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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1379620
審判番号 不服2020-3297  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-10 
確定日 2021-11-11 
事件の表示 特願2017-187713号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 4月18日出願公開、特開2019-58594号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成29年9月28日の出願であって、令和1年5月15日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月17日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年12月9日付け(送達日同年同月17日)で拒絶査定がなされ、それに対して、令和2年3月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、令和3年1月19日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月15日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月13日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年7月9日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和3年7月9日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 補正の内容

本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲、すなわち令和3年3月15日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項2の記載を、以下のとおり、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1のものに補正するものである(下線は補正箇所を示す。なお、本件補正後のAないしGの符号は合議体が付与したものである。)。

本件補正前
「【請求項2】
左右側の一方を回動軸とし他方を開放側として支持部に開閉可能に支持される前面開閉部と、
カラーコードによって定格を表示する受動素子と、所定の一辺近傍にハーネスが接続される所定のコネクタと、前記所定の一辺に対向する特定の一辺近傍に所定の検査の用に供するための検査用コネクタと、を部品実装面に実装する矩形状の基板と、
前記前面開閉部の開状態において前記部品実装面を視認可能にして前記基板を収容する収容ケースと、
を含み、
前記収容ケースは、
前記収容ケースが開封された場合に破断して開封されたことを示す封止シールで当該収容ケースを封止する封止部と、前記検査用コネクタに対応する第1開口部と、前記所定のコネクタに対応する第2開口部とを設け、
前記基板は、
前記受動素子を、前記所定の一辺と直交する向きで実装するとともに、前記カラーコードの第1色帯が前記所定の一辺と反対側であって前記特定の一辺側となるように前記部品実装面に沿って実装する、
遊技機。」

本件補正後
「【請求項1】
A 左右側の一方を回動軸とし他方を開放側として支持部に開閉可能に支持される前面開閉部と、
B カラーコードによって定格を表示する受動素子と、所定の一辺近傍にハーネスが接続される所定のコネクタと、前記所定の一辺に対向する特定の一辺近傍に所定の検査の用に供するための検査用コネクタと、を部品実装面に実装する矩形状の基板と、
C 前記前面開閉部の開状態において前記部品実装面を視認可能にして前記基板を収容する収容ケースと、
を含み、
D 前記収容ケースは、
前記収容ケースが開封された場合に破断して開封されたことを示す封止シールで当該収容ケースを封止する封止部と、前記検査用コネクタに対応する第1開口部と、前記所定のコネクタに対応する第2開口部とを設け、
E 前記基板は、
前記受動素子を、前記所定の一辺と直交する向きで実装するとともに、前記カラーコードの第1色帯が前記所定の一辺と反対側であって前記特定の一辺側となるように前記部品実装面に沿って実装し、
F 前記所定の一辺と直交する向きで実装された前記受動素子の前記カラーコードの第1色帯は、前記所定のコネクタ側ではなく、前記検査用コネクタ側に位置する、
G 遊技機。」
(以下、本件補正後の請求項1に記載された事項によって特定される発明を、「本願補正発明」という。)

2 補正の適否

(1) 補正事項
本件補正は、以下の補正事項を含むものである。

ア 補正事項ア
本件補正前の請求項1を削除する。

イ 補正事項イ
本件補正前の請求項2の「前記基板は、前記受動素子を、前記所定の一辺と直交する向きで実装するとともに、前記カラーコードの第1色帯が前記所定の一辺と反対側であって前記特定の一辺側となるように前記部品実装面に沿って実装する、」の記載を、「前記基板は、前記受動素子を、前記所定の一辺と直交する向きで実装するとともに、前記カラーコードの第1色帯が前記所定の一辺と反対側であって前記特定の一辺側となるように前記部品実装面に沿って実装し、前記所定の一辺と直交する向きで実装された前記受動素子の前記カラーコードの第1色帯は、前記所定のコネクタ側ではなく、前記検査用コネクタ側に位置する、」と補正する。

(2) 新規事項追加の有無
補正事項アは、本件補正前の請求項1を削除するものであるから、新規事項追加の有無についての検討を要しない。
また、補正事項イは、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本願明細書等」という。)における【0457】ないし【0465】、図52及び図53等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

(3) 本件補正の目的

ア 補正事項ア
補正事項アは、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものである。

イ 補正事項イ
補正事項イは、本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「基板」に関して、「前記所定の一辺と直交する向きで実装された前記受動素子の前記カラーコードの第1色帯は、前記所定のコネクタ側ではなく、前記検査用コネクタ側に位置する、」との限定を付加するものである。
また、本件補正前の請求項2に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明を対比すると、両者は産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であると認められる。
したがって、補正事項イは、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 独立特許要件

本件補正は、上記2(3)イに示したように、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(同法同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下、検討する。

(1) 本願補正発明
本願補正発明は、上記1の「本件補正後」の【請求項1】に記載したとおりのものである。

(2) 引用文献

ア 引用文献1

(ア) 記載事項
当審の令和3年5月13日付けの拒絶理由に引用され、本願の出願前に公開された特開2001-185823号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下、同様。)。

引1-ア
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、基板に取付けられる実装部品の端子の数は非常に多く、それに加えて、それらの端子は同一形状で小さいため、1番目から順に端子を数えていくと端子の数え間違いがあったりして、検査に手間がかかるという問題があった。そして、このように各端子の入出力信号を検査する機会は多く、その度に所定の端子を見つけだすために1番目の端子から順に数えなくてはいけないという問題があった。
【0005】本発明は上記した問題を解決するためになされたものであり、その目的は、特定の端子を検査する際に、1番目から端子の数を数える必要がなく、迅速に検査を行うことができる基板を提供することにある。」

