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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1381347
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-09-09 
確定日 2022-01-25 
事件の表示 特願2015−143493「タッチパネル用ハードコートフィルム,及び,折り畳み式画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月 9日出願公開,特開2017− 33032,請求項の数(8)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成27年7月17日の出願であって,令和元年7月25日付けで拒絶理由通知がされ,同年11月27日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ,令和2年6月4日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,同年9月9日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,同年11月20日付けで前置報告がされ,令和3年7月30日に審判請求人から前置報告に対する上申がされ,同年9月22日付けで当審より拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由」という。)がされ,同年10月11日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。

第2 本願発明
本願請求項1〜8に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」〜「本願発明8」という。)は,令和3年10月11日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
タッチパネルの表面材として用いられ,基材フィルムとハードコート層とを有するタッチパネル用ハードコートフィルムであって,
下記(条件1),(条件2)及び(条件3)を充足し,
前記ハードコート層は,前記基材フィルム側に設けられ(条件2)を充足させるための第一ハードコート層と,前記第一ハードコート層の前記基材フィルム側と反対側面上に設けられ(条件1)及び(条件3)を充足させるための第二ハードコート層とを有し,
前記第一ハードコート層の厚みが2.0μm以上5.0μm以下であり,前記第二ハードコート層の厚みが0.5μm以上4.0μm以下であり,
前記第一ハードコート層の断面中央におけるマルテンス硬さが500MPa以上1000MPa未満であり,前記第二ハードコート層の断面中央におけるマルテンス硬さが350MPa以上600MPa以下である
ことを特徴とするタッチパネル用ハードコートフィルム。
(条件1)3mmの間隔で前記タッチパネル用ハードコートフィルムの全面を180°折り畳む試験を,前記タッチパネル用ハードコートフィルムの両面でそれぞれ10万回繰り返し行った場合に割れ又は破断が生じない
(条件2)前記ハードコート層のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(750g荷重)の硬度が,4H以上である
(条件3)#0000番のスチールウールで1kg/cm2の荷重をかけながら,前記ハードコート層の表面を3500回往復摩擦させる耐スチールウール試験において傷が生じない」

なお,本願発明2〜7は,本願発明1を減縮した発明であり,本願発明8は,本願発明1のタッチパネル用積層体を用いてなる折り畳み式画像表示装置の発明である。

第3 引用文献,引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(米国特許出願公開第2015/0132552号明細書)には,次の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下,同様である。)。なお,引用文献1の記載事項は,当審の訳文で示す。
「技術的課題
[0008] 上記の課題を解決するために,本発明は,高硬度を示しながらも,カールや撓み,又はクラックの発生がないハードコーティングフィルムを提供する。
技術的解決策
[0009] 上記の問題を解決するために,本発明は,支持基材と,前記支持基材の少なくとも一面に形成されるハードコーティング層とを含み,前記ハードコーティング層は,3〜6官能性アクリレート系単量体の光硬化性架橋共重合体と,前記光硬化性架橋共重合体内に分散している無機微粒子とを含む,ハードコーティングフィルムを提供する。
・・・
[0017] 本発明の一実施形態にかかるハードコーティングフィルムは,支持基材と,前記支持基材の少なくとも一面に形成されるハードコーティング層とを含み,前記ハードコーティング層は,3〜6官能性アクリレート系単量体の光硬化性架橋共重合体と,前記光硬化性架橋共重合体内に分散している無機微粒子とを含む。
・・・
[0045] 完全に硬化したハードコーティング層は,約50μm以上,例えば,約50〜約150μm,又は約70〜約100μmの厚さを有する。本発明によれば,上述したハードコーティング層を備えているが,カールやクラックの発生しない高硬度ハードコーティングフィルムを提供することができる。
・・・
[0055] 例えば,本発明のハードコーティングフィルムは,1kgの荷重における鉛筆硬度が7H以上,または8H以上,または9H以上であってよい。
・・・
[0059] 上述のように,本発明のハードコーティングフィルムは,多様な分野において活用が可能である。例えば,本発明のハードコーティングフィルムは,移動端末,スマートフォン又はタブレットPCのタッチパネル,およびディスプレイ又はデバイスのカバーに用いられる。
・・・
[0075] 2)耐擦傷性
[0076] 摩擦試験機にスチールウール(#0000)を装着した後,0.5kgの荷重で400回往復した後,キズの個数を評価した。キズが2個以下の場合に○,キズが2個以上5個未満の場合に△,キズが5個以上の場合にXと評価した。
・・・
[0079] 6)円筒形屈曲テスト
[0080] 各ハードコーティングフィルムを,直径3cmの円筒形マンドレルに挟んで巻いた後,クラックの発生の有無を判断した。クラックが発生しない場合をOK,クラックが発生した場合をXと評価した。」

