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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1379645
審判番号 不服2021-1056  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-26 
確定日 2021-12-06 
事件の表示 特願2018-564275「マルチリンク構成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月14日国際公開,WO2017/210907,令和元年8月29日国内公表,特表2019-524022,請求項の数(10)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2016年(平成28年)6月8日を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年 1月17日 手続補正書の提出
令和 2年 1月27日付け 拒絶理由通知書
令和 2年 4月 2日 意見書及び手続補正書の提出
令和 2年 9月18日付け 拒絶査定
令和 3年 1月26日 審判請求書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年9月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1ないし10に対して,引用文献1

<引用文献等一覧>
1 国際公開第2016/072221号

第3 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明(以下,「本願発明1」ないし「本願発明10」という。)は,令和2年4月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
マルチリンク構成方法であって、
基地局により、ユーザ機器(UE)によって送信されたアップリンク情報を受信するステップと、
前記基地局により、前記アップリンク情報に基づいて前記UEのために送信点の第1のセットおよび第2のセットを構成するステップと、
前記第2のセットに含まれる送信点と前記UEとの間に複数のリンクを確立するステップと
を含み、
前記第2のセットが、少なくとも2つの送信点を含み、前記第2のセットが、前記第1のセットのサブセットであり、前記第1のセットに含まれる送信点が、候補送信点であり、前記第2のセットに含まれる送信点が、実際にデータを前記UEに送信する送信点であり、
前記第1のセットの送信点が、測定された信号強度が第1の閾値以上である送信点であり、前記第2のセットの送信点が、測定された信号強度が第2の閾値以上である送信点であり、前記第2の閾値が、前記第1の閾値よりも大きく、
前記第2のセットに含まれる各送信点を、前記第1のセットからアクティブ化または非アクティブ化することができ、
前記第2のセットに含まれる前記送信点が前記第2の閾値を満たさなくなったときに、前記第2の閾値を満たす、前記第2のセット外かつ前記第1のセット内の送信点が、前記第2のセットに追加される、方法。
【請求項2】
前記アップリンク情報が、少なくとも1つのダウンリンク測定結果のうちの、前記第1の閾値または前記第2の閾値よりも大きいダウンリンク測定結果であり、前記少なくとも1つのダウンリンク測定結果が、少なくとも1つの送信点のダウンリンク信号を測定することによって前記UEにより取得され、
前記少なくとも1つのダウンリンク測定結果が、前記少なくとも1つの送信点の前記ダウンリンク信号の無線リソース管理(RRM)測定を行うことによって前記UEにより取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アップリンク情報が、少なくとも1つの送信点識別子であり、前記少なくとも1つの送信点識別子が、少なくとも1つの送信点のダウンリンク信号を測定することによって前記UEにより取得される少なくとも1つのダウンリンク測定結果のうちの、前記第1の閾値または前記第2の閾値よりも大きいダウンリンク測定結果に対応する送信点識別子であり、
前記アップリンク情報が、第2の予め設定された閾値よりも大きい送信点識別子を昇順または降順にソートすることによって前記UEにより取得される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のセットが、マルチRRCリンクモードにあり、前記第2のセット内の少なくとも2つの送信点が、前記UEとのRRCリンクを確立するか、または
前記第2のセットが、準静的モードにあり、前記第2のセット内の前記送信点が、準静的な方法で前記第1のセット内で変更され、
基地局により、ユーザ機器(UE)によって送信されたアップリンク情報を受信する前記ステップの前に、前記方法が、
前記基地局により、構成シグナリングを使用して前記第1の閾値または前記第2の閾値を前記UEに送信するステップ
をさらに含み、
基地局により、ユーザ機器(UE)によって送信されたアップリンク情報を受信する前記ステップが、
前記基地局により、前記UEによって送信された、前記第1の閾値または前記第2の閾値を満たす送信点のアップリンク情報を受信するステップ
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記基地局により、前記アップリンク情報に基づいて前記UEのために送信点の第1のセットおよび第2のセットを構成する前記ステップの後に、前記方法が、
前記基地局により、無線リソース制御(RRC)シグナリングを使用して前記第1のセットおよび/もしくは前記第2のセットに関する情報を前記UEに送信するステップ、ならびに/または
前記基地局により、媒体アクセス制御(MAC)シグナリングを使用して前記第2のセットのアクティブ化もしくは非アクティブ化情報を前記UEに送信するステップ
をさらに含み、
前記方法が、
前記UEにマルチリンク協調を行うように命令するために、前記基地局により、無線リソース制御(RRC)シグナリングを使用してマルチリンク構成情報を前記UEに送信するステップ