引1-イ
「【0011】本実施形態のパチンコ遊技機は、図1に示すように、機体の外郭をなす外枠11の開口前面側に、前枠12が開閉及び着脱可能に取付けられ、前枠12の裏側には、各種の球経路及び処理部を備えた機構セット盤13が着脱可能にセットされている。機構セット盤13の略中央部には前記前枠12にセット保持された遊技盤14の大きさと対応する窓口13aが形成され、前記遊技盤14の裏面には該遊技盤14の表面に設けられた映像表示部(図示しない)の映像内容を制御する映像表示基板15等が取付けられている。
【0012】前記機構セット盤13の裏面側において、前記窓口13aの下方、即ち、機構セット盤13の下部外側には、ゲーム内容を制御する主制御基板20を備える主制御装置21及びセーフ球検出処理と貯留球排出処理(賞球払出しと貸し球)を制御する払出し制御基板22を備える払出し制御装置23が並設されている。そして、主制御装置21よりも下方位置には機表側の打球発射装置の作動状態を制御する発射制御基板を備える発射制御装置24と、スピーカから発せられる効果音を制御する音制御基板を備える音制御装置25が設けられている。
【0013】次に、前記主制御基板20について詳しく説明する。図2に略示すように、主制御基板20における基板本体29には実装部品としての複数の集積回路(以下、「IC」という。)30が装着されると共に、同じく実装部品としてのコンデンサ31、抵抗器32、コネクタ33?36等が装着されている。各IC30、コンデンサ31、抵抗器32、コネクタ33?36等の装着位置における基板本体29上には装着時における各IC30等の取付方向を外部から認識可能とするための輪郭線37が印刷されており、各輪郭線37の近傍には当該輪郭線37内に装着される各IC30等の種別を認識可能とするための位置表示用文字(例えば、抵抗器32であれば、「R1」等)38が印刷されている。」

引1-ウ
「【0016】図2に示すように、前記基板本体29の上部には他の制御基板22や制御装置24,25等と電気的に接続するための複数のコネクタ(本実施形態では4個)33?36が装着されている。第1?第4コネクタ33?36は略長矩形状に形成されており、基板本体29には各コネクタ33?36の形状に沿って輪郭線37が印刷されている。即ち、前記輪郭線37は略長矩形状に記載されている。図4に示すように、前記各輪郭線37の内部にはスルーホール群41をなす複数のスルーホール41aが貫設されている。各コネクタ33?36にはそれぞれ複数の端子33a?36aが備えられており、同端子33a?36aは前記スルーホール41aに挿入され基板本体29の裏面でハンダにより固定されている。また、前記輪郭線37の近傍には各コネクタ33?36の装着位置を認識可能とするための「CN1」や「CN4」等の位置表示用文字38がそれぞれ印刷されている。」

引1-エ
「【図1】



引1-オ
「【図2】



(イ)認定事項

a 認定事項ア
上記図1より、パチンコ遊技機の背面において、左下部に主制御装置21が設けられている点が見て取れ、前記主制御装置21は、【0012】の記載より、上記図2に示す主制御基板20を備えるものである点が記載されている。

b 認定事項イ
上記図1より、主制御装置21は、内部に主制御基板20を収容するケースを有するものであることが見て取れる。また、【0013】には「基板本体29には」「装着時における各IC30等の取付方向を外部から認識可能とするための輪郭線37が印刷されている」と記載されていることから、「装着時における各IC30等の取付方向」は「外部から認識可能」であり、主制御基板20を収容するケースは、前枠12が開放された状態において、前記ケースを通して主制御基板20を視認可能とされたものであると認められる。

c 認定事項ウ
上記図2を参照すると、主制御基板20の基板本体29は矩形状である点及び抵抗器32が複数実装される点が見て取れ、また、上記【0016】には「前記基板本体29の上部には」「複数のコネクタ」「33?36が装着されている。」との記載があり、上記図2のを参照すると、基板本体29の上辺の近傍に複数のコネクタ33?36が設けられ、複数の抵抗器32が、複数のコネクタ33?36が設けられた辺に対して長手方向が直交する向きとなるように設けられる点が見て取れる。

(ウ)引用発明
上記(ア)における摘記事項、及び、(イ)における認定事項を総合すると、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。aないしgの符号は合議体により付与したものである。

「a 外枠11の開口前面側に前枠12が開閉可能に取付けられ、前枠12の裏側には機構セット盤13がセットされ(【0011】)、機構セット盤13の下部外側にはゲーム内容を制御する主制御基板20を備える主制御装置21が設けられ(【0012】、認定事項ア)、
b 主制御基板20の基板本体29は矩形状であり(認定事項ウ)、基板本体29には実装部品としての複数のIC30が装着されると共に、同じく実装部品としてのコンデンサ31、複数の抵抗器32、複数のコネクタ33?36等が装着され、各IC30、コンデンサ31、複数の抵抗器32、複数のコネクタ33?36等の装着位置における基板本体29上には装着時における各IC30等の取付方向を外部から認識可能とするための輪郭線37が印刷されており、各輪郭線37の近傍には当該輪郭線37内に装着される各IC30等の種別を認識可能とするための位置表示用文字(例えば、抵抗器32であれば、「R1」等)38が印刷され(【0013】、【0016】、認定事項ウ)、複数のコネクタ33?36は前記基板本体29の上辺の近傍に設けられ(【0016】、認定事項ウ)、
c 主制御装置21は、内部に主制御基板20を収容するケースを有し、前記ケースは、前枠12が開放された状態において、前記ケースを通して主制御基板20を視認可能とされたものであり(認定事項イ)、
e 基板本体29には、複数の抵抗器32が、複数のコネクタ33?36が設けられた辺に対して長手方向が直交する向きとなるように設けられる(認定事項ウ)
g パチンコ遊技機(【0011】)。」

イ 引用文献2

(ア) 引用文献2に記載された事項

当審の令和3年5月13日付けの拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「CRフィーバー海猿S MAINTENANCE MANUAL メンテナンスマニュアル」,株式会社 SANKYO,2014年2月 第1版発行」(以下、「引用文献2」という。)の23頁に掲載された「満タンエラー」の欄の右側中央には、以下の写真が提示されている(矢印は合議体により付与したものである。)。

