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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1379535
審判番号 不服2020-6637  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-15 
確定日 2021-11-04 
事件の表示 特願2017-541186「部品供給システム、および散在部品のピッキング装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月30日国際公開、WO2017/051446〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)9月22日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和1年7月24日付け:拒絶理由通知書
令和1年9月25日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年2月10日付け:拒絶査定
令和2年5月15日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和2年5月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
令和2年5月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「【請求項1】
複数の同じ形状の部品をさまざまな姿勢に散在した状態で支持する部品支持部と、
鉛直軸線方向に配設され、前記部品支持部の上面に支持された前記複数の同じ形状の部品を上方から撮像するひとつの撮像装置と、
前記部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある前記同じ形状の部品を吸着保持する吸着ノズルと、
前記部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある前記同じ形状の部品を複数の爪で把持する把持具と、
前記吸着ノズルと前記把持具とのうちの任意のものが交換可能に択一的に装着される作業ヘッドと、
前記作業ヘッドを任意の位置に移動させる移動装置と、
制御装置と、
記憶装置と
を備え、
前記制御装置が、
前記撮像装置により撮像され取得した前記複数の同じ形状の部品の撮像データに基づいて、前記部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある複数の前記同じ形状の部品の姿勢を認識し、前記部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある複数の前記同じ形状の部品のうちの同じ姿勢の部品を保持するために、前記吸着ノズルと前記把持具との少なくとも一方を前記作業ヘッドへの装着保持具として決定することを特徴とする部品供給システム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和1年9月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
複数の部品をさまざまな姿勢に散在した状態で支持する部品支持部と、
前記部品支持部の上面に支持された部品を撮像する撮像装置と、
前記部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある部品を吸着保持する吸着ノズルと、
前記部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある部品を複数の爪で把持する把持具と、
前記吸着ノズルと前記把持具とのうちの任意のものが交換可能に装着される作業ヘッドと、
前記作業ヘッドを任意の位置に移動させる移動装置と、
制御装置と、
記憶装置と
を備え、
前記制御装置が、
前記撮像装置により撮像された部品の2次元撮像データに基づいて、前記吸着ノズルと前記把持具との少なくとも一方を、前記作業ヘッドへの装着保持具として決定することを特徴とする部品供給システム。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「部品支持部」、「撮像装置」、「吸着ノズル」、「把持具」、「作業ヘッド」及び「制御装置」の内容について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項

ア 引用文献1

(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開平5-127722号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、当審で付した。)

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ロボットによりトレー内に収容された山積み部品の中から一つずつ部品を把持することができる高速ピッキング装置に関する。」

「【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般的な工業製品における部品などは、通常、トレーなどに山積み状態にて供給される。すると、それら部品は互いに重なり合い、それぞれ傾きが激しい状態にて存在することになる。このような、山積みの最上部に位置する部品が傾きがない場合の照合モデルとほぼ一致するということは極めて稀であり、山積み部品から一つの部品を認識しピッキングすることは不可能に近いという問題があった。」

「【0004】本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、山積み部品の中から、ロボットのハンドにより把持可能な部品の単純形状から成る特定部位を高速に認識することである。」

「【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための発明の構成は、図6にその概念を示したように、2次元画像から山積み部品の輪郭線を求め、その輪郭線から輪郭線を構成する複数の構成線分を抽出し、その構成線分から前記部品を認識してロボットのハンドにより把持させる高速ピッキング装置において、前記2次元画像において前記部品の把持可能な単純形状から成る複数の特定部位を認識するための該複数の特定部位に対応した複数のモデルであって、前記複数の特定部位がそれぞれ基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定される複数の照合モデルを記憶する照合モデル記憶手段と、前記複数の特定部位に対応して該複数の特定部位をそれぞれ把持し得る複数のハンドの情報を記憶したハンド情報記憶手段と、前記2次元画像の中から前記複数の照合モデルとの照合により認識された1つの部分を前記複数の特定部位のうちの1つとして検出する特定部位検出手段と、検出された前記特定部位の位置を決定する位置決定手段と、決定された前記位置の前記特定部位に対応する前記複数のハンドのうちの1つを選択すると共に位置決めして前記特定部位をピックアップさせる指令手段とを備えたことを特徴とする。」

「【0006】
【作用】照合モデル記憶手段には2次元画像において部品の把持可能な単純形状から成る複数の特定部位を認識するためのそれら特定部位に対応した複数のモデルであって、上記複数の特定部位がそれぞれ基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定された複数の照合モデルが記憶されている。又、ハンド情報記憶手段には上記複数の特定部位に対応してそれら複数の特定部位をそれぞれ把持し得る複数のハンドの情報が記憶されている。特定部位検出手段により上記2次元画像の中から上記複数の照合モデルとの照合により認識された1つの部分が上記複数の特定部位のうちの1つとして検出される。そして、位置決定手段により検出された上記特定部位の位置が決定される。この後、指令手段により上記位置決定手段にて決定された位置に上記ハンド情報記憶手段に記憶された複数のハンドの情報のうちの1つからハンドを選択し位置決めして上記特定部位をピックアップさせる指令がロボット側に出力される。」

「【0007】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。図1は本発明に係る山積み部品の高速ピッキング装置を示した全体構成図であり、図2は同実施例装置の主要部の構成を示したブロックダイヤグラムである。高速ピッキング装置100は主として、画像入力用カメラ10と物体認識装置20とフィンガが先端に配設され山積み部品の中から一つの部品(以下、ワークともいう)Wを把持するためのハンド40を有するピッキング用ロボット30と交換用ハンド41,42,43とから成る。尚、各ハンドはワークWの特定部位に対応し適宜ピッキング用ロボット30に装着される。例えば、図のピッキング用ロボット30に装着されたハンド40はワークWの単純形状から成る特定部位として丸穴の内径など、交換用ハンド41はワークWの外形など、交換用ハンド42はワークWの穴に挿入して裏側からの引っ掛けなど、又、交換用ハンド43はワークWの平面部に吸着などによりそれぞれワークWを把持可能である。そして、作業台の上には山積み状態でワークWが収容されたトレーTが載置されている。」

「【0008】図2において、トレーT内には山積み状態でワークWが収容されており、そのトレーTの上部からワークWを撮像する画像入力用カメラ10が設けられている。又、トレーTの中央上部からワークWを一様に照明する照明装置Lが設けられている。物体認識装置20は、照合、判定等のデータ処理を行う中央処理装置21と、画像入力用カメラ10により得られた映像信号を処理して、検出物体の輪郭線を検出して、輪郭線を構成する構成線分を抽出し、又、合成エッジ画像を求めるなどのデータ処理を行う画像処理装置22と、照合モデルに関するデータや検出物体に関するデータを記憶する記憶装置23と、照明制御回路24とで構成されている。更に、画像処理装置22は、画像入力用カメラ10の出力する映像信号をサンプリングして、濃淡レベルをディジタル化した濃淡画像データを生成する画像入力装置221と、その濃淡画像データから微分演算により明度勾配を求め、物体画像のエッジを表すエッジ画像データを生成するエッジ検出装置222と、そのエッジ画像データから輪郭線を追跡し、その輪郭線を構成する構成線分を抽出し、その構成線分の位置に関するデータを生成する線分抽出装置223とで構成されている。又、記憶装置23はRAM等で構成されており、ワークWの複数の特定部位が基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定される複数の照合モデルを記憶し、照合モデル記憶手段を達成する照合モデルメモリ領域231と、複数の特定部位をそれぞれ把持し得る複数のハンドの情報を記憶し、ハンド情報記憶手段を達成するハンド情報メモリ領域232と、トレーT内の山積みの多数のワークWに対応する線分画像が照合された結果を記憶する認識結果メモリ領域233などから成る。」

