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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01N |
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管理番号 | 1379519 |
審判番号 | 不服2020-10027 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-07-17 |
確定日 | 2021-11-01 |
事件の表示 | 特願2018-545351「センサを備える吸収性物品」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月 8日国際公開、WO2017/151544、令和 1年 5月16日国内公表、特表2019-512676〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)2月28日(優先日:2016年3月3日,優先権主張国:欧州特許庁(EP) および 優先日:同年4月20日,優先権主張国:米国(US))を国際出願日とする特許出願であって、令和元年8月28日付けで拒絶理由が通知され、同年11月25日付けで意見書が提出されたものの、令和2年4月7日付けで拒絶査定されたところ、同年7月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされ、同年10月15日に上申書が提出されたものの、同年12月25日付けで当審による拒絶理由が通知され、令和3年3月30日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1?17に係る発明は、令和3年3月30日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?17に記載された事項により特定されたものであって、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、次のとおりであると認める。 「【請求項1】 身体排泄物を吸収し収容するように設計された吸収性物品を監視するためのシステムであって、前記システムは、 身体排泄物の有無に応じて少なくとも1つの光学特性を変化させるように適合した光学特性変化インジケータを含み、前記吸収性物品と前記インジケータが1つの一体化ユニットを形成している、吸収性物品と、 ハウジング、光学センサ、及び前記光学センサから離間した照明を含み、前記光学センサは前記インジケータの前記光学特性の前記変化を検出するように適合されている、光学センサ検出器デバイスと、を含み、 前記吸収性物品及び前記検出器デバイスは、互いに取り付けられるように、また、互いに対する取り付けが解除されるように適合されており、前記吸収性物品及び前記検出器デバイスが互いに取り付けられたときに、前記検出器デバイスは、前記インジケータの前記光学特性の変化を検出するように適合されているものであり、 前記検出器デバイスと前記吸収性物品とが取り付けられている場合、前記検出器デバイスは前記吸収性物品の外側に配置され、前記吸収性物品の特性変化インジケータは、前記吸収性物品の内側に配置される、システム。」 第3 当審による拒絶理由の概要 1(サポート要件) 本願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 2(明確性) 本願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 3(進歩性) 本願の下記の請求項1?10及び13?17に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献一覧 (1)特表2014-515289号公報(以下「引用文献1」という) (2)特開平7-239990号公報(以下「引用文献2」という) (3)特表2016-500015号公報(以下「引用文献3」という) (4)特開昭56-043402号公報(以下「引用文献4」という) 第4 引用文献及びその記載事項 1 本願優先日前に頒布され、当審の拒絶理由において引用された引用文献1には、「補助物品を含むセンサーシステム」について、図1?7Cとともに次の事項が記載されている。(下線は当審にて付与する。以下同様) (1-ア) 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 吸収性物品の、又は前記吸収性物品内の特性を検出するためにセンサーシステムであって、 衣類に面する層、及び吸収性アセンブリを含む、吸収性物品と、 センサーを含む補助物品と、を備え、 前記センサーは、前記補助物品が前記吸収性物品の上に適合された場合に、前記衣類に面する層に隣接するように外側に向けられ、 前記センサーは、前記吸収性物品に物理的に取り付けられず、 前記センサーは、前記吸収性物品内の状態の変化を感知するように構成される、センサーシステム。 【請求項2】 前記センサーは、前記吸収性物品の、温度、湿度、密度、光学的変化、音響的変化、化学的変化、前記吸収性物品の厚さの変化、及び/又は材料特性の変化を感知するように構成された、請求項1に記載のセンサーシステム。 【請求項3】 前記センサーは、非導電性である、請求項1に記載のセンサーシステム。 【請求項4】 前記センサーは、キャリアハウジングを備える、請求項1?3のいずれか一項に記載のセンサーシステム。 【請求項5】 前記センサーは、前記補助物品とは別個であり、前記補助物品の内面に取り付けられた、請求項1?4のいずれか一項に記載のセンサーシステム。 【請求項6】 前記センサーは、前記補助物品と一体である、請求項1に記載のセンサーシステム。 【請求項7】 前記センサー及び前記補助物品は、洗浄可能である、請求項1?6のいずれか一項に記載のセンサーシステム。 【請求項8】 前記補助物品は、非吸収性物品である、請求項1?7のいずれか一項に記載のセンサーシステム。 【請求項9】 前記吸収性アセンブリは、吸収性コアを含み、前記吸収性コアは、エアフェルトを含まない、請求項1に記載のセンサーシステム。」 (1-イ) 「【技術分野】 【0001】 概して本開示の実施形態は、吸収性物品と共に使用するためのセンサーに関する。特に、本開示の実施形態は、吸収性物品と共に使用するための補助物品に関連する。 