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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1381192
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-26 
確定日 2022-02-08 
事件の表示 特願2017−510589「タッチメッセージの送信システムと方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月25日国際公開、WO2016/026006、平成29年 9月14日国内公表、特表2017−527032、請求項の数(31)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)8月20日(パリ条約による優先権主張2014年8月20日、オーストラリア)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 9月 8日 上申書、手続補正書の提出
平成30年 8月20日付け 拒絶理由通知書
平成31年 2月28日 意見書、手続補正書の提出
平成31年 3月22日付け 拒絶査定
令和 元年 7月26日 審判請求書の提出
令和 2年10月30日付け 拒絶理由通知書
令和 3年 2月 4日 意見書、手続補正書の提出
令和 3年 4月21日付け 拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和 3年 9月27日 意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(平成31年3月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1ないし32に係る発明は、その優先権主張の日(以下、「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
A 特表2012−520522号公報
B 特開2011−076549号公報(周知技術を示す文献)

第3 当審拒絶理由の概要
1 令和2年10月30日付けの拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1ないし32に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1 特開平8−180003号公報
2 特表2012−520522号公報(拒絶査定時の、引用文献A)

2 令和3年4月21日付けの拒絶理由(以下、「当審拒絶理由2」という。)の概要は次のとおりである。

この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願請求項1ないし31に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明31」という。)は、令和3年9月27日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし31に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1並びに27及び28は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
タッチメッセージを送信する方法であって、
第1装置の第1のタッチ受付面への入力として第1のタッチと移動とを受付け、上記第1のタッチ及び移動の位置情報を、上記第1のタッチ受付面における第1のタッチ領域として記録し、ここで、上記位置情報は上記第1のタッチ領域を定義するものであり、
引き起こされる応答を記録し、
記録された上記第1のタッチ領域と上記応答との表現を含むメッセージを作成し、
上記メッセージを上記第1装置から第2装置に送信し、
上記第2装置の第2のタッチ受付面への入力として第2のタッチと移動を受付け、
上記第2のタッチと移動の第2の位置情報を、上記第2のタッチ受付面の第2のタッチ領域として記録し、ここで、上記第2の位置情報は上記第2のタッチ領域を定義するものであり、
上記第2のタッチ領域が上記第1のタッチ領域に、許容された正確さの範囲内で合致することを判定し、
上記第2のタッチ領域が上記第1のタッチ領域に、許容された上記正確さの範囲内で合致する場合、上記応答を引き起こす、方法。」

「【請求項27】
タッチメッセージを送信する方法であって、
第1のタッチと移動を第1装置の第1のタッチ受付面への入力として受付け、上記第1のタッチと移動の位置情報を、上記第1のタッチ受付面における第1のタッチ領域として記録し、ここで、上記位置情報は上記第1のタッチ領域を定義するものであり、
第2のタッチ受付面のタッチが合致する場合に、引き起こされる応答を記録し、
記録された上記第1のタッチ領域と、上記応答との表現を含むメッセージを作成し、
第2のタッチと移動を第2装置の第2のタッチ受付面への入力として受信するときに、上記第2のタッチと移動の位置情報を上記第1のタッチ領域と対照することができ、上記第2のタッチと移動が許容された正確さの範囲内で上記第1のタッチ領域内にあるとき、上記応答を引き起こすことができるように、上記第1装置から第2装置に上記メッセージを送信する、方法。」

「【請求項28】
第2装置でタッチメッセージを受信する方法であって、
第1装置から、記録された第1のタッチ領域と、第2タッチ受付面の第2タッチ領域内に第2タッチと移動が合致する場合に引き起こされる応答との表現を含むメッセージを受信し、ここで、上記第1のタッチ領域は、上記第1装置の第1タッチ受付面で受け付けられる第1のタッチと移動の位置情報によって定義され、
上記第2装置の第2のタッチ受付面において第2のタッチと移動を受付け、上記第2のタッチと移動の位置情報を、上記第2のタッチ受付面における第2のタッチ領域として記録し、ここで、上記位置情報は上記第2のタッチ領域を定義するものであり、
上記第2のタッチ領域の上記位置情報が、許容された正確さの範囲内で、上記第1のタッチ領域の上記位置情報に合致することを判定し、
記第2のタッチ領域の上記位置情報が、許容された正確さの範囲内で、上記第1のタッチ領域の上記位置情報に合致する場合、上記応答を引き起こす、方法。」

なお、本願発明2ないし26及び29ないし31の概要は以下のとおりである。

本願発明2ないし26は、本願発明1を減縮した発明である。
また、本願発明29ないし31は、それぞれ本願発明1並びに27及び28に対応する「装置」の発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
当審拒絶理由1に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子メールにおいて行う処理の実行を支援する電子メールシステムに関する。」