「【0009】次に、画像入力用カメラ10により山積み状態の多数のワークWの映像信号を入力して構成線分抽出後、雑多な構成線分群の中から複数の特定部位として、例えば、図4の状態1のハッチングされた平行なピン部の稜線を照合モデル''平行で長さの等しい線分''とした照合モデル(1) 、図4の状態2のハッチングされた平行なピン部の稜線を照合モデル''平行で長さの異なる線分''とした照合モデル(2) 、又、図4の状態3のハッチングされた丸穴を照合モデル''円''とした照合モデル(3) によりそれぞれ照合選定させる場合について、物体認識装置20の処理手順を示した図3のフローチャートに基づいて本装置の作用を説明する。照明制御回路24により照明装置Lが点燈され、画像入力用カメラ10で得られた映像信号が画像入力装置221に入力される。そして、画像入力装置221では、映像信号をサンプリングしてディジタル信号に変換して濃淡画像が生成される。その濃淡画像データはエッジ検出装置222に入力し、微分されてエッジ画像が生成される。そのエッジ画像データは線分抽出装置223に入力し、稜線を追跡することで物体の輪郭線が抽出される。更に、その輪郭線は折線や円などで近似され線分画像が得られる。そして、ステップ100において、中央処理装置1は画像処理装置22にて得られた線分画像を入力する。次にステップ102に移行して、入力された線分画像から一続きの線分群が抽出され、ワークWの特定部位''平行(距離m1)で長さ(l1)の等しい線分''に対応する照合モデル(1) により探索される。尚、複数の照合モデルに対する探索の順序は、例えば、図4に示されたトレー内における各状態の存在比率の高いものからとされる。又、予め各状態におけるピッキング成功確率が分かっていれば、そのピッキング成功確率の高い状態に対応した照合モデルから順に探索するようにしても良い。次にステップ104に移行して、ステップ102の照合モデル(1) の探索によって該当ワークが見つかったか否かが判定される。ステップ104で該当ワークがあると、ステップ106に移行し、照合モデル(1) にて探索されたワークWの特定部位の位置(方向を有する中心座標位置)及びその特定部位を把持可能なハンド(ハンド番号)などの情報をピッキング用ロボット30側へ送信する。ここで、ステップ104で該当ワークがないと、ステップ108に移行し、入力された線分画像から一続きの線分群が抽出され、ワークWの特定部位''平行(距離m2)で長さ(l2,l3)の異なる線分''に対応する照合モデル(2) により探索される。次にステップ110に移行して、ステップ108の照合モデル(2) の探索によって該当ワークが見つかったか否かが判定される。ステップ110で該当ワークがあると、ステップ112に移行し、照合モデル(2) にて探索されたワークWの特定部位の位置(方向を有する中心座標位置)及びその特定部位を把持可能なハンド(ハンド番号)などの情報をピッキング用ロボット30側へ送信する。ここで、ステップ110で該当ワークがないと、ステップ114に移行し、入力された線分画像から一続きの線分群が抽出され、ワークWの特定部位''円(φc)''に対応する照合モデル(3) により探索される。尚、上述のステップ102,108,114における照合モデル(1),(2),(3)はワークWの特定部位が基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定されるのであるが、ワークWが傾斜した場合にも把持可能となる許容限界角度などにより照合の一致範囲が拡大されて探索される。次にステップ116に移行して、ステップ114の照合モデル(3) の探索によって該当ワークが見つかったか否かが判定される。ステップ116で該当ワークがあると、ステップ118に移行し、照合モデル(3) にて探索されたワークWの特定部位の位置(中心座標位置)及びその特定部位を把持可能なハンド(ハンド番号)などの情報をピッキング用ロボット30側へ送信する。ここで、ステップ116でも該当ワークがないと、ステップ120に移行し、次回の画像入力時には山積みされたワークWの状態を変え、照合モデルにて探索される確率を増すために図示しない加振装置にトレーTの加振指令が出力される。次にステップ122に移行し、加振回数Cがカウントされる。この加振回数は、プログラムの最初に0とされ、全ての照合モデルについて各1回の探索が不成功に終わる毎にカウントアップされる。そして、ステップ124で、加振回数C≧3であるか否かが判定される。即ち、3回加振しても状態が変わらず全ての照合モデルについて各3回の探索が不成功であれば、トレーT内にワークWがなくなっているか或いはトレーT内のワークWが存在する状態が余程悪く、これ以上ワーク探索を続けることは不適当であるとして、本プログラムを終了する。ここで、特定部位検出手段はステップ102,108,114にて、位置決定手段はステップ104,110,116にて指令手段はステップ106,112,118にてそれぞれ達成される。」

「【0010】上述のプログラムが実行されることにより、部品の複数の特定部位に対応した複数の照合モデルの何れかにて認識された部品はピッキング用ロボット30のハンド40或いは交換用ハンド41,42,43の何れかによりピッキングされることになる。このように、部品の複数の特定部位に対応した複数のハンドによるピッキングではピッキング用ロボット30による部品のピッキング成功確率を大幅に向上できるという効果がある。前述の実施例においては、特定部位を探索する照合モデルとピッキングするためのロボットのハンドが1対1に対応しているように説明されているが、認識する特定部位が異なってもそれらを同一のハンドにてピッキングできる場合には、複数のハンドを必ずしも用意する必要はない。この例としては、幅が異なった平行な特定部位などがある。又、前述の実施例においては、部品の複数の特定部位として円や平行な部分を選定した場合を述べたが、この他、長穴、直線、円弧、コーナ部などを特定部位として選定することもできる。更に、外形形状ではない刻印又は印刷マークなどを特定部位として選定することもできる。この場合には、特定部位の認識によりその位置から確定される外形形状の部位を把持位置として選定すれば良い。」

「【0011】図5に山積み部品からの高速ピッキングの基本ステップと多形状部品への対応法を示した。前述の実施例においては、一つの部品に把持可能な幾つかの特定部位がある場合を想定したピッキングについて述べたが、トレー内に異種の部品が混在収容されているような場合にも本装置は適用可能である。この場合には、各部品の特定部位をそれぞれ限定認識させることにより、それぞれの特定部位に適したハンドにより部品を確実に把持させることができる。又、本発明は山積み部品を対象としているが、平面上に単独に1個だけ置かれた部品や数個散在した状態で置かれた部品、更に、仕切りの付いたトレー内に分離された状態で置かれた部品に対しても同様に適用可能なことは明白である。」

