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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C09J
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09J
審判 全部申し立て 2項進歩性  C09J
管理番号 1380927
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-01-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-06-17 
確定日 2021-10-28 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6621847号発明「自動車用2液型ウレタン系接着剤組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6621847号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜5〕について訂正することを認める。 特許第6621847号の請求項1〜4に係る特許を維持する。 特許第6621847号の請求項5についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6621847号の請求項1〜5の発明に係る特許についての出願は、平成28年1月7日を国際出願日とするものであって、令和元年11月29日にその特許権の設定登録がなされ、同年12月18日にその特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許についての異議申立ての経緯は、以下のとおりである。

令和2年6月17日 特許異議申立人である前田洋志による特許異議の申立て
同年10月7日付け 取消理由通知
同年12月9日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者)
同年同月15日付け 訂正請求があった旨の通知
令和3年3月31日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年6月 4日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者)
同年同月16日付け 訂正請求があった旨の通知
同年7月26日 意見書の提出(特許異議申立人)
同年10月6日付け 補正指令
同年10月14日 手続補正書(方式)

なお、令和2年12月15日付けの訂正請求があった旨の通知に対し、特許異議申立人は、意見書を提出しなかった。
また、令和2年12月9日になされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否についての判断
1 請求の趣旨について
令和3年6月4日になされ、同年10月14日に手続補正された訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の請求の趣旨は、「特許第6621847号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の通り、訂正後の請求項1〜5について訂正することを求める。」というものである。なお、以下、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」ともいう。

2 訂正の内容
本件訂正請求の内容は、特許請求の範囲の訂正に係る以下の訂正事項1〜3からなるものである。

訂正事項1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に
「 (1)イソシアネート基末端ポリエーテルポリオール化合物を含む第1液、および
(2)ポリオール化合物および硬化触媒を含む第2液、
を含有し」
と記載されているのを、
「 (1)イソシアネート基末端ポリエーテルポリオール化合物を含む第1液、および
(2)ポリオール化合物および硬化触媒を含む第2液、
を第1液と第2液の混合比率10:1で含有し」
に訂正する。
また、請求項1の記載を引用する請求項2〜5も同様に訂正する。

訂正事項2
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「第2液」について、
「前記第2液中の水の配合量は、第2液の全質量を基準として1質量%未満であり」と限定する。
また、請求項1の記載を引用する請求項2〜5も同様に訂正する。

訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

3 訂正の適否
(1) 一群の請求項について
訂正事項1、2は、本件訂正前の請求項1の記載を訂正するものであるところ、請求項2〜5はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1、2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。また、訂正事項3は、本件訂正前の請求項5の記載を訂正(請求項を削除)するものである。
したがって、本件訂正前の請求項1〜5に対応する本件訂正後の請求項1〜5は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

(2) 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における、
「(1)イソシアネート基末端ポリエーテルポリオール化合物を含む第1液、および(2)ポリオール化合物および硬化触媒を含む第2液、を含有し」について、第1液と第2液の混合比率が特定されていなかったものを、「第1液と第2液の混合比率10:1で含有し」と限定することを目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、本件特許の願書に添付した明細書には【実施例】について、「2液型ウレタン系接着剤組成物を作成した(第1液と第2液の混合比率=10:1)」(段落【0034】)と記載されており、また、「第1液/第2液混合比」が「10/1」である実施例1〜10(段落【0035】の【表1】、段落【0036】の【表2】)も記載されている。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張・変更するものでもないことも明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5、6項の規定に適合する。

訂正事項2は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「第2液」について、「前記第2液中の水の配合量は、第2液の全質量を基準として1質量%未満であり」と限定することを目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、本件特許の願書に添付した明細書には「第2液」について、「上記2液型ウレタン系接着剤組成物の第2液(硬化剤)において、水の配合量は、第2液の全質量を基準として、2質量%未満、好ましくは1質量%未満である。」(段落【0022】)と記載されており、また、「第2液中の水の配合量」が「−」(配合されていない)である実施例1〜6、8、9、及び、「第2液中の水の配合量」が「0.7質量%」(=1/(60+36+3+1+50+1.3)*100)である実施例7(段落【0035】の【表1】、段落【0036】の【表2】)も記載されている。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張・変更するものでもないことも明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5、6項の規定に適合する。

訂正事項3は、請求項の削除を目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質的に特許請求の範囲を拡張・変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5、6項の規定に適合する。