【背景技術】 【0002】 この分野は、吸収性物品と一体である、多くの異なる種類のセンサーを開示する(例えば、衣類に面する層の内側に配置されるか、又は衣類に面する層の内側又は外側表面に固定される)。内部センサーを有する設計の問題の1つは、そのほとんどが使い捨てセンサーであり、すなわち、センサーは吸収性物品内に配置される単回使用設計であり、これは主に、一度糞便及び尿により汚染するとこれらを再使用することは望ましくないためである。このような手法は、例えばおむつなどの各吸収性物品にセンサーを組み込む必要性を考慮すると高価であり得る。加えて、製品の内側の表す手段として電子回路に依存する製品は、着用者を低電圧電流に暴露することがある。 【0003】 加えて、再使用のために衣類に面する層の内面上に配置されたセンサーにアクセスすることは困難であり得る。あるいは、センサーは衣類に面する層の外側に配置されるが、以前として吸収性物品と一体であることもできる。衣類に面する層の外側表面に固定されるセンサーの問題の1つは、センサーを適切に配置し、その後センサーを衣類に面する層に保持又は取り付けるための手段を生成することである。このような手法は、センサーを全てのおむつに一体化するための費用という問題を解決しない。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 これらの問題は、補助物品の中又は上で外部にセンサーを配置することによって解決され得る。しかしながら、この手法における1つの課題は、吸収性物品の外側から、関心の特性を感知することである。したがって、衣類に面する層の外面(吸収性物品の液体不透過性部分)と連通する補助物品にセンサーを配置し、吸収性物品(例えば、コア、衣類に面する層など)をセンサーと機能的に通信するように設計することが、本発明の1つの目標である。 【0005】 吸収性物品の内側上にセンサーを配置することの別の問題は、全ての吸収性物品がセンサー、又はセンサーを保持する場所を備えるようにつくる必要があることである。これは非常に高価であり得る。したがって、持続可能な再使用可能なセンサーの解決法をもたらすために、補助物品を使用することが目的である。」 (1-ウ) 「【0008】 補助物品構造 補助物品は、吸収性物品の上に適合するように設計された、耐久性のある、洗濯可能、再使用可能な衣類であり得る。補助物品は、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、様々なポリオレフィン、スパンデックス、コットン、羊毛、亜麻、又はこれらの組み合わせを含む、様々な材料から作製され得る。 【0009】 補助物品は、その層の2つの間にセンサーを含み得る。ポケットは、補助物品の外側表面の内側、又は外側表面の内部又は上に形成され得る。ウィンドーは、センサーと吸収性物品との間のより良好な連絡をもたらすために、補助物品の層の1つ以上を通じて形成され得る。 【0010】 センサーは、吸収性物品(当審注:「補助物品」の誤記)と別個であっても一体であってもよい。補助物品は、尿及び/又はBMなどの、身体排泄物の発生に関連して吸収性物品の様々な態様を感知し得るセンサーを含む場合がある(例えば、センサーは、温度、湿度、アンモニア又は尿素の存在、排泄物の様々な上記成分(尿及び便)における変動、吸収性物品の衣類に面する層を通じた蒸気透過性の変化、衣類に面する層を通じた色の変化など)を感知し得るセンサーを含み得る。加えて、センサーは、アンモニア又は尿素などの尿の成分、及び/又はこれらの成分と吸収性物品との反応により生じる副生成物を感知し得る。センサーは、尿が吸収性物品の他の成分(例えば、接着剤、agmなど)と混ざる際に生成される副生成物を感知し得る。感知される成分又は副生成物は、衣類に面する層を通過し得る蒸気として存在し得る。状態(例えば、色、温度など)を変更する、又は尿と混ざったときに測定可能な副生成物を形成する、反応物質をおむつ内に配置することが望ましい場合がある。センサーはまた、pH、圧力、臭気、ガスの存在、血液、化学マーカー、若しくは生物学的マーカー、又はこれらの組み合わせの変化を感知し得る。 【0011】 センサーは、フック及びループ締結具、接着剤、熱ボンド、スナップ若しくはボタンなどの係合締結具を備える補助物品と一体化されてもよく、又は補助物品内に形成されるポケット、凹部、若しくは空隙、又はこれらの組み合わせに配置されてもよい。これらの一体化方法の多くは、補助物品からのセンサーの除去、及び/又はこれへ取り付けを可能にする。・・・・・」 (1-エ) 「【0024】 図2Aは、着用のために形成される前部で締結可能な補助物品200Aの前部201及び側部203の外側斜視図を例示する。締結可な能吸収性物品(当審注:「締結可能な補助物品」の誤記)200Aは、腰部開口部207、及び脚部開口部208を含み得る。吸収性物品(当審注:「補助物品」の誤記)200Aは、前部201に配置された長手方向に向けられたセンサー231を含む。 【0025】 本開示は前部で締結可能な補助物品を参照しているが、本開示は、本明細書に記載のような、補助物品が後部で締結可能である吸収性物品(当審注:「補助物品」の誤記)の代替実施形態も想到している。したがって、前部締結可能であるとして説明される本開示の吸収性物品(当審注:「補助物品」の誤記)の各実施形態は、後部締結可能に構成されることも可能である。 【0026】 図2Bは、着用のために形成されるパンツ型補助物品200Bの前部で締結可能な補助物品の側部203及び後部205の外側斜視図を例示する。締結可な能吸収性物品(当審注:「締結可能な補助物品」の誤記)200Bは、腰部開口部207、及び脚部開口部208を含み得る。補助物品200Bは、後部205内の長手方向に向けられたセンサー235を含み得る。 【0027】 図2Cは、平面に展開された前部締結可能な使い捨て補助物品(当審注:「前部で締結可能な補助物品」の誤記)200Cの外側平面図を示している。補助物品200Cは、前部201、後部205、長手方向中心線213、及び横方向中心線216、外側表面206、及び内側(吸収性物品に面する)表面209を含む場合がある。 【0028】 補助物品200Cは、様々な代表的な位置及び向きの、多くのセンサーを含み得る。補助物品200Cは、前部201及び/又は後部205の長手方向中心線213に沿って、センサー231及び235などの、長手方向に向けられたセンサーを含み得る。後部(当審注:「前部」の誤記)201及び/又は後部205は、長手方向中心線213と横方向中心線216との間の角度で向けられた、センサー232、234、236、及び238などの角度を有するセンサーを含み得る。