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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1381443
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-12-25 
確定日 2022-02-04 
事件の表示 特願2018−192102「関連コンテンツを先見的に特定し、タッチ感知デバイス上に表面化させるためのシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 4月11日出願公開、特開2019− 57290、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)5月27日(パリ条約による優先権主張 2015年5月27日 米国、2015年6月5日 米国、2016年5月26日 米国)を国際出願日とする特願2017−561675号の一部を、平成30年10月10日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は次のとおりである。

平成30年12月10日 :手続補正書、上申書の提出
令和 元年11月26日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 5月 8日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 8月26日付け:拒絶査定(原査定)
令和 2年12月25日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年 9月28日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和 3年12月24日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年8月26日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

[理由1]新規性欠如
本願請求項1ないし7、15、17及び18に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

[理由2]進歩性欠如
本願請求項1ないし18に係る発明は、以下の引用文献AないしDに記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[引用文献等一覧]
A 特開2012−150804号公報
B “リンクアップ、ゼロからはじめるiPhone6Plusスマートガイドソフトバンク完全対応版”、株式会社技術評論社、2014年12月1日、初版、pp.158-159(周知技術を示す文献)
C 特表2015−504619号公報
D 特開2013−46171号公報

第3 当審拒絶理由の概要
令和3年9月28日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

[理由1]明確性要件違反
本願請求項1ないし17に係る発明は、以下の(1)及び(3)において明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

[理由2]サポート要件違反
本願請求項1ないし17に係る発明は、以下の(2)及び(3)において発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1ないし10及び13ないし17に係る発明において、「前提条件のセット」と「少なくとも1つのトリガー条件」との関係が具体的に特定されておらず、かつ、「前提条件のセット」は、いずれの処理に利用されるのか具体的に特定されていないため、「前提条件のセット」の技術的意義が明確ではない。
(2)請求項1ないし17に係る発明において、「前提条件のセット」と「少なくとも1つのトリガー条件」との関係が具体的に特定されていないため、「少なくとも1つのトリガー条件」が、「前提条件のセット」とは全く無関係のものである態様や、「少なくとも1つのトリガー条件」が「前提条件のセット」の一部分である態様を含むが、そのような態様は、発明の詳細な説明には記載されていない。
(3)請求項4ないし15に係る発明において、「第1のジェスチャ」を検出したことに応じて表示されるものが何であるのか明確ではなく、また、「関連付けられた情報」を「アプリケーション」とともに表示することは、発明の詳細な説明に記載されていない。

[理由3]進歩性欠如
本願請求項1ないし6及び8ないし17に係る発明は、以下の引用文献1ないし7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[引用文献等一覧]
1 特開2012−150804号公報(拒絶査定の引用文献A)
2 特表2014−524627号公報
3 特開2004−326498号公報
4 特開2013−257694号公報
5 特開2010−128838号公報
6 特表2015−501034号公報
7 特表2013−535059号公報

第4 本願発明
本願請求項1ないし11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明11」という。)は、令和3年12月24日に提出された手続補正書に係る手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定される発明であり、このうち本願発明1、10及び11は以下のとおりの発明である。

[本願発明1]
「 方法であって、
タッチ感知ディスプレイを有する電子デバイスにおいて、
前記電子デバイスのユーザからの指示に応じて前記電子デバイス上でアプリケーションを実行することと、
前記アプリケーションを実行している間、使用データであって、前記アプリケーション内で前記ユーザが実行した1つ以上のアクションを少なくとも含む、使用データを収集することと、
前記収集した使用データに基づいて、自動的に、人の介入なしに、少なくとも1つのトリガー条件を取得することであって、前記収集した使用データに基づいてユーザの行動パターンを識別することを含み、前記ユーザの行動パターンは、前記電子デバイスにおいて前記トリガー条件が存在する場合に、特定のアクションを前記ユーザが実行することを示す、取得することと、
前記少なくとも1つのトリガー条件を、前記アプリケーション内で前記ユーザが実行した前記1つ以上のアクションのうち前記特定のアクションと関連付けすることと、
前記少なくとも1つのトリガー条件が満たされたとの判定に応じて、前記ユーザに対し、前記トリガー条件と関連付けられた前記特定のアクションが、利用可能であり、かつ、第1のジェスチャを検出するのに応じて実行されるとのインジケーションであって、前記第1のジェスチャの説明を含むインジケーションを提供することと
を含み、
前記インジケーションを提供することは、前記タッチ感知ディスプレイのロックスクリーン上に、前記トリガー条件と関連付けられた前記特定のアクションに対応するユーザインタフェースオブジェクトを表示することを含み、
前記第1のジェスチャは、前記ユーザインタフェースオブジェクトの第1の所定のエリアにおけるシングルタップであり、
前記ユーザインタフェースオブジェクトの前記第1の所定のエリアとは区別される第2の所定のエリアにおけるシングルタップは、前記ロックスクリーンの表示を継続しつつ、前記電子デバイスに前記特定のアクションを実行させる、方法。」