「【0012】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され、部品の把持可能な単純形状から成る複数の特定部位が基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定された複数の照合モデルと、複数の特定部位に対応してそれら複数の特定部位をそれぞれ把持し得る複数のロボットのハンドの情報とが記憶され、2次元画像の中から複数の照合モデルとの照合により認識された1つの部分が上記複数の特定部位のうちの1つとして検出され、その検出された特定部位の位置が決定され、その位置に複数のハンドのうちの1つを選択し位置決めして特定部位をピックアップさせる指令がロボット側に送信される。従って、部品の複数の特定部位のうち一つでも照合され認識される限りその特定部位を把持するのに適したロボットのハンドが選択され、認識され決定された特定部位の位置にそのハンドが位置決めされ部品がピックアップされる。このように、部品の複数の特定部位に対応した複数の照合モデルによる照合では、それら特定部位の認識される確率が増えることになる。そして、認識された部品の特定部位に対応した位置及びハンドの選択などのピッキング情報がロボット側に指示されるので、ロボットのハンドにより部品が把持されるピッキング成功確率を大幅に向上することができる。」

(イ)上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

a 【0007】の「高速ピッキング装置100は主として、・・・(略)・・・山積み部品の中から一つの部品(以下、ワークともいう)Wを把持するためのハンド40を有するピッキング用ロボット30と交換用ハンド41,42,43とから成る。・・・(略)・・・作業台の上には山積み状態でワークWが収容されたトレーTが載置されている。」、【0008】の「図2において、トレーT内には山積み状態でワークWが収容されており、・・・(略)・・・(略)・・・トレーT内の山積みの多数のワークWに対応する線分画像が照合された結果を記憶する認識結果メモリ領域233などから成る。」、【0009】の「山積み状態の多数のワークW」及び【0011】の「前述の実施例においては、一つの部品に把持可能な幾つかの特定部位がある場合を想定したピッキングについて述べたが、トレー内に異種の部品が混在収容されているような場合にも本装置は適用可能である。・・・(略)・・・本発明は山積み部品を対象としているが、平面上に単独に1個だけ置かれた部品や数個散在した状態で置かれた部品、更に、仕切りの付いたトレー内に分離された状態で置かれた部品に対しても同様に適用可能なことは明白である。」の記載、【図1】及び【図2】の記載からみて、前述の実施例におけるワークWは、異種の部品が混在収容されているものではなく、一種類であると認められ、かかる「多数の一種類のワークW」を「山積み状態」または「散在した状態」で収容する「トレーT」が開示されていると認められる。

b 【0008】の「トレーTの上部からワークWを撮像する画像入力用カメラ10が設けられている。」の記載、【図1】及び【図2】の記載からみて、「画像入力用カメラ10」は「トレーTの上部」に設けられるものであり、【図1】、【図2】の記載からみて、「画像入力用カメラ10」は「一つ」設けられるものと認められる。

c 【0007】の「作業台の上には山積み状態でワークWが収容されたトレーTが載置されている。」、【0008】の「図2において、トレーT内には山積み状態でワークWが収容されており」、【0011】の記載、【図1】及び【図2】の記載からみて、多数の一種類の「ワークW」はトレーT「内の上方を向いた面上に収容」されるとともに「他のワークWと接触して山積み状態」または「散在した状態」で収容されていると認められる。

d 【0007】の「例えば、図のピッキング用ロボット30に装着されたハンド40は・・・(略)又、交換用ハンド43はワークWの平面部に吸着などによりそれぞれワークWを把持可能である。」、【0010】の「部品の複数の特定部位に対応した複数の照合モデルの何れかにて認識された部品はピッキング用ロボット30のハンド40或いは交換用ハンド41,42,43の何れかによりピッキングされることになる。」の記載及び【図1】の符号「43」が指し示す箇所の態様からみて、「交換用ハンド43」はワークWを「吸着により把持」するものと認められる。

e 上記c、d並びに【図1】及び【図2】の記載からみて、「交換用ハンド43」は、トレーT「内の上方を向いた面上に収容」されるとともに「他のワークWと接触して山積み状態」または「散在した状態」の一種類のワークWを「吸着により把持」するものと認められる。

f 【0007】の「高速ピッキング装置100は主として、・・・(略)・・・フィンガが先端に配設され山積み部品の中から一つの部品(以下、ワークともいう)Wを把持するためのハンド40を有するピッキング用ロボット30と交換用ハンド41,42,43とから成る。尚、各ハンドはワークWの特定部位に対応し適宜ピッキング用ロボット30に装着される。例えば、図のピッキング用ロボット30に装着されたハンド40はワークWの単純形状から成る特定部位として丸穴の内径など、交換用ハンド41はワークWの概形など、交換用ハンド42はワークWの穴に挿入して裏側からの引っ掛けなど、・・・(略)・・・によりそれぞれワークWを把持可能である。」、【0010】の「部品の複数の特定部位に対応した複数の照合モデルの何れかにて認識された部品はピッキング用ロボット30のハンド40或いは交換用ハンド41,42,43の何れかによりピッキングされることになる。」の記載及び【図1】の符号「40」、「41」、「42」が指し示す箇所の態様からみて、「ハンド40及び交換用ハンド41、42」はワークWを「複数のフィンガで把持」するものと認められる。

g 上記c、f並びに【図1】及び【図2】の記載からみて、「ハンド40及び交換用ハンド41、42」は、トレーT「内の上方を向いた面上に収容」されるとともに「他のワークWと接触して山積み状態」または「散在した状態」の一種類のワークWを「複数のフィンガで把持」するものと認められる。

h 【0007】の「高速ピッキング装置100は主として、・・・(略)・・・フィンガが先端に配設され山積み部品の中から一つの部品(以下、ワークともいう)Wを把持するためのハンド40を有するピッキング用ロボット30と交換用ハンド41,42,43とから成る。尚、各ハンドはワークWの特定部位に対応し適宜ピッキング用ロボット30に装着される。例えば、図のピッキング用ロボット30に装着されたハンド40はワークWの単純形状から成る特定部位として丸穴の内径など、交換用ハンド41はワークWの概形など、交換用ハンド42はワークWの穴に挿入して裏側からの引っ掛けなど、又、交換用ハンド43はワークWの平面部に吸着などによりそれぞれワークWを把持可能である。」、【0010】の「部品の複数の特定部位に対応した複数の照合モデルの何れかにて認識された部品はピッキング用ロボット30のハンド40或いは交換用ハンド41,42,43の何れかによりピッキングされることになる。・・・(略)・・・前述の実施例においては、特定部位を探索する照合モデルとピッキングするためのロボットのハンドが1対1に対応しているように説明されている」の記載並びに【図1】の符号「30」、「40」、「41」、「42」及び「43」が指し示す箇所の態様からみて、交換用ハンド43とハンド40及び交換用ハンド41、42とのうちの「何れか」が「ピッキング用ロボット30の作業ヘッド部」に「適宜交換可能に択一的に装着」されるものと認められる。

i 【0007】の「高速ピッキング装置100は主として、・・・(略)・・・フィンガが先端に配設され山積み部品の中から一つの部品(以下、ワークともいう)Wを把持するためのハンド40を有するピッキング用ロボット30と交換用ハンド41,42,43とから成る。」の記載や【図1】の「ワークW」や「ピッキング用ロボット30」、「ハンド40」、「交換用ハンド41、42、43」の態様からみて、ピッキング用ロボット30のハンド40がワークWを把持したりハンド40を交換用ハンド41,42,43と交換したりするための「ピッキング用ロボット30の作業ヘッド部を任意の位置に移動させる移動装置部」が備えられていると認められる。

