• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  G02B
審判 一部申し立て 判示事項別分類コード:857  G02B
審判 一部申し立て 2項進歩性  G02B
審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G02B
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  G02B
管理番号 1380926
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-01-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-06-02 
確定日 2021-11-10 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6615389号発明「ヘッドアップディスプレイ装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6615389号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜4〕について訂正することを認める。 特許第6615389号の請求項1〜3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6615389号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜4に係る特許についての出願は、平成29年1月31日に出願され、令和元年11月15日にその特許権の設定登録がされ 、令和元年12月4日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和2年 6月 2日 特許異議申立人永井道雄(以下「申立人」と
いう。)による請求項1〜3に係る特許に対
する本件特許異議の申立て
令和2年 8月26日付け 取消理由通知
令和2年10月30日 特許権者による訂正請求書及び意見書の提出
令和3年 1月 6日 申立人による意見書の提出
令和3年 2月12日付け 取消理由通知(決定の予告)
令和3年 4月22日 特許権者による訂正請求書及び意見書の提出
令和3年 5月28日付け 手続補正指令
令和3年 7月 1日 特許権者による手続補正書の提出
令和3年 8月20日付け 訂正拒絶理由通知
令和3年 9月24日 特許権者による手続補正書及び意見書の提出

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正は、令和3年4月22日に提出され、同年7月1日に補正され、さらに同年9月24日に補正された訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、本件特許の特許請求の範囲を、訂正後の請求項1〜4について訂正することを求めるものであって、その内容は以下のとおりである(下線は、訂正箇所として特許権者が付したものである。)。
なお、訂正前の請求項1〜4は、請求項2〜4が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項1〜4について請求されている。
また、特許権者は、訂正後の請求項2、3、4に係る訂正について、一群の請求項とは別の訂正単位として扱われることを求めている。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を
「車両に搭載し、フロントガラスの前方に虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置において、
前記虚像に対応する映像光を生成して出射する映像表示装置と、
前記映像表示装置から出射された前記映像光を反射して前記フロントガラスへ投射する反射ミラーと、を備え、
前記反射ミラーの反射面は、基板の表面に反射膜を形成した構造であって、前記映像光が入射しない無効エリアには前記反射膜が形成されていない構造とし、
前記無効エリアには、前記反射ミラーの反射面のエッジが含まれ、
前記反射ミラーは、プラスチック成型体である凹面状の基板に前記反射膜を形成した凹面反射ミラーであって、前記プラスチック成型体のパーティングライン近傍には前記反射膜が形成されていない構造とし、
前記凹面反射ミラーは反射面の側面に前記パーティングラインを有するとき、前記反射面のエッジから前記パーティングラインにかけて段差部が形成されていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。」と訂正する。

2 訂正要件の判断
(1)訂正事項1〜3について
ア 訂正の目的
訂正事項1、2及び3は、それぞれ、本件訂正前の請求項1、2及び3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無
請求項の削除により、新たな技術的事項が導入されることはないから、訂正事項1〜3は、新規事項を追加するものではない。
したがって、訂正事項1〜3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の実質拡張・変更の有無
上記ア及びイに照らせば、訂正事項1〜3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
したがって、訂正事項1〜3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ 独立特許要件の存否
請求項1〜3については特許異議の申立てがされていることから、請求項1〜3に係る訂正事項1〜3について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

オ 訂正事項1〜3の小括
よって、訂正事項1〜3は、訂正要件を満たす。

(2)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4は、本件訂正前の請求項4が請求項3の記載を引用する従属形式となっていたところ、請求項3との引用関係を解消して、独立形式の請求項へ改めるものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無
引用関係を解消して独立形式の請求項へ改めることにより、新たな技術的事項が導入されることはないから、訂正事項4は、新規事項を追加するものではない。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の実質拡張・変更の有無
上記ア及びイに照らせば、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ 独立特許要件の存否
請求項4については特許異議の申立てがされていないところ、請求項4に係る訂正事項4について独立特許要件が課されるかどうかにつき検討すると、上記アのとおり、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではなく、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものでもない。
したがって、請求項4に係る訂正事項4について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