補助物品200Cは、横方向中心線216に沿ってセンサー233及び237などの横方向に向けられたセンサーを含み得る。 【0029】 補助物品200Cにおいて、センサーは、中央219から実質的に半径方向に向けられてもよい。しかしながら、図2Cに例示される位置及び向きに加えて、本開示のセンサーは、補助物品における様々な代替的な位置及び向きで配置され得る。例として、センサーは、前部締結可能補助物品内における物品の着用者の排尿点(当審注:「排尿点及び/または肛門」の誤記)に対する位置に配置され得る。」 (1-オ) 「【0043】 吸収性材料414Aは、吸収性物品412Aの少なくとも一部において、着用者に面する層413Aの下、及び衣類に面する層415Aの上に配置されてもよい。一部の実施形態において、吸収性物品の吸収性材料は、吸収性コアと呼ばれる構造の一部である。吸収性材料414Aは、吸収性材料414Aが吸収性物品412Aによって受容される体液を吸収することができるように、液体吸収性であるように構成され得る。様々な実施形態において、吸収性材料は、セルロース繊維(例えば、木材パルプ繊維)、他の天然繊維、合成繊維、織布又は不織布シート、スクリムネッティング、又は他の安定化構造、超吸収性材料、フォーム、結合材料、接着性界面活性剤、選択される疎水性材料、顔料、ローション、臭気抑制剤など、並びにこれらの組み合わせを含み得る。吸収性構造は、1つ以上の貯蔵層、及び1つ以上の流れ管理層を含み得る。一対の収容フラップ、塑性レッグカフは、身体排泄物の横方向流れを阻止するために吸収性アセンブリの内部表面の一部を形成し得る。」 (1-カ) 「【0048】 センサー構造 本開示のセンサーは、尿及び/又は便の存在をモニタリングすることができるセンサーシステムの一部を形成してもよい。このシステムは、尿及び/又は糞便などの身体排泄物の存在が検出される手段によって決定される、様々な構成をとり得る。・・・・・」 (1-キ) 「【0066】 光センサー 本開示の別のセンサーアプローチは、尿又は糞便失禁事象に関連する吸収性物品の光学的変化を測定することによって、失禁事象を感知する。センサーは、尿又は糞便が吸収性物品の衣類に面する層に接触する際の光学的変化(例えば、黄色の尿又は茶色の糞便と関連する色の変化)を単純に測定してもよい。あるいは、物品(当審注:「吸収性物品」の誤記)は、尿又は糞便の出現に反応して、色を変え、感知のために必要な光学的な指示をもたらす、衣類に面する層と隣接して配置された材料を含み得る。光学的感知システムの別の代替において、外側カバーは湿った際に半透明性を変更する材料を含み、よって内側層が光学的に測定可能な変化の生成を通じて見えるようにする。これらの光学的な変化は望ましくは、糞便出現の後、例えば一度液体が吸収性コアによって吸収されると、反転することが理解されるべきである。あるいは、光学的特性は、各後の失禁事象による測定可能な度合いで変化することが望ましい場合がある。失禁事象の測定が単に事象自体の指示を光学的にもたらすだけではなく、特に可逆的な変化構造における光学的変化の持続時間が、コア容量、出現自体の製品乾燥及び/又は大きさ(例えば、尿の量)の指示をもたらすことができる。本開示のセンサーシステムはまた、失禁事象前及びその間にモニタリングされる着用者及び/又は物品の特性を点検する誘引として使用し得る。これらの特性の変化は、ひいては以降の失禁事象が起こり得る時間を予測するために使用され得るパターンを示し得る。」 (1-ク) 「【0069】 通信 吸収性物品内の環境の所望の感知を確実にするために、補助物品内又はその上にセンサーを配置する、多くの許容可能な向きが存在する。例えば、糞便又は尿が衣類に面する層に対してより容易に配置され、よってセンサーによって検出可能なために十分強い刺激をもたらす(例えば、化学的、視覚的になど)ように、開口又は吸収性自由ゾーンが吸収性物品内のコアに形成され得る。この目的のため、実質的にエアフェルトを有さないコアを使用することが望ましい場合がある。・・・・・あるいは、センサーは、機械的締結具、例えば、製品(不織布)の外側表面と係合し得るフック様材料、又はセンサーを適所に保持するループ材料を含み得る。別の手法において、センサーは、吸収性物品の外側表面と接触するようにセンサーを引くように設計された磁石を含み得る。このような設計において、物品は、磁気的に適合性の材料の薄い断片を含み得る。 【0070】 本開示のセンサーは、失禁事象が生じ得るときを予測するように設計され得る。例えば、一実施形態において、センサーは物品(当審注:「補助物品」の誤記)が着用される間に、吸収性物品の特性をモニタリングし得る。センサーは、吸収性物品の特性の変化を決定してもよく、変化は着用者の失禁事象を示す。更に、センサーは、特性の変化に基づき、以降の失禁事象を示す条件をもたらし得る。センサーは、失禁事象中、又は前に存在する一連の失禁事象及び条件を比較し、失禁事象中、又は前に存在する条件のパターンを判定することによって予測を行うことができる。更に、センサーは、吸収性物品における排泄の存在を、介護者及び/又は着用者に知らせるために、排泄の通知をもたらすことができる。 【0071】 ? 上記のように、吸収性物品に取り外し可能に取り付け可能である、センサーを有すること、又は補助物品中にセンサーを有することの利点の1つは、より高度な(これらは通常より高価である)センサーシステムを使用する能力である。センサーA及びBが、別個の事象(例えば、センサーAが熱、及びセンサーBが尿)を検出し、伝えるように、吸収性物品内に2つ以上のセンサー(センサーA及びセンサーB)を配置することが望ましい場合がある。」 (1-ケ) 「【0077】 持続性 より持続的な吸収性物品を使用することへの要求が高まっている。各物品にセンサーを組み込み、吸収性物品を交換するたびにこれを捨てるのは、あまりにも費用がかかり、無駄が多い。着用者ごとに数百又は数千の使い捨てセンサーを捨てる代わりに、補助物品内に単一の外部センサーが再使用され得る。センサーは、着用可能、使用可能な補助物品が指向され得る。 【0078】 吸収性物品の外側の単一センサーを使用する別の利益は、センサーが、ブランド、種類(テープ式、プルオンおむつ、トレーニングパンツなど)、大きさ(例えば、幼児から大人)を含む吸収性物品と共に使用され得ることである。 【0079】 内部センサー及び/又は吸収性物品の一部であるセンサーは、これを内蔵する吸収性物品の貯蔵、及び貯蔵寿命を通じて耐久する必要のある、内蔵型電源を必要とし得る。