そして、上記の写真を拡大した写真を以下に示す。

上記の各写真より、引用文献2には、「ハーネスが接続されるコネクタと複数の抵抗器が配設される基板において、抵抗器のカラーコードの第1帯色が、ハーネスが接続されるコネクタと反対側となるように複数の抵抗器を配設する構成が記載されていると認められ、また、上記の各写真より、基板が透明なケースに収納され、該ケースを通して基板の部品実装面が目視可能とされたことが見て取れることから、引用文献2には、ハーネスが接続されるコネクタと複数の抵抗器が配設される基板において、抵抗器のカラーコードの第1帯色が、ハーネスが接続されるコネクタと反対側となるように複数の抵抗器を配設する構成も記載されていると認められる。
よって、引用文献2には、「ハーネスが接続されるコネクタと複数の抵抗器が配設される基板を有し、前記基板を透明なケースに収納し、該ケースを通して基板の部品実装面が視認可能とされ、前記基板に、抵抗器のカラーコードの第1帯色が、ハーネスが接続されるコネクタと反対側となるように複数の抵抗器を配設する遊技機。」(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

ア 本願補正発明の構成Aに関して
引用発明の構成aにおける「外枠11の開口前面側に」「開閉可能に取付けられ」た「前枠12」は、本願補正発明の構成Aにおける「左右側の一方を回動軸とし他方を開放側として支持部に開閉可能に支持される前面開閉部」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Aに相当する構成を有する。

イ 本願補正発明の構成Bに関して
(ア)電気回路の技術分野において、抵抗器がカラーコードによって定格が表示されるものであることは技術常識であるから、引用発明の構成bにおける抵抗器32は、本願補正発明の構成Bにおける「カラーコードによって定格を表示する受動素子」に相当する。
(イ)電気回路の技術分野において、コネクタがハーネスを接続するためのものであることは技術常識であるから、引用発明の構成bにおける「複数のコネクタ33?36」は、本願補正発明の構成Bにおける「ハーネスが接続される所定のコネクタ」に相当する。
(ウ)引用発明の構成bにおける「矩形状であ」る「主制御基板20の基板本体29」は、本願補正発明の構成Bにおける「矩形状の基板」に相当し、引用発明の構成bにおける「矩形状であ」る「基板本体29の上辺の近傍」は、本願補正発明の構成Bにおける「矩形状の基板」の「所定の一辺近傍」に相当する。
(エ)引用発明の構成bにおける「基板本体29」「に設け」ることは、本願補正発明の構成Bにおける「基板」の「部品実装面に実装する」ことに相当する。
(オ)引用発明には、「主制御基板20の基板本体29」に、所定の検査の用に供するためのコネクタを設ける点については特定されていない。
(カ)よって、引用発明の構成bにおける「矩形状であ」る「主制御基板20の基板本体29」であって「抵抗器32、複数のコネクタ33?36が装着され」「、複数のコネクタ33?36は」「上辺の近傍に設けられ」る「基板本体29」と、本願補正発明の構成Bにおける「カラーコードによって定格を表示する受動素子と、所定の一辺近傍にハーネスが接続される所定のコネクタと、前記所定の一辺に対向する特定の一辺近傍に所定の検査の用に供するための検査用コネクタと、を部品実装面に実装する矩形状の基板」とは、「カラーコードによって定格を表示する受動素子と、所定の一辺近傍にハーネスが接続される所定のコネクタと、」「を部品実装面に実装する矩形状の基板」である点で一致する。

ウ 本願補正発明の構成C、Dに関して
引用発明の構成cにおける「内部に主制御基板20を収容」し、「前枠12が開放された状態において」「主制御基板20を視認可能とされた」「ケース」は、本願補正発明の構成Cにおける「前面開閉部の開状態において前記部品実装面を視認可能にして前記基板を収容する収容ケース」に相当する。
一方、引用発明は、構成cにおいて特定されるように、「内部に主制御基板20を収容するケースを有」するが、当該「ケース」が封止部を備えるか否か、及び、当該「ケース」にコネクタに対応する開口部が設けられたか否かは不明である。
よって、引用発明の構成cにおける「主制御装置21は、内部に主制御基板20を収容するケースを有し、前記ケースは、前枠12が開放された状態において、前記ケースを通して主制御基板20を視認可能とされたものであ」ることと、本願補正発明の構成C及びDにおける「前記前面開閉部の開状態において前記部品実装面を視認可能にして前記基板を収容する収容ケースと、を含み、前記収容ケースは、前記収容ケースが開封された場合に破断して開封されたことを示す封止シールで当該収容ケースを封止する封止部と、前記検査用コネクタに対応する第1開口部と、前記所定のコネクタに対応する第2開口部とを設け」ることとは、「前記前面開閉部の開状態において前記部品実装面を視認可能にして前記基板を収容する収容ケース」「を含」む点で一致する。

エ 本願補正発明の構成E、Fに関して
引用発明の構成eにおける「複数のコネクタ33?36が設けられた辺に対して長手方向が直交する向き」は、本願補正発明の構成Eにおける「所定の一辺と直交する向き」に相当する。
よって、引用発明の構成eにおける「基板本体29には、複数の抵抗器32が、複数のコネクタ33?36が設けられた辺に対して長手方向が直交する向きとなるように設けられる」ことと、本願補正発明の構成E及びFにおける「前記基板は、前記受動素子を、前記所定の一辺と直交する向きで実装するとともに、前記カラーコードの第1色帯が前記所定の一辺と反対側であって前記特定の一辺側となるように前記部品実装面に沿って実装し、前記所定の一辺と直交する向きで実装された前記受動素子の前記カラーコードの第1色帯は、前記所定のコネクタ側ではなく、前記検査用コネクタ側に位置する」こととは、「前記基板は、前記受動素子を、前記所定の一辺と直交する向きで実装する」点で一致する。

