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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04L |
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管理番号 | 1380829 |
総通号数 | 1 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-04-02 |
確定日 | 2022-01-04 |
事件の表示 | 特願2019−176542「配信システム、配信方法とプログラム、携帯端末、ゲートウェイ、配信サーバ」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月 8日出願公開、特開2021− 57657、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和元年9月27日の出願であって、令和2年8月21日付けで拒絶理由が通知され、令和2年10月12日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、令和2年12月22日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和3年4月2日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和2年12月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1−10に係る発明は、以下の引用文献1−3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.国際公開第2018/190219号 2.特開2005−235112号公報 3.特開2005−99910号公報 第3 本願発明 本願請求項1−5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明5」という。)は、令和3年4月2日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−5に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 キッティング対象のゲートウェイと、 前記ゲートウェイのゲートウェイ識別情報と紐付けされたキッティングデータを前記ゲートウェイに配信する配信サーバと、を備える配信システムであって、 前記ゲートウェイの通信手段からブロードキャストされた前記通信手段のMACアドレスを取得し、取得した前記MACアドレスを前記ゲートウェイ識別情報として前記配信サーバに送信する携帯端末を、更に備え、 前記配信サーバは、前記携帯端末から送信された前記ゲートウェイ識別情報を、前記キッティングデータと紐付ける、 配信システム。」 なお、本願発明2−5の概要は以下のとおりである。 本願発明2−3は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明4は、本願発明1に対応する方法の発明である。 本願発明5は、本願発明1に対応するプログラムの発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1及び引用発明 (1) 引用文献1 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。 ア 段落[0041] 「[0041] 図1は、本発明の一実施形態に係るIoTゲートウェイ機器のアクティベーションシステムにおける機器等の構成概要を示す。アクティベーションシステムは、アクティベーション処理サーバ10と、センサやカメラ等のIoTデバイス(すなわち、データ収集場所)の近くで前処理等を行う機器であるIoTゲートウェイ機器20と、IoTゲートウェイ機器設置・管理担当者(IoTサービス利用者)が利用する携帯端末等のIoTサービス利用者端末30(以下、単に端末30ともいう。)とを少なくとも備える。さらに、アクティベーションシステムは、IoTデータの送信先であるIoTデータ送信先サーバ40と、IoTサービス事業者が利用する端末又は自動化されたソフトウェアが実行されるコンピュータであるIoTシステム管理者端末50を備えることができる。」 イ 段落[0047] 「[0047] 本発明の一実施形態に係るアクティベーションシステムでは、IoTゲートウェイ機器20がIoTデータ送信先サーバ40にネットワーク接続された状態にする処理を、アクティベーション(あるいは、アクティベーション処理)と呼ぶ。つまり、アクティベーションが成功すると、IoTゲートウェイ機器20は、IoTデータ送信先サーバ40とのネットワーク接続を確立することができる。」 ウ 段落[0053] 「[0053] 図2は、図1に示したアクティベーションシステムにおける機器間で送受信されるデータ等の情報の関係を示す概念図である。図2中の矢印D0からD7は、本発明のアクティベーションシステムにおける一般的なアクティベーション処理のデータの流れ(データフロー)の一例を表す。