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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B29C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B29C
管理番号 1379732
審判番号 不服2019-10390  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-08-06 
確定日 2021-11-08 
事件の表示 特願2014- 1059「ブロー成形方法、複合プリフォーム、複合容器、内側ラベル部材およびプラスチック製部材」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月16日出願公開、特開2015-128858〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年1月7日の出願であって、平成28年12月1日に上申書が提出され、平成29年11月27日付けで拒絶理由が通知され、平成30年3月29日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月29日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年11月1日に意見書及び手続補正書が提出され、平成31年4月19日付けで平成30年11月1日付け手続補正書でした補正を却下する旨の補正の却下の決定がされるとともに拒絶査定がされ、令和1年8月6日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、令和3年1月8日付けで拒絶理由が通知され、同年2月25日に意見書及び手続補正書が提出され、同年4月26日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年6月22日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 令和3年6月22日に提出された手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年6月22日に提出された手続補正書による手続補正を却下する。

[理由]
1 令和3年6月22日に提出された手続補正書による手続補正の内容
令和3年6月22日に提出された手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正により補正される前の(すなわち、同年2月25日に提出された手続補正書により補正された)下記(1)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載を下記(2)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載へ補正するものである。なお、下線は、補正箇所を示すためのものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「複合容器を成形するためのブロー成形方法において、
プラスチック材料製の射出成形品であるプリフォームを準備する工程と、
プリフォームの外側を周方向全域にわたって取り囲むように筒状の内側ラベル部材を設けるとともに、内側ラベル部材の外側に、貼り合わせ部のない筒状の熱可塑性樹脂を含む多層構造のプラスチック製部材を設けることにより、プリフォームと、プリフォームの外側に接着されることなく密着された内側ラベル部材と、内側ラベル部材の外側に接着されることなく密着して設けられたプラスチック製部材とを有する複合プリフォームを作製する工程と、
複合プリフォームを加熱するとともにブロー成形金型内に挿入する工程と、
ブロー成形金型内で複合プリフォームに対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォームのプリフォーム、内側ラベル部材およびプラスチック製部材を一体として膨張させる工程とを備え、
内側ラベル部材は、熱収縮性をもち、
複合プリフォームを作製する工程において、内側ラベル部材を熱収縮させてプリフォームの外面に密着させることを特徴とするブロー成形方法。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「複合容器を成形するためのブロー成形方法において、
プラスチック材料製の射出成形品であるプリフォームを準備する工程と、
プリフォームの外側を周方向全域にわたって取り囲むように筒状の内側ラベル部材を設けるとともに、内側ラベル部材の外側に、貼り合わせ部のない筒状の熱可塑性樹脂を含む多層構造のプラスチック製部材を設けることにより、プリフォームと、プリフォームの外側に接着されることなく密着された内側ラベル部材と、内側ラベル部材の外側に接着されることなく密着して設けられたプラスチック製部材とを有する複合プリフォームを作製する工程と、
複合プリフォームを加熱するとともにブロー成形金型内に挿入する工程と、
ブロー成形金型内で複合プリフォームに対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォームのプリフォーム、内側ラベル部材およびプラスチック製部材を一体として膨張させる工程とを備え、
内側ラベル部材は、熱収縮性をもち、
複合プリフォームを作製する工程において、内側ラベル部材を熱収縮させてプリフォームの外面に密着させ、
プラスチック製部材は、不透明な部分と、半透明又は透明な窓部とを有することを特徴とするブロー成形方法。」

2 本件補正の適否
(1)本件補正の目的
本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についての補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項である「プラスチック製部材」をさらに限定するものであり、しかも、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)独立特許要件の検討
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて、検討する。

ア 引用文献に記載された事項等
(ア)引用文献11に記載された事項等
a 引用文献11に記載された事項
令和3年4月26日付けで通知された最後の拒絶理由(以下、「当審最後の拒絶理由」という。)において引用文献11として引用され、本願の出願前に日本国内において、頒布された刊行物である特開平5-228988号公報(以下、「引用文献11」という。)には、「多層延伸ブロー容器及びその製造方法」に関して、おおむね次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付したものである。他の文献についても同様。

・ 「【請求項1】ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性ポリエステル樹脂が、少なくとも二層、内面と外面に延伸されて存在し、前記内面と外面の間には部分的、または全面に、酸素吸収材,脱臭剤等の薬剤、装飾用の物質、エアー等を一種あるいは数種組み合わせて設けたことを特徴とする多層延伸ブロー容器。」