をさらに含み、
前記マルチリンク協調が、以下の協調のうちの少なくとも1つ、すなわち、電力協調、ランダムアクセス協調、および電力ヘッドルーム協調のうちの少なくとも1つを含み、
前記方法が、
前記複数のリンクのうちの非アクティブリンクがアクティブ化されたときに、前記基地局により、前にアクティブ化されたリンクの媒体アクセス制御(MAC)シグナリングを使用して、現在アクティブ化されたリンクにアップリンク送信を行わせるステップであって、前記アップリンク送信が、以下の送信のうちの少なくとも1つ、すなわち、ランダムアクセス送信、スケジューリング要求送信、サウンディング基準信号送信、およびバッファ状態報告送信のうちの少なくとも1つを含む、ステップ
をさらに含み、
前記基地局が、特に、マクロ基地局またはマスタノードであり、前記送信点が、スモールセルである、請求項1から4いずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
マルチリンク構成方法であって、
ユーザ機器(UE)により、アップリンク情報を生成するステップと、
前記UEにより、前記アップリンク情報を基地局に送信するステップであって、これにより、前記基地局が、前記アップリンク情報に基づいて前記UEのために送信点の第1のセットおよび第2のセットを構成する、ステップと、
前記第2のセットに含まれる送信点と前記UEとの間に複数のリンクを確立するステップと
を含み、
前記第2のセットが、少なくとも2つの送信点を含み、前記第2のセットが、前記第1のセットのサブセットであり、前記第1のセットに含まれる送信点が、候補送信点であり、前記第2のセットに含まれる送信点が、実際にデータを前記UEに送信する送信点であり、
前記第1のセットの送信点が、測定された信号強度が第1の閾値以上である送信点であり、前記第2のセットの送信点が、測定された信号強度が第2の閾値以上である送信点であり、前記第2の閾値が、前記第1の閾値よりも大きく、
前記第2のセットに含まれる各送信点を、前記第1のセットからアクティブ化または非アクティブ化することができ、
前記第2のセットに含まれる前記送信点が前記第2の閾値を満たさなくなったときに、前記第2の閾値を満たす、前記第2のセット外かつ前記第1のセット内の送信点が、前記第2のセットに追加される、方法。
【請求項7】
前記アップリンク情報が、前記第1の閾値または前記第2の閾値よりも大きいダウンリンク測定結果を含み、
ユーザ機器(UE)により、アップリンク情報を生成する前記ステップが、
前記UEにより、少なくとも1つの送信点のダウンリンク信号を測定して、少なくとも1つのダウンリンク測定結果を取得するステップと、
前記UEにより、前記少なくとも1つのダウンリンク測定結果から、前記第1の閾値または前記第2の閾値よりも大きいダウンリンク測定結果を決定するステップと
を含み、
前記UEにより、少なくとも1つの送信点のダウンリンク信号を測定して、少なくとも1つのダウンリンク測定結果を取得する前記ステップが、
前記UEにより、前記少なくとも1つの送信点の前記ダウンリンク信号の無線リソース管理(RRM)測定を行って、前記少なくとも1つのダウンリンク測定結果を取得するステップ
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アップリンク情報が、前記第1の閾値または前記第2の閾値よりも大きいダウンリンク測定結果に対応する送信点識別子を含み、
ユーザ機器(UE)により、アップリンク情報を生成する前記ステップが、
前記UEにより、少なくとも1つの送信点のダウンリンク信号を測定して、少なくとも1つのダウンリンク測定結果を取得するステップと、
前記UEにより、前記少なくとも1つのダウンリンク測定結果から、前記第1の閾値または前記第2の閾値よりも大きいダウンリンク測定結果に対応する前記送信点識別子を決定するステップと
を含み、
前記アップリンク情報が、前記第1の閾値または前記第2の閾値よりも大きいダウンリンク測定結果に対応する前記送信点識別子を昇順または降順にソートすることによって前記UEにより取得される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のセットが、マルチRRCリンクモードにあり、前記第2のセット内の少なくとも2つの送信点が、前記UEとのRRCリンクを確立するか、または
前記第2のセットが、準静的モードにあり、前記第2のセット内の前記送信点が、準静的な方法で前記第1のセット内で変更され、
前記UEにより、前記アップリンク情報を基地局に送信する前記ステップの前に、前記方法が、
前記UEにより、構成シグナリングを使用して前記基地局によって送信された前記第1の閾値または前記第2の閾値を受信するステップ
をさらに含み、
前記UEにより、前記アップリンク情報を基地局に送信する前記ステップが、
前記UEにより、前記第1の閾値または前記第2の閾値を満たす送信点のアップリンク情報を前記基地局に送信するステップ
を含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記UEにより、前記アップリンク情報を基地局に送信する前記ステップの後に、前記方法が、
前記UEにより、無線リソース制御(RRC)シグナリングを使用して前記基地局によって送信された、前記第1のセットおよび/もしくは前記第2のセットに関する情報を受信するステップ、ならびに/または
前記UEにより、媒体アクセス制御(MAC)シグナリングを使用して前記基地局によって前記UEに送信された、前記第2のセットのアクティブ化または非アクティブ化情報を受信するステップ
をさらに含み、
前記方法が、
マルチリンク協調を行うために、前記UEにより、無線リソース制御(RRC)シグナリングを使用して前記基地局によって送信されたマルチリンク構成情報を受信するステップ
をさらに含み、
前記マルチリンク協調が、以下の協調のうちの少なくとも1つ、すなわち、電力協調、ランダムアクセス協調、および電力ヘッドルーム協調のうちの少なくとも1つを含む、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。」