(3) 独立特許要件について
本件特許異議申立てにいては、全ての請求項が特許異議申立ての対象とされているので、訂正事項1〜3のいずれについても、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項(独立特許要件)は適用されない。

(4) 小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5、6項の規定に適合するものである。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜5について訂正することを認める。

第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められたので、本件特許の特許請求の範囲の請求項1〜5に係る発明(以下、項番にしたがって「本件発明1」などといい、まとめて、「本件発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
(1)イソシアネート基末端ポリエーテルポリオール化合物を含む第1液、および
(2)ポリオール化合物および硬化触媒を含む第2液、
を第1液と第2液の混合比率10:1で含有し、
前記第2液中の前記ポリオール化合物は、
ポリオールの平均水酸基価40〜100[mgKOH/g]を有し、
水酸基数2.3〜10および水酸基価160〜550[mgKOH/g]を有する多官能性ポリオールを該ポリオール化合物の質量に基づいて2〜50質量%含み、
該第1液単独の硬化物は、5〜20MPaの弾性率および300〜850%の伸びを有し、
前記第2液中の水の配合量は、第2液の全質量を基準として1質量%未満であり、
第1液:第2液の混合比率100:10での混合物の硬化物は、3〜20MPaの弾性率および300〜650%の伸びを有する、
自動車用2液型ウレタン系接着剤組成物。
【請求項2】
前記硬化触媒は、1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン‐7(DBU)、1,5‐ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン‐5および1,4‐ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、並びにそれらのフェノール塩、オクチル酸塩、p‐トルエンスルホン酸塩およびギ酸塩から成る群から選択される触媒である、請求項1に記載の自動車用2液型ウレタン系接着剤組成物。
【請求項3】
前記第2液中の前記ポリオール化合物は、水酸基数4〜10および水酸基価350〜550[mgKOH/g]を有する多官能性ポリオールを該ポリオール化合物の質量に基づいて0.5〜5質量%含む、請求項または2に記載の自動車用2液型ウレタン系接着剤組成物。
【請求項4】
前記多官能性ポリオールは、水酸基価350〜550[mgKOH/g]を有するシュガーベースを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用2液型ウレタン系接着剤組成物。
【請求項5】(削除)」

第4 取消理由
1 取消理由通知書に記載した理由およびその概要
当審が令和2年10月7日付け及び令和3年3月31日付けで通知した取消理由は、以下のとおりである。なお、取消理由1は、令和3年3月31日付けで通知した取消理由であり、取消理由2、3は、令和2年10月7日付け及び令和3年3月31日付けで通知した取消理由であり、取消理由4は、令和2年10月7日付けで通知した取消理由である。

<取消理由1>
本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
<取消理由2>
本件特許の特許請求の範囲の請求項1、3、5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであり、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
<取消理由3>
本件特許の特許請求の範囲の請求項1〜5に係る発明は、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
<取消理由4>
本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

2 取消理由1について
(1) 取消理由1の概要
取消理由1は、要するに、本件発明は、「ポリオール」の「平均水酸基価」を特定する事項を発明特定事項として備えており、「ポリオール」という技術用語は、本件発明が属する技術分野に限らず広く化学の分野で使用されている技術用語であって、「ポリオール」には水が含まれないと解することが妥当であると認められるにもかかわらず、特許権者は、令和2年12月9日提出の意見書(5〜7頁「(d−1)ポリオールの平均水酸基価」の項)において、要するに、本件発明の「ポリオール」は水を含むものである(から、上記平均水酸基価には水の水酸基価を含んでいる)と主張し、その根拠として、実施例の表1〜表3の平均水酸基価は、第2液中の水の水酸基価を加えて計算されていることを指摘するとともに、乙第1号証〜第5号証を提出したので、本件発明の「ポリオール」について、水を含むか否かが明確ではないから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であって、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていないというものである。

(2) 判断
特許権者は、令和3年3月31日付けで訂正請求(本件訂正請求)をするとともに、意見書を提出し、要するに上記主張を撤回し、本件発明の「ポリオール」には水が含まれないことを明確にしたので、取消理由1は解消した。
なお、実施例の表1〜表3の平均水酸基価は、第2液中の水の水酸基価を加えて計算されているから、本件発明に係る「前記第2液中の前記ポリオール化合物」の「ポリオールの平均水酸基価」ではないが、そのような物性値が記載されていることによって、本件発明が直ちに不明確になるわけではない。