[本願発明10]
「 コンピュータプログラムであって、タッチ感知ディスプレイを有する電子デバイスにより実行されると、前記電子デバイスに、
前記電子デバイスのユーザからの指示に応じて前記電子デバイス上でアプリケーションを実行することと、
前記アプリケーションを実行している間、使用データであって、前記アプリケーション内で前記ユーザが実行した1つ以上のアクションを少なくとも含む、使用データを収集することと、
前記収集した使用データに基づいて、自動的に、人の介入なしに、少なくとも1つのトリガー条件を取得することであって、前記収集した使用データに基づいてユーザの行動パターンを識別することを含み、前記ユーザの行動パターンは、前記電子デバイスにおいて前記トリガー条件が存在する場合に、特定のアクションを前記ユーザが実行することを示す、取得することと、
前記少なくとも1つのトリガー条件を、前記アプリケーション内で前記ユーザが実行した前記1つ以上のアクションのうち前記特定のアクションと関連付けすることと、
前記少なくとも1つのトリガー条件が満たされたとの判定に応じて、前記ユーザに対し、前記トリガー条件と関連付けられた前記特定のアクションが、利用可能であり、かつ、第1のジェスチャを検出するのに応じて実行されるとのインジケーションであって、前記第1のジェスチャの説明を含むインジケーションを提供することと
を実行させ、
前記インジケーションを提供することは、前記タッチ感知ディスプレイのロックスクリーン上に、前記トリガー条件と関連付けられた前記特定のアクションに対応するユーザインタフェースオブジェクトを表示することを含み、
前記第1のジェスチャは、前記ユーザインタフェースオブジェクトの第1の所定のエリアにおけるシングルタップであり、
前記ユーザインタフェースオブジェクトの前記第1の所定のエリアとは区別される第2の所定のエリアにおけるシングルタップは、前記ロックスクリーンの表示を継続しつつ、前記電子デバイスに前記特定のアクションを実行させる、実行可能命令群を含むコンピュータプログラム。」

[本願発明11]
「 電子デバイスであって、
タッチ感知ディスプレイと、
1以上のプロセッサと、
命令群を含む1以上のプログラムを格納したメモリであって、前記命令群が前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記電子デバイスに、
前記電子デバイスのユーザからの指示に応じて前記電子デバイス上でアプリケーションを実行することと、
前記アプリケーションを実行している間、使用データであって、前記アプリケーション内で前記ユーザが実行した1つ以上のアクションを少なくとも含む、使用データを収集することと、
前記収集した使用データに基づいて、自動的に、人の介入なしに、少なくとも1つのトリガー条件を取得することであって、前記収集した使用データに基づいてユーザの行動パターンを識別することを含み、前記ユーザの行動パターンは、前記電子デバイスにおいて前記トリガー条件が存在する場合に、特定のアクションを前記ユーザが実行することを示す、取得することと、
前記少なくとも1つのトリガー条件を、前記アプリケーション内で前記ユーザが実行した前記1つ以上のアクションのうち前記特定のアクションと関連付けすることと、
前記少なくとも1つのトリガー条件が満たされたとの判定に応じて、前記ユーザに対し、前記トリガー条件と関連付けられた前記特定のアクションが、利用可能であり、かつ、第1のジェスチャを検出するのに応じて実行されるとのインジケーションであって、前記第1のジェスチャの説明を含むインジケーションを提供することと
を実行させ、
前記インジケーションを提供することは、前記タッチ感知ディスプレイのロックスクリーン上に、前記トリガー条件と関連付けられた前記特定のアクションに対応するユーザインタフェースオブジェクトを表示することを含み、
前記第1のジェスチャは、前記ユーザインタフェースオブジェクトの第1の所定のエリアにおけるシングルタップであり、
前記ユーザインタフェースオブジェクトの前記第1の所定のエリアとは区別される第2の所定のエリアにおけるシングルタップは、前記ロックスクリーンの表示を継続しつつ、前記電子デバイスに前記特定のアクションを実行させる、電子デバイス。」

