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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08K
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08K
管理番号 1379771
異議申立番号 異議2020-700386  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-06-03 
確定日 2021-09-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6615615号発明「タルク組成物およびその使用」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6615615号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?15〕について訂正することを認める。 特許第6615615号の請求項1?15に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6615615号(請求項の数15。以下、「本件特許」という。)は、2014年(平成26年)2月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 平成25年2月22日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願に係る特許であって、令和1年11月15日に設定登録がされたものである(特許掲載公報の発行日は同年12月4日である。)。
その後、令和2年6月3日に、本件特許の請求項1?15に係る特許に対して、特許異議申立人であるイミファビ ソシエタ ペル アツィオーニ(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。その後の経緯は、以下のとおりである。
令和2年12月28日付け取消理由通知書
令和3年 4月 5日 意見書及び訂正請求書(特許権者)
同年 6月 7日 意見書(申立人)

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和3年4月5日提出の訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。

(1)訂正事項1
訂正前の請求項1?7、9及び11の数値範囲における「約」を削除する。

(2)訂正事項2
訂正前の請求項12の「約25質量%表面処理タルク」を「25質量%の表面処理タルク」に訂正する。

(3)訂正事項3
訂正前の請求項14の「第1のLTTS。」を、「第1のLTTS、ここで、LTTSはISO 4577-1983に従い決定される長期熱安定性である。」に訂正する。

訂正前の請求項2?15は、訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用する関係にあるから、上記(1)?(3)の訂正事項に係る訂正は、一群の請求項〔1?15〕について請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1?7、9及び11における各数値範囲に「約」が付されることにより上記数値範囲が不明確であったものを明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、訂正事項1は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項12における「少なくとも約25質量%」から「約」を削除して、数値範囲を明確にし、また、「表面処理タルク」の前に「の」を加入することで上記数値範囲と「表面処理タルク」との関係を明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、訂正事項2は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項14に記載の「LTTS」の意味を、本件明細書の【0085】の記載に基づいて特定して明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、訂正事項3は、新規事項の追加に該当しないし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 訂正の適否についての判断のまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合するものであるから、結論のとおり、本件訂正を認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?15に係る発明は、訂正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
表面処理タルクであって、
前記タルクが、ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコール変性ポリシロキサンを含む高分子種を含む表面処理剤で表面処理されていること、ここで、前記ポリアルキレングリコールが20,000g/モルよりも低い数平均分子量を有する、
及び
前記タルクが2.8よりも大きいラメラリティ指数を有すること、
ここで、前記ラメラリティ指数が以下の比:

d_(mean)は、ISO 13329-1により測定される平均粒度であり、
d_(50)は、ISO 13317-3により測定される中央値直径であるにより定義されることを特徴とする、表面処理タルク。
【請求項2】
前記表面処理タルクが、少なくとも3.0のラメラリティ指数を有する、請求項1記載の表面処理タルク。
【請求項3】
前記表面処理タルクが、1?4μmのd_(50)を有し、
前記d_(50)は、ISO 13317-3により測定される中央値直径である、請求項1または2のいずれか1項記載の表面処理タルク。
【請求項4】
前記表面処理タルクが、タルクの質量基準で、0.1?10質量%の表面処理剤を含む、請求項1?3のいずれか1項記載の表面処理タルク。
【請求項5】
前記表面処理タルクが、タルクの質量基準で、0.2?5質量%の表面処理剤を含む、請求項4記載の表面処理タルク。
【請求項6】
請求項1?5のいずれか1項に記載の表面処理タルクの製造方法であって、
2.8よりも大きいラメラリティ指数を有するタルクと、ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコール変性ポリシロキサンを含む高分子種を含む表面処理剤を適切な量で混合する工程を含み、
前記ポリアルキレングリコールが20,000g/モルよりも低い数平均分子量を有し、
前記ラメラリティ指数が以下の比:

