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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F28D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F28D
管理番号 1379552
審判番号 不服2020-15698  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-11-13 
確定日 2021-11-04 
事件の表示 特願2016-59754「冷却装置及び投影表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年9月28日出願公開、特開2017-172876〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年3月24日に出願されたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和2年1月21日付け 拒絶理由通知
令和2年3月26日 意見書、手続補正書の提出
令和2年8月11日付け(発送日:令和2年8月18日) 拒絶査定
令和2年11月13日 審判請求書、同時に手続補正書の提出

第2 令和2年11月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年11月13日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のように補正された(下線部は補正箇所である。)。

「【請求項1】
一端と他端が開口した筒状のダクトと、
前記ダクトの内部に配置され、前記ダクトの前記内部の空気を前記開口した一端と前記開口した他端とを結ぶ送風方向に送風するファンと、
前記ダクトの外部に配置されたヒートシンクであって、前記他端の開口に対向する対向面を有する基部と、前記送風方向に沿って前記対向面から延出する複数の薄板がそれぞれ所定の距離だけ離間するヒートシンクフィンと、を有する前記ヒートシンクと、
前記基部に接する熱源と、
前記熱源または前記ヒートシンクに接続されるヒートパイプと、
前記ダクトの前記内部で、前記ファンよりも前記一端側に配置され、前記送風方向に沿って前記ヒートパイプから延出する複数の薄板がそれぞれ所定の距離だけ離間するヒートパイプフィンと、
を備え、
前記ファンは、前記ヒートパイプフィンと前記ヒートシンクとの間に配置され、前記ダクトの前記他端の開口から出た前記空気を前記ヒートシンクフィンの複数の薄板間に流入させ、前記空気を前記対向面に到達させることにより、前記空気を、前記ダクトの外部の前記対向面において、前記送風方向に直交し前記薄板間の溝が延びた方向の流れとし、前記空気を前記ヒートシンクの外部に送出し、
前記基部は、長手方向及び前記長手方向に直交する短手方向を有し、前記対向面における前記長手方向及び前記短手方向の長さは、前記ダクトの前記他端の前記開口における前記長手方向及び前記短手方向の長さと略同一である、
冷却装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の令和2年3月26日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
一端と他端が開口した筒状のダクトと、
前記ダクトの内部に配置され、前記ダクトの前記内部の空気を前記開口した一端と前記開口した他端とを結ぶ送風方向に送風するファンと、
前記ダクトの外部であって、前記他端の開口に対向する対向面を有する基部と、前記送風方向に沿って前記対向面から延出する複数の薄板がそれぞれ所定の距離だけ離間するヒートシンクフィンと、を有するヒートシンクと、 前記基部に接する熱源と、
前記熱源または前記ヒートシンクに接続されるヒートパイプと、
前記ダクトの前記内部で、前記ファンよりも前記一端側に配置され、前記送風方向に沿って前記ヒートパイプから延出する複数の薄板がそれぞれ所定の距離だけ離間するヒートパイプフィンと、
を備え、
前記ファンは、ヒートパイプフィンとヒートシンクとの間に配置されている冷却装置。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1における「ダクトの外部であって」を、「ダクトの外部に配置されたヒートシンクであって」とすることにより記載を明瞭なものとし、さらに、本件補正前の請求項1を特定するために必要な事項である「ファン」について、「前記ダクトの前記他端の開口から出た前記空気を前記ヒートシンクフィンの複数の薄板間に流入させ、前記空気を前記対向面に到達させることにより、前記空気を、前記ダクトの外部の前記対向面において、前記送風方向に直交し前記薄板間の溝が延びた方向の流れとし、前記空気を前記ヒートシンクの外部に送出」することの機能についての限定を新たに付加し、同様に、「基部」について、「長手方向及び前記長手方向に直交する短手方向を有し、前記対向面における前記長手方向及び前記短手方向の長さは、前記ダクトの前記他端の前記開口における前記長手方向及び前記短手方向の長さと略同一である」ことの形状及び寸法についての限定を新たに付加する補正であって、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、全体として、特許請求の範囲の請求項1に関する本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

そこで、本件補正によって補正された請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかどうか)について、以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用例の記載事項
ア 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された引用例である米国特許出願公開第2004/0165350号明細書には、図面とともに以下の記載がある(下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。

