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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1380688
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-15 
確定日 2021-12-09 
事件の表示 特願2017−222714「マイクロディスプレイベースの没入型ヘッドセット」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月26日出願公開、特開2018− 67929、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)10月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年10月24日 米国)を国際出願日とする出願である特願2017−527689号の一部を、平成29年 9月21日に新たな特許出願とした特願2017−181241号の、更にその一部を平成29年11月20日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年11月20日 :上申書の提出
平成30年 8月 7日 :手続補正書、上申書の提出
令和 元年 6月20日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 9月 9日 :意見書の提出
令和 2年 2月26日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 5月19日 :意見書の提出
令和 2年 9月14日付け:拒絶査定
令和 3年 1月15日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年 2月18日 :手続補正書(方式)の提出
令和 3年 5月31日 :前置報告
令和 3年 7月27日 :上申書の提出

第2 原査定の概要
原査定の概要は次の通りである。

この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



・請求項 1、17
・引用文献等 1〜3

・請求項 2〜4
・引用文献等 1〜5

・請求項 5〜9
・引用文献等 1〜3、6〜9

・請求項 10〜11
・引用文献等 1〜3、7、9

・請求項 12〜14、18
・引用文献等 1〜3、8

・請求項 15〜16
・引用文献等 1〜3、7、9

・請求項 19
・引用文献等1〜3、10

・請求項 20
・引用文献等 1〜3、7、11

<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2014/0266986号明細書
2.国際公開第2013/076994号(周知技術を示す文献)
3.国際公開第2013/118328号(周知技術を示す文献)
4.特開2004−233909号公報(周知技術を示す文献)
5.特開平10−333084号公報(周知技術を示す文献)
6.国際公開第2014/145070号(周知技術を示す文献)
7.米国特許第05281957号明細書(周知技術を示す文献)
8.特開2013−205749号公報(周知技術を示す文献)
9.特開2011−233958号公報(周知技術を示す文献)
10.特開2000−112396号公報(周知技術を示す文献)
11.特開2013−190513号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
1.本願の請求項1〜20に係る発明
本願の請求項1〜20に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」〜「本件発明20」という。)は、令和3年1月15日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1〜20に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
没入型ヘッドセットデバイスであって、
使用者の頭に着用されるように適合される本体部分と、
前記本体部分に取り付けられるディスプレイ部分であって、前記ディスプレイ部分は、少なくとも1つのOLEDディスプレイを含み、前記少なくとも1つのOLEDディスプレイは、0.5インチ〜1.5インチの範囲内の対角線寸法を含み、少なくとも2k×2k画素のディスプレイ解像度を有するイメージを表示するように適合される、ディスプレイ部分と、
前記ディスプレイ部分に動作可能に接続される電力およびディスプレイ信号電子機器の少なくとも1つを収容するための電子機器ソースモジュールと
を含む、没入型ヘッドセット。
【請求項2】
前記本体部分は、半硬質の側枠部材を含む、請求項1に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項3】
前記本体部分は、前記頭の後部の周りに前記半硬質の側枠部材を接続するように適合されるストラップアセンブリをさらに含み、前記電子機器ソースモジュールは、前記ストラップアセンブリの一部を形成する、請求項2に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項4】
前記電子機器ソースモジュールは、前記頭上の適切な場所に前記ストラップアセンブリを保持するように形づくられる、請求項3に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項5】
前記ディスプレイ部分は、視度調整機構および瞳孔間距離調整機構をさらに含む、請求項1に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項6】
前記視度調整機構および前記瞳孔間距離調整機構のうちの少なくとも1つは、前記使用者の頭から前記ヘッドセットを取り外さずに調整されるように適合される、請求項5に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項7】
前記ディスプレイは、少なくとも1つのマイクロディスプレイを含む、請求項1に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項8】
前記少なくとも1つのマイクロディスプレイは、前記使用者のそれぞれの目に1つのマイクロディスプレイを含む2つのマイクロディスプレイを含む、請求項7に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項9】
各マイクロディスプレイは、前記電子機器ソースモジュールから独立の入力を受け取るように適合される、請求項8に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項10】
前記ディスプレイ部分は、前記本体部分に対して回転することにより、前記ディスプレイが前記使用者の視線に入る没入した位置と没入していない位置との間を移動するように適合される、請求項1に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項11】
前記本体部分に対して前記ディスプレイ部分を回転するように適合されるヒンジ機構をさらに含む請求項10に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項12】
前記電子機器ソースモジュールは、ディスク形状を形成する、請求項1に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項13】
前記電子機器ソースモジュールは、2D形式および3D形式の両方でデータを提供するように適合される、請求項1に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項14】
前記電子機器ソースモジュールは、単一出力およびデュアル出力のうちの少なくとも1つを提供するように適合される、請求項1に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項15】
前記没入した位置および前記没入していない位置のうちの少なくとも1つに前記ディスプレイ部分を維持するように適合される保持構造をさらに含む請求項10に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項16】
前記保持構造は、スプリング機構、スナップコネクタ、ラッチ、キャッチ、戻り止め、およびラチェット機構から成る群から選択される、請求項15に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項17】
没入型ヘッドセットデバイスを構成する方法であって、前記方法は、
使用者の頭に着用されるように適合される本体部分を提供するステップと、
前記本体部分に取り付けられるディスプレイ部分を提供するステップであって、前記ディスプレイ部分は、少なくとも1つのOLEDディスプレイを含み、前記少なくとも1つのOLEDディスプレイは、0.5インチ〜1.5インチの範囲内の対角線寸法を含み、少なくとも2k×2k画素のディスプレイ解像度を有するイメージを表示するように適合される、ステップと、
電力およびディスプレイ信号電子機器のうちの少なくとも1つを収容するための電子機器ソースモジュールを前記ディスプレイ部分に動作可能に接続するステップと
を含む、方法。
【請求項18】
前記電子機器ソースモジュールが2D形式および3D形式の両方でデータを前記ディスプレイ部分に提供するように適合されるように、前記電子機器ソースモジュールをプログラミングすることをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ディスプレイ部分は、同軸反射光学系をさらに含む、請求項1に記載の没入型ヘッドセット。
【請求項20】
前記電子機器ソースモジュールは、120Hzで最大4k解像度まで前記データを提供するように適合される、請求項13に記載の没入型ヘッドセット。」