d_(mean)は、ISO 13329-1により測定される平均粒度であり、
d_(50)は、ISO 13317-3により測定される中央値直径である
により定義される、製造方法。
【請求項7】
請求項1?5のいずれか1項記載の表面処理タルクを少なくとも25質量%含む、ポリマー組成物。
【請求項8】
前記ポリマーが、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン-エチレンコポリマーまたはこれらの組合せから選ばれる、請求項7記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記ポリマー組成物の総質量基準で、少なくとも30質量%の表面処理タルクを含む、請求項7又は8に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記表面処理タルク以外であって、且つ、アルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩;含水カンダイトクレー;無水(焼成)カンダイトクレー;雲母;パーライト;長石類;かすみ石せん長岩;ウラストナイト;珪藻土;バライト;ガラス;天然または合成のシリカまたはケイ酸塩:および2.8よりも低いラメラリティ指数を有するタルク;並びにこれらの組合せから選ばれる充填剤をさらに含む、請求項7?9のいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項11】
ポリマー組成物の製造方法であって、請求項1?5のいずれか1項記載の表面処理タルクを、ポリマーと、前記ポリマー組成物の総質量基準で、少なくとも25質量%の量において混合する工程を含むことを特徴とする、前記ポリマー組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項1?5のいずれか1項記載の表面処理タルクの、ポリマー組成物中の充填剤としての使用であって、
前記ポリマー組成物が少なくとも25質量%の表面処理タルクを含む、前記使用。
【請求項13】
請求項7?10のいずれか1項記載のポリマー組成物から形成した、ポリマー複合体または物品。
【請求項14】
下記の特性を有することを特徴とする、請求項7?10および13のいずれか1項記載のポリマー組成物、または該組成物から形成したポリマー複合体もしくは物品:
(i) 表面処理剤で処理していない同じ量のタルクを含むポリマー組成物または該組成物から形成したポリマー複合体もしくは物品の第2のノッチなしシャルピー衝撃強度(-20℃および/または-10℃および/または0℃における)よりも高い第1のノッチなしシャルピー衝撃強度(-20℃および/または-10℃および/または0℃における);および/または、
(ii) 表面処理剤で処理していない同じ量のタルクを含むポリマー組成物または該組成物から形成したポリマー複合体もしくは物品の第2のLTTSよりも高い第1のLTTS、ここで、LTTSはISO 4577-1983に従い決定される長期熱安定性である。
【請求項15】
ポリマー組成物から形成したポリマー複合体または物品における表面欠陥を低減するための、請求項1?5のいずれか1項記載の表面処理タルクの前記ポリマー組成物における使用であって、
前記ポリマー組成物が、前記ポリマー組成物の総質量基準で、少なくとも25質量%の前記表面処理タルクを含む、前記使用。」
(以下、請求項1?15に係る発明を、順に「本件発明1」等といい、本件発明1?15をまとめて「本件発明」ということがある。また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。)

第4 異議申立ての申立理由と当審が通知した取消理由
1 特許異議申立ての申立理由
請求項1?15に係る発明は、下記(1)のとおりの取消理由があるから、本件特許の請求項1?15に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。証拠方法として、下記(2)の甲第1号証?甲第5号証(以下、順に「甲1」等という。)を提出する。

(1)請求項1?15に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、頒布された甲1に記載された発明、甲2?甲4に記載された周知技術(必要に応じて甲5も参照)に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1?15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(2)証拠方法
甲1:特開平2-135242号公報
甲2:特表2010-526898号公報
甲3:特開昭58-79043号公報
甲4:特開2001-220472号公報
甲5:米国特許出願公開第2006/0264556号明細書

2 当審が令和2年12月28日付け取消理由通知書で通知した取消理由
本件訂正前の特許請求の範囲の記載は、下記(1)及び(2)のとおりの取消理由があるから、本件特許の請求項1?15に係る特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
(1)取消理由1(明確性要件)
本件訂正前の請求項1?15に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に適合するものではない。
請求項1?7、9、11及び12に記載の数値範囲は、「約」が付されていることにより、数値範囲が客観的に定まらず、「約」なる表記がどの程度の正確さを意味するのかが本件出願時の技術常識であるとも解せないから、不明確である。また、請求項14に記載の「LTTS」はその意味が不明確である。

(2)取消理由2(サポート要件)
本件訂正前の請求項1?15に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。
発明の詳細な説明には、本件発明1?15が本件発明の課題を解決する作用機能も、本件発明1?15が上記課題を解決できることを当業者が認識できる実施例も記載されていないから、本件発明1?15は発明の詳細な説明に記載したものではない。

第5 当審の判断
以下に述べるように、当審が通知した取消理由1及び2、並びに、特許異議申立ての申立理由によっては、本件発明1?15に係る特許は取り消すことはできない。

1 取消理由通知書に記載した取消理由について
(1)取消理由1(明確性要件)について
第2で述べたように、本件訂正により、請求項1?7における各数値範囲の「約」は削除され、本件発明1?7、9、11及び12における各数値範囲が明確になり、また、請求項14に「LTTS」の意味を特定する事項が加えられ、本件発明14の「LTTS」の意味が明確になった。
よって、本件発明1?15は明確である。

(2)取消理由2(サポート要件)について
ア 特許法第36条第6項第1号の判断について
特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。この点について、以下に検討する。

