• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1380423
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-24 
確定日 2022-01-11 
事件の表示 特願2019−160733「サーバ、サーバ制御方法、サーバ制御プログラム、及び端末制御プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 3月11日出願公開、特開2021− 39562、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和元年9月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 1月14日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 3月16日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 6月15日付け:拒絶査定
令和 2年 8月24日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提

令和 3年 8月24日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和 3年 9月22日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年6月15日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
この出願の請求項1,2,5,6,7に係る発明は、以下の引用文献A,Bに記載された発明に基いて、請求項3,8に係る発明は、以下の引用文献A〜Cに記載された発明に基いて、請求項4に係る発明は、以下の引用文献A,B,Dに記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献A: 特開2012−93734号公報
引用文献B: 特開2017−67957号公報
引用文献C: 特開2019−95828号公報
引用文献D: 真嶋由貴恵,他3名,自己学習支援システムデザインと初学者の看護スキル習得状況,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2011年5月7日,第111巻,第39号,p.65-70

第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和3年8月24日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1〜3,5〜8に係る発明は、以下の引用文献1,2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1: 特開2012−93734号公報(原査定の引用文献A)
引用文献2: 特開2008−220979号公報

第4 本願発明
本願請求項1〜7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明7」という。)は、令和3年9月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された事項により特定される発明であり、それらのうちの本願発明1,5〜7は、次のとおりの発明である。

「【請求項1】
配信者端末、挑戦者端末及び閲覧者端末と通信可能に接続されたサーバであって、
前記サーバはサーバ制御部を含み、前記サーバ制御部は、
前記配信者端末から配信者動画を受信し、
前記挑戦者端末からの要求に応じて、1以上の配信者動画の属性を含む配信者動画リストを送信し、
前記挑戦者端末によって前記配信者動画リストから選択された配信者動画を、前記挑戦者端末に送信し、
前記配信者動画と前記配信者動画に関連付けて撮影された挑戦者動画とを同一画面内の別の表示領域に表示する対戦動画を、前記挑戦者端末から受信し、
前記閲覧者端末からの要求に応じて、前記対戦動画を送信し、
前記閲覧者端末から、前記配信者動画と前記挑戦者動画との少なくとも一方に対する選択を受け付け、
前記配信者端末及び前記挑戦者端末の両方は携帯端末であり、
前記配信者動画及び前記挑戦者動画の両方は屋外で行われるストリートカルチャーを撮影した動画であり、
前記閲覧者端末により、配信者と挑戦者とが音声の内容で対戦していると判定されると、前記対戦動画において同一画面内の別の表示領域において表示される前記配信者動画と前記挑戦者動画とは、前記配信者動画の音声と前記挑戦者動画の音声とが被らないように交互に再生される、
サーバ。」
「【請求項5】
配信者端末、挑戦者端末及び閲覧者端末と通信可能に接続されたサーバによって実行されるサーバ制御方法であって、
前記サーバに含まれるサーバ制御部は、
前記配信者端末から配信者動画を受信し、
前記挑戦者端末からの要求に応じて、1以上の配信者動画の属性を含む配信者動画リストを送信し、
前記挑戦者端末によって前記配信者動画リストから選択された配信者動画を、前記挑戦者端末に送信し、
前記配信者動画と前記配信者動画に関連付けて撮影された挑戦者動画とを同一画面内の別の表示領域に表示する対戦動画を、前記挑戦者端末から受信し、
前記閲覧者端末からの要求に応じて、前記対戦動画を送信し、
前記閲覧者端末から、前記配信者動画と前記挑戦者動画との少なくとも一方に対する選択を受け付け、
前記配信者端末及び前記挑戦者端末の両方は携帯端末であり、
前記配信者動画及び前記挑戦者動画の両方は屋外で行われるストリートカルチャーを撮影した動画であり、
前記閲覧者端末により、配信者と挑戦者とが音声の内容で対戦していると判定されると、前記対戦動画において同一画面内の別の表示領域において表示される前記配信者動画と前記挑戦者動画とは、前記配信者動画の音声と前記挑戦者動画の音声とが被らないように交互に再生される、 サーバ制御方法。
【請求項6】
配信者端末、挑戦者端末及び閲覧者端末と通信可能に接続されたサーバに、 前記配信者端末から配信者動画を受信し、
前記挑戦者端末からの要求に応じて、1以上の配信者動画の属性を含む配信者動画リストを送信し、
前記挑戦者端末によって前記配信者動画リストから選択された配信者動画を、前記挑戦者端末に送信し、
前記配信者動画と前記配信者動画に関連付けて撮影された挑戦者動画とを同一画面内の別の表示領域に表示する対戦動画を、前記挑戦者端末から受信し、
前記閲覧者端末からの要求に応じて、前記対戦動画を送信し、
前記閲覧者端末から、前記配信者動画と前記挑戦者動画との少なくとも一方に対する選択を受け付ける、
処理を実行させるサーバ制御プログラムであって、
前記配信者端末及び前記挑戦者端末の両方は携帯端末であり、
前記配信者動画及び前記挑戦者動画の両方は屋外で行われるストリートカルチャーを撮影した動画であり、
前記閲覧者端末により、配信者と挑戦者とが音声の内容で対戦していると判定されると、前記対戦動画において同一画面内の別の表示領域において表示される前記配信者動画と前記挑戦者動画とは、前記配信者動画の音声と前記挑戦者動画の音声とが被らないように交互に再生される、
サーバ制御プログラム。
【請求項7】
携帯端末に、
対戦動画の取得要求をサーバに送信し、
前記サーバから、配信者動画と前記配信者動画に関連付けて撮影された挑戦者動画とを同一画面内の別の表示領域に表示する対戦動画を受信し、
前記配信者動画と前記挑戦者動画との少なくとも一方に対する選択を受け付ける、
処理を実行させ、
前記配信者動画と前記挑戦者動画とは、それぞれ、配信者と挑戦者とが同一の楽曲に合わせて行ったダンスの動画を含み、
前記配信者動画及び前記挑戦者動画の両方は屋外で行われるストリートカルチャーを撮影した動画であり、
前記携帯端末により、配信者と挑戦者とが音声の内容で対戦していると判定されると、前記対戦動画において同一画面内の別の表示領域において表示される前記配信者動画と前記挑戦者動画とは、前記配信者動画の音声と前記挑戦者動画の音声とが被らないように交互に再生される、
端末制御プログラム。」

