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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04L 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H04L 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04L |
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管理番号 | 1380479 |
総通号数 | 1 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-09-25 |
確定日 | 2021-12-14 |
事件の表示 | 特願2019− 38114「通信監視装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 9月10日出願公開、特開2020−145490、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,本願は,平成31年3月4日の出願であって,その手続の経緯は,概略,以下のとおりである。 令和元年12月26日付け 拒絶理由通知 令和2年 2月26日 意見書・手続補正書 提出 令和2年 7月 2日付け 拒絶査定 令和2年 9月25日 審判請求書・手続補正書 提出 令和3年 8月24日付け 拒絶理由通知 令和3年10月14日 意見書・手続補正書 提出 第2 原査定の概要 原査定(令和2年7月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.(明確性)本願の特許請求の範囲の請求項1−8の記載が不明瞭であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 2.(新規性)本願の特許請求の範囲の請求項1,3−5に係る発明は,以下の引用文献Aに記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。 3.(進歩性)本願の特許請求の範囲の請求項1−8に係る発明は,以下の引用文献AないしDに基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 A.国際公開第2017/119027号 B.特開2018−160786号公報 C.特開2018−93331号公報 D.特開2019−9617号公報 第3 当審拒絶理由の概要 令和3年8月24日付けで当審が通知した拒絶理由の概要は,次のとおりのものである。 1.(新規性)本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。 2.(進歩性)本願の特許請求の範囲の請求項1ないし8に係る発明は,本願の出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項ならびに引用文献3に記載された事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 1.国際公開第2017/119027号(原査定の引用文献A) 2.特開2018−160786号公報(原査定の引用文献B) 3.特開2019−9617号公報(原査定の引用文献D) 第4 本願発明 本願請求項1−5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明5」という。)は、令和3年10月14日提出の手続補正書によって補正(以下,「本件補正」という。)された特許請求の範囲の請求項1−5に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。(下線部が補正箇所である。) 「【請求項1】 複数の制御装置の間で送受信される通信フレームを受信可能な通信部と、 前記複数の制御装置の間で送受信される複数の通信フレーム間で満たすべき関係性を示す関係性データを記憶した記憶部と、 前記関係性データを参照し、前記通信フレームのうちで前記関係性を逸脱している通信フレームを不正通信フレームとして検知する検知部と、 前記検知部が前記不正通信フレームを検知した場合に、設定された処理を実行する処理部と、を備え、 前記関係性データは、前記通信フレーム中にデータ本体として格納される通知情報が表す状態量の組み合わせを表し、 前記検知部は、前記関係性データが表す前記組み合わせに含まれる状態量と内容が一致する前記通知情報を格納した通信フレームを前記通信部が受信した後、前記通信部が受信する前記通信フレームのうちで、前記組み合わせに含まれる他の状態量と種類が一致し、 且つ前記他の状態量の内容が一致しない前記通知情報を格納した前記通信フレームを前記不正通信フレームとして検知し、 前記関係性データは、車両の外部の情報処理装置によって生成され、前記外部の情報処理装置から送信され前記記憶部に記憶され、 前記処理部は、前記設定された処理として、前記不正通信フレームが検知されたことを前記外部の情報処理装置に通知するための処理を行い、 前記処理部は、前記不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した複数の前記通信フレームを送信し、 前記不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した前記複数の通信フレームに基づいて前記外部の情報処理装置により生成された新たな前記関連性データが、前記外部の情報処理装置から送信され前記記憶部に記憶され、 前記車両に設置された通信監視装置。 【請求項2】 前記関係性データは、前記組み合わせに含まれる状態量と内容が一致する前記通知情報を格納した通信フレームの送信順序、を更に表し、 前記検知部は、前記関係性データが表す前記組み合わせに含まれる状態量と内容が一致する前記通知情報を格納した通信フレームを前記通信部が受信した後、前記通信部が受信する前記通信フレームのうちで、前記組み合わせに含まれる他の状態量と種類、及び内容が一致する前記通知情報を格納し、且つ前記通信部が受信する順序が前記送信順序と一致 しない前記通信フレームを前記不正通信フレームとして検知する、 請求項1に記載の通信監視装置。 【請求項3】 前記処理部は、前記設定された処理として、前記不正通信フレームの破棄のための処理を行う、 請求項1、または2に記載の通信監視装置。 【請求項4】 前記複数の制御装置を構成する2台以上の制御装置が第1の制御装置として車両に搭載され、異なる前記第1の制御装置からそれぞれ、前記車両の乗員が行った動作を前記状態量として表す前記通知情報を格納した第1の通信フレーム、及び前記動作に関係する前記状態量を表す前記通知情報を格納した第2の通信フレームが送信可能な、 請求項1、または2に記載の通信監視装置。 【請求項5】 前記複数の制御装置を構成する1台以上の制御装置が第1の制御装置として車両に搭載され、前記複数の制御装置を構成する1台以上の制御装置が第2の制御装置として移動体、及び道路脇に設置された通信設備のうちの少なくとも一方に搭載され、前記第1の制御装置から、前記車両の進行先を前記状態量として表す前記通知情報を格納した第1の通信フレームが送信可能であり、前記第2の制御装置から、前記車両の進行先に係わる状況を前記状態量として表す前記通知情報を格納した第2の通信フレームが送信可能な、 請求項1、または2に記載の通信監視装置。」 第5 引用文献 1 引用文献1 (1)引用文献1の記載 引用文献1には,以下の記載がある。(下線は,当審が付加した。以下同様。) ア 「技術分野 [0001] 本開示は,電子制御ユニットが通信を行う車載ネットワークにおける不正なフレームの送信を検知する技術に関する。 