・「【請求項2】ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性ポリエステル樹脂を主体とするプリフォームを二種以上重ね、前記プリフォーム間に、酸素吸収剤,脱臭剤等の薬剤、装飾用の物質、エアー等を一種あるいは数種組み合わせて施し、1個の多重プリフォームとし、該多重プリフォームを延伸ブロー成形することを特徴とする延伸ブロー容器の製造方法。」

・「【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点であるガスバリア性や成形時に発生する臭気問題を防止した多層延伸ブロー容器及び/または層間に装飾物質やエアー等を設けた多層延伸ブロー容器、およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性ポリエステル樹脂が、少なくとも二層、内面と外面に延伸されて存在し、前記内面と外面の間には部分的、または全面に、酸素吸収材,脱臭剤等の薬剤、装飾用の物質、エアー等を一種あるいは数種組み合わせて設けた多層延伸ブロー容器と、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性ポリエステル樹脂を主体とするプリフォームを二種以上重ね、前記プリフォーム間に、酸素吸収剤,脱臭剤等の薬剤、装飾用の物質、エアー等を一種あるいは数種組み合わせて施し、1個の多重プリフォームとし、該多重プリフォームを延伸ブロー成形することを特徴とする延伸ブロー容器の製造方法を提供する。
【0008】図面を用いて詳細に説明する。図1は、重ね合わせる前の二種類のプリフォーム1、2の断面図を示すものである。図2は、図1のプリフォームを重ね合わせ1個の多重プリフォーム3とした断面説明図である。この時、二つのプリフォームの間に、酸素吸収材,脱臭剤等の薬剤、装飾用の物質、エアー等を一種あるいは数種組み合わせて設けることができる。図2は、酸素吸収剤を間に施した場合を示している。図3は、図2の多層パリソンを用いて延伸ブロー成形を行い、製造した容器4の断面説明図である。
【0009】プリフォームの間には、酸素吸収剤,脱臭剤等の薬剤の他、装飾用の物質、例えばプリフォームと同じ材質の薄いフィルムに印刷を施したもの等を設けることができる。また、プリフォーム間にエアー等が入る空間ができるようなプリフォームの組み合わせにすることにより、保温性のある容器等が得られる。」

・「【0013】
【実施例】
<実施例1>ポリエチレンテレフタレート樹脂(極限粘度IV=0.70)を主体とする熱可塑性ポリエステルからプリフォーム1(重量16g)、及びこのプリフォーム1より一周り小さくプリフォーム1と重なり合うプリフォーム2(重量17g)、各々を射出成形にて製造した。これらプリフォーム1、2を重ね合わせ多重プリフォーム3とする際、酸素吸収剤(有機酸系酸素吸収剤)1gをプリフォーム間に施し、この多重プリフォームを再加熱(プリフォーム温度95℃)し延伸ブロー成形して、容器4(容量500ml、面倍率4.71倍、表面積0.047m^(2)、肉厚0.55mm)を得た。該容器を用いて酸素透過度をモコン法を用いて測定した結果を(表1)に示す。なお、比較例1として酸素吸収剤を施さないで他は実施例1と同様にして容器を得た。」

・「【0019】<実施例3>実施例1で、プリフォーム1、2を重ね合わせる際、厚さ1?10μm,縦横約0.5mmの金属を蒸着した、あるいは着色したポリエステルフィルムを適当量、間に施し多重プリフォームとし、延伸ブロー成形して容器4を得た。得られた容器は、側面がキラキラ光り、装飾性に優れたものであった。装飾性の物質としては、特に限定されず、適宜選べばよい。」

・「【0020】<実施例4>実施例1で、プリフォーム1、2を重ね合わせる際、予めプリフォーム2の側面外側を削った様な形状に作り、重ねたとき空間ができるようにして多重プリフォームとし、金型内面よりエアー吸引を行いながら、延伸ブロー成形して間にエアー層のある容器4を得た。」

・「



b 引用発明
引用文献11に記載された事項を、特に【請求項2】及び下線が付された記載事項に関して整理すると、引用文献11には、次の発明(以下、「引用文献11製造方法発明」という。)が記載されていると認める。

「ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性ポリエステル樹脂を主体とする射出成形にて製造されるプリフォームを二種以上重ね、前記プリフォーム間の全面に、プリフォームと同じ材質の薄いフィルムに印刷を施したものを設け、1個の多重プリフォームとし、該多重プリフォームを延伸ブロー成形する延伸ブロー容器の製造方法。」

(イ)引用文献8に記載された事項
当審最後の拒絶理由において引用文献8として引用され、本願の出願前に日本国内において、頒布された刊行物である特表2004-532147号公報(以下、「引用文献8」という。)には、「延伸ブロー成形法を用いたラベル付き容器の製造方法」に関して、おおむね次の事項が記載されている。