オ 本願補正発明の構成Gに関して
引用発明の構成gにおける「パチンコ遊技機」は、本願補正発明の構成Gにおける「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Gに相当する構成を有する。

以上のことから、本願補正発明と引用発明は、以下の点で一致する。

<一致点>
「A 左右側の一方を回動軸とし他方を開放側として支持部に開閉可能に支持される前面開閉部と、
B’カラーコードによって定格を表示する受動素子と、所定の一辺近傍にハーネスが接続される所定のコネクタと、を部品実装面に実装する矩形状の基板と、
C 前記前面開閉部の開状態において前記部品実装面を視認可能にして前記基板を収容する収容ケースと、
を含み、
E’前記基板は、
前記受動素子を、前記所定の一辺と直交する向きで実装する、
G 遊技機。」

そして、両者は、以下の点で相違する。

<相違点1> (構成Bに関して)
基板に実装されるコネクタに関して、本願補正発明は、「所定の一辺に対向する特定の一辺近傍に所定の検査の用に供するための検査用コネクタ」が「実装」されるものであるのに対して、引用発明は、検査用コネクタが設けられていない点。

<相違点2> (構成Dに関して)
基板を収容する収容ケースに関して、本願補正発明は、「収容ケースは、」「検査用コネクタに対応する第1開口部と、」「所定のコネクタに対応する第2開口部とを設け」るものであるのに対して、引用発明は、ケースにコネクタに対応する開口部が設けられているか否かが不明である点。

<相違点3> (構成Dに関して)
収容ケースに関して、本願補正発明は、「収容ケースが開封された場合に破断して開封されたことを示す封止シールで当該収容ケースを封止する封止部」が「設け」られるのに対して、引用発明は、そのような封止部の存在が特定されていない点。

<相違点4> (構成E、Fに関して)
受動素子を所定の一辺と直交する向きで実装するにあたって、本願補正発明は、「受動素子を、」「カラーコードの第1色帯が」「所定の一辺と反対側であって」「特定の一辺側となるように」「部品実装面に沿って実装し、前記所定の一辺と直交する向きで実装された前記受動素子の前記カラーコードの第1色帯は、」「所定のコネクタ側ではなく、」「検査用コネクタ側に位置する」のに対して、引用発明は、抵抗器32のカラーコードの第1色帯が、実装時にどちら側となるのか不明である点。

(4)検討
上記各相違点について検討する。

ア 相違点1について
当審の令和3年5月13日付けの拒絶理由に本願出願前周知の事項を示す文献として引用され、本願の出願前に公開された特開2012-5683号公報(以下、「周知文献1」という。)には、以下の記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、ケースカバーをケース本体に回転して嵌め込んでいるだけになり、両ケースの隙間に異物を挿入される可能性があり、基板収納ケースのケースカバーを無理やり開放して主制御基板を改変することで遊技性(例えば大当たりの確率)を変える不正が行なわれるおそれがある。
かかる不正行為を防止するため、一旦封止された基板収納ケースが容易に開放できないこと、不正開放を迅速に発見できるようにするため、基板収納ケースが開放放された場合には、当該基板収納ケースに何らかの開封の痕跡が残る構成が望まれる。
【0008】
本発明の目的は、上記実情に鑑みてなされたものであり、基板収納ケースの開放が容易に行ない難く、しかも組み付けの作業性がよい遊技機用基板収納ケース及びそれを備えることで不正防止効果を高めた遊技機を提供することにある。」
「【0028】
図4において、主制御基板25にはパチンコ機の動作を制御するCPUや各種制御プログラムを記憶したROM,入力データを一時記憶したりCPUのワークエリアとして使用されたりするRAM、各種配線接続用のコネクタ端子台29などの電気部品が片面に実装されている。また、パチンコ機1の検査に用いられる照合端子30も設けられている。」
「【図3】


「【図4】


そして、上記図3及び図4より、主制御基板25が矩形状であり、各種配線接続用のコネクタ端子台29が実装される上側の一辺に対して、下側の一辺近傍にパチンコ機1の検査に用いられる照合端子30が実装されることが見て取れる。
よって、上記の記載より、周知文献1には、矩形状の主制御基板25において、各種配線接続用のコネクタ端子台29が実装される上側の一辺に対して、下側の一辺近傍にパチンコ機1の検査に用いられる照合端子30が実装される構成が記載されていると認められる。

また、同特開2002-315940号公報(以下、「周知文献2」という。)には、以下の記載がある。
「【0017】(制御基板)前記制御基板20は、図5に示すように、パチンコ遊技機Pの遊技内容に関するプログラムを記憶させたROMやRAM等からなる記憶部、演算部および制御部等から構成されたCPU31が、該基板20表側の下縁右側に実装される一方、トランジスタ、IC、抵抗等の回路を構成する各種電子部品32が該基板20の表側中央に実装されている。そして制御基板20の上縁部位には、パチンコ遊技機Pを構成する各種電気部品との電気的な接続を図るための複数個のメス型コネクタ形態のコネクタ受部33が、左右横並び状に複数個配設されている。また制御基板20の下縁左側に、後述する不正確認用の照合装置におけるオス型コネクタ形態のコネクタ(接続部)80(図4)を、着脱可能に差込接続し得るようになっているメス型コネクタ形態のコネクタ受部(照合装置接続受部)34が配設されている。このコネクタ受部34は、図から明らかなようにCPUの近傍に配設されており、これによって該コネクタ受部34に照合装置のコネクタ80を接続した場合に、ノイズによる誤作動を防止することが可能となっている。更に制御基板20の四隅近傍には、ベース部材26に設けた前記ボス28の嵌入を許容する位置決め孔35が対応的に穿設されている。なお、制御基板20に関する回路構成や各種電気部品に対する制御態様等は、本願の要旨ではないのでその具体的な説明は省略する。」
「【図5】


