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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61B
管理番号 1379834
異議申立番号 異議2020-700823  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-10-22 
確定日 2021-10-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6686207号発明「電子カセッテ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6686207号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-16〕について訂正することを認める。 特許第6686207号の請求項1、2、5、7ないし9及び12ないし14に係る特許を維持する。 特許第6686207号の請求項3、4、6、10、11、15及び16に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6686207号の請求項1ないし16に係る特許についての出願は、平成26年9月22日に出願した特願2014-193132号の一部を平成29年12月8日に新たな特許出願とした特願2017-235883号の一部を平成31年4月15日に新たな特許出願としたものであって、令和2年4月3日にその特許権の設定登録がされ、同月22日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和2年10月22日 :特許異議申立人 齋藤 好輝(以下「申立人」
という。)による請求項1ないし16に係る特
許に対する特許異議の申立て
令和3年 2月 3日付け:取消理由通知
同年 4月 6日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求
同年 同月28日 :特許権者による意見書に対する手続補正書及び
訂正請求書に対する手続補正書の提出
同年 6月18日 :申立人による意見書の提出
同年 7月 1日付け:取消理由通知(決定の予告)
同年 9月 3日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求

なお、特許権者が令和3年4月6日にした訂正の請求に対して申立人に意見書を提出する機会を与えており、特許権者が令和3年9月3日にした訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)により、特許請求の範囲が相当程度減縮され、本件において提出された全ての証拠や意見等を踏まえて更に審理を進めたとしても本件特許を維持すべきとの結論になると判断したため、本件訂正請求に対して申立人に意見書を提出する機会を与えなかった。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
(1)本件訂正は、請求項1ないし16を一群の請求項として訂正することを求めるものであり、その具体的内容は、以下の訂正事項1ないし15のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す(訂正事項に係る記載において以下同様。)。

(訂正事項1)
特許請求の範囲の請求項1に「被写体を透過した放射線に基づき前記被写体の放射線画像を検出する画像検出部と、前記画像検出部を収容し、前記放射線が入射する前面、前記前面と対向する背面、および4つの側面を有する筐体であり、前記側面の少なくとも一部および前記背面の少なくとも一部に対して傾斜した傾斜部を有し、前記傾斜部の一端は前記側面と接し、前記一端と反対側の前記傾斜部の他端は前記背面に接する筐体と、前記筐体内に配置され、少なくとも前記放射線画像を電波で無線送信するためのアンテナと、前記背面を前記前面に向けて凹ませた凹部であり、電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部と、前記傾斜部に少なくとも一部が形成され、前記電波を透過させるためのアンテナ用開口部とを備える電子カセッテ。」と記載されているのを、「被写体を透過した放射線に基づき前記被写体の放射線画像を検出する画像検出部と、前記画像検出部を収容し、前記放射線が入射する前面、前記前面と対向する背面、および4つの側面を有する筐体であり、前記側面の少なくとも一部および前記背面の少なくとも一部に対して傾斜した傾斜部を有し、前記傾斜部の一端は前記側面と接し、前記一端と反対側の前記傾斜部の他端は前記背面に接する筐体と、前記筐体内に配置され、少なくとも前記放射線画像を電波で無線送信するためのアンテナと、前記背面を前記前面に向けて凹ませた凹部であり、電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部と、前記傾斜部に少なくとも一部が形成され、前記電波を透過させるためのアンテナ用開口部と、前記アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、電波透過性を有する非導電性材料で形成されるカバーとを備え、前記筐体は、導電性材料で形成され、前記放射線が前記被写体を透過する際に発生する散乱線を除去する外付けグリッドが着脱自在に取り付け可能であり、前記外付けグリッドは、前記前面を覆う天板部と、前記天板部の端縁に設けられ、前記前面側から前記背面側に延びて前記側面の一部を覆う側板部とを有し、前記側板部は、前記アンテナ用開口部を塞がず、前記バッテリが前記バッテリ装着部に装着された状態では、前記バッテリの上面が前記背面から露呈し、前記バッテリの前記上面と前記背面とが同一平面となり、前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置され、前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜部と平行となるよう配置されている電子カセッテ。」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2、5、7ないし9及び12ないし14も同様に訂正する)。

(訂正事項2)
特許請求の範囲の請求項2に「前記電波は、前記傾斜部を通じて送受信される請求項1に記載の電子カセッテ。」と記載されているのを、「前記電波は、前記傾斜部に形成された前記アンテナ用開口部を通じて送受信される請求項1に記載の電子カセッテ。」に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5、7ないし9及び12ないし14も同様に訂正する)。

(訂正事項3)
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(訂正事項4)
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

(訂正事項5)
特許請求の範囲の請求項5に「前記アンテナ用開口部の開口面積は、前記アンテナ用開口部と対向する前記アンテナの面の面積よりも大きい請求項3または4に記載の電子カセッテ。」と記載されているのを、「前記アンテナ用開口部の開口面積は、前記アンテナ用開口部と対向する前記アンテナの面の面積よりも大きい請求項1または2に記載の電子カセッテ。」に訂正する(請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項7ないし9及び12ないし14も同様に訂正する)。

(訂正事項6)
特許請求の範囲の請求項6を削除する。

(訂正事項7)
特許請求の範囲の請求項7に「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部との間に隙間を空けて配置されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子カセッテ。」と記載されているのを、「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部との間に隙間を空けて配置されている請求項1、2または5に記載の電子カセッテ。」に訂正する(請求項7の記載を直接的又は間接的に引用する請求項8、9及び12ないし14も同様に訂正する)。

(訂正事項8)
特許請求の範囲の請求項8に「前記アンテナ用開口部は、矩形状、円形状、楕円形状のうちのいずれかである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電子カセッテ。」と記載されているのを、「前記アンテナ用開口部は、矩形状、円形状、楕円形状のうちのいずれかである請求項1、2、5または7に記載の電子カセッテ。」に訂正する(請求項8の記載を直接的又は間接的に引用する請求項9及び12ないし14も同様に訂正する)。

(訂正事項9)
特許請求の範囲の請求項9に「前記アンテナ用開口部の開口面積は、前記傾斜部の面積よりも小さい請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電子カセッテ。」と記載されているのを、「前記アンテナ用開口部の開口面積は、前記傾斜部の面積よりも小さい請求項1、2、5、7または8に記載の電子カセッテ。」に訂正する(請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する請求項12ないし14も同様に訂正する)。

(訂正事項10)
特許請求の範囲の請求項10を削除する。

(訂正事項11)
特許請求の範囲の請求項11を削除する。

(訂正事項12)
特許請求の範囲の請求項12に「前記側面と前記傾斜部の境界である第1境界と、前記背面と前記傾斜部の境界である第2境界との間の距離である前記傾斜部の幅が、前記前面および前記背面と直交する前記筐体の厚み方向における前記側面の幅よりも広い請求項1ないし11のいずれか1項に記載の電子カセッテ。」と記載されているのを、「前記側面と前記傾斜部の境界である第1境界と、前記背面と前記傾斜部の境界である第2境界との間の距離である前記傾斜部の幅が、前記前面および前記背面と直交する前記筐体の厚み方向における前記側面の幅よりも広い請求項1、2、5、7、8または9に記載の電子カセッテ。」に訂正する(請求項12の記載を直接的又は間接的に引用する請求項13または14も同様に訂正する)。

(訂正事項13)
特許請求の範囲の請求項13に「撮影台のホルダに着脱自在にセット可能である請求項1ないし12のいずれか1項に記載の電子カセッテ。」と記載されているのを、「撮影台のホルダに着脱自在にセット可能である請求項1、2、5、7、8、9または12項に記載の電子カセッテ。」に訂正する(請求項13の記載を直接的又は間接的に引用する請求項14も同様に訂正する)。

(訂正事項14)
特許請求の範囲の請求項15を削除する。

(訂正事項15)
特許請求の範囲の請求項16を削除する。

(2)訂正の単位について
訂正前の請求項1ないし16について、請求項2ないし16はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正事項1ないし15は、訂正前に引用関係を有する請求項1ないし16に対して請求されたものである。
よって、本件訂正は、一群の請求項〔1-16〕に対して請求されている。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1は、
(ア)「前記アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、電波透過性を有する非導電性材料で形成されるカバー」を備えること、
(イ)「前記筐体は、導電性材料で形成され」ていること、
(ウ)「前記放射線が前記被写体を透過する際に発生する散乱線を除去する外付けグリッドが着脱自在に取り付け可能であり、前記外付けグリッドは、前記前面を覆う天板部と、前記天板部の端縁に設けられ、前記前面側から前記背面側に伸びて前記側面の一部を覆う側板部とを有し、前記側板部は、前記アンテナ用開口部を塞が」ないこと、
(エ)「前記バッテリが前記バッテリ装着部に装着された状態では、前記バッテリの上面が前記背面から露呈し、前記バッテリの前記上面と前記背面とが同一平面とな」ること、及び
(オ)「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置され、前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜部と平行となるよう配置されている」こと
を発明特定事項として追加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
訂正事項1により追加された発明特定事項である上記ア(ア)ないし(オ)(以下「特定事項(ア)」などという。)について検討する。
(ア)特定事項(ア)は、訂正前の請求項10の「前記アンテナ用開口部を塞ぐカバーを備える請求項1ないし9のいずれか1項に記載の電子カセッテ」との記載、訂正前の請求項11の「前記カバーは、電波透過性を有する非導電性材料で形成される請求項10に記載の電子カセッテ」との記載、及び、明細書段落【0043】の「カバー73は、電波透過性を有する樹脂等の非導電性材料で形成されている。カバー73は、アンテナ用開口部66と同一形状および同一サイズであり、アンテナ用開口部66に隙間なく嵌合される。」との記載に基づくものである。
(イ)特定事項(イ)は、明細書段落【0026】の「筐体16は例えば電磁波を遮蔽する金属(アルミやマグネシウムおよびこれらの合金等)やカーボン等の導電性材料で形成され、電子カセッテ10への電磁ノイズの侵入、および電子カセッテ10から外部への電磁ノイズの放射を防止する電磁シールドとしても機能する。」との記載に基づくものである。
(ウ)特定事項(ウ)は、訂正前の請求項15の「前記放射線が前記被写体を透過する際に発生する散乱線を除去する外付けグリッドが着脱自在に取り付け可能である請求項1ないし14のいずれか1項に記載の電子カセッテ」との記載、訂正前の請求項16の「前記外付けグリッドは、前記前面を覆う天板部と、前記天板部の端縁に設けられ、前記前面側から前記背面側に延びて前記側面の一部を覆う側板部とを有する請求項15に記載の電子カセッテ」との記載、及び、明細書段落【0054】の「側面23ではなく傾斜面65にアンテナ用開口部66を形成しているので、図6に示すように、側板部59でアンテナ用開口部66が塞がれることはない。」との記載に基づくものである。
(エ)特定事項(エ)は、明細書段落【0033】の「バッテリ装着部38の背面21からの深さもバッテリ33の厚みと略同じである。このため、バッテリ33がバッテリ装着部38に装着された図示の状態では、バッテリ33の上面が背面21から露呈し、バッテリ33の上面と背面21とが同一平面となる。」との記載に基づくものである。
(オ)特定事項(オ)は、訂正前の請求項3の「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置されている請求項1または2に記載の電子カセッテ」との記載、訂正前の請求項4の「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜部と平行となるよう配置されている請求項3に記載の電子カセッテ」との記載、明細書段落【0042】の「アンテナ75は、アンテナ用開口部66と対向する位置に配置されている。より詳しくは、アンテナ75は、アンテナ用開口部66の略中心に位置し、かつ、無線通信部30のアンテナ75の設置面30Aが傾斜面65と略平行となるよう配置されている。」との記載に基づくものである。

したがって、訂正事項1は、本件特許についての出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、上記アで示したように、特許請求の範囲を減縮するものであって特許請求の範囲を拡張するものではなく、当該訂正により訂正前の請求項1に係る発明のカテゴリー、対象及び目的を変更するものでもない。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。

(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項2は、「前記傾斜部を通じて送受信される」「電波」について、「前記傾斜部に形成された前記アンテナ用開口部を通じて送受信される」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
訂正事項2は、明細書段落【0039】の「傾斜面65には、電波を透過させるためのアンテナ用開口部66が形成されている」との記載に基づくものである。
したがって、訂正事項2は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、上記アで示したように、特許請求の範囲を減縮するものであって特許請求の範囲を拡張するものではなく、当該訂正により訂正前の請求項2に係る発明のカテゴリー、対象及び目的を変更するものでもない。
したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。

(3)訂正事項3、4、6、10、11、14及び15について
訂正事項3、4、6、10、11、14及び15は、それぞれ特許請求の範囲の請求項3、4、6、10、11、15及び16を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項3、4、6、10、11、14及び15は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(4)訂正事項5について
ア 訂正の目的の適否
(ア)訂正事項5は、特許請求の範囲の請求項5が引用する請求項の記載を、訂正前の「請求項3または4」から「請求項1または2」に変更するものである。
(イ)訂正前の請求項2ないし4の引用関係は、請求項4は請求項3を引用し、請求項3は請求項1又は2を引用し、請求項2は請求項1を引用するものであった。
(ウ)本件訂正により、請求項3及び4は削除され(訂正事項3及び4)、訂正前の請求項3及び4で新たに特定されていた発明特定事項は、請求項1に追加された(訂正事項1)。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)を整理すると、訂正前の請求項5は、請求項1を引用する請求項3を引用するもの、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用するもの、請求項1を引用する請求項3を引用する請求項4を引用するもの、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4を引用するもの、の4通りの引用関係を包含するものであったところ、訂正後の請求項5は、訂正前の引用関係でみると、請求項1を引用する請求項3を引用する請求項4を引用するもの、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4を引用するもの、の2通りの引用関係を包含するものとなった。
(オ)してみると、訂正事項5は、実質的に特許請求の範囲の請求項5が引用する請求項の記載を「請求項3または4」から「請求項4」に減縮するとともに、訂正後の請求項の記載との整合を取るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アで説示したとおり、訂正事項5は特許請求の範囲を減縮するものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(5)訂正事項7ないし9、12及び13について
訂正事項7は、特許請求の範囲の請求項7が引用する請求項の記載を、訂正前の「請求項1ないし6のいずれか1項」から「請求項1、2または5」に減縮し、訂正事項8は、特許請求の範囲の請求項8が引用する請求項の記載を、訂正前の「請求項1ないし7のいずれか1項」から「請求項1、2、5または7のいずれか1項」に減縮し、訂正事項9は、特許請求の範囲の請求項9が引用する請求項の記載を、訂正前の「請求項1ないし8のいずれか1項」から「請求項1、2、5、7または8」に減縮し、訂正事項12は、特許請求の範囲の請求項12が引用する請求項の記載を、訂正前の「請求項1ないし11のいずれか1項」から「請求項1、2、5、7、8または9」に減縮し、訂正事項13は、特許請求の範囲の請求項13が引用する請求項の記載を、訂正前の「請求項1ないし12のいずれか1項」から「請求項1、2、5、7、8、9または12項」に減縮するものであるから、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項7ないし9、12及び13は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