2.本願発明1の分説
本願発明1を分説すると、次のとおりである。
なお、符号A〜Dについては、説明のために当審で付与したものである。また、これらの符号が付されたものを「構成A」〜「構成D」という。

「A 没入型ヘッドセットデバイスであって、
B 使用者の頭に着用されるように適合される本体部分と、
C 前記本体部分に取り付けられるディスプレイ部分であって、前記ディスプレイ部分は、少なくとも1つのOLEDディスプレイを含み、前記少なくとも1つのOLEDディスプレイは、0.5インチ〜1.5インチの範囲内の対角線寸法を含み、少なくとも2k×2k画素のディスプレイ解像度を有するイメージを表示するように適合される、ディスプレイ部分と、
D 前記ディスプレイ部分に動作可能に接続される電力およびディスプレイ信号電子機器の少なくとも1つを収容するための電子機器ソースモジュールと
A を含む、没入型ヘッドセット。」

3.本願発明17の分説
本願発明17を分説すると、次のとおりである。
なお、符号E〜Hについては、説明のために当審で付与したものである。また、これらの符号が付されたものを「構成E」〜「構成H」という。

「E 没入型ヘッドセットデバイスを構成する方法であって、前記方法は、
F 使用者の頭に着用されるように適合される本体部分を提供するステップと、
G 前記本体部分に取り付けられるディスプレイ部分を提供するステップであって、前記ディスプレイ部分は、少なくとも1つのOLEDディスプレイを含み、前記少なくとも1つのOLEDディスプレイは、0.5インチ〜1.5インチの範囲内の対角線寸法を含み、少なくとも2k×2k画素のディスプレイ解像度を有するイメージを表示するように適合される、ステップと、
H 電力およびディスプレイ信号電子機器のうちの少なくとも1つを収容するための電子機器ソースモジュールを前記ディスプレイ部分に動作可能に接続するステップと
E を含む、方法。」

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(米国特許出願公開第2014/0266986号明細書)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審が付したものである。)
なお、仮訳は、本願と同じ優先基礎出願に基づくパリ条約による優先権主張を伴う国際出願(PCT/US2014/029714)の公表公報である、特表2016―516216号公報に基づき、当審で翻訳した仮訳である。

ア 「[0002] Head mounted display (HMD) devices are employed for displaying and viewing visual content from a visual display source. (以下、省略)」
(仮訳:
[0002] ヘッドマウントディスプレイ(HMD)装置は、視覚ディスプレイソースからの視覚コンテンツを表示して見るために用いる。)

イ 「[0053] Accordingly, the present disclosure is primarily and substantially a reflective-based head mounted display device as opposed to a primarily refractive, diffractive, or laser-writer-based head mounted display device.(以下、省略)」
(仮訳:
[0053] したがって、本開示は主として屈折式、回折式あるいはレーザ書き込み式ヘッドマウントディスプレイ装置に対立するものとしての、主に且つ実質的に反射利用のヘッドマウントディスプレイ装置である。)

