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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02H |
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管理番号 | 1381393 |
総通号数 | 2 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-02-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-10-30 |
確定日 | 2022-01-12 |
事件の表示 | 特願2018−548778「極性感受性の負荷を保護するための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月21日国際公開、WO2017/160628、平成31年 3月28日国内公表、特表2019−509009〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)3月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年 3月15日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 2年 3月 6日付け:拒絶理由通知 令和 2年 6月10日 :意見書、手続補正書の提出 令和 2月 7月 3日付け:拒絶査定 令和 2年10月30日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 3年 3月 5日 :上申書の提出 第2 令和2年10月30日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年10月30日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「【請求項1】 電源; 電源に結合されたリレー; リレーの可動コネクタと電源とに結合された負荷;および 電源とリレーとの間にて結合されたダイオード を含み、 ダイオードのカソードが負荷に結合され、ダイオードのアノードがリレーのコイルに結合されており、 電源が第一極性の直流(DC)電圧を供する場合、ダイオードがリレーのコイルに電流が流れることを阻止し、リレーが負荷に電流を供し、 電源が第二極性のDC電圧を供する場合、ダイオードが電流をリレーのコイルに流し、リレーが負荷に電流が流れることを阻止する、保護回路。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和2年6月10日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 電源; 電源に結合されたリレー; リレーの可動コネクタと電源とに結合された負荷;および 電源とリレーとの間にて結合されたダイオード を含み、 電源が第一極性の直流(DC)電圧を供する場合、ダイオードがリレーのコイルに電流が流れることを阻止し、リレーが負荷に電流を供し、 電源が第二極性のDC電圧を供する場合、ダイオードが電流をリレーのコイルに流し、リレーが負荷に電流が流れることを阻止する、保護回路。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「ダイオード」と、「負荷」及び「リレーのコイル」との間の結合関係について、「ダイオードのカソードが負荷に結合され、ダイオードのアノードがリレーのコイルに結合されており」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、出願当初の明細書の段落【0030】に「負荷306およびダイオード316のカソードに接続された電源304の正端子」と記載されており、段落【0036】に「ダイオードのアノードをリレーのコイルに結合する」と記載されているから、「ダイオードのカソードが負荷に結合され、ダイオードのアノードがリレーのコイルに結合されており」との構成は、出願当初の明細書に記載されたものであり、新規事項を追加するものではなく、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献1、引用発明 (ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2004−507994号公報(平成16年3月11日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、「保護リレー」について、図面とともに、次の記載がある。 「【請求項1】 外部電源に接続するための入力端子と、保護される回路又は部品に接続するための出力端子と、前記入力端子及び前記出力端子に直列に接続されたコンタクトと、前記入力端子に接続された逆バイアスダイオードと、該ダイオードに接続され且つ前記コンタクトに対して作動可能に接続されたリレーコイルとを具備する保護リレーにおいて、 前記ダイオードは、逆電流極性の際に、前記リレーコイルにエネルギーを供給して前記コンタクトを開き、電流が前記出力端子に到達するのを防止することを特徴とする保護リレー。」 