「【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付の図面を用いて説明する。
【0015】本実施例では、電子メールの送信者があらかじめ登録した、送信する電子メールにおいて受信者に要求する処理を、当該電子メールの受信者が、直感的かつ容易に実行できる手段を提供する。
【0016】また、電子メール送信者が、受信者に要求する処理を、容易に定義することを可能とするため、前記送信する電子メールにおいて受信者に要求する処理を電子メールの送信者が電子メールの付加情報として簡単に登録する手段と、前記あらかじめ登録した個々の処理を組み合せることで、送信した電子メールの受信者に要求する処理を時系列に定義できる手段とを提供する。
【0017】最初に、本発明の一実施例にかかるシステムの構成を説明する。
【0018】図1は、本発明の一実施例にかかるシステムの構成図である。
【0019】図1に示すように、本実施例にかかるシステムは、情報処理装置101a〜cと、電子メールの送受信に関する制御を行うメールサーバ102とがLAN103により、相互に接続されて構成されている。これら情報処理装置101a〜101cおよびメールサーバ102は、メールサーバ102を介して、互いに電子メールの送受信を行うことが可能である。なお、このメールサーバ102は、後述するが、情報処理装置101a〜101cと同等なハードウェア構成を備えた情報処理装置である。
【0020】またゲートウェイ等を介してLAN間を相互に接続すれば、一方のLANに接続されている情報処理装置と、他方のLANに接続されている情報処理装置との間で電子メールの送受信を行うことも可能である。
【0021】なお、参考として、電子メールの詳細については丸善株式会社発行・ローカルエリアネットワークに、また、LAN間の相互接続の詳細については株式会社ソフト・リサーチ・センター発行のTCP/IPインターネットワーキングに記載されている。
【0022】ここで、本実施例に係るシステムを構成する情報処理装置、すなわち図1の情報処理装置101a〜101cおよびメールサーバ102のハードウェア構成およびソフトウェア構成について説明する。
【0023】まず、本実施例にかかるシステムを構成する情報処理装置のハードウェア構成を説明する。
【0024】図2に本実施例にかかるシステムを構成する情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す。なお本実施例にかかるシステムを構成する情報処理装置は、図2の情報処理装置101aと同等なハードウェア構成を備える。
【0025】本実施例にかかるシステムを構成する情報処理装置は、中央処理装置(CPU)201と、主メモリ(MM)202と、ビデオメモリ(VRAM)203と、キーボード(KB)204と、マウス(MS)205と、ディスプレイ装置(CRT)206と、固定ディスク装置(HDD)207と、通信制御ユニット(CDRV)208とを備え、これらの各周辺機器はバス209よって接続されている。中央処理装置(CPU)201は、主メモリ(MM)202上に記憶した電子メールの送受信に関する各種プログラムの実行と、バス209よって接続された各周辺機器の制御を行う。電子メールの送受信等を行う際の指示入力等は、キーボード(KB)204及びマウス(MS)205から行われる。ディスプレイ装置(CRT)206上には、中央処理装置(CPU)201の指示により、ビデオメモリ(VRAM)203に格納した画面表示データの内容が表示される。固定ディスク装置(HDD)207は、電子メールの送受信等に関する各種プログラムやデータの保存を行う。通信制御ユニット(CDRV)208は、LAN103に接続し、LAN103上の他の情報処理装置との通信の制御を行う。これら各周辺機器間のデータの転送はバス209により行われる。
【0026】また、本実施例における情報処理装置としては、図中、情報処理装置101や情報処理装置101cのように、入力装置として、前述のキーボード(KB)204やマウス(MS)205の代わりに、ディスプレイ装置(CRT)206上で指やペンを用いるものであってもよい。
【0027】以上で、本実施例にかかるシステムを構成する情報処理装置のハードウェア構成の説明を終わり、以下、前述したように、本実施例における情報処理装置のソフトウェア構成を説明する。
【0028】図3は本実施例における情報処理装置のソフトウェア構成の一例であり、図中の各ブロックは情報処理装置の主記憶に記憶されたデータにより実現される。
【0029】図3において、301は、本実施例にかかる電子メールの送受信処理を行う電子メール送受信処理制御プログラムである。302は、LAN上の他の情報処理装置との間でデータを送受信を行うための制御を行うネットワーク・オペレーティング・システム・プログラムである。303は、オペレーティング・システム・プログラムであり、本実施例にかかる電子メールの送受信に関するプログラムの実行の制御、本実施例にかかるシステムに関するデータを保持したファイルの管理等を行う。
【0030】このような構成を前提として、以下、本実施例にかかるシステムにおける動作について説明する。
【0031】先にも述べたように実施例にかかるシステムは、電子メールの送信者があらかじめ登録した、送信する電子メールにおいて受信者に要求する処理を、当該電子メールの受信者が、直感的かつ容易に実行できる手段を提供する。
【0032】また、電子メール送信者が、受信者に要求する処理を、容易に定義することを可能とするため、前記送信する電子メールにおいて受信者に要求する処理を電子メールの送信者が電子メールの付加情報として簡単に登録する手段と、前記あらかじめ登録した個々の処理を組み合せることで、送信した電子メールの受信者に要求する処理を時系列に定義できる手段とを提供する。
【0033】まず、本実施例において提供される電子メールの送信者があらかじめ登録した、送信する電子メールにおいて受信者に要求する処理を、当該電子メールの受信者が容易に実行できる手段について説明する。
【0034】なお、ここで述べている、送信する電子メールにおいて受信者に要求する処理とは、例えば、電子メールを指定した送信先に順次送信する回覧処理、受信者が、受信した電子メールの送信元へ返信用の電子メールを送信する返信処理、指定した送信先へ受信した電子メールを送信する転送処理、電子メールに添付されているデータの内容を表示する参照処理、送信した電子メールを受信者が開いたことを自動的に送信元に通知する開封確認処理、受信した電子メールをファイルとして保存する複写処理、受信した電子メールを削除する削除処理などの処理である。 図4に、電子メールのメッセージ作成ウィンドウ上に表示された表示メッセージの一例を示す。
【0035】図4において、400は電子メールメッセージを作成するメッセージ作成ウィンドウ、401は電子メールのメッセージを表示するメッセージ表示部、402は電子メールにおいて送信者が要求する処理を実行する機能ボタンであり、詳細は後述するが、図5に示すようなデータ構造を持った管理テーブルに必要な情報が登録されている。また、403は、機能ボタン402により実行される処理内容を表すボタン名称である。
【0036】電子メールの受信者は、受信した電子メールのメッセージ表示部401上に表示された機能ボタン402を指示、実行するだけで、送信者が要求する処理を容易にかつ確実に実行することができる。また、送信者がメッセージ表示部401上の機能ボタン402の配置位置、機能ボタン402上のボタン名称403等を考慮することによって、受信者はより円滑に操作することが可能となる。例えば図4に示したように、メッセージのすぐ下にそのメッセージに対応した処理を行う機能ボタンを配置すれば、メッセージを読み下してきた受信者は自然な流れで操作できる。さらに、機能ボタン402上のボタン名称403が実行する処理を簡略で、判り易く表現しているので受信者は戸惑うことなく操作できる。このような処理実行手段は、キーボードやマウスを持たない携帯型情報端末にとっても有効であると考えられる。
【0037】なお、この機能ボタン402は、他の図形要素、例えばアイコン等で代替することも可能である。
【0038】以上で、本実施例において提供される電子メールの送信者があらかじめ登録した、送信する電子メールにおいて受信者に要求する処理を、当該電子メールの受信者が容易に実行できる手段についての説明を終わる。ところで、本実施例にかかるシステムでは、前記実行手段、すなわち機能ボタンにより、電子メール受信者に処理を実行させるが、その処理については、メールデータに関する説明が終わった後、すなわち以下に述べる送信するメールデータ作成のために送信者が行う一連の処理の説明の後で、説明する。
【0039】次に、電子メール送信者が、受信者に要求する処理を、容易に定義することを可能とするために提供される、前記送信する電子メールにおいて受信者に要求する処理を電子メールの送信者が電子メールの付加情報として簡単に登録する手段と、前記あらかじめ登録した個々の処理を組み合せることで、送信した電子メールの受信者に要求する処理を時系列に定義できる手段について説明する。
【0040】まず、本実施例において提供される、送信する電子メールにおいて受信者に要求する処理を電子メールの送信者が電子メールの付加情報として簡単に登録する手段、すなわち,前述した図4の機能ボタン402が処理を実行するために必要な情報を図5に示す管理テーブルに登録する手段について説明する。
【0041】その前に、図5に示す管理テーブルの詳細について説明しておく。
【0042】図5は、図4に示した機能ボタンの機能を登録するための管理テーブルのデータ構造の一例である。なお、本実施例にかかるシステムを構成する情報処理装置が、共通の管理テーブルを参照できるように、図5に示す管理テーブルを共有するか、データ内容が等しい管理テーブルをそれぞれ保持する。そのための手段として、ネットワーク上にファイルサーバを設けたり、当該管理テーブルを本システムを構成する情報処理装置に配布する等が考えられる。
【0043】図5に示すように、各管理テーブルはリストで連結してあり、510は管理テーブルリストのヘッダ部であり、当該管理テーブルに登録済みの機能ボタンの個数を格納する領域511、管理テーブルリストの先頭管理テーブルのポインタを格納する領域512を保持する。520は、機能ボタンに関する情報を保持する管理テーブルであり、機能ボタンの識別子であるボタンIDを格納する領域521、機能ボタン上に表示されるボタン名称を格納する領域522、実行する処理の識別子である機能IDを格納する領域523、機能ボタンの形状データを格納するデータへのポインタを格納する領域524、前管理テーブルへのポインタを格納する領域525、次管理テーブルすなわち管理テーブル541へのポインタを格納する領域526を保持する。ただし、ここで述べた機能IDは、機能テーブル530に、電子メールの送受信おいて実行する処理に対応付けられて、あらかじめ登録されている。さて、機能テーブル530のデータ構造であるが、図5に示すように、機能IDを格納する領域531に対応して、処理の機能名称を格納する領域532、処理の機能の概略情報を格納する領域533(登録済みの機能ボタンに関する情報を確認する、図8の機能ボタン一覧ウィンドウにおいて表示される。なお詳細は後述する。)、処理の実行を指示するコマンド等を記述したスクリプトを格納する領域534を保持する。なお、機能ボタンの形状データは、あらかじめ保持されている必要があり、本実施例においては機能ボタンの形状データを記憶領域に保持している。
【0044】さて、前述したように、本実施例において、このような管理テーブルに、機能ボタンに関する情報を登録する手段として、図6に示すような操作画面を提供する。
【0045】図6は、機能ボタンに関する情報を登録する操作画面の一例である。