背景技術 [0002] 近年,自動車の中のシステムには,電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)と呼ばれる装置が多数配置されている。これらのECUをつなぐネットワークは車載ネットワークと呼ばれる。車載ネットワークには,多数の規格が存在する。その中でも最も主流な車載ネットワークの一つに,ISO11898−1で規定されているCAN(Controller Area Network)という規格が存在する。 (中略) [0004] またCANでは送信先や送信元を指す識別子は存在せず,送信ノードはフレーム毎にIDを付けて送信し(つまりバスに信号を送出し),各受信ノードは予め定められたIDのフレームのみを受信する(つまりバスから信号を読み取る)。 (中略) [0005] CANの車載ネットワークシステムについては,攻撃者がバスにアクセスして不正なフレーム(攻撃のためのフレーム)を送信することでECUを不正に制御するといった脅威が存在し,セキュリティ対策が検討されている。 [0006] 例えば特許文献1に記載された車載ネットワーク監視装置は,CANのバスに送信されたフレームについて測定される受信間隔と予め規定された通信間隔との差が規定された基準範囲から外れる場合にそのフレームを不正と判断する不正検知方法を行う。 先行技術文献 特許文献 [0007] 特許文献1:特許第5664799号公報 特許文献2:国際公開第2015/041161号 発明の概要 発明が解決しようとする課題 [0008] しかしながら,特許文献1のような不正検知方法では,攻撃者が,正規のECUのファームウェアを不正に書き換えることで支配し,そのECUに,車載ネットワークシステムで規定された正規の送信間隔で,攻撃のためのフレームを送信させる場合には,その攻撃のためのフレームを検知できない。また,ECUのファームウェアが書き換えられなくても,マルウェア(不正なプログラム)がECU上で実行されると同様の状況が発生し,そのECUがCANのバスに送信する,攻撃のためのフレームを検知できない。また,特許文献2は,ECUと通信することでECUのプログラム又はデータの不正な書き換えを検出する技術を示すが,この技術を用いて車載ネットワークのバスに接続された各ECUの不正な書き換えを随時確認するためには各ECUとの通信が必要となり,バストラフィック量の増大という弊害が生じてしまう。 [0009] そこで,本開示は,ファームウェアの不正な書き換え,マルウェアの実行等によりECUが不正状態になった場合においても,バスで送信されるフレームを監視することで不正状態(異常)が発生したことを検知し得る不正検知方法を提供する。また,本開示は,その不正検知方法を用いる車載ネットワークシステム,及び,その車載ネットワークシステムにおいて不正検知を行う監視電子制御ユニット(監視ECU)を提供する。」 イ 図1 ウ 「[0034] [1.1 車載ネットワークシステム10の全体構成] 図1は,車載ネットワークシステム10の全体構成を示す図である。 [0035] 車載ネットワークシステム10は,CANプロトコルに従って通信するネットワーク通信システムの一例であり,制御装置,センサ,アクチュエータ,ユーザインタフェース装置等の各種機器が搭載された車両におけるネットワーク通信システムである。車載ネットワークシステム10は,車載ネットワークを構成するCANのバスを介してフレームに係る通信を行う複数の装置を備え,不正検知方法を用いる。具体的には図1に示すように車載ネットワークシステム10は,バス300と,監視ECU100,各種機器に接続されたECU200a,ECU200b,ECU200c,ECU200d等の各ECUといったバス300に接続された各ノードとを含んで構成される。 (中略) [0036] ECU200a,ECU200b,ECU200c,及び,ECU200dは,バス300と接続され,それぞれ速度センサ210,加速度センサ220,ギア(変速機構)230,インストルメントパネル(インパネ)240に接続されている。ECU200aは,周期的に速度センサ210から車両の速度を取得し,取得した速度を通知するデータフレームを,周期的にバス300へ送信する。ECU200bは,周期的に加速度センサ220から車両の加速度を取得し,取得した加速度を通知するデータフレームを,周期的にバス300へ送信する。ECU200cは,周期的にギア230の状態を取得し,ギア230の状態を通知するデータフレームを,周期的にバス300へ送信する。ECU200dは,車両の速度或いはギアの状態を通知する各データフレームを受信して,インパネ240で表示する情報を更新する。 [0037] 監視ECU100は,バス300に接続される一種のECUであり,バス上に流れるデータフレーム(つまりバス上に現れるデータフレーム)を監視して,不正なデータフレームが送信されたか否かの判定(不正判定)を行うための不正検知処理を行う。 」 エ 図4 オ 「[0056] [1.4 監視ECU100の構成] 図4は,監視ECU100の構成図である。監視ECU100は,フレーム送受信部110と,フレーム処理部120と,不正判定部130と,不正対応部140と,フレーム生成部150と,フレーム受信履歴保持部160と,不正検知ルール保持部170と,不正判定結果保持部180と,ECU情報テーブル保持部190とを含んで構成される。図4に示した監視ECU100の各構成要素は,監視ECU100のメモリ等の記憶媒体,通信回路,メモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサ等で,実現され得る。 [0057] フレーム送受信部110は,バス300に対して,CANのプロトコルに従ったフレーム(データフレーム等)を送受信する。フレーム送受信部110は,バス300からフレームを1bitずつ受信する受信部としての機能を有する。フレーム送受信部110は,エラー無くデータフレームの受信を完了すると,データフレーム内のID,DLC,データといった情報をフレーム処理部120に転送する。また,フレーム送受信部110は,CANプロトコルに則っていないデータフレームと判断した場合は,エラーフレームを送信する。また,フレーム送受信部110は,データフレームの受信中にエラーフレームを受信した場合,つまり受け取ったデータフレームにおける値からエラーフレームになっていると解釈した場合には,それ以降はそのデータフレームを破棄する。フレーム送受信部110は,フレーム生成部150からデータフレームの送信要求を受けた場合には,そのデータフレームの内容をバス300に1bitずつ送信する。通信調停といったCANのプロトコルに則った処理も,フレーム送受信部110において実現される。 [0058] フレーム処理部120は,フレーム送受信部110よりデータフレームの情報を受け取り,データフレームの内容を解釈する。フレーム処理部120は,ECU200a,200b,200cのそれぞれから送信されるデータフレームが示す車速,加速度,或いは,ギアの状態等の情報を取得し,取得した情報に基づいて,フレーム受信履歴保持部160に格納されている各データフレームに関する情報(フレーム受信履歴)を更新する。 [0059] 不正判定部130は,不正なデータフレームを受信したか否かの判定(不正なデータフレームが送信されたか否かに係る不正判定)を,不正検知ルール保持部170が保持する不正検知ルール情報と,フレーム受信履歴保持部160が保持するフレーム受信履歴とに基づいて,所定の単位時間(例えば100ms)を周期として周期的に行う。不正判定部130は,不正検知ルール情報が示す複数の異なるIDを有するフレーム間の関係に係る条件毎について条件が満たされるか否かにより不正判定を行い,例えば,条件が満たされなかった場合に不正と判定する。