「【0001】 【発明が属する技術分野】 本発明は、逆極性回路に接続されたバッテリに接続され、過電圧の「負荷遮断」により生ずるダメージから回路を保護する保護リレーに関する。「負荷遮断」は、自動車車両の電気システムからバッテリを突然接続解除する際に生ずる。本発明は、自動車用途に特に利点がある。」 「【0004】 一般的な解決法は、逆電圧により生ずる電流を阻止するために、自動車内の電子モジュールであることが多い、保護すべき回路の部分にダイオードを直列に挿入することである。しかし不運なことに、この解決法は低電力モジュールのみに実用になるだけである。高電力を要するモジュールについては、非常に大きく且つ高価なダイオードが必要になる。 【0005】 高電力モジュール用の一解決法は、過大逆電流を短絡するために、各MOSFETに非並列にダイオードを取り付けることである。別の解決法は、ダイオードの逆バイアスにより逆電圧解決法における電流を阻止するように、個々のスイッチに直列に挿入することである。不運にもこの場合、通常の作動中、ダイオードの順バイアス電圧降下が熱損失となり、負荷が使用できる電圧を低下させてしまう。しかも、第1の解決法は回路の通常の作動と干渉しないが、逆バッテリ状態に長くさらされる場合、過熱問題が生じ得る。実効性が制限されていることに加え、これら付加的な保護部品も電子モジュールの寸法及びコストを増加させる。さらに、両解決法も、通常の作動(すなわち適切なバッテリ接続)中に回路の作動に対して何も改善しない。これら保護部品は、逆バッテリ接続という制限された環境でのみ利点がある。」 「【0006】 【発明の実施の形態】 以下の説明は、自動車に使用される代表的な電圧(すなわち12V又は42V)を使用する。これら電圧は例示目的のためのみであり、本発明はこれら特定電圧のみに適用になると理解すべきでない。むしろ、本発明は、最終使用の要求事項に依存した、いかなる所望の電圧のシステムに適用可能であると理解すべきである。 【0007】 本発明は、コンタクト及び小さなダイオードを有するリレーを具備する低コストアクティブ保護システムを提案する。図1は、出力端子と直列に常閉コンタクトを有するコイルリレーを示す。コイルリレーは、図2に示されるように、保護すべき回路に接続される。リレーコイルは、供給電源に対して逆バイアスで接続された小さなダイオードを介して供給端子に接続される。バッテリが適切な極性で接続されると、ダイオードは逆バイアスされ、コイル及びリレーには電流が流れ込まない。従って、電流は常閉コンタクトを介して流れ、回路の残余部分に供給する。供給電力が不注意で逆極性に接続されると、電流(図3に破線路Iで表される)がコイルを介して流れるようにダイオードが導電するので、リレーにエネルギーを供給し、コンタクトを開く。開いたコンタクトには電流が流れず、負荷は電源から効率的に接続解除されるので、負荷を保護する。図2及び図3は、適正にバッテリ接続された回路の作動及び逆バッテリ接続された回路の作動をそれぞれ示す。 【0008】 本解決法の利点は、回路が適正なバッテリ条件の下で作動すると、電力損失が生じないことである。この条件において、ダイオードは導電状態になく、コンタクトは数ミリオームの抵抗を有するので、損失は極めて低い。そして、これら自動車回路は高電流通電用途を目的とするが、リレーは殆んど駆動されないので、リレーのコンタクトの寸法は大きく設定する必要がない。このことにより、回路を保護するために要する部品のコスト及び寸法を小さくする。」 「 ![]() 」 「 ![]() 」 「 ![]() 」 (イ)引用文献1の記載から次のことがいえる。 a 段落【0007】によれば、引用文献1は、「コンタクト及び小さなダイオードを有するリレーを具備する低コストアクティブ保護システム」に関するものであり、「図1」には「出力端子と直列に常閉コンタクトを有するコイルリレー」が示され、この「コイルリレーは、図2に示されるように、保護すべき回路に接続される」ものである。 そして「図2」には「適正にバッテリ接続された回路の作動」が示され、「図3」には「逆バッテリ接続された回路の作動」が示されている。 そこで、図2及び図3を参照すると、12Vバッテリと保護される回路と常閉コンタクトとリレーコイルとダイオードを備える回路が読み取れる。 また、段落【0007】及び図2を参照すると、12Vバッテリが適切な極性で接続されるときの回路について、次のことが読み取れる。 ・常閉コンタクトは、12Vバッテリの正極と保護される回路との間に接続される。 ・リレーコイルは、12Vバッテリの正極と負極との間に接続される。 ・ダイオードは、カソードが12Vバッテリの正極と常閉コンタクトに接続され、アノードがリレーコイルに接続される。 b 段落【0007】には、「バッテリが適切な極性で接続されると、ダイオードは逆バイアスされ、コイル及びリレーには電流が流れ込まない。従って、電流は常閉コンタクトを介して流れ、回路の残余部分に供給する。」