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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C08L 審判 全部申し立て 2項進歩性 C08L 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C08L |
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管理番号 | 1379850 |
異議申立番号 | 異議2021-700067 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-01-21 |
確定日 | 2021-11-01 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6726011号発明「易解体性ホットメルト組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6726011号の請求項に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6726011号(請求項の数3。以下、「本件特許」という。)は、平成28年3月29日を出願日とする特許出願(特願2016-66293号)に係るものであって、令和2年6月30日に設定登録されたものである(特許掲載公報の発行日は、令和2年7月22日である。)。 その後、令和3年1月21日に、本件特許の請求項1?3に係る特許に対して、特許異議申立人である星正美(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。 (1)特許異議申立以降の経緯 令和3年 1月21日 特許異議申立書 同年 3月29日付け 取消理由通知書 同年 5月21日 意見書(特許権者) 同年 7月 8日付け 取消理由通知書(決定の予告) 同年 8月26日 電話応対(特許権者) 同年 8月26日 意見書(特許権者) (2)証拠方法 ア 申立人が、特許異議申立書に添付して提出した証拠方法は、以下のとおりである。 ・甲第1号証:特開2005-97360号公報 ・甲第2号証:特開2013-229324号公報 ・甲第3号証:特開2013-203961号公報 ・甲第4号証:特開2012-246375号公報 ・甲第5号証:国際公開2009/154251号 ・甲第6号証:特開2003-266600号公報 ・甲第7号証:特開2015-189871号公報 ・甲第8号証:特開平11-256123号公報 ・甲第9号証:特開2010-229286号公報 ・甲第10号証:国際公開第2016/002240号 ・甲第11号証:国際公開第2015/140943号 ・甲第12号証:特開2013-203991号公報 ・甲第13号証:特開2014-205781号公報 イ 特許権者が令和3年5月21日付けの意見書に添付して提出した証拠方法は、以下のとおりである。 ・乙第1号証:日本分析化学会高分子分析研究懇談会編、「高分子分析ハンドブック」、朝倉書店、1985年1月25日初版第1刷、第24?第27頁 第2 本件発明 特許第6726011号の特許請求の範囲の記載は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1?3に記載される以下のとおりのものである。(以下、請求項1?3に記載された事項により特定される発明を「本件発明1」?「本件発明3」といい、まとめて「本件発明」ともいう。また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。) 「【請求項1】 重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)100重量部に対して、 動粘度(40℃)が200?1000mm^(2)/sのパラフィンオイル(B)300?800重量部と、 軟化点が100℃以上の芳香族系石油樹脂(C)30?400重量部と、 非極性の粘着付与剤(D)30?600重量部と、を含み、 ポリプロピレンワックスを含まないことを特徴とする易解体性ホットメルト組成物。 【請求項2】 さらに、ポリエチレンワックスを含むことを特徴とする請求項1記載の易解体性ホットメルト組成物。 【請求項3】 芳香族系石油樹脂(C)が、α-メチルスチレン系共重合体であることを特徴とする請求項1又は2記載の易解体性ホットメルト組成物。」 第3 特許異議申立理由及び取消理由の概要 1 取消理由通知の概要 当審が令和3年3月29日付けの取消理由通知及び同年7月8日付けの取消理由通知書(決定の予告)で通知した取消理由の概要は、以下に示すとおりである。 (1)取消理由A(実施可能要件) 本件特許の発明の詳細な説明は、下記の点で、当業者が本件の請求項1?3に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえないから、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に適合するものではない。 よって、本件の請求項1?3に係る発明についての特許は、同法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものである。 記 本件発明1は、「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)」のように、「重量平均分子量」を発明特定事項とする発明であるところ、本件明細書の段落【0009】には、「当該(A)成分の重量平均分子量は、GPC法により測定した数値において、15万以上である必要があり、・・・であることが特に好ましい。」と、「重量平均分子量」を「GPC法により測定」することのみが記載されており、「GPC法」による「重量平均分子量」の具体的な測定条件については記載されていない。 本件明細書の段落【0021】には、実施例として、「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)」として「セプトン4055」を用いたことが記載され、「セプトン4055」の「重量平均分子量」が「23万」であることが記載されているが、甲第11号証?甲第13号証には、「セプトン4055」について大きく異なる「重量平均分子量」または「分子量」が記載されているから、本件発明1における発明特定事項である「スチレン系熱可塑性エラストマー」の「重量平均分子量」をどのようにして測定すれば再現可能に安定した値を得ることができるのか、当業者が実施できるように明確かつ十分に記載されているとはいえない。 本件発明1を直接的又は間接的に引用する本件発明2?3についても同様である。 (2)取消理由B(明確性) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1?3の記載は、同各項に記載された特許を受けようとする発明が、下記の点で明確とはいえないから、特許法第36条第6項第2号に適合するものでない。 よって、本件の請求項1?3に係る発明についての特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものである。 記 本件発明1は、「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)」のように、「重量平均分子量」を発明特定事項とする発明であるが、本件発明1にはその測定方法が特定されていない。また、本件明細書の発明の詳細な説明をみても、「重量平均分子量」の測定方法について「GPC法により測定」としか記載されていないし、また、技術常識からも明らかであるとはいえないため、「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)」であるか否かを当業者がどのように判断するのかは明らかではない。 そうすると、本件発明1の「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)」の記載は、測定条件について特定されておらず、また、本件明細書をみても「GPC法により測定」に関する測定条件は明らかではないから、本件発明1は明確であるとはいえない。 本件発明1を直接的又は間接的に引用する本件発明2?3についても同様である。 2 特許異議申立理由の概要 申立人が特許異議申立書に記載した申立理由の概要は、以下に示すとおりである。 (1)申立理由1(進歩性) 本件発明1?3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2?10号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、本件発明1?3に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)申立理由2(実施可能要件) 上記取消理由Aと同旨である。 (3)申立理由3(明確性) 上記取消理由Bと同旨である。 第4 本件明細書及び各甲号証に記載された事項 1 本件明細書に記載された事項 本件明細書には、以下の事項が記載されている。 (本a)「【技術分野】 【0001】 本願発明は、易解体性ホットメルト組成物に関する。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本願発明が解決しようとする課題は、ポリプロピレン樹脂に対しても、良好な密着性と易剥離性を有するとともに、組成物自体の弾力性に優れ、220℃の高温下に放置しても、粘度低下の変化率が小さく、十分な耐熱性を有する易解体性ホットメルト組成物を提供することにある。 ・・・ 【発明の効果】 【0007】 本願発明にかかる組成物は、ポリプロピレン樹脂に対して、良好な密着性と易剥離性を有するとともに、組成物自体の弾力性に優れ、220℃の高温下に放置しても、粘度低下の変化率が小さく、十分な耐熱性を有するという効果を有する。」 (本b)「【0009】 <SEEPSブロックコポリマー> 重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)は、本願発明にかかる組成物のベースポリマーとして用いられる。当該(A)成分の重量平均分子量は、GPC法により測定した数値において、15万以上である必要があり、15万以上40万未満であることが好ましく、15万以上30万未満であることがより好ましく、20万以上25万未満であることが特に好ましい。また、当該(A)成分の配合量としては、組成物全体に対して、1?50重量%配合することが好ましく、3?30重量%配合することがさらに好ましく、5?15重量%配合することが特に好ましい。この範囲内であることにより、組成物自体の弾性を維持したままで、被着体との密着性を向上させることができる。 【0010】 当該(A)成分のスチレン含有量としては、10?70重量%であることが好ましく、20?40重量%であることが特に好ましい。この範囲内であることにより、組成物を塗布する際の作業性が良好となり、また塗布した後の易解体性が向上する傾向がある。」 (本c)「【0011】 <パラフィンオイル> 動粘度(40℃)が100?1000mm^(2)/sのパラフィンオイル(B)は、本願発明にかかる組成物を、220℃程度の高温下に放置した際の、粘度低下の変化率を抑えるために用いられる。当該(B)成分は、比較的に高分子量の脂肪族系飽和炭化水素化合物であり、その動粘度としては、JIS K2283による40℃における測定値にて、100?1000mm^(2)/sである必要があり、200?800mm^(2)/sであることが好ましく、300?600mm^(2)/sであることがさらに好ましく、350?500mm^(2)/sであることが特に好ましい。また、同様に、100℃における測定値にて、15?45mm^(2)/sであることが好ましく、20?40mm^(2)/sであることがさらに好ましく、25?35mm^(2)/sであることが特に好ましい。この範囲内であることにより、組成物を塗布する際の作業性が良好となり、また粘度低下の変化率を抑えられることから、耐熱性が向上する傾向がある。当該(B)成分として適する市販品としては、ダイアナプロセスオイルPW-380(出光興産株式会社、商品名、動粘度(40℃):409mm^(2)/s、動粘度(100℃):31mm^(2)/s)がある。 【0012】 当該(B)成分の配合量としては、上記(A)成分100重量部に対して、300?2000重量部配合することが好ましく、400?1500重量部配合することがさらに好ましく、500?1000重量部配合することが特に好ましい。