3 独立特許要件
本件においては、訂正前の全ての請求項1ないし16について特許異議の申立てがされているので、訂正事項1ないし15に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。

4 訂正の適否についてのまとめ
上記のとおり、訂正事項1ないし15に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-16〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
上記のとおり本件訂正が認められるから、請求項3、4、6、10、11、15及び16は削除された。そして、本件訂正後の請求項1、2、5、7ないし9及び12ないし14に係る発明(以下それぞれ請求項の番号に対応して「本件発明1」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1、2、5、7ないし9及び12ないし14に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

(本件発明1)
【請求項1】
被写体を透過した放射線に基づき前記被写体の放射線画像を検出する画像検出部と、
前記画像検出部を収容し、前記放射線が入射する前面、前記前面と対向する背面、および4つの側面を有する筐体であり、前記側面の少なくとも一部および前記背面の少なくとも一部に対して傾斜した傾斜部を有し、前記傾斜部の一端は前記側面と接し、前記一端と反対側の前記傾斜部の他端は前記背面に接する筐体と、
前記筐体内に配置され、少なくとも前記放射線画像を電波で無線送信するためのアンテナと、
前記背面を前記前面に向けて凹ませた凹部であり、電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部と、
前記傾斜部に少なくとも一部が形成され、前記電波を透過させるためのアンテナ用開口部と、
前記アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、電波透過性を有する非導電性材料で形成されるカバーとを備え、
前記筐体は、導電性材料で形成され、
前記放射線が前記被写体を透過する際に発生する散乱線を除去する外付けグリッドが着脱自在に取り付け可能であり、
前記外付けグリッドは、前記前面を覆う天板部と、
前記天板部の端縁に設けられ、前記前面側から前記背面側に延びて前記側面の一部を覆う側板部とを有し、
前記側板部は、前記アンテナ用開口部を塞がず、
前記バッテリが前記バッテリ装着部に装着された状態では、前記バッテリの上面が前記背面から露呈し、前記バッテリの前記上面と前記背面とが同一平面となり、
前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置され、前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜部と平行となるよう配置されている電子カセッテ。

(本件発明2)
【請求項2】
前記電波は、前記傾斜部に形成された前記アンテナ開口部を通じて送受信される請求項1に記載の電子カセッテ。

【請求項3】
(削除)

【請求項4】
(削除)

(本件発明5)
【請求項5】
前記アンテナ用開口部の開口面積は、前記アンテナ用開口部と対向する前記アンテナの面の面積よりも大きい請求項1または2に記載の電子カセッテ。

【請求項6】
(削除)

(本件発明7)
【請求項7】
前記アンテナは、前記アンテナ用開口部との間に隙間を空けて配置されている請求項1、2または5に記載の電子カセッテ。

(本件発明8)
【請求項8】
前記アンテナ用開口部は、矩形状、円形状、楕円形状のうちのいずれかである請求項1、2、5または7に記載の電子カセッテ。

(本件発明9)
【請求項9】
前記アンテナ用開口部の開口面積は、前記傾斜部の面積よりも小さい請求項1、2、5、7または8に記載の電子カセッテ。

【請求項10】
(削除)

【請求項11】
(削除)

(本件発明12)
【請求項12】
前記側面と前記傾斜部の境界である第1境界と、前記背面と前記傾斜部の境界である第2境界との間の距離である前記傾斜部の幅が、前記前面および前記背面と直交する前記筐体の厚み方向における前記側面の幅よりも広い請求項1、2、5、7、8または9に記載の電子カセッテ。

(本件発明13)
【請求項13】
撮影台のホルダに着脱自在にセット可能である請求項1、2、5、7、8、9または12項に記載の電子カセッテ。

(本件発明14)
【請求項14】
前記ホルダは、前記前面を覆う前板部と、
前記前板部と対向し、前記背面を覆う背板部とを有する請求項13に記載の電子カセッテ。

【請求項15】
(削除)

【請求項16】
(削除)

第4 取消理由の概要
請求項1ないし3、5ないし9及び12ないし14に係る特許に対して、当審が令和3年7月1日付け取消理由通知(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

請求項1ないし3、5ないし9及び12ないし14に係る発明は、本件特許に係る出願(原出願日 平成26年9月22日)前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、請求項1ないし3、5ないし9及び12ないし14に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

甲第1号証:特開2009-103609号公報(以下「甲1」という。)
甲第2号証:米国特許出願公開第2014/0270092号明細書(以下「甲2」という。)
甲第3号証:特開2013-13513号公報(以下「甲3」という。)
甲第4号証:特開2012-139257号公報(以下「甲4」という。)
甲第5号証:特開2012-154852号公報(以下「甲5」という。)
甲第6号証:特開2013-73111号公報(以下「甲6」という。)
甲第7号証:特開2012-44348号公報(以下「甲7」という。)
甲第8号証:特開2011-112923号公報(以下「甲8」という。)
甲第9号証:特開2000-347330号公報(以下「甲9」という。)
甲第10号証:特開2011-50736号公報(以下「甲10」という。)

第5 甲号証の記載
1 甲1について
(1)甲1には、以下の記載がある(下線は当審で付加した。以下同様。)。
(甲1-ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、カセッテ型放射線画像固体検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病気診断等を目的として、X線画像に代表される、放射線を用いて撮影された放射線画像が広く用いられている。
【0003】
こうした医療用の放射線画像は、従来スクリーンフィルムを用いて撮影されていたが、近年は、放射線画像のデジタル化が実現されており、例えば、被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートに蓄積させた後、この輝尽性蛍光体シートをレーザ光で走査し、これにより輝尽性蛍光体シートから発光される輝尽光を光電変換して画像データを得るCR(Computed Radiography)装置が広く普及している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。」

(甲1-イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述のように、現在普及しているCR用のカセッテは従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズに従ったサイズとなっており、ブッキーテーブル等もJIS規格サイズに合わせて作られている。このため、FPDについても、このJIS規格サイズに従ったカセッテに収納した形で用いることができれば、施設に設置されている既存の設備をFPDを用いた撮影に利用することができ、撮影手段としてFPDを導入する際の設備投資を最小限度に抑えることができる。
【0014】
しかしながら、特許文献5や特許文献6に記載されている構成では、筐体内部に高剛性部材や緩衝部材を配置しているため、検出器の筐体(ハウジング)の厚み(放射線入射方向の厚さ)を小さくすることが困難であるとともに、全体の重量も増加する結果となる。重量が増加すると、技師が検出器を持ち運ぶ際に負担となるのみでなく、検出器を誤って落下させた際の落下衝撃が増大する。このため内部に衝撃緩和構造体や空間スペースが必要となり、検出器のサイズが一層大型化するという悪循環となるとの問題がある。
【0015】
そこで、本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、画像データのデジタル化を達成するとともに、FPDであって、検出器全体の剛性(強度)を確保しつつ、CR用のカセッテとの互換性を有し、ポータブル撮影をすることが可能なカセッテ型放射線画像固体検出器を提供することを目的とするものである。」

(甲1-ウ)「【0029】
図1(a)は、本実施形態におけるカセッテ型放射線画像固体検出器(以下「カセッテ型検出器」と称する。)の斜視図である。また、図1(b)は、図1(a)のカセッテ型検出器の矢視A方向から見た正面図である。
【0030】
本実施形態におけるカセッテ型検出器1は、カセッテ型のフラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector:以下「FPD」と称する。)であり、カセッテ型検出器1は、照射された放射線を検出しデジタル画像データとして取得する検出器ユニット2(図4等参照)と、この検出器ユニット2を内部に収納するハウジング3とを備えている。
【0031】
図2は、本実施形態におけるハウジング3の分解斜視図である。図2に示すように、ハウジング3は、底面部41と側壁部42を有してほぼ箱型に形成されカセッテ型検出器1を撮影に用いる際に放射線入射側となる側に開口部48を有するバック部材4と、カセッテ型検出器1の放射線入射側に配置されたフロント部材5とを備えている。
【0032】
フロント部材5は、略矩形状に形成された放射線入射面部51と、この放射線入射面部51と一体的に構成された側壁部(曲げ立ち上がり部)52とを備えており、バック部材4と同様にほぼ箱型に形成されている。フロント部材5は、カセッテ型検出器1を撮影に用いる際に放射線入射側と反対側に開口部56を有し、バック部材4の開口部48を塞ぐ蓋として機能する。
【0033】
ハウジング3は、バック部材4とフロント部材5とを接合することにより一体となるようになっている。バック部材4とフロント部材5との接合手法は特に限定されず、例えばねじ止めすることにより接合してもよいし、接着固定してもよい。
【0034】
本実施形態において、ハウジング3の放射線入射方向の厚さは、最大で16mmとなるように構成されている。なお、ハウジング3の放射線入射方向の厚さ寸法は最大で16mmに限定されないが、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズ(15mm+1mmであり、かつ15mm-2mm)の範囲内に収まる寸法であることが好ましい。CR用のカセッテやブッキーテーブル等、既存の装置のほとんどがこのスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズに合わせて作られているため、ハウジング3の寸法をJIS規格サイズに合わせることにより、カセッテ型のFPDであるカセッテ型検出器1による撮影を行う場合でも既存の設備を利用することができる。」

(甲1-エ)「【0037】
ハウジング3を構成する部材のうち、少なくともフロント部材5は、カーボン繊維等を含む放射線透過率の高い材料によって形成されている。その形成手法は特に限定されないが、例えば、カーボン繊維にエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂を含浸させたシートであるカーボンプリプレグ(カーボン板の材料)をフロント部材5の形状に成型された型の上に積層し、これを高温高圧で焼き固めることにより、所望の形状とすることができる。
【0038】
また、本実施形態において、バック部材4は、例えばアルミニウム、マグネシウムのような軽金属で形成されている。なお、バック部材4を形成する材料は特に限定されず、例えばフロント部材5と同様にカーボン繊維等を含む材料によって形成されていてもよい。なお、フロント部材5やバック部材4の板厚は、例えばそれぞれ2mmとされる。
【0039】
バック部材4の長尺方向に直交する側の一端には、図2に示すように、側面から裏面にかけてバック側切り欠き部43が設けられており、フロント部材5の長尺方向に直交する側の一端であって、このバック側切り欠き部43に対応する側壁部52の位置には、フロント側切り欠き部53が設けられている。
【0040】
バック側切り欠き部43及びフロント側切り欠き部53の幅寸法は、後述する充電池25(図4等参照)の幅寸法よりも大きいことが好ましい。また、フロント側切り欠き部53はフロント部材5の端部から中央部に向かって8mm切り欠かれている。なお、フロント側切り欠き部53をフロント部材5の端部から中央部に向かってどの程度切り欠くかは特に限定されないが、6mm以上であることが好ましく、8mm以上であればさらに好ましい。
【0041】
本実施形態において、ハウジング3は、バック部材4とフロント部材5とを接合すると、バック側切り欠き部43とフロント側切り欠き部53とによって、後述する充電池25を出し入れ可能な取出し口31が形成されるようになっている。
【0042】
また、ハウジング3は、この取出し口31に嵌め込まれる蓋部材8を備えており、取出し口31に蓋部材8を嵌め込むことによってハウジング3の内部は密閉された空間となる。本実施形態において、蓋部材8は、例えば非導電性のプラスチック等の非導電性の材料によって形成されている。
【0043】
図3(a)は、図2における蓋部材8を矢視B方向から見た平面図であり、図3(b)は、図3(a)におけるC-C断面図である。図2及び図3(b)に示すように、蓋部材8は、バック側切り欠き部43に対応する側面部81及び下面部82とからなり、取出し口31の形状に合わせて側面視ほぼL字状となっている。なお、蓋部材8の形状はここに例示したものに限定されず、例えばコ字状等であってもよい。この場合には、フロント側切り欠き部及びバック側切り欠き部の形状もこれに対応する形状とする。
【0044】
図3(a)に示すように、蓋部材8の下面部82の側端面にはガイド用凸部83が設けられており、バック側切り欠き部43には、図2に示すように、このガイド用凸部83を案内するガイド用溝44が設けられている。蓋部材8は、ガイド用凸部83をガイド用溝44に沿ってスライドさせることにより取出し口31に嵌め込まれるように構成されている。なお、蓋部材8を取出し口31に嵌め込む構成は、ここに例示したものに限定されない。例えば、蓋部材の下面部とバック部材、又は上面部とフロント部材とをヒンジを介して接続し、ヒンジの軸を中心に蓋部材を回動させることにより取出し口に対して蓋部材が開閉可能となるように構成してもよい。
【0045】
また、蓋部材8の側面部81には、カセッテ型検出器1と外部の機器との間で無線により情報の送受信を行うためのアンテナ装置9が埋め込まれている。
【0046】
図2及び図3(a),(b)に示すように、アンテナ装置9には金属からなる平板状の一対の放射板91,92と、一対の放射板91,92を連結し、当該一対の放射板91,92に対して給電する給電部93とが設けられている。
【0047】
本実施形態において、一対の放射板91,92のうち、一方の放射板91は、正面視形状が台形となるように形成されており、他方の放射板92は、正面視形状がほぼ円形となるように形成されている。そして、給電部93は、一方の放射板91の上底部の略中央に接続されるとともに、他方の放射板92の一部と接続されている。給電部93によって連結されることで、一対の放射板91,92の間には、所定の間隙が形成されている。
【0048】
なお、アンテナ装置9の種類・形状は、ここに例示したものに限定されない。また、アンテナ装置9は蓋部材8の側面部81に埋め込まれている場合に限定されず、蓋部材8の外側や内側に貼付されていてもよい。ただし、アンテナ装置9は、金属やカーボン等の導電性材料からなる導電性部材に近接した位置に設けると受信感度や受信利得が低下することから、カーボン等の導電性材料で形成されているフロント部材5や金属等で形成されている各種電子部品22(図4等参照)からできるだけ離れた位置に設けることが好ましい。少なくとも6mm以上離れていることが好ましく、8mm以上であればさらに好ましい。
【0049】
この点、本実施形態では、蓋部材8の側面部81に設けられたアンテナ装置9は、カーボン繊維等の導電性材料を含んで形成されているフロント部材5から8mm以上離れた位置に配置されており、受信感度や受信利得が維持されている。」

(甲1-オ)「【0056】
また、検出器ユニット2には、外部装置との間で各種信号の送受信を行う通信部(図示せず)が設けられている。通信部は、例えば、検出パネル21から出力された画像信号を前述のアンテナ装置9を介して外部装置に転送したり、外部装置から送信される撮影開始信号等をアンテナ装置9を介して受信するようになっている。
【0057】
また、基台24上であって、検出器ユニット2をハウジング3の内部に収納した際に取出し口31に対応する位置には、カセッテ型検出器1を構成する複数の駆動部(例えば、後述する走査駆動回路16(図12参照)、信号読出し回路17(図12参照)、通信部(図示せず)、記憶部(図示せず)、充電量検出部(図示せず)、インジケータ55、検出パネル21等)に電力を供給する電力供給部として充電池25が設けられている。
【0058】
充電池25としては、例えばニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、小型シール鉛電池、鉛蓄電池等の充電自在な電池を適用することができる。また、充電池25に代えて、燃料電池等を適用してもよい。なお、電力供給部としての充電池25の形状、大きさ、個数、配置等は、図4等に例示したものに限定されない。
【0059】
充電池25は、基台24上の所定の位置に設置することにより前述の充電用端子45と電気的に接続されるようになっており、例えば、カセッテ型検出器1を外部電源と接続されるクレードル等の充電用装置(図示せず)に装着することによって充電用装置側の端子とハウジング3側の充電用端子45とが接続されて充電池25の充電が行われるようになっている。」