と記載されている。 ここで、当該記載の「バッテリ」が、図2に示される回路の「12Vバッテリ」を指すことは明らかである。 また、当該記載における「コイル及びリレー」は、バッテリが適切な極性で接続されると、ダイオードが逆バイアスされることで電流が流れ込まないものであるから、図2に示される回路の「リレーコイル」を指す。 さらに、当該記載の「回路の残余部分」は、電流が常閉コンタクトを介して流れる場合に電流が供給される部分であるから、図2に示される回路の「保護される回路」を指す。 そこで、上記記載における「バッテリ」「コイル及びリレー」「回路の残余の部分」を、図2に示される回路の「12Vバッテリ」「リレーコイル」「保護される回路」にそれぞれ用語を統一すると、段落【0007】には、「12Vバッテリが適切な極性で接続されると、ダイオードは逆バイアスされ、リレーコイルには電流が流れ込まず、電流は常閉コンタクトを介して流れて保護される回路に供給される」ことが記載されている。 c 段落【0007】には、「供給電力が不注意で逆極性に接続されると、電流(図3に破線路Iで表される)がコイルを介して流れるようにダイオードが導電するので、リレーにエネルギーを供給し、コンタクトを開く。開いたコンタクトには電流が流れず、負荷は電源から効率的に接続解除されるので、負荷を保護する。」と記載されている。 当該記載における「供給電力」は、「逆極性に接続される」ものであるから、図3に示される回路の「12Vバッテリ」を指すことは明らかである。 また、当該記載における「コイル」は、「供給電力が不注意で逆極性に接続される」場合に、「ダイオードが導電する」ことで「電流(図3に破線路Iで表される)が」「流れる」ものであるから、図3に示される回路の「リレーコイル」を指す。 さらに、当該記載における「コンタクト」が、「常閉コンタクト」を指すことは明らかである。 そして、当該記載における「負荷」と「電源」は、コンタクトが開き電流が流れないことにより接続解除されるものであるから、図3に示される回路の「保護される回路」と「12Vバッテリ」をそれぞれ指すことも明らかである。 そこで、上記記載における「供給電力」「コイル」「コンタクト」「負荷」「電源」を、「12Vバッテリ」「リレーコイル」「常閉コンタクト」「保護される回路」「12Vバッテリ」にそれぞれ用語を統一すると、段落【0007】には、「12Vバッテリが逆極性に接続されると、電流がリレーコイルを介して流れるようにダイオードが導通するので、常閉コンタクトが開き、開いた常閉コンタクトには電流が流れず、保護される回路は12Vバッテリから接続解除される」ことが記載されている。 また、上述のとおり、「12Vバッテリ」は「電源」であり、「保護される回路」は「負荷」である。 (ウ)したがって、上記aないしcから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「電源である12Vバッテリと、負荷である保護される回路と、常閉コンタクトと、リレーコイルと、ダイオードと、を備えた回路であって、 12Vバッテリが適切な極性で接続されると、 常閉コンタクトは、12Vバッテリの正極と保護される回路との間に接続され、 リレーコイルは、12Vバッテリの正極と負極との間に接続され、 ダイオードは、カソードが12Vバッテリの正極と常閉コンタクトに接続され、アノードがリレーコイルに接続されるように構成され、 ダイオードは逆バイアスされ、リレーコイルには電流が流れ込まず、電流は常閉コンタクトを介して流れて保護される回路に供給され、 12Vバッテリが逆極性に接続されると、電流がリレーコイルを介して流れるようにダイオードが導通するので、常閉コンタクトが開き、開いた常閉コンタクトには電流が流れず、保護される回路は12Vバッテリから接続解除される、 回路。」 イ 引用文献3 (ア)原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013−230030号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。 「【0001】 この発明は、車載用のバッテリーが正負逆に接続される逆接続時における誤動作を防止する誤動作防止装置に関する。」 「【0043】 <実施の形態1> (原理) 図1はこの発明の実施の形態1である電源逆接続用の誤動作防止装置の構成を示す回路図である。」 「【0046】 さらに、図1に示すように、実施の形態1の誤動作防止装置の主要構成として、スイッチ部SW1及びコイル部CL1からなる電磁リレー(メカニカルリレー)1を用いている。 【0047】 コイル部CL1は上流側端子PU2,下流側端子PD3間に介挿される。スイッチ部SW1はコイル部CL1への電流の有/無に基づき、{上流側端子PU1,下流側端子PD1間}/{上流側端子PU1,下流側端子PD2}間の電気的接続を切り換えるスイッチング動作を行う。電磁リレー1の構成及び動作は以下で述べる実施の形態2〜実施の形態5おいても同様である。 