ウ 「[0097] A HMD according to one embodiment is an article to be worn by a user and provides a stereo view of an electronically generated image. The image is generally processor generated or computer generated, and may be a still image or a moving animation image. The image may include photographical, graphical, text, or other types of visual subject matter. In some use cases, the image as seen by the user may be shielded from outside light so as to provide the user with a completely immersive experience. In some use cases the image as seen by the user may provide the user with an “augmented” view of reality; that is, the image may be superimposed upon an outside view of the real world around the user.
[0098] An assembled view of an advantageous embodiment of a HMD 102 is depicted in FIGS. 10-13. FIG. 10 generally depicts an isometric frontal view of the HMD 102. FIG. 11 depicts a rear view according to the perspective of a user looking through the HMD 102. FIG. 12 depicts a top view and FIG. 13 depicts a side view of HMD 102.
[0099] Directional axes X, Y, and Z are defined in FIGS. 10-13. Generally the X-axis is defined as horizontally left to right according to a user wearing the HMD 102. The X-axis generally follows a top portion 104 of an outer frame 106 of the HMD 102. Construction of the HMD 102 including frame 106 is described in further detail below. The Y-axis is defined as a vertical axis that is approximately aligned with a gravitational reference when the HMD 102 is in use and a user is standing or sitting up. Finally the Z-axis is defined as being approximately aligned with the “line of site” of the user of the HMD 102 when the user is looking forwardly through the HMD 102 in a forward direction. Axes X, Y, and Z are generally mutually orthogonal.」
(仮訳:
[0097] 1つの実施の形態によるHMDは、利用者が装着する部品であり、電子的に生成した画像の立体画像を提供する。この画像は、一般にプロセッサー生成、あるいはコンピュータ生成のものであり、静止画像あるいは動画とすることができる。この画像は、写真、図形、文字、あるいは他の種類の視覚素材を含むことができる。いくつかのユースケースでは、利用者が見る画像は利用者に完全な没入型体験を提供するために外光から遮ることができる。いくつかのユースケースでは、利用者が見る画像は、利用者に「拡張」現実視界を提供することができる、すなわち画像を利用者の周りの実世界の外部視界に重ねることができる。
[0098] HMD102についての有利な実施の形態の集合図は、図10−13に示している。図10はHMD102の等角の正面図を一般に示す。図11は、利用者がHMD102を見通している斜視図による背面図を示している。図12は、HMD102の上面図を示し、図13はHMD102の側面図を示している。
[0099] 方向軸X、Y、Zは、図10−13に定めている。一般にX軸はHMD102を装着する利用者に従って水平に左から右として定義する。X軸は概ねHMD102のフレーム106の上部104を辿る。フレーム106を含むHMD102の構造は、以下で詳細に説明する。HMD102が使用中で利用者は立った姿勢でいるかあるいは真っ直ぐ着席している場合に、Y軸は重力基準にほぼ一直線に合っている垂直軸として定義する。最後に、利用者が前方向でHMD102を通して前方を見ている場合に、Z軸はHMD102の利用者の「視線」とほぼ一直線に合わせることとして定義する。X、Y、Z軸は互いに概ね直交している。)

エ 「



オ 「[0101] Other features depicted in FIGS. 10-13 are two micro-display mechanisms 108 positioned along and below the top portion 104 of outer frame 106. The X-position of each micro-display mechanism 108 is approximately the same as the X-position of each of the user's eyes. Each micro-display mechanism 108 contains a small micro-display mounted in a positioning mechanism for adjusting a position of the micro-display along the X and Z-axes. The positioning mechanism includes an X-axis position adjuster 110 for moving the micro-display along the X-axis, and a Z-axis position adjuster 112 for moving the micro-display along the Z-axis. The micro-display mechanism 108, including component parts, action, and assembly, will be discussed in more detail below.」
(仮訳:
[0101] 図10−13に図示されている他の特徴は、フレーム106の上部104に沿って、且つ該上部より下に配置された2つのマイクロディスプレイ機構108である。各マイクロディスプレイ機構108のX位置は、利用者の各々の眼のX位置と略同じである。各マイクロディスプレイ機構108は、マイクロディスプレイの位置をXおよびZ軸に沿って調整するための位置決め機構に搭載の小さなマイクロディスプレイを含んでいる。位置決め機構には、X軸に沿ってマイクロディスプレイを動かすためのX軸位置調整器110があり、またZ軸に沿ってマイクロディスプレイを動かすためのZ軸位置調整器112がある。マイクロディスプレイ機構108について、構成部品、動作および組み立てを含めて、以下で詳細に述べる。)

カ 「[0102] The optical path of HMD 102 according to one embodiment is principally defined by a micro-display and a series of non-rotationally symmetrical, free-form reflective optics. This means that the optical elements are not rotationally symmetric about an axis that is generally along an optical ray path that passes through the focal point of the light ray bundle. Essentially, the optical elements are non-spherical elements (asphere free forms). The micro-display is very compact, typically ranging from 0.37″ (on the diagonal) to 0.97″ (on the diagonal). (以下、省略)」
(仮訳:
[0102] 1つの実施の形態によるHMD102の光路は、主としてマイクロディスプレイおよび一連の非回転対称の、自由形状の反射光学系で定められる。このことは、光学要素は光線束の焦点を通る光路に概ね沿っている軸に対して回転対称ではないことを意味する。実質的に光学要素は非球状要素(非球面自由形状)である。マイクロディスプレイは非常にコンパクトで、一般的に大きさは(対角線上で)0.37インチから(対角線上で)0.97インチである。)

