• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C23C
管理番号 1380276
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-11 
確定日 2021-12-01 
事件の表示 特願2018−517891「固体前駆体の低温焼結」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月13日国際公開、WO2017/062670、平成30年11月29日国内公表、特表2018−535315〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)10月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年10月6日、米国(US))を国際出願日とする特願2018−517891号であって、平成30年6月12日に手続補正がなされ、平成31年3月13日付けで拒絶理由通知がなされ、令和元年6月13日に意見書が提出されたが、同年11月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和2年3月11日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 特許請求の範囲の記載(本願発明)
本願の請求項1〜10に係る発明は、平成30年6月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「 【請求項1】
気相成長プロセスのための前駆体蒸気を発生させる揮発に有用な、圧縮粒子前駆体の固形体を含む固体送達前駆体。」

第3 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶理由は、平成31年3月13日付け拒絶理由通知書に記載した理由1を含むものであり、その内容は、要するに、次のとおりのものである。
・拒絶理由(新規性):本願発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特表2010−502833号公報

第4 引用文献1の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、「制御された固体モルフォロジを利用する、固体前駆体に基づいた流体の送出」(発明の名称)に関する以下の事項が記載されている。

(1)「【0021】
本発明の他の態様は、蒸気生成に用いる多孔質固体ソース試薬物品を、前記物品の加熱により製造する方法であって、粉末形態のソース試薬を提供し、粉末を熱および加圧下で圧密して、多孔質固体ソース試薬物品を得ることを含む方法に関する。」

(2)「【0033】
本発明は、化学蒸着またはイオン注入等の流体を利用するプロセスのために蒸気を生成するソース試薬の気化のための気化器装置、システムおよび方法に関する。
【0034】
本発明は、液体および半固体ソース試薬材料(半固体ソース試薬材料とは、ここでは、流動可能な固体、固体懸濁液、イオン液体組成物等を含むものと考えられる)をはじめとする様々な種類のソース試薬に適用でき、固体ソース試薬材料に特に有用である。本発明の実施で用いる固体ソース試薬材料は、例えば、粉末、顆粒、ペレット、ビーズ、レンガ、ブロック、シート、ロッド、プレート、フィルム、コーティング等の形態にあり、特定の用途において望まれる通り、多孔質または非多孔質の形態で実施される。」

(3)「【0089】
本発明は、様々な特定の態様において、固体または液体ソース試薬からソース試薬蒸気を生成し、送出するための気化器システムに関する。ソース試薬は、かかるソース試薬に由来する蒸気中に粒子を生成または存在させやすい。本発明は、対応蒸気中に粒子を生成および存在させやすい固体ソース試薬に対して、特に有用な用途がある。
【0090】
本発明の気化器システムが有用に用いられる固体前駆体は、固体相金属ハロゲン化物、有機金属固体等をはじめとする任意の好適な種類とすることができる。・・・
【0091】
前述の材料から選択される実例としては、塩化ハフニウムが、ハフニウムおよびハフニウム含有フィルムを、半導体製造操作において蒸着するのに用いられるソース試薬である。塩化ハフニウムは、塩化ハフニウム固体から生成された蒸気中に微粒子を極めて生成および存在させやすいことがわかっている固体ソース試薬材料である。
【0092】
本発明は、気化するとソース試薬蒸気を生じさせる粉末固体の形態のソース試薬材料をはじめとする、粒子を生成しやすいソース試薬材料に関連する特定の問題を解決する様々なアプローチ、装置構成および技術を意図するものである。
【0093】
これらのアプローチ、構成および技術を、塩化ハフニウム粉末等の粉末固体ソース試薬を具体的に参照して後述するが、その適用性は、多くの場合、様々な液体ソース試薬材料まで拡大され、その使用も含まれるものとする。
【0094】
粉末固体ソース試薬の使用への適用について広く考えると、本発明のアプローチ、構成および技術には、これらに限られるものではないが、以下のことが含まれる。
・・・
(viii)多孔質固体ソース試薬本体の使用。例えば、ポリマーまたはその他一時的な媒体を、固体ソース試薬材料の粉末と混合した後、ポリマー媒体またはその他一時的な媒体を除去して、多孔質固体ソース試薬本体を得ることにより形成可能である。・・・」