【0048】 したがって、以下で述べる実施の形態1〜実施の形態5は、PMOSトランジスタQ1の電源供給制御において、電源逆接続対策用に電磁リレー1を設けることにより、低費用に抑えつつ、低熱ロスで実現した誤動作防止装置である。 【0049】 (構成) 図1に示すように、正端子P1から電気負荷2(所定の負荷)を介して負端子P2に至る負荷用電源線L1上にヒューズ3、PMOSトランジスタQ1及び電磁リレー1のスイッチ部SW1が介挿される。すなわち、正端子P1はヒューズ3を介してPMOSトランジスタQ1のソース電極に接続され、PMOSトランジスタQ1のドレイン電極が電磁リレー1のスイッチ部SW1の上流側端子PU1に接続され、スイッチ部SW1の下流側端子PD1が電気負荷2を介して負端子P2に接続される態様で負荷用電源線L1が構成される。この際、PMOSトランジスタQ1の寄生ダイオードD1が、負端子P2側をアノード、正端子P1側をカソードとして設けられる。」 「【0052】 (動作) このような構成において、通常は、同図(a) に示すように、正端子P1に電源電圧VD、負端子P2にグランド電圧VGがそれぞれ付与されるようにバッテリーが正常に接続される。 【0053】 したがって、通常時は、順方向電流を阻止するダイオードD2の存在によりコイル部CL1には電流が流れないため、スイッチ部SW1の上流側端子PU1,下流側端子PD1間が電気的に接続され、負荷用電源線L1は導通可能状態となる。したがって、正端子P1から供給される電源電圧VDの電気負荷2への供給の有無を、制御信号SCに基づくPMOSトランジスタQ1のオン/オフ動作によって制御することができる。すなわち、PMOSトランジスタQ1がオン状態の時、電源電圧VDがスイッチ部SW1(PU1,P D1間)を介して電気負荷2に供給され、正端子P1から負端子P2の方向に負荷電流I 2が流れる。この際、スイッチ部SW1は1単位の電気負荷2(30A以下程度)に電流 供給を行えば良いため、電流供給能力は30Aあれば十分である。なぜならば、一般に車載用の1単位の電気負荷2に要求される負荷電流はほとんどが10A以下であり、最大で30A程度であるからである。 【0054】 一方、同図(b) に示すように、電源逆接続時は、負端子P2に電源電圧VD、正端子P1にグランド電圧VGがそれぞれ付与される。 【0055】 したがって、電源逆接続時は、ダイオードD2を介してコイル部CL1には電流が流れるため、スイッチ部SW1は上流側端子PU1,下流側端子PD2間を電気的に接続する 。すなわち、負荷用電源線L1の電源経路は上流側端子PU1,下流側端子PD1間で強制的に遮断状態となる。 【0056】 その結果、同図(b) に示すように、電源逆接続時は、遮断状態のスイッチ部SW1によって逆方向電流I2Rの発生を防止することができる。 」 「【0059】 (効果) このように、実施の形態1の誤動作防止装置において電磁リレー1のスイッチ部SW1は通常時に負荷用電源線L1の電源経路を導通可能状態とするため、PMOSトランジスタQ1のオン/オフ動作によって正端子P1から付与される電源電圧VDを電気負荷2に支障なく供給することができる。一方、電源逆接時にはコイル部CL1に電流が流れるため、電磁リレー1のスイッチ部SW1は異常時に負荷用電源線L1を遮断状態とする。その結果、負荷用電源線L1の電源経路が強制的に無効にされるため、電気負荷2に逆電流が流れることを防止することができる。 【0060】 さらに、負荷用電源線L1における上記導通可能状態から上記遮断状態への遷移は電磁リレー1のスイッチ部SW1によって行われており、コイル部CL1は負荷用電源線L1と異なる補助信号線LS2に接続されているため、コイル部CL1を流れる電流量を必要最小限に抑えることができる。 【0061】 また、電磁リレー1は上記導通可能状態(通常時)の時、スイッチ部SW1において電流が流れることによるリレー接点の発熱のみの発生で済ますことができるため、電気負荷2の通常使用時に電磁リレー1として発熱することもない。」 「【0081】 <実施の形態4> (構成) 図4はこの発明の実施の形態4である電源逆接続用の誤動作防止装置の構成を示す回路図である。なお、実施の形態4において、実施の形態1と同じ構成部分は同一符号を付して説明を適宜省略する。 【0082】 同図に示すように、正端子P1から電気負荷2を介して負端子P2に至る負荷用電源線L3上にヒューズ3、MOSトランジスタQ1及び電磁リレー1のスイッチ部SW1が介挿される。すなわち、正端子P1はヒューズ3を介してPMOSトランジスタQ1のソース電極に接続され、PMOSトランジスタQ1のドレイン電極が電気負荷2を介して電磁リレー1のスイッチ部SW1の上流側端子PU1に接続され、スイッチ部SW1の下流側端子PD1が負端子P2に接続される態様で負荷用電源線L3が構成される。 【0083】 電磁リレー1のコイル部CL1は負荷用電源線L3と異なる補助信号線LS3上に介挿される。すなわち、正端子P1はヒューズ3を介してコイル部CL1の上流側端子PU2に接続され、コイル部CL1の下流側端子PD3にダイオードD2のカソードが接続され、ダイオードD2のアノードが負端子P2に接続される態様で補助信号線LS3が構成される。