イ 本件発明の課題
発明の詳細な説明には、「高アスペクト比タルクは、プラスチック類において剛性(並びにゴム、紙およびコーティングにおけるバリア性能)を付与するために開発されている。・・・比較的高いタルク装填量、典型的には30質量%以上においては、ある種の表面欠陥が成形部品(例えば、自動車車体パネル)上に現れることが観察されている。新たなタルクをそのような配合物中で使用するために提供して、上記の表面欠陥を低減または排除することが望ましい。」(【0002】)と記載されている。このことから、本件発明が解決しようとする課題は、比較的高いタルク装填量でタルクを含むプラスチック類の成形部品上に現れる表面欠陥を低減または排除する表面処理タルク、これを含むポリマー組成物、及びポリマー複合体または物品の提供、上記表面処理タルク及びポリマー組成物の製造方法、並びに、上記表面処理タルクの使用方法の提供であると解される。

ウ 本件発明1について
(ア)本件発明1は「表面処理タルク」であって、「前記タルクが2.8よりも大きいラメラリティ指数を有する」ことを特定するものであるから、表面処理後のタルクが「2.8よりも大きいラメラリティ指数」を有するものと解される。

(イ)一方、発明の詳細な説明には、実施例1において、表面処理高アスペクト比タルクを製造したことが記載されており(【0086】?【0089】)、未処理の高アスペクト比タルクを「セディグラフ(ISO 13317-3)によって測定したときのPSD(当審注:「PSD」は粒径分布を意味すると解される):d_(50)=2.1μm」であることから、本件発明1における「ISO 13317-3により測定される中央値直径」である「d_(50)」は2.1μmであり、また、上記高アスペクト比タルクを「レーザー(ISO 13329-1)によって測定したときのPSD:d_(50)=11.5μm」から、本件発明1における「ISO 13329-1により測定される平均粒度」である「d_(mean)」は11.5μmであると解される。このことから、実施例1で製造された表面処理高アスペクト比タルクの「ラメラリティ指数」は4.5(=(11.5-2.1)/2.1)である。
また、発明の詳細な説明には、実施例2として、各種材料(【0090】)及び上記材料を原料とするポリマー組成物の配合割合が記載されており(【0090】?【0096】)、【0090】に記載された各種材料は実施例2のレシピ1等の各レシピで使用された原料を示していると解される。そして、レシピ1bでは、「40%のPEG表面処理高アスペクト比タルク」(当審注:「40%」は、本件明細書全体の記載によれば、「40質量%」の意味であると解される。以下同様)を含有するものであり、この「PEG表面処理高アスペクト比タルク」は、【0090】に記載された「実施例1において製造したPEG表面処理高アスペクトタルク」を意味し、【0087】によれば、8000g/モルの分子量を有するポリエチレングリコールにより表面処理されたといえ、本件発明1の具体例であると解される。なお、レシピ2bにおける「40%の未処理高アスペクト比タルク」は、【0090】に記載された「実施例1において説明した未処理高アスペクトタルク」であると解される。
そして、実施例2dでは、レシピ1b及びレシピ2bのポリマー組成物について、射出マークの存在を外観評価しており、レシピ毎に20枚のプレートの射出マークの存在を目視検査し、レシピ1bは、射出マークが皆無またはレシピ2bに比べて有意に低減されていたことを具体的に確認できる(【0101】?【0106】、表2)。
また、発明の詳細な説明には、「本発明の各実施態様に従う表面処理高アスペクト比タルクは、表面欠陥が発生することなく、或いは、本明細書において説明した方法に従って表面処理されていない相応する量の同等の高アスペクト比タルクを含むポリマー組成物において判明しているよりも少なくとも低い表面欠陥の発生でもって、比較的高装填量において…ポリマー中に混和し得ることを予期に反して見出している」(【0065】)と記載されており、本件発明1の「表面処理タルク」を用いることにより、上記課題を解決できることが示されている。
そうすると、発明の詳細な説明には、本件発明1が上記課題を解決できることを当業者が認識できるように記載されているといえる。