データフローD0として、IoTシステム管理者端末50は、端末30がアクティベーション処理サーバ10に接続される前に(すなわち、事前に)、IoTゲートウェイ機器20のアクティベーションを行うために、サーバ側アクティベーションID、IoTゲートウェイ機器20のデバイスIDに対応する登録デバイスID、アクティベーション許可期間、サーバ側期間変更キー、接続設定情報、及び初期化処理スクリプト等の必要な情報をアクティベーション処理サーバ10に送信することができる。これらの情報の詳細及び役割等は後述する。」 エ 段落[0055] 「[0055] データフローD1では、IoTシステム管理者端末50は、アクティベーション用ハイパーリンクを端末30に送信する。アクティベーション用ハイパーリンクは、電子的に送信する代わりに、文字列、バーコード又は二次元コード等が印刷された紙を、端末30を使用するIoTサービス利用者に郵送等で送付することもできる。セキュリティを強化することに応じて、アクティベーション用ハイパーリンクを送る方法を選択することができる。」 オ 段落[0057]−[0059] 「[0057] IoTゲートウェイ機器20は、初期接続先URL及びデバイスIDを少なくとも記憶している。IoTサービス利用者等によってIoTゲートウェイ機器20の電源が投入された後、データフローD2として、IoTゲートウェイ機器20は、初期接続先URLに対応するアクティベーション処理サーバ10に、当該機器のデバイスIDを送信することができる。端末30は、データフローD3として、IoTサービス利用者からアクティベーション用ハイパーリンクへのアクセスを入力として受け付けて、当該ハイパーリンクに含まれた端末側アクティベーションIDを、アクティベーション処理サーバ10に送信することができる。また、端末30は、IoTサービス利用者の入力を受けて、アクティベーション許可期間を変更するための期間変更キーをアクティベーション処理サーバ10に送信することができる。 [0058] アクティベーション処理サーバ10は、サーバ側アクティベーションID、登録デバイスID、アクティベーション許可期間、接続設定情報及び初期化処理スクリプトを少なくとも関連付けて記憶している。アクティベーション処理サーバ10は、端末30から受信した端末側アクティベーションIDが、サーバ側アクティベーションIDと一致し、かつ、端末側アクティベーションIDを受信した時間がアクティベーション許可期間内である場合に、データフローD4として、接続設定情報及び初期化処理スクリプトをIoTゲートウェイ機器20に送信することができる。ただし、接続設定情報及び初期化処理スクリプトの送信は、登録デバイスIDに対応するIoTゲートウェイ機器20のデバイスIDを受信している場合(言い換えると、登録デバイスIDに対応するIoTゲートウェイ機器20の電源が投入されている場合)に実行することができる。 [0059] アクティベーション処理サーバ10は、登録デバイスIDに対応するIoTゲートウェイ機器20のデバイスIDを受信していない場合(言い換えると、登録デバイスIDに対応するIoTゲートウェイ機器20の電源が投入されてない場合)、データフローD6として、端末30にIoTゲートウェイ機器20の電源を投入することを促す通知を送信することができる。例えば、アクティベーション処理サーバ10は、アクティベーション対象のIoTゲートウェイ機器の電源ボタンを押してください等のメッセージを端末30に送信し、メッセージをIoTサービス利用者に確認させることで、IoTサービス利用者がアクティベーション対象であるIoTゲートウェイ機器20の電源ボタンを押すように促すことができる。」 カ 段落[0062]−[0064] 「[0062] IoTゲートウェイ機器20は、アクティベーション処理サーバ10から接続設定情報及び初期化処理スクリプトを受信した場合に、初期化処理スクリプトを実行して、接続設定情報に基づいてIoTデータ送信先サーバ40へのネットワーク接続を確立することができる。具体的には、接続設定情報は、少なくともデータ送信先URLと認証情報を含み、データフローD5として、IoTゲートウェイ機器20は、データ送信先URLを用いてネットワークを介してIoTデータ送信先サーバ40に接続し、デバイスID及び認証情報をIoTデータ送信先サーバ40に送信することができる。 [0063] IoTデータ送信先サーバ40は、IoTシステム管理者等によって、登録デバイスID及びサーバ側認証情報を少なくとも関連付けて記憶している。IoTデータ送信先サーバ40では、IoTゲートウェイ機器20から受信したデバイスID及び認証情報が、IoTデータ送信先サーバ40に記憶された登録デバイスID及びサーバ側認証情報にそれぞれ一致する場合に、IoTゲートウェイ機器20とIoTデータ送信先サーバ40間のネットワーク接続を維持することができる。 [0064] この場合、IoTゲートウェイ機器20は、IoTデータ送信先サーバ40にネットワーク接続された状態、つまり、アクティベーションが成功した状態となる。IoTデータ送信先サーバ40は、データフローD7として、IoTデータ送信先サーバとの認証が成功した旨の通知を、IoTゲートウェイ機器20に送信することができる。IoTゲートウェイ機器20から受信したデバイスID及び認証情報が、IoTデータ送信先サーバ40に記憶された登録デバイスID及びサーバ側認証情報にそれぞれ一致しない場合には、当該ネットワーク接続を切断することができる。この場合、IoTデータ送信先サーバ40は、データフローD7として、IoTデータ送信先サーバとの認証が失敗した旨の通知を、IoTゲートウェイ機器20に送信することができる。」 