吸収性物品及び/又は補助物品から取り外し可能であるセンサーは、再充電ベースにセットされるか、又は交換可能な電池を有してもよい。 (1-コ)【図2A】 (1-サ)【図2C】 2 本願優先日前に頒布され、当審の拒絶理由において引用された引用文献2には、「濡れ状態報知装置及びそれに用いる尿検出装置」について、図1?39とともに、以下の事項が記載されている。 (2-ア) 「【請求項35】 排尿を検出する尿検出装置であって、 光を発する発光部と、 この発光部からの光を受ける受光部と、 この受光部にて受光した光を識別する演算手段と、 を具備する尿検出装置。」 (2-イ) 「【0057】また、請求項35記載の本発明によれば、例えば、紙おむつにおいて尿により発色や消光などして外部からその漏れが分かるものに取り付け、この紙おむつに向けて発光部より光を発し、その反射光を受光部にて受光すれば、おむつが濡れている時と濡れていない時とで反射光の強度が変化する。この反射光の強度を演算部にて識別することで、おむつの濡れを検出することができる。・・・・・」 (2-ウ) 「【0131】〔第14実施例〕本実施例は、患者ユニットに関するものであり、図26に基づき説明する。なお、(a)図は、患者ユニットの斜視図であり、(b)図は、その断面図である。また、(c)図は患者ユニットの紙おむつへの取り付け状態を示す図であり、(d)図は、その詳細図である。 【0132】本実施例の患者ユニットは、尿を検出する手段と検知した信号を送信する患者ユニットとが一体になった構成をとる。おむつ濡れは、図25(当審注:「図26」の誤記)に示す患者ユニット211(当審注:「患者ユニット221」の誤記)が検出し、その信号を患者ユニット211(当審注:「患者ユニット221」の誤記)から無線通信で送り知らせる。なお、患者ユニット211(当審注:「患者ユニット221」の誤記)は無線通 信で信号を送らずに自分で報知しても良い。 【0133】本実施例を図26にて説明する。患者ユニット221は、発光部222、受光部223、濡れ測定回路224、患者ユニット221をおむつ225に固定するための粘着材225から構成される。濡れ測定回路224は、濡れを測定する回路、電源、信号を無線で送信する回路などから構成される。最近では紙おむつの使用が増え、紙おむつでは尿により発色や消光などして外部からその濡れがわかるものが多い。すなわち、光の受発光を利用すれば濡れによる光の強度が変化するので濡れを検知して報知できるものである。 【0134】発光部222からでた光は、おむつ225にあたる。おむつ内の濡れにより吸収したりした光を受光部223で受け濡れ測定回路224で濡れの有無を判定し、報知する。図では発光部222と受光部223が別々の構成になっているが、くっついた構造や一つのパッケージに入った一体になっていてもかまわない。一般に売られている紙おむつで濡れると色の変わるものがあるが、患者ユニット221をおむつ225の発色する部分に装着することにより非常に簡便でしかも尿には非接触で濡れを検出できる。現在の紙おむつでは吸収材が尿を吸収すると膨潤し、外部から肉眼で濡れを判断することができるのでおむつの濡れやすいところに装着するだけでも濡れを判断することができる。このように構成することで、非接触で測定でき、かつ紙おむつ225にセンサを装着する必要がないので誰でもが操作することが可能である。」 (2-エ)図26 3 本願優先日前の2016年1月7日に頒布され、当審の拒絶理由において引用された引用文献3には、「授乳量推定器」について、図1?11Bとともに、以下の事項が記載されている。 (3-ア) 「【請求項13】 対象者が着用する失禁用製品に外付けされるように構成された筐体を有し、 前記筐体は、 (a)失禁用製品を照射する発光ダイオード(LED)、 (b)失禁用製品から反射される光量の表示度数を出力する光検出器、及び (c)前記光検出器から表示度数を受信し、対象者が失禁用製品に分泌した尿量を前記表示度数に基づいて計算する集積回路 を有する、尿センサ。」 (3-イ) 「【0019】 有利に、尿の量は、乳児のおむつに外付けされたセンサを使用して検出される。それ故、センサは尿又は乳児の体に直接的に接触しない。有益なセンサは、親密で簡潔な母親/乳児の摂食及び触れ合い行為を邪魔しない方法で、尿の分泌の便利な非侵入性の測定を可能にする。代替の実施形態では、センサはおむつそのものの中に埋め込まれる。 【0020】 いくつかの実施形態において、授乳に関係のない目的のために、センサは失禁用製品(大人用のおむつ又は乳児用のおむつなど)に分泌される尿の量を測定するのに使用される。例えば、センサは、腎不全を検知し、水和を推定するなどのために、対象者の流体管理を必要とする状況において使用されても良い。」 (3-ウ) 「【0023】 図1を参照すると、特徴的な層状のおむつ100が斜視図で示されている。図2を参照すると、同じおむつを形成する層が断面図で示されている。多くの現代のおむつ(おむつ100など)に見られる基本的な層は一般に、(a)通気性のポリエチレンフィルム又は不織フィルム合成物で作られ、水気と汚物の外部環境への移動を防ぐ、外殻(outer shell)102、(b)通常、エアレイド(air-laid)の紙と優れた吸収性のポリマーの混合物を含む、内部吸収性層104、及び(c)大抵、真下の分布層と共に不織布材料で作られ、水分を吸収性層に移動させる、皮膚に最も近い層106である。着用者の腹部の周りでおむつを閉じるのに、一対のファスナ108が通常使用される。 【0024】 いくつかの実施形態において、センサ(センサ110など)が、外付けの追加物として、おむつ100の外殻102に取り付けられても良い。いくつかの実施形態において(図示せず)、センサは、外殻102に埋め込まれても良いし、又は外殻102と一体的に形成されても良い。いくつかの実施形態において(図示せず)、センサは、内部吸収性層104に埋め込まれても良いし、又は内部吸収性層104と一体的に形成されても良い。いくつかの実施形態において、1つ以上のセンサが、皮膚に最も近い層106に埋め込まれても良いし、又は皮膚に最も近い層106と一体的に形成されても良い。センサ110の位置決めは、ここでは単なる例として示されている。とは言うものの、センサは、おむつのいずれかの層の中に又はおむつのいずれかの層上に位置付けられても良いし、及び/又はおむつの異なる領域に位置付けられても良い。