第4 引用文献,引用発明及び技術的事項
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願日前に公開された引用文献1(国際公開第2016/072221号)には,図面とともに以下の記載がある。(なお,下線は当審で付与した。)

(1)「[0026] UEは、これらの3つのセル(マクロセルMC、スモールセルSC1、SC2)に接続している。例えば、UEは、CC#1、#2で無線基地局eNB1と通信することができる。また、UEは、CC#3、#4で無線基地局eNB2と通信することができる。さらに、UEは、CC#5?#10で無線基地局eNB3と通信することができる。拡張CAにおいては、これらのCC#1?#10を集めて広帯域化する。
[0027] 無線基地局eNB1?eNB3が理想的バックホールで接続される環境下では、1つのスケジューラ(より具体的には、無線基地局eNB1が有するスケジューラ)が複数のセル(マクロセルMC、スモールセルSC1、SC2)のスケジューリングを制御することができる。この際、無線基地局eNB1が有するスケジューラは、これらのCC#1?#10にタイミングアドバンスグループ(TAG)を設定し、このTAGに応じて送信タイミングの制御を行う。」

(2)「[0036] これらのように代表CCのメジャメントを行った後、UEは、メジャメントを行った全ての代表CCにおけるメジャメント結果を無線基地局eNB1に報告することができる。また、メジャメントを行った代表CCのうち、最もメジャメント結果の特性が悪い代表CCのメジャメント結果を報告するようにしてもよい。このように最もメジャメント結果の特性が悪い代表CCのメジャメント結果を報告することにより、報告に要する上り信号のトラフィック量を低減することができる。なお、メジャメント結果は、メジャメントに関する情報を構成する。
[0037] このようなメジャメント結果の報告を受けることにより、無線基地局eNB1では、UEとの通信に利用できるCCを特定することができる。例えば、メジャメントを行った全ての代表CCにおけるメジャメント結果を受信した場合、無線基地局eNB1は、予め定めた閾値よりもメジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCCを通信に利用することができる。一方、メジャメントを行った代表CCのうち、最もメジャメント結果の特性が悪い代表CCのメジャメント結果を受信した場合において、当該代表CCのメジャメント結果が予め定めた閾値よりも良好であった場合、無線基地局eNB1は、TAGに含まれる任意のCCを通信に利用することができる。」