キ [図2] 「 」 (2) 引用発明 よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。 「IoTゲートウェイ機器のアクティベーションシステムは、 アクティベーション処理サーバ10と、 センサやカメラ等のIoTデバイスの近くで前処理等を行う機器であるIoTゲートウェイ機器20と、 IoTゲートウェイ機器設置・管理担当者(IoTサービス利用者)が利用する携帯端末等のIoTサービス利用者端末30(以下、単に端末30ともいう。)とを少なくとも備え、 さらに、IoTサービス事業者が利用する端末又は自動化されたソフトウェアが実行されるコンピュータであるIoTシステム管理者端末50を備え、 IoTゲートウェイ機器20がIoTデータ送信先サーバ40にネットワーク接続された状態にする処理を、アクティベーション(あるいは、アクティベーション処理)と呼び、 データフローD0として、IoTシステム管理者端末50は、端末30がアクティベーション処理サーバ10に接続される前に(すなわち、事前に)、IoTゲートウェイ機器20のアクティベーションを行うために、サーバ側アクティベーションID、IoTゲートウェイ機器20のデバイスIDに対応する登録デバイスID、接続設定情報、及び初期化処理スクリプト等の必要な情報をアクティベーション処理サーバ10に送信し、 データフローD1では、IoTシステム管理者端末50は、アクティベーション用ハイパーリンクを端末30に送信し、 IoTゲートウェイ機器20は、初期接続先URL及びデバイスIDを少なくとも記憶しており、IoTサービス利用者等によってIoTゲートウェイ機器20の電源が投入された後、データフローD2として、IoTゲートウェイ機器20は、初期接続先URLに対応するアクティベーション処理サーバ10に、当該機器のデバイスIDを送信し、 端末30は、データフローD3として、IoTサービス利用者からアクティベーション用ハイパーリンクへのアクセスを入力として受け付けて、当該ハイパーリンクに含まれた端末側アクティベーションIDを、アクティベーション処理サーバ10に送信し、 アクティベーション処理サーバ10は、サーバ側アクティベーションID、登録デバイスID、アクティベーション許可期間、接続設定情報及び初期化処理スクリプトを少なくとも関連付けて記憶しており、アクティベーション処理サーバ10は、端末30から受信した端末側アクティベーションIDが、サーバ側アクティベーションIDと一致し、かつ、端末側アクティベーションIDを受信した時間がアクティベーション許可期間内である場合に、データフローD4として、接続設定情報及び初期化処理スクリプトをIoTゲートウェイ機器20に送信し、ただし、接続設定情報及び初期化処理スクリプトの送信は、登録デバイスIDに対応するIoTゲートウェイ機器20のデバイスIDを受信している場合(言い換えると、登録デバイスIDに対応するIoTゲートウェイ機器20の電源が投入されている場合)に実行することができ、 登録デバイスIDに対応するIoTゲートウェイ機器20の電源が投入されてない場合、データフローD6として、端末30にIoTゲートウェイ機器20の電源を投入することを促す通知を送信し、 IoTゲートウェイ機器20は、アクティベーション処理サーバ10から接続設定情報及び初期化処理スクリプトを受信した場合に、初期化処理スクリプトを実行して、接続設定情報に基づいてIoTデータ送信先サーバ40へのネットワーク接続を確立することができ、具体的には、接続設定情報は、少なくともデータ送信先URLと認証情報を含み、 データフローD5として、IoTゲートウェイ機器20は、データ送信先URLを用いてネットワークを介してIoTデータ送信先サーバ40に接続し、デバイスID及び認証情報をIoTデータ送信先サーバ40に送信し、 IoTデータ送信先サーバ40は、データフローD7として、IoTデータ送信先サーバとの認証が成功した旨の通知を、IoTゲートウェイ機器20に送信する、 IoTゲートウェイ機器のアクティベーションシステム。」 2 引用文献2 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている。 「【発明を実施するための最良の形態】 【0025】 図1は本発明のファームウェア・アップグレード課金方法を実施するための最良の形態について示した機能ブロック図であり、ファームウェア・アップグレード課金システム1は、全体として、ファームウェアを配信するデータセンター2に配備された記憶装置3とホストコンピュータ4、および、パーソナルコンピュータ等からなるユーザの端末5と、ユーザの端末5をインターネット6に接続するルータ7によって構成される。 【0026】 この実施の形態では、インターネット6との間で情報の入出力を行うウェブサーバ4aと記憶装置3を管理するデータベースサーバ4bとによってホストコンピュータ4を構成しているが、処理能力さえ十分であれば単一のコンピュータによってホストコンピュータ4を構成してもよい。また、端末5やルータ7に関しては個数の制限はない。 【0027】 図2は各ルータ7に固有の識別情報と,ユーザに固有のユーザ情報と,料金徴収済のファームウェアとの対応関係を記憶するためのデータベース3aの構造を概念的に示した模式図であり、このデータベース3aは、データセンター2の記憶装置3内に保存されている。 