不正判定部130は,不正判定の結果に基づいて,不正判定結果保持部180が保持する不正判定結果を更新する。なお,不正判定部130は,フレームの各IDについて,そのIDのフレームに関して不正検知ルール情報が示す条件に基づいて不正と検知された数(例えば満たされなかった条件の数)に応じて,異常度を算定し,異常度を,不正判定結果保持部180が保持する不正判定結果に付加する。不正と検知された数が0であれば異常度は0となり,異常度の0は,異常が検知されなかったことを表す。また,不正判定部130は,不正判定の結果として不正と判定された場合(つまり不正状態の発生が検知された場合)に,不正を検知したことを不正対応部140へ通知する。 [0060] 不正対応部140は,不正判定部130から不正を検知したことが通知されると,不正判定結果保持部180に格納されている不正判定結果と,ECU情報テーブル保持部190に格納されているECU情報テーブルとを参照して,不正への対応としての対処処理の内容を決定する。不正対応部140は,対処処理を決定した場合において,その対処処理の実行のための制御を行う。例えば,不正対応部140は,不正判定結果から,特定のIDを有するデータフレームに関連して不正が検知された場合(一例としては不正が検知されかつ算定された異常度が最も高い場合)に,ECU情報テーブルを参照して,該当するデータフレームを送信するECUに対する診断メッセージの生成をフレーム生成部150に要求する。 (中略) [0063] 不正検知ルール保持部170は,不正判定部130が不正判定のために参照する不正検知ルール情報(図6参照)を保持する。」 カ 図6 キ 「[0068] [1.6 不正検知ルール情報] 図6は,不正検知ルール保持部170が保持する不正検知ルール情報の一例を示す。不正検知ルール情報は,互いに異なるIDのデータフレームの内容間の関係に係る条件(ルール)を1つ以上(図6の例では3つ)含んでいる。 [0069] 図6の例では,不正検知ルール情報は,ルール番号1のルールとして,IDが0x100のデータフレームの内容(車速)とIDが0x200のデータフレームの内容(加速度)との関係についての条件を含んでいる。この条件は,ある単位時間(例えば100ms)内に受信されたIDが0x100のデータフレームが示す車速(速度)の値は,その単位時間及びそれより過去の単位時間(例えば車両の走行の開始時以降の各単位時間)に受信されたIDが0x200のデータフレームが示す加速度の値を累積してなる,加速度の積分値の±1km/hの範囲に入るという条件である。この条件が満たされれば適正な関係が保たれている正常状態であることになり,この条件が満たされなければ不正判定部130により不正と判定されること(つまり不正状態が発生していること)になる。なお,加速度の積分値は,例えば単位の換算を含めて以下の式で算定できる。 [0070] 積分値=(Σ(受信したID0x200のデータフレームが示す加速度×3.6))÷(1/ID0x200のデータフレームの送信周期) また,図6の例では,不正検知ルール情報は,ルール番号2のルールとして,IDが0x100のデータフレームの内容(車速)とIDが0x300のデータフレームの内容(ギアの状態)との関係についての条件を含んでいる。この条件は,ある単位時間内に受信されたIDが0x300のデータフレームが示すギアの状態の値が「D」(ドライブ)を表す場合には,同じ単位時間内に受信されたIDが0x100のデータフレームが示す車速の,前回の単位時間内に受信されたデータフレームが示す車速からの変化量(例えば差分)が,1.0km/h以下に抑えられ,「D」ではなく「R」(リバース)を表す場合には,その車速の変化量が,0.5km/h以下に抑えられているという条件である。この条件が満たされなければ不正判定部130により不正と判定されることになる。 [0071] また,図6の例では,不正検知ルール情報は,ルール番号3のルールとして,IDが0x200のデータフレームの内容(加速度)とIDが0x300のデータフレームの内容(ギアの状態)との関係についての条件を含んでいる。この条件は,ある単位時間内に受信されたIDが0x300のデータフレームが示すギアの状態の値が「D」(ドライブ)を表す場合には,同じ単位時間内に受信されたIDが0x200のデータフレームが示す加速度の,前回の単位時間内に受信されたデータフレームが示す加速度からの変化量(例えば差分)が,1.0m/s^2以下に抑えられ,「D」ではなく「R」(リバース)を表す場合には,その加速度の変化量が,0.5m/s^2以下に抑えられているという条件である。この条件が満たされなければ不正判定部130により不正と判定されることになる。」 ク 「[0089] 異常(不正状態の発生)が検知された場合には,監視ECU100は,不正対応部140により,不正への対応としての対処処理の内容を決定する。具体的には,異常が検知された場合に,監視ECU100は,不正判定結果保持部180に保持されている不正判定結果において最も高い異常度のIDを有するデータフレームを送信するECUについての情報を,ECU情報テーブル保持部190のECU情報テーブルを参照することで取得して,ECUを特定し(ステップS1105),特定したECUに対する診断メッセージをそのECUに送信することで,例えばそのECUから診断用情報を受信する等によってそのECUの状態を確認する(ステップS1106)。ステップS1106の後に,監視ECU100は,ステップS1101に移行し,次の不正判定のタイミングの到来を待つ。なお,ステップS1106でのECUの状態の確認によりそのECUに異常が生じていることを検知した場合には,監視ECU100は,車両の運転者等への警告通知,外部のサーバへの情報通知その他の対処のための制御を行い得る。」 (2)引用発明 上記(1)より,特に,下線部に着目すると,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ファームウェアの不正な書き換え,マルウェアの実行等によりECUが不正状態になった場合においても,バスで送信されるフレームを監視することで不正状態(異常)が発生したことを検知し得る車載ネットワークシステムにおいて不正検知を行う監視電子制御ユニット(監視ECU)であって, 車載ネットワークシステム10は,CANプロトコルに従って通信するネットワーク通信システムであり,バス300と,監視ECU100,各種機器に接続されたECU200a,ECU200b,ECU200c,ECU200d等の各ECUといったバス300に接続された各ノードとを含んで構成されており, ECU200a,ECU200b,ECU200c,及び,ECU200dは,バス300と接続され,それぞれ速度センサ210,加速度センサ220,ギア(変速機構)230,インストルメントパネル(インパネ)240に接続されており, ECU200aは,周期的に速度センサ210から車両の速度を取得し,取得した速度を通知するデータフレームを,周期的にバス300へ送信しており, ECU200bは,周期的に加速度センサ220から車両の加速度を取得し,取得した加速度を通知するデータフレームを,周期的にバス300へ送信しており, ECU200cは,周期的にギア230の状態を取得し,ギア230の状態を通知するデータフレームを,周期的にバス300へ送信しており, 監視ECU100は,バス300に接続される一種のECUであり,バス上に流れるデータフレーム(つまりバス上に現れるデータフレーム)を監視して,不正なデータフレームが送信されたか否かの判定(不正判定)を行うための不正検知処理を行う監視ECU100であって, 