(甲1-カ)「【0094】
カセッテ型検出器1を撮影に使用する場合には、例えば、撮影対象である患者をベッドに寝かせ、ベッドと患者の身体との間にシンチレータ層211の設けられている側を上にしてカセッテ型検出器1を差し込み、撮影を行う。また、カセッテ型検出器1を既存のCR用のカセッテによる撮影の際に用いられるブッキーテーブル等にセットして使用することも可能である。
【0095】
特に、カセッテ型検出器1をベッドと患者の身体との間にシンチレータ層211の設けられている側を上にして差し込んで撮影を行うような場合、図5等に示したように、カセッテ型検出器1の放射線入射面部51が検出パネル21の第1のガラス基材214から離間する方向に凸となるように構成されており、本実施形態のように、放射線入射面部51と側壁部52とが一体的に形成されて放射線入射面部51の側壁部52との各稜角近傍部が曲面状に形成されていれば、カセッテ型検出器1をベッドと患者の身体との間に差し込み易くなる。
・・・
【0099】
以上のように、本実施形態によれば、ハウジング3の放射線入射方向の厚さが最大で16mmであり、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズの範囲内に収まる寸法であるため、カセッテ型のFPDであるカセッテ型検出器1による撮影を行う場合でもCR用のカセッテ用に設けられているブッキーテーブル等、既存の装置、設備を利用することができる。」

(甲1-キ)「【0109】
また、本実施形態では、アンテナ装置9が、導電性材料で形成されている部材(フロント部材5)から8mm以上離れた位置に配置されているので、アンテナ装置9の受信感度や受信利得を高く維持することができる。」

(甲1-ク)「【0110】
なお、本実施形態においては、ハウジング3がバック部材4とフロント部材5とから構成されている場合を例としたが、ハウジング3の構成はこれに限定されない。
【0111】
例えば、図14に示すように、ハウジング6が中空の筒状部材61とその両端部を閉塞する蓋部材62とから構成されているものでもよい。この場合、ハウジング6を構成する筒状部材61は、例えば、心材(型)の上にカーボン繊維を巻回して放射線入射面部611となる部分と側壁部612となる部分を構成し、放射線入射面部611の側壁部612との各稜角近傍部が曲面状になるように形状を整え、巻回したカーボン繊維の上に熱硬化性樹脂を流した上で、高温高圧で焼き固めることにより成型し、その後心材を抜き取ることによって形成する。
【0112】
ハウジング6をこのような構成とする場合には、一方の蓋部材62に電源スイッチ46、充電用端子45、インジケータ55及びアンテナ装置9を設ける。この場合、ハウジング6のうち筒状部材61についてはカーボン繊維によって一体的に形成することができるため、繋ぎ目がなく剛性及び密閉性の高いものとすることができるとともに、製造工程の簡易化を図ることができる。
【0113】
また、以下、図1(b)に示したカセッテ型検知器1の正面図と同様にカセッテ型検知器の変形例を正面図を示して説明する。
【0114】
本実施形態では、フロント部材5の放射線入射面部51の側壁部52との各稜角近傍部が曲面状に形成されている場合について説明したが、例えば図15に示すように、放射線入射面部51と側壁部52とを一体的に形成し、放射線入射面部51を側壁部52との各稜角近傍部から全面的に曲面状に形成することも可能である。
【0115】
この場合も、放射線入射面部51は第1のガラス基材214から離間する方向に凸とされるため、そのアーチ型構造により例えば患者の体重等の外部からの負荷による力がその面方向に分散され、撓みや変形を生じにくくなり、検出器全体の剛性(強度)が確保される。
【0116】
また、例えば図16に示すように、フロント部材5の放射線入射面部51だけでなく、バック部材4の底面部41の側壁部42との各稜角近傍部も曲面状に形成することも可能である。さらに、図示を省略するが、バック部材4の底面部41を、その側壁部42との各稜角近傍部から全面的に曲面状に形成することも可能である。
【0117】
このように形成して底面部42を第2のガラス基材213から離間する方向に凸とすることで、カセッテ型検知器を、放射線入射面51側からの押圧力のみならず底面部41側からの押圧力に対しても撓みや変形を生じにくくすることが可能となり、検出器全体の剛性(強度)が確保される。」

(甲1-ケ)「【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】図1(a)は、本実施形態に係るカセッテ型検出器を示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のカセッテ型検出器の矢視A方向から見た正面図である。
【図2】本実施形態におけるハウジングの分解斜視図である。
【図3】図3(a)は、蓋部材を図2における矢視B方向から見た正面図であり、図3(b)は、図3(a)のC-C断面図である。
【図4】図1(a)に示すカセッテ型検出器の内部構成を示す概略図である。
【図5】図4のD-D断面図である。
【図6】図4のE-E断面図である。
【図7】図4のF-F断面図である。
【図8】本実施形態における検出パネルを示す平面図である。
【図9】図8に示す検出パネルを矢視G方向から見た側面図である。
【図10】図8に示す検出パネルのH-H断面図である。
【図11】信号検出部を構成する光電変換部の1画素分の等価回路構成図である。
【図12】図11に示す光電変換部を二次元に配列した等価回路構成図である。
【図13】放射線入射面部を平板状に形成したカセッテ型検出器の例を示す斜視図である。
【図14】図1(a)に示すカセッテ型検出器の一変形例を示す斜視図である。
【図15】図1(a)に示すカセッテ型検出器の一変形例を示す正面図である。
【図16】図1(a)に示すカセッテ型検出器の一変形例を示す正面図である。


(甲1-コ)【図1】




(甲1-サ)【図2】




(甲1-シ)【図3】




(甲1-ス)【図4】




(甲1-セ)【図7】




(甲1-ソ)【図16】




(2)甲1に記載された発明
ア 上記(甲1-カ)の「カセッテ型検出器1を撮影に使用する場合には、例えば、撮影対象である患者をベッドに寝かせ、ベッドと患者の身体との間にシンチレータ層211の設けられている側を上にしてカセッテ型検出器1を差し込み、撮影を行う。(【0094】)」との記載によれば、「カセッテ型検出器1」は「患者」を「撮影対象」すなわち「被写体」とした撮影に使用されるものであり、その際、(甲1-ア)に記載された背景技術のように「被写体を透過した放射線(【0003】)」を検出することは明らかである。

イ 上記(甲1-エ)の「アンテナ装置9は蓋部材8の側面部81に埋め込まれている場合に限定されず、蓋部材8の外側や内側に貼付されていてもよい。(【0048】)」との記載から、蓋部材8の側面部81の内側にアンテナ装置9が貼付された態様が読み取れる。

ウ 上記(甲1-ク)の「以下、図1(b)に示したカセッテ型検知器1の正面図と同様にカセッテ型検知器の変形例を正面図を示して説明する。(【0113】)・・・例えば図16に示すように、フロント部材5の放射線入射面部51だけでなく、バック部材4の底面部41の側壁部42との各稜角近傍部も曲面状に形成することも可能である。(【0116】)」、及び(甲1-ケ)の「【図16】図1(a)に示すカセッテ型検出器の一変形例を示す正面図である。」との記載に鑑みれば、甲1の記載から、(甲1-ウ)ないし(甲1-キ)に記載された、図1(a)に示されたカセッテ型検出器に対して、バック部材4の底面部41の側壁部42との各稜角近傍部を曲面状に形成するように変更を加えた態様のカセッテ型検出器が読み取れる。

エ 上記アないしウを踏まえると、上記(甲1-ア)ないし(甲1-ソ)の記載から、甲1には、
「 被写体を透過した放射線を検出しデジタル画像データとして取得する検出器ユニット2と、この検出器ユニット2を内部に収納するハウジング3とを備えているカセッテ型検出器1であって、
ハウジング3は、底面部41と側壁部42を有してほぼ箱型に形成されカセッテ型検出器1を撮影に用いる際に放射線入射側となる側に開口部48を有するバック部材4と、カセッテ型検出器1の放射線入射側に配置されたフロント部材5とを備え、
フロント部材5は、カーボン繊維を含む放射線透過率の高い材料によって形成され、バック部材4は、アルミニウム、マグネシウムのような軽金属で形成されており、
フロント部材5は、略矩形状に形成された放射線入射面部51と、この放射線入射面部51と一体的に構成された側壁部52とを備えており、バック部材4と同様にほぼ箱型に形成され、カセッテ型検出器1を撮影に用いる際に放射線入射側と反対側に開口部56を有し、バック部材4の開口部48を塞ぐ蓋として機能し、
ハウジング3は、バック部材4とフロント部材5とを接合することにより一体となるようになっており、
バック部材4の底面部41の側壁部42との各稜角近傍部は曲面状に形成され、
バック部材4の長尺方向に直交する側の一端には、側面から裏面にかけてバック側切り欠き部43が設けられ、フロント部材5の長尺方向に直交する側の一端であって、このバック側切り欠き部43に対応する側壁部52の位置には、フロント側切り欠き部53が設けられ、バック部材4とフロント部材5とを接合すると、バック側切り欠き部43とフロント側切り欠き部53とによって、充電池25を出し入れ可能な取出し口31が形成されるようになっており、
基台24上であって、検出器ユニット2をハウジング3の内部に収納した際に取出し口31に対応する位置には、カセッテ型検出器1を構成する複数の駆動部に電力を供給する電力供給部として充電池25が設けられており、
また、ハウジング3は、この取出し口31に嵌め込まれる蓋部材8を備えており、蓋部材8は、非導電性のプラスチック等の非導電性の材料によって形成され、
蓋部材8の側面部81の内側には、カセッテ型検出器1と外部の機器との間で無線により情報の送受信を行うためのアンテナ装置9が貼付されており、検出パネル21から出力された画像信号をアンテナ装置9を介して外部装置に転送したり、外部装置から送信される撮影開始信号等をアンテナ装置9を介して受信するようになっており、蓋部材8の側面部81に設けられたアンテナ装置9は、カーボン繊維等の導電性材料を含んで形成されているフロント部材5から8mm以上離れた位置に配置されており、受信感度や受信利得が維持されている、カセッテ型検出器1。」
の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

2 甲2について
(1)甲2には、以下の記載がある。
(甲2-ア)「[0030] In FIGS. 1 and 2, an electronic cassette 2 is configured to have an image detection unit 10 and a portable housing 11 which accommodates the image detection unit 10. For example, the housing 11 is formed of a conductive resin. As illustrated in FIG. 1, a rectangular opening is formed on a front surface 12 of the housing 11 on which an X-ray is incident, and a transmission plate 13 serving as a top plate is attached to the opening. The transmission plate 13 is formed of a carbon material which is lightweight, highly rigid and extremely permeable to the X-ray.
[0031] In FIG. 2, a battery unit 15 which supplies power for driving the image detection unit 10 is mounted on a rear surface 14 of the housing 11 which opposes the front surface 12. The battery unit 15 is configured to have a battery 15a and a box-shaped battery case 15b which accommodates the battery 15a. A battery mounting unit 16 on which the battery unit 15 is detachably mounted is disposed on the rear surface 14. FIG. 2 illustrates a state where the battery unit 15 is mounted on the battery mounting unit 16 and the battery unit 15 is locked by a locking mechanism (not illustrated) so as not to fall out from the battery mounting unit 16. A connector 17 (refer to FIG. 3) is disposed in the battery unit 15 and a socket 18 (also refer to FIG. 3) is disposed in the battery mounting unit 16, respectively. When the battery unit 15 is mounted on the battery mounting unit 16, the connector 17 and the socket 18 are fitted and electrically connected to each other.
[0032] The battery mounting unit 16 is a concave portion in which the rear surface 14 is recessed toward the front surface 12 (refer to FIGS. 4 and 5). The battery mounting unit 16 is formed in the same shape and the same size as the planar shape and the planar size of the battery unit 15 so that the battery unit 15 is fitted thereto substantially without gap. The depth from the rear surface 14 of the battery mounting unit 16 is also substantially the same as the thickness of the battery unit 15. Therefore, when the battery unit 15 is mounted on the battery mounting unit 16, the upper surface of the battery unit 15 is exposed from the rear surface 14 and the upper surface of the battery unit 15 and the rear surface 14 are on the same plane. In FIGS. 4 and 5, the inner wall surface of the battery mounting unit 16 is illustrated by a two-dot chain line.
[0033] The housing 11 has a rectangular parallelepiped shape configured to have the front surface 12, the rear surface 14 and four side surfaces 19, 20, 21 and 22. The housing 11 has a size compliant with the international standard ISO4090: 2001 substantially the same as a film cassette, an IP cassette and a CR cassette. The electronic cassette 2 is set to be attachable to and detachable from a holder of an upright photographing stand or a decubitus photographing stand so that the electronic cassette 2 is held in a posture where an X-ray source for irradiating X-rays and the front surface 12 oppose each other. In addition to that the electronic cassette 2 is set on the upright photographing stand or the decubitus photographing stand, the electronic cassette 2 is sometimes used alone for a patient who cannot move on one's own, such as a patient who lies on one's back on a bed, an aged person or an emergency patient. Furthermore, since the electronic cassette 2 has substantially the same size as that of the film cassette, the IP cassette and the CR cassette, the electronic cassette 2 can be attached to the existing photographing stand for these cassettes. The electronic cassette 2 may not have the size which is compliant with the international standard ISO4090: 2001.
[0034] A handle 23 through which an operator's hand passes through when the operator carries the electronic cassette 2 is formed on an upper side portion of the side surface 19 side of the housing 11. In addition, an indicator 24 such as an LED is disposed to indicate power on/off of the electronic cassette 2 or a remaining amount of the battery unit 15. The housing 11 also functions as an electromagnetic shield to prevent intrusion of electromagnetic noises on the electronic cassette 2 and outward radiation of the electromagnetic noises from the electronic cassette 2.
[0035] In FIG. 3, the image detection unit 10 has a panel portion 30 and a circuit portion 31. The panel portion 30 has a thin film transistor (TFT) active matrix substrate 50 made of glass (refer to FIGS. 4 and 5, hereinafter, simply referred to as a TFT substrate). An imaging region 32 is formed in the TFT substrate 50. In the imaging region 32, multiple pixels 33 for accumulating charge corresponding to an irradiation dose of X-rays are arranged at a predetermined pitch in a matrix of n rows (x-direction)×m columns (y-direction). The n or m is an integer of two or more. For example, n or m≒2,000(当審注:原文では、「≒」は「=」の上に「?」). Array of the pixels 33 may not be square array as in the present embodiment, and may be honeycomb array.」
(当審訳:[0030] 図1及び図2において、電子カセッテ2は、画像検出部10と、画像検出部10を収容する可搬型の筐体11とで構成される。例えば、筐体11は導電性樹脂で形成されている。図1に示すように、X線が入射する筐体11の前面12には矩形状の開口が形成されており、開口には天板として透過板13が取り付けられている。透過板13は、軽量で剛性が高く、かつX線透過性が高いカーボン材料で形成されている。
[0031] 図2において、前面12と対向する筐体11の背面14には、画像検出部10を駆動するための電力を供給するバッテリユニット15が装着される。バッテリユニット15は、バッテリ15aと、バッテリ15aを収容する箱型のバッテリケース15bとで構成されている。背面14には、バッテリユニット15が着脱自在に装着されるバッテリ装着部16が設けられている。図2は、バッテリユニット15がバッテリ装着部16に装着されて、ロック機構(図示されていない)によりバッテリユニット15がバッテリ装着部16から抜けないようロックされた状態を示している。バッテリユニット15にはコネクタ17(図3参照)が設けられており、バッテリ装着部16にはソケット18(図3参照)が設けられている。バッテリユニット15がバッテリ装着部16に装着されたとき、コネクタ17とソケット18が嵌合して電気的に接続される。
[0032] バッテリ装着部16は、背面14を前面12に向けてへこませた凹部である(図4及び図5参照)。バッテリ装着部16は、バッテリユニット15がほぼ隙間なく収まるように、バッテリユニット15の平面形状及び平面サイズと同一形状及び同一サイズで形成されている。バッテリ装着部16の背面14からの深さもバッテリユニット15の厚みとほぼ同じである。このため、バッテリユニット15がバッテリ装着部16に装着されたときには、バッテリユニット15の上面が背面14から露呈し、バッテリユニット15の上面と背面14とが同一平面となる。図4及び5では、バッテリ装着部16の内壁面を2点鎖線で示している。
[0033] 筐体11は、前面12、背面14、並びに4つの側面19、20、21及び22からなる直方体形状を有する。筐体11は、フイルムカセッテやIPカセッテ、CRカセッテと略同様の国際規格ISO4090:2001に準拠した大きさである。電子カセッテ2は、X線を照射するX線源と前面12が対向する姿勢で保持されるよう、立位撮影台や臥位撮影台のホルダに着脱自在にセットされる。また、電子カセッテ2は、立位撮影台や臥位撮影台にセットされる他に、ベッドに仰臥する患者、あるいは高齢者や急病人など自力で動けない患者に対して単体で使用されることもある。さらに電子カセッテ2は、フイルムカセッテやIPカセッテ、CRカセッテと略同様の大きさであるため、これらのカセッテ用の既存の撮影台にも取り付け可能である。電子カセッテ2は、国際規格ISO4090:2001に準拠した大きさでなくともよい。
[0034] 筐体11の側面19側の上側部には、オペレータが電子カセッテ2を持ち運ぶ際に手が通される把手23が形成されている。さらに、電子カセッテ2の電源オン/オフやバッテリユニット15の残量を報せるためのLEDなどのインジケータ24が設けられている。筐体11は、電子カセッテ2への電磁ノイズの侵入、及び電子カセッテ2から外部への電磁ノイズの放射を防止する電磁シールドとしても機能する。
[0035] 図3において、画像検出部10はパネル部30と回路部31とを有する。パネル部30は、ガラス製の薄膜トランジスタ(TFT)アクティブマトリクス基板50(図4及び図5参照、以下、単にTFT基板という)を有する。TFT基板50には撮像領域32が形成されている。撮像領域32には、X線の到達線量に応じた電荷を蓄積する複数の画素33が、所定のピッチでn行(x方向)×m列(y方向)の行列状に配置されている。n、mは2以上の整数である。例えばn、m≒2000である。画素33の配列は、本実施形態のように正方配列でなくともよく、ハニカム配列でもよい。)