【0028】 この実施の形態では、ルータ7に固有の識別情報として、各ルータ7のメディア・アクセス・コントロール・アドレス(MACアドレス)を採用しており、ネットワーク上のハードウェア・アドレスであるMACアドレスを利用することにより、ルータ識別情報の重複が確実に防止され、ルータ識別情報とルータとの対応関係が一義的に特定されている。 【0029】 無論、単一のメーカーで生産されるルータ7のみをファームウェアのアップグレード対象とするような状況下においては、重複といった問題のないシリアル・ナンバー等をルータ7に固有のルータ識別情報として利用することも可能である。 【0030】 また、ユーザに固有のユーザ情報としては、ユーザの住所,氏名等が利用されるが、この他にも、任意の情報を含めることが可能である。 【0031】 料金徴収済のファームウェアは、ファームウェア名とバージョン情報とからなるファームウェア特定情報をルータ識別情報やユーザ情報に対応させてデータベース3aに登録することにより、料金徴収済のファームウェアとしてデータベース3aに記憶されるようになっている。 【0032】 ルータ識別情報とユーザ情報との対応関係は一対一となるが、これに対応するファームウェア名およびバージョン情報は、1組のルータ識別情報やユーザ情報に対して複数個記憶することが可能である。 【0033】 データベース3aのルータ識別情報,ユーザ情報,ファームウェア名,バージョン情報の欄は初期状態で空欄とされている。 【0034】 このうち、ルータ識別情報およびユーザ情報の欄には、ルータ7を使用する各ユーザが各々の端末5を使用してインターネット6に接続し、端末5の操作によってルータ識別情報とユーザ情報をデータセンター2のウェブサーバ4aに送信した時点で、データセンター2のデータベースサーバ4bによって各ユーザのルータ識別情報およびユーザ情報が登録番号に従って順に登録される。 【0035】 具体的には、ルータ識別情報であるMACアドレスは端末5によってルータ7から読み込まれ、また、ユーザ情報となる住所,氏名等は端末5のキーボード等を利用したユーザの設定操作によって生成され、これらのデータが一対となって端末5からインターネット6経由でデータセンター2のウェブサーバ4aに送信される。」 3 引用文献3 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている。 「【0077】 なお、上述の実施形態をとる場合、格納場所を変更する代わりに、分割方法を変更することも可能であり、格納場所と分割方法の双方を変更することも可能である。また、格納場所や分割方法の全部を変更する必要はなく、一部分のみを変更するようなことも可能である。たとえば、図2に示す例において、分割ファイルD1,D2は常に格納場所320,340に格納しておくようにし、分割ファイルD3についてのみ、ダウンロードされるたびに新たな格納場所へ格納しなおすようにすれば、より効率的な運用が可能になる。ここで述べた実施形態は、デジタルコンテンツのダウンロード回数に応じて、利用者に対して課金を行うような運用形態を行う場合に適している。利用者には、デジタルコンテンツのダウンロードを行うたびに新たな管理データが送られることになるが、その都度、課金処理を行うようにすれば、利用者に対して、ダウンロードを行った回数に応じた利用料を課することが可能になる。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1) 対比 本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。 ア 引用発明の「アクティベーション(アクティベーション処理)」は、「IoTゲートウェイ機器20がIoTデータ送信先サーバ40にネットワーク接続された状態にする処理を、アクティベーション(あるいは、アクティベーション処理)と呼」ぶから、本願発明1の「ゲートウェイ」に対する「キッティング」処理に相当するといえる。 よって、引用発明の「IoTゲートウェイ機器20」は、本願発明1の「キッティング対象のゲートウェイ」に相当する。 イ 引用発明の「IoTゲートウェイ機器20のデバイスID」(「登録デバイスID」)は、本願発明1の「ゲートウェイ識別情報」に相当する。 引用発明の「接続設定情報、及び初期化処理スクリプト」は、「アクティベーション処理サーバ10は、サーバ側アクティベーションID、登録デバイスID、アクティベーション許可期間、接続設定情報及び初期化処理スクリプトを少なくとも関連付けて記憶して」いるから、本願発明1の「前記ゲートウェイのゲートウェイ識別情報と紐付けされたキッティングデータ」に相当する。 よって、引用発明の「アクティベーション処理サーバ10」は、「データフローD4として、接続設定情報及び初期化処理スクリプトをIoTゲートウェイ機器20に送信し」ているから、本願発明1の「前記ゲートウェイのゲートウェイ識別情報と紐付けされたキッティングデータを前記ゲートウェイに配信する配信サーバ」に相当する。 ウ 引用発明の「IoTゲートウェイ機器のアクティベーションシステム」は、本願発明1の「配信システム」に相当する。 