なお、本願発明2ないし9は、本願発明1を減縮する発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1記載事項
当審拒絶理由に引用された引用文献1(原査定に引用された引用文献A)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
開示された実施例は、一般に、電子デバイス、制御方式及びコンピュータプログラム、そのポータブル電子デバイス、制御方式及びコンピュータプログラム製品に関する。」

「【0003】
一般に、ユーザがアプリケーションを使用する場合、ポータブル電子デバイスは、階層的な形式で構成され、ユーザがこれを検討し、かつこれを選択するめのメニューの形で提示される。しかしながら、ユーザがアプリケーションを作動させることを望む場合、所望のアプリケーションが導入される前に、そのユーザは、メニューのいくつかの階層構造を経ることが必要となる。
例えば、ユーザが、ブラウザを起動してニュースを読みたいと欲する場合、プログラムファイルを起動させ、ブラウザフォルダを開き、ブラウザアプリケーションをロードし、ブラウザアプリケーションをクリックし、そして、ニュースのウェブページを検索することを含む手順が要求される。これらの上記手順は、ユーザにとって退屈であり、不便である。したがって、この業界においては、ポータブル電子デバイスを使用するための利便性を増加させる必要性が存在する。」

「【0014】
図1を参照すると、実施例に従った制御方法のフローチャートが示されている。本制御方法は、ポータブル電子デバイスのロックスクリーン上のショートカットを提供する。方法は、いくつかのステップを含む。ステップS110において、ポータブル電子デバイス上にインストールされた多くのアプリケーションの実行履歴を表すアプリケーション使用履歴が記憶される。ステップS120において、現在時刻及びポータブル電子デバイスの現在位置のうちの少なくとも1つが取得される。ステップS130において、アプリケーションは、アプリケーション使用履歴及び現在時刻及び現在位置のうちの少なくとも1つに従ってアプリケーションから選択される。選択されたアプリケーションは、実行のために要求される可能性が最も高い。ステップS140において、選択されたアプリケーションを起動させるために使用されるショートカットアイコンがポータブル電子デバイスのロックスクリーンに表示される。ステップS150において、ロックスクリーンからアンロックされたとき、ポータブル電子デバイスがショートカットアイコンを介して、選択されたアプリケーションが起動される。」

「【0016】
図2を参照すると、実施例によるポータブル電子デバイスの実施例のブロック図が示されている。ポータブル電子デバイス200は、記憶ユニット210、検出ユニット220、制御ユニット230、及びタッチスクリーン240を含む。ユニット間のオペレーションの関係については、以下に説明する。
【0017】
記憶ユニット210は、アプリケーションの実行履歴を表すアプリケーション使用履歴APP−UHを記憶するために使用される。アプリケーション使用履歴APP−UHは、例えばアプリケーションに関連した少なくとも1つの予め定められたイベントの少なくとも1つの時刻情報及び位置情報を含む。換言すれば、特定のアプリケーションに関連した予め定められたイベントが発生したときに、予め定められたイベントの時刻情報又は位置情報のうちの少なくとも1つが記憶ユニット210に記憶され、かつアプリケーション使用履歴APP−UHに記録される。予め定められたイベントは、例えば、アプリケーションが起動するイベント、アプリケーションが終了するイベント、又は、アプリケーションが使用中であるイベントである。…(以下省略)」
「【0020】
…(中略)…イベントに適用できるポータブル電子デバイス200は、マルチタスキング・オペレーティング・システムを備えている。すなわち、制御ユニット230は、いくつかのアプリケーションの制御実行が可能なプロセッサを有する。…(以下省略)」