また、上記の記載において、「不正確認用の照合装置」が検査用の装置であることは、当業者の技術常識である。
そして、上記図5より、制御基板20が矩形状であることが見て取れる。
よって、上記の記載より、周知文献2には、矩形状の制御基板20の上縁部位には、各種電気部品との電気的な接続を図るための複数個のメス型コネクタ形態のコネクタ受部33が、左右横並び状に複数個配設され、制御基板20の下縁左側に、検査用の装置である不正確認用の照合装置におけるコネクタ80を、差込接続し得る照合装置接続受部34が配設されている構成が記載されていると認められる。

してみると、矩形状の主制御基板において、所定のコネクタが実装される所定の一辺に対して、所定の一辺に対向する一辺近傍に所定の検査の用に供するための検査用コネクタを実装する構成は、本願出願前周知の事項(以下、「周知事項1」という。)である。

そして、本願補正発明の相違点1に係る構成において、不正防止効果を高めることを動機付けとして、所定の一辺に対向する特定の一辺近傍に所定の検査の用に供するための検査用コネクタを実装する構成は、上記したように本願出願前周知の事項であるから、引用発明において、上記周知事項1を適用することによって、矩形状の主制御基板20において、複数のコネクタ33?36が実装される上側の一辺に対して、下側の一辺近傍に所定の検査の用に供するための検査用コネクタを実装し本願補正発明の相違点1に係る構成を成すことは、当業者が容易に想到し得ることである。

イ 相違点2について
上記アに示した周知文献1の【0029】には、以下の記載がある。
「【0029】
図4において、四方を側部31a?31dに囲まれた開口部を有する筐体状の蓋ケース31は、主制御基板25の実装面を覆うように組み付けられる。具体的には、図3(a)に示すように蓋ケース31には、コネクタ端子台29を挿通する挿通孔31eや照合端子30を挿通する挿通孔31fが設けられている。図4に示す主制御基板25に設けられたビス孔25aと蓋ケース31に設けられたビス孔(図示せず)を重ね合わせ、かつコネクタ端子台29を挿通孔31eに挿通させ、照合端子30を挿通孔31fに挿通させた状態でビス33によりビス止めして蓋ケース31に主制御基板25が一体に固定される。」
そして、上記アおいて、【0028】、図3及び図4の記載より認定した、主制御基板25が矩形状であり、各種配線接続用のコネクタ端子台29が実装される上側の一辺に対して、下側の一辺近傍にパチンコ機1の検査に用いられる照合端子30が実装されることに加えて、【0029】及び図3の記載より、基板収納ケース28を形成する蓋ケース31の上辺には、コネクタ端子台29を挿通する挿通孔31eが設けられ、蓋ケース31の下辺には照合端子30を挿通する挿通孔31fが設けられている点が認定できる。
したがって、周知文献1には、矩形状の主制御基板25を収容する基板収納ケース28を形成する蓋ケース31の上辺には、コネクタ端子台29を挿通する挿通孔31eが設けられ、蓋ケース31の下辺には照合端子30を挿通する挿通孔31fが設けられている点が記載されていると認められる。

また、同特開2010-193996号公報(以下、「周知文献3」という。)には、以下の記載がある。
「【0030】
カバーケース13の上端部分と下端部分には、夫々、主制御基板7に実装された複数の基板側コネクタ28a?28fを露出させるための複数の開口部31a?31fが形成されている。本体板部の表面(前面)の左端部には、リセットピンカバー32が回動可能に枢支されている。」
「【図3】


そして、図3を参照すると、主制御基板7が矩形状であることが見て取れる。
したがって、上記の記載より、周知文献3には、カバーケース13の上端部分と下端部分には、夫々、矩形状の主制御基板7に実装された複数の基板側コネクタ28a?28fを露出させるための複数の開口部31a?31fが形成された構成が記載されていると認められる。

してみると、矩形状の基板を収容する収容ケースに関して、基板の所定の一辺近傍に実装されたコネクタに対応する開口部と、前記所定の一辺に対向する特定の一辺近傍に実装されたコネクタに対応する開口部を形成することは、本願出願前周知の事項(以下、「周知事項2」という。)である。

そして、引用発明において、主制御基板20を収容するケースに、主制御基板20の基板本体29に装着された複数のコネクタ33?36に対応する開口部を設けることは、上記周知事項2を適用することにより、当業者が容易に想到し得ることである。
ここにおいて、上記「ア 相違点1について」において検討したように、主制御基板に検査用コネクタを設けることは、本願出願前周知の事項であり、引用発明においても、基板本体29に複数のコネクタ33?36に加えて、検査用コネクタが設けられるのであれば、そのコネクタに対応するケースの開口部は検査用コネクタに対応する開口部となると認められる。
してみると、本願補正発明の相違点2に係る構成は、引用発明に、本願出願前周知の事項を適用することによって、当業者が容易に想到し得るものである。