【0046】図6において、600は機能ボタン定義ウィンドウであり、機能ボタンに関する情報を登録する操作画面である。601はボタン名称入力欄であり、任意のボタン名称522の入力を受け付ける。602は、機能ボタンの図形的イメージを表示するエリアである。604は機能一覧表示エリアであり、図5に示した機能テーブル530に格納した機能名称532の一覧を表示し、表示した一覧の中から任意の機能名称の選択を受け付ける。603は機能名称入力欄であり、機能一覧表示エリア604に表示されている機能名称一覧の中から選択された機能名称が入力される。605は、機能ボタンに関する情報の登録を指示、実行する定義ボタン、606は、現在機能ボタン定義ウィンドウ600で行っている機能ボタンに関する情報の登録のための処理を中断し、無効とするキャンセルボタンである。
【0047】電子メールの送信者は、このような機能ボタン定義ウィンドウ600において、容易に、機能一覧表示エリア604から所望の処理を選択し、メッセージ内容に適した、受信者に判り易いボタン名称を定義することができる。
【0048】ここで図5、図6を参照しながら、機能ボタン定義ウィンドウを用いて機能ボタンに関する情報を管理テーブルに登録する処理手順を図7にまとめておく。
【0049】図7は、本実施例にかかるシステムにおいて、機能ボタンに関する情報を登録する処理の手順を示したフローチャートである。
【0050】図7において、701でユーザの指示により機能ボタン定義ウィンドウ600がオープンされると、702で機能テーブル530内に格納されているデータを読みだし、703で機能一覧表示エリア504に、702で読みだしたデータに格納される機能名称532の一覧を表示する。704で、電子メールのメッセージ作成者すなわち電子メールの送信者からの入力を待つが、機能名称が入力された場合、705へ続く処理に進み、ボタン名称が入力された場合、706へ続く処理に進み、定義ボタンが押下された場合、708へ続く処理に進み、キャンセルボタンが押下された場合、機能ボタン定義ウィンドウ600を閉じ、現在行っている登録処理を無効とし終了する。
【0051】さて、704で、機能名称が入力された場合の処理について説明する。704において機能一覧表示エリア604により表示される機能名称一覧の中から特定の機能名称の選択を受け付けると、705において704で選択を受け付けた機能名称を機能名称入力欄603内に更新表示する。以上の処理をおこなった後、再び704の入力待ちの状態に戻る。
【0052】さて、704で、ボタン名称が入力された場合の処理について説明する。704において、ボタン名称が入力されると、706において機能ボタンの図形イメージを表示し、さらに707において、704で入力されたボタン名称を機能ボタンの図形イメージ上に更新表示する。以上の処理をおこなった後、再び704の入力待ちの状態に戻る。
【0053】さて、704で、定義ボタンが押下された場合の処理について説明する。704において定義ボタンが押下されると、708において機能名称およびボタン名称が入力されているかチェックを行う。ここで、どちらか一方でも未入力であれば再び704の入力待ちの状態に戻る。一方、両方とも入力されていると判断された場合は、709で、図5に示すデータ構造をもった新たな管理テーブルを格納する領域を確保し、入力された機能名称、ボタン名称、形状データを登録する。さらに、この新たな管理テーブルを既存の管理テーブルのリストに挿入し、管理テーブルリストのヘッダ部510に保持された登録済みの機能ボタンの個数511を更新する。
【0054】このような処理によって、管理テーブルに機能ボタン定義ウィンドウを用いて機能ボタンに関する情報を容易に登録することが可能となる。なお、この機能ボタンが他の図形要素で代替できることは先にも述べたが、図形以外の要素、例えば文字列のみであっても良い。この場合は、図5の管理テーブル520に形状データ424を登録する代わりに、文字列データ(文字コードや文字フォントの種類・サイズ等)を登録すれば良い。ところで、このような機能ボタンに関する情報の登録は、電子メールのメッセージ作成者すなわち電子メールの送信者が行っても良いし、メールシステムの管理者が予め行っておいても良い。また、メールアプリケーションの提供者が、図5に示す機能テーブル530に、提供するメールアプリケーションを登録する際に、予め行っておいても良い。
【0055】以上で、送信する電子メールにおいて受信者に要求する処理を電子メールの付加情報として簡単に登録する手段に付いての説明を終わる。
【0056】以下、本実施例において提供される、前述の管理テーブルにあらかじめ登録した個々の処理を組み合せることにより送信した電子メールの受信者に要求する処理を時系列に定義できる手段に付いて説明する。
【0057】ところで、管理テーブルにあらかじめ登録した個々の処理を組み合せるためには、管理テーブルに既に登録されている機能ボタンに関する情報を確認する必要がある。このため、本実施例にかかるシステムでは、先にも述べたように、登録済みの機能ボタンに関する情報を確認する、図8に示すような機能ボタン一覧ウィンドウ800を提供する。図8は、本実施例にかかる機能ボタン一覧ウィンドウ800の一例であり、810は機能ボタンの図形イメージの表示エリア、820は機能ボタンが実行する処理の概略を表す機能概略(前述した図5の機能テーブル530における機能概略533)を表示するエリアである。
【0058】では、この機能ボタン一覧ウィンドウ800を表示する際に作成されるデータの構造について、図9にその一例を示し、説明する。
【0059】図9において、テーブル900は、機能ボタン一覧ウィンドウ800内での機能ボタン810の表示位置情報を格納する領域910、機能ボタンの識別子を示すボタンIDを格納する領域920を対応付けて保持している。
【0060】ただし、このボタンIDは、前述の管理テーブル520(図5参照)に保持されているボタンID520に対応している。従って、このボタンIDをキーとして管理テーブル520のリスト(図5参照)を検索することで、対応する機能ボタンのボタン名称522、機能ID543、形状データポインタ424を得ることができる。結果、得られた機能ID543をキーとして機能テーブル530(図5参照)を検索することで、対応する機能ボタンの機能概略533を得ることができる。また、得られた形状データポインタ424から、機能ボタンを表示するために必要な形状データを得る。
【0061】一方、機能ボタン一覧ウィンドウ800内での機能ボタン810の表示位置は、ボタンIDに対して一意に決定される。
【0062】このようなテーブルを参照することによって、各機能ボタンについて、機能ボタン一覧ウィンドウ800内での表示位置情報、機能概略、ボタン名称、形状データを取得し、前述の機能ボタン一覧ウィンドウ800内に機能ボタンの一覧810、及び機能概略820を表示する。
【0063】前述したように、本実施例では、図8の機能ボタン一覧ウィンドウ800において管理テーブルに登録済みの機能ボタンに関する情報を確認しながら、個々の処理を組み合せて、電子メールの受信者に要求する処理を時系列に定義する手段を提供する。以下、この詳細について、図10を用いて説明する。
【0064】図10は、管理テーブルに登録済みの処理を組み合せて、電子メールの受信者に要求する処理を時系列に定義する、すなわち処理フローを定義する処理フロー定義ウィンドウの一例である。
【0065】図10において、1000は処理フロー定義ウィンドウであり、ウィンドウ内はセルに分割され、このセルには、機能ボタン一覧ウィンドウ800で選択した機能ボタンを配置することができる。
【0066】また、この処理フロー定義ウィンドウ1000内に表示されている各機能ボタンを線(片方向の矢印)で連結することによって、処理フローを定義する。
【0067】なお、この機能ボタンの選択、セル内への配置および連結操作は、マウスカーソル1002によって行う。
【0068】また、図中、1001は終了ボタンであり、定義した処理フロー情報の保存の実行と、処理終了を指示する。
【0069】さて、定義した処理フロー情報を保存するデータの構造であるが、図11を用いて、以下に説明する。なお、この図11に示す処理フロー情報を保存するデータは、後述の図15に示す電子メールのメッセージ上に配置した機能ボタンに関する情報を保存するデータとともに送信する電子メールのメールデータに付加される。
【0070】ここで、図10に示す方向に、X軸、Y軸をとり、処理フロー定義ウィンドウ1000上でのセルの位置を(X,Y)で表すことにする。
【0071】図11において、1120は、セルに関する情報を、セル毎に保持するセル情報テーブルである。図に示すように、各セル情報テーブルは、リストで連結されており、セル情報テーブルのリストのヘッダ部1110は処理フローの識別子を示す処理フローIDを格納する領域1111、当該処理フローの名称を示す処理フロー名称を格納する領域1112、当該処理フローの開始セル情報テーブルのポインタを格納する領域1113を保持する。また、セル情報テーブル1120は、当該セルに配置される機能ボタンのボタンIDを格納する領域1121、当該セルに対して一意に割り当てられたセル番号(例えば、(1、1))を格納する領域1122、当該機能ボタンによって実行される処理に与えるパラメータを格納する領域1123、次の処理を行う機能ボタンを配置したセルのセル情報テーブルのポインタを格納する領域1124を保持する。ここで、パラメータとは、機能ボタンに対応した処理を実行するために必要な情報であり、例えば、添付データを参照する参照機能の場合には、参照するファイルの名称や参照に用いるアプリケーションソフトの名称等の情報がパラメータとなる。ただし、機能ボタンに対応する処理を実行する際に、パラメータを必要とする場合にのみ、この情報は格納領域1123に格納される。ただし、セル情報テーブルに保持されるボタンIDは、前述の管理テーブル(図5参照)に保持されるボタンID521に対応する。従って、このボタンIDをキーとして管理テーブル520のリスト(図5参照)を検索することで、セルに配置した機能ボタンのボタン名称522、機能ID543等を得ることができ、さらに、得られた機能ID543をキーとして機能テーブル530(図5参照)を検索することで、対応する機能ボタンの機能概略533を得ることができる。
【0072】このように、定義した処理フロー情報を保存するデータの構造が、セル情報テーブルのリストとなっているので、電子メールの受信者に要求する処理を時系列に定義することが可能となる。すなわち、このリストをたどることによって、受信者の処理の実行順番が決定する。
【0073】なお、分岐処理を定義する場合などには、セル情報テーブルにおいて、処理フローの開始セル情報テーブルのポインタの格納領域を複数確保したり、次セル情報テーブルのポインタの格納領域を複数確保することが可能である。
【0074】ここで、図10を参照しながら、処理フローを定義する処理手順を図12にまとめておく。
【0075】図12は、本実施例にかかるシステムにおいて、処理フローを定義する処理のの手順を示したフローチャートである。
【0076】図12において、まず、1201で、ユーザの指示により処理フロー定義ウィンドウ1000、機能ボタン一覧ウィンドウ800(図10参照)をオープンする。このとき、既に登録済みの処理フローを更新する場合は、定義済み処理フロー一覧を表示し、更新する処理フローの選択を受け付け、対応する処理フロー定義ウィンドウをオープンする。その後1202で、処理フロー定義ウィンドウへの入力が行われるのを待つ。この入力とは、マウス等の操作により行われる、前述の機能ボタンの選択、セル内への配置および連結操作のことである。ここで、機能ボタンのセル内への配置が行われた場合は1203に続く処理を行い、機能ボタンの連結が行われた場合は1204に続く処理を行い、終了ボタンが押下された場合は、1205に続く処理を行う。