j 【0008】の「図2において、・・・(略)・・・物体認識装置20は、照合、判定等のデータ処理を行う中央処理装置21と、画像入力用カメラ10により得られた映像信号を処理して、検出物体の輪郭線を検出して、輪郭線を構成する構成線分を抽出し、又、合成エッジ画像を求めるなどのデータ処理を行う画像処理装置22と、照合モデルに関するデータや検出物体に関するデータを記憶する記憶装置23と、照明制御回路24とで構成されている。更に、画像処理装置22は、画像入力用カメラ10の出力する映像信号をサンプリングして、濃淡レベルをディジタル化した濃淡画像データを生成する画像入力装置221と、その濃淡画像データから微分演算により明度勾配を求め、物体画像のエッジを表すエッジ画像データを生成するエッジ検出装置222と、そのエッジ画像データから輪郭線を追跡し、その輪郭線を構成する構成線分を抽出し、その構成線分の位置に関するデータを生成する線分抽出装置223とで構成されている。又、記憶装置23はRAM等で構成されており、ワークWの複数の特定部位が基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定される複数の照合モデルを記憶し、・・・(略)・・・などから成る。」、【0009】の「次に、画像入力用カメラ10により山積み状態の多数のワークWの映像信号を入力して構成線分抽出後、雑多な構成線分群の中から複数の特定部位として、例えば、図4の状態1のハッチングされた平行なピン部の稜線を照合モデル''平行で長さの等しい線分''とした照合モデル(1) 、図4の状態2のハッチングされた平行なピン部の稜線を照合モデル''平行で長さの異なる線分''とした照合モデル(2) 、又、図4の状態3のハッチングされた丸穴を照合モデル''円''とした照合モデル(3) によりそれぞれ照合選定させる場合について、物体認識装置20の処理手順を示した図3のフローチャートに基づいて本装置の作用を説明する。照明制御回路24により照明装置Lが点燈され、画像入力用カメラ10で得られた映像信号が画像入力装置221に入力される。そして、画像入力装置221では、映像信号をサンプリングしてディジタル信号に変換して濃淡画像が生成される。その濃淡画像データはエッジ検出装置222に入力し、微分されてエッジ画像が生成される。そのエッジ画像データは線分抽出装置223に入力し、稜線を追跡することで物体の輪郭線が抽出される。更に、その輪郭線は折線や円などで近似され線分画像が得られる。そして、ステップ100において、中央処理装置1(審決注:「中央処理装置21」の誤記と認める。)は画像処理装置22にて得られた線分画像を入力する。次にステップ102に移行して、入力された線分画像から一続きの線分群が抽出され、ワークWの特定部位“・・・(略)・・・”に対応する照合モデル(1)により探索される。・・・(略)・・・次にステップ104に移行して、ステップ102の照合モデル(1)の探索によって該当ワークが見つかったか否かが判定される。ステップ104で該当ワークがあると、ステップ106に移行し、照合モデル(1)にて探索されたワークWの特定部位の位置(方向を有する中心座標位置)及びその特定部位を把持可能なハンド(ハンド番号)などの情報をピッキングロボット30側へ送信する。ここでステップ104で該当ワークがないと、ステップ108に移行し、入力された線分画像から一続きの線分群が抽出され、ワークWの特定部位“・・・(略)・・・”に対応する照合モデル(2)により探索される。次にステップ110に移行して、ステップ108の照合モデル(2)の探索によって該当ワークが見つかったか否かが判定される。ステップ110で該当ワークがあると、ステップ112に移行し、照合モデル(2)にて探索されたワークWの特定部位の位置(方向を有する中心座標位置)及びその特定部位を把持可能なハンド(ハンド番号)などの情報をピッキングロボット30側へ送信する。ここでステップ110で該当ワークがないと、ステップ114に移行し、入力された線分画像から一続きの線分群が抽出され、ワークWの特定部位“・・・(略)・・・”に対応する照合モデル(3)により探索される。・・・(略)・・・次にステップ116に移行して、ステップ114の照合モデル(3)の探索によって該当ワークが見つかったか否かが判定される。ステップ116で該当ワークがあると、ステップ118に移行し、照合モデル(3)にて探索されたワークWの特定部位の位置(中心座標位置)及びその特定部位を把持可能なハンド(ハンド番号)などの情報をピッキングロボット30側へ送信する。」の記載、【図2】及び【図3】の記載からみて、ワークWの特定部位に対応する照合モデルの探索により該当ワークの有無を判定しその特定部位を把持可能なハンドなどの情報をピッキング用ロボット30側へ送信する「中央処理装置21」を備えていると認められる。

k 【0008】の「記憶装置23はRAM等で構成されており、ワークWの複数の特定部位が基本姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定される複数の照合モデルを記憶し、照合モデル記憶手段を達成する照合モデルメモリ領域231と、複数の特定部位をそれぞれ把持し得る複数のハンドの情報を記憶し、ハンド情報記憶手段を達成するハンド情報メモリ領域232と、トレーT内の山積みの多数のワークWに対応する線分画像が照合された結果を記憶する認識結果メモリ領域233などから成る。」の記載及び【図2】の記載からみて、ワークWの複数の特定部位が基準姿勢をとるときの形状に関する情報や該複数の特定部位を把持し得る複数のハンドの情報などを記憶する「記憶装置23」を備えていると認められる。

l 【0007】の「高速ピッキング装置100は主として、・・・(略)・・・山積み部品の中から一つの部品(以下、ワークともいう)Wを把持する・・・(略)・・・作業台の上には山積み状態でワークWが収容されたトレーTが載置されている。」、【0008】の「図2において、トレーT内には山積み状態でワークWが収容されており、そのトレーTの上部からワークWを撮像する画像入力用カメラ10が設けられている。・・・(略)・・・画像入力用カメラ10により得られた映像信号を処理して・・・(略)・・・画像入力用カメラ10の出力する映像信号をサンプリングして、・・・(略)・・・とで構成されている。」、【0009】の「画像入力用カメラ10により山積み状態の多数のワークWの映像信号を入力して・・・(略)・・・本装置の作用を説明する。」、【0011】の記載並びに【図1】及び【図2】の符号「W」及び「T」が指し示す箇所の態様からみて、「画像入力用カメラ10」が撮像する多数の一種のワークWは「トレーT内の上方を向いた面上に収容される」とともに「山積み状態」または「散在した状態」と認められる。