エ 申立人の主張について
(1)申立人は、意見書において、【0010】の記載によるとタルクのラメラリティ指数はタルクのアスペクト比と連動するものであり、機械的な力がタルクに加えられる表面処理により、タルクのアスペクト比が変化する蓋然性が高いが、本件明細書には、表面処理後のタルクのラメラリティ指数と課題である「表面欠陥」との関係が示されていないことを主張する(意見書の5頁4?20行)。
上記主張について検討すると、【0010】の記載は、本件明細書において、約2.8よりも高いラメラリティ指数を有するタルク粒子」を意味するものとして、「高アスペクト比タルク」という用語や「2.8よりも高いアスペクト比を有するタルク」という用語が、使用可能であることを述べたものにすぎず、一般的に、ラメラリティ指数とアスペクト比が技術的に等価なものであることを述べていない。また、2(3)イで後述するように、本件発明1の「ラメラリティ指数」と一般に用いられる「アスペクト比」とは、その算出に用いる数値も計算式も異なるもの同士であり、「ラメラリティ指数」と「アスペクト比」は、 その他の根拠なく、「アスペクト比」と「ラメラリティ指数」が同じ数値を示すものと解釈することはできない。
また、上述のとおり、実施例1において使用したタルクのラメラリティ指数は4.5であり、表面処理における混合装置の機械的な力がタルクにかかって破壊され、アスペクト比やラメラリティ指数が使用前のものと比べて多少変わる可能性があるとしても、取消理由通知で例示した文献(特開2013-67707号公報)の記載から、表面処理における混合装置の機械的な力によって、本件発明1の「2.8よりも大きいラメラリティ指数」を満たさなくなるまでタルクが変形を受けるとは通常解されない。
そうすると、上記主張を採用することはできない。

(2)申立人は、意見書において、レシピ3とレシピ4で表面欠陥に有意差が見られないことから、表面欠陥は、ポリマーや安定剤の材料や、これらとタルクの組成比等の他のパラメータの影響も受けるということができ、本件発明1は課題を解決しない場合を含むと主張する。
しかしながら、発明の詳細な説明には、「比較的高いタルク装填量、典型的には30質量%以上においては、ある種の表面欠陥が成形部品(例えば、自動車車体パネル)上に現れることが観察されている」と記載され(【0002】)、また、「本発明の各実施態様に従う表面処理高アスペクト比タルクは表面欠陥が発生することなく…比較的高装填量において(例えば、約30質量%よりも多い…の負荷レベルにおいて)、ポリマー中に混和し得ることを予期に反して見出している」(【0065】)と記載されており、タルクの含有量が30質量%以上の場合に成形体に表面欠陥が発生する課題があることが示唆されている。そして、レシピ3及びレシピ4のタルクの含有量は、上記【0002】及び【0065】で示された「比較的高装填量」の下限である30質量%であるから、表面欠陥の差異が十分に顕在化しなかった(【0104】)のに対し、タルクの含有量が40質量%である、レシピ1b及びレシピ2bにおいては、表面欠陥の効果上の差異が確認された(表2)ものと解される。
そうすると、タルクを上記「30質量%以上」の下限値である30質量%の量で含有するレシピ3及びレシピ4において表面欠陥の存在に有意差がないことを根拠に、本件発明1が上記課題を解決しないものを含むと解することはできない。
したがって、上記主張を採用することはできない。

(3)以上のことから、取消理由1(明確性)及び取消理由2(サポート要件)によっては、本件発明1?15に係る特許を取り消すことはできない。

2 特許異議申立ての申立理由について
(1)甲1に記載された事項
甲1には、特許請求の範囲、第1頁右欄第7?15行、第2頁左上欄第5行?同頁左下欄14行、第2頁右下欄第1?4行、第2頁右下欄第11行?第3頁左上欄第4行、第3頁左下欄第18行?第3頁右下欄第20行、第4頁右上欄第15?19行、第4頁左下欄第5行?第5頁左上欄7行の記載があり、そのうち、特許請求の範囲第2、4及び5項、第3頁右下欄11?20行、第4頁右下欄8行?第5頁左上欄7行、第1及び2表には、以下の事項が記載されている。

ア 「2 (A)ポリオレフィン100重量部及び(B)重量平均分子量100?1000のポリアルキレングリコールの存在下に粉砕したタルク5?100重量部からなるポリオレフィン樹脂組成物。
・・・
4 ポリアルキレングリコールの吸着量がタルクに対し0.05?5重量%であるタルクを使用する請求項2記載のポリオレフィン樹脂組成物。
5 重量平均分子量が100?1000のポリアルキレングリコールの存在下に粉砕したタルクを主成分とする樹脂添加剤。」(特許請求の範囲第2、4及び5項)

イ 「調製例1
平均粒径10μmのタルク粉体20kgと重量平均分子量400のポリエチレングリコール200gとをヘンシェルミキサーで1分間混合し、次いで流動層型ジェットミル100AFG型(西独アルピネ社製)を用いてノズル空気圧7kg/cm^(2)で粉砕し、ポリエチレングリコールを表面に吸着又は結合させた表面処理タルク粉体をほぼ当量調製した。この表面処理タルク粉体の平均粒径は0.7μmで白色度は95であった。」(第3頁右下欄11?20行)

