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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1380709
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-26 
確定日 2021-12-07 
事件の表示 特願2017−559334「マシンタイプ通信(MTC)のための物理アップリンクコントロールチャネル(PUCCH)構成」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月24日国際公開、WO2016/186886、平成30年 8月 9日国内公表、特表2018−522447、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2016年(平成28年)5月10日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2015年5月15日 アメリカ合衆国(US),2016年5月9日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年 4月12日 上申書及び手続補正書の提出
令和 2年 3月16日付け 拒絶理由通知書
令和 2年 6月24日 意見書及び手続補正書の提出
令和 2年11月30日付け 拒絶査定
令和 3年 1月26日 審判請求書及び手続補正書の提出
令和 3年 6月24日 上申書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年11月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


・請求項1,2,4,6ないし8,12に対して,引用文献等1,4及び5
・請求項3,9に対して,引用文献等1,2,4及び5
・請求項5,10,11に対して,引用文献等1,3ないし5

<引用文献等一覧>
1.Intel Corporation,On PUCCH and UCI transmission for MTC[online],3GPP TSG-RAN WG1#80b R1-151431,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_80b/Docs/R1-151431.zip>,2015年 4月20日
2.Samsung,Uplink control channel design[online],
3GPP TSG-RAN WG1#49 R1-072244,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_49/Docs/R1-072244.zip>,2007年 5月 7日
3.MediaTek Inc.,Discussion on PUCCH transmission for Rel-13 MTC[online],3GPP TSG-RAN WG1#80b R1-152115,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_80b/Docs/R1-152115.zip>,2015年 4月20日
4.Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Considerations for PUCCH and PHICH for LC-MTC[online],3GPP TSG-RAN WG1#80 R1-150129,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_80/Docs/R1-150129.zip>,2015年 2月 9日
5.NEC,Details of the UL Frequency hopping scheme for LTE Rel-13 MTC[online],3GPP TSG-RAN WG1#80b R1-152138,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_80b/Docs/R1-152138.zip>,2015年 4月20日

第3 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明(以下,「本願発明1」ないし「本願発明10」という。)は,令和3年1月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ワイヤレス通信のための方法において、
ダウンリンクリソースに基づいて、より広いシステム帯域幅内で1つまたは複数のアップリンク狭帯域領域を識別すること、ここにおいて、前記識別することは、割り当てられた周波数ホッピングパターンに従って異なるサブフレームにおけるアップリンク狭帯域領域を識別することを備え、前記周波数ホッピングパターンは、多数の連続するサブフレームに対して固定されている前記アップリンク狭帯域領域を生じ、前記ダウンリンクリソースに基づいて、前記1つまたは複数ののアップリンク狭帯域領域を識別することは、サイクリックシフトに基づく、前記ダウンリンクリソースのマッピングを用いて前記1つまたは複数のアップリンク狭帯域領域を識別することを備える、と、
前記識別されたアップリンク狭帯域領域の少なくとも1つを用いて通信することと、
を備える方法。
【請求項2】
前記アップリンク狭帯域領域は6つのリソースブロック(RBs)未満を備える、請求項1の方法。
【請求項3】
前記識別することはダウンリンクメッセージの第1のコントロールチャネルエレメント(CCE)のインデックスに基づく、請求項1の方法。
【請求項4】
前記ダウンリンクメッセージはマシンタイプ通信(MTC)物理ダウンリンクコントロールチャネル(MPDCCH)メッセージを備える、請求項3の方法。
【請求項5】
前記周波数ホッピングパターンは前記システム帯域幅のエッジで狭帯域領域をミラーリングすることを生じる、請求項1の方法。
【請求項6】
ダウンリンクリソースに基づいて、より広いシステム帯域幅内で1つまたは複数のアップリンク狭帯域領域を識別する手段、ここにおいて、前記識別する手段は、割り当てられた周波数ホッピングパターンに従って異なるサブフレームにおいてアップリンク狭帯域領域を識別する手段を備え、前記周波数ホッピングパターンは、多数の連続するサブフレームに対して固定されている前記アップリンク狭帯域領域を生じ、前記ダウンリンクリソースに基づいて、前記1つまたは複数ののアップリンク狭帯域領域を識別することは、サイクリックシフトに基づく、前記ダウンリンクリソースのマッピングを用いて前記1つまたは複数のアップリンク狭帯域領域を識別することを備える、と、
前記識別されたアップリンク狭帯域領域の少なくとも1つを用いて通信する手段と
を備える、ワイヤレス通信のための装置。
【請求項7】
前記アップリンク狭帯域領域は6つのリソースブロック(RBs)未満を備える、請求項6の装置。
【請求項8】
前記識別することは、ダウンリンクメッセージの第1のコントロールチャネルエレメント(CCE)のインデックスに基づく、請求項6の装置。
【請求項9】
前記ダウンリンクメッセージはマシンタイプ通信(MTC)物理ダウンリンクコントロールチャネル(PDCCH)メッセージを備える、請求項8の装置。
【請求項10】
1つまたは複数のプロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、請求項1乃至5の何れか1項に従う方法を実行させる命令を備えるコンピュータ可読媒体。」