3 取消理由2、3について
(1) 取消理由2、3の概要
取消理由2、3は、要するに、主たる証拠を甲1(特開2007−31483号公報(特許異議申立人前田洋志が提出した甲第1号証))とし、本件発明1は、甲1に記載された発明(甲1発明)と同一であるか、甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、あるいは、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、また、これを踏まえると本件発明2〜5も、特許法第29条第1項第3号に該当するか、あるいは、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものである、というものである。

(2) 取消理由2、3で引用する刊行物等

特開2007−31483号公報(特許異議申立人前田洋志が提出した甲第1号証)
特許第4242210号公報(特許異議申立人前田洋志が提出した甲第2号証)
特開2018−21104号公報(特許異議申立人前田洋志が提出した甲第3号証)

(3) 刊行物等に記載されている事項
ア 特開2007−31483号公報
特開2007−31483号公報(以下、「甲1」という。)には、以下の事項が記載されている。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタンプレポリマーを含有する主剤と、
水と、2官能以上の活性水素含有化合物とを含有する硬化剤とからなる2液型ウレタン接着剤組成物。
・・・
【請求項4】
前記活性水素含有化合物が、ポリアミンおよび/またはポリオールである請求項1〜3のいずれかに記載の2液型ウレタン接着剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の2液型ウレタン接着剤組成物と、
イソシアネート成分と、溶剤とを含有するプライマー組成物とを備える構造用弾性接着剤。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、2液型ウレタン接着剤組成物ならびに構造用弾性接着剤およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のボディとフロントガラス等との接着には、低温、高温、高湿度等の様々な条件下における高い接着強度、接着耐久性が要求される。一般的に、このような用途にはウレタン系接着剤が使用されており、従来より混合する手間がない分作業性に優れる点から1液型ウレタン系湿気硬化型のものが用いられてきた。近年、これらは用途展開としてホルダー等の部材や樹脂ボディーパネルの接着等にも用いられるようになった。そのため、接着剤の硬化性および接着速度の速いウレタンが必要になり、上記1液型ウレタン系湿気硬化型接着剤を主剤として、これに架橋剤を含む硬化剤を数%〜数十%添加するタイプの2液型ウレタン系接着剤組成物が使用されるようになった。」
「【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、更に鋭意検討した結果、接着剤組成物の硬化剤として2官能以上の活性水素含有化合物と水とを含有することにより、接着剤組成物の硬化性およびプライマー組成物と被着体との接着発現性が向上し、水による発泡も抑制できるので、硬化性および接着発現性に優れる接着剤組成物となることを知見し、本発明を完成させた。」
「【0011】
<ウレタンプレポリマー>
本発明の組成物に用いられるウレタンプレポリマーは、特に限定されず、例えば、ポリオール化合物とイソシアネート基含有化合物とを反応させて得られるウレタンプレポリマーを用いることができる。
・・・
【0018】
上記ウレタンプレポリマーの製造時におけるポリオール化合物とイソシアネート基含有化合物とを混合する割合は、ポリオール化合物のヒドロキシ基の数に対するイソシアネート基含有化合物のイソシアネート基の数の比(NCO/OH)が、1.0以上であるのが好ましく、1.5〜2.0であるのがより好ましい。」
「【0020】
<水>
本発明の組成物に用いられる水は、特に限定されない。
通常、水のみの架橋剤とした硬化剤は、炭酸ガスによる発泡が起こり、目的の接着強度が出ない。一方、本発明の組成物は、硬化剤に水を含有するものの、イソシアネート成分との反応性が水より高い2官能以上の活性水素含有化合物を含有するため、接着剤の発泡を抑制できる。更に、硬化剤中の水がプライマー中に拡散されることにより、プライマーに含有されるイソシアネート成分の架橋およびプライマーの造膜ならびにシラン化合物の加水分解による被着体との接着発現を促進することができる。したがって、本発明の組成物は、硬化性および接着発現性に優れる。
【0021】
本発明の組成物において、水は、本発明の組成物の硬化剤中に1〜80質量%含まれるのが好ましく、5〜25質量%含まれるのがより好ましい。この範囲であると、プライマー組成物の接着発現性をより向上させることができ、発泡が生じ難くなる。
【0022】
<2官能以上の活性水素含有化合物>
本発明の組成物に用いられる2官能以上の活性水素含有化合物は、活性水素を含有する官能基を少なくとも2個以上有する化合物である。
上記活性水素を含有する官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、カルボキシ基等が挙げられる。 上記活性水素含有化合物としては、例えば、ポリオール(多価アルコール)、ポリアミン(多価アミン)、アルカノールアミン、アミノポリエーテル等が挙げられ、中でも、ポリオールおよびポリアミンが好ましい。
【0023】
上記ポリオールは、炭化水素の2個以上の水素をヒドロキシ基で置換した多価アルコール類である。基本的には、上述したウレタンプレポリマーの原料であるポリオール化合物を用いることができる。ポリオール化合物としては、具体的には、例えば、グリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、エチルグルコジット、ソルビート;またはこれらやエチレンジアミン、芳香族ジアミン類等の分子中に活性水素を2個以上有する活性水素含有化合物を出発物質として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの少なくとも1種を付加重合させた生成物が挙げられる。市販品としては、旭硝子社製エクセノール450ED、410NE、430、5030、プレミノール7001K等が挙げられる。
上記ポリオールは、発泡抑制、硬化性および接着発現性に優れる点から、3官能以上のものが好ましく、4官能以上のものがより好ましい。」
「【0065】
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜2および比較例1〜5>
下記第1表の各成分を、第1表に示す組成(質量部)で、撹拌機を用いて混合し、第1表に示される各硬化剤を得た。次に、得られた硬化剤と、主剤(1液型ウレタン系湿気硬化型組成物、WS−202、横浜ゴム(株)製)とを第1表に示す混合比(質量比)で混合し、接着剤組成物を得た。
なお、実施例1および2は、主剤のイソシアネート基と硬化剤(水を除く)の活性水素との質量比(NCO/H)が2.0となるように配合した。
得られた各接着剤組成物について、下記の方法により接着性および発泡性を評価した。結果を第1表に示す。
【0066】
<接着性>
図1は、剪断接着試験に用いられる試験体の概略図である。
一方の面に予めトリス(イソシアネート)チオホスフェートを含有する塗装面用および樹脂用プライマーM(RC−50E)(横浜ゴム(株)製)を塗布して乾燥させた電着塗装板1(100mm(長さ)×25mm(幅)×1.0mm(厚さ))と、厚さ5mmのスペーサ3と、接着面にイソシアネートシランを含有するガラス用プライマー(G(MS−90)、横浜ゴム(株)製)を塗布して乾燥させたガラス板5(25mm×10mm×5mm)を用意した。次に、スペーサ3と、ガラス板5の両面にプライマー塗布面の上から各接着剤組成物を塗布したものとを、2枚の電着塗装板1でそのプライマー組成物塗布面が内側になるように挟み込んで、以下のi)またはii)の条件下で養生した後、スペーサ3を取り外して試験体を得た。作製した試験体を用いて、引張り速度200mm/分で剪断強度を測定した。
【0067】
i)25℃で2時間放置後に測定。
ii)25℃で7日間放置した後に測定。
【0068】
また、破壊状態を目視で観察し、接着剤が凝集破壊しているものを「CF」、被着体−プライマー間で界面剥離しているものを「AF」、プライマー−接着剤間で界面剥離しているものを「PS」とした。
【0069】
<発泡性>
剪断接着試験に用いた試験体について養生後の発泡状態を目視で観察した。ボイドの無かったものを「○」、ボイドがあったものを「×」とした。
【0070】
【表1】