この範囲内において、配合することにより、組成物を塗布する際の作業性が良好となり、また粘度低下の変化率を抑えられることから、耐熱性が向上する傾向がある。 【0013】 また、当該(B)成分に加えて、塗布作業性や耐熱性を損なわない範囲において、動粘度が上記規格による40℃における測定値にて、100mm^(2)/s未満のパラフィンオイルを配合することもできる。この成分として適する市販品としては、ダイアナプロセスオイルPW-90(出光興産株式会社、商品名、動粘度(40℃):91mm^(2)/s、動粘度(100℃):11mm^(2)/s)がある。」 (本d)「【0014】 <芳香族系石油樹脂> 軟化点が100℃以上の芳香族系石油樹脂(C)は、本願発明にかかる組成物に、耐熱性を付与するために用いられる。軟化点としては、熱機械分析方法(TMA)により測定した数値において、100℃以上である必要があり、100℃?250℃であることが好ましく、120℃?200℃であることがより好ましく、140℃?180℃であることが特に好ましい。この範囲内であることにより、十分な耐熱性を付与できる上、組成物自体の弾性が向上する傾向がある。当該(C)成分として適する市販品としては、エンデックス155(イーストマンケミカルジャパン社、商品名、α-メチルスチレン系共重合体、軟化点:155℃)がある。 【0015】 当該(C)成分の配合量としては、上記(A)成分100重量部に対して、30?500重量部配合することが好ましく、50?400重量部配合することがさらに好ましく、70?300重量部配合することが特に好ましい。この範囲内において、配合することにより、組成物自体の弾性が良好なものとなる上、高温下における粘度低下の変化率を抑えられることから、耐熱性が向上する傾向がある。」 (本e)「【0016】 <粘着付与剤> 非極性の粘着付与剤(D)としては、水添テルペン樹脂、C5?C9水添脂環族系炭化水素樹脂、C5?C9水添変性脂環族系炭化水素樹脂、シクロペンタジエン系石油樹脂などが挙げられる。当該(D)成分の配合量としては、上記(A)成分100重量部に対して、10?600重量部配合することが好ましく、30?400重量部配合することがさらに好ましく、50?200重量部配合することが特に好ましい。この範囲内において、配合することにより、組成物に十分な粘着性を付与することができる上、高温下における粘度低下の変化率を抑制できる傾向がある。」 (本f)「【0017】 本願発明にかかる組成物においては、上記(A)?(D)成分を必須とするが、表面タック性を低下させるために、さらに、ポリエチレンワックスを配合してもよい。当該成分は、常温で固体の化学物質であり、その配合量としては、上記(A)成分100重量部に対して、1?100重量部配合することが好ましく、3?50重量部配合することがさらに好ましく、5?30重量部配合することが特に好ましい。この範囲内において、配合することにより、表面タック性を十分に低下させることができる上、ポリプロピレン樹脂に対する易解体性が良好なものとなる傾向がある。 【0018】 その一方で、本願発明にかかる組成物においては、ポリプロピレンワックスを含まない必要がある。当該成分を配合すると、仮に、被着体がポリプロピレンである場合は、親和性が良好となる反面、易解体性が悪化する傾向がある。」 (本g)「【0019】 その他の成分として、熱による劣化を防止するために、老化防止剤を配合することができる。当該成分としては、亜リン酸塩系、ナフチルアミン系、p-フェニレンジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン系、ビス・トリス・ポリフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダードフェノール系などの化合物が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、一次酸化防止剤のヒンダードフェノール系、二次酸化防止剤の亜リン酸塩系を併用したものが好ましい。当該成分として適する市販品としては、ノクラックTD(大内新興化学工業株式会社、商品名)、ノンフレックスRD(精工化学株式会社、商品名)、AL-122(共同薬品株式会社、商品名)が挙げられる。当該成分の配合量としては、上記(A)成分100重量部に対して、0.1?20重量部配合することが好ましい。0.1重量部未満では、熱劣化防止効果が十分ではなく、20重量部を超えて配合を行っても、それ以上効果が得られない。 【0020】 また、充填性、軽量化、流動性の調整などに加え、沈降防止のために、中空フィラーを配合することもできる。当該成分は、平均粒子径(重量による累積50%D50)が100μm以下、見かけ比重が1.0以下のガラスマイクロバルーン、パーライト、シリカバルーン、アルミナバルーン、カーボンバルーン、アルミノシリケートバルーンを使用することが好ましい。この範囲内において、配合することにより、外観不良が発生したり、本願発明にかかる組成物が溶融する際にフィラーが沈降したりするのを抑えることができる。」 (本h)「【実施例】 【0021】 <実施例及び比較例> 表1に示す配合において、2軸エクストルーダーにて220℃で十分に混練し、実施例及び比較例の易解体性ホットメルト組成物を得た。以下に、使用した原材料を示す。 SEEPSブロックコポリマー:セプトン4055(株式会社クラレ、商品名、重量平均分子量:23万、Mw/Mn:1.3) パラフィンオイル1:ダイアナプロセスオイルPW-380(出光興産株式会社、商品名、動粘度(40℃):409mm^(2)/s、動粘度(100℃):31mm^(2)/s) パラフィンオイル2:ダイアナプロセスオイルPW-90(出光興産株式会社、商品名、動粘度(40℃):91mm^(2)/s、動粘度(100℃):11mm^(2)/s) 芳香族系石油樹脂:エンデックス155(イーストマンケミカルジャパン社、商品名、α-メチルスチレン系共重合体、軟化点:155℃) 粘着付与剤:エスコレッツ5320(エクソンモービル社、商品名、水添脂環族系炭化水素樹脂、軟化点120℃?130℃) ポリエチレンワックス:サンワックスLEL250(三洋化成工業株式会社、商品名、軟化点(JIS K2207):124℃) ポリプロピレンワックス:AC-1089(ハネウェル社、商品名、滴点(ASTM D-3954):146℃) 老化防止剤:AL-122(共同薬品株式会社、商品名) 充填材:スコッチK37(住友スリーエム株式会社、商品名、中空ガラスバルーン、平均粒経D50(重量による50%積算値):40μm) 着色料:旭サーマルカーボン(旭カーボン株式会社、商品名、カーボンブラック) 【0022】 【表1】 ![]() 【0023】 また、実施例及び比較例にて得られた易解体性ホットメルト組成物について、以下の物性評価を行なった。この結果を表2に示す。 【0024】 <粘度変化率> 実施例又は比較例の易解体性ホットメルト組成物13mlを、ブルックフィールドBH型粘時計にて、220℃に加熱したセルに入れ、20分後にNo.29のスピンドルを挿入し、当該スピンドルを5rpmで回転させ、さらに20分後の値を測定値(粘度A)とした。 次に、易解体性ホットメルト組成物100gを、蓋が開放状態にある丸缶に入れ、220℃24時間静置し、同様に粘度を測定し、測定値(粘度B)とした。 そして、粘度Aに対する、粘度Bの変化率を算出した。±25%以内を○、これを超えるものを×と評価した。 【0025】 <PP解体性> 実施例又は比較例の易解体性ホットメルト組成物を220℃に加熱し、ポリプロピレン板状にφ10mmでビード状に塗付し、20℃まで冷却した。その後、直ちに手で当該ビード状の組成物を引っ張るようにして剥離させ、界面剥離するものを○、組成物が凝集破壊するものを×と評価した。 【0026】 <圧縮永久歪> 実施例又は比較例の易解体性ホットメルト組成物をφ27mm、高さ20mmに成形して、高さ方向に2枚の厚さ3mmのアルミ金属板間に挟持した。そして、高さ10mmまで圧縮し、80℃24時間静置した。その後、20℃にてアルミ金属板を除去して当該圧縮を開放し、開放後24時間の高さ(開放後高さ)をノギスにて測定した。圧縮永久歪(%)を次式により算出し、50%以下を○、50%超を×と評価した。 圧縮永久歪(%)=((20-開放後高さ)/10)×100 【0027】 【表2】 ![]() 」 2 各甲号証及び乙号証に記載された事項 (1)甲第1号証に記載された事項 甲第1号証には、以下の事項が記載されている。 (甲1a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 水添パラフィン系プロセスオイル、高分子量スチレン系ブロックコポリマー、ポリフェニレンエーテル樹脂または変性ポリフェニレンエーテル樹脂、酸化防止剤並びに非晶性ポリアルファオレフィンが配合されていることを特徴とするホットメルト組成物。 【請求項2】 水添パラフィン系プロセスオイルの配合量が40?90重量部、数平均分子量10万以上の高分子量スチレン系ブロックコポリマーの配合量が5?20重量部、ポリフェニレンエーテル樹脂または変性ポリフェニレンエーテル樹脂が0.5?10重量部、酸化防止剤の配合量が0.5?5重量部、非晶性ポリアルファオレフィンの配合量が1?10重量部であることを特徴とする請求項1記載のホットメルト組成物。 【請求項3】 酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤並びにヒンダートアミン系酸化防止剤を組み合わせたものが配合されていることを特徴とする請求項1および2記載のホツトメルト組成物。 【請求項4】 JISK6262の規定に準じる測定方法による圧縮永久歪みが、50%圧縮の状態で、100℃、24時間後において70%以下であることを特徴とする請求項1、2並びに3記載のホットメルト組成物。」 (甲1b)「【0001】 本発明はホットメルト組成物に関するものであり、詳しくは難接着性のポリオレフィン系樹脂素材にも充分な接着性を有し、かつ密着性、シール性などに優れ、解体性のあるホットメルト組成物に関する。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本発明は上記のような課題、即ち、従来の接着剤、ホットメルト型シール材などの欠点であった、ポリオレフィン系樹脂素材に対する接着性、密着性を向上し、熱劣化性を向上するとともに、各種の機器、装置などの故障時の修理の際に組み立てられていた部品などを容易に取り出しできる、あるいは各種の設備、装置などを廃棄する際に使用されていた素材などを簡便に分離して、資源として素材ごとに回収することができるホットメルト組成物を開発することにある。 【0009】 上記のような課題を解決するために、鋭意研究開発した結果、水添パラフィン系プロセスオイル、高分子量スチレン系ブロックコポリマーおよびポリフェニレンエーテル樹脂または変性ポリフェニレンエーテル樹脂、酸化防止剤並びに非晶性ポリアルファオレフィンの配合されたホットメルト組成物により、所定の目的を達成することができた。 【発明の効果】 【0010】 従来、ポリオレフィン系樹脂素材から加工された部品、部材などを接着したり、シールする場合には接着性、密着性に不安が残されていたが、本発明になるホットメルト組成物はポリオレフィン系樹脂素材あるいはポリオレフィン系プライマー処理基材に対する密着性に優れるため、問題なく接着、シールなどを行うことができる。 また、高温下に置かれても劣化することがないため、電気分野、自動車分野、その他加熱装置、熱処理装置などの分野に使用される種々の装置や部品の組み立て部、接合部などの接着剤、シール材として使用された場合に長期間安定したシール性能、接合性能などを保持することができる。 更に、接合部、シール部等における解体性に優れるため、各部材、部品ごとに容易に解体して、修理したり廃棄あるいは資源リサイクルをすることできるようになつた。このため解体が難しかった此れまでに比較して利便性を著しく向上することができた。」 (甲1c)「【0011】 水添パラフィン系プロセスオイルは軟化、粘度調整、動粘度性、流動点等を確保するために配合されるもので、流動点が-20?-5℃、粘度指数が100以上、100℃における動粘度が5?35mm^(2)/Sのものが適合している。 水添パラフィン系プロセスオイルの全体に対する配合量は40?90重量部が、硬さ、粘度、流動性などの点から適している。40重量部以下では配合物が硬くなるほか、粘度も高くなり使用に適さない。一方90重量部以上ではオイルブリート量が大きくなり好ましくない。 なお、水添パラフィン系プロセスオイル以外のオイルでは耐熱老化性が悪いため使用に適さない。 