【0077】さて、機能ボタンのセル内への配置が行われた場合の処理を説明する。1203で、新規のセル情報テーブルのデータ領域確保し、機能ボタン一覧ウィンドウ800で指示された機能ボタンのボタンIDと、当該セルの割り当てられたセル番号を当該新規のセル情報テーブル1120に登録する。なお、配置された機能ボタンの実行する処理にパラメータが必要な場合は、ユーザにパラメータの入力を要求し、受け付けたパラメータ値をセル情報テーブル1120のパラメータを格納領域1123に格納する。この入力を要求する手段としては、パラメータ入力用ボックス等を用いても良い。逆に、セル内から機能ボタンが取り除かれた場合は、セル情報テーブルリストを検索し、該当する機能ボタンIDを保持したセル情報テーブルを、セル情報テーブルリストから削除する。そして、再度1202に戻り、入力待ちを行う。
【0078】さて、機能ボタンの連結が行われた場合、すなわち処理フロー定義ウィンドウ1000において、指示された2つの機能ボタンを、一方向の矢印で連結する場合の処理を説明する。処理フロー定義ウィンドウ1000において、相互に連結される機能ボタンが指示されると、まず、最初に指示された機能ボタンが配置されたセル(矢印の始点)のセル情報テーブル1020の、次セル情報テーブルのポインタ格納領域1024に、後に指定された機能ボタン(矢印の終点)の配置されたセルのセル情報テーブルのポインタを格納する。すなわち、新たに連結された機能ボタンの配置されたセルのセル情報テーブルをセル情報テーブルリストに加える。逆に、機能ボタンの連結が解除された場合は、対応するセルのセル情報テーブル1020に格納された次セル情報テーブルへのポインタを削除する。
【0079】さて、終了ボタンが押下された場合の処理を説明する。セル情報テーブルのリストのヘッダ部1110の新規登録、もしくは更新を行う。処理フローを新規に作成した場合には、作成者からの、処理フロー名称の入力を受け付け、当該処理フローデータに処理フローIDを一意に割り振った後、それぞれヘッダ部1110の処理フロー名称の格納領域1112、処理フローIDの格納領域1111に格納し、さらに当該処理フローの開始セル情報テーブルのポインタを、開始セル情報テーブルのポインタの格納領域1113に格納する。ここで、処理フローの開始セル情報テーブルのポインタとは、いづれの機能ボタンからの矢印の終点とはならない機能ボタンが配置されている全てのセルのセル情報テーブルのポインタのことである。従って、これが複数ある場合は、前述したように、格納領域も複数確保する。また、処理フローの変更が行われた場合には、処理フロー名称の変更が行われた場合のみ、ヘッダ部1110の更新、すなわち処理フロー名称1112の更新を行う。
【0080】このような一連の処理により、電子メールの送信者は、容易に、電子メールの受信者に要求する個々の処理を組み合せて、その処理の実行を時系列に定義することが可能となる。
【0081】以上で、本実施例において提供される、前述の管理テーブルにあらかじめ登録した個々の処理を組み合せることにより送信した電子メールの受信者に要求する処理を時系列に定義できる手段に付いて説明を終わる。
【0082】では、このように処理フロー情報に登録された機能ボタンを、電子メールの送信者は、メッセージ作成の際、当該メッセージ上に配置するが、以下、このときの処理について説明する。
【0083】ここで、メッセージ作成の際に用いるメッセージ作成ウィンドウの一例を図13に示す。図13に示すように、電子メールの送信者は、まず、メッセージ作成ウィンドウ400上のメッセージ表示部401に、メッセージを作成する。その後、後述の操作方法により、所望の機能ボタンを配置していく。
【0084】では、このような電子メールのメッセージ上に、処理フロー情報に登録された機能ボタンを配置する操作方法を図14を用いて説明する。
【0085】図14中の処理フロー定義ウィンドウ1000には、送信する電子メールに対して、送信者が設定した処理フロー情報が表示されている。この処理フロー定義ウィンドウ1000上に表示された機能ボタンを、マウスカーソル1002により指示、選択し、メッセージ作成ウィンドウ400に表示されたメッセージ上の所望の位置に移動する。
【0086】次に、まず、電子メールのメッセージ上に配置した機能ボタン情報を保存するデータの構造を説明してから、電子メールの送信者が、メッセージ作成の際、処理フロー情報に登録された機能ボタンを当該メッセージ上に配置するときの処理について説明する。
【0087】なお、前述したが、この図15に示すデータは、図11に示す処理フロー情報を保存するデータとともに送信する電子メールのメールデータに付加される。
【0088】図15において、1520は、電子メールのメッセージ上に配置した機能ボタンに関する情報を、機能ボタン毎に保持するテーブルである。図に示すように、各テーブルは、リストで連結されており、テーブルのリストのヘッダ部1510は、処理フローの識別子である処理フローIDを格納する領域1512、メッセージ上に配置した機能ボタンの個数を格納する領域1512、メッセージ上に配置した機能ボタン情報のテーブルリストの先頭テーブルへのポインタを格納する領域1513を保持する。また、テーブル1520には、メッセージ上の機能ボタンの配置位置を格納する領域1521、処理フロー定義ウィンドウにおいて当該機能ボタンが配置されていたセルに割り当てられたセル番号を格納する領域1522、前テーブルへのポインタを格納する領域1523、次テーブルへのポインタを格納する領域1524を保持する。
【0089】以下、前述したように、電子メールの送信者が、メッセージ作成の際、処理フロー情報に登録された機能ボタンを当該メッセージ上に配置するときの処理を図16を用いて説明する。
【0090】図16は、本実施例にかかるシステムにおいて、電子メールのメッセージ上に、処理フロー情報に登録された機能ボタンを配置し、その情報を保持した図15に示すデータを作成する処理の手順を示したフローチャートである。
【0091】図16において、まず、1601で、ユーザの指示によりメッセージ作成ウィンドウ400、及び、処理フロー定義ウィンドウ1000(図14参照)をオープンする。その後1602で、メッセージ上への、機能ボタンの配置の指示の入力が行われるのを待つ。この入力とは、マウスカーソル1002により行われる、前述の、処理フロー定義ウィンドウ1000での機能ボタンの指示、選択、メッセージ上への移動操作のことである。ここで、機能ボタンのメッセージ上への配置が行われた場合は1603に続く処理を行い、終了ボタンが押下された場合は、メッセージ上への機能ボタン配置処理を終了する。
【0092】さて、機能ボタンがメッセージ上へ配置された場合の処理を説明する。
【0093】1603で、当該機能ボタンのメッセージ上での配置位置を取得する。次に、1604において、新規のテーブル1520(図15参照)領域を確保し、1603で取得した、メッセージ上での機能ボタンの配置位置、処理フロー定義ウィンドウ1000上で当該機能ボタンが配置されていたセルのセル番号を格納する。その後、1602に戻り、再度入力待ちを行う。
【0094】このような処理により、電子メールの送信者は、容易に、受信者に要求する処理に対応する機能ボタンをメッセージ上に配置することができる。同時に、電子メールのメールデータに付加される、図15に示すデータが作成される。
【0095】以上で処理フロー情報に登録された機能ボタンを、電子メールのメッセージ上に配置する処理の説明を終わる。
【0096】さて、前述したように、送信する電子メールのメールデータに付加するデータ関する説明が終わったので、以下、電子メール受信者に処理を実行させるための処理について、図4に示したメッセージ内容の電子メールを一例にして、図17、図18、図19を用いて説明を用いて説明する。
【0097】ここで、受信された電子メールは、前述の方法により作成されたもの、すなわち図11に示すデータ構造の処理フロー情報と、図15および図19に示すデータ構造の機能ボタン情報とが付加情報としてメールデータに付加されたものである。
【0098】図17は、図4に示した電子メールの受信者に処理を遂行させる処理の手順を示したフローチャートである。
【0099】図18は、メッセージ作成(図4参照)の際に、処理フロー情報を定義した処理フロー定義ウィンドウである。
【0100】図19は、図4に示した電子メールに付加される、電子メールのメッセージ上に配置した機能ボタンに関する情報を保存したデータの構造である。
【0101】図17において、電子メール受信者により電子メールが開かれると、まず、1701で、メッセージを表示する。次に、1702で、図19に示す各テーブル1921、1931、1941、1951に格納された、メッセージ上での機能ボタンの表示位置情報とセル番号とを読み出す。次に、得られたセル番号をキーとして、図11に示す処理フロー情報を検索し、対応するボタンIDを得る。更に、得られたボタンIDをキーとして、管理テーブルのリスト(図5参照)を検索することで、対応するボタンIDのボタン名称522および形状データ524を得て、機能ボタンをメッセージ上の該当位置に表示する(図4参照)。機能ボタンの表示が終了したら、以下、処理フロー情報に登録された順番に従い、すなわち、セル情報テーブルのリスト(図11参照)をたどり、処理対象となる機能ボタンを決定する。ここでは、1703で、処理対象を処理フロー情報の処理フロー開始セルの機能ボタン(「参照」)とし、1704で、処理対象の機能ボタンに対する入力を待ち、当該機能ボタンに対する入力を受け付けた場合は、1705に続く処理を行う。このとき、処理対象以外の機能ボタンに対して入力が行われても、処理は行わない。ここで、処理対象以外の機能ボタンを半輝度表示し入力対象ではないことを明示すると、処理対象が明確であり、ユーザの誤操作を防ぐことができる。また、処理対象以外の機能ボタンに対して入力が行われた場合、ユーザに注意を促すため、警告音を鳴らす、警告メッセージを表示する等の処理を行ってもよい。
【0102】さて、1704で、処理対象の機能ボタンに対する入力を受け付けた場合の処理を説明する。1705で、当該機能ボタンに定義されている機能を実行し、セル情報テーブルのリスト(図11参照)をたどり、現在参照しているセル情報テーブルの次のセル情報テーブルに登録された機能ボタンを処理対象として、1704に戻る。セル情報テーブルのリストの最後のセル情報テーブルを参照するまで、この処理を繰り返し、セル情報テーブルのリストの最後のセル情報テーブルを参照した場合は、その機能実行後、処理フローを終了する。なお、各機能ボタンに対応する処理は、入力を受け付けた機能ボタンのボタンIDをキーとして、管理テーブルのリスト(図5参照)を検索することで、機能ID521を得て、さらに、得られた機能ID543をキーとして、機能テーブル530(図5参照)を検索することで、機能IDの示す機能スクリプト534を得ることにより実行される。
【0103】このような一連の処理により、電子メールの受信者に、あらかじめ定義した処理順序通りに処理を遂行させることができる可能となる。すなわち、電子メールの受信者は、承認・回覧・返信・添付資料参照等の電子メールに関する処理を確実に行うことができる。また、必ずしも処理フローを定義する必要はなく、処理に順番を付ける必要がない場合には、処理を実行する機能ボタンを電子メールのメッセージ上に配置するだけでもよい。この場合には、図8に示した機能ボタン一覧ウィンドウから、直接、送信する電子メールのメッセージ上に所望の機能ボタンを配置する方法等が考えられる。
【0104】ところで、このようにして作成されたメールデータは、テキストデータ以外に処理フローに関するデータを含み、通常のメッセージだけのメールデータとは異なる。従って、本実施例に係るシステムにおいて作成されるメールデータの先頭部分に識別コードを付加し、テキストのみの通常のメールデータと区別し処理する必要があるが、このような一種類以上のメールデータの区別・処理方法についての従来技術は、特開平5-68053に記述されている。
【0105】
【発明の効果】そこで本発明に係る電子メールシステムによれば、電子メールの送信者があらかじめ登録した、送信する電子メールにおいて受信者に要求する処理を、当該電子メールの受信者が直感的、かつ容易に実行することができる。」