さらに、センサの構成要素を異なる層に分布させても良いし、及び/又は異なる位置に分布させても良い。」 (3-エ) 「【0026】 乳児及び/又はセンサを必要としている他の人に使用するための典型的なセンサ300が、図3A?図3Gにおいて、正面等角図、正面図、背面図、右側面図、左側面図、上面図、及び底面図でそれぞれ示されている。センサ300は、内部の構成要素(光検出器、照明器(例えばLED)、集積回路(IC)など)を取り囲む筐体を有しても良い。筐体は、例えば筐体の背面に位置付けられるステッカー又はベルクロ(Velcro)などにより、着用者の衣服(おむつなど)に取り付けられても良い。さらに又はこれに代えて、筐体はクリップ及び/又は当技術分野で知られている他の手段(図示せず)を使用して、衣服に取り付けられても良い。 【0027】 センサ300のICは、例えば、上述した光検出器を使用して、おむつに分泌される尿の量を測定しても良い。光検出器は、おむつから反射される光量の表示度数を出力する。表示度数はICにより受信され、ICはその表示度数に基づいて分泌された尿の量を計算する。光検出器は、筐体内の開口部を使用して光を受信しても良く、任意のLEDが、任意のLED開口部を使用して、衣服を照射しても良い。1つ又は両方の開口部は開いていても良いし、又は光の移動を可能にするほど十分に透明なカバーで閉じられていても良い。すなわち、開口部は筐体の背面で視覚的に露出される。カバーは、例えば、ベルクロ、接着剤、又はセンサ300を衣服に取り付けるための他の手段であっても良い。任意のIR送受信機が、IR穴に又はその近くに位置付けられても良い。 【0028】 いくつかの又は全てのセンサ、送受信機、照明器などが、ベルクロ、接着剤、又はセンサ300を衣服に取り付けるための他の手段の下方に位置付けられても良く、又は、環境への露出をせずに筐体の内側に位置付けられても良いことに、注意すべきである。これにより、筐体に可視の穴を設ける必要性を回避しながら、センサ/照明器の保護を提供しても良い。それは、完全に又は部分的に筐体の密閉を提供しても良い。 【0029】 LEDは、白色光LED、赤色光LED、赤外線LED、又は異なる波長のLEDであっても良い。」 (3-オ)【図1】、【図3A】?【図3C】 4 本願優先日前に頒布され、当審の拒絶理由において引用された引用文献4には、「湿潤指示薬を有する改良使い捨ておむつ型着用品」について、第1図?第4図とともに、以下の事項が記載されている。 (4-ア) 「簡単には、本発明は、前述の理由で非常に可撓性であり、そして放尿後比較的短時間で活性化されるように設けられた高度に可撓性のpH変化-色変化型の湿潤指示薬被覆物を含む改良おむつ型着用物品(garment)である。更に詳細には、本発明は酸緩衝化されたpH変化-色変化型の被覆物質を提供するもので、被覆物質は尿で濡れた際に実質的に色変化する。そして被覆物質は色変化が例えば知覚力のある着用者の付添人に見えるように設けられる。おむつ20の被覆物26のストライプをバックシート21の内表面に設けているが、本発明はこれに限定されるものではない。この種の被覆物を例えば吸収芯32の外表面に適用することもできる。 被覆物26は固体-固体混合物で、例えば接着物質のマトリックス中に分散されたpH変化-色変化型の物質の固体-固体溶体(solid-solid solution)である。マトリックス物質は好ましくは被覆物26がそれの混入される使い捨ておむつや他の製品の可撓性を実質上損なわないように十分に可撓性である。更に、被覆物は、通常の使用期間中被覆された表面にそのまま残るように十分に接着性で可撓性でなければならない。即ち、被覆物26は、おむつの可撓性や順応性を実質上損なわないようにおむつ20の他の成分と同様に高度に可撓性である。」(3頁右下欄16行?4頁左上欄20行) 第4 当審の判断 1 引用発明 (1)引用文献1の上記記載事項(1-ア)の「吸収性物品の、又は前記吸収性物品内の特性を検出するためにセンサーシステムであって、衣類に面する層、及び吸収性アセンブリを含む、吸収性物品と、センサーを含む補助物品と、を備え」、同(1-オ)の「吸収性材料414Aは、吸収性材料414Aが吸収性物品412Aによって受容される体液を吸収することができるように、液体吸収性であるように構成され得る。」及び同(1-カ)の「本開示のセンサーは、尿及び/又は便の存在をモニタリングすることができるセンサーシステムの一部を形成してもよい。このシステムは、尿及び/又は糞便などの身体排泄物の存在が検出される手段によって決定される、様々な構成をとり得る。」からみて、引用文献1には、「身体排泄物を吸収するように構成された吸収性物品内の尿及び又は糞便の存在を検知・モニタリングするためのセンサーシステム」が記載されているといえる。 (2)引用文献1の上記記載事項(1-ア)の「吸収性物品の、又は前記吸収性物品内の特性を検出するためにセンサーシステムであって、衣類に面する層、及び吸収性アセンブリを含む、吸収性物品と、センサーを含む補助物品と、を備え」、同(1-キ)の「物品(当審注:「吸収性物品」の誤記)は、尿又は糞便の出現に反応して、色を変え、感知のために必要な光学的な指示をもたらす、衣類に面する層と隣接して配置された材料を含み得る。」及び同(1-カ)の「本開示のセンサーは、尿及び/又は便の存在をモニタリングすることができるセンサーシステムの一部を形成してもよい。このシステムは、尿及び/又は糞便などの身体排泄物の存在が検出される手段によって決定される、様々な構成をとり得る。」からみて、引用文献1には、「身体排泄物である尿及び又は糞便の出現に反応して色を変化させる材料を含み、該材料が衣類に面する層と隣接して配置されている、吸収性物品」が記載されているといえる。 (3)上記記載事項(1-ア)の「【請求項4】前記センサーは、キャリアハウジングを備える・・・・・【請求項5】前記センサーは、前記補助物品とは別個であり、前記補助物品の内面に取り付けられた」、同(1-ウ)の「【0008】補助物品構造 補助物品は、吸収性物品の上に適合するように設計された、耐久性のある、洗濯可能、再使用可能な衣類であり得る。・・・・・【0009】補助物品は、その層の2つの間にセンサーを含み得る」及び同(1-キ)の「光センサー 本開示の別のセンサーアプローチは、尿又は糞便失禁事象に関連する吸収性物品の光学的変化を測定することによって、失禁事象を感知する。センサーは、尿又は糞便が吸収性物品の衣類に面する層に接触する際の光学的変化(例えば、黄色の尿又は茶色の糞便と関連する色の変化)を単純に測定してもよい。