第4 引用文献,引用発明及び技術的事項
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由で引用され、本願優先日前に公開された引用文献1(Intel Corporation,On PUCCH and UCI transmission for MTC(当審仮訳:MTCのPUCCH及びUCI送信について)[online],3GPP TSG-RAN WG1#80b R1-151431,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_80b/Docs/R1-151431.zip>,2015年4月20日)には,以下の記載がある。(なお,下線は当審で付与した。)

(1)「Additionally, at the RAN1 #79 meeting, RAN1 made the following agreement regarding LC MTC UEs with reduced bandwidth support [2]:
・Support narrow bandwidth operations of 6 RBs in both RF and baseband with possible retuning to another narrowband region (within the cell system bandwidth) for communications.」(第1頁第17行ないし第20行)
(当審仮訳:さらに,RAN1 #79の会議で,RAN1は,帯域幅のサポートが削減されたLC MTC UEsに関して次の合意を行った[2]:
・RFとベースバンドの両方で6RBの狭帯域幅の動作をサポートするものであり,通信のために別の狭帯域領域(セルシステム帯域幅内)に再調整する可能性がある。)

(2)「In this contribution, we share our views on support of PUCCH for MTC devices with reduced bandwidth and enhanced coverage in LTE systems. Additionally, some considerations related to UCI feedback with focus on CSI measurements and feedback are presented as well.」(第1頁下から12行目ないし下から10行目)
(当審仮訳:この寄稿では,LTEシステムにおいて帯域幅が削減されカバレッジが強化されたMTCデバイスでのPUCCHのサポートに関する見解を共有する。さらに,CSI測定とフィードバックに焦点を当てたUCIフィードバックに関連するいくつかの考慮事項も提示される。)

(3)「Regarding the uplink control and data channel design for MTC UEs with reduced bandwidth, MTC PUCCH can be located at the edge of allocated MTC uplink resource. It can be realized by either explicit resource allocation or by UE-specific N(1)PUCCH.・・・(中略)・・・
Alternatively, resources can also be reserved for MTC PUCCH transmissions near the legacy PUCCH resources, thereby avoiding any bandwidth fragmentation for legacy PUSCH scheduling. Depending on the RAN4 feedback on retuning feasibility, in the case when retuning time is less than CP duration, the MTC and legacy PUCCH regions can be shared and the same PUCCH structure as in legacy systems can be followed. If fast retuning is not feasible, then one option could be to define MTC PUCCH resources separate from, but close to, the legacy PUCCH resources and the frequency hopping design can be modified accordingly. For instance, inter-slot frequency hopping may be disabled [5].」(第1頁下から8行目ないし第2頁第2行)
(当審仮訳:帯域幅が削減されたMTC UEsのアップリンク制御とデータチャネル設計に関して,MTC PUCCHは割り当てられたMTCアップリンクリソースのエッジに配置できる。それは,明示的なリソース割り当てまたはUE固有のN(1)PUCCHのいずれかによって実現できる。・・・(中略)・・・あるいは,リソースをレガシーPUCCHリソースの近くにMTC PUCCH送信のために予約することもでき,これによりレガシーPUSCHスケジューリングの帯域幅のフラグメンテーションを回避できる。再調整の実現可能性に関するRAN4フィードバックに応じて,再調整時間がCP期間より短い場合,MTCおよびレガシーPUCCH領域は共有されることができ,レガシーシステムと同じPUCCH構造に従うことができる。高速再調整が不可能な場合,1つのオプションは,レガシーPUCCHリソースとは別に,ただしそれの近くに,MTC PUCCHリソースを定義することであり,それに応じて周波数ホッピング設計を変更できる。たとえば、スロット間周波数ホッピングが無効になっている場合がある[5]。)