2 引用文献1に記載された発明(引用発明)
引用文献1には、上記1(2)によれば、化学蒸着又はイオン注入等の流体を利用するプロセスのために蒸気を生成する液体及び半固体ソース試薬材料をはじめとする様々な種類のソース試薬の気化のための気化器装置などが記載され、そのソース試薬の実例として、上記1(3)によれば、ハフニウム及びハフニウム含有フィルムを半導体製造操作において蒸着するのに用いられる塩化ハフニウム固体ソース試薬が記載され、その粉末固体ソース試薬に関し、多孔質固体ソース試薬として使用することも記載されている。そして、上記多孔質固体ソース試薬の製造方法について、上記1(1)には、蒸気生成に用いる多孔質固体ソース試薬物品を加熱により製造する際に、粉末形態のソース試薬を提供し、前記粉末形態のソース試薬を熱及び加圧下で圧密して、多孔質固体ソース試薬を得ることが記載されている。
そうすると、引用文献1には、化学蒸着を利用するプロセスのための蒸気を生成する塩化ハフニウム多孔質固体ソース試薬が記載され、なおかつ、当該多孔質固体ソース試薬は、粉末形態のソース試薬を熱及び加圧下で圧密することで得られたものであることが記載されているということができる。
以上をまとめると、引用文献1には、多孔質固体ソース試薬物品に関する次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているということができる。
「化学蒸着を利用するプロセスのための蒸気を生成する塩化ハフニウム多孔質固体ソース試薬であって、前記多孔質固体ソース試薬は、粉末形態のソース試薬を熱及び加圧下で圧密することで得られたものである、多孔質固体ソース試薬。」

3 対比・判断
<特許法第29条第1項第3号新規性)について>
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明に係る「化学蒸着を利用するプロセスのための蒸気を生成する塩化ハフニウム多孔質固体ソース試薬」は、「化学蒸着を利用するプロセス」、すなわち、「気相成長プロセス」に用いられるものであり、当該プロセスにおいて化学蒸着のために「蒸気」、すなわち、「前駆体蒸気」を生成するものであるから、本願発明でいう「気相成長プロセスのための前駆体蒸気を発生させる揮発に有用な」、「前駆体の固形体を含む固体送達前駆体」に相当するものといえる。
また、引用発明に係る「多孔質固体ソース試薬」は、「粉末形態のソース試薬を熱及び加圧下で圧密することで得られたものである」ところ、当該「粉末形態のソース試薬」を構成する粉体(粒子)は、「熱及び加圧下で圧密」されるのであるから、本願発明でいう「圧縮粒子前駆体」にほかならない。
してみると、両者は、「気相成長プロセスのための前駆体蒸気を発生させる揮発に有用な、圧縮粒子前駆体の固形体を含む固体送達前駆体。」である点で一致し、相違点はないものと認められる。
したがって、本願発明は、引用発明、すなわち、引用文献1に記載された発明であるといえる。

4 審判請求人の主張
審判請求人は令和2年3月11日提出の審判請求書において、
(1)前駆体に関し、本願発明は、「粒子固体前駆体材料が高度に圧縮されて、圧縮固形体が形成され」たものであるのに対して、引用文献1に記載された発明は、「粒子状前駆体を圧縮することによって形成される前駆体」ではない旨、
(2)引用文献1には、垂直積層トレイ容器に金属塩化物を加圧下で圧密して形成された多孔質固体ソース試薬を収容してALD成膜用のガスを供給することが記載されているが、この圧密化は、圧力下での粒子状固体の圧縮ではなく、その代わりに、最も小さい粒子の融解または合体をもたらすための穏やかな高温条件下での試薬粒子の加熱であると具体的に記載されており、粒子の圧縮については、引用文献1には記載も示唆も存在しない旨、
主張している(審判請求書第2〜3頁「3.本発明が特許されるべき理由」参照。)。
しかしながら、上記主張(1)については、上記3で検討したとおり、引用発明における「多孔質固体ソース試薬」は、「粉末形態のソース試薬」を構成する粉体(粒子固体前駆体材料)が、熱及び加圧下で圧縮されて形成された圧縮固形体であるから、この点で両発明の相違点を認定することはできず、審判請求人の上記主張(1)は採用できない。
また、上記主張(2)についても、上記3で検討したとおり、「粉末形態のソース試薬」を構成する粉末(粒子)が、「熱及び加圧下で圧密」されるのであるから、「加圧下」(圧力下)での「粉末形態のソース試薬」(粒子)の圧密(圧縮)にほかならず、審判請求人の上記主張(2)も採用できない。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 宮澤 尚之
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2021-06-23 
結審通知日 2021-06-29 
審決日 2021-07-13 
出願番号 P2018-517891
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (C23C)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 宮澤 尚之
特許庁審判官 金 公彦
末松 佳記
発明の名称 固体前駆体の低温焼結  
代理人 園田・小林特許業務法人  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