「【0023】
更なる説明のために、最も実行される確率の高いアプリケーションを複数のアプリケーションから選択するインプリメンテーションが提供される。この場合、現在時刻Tcからみて、特定のアプリケーションが現在時刻で頻繁に起動するアプリケーションを、使用履歴APP−UHから特定することができる。このように、特定されたアプリケーションは、現在時刻で最も高い実行可能性があるアプリケーションとして決定される。例えば、午前9:00時に毎日特定のウェブサイトでニュースを読むためにブラウザアプリケーションを起動させるユーザが挙げられる。この場合、記憶ユニット210が予め定められた期間の間にアプリケーション使用履歴APP−UHを記録したあと、アプリケーション使用履歴APP−UHは、午前9:00時でブラウザを実行することをいくつか記録に残す。アプリケーション使用履歴APP−UHに基づいて、制御ユニット230は、ユーザが午前9:00時にブラウザを起動させ、かつ特定のニュース・ウェブサイトに接続する可能性が非常に高いことを特定することができる。換言すれば、現在の時刻が午前9:00時のとき、制御ユニット230は、ブラウザを、使用される確率が高いアプリケーションとみなし、かつそれを実行要求される確率が最も高いアプリケーションとして扱う。他の例としては、ユーザが毎日児童を迎えに行くために学校、又は、指導学校のような特定の場所に行き、かつ特定の電話番号に電話をかけるために電話アプリケーションを起動させると仮定する。この場合、記憶ユニット210が予め定められた期間の間にアプリケーション使用履歴APP−UHを記録したあと、アプリケーション使用履歴APP−UHは学校、又は、指導学校の位置周辺で電話アプリケーションを起動させるいくつかの記録を残す。アプリケーション使用履歴APP−UHに基づいて、制御ユニット230は、ユーザが、学校、又は指導学校の位置周辺で電話アプリケーションを起動させて、又は、特定の電話番号のための電話をする可能性が高いことを特定することができる。換言すれば、ユーザが、学校、に近いか、又は、指導学校に到着した場合、制御ユニット230は、電話アプリケーションが使用される確率が最も高いアプリケーションとみなし、かつそれを実行のために要求されるために最も可能の高いアプリケーションであるとみなす。」

「【0026】
制御ユニット230は、ポータブル電子デバイス00がショートカットアイコンを介してロックスクリーンFlsからアンロックされたときに、実行の要求がなされる最も可能性の高い選択されたアプリケーションを起動させるために、更に使用され。アプリケーションを起動させる実施例において、タッチスクリーン240が予め定められたスライド・オペレーション、又は、予め定められたクリック・オペレーションを受信した場合、ポータブル電子デバイス200はアンロックされ、かつ対応するショートカットアイコンIcのアプリケーションを起動させる。例えば、制御ユニット230は、タッチスクリーン240に、ショートカットアイコンIcに代えて、バー状のアイコンを表示するよう制御することができる。なお、予め定められたスライド・オペレーション、又は、クリック・オペレーションに関しては、ユーザは、ショートカットアイコンIcをクリックしてもよく、かつバー状のアイコンによって示されて方向の方へスライドさせて、アンロック手順を完了させ、対応するアプリケーションを起動させてもよい。実行において、上記の予め定められたスライド・オペレーションは、ショートカットアイコンIcを押し、かつ特定の方向の方へ移動させることにより行ってもよい。」
[当審注]
【0026】の「更に使用され。」は、「更に使用される。」の誤記と認められる。同様に【0026】の「バー状のアイコンによって示されて方向の方へスライドさせて」は「バー状のアイコンによって示された方向の方へスライドさせて」の誤記と認められる