(ア)引用例1の記載
1a)”[0012] To achieve the above objective, a heat sink assembly with a heat pipe is provided, including a first heat sink with a fan disposed therein, a second heat sink and the heat pipe, the heat pipe has two ends respectively being disposed inside the first heat sink and the second heat sink. The heat pipe is disposed in a side of the first heat sink and the second heat sink and connects the first heat sink and the second heat sink with a space therein for positioning the fan.”
(当審訳:上記目的を達成するために、その中にファンを備えた第1のヒートシンク、第2のヒートシンクおよびヒートパイプであって、ヒートパイプは2つの端部がそれぞれ第1のヒートシンクと第2のヒートシンクの内部に配置されている、ヒートパイプを備えたヒートシンク組立体が設けられている。ヒートパイプは第1のヒートシンクと第2のヒートシンクの側方に配置され、ファンを配置するための内部空間を有する第1のヒートシンクと第2のヒートシンクとを接続する。)

1b)”BRIEF DESCRIPTION OF THE DRAWINGS
[0014] The present Invention will be better understood from the following detailed description of preferred embodiments of the invention, taken in conjunction with the accompanying drawings, In which
[0015] FIG. 1 is a view showing exterior of the present invention; [0016] FIG. 2 is a side vi w of the present invention;
[0017] FIG. 3 is a top plan view of the present Invention;
[0018] FIG. 4 is a view showing the present invention in an operation configuration; and
[0019] FIG. 5 is another view showing the present invention In an operation configuration.”
(当審訳:図面の簡単な説明
[0014]本発明は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明と、添付の図面と組み合わせることにより良く理解され、そこにおいて
[0015]図1は、本発明の外観を示す図である。
[0016]図2は、本発明の側面図である。
[0017]図3は、本発明の平面図である。
[0018]図4は、本発明の作動形態を示す図である。
[0019]図5は、本発明の作動形態を示す他の図である。)

1c)”[0022] A fan 4 is disposed on the first heat sink 1 mentioned above. The first heat sink 1 is composed of a frame body 11 and a plurality of heat sink fine 12 in the frame body 11. The second heat sink 2 is composed of a plurality of heat sink fins 21.”
(当審訳:上述した第1のヒートシンク1にはファン4が配設される。第1のヒートシンク1は、枠体11と枠体11における複数のヒートシンクフィン12から構成されている。第2のヒートシンク2は、複数のヒートシンクフィン21から構成されている。)

1d)”[0023] The heat pipe 3 is a tube with capillary depr sslon. The heat pip 3 is filled with liquid. The heat pipe 3 has two ends respectively being disposed inside the first heat sink 1 and the second heat sink 2, and respectively passing through the first heat sink 1 and the second heat sink 2. There are some bending parts In the ends of the heat pipe 3. The heat pipe 3 is disposed in a side of the first heat sink 1 and the second heat sink 2 and connects the first heat sink 1 and the second heat sink 2 via the heat pipe 3 with a space 41 therein for positioning the fan 4 in the space 41. Therefore, a whole new heat sink assembly with heat pipe is constructed.”
(当審訳:ヒートパイプ3は、毛細作用を行う凹部を有する管である。ヒートパイプ3は、液体が充填されている。ヒートパイプ3は第1のヒートシンク1および第2のヒートシンク2の内部に配置される2つの端部を有し、それぞれ第1のヒートシンク1及び第2のヒートシンク22を通り抜ける。ヒートパイプ3の端部において、いくつかの屈曲部がある。ヒートパイプ3は、第1のヒートシンク1と第2のヒートシンク2の一側面に配置されており、ファン4を位置づける空間41を伴って第1のヒートシンク1と第2のヒートシンク2を接続する。これにより、ヒートパイプを有する全く新しいヒートシンク組立体が構成される。