【0012】 高分子量スチレン系ブロックコポリマーとしては、好ましくは数平均分子量が10万以上のものが適合し、具体例として、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン-エチレン-1ブテン-スチレン(SEBS)ブロック共重合体、スチレン-イソブチレン-スチレン(SIBS)ブロツク共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)ブロック共重合体、ポリ(α-メチル-スチレン)-ポリブタジエン-ポリ(α-メチル-スチレン)、ポリ(α-メチル-スチレン)-ポリイソプレン-ポリ(α-メチル-スチレン)、並びにこれらの水素添加変性物、例えばポリ(α-メチル-スチレン)-ポリ(エチレン-1ブテン)-ポリ(α-メチル-スチレン)、ポリ(α-メチル-スチレン)-ポリ(エチレン-プロピレン)-ポリ(α-メチル-スチレン)がある。市販品としてはクラレ社製のセプトン4055等がある。 【0013】 高分子量スチレン系ブロックポリマーの配合量は、全体に対して5?20重量部の範囲で好適に選択することができる。5重量部以下は配合物にゴム弾性が得られないため適さない。また20重量部以上では溶融粘度が高くなりすぎるため適さない。 ・・・ 【0017】 また、その他に、ホットメルト組成物に被着体に対する適度の接着性、密着性を付与するために粘着付与樹脂が必要により配合される。該粘着付与樹脂の具体例としてテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンおよび水添ロジン樹脂、石油樹脂および水添石油樹脂が単独もしくは混合物として用いられる。 また、充填材としてはタルク、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタンなど塗料、接着剤に使用する一般的な充填材が硬さ調整、コストダウンなどの目的として適宜用いられる。 更にホットメルトの粘度調整としてオレフィン系やパラフィン系などのワックスなども適宜配合される。 【0018】 オレフイン樹脂素材への密着付与の目的で配合される非晶性ポリアルファオレフィン(以下APAOと略称)は特殊触媒を用いて、プロピレン単独あるいはプロピレンとエチレンやブテン-1を共重合して得られる比較的低分子量の非晶性ポリオレフィンであって、共重合組成並びに分子量調整による自由度が大きく品質が安定したものが得られる。 該APAOには、190℃における溶融粘度が0.4?9Pa・s、環球法軟化点が80?160℃、針入度計による針入度が10?45dmm、動的粘弾性の測定によるガラス転移温度(Tg)が-40?0℃のものがあり、それらの中から適宜選定して使用される。 配合量は、1?10重量部の範囲で好適に選択することができる。1重量部以下ではオレフィン樹脂への密着が弱く、所望する密着性は得られない。また、10重量部を越えて配合してもオレフィン樹脂への密着性は向上余地がなくなる反面、耐熱性の低下などを引き起こすため適当ではない。 【0019】 本発明では耐熱性を確保するために酸化防止剤が配合される。 酸化防止剤としては、銅系酸化防止剤、銅塩系酸化防止剤、ハロゲン化銅系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ヒンダートアミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、芳香族アミン、キレート化剤からなる金属不活性化剤等から選ばれるものが使用され、好ましくはフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダートアミン系酸化防止剤の混合系の使用が好ましいことが確認されている。」 (甲1d)「【実施例】 【0031】 以下、実施例、比較例により本発明を説明する。 なお、表中の数字は各重量部を表すもので、本発明は当然ながら実施例に制約されるものではない。 実施例、比較例 下記の各材料を表1及び表2に示すとおり配合して実施例1?7、比較例1?9のホツトメルト組成物を調製した。配合物を200℃に加温された双腕加熱型ニーダーを用いて均一に分散するまで溶解し、調製した。 1水添パラフィン系プロセスオイル:出光興産社製 品番PW-90、流動点-15℃、粘度指数108、100℃における動粘度11.25mm^(2)/S 2高分子量スチレン系ブロックコポリマー:クラレ社製 品番セプトン4055、数平均分子量が約25万のSEPS系 3ポリフェニレンエーテル樹脂:日本GEプラスチック社製、SA-120、数平均分子量約2,000 4粘着付与樹脂1:イーストマンケミカル社製、エンデックス155、スチレン系 5粘着付与樹脂2:トーネクス社製、E-5320、DPCD系 6APAO1:ハンツマン社製、RT-2730、プロピレン/ブテン-1共重合タイプ、R&B軟化点107℃ 7APAO2:ハンツマン社製、RT-2115、プロピレンホモタイプ、R&B軟化点152℃ 8フェノール系老化防止剤:共同薬品社製、GA-80 9リン系老化防止剤:チバ・ガイギー社製、イルガフォス168 10アミン系老化防止剤:旭電化工業製、LA-63P 【0032】 【表1】 ![]() 【0033】 【表2】 ![]() 【0034】 【表3】 ![]() 【0035】 前記の実施例、比較例の物性評価は以下の方法によって行った。 1.破壊状態の観察 破壊状態 200℃に加熱したホットガン中で予め溶融し、5mm厚のポリプロピレン樹脂(以下PPと略称)板上にφ3mmのビ-ド状に塗布し、直ちに別の5mm厚のPP板を重ね合わせたのち、23℃雰囲気下に24時間、養生させた試験体からビードを強制的に手で剥離して破壊状態を観察する。 ホットメルト部分で破壊したものを凝集破壊、被着体の表面で破壊したものを界面破壊とする。 破壊状態 含水率7%以下のコンクリート表面にオレフィン系水系プライマー(日本製紙ケミカル社製、スーパークロン S-750)を100g/cm2塗布したのち、23℃雰囲気下に48時間養生後、200℃に加熱したホットガン中で予め溶融し、φ3mmのビード状に塗布した後、23℃雰囲気下に24時間、養生後、ビードを強制的に手で剥離して破壊状態を観察する。 ホットメルト部分で破壊したものを凝集破壊、被着体の表面で破壊したものを界面破壊とする。 2.解体性 直径27mm、高さ20mmの円柱状に成形したホットメルト成形物の高さ方向を厚みが10mmのPP板とポリカーボネート樹脂板の間に挟み、厚み10mmまで圧縮した状態で保持したまま、100℃乾燥機中で30日間放置したのち、圧縮状態を開放し、両板を手で外側に強制的 に開いた際に、両板とホツトメルト成形物とが容易に解体できるかどうか観察する。容易に解体できた場合を○、解体できない場合を×とした。 3.シール性 シール性の確認のため、各配合物をノードソン社製バルクメルター(吐出温度設定200℃)にて、厚さ3mm×巾100mm×長さ100mmのガラス板上の周囲に沿って5mmφのビード状に塗布した後、同寸法のガラス板を圧着し、2.5mmまで圧縮、固定する。 80℃×5日間放置後、取り出し、3mmまで戻した後、水中に浸漬し、水漏れの有無を観察し、水漏れがない場合を○、水漏れがある場合を×とした。 4.圧縮永久歪み 各種配合物をφ27×高さ20mmの円柱状に成形したものについてJISK6262の規定に準じて、50%圧縮の状態で、100℃、24時間後の圧縮永久歪みを測定した。 5.オイルブリード 各種配合物をφ27×高さ20mmの円柱状に成形したものについて75%圧縮した状態で100℃雰囲気下に168時間静置後、圧縮を開放し、ブリードしたオイルをウエスにて拭き取り、その重量を測定した。 ブリードしたオイルの重量として圧縮前シール材の重量に対し1%未満の場合を○、1%以上の場合を×とした。 6.熱老化性 各種配合物を蓋付き200mlスチール缶に100g投入後、蓋をしめた状態で220℃雰囲気下に48時間静置後、スチール缶よりホットメルト組成物を抜き取り、200℃におけるホットメルト組成物の溶融粘度を測定する。熱老化前の粘度に対し、粘度低下率が30%未満の場合を○、30%以上の場合を×とした。 7.アプリケーター吐出性 ノードソン社製ブロックタイプアプリケーターHM-3900Mを用い、タンク内に十分な量のホットメルト組成物を投入し、設定条件200℃として通電4時間後に吐出可能か否か調査した。 判定基準として3g/秒以上の吐出の可否とし、可能な場合を○、不可能な場合を×とした。」 (2)甲第2号証に記載された事項 甲第2号証には、以下の事項が記載されている。 (甲2a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 燃料電池シール体の接着層に使用する液状のゴム組成物であって、下記の(A)?(C)を含有することを特徴とするゴム組成物。 (A)少なくとも液状ゴムを含有するゴム成分。 (B)有機過酸化物からなる架橋剤。 (C)レゾルシノール系化合物、メラミン系化合物、アルミネート系カップリング剤およびシランカップリング剤からなる群から選ばれた少なくとも一つの接着成分。」 (甲2b)「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 上記特許文献1に記載の燃料電池用接着性シール部材は、ゴム成分中に練り込んだ接着剤成分と、金属セパレータとが水素結合により接着するため、シール性の点では非常に優れている。しかしながら、上記ゴム成分中に練り込んだ接着成分が、汎用の金型に対しても接着し、金型が汚染するという問題がある。この対策として、表面をテフロン(登録商標)コーティング処理した金型を使用することも考えられるが、耐久性が悪く、また接着成分の汚染が徐々に進むため、金型を清掃する必要があり、自動化が困難で、コストが高く、量産性の点で改良の余地がある。 【0007】 本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、金型汚染がなく、低コストで量産性に優れ、接着信頼性の高いゴム組成物、およびそれを用いてなる燃料電池シール体の提供をその目的とする。」 (甲2c)「【0046】 なお、本発明に使用する液状ゴム組成物には、上記(A)?(C)以外に、架橋助剤(D)、軟化剤、補強剤、可塑剤、老化防止剤、粘着付与剤、加工助剤等の、通常のゴム組成物に用いられる各種添加剤を配合しても差し支えない。 ・・・ 【0049】 《軟化剤》 上記軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン等の石油系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、サブ、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリン等のワックス類、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸等があげられる。」 (甲2d)「【実施例】 【0075】 以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」は重量基準を意味する。 【0076】 まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示すゴム組成物の材料を準備した。 ・・・ 【0081】 《軟化剤(E)》 〔パラフィン系プロセスオイル(E1)〕 出光興産社製、ダイアナプロセスオイルPW380(流動点=-15℃)」 (3)甲第3号証に記載された事項 甲第3号証には、以下の事項が記載されている。 (甲3a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 鉱油を配合してなり、下記(A)から(C)までの性状を満たす ことを特徴とする樹脂加工用プロセス油。 (A)40℃動粘度が25mm^(2)/s以上430mm^(2)/s以下 (B)%C_(A)が0.5以下 (C)硫黄分が30質量ppm以下」 (甲3b)「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 樹脂加工の際に用いられるプロセス油としては、充分な熱安定性、耐候性を備えていなければ、加工性の不良につながり、また得られた樹脂製品の着色等による外観悪化を生じるおそれがある。しかしながら、特許文献1に記載のプロセス油でも必ずしも十分満足できるものではない。 【0005】 本発明は、熱安定性や耐候性に優れる樹脂加工用プロセス油および当該プロセス油を用いた樹脂加工方法を提供することを目的とする。」 (甲3c)「【実施例】 【0015】 以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら制約されるものではない。 