【0071】
第1表中の各成分は、下記に示すとおりである。
・3官能PPG:プレミノール7001K、平均分子量6000、旭硝子社製
・4官能PPG:EXCENOL450ED、平均分子量500、旭硝子社製
・ジアミン1:ジェファーミンD4000、平均分子量4000、三井化学ファイン社製
・ジアミン2:ジェファーミンED600、平均分子量600、三井化学ファイン社製
・水:蒸留水
・コロイダル炭酸カルシウム:カルファイン200、丸尾カルシウム社製
・親水フュームドシリカ:レオロシールQS102S、トクヤマ社製
・平板状シリカ:ルーセンタイトSWN、コープケミカル社製
・触媒1(ジブチルスズジラウレート):ネオスタンU−100、日東化成社製
・触媒2(2−メチルトリエチレンジアミン):メチルダブコ、三共エアプロダクツ社製
【0072】
第1表に示す結果から明らかなように、比較例1〜3の接着剤組成物は、硬化剤中に2官能以上の活性水素含有化合物を含有しないため、接着剤中に発泡があり、十分な強度が得られなかった。また、比較例4および5の接着剤組成物は、硬化剤中に水を含有しないため、短時間(25℃×2時間)ではプライマー接着剤間の剥離またはプライマー被着体間の剥離があり、十分な強度が得られなかった。
一方、実施例1および2の接着剤組成物は、発泡もなく、短時間で優れた接着性が得られた。」

