に設定可能であり、DMRSパターンは、各UEのために動的に設定され得、そのシグナリングは、DCIを通して起こり得、 低レンテンシアプリケーションにおいては、 UEが同じスロットで受信されたデータに対するACK/NACKを送信するため、DMRSをデータシンボルの先頭付近に配置することにより、データシンボルが受信されるとすぐにデータ復号を開始することができ、 遅延耐性アプリケーションにおいては、 ACK/NACK応答は、後のスロットに遅延させることができため、非因果的チャネル推定は、高ドップラーシナリオにおいて改善されたデータスループットを達成するために実行され得、DMRSはDL送信期間の最後にも配置される UE。」 2.Ericsson,DMRS placement configurations[online],3GPP TSG-RAN WG1#86b R1-1609770,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_86b/Docs/R1-1609770.zip>,2016年 9月30日(以下、「引用文献2」という。) 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の記載がある。(下線は当審が付与。) 「1 Introduction This paper discusses the DMRS placement configuration for the 7-symbol transmission slot in NR. In our previous papers [1] and [2], DMRS design principles are proposed. The support of early decoding and the allocation of reference symbols, including density and placement, have been proposed for detailed investigation. In [3], the density configurations in the time domain have been studied; in that paper we propose that two symbols DMRS should be used for high UE speed scenarios, and one symbol DMRS should be adopted in low mobility scenarios due to the lower overhead. Therefore, the single pattern which only one DMRS instance occupies the 2nd symbol, and the double DMRS pattern which occupies the 2nd and 5th symbol of the transmission slot should be included as the baseline patterns for configurable DMRS patterns. In this paper, the placement of DMRS instances is studied, in particular, for DMRS patterns with the same overhead, we wish to find the allocation of reference symbols such that it is robust to delay spread of the propagation channel, UE speed, and introduces low cost for configuration. Link level simulation results are presented in the paper to investigate the DMRS placement in a transmission slot for different numerology and speed scenarios.」 (当審訳: 1.導入 この論文では、NRの7シンボル送信スロットのDMRS配置設定について説明する。以前の論文[1]と[2]では、DMRSの設計原理が提案されている。詳細な調査のために、早期デコードのサポートと、密度と配置を含む参照シンボルの割り当てが提案されている。論文 [3]では、時間領域での密度設定が研究され、その論文では、2つのシンボルDMRSを高速UEシナリオに使用し、1つのシンボルDMRSをオーバーヘッドが低いため低モビリティシナリオに採用することを提案している。したがって、1つのDMRSインスタンスのみが2番目のシンボルを占めるシングルパターンと、送信スロットの2番目と5番目のシンボルを占めるダブルDMRSパターンを、設定可能なDMRSパターンのベースラインパターンとして含める必要がある。この論文では、DMRSインスタンスの配置を検討する。特に、同じオーバーヘッドのDMRSパターンについて、伝搬チャネルの遅延拡散に対するロバスト、UE速度、および設定の低コストな導入に対する参照シンボルの割り当てを見つけたいと考えている。さまざまなニューメロロジーと速度のシナリオで送信スロットにおけるDMRS配置の調査のリンクレベルのシミュレーション結果が、この論文に示されている。) 「(2.1.1 DMRS pattern candidates for placement evaluation) Figure 1 above, two 12 sub-carrier by 7-symbol resource blocks in one slot are shown with three considered DMRS patterns, all of them of equal overhead. The blue square represents the resource elements where reference signals are located for one layer of transmission. Here in this example, we choose a comb structure with factor 2 in order to support two layers of DMRS. Early DMRS is placed at the 2nd symbol of the slot, which reserves the 1st symbol for control information. Middle pattern is placed at the 5th symbol of the slot with the same comb factor. The spreaded pattern is allocated at the 2nd and 5th symbol with half frequency density.」 (当審訳: (2.1.1 配置評価のためのDMRSパターン候補) 図1では、1つのスロット内の7つのシンボルリソースブロックによる2つの12サブキャリアが、3つの考慮されるDMRSパターンとともに示され、それらのすべてが等しいオーバーヘッドである。青色の正方形は、送信の1つのレイヤのために参照信号が位置するリソース要素を表す。ここで、この例では、DMRSの2つのレイヤをサポートするために、ファクタ2を有するコーム構造を選択する。Early DMRSは、スロットの2番目のシンボルに配置され、1番目のシンボルは制御情報のために予約される。中間パターンは、同じコーム係数を有するスロットの第5のシンボルに配置される。拡散されたパターンは、半周波数密度で2番目および5番目のシンボルに割り当てられる。) 「Figure1 ![]() 」 したがって、上記引用文献2には、 「伝搬チャネルの遅延拡散に対するロバスト、UE速度、および低コストな導入に対する参照シンボルの割り当てを見つけるため、 1つのスロット内の7つのシンボルリソースブロックによる2つの12サブキャリアが、3つの考慮されるDMRSパターンとともに示され、 Early DMRSは、スロットの2番目のシンボルに配置され、1番目のシンボルは制御情報のために予約され、 中間パターンは、同じコーム係数を有するスロットの第5のシンボルに配置され、 拡散されたパターンは、半周波数密度で2番目および5番目のシンボルに割り当てられる」(以下、「引用文献2記載技術」という。) ことが記載されている。 3.LG Electronics,DMRS Design Issues in NR[online],3GPP TSG-RAN WG1#86b R1-1609259,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_86b/Docs/R1-1609259.zip>,2016年10月 1日(以下、「引用文献3」という。) 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、次の記載がある。(下線は当審が付与。) 「2.2 NR DMRS Pattern In RAN1#86 meeting, it was agreed that at least 8 DL DMRS ports is supported for SU-MIMO and MU-MIMO. Also, we see that at least 4 layers for UL SU-MIMO should be supported in NR. If NR supports that same DMRS pattern is applied for both DL and UL, we can think that full or partial sets of DMRS resource designed for supporting at least 8 DL DMRS ports could be used for UL SU/MU-MIMO. Also, for future improvement, DMRS could be designed for supporting maximum 16 layers for DL and 8 layers for UL.」 (当審訳: (2.2 NR DRMSパターン) RAN1#86会議では、少なくとも8つのDL DMRSポートがSU-MIMOおよびMU-MIMOのためにサポートされることが合意された。また、UL SU-MIMOのための少なくとも4つのレイヤがNRにおいてサポートされるべきであることがわかる。NRが、同じDMRSパターンがDLおよびULの両方に適用されることをサポートする場合、少なくとも8つのDL DMRSポートをサポートするために設計されたDMRSリソースの完全なまたは部分的なセットが、UL SU/MU-MIMOのために使用され得ると考えることができる。また、将来の改善のために、DMRSは、DLのための最大16つのレイヤおよびULのための8つのレイヤをサポートするように設計され得る。) したがって、引用文献3には、 「NRが、同じDMRSパターンがDLおよびULの両方に適用されることをサポートする場合、少なくとも8つのDL DMRSポートをサポートするために設計されたDMRSリソースの完全なまたは部分的なセットが、UL SU/MU-MIMOのために使用され得る」(以下、「引用文献3記載技術」という。) ことが記載されている。 4.米国特許出願公開第2015/0282124号明細書(以下、「引用文献4」という。) 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、次の記載がある。(下線は当審が付与。)なお、当審訳は引用文献4の日本語ファミリーである特表2017-517991号公報に従う。 「[0012] Motivated by the aforementioned objectives and potential enhancements, several attempts for reducing DMRS overhead have been proposed. Such proposals have included placing DMRS in new resource element (RE) locations of a physical resource block (PRB), thereby defining new standardized DMRS placement patterns (so-called DMRS patterns). New DMRS patterns would be selected to reduce the training sequence overhead associated with the LTE Rel-10 standard DMRS patterns. In addition, an adaptive DMRS transmission scheme has been proposed by Broadcom Corporation in RAN1-72bis, titled “Adaptive UE Specific Reference Signal