・「【0004】
別のより最近の進展は、シュリンクフィット又は「輪郭(contour)」ラベルの使用である。これらのラベルは、配向(又は延伸)(oriented)フィルム原料上に印刷することによって作られる。フィルムはチューブ状にされ(代表的には一方の縁を溶剤接着することによって)、容器を覆うように配位され、ボトルの周囲で「熱収縮」させられる。熱収縮は通常、配向されたラベルを容器の周囲で収縮させることができる充分に高い温度の加熱トンネル中で行われる。加熱トンネルの通過時に、配向フィルム/ラベルは、容器の形状にぴったりとフィットするように収縮する。フィルムは、容器に「ぴったりとフィットする(form-fitting)」ことによって容器の形を取る。ラベルは通常、ゆがみ印刷法(distortion printing process)を用いて印刷される。この方法は、フィルム及びインクパターンの寸法の最終変化を有効に補正する。」

・「【0043】
例3
IR加熱前にスリーブを加える、PETを用いた1.5リットルの詰め替え可能ボトル用輪郭ラベリング
例1に使用したPETスリーブを、呼称外径1.25インチの1.5リットル用プレフォームに適用した。しかし、このプレフォーム及び金型の組み合わせは異なる再加熱ブロー成形機に取り付けたので、方法は少し変更しなければならなかった。実験時には、加熱とブロー成形の間に、プレフォームスリーブを取り付けるのに充分な時間、機械を停止させる方法がなかった。従って、プレフォームスリーブは、赤外線加熱工程を始開始し且つスリーブが加熱及びブロー成形プロセス全体を経る前にプレフォームの上に配置した。スリーブにはまた、黒のマジックインキでグリットを描いた。加熱工程の間に、スリーブはプレフォームの周囲で下に向かってわずかに収縮し、それによってスリーブとプレフォームとの密着が増したことが観察された。ブロー成形工程の間に、スリーブはうまく延伸し、グリッドは均一にゆがみ、見栄えがする形態にフィットするラベルを形成した。しかし、ボトルへの密着は、スリーブを加熱後に加えた例1の場合よりも強かった。これは、ラベルとボトルとをより長い時間一緒にする追加の加熱によるものであったとするのが最も可能性が高い。」

・「【図2】



(ウ)追加引用文献に記載された事項
本願の出願前に日本国内において、頒布された刊行物である特開2009-57072号公報(以下、「追加引用文献」という。)には、「窓付き容器とその成形方法」に関して、おおむね次の事項が記載されている。

・「【0002】
従来のボトル状の合成樹脂製ブロー成形窓付き容器として、壁の一部に、全高さ範囲に亘って伸びる帯状の透明または半透明な窓部を設け、この窓部を透して内容液を観察することができるようにしたものが、特許文献1として知られている。
【特許文献1】特開平03?111243号公報
【0003】
この上記した従来技術は、本体部の一部に、窓部に成形される透明または半透明な窓形成部を、長さ方向に沿って位置させて円筒状のパリソンを成形し、このパリソンで容器をブロー成形するものであるので、形成される窓部は、容器の全高さ範囲に亘って位置することになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、上記した従来技術にあっては、縦長帯状の窓部は、必ず容器の全高さ範囲に亘って位置することになるので、この窓部により現出される外観体裁が、デザイン的に画一的であり、面白味に欠け、他の同形態容器に対するアピール性に欠ける、と云う問題があった。
・・・(略)・・・
【0007】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、窓部を、容器の全高さ範囲ではなく、胴部に限定して設けることを技術的課題とし、もって目新しい外観体裁を呈する窓付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による窓付き容器は、壁に、外部から内容液を観察できる透明または半透明な窓部を設けた、ボトル状の合成樹脂製ブロー成形容器である。」

・「【0039】
容器1にブロー成形されるパリソン8は、円筒形状に押出し成形されるが、その殆どの部分を不透明な合成樹脂製の本体部9で構成し、筒壁の一部を構成する形態で、縦長細帯状の透明または半透明な窓形成部10を位置させて構成されている。
・・・(略)・・・
【0045】
このように、パリソン8は、口筒型面部13から傾斜型面部17の途中にかけての、窓形成部10が位置する右側部分をバリ11として除去して容器1にブロー成形されるので、成形された容器1は、傾斜壁部6の途中から底部5にかけての部分に窓部7を有する、図1および図4に示した構成となる。」