イ 特許第4242210号公報
特許第4242210号公報(以下、「甲2」という。)には、以下の事項が記載されている。

「【請求項1】
タイヤホイールにタイヤ用部材を取り付けてなるタイヤ用部材付きタイヤホイールの製造方法であって、
タイヤホイールとタイヤ用部材とを1液型湿気硬化性ウレタン樹脂を用いて接着させるタイヤ用部材接着工程を具備し、
前記1液型湿気硬化性ウレタン樹脂が、ポリエーテル骨格を有するポリオールを用いて生成されるウレタンプレポリマーを含有し、
前記タイヤ用部材付きタイヤホイールに対して、20℃において100Hzの周波数の振動を20万回与えた後に、引張せん断接着強さ試験を行った場合の、20℃における前記タイヤ用部材と前記タイヤホイールとの間の引張せん断接着強さが、2.5MPa以上となるタイヤ用部材付きタイヤホイールの製造方法。」
「【0016】
<1液型湿気硬化性ウレタン樹脂>
上記1液型湿気硬化性ウレタン樹脂とは、1液で湿気硬化するポリウレタンからなる樹脂であって、ポリオール化合物と過剰のポリイソシアネート化合物(すなわち、水酸基に対して過剰のイソシアネート基)を反応させて得られる反応生成物(以下、「ウレタンプレポリマー」という)を主な構成成分とする。
【0017】
このようなウレタンプレポリマーを生成するポリイソシアネート化合物としては、公知の1液型のポリウレタン樹脂組成物の製造に用いられるものが使用でき、その具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、・・・
【0018】
また、上記ウレタンプレポリマーを生成するポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオールを用いることができる。これらのポリオール化合物のうち、少なくともポリエーテルポリオールを用いる場合、すなわち、ポリエーテル骨格を有するポリオールがウレタンプレポリマーに含まれる場合には、硬化前の樹脂の粘度や、硬化物の弾性が優れることになるため好ましい。
【0019】
ここで、ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール・・・
【0022】
上記ウレタンプレポリマーは、イソシアネート基を1分子当たり平均で2. 0個以上有していることが好ましく、2.1個以上有していることがより好ましい。また、上記ウレタンプレポリマーの全質量に対するイソシアネート基の質量%であるイソシアネート基含有量(NCO%)は、0.5〜2.5%であることが好ましく、0.7〜2.0%であることがより好ましい。ウレタンプレポリマーのNCO%がこの範囲であれば、上記タイヤホイールと上記タイヤ用部材との接着に用いた際の硬化後の強度が十分となり、また、硬化時の発泡が少なくなる理由から好ましい。
【0023】
このようなウレタンプレポリマーとしては、市販品として横浜ゴム社製のWS202、日本シーカ社製のシーカフレックス等を用いることができる。」

ウ 特開2018−21104号公報
特開2018−21104号公報(以下、「参考文献」という。)には、以下の事項が記載されている。
なお、甲3は、本件特許に係る出願の出願日(2016年1月7日)よりも後に発行された刊行物であり、取消理由2、3で引用する刊行物には含まれない。

「【0119】
・・・
・ポリオール化合物(b3−1): プレミノール7001K(旭硝子社製:分子量6000;水酸基価29mgKOH/g;3官能ポリエーテルポオリオール)」

(4) 甲1に記載された発明
甲1の請求項1に記載の2液型ウレタン接着剤組成物は、【0002】の記載によると、自動車用の接着剤であり、その具体例として実施例1が記載されていることから、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「ウレタンプレポリマーを含有する主剤と、水と、2官能以上の活性水素含有化合物とを含有する硬化剤とからなる2液型ウレタン接着剤組成物であって、主剤が1液型ウレタン系湿気硬化型組成物、WS−202、横浜ゴム(株)製であり、
混合比(主剤/硬化剤)が10/1であり、
硬化剤は、合計100質量部に対して62部の割合の3官能PPG(プレミノール7001K、平均分子量6000、旭硝子社製)、3部の割合の4官能PPG(EXCENOL450ED、平均分子量500、旭硝子社製)、0.05部の割合の触媒1(ジブチルスズジラウレート:ネオスタンU−100、日東化成社製)、0.25部の割合の触媒2(2−メチルトリエチレンジアミン:メチルダブコ、三共エアプロダクツ社製)及び1部の割合の水を含むものである、
自動車用接着剤組成物」