m 【0008】の「物体認識装置20は、照合、判定等のデータ処理を行う中央処理装置21と、・・・(略)・・・とで構成されている。又、記憶装置23はRAM等で構成されており、ワークWの複数の特定部位が基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定される複数の照合モデルを記憶し、照合モデル記憶手段を達成する照合モデルメモリ領域231と、複数の特定部位をそれぞれ把持し得る複数のハンドの情報を記憶し、ハンド情報記憶手段を達成するハンド情報メモリ領域232と、トレーT内の山積みの多数のワークWに対応する線分画像が照合された結果を記憶する認識結果メモリ領域233などから成る。」、【0009】の「次に、画像入力用カメラ10により山積み状態の多数のワークWの映像信号を入力して構成線分抽出後、雑多な構成線分群の中から複数の特定部位として、例えば、図4の状態1のハッチングされた平行なピン部の稜線を照合モデル''平行で長さの等しい線分''とした照合モデル(1) 、図4の状態2のハッチングされた平行なピン部の稜線を照合モデル''平行で長さの異なる線分''とした照合モデル(2) 、又、図4の状態3のハッチングされた丸穴を照合モデル''円''とした照合モデル(3) によりそれぞれ照合選定させる場合について、物体認識装置20の処理手順を示した図3のフローチャートに基づいて本装置の作用を説明する。照明制御回路24により照明装置Lが点燈され、画像入力用カメラ10で得られた映像信号が画像入力装置221に入力される。そして、画像入力装置221では、映像信号をサンプリングしてディジタル信号に変換して濃淡画像が生成される。その濃淡画像データはエッジ検出装置222に入力し、微分されてエッジ画像が生成される。そのエッジ画像データは線分抽出装置223に入力し、稜線を追跡することで物体の輪郭線が抽出される。更に、その輪郭線は折線や円などで近似され線分画像が得られる。そして、ステップ100において、中央処理装置1(審決注:「中央処理装置21」の誤記と認める。)は画像処理装置22にて得られた線分画像を入力する。次にステップ102に移行して、入力された線分画像から一続きの線分群が抽出され、ワークWの特定部位“・・・(略)・・・”に対応する照合モデル(1)により探索される。・・・(略)・・・次にステップ104に移行して、ステップ102の照合モデル(1)の探索によって該当ワークが見つかったか否かが判定される。ステップ104で該当ワークがあると、ステップ106に移行し、照合モデル(1)にて探索されたワークWの特定部位の位置(方向を有する中心座標位置)及びその特定部位を把持可能なハンド(ハンド番号)などの情報をピッキングロボット30側へ送信する。ここでステップ104で該当ワークがないと、ステップ108に移行し、入力された線分画像から一続きの線分群が抽出され、ワークWの特定部位“・・・(略)・・・”に対応する照合モデル(2)により探索される。次にステップ110に移行して、ステップ108の照合モデル(2)の探索によって該当ワークが見つかったか否かが判定される。ステップ110で該当ワークがあると、ステップ112に移行し、照合モデル(2)にて探索されたワークWの特定部位の位置(方向を有する中心座標位置)及びその特定部位を把持可能なハンド(ハンド番号)などの情報をピッキングロボット30側へ送信する。ここでステップ110で該当ワークがないと、ステップ114に移行し、入力された線分画像から一続きの線分群が抽出され、ワークWの特定部位“・・・(略)・・・”に対応する照合モデル(3)により探索される。・・・(略)・・・次にステップ116に移行して、ステップ114の照合モデル(3)の探索によって該当ワークが見つかったか否かが判定される。ステップ116で該当ワークがあると、ステップ118に移行し、照合モデル(3)にて探索されたワークWの特定部位の位置(中心座標位置)及びその特定部位を把持可能なハンド(ハンド番号)などの情報をピッキングロボット30側へ送信する。」、【0011】の記載、【図2】、【図3】及び【図4】の記載からみて、「中央処理装置21が、画像入力用カメラ10により撮像され得られた多数の一種類のワークWの映像信号に基づいて、トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに山積み状態または散在した状態の多数の一種類のワークWの各状態に対応する特定部位の照合モデルに該当するワークWがあるか否かを判定」しているものと認められる。

n 上記mに加えて、【0007】の「高速ピッキング装置100は主として、・・・(略)・・・フィンガが先端に配設され山積み部品の中から一つの部品(以下、ワークともいう)Wを把持するためのハンド40を有するピッキング用ロボット30と交換用ハンド41,42,43とから成る。尚、各ハンドはワークWの特定部位に対応し適宜ピッキング用ロボット30に装着される。例えば、図のピッキング用ロボット30に装着されたハンド40はワークWの単純形状から成る特定部位として丸穴の内径など、交換用ハンド41はワークWの概形など、交換用ハンド42はワークWの穴に挿入して裏側からの引っ掛けなど、又、交換用ハンド43はワークWの平面部に吸着などによりそれぞれワークWを把持可能である。」、【0010】の「部品の複数の特定部位に対応した複数の照合モデルの何れかにて認識された部品はピッキング用ロボット30のハンド40或いは交換用ハンド41,42,43の何れかによりピッキングされることになる。・・・(略)・・・前述の実施例においては、特定部位を探索する照合モデルとピッキングするためのロボットのハンドが1対1に対応しているように説明されている」、【0011】の記載及び【図1】の記載からみて、中央処理装置21が、トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに山積み状態の多数の一種類のワークWのうちの「各状態に対応する特定部位の照合モデルに該当する」ワークWを把持するために、交換用ハンド43とハンド40及び交換用ハンド41、42との「何れかが適宜交換可能に択一的に」「ピッキング用ロボット30の作業ヘッド部に装着するハンド」として「選択」していると認められる。

(ウ)上記(ア)、(イ)及び【図1】?【図5】の記載から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「多数の一種類のワークWを山積み状態または散在した状態で収容するトレーTと、
トレーTの上部に設けられ、トレーT内の上方を向いた面上に収容された多数の一種類のワークWを上部から撮像する一つの画像入力用カメラ10と、
トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに山積み状態または散在した状態の一種類のワークWを吸着により把持する交換用ハンド43と、
トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに山積み状態または散在した状態の一種類のワークWを複数のフィンガで把持するハンド40及び交換用ハンド41、42と、
交換用ハンド43とハンド40及び交換用ハンド41、42とのうちの何れかが適宜交換可能に択一的に装着されるピッキング用ロボット30の作業ヘッド部と、
ピッキング用ロボット30の作業ヘッド部を任意の位置に移動させる移動装置部と、
中央処理装置21と、
記憶装置23と
を備え、
中央処理装置21が、
画像入力用カメラ10により撮像され得られた多数の一種類のワークWの映像信号に基づいて、トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに山積み状態または散在した状態の多数の一種類のワークWの各状態に対応する特定部位の照合モデルに該当するワークWがあるか否かを判定し、トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに山積み状態または散在した状態の多数の一種類のワークWのうちの各状態に対応する特定部位の照合モデルに該当するワークWを把持するために、交換用ハンド43とハンド40及び交換用ハンド41、42との何れかが適宜交換可能に択一的にピッキング用ロボット30の作業ヘッド部に装着するハンドとして選択する高速ピッキング装置。」

(3)引用発明との対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。(下線は、当審で付した。)

(ア)引用発明における「ワークW」は本件補正発明における「部品」に相当し、同様に、「多数のワークW」は「複数の部品」に相当し、また、「一種類のワークW」は「同じ形状の部品」にそれぞれ相当することから、引用発明における「多数の一種類のワークW」は本件補正発明における「複数の同じ形状の部品」に相当する。
そして、引用発明における「多数の一種類のワークWを山積み状態または散在した状態で上方を向いた面上に収容するトレーT」は、本件補正発明における「複数の同じ形状の部品をさまざまな姿勢に散在した状態で上面に支持する部品支持部」と、「複数の同じ形状の部品をさまざまな姿勢に散在した状態で上方を向いた面に支持する部品支持部」という点において共通する。