ウ 相違点3について
当審の令和3年5月13日付けの拒絶理由に本願出願前周知の事項を示す文献として引用され、本願の出願前に公開された特開平10-118289号公報(以下、「周知文献4」という。)には、以下の記載がある。
「【請求項1】 回路基板を被覆状態にて収納する遊技機の基板収納ボックスにおいて、前記基板収納ボックスに貼着されて前記回路基板の被覆状態を担保する封印部材を備え、該封印部材には、所定の抵抗値を有すると共にその抵抗値の測定を可能にした導電層を設けたことを特徴とする遊技機の基板収納ボックス。」
「【0002】
【従来の技術】従来、パチンコ遊技機やスロットマシンには、多くの回路基板が設けられている。特に、遊技動作を制御する遊技制御回路基板には、マイクロコンピュータを構成するMPU、ROM、RAM等の電子素子が多数実装されている。そして、遊技動作を制御するプログラムが格納されるROMを交換することにより、多くの場合、異なる遊技内容を実現することが可能である。しかし、このようなROM交換は、当初の認められた遊技内容と異なるため、許可されておらず、これを防止するために、回路基板を収納する基板収納ボックスに封印シールを貼付した技術が提案されている。また、このような封印シールには、不正行為を行ったか否かを容易に見極めるために、剥離状態で剥離痕跡をボックスに残すものが提案されている(以下、これを先行技術という)。」
「【0017】次に、各種制御用の回路基板を収納してなる基板ボックスの構成について回路基板ボックス50を例に挙げて説明する。回路基板ボックス50は、図3に示すように、前記遊技制御回路基板49と、該遊技制御回路基板49の下面に配される透明板70と、該透明板70と回路基板49とを一体的に収納支持する箱体80と、該箱体80の上面開口を閉塞する蓋体90と、該蓋体90と箱体80との当接面を封印する封印シール100と、を備え、これらの組付体が取付台110を介して前記機構板40に取り付けられることで構成されている。」
「【図3】



上記記載より、周知文献4には、基板収納ボックスにおいて、前記基板収納ボックスに貼着されて前記回路基板の被覆状態を担保する封印部材を備えた構成が記載されていると認められる。

また、同特開平11-57171号公報(以下、「周知文献5」という。)には、以下の記載がある。

「【0020】基板収納ボックス80は、図3に示すように、前記遊技制御回路基板87を内部に収納する蓋体82及び取付基体81の組付体からなり、この組付体が取付台110を介して前記機構板50に取り付けられて構成される。・・・。」
「【0024】ところで、蓋体82の取付基体81への取付構造は、蓋体82の両側辺及び下辺の外側に適宜間隔を置いて直角状に折り曲げ形成される係止片101と該係止片101とで取付基体81の上辺部を挟持するように蓋体82の内面外周に沿って適宜間隔を置いて突設される案内リブ100とによって取り付けられるものである。場合によっては、案内リブ100の外側面に接着剤等を塗布した後に案内リブ100と係止片101とで取付基体81の上辺を挟持させることにより、その後、蓋体82を取り外すことが困難となるようにしてもよい。接着剤を使用する場合であっても使用しない場合であっても、蓋体82を取付基体81に取り付けた状態では、蓋体82と取付基体81との間に差し渡される封印シール102を貼付することが望ましい。・・・。・・・不正行為に伴うシールの貼り替えを防止するようになっている。・・・。」
「【図3】



上記記載より、周知文献5には、遊技制御回路基板87を内部に収納する蓋体82及び取付基体81の組付体からなる基板収納ボックス80において、蓋体82を取付基体81に取り付けた状態では、蓋体82と取付基体81との間に差し渡される封印シール102を貼付する構成が記載されていると認められる。

してみると、遊技機の制御基板の収容ケースにおいて、不正防止のために封止シールで当該収容ケースを封止する封止部が設けられることは、本願出願前周知の事項(以下、「周知事項3」という。)である。そして封止シールが、開封に伴い破断されるものであることは、封止シールを設ける目的を勘案すれば当業者にとって明らかである。

したがって、引用発明のケースにおいて、不正防止のために上記周知事項3を適用し、基板ケース11が開封された場合に破断して開封されたことを示す封止シールで基板ケース11を封止する封止部を設けることにより、本願補正発明の相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

エ 相違点4について
引用文献2には、上記3(2)イに示した引用文献2記載事項が記載されていると認められ、本願補正発明の上記相違点4に係る構成と引用文献2記載事項とを対比すると、引用文献2記載事項における「抵抗器のカラーコードの第1帯色が、ハーネスが接続されるコネクタと反対側となるように複数の抵抗器を配設する」ことは、本願補正発明の上記相違点4に係る構成の「受動素子を、」「カラーコードの第1色帯が、」「所定の一辺と反対側であって」「特定の一辺側となるように」「部品実装面に沿って実装し、前記所定の一辺と直交する向きで実装された前記受動素子の前記カラーコードの第1色帯は、」「所定のコネクタ側ではな」い側とすることに相当する。
また、引用文献2記載事項は、「基板を透明なケースに収納し、該ケースを通して基板を視認可能とする」ものであるから、基板を視認可能とすることによって不正を防止する作用効果を奏することは自明である。
そして、引用文献1には、引1-アに示したように、「発明が解決しようとする課題」として「迅速に検査を行うことができる基板を提供する」ことが記載されており、引用発明は、構成bにおいて「各IC30、コンデンサ31、複数の抵抗器32、複数のコネクタ33?36等の装着位置における基板本体29上には装着時における各IC30等の取付方向を外部から認識可能とするための輪郭線37が印刷されており、各輪郭線37の近傍には当該輪郭線37内に装着される各IC30等の種別を認識可能とするための位置表示用文字(例えば、抵抗器32であれば、「R1」等)38が印刷され」るものであるから、引用発明も、各種実装部品の取付方向を認識可能とすることで、不正を防止するための検査を容易にするという自明の作用効果を奏するものであると認められる。
してみると、引用発明と引用文献2記載事項は、基板を備えた遊技機という共通の技術分野に属するものであり、不正を防止することを動機付けとして、引用発明に、引用文献2記載事項を適用することは、当業者が容易に想到し得ることである。
加えて、上記アにおいて周知事項1として示したように、「矩形状の主制御基板において、所定のコネクタが実装される所定の一辺に対して、所定の一辺に対向する一辺近傍に所定の検査の用に供するための検査用コネクタを実装する構成」は、本願出願前周知の事項であるから、引用発明に本願出願前周知の検査用コネクタが実装された基板本体を採用する際に、引用文献2記載事項を考慮して、抵抗器のカラーコードの第1帯色が、ハーネスが接続されるコネクタと反対側となるように抵抗器を配設し、実装された受動素子のカラーコードの第1色帯を、検査用コネクタ側に位置させることは、当業者が適宜なし得るものである。
さらに、引用発明において、基板本体29に受動素子である抵抗器32を実装する場合には、該抵抗器のカラーコードの第1帯色がハーネスが接続されるコネクタ側となるように実装するか、前記第1帯色が前記コネクタと反対側となるように実装するかの二択のどちらかになることは明らかである。
そして、当業者は、上記した二択のうちの一方を選択しなければならないことになるが、抵抗器のカラーコードの第1帯色が、ハーネスが接続されるコネクタと反対側となるようにした構成は、引用文献2に記載されており、その一方で、抵抗器のカラーコードの第1帯色が、前記コネクタ側となるようにしなければならない積極的な理由は見いだせないことから、上記した二択のうちの一方の選択を行うにあたって、抵抗器のカラーコードの第1帯色が、ハーネスが接続されるコネクタと反対側となるように抵抗器を配設することは、引用文献2記載事項に触れた当業者であれば、容易に想到し得るものである。