(5) 本件発明1について
ア 本件発明1と甲1発明の対比
上記2のとおり、本件発明1の「ポリオール」には水は含まれないことを踏まえて対比を行う。
甲1発明の「1液型ウレタン系湿気硬化型組成物、WS−202、横浜ゴム(株)製」である「ウレタンプレポリマーを含有する主剤」は、その製造元である横浜ゴム(株)の出願に係る甲2(特許請求の範囲、【0016】〜【0023】の記載参照。)によれば、ポリオール化合物と過剰のポリイソシアネート化合物を反応させて得られる反応生成物であるから、イソシアネート基末端ポリエーテルポリオール化合物を含む組成物であると認められるので、本件発明1の「イソシアネート基末端ポリエーテルポリオール化合物を含む第1液」に相当する。

甲1発明の「3官能PPG(プレミノール7001K、平均分子量6000、旭硝子社製)」は、参考文献(【0119】を参照。)によれば、分子量6000;水酸基価29mgKOH/g;3官能ポリエーテルポリオールであり、「4官能PPG(EXCENOL450ED、平均分子量500、旭硝子社製)」は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の【0038】によれば、水酸基数4、水酸基価450[mgKOH/g]のエチレンジアミンベースのポリプロピレンテトラオールであるから、いずれも、本件発明1の第2液に含まれる「ポリオール化合物」に相当する。
甲1発明の「触媒1(ジブチルスズジラウレート:ネオスタンU−100、日東化成社製)及び「触媒2(2−メチルトリエチレンジアミン:メチルダブコ、三共エアプロダクツ社製)」は、本件発明1の「硬化触媒」に相当する。
甲1発明の「硬化剤」は、本件発明1の「ポリオール化合物及び硬化触媒を含む」を充足するので、本件発明1の「第2液」に相当する。
そうすると、甲1発明の「混合比(主剤/硬化剤)が10/1であり」は、本件発明1の「第1液と第2液の混合比率10:1で含有し」に相当する。
また、甲1発明の「2液型ウレタン接着剤組成物であって」及び「自動車用接着剤組成物」は、本件発明1の「自動車用2液型ウレタン系接着剤組成物」に相当する。

甲1発明の「硬化剤」中のポリオールは、「3官能PPG」及び「4官能PPG」のみであり、その平均水酸基価は、(29*62+450*3)/(62+3)=48mgKOH/gと計算できるから、甲1発明の「硬化剤」は、本件発明1の「第2液中の前記ポリオール化合物は、ポリオールの平均水酸基価40〜100[mgKOH/g]を有し」を充足する。
また、甲1発明の「4官能PPG」は、水酸基数4、水酸基価450[mgKOH/g]であり、「3官能PPG」と「4官能PPG」の合計の含有量に対する「4官能PPG」の割合は、3/(3+62)*100=4.6質量%と計算されるから、甲1発明は、その硬化剤中のポリオール化合物について、本件発明1の「水酸基数2.3〜10および水酸基価160〜550[mgKOH/g]を有する多官能性ポリオールを該ポリオール化合物の質量に基づいて2〜50質量%含み」を充足する。

甲1号証には、甲1発明における「第1液単独の硬化物」及び「第1液:第2液の混合比率100:10での混合物の硬化物」について、それぞれの弾性率及び伸びについて記載されてはいないものの、特許異議申立人は、甲1発明の「1液型ウレタン系湿気硬化型組成物、WS−202、横浜ゴム(株)製」である「ウレタンプレポリマーを含有する主剤」について、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の【0040】、【0041】の記載に従ってその単独の硬化物の弾性率と伸びを測定したところ、それぞれ、5.2MPa、619%であったと主張している。
そして、この主張(測定結果)は、公立の機関が作成した証明書などに基づくものではないものの、試料(WS−202、横浜ゴム(株)製)が市販品そのものであり、また、測定方法もJISに規定されたもの(【0040】、【0041】)であることから、その測定値は、試料の調製方法や測定条件、測定者の違いなどによる影響を受けることはないものであって一応信頼できるものであると認められる。
そうすると、甲1発明は、本件発明1の「第1液単独の硬化物は、5〜20MPaの弾性率および300〜850%の伸びを有し」を充足すると認められる。