1e)“[0024] FIG. 4 and FIG. 5 respectively are a view showing the present invention in an operation configuration, and another view showing the present invention in an operation configuration. As shown in the diagrams, the bottom of the frame body 11 of the first heat sink 1 of the present invention stays close to the CPU 51 of the circuit board 5. Thus, the first heat sink 1 can absorb the heat generated by the CPU 51 when operating. Since the bottom of the frame body 11 of the first heat sink 1 stays close to the CPU 51, the first heat sink 1 can absorb heat generated by the CPU 51 from the bottom of the frame body 11 of the first heat sink 1 and transfer heat to a plurality of heat sink fins 12 in the frame body 11. Then, by the fan 4 of the first heat sink 1, air flow from the fan 4 is leaded to a plurality of heat sink fins 12 of the first heat sink 1. The air flow from the fan 4 blows In the gaps 13 between the h at sink fins 12 and dissipates the heat inside. For the time being, the fan 4 may not be able to dissipate all heat in the first heat sink 1. The rest heat remaining in the first heat sink 1 will be transferred from the heat pipe 3 to the second heat sink 2 and be dissipated again. After absorbing the heat, the liquid in the heat pipe 3 will turn out to be vapor. After dissipating heat by the second heat sink 2, liberation of heat is occurred. The vapor, which is transformed from liquid in the heat pipe 3, will transform again into liquid via the second heat sink 2. Moreover, since the heat pipe 3 is a tube with capillary depression, liquid in the bent heat pipe 3 generates a wonderful circulation via the first heat sink 1 and the second heat sink 2 for absorbing and dissipating heat. Accordingly, the first heat sink 1 and the second heat sink 2 are capable of dissipating heat in the CPU 51 effectively and quickly. Whereby, the first heat sink 1 and the second heat sink 2 become a main heat-dissipating region and a sub heat-dissipating region. Heat generated by the CPU 51 is dissipated first in the first heat sink 1 (the main heat-dissipating region) with the fan 4 and then transferred via the heat pipe 3 to the second heat sink 2 (the sub heat-dissipating region) for being dissipated again,”
(当審訳:図4と図5は、それぞれの作動形態における本発明を示す図と、作動形態における本発明を示す別の図である。図に示すように、本発明の第1のヒートシンク1の枠体11の底面が回路基板5のCPU51に近い状態を維持する。したがって、作動するとき、第1のヒートシンク1は、CPU51で発生した熱を吸収することができる。第1のヒートシンク1の枠体11の底部がCPU51の近くにとどまるため、第1のヒートシンク1は、ヒートシンク1の枠体11の底部から、CPU51で発生した熱を吸収し、枠体11の複数の放熱フィン12に熱を伝達することができる。そして、第1のヒートシンク1のファン4によって、ファン4からの空気流は、第1のヒートシンク1の複数のヒートシンクフィン12に導かれる。ファン4からの空気流がヒートシンクフィン12の隙間13において通ることにより内部の熱を放散する。
この場合、ファン4は、第1のヒートシンク1のすべての熱を放散させることができないことがある。第1のヒートシンク1に残っている残りの熱はヒートパイプ3から第2ヒートシンク2へと放散されるであろう。熱を吸収した後、ヒートパイプ3内の液体が蒸発することになる。第2のヒートシンク2により熱を放散させた後、熱の放出が発生する。ヒートパイプ3において液体から変換した蒸気は、再び第2のヒートシンク2を介して再び液体へ変換する。さらに、ヒートパイプ3は、毛管作用を行う凹部を有する管であるので、湾曲したヒートパイプ3内の液体は、熱を吸収、散逸するために第1ヒートシンク1と第2ヒートシンク2とを介して素晴らしい循環を生成する。従って、第1のヒートシンク1及び第2のヒートシンク2は、CPU51の放熱を効果的に且つ迅速に行なうことができる。これにより、第1のヒートシンク1及び第2のヒートシンク2は、主たる熱放散領域と従たる熱放散領域となる。CPU51によって生成された熱は、まず始めに、ファン4を伴った第1ヒートシンク1(主たる熱放散領域)内で放散し、次に、ヒートパイプ3を介して第2のヒートシンク2(従たる熱放散領域)に運ばれて再び放散する。)

1f)












(イ)引用例1の記載から分かること
1g)上記1e)、及びFig.1ないし3の記載から、第1のヒートシンク1が備えるヒートシンクフィン12、及び第2のヒートシンク2が備えるヒートシンクフィン21は、間隔を有して設けられた複数の薄板からなることが分かる。

1h)上記1d)、Fig.2、及びFig.4の記載から、第1のヒートシンク1において、ヒートパイプ3の一端が通り抜けるとともに、第2のヒートシンク2において、ヒートパイプ3の他端が通り抜けることが分かる。

1i)Fig.1、及びFig.3の記載からみて「ヒートシンクフィン12」、及び「ヒートシンクフィン21」は、それぞれ送風方向に沿って並んでいることが分かる。

(ウ)引用発明
上記(ア)及び(イ)の記載を総合すると、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「ファン4と、
底面を有する枠体11と、送風方向に沿って並んでいるとともに、枠体11において間隔を有して設けられた複数の薄板からなるヒートシンクフィン12とを有する第1のヒートシンク1と、
枠体11の底面と近接するCPU51と、
第1のヒートシンク1を一端が通り抜けるヒートパイプ3と、
送風方向に沿って並んでいるとともに、ヒートパイプ3の他端が通り抜け、間隔を有して設けられた複数の薄板からなるヒートシンクフィン21からなる第2のヒートシンク2と、を備え、
ファン4は、第1のヒートシンク1と第2のヒートシンク2との間に配置され、
ファン4からの空気流は、第1のヒートシンク1の複数のヒートシンクフィン12に導かれ、ヒートシンクフィン12の隙間13を通ることにより内部の熱を放散する、
ヒートシンク組立体。」