(甲2-イ)「[0038] In the TFT 35, a gate electrode is connected to a scanning line 36, a source electrode is connected to a signal line 37 and a drain electrode is connected to the photoelectric conversion unit 34, respectively. The scanning line 36 and the signal line 37 are wired in a latticed pattern. One common scanning line 36 is disposed for each one row of the pixels 33, and is disposed corresponding to the number of rows of the pixels 33 (corresponding to the n number of rows). In addition, one common signal line 37 is disposed for each one column of the pixels 33, and is disposed corresponding to the number of columns of the pixels 33 (corresponding to the m number of columns). The scanning line 36 is connected to a gate driver 38 and the signal line 37 is connected to a signal processing circuit 39.
[0039] The circuit portion 31 has the gate driver 38, the signal processing circuit 39 and a control unit 40. By driving the TFT 35 under the control of the control unit 40, the gate driver 38 causes the image detection unit 10 to perform an accumulation operation for accumulating signal charge corresponding to the irradiation dose of X-rays in the pixels 33, a reading-out operation for reading out the accumulated signal charge from the pixels 33, and a reset operation for clearing unnecessary charge accumulated in the pixels 33. In the accumulation operation, the TFT 35 is in a switched-off state, and during the state, the signal charge is accumulated in the pixels 33. In the reading-out operation, gate pulses G1 to Gn which simultaneously drive the TFTs 35 in the same row are sequentially generated from the gate driver 38 at predetermined intervals. Then, the scanning lines 36 are sequentially activated one row by one row, and the TFTs 35 connected to the scanning lines 36 are in a switched-on state one row by one row. The charge accumulated in the photoelectric conversion unit 34 of the pixels 33 is read-out by the signal line 37 in which the TFT 35 is in the switched-on state, and is input to the signal processing circuit 39.」
(当審訳:[0038] TFT35は、ゲート電極が走査線36に、ソース電極が信号線37に、そしてドレイン電極が光電変換部34にそれぞれ接続される。走査線36と信号線37は格子状に配線されている。共通の1本の走査線36が画素33の1行ごとに対して設けられ、画素33の行数分(n行分)設けられている。また、共通の1本の信号線37が画素33の1列ごとに対して設けられ、画素33の列数分(m列分)設けられている。走査線36はゲートドライバ38に接続され、信号線37は信号処理回路39に接続される。
[0039] 回路部31は、ゲートドライバ38、信号処理回路39及び制御部40を有している。ゲートドライバ38は、制御部40の制御の下にTFT35を駆動することにより、X線の到達線量に応じた信号電荷を画素33に蓄積する蓄積動作、画素33から蓄積された信号電荷を読み出す読み出し動作、及び、画素33に蓄積された不要電荷を掃き出すリセット動作を画像検出部10に行わせる。蓄積動作ではTFT35がオフ状態にされ、その間に画素33に信号電荷が蓄積される。読み出し動作では、同じ行のTFT35を一斉に駆動するゲートパルスG1?Gnが、ゲートドライバ38から所定の間隔で順次発生される。そして、走査線36が1行ずつ順に活性化され、走査線36に接続されたTFT35を1行分ずつオン状態とする。画素33の光電変換部34に蓄積された電荷は、TFT35がオン状態である信号線37により読み出されて、信号処理回路39に入力される。)

(甲2-ウ)「[0041] Each time the gate pulse is generated from the gate driver 38 and the TFTs 35 are in the switched-on state one row by one row, the pixel value of the pixels 33 for one row is recorded in the memory 41. If the entire rows are completely read-out, image data for displaying one sheet of the X-ray image is recorded in the memory 41. After the image data is read-out from the memory 41 and the control unit 40 performs various image processes, the image data is output to an external device such as a console through a communication unit 42. In this manner, the X-ray image of a patient is detected.
[0042] The communication unit 42 has an antenna and an oscillation circuit which generate a radio wave for radio communication, and a socket for wired communication, and can correspond to both of the radio communication and the wired communication. The communication unit 42 can communicate information of photographing conditions such as the X-ray image and an X-ray irradiation time period with the external device such as the console. The radio communication may employ optical communication using infrared rays without being limited to the radio wave.」
(当審訳:[0041] ゲートドライバ38からゲートパルスが発生されてTFT35を1行分ずつオン状態とするごとに、1行分の画素33の画素値がメモリ41に記録される。全行の読み出しが完了すると、1枚分のX線画像を表す画像データがメモリ41に記録される。この画像データがメモリ41から読み出され、制御部40で各種画像処理を施された後、通信部42を通じてコンソールなどの外部装置に出力される。こうして患者のX線画像が検出される。
[0042] 通信部42は、無線通信用の電波を発生するアンテナや発振回路、及び有線通信用のソケットを有し、無線通信、有線通信のどちらにも対応可能である。通信部42は、コンソールなどの外部装置との間で、X線画像やX線の照射時間といった撮影条件の情報を遣り取りする。無線通信は電波に限らず赤外線を用いる光通信を採用してもよい。)

(甲2-エ)「[0044] In FIG. 4, the panel portion 30 and a base 52 to which the circuit portion 31 is attached are arranged inside the housing 11 sequentially from the front surface 12 side. In the present embodiment, the TFT substrate 50 and the scintillator 51 which configure the panel portion 30 adopt an irradiation side sampling (ISS) method in which the TFT substrate 50 and the scintillator 51 are sequentially stacked and arranged when viewed from the front surface 12 side on which the X-ray is incident. The TFT substrate 50 is attached to a rear surface of the transmission plate 13. In this case, the TFT substrate 50 is caused to face the rear surface 14 side so that the imaging region 32 opposes the scintillator 51, and the X-ray transmitting the transmission plate 13 is irradiated from the opposite surface to the surface having the imaging region 32. On the other hand, a penetration side sampling (PSS) method may be adopted in which the scintillator 51 and the TFT substrate 50 are sequentially stacked and arranged. In addition, without using the scintillator 51, a direct conversion type panel portion using a conversion layer (amorphous selenium or the like) which directly converts the X-ray into the charge may be adopted.」
(当審訳:[0044] 図4において、筐体11内には、前面12側から順にパネル部30、基台52、それに取り付けられた回路部31が配置されている。本実施形態において、パネル部30を構成するTFT基板50とシンチレータ51は入射側サンプリング(ISS)方式を採用し、X線の入射する前面12側からみてTFT基板50、シンチレータ51の順に積層配置される。TFT基板50は透過板13の裏面に取り付けられている。この場合、TFT基板50は撮像領域32がシンチレータ51と対向するよう背面14側に向けられ、透過板13を透過したX線は、撮像領域32が形成された面と反対側の面から照射される。これとは逆に、シンチレータ51、TFT基板50の順に積層配置した浸透側サンプリング(PSS)方式を採用してもよい。さらに、シンチレータ51を用いず、X線を直接電荷に変換する変換層(アモルファスセレンなど)を用いた直接変換型のパネル部を用いてもよい。)

(甲2-オ)「[0046] The housing 11 is configured to have a front surface cover 60 and a rear surface cover 61. The front surface cover 60 and the rear surface cover 61 have a C-shaped cross-section in which four outer peripheral sides of a rectangular flat plate are bent at right angles. Bent portions in the outer periphery of the front surface cover 60 and the rear surface cover 61 configure the side surfaces 19 to 22, and the other portions configure the front surface 12 and the rear surface 14. The front surface cover 60 and the rear surface cover 61 are integrated in such a manner that the front surface cover 60 covers the rear surface cover 61 in a lid shape so as to surround the rear surface cover 61 whose size is slightly smaller than the size of the front surface cover 60.」
(当審訳:[0046] 筐体11は、前面カバー60及び背面カバー61で構成される。前面カバー60及び背面カバー61は、矩形状の平板の外周の4つの辺が直角に折り曲げられた断面C字状の形状を有する。前面カバー60及び背面カバー61の外周において折り曲げられた部分が側面19?22を構成し、それ以外の部分が前面12及び背面14を構成する。前面カバー60及び背面カバー61は、前面カバー60で前面カバー60よりも若干サイズが小さい背面カバー61を囲むように蓋状に覆うことで一体化される。)

(甲2-カ)「[0048] As illustrated in detail in FIG. 5, a chamfered portion 70 configured to have a surface tilted to the side surfaces 21 and 22 and the rear surface 14 is formed between the side surfaces 21 and 22 and the rear surface 14 which correspond to joints of the front surface cover 60 and the rear surface cover 61. In addition, similar to the chamfered portion 70, a chamfered portion 71 is formed between the side surfaces 21 and 22 and the front surface 12. These chamfered portions 70 and 71 allow the front surface 12, the side surfaces 21 and 22, and the rear surface 14 to be connected to each other by a smoothly curved surface having no corner. Therefore, the patient's contact feeling becomes softer. Although not illustrated, the chamfered portions 70 and 71 are also similarly formed between the side surfaces 19 and 20 and the rear surface 14, and between the side surfaces 19 and 20 and the front surface 12. In the following description, the chamfered portion 70 of the illustrated side surface will be described as an example. However, the following description is also similar to the chamfered portion 70 of the side surface (not illustrated).」
(当審訳:[0048] 図5にも詳しく示すように、前面カバー60と背面カバー61のつなぎ目にあたる側面21、22と背面14との間には、側面21、22及び背面14に対して傾斜した面で構成された面取り部70が形成されている。さらに、側面21、22と前面12との間にも、面取り部70と同様に面取り部71が形成されている。これら面取り部70、71により、前面12、側面21、22、及び背面14は、角がない滑らかな曲面でつながる。したがって患者への接触感覚はソフトになる。図示されていないが、側面19、20と背面14との間、及び側面19、20と前面12との間にも同様に面取り部70、71が形成されている。以下では、図示する側面の面取り部70を例に説明する。しかしながら、以下の説明は図示しない側面の面取り部70に対しても同様である。)