なお、本願発明2〜4は、本願発明1を減縮した発明である。

第5 引用文献の記載、引用発明
1 引用文献1、引用発明
(1)当審拒絶理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。

「【0020】
図1は、本発明の一実施例である動画情報配信システム10の構成を説明する図である。この図1に示すように、本実施例の動画情報配信システム10は、情報配信サービス提供会社によって運営されるサーバ装置(センタ装置)12と、通信端末装置である複数(図1では2つを例示している)のパーソナルコンピュータ14(以下、PC14と称する)と、同じく通信端末装置である複数(図1では2つを例示している)の携帯電話機16と、所定の通信回線18とを、備えて構成されている。この通信回線18は、例えば公衆電話回線、ADSL回線、或いは光ファイバ回線等から構成されるWWW(World Wide Web)等のインターネットに接続されたものであり、上記サーバ装置12及びPC14は、何れも上記通信回線18に接続されることで、その通信回線18を介して相互に情報の通信が可能とされている。また、上記携帯電話機16は中継基地局20を介して上記通信回線18に接続されており、上記サーバ装置12とその携帯電話機16との間でも相互に情報の通信が可能とされている。
【0021】
また、本実施例の動画情報配信システム10は、カラオケ装置を用いたカラオケシステム30を含んで構成されている。例えば、図1に示すように、カラオケボックス、スナック、旅館等の店舗32における複数の個室34a、34b、34c、・・・(以下、特に区別しない場合には単に個室34と称する)にそれぞれ1台乃至は複数台ずつ(図1では1台ずつ)カラオケ装置36a、36b、36c、・・・(以下、特に区別しない場合には単にカラオケ装置36と称する)が設置されている。これら複数のカラオケ装置36は、ルータ44を介して上記通信回線18に接続されており、上述のようにその通信回線18に接続されたサーバ装置12等との相互間でその通信回線18を介して情報の通信が可能とされている。すなわち、上記カラオケ装置36は、上記PC14及び携帯電話機16等と同様に、上記通信回線18に接続されて上記サーバ装置12との間で情報の通信を行う通信端末装置に対応する。」

「【0037】
前記サーバ装置12に備えられた動画データベース68は、通信端末装置としての前記カラオケ装置36、或いは前記PC14や携帯電話機16等から投稿すなわち前記通信回線18を介してアップロードされた複数の動画情報(映像情報)を記憶する。この動画情報は、例えばAVI(Audio-Video Interleaved)形式、MPEG(Moving Picture Experts Group)形式、FLV(Flash Video)形式等の動画ファイル(映像ファイル)であり、例えば投稿順に定められた所定の識別番号(コンテンツID)をインデックスとして前記動画データベース68に記憶される。なお、この動画情報は、複数枚の静止画像が所定の時間間隔で切替表示される所謂パラパラアニメーションや、映像が一時的に停止する静止画部分を含むものであってもよい。また、その動画データベース68には、投稿者の識別情報(ユーザID)、投稿者の名前(ニックネーム)、投稿時(投稿日時)、投稿に相前後して投稿者により設定(入力)された映像のタイトル、投稿者のコメント、削除用のパスワード、再生回数、投稿コメント数、閲覧者からの投票結果(得票数)、対応する演奏曲の識別情報(選曲番号)、曲名、アーティスト名、及び演奏評価結果(採点結果)等の情報が各動画情報毎にその動画情報と関連づけられて記憶されるようになっている。」

「【0041】
本実施例の動画情報配信システム10は、図5に示す各種制御機能により各利用者からの動画情報の投稿を受け付けると共に、投稿された動画情報を前記通信回線18を介して配信する投稿受付制御及び映像配信制御を実行する。また、この投稿受付制御に関して、それぞれ態様の異なる第1の投稿受付制御(第1の動画投稿制御)及び第2の投稿受付制御(第2の動画投稿制御)を選択的に実行するように構成されている。すなわち、第1の投稿受付制御において、前記通信回線18を介して前記カラオケ装置36等の通信端末装置からの動画情報の投稿(アップロード)を受け付け、その投稿された動画情報を前記動画データベース68に蓄積する処理を行う。一方、第2の投稿受付制御において、既に前記動画データベース68に蓄積されている動画情報に対して、共演動画(コラボ動画)に係る組み合わせ対象となる動画情報の投稿を受け付け、その投稿された動画情報を前記動画データベース68に蓄積すると共に共演動画情報として組み合わせる編集処理を行う。以下、これら第1の投稿受付制御及び第2の投稿受付制御それぞれにおける各制御機能の動作を個別に説明する。
【0042】
先ず、上記第1の投稿受付制御及び第2の投稿受付制御において共通の前記演奏記録制御手段150、投稿受付制御手段152、配信要求制御手段156、166、及び動画配信制御手段158それぞれの動作について説明する。前記演奏記録制御手段150は、前記カラオケ装置36による演奏曲の出力に際して、撮像装置である前記ビデオカメラ122により撮影された映像情報及び音声入力装置であるマイクロフォン110により入力された音声情報を記録する。好適には、前記ビデオカメラ122により撮影された映像情報と、音声入力装置であるマイクロフォン110により入力されて前記A/Dコンバータ112によりディジタル信号に変換された音声情報とを、例えばAVI形式、MPEG形式、FLV形式等のファイル形式にて統合し、映像情報及び音声情報を含む動画情報(動画ファイル)として記録する。図6は、前記演奏記録制御手段150により記録された、前記カラオケ装置36による演奏曲の出力に際して前記ビデオカメラ122により撮影された動画情報である第1の演奏映像180を例示している。なお、図5に示す各制御手段は、映像情報及び音声情報をそれぞれ個別の情報(ファイル)として記録、送受信、乃至蓄積等するものであってもよいが、本実施例においてはそれらを統合して動画ファイルとして記録、送受信、乃至蓄積等する態様について説明する。すなわち、以下の説明において特に言及しない場合には、本実施例における動画情報は、映像情報及びその再生に際して出力される音声に対応する音声情報を含むものである。」