(4)「Further, PUCCH resource allocation for ACK/NACK can be performed either in an implicit or an explicit manner. Similar to the existing LTE specification, the allocated PUCCH resource for repetition can be determined by the lowest (E)CCE index for scheduling (E)PDCCH. Note that this may result in a collision on PUCCH transmissions in the same subframes between MTC UEs in normal and enhanced coverage modes.」(第2頁第15行ないし第18行)
(当審仮訳:さらに、ACK/NACKのためのPUCCHリソース割り当ては,暗黙的または明示的な方法で実行できる。既存のLTE仕様と同様に,繰り返し割り当てられるPUCCHリソースは,スケジューリング(E)PDCCHの最低(E)CCEインデックスによって決定できる。これにより,通常のカバレッジモードと拡張カバレッジモードのMTC UEs間で同じサブフレーム内のPUCCH送信で衝突が発生する可能性があることに注意されたい。)

引用文献1の上記記載,及び通信分野における技術常識を考慮すると,次のことがいえる。

ア 上記「(4)」の「既存のLTE仕様と同様に,繰り返し割り当てられるPUCCHリソースは,スケジューリング(E)PDCCHの最低(E)CCEインデックスによって決定できる。」との記載によれば,割り当てられるPUCCHリソースは,スケジューリング(E)PDCCHの最低(E)CCEインデックスによって決定できるといえる。
そして,上記「(1)」の「帯域幅のサポートが削減されたLC MTC UEsに関して・・・(中略)・・・6RBの狭帯域幅の動作をサポートするものであり,通信のために別の狭帯域領域(セルシステム帯域幅内)に再調整する」との記載において,「LC MTC UEs」とは“Low Complexity MTC UE”又は“Low Cost MTC UE”を表すものであり,MTC UEの一種であることが技術常識であることを考慮すれば,割り当てられるPUCCHリソースは,6RBの狭帯域幅の動作がサポートされるMTC UEによって,通信のために狭帯域領域(セルシステム帯域幅内)に再調整されるものであるといえる。
さらに,上記「(4)」の「既存のLTE仕様と同様に,繰り返し割り当てられるPUCCHリソースは,スケジューリング(E)PDCCHの最低(E)CCEインデックスによって決定できる。」との記載,及び上記「(3)」の「リソースをレガシーPUCCHリソースの近くにMTC PUCCH送信のために予約することもでき」との記載,並びに,「割り当て」ることと「予約」することが同義であることが技術常識であることを踏まえると,割り当てられるPUCCHリソースは,レガシーPUCCHリソースの近くのリソースにMTC PUCCH送信のために割り当てられるものといえる。
してみれば,割り当てられるPUCCHリソースは,スケジューリング(E)PDCCHの最低(E)CCEインデックスによって決定できるものであり,6RBの狭帯域幅の動作がサポートされるMTC UEによって,通信のために狭帯域領域(セルシステム帯域幅内)に再調整されるものであり,レガシーPUCCHリソースの近くのリソースにMTC PUCCH送信のために割り当てられるものであるといえる。