なお、負荷用電源線L3と補助信号線LS3とは電磁リレー1の負端子P2側においてノードN2で接続され、ノードN2,負端子P2間は共用される。 【0084】 (動作) このような構成において、通常時は、実施の形態1及び実施の形態2と同様に、PMOSトランジスタQ1がオン状態の時、電源電圧VDが電気負荷2に供給され、正端子P1から負端子P2の方向に負荷電流I2が流れる。 【0085】 一方、電源逆接続時は、実施の形態1及び実施の形態2と同様に、遮断状態のスイッチ部SW1によって逆方向電流の発生を防止することができる。 【0086】 このように、実施の形態4の誤動作防止装置では、実施の形態1と同様の効果を奏する。すなわち、通常時に支障なく、電源逆接続時に電気負荷2に逆電流が流れるのを防止することができる。また、実施の形態1と同様、コイル部CL1を流れる電流量は必要最小限に抑え、電気負荷2通常使用時に電磁リレー1として発熱することもない。」 「 ![]() 」 「 ![]() 」 (イ)上記記載から、引用文献3には、次の技術が記載されていると認められる。 a 段落【0001】によると、引用文献3は、「バッテリーが正負逆に接続される逆接続時における誤動作を防止する誤動作防止装置」に関するものである。 b 段落【0046】によると、誤動作防止装置は、スイッチ部SW1及びコイル部CL1からなる電磁リレー1を用いる。 c 段落【0055】【0059】【0085】によれば、電源逆接続時にコイル部CL1に電流が流れてスイッチ部SW1を遮断状態とすることにより電気負荷2に逆電流が流れることを防止する。 d 段落【0049】【0052】および【図1】によれば、実施の形態1として、バッテリーが正常に接続されると電源電圧が付与される正端子P1に対して、スイッチ部SW1と電気負荷2を、スイッチ部SW1、電気負荷2の順番で接続した構成が読み取れる。 e 段落【0081】【0082】及び【図4】には、実施の形態4として、正端子P1に対して、スイッチ部SW1と電気負荷2を、電気負荷2、スイッチ部SW1の順番で接続した構成が読み取れる。 f 段落【0086】によれば、実施の形態1と実施の形態4は同様の効果を奏する。 (ウ)したがって、上記aないしfによれば、引用文献3には、以下の技術事項が記載されている。 「バッテリーが正負逆に接続される逆接続時における誤動作を防止する誤動作防止装置であって、 スイッチ部SW1及びコイル部CL1からなる電磁リレー1を用い、電源逆接続時にコイル部CL1に電流が流れてスイッチ部SW1を遮断状態とすることにより電気負荷2に逆電流が流れることを防止する誤動作防止装置において、 バッテリーが正常に接続されると電源電圧が付与される正端子P1に対して、スイッチ部SW1と電気負荷2を、 スイッチ部SW1、電気負荷2の順番に接続した構成と 電気負荷2、スイッチ部SW1の順番に接続した構成は、同様の効果を奏する。」 (3)引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「電源である12Vバッテリ」は、本件補正発明の「電源」に相当する。 (イ)引用発明の「常閉コンタクト」と「リレーコイル」は、「リレーコイルには電流が流れ込ま」ないと「電流は常閉コンタクトを介して流れ」るように動作し、また、「電流がリレーコイルを介して流れる」と「常閉コンタクトが開き、開いた常閉コンタクトには電流が流れ」ないように動作するから、「常閉コンタクト」と「リレーコイル」を併せた構成は、リレーを構成するものである。 よって、引用発明の「常閉コンタクト」と「リレーコイル」を併せた構成は、本件補正発明の「リレー」に相当する。また、引用発明の「常閉コンタクト」と「リレーコイル」は、本件補正発明の「リレーの可動コネクタ」と「リレーのコイル」にそれぞれ相当する。 そして、引用発明の「常閉コンタクト」は「12Vバッテリの正極と」「接続され」ており、また、「リレーコイル」は「12Vバッテリの正極と負極との間に接続され」るから、「常閉コンタクト」と「リレーコイル」を併せた構成は、「電源である12Vバッテリ」と結合される。 よって、引用発明の「常閉コンタクト」と「リレーコイル」を併せた構成は、本件補正発明の「電源に結合されたリレー」に相当する。 (ウ)引用発明の「負荷である保護される回路」は、本件補正発明の「負荷」に相当する。 ただし、「負荷」が、本件補正発明では「リレーの可動コネクタと電源とに結合され」るのに対して、引用発明ではそのような構成となっていない点で相違する。 (エ)引用発明の「ダイオード」は、「カソードが12Vバッテリの正極」「に接続され、アノードがリレーコイルに接続される」から、本件補正発明の「電源とリレーとの間にて結合されたダイオード」に相当する。 また、引用発明の「ダイオード」の「アノードがリレーコイルに接続される」ことは、本件補正発明の「ダイオードのアノードがリレーのコイルに結合されて」いることに相当する。 ただし、本件補正発明では「ダイオードのカソードが負荷に結合され」るのに対して、引用発明ではそのような構成となっていない点で相違する。 (オ)バッテリは直流電圧を供するものであるから、引用発明の「12Vバッテリ」は「適切な極性で接続されると」、適切な極性の直流電圧を供する。