Design.” In this proposal, a set of DMRS patterns is specified in the standard, and the transmission of a particular DMRS pattern in the defined set can be semi-statically or dynamically signaled to the UE based on a modulation scheme or deployment scenario. Such proposed methods would still entail development of new DMRS patterns specified in the RAN1 specification, 3GPP TS 36.211, “LTE; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical Channels and Modulation.” Associated testing procedures for the new DMRS patterns would then be added into the related specification, 3GPP TS 36.101, “LTE; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); User Equipment (UE) radio transmission and reception.” These tasks would inevitably lead to an extensive standards development process and drafting effort.」 (当審訳: [0012] 前述の目的及び潜在的な高度化により誘導され、DMRSオーバーヘッドを低減するための複数の試みが提案されている。このような提案は、DMRSを物理リソースブロック(PRB)の新たなリソースエレメント(RE)の位置に配置することを含み、これにより、新たに標準化されたDMRS配置パターン(いわゆるDMRSパターン)を規定する。新たなDMRSパターンは、LTE Rel-10標準のDMRSパターンに関連するトレーニングシーケンスのオーバーヘッドを低減するように選択される。更に、適応DMRS送信方式が、RAN1-72bisにおいて“Adaptive UE Specific Reference Signal Design”という題でBroadcom Corporationにより提案されている。この提案では、DMRSパターンのセットが標準において指定され、規定されたセットにおける特定のDMRSパターンの送信は、変調方式又は展開シナリオに基づいてUEに半静的又は動的にシグナリングされ得る。このような提案方法は、RAN1仕様の3GPP TS 36.211, “LTE; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical Channels and Modulation”において指定された新たなDMRSパターンの開発を依然として必要とする。新たなDMRSパターンのための関連するテスト手順も、関係する仕様の3GPP TS 36.101, “LTE; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); User Equipment (UE) radio transmission and reception”に追加される。これらの作業は、広範囲の標準開発処理及び立案努力を必然的にもたらす。) 「[0026] In some embodiments, upon receiving signaling indicating the DMRS pattern book designed by the UE 102, the eNB 104 immediately begins using a UE-designed DMRS pattern for the DMRS-based PDSCH transmission. In some other embodiments, however, the eNB 104 may optionally determine for a particular PDSCH transmission in a subframe whether to use a conventional DMRS pattern specified in a technical standard or a UE-designed DMRS pattern. The eNB 104, therefore, signals to the UE 102 the selected DMRS pattern used for the scheduled PDSCH in the current subframe. Two example signaling methods employed by the eNB 104 are as follows. [0027] E.1 Semi-Static Signaling [0028] The eNB 104 uses RRC signaling to inform the UE 102 which DMRS pattern is to be used for the subsequent PDSCH transmission. The signaled DMRS pattern can be a conventional DMRS pattern from a technical standard or one that was previously identified in a DMRS pattern book. The RRC signaling from the eNB 104 would be pre-defined in a technical standard, according to one embodiment. [0029] E.2 Dynamic Signaling [0030] In this example, the eNB 104 signals a selected DMRS pattern on a subframe basis for the PDSCH transmission scheduled in the current subframe. In other words, in every subframe that contains a data packet, downlink