イ 対比
本願補正発明と引用文献11製造方法発明を対比する。
引用文献11製造方法発明における「二種以上重ね」られた「プリフォーム」のうち内側の「ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性ポリエステル樹脂を主体とする射出成形にて製造されるプリフォーム」は本願補正発明における「プラスチック材料製の射出成形品であるプリフォーム」に相当する。
引用文献11製造方法発明における「二種以上重ね」られた「プリフォーム」のうち外側の「ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性ポリエステル樹脂を主体とする射出成形にて製造されるプリフォーム」は、接着することなく、内側の「プリフォーム」との間の「プリフォームと同じ材質の薄いフィルムに印刷を施したもの」に重ねられているから、本願補正発明における「内側ラベル部材の外側に接着されることなく密着して設けられた」「貼り合わせ部のない筒状の熱可塑性樹脂を含む多層構造のプラスチック製部材」と、「内側ラベル部材の外側に接着されることなく密着して設けられた」「貼り合わせ部のない筒状の熱可塑性樹脂を含むプラスチック製部材」という限りにおいて一致する。
引用文献11製造方法発明における「前記プリフォーム間の全面」に設けた「プリフォームと同じ材質の薄いフィルムに印刷を施したもの」は、「筒状」であることは明らかであり、また、「二種以上重ね」られた「プリフォーム」間に接着することなく設けられるものであるから、本願補正発明における「プリフォームの外側を周方向全域にわたって取り囲むように」「プリフォームの外側に接着されることなく密着された」「筒状の内側ラベル部材」に相当する。
そして、引用文献11の【0013】の「この多重プリフォームを再加熱(プリフォーム温度95℃)し延伸ブロー成形して、容器4(容量500ml、面倍率4.71倍、表面積0.047m^(2)、肉厚0.55mm)を得た。」及び【0020】の「金型内面よりエアー吸引を行いながら、延伸ブロー成形して」という記載からみて、引用文献11製造方法発明が、本願補正発明における「複合プリフォームを加熱するとともにブロー成形金型内に挿入する工程」に相当する工程及び「ブロー成形金型内で複合プリフォームに対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォームのプリフォーム、内側ラベル部材およびプラスチック製部材を一体として膨張させる工程」に相当する工程を有することは明らかである。

そうすると、両者は次の点で一致する。
「複合容器を成形するためのブロー成形方法において、
プラスチック材料製の射出成形品であるプリフォームを準備する工程と、
プリフォームの外側を周方向全域にわたって取り囲むように筒状の内側ラベル部材を設けるとともに、内側ラベル部材の外側に、貼り合わせ部のない筒状の熱可塑性樹脂を含むプラスチック製部材を設けることにより、プリフォームと、プリフォームの外側に接着されることなく密着された内側ラベル部材と、内側ラベル部材の外側に接着されることなく密着して設けられたプラスチック製部材とを有する複合プリフォームを作製する工程と、
複合プリフォームを加熱するとともにブロー成形金型内に挿入する工程と、
ブロー成形金型内で複合プリフォームに対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォームのプリフォーム、内側ラベル部材およびプラスチック製部材を一体として膨張させる工程とを備えたブロー成形方法。」

そして、両者は次の点で相違する。
<相違点1>
「内側ラベル部材の外側に接着されることなく密着して設けられた」「貼り合わせ部のない筒状の熱可塑性樹脂を含むプラスチック製部材」に関して、本願補正発明においては「多層構造」のものと特定されているのに対し、引用文献11製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。

<相違点2>
本願補正発明においては「内側ラベル部材は、熱収縮性をもち、複合プリフォームを作製する工程において、内側ラベル部材を熱収縮させてプリフォームの外面に密着させ」と特定されているのに対し、引用文献11製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。

<相違点3>
本願補正発明においては「プラスチック製部材は、不透明な部分と、半透明又は透明な窓部とを有する」と特定されているのに対し、引用文献11製造方法発明においては、そのようには特定されていない点。

ウ 判断
そこで、相違点1ないし3について検討する。
<相違点1について>
引用文献11製造方法発明は、「プリフォームを二種以上重ね」るものであるから、二種以上として三種以上とし、外側の「ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性ポリエステル樹脂を主体とする射出成形にて製造されるプリフォーム」を二種以上、すなわち「多層構造」とすることは当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、引用文献11製造方法発明において、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

<相違点2について>
引用文献11製造方法発明は、プリフォームと同じ材質の薄いフィルムに印刷を施したもの、すなわちプリフォームと同じ材質の薄いフィルムからなるラベル部材をプリフォーム間の全面に設けたものである。
一方、引用文献8に記載された事項によると、プリフォームの外側を取り囲むように設けた筒状のラベル部材を熱収縮性をもつものとし、熱収縮させてプリフォームの外面に密着させるようにすることは、周知(以下、「周知技術」という。)である。
そして、引用文献11製造方法発明においても、外側にプリフォームを重ねる前に、プリフォームと同じ材質の薄いフィルムに印刷を施したものが落下したり、ずれたりしないように、プリフォームと同じ材質の薄いフィルムに印刷を施したものを内側のプリフォームの外面に密着させることは当業者であれば当然のことであるから、周知技術を適用する動機付けはあるといえる。
したがって、引用文献11製造方法発明において、周知技術を適用して、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