イ 引用例2
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された引用例である特開2013-25212号公報には、図面とともに以下の記載がある(下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。

(ア)引用例2の記載
2a)「【0027】
〔冷却装置の構成〕
図2は、冷却装置4Aを示す斜視図である。なお、図2においては、ダクト45の一部を取り外した状態の冷却装置4Aを図示している。
冷却装置4Aは、冷却対象である光源装置31(詳しくは、基板311)を冷却する。この冷却装置4Aは、図1及び図2に示すように、受熱体41、複数のヒートパイプ42、一対の放熱フィン43、冷却ファン44及びダクト45を備える。
【0028】
〔ダクトの構成〕
ダクト45は、合成樹脂により形成された筒状体であり、筐体2に形成された吸気口231と排気口212とを接続する。このダクト45内には、一対の放熱フィン43及び冷却ファン44が収納される。このダクト45は、当該ダクト45内を流通する冷却空気の流通方向が、投射光学装置35による光束の投射方向であるP方向に沿うように形成されている。」

2b)「【0046】
第1放熱フィン431及び第2放熱フィン432と、これら放熱フィン431,432に冷却空気を送風する冷却ファン44は、ダクト45内に設けられている。これによれば、冷却ファン44により各放熱フィン431,432に送風される冷却空気の損失を抑制できる。従って、当該各放熱フィン431,432の冷却効果を高めることができ、光源装置31を効率よく冷却できる。
また、ダクト45に接続される排気口212は、筐体2において投射光学装置35が露出する正面21に形成されている。これによれば、プロジェクター1Aの使用時に、当該排気口212が障害物により覆われることを抑制できる他、熱を帯びた冷却空気が、プロジェクター1Aの使用者に向けて排出されることを抑制できる。」

2c)





(イ)引用例2に記載された技術
上記(ア)の記載を総合すると、引用例2には以下の発明(以下、「引用例2技術」という。)が記載されている。
「放熱フィン43に対して冷却ファン44により冷却空気を送風する冷却装置4Aにおいて、放熱フィン43と冷却ファン44をダクト45内に設けることにより、冷却空気の損失を抑制して冷却効果を高める技術。」

3 対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明における「ファン4」は、本願補正発明における「ファン」に相当し、以下同様に、「第1のヒートシンク1」は「ヒートシンク」に、「枠体11の底面」は「基部」に、「間隔を有して設けられた複数の薄板からなる」、「ヒートシンクフィン12」は「複数の薄板がそれぞれ所定の距離だけ離間する」、「ヒートシンクフィン」に、「CPU51」は「熱源」に、「第1のヒートシンク1を一端が通り抜ける」、「ヒートパイプ3」は「ヒートシンクに接続される」、「ヒートパイプ」に、「送風方向に沿って並んでいるとともに、ヒートパイプ3の他端が通り抜け、間隔を有して設けられた複数の薄板からなるヒートシンクフィン21からなる」、「第2のヒートシンク2」は、「送風方向に沿ってヒートパイプから延出する複数の薄板がそれぞれ所定の距離だけ離間する」、「ヒートパイプフィン」に、「ヒートシンク組立体」は「冷却装置」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「ヒートシンクフィン12」における「送風方向に沿って並んでいる」、「複数の薄板」と、本願補正発明の「ヒートシンクフィン」における「送風方向に沿って前記対向面から延出する複数の薄板」とは、「送風方向に沿って並んでいる複数の薄板」という限りにおいて一致する。
さらに、引用発明における「枠体11の底面と近接するCPU51」と、本願補正発明における「基部に接する熱源」とは、「基部に熱を伝達する熱源」という限りにおいて一致する。


したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。

[一致点]
「ファンと、
ヒートシンクであって、
基部と、送風方向に沿って並んでいる複数の薄板がそれぞれ所定の距離だけ離間するヒートシンクフィンと、を有するヒートシンクと、
基部に熱を伝達する熱源と、
ヒートシンクに接続されるヒートパイプと、
送風方向に沿ってヒートパイプから延出する複数の薄板がそれぞれ所定の距離だけ離間するヒートパイプフィンと、
を備え、
ファンは、ヒートパイプフィンとヒートシンクとの間に配置された、
冷却装置。」