キ 「[0107] The optical path 114 begins with a rectangular micro-display 116, which is generally a relatively small panel that emits an image. In one embodiment, the micro-display 116 has a diagonal length of between 0.2 inch to 1.0 inch. For an example consumer device, the diagonal length is preferably in the range of 0.3 inch to 0.6 inch. In one embodiment, the consumer version of the micro-display diagonal length is about 0.37 inch. For a military embodiment, the diagonal length is about 0.97 inch.
[0108] Examples of image emitting technology for micro-displays 116 include OLED (organic light emitting diode) displays, LCOS (liquid crystal on Silicon) displays, or LCD (liquid crystal display).(以下、省略)」
(仮訳:
[0107] 光路114は画像を放射する概ね比較的小さなパネルである矩形のマイクロディスプレイ116から始まる。1つの実施の形態で、マイクロディスプレイ116は、0.2インチと1.0インチの間の対角長さがある。消費者向装置例の場合、対角長さは望ましくは0.3インチから0.6インチの範囲である。1つの実施の形態で、消費者版のマイクロディスプレイの対角長さは、約0.37インチである。軍用の実施の形態の場合は、対角長さは約0.97インチである。
[0108] マイクロディスプレイ116の画像放射技術の例として、OLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、LCOS(反射型液晶パネル)ディスプレイ、あるいはLCD(液晶ディスプレイ)がある。)

ク 「[0160] Step 176 of FIG. 19 is depicted in additional detail according to FIG. 20 which illustrates an exemplary embodiment of a process for assembling outer frame 106. This exemplary process includes the following steps:
[0161] (1) Electro-transmissive lenses 184 are attached to frame 106. Lenses 184 function as both a dust covering and as a way of modulating light that may enter the HMD 102. In one embodiment the lenses are secured by an adhesive.
[0162] (2) Rubber tips 185 are attached to temple arms 186. (3) Temple arms 186 are attached to outer frame 106.」
(仮訳:
[0160] 図19のステップ176は、フレーム106の組み立て工程の例示的な実施の形態を示す図20に従ってさらに詳細に示す。例示的なこの工程は以下のステップからなる。
[0161] (1)電子透過型レンズ184をフレーム106に取り付ける。レンズ184はダストカバリングとして、またHMD102に入射する可能性のある光を変調する方法として機能する。1つの実施の形態では、当該レンズは接着剤で固定される。
[0162] (2)ゴム小片185をメガネつる186に取り付ける。(3)メガネつる186をフレーム106に取り付ける。)

ケ 「



コ 「[0163] An exemplary embodiment of step 178 has already been described with respect to FIGS. 18A and 18B. Step 180 of FIG. 19 is depicted according to FIG. 21 which is an exemplary process for assembling optical components to structural frame 134. The illustrated process involves the following steps:
[0164] (1) Left and right M2 mirrors 126 are attached to mounts 144. In an exemplary embodiment the mirrors are attached with an adhesive.
[0165] (2) Left and right compound lenses 146 are attached to frame 134. After attachment, the compound lenses 146 each cover a portion of one opening 140. In an exemplary embodiment the lenses 146 are secured to the frame 134 using an adhesive.
[0166] (3) Left and right micro-display mechanisms are lowered along the Y-axis into left and right pockets 142 respectively. After assembly an upper surface of carriage 148 (FIG. 18 A) is exposed above each pocket 142 and the lower portion 158 (FIG. 18B) of each micro display mechanism 108 extends downwardly into pocket 142.
[0167] Step 182 of FIG. 19 is depicted according to FIG. 22 which is an exemplary final assembly process for HMD 102. The illustrated process has the following steps:
[0168] (1) The now-assembled structural frame 134, as assembled according to FIG. 21, is received into the outer frame 106. According to FIG. 22 structural frame 134 is received into outer frame 106 along the Z-axis. In an exemplary embodiment the structural frame is secured to the outer frame 106 using an adhesive.」
(仮訳:
[0163] ステップ178の例示的な実施の形態は、図18Aおよび18Bに関して既に説明している。図19のステップ180は、枠組み構造134に光学部品を組み付けるための例示的な工程である図21に従って示す。この図示された工程は以下のステップからなる。
[0164] (1)左右のM2ミラー126を取付け台144に取り付ける。例示的な実施の形態では当該ミラーは接着剤で取り付けられる。
[0165] (2)左右の複合レンズ146を枠組み構造134に取り付ける。取り付け後、複合レンズ146は各々、1つの開口部140の部分を覆う。例示的な実施の形態では、複合レンズ146は接着剤を用いて枠組み構造134に固定する。
[0166] (3)左右のマイクロディスプレイ機構をY軸に沿って下げて左右のポケット142にそれぞれ入れる。組み立て後、キャリッジ148(図18A)の上面は、各ポケット142の上に出され、また各マイクロディスプレイ機構108の下部158(図18B)は下方に伸びてポケット142に入る。
[0167] 図19のステップ182は、HMD102のための例示的な最終組み立て工程である図22に従って示される。この図示された工程は以下のステップからなる。
[0168] (1)図21に従った組み立ての今組み立てた枠組み構造134はフレーム106に収容する。図22に従って枠組み構造134はZ軸に沿ってフレーム106に収容する。例示的な実施の形態では枠組み構造は接着剤を用いて外枠に固定される。)