そして、引用発明の「12Vバッテリ」が「適切な極性で接続される」場合に供する適切な極性の直流電圧は、本件補正発明の「第一の極性の直流(DC)電圧」に相当する。 また、引用発明の「12Vバッテリが適切な極性で接続されると」、「ダイオードは逆バイアスされ、リレーコイルには電流が流れ込ま」ないことは、本件補正発明の「電源が第一の極性の直流(DC)電圧を供する場合」に「ダイオードがリレーのコイルに電流が流れることを阻止」することに相当し、引用発明の「電流は常閉コンタクトを介して流れて保護される回路に供給され」ることは、本件補正発明の「リレーが負荷に電流を供」することに相当する。 よって、引用発明の「12Vバッテリが適切な極性で接続されると」、「ダイオードは逆バイアスされ、リレーコイルには電流が流れ込まず、電流は常閉コンタクトを介して流れて保護される回路に供給」することは、本件補正発明の「電源が第一の極性の直流(DC)電圧を供する場合、ダイオードがリレーのコイルに電流が流れることを阻止し、リレーが負荷に電流を供」することに相当する。 (カ)引用発明の「12Vバッテリ」は「逆極性に接続される」と逆極性の直流電圧を供する。そして、引用発明の「12Vバッテリ」が「逆極性に接続される」場合に供する逆極性の直流電圧は、本件補正発明の「第二極性のDC電圧」に相当する。 また、引用発明の「12Vバッテリが逆極性に接続されると」、「電流がリレーコイルを介して流れるようにダイオードが導通する」ことは、本件補正発明の「電源が第二極性のDC電圧を供する場合」、「ダイオードが電流をリレーのコイルに流」すことに相当し、引用発明の「常閉コンタクトが開き、開いた常閉コンタクトには電流が流れず、保護される回路は12Vバッテリから接続解除される」ことは、本件補正発明の「リレーが負荷に電流が流れることを阻止する」ことに相当する。 よって、引用発明の「12Vバッテリが逆極性に接続されると、電流がリレーコイルを介して流れるようにダイオードが導通するので、常閉コンタクトが開き、開いた常閉コンタクトには電流が流れず、保護される回路は12Vバッテリから接続解除される」ことは、本件補正発明の「電源が第二極性のDC電圧を供する場合、ダイオードが電流をリレーのコイルに流し、リレーが負荷に電流が流れることを阻止する」ことに相当する。 (キ)引用発明の「回路」は「保護される回路」の保護を行うものであるから、本件補正発明の「保護回路」に相当する。 イ 以上(ア)ないし(キ)によれば、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「電源; 電源に結合されたリレー; 負荷;および 電源とリレーとの間にて結合されたダイオード を含み、 ダイオードのアノードがリレーのコイルに結合されており、 電源が第一極性の直流(DC)電圧を供する場合、ダイオードがリレーのコイルに電流が流れることを阻止し、リレーが負荷に電流を供し、 電源が第二極性のDC電圧を供する場合、ダイオードが電流をリレーのコイルに流し、リレーが負荷に電流が流れることを阻止する、保護回路。」 (相違点1) 「負荷」が、本件補正発明では「リレーの可動コネクタと電源とに結合」されるのに対して、引用発明ではそのような構成となっていない点。 (相違点2) 本件補正発明では「ダイオードのカソードが負荷に結合され」るのに対して、引用発明ではそのような構成となっていない点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 ア 相違点1および2について 引用文献3には、上記「(2)」「イ」「(ウ)」のとおりの技術事項(以下、「引用文献3に記載の技術事項」という。)が記載されている。 引用文献3に記載の技術事項は、バッテリーが正常に接続されると電源電圧が付与される正端子P1に対して、スイッチ部SW1と電気負荷2を、「スイッチ部SW1、電気負荷2の順番に接続した構成」と「電気負荷2、スイッチ部SW1の順番に接続した構成」は同様の効果を奏するものであり、その順番を変更し得るものである。 ここで、引用発明と引用文献3に記載の技術事項は、共に、電源逆接続時に負荷に電流が流れることを防止するものであり、その課題及び技術分野が共通する。また、引用発明の「常閉コンタクト」と引用文献3に記載の技術事項の「スイッチ部SW1」は、共に、コイルに流れる電流により開閉が制御されるリレー接点であって、電源逆接続時にコイルに電流が流れることにより遮断状態となって負荷に電流が流れることを防止するものであり、作用や機能が共通する。 そして、作用・機能が共通する複数の構成の中から、いずれの構成を採用するかは当業者が適宜設計し得る事項にすぎないから、引用発明において、引用文献3に記載の技術事項を適用し、12Vバッテリの正極と常閉コンタクタと保護される回路とを、12Vバッテリの正極に対して、常閉コンタクタ、保護される回路の順番に接続することに代えて、保護される回路、常閉コンタクトの順番に接続するよう構成することは、当業者が容易になし得たことである。 