「【0046】
次に、第2の投稿受付制御における前記演奏記録制御手段150、投稿受付制御手段152、検索制御手段154、配信要求制御手段156、動画配信制御手段158、動画出力制御手段160、同期演奏制御手段162、及び共演動画編集制御手段164それぞれの動作について説明する。前記検索制御手段154は、前記カラオケ装置36により出力可能な前記多数の演奏曲から所定の条件を満たす単数乃至複数の演奏曲を検索する。例えば、前記楽曲データベース138に記憶された多数の演奏曲(楽曲データ)のうち、前記電子早見本装置38やリモコン装置98等を介して入力される文字乃至は文字列によって示される条件に基づいて、単数乃至は複数の演奏曲を検索する曲名検索処理を実行する。例えば、入力された文字乃至文字列に少なくとも一部が一致する曲名の演奏曲(楽曲データ)を前記楽曲データベース138に記憶された多数の演奏曲から抽出する。また、好適には、前記楽曲データベース138に記憶された多数の演奏曲に係るアーティスト名(歌手名)に関して、前記電子早見本装置38やリモコン装置98等を介して入力される文字乃至は文字列によって示される条件に基づいて、単数乃至は複数のアーティスト名を検索する歌手名検索処理を実行する。例えば、入力された文字乃至文字列に少なくとも一部が一致するアーティスト名を、前記楽曲データベース138に記憶された多数の演奏曲の属性情報としてのアーティスト名から抽出する。
【0047】
また、前記検索制御手段154は、前記動画データベース68に記憶された複数の動画情報から所定の条件を満たす単数乃至複数の動画情報を検索する。好適には、上記曲名検索処理により検索された演奏曲に関連付けられた単数乃至複数の動画情報を前記動画データベース68に記憶された複数の動画情報から抽出する。また、好適には、上記歌手名検索処理により検索されたアーティスト名を属性情報とする演奏曲に関連付けられた単数乃至複数の動画情報を前記動画データベース68に記憶された複数の動画情報から抽出する。また、好適には、前記電子早見本装置38やリモコン装置98等を介して入力される文字乃至は文字列によって示される条件に基づいて、単数乃至は複数の動画情報を検索する。例えば、入力された文字乃至文字列に少なくとも一部が一致する投稿者の名前(ニックネーム)に関連付けられた単数乃至複数の動画情報を前記動画データベース68に記憶された複数の動画情報から抽出する。
【0048】 前記動画出力制御手段160は、前記動画配信制御手段158により配信された動画情報の出力を制御する。すなわち、前記サーバ12から前記通信回線18を介してダウンロードされた動画情報を再生して前記映像表示装置100に表示させる。ここで、前記カラオケ装置36においては、前記映像情報デコーダ104が斯かる動画出力制御手段160として機能するものであってもよい。また、前記同期演奏制御手段162は、前記動画出力制御手段160による動画情報の出力と同期してその動画情報と関連付けられた演奏曲を出力させる。例えば、前記動画出力制御手段160により対象となる動画情報の出力(再生)が行われる際に、その動画情報と関連付けられた演奏曲(動画データベース68において関連付けられていた選曲番号に対応する演奏曲)の楽曲データを前記楽曲データベース138から読み出し、動画情報の出力が開始されるのと同期して(同時に)その楽曲データに対応するカラオケ演奏制御を開始する。所定の演奏曲と関連付けられた動画情報は、前記演奏記録制御手段150によりその演奏曲の出力に際して前記ビデオカメラ122により撮影された動画情報を記録したものであるため、その動画情報の出力と同期して対応する演奏曲のカラオケ演奏制御を行うことで、あたかもその動画情報の歌い手と同時に歌っているような共演演奏(コラボ演奏)を実現できる。」