<相違点3について>
追加引用文献には、目新しい外観体裁を呈する容器を提供するために、容器にブロー成形されるパリソンを、不透明な部分と、半透明又は透明な窓部とを有するものとすることが記載されている。
したがって、引用文献11製造方法発明において、目新しい外観体裁を呈するようにする観点から、追加引用文献に記載された事項を適用し、相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

<効果について>
そして、発明の詳細な説明の【0031】に記載された「容器を密栓した後、ラベラーによってラベルを付与する工程を設ける必要がない」という効果は、引用文献11製造方法発明が「プリフォームを二種以上重ね、前記プリフォーム間の全面に、プリフォームと同じ材質の薄いフィルムに印刷を施したものを設け、1個の多重プリフォームとし」という発明特定事項を有していることから、引用文献11製造方法発明も当然奏する効果である。
また、令和3年6月22日に提出された意見書において請求人の主張する「プラスチック製部材の半透明又は透明な窓部を介して、内側ラベル部材を外方から視認することができる(段落【0040】参照)。また、プラスチック製部材の不透明な部分に例えばデザイン又は印字(段落【0082】参照)が付されている場合、このデザイン又は印字を外方から視認することができる。」という効果も、追加引用文献に記載された事項から当業者が予測可能なものにすぎない。なお、そもそも、発明の詳細な説明の【0040】の「プラスチック製部材40は、その少なくとも一部が半透明又は透明であることが考えられ、この場合、この半透明又は透明な部分を介して、内側ラベル部材60を外方から視認できる。」という記載及び【0082】の「さらに、プラスチック製部材40aには、予めデザイン又は印字が施されていても良い。例えば、図柄や商品名等のほか、内容液の名称、製造者、原材料名等の文字情報が記載されていても良い。」という記載は、「プラスチック製部材は、不透明な部分と、半透明又は透明な窓部とを有する」と特定したことによる効果として記載されたものではないので、請求人の主張は発明の詳細な説明の記載に基づかないものでもある。
そうすると、本願補正発明は、引用文献11製造方法発明、周知技術及び追加引用文献に記載された事項からみて格別顕著な効果を奏するものとはいえない。

エ まとめ
したがって、本願補正発明は引用文献11製造方法発明、周知技術及び追加引用文献に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるので、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和3年6月22日に提出された手続補正書による手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし21に係る発明は、同年2月25日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし21に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。

2 当審最後の拒絶理由の概要
当審最後の拒絶理由の概要は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものを含むものである。

引用文献2.特公昭62-5779号公報
引用文献8.特表2004-532147号公報
引用文献11.特開平5-228988号公報

3 引用文献に記載された事項等
当審最後の拒絶理由で引用された引用文献に記載された事項等は、上記第2[理由]2(2)ア(ア)ないし(ウ)のとおりである。

4 対比・判断
上記第2[理由]1及び2(1)のとおり、本願補正発明は本願発明の発明特定事項である「プラスチック製部材」について、「不透明な部分と、半透明又は透明な窓部とを有する」という限定を加えたものである。すなわち、本願発明は、本願補正発明から上記限定を削除したものである。
そして、本願発明に上記限定を加えた本願補正発明は、上記第2[理由]2(2)のとおり、引用文献11製造方法発明、周知技術及び追加引用文献に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、追加引用文献は上記限定に対して引用されたものである。
したがって、本願発明は引用文献11製造方法発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
したがって、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4 結語
上記第3のとおり、本願発明、すなわち請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるので、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。


 
審理終結日 2021-09-03 
結審通知日 2021-09-07 
審決日 2021-09-24 
出願番号 特願2014-1059(P2014-1059)
審決分類 P 1 8・ 575- WZ (B29C)
P 1 8・ 121- WZ (B29C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 祢屋 健太郎  
特許庁審判長 細井 龍史
特許庁審判官 加藤 友也
相田 元
発明の名称 ブロー成形方法、複合プリフォーム、複合容器、内側ラベル部材およびプラスチック製部材  
代理人 堀田 幸裕  
代理人 中村 行孝  
代理人 村田 卓久  
代理人 永井 浩之  
代理人 朝倉 悟  
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