(イ)引用発明における「トレーTの上部」は本件補正発明における「鉛直軸線方向」に相当し、同様に、「設けられ」ることは「配設され」ることに相当する。
また、引用発明における「トレーT内の上方を向いた面上に収容された多数の一種類のワークW」は、本件補正発明における「部品支持部の上面に支持された複数の同じ形状の部品」と、「部品支持部の上方を向いた面に支持された複数の同じ形状の部品」という点において共通する。
さらに、引用発明における「上部」は本件補正発明における「上方」に相当し、同様に、「一つ」は「ひとつ」に、「画像入力用カメラ10」は「撮像装置」に、それぞれ相当する。
そうすると、引用発明における「トレーTの上部に設けられ、トレーT内の上方を向いた面上に収容された多数の一種類のワークWを上部から撮像する一つの画像入力用カメラ10」は、本件補正発明における「鉛直軸線方向に配設され、部品支持部の上面に支持された複数の同じ形状の部品を上方から撮像するひとつの撮像装置」と、「鉛直軸線方向に配設され、部品支持部の上方を向いた面に支持された複数の同じ形状の部品を上方から撮像するひとつの撮像装置」という点において共通する。

(ウ)引用発明における「トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに山積み状態または散在した状態の一種類のワークW」は、散在した状態には当然に他の部品とは接触せずに隙間がある状態が含まれるといえるから、本件補正発明における「部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある同じ形状の部品」と、「部品支持部の上方を向いた面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある同じ形状の部品」という点において共通する。
また、引用発明における「吸着により把持する」ことは本件補正発明における「吸着保持する」ことに相当することから、引用発明における「吸着により把持する交換用ハンド43」は本件補正発明における「吸着保持する吸着ノズル」に相当する。
そうすると、引用発明における「トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに山積み状態または散在した状態の一種類のワークWを吸着により把持する交換用ハンド43」は、本件補正発明における「部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある同じ形状の部品を吸着保持する吸着ノズル」と、「部品支持部の上方を向いた面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある同じ形状の部品を吸着保持する吸着ノズル」という点において共通する。

(エ)引用発明における「複数のフィンガ」は本件補正発明における「複数の爪」に相当することから、引用発明における「複数のフィンガで把持するハンド40及び交換用ハンド41、42」は本件補正発明における「複数の爪で把持する把持具」に相当する。
そうすると、引用発明における「トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに山積み状態または散在した状態の一種類のワークWを複数のフィンガで把持するハンド40及び交換用ハンド41、42」は、本件補正発明における「部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある同じ形状の部品を複数の爪で把持する把持具」と、「部品支持部の上方を向いた面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある同じ形状の部品を複数の爪で把持する把持具」という点において共通する。

(オ)引用発明における「何れかが適宜交換可能に択一的に装着される」ことは本件補正発明における「任意のものが交換可能に択一的に装着される」ことに相当し、同様に、「ピッキング用ロボット30の作業ヘッド部」は「作業ヘッド」に相当する。

(カ)引用発明における「移動装置部」は本件補正発明における「移動装置」に相当し、同様に、「記憶装置23」は「記憶装置」に相当する。

(キ)引用発明における「撮像され得られた」ことは本件補正発明における「取得した」ことに相当し、同様に、「映像信号」は「撮像データ」に相当することから、引用発明における「画像入力用カメラ10により撮像され得られた多数の一種類のワークWの映像信号」は本件補正発明における「撮像装置により撮像され取得した複数の同じ形状の部品の撮像データ」に相当する。
また、引用発明における「トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに山積み状態または散在した状態の多数の一種類のワークWの各状態において特定部位が基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定される照合モデルに該当するワークWがあるか否かを判定」することは、本件補正発明における「部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある複数の同じ形状の部品の姿勢を認識」することと、
「部品支持部の上方を向いた面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある複数の同じ形状の部品を認識」することという点において共通する。

(ク)引用発明における「トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに山積み状態または散在した状態の多数の一種類のワークWのうちの各状態において特定部位が基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定される照合モデルに該当するワークWを把持するために、交換用ハンド43とハンド40及び交換用ハンド41、42との何れかが適宜交換可能に択一的にピッキング用ロボット30の作業ヘッド部に装着するハンドとして選択する」ことは、本件補正発明における「部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある複数の同じ形状の部品のうちの同じ姿勢の部品を保持するために、吸着ノズルと把持具との少なくとも一方を作業ヘッドへの装着保持具として決定する」ことと、「部品支持部の上方を向いた面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある複数の同じ形状の部品を保持するために、吸着ノズルと把持具との少なくとも一方を作業ヘッドへの装着保持具として決定する」ことという点において共通する。

(ケ)引用発明における「中央処理装置21」は、本件補正発明における「制御装置」と、上記(キ)及び(ク)の点において共通する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「複数の同じ形状の部品をさまざまな姿勢に散在した状態で支持する部品支持部と、
鉛直軸線方向に配設され、部品支持部の上方を向いた面に支持された複数の同じ形状の部品を上方から撮像するひとつの撮像装置と、
部品支持部の上方を向いた面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある同じ形状の部品を吸着保持する吸着ノズルと、
部品支持部の上方を向いた面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある同じ形状の部品を複数の爪で把持する把持具と、
吸着ノズルと把持具とのうちの任意のものが交換可能に択一的に装着される作業ヘッドと、
作業ヘッドを任意の位置に移動させる移動装置と、
制御装置と、
記憶装置と
を備え、
制御装置が、
撮像装置により撮像され取得した複数の同じ形状の部品の撮像データに基づいて、部品支持部の上方を向いた面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある複数の同じ形状の部品を認識し、部品支持部の上方を向いた面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある複数の同じ形状の部品を保持するために、吸着ノズルと把持具との少なくとも一方を作業ヘッドへの装着保持具として決定する部品供給システム。」

【相違点】
部品支持部の上方を向いた面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある「複数の同じ形状の部品を認識し」、部品支持部の上方を向いた面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある「複数の同じ形状の部品を保持する」ために、「吸着ノズルと把持具との少なくとも一方を作業ヘッドへの装着保持具として決定する」にあたり、本件補正発明では、「複数の同じ形状の部品の『姿勢』を認識し」、「複数の同じ形状の部品のうちの『同じ姿勢の』部品を保持する」ために、「吸着ノズルと把持具との少なくとも一方を作業ヘッドへの装着保持具として決定する」のに対して、引用発明では、「多数の一種類のワークWの『各状態において特定部位が基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定される照合モデルに該当するワークWがあるか否か』を判定し」、「多数の一種類のワークWのうちの『各状態において特定部位が基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定される照合モデルに該当する』ワークWを把持する」ために、「交換用ハンド43とハンド40及び交換用ハンド41、42との何れかが適宜交換可能に択一的にピッキング用ロボット30の作業ヘッド部に装着するハンドとして選択する」点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。