そして、引用発明に引用文献3に記載の技術的事項を適用したものは、「保護される回路(負荷)」が「12Vバッテリの正極(電源)」と「常閉コンタクト(リレーの稼動コネクタ)」とに結合され、「ダイオードのカソード」が「保護される回路(負荷)」に結合されることになる。 よって、引用発明、及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて、相違点1及び2に係る構成をなすことは当業者が容易になし得たことである。 イ そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明に引用文献3に記載された技術事項を適用したことにより得られる作用効果に対して、当業者が想起し得ないものとも認められない。 ウ 請求人の主張について (ア)請求人は、令和2年10月30日に提出された審判請求書及び令和3年3月5日に提出された上申書において、概略次の主張をしている。 a.「本願発明はいずれも、『ダイオードのカソードが負荷に結合』し、かつ、『ダイオードのアノードがリレーのコイルに結合』しているという特徴を有するものです。たとえ、引用文献1〜3が『ダイオードのカソードが負荷に結合』していること、及び『ダイオードのアノードがリレーのコイルに結合』していることのいずれか一方を開示していたとしても、本願発明のように『ダイオードのカソードが負荷に結合』し、かつ、『ダイオードのアノードがリレーのコイルに結合』しているという特徴は引用文献1〜3のいずれにも記載も示唆もされていません。よって、本願発明は、引用文献1〜3に記載も示唆もされていない特徴を有するものであり、当業者が引用文献1〜3に基づいて当業者が容易に想到できたものではなく、進歩性を有します。」(審判請求書の5頁14行目ないし21行目、上申書の2頁46行目ないし3頁5行目) b.「拒絶理由通知においても、前置報告書においても、引用文献1と引用文献3とを組み合わせて本願発明とする動機付けについて全く明らかにされていません。すなわち、審査官は、本願発明の特徴点に到達するためにしたはずであるという示唆等の存在は一切明らかにしていません。」(上申書の3頁31行目ないし34行目) c.「本願発明を採用することにより、正常動作中にダイオードを順バイアスすることなく、負荷を誤接続された電源から保護することができ、極性感受性の負荷のローサイドスイッチング保護を実現するという効果を奏することが可能です(本願明細書[0029]〜[0031])。本願発明を用いれば、通常の動作中、ダイオードは逆バイアスされ、コイルは緩和(非活性化)されたままであり、一方で、電源が誤って接続されると、ダイオードが順バイアスされ、負荷は、望ましくない極性の不適切な電流および/または電圧を受け取ることから保護されます。つまり、本願発明を用いれば、ダイオードが通常動作中に電圧降下または不要な熱を導入することなく、負荷に極性保護を供することができます。 従来、極性感受性の負荷を有する従来の電力回路は、従来の電力回路が通常の状態で動作する場合(すなわち、従来の電力回路の電源が適切なまたは所望の極性を有するDC電圧および/または、電流を供する場合)有意な電圧降下をもたらす保護装置および方法をしばしば使用していました。そのような有意な電圧降下の結果として、かなりの量の熱が発生する可能性がありました。その結果、このような従来の電力回路は、例えば高電力ダイオードのような高電力回路保護装置をしばしば必要とします。しかしながら、これらの高電力ダイオードはコストを増加させ、そのような高電力ダイオードによって放出される熱は、熱管理の必要性のために製造コストおよび設計コストを増加させる可能性がありました(本願明細書[0005]、[0006]等)。本願発明を用いることで、より効率的でより設計および製造コストが低い、極性感受性の負荷の保護を供する電力回路を提供することが可能です。 引用文献1〜3のいずれも極性感受性の負荷のローサイドスイッチング保護について記載も示唆もしておらず、また、ローサイドスイッチング保護においてあえて本願発明の構成を採用することを記載も示唆もしていません。ましてや、本願発明のように、より効率的でより設計および製造コストが低い、極性感受性の負荷の保護を供する電力回路を提供することができる設計について記載も示唆もしていません。よって、本願発明は当業者が引用文献から予想できない効果を奏するものです。」(審判請求書の5頁22行目ないし6頁22行目、上申書の3頁35行目ないし4頁12行目) (イ)そこで、請求人の上記aないしcの主張について以下検討する。 a.上記aの主張について 引用発明の「ダイオード」は「アノードがリレーコイルに接続される」ものである。また、上記「(4)ア」において説示したとおり、引用発明に引用文献3に記載の技術事項を適用し、12Vバッテリの正極と常閉コンタクタと保護される回路とを、12Vバッテリの正極に対して、常閉コンタクタ、保護される回路の順番に接続することに代えて、保護される回路、常閉コンタクトの順番に接続するよう構成することは、当業者が容易になし得たことであり、このような順番で接続したものは、「ダイオードのカソード」が「保護される回路」に接続されることになる。 よって、請求人の上記aの主張は採用できない。 