(3)「[0051] DCでは、各無線基地局が、1つ又は複数のセルから構成されるCGを設定する。PCellを含むCGはマスタセルグループ(MCG:Master Cell Group)と呼ばれ、MCG以外のCGはセカンダリセルグループ(SCG:Secondary Cell Group)と呼ばれる。MCG及びSCGを構成するセルの合計数は、所定値(例えば、5セル)以下となるように設定される。MCGが設定される(MCGを用いて通信する)無線基地局はマスタ基地局(MeNB:Master eNB)と呼ばれ、SCGが設定される(SCGを用いて通信する)無線基地局はセカンダリ基地局(SeNB:Secondary eNB)と呼ばれる。
[0052] 図4において、TAG#1及びTAG#2に含まれるCC#1?#4がCG#1に割り当てられ、TAG#3に含まれるCC#5?#10がCG#2に割り当てられた場合について考える。なお、ここでは、CG#1がMCGに設定され、無線基地局eNB1がマスタ基地局であるものとし、CG#2がSCGに設定され、無線基地局eNB3がセカンダリ基地局であるものとする。」

(4)「[0057] ところで、一般に、無線基地局との間でCAが適用される場合、UEは、RRCアイドル状態からRRCコネクテッド状態に移行した後にセカンダリセル(SCell)を追加していく。このため、拡張CAにてSCellの追加に時間を要すると、UEにおいてCAによるスループット向上の効果を得る前に通信が終了することが想定される。このため、RRCコネクテッド状態に移行する前、言い換えると、RRCアイドル状態において、UEでSCell候補となり得る特定の周波数(以下、「SCell候補周波数」という)に基づいてセル選択又はセル再選択のためのメジャメントを行うことは実施の形態として好ましい。」

(5)「[0060] このSCell候補周波数に対するメジャメントは、既存のRRCアイドル状態におけるメジャメント(PCellの選択(再選択)のためのメジャメント)で設定される要求(requirement)よりも緩和した要求を設定することができる。例えば、メジャメントを行うセル数や時間等の要求を緩和することができる。このようにSCellの選択(再選択)のためのメジャメントで設定される要求を緩和することにより、UEにおける動作負担の増加を抑制することができる。なお、このSCell候補周波数に対するメジャメントに関する要求は、予め規格で定めてもよいし、報知情報で通知するようにしてもよい。
[0061] また、SCellの再選択動作(例えば、再選択のためのメジャメント)で使用される閾値には、PCellの再選択動作(例えば、再選択のためのメジャメント)で使用される閾値と異なる値を設定することができる。例えば、SCellの再選択のためのメジャメントの実行要否を特定するための閾値を、PCellの再選択のためのメジャメントで使用される閾値よりも高い値に設定することができる。この場合には、PCellの再選択のためのメジャメントと比較してSCellの再選択のためのメジャメントの実行頻度を低減でき、UEにおける動作負担の増加を抑制することができる。」

引用文献1の上記記載,及び通信分野における技術常識を考慮すると,次のことがいえる。

ア 上記(2)の[0036]には「これらのように代表CCのメジャメントを行った後、UEは、メジャメントを行った全ての代表CCにおけるメジャメント結果を無線基地局eNB1に報告することができる。」こと,及び段落[0037]には「このようなメジャメント結果の報告を受けることにより、無線基地局eNB1では、UEとの通信に利用できるCCを特定することができる。」ことが記載されており,これらの記載によれば,無線基地局eNB1は,UEが報告したメジャメント結果を受けることができる。

イ 上記(1)における[0026]の「UEは、CC#1、#2で無線基地局eNB1と通信することができる。また、UEは、CC#3、#4で無線基地局eNB2と通信することができる。さらに、UEは、CC#5?#10で無線基地局eNB3と通信することができる。拡張CAにおいては、これらのCC#1?#10を集めて広帯域化する。」との記載によれば,UEは,無縁基地局eNB1とCC#1、#2で通信し,無線基地局eNB2とCC#3、#4で通信し,無線基地局eNB3とCC#5ないし#10で通信するものであり,拡張CAにおいてはCC#1ないし#10を集めて広帯域化する。