ウ 「実施例1?5、比較例1、4?9
第1表に示すように、エチレン含量4重量%、MI=10g/10分のプロピレンエチレン共重合体(出光ポリプロピレンJ-785H(以下PPと略す))、又はそれと密度0.97、MI=6g/10分のポリエチレン(出光ポリエチレン210J(以下HDPEと略す))との混合物から成るポリオレフィン100重量部に対し、調製例で調製したタルク43重量部、耐候性改良剤としてのサノールLS770(ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート)0.215重量部及び酸化防止剤としてのIrganox-1010(ペンタエリスリチル-テトラキス-(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート)0.143重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合した。次いで、220℃で2軸混練機でペレット化したものを、射出成形機に供し、耐光性評価用、外観評価用のプレート状試験片及びIZOD試験片を成形し、これらの試験片を諸試験に付して第2表の結果を得た。」(第4頁右下欄8行?第5頁左上欄7行)

エ 「



オ 「



(2)甲1に記載された発明
甲1の上記イ(調製例1)には、特許請求の範囲第5項に記載された樹脂添加剤の具体例として、平均粒径10μmのタルク粉体20kgと重量平均分子量400のポリエチレングリコール200gとをヘンシェルミキサーで1分間混合し、次いで流動層型ジェットミル100AFG型(西独アルピネ社製)を用いてノズル空気圧7kg/cm^(2)で粉砕し、ポリエチレングリコールを表面に吸着又は結合させた表面処理タルク粉体を調製し、この表面処理タルク粉体の平均粒径は0.7μmで白色度は95であったことが記載されている。
更に、甲1の上記ウ(実施例1)には、特許請求の範囲第4項に記載されたポリオレフィン樹脂組成物の具体例として、エチレン含量4重量%、MI=10g/10分のプロピレンエチレン共重合体(出光ポリプロピレンJ-785H(以下PPと略す))から成るポリオレフィン100重量部に対し、調製例1で調製したタルク43重量部、耐候性改良剤としてのサノールLS770(ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート)0.215重量部及び酸化防止剤としてのIrganox-1010(ペンタエリスリチル-テトラキス-(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート)0.143重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、220℃で2軸混練機でペレット化したものが記載され、これを射出成形機に供して成形した耐光性評価用、外観評価用のプレート状試験片及びIZOD試験片も記載されている。
また、甲1には、これらの記載から、上記樹脂添加物の製造方法及び使用方法、上記組成物の製造方法も記載されているといえる。

そうすると、甲1には、調製例1及び実施例1に着目して、以下の発明が記載されているといえる。

「平均粒径10μmのタルク粉体20kgと重量平均分子量400のポリエチレングリコール200gとをヘンシェルミキサーで1分間混合し、次いで流動層型ジェットミル100AFG型(西独アルピネ社製)を用いてノズル空気圧7kg/cm^(2)で粉砕し、ポリエチレングリコールを表面に吸着又は結合させた表面処理タルク粉体であって、平均粒径は0.7μmで白色度は95である、上記表面処理タルク粉体」(以下、「甲1発明1」という。)

「平均粒径10μmのタルク粉体20kgと重量平均分子量400のポリエチレングリコール200gとをヘンシェルミキサーで1分間混合し、次いで流動層型ジェットミル100AFG型(西独アルピネ社製)を用いてノズル空気圧7kg/cm^(2)で粉砕し、ポリエチレングリコールを表面に吸着又は結合させた表面処理タルク粉体の製造方法であって、上記表面処理タルク粉末の平均粒径は0.7μmで白色度は95である、上記製造方法」(以下、「甲1発明2」という。)

「エチレン含量4重量%、MI=10g/10分のプロピレンエチレン共重合体(出光ポリプロピレンJ-785H)から成るポリオレフィン100重量部に対し、甲1発明1のタルク43重量部、耐候性改良剤としてのサノールLS770(ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート)0.215重量部及び酸化防止剤としてのIrganox-1010(ペンタエリスリチル-テトラキス-(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート))0.143重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、220℃で2軸混練機でペレット化した樹脂組成物」(以下、「甲1発明3」という。)

「エチレン含量4重量%、MI=10g/10分のプロピレンエチレン共重合体(出光ポリプロピレンJ-785H)から成るポリオレフィン100重量部に対し、甲1発明1のタルク43重量部、耐候性改良剤としてのサノールLS770(ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート)0.215重量部及び酸化防止剤としてのIrganox-1010(ペンタエリスリチル-テトラキス-(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート))0.143重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、220℃で2軸混練機でペレット化する樹脂組成物の製造方法」(以下、「甲1発明4」という。)

「甲1発明3の樹脂組成物を射出成形機に供して成形した耐光性評価用、外観評価用のプレート状試験片及びIZOD試験片」(以下、「甲1発明5」という。)