イ 上記「(4)」の「これにより,通常のカバレッジモードと拡張カバレッジモードのMTC UEs間で同じサブフレーム内のPUCCH送信で衝突が発生する可能性がある」との記載によれば,「PUCCH送信」が「MTC UEs」によって行われることが明らかであり,また,当該記載及び上記「(3)」の「リソースをレガシーPUCCHリソースの近くにMTC PUCCH送信のために予約することもでき」との記載によれば,「MTC UEs」により行われる「PUCCH送信」を,「MTC PUCCH送信」と言い換えることができることも明らかである。してみれば,MTC UEは,MTC PUCCH送信を行うものといえる。

ウ 上記「(2)」の「LTEシステムにおいて帯域幅が削減されカバレッジが強化されたMTCデバイス」との記載,及び上記「(3)」の「帯域幅が削減されたMTC UEsのアップリンク制御とデータチャネル設計に関して」との記載,また「MTC UEs」が「MTCデバイス」の一種であることが技術常識であることを考慮すれば,引用文献1には,LTEシステムにおいて帯域幅が削減されたMTC UEが記載されているといえる。

したがって,上記「ア」ないし「ウ」を総合すると,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という)が記載されていると認められる。

「割り当てられるPUCCHリソースは,スケジューリング(E)PDCCHの最低(E)CCEインデックスによって決定できるものであり,6RBの狭帯域幅の動作がサポートされるMTC UEによって,通信のために狭帯域領域(セルシステム帯域幅内)に再調整されるものであり,レガシーPUCCHリソースの近くのリソースにMTC PUCCH送信のために割り当てられるものであり,
MTC PUCCH送信を行うものである,
LTEシステムにおいて帯域幅が削減されたMTC UE。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由で引用され,本願優先日前に公開された引用文献2(Samsung,Uplink control channel design(当審仮訳:アップリンク制御チャネル設計)[online],3GPP TSG-RAN WG1#49 R1-072244,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_49/Docs/R1-072244.zip>,2007年5月7日)には,以下の事項が記載されている。(なお,下線は当審で付与した。)

「A single structure, ZC cyclic shift based multiplexing, for mapping PUCCH symbols to the UL physical resources is assumed. In the RAN1#48bis meeting, it was decided that ACK/NACK signals from different UEs are multiplexed by assigning different cyclic shift and/or different time domain orthogonal cover. PUCCHs carrying CQI only and CQI+ACK/NACK are multiplexed with other PUCCHs by assigning a different ZC cyclic shift in an RB, as seen in [1].」(第1頁下から10行目ないし下から7行目)
(当審仮訳:PUCCHシンボルをUL物理リソースにマッピングするための単一構造のZCサイクリックシフトベースの多重化が想定されている。RAN1#48bis会議では,異なるUEsからのACK/NACK信号は,異なるサイクリックシフトおよび/または異なる時間領域の直交カバーを割り当てることによって多重化されることが決定された。[1]に示すように,CQIのみとCQI+ACK/NACKを伝送するPUCCHsは,RBに異なるZCサイクリックシフトを割り当てることにより,他のPUCCHsと多重化される。)

上記記載によれば,引用文献2には,次の技術的事項が記載されていると認められる。

「PUCCHシンボルをUL物理リソースにマッピングするためのZCサイクリックシフトベースの多重化であって,異なるUEsからのACK/NACK信号は,異なるサイクリックシフトを割り当てることによって多重化されるものであり,PUCCHsは,RBに異なるZCサイクリックシフトを割り当てることにより,他のPUCCHsと多重化される。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由で引用され,本願優先日前に公開された引用文献3(MediaTek Inc.,Discussion on PUCCH transmission for Rel-13 MTC(当審仮訳:Rel-13 MTCのPUCCH送信についての議論)[online],3GPP TSG-RAN WG1#80b R1-152115,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_80b/Docs/R1-152115.zip>,2015年4月20日)には,以下の事項が記載されている。(なお,下線は当審で付与した。)

(1)「However, the control channel overhead could be too much, i.e., at least 2 out of 6 PRB pairs (33%) are occupied for PUCCH transmission within the MTC sub-band.」(第1頁下から8行目ないし下から7行目)
(当審仮訳:しかし,制御チャネルのオーバーヘッドが大きすぎる可能性があり,すなわち,6つのPRBペアのうち少なくとも2つ (33%) がMTCサブバンド内のPUCCH送信に使用される。)


