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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1380890
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-02 
確定日 2022-01-18 
事件の表示 特願2017−120361「複合熱電材料及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月 9日出願公開、特開2018−125511、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成29年6月20日(優先権主張 平成28年10月20日,平成29年2月3日)の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

令和元年12月23日付け :拒絶理由通知書
令和2年2月18日 :意見書及び手続補正書の提出
令和2年7月30日付け :拒絶理由通知書
令和2年9月29日 :意見書及び手続補正書の提出
令和3年3月23日付け :拒絶査定
令和3年6月2日 :審判請求書及び手続補正書の提出


第2 原査定の概要
原査定(令和3年3月23日付け拒絶査定)の概要は,本願の請求項1,3,5に係る発明は,本願の優先日前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献4に記載された発明であるから,特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができない,そうでないとしても,本願の請求項1〜6に係る発明は,下記引用文献4に記載された発明及び下記引用文献3,5〜7に記載された技術的事項に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

<引用文献一覧>
引用文献4.中国特許出願公開第103531704号明細書
引用文献3.国際公開第2009/093455号
引用文献5.特開2007−258571号公報
引用文献6.国際公開第2016/042051号
引用文献7.特表2013−500608号公報


第3 本願発明
本願の請求項1〜4に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」〜「本願発明4」という。)は,令和3年6月2日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定される発明であり,そのうちの本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
以下の構成を備えた複合熱電材料。
(1)前記複合熱電材料は,
金属間化合物系の熱電材料と,
前記熱電材料の表面の全部又は一部にコーティングされた,リン酸アルミニウム(AlPO4)を主成分とする被膜と,
を備え,
前記熱電材料は,R(Fe,Co)Sb12系熱電材料(但し,R=La,Ba,Yb,Ca,In,Al,Ga,Ti,Zr,及びHfからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素)からなる。
(2)前記被膜の厚さは,0.7μm以上1.5μm未満である。
(3)前記被膜は,95wt%以上の前記リン酸アルミニウムを含み,残部が不可避的不純物からなる。」

なお,本願発明2は本願発明1を減縮した発明であり,本願発明3〜4は,本願発明1又は2を引用する,複合熱電材料の製造方法の発明である。

第4 引用文献の記載と引用発明

1.引用文献4について
(1)引用文献4の記載
原査定において引用文献4として引用された,中国特許出願公開第103531704号明細書には,次の記載がある。(和訳は当審による。下線は当審により付加した。以下同じ。)


(和訳)「[0010]本発明の第一態様では,熱電対単一素子用のコーティングを提供し,前記熱電対単一素子は高温端及び低温端を含み
[0011]前記コーティングは前記熱電対素子の高温端にコーティングされたガラス保護層であり
[0012]且つ該ガラス保護層のガラス軟化温度は前記熱電対素子の高温端の電極溶接温度に近い。



(和訳)[0018]本発明の一つの具体的な実施形態において,前記ガラス保護層は前記スラリーで製造されたホウケイ酸ガラスコーティング,アルミノケイ酸ガラスコーティング,リン酸塩ガラスコーティング又は前記ガラスを含有する複合コーティングである。


(和訳)[0035]本発明の一つの具体的な実施形態において,前記熱電対素子に用いられる熱電材料はスクッテルダイト材料を用い,前記スクッテルダイト系熱電材料は以下から選択される:CoSb3系スクッテルダイト材料,CoSb3系スクッテルダイト化合物,CoSb3系スクッテルダイト化合物,CoSb3系スクッテルダイト化合物又は上記化合物を主相とする複合材料。



(和訳)「[0066]より好ましくは,前記有機無機複合スラリーは浸漬塗布、ナイフ塗布、スプレー塗布又はブラシ塗布を用いて表面処理されたスクッテルダイト系熱電材料及びデバイスの表面に塗布される。前記スラリーはスクッテルダイト系熱電材料及びデバイスの表面に連続的な封止コーティングを形成し,ワンステップの緻密化によって電極材料とスクッテルダイト熱電材料との接続を実現すると同時に,上記連続的な封止コーティングにおけるガラス成分が軟化して緻密で連続的な保護コーティングを形成し,基体熱電材料に対する保護作用を実現することができる。」


