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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01B 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01B |
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管理番号 | 1381254 |
総通号数 | 2 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-02-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-04-20 |
確定日 | 2022-01-25 |
事件の表示 | 特願2017−219020「導電性ペースト」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月 8日出願公開,特開2018−174125,請求項の数(13)〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成29年11月14日(優先権主張平成29年3月31日)の出願であって,平成31年3月12日付けで拒絶理由通知がされ,令和元年5月16日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされ,同年8月6日付けで拒絶理由通知がされ,同年10月23日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされ,令和2年1月10日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,同年4月20日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,同年7月16日に前置報告がされ、同年10月8日に審判請求人から前置報告に対する上申がされ,令和3年11月4日付けで当審から拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)が通知され,同年11月10日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。 第2 本願発明 本願請求項1〜13に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」〜「本願発明13」という。)は,令和3年11月10日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1〜13に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 シリカ粒子(C)を含有するエラストマー組成物と, 導電性フィラーと, 溶剤と,を含む導電性ペーストであって, 前記導電性フィラーは,リン片状の金属粉(G)を含み, 前記導電性フィラーの含有量が,前記導電性ペースト全体に対して,40質量%以上85質量%以下であり, 前記エラストマー組成物の含有量が,前記導電性ペースト全体に対して,1質量%以上25質量%以下であり, 前記シリカ粒子(C)の含有量が,前記導電性ペースト全体に対して,1質量%以上15質量%以下であり,かつ,前記シリカ粒子(C)および前記導電性フィラーの合計量100質量%に対して,1質量%以上20質量%以下であり, 室温25℃における,せん断速度20〔1/s〕で測定した時の当該導電性ペーストの粘度が,1Pa・s以上100Pa・s以下である, 導電性ペースト。」 なお,本願発明2〜13は,いずれも本願発明1を減縮した発明である。 第3 引用文献,引用発明等 1 引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2017−12674号公報)には,次の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下,同様である。)。 「【0038】 (基材の構成例) 基材2には,伸縮性を有する素材,例えばシリコーンゴムが用いられている。より具体的にいえば,基材2には,例えば国際公開第2012/133639号パンフレットに開示されたシリコーンゴム系硬化性組成物からなるシリコーンゴムを好適に用いることができる。すなわち,基材2には,ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)と,オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)と,シリカ粒子(C)と,シランカップリング剤(D)と,白金または白金化合物(E)とを含有するシリコーンゴム系硬化性組成物からなるシリコーンゴムが用いられており,基材2は,伸縮性を有するとともに,生体に接触した場合でも,体組織に対する反応が少ない,つまり生体適合性を有し,かつ,耐久性を有する素材にて構成されている。」 「【0147】 (配線の構成例) 配線6a及び6bには,伸縮性を有する素材,例えばシリコーンゴムと導電物質との複合体が用いられている。より具体的にいえば,配線6a及び6bには,例えば基材2と同じシリコーンゴムと,例えば銀や銅などの導電フィラー,イオン液体,導電高分子,導電有機化合物,カーボン材料,または導電ワイヤー等の導電物質との複合体が使用されている。そして,配線6a及び6bは,例えば印刷法により,基材2の表面2a上に設けられるようになっている。また,このように,印刷法により,配線6a及び6bが設けられて,センサー部3,電源部4,及び通信部5を接続するので,構造簡単で製造容易な生体適合性センサーデバイス1を容易に構成することができる。 