(2)「Legacy PUCCH resource allocation based on CCE/ECCE index can be reused for Rel-13 MTC UEs under normal coverage if the relative timing between PUCCH and corresponding mPDCCH is fixed.」(第3頁第14行ないし第16行)
(当審仮訳:CCE/ECCEインデックスに基づくレガシーPUCCHリソース割り当ては,PUCCHと対応するmPDCCHの間の相対的なタイミングが固定されている場合,通常のカバレッジの下でRel-13 MTC UEsに再利用できる。)

上記「(1)」及び「(2)」の記載によれば,引用文献3には,次の技術的事項が記載されていると認められる。

「6つのPRBペアのうち少なくとも2つがMTCサブバンド内のPUCCH送信に使用されるものであり,CCE/ECCEインデックスに基づくレガシーPUCCHリソース割り当ては,PUCCHと対応するmPDCCHの間の相対的なタイミングが固定されている場合,通常のカバレッジの下でRel-13 MTC UEsに再利用できる。」

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由で引用され,本願優先日前に公開された引用文献4(Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Considerations for PUCCH and PHICH for LC-MTC(当審仮訳:LC-MTCのPUCCHとPHICHについての考察)[online],3GPP TSG-RAN WG1#80 R1-150129,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_80/Docs/R1-150129.zip>,2015年2月9日)には,以下の事項が記載されている。(なお,下線は当審で付与した。)

「For LC-MTC, one possibility is to define two PUCCH regions that are sufficiently separated in frequency similar to current system but without any inter-slot frequency hopping as shown in Figure 2.」(第2頁第1行及び第2行)
(当審仮訳:LC-MTCの場合,1つの可能性は,図2に示すように,現在のシステムと同様に周波数が十分に分離されているが,スロット間周波数ホッピングがない2つのPUCCH領域を定義することである。)

上記記載によれば,引用文献4には,次の技術的事項が記載されていると認められる。

「LC-MTCの場合,現在のシステムと同様に周波数が十分に分離されているが,スロット間周波数ホッピングがない2つのPUCCH領域を定義する。」

5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由で引用され,本願優先日前に公開された引用文献5(NEC,Details of the UL Frequency hopping scheme for LTE Rel-13 MTC(当審仮訳:LTE Rel-13 MTCのUL周波数ホッピングスキームの詳細)[online],3GPP TSG-RAN WG1#80b R1-152138,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_80b/Docs/R1-152138.zip>,2015年4月20日)には,以下の事項が記載されている。(なお,下線は当審で付与した。)

「In addition, in order to enable cross-subframe channel estimation, the MTC frequency hopping can be realised on every Y consecutive subframes in which corresponding lower and upper resources are swapped to provide some kind of frequency diversity for MTC PUSCH and possibly for PUCCH transmission.」(第2頁第2行ないし第5行)
(当審仮訳:さらに,サブフレーム間チャネル推定を可能にするために,MTC周波数ホッピングをY個の連続するサブフレームごとに実現でき,このサブフレームでは対応する下位リソースと上位リソースが交換され,MTC PUSCH及び場合によってはPUCCH送信にある種の周波数ダイバーシティを提供する。)

上記記載によれば,引用文献5には,次の技術的事項が記載されていると認められる。

「MTC周波数ホッピングをY個の連続するサブフレームごとに実現でき,このサブフレームでは対応する下位リソースと上位リソースが交換される。」

第5 対比及び判断
1 本願発明6について
(1)対比
本願発明6と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。