また、特許異議申立人は、甲1発明の「接着剤組成物」についても、ウレタンプレポリマーを含有する主剤と硬化剤の混合比率が100:10の場合に関し、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の【0040】、【0041】の記載に従ってその硬化物の弾性率と伸びを測定したところ、それぞれ、4.6MPa、497%であったと主張している。
そして、この主張(測定結果)も、公立の機関が作成した証明書などに基づくものではないものの、試料(WS−202、横浜ゴム(株)製)や3官能PPG(プレミノール7001K、旭硝子社製など)がいずれも全て市販品であり、また、測定方法もJISに規定されたもの(【0040】、【0041】)であることから、その測定値は、試料の調製方法や測定条件、測定者の違いなどによる影響を受けることはないものであって一応信頼できるものであると認められる。
そうすると、甲1発明は、本件発明1の「第1液:第2液の混合比率100:10での混合物の硬化物は、3〜20MPaの弾性率および300〜650%の伸びを有する」を充足すると認められる。

以上によれば、本件発明1と甲1発明の一致点、相違点は、以下のとおりである。

<一致点>
「 (1)イソシアネート基末端ポリエーテルポリオール化合物を含む第1液、および
(2)ポリオール化合物および硬化触媒を含む第2液、
を第1液と第2液の混合比率10:1で含有し、
前記第2液中の前記ポリオール化合物は、
ポリオールの平均水酸基価40〜100[mgKOH/g]を有し、
水酸基数2.3〜10および水酸基価160〜550[mgKOH/g]を有する多官能性ポリオールを該ポリオール化合物の質量に基づいて2〜50質量%含み、
該第1液単独の硬化物は、5〜20MPaの弾性率および300〜850%の伸びを有し、
第1液:第2液の混合比率100:10での混合物の硬化物は、3〜20MPaの弾性率および300〜650%の伸びを有する、
自動車用2液型ウレタン系接着剤組成物。」

<相違点1>
本件発明1の第2液は、さらに、「前記第2液中の水の配合量は、第2液の全質量を基準として1質量%未満であり」と特定されているのに対し、甲1発明の「硬化剤」は、「水と、2官能以上の活性水素含有化合物とを含有する硬化剤」であって、「硬化剤は、合計100質量部に対して1部の割合の水を含む」と特定されている点

イ 判断
甲1には、「ウレタンプレポリマーを含有する主剤と、水と、2官能以上の活性水素含有化合物とを含有する硬化剤とからなる2液型ウレタン接着剤組成物。」(請求項1)、「本発明者は、更に鋭意検討した結果、接着剤組成物の硬化剤として2官能以上の活性水素含有化合物と水とを含有することにより、接着剤組成物の硬化性およびプライマー組成物と被着体との接着発現性が向上し、水による発泡も抑制できるので、硬化性および接着発現性に優れる接着剤組成物となることを知見し、本発明を完成させた。」(段落【0007】)、「本発明の組成物は、硬化剤に水を含有するものの、イソシアネート成分との反応性が水より高い2官能以上の活性水素含有化合物を含有するため、接着剤の発泡を抑制できる。更に、硬化剤中の水がプライマー中に拡散されることにより、プライマーに含有されるイソシアネート成分の架橋およびプライマーの造膜ならびにシラン化合物の加水分解による被着体との接着発現を促進することができる。したがって、本発明の組成物は、硬化性および接着発現性に優れる。」(段落【0020】)、「本発明の組成物において、水は、本発明の組成物の硬化剤中に1〜80質量%含まれるのが好ましく、5〜25質量%含まれるのがより好ましい。この範囲であると、プライマー組成物の接着発現性をより向上させることができ、発泡が生じ難くなる。」(段落【0021】)、と記載されている。
以上によれば、甲1発明において、水を含有する点は課題を解決するための手段の一部であって、欠くべからざる必須の構成であると認められ、かつ、その含有割合について1〜80質量%含まれるのが好ましく、5〜25質量%含まれるのがより好ましいとされていることから、これらの記載に接した当業者は、甲1発明の硬化剤中に含まれている水の含有量が、好ましいとされている範囲の下限値であり、わずかでも減らした場合には好ましい範囲外となることや、1質量%から増量して5〜25質量%含まれるようにすることによってより好ましい範囲の値とすることができることを理解する。
そうすると、仮に当業者が甲1発明の硬化剤中に含まれている水の含有量を変更することを着想し得たとしても、増やすことを動機づけられるのであって、例えわずかであっても減らすことを着想することはありえないと認められる。
また、本件発明1は、第1液(主剤)単独から形成される硬化物の物性と、第1液(主剤)と第2液(硬化剤)の混合物から形成される硬化物の物性の変化が小さく、完全硬化後の接着性が優れた接着性を示す(本件特許明細書の段落【0050】)という効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、甲1発明と同一であるとも、また、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。