b.上記bの主張について 上記「(4)ア」において説示したとおり、引用発明と引用文献3に記載の技術事項は、技術分野・課題・作用・機能が共通するものである。 また、引用文献3に記載の技術事項から、バッテリーが正常に接続されると電源電圧が付与される正端子P1に対して、スイッチ部SW1と電気負荷2を、「スイッチ部SW1、電気負荷2の順番に接続した構成」と「電気負荷2、スイッチ部SW1の順番に接続した構成」は同様の効果を奏し、スイッチと負荷の接続順序を変更しうるものであることは、当業者には明らかである。 そして、作用・機能が共通する複数の構成の中から、いずれの構成を採用するかは当業者が適宜設計し得る事項にすぎない。 以上のことより、引用発明に引用文献3に記載の技術事項を適用することは当業者が容易になし得たことである。 よって、出願人の上記bの主張は採用できない。 c.上記cの主張について 引用発明は、保護すべき回路の部分にダイオードを直列に接続する一般的な解決法では、非常に大きく且つ高価なダイオードが必要になり(段落【0004】)、また、通常の作動中、ダイオードの順バイアス電圧降下が熱損失となり、負荷が使用できる電圧を低下させてしまうとの課題(段落【0005】)を解決するものであるから、本願発明と同一の課題の解決を目的とするものである。 また、引用発明は、逆電圧により生ずる電流を阻止するものであり(段落【0004】)、コンタクト及び小さなダイオードを有するリレーを具備する低コストアクティブ保護システムを提案するものであり(段落【0007】)、回路が適正なバッテリ条件の下で作動すると電力損失が生じず、回路を保護するために要する部品のコスト及び寸法を小さくするものであるから(段落【0008】)、本願発明とは、より効率的でより製造コストが低い極性感受性負荷の保護を行う回路を提供する点で、効果の点においても共通する。 そして、引用発明において、引用文献3に記載の技術事項に基づき、12Vバッテリの正極と常閉コンタクタと保護される回路との間を、12Vバッテリの正極に対して、常閉コンタクタ、保護される回路の順番に接続することに代えて、保護される回路、常閉コンタクトの順番に接続すると、常閉コンタクトは、12Vバッテリの正極からみて保護される回路の下流側に位置するから、負荷のローサイドスイッチング保護を行う。そして、このように構成した場合であっても、引用発明が備える上記の効果と同様の効果が得られることも明らかである。 したがって、請求人が上記cにおいて主張する効果は、引用発明及び引用文献3に記載された技術事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 よって、請求人の上記cに主張は採用できない。 エ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和2年10月30日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和2年6月10日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 記 引用文献1:特表2004−507994号公報 引用文献3:特開2013−230030号公報 3 引用文献、引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び3の記載事項及び引用発明は、上記「第2」[理由]の「2(2)」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記「第2[理由]」で検討した本件補正発明から、「ダイオードのカソードが負荷に結合され、ダイオードのアノードがリレーのコイルの結合されており」という限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2[理由]2」に記載したとおり、引用発明及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も引用発明及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、請求項1に係る発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 審判長 山田 正文 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。 |
審理終結日 | 2021-08-04 |
結審通知日 | 2021-08-10 |
審決日 | 2021-08-25 |
出願番号 | P2018-548778 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H02H)
|
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
山田 正文 |
特許庁審判官 |
永井 啓司 畑中 博幸 |
発明の名称 | 極性感受性の負荷を保護するための方法および装置 |
代理人 | 山尾 憲人 |
代理人 | 江間 晴彦 |