監視ECU100は,フレーム送受信部110と,フレーム処理部120と,不正判定部130と,不正対応部140と,フレーム生成部150と,フレーム受信履歴保持部160と,不正検知ルール保持部170と,不正判定結果保持部180と,ECU情報テーブル保持部190とを含んで構成されており, フレーム送受信部110は,バス300に対して,CANのプロトコルに従ったフレーム(データフレーム等)を送受信しており, フレーム処理部120は,フレーム送受信部110よりデータフレームの情報を受け取り,データフレームの内容を解釈し,ECU200a,200b,200cのそれぞれから送信されるデータフレームが示す車速,加速度,或いは,ギアの状態等の情報を取得し,取得した情報に基づいて,フレーム受信履歴保持部160に格納されている各データフレームに関する情報(フレーム受信履歴)を更新しており, 不正判定部130は,不正なデータフレームを受信したか否かの判定(不正なデータフレームが送信されたか否かに係る不正判定)を,不正検知ルール保持部170が保持する不正検知ルール情報と,フレーム受信履歴保持部160が保持するフレーム受信履歴とに基づいて,所定の単位時間(例えば100ms)を周期として周期的に行っており,不正検知ルール情報が示す複数の異なるIDを有するフレーム間の関係に係る条件毎について条件が満たされるか否かにより不正判定を行い,条件が満たされなかった場合に不正と判定し,不正判定の結果として不正と判定された場合(つまり不正状態の発生が検知された場合)に,不正を検知したことを不正対応部140へ通知しており, 不正対応部140は,不正判定部130から不正を検知したことが通知されると,不正判定結果保持部180に格納されている不正判定結果と,ECU情報テーブル保持部190に格納されているECU情報テーブルとを参照して,不正への対応としての対処処理の内容を決定し,対処処理を決定した場合において,その対処処理の実行のための制御を行っており, 不正検知ルール保持部170は,不正判定部130が不正判定のために参照する不正検知ルール情報を保持しており, 不正検知ルール保持部170が保持する不正検知ルール情報は,互いに異なるIDのデータフレームの内容間の関係に係る条件(ルール)であり, 不正検知ルール情報は,ルール番号1のルールとして,IDが0x100のデータフレームの内容(車速)とIDが0x200のデータフレームの内容(加速度)との関係についての条件を含んでおり,この条件は,ある単位時間(例えば100ms)内に受信されたIDが0x100のデータフレームが示す車速(速度)の値は,その単位時間及びそれより過去の単位時間(例えば車両の走行の開始時以降の各単位時間)に受信されたIDが0x200のデータフレームが示す加速度の値を累積してなる,加速度の積分値の±1km/hの範囲に入るという条件であり,この条件が満たされれば適正な関係が保たれている正常状態であることになり,この条件が満たされなければ不正判定部130により不正と判定されること(つまり不正状態が発生していること)になるものであり, 不正検知ルール情報は,ルール番号2のルールとして,IDが0x100のデータフレームの内容(車速)とIDが0x300のデータフレームの内容(ギアの状態)との関係についての条件を含んでおり,この条件は,ある単位時間内に受信されたIDが0x300のデータフレームが示すギアの状態の値が「D」(ドライブ)を表す場合には,同じ単位時間内に受信されたIDが0x100のデータフレームが示す車速の,前回の単位時間内に受信されたデータフレームが示す車速からの変化量(例えば差分)が,1.0km/h以下に抑えられ,「D」ではなく「R」(リバース)を表す場合には,その車速の変化量が,0.5km/h以下に抑えられているという条件であり,この条件が満たされなければ不正判定部130により不正と判定されることになるものであり, 不正検知ルール情報は,ルール番号3のルールとして,IDが0x200のデータフレームの内容(加速度)とIDが0x300のデータフレームの内容(ギアの状態)との関係についての条件を含んでおり,この条件は,ある単位時間内に受信されたIDが0x300のデータフレームが示すギアの状態の値が「D」(ドライブ)を表す場合には,同じ単位時間内に受信されたIDが0x200のデータフレームが示す加速度の,前回の単位時間内に受信されたデータフレームが示す加速度からの変化量(例えば差分)が,1.0m/s^2以下に抑えられ,「D」ではなく「R」(リバース)を表す場合には,その加速度の変化量が,0.5m/s^2以下に抑えられているという条件であり,この条件が満たされなければ不正判定部130により不正と判定されることになるものであり, ECUに異常が生じていることを検知した場合には,外部のサーバへの情報通知その他の対処のための制御を行い得る 監視電子制御ユニット(監視ECU)。」 2 引用文献 (1)引用文献2の記載 引用文献2には,以下の記載がある。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明はデータ処理技術に関し、特に監視装置、監視方法およびコンピュータプログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 近年、自動車には、多数の電子制御ユニット(Electronic Control Unit、以下「ECU」と呼ぶ。)が搭載されている。これらのECUを繋ぐネットワークは車載ネットワークと呼ばれる。車載ネットワークには多数の規格が存在するが、広く普及した規格としてCAN(Controller Area Network)がある。 【0003】 自動車の電動化に伴い、車載ネットワーク経由でステアリング等のアクチュエータを制御することが可能である。一方で、車載ネットワークで不正コマンドが伝送されることによるアクチュエータの不正操作等を防止するため、メッセージ認証コード(Message Authentication Code、以下「MAC」と呼ぶ。)を用いたメッセージ認証が実行されることがある(例えば特許文献1参照)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】 国際公開第2013/065689号 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 今後、インターネットへ常時接続される車両の普及に伴い、インターネットを介して車両と接続された装置群(以下「クラウド」とも呼ぶ。)が、車両のセキュリティ状態を常時監視することが考えられる。このようなクラウドサービスを利用する車両は、自車のセキュリティ状態をクラウドへ通報する必要があるが、通信量が過度に増加することは好ましくない。 【0006】 本願発明は上記課題に鑑みたもので、1つの目的は、自装置のセキュリティ状態に応じた適切な内容またはタイミングで、外部装置への通報を実現することである。」 イ 「【0027】 無効化部40は、対象フレームの無効化処理として、CAN24のバス上に存在する対象フレームを消去する処理を実行する。具体的には、無効化部40は、対象フレームに対するエラーフレームを生成し、フレーム送信部32からCAN24へエラーフレームを出力させる。これにより、CAN24上の他の装置(ECU14等)における対象フレームも無効にする。フレームの無効化処理には、非特許文献「T. Matsumoto, M. Hata, M. Tanabe, K. Yoshioka, and K. Oishi, "A Method of Preventing Unauthorized Data Transmission in Controller Area Network,"Vehiclular Technology Conference, 2012.」に記載の技術を適用してもよい。実施例のCGW20は、不正なフレームに対して無効化処理を実行するが、後述のECU14と同様に、不正なフレームに対して破棄処理(言い換えればフィルタ処理)を実行してもよい。」 