「【0051】 前記演奏記録制御手段150は、前記動画出力制御手段160による動画情報の出力と同期して前記同期演奏制御手段162によりその動画情報と関連付けられた演奏曲を出力させる同期演奏制御に際して、撮像装置である前記ビデオカメラ122により撮影された映像情報及び音声入力装置であるマイクロフォン110により入力された音声情報を記録する。好適には、前記ビデオカメラ122により撮影された動画情報と、音声入力装置であるマイクロフォン110により入力されて前記A/Dコンバータ112によりディジタル信号に変換された音声情報とを、例えばAVI形式、MPEG形式、FLV形式等のファイル形式にて統合し、映像情報及び音声情報を含む動画情報(動画ファイル)として記録する。
【0052】 前記投稿受付制御手段152は、前記同期演奏制御手段162による所定の演奏曲の出力に際して前記演奏記録制御手段150により記録された映像情報及び音声情報に対応する動画情報の投稿を受け付け、対象となる演奏曲(同期演奏制御手段162により出力された演奏曲)の識別情報、投稿の主体となる利用者の識別情報(ユーザID)、及び共演演奏に係る動画情報の識別情報(コンテンツID)と関連付けて前記動画データベース68に記憶させる。
【0053】 前記共演動画編集制御手段164は、前記投稿受付制御手段152により受け付けられる複数の動画情報を組み合わせて共演動画情報を編集し、その編集された共演動画情報を前記動画データベース68に記憶させる。好適には、前記投稿受付制御手段152により受け付けられる、共通の演奏曲に関連付けられた複数の動画情報を組み合わせて共演動画情報を編集し、その編集された共演動画情報をその演奏曲の識別情報(コンテンツID)と関連付けて前記動画データベース68に記憶させる。この共演動画情報とは、上記組み合わせに係る複数(好適には1対)の動画情報を同期して(同時に)出力させるための情報であり、好適には、前記動画データベース68にそれぞれ個別に(独立した動画ファイルとして)記憶された組み合わせに係る複数の動画情報を読み出し、それら動画情報を共演映像として同期出力させるための組み合わせ情報に相当する。また、好適には、その共演動画情報の属性情報として、対象となる演奏曲の識別情報(選曲番号)、その演奏曲の曲名、アーティスト名、演奏時間、組み合わせに係る各動画情報の投稿者の識別情報(ユーザID)、各投稿者の名前(ニックネーム)、各投稿者のコメント、共演映像のタイトル、及び各動画情報に対応する演奏評価結果(採点結果)等が対象となる共演動画情報と関連付けられて前記動画データベース68に記憶される。
【0054】 前記動画配信制御手段158は、前記通信回線18を介しての前記PC14や携帯電話機16等の通信端末装置からの配信要求に応じて、前記動画データベース68に記憶されたその配信要求に係る共演動画情報をその通信端末装置に配信する。好適には、共演動画情報の配信と相前後してその共演動画情報に係る組み合わせの対象となる複数の動画情報を前記動画データベース68から読み出し、その共演動画情報と共に上記配信要求元である通信端末装置に配信する。この動画配信制御手段158により配信された共演動画情報に係る複数の動画情報は、各通信端末装置に備えられた動画出力制御手段160、168等によりその通信端末装置の表示部(映像表示装置)に表示される。
【0055】 前記動画出力制御手段168は、前記動画配信制御手段158により配信された動画情報の出力を制御する。すなわち、前記サーバ12から前記通信回線18を介してダウンロードされた動画情報を再生して前記映像表示装置80に表示させる。ここで、前記PC14のCPU74に備えられた動画出力制御手段168は、好適には、前記動画配信制御手段158により配信された動画情報をWWWブラウザ上で出力(再生)可能とするものであり、例えばMPEGデコーダやフラッシュプレイヤ等、動画ファイルの形式に応じて種々の動画再生ソフトウェア(プラグイン)が適宜用いられる。
【0056】 図8は、前記PC14や携帯電話機16等の通信端末装置に表示された共演映像186の一例を示す図である。この共演映像186においては、前述した図6に示す第1の演奏映像180と、前記動画出力制御手段160及び同期演奏制御手段162によりその第1の演奏映像180の出力と同期して実行されたカラオケ演奏の出力に際して前記演奏記録制御手段150により記録された第2の演奏映像184とが、所定のWWWウェブサイト上において同期して(同時に)出力される例を示している。この図8に示すWWWウェブサイトは、例えば、前記動画情報配信システム10を運営する情報配信サービス提供会社により管理される所謂動画投稿サイトに相当するものであり、一般的なWWWブラウザにより前記PC14や携帯電話機16等の通信端末装置において閲覧可能とされる。このWWWウェブサイト上においては、出力される共演映像に係る共通の演奏曲の曲名及びアーティスト名が表示されると共に、再生/停止ボタン188、頭出しボタン190、再生位置決定つまみ192、音量設定つまみ194、及び表示画面の全画面表示乃至等倍表示を切り替える表示切替ボタン196等が表示され、各ボタン乃至つまみにより共演映像の出力に係る各種操作が可能とされている。また、各動画情報に対応して非表示ボタン198が表示され、その非表示ボタン198が押されることで共演映像に係る2つの動画情報の何れか一方を非表示とすることができるようになっている。更に、各動画情報に対応して投票ボタン200が表示され、その投票ボタン200が押されることで後述する投票制御手段170により各動画情報に対する閲覧者の投票が可能とされている。」

「【0059】
図5に示す投票制御手段170は、前記PC14に備えられた前記キーボード84乃至マウス86等の入力装置による操作に応じて、前記動画データベース68に記憶された各動画情報に対する投票処理を実行する。例えば、図8に示す共演映像186における第1の演奏映像180乃至第2の演奏映像184に対応して表示された投票ボタン200にカーソルが合わせられた状態における前記マウス86のクリック操作等に応じて、前記第1の演奏映像180乃至第2の演奏映像184に対する投票に関する情報を前記サーバ装置12へ送信する。また、前記投票受付制御手段172は、前記通信端末装置における上記投票制御手段170による投票処理に応じて、前記動画データベース68に記憶された各動画情報に対する投票を受け付ける。すなわち、前記動画データベース68において投票対象となる動画情報に関連付けて記憶された投票結果(得票数)を更新すなわち得票数に1を加算する処理を行う。なお、上記投票制御手段170及び投票受付制御手段172は、必ずしも共演動画情報の組み合わせに係る1対の動画情報の出力時に投票処理乃至投票受付処理を行うものでなくともよく、例えば、前記動画データベース68に記憶された動画情報の単独出力(通常出力)に相前後してその動画情報に対する投票処理乃至投票受付処理を行うものであってもよい。」