上記記載から、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

「情報処理装置101a〜cと、電子メールの送受信に関する制御を行うメールサーバ102とがLAN103により、相互に接続されて構成されている電子メールシステムにおいて、
電子メールの送信者は、機能ボタン定義ウィンドウ600において、機能一覧表示エリア604から所望の処理を選択し、メッセージ内容に適した、受信者に判り易いボタン名称を定義するとともに、形状データを登録し、
電子メールの送信者は、メッセージを作成し、その後、受信者に要求する処理に対応する機能ボタンをメッセージ上に配置し、
送信した電子メールの受信者により、電子メールが開かれメッセージを表示し、次に、機能ボタンをメッセージ上の該当位置に表示し、処理対象の機能ボタンに対する入力を待ち、
電子メールの受信者は、受信した電子メールのメッセージ表示部上に表示された機能ボタンを指示、実行する、
電子メールにおいて行う処理の実行を支援する方法。」

また、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。

「情報処理装置101a〜cと、電子メールの送受信に関する制御を行うメールサーバ102とがLAN103により、相互に接続されて構成されている電子メールシステムにおいて、
電子メールの送信者により、メッセージを作成し、その後、機能ボタン定義ウィンドウ600において、機能一覧表示エリア604から所望の処理を選択し、メッセージ内容に適した、受信者に判り易いボタン名称を定義するとともに、形状データを登録した受信者に要求する処理に対応する機能ボタンをメッセージ上に配置した、電子メールを、
送信した電子メールの受信者により、電子メールが開かれメッセージを表示し、次に、機能ボタンをメッセージ上の該当位置に表示し、処理対象の機能ボタンに対する入力を待ち、
電子メールの受信者は、受信した電子メールのメッセージ表示部上に表示された機能ボタンを指示、実行する、
電子メールにおいて行う処理の実行を支援する方法。」


2 引用文献2について
当審拒絶理由1に引用された引用文献2(原査定の拒絶理由の引用文献A)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、触覚フィードバックに関し、より詳細には、グラフィカルユーザインターフェース装置においてテクスチャを用いるためのシステム及び方法に関する。」

「【0018】
例示のメッセージング装置において、ディスプレイは、グラフィカルユーザインターフェースをユーザに対して表示するように構成される。グラフィカルユーザインターフェースは、仮想オブジェクト、例えば、アイコン、ボタン、又は仮想キーボードを含んでもよい。例示のメッセージング装置は、例えば、ディスプレイの上に搭載されたタッチスクリーン等のタッチセンサ式インターフェースをさらに備える。タッチセンサ式インターフェースは、ユーザがグラフィカルユーザインターフェースに表示された仮想オブジェクトと相互作用することを可能にする。例えば、一実施形態では、グラフィカルユーザインターフェースは、仮想キーボードを含んでもよい。一実施形態では、タッチセンサ式インターフェースは、ユーザが仮想キーボード上のキーに触れて、このキーに関連付けられる英数字を入力することを可能にする。この機能性は、メッセージをタイプし、又はグラフィカルユーザインターフェース内のオブジェクトと相互作用するために使用されてもよい。
【0019】
例示のメッセージング装置において、プロセッサは、触覚効果を決定して、触覚効果を出力するように構成されるアクチュエータに触覚効果に対応する触覚信号を送信するように構成される。例示のメッセージング装置において、この触覚効果は、タッチセンサ式インターフェースの表面でユーザが感知するテクスチャをシミュレートする。シミュレートされるテクスチャは、ディスプレイ上に示されるユーザインターフェースに関連付けられてもよい。例えば、ディスプレイは、岩の形状を含むアイコンを示してもよい。このような実施形態では、プロセッサは、タッチセンサ式インターフェースの表面上で岩のテクスチャをシミュレートするように構成される触覚効果を決定してもよい。次に、プロセッサは、触覚効果を出力するように構成されるアクチュエータに触覚信号を送信するであろう。アクチュエータは、触覚信号を受信すると、タッチセンサ式インターフェースの表面を岩のテクスチャに近似させるように構成される周波数で振動のような触覚効果を出力するであろう。例示の実施形態では、プロセッサは、触覚効果を決定するために触覚マップを実装してもよい。例えば、例示の実施形態では、プロセッサは、各々が色彩に関連付けられる複数のピクセルを含む表示信号を受信してもよい。例えば、例示の実施形態では、表示信号における各ピクセルは、赤、緑又は青の色彩に関連付けられてもよく、さらに色彩ごとの強度に関連付けられてもよい。例示の実施形態では、プロセッサは、各色彩に対して触覚値を割り当て、さらに各色彩の強度に関連付けられる触覚強度を割り当てるであろう。次に、プロセッサは、触覚効果を出力するように構成されるアクチュエータに触覚値及び触覚強度を含む触覚信号を送信するであろう。
【0020】
例示の実施形態では、プロセッサは、さらに外部トリガに基づいて触覚効果を決定してもよい。例えば、例示の実施形態では、プロセッサは、ユーザ相互作用を検出するように構成されるタッチセンサ式インターフェースからインターフェース信号を受信するように構成される。次に、例示の実施形態では、プロセッサは、インターフェース信号に少なくとも部分的に基づいて触覚効果を決定するであろう。例えば、プロセッサは、インターフェース信号に少なくとも部分的に基づいて触覚値又は触覚強度を修正してもよい。例示の実施形態では、タッチセンサ式インターフェースが高速又は高圧のユーザ相互作用を検出する場合、プロセッサはより高強度の触覚効果を決定するであろう。
【0021】
例示のメッセージング装置は、多くの目的で触覚効果を出力してもよい。例えば、一実施形態では、触覚効果は、ユーザ相互作用に関連付けられるインターフェース信号をプロセッサが受信したことの確認として作用してもよい。例えば、グラフィカルユーザインターフェースは、ボタンを含んでもよく、タッチセンサ式インターフェースは、ボタンを押すことに関連付けられたユーザ相互作用を検出して、プロセッサにインターフェース信号を送信してもよい。これに応じて、プロセッサは、インターフェース信号を受信したことを確認するための触覚効果を決定してもよい。このような実施形態では、触覚効果は、タッチセンサ式インターフェースの表面でテクスチャをユーザに感知させてもよい。例示の実施形態では、プロセッサは、他の目的で触覚効果をさらに決定してもよい。例えば、例示のメッセージング装置は、ユーザにディスプレイの境界を警告し、又はディスプレイの表面のアイコン等のオブジェクトに対する識別としてテクスチャを出力してもよい。」

「【0033】
幾つかの実施形態では、プロセッサ110は、ユーザ相互作用又はトリガに少なくとも部分的に基づいて触覚効果を決定してもよい。このような実施形態では、プロセッサ110は、タッチセンサ式インターフェース114からインターフェース信号を受信して、このインターフェース信号に少なくとも部分的に基づいて触覚効果を決定する。例えば、幾つかの実施形態では、プロセッサ110は、タッチセンサ式インターフェース114によって検出されるユーザ相互作用の場所に基づいて触覚効果を決定してもよい。例えば、一実施形態では、プロセッサ110は、ユーザがディスプレイ116上で触れている仮想オブジェクトのテクスチャをシミュレートする触覚効果を決定してもよい。他の実施形態では、プロセッサ110は、インターフェース信号に少なくとも部分的に基づいて触覚効果の強度を決定してもよい。例えば、タッチセンサ式インターフェース114が高圧のユーザ相互作用を検出すると、プロセッサ110は、高強度の触覚効果を決定してもよい。別の実施形態では、タッチセンサ式インターフェース114が低圧のユーザ相互作用を検出すると、プロセッサ110は、低強度の触覚効果を決定してもよい。さらに他の実施形態では、プロセッサ110は、ユーザ相互作用の速度に少なくとも部分的に基づいて触覚効果の強度を決定してもよい。例えば、一実施形態では、プロセッサ110は、タッチセンサ式インターフェース114が低速のユーザ相互作用を検出すると、低強度の触覚効果を決定してもよい。さらに他の実施形態では、プロセッサ110は、タッチセンサ式インターフェース114からユーザ相互作用に関連付けられるインターフェース信号を受信しない限り、触覚効果を何ら決定しなくてもよい。」

「【0037】
プロセッサ110は、様々な理由で触覚効果を決定してもよい。例えば、幾つかの実施形態では、プロセッサ110は、ディスプレイ116に示されるオブジェクトのテクスチャに対応する触覚効果を出力してもよい。このような実施形態では、ディスプレイは、複数のオブジェクトを示してもよく、プロセッサは、ユーザがオブジェクトからオブジェクトへと自身の指を動かすにつれて異なる触覚効果を決定して、それによりオブジェクトごとに異なるテクスチャをシミュレートしてもよい。幾つかの実施形態では、触覚効果は、ユーザ相互作用に関連付けられた信号をプロセッサ110が受信したことの確認として作用してもよい。例えば、一実施形態では、グラフィカルユーザインターフェースはボタンを備えてもよく、タッチセンサ式インターフェース114は、ボタンを押すことに関連付けられるユーザ相互作用を検出してもよい。タッチセンサ式インターフェース114がユーザ相互作用に関連付けられるインターフェース信号をプロセッサ110に送信すると、プロセッサ110は、インターフェース信号の受信を確認するための触覚効果を決定してもよい。このような実施形態では、触覚効果は、タッチセンサ式インターフェース114の表面でテクスチャをユーザに感知させてもよい。例えば、プロセッサは、プロセッサ110がユーザ入力を受信したことを確認するために砂のテクスチャをシミュレートする触覚効果を出力してもよい。他の実施形態では、プロセッサは、異なるテクスチャ、例えば、水、氷、油、岩、又は皮膚のテクスチャを決定してもよい。幾つかの実施形態では、触覚効果は、異なる目的を果たしてもよく、例えば、ユーザにディスプレイ116の境界を通知し、又はユーザにディスプレイ116上の画像に関する触覚情報を提供してもよい。例えば、幾つかの実施形態では、ディスプレイ116上の各アイコンは、異なるテクスチャを含んでもよく、ユーザがあるアイコンから別のアイコンへと自身の指を動かすと、プロセッサは、各アイコンのテクスチャをシミュレートする触覚効果を決定するであろう。さらなる実施形態では、プロセッサは、ユーザの指がアイコンとの接触からディスプレイの背景との接触に移動すると、テクスチャを変化させ、それによりユーザがもはやアイコンに触れていないことを通知してもよい。
【0038】
また、図1に示されるように、プロセッサ110は、スピーカ120とも通信する。スピーカ120は、プロセッサ110から音声信号を受信して、ユーザに出力するように構成される。幾つかの実施形態では、音声信号は、アクチュエータ118によって出力される触覚効果、又はディスプレイ116によって出力される画像に関連付けられてもよい。他の実施形態では、音声信号は、触覚効果又は画像に対応しなくてもよい。」