あるいは、物品は、尿又は糞便の出現に反応して、色を変え、感知のために必要な光学的な指示をもたらす、衣類に面する層と隣接して配置された材料を含み得る。」からみて、引用文献1には、「吸収性物品の上に適合するように設計された、耐久性のある、洗濯可能、再使用可能な衣類であり得る補助物品の内面に取り付けられ、吸収性物品の衣類に面する層と隣接して配置された材料の色の変化を測定するように構成され、キャリアハウジングを備える光センサー」が記載されているといえる。 (4)上記記載事項(1-ウ)の「【0011】センサーは、フック及びループ締結具、接着剤、熱ボンド、スナップ若しくはボタンなどの係合締結具を備える補助物品と一体化されてもよく、又は補助物品内に形成されるポケット、凹部、若しくは空隙、又はこれらの組み合わせに配置されてもよい。これらの一体化方法の多くは、補助物品からのセンサーの除去、及び/又はこれへ取り付けを可能にする。」及び同(1-ク)の「センサーは、機械的締結具、例えば、製品(不織布)の外側表面と係合し得るフック様材料、又はセンサーを適所に保持するループ材料を含み得る。」からみて、引用文献1には、「補助物品及びセンサーのうち少なくとも1つは、互いに係合締結されるように、また、互いに対する係合締結が解除されるように構成される」ことが記載されているといえる。 (5)上記記載事項(1-ア)の「前記センサーは、前記補助物品が前記吸収性物品の上に適合された場合に、前記衣類に面する層に隣接するように外側に向けられ、前記センサーは、前記吸収性物品に物理的に取り付けられず」、同(1-エ)の「【0029】・・・・・センサーは、前部締結可能補助物品内における物品の着用者の排尿点に対する位置に配置され得る。」及び同(1-キ)の「センサーは、尿又は糞便が吸収性物品の衣類に面する層に接触する際の光学的変化(例えば、黄色の尿又は茶色の糞便と関連する色の変化)を単純に測定してもよい。あるいは、物品は、尿又は糞便の出現に反応して、色を変え、感知のために必要な光学的な指示をもたらす、衣類に面する層と隣接して配置された材料を含み得る。」からみて、技術常識を考慮すると、引用文献1には、「補助物品が吸収性物品の上に適合されたときに、光センサーは、前記吸収性物品の衣類に面する層に隣接するように外側に向けられ、前記補助物品内における前記吸収性物品の着用者の排尿点に対する位置に配置され、前記衣類に面する層と隣接して配置された材料の色の変化を測定するように構成される」ことが記載されているといえる。 (6)上記(1)?(5)を総合すると、引用文献1には、以下の発明が記載されているといえる。 「身体排泄物を吸収するように構成された吸収性物品内の尿及び又は糞便の存在を検知・モニタリングするためのセンサーシステムであって、 前記システムは、 身体排泄物である尿及び又は糞便の出現に反応して色を変化させる材料を含み、該材料がその衣類に面する層と隣接して配置されている、吸収性物品と、 前記吸収性物品の上に適合するように設計された、耐久性のある、洗濯可能、再使用可能な衣類であり得る補助物品の内面に取り付けられ、前記衣類に面する層と隣接して配置された材料の色の変化を測定するように構成され、キャリアハウジングを備える光センサーと、を含み、 補助物品及び前記光センサーのうち少なくとも1つは、互いに係合締結されるように、また、互いに対する係合締結が解除されるように構成されており、 前記補助物品が前記吸収性物品の上に適合されたときに、前記光センサーは、前記吸収性物品の衣類に面する層に隣接するように外側に向けられ、前記補助物品内における前記吸収性物品の着用者の排尿点に対する位置に配置され、前記衣類に面する層と隣接して配置された材料の色の変化を測定するように構成される、 センサーシステム。」(以下「引用発明」という。) 2 対比 (1)引用発明と本願発明とを比較すると、その機能・構造からみて、引用発明の「センサーシステム」が本願発明の「システム」に相当するといえる。また、同様に、前者の「色の変化」が「測定」される「衣類に面する層と隣接して配置された材料」が後者の「光学特性インジケータ」に、前者の「光センサー」が後者の「光学センサ」に、それぞれ、相当するといえる。 (2)技術常識からみて、引用発明の「身体排泄物を吸収するように構成された吸収性物品内の尿及び又は糞便の存在を検知・モニタリングする」は、本願発明の「身体排泄物を吸収し収容するように設計された吸収性物品を監視する」に相当するといえる。 (3)引用発明の「前記吸収性物品の上に適合するように設計された、耐久性のある、洗濯可能、再使用可能な衣類であり得る補助物品の内面に取り付けられ、前記衣類に面する層と隣接して配置された材料の色の変化を測定するように構成され、キャリアハウジングを備える光センサーと、を含み」と本願発明の「ハウジング、光学センサ、及び前記光学センサから離間した照明を含み、前記光学センサは前記インジケータの前記光学特性の前記変化を検出するように適合されている、光学センサ検出器デバイスと、を含み」とは、「ハウジングを含み、前記インジケータの前記光学特性の前記変化を検出するように適合されている光学センサと、を含み」の点でのみ一致するといえる。 (4)引用発明においては、「光センサー」が「補助物品」に係合締結されるのであるから、「補助物品」が「吸収性物品」の上に適合されたときには、上記記載事項(1-ク)の「【0071】上記のように、吸収性物品に取り外し可能に取り付け可能である、センサーを有する」および同(1-ケ)の「【0079】・・・・・吸収性物品及び/又は補助物品から取り外し可能であるセンサー」からみて、該「光センサー」も「吸収性物品」に「取り付けられる」こととなる。 また、引用発明において、「吸収性物品の上に適合するように設計された、耐久性のある、洗濯可能、再使用可能な衣類であり得る補助物品」は、再使用するために吸収性物品から取り外される(脱がされる)ものであり、その際には、該「光センサー」も「吸収性物品」から「取り付けが解除される」こととなるといえる。 そして、引用発明の「光センサー」は、「前記吸収性物品の上に適合するように設計された補助物品の内面に取り付けられ・・・・・ように構成されている」および「前記補助物品が前記吸収性物品の上に適合されたときに、前記光センサーは、前記吸収性物品の衣類に面する層に隣接するように外側に向けられ、前記補助物品内における前記吸収性物品の着用者の排尿点に対する位置に配置され」るのであるから、該「補助物品」が「吸収性物品」の上に適合されたときには、該「吸収性物品」の外側に配置されることとなるのは明らかである。 