ウ 図1 上記図1より「ルール生成装置29」は,車両10外に設置されていると認められる。 エ 図2 オ 「【0029】 ログ保存部44は、MAC検証部34により対象フレームが不正と判定され、振る舞い検証部36により対象フレームが正当と判定された場合に、少なくとも対象フレームに関するログデータを保存する。そして、オフライン上で(例えばディーラーでのメンテナンスにおいて)、保存されたログデータを収集し、上記判定結果をルール生成装置29へ送信する。これにより、ルール生成装置29は、振る舞い検証において対象フレームが不正と判断されるように、振る舞いルールを更新する。具体的には、ログ保存部44は、受信フレーム記憶部42に保持されたフレームのうち対象フレームとIDが一致する過去のフレームと、対象フレームとを含むルール更新指示データをログデータとして保存する。例えば、対象フレームと過去のフレームはともに、ステアリングの制御コマンドを指定し、かつ、ステアリングの回動角度を指定するものであってもよい。 【0030】 過去のフレームは、MAC検証部34による判定結果と振る舞い検証部36による判定結果の組み合わせが対象フレームとは異なるフレームであってもよい。そのため、過去のフレームを含めてルール生成装置29へ提供することにより、ルール生成装置29による振る舞いルール更新を支援できる。また、ログ保存部44は、過去のフレームと対象フレームそれぞれの、MAC検証部34による判定結果と振る舞い検証部36による判定結果を、ログデータとしてルール更新指示データに含めてもよい。また、対象フレームより後に受信されたフレームのうち対象フレームとIDが一致するフレームをルール更新データに含めてもよい。 【0031】 ルール生成装置29は、生成または更新した振る舞いルールを外部通信網28を介して車両10へ配信する。ルール更新部46は、ルール生成装置29から提供された振る舞いルールをCAN24を介して取得する。そしてルール更新部46は、取得した振る舞いルールを振る舞い検証部36に渡し、振る舞い検証部36が保持する振る舞いルールを更新させる。」 (2)引用文献2に記載の周知技術 上記(1)アおよびイより,特に下線部の記載に着目すると,引用文献2には,以下の周知技術が記載されていると認められる。 「車載ネットワークとして広く普及した規格であるCAN(Controller Area Network)において, 対象フレームに対するエラーフレームを生成し,対象フレームを無効にすることにより, 不正なフレームに対して無効化処理を実行すること。」 (3)引用文献2に記載の技術事項 上記(1)ウないしオより,特に下線部の記載に着目すると,引用文献2には,以下の技術事項が記載されていると認められる。 「(車載ネットワークシステム12内の)ログ保存部44は、MAC検証部34により対象フレームが不正と判定され、振る舞い検証部36により対象フレームが正当と判定された場合に、対象フレームに関するログデータを保存して、オフライン上で(例えばディーラーでのメンテナンスにおいて)、保存されたログデータを収集し、上記判定結果を(車外の)ルール生成装置29へ送信しており, (車外の)ルール生成装置29は、振る舞い検証において対象フレームが不正と判断されるように、振る舞いルールを更新するものであり, ログ保存部44は、受信フレーム記憶部42に保持されたフレームのうち対象フレームとIDが一致する過去のフレームと、対象フレームとを含むルール更新指示データをログデータとして保存し,また、対象フレームより後に受信されたフレームのうち対象フレームとIDが一致するフレームをルール更新データに含めてもよく, (車外の)ルール生成装置29は、生成または更新した振る舞いルールを外部通信網28を介して車両10へ配信し, (車載ネットワークシステム12内の)ルール更新部46は、(車外の)ルール生成装置29から提供された振る舞いルールをCAN24を介して取得し,振る舞い検証部36が保持する振る舞いルールを更新させること。」 4 引用文献3の記載 (1)引用文献3の記載 引用文献3には,以下の記載がある。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は,車載ネットワークにおける異常検知装置,異常検知システム,異常検知方法,異常検知プログラム及び記録媒体に関する。 【背景技術】 【0002】 従来から,通信ネットワークの外部からの不審なアクセスやデータがないかを検知するネットワーク侵入検知システム(NIDS:Network-based Intrusion Detection System)が知られている。 【0003】 特許文献1は,監視対象ネットワークに接続されたホスト計算機の構成情報に対応するルールセットだけを参照して不正パケットの検知処理を行なうことにより,処理能力の消費量を低減する侵入検知装置について開示している。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】 特開2003−092603号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 近年,自動車等の車両内においても,車両の制御や車両状態の表示等のために,車載ネットワークと呼ばれる通信ネットワークを利用した通信が利用されている。このような車載ネットワークにおいても,DCM(Data Communication Module)やDCU(Data Communication Unit)といった無線通信ユニットを介した無線通信が利用されており,このような無線通信ユニットを介した車載ネットワークに対する不正なアクセス,及びこの不正なアクセスに起因する車両ネットワーク内の不正な通信等に対する対策が求められている。 【0006】 ところで,車両内に配置される車載ネットワークでは,情報処理機器の配置スペースは限られており,また通信のリアルタイム性が要求されるため,不正アクセスに対する検知処理は,より処理負荷を小さくすることが望まれている。そこで,特許文献1のような技術を適用して,処理負荷を低減することが考えられるが,「ホスト計算機の構成情報」がほぼ変化しない車載ネットワークにおいてこのような技術の適用は難しい。 【0007】 本開示は,上述の事情に鑑みてされたものであり,車載ネットワークにおいて,より効率的に不正な通信を検知する異常検知装置,異常検知システム,異常検知方法,異常検知プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。」 イ 「【0022】 図3に示されるように,運転状況判定装置300は,情報取得部302と,判定部304とを有している。ここで情報取得部302は,操作情報,挙動情報及び周辺情報のうち少なくともいずれか一つに含まれる情報を取得することとしてもよい。判定部304は,取得した情報に基づいて複数の運転状況の中から一つの運転状況を判定する。運転状況判定装置300は,判定された運転状況を異常検知装置200に対して提供する。ここで,「提供」は車載ネットワークを介した提供でもよいし,無線通信等を介した提供でもよいし,同一装置内からの提供でもよい意味である。 【0023】 操作情報は,例えばハンドルやブレーキ等の操作対象に対する操作についての情報を意味する。より具体的には,操作情報は,アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ,ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダルセンサから出力される情報であってもよい。また,操作情報は,ステアリングホイールの操舵角度を検出するステアリングセンサ,方向指示器を作動させるための方向指示スイッチ,及びトランスミッションのシフト位置を検出するポジションセンサ等から出力される情報であってもよい。