(和訳)「[0073]具体的には,前記"複合コーティング"はホウケイ酸ガラスコーティング,アルミノケイ酸ガラスコーティング,リン酸ガラスコーティングのうちの一つ又は複数を含む複合コーティングを含む。より具体的には,前記コーティングはホウケイ酸ガラスコーティング,アルミノケイ酸ガラスコーティング又はリン酸塩ガラスコーティングで構成される複合コーティングを含む;前記コーティングはさらにホウケイ酸ガラスコーティング,アルミノケイ酸ガラスコーティング又はリン酸塩ガラスコーティングのうちの1つ又は複数のコーティング及び他の無機物,例えばアルミナ,ジルコニア,酸化クロム,酸化鉄,酸化チタン,酸化ビスマス,チタン酸ストロンチウム,ムライト,カオリン,軽石粉,雲母粉,モリブデン酸亜鉛,リン酸アルミニウム等の複合コーティングを含む。」


(和訳)「[0123]より好ましくは,スクッテルダイト材料はCoSb3をベースとし,1種又は複数種の希土類又はアルカリ土類(Ce,Yb,Ba,K,Na等)で充填され,又は1種又は複数種の元素(Fe,Ni,Eu,Mn,As等)で充填又はドープされた高性能スクッテルダイト熱電材料である。」

(2)引用発明
以上の摘記から,引用文献4には次の事項が記載されているものと理解できる。

ア 高温端がガラス保護層でコーティングされた熱電対素子。(段落0010,0011)
イ 熱電対素子に用いられる熱電材料がスクッテルダイト材料であること。(段落0035)
ウ スクッテルダイト系熱電材料の表面に連続的な保護コーティングを形成し,基体熱電材料に対する保護作用を実現すること。(段落0066)
エ ガラス保護層が,ホウケイ酸ガラスコーティング,アルミノケイ酸ガラスコーティング又はリン酸塩ガラスコーティングのうちの1つ又は複数のコーティング及びリン酸アルミニウムの複合コーティングであること。(段落0018,0073)
オ 好ましいスクッテルダイト材料が,CoSb3をベースとし,1種又は複数種の希土類又はアルカリ土類(Ce,Yb,Ba,K,Na等)で充填され,又は1種又は複数種の元素(Fe,Ni,Eu,Mn,As等)で充填又はドープされた高性能スクッテルダイト熱電材料であること。(段落0123)

上記ウ(段落0066)の「保護コーティング」は,ガラス成分の軟化により形成されるものであるから,上記ア(段落0018,0073)の「ガラス保護層」を意味すると理解できる。
また,上記アの「熱電対素子」が「基体熱電材料」を備えることは技術的に明らかであるから,上記ア,ウから,引用文献4には,「基体熱電材料」表面の「高温端」が「ガラス保護層」でコーティングされた「熱電対素子」が記載されていると理解できる。
さらに,上記ア,イから,「熱電対素子」が備える「基体熱電材料」が「スクッテルダイト系熱電材料」であると理解できる。
以上によれば,引用文献4には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「基体熱電材料表面の高温端がガラス保護層でコーティングされた熱電対素子であって,
基体熱電材料がスクッテルダイト系熱電材料であり,
ガラス保護層が,ホウケイ酸ガラスコーティング,アルミノケイ酸ガラスコーティング又はリン酸塩ガラスコーティングのうちの1つ又は複数のコーティング及びリン酸アルミニウムの複合コーティングであり,
スクッテルダイト系熱電材料は,CoSb3をベースとし,1種又は複数種の希土類又はアルカリ土類(Ce,Yb,Ba,K,Na等)で充填され,又は1種又は複数種の元素(Fe,Ni,Eu,Mn,As等)で充填又はドープされた高性能スクッテルダイト熱電材料である,
熱電対素子。」

2.引用文献3,5〜7について
(1)引用文献3の記載
原査定において引用文献3として引用された,国際公開第2009/093455号には,次の記載がある。

「[0007] そこで種々の廃熱を有効利用するという点で,300℃〜600℃の中温領域で使用可能な熱電変換モジュールが求められている。近年,特にこの温度域で使用可能な熱電変換材料として,充填スクッテルダイト熱電変換材料が注目されている。充填スクッテルダイト化合物は,化学式RT4X12(R=金属,T=遷移金属,X=プニコゲン)で表され,空間群Im−3の立方晶構造を有する。式中,Rはアルカリ土類金属,ランタノイド系,またはアクチノイド系元素,TはFe,Ru,Os,Co,Pd,Ptなどの遷移金属,XはAs,P,Sbなどのプニコゲン元素である。特にXがSbとなる充填スクッテルダイト系熱電変換材料が盛んに研究されている。
[0008] 開発されたLa(Ce)−Fe−Sb,Yb−Co−Sb系スクッテルダイト熱電変換材料,特にp型CeFe4Sb12,p型LaxFe3CoSb12(0<x≦1)及びn型YbyCo4Sb12(0<y≦1)熱電変換材料は,300〜600℃の中温域で比較的に良好な熱電性能を有している。このような熱電性能について,特許文献1には無次元性能指数ZTが0.9〜1.4,特許文献2には無次元性能指数ZTが0.7〜0.8であることが示されている。」