「【図1】



「【図8】



(2)上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「サーバ装置(センタ装置)12と、通信端末装置である複数の携帯電話機16と、所定の通信回線18とを備えて構成され、カラオケ装置を用いたカラオケシステム30を含んで構成されており、上記携帯電話機16は上記通信回線18に接続され、上記サーバ装置12とその携帯電話機16との間で相互に情報の通信が可能とされており、複数のカラオケ装置36が上記通信回線18に接続され、その通信回線18に接続されたサーバ装置12等との相互間でその通信回線18を介して情報の通信が可能とされている、動画情報配信システム10であって、(【0020】、【0021】)
前記サーバ装置12に備えられた動画データベース68は、通信端末装置としての前記カラオケ装置36、或いは携帯電話機16等から投稿すなわち前記通信回線18を介してアップロードされた複数の動画情報(映像情報)を記憶し、(【0037】)
第1の投稿受付制御において、前記通信回線18を介して前記カラオケ装置36等の通信端末装置からの動画情報の投稿(アップロード)を受け付け、その投稿された動画情報を前記動画データベース68に蓄積する処理を行い、一方、第2の投稿受付制御において、既に前記動画データベース68に蓄積されている動画情報に対して、共演動画(コラボ動画)に係る組み合わせ対象となる動画情報の投稿を受け付け、その投稿された動画情報を前記動画データベース68に蓄積すると共に共演動画情報として組み合わせる編集処理を行い、(【0041】)
上記第1の投稿受付制御及び第2の投稿受付制御において、撮像装置により撮影された映像情報及び音声入力装置により入力された音声情報を記録し、(【0042】)
第2の投稿受付制御における動作では、前記カラオケ装置36により出力可能な前記多数の演奏曲から所定の条件を満たす単数乃至複数の演奏曲を検索し、(【0046】)
また、前記動画データベース68に記憶された複数の動画情報から所定の条件を満たす単数乃至複数の動画情報を検索し、(【0047】)
前記サーバ12から前記通信回線18を介してダウンロードされた動画情報を再生して表示させ、動画情報の出力と同期してその動画情報と関連付けられた演奏曲を出力させ、所定の演奏曲と関連付けられた動画情報は、その演奏曲の出力に際して撮影された動画情報を記録したものであるため、その動画情報の出力と同期して対応する演奏曲のカラオケ演奏制御を行うことで、あたかもその動画情報の歌い手と同時に歌っているような共演演奏(コラボ演奏)を実現でき、(【0048】)
動画情報の出力と同期してその動画情報と関連付けられた演奏曲を出力させる同期演奏制御に際して、撮像装置により撮影された映像情報及び音声入力装置により入力された音声情報を記録し、動画情報と音声情報とを統合し、映像情報及び音声情報を含む動画情報(動画ファイル)として記録し、(【0051】)
所定の演奏曲の出力に際して記録された映像情報及び音声情報に対応する動画情報の投稿を受け付け、(【0052】)
複数の動画情報を組み合わせて共演動画情報を編集し、その編集された共演動画情報を前記動画データベース68に記憶させ、この共演動画情報とは、上記組み合わせに係る複数(好適には1対)の動画情報を同期して(同時に)出力させるための情報であり、好適には、前記動画データベース68にそれぞれ個別に(独立した動画ファイルとして)記憶された組み合わせに係る複数の動画情報を読み出し、それら動画情報を共演映像として同期出力させるための組み合わせ情報に相当し、(【0053】)
前記通信回線18を介しての携帯電話機16等の通信端末装置からの配信要求に応じて、前記動画データベース68に記憶されたその配信要求に係る共演動画情報をその通信端末装置に配信し、(【0054】)
共演映像186においては、第1の演奏映像180と、その第1の演奏映像180の出力と同期して実行されたカラオケ演奏の出力に際して記録された第2の演奏映像184とが、所定のWWWウェブサイト上において同期して(同時に)出力され、このWWWウェブサイトは、一般的なWWWブラウザにより携帯電話機16等の通信端末装置において閲覧可能とされ、各動画情報に対応して投票ボタン200が表示され、その投票ボタン200が押されることで各動画情報に対する閲覧者の投票が可能とされており、(【0056】)
共演映像186における第1の演奏映像180乃至第2の演奏映像184に対応して表示された投票ボタン200にカーソルが合わせられた状態における前記マウス86のクリック操作等に応じて、前記第1の演奏映像180乃至第2の演奏映像184に対する投票に関する情報を前記サーバ装置12へ送信する、(【0059】)
動画情報配信システム10。(【0020】)」

2 引用文献2
当審拒絶理由にて引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0140】
本実施形態のゲームでは、遊戯カードであるオシャレ魔法カードを使い、おしゃれをして、いろいろなダンスパーティに参加し、上手にダンスを踊ることでライバルの少女より目立つことを競い合う。」
【0141】
ダンスパーティの場所として、ストリート、舞踏会、アイドルステージが設定されている。図10は、ダンスパーティのステップにおいて、遊戯装置1のディスプレイモニター5に表示される画面の具体例である。図10(A)はダンスパーティがストリートで行われる場合の画面であり、図10(B)はダンスパーティが舞踏会で行われる場合の画面であり、図10(C)はダンスパーティがアイドルステージで行われる場合の画面である。
【0142】
本実施形態のゲームでは、おしゃれにはTPOが重要とのコンセプトに基づいて、ダンスパーティの場所により必要とされるおしゃれが異なるものであるとしている。
【0143】
例えば、ダンスパーティがストリートで行われる場合(図13(A))には、ストリートは昼間の野外でのダンスであり、ヒップホップダンスパーティであり、カジュアルにかっこよく決めることが重要である。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
(ア)引用発明の「サーバ装置(センタ装置)12」は、「通信端末装置である複数の携帯電話機16」と、「通信回線18に接続され」て「情報の通信が可能」であるとともに、「複数のカラオケ装置36」とも「通信回線18に接続され」て「情報の通信が可能」であるから、「複数の携帯電話機16」や「複数のカラオケ装置36」と「通信可能に接続され」たものであるといえる。
そして、引用発明の「サーバ装置(センタ装置)12」は、本願発明1の「サーバ」に相当する。