【0148】 また,配線6a及び6bを構成する化合物は,下記のように,製造される。 【0149】 まず,シリコーンゴムをテトラデカンに溶解させて,テトラデカンが70wt%,及びシリコーンゴムが30wt%となるようにして,シリコーンゴムのテトラデカン溶液を作成する。 【0150】 次に,上記テトラデカン溶液に,例えば銀フィラーを加えて,テトラデカンが完全に揮発したときに,銀フィラーが85wt%,及び溶質のシリコーンゴムが15wt%となるようにする。その後,自転公転ミキサー,三本ロール等により,分散,撹拌して,導電ペーストを完成する。また,この導電ペーストの粘度は,例えば54Pa・s程度であり,印刷法によって基材2上に容易に塗布して形成できるようになっている。また,この導電ペーストは基材2上に設けた後,例えば170℃で1時間加熱することで熱硬化して,基材2上で配線6a及び6bとして設けられる。 【0151】 以上のように,配線6a及び6bでは,高い引裂き強度を有するシリコーンゴムを用いることにより,優れた伸縮性が確保されている。」 以上によれば,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)と,オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)と,シリカ粒子(C)と,シランカップリング剤(D)と,白金または白金化合物(E)とを含有するシリコーンゴム系硬化性組成物からなるシリコーンゴムと,銀フィラーとの複合体を用いる導電ペーストであって, テトラデカンが70wt%,及びシリコーンゴムが30wt%となるようにしたシリコーンゴムのテトラデカン溶液に,テトラデカンが完全に揮発したときに,銀フィラーが85wt%,及びシリコーンゴムが15wt%となるように,銀フィラーが加えられており, 導電ペーストの粘度は,54Pa・s程度である, 導電ペースト。」 2 引用文献2について 原査定の拒絶の理由に周知技術を示す文献として引用された引用文献2(特開2009−230952号公報)には,次の事項が記載されている。 「【課題を解決するための手段】 【0007】 前記技術的課題は,次の通りの本発明によって解決できる。 【0008】 即ち,本発明に係るフレキシブル電子回路基板用導電性ペースト組成物は,平均粒径2.0〜5.0μm及び比表面積2.0〜3.0m2/gの鱗片状銀粉と平均粒径10〜19μmの樹枝状銀メッキ銅粉との混合銀粉末からなる導電性粉末と熱硬化性樹脂と有機溶剤とを必須成分とするものである。」 「【発明の効果】 【0013】 本発明によれば,特定平均粒径と比表面積を有する鱗片状銀粉と特定平均粒径を有する樹枝状銀メッキ銅粉との混合導電性銀粉末からなる導電性ペースト組成物であるから,良好な導電性を得ることができ,当該導電性ペースト組成物を用いて形成してなる電子回路であるから,良好な導電性と優れた耐折曲げ特性を得ることができる。」 3 引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2014−162125号公報)には,次の事項が記載されている。 「【発明を実施するための形態】 【0018】 以下,本発明の実施形態について図面を参照して説明する。 図1は,本発明の一実施形態に係る伸縮性基板1を示す断面図である。図1に示す伸縮性基板1は,基材2と,その内部に埋め込まれたアイランド3a,3bとから構成されている。アイランド3a,3bは,その上面及び下面のいずれもが,基材2の一方及び他方の主面のいずれにも露出しないように,基材2の内部に埋め込まれている。 【0019】 基材2は伸縮性を有する材料からなり,そのような材料として,エラストマーを用いることが好ましい。エラストマーとしては,シリコーンゴム,ウレタンゴム,フッ素ゴム,天然ゴム,アクリルゴム,熱可塑性エラストマー等を挙げることができるが,これらに限定されるものではない。 アイランド3a,3bを構成する材料は,基材2を構成する材料よりもヤング率の大きい材料であればよく,特に限定されない。また,基材2とは異なり,伸縮性を有していない材料であってもよい。例えばエラストマー,樹脂,セラミック,金属等を用いることができる。 ・・・ 【0022】 基材2を構成するエラストマーと同一のエラストマーを主成分とするものとして,基材2を構成するエラストマーと同一のエラストマーにフィラーを添加したものを用いることができる。このようにフィラーを添加することにより,主成分が基材2を構成するエラストマーと同一でありながら,ヤング率を大きいものとすることができる。フィラーとしては,シリカ粉末,カーボンブラック,アルミナ粉末等を挙げることができるが,これらに限定されるものではない。フィラーの添加量は,所望のヤング率を得られる範囲で適宜選択してよいが,通常は,当該アイランドの材料の全重量に対して1〜60重量%である。」 第4 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「シリコーンゴム系硬化性組成物からなるシリコーンゴム」は,「ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)と,オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)と,シリカ粒子(C)」を含むものである。 一方,本願の請求項8〜10によれば,本願発明1の「シリカ粒子(C)を含有するエラストマー組成物」は,「シリコーンゴム系硬化性組成物」を含み,当該「シリコーンゴム系硬化性組成物」は,「ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)」を含み,さらに「オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)」を含むものである。 