〔実施例1?実施例6、比較例1?比較例5〕 表1、表2に示す性状の試料油を調製した。性状の測定方法は以下の通りである。 ・・・ 【0017】 【表1】 ![]() 【0018】 【表2】 ![]() 【0019】 上述の各実施例、各比較例で用いた試料油は以下の通りである。 油A:出光興産製 ダイアナプロセスオイル PW32 油B:出光興産製 ダイアナプロセスオイル PW90 油C:出光興産製 ダイアナプロセスオイル PW380 油D:出光興産製 ダイアナプロセスオイル PA32 油E:出光興産製 ダイアナプロセスオイル PA90 油F:出光興産製 ダイアナプロセスオイル PS380」 (4)甲第4号証に記載された事項 甲第4号証には、以下の事項が記載されている。 (甲4a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A)ガラス転移温度が-35℃以下であるエチレン系共重合体20重量%を超え40重量%未満、(B)軟化点が120℃以上である粘着付与樹脂30?50重量%、(C)融解開始温度が60℃以上であるワックス20?40重量%(ただし、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計量は100重量%となる量である)を主成分とする、ホットメルト接着剤組成物。 【請求項2】 120℃における溶融粘度が500?2,000mPa・sである請求項1記載のホットメルト接着剤組成物。 【請求項3】 (A)エチレン系共重合体がエチレン-α-オレフィン共重合体である請求項1または2記載のホットメルト接着剤組成物。 【請求項4】 (B)粘着付与樹脂が、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、または石油系樹脂である請求項1?3いずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。 【請求項5】 (C)ワックスが、融解開始温度が60℃以上である、フィッシャートロプッシュワックス、またはパラフィンワックスである請求項1?4いずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。 【請求項6】 製本、または包装用である請求項1?5いずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。」 (甲4b)「【0006】 以上のように、従来、140℃程度の低温での塗布が可能であり、かつ耐熱性、接着性、および低温接着性に優れたホットメルト接着剤組成物はなく、改良が求められていた。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本発明の目的は、140℃よりも低温での塗布が可能であり、かつ耐熱性、接着性、および低温接着性に優れたホットメルト接着剤組成物を提供することにある。」 (甲4c)「【0026】 次に、本発明で使用される(C)ワックスとしては、融解開始温度が60℃以上であれば、特に制限はないが、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、更に植物油の水添品(カスターワックスなど)などが例示される。これらは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。 ここで、上記融解開始温度は、JIS K7121に準拠して示差走査熱量測定(DSC)により測定されるものである。 (C)ワックスは、その融解開始温度が60℃以上であればよく、種々のワックスの中から上記に基づいて融解開始温度を測定して適宜選定すればよい。 【0027】 (C)ワックスの融解開始温度としては、60℃以上であるが、好ましくは65℃以上である。60℃未満であると耐熱性が低下したり、冷却時の固化速度が遅くなったりする場合がある。 ・・・ 【0030】 なお、本発明のホットメルト接着剤組成物は、上記(A)?(C)成分のほかに、酸化防止剤、他の熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム、滑剤、アンチブロッキング剤、着色防止剤、フィラー、可塑剤、増量剤などを添加して使用してもよい。」 (甲4d)「【実施例】 【0034】 以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。また、実施例、及び比較例における物性の測定、および接着性能の評価は、以下に示す方法によって実施した。 ・・・ 【0036】 実施例1 (A)エチレン系共重合体〔エチレン-α-オレフィン共重合体、ダウ・ケミカル社製:商品名AFFINITY GA1900、MFR1,000g/10分、ガラス転移温度:-55℃〕35%、(B)粘着付与樹脂〔水添テルペン樹脂、ヤスハラケミカル社製:商品名クリアロンP-135、軟化点:135℃〕35%、(C)ワックス〔フィッシャートロプシュワックス、サゾール社製:商品名サゾールH1、融点:112℃(融解開始温度:67℃)〕30%の合計量100%に対し、酸化防止剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:商品名イルガノックス1010F〕0.5%を配合し、160℃で溶融混合してホットメルト接着剤組成物を調製し、上記評価方法により、低温塗布性、耐熱性、接着性、および低温接着性を測定した。結果は表1に記載した。 ・・・ 【0046】 実施例11 (B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔石油系樹脂(脂環族系樹脂)、トーネックス社製:商品名エスコレッツ5320、軟化点:125℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。」 (5)甲第5号証に記載された事項 甲第5号証には、以下の事項が記載されている。 (甲5a)「請求の範囲 [請求項1] (a)スチレン系ブロック共重合体と、(b)α-メチルスチレン由来の構成単位を60質量%以上含有する重合体ブロックAおよび共役ジエン由来の構成単位を主体とする重合体ブロックBを有するα-メチルスチレン系ブロック共重合体又はその水素添加物と、(c)非芳香族系ゴム用軟化剤とからなる熱可塑性エラストマー組成物であって、(a)スチレン系ブロック共重合体と(b)α-メチルスチレン系ブロック共重合体又はその水素添加物との質量比〔(a)/(b)〕が50/50?97/3であり、(c)非芳香族系ゴム用軟化剤の含有量が、(a)スチレン系ブロック共重合体と(b)α-メチルスチレン系ブロック共重合体又はその水素添加物との合計100質量部に対して、1?300質量部である熱可塑性エラストマー組成物。 ・・・ [請求項6] (c)非芳香族系ゴム用軟化剤が、パラフィン系オイルである請求項1?5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。 [請求項7] 請求項1?6のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品。」 (甲5b)「[0001] 本発明は、スチレン系ブロック共重合体の特長を損ねることなく耐摩耗性と耐熱性を改善した熱可塑性エラストマー組成物及びその成形品に関する。 [0002] スチレン系ブロック共重合体は、1965年に米シェル・ケミカル社(現クレイトンポリマー社)により上市された熱可塑性エラストマーであり、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)等が知られている。これらは安価で、柔軟性、ゴム弾性、軽量性、グリップ性、衝撃緩衝性、低温特性、耐水性、リサイクル性、成形性等の特長を持つことから、例えば、靴底、粘・接着材、アスファルト改質材、樹脂改質材等の幅広い用途に用いられている。 ・・・ [0005] 本発明の目的は、スチレン系ブロック共重合体の特長を損ねることなく耐摩耗性と耐熱性を改善した熱可塑性エラストマー組成物及びその成形品を提供することにある。」 (甲5c)「[0030] 〔(c)非芳香族系ゴム用軟化剤〕 本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性と加工性を改良することを目的として(c)非芳香族系ゴム用軟化剤を含有する。非芳香族系ゴム用軟化剤としては、従来から公知のものを使用することができ、例えば、パラフィン系オイル、・・・等の合成軟化剤等が挙げられる。これらの中で、耐熱性や耐摩耗性の低下割合が少ない点で、鉱物油系軟化剤が好ましく、パラフィン系オイルがより好ましい。これらの非芳香族系ゴム用軟化剤は、1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。 なお、鉱物油系軟化剤は、一般に芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖を含む混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系、ナフテン環炭素数が30?40%を占めるものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上を占めるものは芳香族(アロマ)系と区別している。(c)成分に用いられる鉱物油系軟化剤は上記区分でパラフィン系およびナフテン系のものである。 パラフィン系オイルは、例えば、原油を常圧蒸留することにより得られる重油留分を減圧蒸留し、さらに、水素化改質,脱ロウ処理等で精製することにより得られるものである。 [0031] パラフィン系オイルとしては、例えば、炭素数4?155のパラフィン系化合物、好ましくは炭素数4?50のパラフィン系化合物が挙げられ、具体的には、・・・等が挙げられる。これらのパラフィンは、混合物で用いることができ、室温で液状であるものが好ましい。 このようなパラフィン系オイル として、例えば、出光興産株式会社製の「ダイアナプロセス PW-90」(商品名)、「ダイアナプロセスPW-380」(商品名)および「IPソルベント2835」(商品名)、並びに三光化学工業株式会社製の「流動パラフィン」(商品名)、三井化学株式会社製の「ルーカント HC-20」(商品名)、「ルーカント HC-40」(商品名)等が挙げられる。 [0032] パラフィン系オイルの40℃における動粘度は、好ましくは5?10,000mm^(2)/sec以上のもの、より好ましくは20?5,000mm^(2)/sec、さらに好ましくは50?1000mm^(2)/secである。5mm^(2)/sec未満の場合は、耐熱性が低下する可能性が高く、混練温度が高くなると引火の危険性がある。一方10,000mm^(2)/secを超えると成形性の改良が得られない可能性がある。」 (甲5d)「【実施例】 【0041】 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例、比較例において用いた測定機器および測定方法を示す。 ・・・ 【0042】 ・・・ (2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)の測定機器:東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC-8020)、カラム:東ソー株式会社製TSKgel GMHXL、G4000HXL、及びG5000HXLを直列に連結、溶離液 : テトラヒドロフラン、流量1.0ml/分、カラム温度:40℃、検量線:標準ポリスチレンを用いて作成、検出方法:示差屈折率(RI)」 (6)甲第6号証に記載された事項 甲第6号証には、以下の事項が記載されている。 (甲6a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記成分(A)?(C)を含有し、成分(A)?(C)の合計量100重量部に対し、成分(A)の含有量が1?80重量部であり、成分(B)の含有量が96?17重量部であり、成分(C)の含有量が3?66重量部である熱可塑性エラストマー組成物からなる層(I)と、下記成分(A)?(C)を含有し、成分(A)?(C)の合計量100重量部に対し、成分(A)の含有量が1?80重量部であり、成分(B)の含有量が98?19重量部であり、成分(C)の含有量が1?64重量部である熱可塑性エラストマー組成物からなる層(II)とを有し、下記式(イ)の鉱物油系軟化剤含有比が1?5であり、下記式(ロ)を充足することを特徴とする多層成形体。 (A)オレフィン系樹脂 (B)α?