「【0030】
本実施例は、ユーザの挙動を形成し、かつユーザの利便性をより高めるために、対応するショートカットアイコンを生成する。換言すれば、記憶ユニット210は、ユーザが特定の時刻、又は、特定の位置で特定のアプリケーションを起動させるために使用される場合の、ユーザの挙動に関連するアプリケーション使用履歴APP−UHを収集することができる。例えば、通信を利用する時間の間にインターネットアプリケーションを起動させ、そして、予定の時刻に、又は、予定の位置で毎日児童を迎えに行くときに、電話アプリケーションを起動させる。あるいは、毎週、又は、毎日、特定の時刻に電話を自宅にかけたいと感じるときに、電話アプリケーションを起動させる。したがって、ポータブル電子デバイス200は、ユーザが次に何をすることを望むか、又は、どのアプリケーションが最も使用される可能性があるか予測することができる。そして、ユーザが所望のアプリケーションを簡便に開くことができるよう、ポータブル電子デバイス200は予測されたアプリケーション(例えばインターネットアプリケーション、又は、データ通信プログラム)及び関連している命令、又は、パラメータの(例えばウェブサイト、又は、電話番号)ショートカットアイコンを表示する。」

「【0031】
また、コンピュータプログラム製品が、実施例において更に提供される。コンピューティングデバイスがコンピュータプログラムを実行することによって、コンピューティングデバイスは、ポータブル電子デバイスによる上述した制御方法を実行する。」

「【図1】



「【図2】



「【図3】



(2)引用発明
前記(1)より、引用文献1(引用文献A)には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 ポータブル電子デバイスによる制御方法であって、
本制御方法は、
ポータブル電子デバイス上にインストールされた多くのアプリケーションの実行履歴を表すアプリケーション使用履歴が記憶され、
現在時刻及びポータブル電子デバイスの現在位置のうちの少なくとも1つが取得され、
アプリケーションは、アプリケーション使用履歴及び現在時刻及び現在位置のうちの少なくとも1つに従ってアプリケーションから選択され、選択されたアプリケーションは、実行のために要求される可能性が最も高く、
選択されたアプリケーションを起動させるために使用されるショートカットアイコンがポータブル電子デバイスのロックスクリーンに表示され、
ロックスクリーンからアンロックされたとき、ポータブル電子デバイスがショートカットアイコンを介して、選択されたアプリケーションが起動され、
ポータブル電子デバイス200は、記憶ユニット210、検出ユニット220、制御ユニット230、及びタッチスクリーン240を含み、
記憶ユニット210は、アプリケーションの実行履歴を表すアプリケーション使用履歴APP−UHを記憶するために使用される。アプリケーション使用履歴APP−UHは、例えばアプリケーションに関連した少なくとも1つの予め定められたイベントの少なくとも1つの時刻情報及び位置情報を含み、換言すれば、特定のアプリケーションに関連した予め定められたイベントが発生したときに、予め定められたイベントの時刻情報又は位置情報のうちの少なくとも1つが記憶ユニット210に記憶され、かつアプリケーション使用履歴APP−UHに記録され、予め定められたイベントは、例えば、アプリケーションが起動するイベント、アプリケーションが終了するイベント、又は、アプリケーションが使用中であるイベントであり、
最も実行される確率の高いアプリケーションを複数のアプリケーションから選択するインプリメンテーションが提供され、この場合、現在時刻Tcからみて、特定のアプリケーションが現在時刻で頻繁に起動するアプリケーションを、使用履歴APP−UHから特定することができ、
例えば、アプリケーション使用履歴APP−UHに基づいて、制御ユニット230は、ユーザが午前9:00時にブラウザを起動させ、かつ特定のニュース・ウェブサイトに接続する可能性が非常に高いことを特定することができ、他の例としては、アプリケーション使用履歴APP−UHに基づいて、制御ユニット230は、ユーザが、学校、又は指導学校の位置周辺で電話アプリケーションを起動させて、又は、特定の電話番号のための電話をする可能性が高いことを特定することができ、
制御ユニット230は、ポータブル電子デバイス200がショートカットアイコンを介してロックスクリーンFlsからアンロックされたときに、実行の要求がなされる最も可能性の高い選択されたアプリケーションを起動させるために、更に使用され、
アプリケーションを起動させる実施例において、タッチスクリーン240が予め定められたスライド・オペレーション、又は、予め定められたクリック・オペレーションを受信した場合、ポータブル電子デバイス200はアンロックされ、かつ対応するショートカットアイコンIcのアプリケーションを起動させ、予め定められたスライド・オペレーション、又は、クリック・オペレーションに関しては、ユーザは、ショートカットアイコンIcをクリックしてもよく、かつバー状のアイコンによって示された方向の方へスライドさせて、アンロック手順を完了させ、対応するアプリケーションを起動させてもよく、
記憶ユニット210は、ユーザが特定の時刻、又は、特定の位置で特定のアプリケーションを起動させるために使用される場合の、ユーザの挙動に関連するアプリケーション使用履歴APP−UHを収集することができ、例えば、通信を利用する時間の間にインターネットアプリケーションを起動させ、そして、予定の時刻に、又は、予定の位置で毎日児童を迎えに行くときに、電話アプリケーションを起動させ、あるいは、毎週、又は、毎日、特定の時刻に電話を自宅にかけたいと感じるときに、電話アプリケーションを起動させ、
したがって、ポータブル電子デバイス200は、ユーザが次に何をすることを望むか、又は、どのアプリケーションが最も使用される可能性があるか予測することができる。そして、ユーザが所望のアプリケーションを簡便に開くことができるよう、ポータブル電子デバイス200は予測されたアプリケーション(例えばインターネットアプリケーション、又は、データ通信プログラム)及び関連している命令、又は、パラメータの(例えばウェブサイト、又は、電話番号)ショートカットアイコンを表示する、
ポータブル電子デバイスによる制御方法。」