[相違点1]
本願補正発明の「冷却装置」においては「一端と他端が開口した筒状のダクト」を有するものであるのに対して、引用発明の「ヒートシンク組立体」においては、そのような「ダクト」を有するか不明な点。

[相違点2]
本願補正発明における「ファン」は「ダクトの内部に配置される」ものであり、「ダクトの内部の空気を前記開口した一端と前記開口した他端とを結ぶ送風方向に送風」するのに対して、引用発明における「ファン4」が「ダクトの内部に配置される」か不明であり、したがって、「ダクトの内部の空気を前記開口した一端と前記開口した他端とを結ぶ送風方向に送風」するかも不明な点。

[相違点3]
本願補正発明における「ヒートシンク」は、「ダクトの外部に配置」されたものであって、「ヒートシンク」の「基部」が、「ダクト」の「他端の開口に対向する対向面を有する」ものであり、「ヒートシンクフィン」が「対向面」から延出するのに対して、引用発明における「第1のヒートシンク1」が「ダクトの外部に配置される」ものか、そして、「枠体11」の底面が「ダクト」の「他端の開口に対向する対向面を有する」ものであって、「ヒートシンクフィン12」が「対向面」から延出するものか不明である点。

[相違点4]
本願補正発明における「ヒートパイプフィン」は、「前記ダクトの前記内部で、前記ファンよりも前記一端側に配置され」ているのに対して、引用発明における「ヒートシンクフィン21」は、「ダクトの内部」でファン4よりも「ダクトの一端側」に配置されているか不明な点。

[相違点5]
本願補正発明における「ファン」は、「前記ダクトの前記他端の開口から出た前記空気を前記ヒートシンクフィンの複数の薄板間に流入させ、前記空気を前記対向面に到達させることにより、前記空気を、前記ダクトの外部の前記対向面において、前記送風方向に直交し前記薄板間の溝が延びた方向の流れとし、前記空気を前記ヒートシンクの外部に送出」するのに対して、引用発明における「ファン4」から第1のヒートシンク1の複数のヒートシンクフィン12に導かれた空気流が、「ダクトの他端の開口」から出たものか不明である点。

[相違点6]
本願補正発明における「基部」は、「長手方向及び前記長手方向に直交する短手方向を有し、前記対向面における前記長手方向及び前記短手方向の長さは、前記ダクトの前記他端の前記開口における前記長手方向及び前記短手方向の長さと略同一である」のに対して、引用発明における「枠体11の底面」が、長手方向及び長手方向に直交する短手方向を有するか不明であるとともに、ダクトの他端の開口における長手方向及び前記短手方向の長さとの関係が不明である点。

[相違点7]
「熱源」が「基部に熱を伝達する」ことに関し、本願補正発明においては、「熱源」が「基部に接する」のに対して、引用発明においては、「CPU51」が「枠体11の底面と近接する」点。