ア 引用発明の「スケジューリング(E)PDCCHの最低(E)CCEインデックス」について,(E)PDCCHがダウンリンクに用いられるチャネルであることは技術常識であり,かつ,「スケジューリング(E)PDCCHの最低(E)CCEインデックス」により示されるCCEが「スケジューリング(E)PDCCH」におけるリソースであることも明らかである。よって,引用発明の「スケジューリング(E)PDCCHの最低(E)CCEインデックス」により示されるCCEは,本願発明6の「ダウンリンクリソース」に含まれる。
また,引用発明の「割り当てられるPUCCHリソース」は「6RBの狭帯域幅の動作がサポートされるMTC UEによって,通信のために狭帯域領域(セルシステム帯域幅内)に再調整されるものであり,レガシーPUCCHリソースの近くのリソースにMTC PUCCH送信のために割り当てられるもの」であることについて,「セルシステム帯域幅」は,本願発明6の「システム帯域幅」に含まれる。そして,引用発明の「レガシーPUCCHリソース」も「セルシステム帯域幅内」にあることは明らかであり,かつ,狭帯域領域がより広いシステム帯域幅内に配置されることが技術常識であることも鑑みれば,引用発明の「狭帯域領域(セルシステム帯域幅内)」は,「狭帯域領域」より広いセルシステム帯域幅内にあるといえる。ここで,引用発明の「割り当てられるPUCCHリソース」について,PUCCHがアップリンクに用いられるチャネルであることは技術常識であって,かつ,「割り当てられるPUCCHリソース」は「狭帯域領域(セルシステム帯域幅内)」に再調整される(すなわち,割り当てられる)ものであるから,引用発明の「割り当てられるPUCCHリソース」は,本願発明6の「1つまたは複数のアップリンク狭帯域領域」に含まれる。
さらに,「スケジューリング(E)PDCCHの最低(E)CCEインデックスによって決定できるもの」であることは,「スケジューリング(E)PDCCHの最低(E)CCEインデックス」により示されるCCEに基づいて決定するものと言い換えることができる。ここで,割り当てられるPUCCHリソースを決定する際に,割り当てられるのがいずれのリソースであるかを識別する必要があることは明らかである。そして,引用発明の「MTC UE」が,この識別するための手段を備えることも明らかである。
してみれば,本願発明6の「ダウンリンクリソースに基づいて、より広いシステム帯域幅内で1つまたは複数のアップリンク狭帯域領域を識別する手段」と,引用発明の「割り当てられるPUCCHリソースは,スケジューリング(E)PDCCHの最低(E)CCEインデックスによって決定できるものであり,6RBの狭帯域幅の動作がサポートされるMTC UEによって,通信のために狭帯域領域(セルシステム帯域幅内)に再調整されるものであり,レガシーPUCCHリソースの近くのリソースにMTC PUCCH送信のために割り当てられるもの」であることとは,ダウンリンクリソースに基づいて,より広いシステム帯域幅内で1つまたは複数のアップリンク狭帯域領域を識別する手段である点で共通する。

イ 引用発明の「MTC PUCCH送信を行う」ことは,「MTC PUCCH送信のために割り当てられ」る「リソース」,すなわち「割り当てられるPUCCHリソース」を用いて行われるものである。そして,送信が通信に含まれることは技術常識であるから,引用発明の「MTC PUCCH送信を行う」ことは,本願発明6の「前記識別されたアップリンク狭帯域領域の少なくとも1つを用いて通信する」ことに含まれる。また,引用発明の「MTC UE」が「MTC PUCCH送信を行う」ための手段を備えることは明らかである。
してみれば,引用発明の「MTC PUCCH送信を行うものである」ことは,本願発明6の「前記識別されたアップリンク狭帯域領域の少なくとも1つを用いて通信する手段」に相当する。

ウ 引用発明の「MTC UE」は,「LTEシステムにおいて帯域幅が削減された」ものである。そして,LTEシステムがワイヤレス通信システムの一種であることは技術常識であり,UEが装置であることは明らかであるから,引用発明の「MTC UE」は,本願発明6の「ワイヤレス通信のための装置」に含まれる。

したがって,上記「ア」ないし「ウ」を総合すれば,本願発明6と引用発明は,以下の点で一致し,また相違する。

<一致点>
「ダウンリンクリソースに基づいて、より広いシステム帯域幅内で1つまたは複数のアップリンク狭帯域領域を識別する手段と、
前記識別されたアップリンク狭帯域領域の少なくとも1つを用いて通信する手段と
を備える、ワイヤレス通信のための装置。」