また,情報取得部302又は判定部304は,このような出力された情報から,例えば停止,加速,定速,減速,旋回及び後退等の運転状況を構成する要素情報に結びつける処理を行ってもよい。 【0024】 また,挙動情報は,例えば速度や加速度等の車両の挙動についての情報を意味する。より具体的には,挙動情報は,車両の走行速度を検出する速度センサ,車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサ,及び車両の横方向の加速度を検出する横加速度センサ等から出力される情報であってもよい。周辺情報は,例えば位置情報,緯度経度,道路地図情報,施設情報,気象情報等の車両の位置を含む。より具体的には,周辺情報は,例えば車両の周囲を撮影するカメラ,前方を走行する車両や障害物までの距離を計測するレーダ装置,緯度経度を計測するGPSシステム,道路や施設の情報を含む地図データベース,V2Xを利用した他車両又は路側機等から出力される情報であってもよい。情報取得部302又は判定部304は,このような周辺情報から,例えば一般路,市街地,高速道路,駐車施設,道路幅,車線数,急カーブ及び渋滞具合等の運転状況を構成する要素情報に結びつける処理を行ってもよい。このように,操作情報,挙動情報及び周辺情報のうち少なくともいずれか一つに含まれる情報に基づいて運転状況を判定することにより,より正確で詳細な運転状況を定めることができる。」 ウ 「【0028】 図5のデータ構造では,運転状況として『高速道路走行』,『交差点侵入』及び『停止』を例として挙げている。『高速道路走行』の運転状況の場合の監視対象パケットは,速度センサ,ステアリングセンサ及びブレーキペダルセンサの各出力によるパケットを指定することができる。ここでルール情報データベース400には,判定基準が更に保存されていてもよい。この場合,判定基準として正常と判定される範囲が示されることとすると,例えば,速度センサが高速を示す速度範囲(例えば70km/h以上),ステアリングセンサにおける変化量が小さい範囲(例えば±15°以内)等とすることができる。また,ブレーキペダルセンサにおける踏み込みが小さい範囲等としてもよい。そして,これら以外の範囲を示す監視対象パケットを受信した場合には,不正アクセスに起因するパケットの可能性があることを示すものとすることができる。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明を対比すると,以下のとおりとなる。 ア 引用発明は「ファームウェアの不正な書き換え,マルウェアの実行等によりECUが不正状態になった場合においても,バスで送信されるフレームを監視することで不正状態(異常)が発生したことを検知し得る車載ネットワークシステムにおいて不正検知を行う監視電子制御ユニット(監視ECU)」であり,通信を監視している装置であるといえるから,引用発明の「監視電子制御ユニット(監視ECU)」も,本願発明1と同様に,「通信監視装置」であるといえる。 イ 引用発明において,「ECU200aは,周期的に速度センサ210から車両の速度を取得し,取得した速度を通知するデータフレームを,周期的にバス300へ送信しており,ECU200bは,周期的に加速度センサ220から車両の加速度を取得し,取得した加速度を通知するデータフレームを,周期的にバス300へ送信しており,ECU200cは,周期的にギア230の状態を取得し,ギア230の状態を通知するデータフレームを,周期的にバス300へ送信しており,監視ECU100は,バス300に接続される一種のECUであり,バス上に流れるデータフレーム(つまりバス上に現れるデータフレーム)を監視して,不正なデータフレームが送信されたか否かの判定(不正判定)を行うための不正検知処理を行う監視ECU100であって,監視ECU100は,フレーム送受信部110(中略)を含んで構成されており,フレーム送受信部110は,バス300に対して,CANのプロトコルに従ったフレーム(データフレーム等)を送受信して」いるとされている。 ここで,引用発明の「ECU200a」,「ECU200b」および「ECU200c」は,本願発明1の「複数の制御装置」に相当し,引用発明の「データフレーム」は,本願発明1の「通信フレーム」に相当する。 また,引用発明の監視ECU100の「フレーム送受信部110」は,「バス300に対して,CANのプロトコルに従ったフレーム(データフレーム等)を送受信して」おり,これらの「データフレーム」は,「ECU200a」,「ECU200b」および「ECU200c」が各種センサデータを「バス上に流」したものであるから,本願発明1の「通信部」と同様,「複数の制御装置の間で送受信される通信フレームを受信可能」であるといえる。 したがって,本願発明1と引用発明とは,「複数の制御装置の間で送受信される通信フレームを受信可能な通信部」「を備え」た「通信監視装置」である点で共通するといえる。 ウ 引用発明において,「監視ECU100は,(中略)不正検知ルール保持部170(中略)を含んで構成されており,」「不正検知ルール保持部170は,不正判定部130が不正判定のために参照する不正検知ルール情報を保持しており,不正検知ルール保持部170が保持する不正検知ルール情報は,互いに異なるIDのデータフレームの内容間の関係に係る条件(ルール)であ」るとされている。 ここで,引用発明の「異なるIDのデータフレームの内容間の関係に係る条件(ルール)」は,本願発明1の「複数の通信フレーム間で満たすべき関係性を示す関係性データ」に相当する また,上記イで述べたように,引用発明の「データフレーム」は,「ECU200a」,「ECU200b」および「ECU200c」が各種センサデータを「バス上に流」したものであるから,本願発明1の「通信フレーム」と同様,「前記複数の制御装置の間で送受信される複数の通信フレーム」であるといえる。 したがって,本願発明1と引用発明とは,「前記複数の制御装置の間で送受信される複数の通信フレーム間で満たすべき関係性を示す関係性データを記憶した記憶部」「を備え」た「通信監視装置」である点で共通するといえる。 エ 引用発明において,「監視ECU100は,(中略)不正判定部130(中略)を含んで構成されており,」「不正判定部130は,不正なデータフレームを受信したか否かの判定(不正なデータフレームが送信されたか否かに係る不正判定)を,不正検知ルール保持部170が保持する不正検知ルール情報と,フレーム受信履歴保持部160が保持するフレーム受信履歴とに基づいて,所定の単位時間(例えば100ms)を周期として周期的に行っており,不正検知ルール情報が示す複数の異なるIDを有するフレーム間の関係に係る条件毎について条件が満たされるか否かにより不正判定を行い,条件が満たされなかった場合に不正と判定し」ているとされている。 ここで,引用発明の「不正検知ルール保持部170が保持する不正検知ルール情報(中略)に基づいて,不正検知ルール情報が示す複数の異なるIDを有するフレーム間の関係に係る条件毎について条件が満たされるか否かにより不正判定を行い,条件が満たされなかった場合に不正と判定」することは,本願発明1の「前記関係性データを参照し,前記通信フレームのうちで前記関係性を逸脱している通信フレームを不正通信フレームとして検知する」ことに相当する。 したがって,本願発明1と引用発明とは,「前記関係性データを参照し,前記通信フレームのうちで前記関係性を逸脱している通信フレームを不正通信フレームとして検知する検知部」「を備え」た「通信監視装置」である点で共通するといえる。 オ 引用発明において,「監視ECU100は,(中略)不正対応部140(中略)を含んで構成されており,」「不正対応部140は,不正判定部130から不正を検知したことが通知されると,不正判定結果保持部180に格納されている不正判定結果と,ECU情報テーブル保持部190に格納されているECU情報テーブルとを参照して,不正への対応としての対処処理の内容を決定し,対処処理を決定した場合において,その対処処理の実行のための制御を行って」いるとされている。 