サ「



シ「



(2)引用発明
ア 上記(1)ア、イによれば、引用文献1には、「反射利用のヘッドマウントディスプレイ(HMD)装置」に関する発明が記載されている。
また、上記(1)ウ及びエによれば、HMD102は、フレーム106を含み、いくつかのユースケースでは、利用者が見る画像は利用者に完全な没入型体験を提供するために外光から遮るものである。

イ 上記(1)ク及びケによれば、フレーム106の組み立て工程において、フレーム106にはメガネつる186が取り付けられる。

ウ 上記(1)オによれば、マイクロディスプレイ機構108は、マイクロディスプレイを含んでいる。
また、上記(1)コ〜シによれば、枠組み構造134に光学部品を組み付けるための例示的な工程において、左右のマイクロディスプレイ機構を左右のポケット142に入れ、組み立てた枠組み構造134はフレーム106に収容される。

エ 上記(1)カ及びキによれば、マイクロディスプレイ116は、0.2インチと1.0インチの間の対角長さを有するものであり、例としてOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイである。

オ したがって、上記ア〜エから、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、符号a〜gについては、説明のために当審で付与したものである。また、これらの符号が付されたものを「構成a」〜「構成g」という。

「a 反射利用のヘッドマウントディスプレイ(HMD)装置であって、
b いくつかのユースケースでは、利用者が見る画像は利用者に完全な没入型体験を提供するために外光から遮るものであり、
c HMD102は、フレーム106を含み、
d フレーム106の組み立て工程において、フレーム106にはメガネつる186が取り付けられ、
e マイクロディスプレイ機構108は、マイクロディスプレイを含み、
f 枠組み構造134に光学部品を組み付けるための例示的な工程において、左右のマイクロディスプレイ機構を左右のポケット142に入れ、組み立てた枠組み構造134はフレーム106に収容され、
g マイクロディスプレイ116は、0.2インチと1.0インチの間の対角長さを有するものであり、例としてOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイである
a ヘッドマウントディスプレイ(HMD)装置」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由において、周知技術を示す文献として引用された引用文献2(国際公開第2013/076994号)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審が付したものである。)

「[0037] (第2の態様)
頭部装着型ディスプレイ装置においては、以下のような課題も存在する。
[0038] すなわち、画像表示素子のサイズを大きくすれば提示画角は広がるが、画素が荒くなると臨場感が低下してしまうので、提示画角の大型化に伴って、画像表示素子の画素数も増加する必要がある。例えば、現在の一般的なHMDは、水平画角30°、画像表示素子サイズ1cm角、画素数800×600であるが、水平画角120°にする場合は、画像表示素子のサイズが4cm角となり、画素数は3200×2400となる。」

以上の記載から、上記引用文献2には、以下の技術事項(以下、「文献2技術」という。)が記載されていると認められる。

(文献2技術)
「頭部装着型ディスプレイ装置において、提示画角の大型化に伴って、画像表示素子の画素数も増加する必要があるという課題が存在し、現在の一般的なHMDは、水平画角30°、画像表示素子サイズ1cm角、画素数800×600であり、水平画角120°にする場合は、画像表示素子のサイズが4cm角となり、画素数は3200×2400となること」

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由において、周知技術を示す文献として引用された引用文献3(国際公開第2013/118328号)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審が付したものである。)

「[0002] 映像や文字を表示する表示装置(ディスプレイ)として、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイがある。これらの表示装置は、視度の調節が出来ない。高齢化社会の進展に伴って老眼(老視)の高齢者が増えており、視度の調節が可能な表示装置、特にフラットパネルディスプレイ(FPD)が望まれている。携帯電話の普及やデジタルカメラの普及により、屋外でFPDによる表示を見る機会が増えている。更に本の代わりに電子ブックの利用も増加している。このように携帯電話やデジタルカメラ等のモバイル機器のFPDを見るときに、いちいち老眼鏡を掛け外しするのは非常に煩わしい。」

「[0015] 本発明に係る表示装置は、観察者の瞳に無限遠からの光束を入射させることにより、通常、表示装置が存在する近点に焦点を合わせることのできない人でも焦点の合った表示を見ることが可能となる。例えば、老眼の人でも老眼鏡を掛ける(或いは外す)ことなく、焦点の合った表示を見ることが可能となる。」