そうすると,引用発明の「ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)と,オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)と,シリカ粒子(C)と,シランカップリング剤(D)と,白金または白金化合物(E)とを含有するシリコーンゴム系硬化性組成物からなるシリコーンゴム」は,本願発明1の「シリカ粒子(C)を含有するエラストマー組成物」に相当する。 イ 引用発明の「銀フィラー」,「テトラデカン」は,それぞれ,本願発明1の「導電性フィラー」,「溶剤」に相当する。 ウ 引用発明の「テトラデカンが70wt%,及びシリコーンゴムが30wt%となるようにしたシリコーンゴムのテトラデカン溶液に,テトラデカンが完全に揮発したときに,銀フィラーが85wt%,及びシリコーンゴムが15wt%となるように,銀フィラーが加えられており」との事項を数式で表すとテトラデカン:シリコーンゴム=70wt%:30wt,銀フィラー:シリコーンゴム=85wt%:15wt%であり,両数式を整理すると,テトラデカン:シリコーンゴム:銀フィラー=70wt%:30wt%:170wt%となる。 そうすると,引用発明において,銀フィラーの含有量は,導電性ペースト全体に対して,170/(70+30+170)×100=63.0wt%であり,シリコーンゴムの含有量は,導電性ペースト全体に対して,30%/(70+30+170)×100=11.1wt%である。 そうすると,引用発明と本願発明1とは,「前記導電性フィラーの含有量が,前記導電性ペースト全体に対して,40質量%以上85質量%以下であり, 前記エラストマー組成物の含有量が,前記導電性ペースト全体に対して,1質量%以上25質量%以下であ」る点で共通する。 エ 引用発明の「導電ペースト」は,本願発明1の「導電性ペースト」に相当する。 オ 以上から,本願発明1と引用発明の一致点と相違点は以下のとおりとなる。 <一致点> 「シリカ粒子(C)を含有するエラストマー組成物と, 導電性フィラーと, 溶剤と,を含む導電性ペーストであって, 前記導電性フィラーの含有量が,前記導電性ペースト全体に対して,40質量%以上85質量%以下であり, 前記エラストマー組成物の含有量が,前記導電性ペースト全体に対して,1質量%以上25質量%以下である, 導電性ペースト。」 <相違点> 相違点1:「導電性フィラー」について,本願発明1は,「リン片状の金属粉(G)を含」んでいるのに対し,引用発明は,そのような構成を備えているか不明である点。 相違点2:本願発明1は,「前記シリカ粒子(C)の含有量が,前記導電性ペースト全体に対して,1質量%以上15質量%以下であり,かつ,前記シリカ粒子(C)および前記導電性フィラーの合計量100質量%に対して,1質量%以上20質量%以下であ」るのに対し,引用発明は,そのような構成を備えているか不明である点。 相違点3:本願発明1は,「室温25℃における,せん断速度20〔1/s〕で測定した時の当該導電性ペーストの粘度が,1Pa・s以上100Pa・s以下である」のに対し,引用発明は,「54Pa・s程度であ」るものの,測定時の温度及びせん断速度が不明である点。 (2)判断 事案に鑑み,相違点2から検討する。 引用文献2及び3のいずれにも,相違点2に係る本願発明1の構成,すなわち,「前記シリカ粒子(C)の含有量が,前記導電性ペースト全体に対して,1質量%以上15質量%以下であり,かつ,前記シリカ粒子(C)および前記導電性フィラーの合計量100質量%に対して,1質量%以上20質量%以下であ」ることは,記載も示唆もされていない。また,相違点2に係る本願発明1の構成が,本願の優先日において,周知技術であるともいえない。 したがって,引用発明に引用文献2及び3に記載された事項を適用しても,相違点2に係る本願発明1の構成を得ることはできない。 よって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,引用発明,引用文献2及び3に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものとはいえない。 2 本願発明2〜13について 本願発明2〜13は,いずれも本願発明1を減縮した発明であり,前記相違点2に係る本願発明1の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,引用発明,引用文献2及び3に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものとはいえない 第5 原査定の概要及び原査定についての判断 1 原査定(令和2年1月10日付け拒絶査定)の理由の概要は次のとおりである。 請求項1〜15に係る発明は,引用文献1,3に記載された発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて,当業者が容易になし得たものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 2 しかしながら,令和3年11月10日付けの手続補正により補正された請求項1は,前記相違点2に係る本願発明1の構成を有するものとなっており,上記第4 1で検討したとおり,本願発明1は,引用発明,引用文献2及び3に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。 したがって,原査定を維持することはできない。 第6 当審拒絶理由について 1 当審拒絶理由の概要は以下のとおりである。 (1) サポート要件について ア 本願明細書【0002】,【0004】の記載によれば,本願発明が解決しようとする課題は,従来の「導電性ペーストにおいて,印刷性や耐久性の点で,改善の余地を有していること」である。 