「甲1発明3の樹脂組成物における、甲1発明1のタルクの使用方法」(以下、「甲1発明6」という。)

(3)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明1を対比する。
甲1発明1の「ポリエチレングリコール」は、タルクの表面に吸着又は結合されているから、本件発明1の「ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコール変性ポリシロキサンを含む高分子種を含む表面処理剤」に相当する。
甲1発明1の「表面処理タルク粉体」は、本件発明1の「表面処理タルク」に相当する。

そうすると、本件発明1と甲1発明1とは、「表面処理タルクであって、前記タルクが、ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコール変性ポリシロキサンを含む高分子種を含む表面処理剤で表面処理されている、表面処理タルク」の点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:本件発明1は、「ポリアルキレングリコールが20,000g/モルよりも低い数平均分子量を有する」のに対して、甲1発明1は、ポリエチレングリコールの重量平均分子量が400である点

相違点2:本件発明1は、「タルクが2.8よりも大きいラメラリティ指数を有すること、
ここで、前記ラメラリティ指数が以下の比:

d_(mean)は、ISO 13329-1により測定される平均粒度であり、
d_(50)は、ISO 13317-3により測定される中央値直径であるにより定義される」のに対して、甲1発明1は、タルクの平均粒径が0.7μmである点

イ 相違点の検討
事案に鑑みて相違点2から検討する。
(ア)甲1には、耐候性、成形性、耐衝撃性及び外観性能に優れたポリオレフィン樹脂組成物を提供することを課題とすることが記載されている(第2頁左上欄)。
一方、甲3には、第1頁右欄第4?9行、第4頁左上欄第3?5行、同右上欄第9?16行、第5頁左上欄第17?20行、第5頁左下欄第14行?右下欄第8行の記載があり、アスペクト比の平均値が3以上であるタルクを含むプロピレン重合体樹脂組成物が記載されているといえる。
また、甲4には、請求項1、請求項9、【0001】及び【0031】の記載があり、3?20のアスペクト比を有するタルクを無機質補強剤とする低線膨張ポリオレフィン系複合樹脂組成物が記載されているといえる。
甲5には、[0067]の記載があり、甲5において、アスペクト比は、従来の顕微鏡法を使用してタルクの平均粒子径を平均厚さで割ることによって計算できること、及び、“高アスペクト比”タルクは、約4以上または約5以上の平均ラメラリティ指数を有するタルクを意味することが記載されているといえる。
ここで、一般に、アスペクト比は、上記甲5に記載されたとおりに計算される値であり、本件発明1において特定される「ラメラリティ指数」は(d_(mean)-d_(50))/d_(50)の式で表され、「d_(mean)は、ISO 13329-1により測定される平均粒度であ」り、当該平均粒度であるd_(50)は、「このd_(50)値よりも小さい等価球直径を有する50容積%の粒子が存在する粒子e.s.dのこの方法で測定した値」(【0014】)である。そして、ラメラリティ指数の「d_(50)」は、「このd_(50)値よりも小さい等価球直径を有する50質量%の粒子が存在する粒子e.s.dのこの方法で測定した値」(【0013】)である。このように、本件発明1の「ラメラリティ指数」と一般に用いられる「アスペクト比」とは、その算出に用いる数値も計算式も異なるもの同士であって、「アスペクト比」と「ラメラリティ指数」とが同じ数値を示すものであると解すべき証拠は見あたらない。
そうすると、甲3及び甲4に記載のタルクは、本件発明1に特定される「2.8よりも大きいラメラリティ指数を有する」ものであるとはいえず、甲3?4及び甲5の記載からは、本件発明1の「2.8よりも大きいラメラリティ指数を有する」タルクが、本件優先日前に、当業者に一般的に用いられたタルクであると認められないから、甲1発明1において、「2.8よりも大きいラメラリティ指数を有する」タルクとすることが動機付けられるとはいえない。

(イ)一方、甲2には、請求項1、【0007】、【0019】及び【0025】?【0030】の記載があり、甲2の請求項1及び【0007】には、本件発明1の「2.8よりも大きいラメラリティ指数を有する」タルクが記載されている。また、甲2には、「230℃において2.16kgの下で測定した場合に2g/10分?100g/10分の流動インデックスを有するポリプロピレンと、セディグラフで測定した場合に少なくとも1μmのメジアン径D50、並びに少なくとも1つのコンパウンディング押出機を用いて粘弾性状態の前記ポリオレフィン母材中に層状タルクを分散させることによる、前記母材への導入前で少なくとも4及び前記熱可塑性組成物中で測定した場合で少なくとも3のラメラリティインデックスを有するタルクである層状無機充填剤とを含」む熱可塑性組成物が記載されているが(請求項1)、「特定の層状無機充填剤で充填される、母材として特定の種類のポリオレフィンから選択される組成物を提供し…密度の低減、並びに良好な剛性及び耐衝撃性を同時にもたらす最終組成物を得るために、コンパウンディング押出機を使用する特定の方法を介してもたらされる」(【0019】)ものであり、甲2に記載の「層状無機充填剤」であるタルクを上記特定のポリプロピレン以外のポリマーに用いた場合でも上記効果を奏することは記載も示唆もされておらず、甲2の記載に基づいて、甲1発明1のタルクを「2.8よりも大きいラメラリティ指数を有する」ものとすることは動機付けられない。