ウ 上記(2)における段落[0037]の「このようなメジャメント結果の報告を受けることにより、無線基地局eNB1では、UEとの通信に利用できるCCを特定する・・・(中略)・・・無線基地局eNB1は、予め定めた閾値よりもメジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCCを通信に利用する」との記載,及び段落[0027]の「CC#1?#10にタイミングアドバンスグループ(TAG)を設定し」との記載によれば,無線基地局eNB1は,メジャメント結果の報告を受けることにより,予め定めた閾値よりもメジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCC#1ないし#10を特定し,通信に利用する。そして,上記「ア」を考慮すれば,無線基地局eNB1は,UEが報告したメジャメント結果の報告を受けることにより,予め定めた閾値よりもメジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCC#1ないし#10を特定し,通信に利用するものといえる。

エ ここで,上記「ウ」で説示した事項における「CC#1ないし#10」は,上記「イ」で説示した事項における,UEが,無縁基地局eNB1と通信する「CC#1,#2」,無縁基地局eNB2と通信する「CC#3,#4」,無縁基地局eNB3と通信する「CC#5ないし10」を表し,拡張CAにおいては,集めて広帯域化されるものであることは明らかである。

したがって,上記「ア」ないし「エ」を総合すると,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「無線基地局eNB1において,
UEが報告したメジャメント結果を受けることにより,予め定めた閾値よりもメジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCC#1ないし#10を特定し,通信に利用する方法であって,
前記CC#1ないし#10は,UEが前記無縁基地局eNB1と通信するCC#1,#2,無縁基地局eNB2と通信するCC#3,#4,無縁基地局eNB3と通信するCC#5ないし10であって,拡張CAにおいては,集めて広帯域化されるものである,方法。」

第5 対比及び判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。

ア 引用発明は,「メジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCC#1ないし#10を特定し,通信に利用するものであり,前記CC#1ないし#10は」「拡張CAにおいては,集めて広帯域化されるものである」ことを考慮すれば,引用発明は,複数のCCを通信に利用するために特定する方法といえる。そして,CCを用いて通信する際にリンクを確立する必要があることは,通信分野における技術常識であり,またCCを特定することにより,当該CCを用いた通信のためのリンクが構成されることは自明である。してみれば,拡張CAにおいてCC#1ないし#10を用いた場合,複数のリンクを構成する,すなわちマルチリンクを構成するものといえる。よって,引用発明の「メジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCC#1ないし#10を特定し,通信に利用するものであり,前記CC#1ないし#10は」「拡張CAにおいては,集めて広帯域化される」ことは,本願発明の「マルチリンク構成方法」に含まれる。

イ 引用発明の「無線基地局eNB1」,「UE」は,それぞれ本願発明1の「基地局」,「ユーザ機器(UE)」に相当する。

ウ 引用発明における「メジャメント結果」は,UEが報告し,無線基地局eNB1が受けるものであり,またUEから基地局に対して送信される情報をアップリンク情報と呼称することが通信分野における技術常識であることを考慮すると,本願発明の「アップリンク情報」に含まれる。

エ よって,上記「イ」及び「ウ」を考慮すれば,引用発明の「無線基地局eNB1は,UEが報告したメジャメント結果を受けることができ」ることは,本願発明1の「基地局により、ユーザ機器(UE)によって送信されたアップリンク情報を受信するステップ」に含まれる。

オ 引用発明の「無線基地局eNB1」,「無縁基地局eNB2」及び「無縁基地局eNB3」が,UEと通信,すなわちデータの送信や受信をするものであるから,本願発明1の「送信点」に含まれる。

カ 引用発明における「予め定めた閾値よりもメジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCC#1ないし#10を特定」することで得られたCCは,拡張CAにおいては集めて広帯域化されることを考慮すれば,1つ以上でのCCが含まれるものといえる。そして,特定されたCCは通信に利用するものであるから,当該特定されたCCは,通信に利用するセットといえる。そして,本願発明の「第2のセットに含まれる送信点が、実際にデータを前記UEに送信する送信点」であることを考慮すれば,引用発明における「メジャメント結果の報告を受けることにより,予め定めた閾値よりもメジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCC#1ないし#10を特定」することで得られ,通信に利用するCCは,本願発明の「第2セット」に相当する。但し,引用発明の当該CCは,本願発明の「第2セット」が「第1のセットのサブセットである」点で相違する。