(甲2-キ)FIG.1




(甲2-ク)FIG.2




(甲2-ケ)FIG.3




(甲2-コ)FIG.4




(甲2-サ)FIG.5




(2)甲2に記載された発明
ア 上記(甲2-ケ)のFIG.3から、通信部42は、回路部31に含まれることが読み取れる。

イ 上記アを踏まえると、上記(甲2-ア)ないし(甲2-サ)の記載から、甲2には、
「 画像検出部10と、画像検出部10を収容する可搬型の筐体11とで構成される電子カセッテ2であって、
筐体11は導電性樹脂で形成されており、X線が入射する筐体11の前面12には矩形状の開口が形成されており、開口には天板として透過板13が取り付けられており、透過板13は、軽量で剛性が高く、かつX線透過性が高いカーボン材料で形成されており、
筐体11は、前面12、背面14、並びに4つの側面19、20、21及び22からなる直方体形状を有し、電子カセッテ2への電磁ノイズの侵入、及び電子カセッテ2から外部への電磁ノイズの放射を防止する電磁シールドとしても機能し、
筐体11は、前面カバー60及び背面カバー61で構成され、前面カバー60及び背面カバー61は、矩形状の平板の外周の4つの辺が直角に折り曲げられた断面C字状の形状を有し、前面カバー60及び背面カバー61の外周において折り曲げられた部分が側面19?22を構成し、それ以外の部分が前面12及び背面14を構成し、前面カバー60及び背面カバー61は、前面カバー60で前面カバー60よりも若干サイズが小さい背面カバー61を囲むように蓋状に覆うことで一体化され、
前面カバー60と背面カバー61のつなぎ目にあたる側面21、22と背面14との間には、側面21、22及び背面14に対して傾斜した面で構成された面取り部70が形成され、側面19、20と背面14との間にも同様に面取り部70が形成されており、
前面12と対向する筐体11の背面14には、画像検出部10を駆動するための電力を供給するバッテリユニット15が着脱自在に装着されるバッテリ装着部16が設けられており、バッテリ装着部16は、背面14を前面12に向けてへこませた凹部であり、バッテリ装着部16の背面14からの深さはバッテリユニット15の厚みとほぼ同じであるため、バッテリユニット15がバッテリ装着部16に装着されたときには、バッテリユニット15の上面が背面14から露呈し、バッテリユニット15の上面と背面14とが同一平面となり、
画像検出部10はパネル部30と回路部31とを有し、患者のX線画像を検出し、
通信部42は、回路部31に含まれ、無線通信用の電波を発生するアンテナや発振回路、及び有線通信用のソケットなどを有し、無線通信、有線通信のどちらにも対応可能であり、コンソールなどの外部装置との間で、X線画像やX線の照射時間といった撮影条件の情報を遣り取りし、
筐体11内には、前面12側から順にパネル部30、基台52、それに取り付けられた回路部31が配置されており、
X線を照射するX線源と前面12が対向する姿勢で保持されるよう、立位撮影台や臥位撮影台のホルダに着脱自在にセットされ、ベッドに仰臥する患者に対して単体で使用されることもある、電子カセッテ2。」
の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。

3 甲3について
(1)甲3には、以下の記載がある。
(甲3-ア)「【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置、バッテリユニット、給電ユニット、放射線画像撮影システム及びプログラムに係り、特に、バッテリユニットを着脱自在に保持する保持部を備えた放射線画像撮影装置、当該放射線画像撮影装置の保持部に着脱自在なバッテリユニットと給電ユニット、放射線画像撮影システム及び当該放射線画像撮影装置において実行されるプログラムに関する。」

(甲3-イ)「【0037】
図2に示すように、本実施の形態に係る電子カセッテ4は、筐体10を備えていて、筐体10の内部に放射線検出器(後述する放射線検出器13)等が収納されている。また、筐体10の側面10Aには、内部にバッテリユニット7を保持するために凹状に形成されたバッテリ保持部11が設けられている。バッテリ保持部11は、熱伝導性に優れた材料で形成された熱伝導部11Aを備えていて、熱伝導部11Aを介してバッテリユニット7と電子カセッテ4の発熱体とが接触する。熱伝導部11Aを形成する材料は、例えば、銅、金、銀、アルミニウム、マグネシウム合金等である。さらに、バッテリ保持部11の内表面には、バッテリユニット7を接続するための接続端子を有する接続部12が設けられている。
【0038】
本実施の形態では、バッテリユニット7は、電力供給電源8を備えるとともに電子カセッテ4に着脱自在に構成され、電力供給電源8から電子カセッテ4に電力を供給するユニットである。バッテリユニット7は、バッテリ保持部11の内部形状とほぼ同形状に形成されバッテリ保持部11の内部に収納可能な筐体7Aを備えていて、筐体7Aの内部に電子カセッテ4に電力を供給するための電力供給電源8等が収納されている。また、筐体7Aの側面7Bには、電子カセッテ4の接続部12を接続するための接続端子を有する接続部9が設けられている。バッテリユニット7がバッテリ保持部11に保持された状態において、バッテリユニット7の接続部9が電子カセッテ4の接続部12に接続されることで、各々の接続部9、12を介してバッテリユニット7から電子カセッテ4に対して電力が供給される。」

(甲3-ウ)「【0099】
図14は、第7の実施の形態に係る電子カセッテ4及びバッテリユニット80の概略斜視図である。
【0100】
筐体10はモノコック構造(望ましい材料としてはカーボン繊維の積層体)となっている。筐体10の強度を確保するために、図14に示すように、バッテリ保持部11DはX線入射側の反対側(裏面10C)の中央部にかかるように最小限の開口面積で凹状に配設されている。バッテリ保持部11Dは、熱伝導性に優れた材料で形成された熱伝導部11Eを備えていて、熱伝導部11Eを介してバッテリユニット80と電子カセッテ4の発熱体とが接触する。熱伝導部11Eを形成する材料は、上述した熱伝導部11Aの場合と同様に、例えば、銅、金、銀、アルミニウム、マグネシウム合金等である。さらに、バッテリ保持部11Dの内表面には、バッテリユニット80を接続するための接続端子を有する接続部12Aが設けられている。
【0101】
バッテリユニット80は、バッテリ保持部11Dの内部形状と同形状の板状の筐体81を備えていて、筐体81の内部に電力供給電源83等が収納されている。バッテリ保持部11Dにはバッテリユニット80を係止するための係止部11Fが設けられていて、バッテリユニット80はこの係止部11Fに係止されることよりバッテリ保持部11Dに保持される。また、筐体81の側面81Aには、電子カセッテ4の接続部12Aに接続される接続端子を有する接続部82が設けられている。さらに、バッテリユニット80がバッテリ保持部11に保持された状態において、バッテリユニット80の接続部82が電子カセッテ4の接続部12Aに接続されることで、各々の接続部12A、82を介してバッテリユニット80から電子カセッテ4に対して電力が供給される。
【0102】
第7の実施の形態に係る電子カセッテ4は、筐体10の裏面10Cに着脱可能にバッテリユニット7を保持するバッテリ保持部11Dが設けられているが、当該バッテリ保持部11Dの熱伝導部11Eが、放射線検出器13が有する電気回路(具体的には当該電気回路を搭載した信号処理基板24等)と接触しており、これにより、バッテリユニット7と電気回路とをバッテリ保持部11Dを介して熱結合させて電気回路からバッテリユニット7に熱を吸収させることで、電子カセッテ4の放熱機構を実現している。これにより、電子カセッテ4の内部の放熱を効果的に行うことができる。」

(甲3-エ)【図2】




(甲3-オ)【図14】




(2)甲3に記載された技術事項
上記(甲3-ア)ないし(甲3-オ)の記載から、甲3には、
「電子カセッテ4において、筐体10をモノコック構造とし、筐体10の強度を確保するために、バッテリユニット80を着脱可能に保持するバッテリ保持部11Dは、X線入射側の反対側(裏面10C)の中央部にかかるように最小限の開口面積で凹状に配設すること」
という技術事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

4 甲4について
(1)甲4には、以下の記載がある。
(甲4-ア)「【0001】
本発明は、可搬型放射線画像撮影装置を制御する撮影制御装置及び放射線画像撮影システムに関する。」

(甲4-イ)「【0033】
図3に示すように、バッテリ96Aは、電子カセッテ32に着脱可能となっている。図3(A)に示すように、カード型のバッテリ96Aの一辺を電子カセッテ32の凹部に接触させ(図3(A)の(1)も参照。)、該一辺に対向する辺を凹部に嵌め込むことにより(図3(A)の(2)も参照。)、バッテリ96A全体を電子カセッテ32の凹部に嵌め込む。そして、バッテリ96Aが凹部に嵌め込まれた状態で、バッテリ96Aが電子カセッテ32から容易に外れないようにロックをかけて装着する(図3(B)も参照。)。バッテリ96Aを電子カセッテ32から外すときには、上記と逆の操作をすればよい。なお、バッテリ96Aの形状や着脱方法は一例であり、これに限定されるものではない。」

(甲4-ウ)【図3】




(2)甲4に記載された技術事項
上記(甲4-ア)ないし(甲4-ウ)の記載から、甲4には、
「電子カセッテ32において、着脱可能となっているカード型のバッテリ96Aの一辺を電子カセッテ32の凹部に接触させ、該一辺に対向する辺を凹部に嵌め込むことにより、バッテリ96A全体を電子カセッテ32の凹部に嵌め込むこと」
という技術事項(以下「甲4技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

5 甲5について
(1)甲5には、以下の記載がある。
(甲5-ア)「【0001】
本発明は、放射線撮影用電子カセッテに用いられる電子カセッテ用充電器に関するものである。」

(甲5-イ)「【0032】
図2に示すように、電子カセッテ21の筐体27の背面には、バッテリパック28が着脱自在に取り付けられる取り付け部29が設けられている。バッテリパック28は、FPD26や通信部を駆動するための電力を供給するバッテリ31と、バッテリ31を収容する筐体32とからなるバッテリ収容体である。バッテリパック28の筐体32は、電子カセッテ21の偏平な筐体27に取り付けられるように薄型の平板状であり、平面形状は略矩形状をしている。」

(甲5-ウ)【図2】




(2)甲5に記載された技術事項
ア 上記(甲5-ウ)の【図2】から、取り付け部29が凹部であることが見て取れる。

イ 上記アを踏まえると、上記(甲5-ア)ないし(甲5-ウ)の記載から、甲5には、
「電子カセッテ21の筐体27の背面に、バッテリパック28が着脱自在に取り付けられる凹部である取り付け部29を設けること」
という技術事項(以下「甲5技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

6 甲6について
(1)甲6には、以下の記載がある。
(甲6-ア)「【0001】
本発明は、放射線画像検出装置に関する。」

(甲6-イ)「【0005】
電子カセッテには、典型的には、FPDに動作電力を供給するバッテリーが搭載される。バッテリーは、充電のため、あるいは充放電の繰り返しによる劣化に伴う交換のため、カセッテに対して着脱可能に構成される(例えば、特許文献1参照)。」

(甲6-ウ)「【0014】
図1に示すX線画像検出装置1は、いわゆる電子カセッテであって、FPD2、FPD2を支持する基台3、FPD2及び基台3を収納する筐体4と、FPD2に動作電力を供給するバッテリー5とを備えている。
【0015】
筐体4は、略矩形状の天板部10及び天板部10の四辺の縁部に立設された枠状の側壁部11を有するフロント部材12と、フロント部材12の底部開口を塞ぐバック部材13とで構成されている。フロント部12材及びバック部材13が互いに組み合わされることにより、遮光された箱型の閉空間が形成され、FPD2及び基台3は、閉空間に収納されている。」

(甲6-エ)「【0020】
筐体4の底部を構成するバック部材13には、詳細は後述するが、バッテリー収容部14が設けられており、バッテリー5は、このバッテリー収容部14に収容される。」

(甲6-オ)「【0033】
本X線画像検出装置1において、バッテリー収容部14は、バック部材13の一部がフロント部材12の天板部10側に突出するように成形されることによって形成された凹部として構成されている。なお、バッテリー収容部14は、バック部材13とは別に、同様の凹部を有するハウジング部材によって構成されてもよく、その場合には、バック部材13には、上記のハウジング部材が装着される適宜な開口部が設けられ、ハウジング部材は、接着等の適宜な手段によって、その開口部に装着される。」

(甲6-カ)【図1】




(甲6-キ)【図3】




(甲6-ク)【図11】




(2)甲6に記載された技術事項
上記(甲6-ア)ないし(甲6-ク)の記載から、甲6には、
「電子カセッテであるX線画像検出装置1において、筐体4を、略矩形状の天板部10及び天板部10の四辺の縁部に立設された枠状の側壁部11を有するフロント部材12と、フロント部材12の底部開口を塞ぐバック部材13とで構成し、着脱可能にバッテリー5を収容するバッテリー収容部14を、バック部材13の一部がフロント部材12の天板部10側に突出するように成形されることによって形成された凹部として構成すること」
という技術事項(以下「甲6技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

7 甲7について
(1)甲7には、以下の記載がある。
(甲7-ア)「【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。 図1は、本実施形態に係る無線X線撮影装置100の全体構成例を示す図である。本実施形態の無線X線撮影装置100は、X線センサ1、無線アクセスポイント6、エントリー装置10及び無線設定装置15を備えている。
【0012】
図1において、X線センサ1は、X線制御装置2の制御に従ってX線発生装置3から発生したX線を検知してデジタルX線画像データを生成する。X線インタフェース装置4は、X線制御装置2とスイッチングハブ7とを接続するためのものである。
【0013】
電波通信部5は、無線アクセスポイント6とIEEE802.11等による無線通信を実施する。無線アクセスポイント6は、電波通信部5と対向して電波方式により無線通信を実施するとともに、X線インタフェース装置4及び画像処理装置8とEthernet(登録商標)による通信を実施する。スイッチングハブ7は、Ethernetによって接続される機器をスター型で接続する。画像処理装置8は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)など、画像処理を行うものである。ディスプレイ装置9は、画像処理されたデジタルX線画像や操作画面を表示するものである。
【0014】
エントリー装置10は、IrDA(Infrared Data Association)など近距離無線通信に対応した装置であり、画像処理装置8とUSBなどにより接続されている。近距離無線通信部11は、エントリー装置10と近距離無線通信を行うためのものである。スイッチ12は、X線センサ1に備えられ、近距離無線通信を開始するためのものであり、バッテリパック13は、X線センサ1に電源を供給するためのものである。基幹ネットワーク14は、画像処理装置8を接続する院内LANなどである。また、無線設定装置15は、画像処理装置8上で動作するソフトウェアとして画像処理装置8に実装されている。」

(甲7-イ)【図1】




(2)甲7に記載された技術事項
ア 上記(甲7-イ)の【図1】から、矩形平板状のX線センサ1の背面における1つの角部近傍にバッテリパック13が設けられ、当該角部に対する対角近傍の側面に電波通信部5が設けられ、同側面の反対側の端部近傍に近距離無線通信部11が設けられていることが見て取れる。

イ 上記アを踏まえると、上記(甲7-ア)及び(甲7-イ)の記載から、甲7には、
「矩形平板状のX線センサ1の背面における1つの角部近傍にバッテリパック13を設け、当該角部に対する対角近傍の側面に電波通信部5を設け、同側面の反対側の端部近傍に近距離無線通信部11を設けること」
という技術事項(以下「甲7技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

8 甲8について
(1)甲8には、以下の記載がある。
(甲8-ア)「【0001】
本発明は、放射線を検出し、放射線画像を取得する放射線画像撮影装置に関するものである。」

(甲8-イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、デジタル放射線撮影装置の筐体は、金属製もしくはモールド筐体に電磁シールドを施したもので覆われている。これは、放射線撮影装置の剛性を確保しつつ、外部の電磁ノイズから放射線撮影装置内の電子回路を保護するためである。放射線撮影画像の画質低下は人体の健康に関わるため、電磁ノイズによる放射線画像の画質低下は防止しなくてはならない。
【0006】
しかし、上記筐体は外部からの電磁波を遮断してしまうため、筐体内にアンテナなどの無線通信部が配置されている場合、良好な無線通信を行うことは難しい。そのため、無線通信部近傍の筐体に開口部を空けて、良好な無線通信を確保する必要がある。開口部が大きいほど、良好な無線通信を確保することが出来るが、逆に、放射線撮影装置の剛性は損なわれてしまう。
【0007】
本願発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、放射線撮影装置の剛性を確保しつつ、良好な無線通信を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の放射線画像撮影装置は、放射線を検出し、画像信号に変換する放射線画像検出部と、前記画像信号を外部装置に無線送信する無線送信部と、前記放射線画像検出部と前記無線送信部とを覆う筐体とを有し、前記筐体の第一の側面に、前記無線送信部による無線送信を行うための第一の開口部と、前記第一の側面と隣接する前記筐体の第二の側面に、前記無線送信部による無線送信を行うための第二の開口部とが形成されていることを特徴とする。」