「【0045】
操作子214及びタッチセンサ式インターフェース218は、ユーザ相互作用を検出して、このユーザ相互作用に対応するインターフェース信号をプロセッサに送信するように構成される。幾つかの実施形態では、ユーザ相互作用は、ディスプレイ206に示されるグラフィカルユーザインターフェースに関連付けられる。このような実施形態では、プロセッサは、インターフェース信号を受信して、このインターフェース信号に少なくとも部分的に基づいて、ディスプレイ216上でグラフィカルユーザインターフェースを変更する。例えば、図2に示される実施形態では、ユーザは、テクスチャ選択アイコン206の1つを選択するために操作子214又はタッチセンサ式インターフェース218のいずれかを用いてもよい。ユーザがテクスチャ化されたボール204用のテクスチャを選択した場合、そのテクスチャに対応するようにディスプレイ上で外観が変化してもよい。例えば、ユーザが砂のテクスチャアイコンを選択する場合、プロセッサは、ユーザがテクスチャ化されたボール204と相互作用するときにユーザに砂状のテクスチャを感知させる触覚効果を決定するであろう。又は、別の実施形態では、ユーザが岩のテクスチャアイコンを選択する場合、プロセッサは、ユーザがテクスチャ化されたボール204と相互作用するとユーザに岩のテクスチャを感知させる触覚効果を決定してもよい。」

「【0050】
図3aに示されるように、アイコン302及び304の各々は、テクスチャを含む。図示の実施形態では、アイコン302は、煉瓦のテクスチャを含み、アイコン304は、岩のテクスチャを含む。他の実施形態では、異なるテクスチャ、例えば、砂、水、油、草、毛皮、皮膚、革、氷、木、又は当技術分野で周知の他の何らかのテクスチャが使用されてもよい。図3aに指306として示されるように、ユーザが各アイコンに関連付けられるディスプレイ316の一部と相互作用すると、プロセッサは、そのアイコンのテクスチャをシミュレートするように構成される触覚効果を決定するであろう。次に、プロセッサは、触覚効果を出力するように構成されるアクチュエータ(図3には示されない)に触覚効果に関連付けられる信号を出力するであろう。例えば、図3aに示される実施形態では、ユーザがアイコン302に関連付けられるディスプレイの一部と相互作用すると、アイコン302は、煉瓦のテクスチャに関連付けられる触覚効果を決定するであろう。この触覚効果は、ユーザの指306がモルタル上を横断するときに高出力のパルスによって区切られるランダムな信号によって特徴付けられてもよい。他の実施形態では、ディスプレイ316に示される画像に対応し得る異なるテクスチャをシミュレートするために他の触覚効果が用いられてもよい。」

「【0053】
例えば、図3bに示される実施形態では、プロセッサは、青のピクセルがノッキングの触覚効果に関連付けられ、赤のピクセルがパルス性の振動に関連付けられ、緑のピクセルがクリックの触覚効果に関連付けられることを決定してもよい。このような実施形態では、タッチセンサ式インターフェースはユーザの指がピクセル351上を通過したことを検出すると、プロセッサは、強度1のノッキングを決定するであろう。次に、ユーザの指がピクセル352上を移動すると、プロセッサは、強度5のパルス性の振動を決定するであろう。そして、ユーザの指がディスプレイ350上をピクセル353まで移動し続けると、プロセッサは、強度3のクリック効果を決定してもよい。」

「【0062】
最後に、ディスプレイ116は、表示信号を受信して、その表示信号に少なくとも部分的に基づいて画像を出力する。幾つかの実施形態では、ディスプレイ116は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又はプラズマスクリーンディスプレイ等のフラットスクリーンディスプレイを含む。他の実施形態では、ディスプレイ116は、CRT(Cathode Ray Tube)、又は当技術分野で周知の他の種類のディスプレイを含む。さらに他の実施形態では、ディスプレイ116は、タッチセンサ式インターフェース114を含んでもよく、例えば、ディスプレイ116は、タッチスクリーンLCDを含んでもよい。幾つかの実施形態では、プロセッサ110は、ディスプレイ116に示されるユーザインターフェースの図形表現を生成してから、ディスプレイ116にこの図形表現を含む表示信号を送信するように構成される。他の実施形態では、ディスプレイ116は、別の装置から表示信号を受信するように構成される。例えば、幾つかの実施形態では、ディスプレイ116は、例えば、コンピュータモニタ等の外部ディスプレイを含んでもよい。

「【0065】
メッセージング装置502は、テクスチャをシミュレートするように構成される触覚効果を出力するように構成されるアクチュエータ(図5には示されない)をさらに備える。幾つかの実施形態では、ユーザは、装置502の筐体上でテクスチャを感知してもよい。他の実施形態では、ユーザは、ディスプレイ516の表面でテクスチャを感知することが出来る。例えば、幾つかの実施形態では、ユーザが選択ボックス506に関連付けられるディスプレイ516の一部に触れると、アクチュエータは、テクスチャをシミュレートするように構成される触覚効果を出力してもよい。さらに、このような実施形態では、アクチュエータは、ユーザが選択ボックス506に関連付けられないディスプレイ516の一部に触れると、異なるテクスチャをシミュレートする触覚効果を出力するように構成されてもよい。例えば、ユーザが選択ボックス506と相互作用すると、アクチュエータは、砂のテクスチャをシミュレートする触覚効果を出力してもよい。さらに、ユーザがディスプレイ516の残りの部分と相互作用すると、アクチュエータは、水のテクスチャをシミュレートする触覚効果を出力してもよい。他の実施形態では、アクチュエータは、異なるテクスチャをシミュレートするように構成される触覚効果を出力してもよい。幾つかの実施形態では、ユーザは、選択ボックス506に関連付けられるように1つのテクスチャを割り当て、ディスプレイ516の残りの部分に関連付けられるように別のテクスチャを割り当ててもよい。」

「【0095】
メッセージング装置1302は、テクスチャをシミュレートするように構成される触覚効果を出力するように構成されるアクチュエータ(図13には示されない)をさらに備える。幾つかの実施形態では、ユーザは、ディスプレイ1316の表面でこのテクスチャを感知することが出来る。例えば、図13に示される実施形態では、テクスチャ更新1310は、木板のテクスチャを含む。ユーザ又はユーザのソーシャルネットワーキングページへの訪問者がテクスチャ更新1310に触れると、メッセージング装置1302は、木板のテクスチャをシミュレートするように構成される触覚効果を出力するであろう。他の実施形態では、テクスチャ更新1310は、異なるテクスチャ、例えば、油、砂、水、草、毛皮、皮膚、トカゲの皮、革、サンドペーパ、煉瓦、又は岩のテクスチャを含んでもよい。幾つかの実施形態では、ユーザは、自身のソーシャルネットワーキングページに現在の気分に関連付けられるテクスチャを投稿してもよい。他の実施形態では、ユーザは、友人への贈り物又はメッセージとして友人のページにテクスチャを投稿してもよい。さらに他の実施形態では、ユーザは、テクスチャをソーシャルネットワーキングページの他の部分と関連付けてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、ユーザは、写真、メッセージ、状況、又はソーシャルネットワーキングページの他の何らかの部分にテクスチャを投稿してもよい。」

【図2】

【図13】

上記記載から、引用文献2には、以下の技術的事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。

「ユーザがディスプレイ上で触れている仮想オブジェクトのテクスチャをシミュレートする触覚効果を決定し、
ユーザは、自身のソーシャルネットワーキングページに現在の気分に関連付けられるテクスチャを投稿し、
ユーザのソーシャルネットワーキングページへの訪問者がテクスチャに触れると、テクスチャをシミュレートするように構成される触覚効果を出力すること。」

3 引用文献Bについて
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Bには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、画面の遠隔操作技術に関するものである。」

「【0040】
なお本実施形態では、ウィンドウ411を共有ウィンドウ領域402内に表示する際、ウィンドウ411のアスペクト比を固定した上で、共有ウィンドウ領域402内で収まる最大のサイズにまでウィンドウ411を拡大/縮小し、ウィンドウ403とする。従って、共有ウィンドウ領域402においてウィンドウ411の表示領域以外の部分については黒塗り表示となっている。以上のことは、ウィンドウ421についても同様である。」

【図3】

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明1の「電子メール」と、本願発明1の「タッチメッセージ」は、「メッセージ」である点で共通する。

イ 引用発明1の「機能ボタン」の「形状データ」を登録し、「形状データ」が登録された「機能ボタン」をメッセージ上に配置することは、メッセージ上に「機能ボタン」の領域を記録(定義)することであるから、本願発明1の「第1装置の第1のタッチ受付面への入力として第1のタッチと移動とを受付け、上記第1のタッチ及び移動の位置情報を、上記第1のタッチ受付面における第1のタッチ領域として記録し、ここで、上記位置情報は上記第1のタッチ領域を定義する」こととは、第1の領域を記録(定義)する点で共通する。
また、引用発明1は、本願発明1の「第1装置」に対応する構成の明示はないが、技術常識を参酌すると、電子メールシステムを構成する情報処理装置101a〜cのいずれかに対応することは明らかであるから、引用発明1も本願発明1の「第1の装置」に対応する構成を備えている。
そうすると、引用発明1と本願発明1は、第1の装置により第1の領域を記録(定義)する点で共通する。

ウ 引用発明1の「機能ボタン定義ウィンドウ600において、機能一覧表示エリア604から所望の処理を選択し」、所望の処理が選択された「機能ボタン」をメッセージ上に配置することは、本願発明1の「引き起こされる応答を記録」することに相当する。

エ 引用発明1の「電子メールの送信者」が、「メッセージを作成し、その後、受信者に要求する処理に対応する機能ボタンをメッセージ上に配置」することと、本願発明1の「記録された上記第1のタッチ領域と上記応答との表現を含むメッセージを作成」することとは、「記録された上記第1の領域と上記応答との表現を含むメッセージを作成」する点で共通する。