(イ)引用発明は、
「第1の投稿受付制御において、前記通信回線18を介して前記カラオケ装置36等の通信端末装置からの動画情報の投稿(アップロード)を受け付け、その投稿された動画情報を前記動画データベース68に蓄積する処理を行い、一方、第2の投稿受付制御において、既に前記動画データベース68に蓄積されている動画情報に対して、共演動画(コラボ動画)に係る組み合わせ対象となる動画情報の投稿を受け付け、その投稿された動画情報を前記動画データベース68に蓄積すると共に共演動画情報として組み合わせる編集処理を行」う
ものであるとともに、
「前記通信回線18を介しての携帯電話機16等の通信端末装置からの配信要求に応じて、前記動画データベース68に記憶されたその配信要求に係る共演動画情報をその通信端末装置に配信し、
共演映像186においては、第1の演奏映像180と、その第1の演奏映像180の出力と同期して実行されたカラオケ演奏の出力に際して記録された第2の演奏映像184とが、所定のWWWウェブサイト上において同期して(同時に)出力され、このWWWウェブサイトは、一般的なWWWブラウザにより携帯電話機16等の通信端末装置において閲覧可能とされ、各動画情報に対応して投票ボタン200が表示され、その投票ボタン200が押されることで各動画情報に対する閲覧者の投票が可能とされて」いる
ものであり、ここで、「第1の投稿受付制御」に係る「カラオケ装置36」は、「第1の投稿受付制御において」、「共演動画(コラボ動画)に係る組み合わせ対象となる動画情報」の「投稿(アップロード)」を「受け付け」るものであって、本願発明1の「配信者端末」に相当する。
一方、「携帯電話機16」は、「共演映像186」を「WWWウェブサイト」により「閲覧可能」なものであって、本願発明1の「閲覧者端末」に相当する。

(ウ)引用発明は、
「第2の投稿受付制御における動作では、前記カラオケ装置36により出力可能な前記多数の演奏曲から所定の条件を満たす単数乃至複数の演奏曲を検索し、
また、前記動画データベース68に記憶された複数の動画情報から所定の条件を満たす単数乃至複数の動画情報を検索し、
前記サーバ12から前記通信回線18を介してダウンロードされた動画情報を再生して表示させ、動画情報の出力と同期してその動画情報と関連付けられた演奏曲を出力させ、所定の演奏曲と関連付けられた動画情報は、その演奏曲の出力に際して撮影された動画情報を記録したものであるため、その動画情報の出力と同期して対応する演奏曲のカラオケ演奏制御を行うことで、あたかもその動画情報の歌い手と同時に歌っているような共演演奏(コラボ演奏)を実現でき、
動画情報の出力と同期してその動画情報と関連付けられた演奏曲を出力させる同期演奏制御に際して、撮像装置により撮影された映像情報及び音声入力装置により入力された音声情報を記録し、動画情報と音声情報とを統合し、映像情報及び音声情報を含む動画情報(動画ファイル)として記録」する
というものであり、ここで、「第2の投稿受付制御」における「動画情報を検索」すること(検索条件の入力等)及び「同期演奏制御」における「動画情報」の「記録」が、いずれも「カラオケ装置36」で行われること、また、「動画情報を検索」することにより、「前記動画データベース68に記憶された複数の動画情報」から特定の「動画情報」が選択されて、当該「動画情報」が、「第2の投稿受付制御」に係る「カラオケ装置36」へ、「前記サーバ12から前記通信回線18を介してダウンロードされ」ることが明らかである。
一方、引用発明は、「複数のカラオケ装置36」を含むものであるから、当該「第2の投稿受付制御」に係る「カラオケ装置36」と、上記(イ)の「第1の投稿受付制御において」、「共演動画(コラボ動画)に係る組み合わせ対象となる動画情報」の「投稿(アップロード)」を「受け付け」る「カラオケ装置36」との異同の関係は不明であるものの、引用発明は、「複数の動画情報を組み合わせて共演動画情報を編集」するものであり、「共演映像186においては、第1の演奏映像180と、その第1の演奏映像180の出力と同期して実行されたカラオケ演奏の出力に際して記録された第2の演奏映像184とが、所定のWWWウェブサイト上において同期して(同時に)出力され」た上で、「各動画情報に対応して投票ボタン200が表示され、その投票ボタン200が押されることで各動画情報に対する閲覧者の投票が可能とされている」から、「第2の投稿受付制御」は、「第1の投稿受付制御」に係る「動画情報」である「第1の演奏映像180」の作成者と異なる者が、「投票」の票数によって優劣を競う、すなわち「第1の演奏映像180」の作成者に「挑戦」する目的で、「第2の演奏映像184」を作成する場合を少なくとも含むものである。
そうすると、このような場合の「第2の投稿受付制御」に係る「カラオケ装置36」は、「第1の投稿受付制御」に係る「カラオケ装置36」と少なくとも使用者(「動画情報」の作成者)が異なるといえ、当該「カラオケ装置36」と本願発明1の「挑戦者端末」とは、「挑戦者が使用する端末」という点で共通している。