(6) 本件発明2〜4について
本件発明2〜4は、本件発明1を直接又は間接的に引用しさらに限定したものであるところ、上記(5)のとおり、本件発明1は、甲1発明と同一であるとも、また、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められないものである。
そうすると、さらに検討するまでもなく、本件発明2〜4も、本件発明1と同様の理由により、甲1発明と同一であるとも、また、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも認められない。

(7) 本件発明5について
本件発明5は、本件訂正により削除されたから、本件発明5に対する取消理由2、3は、その対象となる特許が存在しないものとなった。

4 取消理由4について
(1) 取消理由4の概要
取消理由4は、要するに、本件発明は、第1液と第2液の混合比率が100:10ではない態様を包含しているところ、そのような態様においては課題を解決することができるとはいえない。したがって、本件発明を、「第1液」と「第2液」の配合割合がいかようでもよい(限定のない)本件発明の範囲にまで、拡張・一般化することができるとはいえない、というものである。

(2) 判断
本件訂正により、本件発明は、第1液と第2液の混合比率が100:10ではない態様を包含しないものとなったから、取消理由4は、解消した。

第5 取消理由を通知しなかった特許異議申立ての理由について
特許異議申立ての理由は、上記取消理由2〜4に対応するものであり、取消理由を通知しなかった特許異議申立ての理由はない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由のいずれによっても、本件請求項1〜4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件請求項5に係る特許異議の申立ては、対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。



 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)イソシアネート基末端ポリエーテルポリオール化合物を含む第1液、および
(2)ポリオール化合物および硬化触媒を含む第2液、
を第1液と第2液の混合比率10:1で含有し、
前記第2液中の前記ポリオール化合物は、
ポリオールの平均水酸基価40〜100[mgKOH/g]を有し、
水酸基数2.3〜10および水酸基価160〜550[mgKOH/g]を有する多官能性ポリオールを該ポリオール化合物の質量に基づいて2〜50質量%含み、
該第1液単独の硬化物は、5〜20MPaの弾性率および300〜850%の伸びを有し、
前記第2液中の水の配合量は、第2液の全質量を基準として1質量%未満であり、
第1液:第2液の混合比率100:10での混合物の硬化物は、3〜20MPaの弾性率および300〜650%の伸びを有する、
自動車用2液型ウレタン系接着剤組成物。
【請求項2】
前記硬化触媒は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、並びにそれらのフェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびギ酸塩から成る群から選択される触媒である、請求項1に記載の自動車用2液型ウレタン系接着剤組成物。
【請求項3】
前記第2液中の前記ポリオール化合物は、水酸基数4〜10および水酸基価350〜550[mgKOH/g]を有する多官能性ポリオールを該ポリオール化合物の質量に基づいて0.5〜5質量%含む、請求項または2に記載の自動車用2液型ウレタン系接着剤組成物。
【請求項4】
前記多官能性ポリオールは、水酸基価350〜550[mgKOH/g]を有するシュガーベースを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用2液型ウレタン系接着剤組成物。
【請求項5】
(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-10-20 
出願番号 P2017-559990
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C09J)
P 1 651・ 536- YAA (C09J)
P 1 651・ 113- YAA (C09J)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 亀ヶ谷 明久
特許庁審判官 瀬下 浩一
蔵野 雅昭
登録日 2019-11-29 
登録番号 6621847
権利者 サンスター技研株式会社
発明の名称 自動車用2液型ウレタン系接着剤組成物  
代理人 森住 憲一  
代理人 森住 憲一  
代理人 松谷 道子  
代理人 松谷 道子  
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