(2)引用文献5の記載
原査定において引用文献5として引用された,特開2007−258571号公報には,次の記載がある。

「【0036】
(実施例1)
PVA(ポリビニルアルコール)をDMSO(ジメチルスルフォキシド)に5重量%溶解した溶液に無鉛ガラス粉末(松浪硝子工業社製商品名:JV?35)を混合してペーストを調製した。つづいて,このペーストを金型を用いて押し出し成形し,乾燥することにより正方角柱の貫通穴が縦横10列有するハニカム枠を得た。ひきつづき,このハニカム枠の各貫通穴に正方角柱をなすp型,n型のハーフホイスラー系熱電変換部材各50個計100個をp型,n型が市松状並ぶように挿入,配列した。前記p型の熱電変換部材としては(Ti0.3Zr0.35Hf0.35)CoSb0.85Sn0.15を用い,n型熱電変換部材としては(Ti0.3Zr0.35Hf0.35)NiSn0.994Sb0.006を用いた。」

(3)引用文献6の記載
原査定において引用文献6として引用された,国際公開第2016/042051号には,次の記載がある。(和訳は当審による。)

“Preferably, the thermoelectric material is chosen from silicides and half-Heusler materials, more preferably from magnesium silicides, manganese silicides, half-Heusler compounds of the general formular (Ti1-x-yZrxHfy)NiSn1-wSbw with 0 <= x and y <= 1 and 0 <= w < 0.2 and Ti CoSb and substitution variants hereof Silicides and half-Heusler materials can contain one or more dopants in order to modify the thermoelectric properties, mechanical properties or both.”(6頁33行〜37行)
(和訳)“好ましくは,熱電材料は,シリサイドおよびハーフホイスラー材料から,より好ましくは,マグネシウムシリサイド,マンガンシリサイド,一般式(Ti1-x-yZrxHfy)NiSn1-WSbw(0≦xおよびy≦1および0≦w≦0.2)のハーフホイスラー化合物およびTiCoSbその置換変形から選択される。シリサイドおよびハーフホイスラー材料は,熱電特性,機械的特性またはその両方を変更するために,1つまたは複数のドーパントを含有することができる。”

“p-type Mn-Si, specifically MnSi1.73 with proper amount of dopant materials such as Mo, Al and Ge as well as n-tpye Mg-Si, specifically Mg2Si0.4Sn0.6 doped with certain amount of Sb are described in ICT-2004 (http://www.thermoelectricss.com/th/paper/ict04_komatsu.pdf).”(7頁4行〜6行)
(和訳)“p型Mn-Si,具体的にはMo,AlおよびGeなどの適量のドーパント材料を有するMnSi1.73,ならびにn型Mg-Si,具体的には一定量のSbでドープされたMg2Si0.4Sn0.6が,ICT2004に記載されている(http://www.thermoelectricss.com/th/paper/ict04_komatsu.pdf)。“

(4)引用文献7の記載
原査定において引用文献7として引用された,特表2013−500608号公報には,次の記載がある。
「【0031】
図2及び3は,一般式がSKT/M/MOxで表される同心多層被覆構造体,即ち熱電材料(SKT)/被覆(M/MOx)を備えた素子及びその被覆を示す図である。・・・
SKTはCoSb3を主成分とするスクッテルド鉱化合物,ドープCoSb3を主成分とするスクッテルド鉱化合物,CoSb3を主成分とする充填スクッテルド鉱化合物,及びドープCoSb3を主成分とする充填スクッテルド鉱化合物,及びこれ等の化合物を優位相とする複合材料の他に,かご型化合物から成る熱電材料,セミホイスラー熱電材料,BiTeを主成分とする化合物,BiTeを主成分とする材料,ドープBiTeを主成分とする化合物,BiTeを主成分とする充填化合物,ドープBiTeを主成分とする充填化合物及びこれ等の化合物を優位相とする複合材料から選択することができる。」