「[0028] (第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る表示装置の基本構成を示す斜視図である。本実施形態の表示装置は、レンズアレイ1と表示デバイス2で構成されている。表示デバイス2には、レンズアレイ1の各レンズ3に対応した位置の破線で囲われた表示領域に表示4が行われる。この表示4は、その他のレンズ3にも対応しており、それぞれ同じ表示が行われる。その表示内容は観察者が最終的に観察する表示内容である。なお、図中表示デバイス2の中で一つの表示領域を示す破線は、表示領域の理解を助ける為の記載であって、実際には存在するものではない。この表示4はレンズ3によって図中矢印5のように平行光として無限遠に投影される。表示デバイス2にはレンズアレイ1のレンズ3と同じ数だけ同じ表示が行われる。」

「[0032] 図5には、本実施形態の表示装置で使用される表示デバイス2の正面図が示されている。表示デバイス2には、よく知られた有機ELデバイス、液晶デバイス、電子ペーパーデバイスのような、いわゆるフラットパネルディスプレイデバイスを用いることが可能である。本実施形態の表示デバイス2は、横方向画素数4000、縦方向画素数2000を有する、いわゆる4K×2K表示と言われる800万画素の表示を行うことが出来るものが使用されている。その寸法は60mm×30mmであって、携帯電話やデジタルカメラのモニターとして標準的な大きさである。画素ピッチは、15μmで、画素の大きさはほぼ15μm×15μmである。」

したがって、以上の記載から、上記引用文献3には、以下の技術事項(以下、「文献3技術」という。)が記載されていると認められる。

(文献3技術)
「観察者の瞳に無限遠からの光束を入射させることにより、通常、表示装置が存在する近点に焦点を合わせることのできない人でも焦点の合った表示を見ることが可能となるモバイル機器のフラットパネルディスプレイ(FPD)であり、レンズアレイ1と表示デバイス2で構成されている表示装置において、表示デバイス2は、有機ELデバイスを用いることが可能であり、横方向画素数4000、縦方向画素数2000を有し、いわゆる4K×2K表示と言われる800万画素の表示を行うことが出来るものが使用されており、寸法が60mm×30mmであること」

4.参考文献について
一般的な技術水準を示す文献として、当審で新たに引用する参考文献(木村圭、内野勝秀、「4章 有機ELマイクロディスプレイ」、映像情報メディア学会誌、一般社団法人映像情報メディア学会、平成26年 7月 1日、第68巻、第7号、pp.522〜526)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審が付したものである。)

「1.まえがき
有機EL(Organic Light Emitting Diode:OLED)素子は,固体の自然光デバイスであることを特長とするため,LCD(Liquid Crystal Display)と比較して,高コントラスト・高速応答を実現できる.このため,高画質なディスプレイデバイスの実現に向け,テレビ向けの大型ディスプレイや,スマートフォン・タブレット端末などに向けた中小型ディスプレイへの応用を中心に注目を集めてきた.
この高コントラスト・高速応答といったOLEDの特長は,ディジタルカメラのEVF(Electronic View Finder)や,ヘッドマウントディスプレイにおいても大きなメリットとなる.これらの製品においては,小型軽量化のためにディスプレイパネルとして,0.5インチクラスのマイクロディスプレイを使用するが,表示される映像はレンズを介して拡大されるため,XGA(1024×768)クラスの高精細化が要求され,精細度としては2,000ppi(pixel per inch)以上となる.」

したがって、以上の記載から、上記参考文献には、以下の技術事項(以下、「参考文献技術」という。)が記載されていると認められる。

(参考文献技術)
「OLEDの特長は、ディジタルカメラのEVF(Electronic View Finder)や、ヘッドマウントディスプレイにおいても大きなメリットとなり、これらの製品においては、小型軽量化のためにディスプレイパネルとして、0.5インチクラスのマイクロディスプレイを使用するが、表示される映像はレンズを介して拡大されるため、XGA(1024×768)クラスの高精細化が要求されること」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 構成Aについて
構成aの「ヘッドマウントディスプレイ(HMD)装置」は、構成bより、利用者に完全な没入型体験を提供するものであるから、本願発明1における「没入型ヘッドセットデバイス」に相当する。

イ 構成Bについて
構成c及びdより、引用発明の「フレーム106」には「メガネつる186」が取り付けられ、また、メガネつるが使用者に着用されるように適合されものであることは技術常識である。
したがって、引用発明の「フレーム106」及び「メガネつる186」は、本願発明1における「本体部分」に相当し、「使用者」に「着用されるように適合される」ものである点で共通する。
しかしながら、本願発明1の「本体部分」は、使用者の頭に着用されるよう適合されるのに対し、引用発明においては、頭に着用される点が明示されていない点で相違する。