以上によれば,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「タッチパネルに用いられ,支持基材と,前記支持基材の少なくとも一面に形成されるハードコーティング層とを含むハードコーティングフィルムであって,
前記ハードコーティング層は,3〜6官能性アクリレート系単量体の光硬化性架橋共重合体と,前記光硬化性架橋共重合体内に分散している無機微粒子とを含み,約50μm以上の厚さを有し,
ハードコーティングフィルムを,直径3cmの円筒形マンドレルに挟んで巻く円筒形屈曲テストでクラックが発生せず,
ハードコーティングフィルムは,1kgの荷重における鉛筆硬度が7H以上であり,
摩擦試験機にスチールウール(#0000)を装着した後,0.5kgの荷重で400回往復した摩擦試験において,キズが2個以下である,
ハードコーティングフィルム。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に周知技術を示す文献として引用された引用文献2(特開2013−234383号公報)には,次の事項が記載されている。
「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが,摺動屈曲試験(IPC)においておよそ現実的にはあり得ないような屈曲回数(例えば10万回)に耐えるフレキシブルプリント配線板を使用した小型電子機器,例えば折りたたみ型携帯電話やスライド式携帯電話であっても,現実の製品においては,フレキシブルプリント配線板が破断するという故障が,なくなってはいない。膨大な屈曲回数に耐えられるFPCを使用してもなお,現実の製品でこのような故障が生じる原因として,高密度化による部品の接触,他の部品によるFPCの挟み込み,尖った部品の先端による亀裂,設計外の発熱や化学反応による絶縁材の劣化,など,無数の原因が検討され,対策がなされてきた。」

「【0059】
屈曲試験は摺動速度毎分120回とし,室温環境で行った。屈曲時に銅箔にかかる歪を揃えるため,曲げ半径は,銅箔厚みが18μmの場合は1.5mm,12μmの場合は1.0mm,9μmの場合は0.75mmとし,それぞれ破断までの回数で評価した。試料に通電し,導通遮断によって破断を検出した。連続屈曲では,破断回数が10万回未満であれば×,10万回以上30万回未満であれば○,30万回以上であるものを◎とした。また間歇屈曲では,5時間間隔で連続1000回の屈曲を行い,破断回数が5万回未満であれば×,5万回以上10万回未満であれば○,10万回以上であれば◎とした。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2015−10209号公報)には,次の事項が記載されている。
「【0065】
[耐摩耗性の評価]
ラビングテスター(新東科学社製)を用いて,下記条件で擦った後の硬化被膜の水接触角を評価した。試験環境条件は25℃,湿度40%である。
1.耐布摩耗性
布:ベンコット(旭化成社製)
移動距離(片道):30mm
移動速度:1800mm/分
荷重:1kg/cm2
擦り回数:50,000回
2.耐消しゴム摩耗性
消しゴム:EB−SNP(トンボ社製)
移動距離(片道):30mm
移動速度:1800mm/分
荷重:1kg/cm2
擦り回数:10,000回
3.耐スチールウール摩耗性
スチールウール:BONSTAR#0000(日本スチールウール株式会社製)
移動距離(片道):30mm
移動速度1800mm/分
荷重:1kg/cm2
擦り回数:5,000回」

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2015−69197号公報)には,次の事項が記載されている。
「【0018】
ここで,従来のハードコートフィルムは,その表面硬度を高めるべく,基材の少なくとも片面に,相対的に表面硬度の低いハードコート層を設け,そのハードコート層の表面に,相対的に高硬度のハードコート層を設けたものが多い。本発明では,相対的に高硬度のハードコート層(A1)の表面に,相対的に低硬度のハードコート層(A2)を設けることによって,高硬度で優れた屈曲性を備えたハードコートフィルムを見出したものである。」

「【0039】
前記第一のハードコート層(A1)及び第二のハードコート層(A2)のマルテンス硬度を調整する方法としては,前記ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等とともに,前記ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレート,ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート,アクリルアクリレート,ウレタン(メタ)アクリレート等を組み合わせ使用する方法が挙げられる。」

5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に周知技術を示す文献として引用された引用文献5(特開2015−127124号公報)には,次の事項が記載されている。
「【背景技術】
【0002】
電子デバイス(device)用のフレキシブル基板として,ガスバリアフィルムが用いられている。ガスバリアフィルムは,基板上に金属酸化物等からなるガスバリア層と有機層(バインダ層)とを交互に積層したものである。ガスバリアフィルムの用途は,従来,食品等の包装であったが,近年,電子デバイスに用いられるようになってきている。このため,水分や酸素等のガス分子に対するガスバリア性能及び耐熱性の飛躍的な向上が求められていた。
【0003】
ガスバリアフィルムとしては,例えば特許文献1に開示されるように,ポリイミド(PI)を有機層(バインダ(binder)層)として用いたガスバリアフィルムが知られている。ポリイミドは,水分や酸素等のガス分子に対するガスバリア性能及び耐熱性に優れているので,ガスバリアフィルムの有機層として好適な材料の1つである。」