control information (which schedules the data packet) is transmitted in the PDCCH to indicate the selected DMRS pattern. This entails defining a numbering system (i.e., indexing, or other logical order) for DMRS patterns so that the eNB 104 can indicate an index value that corresponds to a selected DMRS pattern. Based on such a numbering system, the eNB 104 can signal which particular DMRS pattern is used for the current PDSCH transmission. The relationship between the index values and the DMRS patterns in a UE-designed DMRS pattern book may be pre-defined in a 3GPP standard.」 (当審訳: [0026] 或る実施例では、UE102により設計されたDMRSパターンブックを示すシグナリングを受信した場合、eNB104は、DMRSに基づくPDSCH送信のためにUEにより設計されたDMRSパターンを直ちに使用し始める。しかし、或る他の実施例では、eNBは、サブフレームにおける特定のPDSCH送信について技術仕様で指定された従来のDMRSパターンを使用するか、UEにより設計されたDMRSパターンを使用するかを任意選択で決定してもよい。従って、eNB104は、現在のサブフレームにおいてスケジューリングされたPDSCHに使用される選択されたDMRSパターンをUE102にシグナリングする。eNB104により使用される2つの例示的なシグナリング方法は以下の通りである。 [0027] E.1 半静的なシグナリング [0028] eNB104は、どのDMRSパターンが後のPDSCH送信に使用されるかをUE102に通知するために、RRCシグナリングを使用する。シグナリングされたDMRSパターンは、技術標準からの従来のDMRSパターンでもよく、DMRSパターンブックで以前に識別されたものでもよい。一実施例によれば、eNB104からのRRCシグナリングは、技術標準において予め規定される。 [0029] E.2 動的なシグナリング [0030] この例では、eNB014は、現在のサブフレームにおいてスケジューリングされたPDSCH送信のために、サブフレーム毎に選択されたDMRSパターンをシグナリングする。換言すると、データパケットを含むサブフレーム毎に、(データパケットをスケジューリングする)下りリンク制御情報は、選択されたDMRSパターンを示すためにPDCCHで送信される。これは、eNB104が選択されたDMRSパターンに対応するインデックス値を示すことができるように、DMRSパターンの番号方式(すなわち、インデックス付け又は他の論理順序)を規定することを伴う。このような番号方式に基づいて、eNB104は、どの特定のDMRSパターンが現在のPDSCH送信に使用されるかをシグナリングしてもよい。インデックス値とUEにより設計されたDMRSパターンブックのDMRSパターンとの間の関係は、3GPP標準において予め規定されてもよい。) したがって、引用文献4には、 「DMRSオーバーヘッドを低減するため、新たなDMRSパターンが選択され、DMRSパターンに対応するインデックス値を示すことができるように、DMRSパターンの番号方式を規定し、番号方式に基づいて、eNB104は、どの特定のDMRSパターンが現在のPDSCH送信に使用されるかをシグナリングしてもよい。」(以下、「引用文献4記載技術」という。) ことが記載されている。 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。 (ア)引用発明1の「DMRSパターン」は「各UEのために動的に設定され得、そのシグナリングは、DCI(Downlink Control Information)を通して起こり得」るものであり、UEは、該DMRSパターンがレイテンシ要件に応じて動的に設定されるから、UEは、DCIを通じて動的に設定されたDMRSパターンをシグナリングされること、すなわち「復調用参照信号の配置方法の情報を受け」ることが明らかであり、「受信部」を有することは自明である。 一方、本願発明1の『復調用参照信号のマッピング方法』が「復調用参照信号の配置方法」であるから、『復調用参照信号のマッピング方法に対応するインデックス』は「復調用参照信号の配置方法の情報」である。 したがって、引用発明1と本願発明1は、「復調用参照信号の配置方法の情報を受ける受信部」を具備する点で共通する。 (イ)引用発明1の「UE」及び「DMRS(DeModulation Reference Signal)」が、本願発明1の『端末』及び『復調用参照信号』に相当することは明らかである。また、引用発明1の「DMRSパターン」は「DMRSをデータシンボルの先頭付近に配置する」こと、及び、「DMRSはDL送信期間の最後にも配置される」こと、であるから、「復調用参照信号の配置方法」であるといえる。さらに、動的に設定可能とするためには、複数の候補から選択して設定することが必要であるから、引用発明1は、複数の候補から『選択的に』用いるものといえる。つまり、引用発明1は、「復調用参照信号の配置方法について、選択的に用い」るものであって、該選択が、受信した「復調用参照信号の配置方法の情報」に基づいて「制御部」が行うことは明らかである。 一方、本願発明1も『復調用参照信号』の配置について『前記下り共有チャネルのスロット内の固定のシンボルに前記復調用参照信号がマッピングされる第1のマッピング方法』と『前記下り共有チャネルがスケジューリングされるシンボルの先頭に前記復調用参照信号がマッピングされる第2のマッピング方法』を『選択的に』用いて前記復調用参照信号の受信を制御する制御部を有するものである。ここで、『マッピング方法』とは『復調用参照信号のマッピング方法』、すなわち「復調用参照信号の配置方法」である。 したがって、引用発明1と本願発明1は、「復調用参照信号の配置方法について、複数の方法を選択的に用い」る制御部を具備する点で共通する。 したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点がある。 (一致点) 「復調用参照信号の配置方法の情報を受ける受信部と、前記情報に基づいて、前記復調用参照信号の配置方法について、複数の方法を選択的に用いる制御部と、を具備する端末」 (相違点) (相違点1)「受信部」に関し、本願発明1は、『下り共有チャネルの信号、及び、復調用参照信号のマッピング方法に対応するインデックスを与える情報』を受信するのに対し、引用発明1は、「各UEのために動的に設定され」た「DMRSパターン」を、「DCIを通して」受信する点。 (相違点2)「制御部」に関し、本願発明1は、『前記インデックスを与える情報に基づいて、前記下り共有チャネルのスロット内の固定のシンボルに前記復調用参照信号がマッピングされる第1のマッピング方法、及び、前記下り共有チャネルがスケジューリングされるシンボルの先頭に前記復調用参照信号がマッピングされる第2のマッピング方法を選択的に用い』るのに対して、引用発明1は、「DMRSをデータシンボルの先頭付近に配置する」パターンと「DMRSはDL送信期間の最後にも配置される」パターンを選択する点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点2について検討すると、 引用発明1は、DMRSパターンをレイテンシ要件に応じて動的に設定するものであって、低レイテンシが要求されるアプリケーションについては、「スロットの先頭付近に配置」された「DMRSパターン」を設定する一方、遅延耐性アプリケーションについては、「DL送信期間の最後にも配置」された「DMRSパターン」を設定するものである。 引用文献2には、伝搬チャネルの遅延拡散に対するロバスト、UE速度、および低コストな導入に対する参照シンボルの割り当てを見つけることが記載されているが、「前記下り共有チャネルのスロット内の固定のシンボルに前記復調用参照信号がマッピングされる第1のマッピング方法」と「前記下り共有チャネルがスケジューリングされるシンボルの先頭に前記復調用参照信号がマッピングされる第2のマッピング方法」を選択肢とすることは記載されていない。 引用文献4には、基地局からシグナリングを受け、「DRMSパターン」の設定を変更する端末の発明が開示されているが、「前記下り共有チャネルのスロット内の固定のシンボルに前記復調用参照信号がマッピングされる第1のマッピング方法」と「前記下り共有チャネルがスケジューリングされるシンボルの先頭に前記復調用参照信号がマッピングされる第2のマッピング方法」を選択肢とすることは記載されていない。 結局、引用発明1において、レイテンシ要件に応じて選択するDMRSパターンの選択肢を『前記下り共有チャネルのスロット内の固定のシンボルに前記復調用参照信号がマッピングされる第1のマッピング方法』と『前記下り共有チャネルがスケジューリングされるシンボルの先頭に前記復調用参照信号がマッピングされる第2のマッピング方法』とすることは引用文献2?4のいずれにも記載されていないから、『前記インデックスを与える情報に基づいて、前記下り共有チャネルのスロット内の固定のシンボルに前記復調用参照信号がマッピングされる第1のマッピング方法、及び、前記下り共有チャネルがスケジューリングされるシンボルの先頭に前記復調用参照信号がマッピングされる第2のマッピング方法を選択的に用いて、前記復調用参照信号の受信を制御する制御部』を具備する端末とすることは、当業者であっても、容易に発明をすることができたものではない。 したがって、上記相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2?4記載技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 2.本願発明2も、本願発明1と、同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2?4記載技術に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。 3.本願発明3は、復調用参照信号をマッピングする制御部が、上り共有チャネルの『スロット内の固定のシンボルに復調用参照信号がマッピングされる第1のマッピング方法』と上り共有チャネルが『スケジューリングされるシンボルの先頭に前記復調用参照信号がマッピングされる第2のマッピング方法』を選択肢とするものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2?4記載技術に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。 4.本願発明4は、本願発明3と同一の構成を備えるものであるから、本願発明3と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2?4記載技術に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。 5.本願発明5は、本願発明1に対応する基地局の発明であって、『下り共有チャネルのスロット内の固定のシンボルに復調用参照信号がマッピングされる第1のマッピング方法、及び、前記下り共有チャネルがスケジューリングされるシンボルの先頭に前記復調用参照信号がマッピングされる第2のマッピング方法を選択的に用い』るものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2?4記載技術に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。 6.本願発明6は、本願発明5と同一の構成を備えるものであるから、本願発明5と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2?4記載技術に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 原査定について 本願発明1?6は、前述のとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1?4に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-10-28 |
出願番号 | 特願2018-565961(P2018-565961) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04L)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 原田 聖子 |
特許庁審判長 |
吉田 隆之 |
特許庁審判官 |
伊藤 隆夫 丸山 高政 |
発明の名称 | 端末及び基地局 |
代理人 | 特許業務法人鷲田国際特許事務所 |