ア 相違点について
引用発明において、「各状態において特定部位が基準姿勢をとるときの形状」に対応した「照合モデルに該当するワークWがあるか否かを判定」するということは、特定部位が照合モデルに該当する基準姿勢にあるようなワークW(部品)があるか、すなわち、特定部位を含むワークW(部品)の姿勢がそれに対応した基準姿勢にあるようなワークW(部品)があるかについて、画像入力用カメラ10(撮像装置)により撮像され得られた(取得した)多数(複数)の一種類(同じ形状)のワークW(部品)の映像信号(撮像データ)に基づいて、本件補正発明と同様に、一種類の(同じ形状の)ワークW(部品)の『姿勢』」を認識して照合モデルと照合、判定等のデータ処理を行うことにより、本件補正発明と同様に、一種類の(同じ形状の)ワークW(部品)のうちの『同じ姿勢の』ワークW(部品)を認識することにほかならないものと認められる。
そうすると、相違点に係る本件補正発明の特定事項における処理については、実質的にみて、引用発明における処理においても同様のものといえ、当業者であれば容易に想到し得るものである。

イ そして、この相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

ウ したがって、本件補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)予備的検討
上記(2)において、引用発明について、「多数の一種類のワークW」は、「山積み状態または散在した状態」で、「トレーT」に「収容」され、「交換用ハンド43」に「吸着により把持」され、「ハンド40及び交換用ハンド41、42」の「複数のフィンガ」で「把持」されるものとし、上記(3)ア(ウ)において、散在した状態には当然に他の部品とは接触せずに隙間がある状態が含まれるといえることから、引用発明の「多数の一種類のワークW」は、本件補正発明と同様に「他の部品とは接触せずに隙間がある」ものとして、これを一致点としたが、仮に相違点とした場合について、以下に予備的に検討する。

ア 引用発明2
上記の場合、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。(引用発明と異なる箇所に下線を付した。以下同様。)

「多数の一種類のワークWを山積み状態で収容するトレーTと、
トレーTの上部に設けられ、トレーT内の上方を向いた面上に収容された多数の一種類のワークWを上部から撮像する一つの画像入力用カメラ10と、
トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに他のワークWと接触して山積み状態の一種類のワークWを吸着により把持する交換用ハンド43と、
トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに他のワークWと接触して山積み状態の一種類のワークWを複数のフィンガで把持するハンド40及び交換用ハンド41、42と、
交換用ハンド43とハンド40及び交換用ハンド41、42とのうちの何れかが適宜交換可能に択一的に装着されるピッキング用ロボット30の作業ヘッド部と、
ピッキング用ロボット30の作業ヘッド部を任意の位置に移動させる移動装置部と、
中央処理装置21と、
記憶装置23と
を備え、
中央処理装置21が、
画像入力用カメラ10により撮像され得られた多数の一種類のワークWの映像信号に基づいて、トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに他のワークWと接触して山積み状態の多数の一種類のワークWの各状態に対応する特定部位の照合モデルに該当するワークWがあるか否かを判定し、トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに他のワークWと接触して山積み状態の多数の一種類のワークWのうちの各状態に対応する特定部位の照合モデルに該当するワークWを把持するために、交換用ハンド43とハンド40及び交換用ハンド41、42との何れかが適宜交換可能に択一的にピッキング用ロボット30の作業ヘッド部に装着するハンドとして選択する高速ピッキング装置。」

イ 引用発明2との対比

(ア)本件補正発明と引用発明2とを対比する。(以下、本件補正発明と引用発明とを対比した上記(3)アとは内容が異なる(3)ア(ア)、(ウ)、(エ)、(キ)及び(ク)の点のみについて、以下のa-eにそれぞれ記載し、その他の(3)ア(イ)、(オ)、(カ)及び(ケ)の内容は上記(3)アの内容を援用する。)

a 上記(3)ア(ア)について
引用発明2における「多数の一種類のワークWを山積み状態で上方を向いた面上に収容するトレーT」は、本件補正発明における「複数の同じ形状の部品をさまざまな姿勢に散在した状態で上面に支持する部品支持部」と、「複数の同じ形状の部品をさまざまな姿勢の状態で上方を向いた面に支持する部品支持部」という点において共通する。

b 上記(3)ア(ウ)について
引用発明2における「トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに他のワークWと接触して山積み状態の一種類のワークW」は、本件補正発明における「部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある同じ形状の部品」と、「部品支持部の上方を向いた面に支持される同じ形状の部品」という点において共通する。
そうすると、引用発明2における「トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに他のワークWと接触して山積み状態の一種類のワークWを吸着により把持する交換用ハンド43」は、本件補正発明における「部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある同じ形状の部品を吸着保持する吸着ノズル」と、「部品支持部の上方を向いた面に支持される同じ形状の部品を吸着保持する吸着ノズル」という点において共通する。

c 上記(3)ア(エ)について
引用発明2における「トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに他のワークWと接触して山積み状態の一種類のワークWを複数のフィンガで把持するハンド40及び交換用ハンド41、42」は、本件補正発明における「部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある同じ形状の部品を複数の爪で把持する把持具」と、「部品支持部の上方を向いた面に支持される同じ形状の部品を複数の爪で把持する把持具」という点において共通する。

d 上記(3)ア(キ)について
引用発明2における「トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに他のワークWと接触して山積み状態の多数の一種類のワークWの各状態において特定部位が基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定される照合モデルに該当するワークWがあるか否かを判定」することは、本件補正発明における「部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある複数の同じ形状の部品の姿勢を認識」することと、「部品支持部の上方を向いた面に支持される複数の同じ形状の部品を認識」することという点において共通する。

e 上記(3)ア(ク)について
引用発明2における「トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに他のワークWと接触して山積み状態の多数の一種類のワークWのうちの各状態において特定部位が基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定される照合モデルに該当するワークWを把持するために、交換用ハンド43とハンド40及び交換用ハンド41、42との何れかが適宜交換可能に択一的にピッキング用ロボット30の作業ヘッド部に装着するハンドとして選択する」ことは、本件補正発明における「部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある複数の同じ形状の部品のうちの同じ姿勢の部品を保持するために、吸着ノズルと把持具との少なくとも一方を作業ヘッドへの装着保持具として決定する」ことと、「部品支持部の上方を向いた面に支持される複数の同じ形状の部品を保持するために、吸着ノズルと把持具との少なくとも一方を作業ヘッドへの装着保持具として決定する」ことという点において共通する。

(イ)以上のことから、本件補正発明と引用発明2との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「複数の同じ形状の部品をさまざまな姿勢の状態で支持する部品支持部と、
鉛直軸線方向に配設され、部品支持部の上方を向いた面に支持された複数の同じ形状の部品を上方から撮像するひとつの撮像装置と、
部品支持部の上方を向いた面に支持される同じ形状の部品を吸着保持する吸着ノズルと、
部品支持部の上方を向いた面に支持される同じ形状の部品を複数の爪で把持する把持具と、
吸着ノズルと把持具とのうちの任意のものが交換可能に択一的に装着される作業ヘッドと、
作業ヘッドを任意の位置に移動させる移動装置と、
制御装置と、
記憶装置と
を備え、
制御装置が、
撮像装置により撮像され取得した複数の同じ形状の部品の撮像データに基づいて、部品支持部の上方を向いた面に支持される複数の同じ形状の部品を認識し、部品支持部の上方を向いた面に支持される複数の同じ形状の部品を保持するために、吸着ノズルと把持具との少なくとも一方を作業ヘッドへの装着保持具として決定する部品供給システム。」