オレフィン系共重合体ゴム (C)40℃における動粘度が50?500cStであるパラフィン系鉱物油系軟化剤 ・・・」 (甲6b)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性エラストマー組成物多層成形体に関するものである。更に詳しくは、ベトツキがなく、感触が良好なオレフィン系樹脂、α?オレフィン系共重合体ゴム、及びパラフィン系鉱物油系軟化剤を含有するオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物からなる多層成形体に関するものである。 ・・・ 【0003】 【発明が解決しようとする課題】かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、表面にベトツキがなく、感触が良好なオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物多層成形体を提供することにある。」 (甲6c)「【0025】パラフィン系鉱物油系軟化剤の40℃での動粘度は、50?500cStであり、好ましくは120?450cSt、より好ましくは180?400cStである。該粘度が低過ぎると、例えば自動車内装表皮材として使用した際、フォギング性が低下することがあり、また、熱老化性においても長時間で軟化剤が蒸散し、望ましくない。一方、該粘度が高過ぎると、加工性に劣り、製品としてもより硬いものとなり、クッション感の劣ったものとなる。なお、40℃での動粘度は、JIS K 2283-3に従い測定される。」 (7)甲第7号証に記載された事項 甲第7号証には、以下の事項が記載されている。 (甲7a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記の要件(a-1)?(a-5)を満たすエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100重量部と、 下記の要件(b-1)?(b-6)を満たす液状エチレン・α-オレフィン共重合体(B)1?150量部と を含有することを特徴とする樹脂組成物。 ・・・ 【請求項6】 請求項1?5のいずれかに記載の樹脂組成物を架橋させて得られる架橋成形体。」 (甲7b)「【技術分野】 【0001】 本発明は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む樹脂組成物および該樹脂組成物からなる架橋成形体に関する。 【背景技術】 【0002】 エチレンとプロピレンとのランダム共重合体であるエチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、あるいはさらにジエン成分としてエチリデンノルボルネンなどの非共役ジエンを含むエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)などの架橋性エチレン・α-オレフィン系ゴムは、ポリマー主鎖中に不飽和結合のない分子構造を有しており、汎用の共役ジエン系ゴムに比べて耐熱性、耐候性に優れているため、自動車用部品、電線用材料、建築土木資材、工業材部品などの用途に広く利用されている。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 本発明は、上述のような問題を生じることなく、低温柔軟性などの低温特性に優れた成形体を製造し得る、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む樹脂組成物を提供することを課題としている。」 (甲7c)「【0038】 今回鋭意検討を行った結果、液状エチレン・α-オレフィン共重合体(B)の135℃デカリン中で測定した100℃における動粘度が300mm^(2)/s以下、好ましくは300mm^(2)/s未満であると、100℃における動粘度が低いことに依存して、ガラス転移温度(Tg)が大きく低下するようになり、得られる樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を低温化し得ることを見出した。液状エチレン・α-オレフィン共重合体(B)の100℃における動粘度が300mm^(2)/sを上回ると、液状エチレン・α-オレフィン共重合体(B)のガラス転移温度が上昇し、得られる樹脂組成物のガラス転移温度を低温化する効果が低下するため好ましくない。また、液状エチレン・α-オレフィン共重合体(B)の100℃における動粘度が10mm^(2)/sを下回ると揮発しやすい低分子量成分が多くなり、成形時の物性低下や樹脂組成物の耐熱性の低下を引き起こすため好ましくない。」 (甲7d)「【実施例】 【0086】 以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 以下の実施例および比較例において、各物性は、以下の方法により測定あるいは評価した。 ・・・ 【0092】 [分子量(Mw、Mn)および分子量分布(Mw/Mn)] (A法):エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)における測定 分子量は、液体クロマトグラフ:Waters製ALC/GPC150-C plus型(示唆屈折計検出器一体型)を用い、カラムとして東ソー株式会社製GMH6-HT×2本およびGMH6-HTL×2本を直列接続し、移動相媒体としてo-ジクロロベンゼンを用い、流速1.0ml/分、140℃で測定した。 得られたクロマトグラムを、公知の方法によって、標準ポリスチレンサンプルを使用した検量線を用いて解析することで、Mw/Mn値を算出した。1サンプル当たりの測定時間は60分であった。 (B法):液状エチレン・α-オレフィン共重合体(B)における測定 下記の液体クロマトグラフィー用ポンプ、サンプリング装置、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)用カラム、示差屈折率検出器(RI検出器)を連結し、GPC測定を行い決定した。 液体クロマトグラフィー装置:Waters社製515 HPLC Pump サンプリング装置:Waters社製717plus Autosampler装置 移動相:THF(安定剤含有、液体クロマトグラフィー用グレード) カラム:PL社製MIXED-D 1本とPL社製500Å 1本とを直列連結した。 サンプル濃度:5mg/mL 移動相流速:1.0mL/分 測定温度:常温 検量線用標準サンプル:PL社製EasiCal PS-1 ・・・ 【0114】 [実施例3] 実施例1において、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(a-1)に代えて、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(a-2)を軟化剤として用いたこと以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を調製し、ガラス転移温度を測定した。結果を表4に示す。また、後述する比較例5とのガラス転移温度の差を表4に併せて示す。 ・・・ 【0117】 [比較例11] 表5に示すとおりに軟化剤をパラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイルPW-380,100℃動粘度=30mm^(2)/s、40℃動粘度=380mm^(2)/s)に変更し、それ以外は実施例3と同条件で樹脂組成物を調製し、実施例3と同様に評価した。評価結果を表5に示す。」 (8)甲第8号証に記載された事項 甲第8号証には、以下の事項が記載されている。 (甲8a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】配合物中のビニルアルコール含量が2?15モル%であるポリオレフィン系樹脂よりなるポリエチレン用易剥離性接着剤。 【請求項2】ビニルアルコール含量が2?15モル%であるケン化エチレン-酢酸ビニル共重合体よりなるポリエチレン用易剥離性接着剤。 【請求項3】ケン化エチレン-酢酸ビニル共重合体とポリオレフィン系樹脂よりなり、該配合物中のビニルアルコール含量が2?15モル%であることを特徴とするポリエチレン用易剥離性接着剤。 【請求項4】請求項1?3に記載のポリエチレン用易剥離性接着剤を用い、その少なくとも一面がポリエチレンと接着することを特徴とする構造物。」 (甲8b)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はポリエチレンを被着面とする容器、シートまたは構成物に対し易剥離性を有する接着剤及びその構造物に関する。更に詳しくは、ビニルアルコール含量が2?15モル%になるように配合したポリオレフィン系樹脂あるいはビニルアルコール含量が当該範囲に入るようにケン化したケン化エチレン酢酸ビニル共重合体、またはビニルアルコール含量が2?15モル%になるようにケン化エチレン-酢酸ビニル共重合体とポリオレフィン系樹脂を配合した組成物を、ポリエチレン製容器、シート、または被着面がポリエチレンである多層容器、シート等構成物に対して易剥離性接着剤として用いる事を特徴としたポリエチレン用易剥離性接着剤およびその構造物に関するものである。 ・・・ 【0007】本発明は、ポリエチレン製容器、シートまたはポリエチレンを被着面とした多層容器、多層シート等構成物に対して、押出し成形が可能で内容物を保護するのに十分なヒートシール強度を持ちながら易剥離性をもつ接着性樹脂及びその構成物を提供する事を目的とする。 ・・・ 【0009】 【発明の実施の形態】本発明において用いられるビニルアルコール含量が2?15モル%である配合物は、ケン化エチレン-酢酸ビニル共重合体(以下S-EVAと称す)又はS-EVAとポリオレフィン系樹脂よりなる配合物を用いる事ができる。S-EVAを単独で使用する場合、ケン化前のエチレン-酢酸ビニル共重合体(以下EVAと称す)は通常の高圧法ポリエチレンプラントによりエチレンと酢酸ビニルを共重合して得られるものが使用でき、ケン化後に得られるS-EVAはビニルアルコール含量が2?15モル%である事が必要である。S-EVAのビニルアルコール含量が2モル%以下では接着を阻害する要因となるビニルアルコール分が少なく、EVAの性能が強く残るためポリエチレンと強固に接着してしまい、15モル%を超えるとシーラントとして重要なポリエチレンとの接着強度が低下してしまう。S-EVAを得るために用いるEVAの酢酸ビニル含量は3?20モル%が好ましい。特に好ましくは5?12モル%である。酢酸ビニル含量が3モル%未満では、基本性能としてポリエチレンと同等となるため被着体であるポリエチレンと強接着となってしまうため3モル%以上が好ましい。」 (9)甲第9号証に記載された事項 甲第9号証には、以下の事項が記載されている。 (甲9a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 コア基材と、前記コア基材の少なくとも片面に設けられたウレタン変性アクリル樹脂を少なくとも含有する接着層と、を有するカード用コア基材シート。 ・・・ 【請求項4】 コア基材と、前記コア基材の少なくとも片面に設けられたウレタン変性アクリル樹脂を少なくとも含有する接着層と、前記接着層の表面に設けられたトナーにより形成された画像情報と、を有する情報記録媒体。 【請求項5】 前記トナーを構成する結着樹脂が、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂又はスチレン-アクリル共重合樹脂である請求項4に記載の情報記録媒体。」 (甲9b)「【技術分野】 【0001】 本発明は、カード用コア基材シート及び情報記録媒体に関する。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0014】 本発明は、トナーの種類に依ることなく優れたトナー定着性を示すカード用コア基材シート及びこれを用いた情報記録媒体を提供することを目的とする。」 (甲9c)「【0043】 本実施形態に係る接着層は、必要に応じてワックスを含有してもよい。ワックスとしては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナウバワックス;等が挙げられる。これらのワックスの融点は、60℃以上110℃以下が望ましく、75℃以上95℃以下がより望ましい。これらの中でも、ワックスとしては、カルナウバワックスとパラフィンワックスが特に好ましい。 接着層中のワックスの含有量は、3質量%以上20質量%以下が望ましく、5質量%以上15質量%以下がより望ましい。ワックスの含有量が上記範囲内であれば、タックの発生が抑えられる。」 (10)甲第10号証に記載された事項 甲第10号証には、以下の事項が記載されている。 (甲10a)「請求の範囲 [請求項1] 接着剤組成物の成形物と、 前記成形物の表面に付着している被覆材と、 を有し、 前記接着剤組成物が、オレフィン樹脂、粘着付与樹脂及びワックスを含み、 前記被覆材が、アニオン性界面活性剤及びポリエチレンワックスを含む、 ホットメルト接着剤。 ・・・ [請求項5] 前記ポリエチレンワックスの示差走査熱量測定による融点が80?135℃である、請求項1?4のいずれか一項記載のホットメルト接着剤。」 (甲10b)「技術分野 [0001] 本発明は、ホットメルト接着剤に関する。 背景技術 [0002] ホットメルト接着剤を専用の塗布機を用い加熱溶融させて、被着体に塗布し、被着体を貼り合わせた後、接着剤を冷却固化することで、初期接着が短時間で得られる。ホットメルト接着剤は、有機溶剤等を含まず、加熱溶融により塗布されるため、有機溶剤などで希釈して塗布する接着剤に比べ、溶剤乾燥が不要であり初期接着性に優れる。・・・ ・・・ [0012] そこで、本発明の一側面は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ホットメルト接着剤に関して、高温多湿環境下で放置されたときの耐ブロッキング性、及び難接着性の被着体に対する接着性の更なる改善を図ることにある。」 (甲10c)「[0037] 接着剤組成物(成形物10)に使用されるワックスとしては、一般的に、ホットメルト接着剤に使用されるものであれば、特に限定されないが、例えば、精製パラフィンワックス、パラフィンワックス、及びマイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックス、並びに、ポリエチレンワックス、フィッシャートロフィックワックス、結晶性ポリエチレンワックス、結晶性ポリプロピレンワックス、アタクチックポリプロピレンワックス、及びエチレン・一酸化炭素共重合体ワックスなどの合成ワックスが挙げられる。これらの中でも特に、ポリエチレンワックス、フィッシャートロフィックワックスが好適である。これらワックス成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。 ・・・ [0040] 接着剤組成物は、オイルを更に含んでいてもよい。接着剤組成物(成形物10)におけるオイルの含有量は、接着剤組成物の質量を基準として、1?25質量%、又は5?20質量%であってもよい。オイルは、接着剤組成物を低粘度化させる効果を有しており、その含有量が1質量%以上であれば、接着剤組成物が硬くなり難く、より優れた接着性が得られる。一方、オイルの含有量が20質量%以下であれば、ホットメルト接着剤を長時間加熱しても可塑剤の揮発による粘度変化が起こり難い。また、接着剤組成物の粘度低下が起こり難く、凝集力が低下し難い。 [0041] 接着剤組成物(成形物10)に使用されるオイルは、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル、鉱油、ポリブテン、及び液状ゴムからなる群より少なくとも1種のオイルであってもよい。好ましいオイルとしては、ダイアナプロセスオイルPW32(出光興産株式会社製、パラフィン系オイル)、ダイアナプロセスオイルNS90S(出光興産株式会社製、ナフテン系オイル)、JCTオイルB(ジャパンケムテックス株式会社製、ナフテン系オイル)等、市販のものが挙げられる。」 (甲10d)「実施例 [0060] 次に本発明を実施例及び比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 ・・・ [0086] 表4に示したように、被覆材がポリエチレンワックスを含まない比較例10?13のホットメルト接着剤は、耐ブロッキング性に劣っていた。 比較例11で用いた、160℃の融点を有するポリプロピレンワックスは、アニオン性界面活性剤と混合できなかった。そのため、主材であるエチレン-酢酸ビニル共重合体を含む接着剤組成物の成形物に被覆材を付着させることができず、ホットメルト接着剤としての評価はできなかった。加えて、被覆材の界面活性剤としてカチオン性界面活性剤を用いた比較例12の場合、接着剤組成物の成形物に被覆材を付着させることはできたものの、耐ブロッキング性が5%と劣っていた。35mm角の角板状の比較例13も、耐ブロッキング性に劣る。 それに対し、実施例15、16は、耐ブロッキング性が90%以上と良好であった。本発明によって、高温多湿環境でもブロッキングが十分に抑制されるホットメルト接着剤組成物が得られることが確認された。」 (11)甲第11号証に記載された事項 甲第11号証には、以下の事項が記載されている。 (甲11a)「請求の範囲 [請求項1] 中空部を有する絶縁体と、 前記絶縁体の前記中空部に面する内面に沿って、互いに離間して設けられた複数の導電体と、 を有し、 前記複数の導電体は、スチレン系熱可塑性エラストマ及びカーボンを含む導電性樹脂組成物からなる、感圧センサ。」 (甲11b)「[0047] ・・・スチレン系熱可塑性エラストマとしてのセプトン4055は、株式会社クラレ製のSEEPSであり、スチレン成分が30%、分子量が13万である。スチレン系熱可塑性エラストマとしてのセプトン4099は、株式会社クラレ製のSEEPSであり、スチレン成分が30%、分子量が32万である。・・・」 (12)甲第12号証に記載された事項 甲第12号証には、以下の事項が記載されている。 (甲12a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 ノルボルネン系重合体(A)100重量部と、スチレン-共役ジエンブロック共重合体水素化物(B)0.01?0.5重量部とを含む樹脂組成物であって、 前記スチレン-共役ジエンブロック共重合体が、 (1)スチレン-共役ジエンブロック共重合体水素化物は、スチレン含量差が10重量%以上である、2種類のスチレン-共役ジエンブロック共重合体水素化物であり、 (2)スチレン含量の多いスチレン-共役ジエンブロック共重合体水素化物(b1)の重量平均分子量(Mwb1)と、スチレン含量の少ないスチレン-共役ジエンブロック共重合体水素化物(b2)の重量平均分子量(Mwb2)が、(0.9×Mwb1)≦Mwb2≦(2.5×Mwb1)である ことを特徴とする樹脂組成物。」 (甲12b)「【0032】 (B)スチレン-共役ジエンブロック共重合体水素化物 本発明に用いるスチレン-共役ジエンブロック共重合体水素化物は、スチレン系単量体由来の繰り返し単位を主成分とするスチレンブロックと、共役ジエン単量体由来の繰り返し単位を主成分とするジエンブロックとを有するスチレンブロック-共役ジエンブロック-スチレンブロックのトリブロック共重合体を水素化したものである。 ・・・ 【0037】 スチレン-共役ジエンブロック共重合体の分子量は、テトラヒドロフランを溶媒とするGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常30,000?200,000、好ましくは40,000?150,000、より好ましくは50,000?100,000である。また、ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下である。」 (甲12c)「【実施例】 【0060】 以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明する。ただし本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、部又は%は、特に断りがない限り、重量基準である。 【0061】 各種物性の測定法は次のとおりである。 (1)分子量 ・ノルボルネン系開環重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒にしてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として測定した。 測定装置として、GPC-8020シリーズ(DP8020、SD8022、AS8020、CO8020、RI8020、東ソー社製)を用いた。 標準ポリスチレンとしては、標準ポリスチレン(Mwが500、2,630、10,200、37,900、96,400、427,000、1,090,000、5,480,000のものの計8点、東ソー社製)を用いた。 【0062】 ・ノルボルネン系開環重合体水素化物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、シクロヘキサンを溶媒にしてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として測定した。 標準ポリスチレンとしては、標準ポリスチレン(Mwが988、2,580、5,910、9,010、18,000、37,700、95,900、186,000、351,000、889,000、1,050,000、2,770,000、5,110,000、7,790,000、20,000,000のものの計16点、東ソー社製)を用いた。 測定装置として、HLC8121GPC/HT(東ソー社製)を用いた。 ・・・ 【0063】 以下実施例により、本発明を説明するが、これは単なる例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。実施例及び比較例において配合した各成分を以下に示す。 ・・・ <スチレン-共役ジエンブロック共重合体水素化物(B)> ・・・ ・SEEPS(1) セプトン(登録商標)4055〔クラレ社製〕、スチレン含量30%、nD=1.5081、Mw=20万」 (13)甲第13号証に記載された事項 甲第13号証には、以下の事項が記載されている。 (甲13a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 熱可塑性スチレン系エラストマーAと軟化剤Bとを、25/75?95/5の重量比(A/B)で含有してなり、さらに、前記AとBの合計量100質量部に対して、熱可塑性ポリエステル系エラストマーCを75?1000質量部、骨格にスチレン構造を有する重合体であり、エポキシ価が0.10?5.0meq/gであるエポキシ化合物Dを前記C 100質量部に対して0.1?15質量部含有してなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。」 (甲13b)「【技術分野】 【0001】 本発明は、様々な材料に優れた接着性を有し、自動車、電子材料、家電、電気機器、医療用具、包装資材、文具・雑貨用品等の各種成形品に有用であり、さらにはグリップ、チューブ、パッキン、ガスケット、クッション体、フィルム、シート等の各種部材に用いられる熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法及び該組成物を用いて得られる成形体に関する。」 (甲13c)「【実施例】 【0084】 実施例及び比較例で使用した原料の各種物性は、以下の方法により測定した。 【0085】 1.熱可塑性スチレン系エラストマーA ・・・ 【0086】 〔重量平均分子量(Mw)〕 以下の測定条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算で分子量を測定し、重量平均分子量を求める。 【0087】 測定装置 ・ポンプ:JASCO(日本分光株式会社)製、PU-980 ・カラムオーブン:昭和電工株式会社製、AO-50 ・検出器:日立製、RI(示差屈折計)検出器 L-3300 ・カラム種類:昭和電工株式会社製「K-805L(8.0×300mm)」及び「K-804L(8.0×300mm)」各1本を直列使用 ・カラム温度:40℃ ・ガードカラム:K-G(4.6×10mm) ・溶離液:クロロホルム ・溶離液流量:1.0ml/分 ・試料濃度:約1mg/ml ・試料溶液ろ過:ポリテトラフルオロエチレン製0.45μm孔径ディスポーザブルフィルタ ・検量線用標準試料:昭和電工株式会社製ポリスチレン ・・・ 【0088】 2.軟化剤B 〔パラフィンオイルの動粘度〕 JIS Z 8803に従って、40℃の温度で測定する。 ・・・ 【0095】 〔スチレン及び/又はスチレン誘導体(スチレン系単量体)の含有量〕 核磁気共鳴装置(ドイツ国BRUKER社製、DPX-400)によって、プロトンNMR測定を行い、スチレンの特性基の定量を行うことによってスチレン及び/又はスチレン誘導体の含有量を決定する。 ・・・ 【0098】 〔重量平均分子量(Mw)〕 以下の測定条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算で分子量を測定し、重量平均分子量を求める。 