(甲8-ウ)「【0012】
図1は、本実施形態における電子カセッテの側面断面図である。図1に示す通り、本実施形態における電子カセッテは直方体形状となる。
【0013】
電子カセッテ10の筐体101は、放射線入射面側は、放射線透過率の高い材料101aで、それ以外の面は剛性を得るため金属筐体101bで構成されている。
【0014】
筐体101内には、放射線を検出し、画像信号に変換する放射線画像検出部として機能する放射線画像センサ102が配置されている。また、放射線画像センサ102の放射線入射面とは反対の面には、センサ保持板107が取り付けられている。センサ保持板107と放射線画像センサ101は制御回路部104などの電気基板の保護や後方散乱による画像劣化を抑制するための放射線遮蔽板108を介し、接合されている。
【0015】
放射線画像センサ102には、放射線に応じた電荷に変換するための変換素子と電荷に基づく電気信号を転送するためのスイッチ素子を有する画素が2次元状に複数配列されている。放射線画像センサ102には、フレキシブル回路基板105を介し画素からの電気信号を読み出すための読み出し回路部106が接続されている。
【0016】
読み出し回路部106と電気信号を制御する制御回路部104とは、不図示のケーブルで接続されている。無線送受信部用アンテナ103は、外部装置に画像信号を無線送信する無線送信部および無線受信部として機能する。尚、無線送受信部用アンテナ103の替わりに、主に、画像信号の送信に用いる無線送信用アンテナを用いても良い。
【0017】
無線送受信部用アンテナ103は、制御回路部104と図示にないケーブルで接続されている。
アンテナ放射特性を考慮すれば、前述したように本実施形態は金属筐体で構成されているため、無線送受信部用アンテナ103を非導電性カバーで覆い、筐体101から突起した構成で配置することが望ましい。
【0018】
しかしながら、このような構成では、電子カセッテの筐体剛性を確保しつつ、フィルムカセッテサイズと同等の外形寸法を実現することが難しい。そこで、本実施形態では無線送受信部用アンテナ103を放射線画像センサ102の放射線入射面とは反対の面に配置することで、フィルムカセッテサイズと同等の外形寸法に収めることを実現している。
【0019】
加えて、良好なアンテナ放射特性を得るために、無線送受信部用アンテナ103が配置されている近傍に非導電性の部材からなるアンテナカバー11,12(第一の非導電性部材、第二の非導電性部材)が筐体101の隣接する別々の面に構成されている。筐体101のアンテナカバー11,12が取り付け部分はアンテナの周波数Fの波長λの二分の一以上の長さの開口部となっている。
【0020】
例えば、無線送受信部用アンテナ103がマルチバンドアンテナの場合は、長い波長の二分の一以上の長さの開口部が必要となる。
【0021】
上述のように、筐体の第一の側面に第一の開口部を形成し、第一の側面に隣接する第二の側面に第二の開口部を形成することにより、良好な無線送信を行うことが可能となる。本実施形態では、筐体の二面が共有する稜線部101cを残した形状でアンテナ開口を設けることで筐体剛性を確保している。
【0022】
このような構成にすることで、アンテナの放射特性と筐体剛性を確保しつつ、装置の小型化(カセッテコンパチサイズ)を実現している。
【0023】
また、アンテナカバー11,12は遮光性を有した部材であり、外光による放射線画像センサ101への露光を防いでいる。
【0024】
図2(a)?(e)は、本実施形態におけるアンテナカバーの配置例を示す図である。 図2(a)は、電子カセッテ10の側面と放射線入射面とは反対側の面とにアンテナカバー11,12が設けられている。アンテナカバー11,12を外すと筐体稜線部は残したままその外側にアンテナカバー11,12は一体化した一体構造で構成されている。アンテナカバーを一体化することで部品点数を抑えることが出来る。
【0025】
図2(b)において、電子カセッテ10の側面と放射線入射面とは反対側の面とにアンテナカバー11,12が設けられており、それぞれが独立して筐体に構成されている例である。図2(a)に比べ、更に剛性が必要とされる場合や、より小型化(厚さ、狭額縁化)が可能になる。
【0026】
図2(c)は、電子カセッテ10のある角に隣接する2側面にアンテナカバー12,13が設けられており、それぞれが独立して筐体に構成されている例である。図2(b)に比べ、角部の剛性は劣るが、電子カセッテ10の背面側に例えば金属製の構造体が設置された場合には、良好なアンテナ放射特性を得ることが出来る構造となっている。
【0027】
図2(d)は、電子カセッテ10のある角に隣接する2側面と放射線入射面とは反対側の面とにアンテナカバー12,13,14が設けられており、それぞれが独立して筐体に構成されている例である。前述の例に比べ、剛性や小型化(特に狭額縁)では劣るが、アンテナ放射特性では良好な構造で、無線通信状態が良くない環境下では有効な構造となっている。
【0028】
図2(e)は、電子カセッテ10の側面と放射線入射面とは反対側の面とにアンテナカバー11,12が設けられている。また、アンテナカバー12とは別の側面にアンテナカバー13とそれに隣接し放射線入射面とは反対側の面とにアンテナカバー14が設けられている。アンテナを2箇所に配置し、前述例に比べアンテナ特性を更に向上させる構造で、アンテナ図2(b)の構造を2箇所に配置した例となっている。例えば、図2(b)と(c)を組み合わせた場合など、図2(a),(b),(c)を組み合わせいずれの構成でも良い。
【0029】
前述のアンテナカバーの配置例により、筐体稜線部の太さが異なるが、外形サイズに制限がない場合は、いずれの場合も落下などの衝撃にも耐えうる十分な剛性を確保できる太さからなる。
また、図2(c),(d),(e)は、図2(b)のようなアンテナカバー部を個別に設けた構造となっているが、図2(a)のようなアンテナカバーが一体化した構造でも良い。」

(甲8-エ)【図1】




(甲8-オ)【図2】




(2)甲8に記載された技術事項
上記(甲8-ア)及び(甲8-イ)の記載から、甲8には、
「放射線入射面側は放射線透過率の高い材料101aで、それ以外の面は剛性を得るため金属筐体101bで構成されている筐体101を有する直方体形状の電子カセッテ10において、外部装置に画像信号を無線送信する無線送信部および無線受信部として機能する無線送受信部用アンテナ103を、放射線画像センサ102の放射線入射面とは反対の面に配置し、良好なアンテナ放射特性を得るために、無線送受信部用アンテナ103が配置されている近傍の筐体101の隣接する別々の面に第一の開口部及び第二の開口部を形成し、非導電性の部材からなるアンテナカバー11,12を取り付けること」
という技術事項(以下「甲8技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

9 甲9について
(1)甲9には、以下の記載がある。
(甲9-ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば医療診断等のための放射線画像の撮影に用いられるカセッテ型放射線画像読取装置に関する。」

(甲9-イ)「【0085】また、これまでのカセッテ型放射線画像読取装置1は、図12及び図13に示すように、カセッテ固定体50,51に着脱可能にすることもできる。図12の実施の形態のカセッテ固定体50は、支持台50aにケース50bを取り付けて構成され、このケース50bにカセッテ型放射線画像読取装置1がセットされる。図13の実施の形態のカセッテ固定体51は、支持台51aに治具51bを取り付けて構成され、この治具51bにカセッテ型放射線画像読取装置1がセットされる。
【0086】このようにカセッテ型放射線画像読取装置1は、カセッテ固定体50,51にセットすることで駆動可能になるとともに、取り外してカセッテとして駆動可能であり、固定タイプで使用したり、取り外してカセッテとしても利用できる。」

(甲9-ウ)【図12】




(2)甲9に記載された技術事項
上記(甲9-ア)及び(甲9-ウ)の記載から、甲9には、
「カセッテ型放射線画像読取装置1を、支持台50aにケース50bを取り付けて構成されるカセッテ固定体50に着脱可能にし、固定タイプで使用したり、取り外してカセッテとしても利用できるようにすること」
という技術事項(以下「甲9技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

10 甲10について
(1)甲10には、以下の記載がある。
(甲10-ア)「【0012】
好適実施形態における医用イメージング・システム10は、ディジタル・ラジオグラフィ・イメージング・システム10であって、X線源12及び検出器14を含んでいる。図1に示すように、X線源12はガントリ16に装着されている。本実施形態の例では、ガントリ16は可動式であって、X線源12を撮像されている被検体18に関して適正に位置決めすることを可能にし、又はX線源12を撮像室から撮像室へと移動させることを可能にしている。選択随意で、ガントリ16は、ガントリを例えば床に結合させることにより固定的に装着される。図2を参照すると、イメージング・システム10はまた、X線源12と被検体18との間に配設されているコリメータ20を含み得る。イメージング・システム10はまた、ポジショナ(位置決め装置)22を含み得る。ポジショナ22は、X線源12及びコリメータ20に結合されている機械的な制御器であって、X線源12及びコリメータ20の位置決めを制御する。」

(甲10-イ)「【0023】
図3に示すように、可搬型検出器14はケース50を含んでいる。ケース50は、一対の側壁52及び54、底面56、並びに反対側の上面58を含むように形成されている。ケース50はまた、図面の紙面に平行な表面として示されている表カバー60及び反対側の裏カバー62を含んでいる。ケースはまた、表カバー60から裏カバー62まで延在するスロット64を含んでいる。動作時には、スロット64は、操作者が可搬型検出器14を運搬することを可能にする把手として作用する。明確に述べると、スロット64を用いて可搬型検出器14を装着し、運搬し且つ/又は保管することができる。各側壁、上面壁及び底面壁、並びに表カバー及び裏カバーが共にケース50を形成している。ケース50は、アルミニウム材又はグラファイト材のように軽量で原子番号(N)の小さい材料で製造され得る。グラファイトはアルミニウムよりも軽量であり、しかも剛性であってエネルギ吸収が小さい。」

(甲10-ウ)「【0027】
図5は、可搬型検出器14、及び該可搬型検出器14に結合されるように構成されている例示的なX線グリッド・アセンブリ90の上面遠近図である。本実施形態の例では、X線グリッド・アセンブリ90は、グリッド・ホルダ91及びX線グリッド93を含むように作製される。グリッド・ホルダ91は、X線グリッド93が検出器14に堅固に結合されることを可能にするように構成される。X線グリッド93は、散乱防止格子例えばBuckyグリッドであってもよいし、医用X線撮像に適した他の何らかのグリッドであってもよい。X線グリッド・アセンブリ90が検出器14に結合されるのを可能にするために、X線グリッド・アセンブリ90は、X線グリッド・ホルダ91が可搬型検出器14にスナップ嵌めされることを可能にする幾つかの特徴を含んでいる。図6(A)及び図6(B)に示すように、本実施形態の例では、X線グリッド・ホルダ91は、検出器ケース50に形成されたそれぞれのスロット94にスナップ嵌めされるように構成されている複数のタブ92を含んでいる。本実施形態の例では、スロット94は検出器ケース底面56に形成されている。図6(C)に示すように、X線グリッド・ホルダ91はまた、少なくとも2個の可撓性結合装置96を含んでいる。結合装置96は、X線グリッド・ホルダ91が検出器14に結合されるときに検出器ケース50から外向きに偏圧されるように構成されている。X線グリッド・アセンブリ90が検出器14に結合された後には、装置96は内向きに撓曲して、ケース50を少なくとも部分的に外側から包囲する。タブ92がスロット94に挿入されて、結合装置がケース50に適正に取り付けられると、X線グリッド90は検出器14に結合される。」

(甲10-エ)【図3】




(甲10-オ)【図5】




(甲10-カ)【図6(A)】




(甲10-キ)【図6(B)】




(甲10-ク)【図6(C)】




(2)甲10に記載された技術事項
ア 上記(甲10-エ)の【図3】を参照するに、上記(甲10-イ)の【0023】に記載された「一対の側壁52及び54、底面56、並びに反対側の上面58」は、「表カバー60及び反対側の裏カバー62」をそれぞれ前面及び背面とした場合には、いずれも側面に相当することから、以下では「底面56」を「側面56」と記載する。

イ 上記アを踏まえると、上記(甲10-ア)ないし(甲10-ク)の記載から、甲10には、
「ディジタル・ラジオグラフィ・イメージング・システム10の可搬型検出器14に結合されるように構成されているX線グリッド・アセンブリ90であって、グリッド・ホルダ91及びX線グリッド93を含み、X線グリッド・ホルダ91に、可搬型検出器14の検出器ケース50の側面56に形成されたそれぞれのスロット94にスナップ嵌めされるように構成されている複数のタブ92を設けること」
という技術事項(以下「甲10技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

第6 取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由についての当審の判断
1 本件発明1について
(1)甲1発明を主引用発明とする場合
ア 本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「被写体を透過した放射線を検出しデジタル画像データとして取得する検出器ユニット2」は、本件発明1の「被写体を透過した放射線に基づき前記被写体の放射線画像を検出する画像検出部」に相当する。

(イ)甲1発明の「フロント部材5」の「放射線入射面部51」は、本件発明1の「前記放射線が入射する前面」に相当する。

(ウ)甲1発明の「バック部材4」は「ほぼ箱型に形成され」、「フロント部材5は」「放射線入射面部51と一体的に構成された側壁部52とを備えており、バック部材4と同様にほぼ箱型に形成され、」「バック部材4の開口部48を塞ぐ蓋として機能し、」「バック部材4とフロント部材5とを接合することにより一体となる」ことから、甲1発明において「放射線入射面部51」と「底面部41」とが、互いに向かい合う位置関係にあることは明らかである。
よって、甲1発明の「底面部41」のうち、「側壁部42との各稜角近傍部」を除く部分(以下「中心部分」という。)は、本件発明1の「前記前面と対向する背面」に相当する。

(エ)甲1発明の「フロント部材5は」「ほぼ箱型に形成され、」「放射線入射面部51」は「略矩形状に形成され」ていることから、「この放射線入射面部51と一体的に構成された側壁部52」は、矩形の各辺に対応した4つの部分からなることは明らかである。
また、「フロント部材5は」「バック部材4の開口部48を塞ぐ蓋として機能し、」「バック部材4とフロント部材5とを接合することにより一体となる」ことから、「バック部材4」の「側壁部42」が「フロント部材5」の「側壁部52」と同様に矩形の各辺に対応した4つの部分からなり、「フロント部材5」の「側壁部52」と接合することは明らかである。
よって、甲1発明の「側壁部52」及び「側壁部42」は、本件発明1の「4つの側面」に相当する。