(エ)上記(ア)〜(ウ)から、本願発明1の
「配信者端末、挑戦者端末及び閲覧者端末と通信可能に接続されたサーバ」
に関して、本願発明1と引用発明とは、後述する相違点は別として、
「配信者端末、挑戦者が使用する端末及び閲覧者端末と通信可能に接続されたサーバ」
という点で共通している。

(オ)引用発明の「動画データベース68」は、「前記サーバ装置12に備えられた」ものであるから、上記(イ)で述べた引用発明の構成において、「動画データベース68」に「蓄積」される「第1の投稿受付制御」に係る「動画情報」は、「サーバ装置12」が「カラオケ装置36」から「受信」したものであるといえ、本願発明1の「配信者動画」に相当する。
この点について、上記(イ)で検討した点も踏まえると、引用発明と本願発明1とは、
「前記配信者端末から配信者動画を受信」する
動作を行う点で一致している。

(カ)上記(ウ)のとおり、引用発明では、「第2の投稿受付制御」における「動画情報を検索」することが「カラオケ装置36」で行われること、また、「動画情報を検索」することにより、「前記動画データベース68に記憶された複数の動画情報」から特定の「動画情報」が選択されて、当該「動画情報」が、「第2の投稿受付制御」に係る「カラオケ装置36」へ、「前記サーバ12から前記通信回線18を介してダウンロードされ」ることが明らかである。
この点について上記(ア)、(オ)、及び上記(ウ)で更に検討した点も踏まえると、本願発明1における、
「前記挑戦者端末によって前記配信者動画リストから選択された配信者動画を、前記挑戦者端末に送信」する
ことに関して、本願発明1と引用発明とは、
「前記挑戦者が使用する端末によって選択された配信者動画を、前記挑戦者が使用する端末に送信」する
動作を行う点で共通している。

(キ)上記(イ)で述べた引用発明の構成において、「第1の演奏映像180」は、上記(カ)で検討した、「前記動画データベース68に記憶された複数の動画情報」から選択されて「前記サーバ12から前記通信回線18を介してダウンロードされ」た特定の「動画情報」の演奏映像であることが明らかであり、同じく「第2の演奏映像184」は、「その第1の演奏映像180の出力と同期して実行されたカラオケ演奏の出力に際して記録された」ものであるから、「第1の演奏映像180」に「関連付けて撮影された」ものであるといえ、上記(ウ)で検討した点も踏まえると、本願発明1の「挑戦者動画」に相当する。また、「共演映像186においては」、「第1の演奏映像180」と「第2の演奏映像184」とは、「所定のWWWウェブサイト上において同期して(同時に)出力され」るから、それぞれを「同一画面内の別の表示領域に表示する」といえ、「共演映像186」は、本願発明1の「対戦動画」に相当する。

(ク)上記(イ)で述べた引用発明の構成のうちの「前記通信回線18を介しての携帯電話機16等の通信端末装置からの配信要求に応じて、前記動画データベース68に記憶されたその配信要求に係る共演動画情報をその通信端末装置に配信」することに関し、「共演動画情報」は、「共演映像186」として「所定のWWWウェブサイト上において同期して(同時に)出力され」ることが明らかである。したがって、引用発明は、「携帯電話機16」からの「(配信)要求に応じて」、「共演映像186」を(「携帯電話機16」に)「送信」するといえる。
この点について上記(キ)、及び上記(イ)で更に検討した点も踏まえると、本願発明1の、「前記配信者動画と前記配信者動画に関連付けて撮影された挑戦者動画とを同一画面内の別の表示領域に表示する対戦動画」について、
「前記閲覧者端末からの要求に応じて、前記対戦動画を送信」する
ことに関して、本願発明1と引用発明とは、
「前記閲覧者端末からの要求に応じて、前記配信者動画と前記配信者動画に関連付けて撮影された挑戦者動画とを同一画面内の別の表示領域に表示する対戦動画を送信」する
動作を行う点で一致している。

(ケ)上記(イ)で述べた引用発明の構成において、「第1の演奏映像180」及び「第2の演奏映像184」の「各動画情報に対応して投票ボタン200が表示され、その投票ボタン200が押されることで各動画情報に対する閲覧者の投票が可能とされている」ことは、「携帯電話機16」から、「第1の演奏映像180」と「第2の演奏映像184」との「少なくとも一方に対する選択を受け付け」るためであるといえる。
この点について、上記(オ)、(キ)、及び上記(イ)で更に検討した点も踏まえると、引用発明は、本願発明1の
「前記閲覧者端末から、前記配信者動画と前記挑戦者動画との少なくとも一方に対する選択を受け付け」る
ことに相当する動作を行うものである。

(コ)上記(オ)、(カ)、(ク)、(ケ)で検討した引用発明の各動作は、いずれも、「サーバ装置12」が行うとされているものである(例えば、上記(オ)の「動画情報」を「カラオケ装置36」から「受信」する動作は、「サーバ装置12」が行うものである。)か、又は「サーバ装置12」が行うことが明らかなものである(例えば上記(ケ)に関し、引用発明は「投票に関する情報を前記サーバ装置12へ送信する」ものであるから、「第1の演奏映像180」と「第2の演奏映像184」との「少なくとも一方に対する選択を受け付け」ることは、「サーバ装置12」が行うことが明らかである。)。ここで、サーバは、一般にCPU等の制御部を含んで構成され、当該制御部により動作するものであるから、上記の各動作は、その制御部が行うものであって、当該制御部は、本願発明1の「サーバ制御部」に相当する。

(サ)引用発明は、「上記第1の投稿受付制御及び第2の投稿受付制御において、撮影された映像情報及び音声入力装置により入力された音声情報を記録」するものであり、この点について上記(オ)、(キ)も踏まえると、本願発明1の
「前記配信者動画及び前記挑戦者動画の両方は屋外で行われるストリートカルチャーを撮影した動画である」
ことに関して、本願発明1と引用発明とは、
「前記配信者動画及び前記挑戦者動画の両方は撮影した動画である」
という点で共通している。