ウ 構成Cについて
(ア)構成fより、引用発明の「枠組み構造134」は「フレーム106」に取り付けられ、さらに、構成e及びfより、マイクロディスプレイを含むものである。

(イ)構成gより、引用発明の「マイクロディスプレイ116」は、例としてOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイであることから、本願発明の「少なくとも1つのOLEDディスプレイ」に相当する。
また、構成gより、引用発明の「マイクロディスプレイ116」は、0.2インチと1.0インチの間の対角長さを有することから、「0.5インチ〜1.5インチの範囲内の対角線寸法を含む」ものであるといえる。

(ウ)したがって、上記(ア)及び(イ)より、引用発明における「枠組み構造134」は、本願発明1における「ディスプレイ部分」と、「前記本体部分に取り付けられるディスプレイ部分であって、前記ディスプレイ部分は、少なくとも1つのOLEDディスプレイを含み、前記少なくとも1つのOLEDディスプレイは、0.5インチ〜1.5インチの範囲内の対角線寸法を含」む点で共通する。
しかしながら、本願発明1の「OLEDディスプレイ」は、少なくとも2k×2k画素のディスプレイ解像度を有するイメージを表示するように適合されるのに対し、引用発明においては、ディスプレイ解像度が特定されていない点で相違する。

エ 構成Dについて
引用発明においては、「前記ディスプレイ部分に動作可能に接続される電力およびディスプレイ信号電子機器の少なくとも1つを収容するための電子機器ソースモジュール」について明示されていない点で、本願発明1と相違する。

オ 一致点及び相違点
上記ア〜エより、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「没入型ヘッドセットデバイスであって、
使用者に着用されるように適合される本体部分と、
前記本体部分に取り付けられるディスプレイ部分であって、前記ディスプレイ部分は、少なくとも1つのOLEDディスプレイを含み、前記少なくとも1つのOLEDディスプレイは、0.5インチ〜1.5インチの範囲内の対角線寸法を含むディスプレイ部分と
を含む、没入型ヘッドセット。」

【相違点】
(相違点1)本願発明1の「本体部分」は、使用者の頭に着用されるよう適合されるのに対し、引用発明においては、頭に着用される点が明示されていない点。

(相違点2)本願発明1の「OLEDディスプレイ」は、0.5インチ〜1.5インチの範囲内の対角線寸法を含み、少なくとも2k×2k画素のディスプレイ解像度を有するイメージを表示するように適合されるのに対し、引用発明においては、ディスプレイ解像度が特定されていない点。

(相違点3)本願発明1においては、「没入型ヘッドセットデバイス」が「前記ディスプレイ部分に動作可能に接続される電力およびディスプレイ信号電子機器の少なくとも1つを収容するための電子機器ソースモジュール」を含むのに対し、引用発明においては、「電子機器ソースモジュール」が明示されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点2を先に検討する。

ア 文献2技術について
文献2技術において、画像表示素子の画素数が2k×2k以上の解像度を有する3200×2400の場合のサイズは4cm角であり、対角寸法は約2.2インチとなり、0.5インチ〜1.5インチの対角線寸法の範囲内にない。

イ 文献3技術について
文献3技術において、有機ELデバイスを用いた表示デバイスは4K×2Kであるものの、そのサイズは60mm×30mmであり、対角寸法は約2.6インチとなるから、0.5インチ〜1.5インチの対角線寸法の範囲内にない。
さらに、文献3技術は、観察者の瞳に無限遠からの光束を入射させることにより、通常、表示装置が存在する近点に焦点を合わせることのできない人でも焦点の合った表示を見ることが可能となるモバイル機器のフラットパネルディスプレイ(FPD)であり、反射利用のヘッドマウントディスプレイ装置(HMD)に係る引用発明とは、技術分野や課題が異なることから、引用発明に文献3技術を適用する動機も十分にない。

ウ 参考文献技術について
参考文献技術においては、0.5インチクラスのマイクロディスプレイについて記載されているものの、ディスプレイ解像度は1024×768クラスであり、少なくとも2k×2k画素のディスプレイ解像度を有するイメージを表示するマイクロディスプレイについて記載されていない。

エ まとめ
よって、上記ア〜ウより、引用文献2、3及び参考文献のいずれにも、0.5インチ〜1.5インチの範囲内の対角線寸法を含み、かつ、少なくとも2k×2k画素のディスプレイ解像度を有するイメージを表示するように適合されるOLEDディスプレイについて記載されておらず、引用発明並びに引用文献2、3及び参考文献に記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
また、引用文献4〜11を参酌しても、本願発明1が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、相違点1、3について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明並びに引用文献2〜11及び参考文献に記載の技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2〜16、19、20について
本願発明2〜16、19、20は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