以下、相違点について検討する。

[相違点1ないし6について]
相違点1ないし6は、いずれも、主に「ダクト」の有無により生じた相違点であるから、以下まとめて判断する。

引用例2技術は、「放熱フィン43に対して冷却ファン44により冷却空気を送風する冷却装置4Aにおいて、放熱フィン43と冷却ファン44をダクト45内に設けることにより、冷却空気の損失を抑制して冷却効果を高める技術。」であって、ダクトは、冷却空気の散逸を抑制して、効率よく冷却ファン44から放熱フィン43に冷却空気を供給するためのものであり、特に冷却ファン44の吸入側に位置する放熱フィン43は、冷却ファン44が吸入する空気流により効率よく冷却されるものである。
そして、引用例1におけるFig.5を参照すると、第2のヒートシンク2は、ファン4の上面に近接しており、また、第2のヒートシンク2からファン4への空気流が図示されており、技術常識からみて、ファン4が吸入引することによる空気流によって第2のヒートシンク2が冷却されると認められることから、引用発明においては、ファン4が吸入する空気流によりファン4の吸入側に位置する第2のヒートシンク2を効率よく冷却するという課題を内在している。
そうすると、引用発明のファン4による空気流がファン4の吸入側に位置する第2のヒートシンク2を効率よく冷却するために、引用例2技術を適用して、ファン4と第2のヒートシンクが内部に配置される一端と他端が開口する筒状のダクトを設けることに困難性はない。
そして、ファン4と第2のヒートシンクが内部に配置されるダクトを設けた際に、引用発明における「ファン4は、第1のヒートシンク1と第2のヒートシンク2との間に配置」される「ファン4」と「第2のヒートシンク2」との配置形態からみて、「第2のヒートシンク2」が有する「ヒートシンクフィン21」は、「ダクトの内部」でファン4よりも「ダクトの一端側」に配置されることになることのは明らかであって(相違点1及び4について)、及びその際に、引用発明において「ファン4」は「ダクトの内部に配置される」ものとなり、ダクトの内部の空気を前記開口した一端と前記開口した他端とを結ぶ送風方向に送風」するものとなることは明らかである(相違点2について)。
また、引用発明において、「ファン4からの空気流は、第1のヒートシンク1の複数のヒートシンクフィン12に導かれ、ヒートシンクフィン12の隙間13を通ることにより内部の熱を放散する」のであって、引用例1のFig.4の記載及び技術常識からみて、その構造上、ファン4による空気流の方向に枠体11の底面が存在し、ファン4による空気流は枠体11の底面によりダクトの一端から他端に向けた空気流の流れの方向と直交する方向に変わった後、外部に送出されると認められる。このことは、Fig.4の第1のヒートシンク1の左右に図示された空気流をみても理解できる。
そうすると、引用発明における「枠体11の底面」は、本願補正発明における「ヒートシンクフィン」の「対向面」であるといえる。さらに、「ヒートシンクフィン12」は、「対向面」である「枠体11の底面」から延出することになるのは明らかである。
そして、「第1のヒートシンク1」においてダクトの一端から他端に向けた空気流の流れを直交する方向に変えて外部に送出するのであるから、「第1のヒートシンク」を「ダクトの外部」に配置することに困難性はない(相違点3及び5について)。
また、引用発明における「枠体11の底面」を冷却対象である「CPU51」の形状に対応する等のために長手方向及び長手方向に直交する短手方向を有する形状とするとともに、空気流を効率よく冷却に利用するためにダクトの他端における開口の形状と合わせてほぼ同一の寸法とすることは、当業者であれば適宜なし得ることである(相違点6について)。
したがって、引用発明に引用例2技術を適用して、上記相違点1ないし6に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点7について]
引用例1のFig.4及びFig.5から、CPU51は、第1のヒートシンク1に間隔を設けることなく、ほぼ接していることが看取できる。仮に、引用発明における「CPU51」が「枠体11の底面と近接する」ものであって接するものではないとしても、「CPU51」から「第1のヒートシンク1」までの熱伝達をより良好なものとする等の一般的な課題の下で、「CPU51」を「枠体11の底面」に接するようにすることに困難性は認められない。

そして、本願補正発明は、引用発明及び引用例2技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用例2技術に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
以上のとおり、本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、[補正却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2 1(2)に記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1ないし6に係る発明は、本願の出願前に日本国内において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

・請求項1ないし6に対し、引用例1及び2

<引用例一覧>
1.米国特許出願公開第2004/0165350号明細書
2.特開2013-25212号公報

3 引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1及び引用例2の記載事項は、前記第2 2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2 2で検討した本願補正発明における「ダクトの外部に配置されたヒートシンクであって」を「ダクトの外部であって」とし、「ファン」についての「前記ダクトの前記他端の開口から出た前記空気を前記ヒートシンクフィンの複数の薄板間に流入させ、前記空気を前記対向面に到達させることにより、前記空気を、前記ダクトの外部の前記対向面において、前記送風方向に直交し前記薄板間の溝が延びた方向の流れとし、前記空気を前記ヒートシンクの外部に送出」することの限定を省き、さらに、「基部」についての「長手方向及び前記長手方向に直交する短手方向を有し、前記対向面における前記長手方向及び前記短手方向の長さは、前記ダクトの前記他端の前記開口における前記長手方向及び前記短手方向の長さと略同一である」ことの限定を省いたものである。
そうすると、実質的に本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2 3に記載したとおり、引用発明及び引用例2技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用例2技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-08-27 
結審通知日 2021-08-31 
審決日 2021-09-16 
出願番号 特願2016-59754(P2016-59754)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F28D)
P 1 8・ 121- Z (F28D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久島 弘太郎  
特許庁審判長 林 茂樹
特許庁審判官 槙原 進
松下 聡
発明の名称 冷却装置及び投影表示装置  
代理人 家入 健  
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