【相違点1】
「複数の同じ形状の部品」について、「さまざまな姿勢の状態で上方を向いた面に支持する部品支持部」が本件補正発明の「部品支持部」は複数の同じ形状の部品を「さまざまな姿勢に散在した状態で上面に支持する」のに対して、引用発明2の「トレーT」は多数の一種類のワークWを「山積み状態で収容する」ものであり、また、「吸着ノズル」で「吸着保持」または「把持具」の「複数の爪」で「把持」する「部品支持部の上方を向いた面に支持される同じ形状の部品」が本件補正発明では「他の部品とは接触せずに隙間がある」のに対して、引用発明2では「他のワークWと接触して山積み状態」である点。

【相違点2】
部品支持部の上方を向いた面に支持される「複数の同じ形状の部品を認識し」、部品支持部の上方を向いた面に支持される「複数の同じ形状の部品を保持する」ために、「吸着ノズルと把持具との少なくとも一方を作業ヘッドへの装着保持具として決定する」にあたり、本件補正発明では、「複数の同じ形状の部品の『姿勢』を認識し」、「複数の同じ形状の部品のうちの『同じ姿勢の』部品を保持する」ために、「吸着ノズルと把持具との少なくとも一方を作業ヘッドへの装着保持具として決定する」のに対して、引用発明2では、「多数の一種類のワークWの『各状態において特定部位が基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定される照合モデルに該当するワークWがあるか否か』を判定し」、「多数の一種類のワークWのうちの『各状態において特定部位が基準姿勢をとるときの形状を特定するデータにより予め設定される照合モデルに該当する』ワークWを把持する」ために、「交換用ハンド43とハンド40及び交換用ハンド41、42との何れかが適宜交換可能に択一的にピッキング用ロボット30の作業ヘッド部に装着するハンドとして選択する」点。

ウ 判断

(ア)相違点1について
引用文献1には、上記(2)アのとおり、段落【0011】において「本発明は山積み部品を対象としているが、平面上に単独に1個だけ置かれた部品や数個散在した状態で置かれた部品、更に、仕切りの付いたトレー内に分離された状態で置かれた部品に対しても同様に適用可能なことは明白である。」と記載されていることからみて、引用文献1には、「さまざまな姿勢の状態で上方を向いた面に支持する部品支持部」として、多数の一種類のワークW(部品)を「山積み状態で収容するトレーT」のほかに、本件補正発明のように、「(任意に)散在した状態で(平面の)上面に支持する部品支持部」とすることも示唆されていると認められ、また、「吸着ノズル」で「吸着保持」または「把持具」の「複数の爪」で「把持」する「部品支持部の上方を向いた面に支持される同じ形状の部品」として、「トレーT内の上方を向いた面上に収容されるとともに他のワークWと接触して山積み状態」のもののほかに、「(任意に)散在した状態」として、本件補正発明のような「部品支持部の上面に支持されるとともに他の部品とは接触せずに隙間がある」状態も含み得ることが示唆されていると認められるから、これらの示唆により、引用発明を、引用文献1に記載のものにおいて示唆されている、相違点1に係る本件補正発明の特定事項のような状態にあるワークW(部品)に対して適用することに格別の困難性は認められない。

(イ)相違点2について
相違点2に係る本件補正発明の特定事項における処理は、上記(4)アで説示したように、実質的にみて、引用発明2における処理においても同様のものといえ、引用文献1の段落【0011】において「本発明は山積み部品を対象としているが、・・・数個散在した状態で置かれた部品・・・に対しても同様に適用可能なことは明白である。」と記載されていることから、本件補正発明のような状態にあるワークW(部品)においても同様の処理と認められるので、当業者であれば容易に想到し得るものである。

エ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

オ したがって、本件補正発明は、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(6)請求人の主張について

ア 請求人の主張
請求人は、審判請求書において、以下のように主張している。

(ア)引用文献1には、「山積み部品の中から、ひとつの部品を把持するために、複数の交換用ハンドのうちからひとつのハンドを選択するピッキングロボットを備えた(段落(0007))『山積み部品の高速ピッキング装置(請求項1)』」に関する一連の記載がなされているだけであり、段落【0011】に記載の「数個散在した状態で置かれた部品」をピッキングする具体的な手段についての記載は何らなされておらず、本件補正発明が対象とする部品とは態様が異なっている。

(イ)そして、これを踏まえて、本件補正発明において以下の点を明確にした。
a ピッキングの対象とする部品は、山積み部品ではなく、部品支持面の上面に散在された複数の同じ形状の部品であって、「他の部品とは接触せずに隙間ある部品」であること。
b 上方から上記(ア)の部品を撮像して、それらの姿勢を認識すること。
c 上記(イ)で認識した姿勢データに基づいて、上記(ア)の複数の部品における同じ姿勢の部品をノズルまたは把持具のいずれかで保持すること。

イ 当審の見解

(ア)上記ア(ア)について
上記(2)ア(ア)の段落【0011】の「数個散在した状態で置かれた部品・・・に対しても同様に適用可能なことは明白である。」の記載からみて、「数個散在した状態で置かれた部品」をピッキングする場合について改めて記載するまでもなく、「山積み部品」と同様な高速ピッキング装置が適用可能であることが記載されていると認められるので、上記(2)ア(イ)及び(ウ)のとおり、引用文献1には、「山積み状態または散在した状態の一種類のワークW」をピッキングする高速ピッキング装置が記載されていると認められる。
よって、請求人の主張は採用できない。

また、仮にこの主張のとおりであるとしても、上記(5)ウのとおり、当業者が容易に想到し得るものである。

(イ)上記ア(イ)について

a 上記ア(イ)aについて
上記(3)ア(ウ)のとおり、引用発明における「山積みまたは散在状態の一種のワークW」は、本件補正発明における「他の部品とは接触せずに隙間がある同じ形状の部品」に相当するものである。
よって、上記ア(イ)aについては、引用発明と相違する点ではなく、請求人の主張は採用できない。

また、仮にこの主張のとおりであるとしても、上記(5)ウのとおり、当業者が容易に想到し得るものである。

b 上記ア(イ)b及びcについて
上記(4)のとおり、本件補正発明の特定事項における処理については、実質的にみて、引用発明における処理においても同様のものといえ、当業者であれば容易に想到し得るものである。
よって、請求人の主張は採用できない。

また、上記(5)ウ(イ)のとおり、本件補正発明のような状態にあるワークW(部品)においても同様の処理と認められるので、この点からみても、当業者であれば容易に想到し得るものである。

3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明
令和2年5月15日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし2に係る発明は、令和1年9月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(2)における請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開平5-127722号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「部品支持部」、「撮像装置」、「吸着ノズル」、「把持具」、「作業ヘッド」及び「制御装置」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-08-05 
結審通知日 2021-08-17 
審決日 2021-09-16 
出願番号 特願2017-541186(P2017-541186)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松井 裕典岩▲崎▼ 優牧 初  
特許庁審判長 見目 省二
特許庁審判官 田々井 正吾
河端 賢
発明の名称 部品供給システム、および散在部品のピッキング装置  
代理人 特許業務法人ネクスト  
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