イ 上記アから、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「配信者端末、挑戦者が使用する端末及び閲覧者端末と通信可能に接続されたサーバであって、
前記サーバはサーバ制御部を含み、前記サーバ制御部は、
前記配信者端末から配信者動画を受信し、
前記挑戦者が使用する端末によって選択された配信者動画を、前記挑戦者が使用する端末に送信し、
前記閲覧者端末からの要求に応じて、前記配信者動画と前記配信者動画に関連付けて撮影された挑戦者動画とを同一画面内の別の表示領域に表示する対戦動画を送信し、
前記閲覧者端末から、前記配信者動画と前記挑戦者動画との少なくとも一方に対する選択を受け付け、
前記配信者動画及び前記挑戦者動画の両方は撮影した動画である、
サーバ。」

ウ また、本願発明1と引用発明とは、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1では、「配信者動画」の受信元の端末が「配信者端末」であり、また、「配信者動画」の送信先の端末が「挑戦者端末」であって、かつ、「配信者動画」及び「挑戦者端末」の両方が「携帯端末」であるのに対し、引用発明では、「第1の投稿受付制御」において「動画情報の投稿(アップロード)を受け付け」る対象、及び、「第2の投稿受付制御」における「動画情報を検索」することにより特定の「動画情報」が「前記サーバ12から前記通信回線18を介してダウンロードされ」る対象が、いずれも「複数のカラオケ装置36」のいずれかであって、両者の異同は特定されず、また、それらはいずれも「携帯端末」ではない点。

(相違点2)
本願発明1では、「前記サーバ制御部」が、「前記挑戦者端末からの要求に応じて、1以上の配信者動画の属性を含む配信者動画リストを送信」するものであり、また、「前記挑戦者端末」によって「配信者動画」が「選択され」ることが、「前記配信者動画リストから」行われるものであるのに対し、引用発明では、「前記動画データベース68に記憶された複数の動画情報から所定の条件を満たす単数乃至複数の動画情報を検索」して、「前記サーバ12から前記通信回線18を介して」特定の「動画情報」が「ダウンロードされ」ることに関して、「配信者動画リスト」が利用されるとの特定はない点。

(相違点3)
本願発明1では、「前記配信者動画と前記配信者動画に関連付けて撮影された挑戦者動画とを同一画面内の別の表示領域に表示する対戦動画」は、「前記サーバ制御部」が「前記挑戦者端末から受信」するものであるのに対し、引用発明では、「共演動画情報」は、(「サーバ装置12」が)「組み合わせる編集処理を行」うものである、つまり、「対戦動画」の生成主体が、本願発明1では「前記挑戦者端末」であるのに対し、引用発明では「サーバ装置12」である点。

(相違点4)
本願発明1では、「前記配信者動画及び前記挑戦者動画の両方」の「撮影」対象が、「屋外で行われるストリートカルチャー」であるのに対し、引用発明では、「第1の投稿受付制御」に係る「動画情報」及び、「第2の投稿受付制御」に係る「動画情報」である「第2の演奏映像184」の「撮影」対象について、「屋外で行われるストリートカルチャー」であると特定されるものではない点。

(相違点5)
本願発明1では、「前記閲覧者端末により、配信者と挑戦者とが音声の内容で対戦していると判定されると、前記対戦動画において同一画面内の別の表示領域において表示される前記配信者動画と前記挑戦者動画とは、前記配信者動画の音声と前記挑戦者動画の音声とが被らないように交互に再生される」のに対し、引用発明では、「携帯電話機16等の通信端末装置」に「配信」された「共演動画情報」による「共演映像186」において、「第1の演奏映像180と、その第1の演奏映像180の出力と同期して実行されたカラオケ演奏の出力に際して記録された第2の演奏映像184とが」、「同期して(同時に)出力され」る点。

(2)判断
事案に鑑みて、相違点5について先に検討する。
配信者動画と挑戦者動画とが同一画面内の別の表示領域に表示される対戦動画を、閲覧者端末において再生する際に、当該閲覧者端末が、配信者と挑戦者とが音声の内容で対戦しているか否かを判定し、配信者と挑戦者とが音声の内容で対戦していると判定されると、配信者動画の音声と挑戦者動画の音声とが被らないように交互に再生されるようにすることは、引用文献1,2のいずれにも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1,2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2〜7について
本願発明2〜4は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明5〜7は、それぞれ、本願発明1に対応する「サーバ制御方法」、「サーバ制御プログラム」、「端末制御プログラム」の発明であって、いずれも、相違点5に係る発明特定事項を含む。
よって、本願発明2〜7も、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1,2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和3年9月22日に提出された手続補正書に係る補正により、請求項1〜7は、「前記閲覧者端末により、配信者と挑戦者とが音声の内容で対戦していると判定されると、前記対戦動画において同一画面内の別の表示領域において表示される前記配信者動画と前記挑戦者動画とは、前記配信者動画の音声と前記挑戦者動画の音声とが被らないように交互に再生される」との技術的事項を含むものとなり、当該技術的事項ついては、引用文献A〜Dには記載されておらず、本願の出願日前において周知技術であったとも認められないので、本願発明1〜7は、当業者であっても、原査定における引用文献A〜Dに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-12-21 
出願番号 P2019-160733
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 野崎 大進
富澤 哲生
発明の名称 サーバ、サーバ制御方法、サーバ制御プログラム、及び端末制御プログラム  
代理人 石井 裕充  
代理人 杉村 光嗣  
代理人 杉村 憲司  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