【0099】 測定装置 ・ポンプ:JASCO(日本分光株式会社)製、PU-980 ・カラムオーブン:昭和電工株式会社製、AO-50 ・検出器:日立製、RI(示差屈折計)検出器 L-3300 ・カラム種類:昭和電工株式会社製「K-805L(8.0×300mm)」及び「K-804L(8.0×300mm)」各1本を直列使用 ・カラム温度:40℃ ・ガードカラム:K-G(4.6×10mm) ・溶離液:クロロホルム ・溶離液流量:1.0ml/分 ・試料濃度:約1mg/ml ・試料溶液ろ過:ポリテトラフルオロエチレン製0.45μm孔径ディスポーザブルフィルタ ・検量線用標準試料:昭和電工株式会社製ポリスチレン ・・・ 【0110】 〔熱可塑性スチレン系エラストマー〕 SEBS-A:G1651(クレイトンポリマー社製)、スチレン系単量体の含有量33質量%、Mw29万 SEBS-B:G1641(クレイトンポリマー社製)、スチレン系単量体の含有量32質量%、Mw24万 SEEPS:SEPTON4055(クラレ社製)、スチレン系単量体の含有量30質量%、Mw30万) (14)乙第1号証に記載された事項 乙第1号証には、以下の事項が記載されている。 (乙1a)「 ![]() 」(第25頁第13行?第26頁第11行) (乙1b)「 ![]() 」(第27頁) 第5 当審の判断 当審は、当審が通知した取消理由A?B及び申立人がした申立理由1?3によっては、いずれも、本件発明1?3に係る特許を取り消すことはできないと判断する。 その理由は以下のとおりである。 取消理由Aと申立理由2は同じ趣旨であるので、以下「1 取消理由について」「(1)取消理由A(実施可能要件)について」において、併せて検討する。 また、取消理由Bと申立理由3は、同じ趣旨であるので、以下「1 取消理由について」「(2)取消理由B(明確性)について」において、併せて検討する。 1 取消理由について (1)取消理由A(実施可能要件)について 取消理由Aの概要は、「第3 特許異議申立理由及び取消理由の概要」「1 取消理由通知の概要」「(1)取消理由A(実施可能要件)」に記載したとおりであるが、以下のアに再掲する。また、申立理由2も同じ内容である。 ア 取消理由Aの概要 本件発明1は、「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)」と、「重量平均分子量」を発明特定事項とする発明であるところ、本件明細書の段落【0009】には、「当該(A)成分の重量平均分子量は、GPC法により測定した数値において、15万以上である必要があり、・・・であることが特に好ましい。」と、「重量平均分子量」を「GPC法により測定」することのみが記載されており、「GPC法」による「重量平均分子量」の具体的な測定条件については記載されていない。 本件明細書の段落【0021】には、実施例として、「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)」として「セプトン4055」を用いたことが記載され、「セプトン4055」の「重量平均分子量」が「23万」であることが記載されているが、甲第11号証?甲第13号証には、「セプトン4055」について大きく異なる「重量平均分子量」または「分子量」が記載されているから、本件発明1における発明特定事項である「スチレン系熱可塑性エラストマー」の「重量平均分子量」をどのようにして測定すれば再現可能に安定した値を得ることができるのか、当業者が実施できるように明確かつ十分に記載されているとはいえない。 本件発明1を直接的又は間接的に引用する本件発明2?3についても同様である。 イ 判断 本件発明1の「SEEPSブロックコポリマー(A)」の「重量平均分子量」の測定方法について、本件明細書の(本b)の段落【0009】には「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)は、・・・。当該(A)成分の重量平均分子量は、GPC法により測定した数値において、15万以上である必要があり、・・・特に好ましい。」と、「GPC法により測定した数値」であることが記載されている。 そして、特許権者が令和3年8月26日に提出した意見書において、「SEEPSブロックコポリマー(A)」の「重量平均分子量」の測定方法に関して、以下の詳細な測定条件が記載されている。 「ここで、本件発明においては、以下の測定条件で、GPCにより、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めています。 ・測定装置:東ソー株式会社製、HLC-8220GPC ・検出器:示差屈折計検出器 ・カラム種類:東ソー株式会社製「TSKgel SuperHZM-M(4.6mmID×150mm)」2本及び「TSKgel SuperHZ4000(4.6mmID×150mm)」1本を直列使用 ・カラム温度:40℃ ・溶離液:テトラヒドロフラン ・溶離液流量:0.2mL/分 ・試料ろ過:ポリテトラフルオロエチレン製0.45μm孔径ディスポーサブルフィルタ ・検量線用標準試料:東ソー株式会社製、TSKgel 標準ポリスチレン」 上記本件明細書の段落【0009】の上記「GPC法により測定した数値」であることの記載に加えて、上記意見書の記載を参酌すれば、請求項1に係る発明における発明特定事項である「SEEPSブロックコポリマー(A)」の「重量平均分子量」を再現可能に安定的に測定できるといえる。 次に、念のため、「SEEPSブロックコポリマー(A)」の「重量平均分子量」について、本件明細書に記載されていない測定条件について意見書に記載されている場合の、意見書の参酌の可否について検討する。 「SEEPSブロックコポリマー(A)」の「重量平均分子量」について、本件明細書の段落【0009】には、「GPC法により測定した数値」であることしか記載されておらず、「測定機器」、「検出器」、「カラム種類」、「カラム温度」、「溶離液」、「溶離液流量」、「試料ろ過」、「標準試料」等の測定条件について記載されていない。 しかしながら、これらの測定条件は、「GPC法」による「重量平均分子量」等の測定を行う際に必ず設定すべき事項であって当業者が適宜に設定できる事項であるといえるし、また、甲第5号証の(甲5d)、甲第12号証の(甲12c)、甲第13号証の(甲13c)、乙第1号証の(乙1a)及び(乙1b)の記載からみて、意見書で示された「重量平均分子量」の測定条件は当業者からみて特異な条件ではないといえるから、意見書で開示された測定条件を参照できるといえる。 したがって、取消理由Aは、解消されたといえる。 ウ 小括 以上のとおり、取消理由A及び申立理由2は、理由がない。 (2)取消理由B(明確性)について 取消理由Bの概要は、「第3 特許異議申立理由及び取消理由の概要」「1 取消理由通知の概要」「(1)取消理由B(明確性)」に記載したとおりであるが、以下のアに再掲する。 また、申立理由3も同じ内容である。 ア 取消理由Bの概要 本件発明1は、「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)」のように、「重量平均分子量」を発明特定事項とする発明であるが、本件発明1にはその測定方法が特定されていない。また、本件明細書の発明の詳細な説明をみても、「重量平均分子量」の測定方法について「GPC法により測定」としか記載されていないし、また、技術常識からも明らかであるとはいえないため、「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)」であるか否かを当業者がどのように判断するのかは明らかではない。 そうすると、本件発明1の「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)」の記載は、測定条件について特定されておらず、また、本件明細書をみても「GPC法により測定」に関する測定条件は明らかではないから、本件発明1は明確であるとはいえない。 本件発明1を直接的又は間接的に引用する本件発明2?3についても同様である。 イ 判断 上記「(1)取消理由A(実施可能要件)について」「イ 判断」で述べたとおり、「SEEPSブロックコポリマー(A)」の「重量平均分子量」について、本件明細書の段落【0009】の上記「GPC法により測定した数値」であることの記載に加えて、上記意見書の記載を参酌すれば再現可能に安定的に測定できるといえるから、具体的な「SEEPSブロックコポリマー(A)」について上記意見書の測定条件を参酌すれば、本件発明1に係る発明の範囲に入るか否かを当業者は理解できるといえる。 そして、「SEEPSブロックコポリマー(A)」の「重量平均分子量」の測定条件について、本件明細書に記載されていないが、意見書に記載されている測定条件の参酌が可能であることは、上記「1 取消理由について」「(1)取消理由A(実施可能要件)について」「イ 判断」で述べたとおりである。 よって、本件の請求項1の記載では、本件発明1は、明確でないとはいえない。 ウ 小括 以上のとおり、取消理由B及び申立理由3は、理由がない。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、取消理由A及び取消理由B並びに申立理由2及び申立理由3によっては、本件発明1?3に係る特許を取り消すことはできない。 2 特許異議申立書に記載された申立理由について 申立理由2(実施可能要件)、申立理由3(明確性)については、上記「1 取消理由について」において検討されたので、以下、申立理由1について検討を行う。 (1)申立理由1(進歩性)について ア 甲第1号証に記載された発明 甲第1号証の(甲1d)の段落【0031】?【0032】の実施例4に着目すると、甲第1号証には、 「高分子量スチレン系ブロックコポリマー(クラレ社製 品番セプトン4055、数平均分子量が約25万のSEPS系) 8.0重量部 水添パラフィン系プロセスオイル(出光興産社製 品番PW-90、流動点-15℃、粘度指数108、100℃における動粘度11.25mm^(2)/S) 40.0重量部 ポリフェニレンエーテル樹脂(日本GEプラスチック社製、SA-120、数平均分子量約2,000) 5.0重量部 粘着付与樹脂1(イーストマンケミカル社製、エンデックス155、スチレン系) 10.0重量部 粘着付与樹脂2(トーネクス社製、E-5320、DPCD系) 30.0重量部 APAO2(ハンツマン社製、RT-2115、プロピレンホモタイプ、R&B軟化点152℃) 5.0重量部 フェノール系老化防止剤(共同薬品社製、GA-80) 0.7重量部 リン系老化防止剤(チバ・ガイギー社製、イルガフォス168) 0.8重量部 アミン系老化防止剤(旭電化工業製、LA-63P) 0.7重量部 を配合して調製した、ホットメルト組成物」の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 イ 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「ホットメルト組成物」は、本件発明1の「易解体性ホットメルト組成物」と、「ホットメルト組成物」である限りにおいて一致する。 甲1発明の「高分子量スチレン系ブロックコポリマー(クラレ社製 品番セプトン4055、数平均分子量が約25万のSEPS系)」は、本件明細書の(本h)の段落【0021】の「SEEPSブロックコポリマー:セプトン4055(株式会社クラレ、商品名、重量平均分子量:23万、Mw/Mn:1.3)」との記載からみて、本件発明1の「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)」に相当する。 甲1発明の「水添パラフィン系プロセスオイル(出光興産社製 品番PW-90、流動点-15℃、粘度指数108、100℃における動粘度11.25mm^(2)/S)」は、本件発明1の「動粘度(40℃)が200?1000mm^(2)/sのパラフィンオイル(B)」と、「パラフィンオイル(B)」である限りにおいて一致する。 また、甲1発明の「水添パラフィン系プロセスオイル(出光興産社製 品番PW-90、流動点-15℃、粘度指数108、100℃における動粘度11.25mm^(2)/S)」は「ホットメルト組成物」中に「40.0重量部」配合され、一方、「水添パラフィン系プロセスオイル(出光興産社製 品番PW-90、流動点-15℃、粘度指数108、100℃における動粘度11.25mm^(2)/S)」は「ホットメルト組成物」中に「8.0重量部」配合されているから、本件発明1と同様に、「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)100重量部」に対して「パラフィンオイル(B)300?800重量部」の範囲で配合されているといえる。 