そうすると、引用発明の「補助物品及び前記光センサーのうち少なくとも1つは、互いに係合締結されるように、また、互いに対する係合締結が解除されるように構成されており、前記補助物品が前記吸収性物品の上に適合されたときに、前記光センサーは、前記吸収性物品の衣類に面する層に隣接するように外側に向けられ、前記補助物品内における前記吸収性物品の着用者の排尿点に対する位置に配置され、前記衣類に面する層と隣接して配置された材料の色の変化を測定するように構成され」と、本願発明の「前記吸収性物品及び前記検出器デバイスは、互いに取り付けられるように、また、互いに対する取り付けが解除されるように適合されており、前記吸収性物品及び前記検出器デバイスが互いに取り付けられたときに、前記検出器デバイスは、前記インジケータの前記光学特性の変化を検出するように適合されているものであり、前記検出器デバイスと前記吸収性物品とが取り付けられている場合、前記検出器デバイスは前記吸収性物品の外側に配置され」とは、「前記吸収性物品及び前記光学センサは、互いに取り付けられるように、また、互いに対する取り付けが解除されるように適合されており、前記吸収性物品及び前記光学センサが互いに取り付けられたときに、前記光学センサは、前記インジケータの前記光学特性の変化を検出するように適合されているものであり、前記光学センサと前記吸収性物品とが取り付けられている場合、前記光学センサは前記吸収性物品の外側に配置され」る点で一致するといえる。 (5)そうすると、両発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 (一致点) 「身体排泄物を吸収し収容するように設計された吸収性物品を監視するためのシステムであって、前記システムは、 身体排泄物の有無に応じて少なくとも1つの光学特性を変化させるように適合した光学特性変化インジケータを含む、吸収性物品と、 ハウジングを含み、前記インジケータの前記光学特性の前記変化を検出するように適合されている、光学センサとを含み、 前記吸収性物品及び前記光学センサは、互いに取り付けられるように、また、互いに対する取り付けが解除されるように適合されており、前記吸収性物品及び前記光学センサが互いに取り付けられたときに、前記光学センサは、前記インジケータの前記光学特性の変化を検出するように適合されているものであり、 前記光学センサと前記吸収性物品とが取り付けられている場合、前記光学センサは前記吸収性物品の外側に配置される、システム。」 (相違点1) 「特性変化インジケータ」について、本願発明では「前記吸収性物品と前記インジケータが1つの一体化ユニットを形成している」及び「前記吸収性物品の内側に配置される」であるのに対して、引用発明では「(吸収性物品の)衣類に面する層と隣接して配置され」ているものの、「吸収性物品」とその内側にて一体化しているか否か不明である点。 (相違点2) 「光学センサ」について、本願発明では、「ハウジング、光学センサ、及び前記光学センサから離間した照明を含」む「光学センサ検出器デバイス」を形成しているのに対し、引用発明では、ハウジング及び光学センサを含むものの、光学センサから離間した照明を含むデバイスを形成しているか不明である点。 3 相違点1について 本願明細書には、「吸収性物品」と「吸収性物品とインジケータが1つの一体化ユニットを形成する」ことについて、以下の記載がある。 「【0014】 序論 本明細書で使用する場合、用語「吸収性物品」とは、体から出てくる様々な排泄物を吸収して収容する、着用者の体に接触して、又は体に近接して配置される使い捨てのデバイス、例えば幼児用又は成人用おむつ又はパッド、パンツ、トレーニングパンツなどを意味する。典型的には、これらの物品は、トップシート、バックシート、吸収性コア、及び任意選択的な(1つ又はいくつかの層を含んでいてもよい)捕捉システム、並びに、典型的には、他の構成要素を含み、ここで、吸収性コアは通常、バックシートと捕捉システム又はトップシートとの間に配置される。」 「【0020】 吸収性物品及び1つ以上のインジケータが、一体化ユニットを形成するように提供される。一体化ユニットを形成するために、インジケータを吸収性物品に、直接又は間接的に取り付けることができる。物品への直接又は間接的な取り付けは典型的には、物品の1つ以上の識別可能な要素に対するものである。例えば、インジケータ、及び物品のバックシートが1つの一体化ユニットを形成するように、物品のバックシートにインジケータを取り付けることが有用な場合がある。例えば、インジケータをシート形態で提供する場合、当該シートは、物品のバックシートに接着により取り付けられてよい。当該シートはまた、バックシートと同じ1つの材料からもたらされ得るが、この材料は、予め画定されている領域内にインジケータを提供するために、適切な方法で取り扱われる。」 「【0048】 吸収性コア20はコア層56を含む。このコア層は、特定の材料、例えば、本明細書ではSAPとも呼ばれる超吸収性粒子を含むことができる。コア層56とバックシート24との間に、表示手段60を配置することができる。図2に示すように、バックシート24は、(コア20側に配置される)内側バックシート層62、及び、通常着用者の衣類側に配置される外側バックシート層64を含むことができる。図2に示すように、この特定の実施形態に従うと、インジケータ60は、内側バックシート層の上、かつコアラップの下、より正確には、バックシート24側に配置されるコアラップ66の一部分の下に設けられてよい。 【0049】 図3は、吸収性物品の別の例示的実施形態を示す。本実施形態は、図1及び2に示すものに類似している。しかし、インジケータ60はここでは、内側バックシート層62と外側バックシート層64との間に配置される。」 「【0108】 図5A及び図5Bは、図4に示すものなどの、おむつの外に取り外し可能に取り付けることができる、再利用可能な検出器デバイス100の例示的実施形態の、部分的概略図を示す。この例示的実施例では例えば、検出器の全ての電子部品を、おむつの外側に配置することができる。検出器デバイス100は、おむつ内に配置された、インジケータ120、例えば色変化ストリップ122の1つ以上の色変化を検出するように適合されている。」 「【0120】・・・図6に示すLED光源204などの光源から、おむつ内に配置されたインジケータへの伝達が行われ得」 以上の記載から、本願発明における「前記吸収性物品と前記インジケータが1つの一体化ユニットを形成している」及び「前記吸収性物品の内側に配置される」との構成は、具体的には、インジケータが、おむつを構成する内側バックシート層62と外側バックシート層64との間に配置、取り付けられている構成のことである。 