(ウ)そして、本件発明1は、タルクが所定の表面処理剤で表面処理されており、「前記タルクが2.8よりも大きいラメラリティ指数を有すること」により、「本発明の各実施態様に従う表面処理高アスペクト比タルクは、表面欠陥が発生することなく、或いは、本明細書において説明した方法に従って表面処理されていない相応する量の同等の高アスペクト比タルクを含むポリマー組成物において判明しているよりも少なくとも低い表面欠陥の発生でもって、比較的高装填量において…ポリマー中に混和し得る」(【0065】)という甲1?甲5の記載から予測し得ない効果を奏するものであり、この効果は実施例2dにおけるレシピ1bの外観評価から具体的に確認できる。

(エ)そうすると、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明、及び、甲2?甲5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 申立人の主張について
申立人は、意見書において、甲5に「本明細書で使用する場合、「高アスペクト比」タルクとは、約4以上または約5以上の平均ラメラリティ指数を有するタルクを意味する」と記載されているから、甲3及び甲4のアスペクト比を有するタルクは、本件発明1の「2.8よりも高いラメラリティ指数を有する」ものであると主張する。しかしながら、甲5の上記記載は、甲5における「高アスペクト比タルク」が、「約4以上または約5以上の平均ラメラリティ指数を有するタルク」を意味すると説明したものに過ぎず、当該記載により、甲3及び甲4に記載のアスペクト比を有するタルクが「約4以上または約5以上の平均ラメラリティ指数を有するタルク」であることを示すものとはいえないから、上記主張は理由がない。

(4)本件発明2?5について
本件発明2?5は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、本件発明2?5と甲1発明1をそれぞれ対比すると、少なくとも相違点2で相違しているから、本件発明1について上記(3)で述べたのと同じ理由により、甲1に記載された発明、及び、甲2?甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)本件発明6について
本件発明6は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、本件発明6と甲1発明2を対比すると、少なくとも相違点2で相違しているから、本件発明1について上記(3)で述べたのと同じ理由により、甲1に記載された発明、及び、甲2?甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(6)本件発明7?10について
本件発明7?10は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、本件発明7?10と甲1発明3をそれぞれ対比すると、少なくとも相違点2で相違しているから、本件発明1について上記(3)で述べたのと同じ理由により、甲1に記載された発明、及び、甲2?甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(7)本件発明11について
本件発明11は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、本件発明11と甲1発明4を対比すると、少なくとも相違点2で相違しているから、本件発明1について上記(3)で述べたのと同じ理由により、甲1に記載された発明、及び、甲2?甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(8)本件発明12及び15について
本件発明12及び15は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、本件発明12及び15と甲1発明6をそれぞれ対比すると、少なくとも相違点2で相違しているから、本件発明1について上記(3)で述べたのと同じ理由により、甲1に記載された発明、及び、甲2?甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(9)本件発明13及び14について
本件発明13及び14は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、本件発明13及び14と甲1発明5をそれぞれ対比すると、少なくとも相違点2で相違しているから、本件発明1について上記(3)で述べたのと同じ理由により、甲1に記載された発明、及び、甲2?甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(10)まとめ
以上のとおり、本件発明1?15は、甲1に記載された発明、及び、甲2?甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許異議申立書に記載された申立理由によっては、本件特許の請求項1?15に係る特許を取り消すことはできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、請求項1?15に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件発明1?15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理タルクであって、
前記タルクが、ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコール変性ポリシロキサンを含む高分子種を含む表面処理剤で表面処理されていること、ここで、前記ポリアルキレングリコールが20,000g/モルよりも低い数平均分子量を有する、
及び
前記タルクが2.8よりも大きいラメラリティ指数を有すること、
ここで、前記ラメラリティ指数が以下の比:

d_(mean)は、ISO 13329-1により測定される平均粒度であり、
d_(50)は、ISO 13317-3により測定される中央値直径である
により定義されることを特徴とする、表面処理タルク。
【請求項2】
前記表面処理タルクが、少なくとも3.0のラメラリティ指数を有する、請求項1記載の表面処理タルク。
【請求項3】
前記表面処理タルクが、1?4μmのd_(50)を有し、
前記d_(50)は、ISO 13317-3により測定される中央値直径である、請求項1または2のいずれか1項記載の表面処理タルク。
【請求項4】
前記表面処理タルクが、タルクの質量基準で、0.1?10質量%の表面処理剤を含む、請求項1?3のいずれか1項記載の表面処理タルク。
【請求項5】
前記表面処理タルクが、タルクの質量基準で、0.2?5質量%の表面処理剤を含む、請求項4記載の表面処理タルク。
【請求項6】
請求項1?5のいずれか1項に記載の表面処理タルクの製造方法であって、
2.8よりも大きいラメラリティ指数を有するタルクと、ポリアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコール変性ポリシロキサンを含む高分子種を含む表面処理剤を適切な量で混合する工程を含み、
前記ポリアルキレングリコールが20,000g/モルよりも低い数平均分子量を有し、
前記ラメラリティ指数が以下の比:

d_(mean)は、ISO 13329-1により測定される平均粒度であり、
d_(50)は、ISO 13317-3により測定される中央値直径である
により定義される、製造方法。
【請求項7】
請求項1?5のいずれか1項記載の表面処理タルクを少なくとも25質量%含む、ポリマー組成物。
【請求項8】
前記ポリマーが、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン-エチレンコポリマーまたはこれらの組合せから選ばれる、請求項7記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記ポリマー組成物の総質量基準で、少なくとも30質量%の表面処理タルクを含む、請求項7又は8に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記表面処理タルク以外であって、且つ、アルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩;含水カンダイトクレー;無水(焼成)カンダイトクレー;雲母;パーライト;長石類;かすみ石せん長岩;ウラストナイト;珪藻土;バライト;ガラス;天然または合成のシリカまたはケイ酸塩:および2.8よりも低いラメラリティ指数を有するタルク;並びにこれらの組合せから選ばれる充填剤をさらに含む、請求項7?9のいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項11】
ポリマー組成物の製造方法であって、請求項1?5のいずれか1項記載の表面処理タルクを、ポリマーと、前記ポリマー組成物の総質量基準で、少なくとも25質量%の量において混合する工程を含むことを特徴とする、前記ポリマー組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項1?5のいずれか1項記載の表面処理タルクの、ポリマー組成物中の充填剤としての使用であって、
前記ポリマー組成物が少なくとも25質量%の表面処理タルクを含む、前記使用。
【請求項13】
請求項7?10のいずれか1項記載のポリマー組成物から形成した、ポリマー複合体または物品。
【請求項14】
下記の特性を有することを特徴とする、請求項7?10および13のいずれか1項記載のポリマー組成物、または該組成物から形成したポリマー複合体もしくは物品:
(i)表面処理剤で処理していない同じ量のタルクを含むポリマー組成物または該組成物から形成したポリマー複合体もしくは物品の第2のノッチなしシャルピー衝撃強度(-20℃および/または-10℃および/または0℃における)よりも高い第1のノッチなしシャルピー衝撃強度(-20℃および/または-10℃および/または0℃における);および/または、
(ii)表面処理剤で処理していない同じ量のタルクを含むポリマー組成物または該組成物から形成したポリマー複合体もしくは物品の第2のLTTSよりも高い第1のLTTS、ここで、LTTSはISO 4577-1983に従い決定される長期熱安定性である。
【請求項15】
ポリマー組成物から形成したポリマー複合体または物品における表面欠陥を低減するための、請求項1?5のいずれか1項記載の表面処理タルクの前記ポリマー組成物における使用であって、
前記ポリマー組成物が、前記ポリマー組成物の総質量基準で、少なくとも25質量%の前記表面処理タルクを含む、前記使用。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-09-02 
出願番号 特願2015-558407(P2015-558407)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C08K)
P 1 651・ 537- YAA (C08K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 久保 道弘  
特許庁審判長 佐藤 健史
特許庁審判官 近野 光知
福井 悟
登録日 2019-11-15 
登録番号 特許第6615615号(P6615615)
権利者 イメリス タルク ユーロープ
発明の名称 タルク組成物およびその使用  
代理人 須田 洋之  
代理人 特許業務法人ドライト国際特許事務所  
代理人 須田 洋之  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 服部 博信  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 山崎 一夫  
代理人 星野 貴光  
代理人 ▲吉▼田 和彦  
代理人 ▲吉▼田 和彦  
代理人 市川 さつき  
代理人 星野 貴光  
代理人 山崎 一夫  
代理人 服部 博信  
代理人 市川 さつき  
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