オ 訂正事項4の小括
よって、訂正事項4は、訂正要件を満たす。

3 訂正の適否の小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜4について訂正することを認める。

第3 本件訂正後の請求項に係る発明
本件訂正は上記第2のとおり認められたので、本件訂正により訂正された請求項1〜4に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

【請求項1】
(削除)

【請求項2】
(削除)

【請求項3】
(削除)

【請求項4】
車両に搭載し、フロントガラスの前方に虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置において、
前記虚像に対応する映像光を生成して出射する映像表示装置と、
前記映像表示装置から出射された前記映像光を反射して前記フロントガラスへ投射する反射ミラーと、を備え、
前記反射ミラーの反射面は、基板の表面に反射膜を形成した構造であって、前記映像光が入射しない無効エリアには前記反射膜が形成されていない構造とし、
前記無効エリアには、前記反射ミラーの反射面のエッジが含まれ、
前記反射ミラーは、プラスチック成型体である凹面状の基板に前記反射膜を形成した凹面反射ミラーであって、前記プラスチック成型体のパーティングライン近傍には前記反射膜が形成されていない構造とし、
前記凹面反射ミラーは反射面の側面に前記パーティングラインを有するとき、前記反射面のエッジから前記パーティングラインにかけて段差部が形成されていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。

第4 令和3年2月12日付け取消理由通知書(決定の予告)で通知した取消理由の概要
本件訂正前の請求項1〜3に係る特許に対して、当審が令和3年2月12日付け取消理由通知書(決定の予告)により特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

取消理由1(新規性
本件訂正前の請求項1、2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、下記引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1、2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件訂正前の請求項1、2に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

取消理由2(進歩性
本件訂正前の請求項1、2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、下記引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件訂正前の請求項3に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、下記引用文献1に記載された発明及び下記引用文献2に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項1〜3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件訂正前の請求項1〜3に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

取消理由3(明確性
本件訂正前の請求項2、3に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
したがって、本件訂正前の請求項2、3に係る特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

[引用文献一覧]
引用文献1:特開2012−56334号公報(甲第1号証)
引用文献2:特開2003−131163号公報(甲第2号証)

第5 当審の判断
本件特許異議の申立ては、請求項1〜3に係る特許に対するものであるが、上記第3に示したとおり、本件訂正により、請求項1〜3は削除された。
したがって、本件特許異議の申立ては、対象となる請求項が存在しないものとなった。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本件特許異議の申立ては、不適法なものであって、その補正をすることができないものである。
したがって、請求項1〜3に係る特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定により、却下すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
車両に搭載し、フロントガラスの前方に虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置において、
前記虚像に対応する映像光を生成して出射する映像表示装置と、
前記映像表示装置から出射された前記映像光を反射して前記フロントガラスへ投射する反射ミラーと、を備え、
前記反射ミラーの反射面は、基板の表面に反射膜を形成した構造であって、前記映像光が入射しない無効エリアには前記反射膜が形成されていない構造とし、
前記無効エリアには、前記反射ミラーの反射面のエッジが含まれ、
前記反射ミラーは、プラスチック成型体である凹面状の基板に前記反射膜を形成した凹面反射ミラーであって、前記プラスチック成型体のパーティングライン近傍には前 記反射膜が形成されていない構造とし、
前記凹面反射ミラーは反射面の側面に前記パーティングラインを有するとき、前記反射面のエッジから前記パーティングラインにかけて段差部が形成されていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-10-22 
出願番号 P2018-565111
審決分類 P 1 652・ 857- XA (G02B)
P 1 652・ 121- XA (G02B)
P 1 652・ 113- XA (G02B)
P 1 652・ 537- XA (G02B)
P 1 652・ 851- XA (G02B)
最終処分 10   決定却下(不適法な申立に
特許庁審判長 瀬川 勝久
特許庁審判官 野村 伸雄
清水 督史
登録日 2019-11-15 
登録番号 6615389
権利者 マクセル株式会社
発明の名称 ヘッドアップディスプレイ装置  
代理人 青稜特許業務法人  
代理人 青稜特許業務法人  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