「【0035】
(1.ガスバリアフィルムの構成)
まず,図1に基づいて,本実施形態に係るガスバリアフィルム10の構成について説明する。ガスバリアフィルム10は,基板100上に有機層11及びガスバリア層12を交互に積層したものである。積層数(有機層11及びガスバリア層12からなるユニット10aの数)は特に制限はない。なお,図1では,基板100上に有機層11,ガスバリア層12をこの順番で形成しているが,図2に示すように,積層の順番は逆でも構わない。」

「【0141】
(屈曲性測定)
自動マンドレル試験機を用いて,半径1,3,5,10,20mmのそれぞれの心棒を支えに10万回屈曲した後,屈曲付近でガスバリア層の破壊がないか光学顕微鏡で観察した。破壊がなかった心棒の半径を破壊限界とした。評価結果を表1にまとめて示す。」

6 引用文献6について
原査定の拒絶の理由に周知技術を示す文献として引用された引用文献6(特開2015−112799号公報)には,次の事項が記載されている。
「【請求項1】
基材フィルムの一方の面上にハードコート層を有し,前記基材フィルムの他方の面上に樹脂硬化層を有する積層体であって,
直径30mmの円柱に巻き付けたときにクラックが生じないものであり,
ナノインデンテーション法により,圧子を500nm押込んだときの硬度が0.5〜1.5GPaである,及び/又は,超微小硬度計を用いた500mN荷重における硬度が0.29〜1.10GPaである
ことを特徴とする積層体。」

「【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は,基材フィルムの一方の面上にハードコート層を有し,上記基材フィルムの他方の面上に樹脂硬化層を有する積層体であって,直径30mmの円柱に巻き付けたときにクラックが生じないものであり,ナノインデンテーション法により,圧子を500nm押込んだときの硬度が0.5〜1.5GPaである,及び/又は,超微小硬度計を用いた500mN荷重における硬度が0.29〜1.10GPaであることを特徴とする積層体である。」

「【0107】
(ナノインデンテーション硬度)
HYSITRON(ハイジトロン)社製の「TI950 TriboIndenter」を用い,Berkovich圧子(三角錐)を,積層体のハードコート層表面から500nm押し込み,一定保持して残留応力の緩和を行った後,除荷させて,緩和後のmax荷重を計測し,該max荷重Pmax(μN)と深さ500nmのくぼみ面積A(nm2)とを用い,Pmax/Aを算出し,ナノインデンテーション硬度を測定した。なお,表1においては,「硬度1」と表記した。」

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「タッチパネルに用いられ,支持基材と,前記支持基材の少なくとも一面に形成されるハードコーティング層とを含むハードコーティングフィルム」は,本願発明1と同様に,タッチパネルの表面材として用いられるタッチパネル用積層体であるといえる。
また,引用発明1の「ハードコーティングフィルム」に含まれる「支持基材」は,フィルムであるといえるから,本願発明1の「基材フィルム」に相当する。
さらに,引用発明1の「前記支持基材の少なくとも一面に形成されるハードコーティング層」は,本願発明1の「ハードコート層」に相当する。
以上から,引用発明1の「タッチパネルに用いられ,支持基材と,前記支持基材の少なくとも一面に形成されるハードコーティング層とを含むハードコーティングフィルム」は,本願発明1の「タッチパネルの表面材として用いられ,基材フィルムとハードコート層とを有するタッチパネル用ハードコートフィルム」に相当する。

イ 以上から,本願発明1と引用発明1の一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「タッチパネルの表面材として用いられ,基材フィルムとハードコート層とを有するタッチパネル用ハードコートフィルムであるタッチパネル用ハードコートフィルム。」