ここで,引用発明の「不正判定結果保持部180に格納されている不正判定結果と,ECU情報テーブル保持部190に格納されているECU情報テーブル保持部190に格納されているECU情報テーブルとを参照して,」「決定」された「不正への対応としての対処処理の内容」は,本願発明1の「設定された処理」に相当する。 また,引用発明の「対処処理の実行のための制御を行」うことは,本願発明1の「設定された処理を実行する」ことに相当する。 したがって,本願発明1と引用発明とは,「前記検知部が前記不正通信フレームを検知した場合に,設定された処理を実行する処理部と,を備え」た「通信監視装置」である点で共通するといえる。 カ 引用発明において,「不正検知ルール保持部170が保持する不正検知ルール情報は,互いに異なるIDのデータフレームの内容間の関係に係る条件(ルール)であり,不正検知ルール情報は,ルール番号1のルールとして,IDが0x100のデータフレームの内容(車速)とIDが0x200のデータフレームの内容(加速度)との関係についての条件を含んでおり,」「ルール番号2のルールとして,IDが0x100のデータフレームの内容(車速)とIDが0x300のデータフレームの内容(ギアの状態)との関係についての条件を含んでおり,」「ルール番号3のルールとして,IDが0x200のデータフレームの内容(加速度)とIDが0x300のデータフレームの内容(ギアの状態)との関係についての条件を含んで」いるとされている。 ここで,引用発明の「IDが0x100のデータフレームの内容(車速)とIDが0x200のデータフレームの内容(加速度)」,「IDが0x100のデータフレームの内容(車速)とIDが0x300のデータフレームの内容(ギアの状態)」,「IDが0x200のデータフレームの内容(加速度)とIDが0x300のデータフレームの内容(ギアの状態)」は,いずれも,本願発明1の「通信フレーム中にデータ本体として格納される通知情報が表す状態量の組み合わせ」に相当する。 したがって,本願発明1と引用発明とは,「前記関係性データは,前記通信フレーム中にデータ本体として格納される通知情報が表す状態量の組み合わせを表し」ている点で共通するといえる。 キ 引用発明の「監視電子制御ユニット(監視ECU)」において,「ECUに異常が生じていることを検知した場合には,外部のサーバへの情報通知その他の対処のための制御を行い得る」とされている。 ここで,引用発明の「外部のサーバ」および「監視電子制御ユニット(監視ECU)」は,それぞれ,本願発明1の「外部の情報処理装置」および「車両に設置された通信監視装置」に相当する。 引用発明において,「ECUに異常が生じていることを検知した場合」には,「不正通信フレームが検知されたこと」も含まれることは,上記アで述べたように引用発明は「バスで送信されるフレームを監視することで不正状態(異常)が発生したことを検知し得る車載ネットワークシステム」であるから,当業者にとって明らかである。 したがって,本願発明1と引用発明とは,「前記処理部は、前記設定された処理として、前記不正通信フレームが検知されたことを前記外部の情報処理装置に通知するための処理を行」う「前記車両に設置された通信監視装置」である点で共通するといえる。 (2)一致点 本願発明1と,引用発明とは,以下の点で一致する。 「複数の制御装置の間で送受信される通信フレームを受信可能な通信部と, 前記複数の制御装置の間で送受信される複数の通信フレーム間で満たすべき関係性を示す関係性データを記憶した記憶部と, 前記関係性データを参照し,前記通信フレームのうちで前記関係性を逸脱している通信フレームを不正通信フレームとして検知する検知部と, 前記検知部が前記不正通信フレームを検知した場合に,設定された処理を実行する処理部と,を備え, 前記関係性データは,前記通信フレーム中にデータ本体として格納される通知情報が表す状態量の組み合わせを表し, 前記処理部は、前記設定された処理として、前記不正通信フレームが検知されたことを前記外部の情報処理装置に通知するための処理を行う 前記車両に設置された通信監視装置。」 (3)相違点 本願発明と,引用発明とは,以下の点で相違する。 ア 相違点1 本願発明1では,「前記検知部は,前記関係性データが表す前記組み合わせに含まれる状態量と内容が一致する前記通知情報を格納した通信フレームを前記通信部が受信した後,前記通信部が受信する前記通信フレームのうちで,前記組み合わせに含まれる他の状態量と種類が一致し,且つ前記他の状態量の内容が一致しない前記通知情報を格納した前記通信フレームを前記不正通信フレームとして検知する」のに対し,引用発明の「ルール番号2のルール」では,「条件は,ある単位時間内に受信されたIDが0x300のデータフレームが示すギアの状態の値が「D」(ドライブ)を表す場合には,同じ単位時間内に受信されたIDが0x100のデータフレームが示す車速の,前回の単位時間内に受信されたデータフレームが示す車速からの変化量(例えば差分)が,1.0km/h以下に抑えられ」ることであり,「ギアの状態」(状態量)の値(内容)が「D」(ドライブ)を表す」「データフレーム」を受信するタイミングと,「車速」(状態量)の値(内容)が「前回の単位時間内に受信されたデータフレームが示す車速からの変化量(例えば差分)が,1.0km/h以下」でない(内容が一致しない)フレームを受信するタイミングに前後関係があるか否か不明な点。 イ 相違点2 本願発明1では,「前記記憶部に記憶され」た「関係性データ」が「車両の外部の情報処理装置によって生成され、前記外部の情報処理装置から送信され」たものであり,「前記処理部は、前記不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した複数の前記通信フレームを送信し、前記不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した前記複数の通信フレームに基づいて前記外部の情報処理装置により生成された新たな前記関連性データが、前記外部の情報処理装置から送信され前記記憶部に記憶され」るのに対して, 引用発明では,「前記記憶部に記憶され」た「関係性データ」が「車両の外部の情報処理装置によって生成され、前記外部の情報処理装置から送信され」たものではなく,「前記処理部は、前記不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した複数の前記通信フレームを送信し、前記不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した前記複数の通信フレームに基づいて前記外部の情報処理装置により生成された新たな前記関連性データが、前記外部の情報処理装置から送信され前記記憶部に記憶され」る構成を備えていない点。 (4)相違点について 事案に鑑みて,上記相違点2について,先に検討する。 ア 新規性 まず,上記相違点2に係る構成により,「車両100側では、関係性データ123aを必ずしも生成しなくとも良」く、「そのため、関係性更新部124は、省くことができ」(段落0007)、機器の製造コストが低減でき、また、複数の車両に対して、通信によって関係性データ123aを更新することができるという効果を奏しているから,当該相違点2は実質的なものであるといえる。 したがって,本願発明1は,引用文献1に記載されたものではない。 イ 進歩性 相違点2に関連して,引用文献2の上記第5の2(3)で述べたように,引用文献2には,以下の技術事項が記載されている。 