2 引用文献2について
当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0008】
[0008]1つの実施形態は、コンピューティング環境で実行される方法を含む。この方法は、デバイス上で構成またはアクティベーション活動を自動的に行うための動作を含む。この方法は、デバイスに関する稼働情報または環境情報の少なくとも1つを集めることを含む。デバイスに関する稼働情報または環境情報の少なくとも1つを使用して、デバイスの予想される使用法(usage)を決定する。決定された予想される使用法に基づいて、少なくとも1つの構成またはアクティベーションアクションが行われて、デバイスを標準的な使用状態にする。」

「【0019】
[0021]ルールストア106中のルール105は、いくつかの異なる方法の1つまたは複数で生成することができる。例えばいくつかの実施形態では、ルールは、例えばシステムの製造者によって、静的に計算される。代替的または追加的実施形態では、ルールは、自動的に生成および/または学習されることもある。例えば、諸実施形態は、人工知能、決定木、有向グラフ、単純論理、および/または他の演算を使用して、ルールストア106からのルールを生成、変更、および/または削除することができる。さらに別の代替的または追加的実施形態では、ルールはユーザ入力によって手動で入力される、または構成されることが可能であり、デバイスのユーザが、ルールを作成、変更、または削除させるユーザインタフェースを使用して決定を行う。」

「【0051】
[0053]さらに別の代替的または追加的携帯電話の実施形態では、電話は、ユーザが滅多にゲーム(または他のグラフィックの多いアプリケーション)をせず、通常の勤務時間中にウェブの閲覧もしないことを理解する。しかしながらユーザは、勤務日に電子メールをチェックする。したがって、ユーザがオフィスにいる間(センサおよび/またはタイミング情報によって検出される)、電話は、この電子メールのチェックと関連するドライバ/ソフトウェア/アプリケーション/ハードウェアを、起動の最も早い可能な瞬間に起動するために、起動順序を調整し、したがって他の操作の前に電子メールのアクセスが利用可能となる。その後、夜には、使用法がシステムに予測できないとき、他のシナリオに合わせて起動順序を調整することができる。」

「【0055】
[0057]次に図3を参照すると、方法300が示されている。この方法300は、コンピューティング環境で行うことができ、デバイスで構成活動またはアクティベーション活動を自動的に行うための動作を含む。この方法は、デバイスに関する稼働情報または環境情報の少なくとも1つを収集することを含む(動作302)。いくつかの実施形態では、環境情報の収集は、センサデータを収集することである。このようなセンサデータは、GPS、光センサ、近接センサ、熱センサ、加速度計、ブルートゥース無線、分光計、無線ネットワークハードウェア、有線ネットワークハードウェア、カメラ、深度カメラ、可視光カメラ、IRセンサなどの1つまたは複数によって提供される場合がある。ウェイクオンLANコマンドを含む、無線ネットワークを介して送信されるいかなるものも、任意の好適なエンティティから送信することができる実施形態を、実行することができる。例えば、無線コマンドは、(本開示で示すように)テレビまたは自動車、または他のデバイスによって送信することができる。本明細書に示すように、センサデータは、追加的に、または代替的に、電力状態を示すハードウェアを含むことができる。例えば、ハードウェアは、デバイス(またはデバイスの一部)がオンであるか、オフであるかを示すことができる。
…(中略)…
【0057】
[0059]いくつかの実施形態では、稼働情報を収集することは、デバイスがアクティブであった期間、時刻、デバイスが行っていた、または関連していたアクション、デバイスの1つまたは複数のアクティベーション状態、デバイスのハードウェアの状態のような情報を収集することを含む。」