(オ)甲1発明の「底面部41の側壁部42との各稜角近傍部は曲面状に形成され」ていることから、「底面部41の各稜角近傍部」は、「底面部41」の中心部分及び「側壁部42」と異なる角度を有した面である。
よって、甲1発明の「曲面状に形成され」た「底面部41の側壁部42との各稜角近傍部」は、本件発明1の「前記側面の少なくとも一部および前記背面の少なくとも一部に対して傾斜した傾斜部」に相当し、本件発明1の「前記傾斜部の一端は前記側面と接し、前記一端と反対側の前記傾斜部の他端は前記背面に接する」を満たす。

(カ)甲1発明の「検出器ユニット2を内部に収納するハウジング3」は、本件発明1の「前記画像検出部を収容し」た「筐体」に相当する。

(キ)上記(イ)ないし(カ)の対比から、甲1発明の「バック部材4とフロント部材5とを接合することにより一体となるようになって」いる「ハウジング3」は、本件発明1の「前記画像検出部を収容し、前記放射線が入射する前面、前記前面と対向する背面、および4つの側面を有する筐体であり、前記側面の少なくとも一部および前記背面の少なくとも一部に対して傾斜した傾斜部を有し、前記傾斜部の一端は前記側面と接し、前記一端と反対側の前記傾斜部の他端は前記背面に接する筐体」に相当する。

(ク)甲1発明の「蓋部材8」は「ハウジング3」に「形成される」「取出し口31に嵌め込まれる」ものであるから、「蓋部材8の側面部81の内側に」「貼付され」た「アンテナ装置9」が、「ハウジング3」の内側にあることは明らかである。
また、甲1発明の「アンテナ装置9」は、「無線により情報の送受信を行うための」ものであるから、「電波」を送受信するものであることは、技術的に明らかである。
よって、甲1発明の「ハウジング3」に「形成される」「取出し口31に嵌め込まれる」「蓋部材8の側面部81の内側に」「貼付され」、「無線により」「検出パネル21から出力された画像信号を」「外部装置に転送」する「アンテナ装置9」は、本件発明1の「前記筐体内に配置され、少なくとも前記放射線画像を電波で無線送信するためのアンテナ」に相当する。

(ケ)甲1発明の「カセッテ型検出器1を構成する複数の駆動部に電力を供給する電力供給部として」の「充電池25」は、本件発明1の「電力を供給するバッテリ」に相当する。

(コ)甲1発明のその上に「充電池25が設けられて」いる「基台24」は、本件発明1の「バッテリ装着部」に相当する。

(サ)上記(ケ)及び(コ)を踏まえると、甲1発明の「検出器ユニット2をハウジング3の内部に収納した際に取出し口31に対応する位置に」「カセッテ型検出器1を構成する複数の駆動部に電力を供給する電力供給部として充電池25が設けられて」いる「基台24」と、本件発明1の「前記背面を前記前面に向けて凹ませた凹部であり、電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部」とは、「前記筐体に設けられ、電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部」で共通する。

(シ)甲1発明の「バック側切り欠き部43」は「側面から裏面にかけて」「設けられ」ることから、「曲面状に形成され」た「底面部41の」「稜角近傍部」にも設けられていることは明らかである。
また、甲1発明の「バック側切り欠き部43とフロント側切り欠き部53とによって」「形成される」「取出し口31に嵌め込まれる蓋部材8」は、「非導電性のプラスチック等の非導電性の材料によって形成され」ていることから、電波が透過することができることは明らかであって、「蓋部材8の側面部81に設けられたアンテナ装置9は、カーボン繊維等の導電性材料を含んで形成されているフロント部材5から8mm以上離れた位置に配置されており、受信感度や受信利得が維持されている」ことから、「蓋部材8」が「嵌め込まれる」「充電池25を出し入れ可能な取出し口31」が、「アンテナ装置9」の電波を透過させる機能を有していることは明らかである。
よって、甲1発明の「非導電性のプラスチック等の非導電性の材料によって形成され」た「蓋部材8」が「嵌め込まれ」た「充電池25を出し入れ可能な取出し口31」は、本件発明1の「前記傾斜面に少なくとも一部が形成され、前記電波を透過させるためのアンテナ用開口部」に相当する。

(ス)上記(シ)を踏まえると、甲1発明の「非導電性のプラスチック等の非導電性の材料によって形成され」た「取出し口31に嵌め込まれる蓋部材8」は、本件発明1の「前記アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、電波透過性を有する非導電性材料で形成されるカバー」に相当する。

(セ)上記(カ)を踏まえると、甲1発明の「ハウジング3」の「フロント部材5は、カーボン繊維を含む放射線透過率の高い材料によって形成され、バック部材4は、アルミニウム、マグネシウムのような軽金属で形成されて」いることは、本件発明1の「前記筐体は、導電性材料で形成され」ていることに相当する。

(ソ)甲1発明の「アンテナ装置9」が「蓋部材8の側面部81の内側に」「貼付されて」いることと、本件発明1の「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置され、前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜部と平行となるよう配置されている」こととは、「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置されている」ことで共通する。

(タ)甲1発明の「カセッテ型検出器1」は、「被写体を透過した放射線を検出しデジタル画像データとして取得する検出器ユニット2」を備えていることから、本件発明1の「電子カセッテ」に相当する。

(チ)上記(ア)ないし(タ)を踏まえると、本件発明1と甲1発明とは、

「 被写体を透過した放射線に基づき前記被写体の放射線画像を検出する画像検出部と、
前記画像検出部を収容し、前記放射線が入射する前面、前記前面と対向する背面、および4つの側面を有する筐体であり、前記側面の少なくとも一部および前記背面の少なくとも一部に対して傾斜した傾斜部を有し、前記傾斜部の一端は前記側面と接し、前記一端と反対側の前記傾斜部の他端は前記背面に接する筐体と、
前記筐体内に配置され、少なくとも前記放射線画像を電波で無線送信するためのアンテナと、
前記筐体に設けられ、電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部と、
前記傾斜部に少なくとも一部が形成され、前記電波を透過させるためのアンテナ用開口部と、
前記アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、電波透過性を有する非導電性材料で形成されるカバーとを備え、
前記筐体は、導電性材料で形成され、
前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置されている電子カセッテ。」

の発明である点において一致し、次の3点において相違する。

(相違点11)
アンテナの配置について、本件発明1においては、「前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜部と平行となるよう配置されている」のに対し、甲1発明においては、「取出し口31」の中心に位置していることは特定されておらず、「蓋部材8の側面部81の内側に」「貼付されて」いることから、設置面が側壁部42と平行となるように配置されている点。

(相違点12)
前記筐体に設けられ、電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部が、本件発明1においては、「前記背面を前記前面に向けて凹ませた凹部」であり、「前記バッテリが前記バッテリ装着部に装着された状態では、前記バッテリの上面が前記背面から露呈し、前記バッテリの前記上面と前記背面とが同一平面となる」のに対し、甲1発明においては、「検出器ユニット2をハウジング3の内部に収納した際に取出し口31に対応する位置に」「充電池25が設けられて」いる「基台24」であって、そのため「ハウジング3」の内部に設けられており、「充電池25」も「ハウジング3」の内部に設けられる点。

(相違点13)
本件発明1においては、「前記放射線が前記被写体を透過する際に発生する散乱線を除去する外付けグリッドが着脱自在に取り付け可能であり、前記外付けグリッドは、前記前面を覆う天板部と、前記天板部の端縁に設けられ、前記前面側から前記背面側に伸びて前記側面の一部を覆う側板部とを有し、前記側板部は前記アンテナ用開口部を塞がず」と特定されているのに対し、甲1発明においては、外付けグリッドに係る特定がされていない点。

イ 上記相違点11について検討する。
(ア)甲2ないし甲10の開示事項について検討する。
a 甲2発明は、筐体11が導電性樹脂で形成されていて電磁シールドとしても機能し、X線が入射する筐体11の前面12には矩形状の開口が形成されており、筐体11の側面19、20、21、22と背面14との間に傾斜した面で構成された面取り部70が形成されており、無線通信用の電波を発生するアンテナを有する通信部42を含む回路部31が、筐体11内に配置された基台52に取り付けられている電子カセッテ2を開示している。
しかしながら、甲2発明は、傾斜した面で構成された面取り部70にアンテナ用開口が形成されていることや、アンテナの設置面が傾斜した面で構成された面取り部70と平行であることを開示するものではない。

b 甲3技術事項ないし甲6技術事項は、筐体の背面にバッテリ装着用の凹部を備えた電子カセッテを開示しているが、筐体が側面及び背面に対して傾斜した傾斜部を有すること、アンテナ用開口を有すること、並びにアンテナの配置を開示するものではない。

c 甲7技術事項は、矩形平板状のX線センサ1の側面に電波通信部5及び近距離無線通信部11を設けることを開示している。
甲7技術事項の「電波通信部5」及び「近距離無線通信部11」は、それぞれ本件発明1の「アンテナ」に相当する。
側面に電波通信部5及び近距離無線通信部11を設けることから、甲7技術事項は、アンテナ用開口部の中心にアンテナを配置することを開示又は示唆しているといえる。
しかしながら、甲7技術事項は、矩形平板状のX線センサ1が側面及び背面に対して傾斜した傾斜部を有することを開示するものではない。

d 甲8技術事項は、無線送受信部用アンテナ103が配置されている近傍の筐体101の隣接する別々の面に第一の開口部及び第二の開口部を形成することを開示している。
甲8技術事項の「第一の開口部」及び「第二の開口部」は、それぞれ本件発明1の「アンテナ用開口部」に相当する。
無線送受信部用アンテナ103が配置されている近傍の筐体101の面に第一の開口部及び第二の開口部を形成することから、甲8技術事項は、アンテナ用開口部の中心にアンテナを配置することを開示又は示唆しているといえる。
しかしながら、甲8技術事項における筐体101の隣接する別々の面は、筐体101の側面又は背面のことであって、甲8技術事項は、筐体101が側面及び背面に対して傾斜した傾斜部を有することを開示するものではない。

e 甲9技術事項は、カセッテ固定体50に着脱可能なカセッテ型放射線画像読取装置1を開示しているが、カセッテ型放射線画像読取装置1の筐体が側面及び背面に対して傾斜した傾斜部を有すること、アンテナ用開口を有すること、並びにアンテナの配置を開示するものではない。

f 甲10技術事項は、X線グリッド・アセンブリ90のタブ92がスナップ嵌めされるスロット94が検出器ケース50の側面56に形成された可搬型検出器14を開示しているが、可搬型検出器14の筐体が側面及び背面に対して傾斜した傾斜部を有すること、アンテナ用開口を有すること、並びにアンテナの配置を開示するものではない。

g そうすると、甲2ないし甲10は、いずれも電子カセッテのアンテナの配置について、その設置面が筐体の側面及び背面に対して傾斜した傾斜部と平行となるよう配置することを開示していない。
また、甲2ないし甲10には、当該アンテナの配置を示唆する記載もない。

(イ)したがって、甲1ないし甲10に接した当業者といえども、上記相違点11に係る本件発明1の発明特定事項を容易に想到することができたとはいえない。

ウ よって、上記相違点12及び13について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2発明及び甲3技術的事項ないし甲10技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)甲2発明を主引用発明とする場合
上記(1)で検討したとおり、甲1ないし甲10は、いずれも本件発明1の発明特定事項に係るアンテナは設置面が筐体の側面及び背面に対して傾斜した傾斜部と平行となるよう配置されている構成を開示又は示唆していない。
したがって、甲2発明を主引用発明としても、本件発明1は、甲2発明、甲1発明及び甲3技術的事項ないし甲10技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本件発明1についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明、甲2発明及び甲3技術的事項ないし甲10技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本件発明2、5、7ないし9及び12なしい14について
本件発明2、5、7ないし9及び12なしい14は、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるところ、本件発明1が甲1発明、甲2発明及び甲3技術的事項ないし甲10技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないことは、上記1で検討したとおりであるから、本件発明2、5、7ないし9及び12なしい14も本件発明1と同じ理由により、甲1発明、甲2発明及び甲3技術的事項ないし甲10技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本件発明3及び6について
本件訂正により請求項3及び6は削除されたため、本件訂正前の請求項3及び6に係る取消理由の対象となる請求項は存在しない。

第7 取消理由通知書(決定の予告)で採用しなかった異議申立理由について
1 申立て理由1について
(1)申立人は、特許異議申立書において、申立て理由1として、本件特許発明1ないし16は、以下の点で発明の詳細な説明に記載したものでなく、その特許は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである旨主張している。
ア 本件特許発明1ないし16では、筐体が導電性部材で構成され、アンテナ用開口部に電磁波透過性を有する部材が配置され、グリッドが装着された状態でアンテナ用開口部が塞がれないことは特定されておらず、発明の課題を解決するための手段が反映されていない。

イ 本件特許発明1は、「前記背面を前記前面に向けて凹ませた凹部であり、電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部」との発明特定事項を有するが、バッテリ装着部に装着されるバッテリの形状が特定されていないので、撮影台のホルダに電子カセッテがセットできることが特定されておらず、発明の課題を解決するための手段が反映されていない。また、発明の詳細な説明には、背面を前面に向けて凹ませた凹部にバッテリが略隙間なく収まるように凹部とバッテリとが同一サイズで形成され、バッテリの上面が電子カセッテの背面に露呈し、バッテリの上面と電子カセッテの背面とが同一平面となることしか記載されていない。よって、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

ウ 本件特許発明2は、「前記電波は、前記傾斜部を通じて送受信される」との発明特定事項を有するが、発明の詳細な説明には、アンテナ用開口部を通して電波を送受信することしか記載されていないので、本件特許発明2は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

エ 本件特許発明3は、「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置されている」との発明特定事項を有するが、このような発明特定事項は、アンテナ75の位置をアンテナ開口部66から奥まった位置とする配置や、アンテナ75とアンテナ用開口部とが導電性材料で遮蔽される配置なども含み、つまり、電波EWの送受信を阻害する構成を含むため、発明の課題を解決するための手段が反映されていない。また、発明の詳細な説明には、アンテナ75をアンテナ開口部66の直近に配置することしか記載されていない。よって、本件特許発明3は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

オ 本件特許発明6は、「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置から外れた位置に配置されている」との発明特定事項を有するが、このような発明特定事項は、アンテナ75の位置をアンテナ開口部66から奥まった位置とする配置や、アンテナ75を導電性材料である背面21に対向する配置なども含み、電波EWの送受信を阻害する構成を含むため、発明の課題を解決するための手段が反映されていない。また、発明の詳細な説明には、アンテナ75をアンテナ開口部66の近傍に配置し、且つ、アンテナ開口部66に向けて配置することしか記載されていない。よって、本件特許発明6は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

(2)当審の判断
ア 上記(1)アについて
本件訂正により、請求項1において、「筐体は、導電性材料で形成され」、「アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、電波透過性を有する非導電性材料で形成されるカバー」「を備え」、「外付けグリッド」の「側板部は、前記アンテナ用開口部を塞が」ないことが特定された。
その結果、本件発明1、2、5、7ないし9及び12なしい14は、申立人が主張する発明の課題を解決するための手段が反映されたものとなった。