以上のことから、本願補正発明の相違点4に係る構成は、引用発明に、引用文献2記載事項、及び、本願出願前周知の事項を適用することによって、当業者が容易に想到し得るものである。

オ 本願補正発明の作用効果について
本願補正発明の作用効果は、引用発明、引用文献2記載事項、及び、本願出願前周知の事項に基づいて当業者が予測できる範囲のものであり、格別なものではない。

(5)請求人の主張への反論
請求人は、令和3年7月9日付け意見書において、
「請求項1に係る発明は、検査用コネクタの位置を頼りにしてカラーコードの第1色帯を特定できるので、受動素子の確認(カラーコードに基づいて受動素子の定格を確認し、正規の受動素子の定格であるか、また正規の受動素子の定格とは異なる定格の受動素子に不正に交換されていないか)が容易となります。すなわち、請求項1に係る発明は、遊技場における不正行為を発見するための基板の点検作業を容易化することができます。」と主張している。
そこで、請求人の上記の主張について検討すると、請求人の主張の根拠となる構成は、上記(3)に示した本願補正発明の相違点4に係る構成である「受動素子を、」「カラーコードの第1色帯が、」「所定の一辺と反対側であって」「特定の一辺側となるように」「部品実装面に沿って実装し、前記所定の一辺と直交する向きで実装された前記受動素子の前記カラーコードの第1色帯は、所定のコネクタ側ではなく、検査用コネクタ側に位置する」ことによってもたらされるものであると認められるが、上記(4)エにおいて検討したように、本願補正発明の相違点4に係る構成は、引用発明に、引用文献2記載事項、及び、本願出願前周知の事項を適用することによって当業者が容易に想到し得るものである。
そして、引用発明に、引用文献2記載事項、及び、本願出願前周知の事項を適用したものは、検査用コネクタの位置がカラーコードの第1色帯の側になり、結果として請求人が主張する作用効果と同じ効果を奏し得ると認められる。
したがって、請求人が主張する本願補正発明の作用効果は、引用発明、引用文献2記載事項、及び、本願出願前周知の事項に基づいて当業者が予測できる範囲を超えるものとは認められない。

続いて、請求人は、
「なお、引用文献8(当審注:審決中の引用文献2に相当する。)は、抵抗器のカラーコードの第1帯色が、ハーネスが接続されるコネクタと反対側となるように実装された態様を示しているとしても、引用文献8は、基板上に検査用コネクタを実装することを開示していません。すなわち、引用文献8は、抵抗器のカラーコードの第1帯色が所定のコネクタ側にないことだけを開示するにすぎません。」と主張している。
そこで、請求人の上記の主張について検討すると、基板上に検査用コネクタを実装することは、上記(4)アにおいて周知事項1として示したように、本願出願前周知の事項であり、引用発明に周知事項1を適用することは、当業者が容易になし得ることである。

さらに、請求人は、
「また、引用文献8は、基板上の抵抗器のカラーコードの第1帯色がいずれの向きにあるか、何の手掛かりもなしにして、抵抗器のカラーコードの第1帯色が単に下向きにあることを開示するにすぎません。」と主張し、
「引用文献8は、抵抗器のカラーコードの第1帯色が下側にある基板を開示しますが、引用文献6が開示するように、基板に対して抵抗器の向きを左から右、上から下のように統一したに過ぎません。引用文献8に記載の基板は、右上に下側から上側に向く基板管理番号が見て取れます。基板管理番号の表記によれば、引用文献8に記載の基板は、写真の向きが正位置ではなく、右に90度傾けた向きが正位置であり、当該正位置の基板に対して抵抗器の向きを左から右、上から下のように統一していることが確認できます。」と主張している。
そこで、請求人の上記の主張について検討すると、引用文献2は、抵抗器のカラーコードの第1帯色が下側にある基板を開示するものであるが、同時に、引用文献2記載事項として示したように、「抵抗器のカラーコードの第1帯色が、ハーネスが接続されるコネクタと反対側となる」基板を開示するものでり、「抵抗器のカラーコードの第1帯色」が上下左右の方向のうちの特定の方向となる基板の例を示したものではない。