そして、この構成は、引用文献4の上記記載事項(4-ア)の「被覆物質は尿で濡れた際に実質的に色変化する。そして被覆物質は色変化が例えば知覚力のある着用者の付添人に見えるように設けられる。おむつ20の被覆物26のストライプをバックシート21の内表面に設けている・・・・・被覆物は、通常の使用期間中被覆された表面にそのまま残るように十分に接着性で可撓性でなければならない。」からみて、尿の湿潤指示薬被覆物を備える使い捨てのおむつの分野において、本願優先日前周知の構成であるといえる。 また、引用文献1の「外側カバーは湿った際に半透明性を変更する材料を含み、よって内側層が光学的に測定可能な変化の生成を通じて見えるようにする」(【0066】)との記載は、湿潤指示薬被覆物を吸収性物品の内側に配置することを示唆するものであり、引用発明において、上記周知の構成を採用することに十分動機付けがあり、何ら阻害要因が存在しないといえる。 してみると、引用発明において、相違点1における本願発明の構成とすることは、当業者において容易に想到し得る事項である。 4 相違点2について 引用文献2の上記記載事項(2-ア)の「光を発する発光部と、この発光部からの光を受ける受光部と、この受光部にて受光した光を識別する演算手段と、を具備する尿検出装置」、同(2-イ)の「紙おむつにおいて尿により発色や消光などして外部からその漏れが分かるものに取り付け、この紙おむつに向けて発光部より光を発し、その反射光を受光部にて受光すれば、おむつが濡れている時と濡れていない時とで反射光の強度が変化する。この反射光の強度を演算部にて識別することで、おむつの濡れを検出することができる。」、同(2-ウ)の「【0131】・・・・・(c)図は患者ユニットの紙おむつへの取り付け状態を示す・・・・・【0133】本実施例を図26にて説明する。患者ユニット221は、発光部222、受光部223、濡れ測定回路224、患者ユニット221をおむつ225に固定するための粘着材225から構成される。」および図26からみて、引用文献2には、「ハウジング、発光部222及び該発光部222から離間した受光部223を含む患者ユニット221を紙おむつに取り付ける」ことが記載されているといえる。そして、該「受光部223」が引用発明の「光センサ」あるいは本願発明の「光学センサ」に相当し、前記「発光部222」および「患者ユニット221」が、それぞれ、本願発明の「照明」および「光学センサ検出器デバイス」に相当することは明らかである。また、上記「発色や消光などして外部からその漏れが分かるもの」が本願発明の「特性変化インジケータ」に相当するといえる、 また、引用文献3の記載事項(3-ア)の「対象者が着用する失禁用製品に外付けされるように構成された筐体を有し、前記筐体は、(a)失禁用製品を照射する発光ダイオード(LED)、(b)失禁用製品から反射される光量の表示度数を出力する光検出器、及び(c)前記光検出器から表示度数を受信し、対象者が失禁用製品に分泌した尿量を前記表示度数に基づいて計算する集積回路を有する、尿センサ」、同(3-イ)の「【0019】・・・・・おむつに外付けされたセンサを使用して検出される。それ故、センサは尿又は乳児の体に直接的に接触しない。・・・・・【0020】・・・・・授乳に関係のない目的のために、センサは失禁用製品(大人用のおむつ又は乳児用のおむつなど)に分泌される尿の量を測定するのに使用される。」および同(3-エ)の「センサ300は、内部の構成要素(光検出器、照明器(例えばLED)、集積回路(IC)など)を取り囲む筐体を有しても良い。筐体は、例えば筐体の背面に位置付けられるステッカー又はベルクロ(Velcro)などにより、着用者の衣服(おむつなど)に取り付けられても良い。さらに又はこれに代えて、筐体はクリップ及び/又は当技術分野で知られている他の手段(図示せず)を使用して、衣服に取り付けられても良い。」からみて、上記「患者ユニット221」と同等の「センサ300」が引用文献3にも記載されているといえる。 そうすると、その機能・構造からみて、一般的な課題である取り扱い性の容易化、コンパクト化あるいは高検出感度化のために、引用発明の「光センサ」を上記引用文献2、3記載の「患者ユニット221」あるいは「センサ300」に置換することには、十分動機付けが存在し、当業者において何ら阻害要因が存在しないといえる。 してみると、引用発明において、相違点2における本願発明の構成とすることは、当業者において容易に想到し得る事項である。 5 効果について 引用文献1の上記記載事項(1-ケ)の「着用者ごとに数百又は数千の使い捨てセンサーを捨てる代わりに、補助物品内に単一の外部センサーが再使用され得る。センサーは、着用可能、使用可能な補助物品が指向され得る。」からみて、引用発明も、本願明細書の段落【0037】に記載された「検出器デバイスは多数あるうちの第1の吸収性物品にて使用することが可能であり、吸収性物品は使用後に廃棄することが可能であり、検出器デバイスは別の(新品の)吸収性物品にて再利用することが可能である。」という効果を奏することは明らかである。そして、相違点1及び2による効果も、引用文献1?3および周知の事項から予測し得る範囲のものであって、格別顕著なものとはいえない。 6 まとめ してみると、本願発明は、引用発明、引用文献2,3記載の事項および周知の事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その他の請求項について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2021-06-02 |
結審通知日 | 2021-06-04 |
審決日 | 2021-06-16 |
出願番号 | 特願2018-545351(P2018-545351) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G01N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 越柴 洋哉 |
特許庁審判長 |
福島 浩司 |
特許庁審判官 |
樋口 宗彦 森 竜介 |
発明の名称 | センサを備える吸収性物品 |
代理人 | 小島 一真 |
代理人 | 朝倉 悟 |
代理人 | 村田 卓久 |
代理人 | 出口 智也 |
代理人 | 中村 行孝 |