イ 本願明細書【0102】の記載によれば,導電性ペースト中における導電性フィラーの含有量が,導電性ペーストの全体に対して85質量%よりも多い場合は,エラストマーが適度な柔軟性を持つことはできないから,導電性ペーストの印刷性や耐久性が改善されるとはいえない,すなわち,上記課題を解決できるとはいえない。 ここで,請求項1に係る発明は,「シリカ粒子(C)を含有するエラストマー組成物と,リン片状の金属粉(G)と,溶剤と,を含み」と特定されているから,「リン片状の金属粉(G)」以外の導電性フィラーを含み得るものであり,「リン片状の金属粉(G)」を含む導電性フィラーの含有量が,導電性ペーストの全体に対して85質量%よりも多いものを含んでいるから,必ずしも上記課題を解決できるとはいえない。 ウ 本願明細書【0074】の記載によれば,導電性ペースト中におけるエラストマー組成物の含有量が,導電性ペースト全体に対して,1質量%未満の場合,導電性ペーストのエラストマーが適度な柔軟性を持つことはできないから,導電性ペーストの印刷性や耐久性が改善されるとはいえない,すなわち,上記課題を解決できるとはいえない。また,導電性ペースト中におけるエラストマー組成物の含有量が,導電性ペースト全体に対して,25質量%よりも多い場合,エラストマーの機械的強度の向上を図ることはできないから,導電性ペーストの印刷性や耐久性が改善されるとはいえない,すなわち,上記課題を解決できるとはいえない。 ここで,請求項1に係る発明は,導電性ペースト中におけるエラストマー組成物の含有量は特定されておらず,当該含有量が,導電性ペースト全体に対して,1質量%未満のものや,25質量%よりも多いものを含んでいるから,必ずしも上記課題を解決できるとはいえない。 エ 本願明細書【0079】の記載によれば,導電ペースト中におけるシリカ粒子(C)の含有量が,導電性ペーストの全体に対して,1質量%未満の場合,導電性ペーストのエラストマーが適度な機械的強度を持つことはできないから,導電性ペーストの印刷性や耐久性が改善されるとはいえない,すなわち,上記課題を解決できるとはいえない。また,導電ペースト中におけるシリカ粒子(C)の含有量が,導電性ペーストの全体に対して,15質量%よりも多い場合,エラストマーが適度な導電特性を持つことはできず,そもそも,導電性ペーストとして機能することはできないから,上記課題を解決できるとはいえない。 ここで,請求項1に係る発明は,導電ペースト中におけるシリカ粒子(C)の含有量は特定されておらず,当該含有量が,導電性ペーストの全体に対して,1質量%未満のものや,15質量%よりも多いものを含んでいるから,必ずしも上記課題を解決できるとはいえない。 オ 本願明細書【0103】の記載によれば,導電性ペースト中におけるシリカ粒子(C)の含有量の下限値が,シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して,1質量%未満の場合,導電性ペーストのエラストマーの機械的強度を向上させることはできないから,導電性ペーストの印刷性や耐久性が改善されるとはいえない,すなわち,上記課題を解決できるとはいえない。また,上限値が,シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して,20質量%よりも多い場合,導電性ペーストのエラストマーにおける伸縮電気特性と機械的強度のバランスを図ることはできないから,導電性ペーストの印刷性や耐久性が改善されるとはいえない,すなわち,上記課題を解決できるとはいえない。 そして,請求項1に係る発明は,導電性ペースト中におけるシリカ粒子(C)の含有量は特定されておらず,当該含有量が,シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して,1質量%未満のものや,20質量%よりも多いものを含んでいるから,必ずしも上記課題を解決できるとはいえない。 カ したがって,請求項1に係る発明は,発明の詳細な説明に記載したものでない。 また,請求項1を引用する請求項2〜14に係る発明も同様に,発明の詳細な説明に記載したものでない。 (2)明確性ついて 請求項1には,「当該導電性ペースト全体に対して」と記載されているが,この記載より前に「導電性ペースト」は記載されていない。 2 これに対し,令和3年11月10日付けの手続補正によって,補正前の請求項1の「リン片状の金属粉(G)と, 溶剤と,を含み, 前記リン片状の金属粉(G)の含有量が,当該導電性ペースト全体に対して,40質量%以上85質量%以下であり,」は,「導電性フィラーと, 溶剤と,を含む導電性ペーストであって, 前記導電性フィラーは,リン片状の金属粉(G)を含み, 前記導電性フィラーの含有量が,前記導電性ペースト全体に対して,40質量%以上85質量%以下であり,」と補正され(当審注:下線は補正箇所を示すため当審が付与した。以下,同様である。),また,請求項1には,「前記エラストマー組成物の含有量が,前記導電性ペースト全体に対して,1質量%以上25質量%以下であり, 前記シリカ粒子(C)の含有量が,前記導電性ペースト全体に対して,1質量%以上15質量%以下であり,かつ,前記シリカ粒子(C)および前記導電性フィラーの合計量100質量%に対して,1質量%以上20質量%以下であり,」との事項が特定された。 したがって,当審拒絶理由は解消した。 第7 むすび 以上のとおりであるから,原査定の理由及び当審拒絶理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2022-01-05 |
出願番号 | P2017-219020 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H01B)
P 1 8・ 537- WY (H01B) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
辻本 泰隆 |
特許庁審判官 |
▲吉▼澤 雅博 河本 充雄 |
発明の名称 | 導電性ペースト |
代理人 | 速水 進治 |