そして、請求人は、
「なお、引用文献8は、抵抗器のカラーコードの第1帯色が遊技機において下側にあることを開示しますが、当時の当業界の技術常識として、たとえば引用文献6が開示するように、基板への部品実装工程における確認容易性に着目して抵抗器の実装向きに配慮することがあっても、遊技場に設置された遊技機の受動素子の確認容易性に着目した遊技機はなかったものと思料いたします。」
「このように、引用文献8が開示する基板は、基板実装時の部品確認容易性に配慮するものの、当該基板が遊技機においてどのような向きで取り付けられるかという観点で、抵抗器のカラーコードの第1帯色の向きを考慮していたとは認められません。
すなわち、引用文献8は、請求項1に係る発明によってもたらされる作用効果に対して予測可能にする動機付けを何ら与えるものではありません。
したがって、請求項1に係る発明によってもたらされる作用効果は、引用発明2、引用文献8記載事項、及び、本願出願前周知の事項に基づき、当業者が予測し得るものでは、ありません。」と主張している。
そこで、請求人の上記の主張について検討すると、本願補正発明は、構成Aとして、
「A 左右側の一方を回動軸とし他方を開放側として支持部に開閉可能に支持される前面開閉部と、」と特定され、
構成Bとして、
「B カラーコードによって定格を表示する受動素子と、所定の一辺近傍にハーネスが接続される所定のコネクタと、前記所定の一辺に対向する特定の一辺近傍に所定の検査の用に供するための検査用コネクタと、を部品実装面に実装する矩形状の基板と、」と特定され、
構成Cとして、
「C 前記前面開閉部の開状態において前記部品実装面を視認可能にして前記基板を収容する収容ケースと、
を含み、」と特定され、
構成E、Fとして、
「E 前記基板は、
前記受動素子を、前記所定の一辺と直交する向きで実装するとともに、前記カラーコードの第1色帯が前記所定の一辺と反対側であって前記特定の一辺側となるように前記部品実装面に沿って実装し、
「F 前記所定の一辺と直交する向きで実装された前記受動素子の前記カラーコードの第1色帯は、前記所定のコネクタ側ではなく、前記検査用コネクタ側に位置する、」と特定されている。
そして、上記の特定事項より、本願補正発明の「遊技機」が、構成Aより、左右側の一方を回動軸とし他方を開放側として支持部に開閉可能に支持される前面開閉部を含み、構成Cより、前記前面開閉部の開状態において部品実装面を視認可能にして基板を収容する収容ケースを有する点は認定できる。
しかしながら、構成B、E、Fにおいて特定された「矩形状の基板」の「所定の一辺」及び「特定の一辺」が、「前面開閉部」に対して、どの方向の一辺であるのかが何も特定されていないことから、「遊技機」に対して、「所定の一辺」及び「特定の一辺」がどの方向の一辺であるのか不明であり、ゆえに、受動素子のカラーコードの第1色帯が、遊技機に対してどの向きになるのかは、不明である。
したがって、本願補正発明は、「受動素子のカラーコードの第1色帯」が「遊技機」においてどの向きとなるのかは何も特定されていないことになり、請求人が主張する作用効果である「基板が遊技機においてどのような向きで取り付けられるかという観点で、抵抗器のカラーコードの第1帯色の向きを考慮」することによる「遊技場に設置された遊技機の受動素子の確認容易性」は、請求項1の記載によって特定された事項には基づかないものであり、本願補正発明の作用効果とは認められず、その作用効果に基づく請求人の主張は採用できない。

(6)小括
よって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2記載事項、及び、本願出願前周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび

以上のことから、本願補正発明は、引用発明、引用文献2記載事項、及び、本願出願前周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
よって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和3年7月9日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明は、同年3月15日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項2に記載されたとおりのもの(上記第2[理由]1の「本件補正前」の記載を参照)(以下「本願発明」という。)であり、分説してAないしGの符号を付与すると、以下のとおりである。

「【請求項2】
A 左右側の一方を回動軸とし他方を開放側として支持部に開閉可能に支持される前面開閉部と、
B カラーコードによって定格を表示する受動素子と、所定の一辺近傍にハーネスが接続される所定のコネクタと、前記所定の一辺に対向する特定の一辺近傍に所定の検査の用に供するための検査用コネクタと、を部品実装面に実装する矩形状の基板と、
C 前記前面開閉部の開状態において前記部品実装面を視認可能にして前記基板を収容する収容ケースと、
を含み、
D 前記収容ケースは、
前記収容ケースが開封された場合に破断して開封されたことを示す封止シールで当該収容ケースを封止する封止部と、前記検査用コネクタに対応する第1開口部と、前記所定のコネクタに対応する第2開口部とを設け、
E 前記基板は、
前記受動素子を、前記所定の一辺と直交する向きで実装するとともに、前記カラーコードの第1色帯が前記所定の一辺と反対側であって前記特定の一辺側となるように前記部品実装面に沿って実装する、
G 遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は請求項2に係る発明についての拒絶の理由を含むものであり、その概要は以下のとおりである。

本願の請求項2に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献7に記載された事項に、引用文献8に記載された事項、及び、本願出願前周知の事項を適用することによって、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献7:特開2001-185823号公報
引用文献8:「CRフィーバー海猿S MAINTENANCE MANUAL メンテナンスマニュアル」,株式会社 SANKYO,2014年2月 第1版発行,p.23
引用文献1:特開2010-193996号公報(周知技術を示す)
引用文献2:特開2012-5683号公報(周知技術を示す)
引用文献3:特開2002-315940号公報(周知技術を示す)
引用文献4:特開平10-118289号公報(周知技術を示す)
引用文献5:特開平11-57171号公報(周知技術を示す)

3 引用文献とそれに記載された事項

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献7及び引用文献8は、それぞれ、上記第2における引用文献1及び2に対応し、その記載事項は、それぞれ、上記第2[理由]3(2)ア及びイに記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記第2の[理由]3で検討した本願補正発明から、相違点5に係る構成のうち、構成Fである「前記所定の一辺と直交する向きで実装された前記受動素子の前記カラーコードの第1色帯は、前記所定のコネクタ側ではなく、前記検査用コネクタ側に位置する」との限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2の[理由]3(3)、(4)に記載したとおり、引用発明、引用文献2記載事項、及び、本願出願前周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明、引用文献2記載事項、及び、本願出願前周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-08-31 
結審通知日 2021-09-07 
審決日 2021-09-21 
出願番号 特願2017-187713(P2017-187713)
審決分類 P 1 8・ 572- WZ (A63F)
P 1 8・ 571- WZ (A63F)
P 1 8・ 575- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平井 隼人  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人扶桑国際特許事務所  
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