イ 上記(1)イについて
本件訂正により、請求項1において、「バッテリが前記バッテリ装着部に装着された状態では、前記バッテリの上面が前記背面から露呈し、前記バッテリの前記上面と前記背面とが同一平面とな」ることが特定された。
その結果、本件発明1は、撮影台のホルダにセットできることが明らかであり、申立人が主張する発明の課題を解決するための手段が反映されたものとなった。

ウ 上記(1)ウについて
本件訂正により、請求項2において、「前記電波は、前記傾斜部に形成された前記アンテナ開口部を通じて送受信される」ことが特定された。
その結果、本件発明2は、発明の詳細な説明に記載したものとなった。

エ 上記(1)エについて
本件訂正により、請求項3は削除されたため、申立ての対象となる請求項が存在しないものとなった。
しかしながら、本件訂正により、請求項1において、「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置され」と特定されたことから、本件発明1を対象として、上記(1)エの申立て理由について検討する。
本件特許の発明の詳細な説明の段落【0062】には、「アンテナ75の配置位置は、上記実施形態のアンテナ開口部66と対向する位置に限らない。例えば図10に示すように、無線通信部30を背面21側の奥まった位置に設け、アンテナ75をアンテナ開口部66から外れた位置に配置してもよい。」と記載されている。
以下に図10を示す。

本件訂正により、請求項1では「前記アンテナは、」「前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜部と平行となるよう配置されている」とも特定されていることから、本件発明1は、図10そのものに示されるアンテナの配置を包含するものではないが、段落【0062】の「無線通信部30を背面21側の奥まった位置に設け、アンテナ75をアンテナ開口部66から外れた位置に配置してもよい」との記載から、発明の詳細な説明には、アンテナをアンテナ開口部から奥まった位置に配置することも記載されている。
また、「放射線画像を電波で無線送信するため」というアンテナの技術的意義から見て、本件発明1は、アンテナから送信した電波がアンテナ開口部を通過できないような位置にアンテナを配置するものではないと解される。
したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載したものである。

オ 上記(1)オについて
本件訂正により、請求項6は削除されたため、申立ての対象となる請求項が存在しないものとなった。
なお、本件発明1、2、5、7ないし9及び12なしい14は、「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置され」ることを発明特定事項として含んでおり、「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置から外れた位置に配置されている」ことを発明特定事項とはしていない。

カ 以上のとおりであるから、申立人の申立て理由1によって、本件請求項1、2、5、7ないし9及び12なしい14に係る特許を取り消すことはできない。
また、本件訂正により、請求項3、4、6、10、11、15及び16は削除された。

2 申立て理由2について
(1)申立人は、特許異議申立書において、申立て理由2として、本件特許発明1ないし16は、以下の点で明確でなく、その特許は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである旨主張している。
ア 本件特許発明1の「前記背面を前記前面に向けて凹ませた凹部であり・・・バッテリ装着部」は、凹ませる前はおそらく平らであった背面を前面に向けて何らかの方法で凹ませるプロセスを経た結果を表現したかったのかもしれない。
しかし、本件特許の発明の詳細な説明の段落0026には、「筐体16は、X線が入射する前面20、前面20と対向する背面21、および4つの側面22、23、24、25で構成される直方体形状を有する。筐体16は例えば電磁波を遮蔽する金属(アルミやマグネシウムおよびこれらの合金等)やカーボン等の専電性材料で形成され、電子カセッテ10への電磁ノイズの侵入、および電子カセッテ10から外部への電磁ノイズの放射を防止する電磁シールドとしても機能する。」との記載があるに過ぎない。このような説明を参酌しても、背面21を構成する平らな導電性材料からなる部材を前面20に向けて凹ませるための具体的なプロセスは不明であるし、金属又はカーボン等で既に成形された平らな背面21を、バッテリを収容可能なように前面20に向けて凹ませることは、著しく困難である。
したがって、本件特許発明1の「前記背面を前記前面に向けて凹ませた凹部であり・・・バッテリ装着部」はその記載が不明確であり、よって、本件特許発明1は不明確である。

イ 本件特許発明1の「電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部」は、何に対して電力を供給するのかが不明であるので、本件特許発明1は不明確である。

ウ 本件特許発明1において、発明特定事項「前記筐体内に配置され、少なくとも前記放射線画像を電波で無線送信するためのアンテナ」、「前記背面を前記前面に向けて凹ませた凹部であり、電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部」および「前記傾斜部に少なくとも一部が形成され、前記電波を透過させるためのアンテナ用開口部」の相互の技術的な関係が何ら特定されておらず、各発明特定事項に係る技術的意義が不明であり、本件特許発明1は不明確である。

エ 本件特許発明1において、発明特定事項「前記背面を前記前面に向けて凹ませた凹部であり、電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部」が、解決すべき課題、即ち「使用環境によらず安定した無線通信を行うことが可能な電子カセッテを提供する」との関係でどのように機能するかについて不明であるので、この点でも本件特許発明1は不明確である。

オ 本件特許発明4の発明特定事項「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部の中心に位置し」は、アンテナとアンテナ用開口部との位置関係が不明であるので、本件特許発明4は不明確である。
ここで、本件特許の図5、6、8によれば、アンテナは相応の大きさ(面積)を有し、アンテナ用開口部の大きさ(面積)との関係で点とみなすことはできない。したがって、アンテナは、アンテナ用開口部の中心にも位置するし、中心以外にも位置することになるので、発明特定事項「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部の中心に位置し」は、アンテナとアンテナ用開口部との位置関係を特定していない。

(2)当審の判断
ア 上記(1)アについて
請求項1に記載された「前記背面を前記前面に向けて凹ませた凹部であり、電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部」は、記載どおりの意味として理解できるものであり、どのようなプロセスにより凹ませたかが特定されていないことによりバッテリ装着部の構成が不明瞭になるものではない。
したがって、本件発明1、2、5、7ないし9及び12なしい14は明確である。

イ 上記(1)イについて
バッテリ装着部は、電子カセッテの筐体に設けられていることから、バッテリ装着部に装着されるバッテリは、電子カセッテに電力を供給するものと解される。
したがって、本件発明1、2、5、7ないし9及び12なしい14は明確である。

ウ 上記(1)ウについて
「前記筐体内に配置され、少なくとも前記放射線画像を電波で無線送信するためのアンテナ」、「前記背面を前記前面に向けて凹ませた凹部であり、電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部」及び「前記傾斜部に少なくとも一部が形成され、前記電波を透過させるためのアンテナ用開口部」それぞれの電子カセッテにおける技術的意義は明らかである。
また、「アンテナ」及び「アンテナ用開口部」の相互の技術的な関係も明らかであるし、本件訂正により、請求項1では「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置され、前記アンテナ用開口部の中心に位置し」と特定されている。
そして、「アンテナ」及び「アンテナ用開口部」と「バッテリ装着部」との技術的な関係が特定されていないことにより、発明が不明確となるものではない。
したがって、本件発明1、2、5、7ないし9及び12なしい14は明確である。

エ 上記(1)エについて
「前記背面を前記前面に向けて凹ませた凹部であり、電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部」の電子カセッテにおける技術的意義は明らかであり、「使用環境によらず安定した無線通信を行うことが可能な電子カセッテを提供する」という課題との関係が特定されていないことにより、発明が不明確となるものではない。
したがって、本件発明1、2、5、7ないし9及び12なしい14は明確である。

オ 上記(1)オについて
本件訂正により、請求項4は削除されたため、申立ての対象となる請求項が存在しないものとなった。
しかしながら、本件訂正により、請求項1において、「前記アンテナは、・・・前記アンテナ用開口部の中心に位置し」と特定されたことから、本件発明1を対象として、上記(1)オの申立て理由について検討する。
アンテナが点とみなすことができない大きさを有することは技術常識であり、請求項1の「前記アンテナは、・・・前記アンテナ用開口部の中心に位置し」という特定事項は、アンテナがアンテナ開口部の中心のみに位置することを特定するものではなく、アンテナがアンテナ開口部の中心及びその付近の双方に位置している態様を排除するものとは解されない。
したがって、本件発明1、2、5、7ないし9及び12なしい14は明確である。

カ 以上のとおりであるから、申立人の申立て理由2によって、本件請求項1、2、5、7ないし9及び12なしい14に係る特許を取り消すことはできない。
また、本件訂正により、請求項3、4、6、10、11、15及び16は削除された。

第8 意見書における申立人の主張について
1 申立人は、令和3年6月18日提出の意見書において、主に以下の点を主張している。
(1)訂正発明1は、「前記アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、」「電波透過性を有する非導電性材料で形成されるカバーとを備え」との発明特定事項を有するが、アンテナ用開口部を塞ぐカバーの形状が特定されていないので、撮影台のホルダに電子カセッテがセットできるかどうかが不明である。したがって、訂正発明1には、発明の課題を解決するための手段が反映されていない。また、発明の詳細な説明(本件特許明細書の段落0043、0059)には、ベッドに仰臥する被写体Hとベッドの間に電子カセッテ10を差し入れる際にアンテナ用開口部がベッドに引っ掛かる等して作業の邪魔になることがないように、アンテナ用開口部を塞ぐカバーによって傾斜面が平坦面となることしか記載されていないので、訂正発明1は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

(2)「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜部と平行となるよう配置されている」という構成は、甲1の図1、図2、図3等および段落0048に記載された構成である。つまり、甲1の図1、図2、図3等には、取出し口31の中心付近にアンテナ装置9が配置された構成が記載され、段落0048には、蓋部材8の内側にアンテナ装置9を貼付することが記載されている。蓋部材8は、図2に記載されているように、その表側の面と裏側の面とは平行であるので、蓋部材8の内側にアンテナ装置9を貼付した構成では、蓋部材8の外側の面とアンテナ装置9とは平行である。
取消理由通知書に記載されているとおり、訂正発明1の発明特定事項である「前記傾斜部に少なくとも一部が形成され、前記電波を透過させるためのアンテナ用開口部」については、進歩性を生じさせるものではない。したがって、アンテナ用開口部の少なくとも一部(例えば、アンテナ用開口の1%)が傾斜部に形成された態様において、「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜部と平行となるよう配置されている」という構成は、甲1の図1、図2、図3等に記載された構成、即ち取出し口31の中心付近にアンテナ装置9が配置された構成に対して差異を有しない。

2 申立人の上記主張について検討する。
(1)上記1(1)の主張について
アンテナ用開口部を塞ぐカバーの形状に係る特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとの主張は、特許異議申立書には記載されていない新たな申立て理由であって、本件訂正により生じた申立て理由でもないから、採用することはできない。
なお、アンテナ用開口部にそれを塞ぐカバーが取り付けられていることによって、撮影台のホルダに電子カセッテがセットできなくなったり、被写体とベッドの間に電子カセッテを差し入れることができなくなったりするとはいえない。

(2)上記1(2)の主張について
申立人が主張するように、甲1の図1、図2、図3等に記載された構成、すなわち、蓋部材8の内側にアンテナ装置9を貼付した構成では、蓋部材8の外側の面とアンテナ装置9とは平行である。
しかしながら、アンテナ用開口部の少なくとも一部が傾斜部に形成された態様であっても、アンテナは蓋部材8の大部分を占める位置、すなわち傾斜部ではない側面と平行となるように配置されるのであって、傾斜部と平行となるよう配置されるものとはならない。
したがって、申立人の上記1(2)の主張は採用できない。

第9 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2、5、7ないし9及び12なしい14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、2、5、7ないし9及び12なしい14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項3、4、6、10、11、15及び16は上記のとおり本件訂正により削除されたことにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項3、4、6、10、11、15及び16に係る特許についての申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を透過した放射線に基づき前記被写体の放射線画像を検出する画像検出部と、
前記画像検出部を収容し、前記放射線が入射する前面、前記前面と対向する背面、および4つの側面を有する筐体であり、前記側面の少なくとも一部および前記背面の少なくとも一部に対して傾斜した傾斜部を有し、前記傾斜部の一端は前記側面と接し、前記一端と反対側の前記傾斜部の他端は前記背面に接する筐体と、
前記筐体内に配置され、少なくとも前記放射線画像を電波で無線送信するためのアンテナと、
前記背面を前記前面に向けて凹ませた凹部であり、電力を供給するバッテリが装着されるバッテリ装着部と、
前記傾斜部に少なくとも一部が形成され、前記電波を透過させるためのアンテナ用開口部と、
前記アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、電波透過性を有する非導電性材料で形成されるカバーとを備え、
前記筐体は、導電性材料で形成され、
前記放射線が前記被写体を透過する際に発生する散乱線を除去する外付けグリッドが着脱自在に取り付け可能であり、
前記外付けグリッドは、前記前面を覆う天板部と、
前記天板部の端縁に設けられ、前記前面側から前記背面側に延びて前記側面の一部を覆う側板部とを有し、
前記側板部は、前記アンテナ用開口部を塞がず、
前記バッテリが前記バッテリ装着部に装着された状態では、前記バッテリの上面が前記背面から露呈し、前記バッテリの前記上面と前記背面とが同一平面となり、
前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置され、前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜部と平行となるよう配置されている電子カセッテ。
【請求項2】
前記電波は、前記傾斜部に形成された前記アンテナ開口部を通じて送受信される請求項1に記載の電子カセッテ。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記アンテナ用開口部の開口面積は、前記アンテナ用開口部と対向する前記アンテナの面の面積よりも大きい請求項1または2に記載の電子カセッテ。
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
前記アンテナは、前記アンテナ用開口部との間に隙間を空けて配置されている請求項1、2または5に記載の電子カセッテ。
【請求項8】
前記アンテナ用開口部は、矩形状、円形状、楕円形状のうちのいずれかである請求項1、2、5または7に記載の電子カセッテ。
【請求項9】
前記アンテナ用開口部の開口面積は、前記傾斜部の面積よりも小さい請求項1、2、5、7または8に記載の電子カセッテ。
【請求項10】
(削除)
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
前記側面と前記傾斜部の境界である第1境界と、前記背面と前記傾斜部の境界である第2境界との間の距離である前記傾斜部の幅が、前記前面および前記背面と直交する前記筐体の厚み方向における前記側面の幅よりも広い請求項1、2、5、7、8または9に記載の電子カセッテ。
【請求項13】
撮影台のホルダに着脱自在にセット可能である請求項1、2、5、7、8、9または12項に記載の電子カセッテ。
【請求項14】
前記ホルダは、前記前面を覆う前板部と、
前記前板部と対向し、前記背面を覆う背板部とを有する請求項13に記載の電子カセッテ。
【請求項15】
(削除)
【請求項16】
(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-09-30 
出願番号 特願2019-77091(P2019-77091)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (A61B)
P 1 651・ 121- YAA (A61B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 遠藤 直恵  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
渡戸 正義
登録日 2020-04-03 
登録番号 特許第6686207号(P6686207)
権利者 富士フイルム株式会社
発明の名称 電子カセッテ  
代理人 特許業務法人小林国際特許事務所  
代理人 特許業務法人小林国際特許事務所  

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