エ 引用発明において、「データフローD0として、IoTシステム管理者端末50は、端末30がアクティベーション処理サーバ10に接続される前に(すなわち、事前に)、IoTゲートウェイ機器20のアクティベーションを行うために、サーバ側アクティベーションID、IoTゲートウェイ機器20のデバイスIDに対応する登録デバイスID、接続設定情報、及び初期化処理スクリプト等の必要な情報をアクティベーション処理サーバ10に送信し」、「アクティベーション処理サーバ10は、サーバ側アクティベーションID、登録デバイスID、アクティベーション許可期間、接続設定情報及び初期化処理スクリプトを少なくとも関連付けて記憶して」いることは、本願発明1において、「前記配信サーバは、前記携帯端末から送信された前記ゲートウェイ識別情報を、前記キッティングデータと紐付ける」ことと、「前記配信サーバは、前記ゲートウェイ識別情報を、前記キッティングデータと紐付ける」点で共通するといえる。 オ よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。 [一致点] 「キッティング対象のゲートウェイと、 前記ゲートウェイのゲートウェイ識別情報と紐付けされたキッティングデータを前記ゲートウェイに配信する配信サーバと、を備える配信システムであって、 前記配信サーバは、前記ゲートウェイ識別情報を、前記キッティングデータと紐付ける、 配信システム。」 [相違点1] 本願発明1は、「前記ゲートウェイの通信手段からブロードキャストされた前記通信手段のMACアドレスを取得し、取得した前記MACアドレスを前記ゲートウェイ識別情報として前記配信サーバに送信する携帯端末を、更に備え」るのに対して、引用発明は、「データフローD0」において、「登録デバイスID」を、「IoTサービス事業者」等が利用する「IoTシステム管理者端末50」から、アクティベーション処理サーバ10に対して「事前に」登録するものであって、ゲートウェイがブロードキャストするMACアドレス(ゲートウェイ識別情報)を、携帯端末が取得して送信していない点。 [相違点2] 本願発明1は、「前記配信サーバは、前記携帯端末から送信された前記ゲートウェイ識別情報を、前記キッティングデータと紐付ける」のに対して、引用発明は、「前記携帯端末から送信された」ゲートウェイ識別情報を紐付けしていない点。 (2) 当審の判断 本願発明1の上記[相違点1]に係る「前記ゲートウェイの通信手段からブロードキャストされた前記通信手段のMACアドレスを取得し、取得した前記MACアドレスを前記ゲートウェイ識別情報として前記配信サーバに送信する携帯端末を、更に備え」るという構成は、上記引用文献1−3には記載されておらず、周知技術であるともいえない。 特に、引用文献2には、「ルータ7」の「ルータ識別情報であるMACアドレス」が、「端末5によってルータ7から読み込まれ」、「データセンター2のウェブサーバ4aに送信」されることで、データセンタ2のデータベース3aに「各ルータ7に固有の識別情報と,ユーザに固有のユーザ情報と,料金徴収済のファームウェアとの対応関係を記憶する」ことは開示されているものの、本願発明1の上記[相違点1]のように、「前記ゲートウェイの通信手段からブロードキャストされた」MACアドレスを取得して送信するものではないから、たとえ、引用発明に、引用文献2の開示事項を組み合わせられたとしても、上記[相違点1]の構成には至らない。 さらに、引用発明は、アクティベーション処理の一連の手順であるデータフローD0〜D7のうち(引用文献1[図2]参照。)、「データフローD0」において、「登録デバイスID」を、「IoTサービス事業者」等が利用する「IoTシステム管理者端末50」から、アクティベーション処理サーバ10に対して「事前に」登録しているものであって、「データフローD0」に関して、上記[相違点1]に係る構成のように、ゲートウェイがブロードキャストするMACアドレス(ゲートウェイ識別情報)を携帯端末が取得して送信し登録する構成を付加または置換することは、引用発明及び引用文献1には記載も示唆もされていない。 なお、引用文献3には、利用者に対して、ダウンロードを行った回数に応じた利用料を課することが開示されているものの、本願発明1の上記[相違点1]に係る構成は開示されていない。 よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項から、本願発明1の上記[相違点1]に係る構成を容易に想到することはできない。 したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2−5について 本願発明2−5も、本願発明1の上記[相違点1]に係る、「前記ゲートウェイの通信手段からブロードキャストされた前記通信手段のMACアドレスを取得し、取得した前記MACアドレスを前記ゲートウェイ識別情報として前記配信サーバに送信する携帯端末を、更に備え」るという構成と、(実質的に)同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1−5は、当業者が引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-12-07 |
出願番号 | P2019-176542 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04L)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
角田 慎治 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 ▲高▼瀬 健太郎 |
発明の名称 | 配信システム、配信方法とプログラム、携帯端末、ゲートウェイ、配信サーバ |
代理人 | 北嶋 啓至 |
代理人 | 机 昌彦 |