<相違点>
相違点1:「ハードコート層」について,本願発明1は,「前記ハードコート層は,前記基材フィルム側に設けられ(条件2)を充足させるための第一ハードコート層と,前記第一ハードコート層の前記基材フィルム側と反対側面上に設けられ(条件1)及び(条件3)を充足させるための第二ハードコート層とを有し,前記第一ハードコート層の厚みが2.0μm以上5.0μm以下であり,前記第二ハードコート層の厚みが0.5μm以上4.0μm以下であ」るのに対し,引用発明1は,そのような構成を有していない点。
相違点2:本願発明1は,「前記第一ハードコート層の断面中央におけるマルテンス硬さが500MPa以上1000MPa未満であり,前記第二ハードコート層の断面中央におけるマルテンス硬さが350MPa以上600MPa以下である」のに対し,引用発明1は,そのような構成を有しているか不明である点。
相違点3:本願発明1は,「3mmの間隔で前記タッチパネル用ハードコートフィルムの全面を180°折り畳む試験を,前記タッチパネル用ハードコートフィルムの両面でそれぞれ10万回繰り返し行った場合に割れ又は破断が生じない」との(条件1)を充足するのに対し,引用発明1は,「ハードコーティングフィルムを,直径3cmの円筒形マンドレルに挟んで巻く円筒形屈曲テストでクラックが発生せず」との条件を充足する点。
相違点4:本願発明1は,「前記ハードコート層のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(750g荷重)の硬度が,4H以上である」との(条件2)を充足するのに対し,引用発明1は,「ハードコーティングフィルムは,1kgの荷重における鉛筆硬度が7H以上であ」るとの条件を充足する点。
相違点5:本願発明1は,「#0000番のスチールウールで1kg/cm2の荷重をかけながら,前記ハードコート層の表面を3500回往復摩擦させる耐スチールウール試験において傷が生じない」との(条件3)を充足するのに対し,引用発明1は,「摩擦試験機にスチールウール(#0000)を装着した後,0.5kgの荷重で400回往復した摩擦試験において,キズが2個以下である」との条件を充足する点。

(2)判断
事案に鑑み相違点3から検討する。
本願発明1の「3mmの間隔で前記タッチパネル用ハードコートフィルムの前記ハードコート層が形成された側の面が内側となるように全面を180°折り畳む試験を10万回繰り返し行」うテスト(以下,「本願屈曲テスト」という。)は,引用文献2〜6のいずれにも記載も示唆もされていない。また,本願屈曲テストが,本願出願前において,周知であったともいえない。
そうすると,引用発明1おける「ハードコーティングフィルムを,直径3cmの円筒形マンドレルに挟んで巻く円筒形屈曲テスト」に換えて,本願屈曲テストを採用し,「ハードコーティングフィルム」を相違点3に係る本願発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
また,仮に,引用発明1おける「ハードコーティングフィルムを,直径3cmの円筒形マンドレルに挟んで巻く円筒形屈曲テスト」に換えて,本願屈曲テストを採用したとしても,「ハードコーティングフィルム」に割れ又は破断が生じないとはいえない。
したがって,その余の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,引用発明1,引用文献3,4に記載された事項及び周知技術(引用文献2,5,6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2〜8について
本願発明2〜7は,本願発明1を減縮した発明であり,また,本願発明8は,本願発明1のタッチパネル用積層体を用いてなる折り畳み式画像表示装置の発明であり,いずれも本願発明1の全ての発明特定事項を有しているから,前記1で検討したのと同様の理由により,引用発明1,引用文献3,4に記載された事項及び周知技術(引用文献2,5,6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
1 原査定(令和2年9月9日付け拒絶査定)の理由の概要は次のとおりである。
(1)理由1(進歩性
本願の請求項1〜10係る発明は,引用発明1,引用文献3,4に記載された事項及び周知技術(引用文献2,5,6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2 しかしながら,令和3年10月11日の手続補正により補正された請求項1〜8は,前記相違点3に係る本願発明1の構成を有するものであるから,前記第4で検討したのと同様の理由により,引用発明1,引用文献3,4に記載された事項及び周知技術(引用文献2,5,6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものとはいえない。
したがって,原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由(特許法第36条第6項第1号)について
当審では,
「請求項1〜10には,ハードコート層の具体的な層構造,膜厚及び特性(第一及び第二ハードコート層の断面中央におけるマルテンス硬さ)が特定されておらず,出願時の技術常識に照らしても,請求項1〜10に係る発明の範囲にまで,発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから,請求項1〜10に係る発明は,発明の詳細な説明に記載したものではない。」
との拒絶の理由を通知したが,令和3年10月11日付けの手続補正によって,請求項1には,「前記ハードコート層は,前記基材フィルム側に設けられ(条件2)を充足させるための第一ハードコート層と,前記第一ハードコート層の前記基材フィルム側と反対側面上に設けられ(条件1)及び(条件3)を充足させるための第二ハードコート層とを有し,前記第一ハードコート層の厚みが2.0μm以上5.0μm以下であり,前記第二ハードコート層の厚みが0.5μm以上4.0μm以下であり,前記第一ハードコート層の断面中央におけるマルテンス硬さが500MPa以上1000MPa未満であり,前記第二ハードコート層の断面中央におけるマルテンス硬さが350MPa以上600MPa以下である」との事項が特定されたから,この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおりであるから,原査定の理由及び当審拒絶理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-01-05 
出願番号 P2015-143493
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 ▲吉▼澤 雅博
河本 充雄
発明の名称 タッチパネル用ハードコートフィルム、及び、折り畳み式画像表示装置  
代理人 特許業務法人 安富国際特許事務所  
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