オ 引用発明1は、本願発明1の「第2装置」に対応する構成の明示はないが、技術常識を参酌すると、電子メールシステムを構成する情報処理装置101a〜cのいずれかに対応することは明らかであるから、引用発明1も本願発明1の「第2の装置」に対応する構成を備えている。
また、引用発明1は、電子メールの送信者が作成した電子メールを送信することは明示されていないが、電子メールシステムにおいて、電子メールの送信者が作成した電子メールを電子メールを作成した情報処理装置から電子メールを受信する情報処理装置に送信することは技術常識であることから、引用発明1は、本願発明1の「上記メッセージを上記第1装置から第2装置に送信」することと同様の動作を行っている。

カ 引用発明1の「送信した電子メールの受信者により、電子メールが開かれメッセージを表示し、次に、機能ボタンをメッセージ上の該当位置に表示し、処理対象の機能ボタンに対する入力を待ち、電子メールの受信者は、受信した電子メールのメッセージ表示部上に表示された機能ボタンを指示」する場合と、本願発明1の「上記第2装置の第2のタッチ受付面への入力として第2のタッチと移動を受付け、上記第2のタッチと移動の第2の位置情報を、上記第2のタッチ受付面の第2のタッチ領域として記録し、ここで、上記第2の位置情報は上記第2のタッチ領域を定義するものであり、上記第2のタッチ領域が上記第1のタッチ領域に、許容された正確さの範囲内で合致することを判定し、上記第2のタッチ領域が上記第1のタッチ領域に、許容された上記正確さの範囲内で合致する場合」とは、「上記第2装置の第2の入力が上記第1の領域に合致する場合」である点で共通する。

キ 引用発明1の「電子メールの受信者は、受信した電子メールのメッセージ表示部上に表示された機能ボタンを」「実行する」ことは、本願発明1の「第2装置」により「上記応答を引き起こす」ことに相当する。

ク そして、引用発明1の「電子メールにおいて行う処理の実行を支援する方法」と、本願発明1の「タッチメッセージを送信する方法」とは、メッセージを送信する方法である点で共通する。

ケ そうすると、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「メッセージを送信する方法であって、
第1の装置により第1の領域を記録(定義)し、
引き起こされる応答を記録し、
記録された上記第1の領域と上記応答との表現を含むメッセージを作成し、
上記メッセージを上記第1装置から第2装置に送信し、
上記第2装置の第2の入力が上記第1の領域に合致する場合、上記応答を引き起こす、方法。」

【相違点1】
「メッセージ」について、本願発明1は「タッチメッセージ」であるのに対して、引用発明1は「電子メール」である点。

【相違点2】
「第1の装置により第1の領域を記録(定義)」することについて、本願発明1は「第1装置の第1のタッチ受付面への入力として第1のタッチと移動とを受付け、上記第1のタッチ及び移動の位置情報を、上記第1のタッチ受付面における第1のタッチ領域として記録し、ここで、上記位置情報は上記第1のタッチ領域を定義」しているのに対して、引用発明1は対応する特定がされていない点。

【相違点3】
「記録された上記第1の領域と上記応答との表現を含むメッセージを作成」することについて、本願発明1は「記録された上記第1のタッチ領域と上記応答との表現を含むメッセージを作成し」ているのに対して、引用発明1のメッセージ上に記録された「機能ボタン」はタッチされていないために、「第1のタッチ領域」を含むメッセージを作成するとはいえない点。

【相違点4】
「上記第2装置の第2の入力が上記第1の領域に合致する場合」について、本願発明1は「上記第2装置の第2のタッチ受付面への入力として第2のタッチと移動を受付け、上記第2のタッチと移動の第2の位置情報を、上記第2のタッチ受付面の第2のタッチ領域として記録し、ここで、上記第2の位置情報は上記第2のタッチ領域を定義するものであり、上記第2のタッチ領域が上記第1のタッチ領域に、許容された正確さの範囲内で合致することを判定し、上記第2のタッチ領域が上記第1のタッチ領域に、許容された上記正確さの範囲内で合致する場合」であるのに対して、引用発明1は対応する特定がされていない点。

(2)判断
事案に鑑み、第1のタッチ及び移動の位置情報を記録した「第1のタッチ領域」及びこの領域に関連する「第2のタッチ領域」に関する、相違点2及び4について先に判断する。
引用文献2及びBには、上記相違点2及び4に係る本願発明1の動作は記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明1並びに引用文献2及びBに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし26について
本願発明2ないし26は、本願発明1の上記相違点2及び4に係る動作を含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1並びに引用文献2及びBに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明27について
(1)対比
本願発明27と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明1の「電子メール」と、本願発明27の「タッチメッセージ」は、「メッセージ」である点で共通する。

イ 引用発明1の「機能ボタン」の「形状データ」を登録し、「形状データ」が登録された「機能ボタン」をメッセージ上に配置することは、メッセージ上に「機能ボタン」の領域を記録(定義)することであるから、本願発明27の「第1のタッチと移動を第1装置の第1のタッチ受付面への入力として受付け、上記第1のタッチと移動の位置情報を、上記第1のタッチ受付面における第1のタッチ領域として記録し、ここで、上記位置情報は上記第1のタッチ領域を定義する」こととは、第1の領域を記録(定義)する点で共通する。
また、引用発明1は、本願発明27の「第1装置」に対応する構成の明示はないが、技術常識を参酌すると、電子メールシステムを構成する情報処理装置101a〜cのいずれかに対応することは明らかであるから、引用発明1も本願発明27の「第1の装置」に対応する構成を備えている。
そうすると、引用発明1と本願発明27は、第1の装置により第1の領域を記録(定義)する点で共通する。

ウ 引用発明1の「機能ボタン定義ウィンドウ600において、機能一覧表示エリア604から所望の処理を選択し」、所望の処理が選択された「機能ボタン」をメッセージ上に配置することと、本願発明27の「第2のタッチ受付面のタッチが合致する場合に、引き起こされる応答を記録」することとは、「引き起こされる応答を記録」する点で共通する。

エ 引用発明1の「電子メールの送信者」が、「メッセージを作成し、その後、受信者に要求する処理に対応する機能ボタンをメッセージ上に配置」することと、本願発明27の「記録された上記第1のタッチ領域と、上記応答との表現を含むメッセージを作成」することとは、「記録された上記第1の領域と、上記応答との表現を含むメッセージを作成」する点で共通する。

オ 引用発明1は、本願発明27の「第2装置」に対応する構成の明示はないが、技術常識を参酌すると、電子メールシステムを構成する情報処理装置101a〜cのいずれかに対応することは明らかであるから、引用発明1も本願発明27の「第2の装置」に対応する構成を備えている。
そして、引用発明1の「送信した電子メールの受信者により、電子メールが開かれメッセージを表示し、次に、機能ボタンをメッセージ上の該当位置に表示し、処理対象の機能ボタンに対する入力を待ち、電子メールの受信者は、受信した電子メールのメッセージ表示部上に表示された機能ボタンを指示」するときと、本願発明27の「第2のタッチと移動を第2装置の第2のタッチ受付面への入力として受信するときに、上記第2のタッチと移動の位置情報を上記第1のタッチ領域と対照することができ、上記第2のタッチと移動が許容された正確さの範囲内で上記第1のタッチ領域内にあるとき」とは、「第2の装置の入力が上記第1の領域内にあるとき」である点で共通する。

カ 引用発明1の「電子メールの受信者は、受信した電子メールのメッセージ表示部上に表示された機能ボタンを」「実行する」ことは、本願発明27の「第2装置」により「上記応答を引き起こす」ことに相当する。

キ 引用発明1は、電子メールの送信者が作成した電子メールを送信することは明示されていないが、電子メールシステムにおいて、電子メールの送信者が作成した電子メールを電子メールを作成した情報処理装置から電子メールを受信する情報処理装置に送信することは技術常識であることから、引用発明1は、本願発明27の「上記第1装置から第2装置に上記メッセージを送信」することと同様の動作を行っている。

ク そして、引用発明1の「電子メールにおいて行う処理の実行を支援する方法」と、本願発明27の「タッチメッセージを送信する方法」とは、メッセージを送信する方法である点で共通する。

ケ そうすると、本願発明27と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「メッセージを送信する方法であって、
第1の装置により第1の領域を記録(定義)し、
引き起こされる応答を記録し、
記録された上記第1の領域と、上記応答との表現を含むメッセージを作成し、
第2の装置の入力が上記第1の領域内にあるとき、上記応答を引き起こすことができるように、上記第1装置から第2装置に上記メッセージを送信する、方法。

【相違点5】
「メッセージ」について、本願発明27は「タッチメッセージ」であるのに対して、引用発明1は「電子メール」である点。

【相違点6】
「第1の装置により第1の領域を記録(定義)」することについて、本願発明27は「第1のタッチと移動を第1装置の第1のタッチ受付面への入力として受付け、上記第1のタッチと移動の位置情報を、上記第1のタッチ受付面における第1のタッチ領域として記録し、ここで、上記位置情報は上記第1のタッチ領域を定義」しているのに対して、引用発明1は対応する特定がされていない点。

【相違点7】
「引き起こされる応答」について、本願発明27は、「第2のタッチ受付面のタッチが合致する場合に、引き起こされる応答」であるのに対して、引用発明は、「第2のタッチ受付面」を備えていないために、「第2のタッチ受付面のタッチが合致する場合に、引き起こされる応答」とはいえない点。

【相違点8】
「記録された上記第1の領域と、上記応答との表現を含むメッセージを作成」することについて、本願発明27は「記録された上記第1のタッチ領域と、上記応答との表現を含むメッセージを作成し」ているのに対して、引用発明1のメッセージ上に記録された「機能ボタン」はタッチされていないために、「第1のタッチ領域」を含むメッセージを作成するとはいえない点。

【相違点9】
「第2の装置の入力が上記第1の領域内にあるとき」について、本願発明27は「第2のタッチと移動を第2装置の第2のタッチ受付面への入力として受信するときに、上記第2のタッチと移動の位置情報を上記第1のタッチ領域と対照することができ、上記第2のタッチと移動が許容された正確さの範囲内で上記第1のタッチ領域内にあるとき」であるのに対して、引用発明1は対応する特定がされていない点。