キ よって,上記「オ」及び「カ」を考慮すれば,引用発明において,「無線基地局eNB1」が「前記メジャメント結果の報告を受けることにより,予め定めた閾値よりもメジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCC#1ないし#10を特定」することは,当該CCを「通信に利用するものであり,前記CC#1ないし#10は,UEが前記無縁基地局eNB1と通信するCC#1,#2,無縁基地局eNB2と通信するCC#3,#4,無縁基地局eNB3と通信するCC#5ないし10であって,拡張CAにおいては,集めて広帯域化されるものである」ことを考慮すれば,本願発明の「前記基地局により、前記アップリンク情報に基づいて前記UEのために送信点の第1のセットおよび第2のセットを構成するステップ」と「前記基地局により、前記アップリンク情報に基づいて前記UEのために送信点の第2のセットを構成するステップ」である点で共通する。

ク 引用発明の「無線基地局eNB1」が「メジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCC#1ないし#10を特定し,通信に利用するものであり,前記CC#1ないし#10は」「拡張CAにおいては,集めて広帯域化されるものである」ことを考慮すれば,引用発明の「無線基地局eNB1」は,CCを複数,通信に利用するものといえる。そして,CCを用いて通信する際にリンクを確立する必要があることは,通信分野における技術常識である。してみれば,引用発明の「無線基地局eNB1」が「メジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCC#1ないし#10を特定し,通信に利用するものであり,前記CC#1ないし#10は」「拡張CAにおいては,集めて広帯域化される」ことは,本願発明の「前記第2のセットに含まれる送信点と前記UEとの間に複数のリンクを確立するステップ」に相当する。

ケ 引用発明の「メジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCC#1ないし#10を特定」することで得られたCCは,「通信に利用するもの」であるから,本願発明の「前記第2のセットに含まれる送信点が、実際にデータを前記UEに送信する送信点であ」ることに相当する。

コ 引用発明の「メジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCC#1ないし#10を特定」することで得られたCCは,「予め定めた閾値よりもメジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCC#1ないし#10」であるから,引用発明の「予め定めた閾値」は,本願発明の「第2の閾値」に相当し,引用発明の「予め定めた閾値よりもメジャメント結果が良好」であることは,本願発明の「第2の閾値以上である」といえる。そして,引用発明の「前記CC#1ないし#10は,UEが前記無縁基地局eNB1と通信するCC#1,#2,無縁基地局eNB2と通信するCC#3,#4,無縁基地局eNB3と通信するCC#5ないし10であ」るから,CCを特定することによって,無線基地局が特定されているといえる。してみれば,引用発明の「無線基地局」が「前記メジャメント結果の報告を受けることにより,予め定めた閾値よりもメジャメント結果が良好な代表CCを含むTAG内のCC#1ないし#10を特定」することで得られることは,本願発明の「前記第2のセットの送信点が、測定された信号強度が第2の閾値以上である送信点であ」ることに相当する。

したがって,上記「ア」ないし「コ」を総合すれば,本願発明1と引用発明は,以下の点で一致し,また相違する。

<一致点>
「 マルチリンク構成方法であって、
基地局により、ユーザ機器(UE)によって送信されたアップリンク情報を受信するステップと、
前記基地局により、前記アップリンク情報に基づいて前記UEのために送信点の第2のセットを構成するステップと、
前記第2のセットに含まれる送信点と前記UEとの間に複数のリンクを確立するステップと
を含む、方法。」

<相違点1>
本願発明1は「前記基地局により、前記アップリンク情報に基づいて前記UEのために送信点の第1のセットを構成する」ものであって,「前記第2のセットが、前記第1のセットのサブセットであり、前記第1のセットに含まれる送信点が、候補送信点であり、」「前記第1のセットの送信点が、測定された信号強度が第1の閾値以上である送信点であり、」「前記第2の閾値が、前記第1の閾値よりも大きく、」「前記第2のセットに含まれる各送信点を、前記第1のセットからアクティブ化または非アクティブ化することができ、」「前記第2のセットに含まれる前記送信点が前記第2の閾値を満たさなくなったときに、前記第2の閾値を満たす、前記第2のセット外かつ前記第1のセット内の送信点が、前記第2のセットに追加される、」のに対して,引用発明は当該発明特定事項について特定されていない点。