3.本願発明17について
(1)対比
本願発明17と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 構成Eについて
構成aの「ヘッドマウントディスプレイ(HMD)装置」は、構成bより、利用者に完全な没入型体験を提供するものであるから、本願発明1における「没入型ヘッドセットデバイス」に相当する。
そして、構成d、fにおいては、フレーム106の組み立て工程、枠組み構造134に光学部品を組み付けるための例示的な工程、組み立てた枠組み構造134はフレーム106に収容されることと、といった「ヘッドマウントディスプレイ(HMD)装置」を構成する方法が示されているといえる。
したがって、引用発明は、「没入型ヘッドセットデバイスを構成する方法」である点で本願発明17と一致する。

イ 構成Fについて
構成c及びdより、引用発明の「フレーム106」には「メガネつる186」が取り付けられ、また、メガネつるが使用者に着用されるように適合されるものであることは技術常識である。
また、引用発明においては、引用発明の「フレーム106」に「メガネつる186」を取り付けて、HMDの部材として提供しているものであるということができる。
したがって、引用発明は、「使用者に着用されるように適合される本体部分を提供する」点で本願発明17と共通する。
しかしながら、本願発明17の「本体部分」は、使用者の頭に着用されるよう適合されるのに対し、引用発明においては、頭に着用される点が明示されていない点で相違する。

ウ 構成Gについて
(ア)構成fより、引用発明の「枠組み構造134」は「フレーム106」に取り付けられ、さらに、構成e及びfより、マイクロディスプレイを含むものである。

(イ)構成gより、引用発明の「マイクロディスプレイ116」は、例としてOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイであることから、本願発明の「少なくとも1つのOLEDディスプレイ」に相当する。
また、構成gより、引用発明の「マイクロディスプレイ116」は、0.2インチと1.0インチの間の対角長さを有することから、「0.5インチ〜1.5インチの範囲内の対角線寸法を含む」ものであるといえる。

(ウ)構成fより、「枠組み構造134に光学部品を組み付けるための例示的な工程」により作成された「枠組み構造134」を、HMDの部材として提供しているものであるということができる。

(エ)したがって、上記(ア)〜(ウ)より、引用発明においては、「前記本体部分に取り付けられるディスプレイ部分を提供するステップであって、前記ディスプレイ部分は、少なくとも1つのOLEDディスプレイを含み、前記少なくとも1つのOLEDディスプレイは、0.5インチ〜1.5インチの範囲内の対角線寸法を含」む点で、本願発明17と共通する。
しかしながら、本願発明17の「OLEDディスプレイ」は、少なくとも2k×2k画素のディスプレイ解像度を有するイメージを表示するように適合されるのに対し、引用発明においては、ディスプレイ解像度が特定されていない点で相違する。

エ 構成Hについて
引用発明においては、「前記ディスプレイ部分に動作可能に接続される電力およびディスプレイ信号電子機器の少なくとも1つを収容するための電子機器ソースモジュールを前記ディスプレイ部分に動作可能に接続するステップ」について明示されていない点で、本願発明17と相違する。

オ 一致点及び相違点
上記ア〜エより、本願発明17と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「没入型ヘッドセットデバイスを構成する方法であって、前記方法は、
使用者に着用されるように適合される本体部分を提供するステップと、
前記本体部分に取り付けられるディスプレイ部分を提供するステップであって、前記ディスプレイ部分は、少なくとも1つのOLEDディスプレイを含み、前記少なくとも1つのOLEDディスプレイは、0.5インチ〜1.5インチの範囲内の対角線寸法を含むステップと、
を含む、方法。」

【相違点】
(相違点1)本願発明17の「本体部分」は、使用者の頭に着用されるよう適合されるのに対し、引用発明においては、頭に着用される点が明示されていない点。

(相違点2)本願発明17の「OLEDディスプレイ」は、0.5インチ〜1.5インチの範囲内の対角線寸法を含み、少なくとも2k×2k画素のディスプレイ解像度を有するイメージを表示するように適合されるのに対し、引用発明においては、ディスプレイ解像度が特定されていない点。

(相違点3)本願発明17においては、「電力およびディスプレイ信号電子機器のうちの少なくとも1つを収容するための電子機器ソースモジュールを前記ディスプレイ部分に動作可能に接続するステップ」を含むのに対し、引用発明においては、このようなステップについて明示されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点2を先に検討すると、上記1.(2)と同じ理由により、相違点1、3について判断するまでもなく、本願発明17は、引用発明並びに引用文献2〜11及び参考文献に記載の技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4.本願発明18について
本願発明18は本願発明17の発明特定事項を全て含むから、本願発明18は、本願発明17と同じ理由により、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。


 
審決日 2021-11-26 
出願番号 P2017-222714
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 新井 寛
川崎 優
発明の名称 マイクロディスプレイベースの没入型ヘッドセット  
代理人 山本 健策  
代理人 石川 大輔  
代理人 山本 秀策  
代理人 森下 夏樹  
代理人 飯田 貴敏  

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