甲1発明の「粘着付与樹脂1(イーストマンケミカル社製、エンデックス155、スチレン系)」は、本件明細書の(本d)の段落【0014】の記載及び(本h)の段落【0021】の「芳香族系石油樹脂:エンデックス155(イーストマンケミカルジャパン社、商品名、α-メチルスチレン系共重合体、軟化点:155℃)」との記載からみて、本件発明1の「軟化点が100℃以上の芳香族系石油樹脂(C)」に相当する。 また、甲1発明の「粘着付与樹脂1(イーストマンケミカル社製、エンデックス155、スチレン系)」は「ホットメルト組成物」中に「10.0重量部」配合され、一方、「水添パラフィン系プロセスオイル(出光興産社製 品番PW-90、流動点-15℃、粘度指数108、100℃における動粘度11.25mm^(2)/S)」は「ホットメルト組成物」中に「8.0重量部」配合されているから、本件発明1と同様に、「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)100重量部」に対して「芳香族系石油樹脂(C)30?400重量部」の範囲で配合されているといえる。 甲1発明の「粘着付与樹脂2(トーネクス社製、E-5320、DPCD系)」は、本件発明1の「非極性の粘着付与剤(D)」と、「粘着付与剤(D)」である限りにおいて、一致する。 また、甲1発明の「粘着付与樹脂2(トーネクス社製、E-5320、DPCD系)」は「ホットメルト組成物」中に「30.0重量部」配合され、一方、「水添パラフィン系プロセスオイル(出光興産社製 品番PW-90、流動点-15℃、粘度指数108、100℃における動粘度11.25mm^(2)/S)」は「ホットメルト組成物」中に「8.0重量部」配合されているから、本件発明1と同様に、「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)100重量部」に対して「粘着付与剤(D)30?600重量部」の範囲で配合されているといえる。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、 「重量平均分子量が15万以上のSEEPSブロックコポリマー(A)100重量部に対して、 パラフィンオイル(B)300?800重量部と、 軟化点が100℃以上の芳香族系石油樹脂(C)30?400重量部と、 粘着付与剤(D)30?600重量部と、を含む、 ホットメルト組成物」である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1:「パラフィンオイル(B)」について、本件発明1では、「動粘度(40℃)が200?1000mm^(2)/s」であるのに対し、甲1発明では、「水添パラフィン系プロセスオイル(出光興産社製 品番PW-90、流動点-15℃、粘度指数108、100℃における動粘度11.25mm^(2)/S)」の「動粘度(40℃)」が明らかでない点。 相違点2:「粘着付与剤(D)」について、本件発明1では、「非極性」のものであるのに対し、甲1発明の「粘着付与樹脂2(トーネクス社製、E-5320、DPCD系)」は「非極性」であるか明らかでない点。 相違点3:「ポリプロピレンワックス」について、本件発明1では、これを含まないのに対し、甲1発明では、「APAO2(ハンツマン社製、RT-2115、プロピレンホモタイプ、R&B軟化点152℃)」を含むが、それが「ポリプロピレンワックス」であるか明らかでないため、「ポリプロピレンワックス」を含むか否かが明らかでない点。 相違点4:「ホットメルト組成物」について、本件発明1は、「易解体性」であるのに対し、甲1発明では、「易解体性」であるか明らかでない点。 (イ)判断 以下、相違点1について検討する。 甲1発明の「水添パラフィン系プロセスオイル(出光興産社製 品番PW-90、流動点-15℃、粘度指数108、100℃における動粘度11.25mm^(2)/S)」の「動粘度(40℃)」は、本件明細書の(本h)の「パラフィンオイル2:ダイアナプロセスオイルPW-90(出光興産株式会社、商品名、動粘度(40℃):91mm^(2)/s、動粘度(100℃):11mm^(2)/s)」の記載からみて、「91mm^(2)/s」であるから、相違点1は実質的な相違点であるといえる。 次に、甲1発明において、「パラフィンオイル(B)」として、「動粘度(40℃)が200?1000mm^(2)/s」を用いることは、当業者が容易に想到し得たか否かについて検討する。 本件発明の課題は、本件明細書の(本a)の段落【0005】の記載からみて「ポリプロピレン樹脂に対しても、良好な密着性と易剥離性を有するとともに、組成物自体の弾力性に優れ、220℃の高温下に放置しても、粘度低下の変化率が小さく、十分な耐熱性を有する易解体性ホットメルト組成物を提供すること」であるといえるところ、本件発明1の「動粘度(40℃)が200?1000mm^(2)/sのパラフィンオイル(B)」について、本件明細書の(本c)の段落【0011】には「動粘度(40℃)が100?1000mm^(2)/sのパラフィンオイル(B)は、本件発明にかかる組成物を、220℃程度の高温下に放置した際の、粘度低下の変化率を抑えるために用いられる。当該(B)成分は、比較的に高分子量の脂肪族系飽和炭化水素化合物であり、その動粘度としては、JIS K2283による40℃における測定値にて、100?1000mm^(2)/sである必要があり、200?800mm^(2)/sであることが好ましく、・・・あることが特に好ましい」ことが記載されており、本件発明1の「パラフィンオイル(B)」について「動粘度(40℃)が200?1000mm^(2)/s」であると特定する意義は、「220℃程度の高温下に放置した際の、粘度低下の変化率を抑えるため」であるといえる。 また、本件明細書の(本g)の段落【0022】の【表1】の実施例2と比較例2とを対比すると、実施例1では「パラフィンオイル1:ダイアナプロセスオイルPW-380(出光興産株式会社、商品名、動粘度(40℃):409mm^(2)/s、動粘度(100℃):31mm^(2)/s)」を用いるのに対し、比較例2では「パラフィンオイル2:ダイアナプロセスオイルPW-90(出光興産株式会社、商品名、動粘度(40℃):91mm^(2)/s、動粘度(100℃):11mm^(2)/s)」を用いる点でのみ相違するが、段落【0027】の【表2】をみると、実施例2は、比較例2に比べて、段落【0024】の「220℃24時間静置」した後の「粘度変化率」が小さいものであったことが具体的なデータにより確認できる。 そして、甲第1号証の(甲1c)の段落【0011】には、「水添パラフィン系プロセスオイル」について、「軟化、粘度調整、動粘度性、流動点等を確保するために配合されるもので、流動点が-20?-5℃、粘度指数が100以上、100℃における動粘度が5?35mm^(2)/Sのものが適合している」と記載されているのみであるから、甲1発明において、「水添パラフィン系プロセスオイル(出光興産社製 品番PW-90、流動点-15℃、粘度指数108、100℃における動粘度11.25mm^(2)/S)」に代えて、「動粘度(40℃)が200?1000mm^(2)/sのパラフィンオイル(B)」を特に用いるものとする積極的な動機付けとなる記載があるとはいえない。また、甲第1号証には、「動粘度(40℃)が200?1000mm^(2)/sのパラフィンオイル(B)」を用いることにより、本件発明の効果である「220℃程度の高温下に放置した際の、粘度低下の変化率を抑える」ことができることを予測し得る記載もない。 他の甲号証についても確認すると、甲第2号証には、「燃料電池シール体に使用する液状のゴム組成物」に添加し得る「軟化剤」として「出光興産社製、ダイアナプロセスオイルPW380(流動点=-15℃)」が記載され(甲第2号証の上記摘記を参照)、甲第3号証には「樹脂加工用プロセス油」に添加する「試料油」として「出光興産製 ダイアナプロセスオイル PW380」が記載され(甲第3号証の上記摘記を参照)、甲第5号証にも「熱可塑性エラストマー組成物」に添加し得る「非芳香族系ゴム用軟化剤」として「ダイアナプロセスPW-380」が記載されており(甲第5号証の特に(甲5a)及び(甲5c)を参照)、「出光興産社製、ダイアナプロセスオイルPW380」は本件明細書の(本c)の段落【0013】及び(本g)の段落【0021】の記載からみて、動粘度(40℃)が200?1000mm^(2)/s」であるといえる。しかしながら、甲第2号証、甲第3号証及び甲第5号証に記載の技術的事項は、甲1発明の「ホットメルト組成物」と用途は異なるものであるから、甲1発明の「ホットメルト組成物」において、「動粘度(40℃)が200?1000mm^(2)/sのパラフィンオイル(B)」を特に用いるものとする動機付けとなる記載があるとはいえない。 また、甲第6号証には、「多層成形体」に添加される「(C)40℃における動粘度が50?500cStであるパラフィン系鉱物油系軟化剤」について「パラフィン系鉱物油系軟化剤の40℃での動粘度は、50?500cStであり、・・・である。該粘度が低過ぎると、例えば自動車内装表皮材として使用した際、フォギング性が低下することがあり、また、熱老化性においても長時間で軟化剤が蒸散し、望ましくない」ことが記載され(甲第6号証の上記摘記を参照)、甲第7号証には、「エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む樹脂組成物」の「液状エチレン・α-オレフィン共重合体(B)」について、「液状エチレン・α-オレフィン共重合体(B)の135℃デカリン中で測定した100℃における動粘度が300mm^(2)/s以下、好ましくは300mm^(2)/s未満であると・・・液状エチレン・α-オレフィン共重合体(B)の100℃における動粘度が10mm^(2)/sを下回ると揮発しやすい低分子量成分が多くなり、成形時の物性低下や樹脂組成物の耐熱性の低下を引き起こすため好ましくない」ことが記載されており(甲第7号証の上記摘記を参照)、軟化剤の動粘度が低すぎると耐熱性の低下を引き起こすことは記載されているといえるものの、いずれも成形体のための組成物に配合する成分として記載されているだけであり、「ホットメルト組成物」ではないから、甲1発明の「ホットメルト組成物」において、「動粘度(40℃)が200?1000mm^(2)/sのパラフィンオイル(B)」を特に用いるものとする動機付けとなる記載があるとはいえない。 さらに、その他の甲第4、8?13号証にも、「ホットメルト組成物」に用いる「パラフィンオイル(B)」についての記載もない。 以上を踏まえると、甲第1号証及び他の甲号証をみても、甲1発明の「ホットメルト組成物」において、「動粘度(40℃)が200?1000mm^(2)/sのパラフィンオイル(B)」を特に用いるものとする動機付けとなる記載があるとはいえない。 (ウ)小括 したがって、上記相違点2?4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び他の甲号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 ウ 本件発明2?3について 本件発明2?3は、本件発明1を直接的又は間接的に引用して限定した発明であるから、本件発明2?3は、上記イ(イ)で示した理由と同じ理由により、甲第1号証に記載された発明及び甲第2?10号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)まとめ 以上のとおりであるから、申立理由1によっては、本件発明1?3に係る特許を取り消すことはできない。 第6 むすび 以上のとおり、当審が通知した取消理由および申立人がした申立理由によっては、本件発明1-3に係る特許を取り消すことはできない。 また、ほかに本件発明1-3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2021-10-21 |
出願番号 | 特願2016-66293(P2016-66293) |
審決分類 |
P
1
651・
536-
Y
(C08L)
P 1 651・ 121- Y (C08L) P 1 651・ 537- Y (C08L) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 横山 法緒 |
特許庁審判長 |
佐藤 健史 |
特許庁審判官 |
橋本 栄和 杉江 渉 |
登録日 | 2020-06-30 |
登録番号 | 特許第6726011号(P6726011) |
権利者 | アイカ工業株式会社 |
発明の名称 | 易解体性ホットメルト組成物 |