<相違点2>
本願発明1における「第2のセットが、少なくとも2つの送信点を含」むものであるのに対して,引用発明は当該発明特定事項について特定されていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討するに,上記相違点1に係る「前記基地局により、前記アップリンク情報に基づいて前記UEのために送信点の第1のセットを構成する」ものであって,「前記第2のセットが、前記第1のセットのサブセットであり、前記第1のセットに含まれる送信点が、候補送信点であり、」「前記第1のセットの送信点が、測定された信号強度が第1の閾値以上である送信点であり、」「前記第2の閾値が、前記第1の閾値よりも大きく、」「前記第2のセットに含まれる各送信点を、前記第1のセットからアクティブ化または非アクティブ化することができ、」「前記第2のセットに含まれる前記送信点が前記第2の閾値を満たさなくなったときに、前記第2の閾値を満たす、前記第2のセット外かつ前記第1のセット内の送信点が、前記第2のセットに追加される、」という発明特定事項は,引用文献1には記載も示唆もされておらず,また当該技術分野における周知技術であるともいえない。
よって,引用発明において,上記相違点1に係る「前記基地局により、前記アップリンク情報に基づいて前記UEのために送信点の第1のセットを構成する」ものであって,「前記第2のセットが、前記第1のセットのサブセットであり、前記第1のセットに含まれる送信点が、候補送信点であり、」「前記第1のセットの送信点が、測定された信号強度が第1の閾値以上である送信点であり、」「前記第2の閾値が、前記第1の閾値よりも大きく、」「前記第2のセットに含まれる各送信点を、前記第1のセットからアクティブ化または非アクティブ化することができ、」「前記第2のセットに含まれる前記送信点が前記第2の閾値を満たさなくなったときに、前記第2の閾値を満たす、前記第2のセット外かつ前記第1のセット内の送信点が、前記第2のセットに追加される、」ものとすることは,当業者といえども,容易に想到し得たとはいえない。
したがって,上記相違点2について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても,引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2ないし5について
本願発明2ないし5は,本願発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明6ないし10について
本願発明6は,「基地局」により実行される「マルチリンク構成方法」である本願発明1に対して,「ユーザ機器(UE)」により実行される「マルチリンク構成方法」であり,本願発明1における上記相違点1に対応する発明特定事項を備えるものである。そうすると,本願発明6は,本願発明1の同様の理由により,当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
また,本願発明7ないし10は,本願発明6の発明特定事項を全て備えるものであるから,本願発明6と同じ理由により,当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定について
令和2年4月2日にされた手続補正により,本願発明1ないし10は,いずれも「前記基地局により、前記アップリンク情報に基づいて前記UEのために送信点の第1のセットを構成する」ものであって,「前記第2のセットが、前記第1のセットのサブセットであり、前記第1のセットに含まれる送信点が、候補送信点であり、」「前記第1のセットの送信点が、測定された信号強度が第1の閾値以上である送信点であり、」「前記第2の閾値が、前記第1の閾値よりも大きく、」「前記第2のセットに含まれる各送信点を、前記第1のセットからアクティブ化または非アクティブ化することができ、」「前記第2のセットに含まれる前記送信点が前記第2の閾値を満たさなくなったときに、前記第2の閾値を満たす、前記第2のセット外かつ前記第1のセット内の送信点が、前記第2のセットに追加される、」という発明特定事項又はそれに対応する発明特定事項を備えるものとなっている。してみれば,上記「第5」の「1」ないし「3」で説示したとおり,当業者であっても,引用文献1に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって,原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-11-16 
出願番号 特願2018-564275(P2018-564275)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齋藤 浩兵  
特許庁審判長 國分 直樹
特許庁審判官 本郷 彰
廣川 浩
発明の名称 マルチリンク構成方法  
代理人 実広 信哉  
代理人 野村 進  
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