<相違点>
「識別する手段」に関して,本願発明6が,「割り当てられた周波数ホッピングパターンに従って異なるサブフレームにおいてアップリンク狭帯域領域を識別する手段を備え、前記周波数ホッピングパターンは、多数の連続するサブフレームに対して固定されている前記アップリンク狭帯域領域を生じ、前記ダウンリンクリソースに基づいて、前記1つまたは複数ののアップリンク狭帯域領域を識別することは、サイクリックシフトに基づく、前記ダウンリンクリソースのマッピングを用いて前記1つまたは複数のアップリンク狭帯域領域を識別することを備える」ものであるのに対して,引用発明においては当該発明特定事項について特定されていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
上記相違点に係る「割り当てられた周波数ホッピングパターンに従って異なるサブフレームにおいてアップリンク狭帯域領域を識別する手段を備え、前記周波数ホッピングパターンは、多数の連続するサブフレームに対して固定されている前記アップリンク狭帯域領域を生じ、前記ダウンリンクリソースに基づいて、前記1つまたは複数ののアップリンク狭帯域領域を識別することは、サイクリックシフトに基づく、前記ダウンリンクリソースのマッピングを用いて前記1つまたは複数のアップリンク狭帯域領域を識別することを備える」という発明特定事項は,引用文献2,引用文献4及び引用文献5には記載も示唆もされておらず,また通信分野における周知技術であるともいえない。
よって,引用発明において,上記相違点に係る構成とすることは,当業者といえども,容易に想到し得たとはいえない。
したがって,本願発明6は,当業者であっても,引用発明並びに引用文献2,引用文献4及び引用文献5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明1ないし5,7ないし10について
本願発明1は,本願発明6とカテゴリーが異なる発明であって,本願発明6の発明特定事項に対応する発明特定事項を全て備えるものであるから,本願発明6と同様の理由により,当業者であっても引用発明並びに引用文献2,引用文献4及び引用文献5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
また,本願発明2,3及び5は,本願発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明並びに引用文献2,引用文献4及び引用文献5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
また,本願発明4は,本願発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明並びに引用文献2ないし引用文献5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
さらに,本願発明7は,本願発明6の発明特定事項を全て備えるものであるから,本願発明6と同じ理由により,当業者であっても引用発明並びに引用文献2,引用文献4及び引用文献5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
また,本願発明8及び9は,本願発明6の発明特定事項を全て備えるものであるから,本願発明6と同じ理由により,当業者であっても引用発明並びに引用文献2ないし引用文献5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
また,本願発明10は,「1つまたは複数のプロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、請求項1乃至5の何れか1項に従う方法を実行させる命令を備えるコンピュータ可読媒体」であるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明並びに引用文献2,引用文献4及び引用文献5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定についての判断
令和3年1月26日にされた手続補正により,本願発明1ないし10は,いずれも,少なくとも「割り当てられた周波数ホッピングパターンに従って異なるサブフレームにおいてアップリンク狭帯域領域を識別する手段を備え、前記周波数ホッピングパターンは、多数の連続するサブフレームに対して固定されている前記アップリンク狭帯域領域を生じ、前記ダウンリンクリソースに基づいて、前記1つまたは複数ののアップリンク狭帯域領域を識別することは、サイクリックシフトに基づく、前記ダウンリンクリソースのマッピングを用いて前記1つまたは複数のアップリンク狭帯域領域を識別することを備える」という発明特定事項,又は当該発明特定事項に対応する発明特定事項を備えるものとなっている。してみれば,上記「第5」の「1」及び「2」で説示したとおり,当業者であっても,本願発明1ないし3,5ないし7,10は,引用発明並びに引用文献2,引用文献4及び引用文献5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえず,また,本願発明4,8及び9は,引用発明並びに引用文献2ないし引用文献5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるともいえない。
したがって,原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-11-18 
出願番号 P2017-559334
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 廣川 浩
特許庁審判官 森田 充功
中木 努
発明の名称 マシンタイプ通信(MTC)のための物理アップリンクコントロールチャネル(PUCCH)構成  
代理人 井関 守三  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 岡田 貴志  
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