第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明の対比
本願発明1と引用発明を対比する。
ア 引用発明における「基体熱電材料」は「スクッテルダイト系熱電材料」であるから本願発明1の「熱電材料」に相当し,両者はともに「金属間化合物系」である点で一致する。
イ 引用発明の「ガラス保護層」は「基体熱電材料表面の高温端」をコーティングするものであり,ホウケイ酸ガラスコーティング,アルミノケイ酸ガラスコーティング又はリン酸塩ガラスコーティングのうちの1つ又は複数のコーティング及びリン酸アルミニウムの複合コーティングであるから,本願発明1の「被膜」に相当し,両者はともに「前記熱電材料の表面の全部又は一部にコーティングされた」「リン酸アルミニウム(AlPO4)を含む被膜」である点で共通する。
ウ 引用発明において「スクッテルダイト系熱電材料」が「CoSb3をベースとし,1種又は複数種の希土類又はアルカリ土類(Ce,Yb,Ba,K,Na等)で充填され,又は1種又は複数種の元素(Fe,Ni,Eu,Mn,As等)で充填又はドープされた高性能スクッテルダイト熱電材料である」ことは,本願発明1において「前記熱電材料」が「R(Fe,Co)Sb12系熱電材料(但し,R=La,Ba,Yb,Ca,In,Al,Ga,Ti,Zr,及びHfからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素)からなる」ことに相当する。
エ 引用発明の「熱電対素子」は本願発明1の「複合熱電材料」に対応する。

以上の対比によれば,本願発明1と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおりとなる。

(一致点)
「以下の構成を備えた複合熱電材料。
(1)前記複合熱電材料は,
金属間化合物系の熱電材料と,
前記熱電材料の表面の全部又は一部にコーティングされた,リン酸アルミニウム(AlPO4)を含む被膜と,
を備え,
前記熱電材料は,R(Fe,Co)Sb12系熱電材料(但し,R=La,Ba,Yb,Ca,In,Al,Ga,Ti,Zr,及びHfからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素)からなる。」

(相違点1)
本願発明1における「被膜」は「リン酸アルミニウム(AlPO4)を主成分とする」のに対し,引用発明における「ガラス保護層」は「ホウケイ酸ガラスコーティング,アルミノケイ酸ガラスコーティング又はリン酸塩ガラスコーティングのうちの1つ又は複数のコーティング及びリン酸アルミニウムの複合コーティング」であり,「リン酸アルミニウム」を含んでいるものの,主成分であることは特定されていない点。

(相違点2)
本願発明1では「前記被膜の厚さは,0.7μm以上1.5μm未満である」のに対して,引用発明では「ガラス保護層」の厚さは特定されていない点。

(相違点3)
本願発明1では「前記被膜は,95wt%以上の前記リン酸アルミニウムを含み,残部が不可避的不純物からなる」のに対して,引用発明では「ガラス保護層」に含まれるリン酸アルミニウムの量は特定されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み,はじめに相違点2について検討する。
引用文献3には充填スクッテルダイト熱電材料の例が記載され,引用文献5には(Ti,Zr,Hf)NiSn系ハーフホイスラー熱電材料の例が記載され,引用文献6にはMg2(Si,Sn)系シリサイド熱電材料の例が記載され,引用文献7にはBiTe系材料を熱電材料に用いることが記載されているが,いずれの引用文献にも,熱電材料の表面に被膜を形成することは記載されておらず,被膜の厚さについての示唆もされていない。また,熱電材料の表面に形成する被膜を「0.7μm以上1.5μm未満」とすることが,本願の優先日前において当業者に周知の技術であるとはいえない。
さらに,本願明細書段落0029,0052に記載されているとおり,本願発明1は,被膜の厚さを「0.7μm以上1.5μm未満」とすることにより,被膜にピンホールやクラックが生成されるのを防止し,良好な耐酸化性が得られるとの格別の効果を奏するものである。
そうすると,引用発明において上記相違点2に係る本願発明1の構成とすることは,当業者が容易になし得たことではない。
したがって,他の相違点について検討するまでもなく,本願発明1は引用発明及び引用文献3,5〜7に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2.本願発明2〜4について
本願発明2〜4は本願発明1と同じ技術的事項を備える発明であるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献3,5〜7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものではない。


第6 原査定について
審判請求時の補正により,本願発明1〜4は「前記被膜の厚さは,0.7μm以上1.5μm未満である」という事項を有するものとなっており,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用文献3〜7に基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって,原査定の理由を維持することはできない。


第7 結言
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。


 
審決日 2021-12-27 
出願番号 P2017-120361
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H01L)
P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 小田 浩
小川 将之
発明の名称 複合熱電材料及びその製造方法  
代理人 畠山 文夫  
代理人 畠山 文夫  

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