「(車載ネットワークシステム12内の)ログ保存部44は、MAC検証部34により対象フレームが不正と判定され、振る舞い検証部36により対象フレームが正当と判定された場合に、対象フレームに関するログデータを保存して、オフライン上で(例えばディーラーでのメンテナンスにおいて)、保存されたログデータを収集し、上記判定結果を(車外の)ルール生成装置29へ送信しており, (車外の)ルール生成装置29は、振る舞い検証において対象フレームが不正と判断されるように、振る舞いルールを更新するものであり, ログ保存部44は、受信フレーム記憶部42に保持されたフレームのうち対象フレームとIDが一致する過去のフレームと、対象フレームとを含むルール更新指示データをログデータとして保存し,また、対象フレームより後に受信されたフレームのうち対象フレームとIDが一致するフレームをルール更新データに含めてもよく, (車外の)ルール生成装置29は、生成または更新した振る舞いルールを外部通信網28を介して車両10へ配信し, (車載ネットワークシステム12内の)ルール更新部46は、(車外の)ルール生成装置29から提供された振る舞いルールをCAN24を介して取得し,振る舞い検証部36が保持する振る舞いルールを更新させること。」 ここで,上記引用文献2記載の技術事項の「(車外の)ルール生成装置29」,「不正と判定され」た「対象フレーム」,「対象フレームとIDが一致する過去のフレーム」および「対象フレームより後に受信されたフレームのうち対象フレームとIDが一致するフレーム」,「振る舞い検証部36が保持する振る舞いルール」は,それぞれ,本願発明1の「外部の情報処理装置」,「不正通信フレーム」,「不正通信フレームの前後に受信した複数の前記通信フレーム」,「記憶部に記憶され」た「関連性データ」に対応するといえる。 したがって,引用発明に,上記引用文献2記載の技術事項を適用すれば,「不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した前記複数の通信フレームに基づいて」「外部の情報処理装置により生成された新たな前記関連性データが、前記外部の情報処理装置から送信され前記記憶部に記憶」することは,当業者が容易に想到し得たものであるといえる。 一方,本願発明1において,「外部の情報処理装置」は,「不正通信フレームが検知されたことを」「通知」されるものであり,かつ,「不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した前記複数の通信フレームに基づいて」「新たな前記関連性データ」を「生成」するものである。 よって,引用発明に引用文献2記載の技術事項を適用しても,「外部の情報処理装置」は,「不正通信フレームが検知されたことを」「通知」されるものであり,かつ,「不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した前記複数の通信フレームに基づいて」「新たな前記関連性データ」を「生成」するものである構成には至らない。 さらに,引用発明において,「不正通信フレームが検知されたことを前記外部の情報処理装置に通知するための処理を行」う「外部の情報処理装置」は,異常発生の「対処」のためのものであるのに対して,上記引用文献2記載の技術事項において,「外部の情報処理装置」に対応する「(車外の)ルール生成装置29」は,「オフライン上で(例えばディーラーでのメンテナンスにおいて)、保存されたログデータを収集し」て「振る舞いルール」(関係性データ)を更新・生成するためのものであり,異常発生の「対処」のためのものではないから,引用発明に,上記引用文献2記載の技術事項を適用しても,「不正通信フレームが検知されたことを」「通知」される対象としての,「外部の情報処理装置」と,「不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した前記複数の通信フレームに基づいて」「新たな前記関連性データ」を「生成」する「外部の情報処理装置」という異なる処理を行う2つの「外部の情報処理装置」を同一のものとする動機付けはないといえる。 したがって,引用発明および引用文献2記載の技術事項に基づいて,本願発明1の相違点2に係る「外部の情報処理装置」は,「不正通信フレームが検知されたことを」「通知」されるものであり,かつ,「不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した前記複数の通信フレームに基づいて」「新たな前記関連性データ」を「生成」するものであるという構成は,当業者が想到し得たものではない。 また,当該相違点2に係る「外部の情報処理装置」は,「不正通信フレームが検知されたことを」「通知」されるものであり,かつ,「不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した前記複数の通信フレームに基づいて」「新たな前記関連性データ」を「生成」するものであるという構成は,引用文献3などにも,記載も示唆も無い。 (5)小括 以上から,相違点1について検討するまでもなく,本願発明1は,引用発明および引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に想到し得たものではない。 2 本願発明2ないし5について 本願発明2ないし5も、本願発明1の相違点2に係る「外部の情報処理装置」は,「不正通信フレームが検知されたことを」「通知」されるものであり,かつ,「不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した前記複数の通信フレームに基づいて」「新たな前記関連性データ」を「生成」するものであるという構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 1 原査定の理由1(明確性)について 令和3年10月14日提出の手続補正書により,補正後の請求項1ないし5は,いずれも,明確性要件を満たしている。 2 原査定の理由2(新規性),理由3(進歩性)について 令和3年10月14日提出の手続補正書により,補正後の請求項1ないし5は,「外部の情報処理装置」は,「不正通信フレームが検知されたことを」「通知」されるものであり,かつ,「不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した前記複数の通信フレームに基づいて」「新たな前記関連性データ」を「生成」するものであるという技術的事項を有するものとなった。当該「外部の情報処理装置」は,「不正通信フレームが検知されたことを」「通知」されるものであり,かつ,「不正通信フレームと、前記不正通信フレームの前後に受信した前記複数の通信フレームに基づいて」「新たな前記関連性データ」を「生成」するものであるという技術的事項は、原査定における引用文献AないしD(当審拒絶理由における引用文献1ないし3を含む)には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1−5は、当業者であっても、原査定における引用文献AないしDに基づいて容易に発明できたものではない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-11-24 |
出願番号 | P2019-038114 |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(H04L)
P 1 8・ 113- WY (H04L) P 1 8・ 121- WY (H04L) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
稲葉 和生 |
特許庁審判官 |
野崎 大進 林 毅 |
発明の名称 | 通信監視装置 |
代理人 | 大宅 一宏 |
代理人 | 吉田 潤一郎 |
代理人 | 梶並 順 |
代理人 | 上田 俊一 |
代理人 | 曾我 道治 |