(2)判断
事案に鑑み、第1のタッチ及び移動の位置情報を記録した「第1のタッチ領域」及びこの領域に関連する「第2のタッチ領域」に関する、相違点6及び9について先に判断する。
引用文献2及びBには、上記相違点6及び9に係る本願発明27の動作は記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明27は、当業者であっても引用発明1並びに引用文献2及びBに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

4 本願発明28について
(1)対比
本願発明28と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明2の「電子メール」と、本願発明28の「タッチメッセージ」は、「メッセージ」である点で共通する。

イ 引用発明2の「形状データ」が登録された「機能ボタン」が配置されたメッセージは、「形状データ」によりメッセージ上に「機能ボタン」の領域を記録(定義)することであるから、このメッセージと、本願発明28の「記録された第1のタッチ領域」を含むメッセージは、記録された第1の領域を含むメッセージである点で共通する。
また、引用発明2の「受信者に要求する処理に対応する機能ボタン」は、受信者の応答(処理)を引き起こすものであるから、引き起こされる応答との表現を含むといえ、この「受信者に要求する処理に対応する機能ボタン」が配置されたメッセージと、本願発明28の「第2タッチ受付面の第2タッチ領域内に第2タッチと移動が合致する場合に引き起こされる応答との表現を含むメッセージ」とは、引き起こされる応答との表現を含むメッセージである点で共通する。
加えて、引用発明2は、本願発明28の「第1装置」及び「第2装置」に対応する構成の明示はないが、技術常識を参酌すると、引用発明2の電子メールシステムを構成する情報処理装置101a〜cのいずれかが、本願発明28の「第1装置」及び「第2装置」に対応する構成となることは明らかであるから、引用発明2は、本願発明28の「第1の装置」及び「第2装置」に対応する構成を備えている。
そして、引用発明2の「電子メール」は、「電子メールの送信者」により「第1装置」に対応する構成により定義され、「電子メールの受信者」により「第2装置」により受信されることは明らかである。
そうすると、引用発明2は、本願発明28の「第1装置から、記録された第1のタッチ領域と、第2タッチ受付面の第2タッチ領域内に第2タッチと移動が合致する場合に引き起こされる応答との表現を含むメッセージを受信し、ここで、上記第1のタッチ領域は、上記第1装置の第1タッチ受付面で受け付けられる第1のタッチと移動の位置情報によって定義され」ることについて、第1装置から、記録された第1の領域と、引き起こされる応答との表現を含むメッセージを受信する点で共通する。

ウ 引用発明2の「電子メールの受信者」が、「受信した電子メールのメッセージ表示部上に表示された機能ボタンを指示、実行する」ことは、機能ボタンを指示することにより、応答(実行)を引き起こすことであるから、この「受信した電子メールのメッセージ表示部上に表示された機能ボタンを指示、実行する」ことは、本願発明28の「上記応答を引き起こす」ことに相当する。

エ そして、引用発明2の「電子メールにおいて行う処理の実行を支援する方法」と、本願発明28の「第2装置でタッチメッセージを受信する方法」とは、第2装置でメッセージを受信する方法である点で共通する。

オ そうすると、本願発明28と引用発明2との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「第2装置でメッセージを受信する方法であって、
第1装置から、記録された第1の領域と、引き起こされる応答との表現を含むメッセージを受信し、
上記応答を引き起こす、方法。」

【相違点10】
「メッセージ」について、本願発明28は「タッチメッセージ」であるのに対して、引用発明2は「電子メール」である点。

【相違点11】
「第1装置から、記録された第1の領域と、引き起こされる応答との表現を含むメッセージを受信」することについて、本願発明28は「第1装置から、記録された第1のタッチ領域と、第2タッチ受付面の第2タッチ領域内に第2タッチと移動が合致する場合に引き起こされる応答との表現を含むメッセージを受信し、ここで、上記第1のタッチ領域は、上記第1装置の第1タッチ受付面で受け付けられる第1のタッチと移動の位置情報によって定義され」ているのに対して、引用発明2の「電子メール」の「機能ボタン」は、タッチ領域とはいえず、また「上記第1のタッチ領域は、上記第1装置の第1タッチ受付面で受け付けられる第1のタッチと移動の位置情報によって定義され」ているとの特定はされておらず、さらに、「電子メール」の「受信者に要求する処理に対応する機能ボタン」は、「第2タッチ受付面の第2タッチ領域内に第2タッチと移動が合致する場合に引き起こされる応答との表現を含む」との特定はされていない点。

【相違点12】
「上記応答を引き起こす」ことについて、本願発明28は、「上記第2装置の第2のタッチ受付面において第2のタッチと移動を受付け、上記第2のタッチと移動の位置情報を、上記第2のタッチ受付面における第2のタッチ領域として記録し、ここで、上記位置情報は上記第2のタッチ領域を定義するものであり、
上記第2のタッチ領域の上記位置情報が、許容された正確さの範囲内で、上記第1のタッチ領域の上記位置情報に合致することを判定し、
記第2のタッチ領域の上記位置情報が、許容された正確さの範囲内で、上記第1のタッチ領域の上記位置情報に合致する場合、上記応答を引き起こす」のに対して、引用発明2は、機能ボタンを指示、実行する際に、「上記第2装置の第2のタッチ受付面において第2のタッチと移動を受付け、上記第2のタッチと移動の位置情報を、上記第2のタッチ受付面における第2のタッチ領域として記録し、ここで、上記位置情報は上記第2のタッチ領域を定義するものであり、上記第2のタッチ領域の上記位置情報が、許容された正確さの範囲内で、上記第1のタッチ領域の上記位置情報に合致することを判定し、上記第2のタッチ領域の上記位置情報が、許容された正確さの範囲内で、上記第1のタッチ領域の上記位置情報に合致する場合」に対応する特定がされていない点。

(2)判断
事案に鑑み、第1のタッチ及び移動の位置情報を記録した「第1のタッチ領域」及びこの領域に関連する「第2のタッチ領域」に関する、相違点11及び12について先に判断する。
引用文献2及びBには、上記相違点11及び12に係る本願発明28の動作は記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明28は、当業者であっても引用発明2並びに引用文献2及びBに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

5 本願発明29ないし31について
本願発明29ないし31は、実質的に、それぞれ本願発明1、27及び28と発明のカテゴリーが相違するのみであり、それぞれ、相違点2及び4、相違点6及び9、相違点11及び12に対応する、
「上記第1のタッチ受付面の第1のタッチ領域への上記第1のタッチと移動の位置情報を、第1のタッチ領域を定義するものとして記録する記録部」及び「第2のタッチ領域の上記位置情報が、上記第1のタッチ領域の上記位置情報と、許容された正確さの範囲内で合致することを判定し、上記第2のタッチ領域の位置情報が、上記第1のタッチ領域の上記位置情報と、許容された正確さの範囲内で合致する場合、上記応答を引き起こす判定部」、
「上記第1のタッチ受付面の第1のタッチ領域への上記第1のタッチと移動の位置情報を、第1のタッチ領域を定義するものとして、記録する記録部」及び「上記メッセージは、上記第2装置の上記タッチ画面が第2のタッチ領域を定義するものとしてタッチと移動を受付けたとき、上記第1のタッチ領域の上記位置情報が上記第2のタッチ領域の上記位置情報と対照することができ、かつ上記第2のタッチ領域が上記第1のタッチ領域に許容された正確さの範囲内で合致するとき、上記応答を引き起こすことができるように構成され」ること、
「上記第1装置の第1のタッチ受付面の記録された第1のタッチ領域と、上記第2のタッチ受付面のタッチが合致する場合に、引き起こされる応答との表現を含むメッセージを受信する受信部」及び「第2のタッチ領域の上記位置情報が、許容された正確さの範囲内で、上記第1のタッチ領域の上記位置情報と合致することを判定し、上記第2のタッチ領域の上記位置情報が、許容された正確さの範囲内で、上記第1のタッチ領域の上記位置情報と合致する場合に、上記応答を引き起こす判定部」を備えている。
したがって、本願発明29ないし31は、本願発明1、27及び28と同じ理由により、当業者であっても引用文献1及び2並びにBに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和3年9月27日付け手続補正により、請求項1ないし26は、上記相違点2及び4に係る動作を有するものとなっており、請求項27は、上記相違点6及び9に係る動作を有するものとなっており、また、請求項28は、上記相違点11及び12に係る動作を有するものとなっている。また、請求項29は、上記相違点2及び4に対応する構成を有するものとなっており、請求項30は、上記相違点6及び9に対応する構成を有するものとなっており、また、請求項31は、上記相違点11及び12に対応する構成を有するものとなっている。
そうすると、上記のとおり、本願発明1ないし31は、上記引用文献Aに記載された発明及び引用文献Bに記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由についての判断
1 当審拒絶理由1について
令和3年9月27日付け手続補正により、請求項1ないし26は、上記相違点2及び4に係る動作を有するものとなっており、請求項27は、上記相違点6及び9に係る動作を有するものとなっており、また、請求項28は、上記相違点11及び12に係る動作を有するものとなっている。また、請求項29は、上記相違点2及び4に対応する構成を有するものとなっており、請求項30は、上記相違点6及び9に対応する構成を有するものとなっており、また、請求項31は、上記相違点11及び12に対応する構成を有するものとなっている。
そうすると、上記のとおり、本願発明1ないし31は、上記引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、当審拒絶理由1は解消した。

2 当審拒絶理由2について
令和3年9月27日付け手続補正により特許請求の範囲が補正された結果、特許請求の範囲に記載された発明が特許法第36条第6項1号に規定する要件を満たしていないという当審拒絶理由2は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-01-19 
出願番号 P2017-510589
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 小田 浩
林 毅
発明の名称 タッチメッセージの送信システムと方法  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  

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