「【0058】
[0060]この方法300はさらに、デバイスに関する稼働情報または環境情報の少なくとも1つを使用して、デバイスの予想される使用法を判断することを含む(動作304)。いくつかの実施形態では、上に示すように、デバイスの予想される使用法を決定することは、ルールを適用することを含む。ルールは、少なくとも部分的に、デバイスに関する稼働情報または環境情報によって、決定される、または増強されることが可能である。例えば、上に示すように、あるセンサの読み取り値により、ルールを作成することができる場合がある。様々な例を上に示している。例えば、テレビを切ることが、その後車を始動することと組み合わされることを検出し、一定の回数行われる場合、結果として、テレビが消されると、車を自動的に起動するルールが得られる。」
「【0060】
[0062]デバイスの予想される使用法を決定することが、デバイスで生成されるルールに基づく実施形態を実行することができる。デバイスでは、環境データおよび/または稼働データを使用することができる。このデータを使用して、ルールを作ることができる、その後このルールがデバイスによって使用されて、アクティベーション活動または構成活動の決定を行う。このようないくつかの実施形態では、デバイスの予想される使用法を決定することが、デイバスのメインCPUで決定エンジンを使用して行われる。代替的、または追加的実施形態では、デバイスの予想される使用法を決定することが、デイバスのサブチップで決定エンジンを使用して行われる。」

以上より、引用文献2には、次の技術事項が記載されているといえる。

「 コンピューティング環境で実行される方法であって、
この方法は、デバイス上でアクティベーション活動を自動的に行うための動作を含み、デバイスに関する稼働情報または環境情報の少なくとも1つを集め、デバイスに関する稼働情報または環境情報の少なくとも1つを使用して、デバイスの予想される使用法(usage)を決定し、決定された予想される使用法に基づいて、アクティベーションアクションが行われる方法であり、
ルールストア106中のルール105は、自動的に生成および/または学習され、例えば、人工知能、決定木、有向グラフ、単純論理、および/または他の演算を使用して、ルールストア106からのルールを生成、変更、および/または削除することができ、
携帯電話の実施形態では、電話は、ユーザが通常の勤務時間中にウェブの閲覧もしないこと、勤務日に電子メールをチェックすることを理解し、したがって、ユーザがオフィスにいる間(センサおよび/またはタイミング情報によって検出される)、電話は、この電子メールのチェックと関連するドライバ/ソフトウェア/アプリケーション/ハードウェアを、起動の最も早い可能な瞬間に起動するために、起動順序を調整し、
方法300は、デバイス(携帯電話)に関する稼働情報または環境情報の少なくとも1つを収集することを含み、稼働情報を収集することは、デバイスがアクティブであった期間、時刻、デバイスが行っていた、または関連していたアクション、デバイスの1つまたは複数のアクティベーション状態、デバイスのハードウェアの状態のような情報を収集することを含み、
方法300はさらに、デバイス(携帯電話)に関する稼働情報または環境情報の少なくとも1つを使用して、デバイスの予想される使用法を判断することを含み、デバイスの予想される使用法を決定することは、ルールを適用することを含み、
デバイス(携帯電話)では、環境データおよび/または稼働データを使用して、ルールを作ることができ、その後このルールがデバイスによって使用されて、アクティベーション活動の決定を行うコンピューティング環境(携帯電話)で実行される方法。」

3 引用文献3について
当審拒絶理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示情報制御に特徴を有する情報端末機器及びプログラムに関するものである。」

「【0026】
11は利用者が情報端末機器1によりアプリケーションを操作するための入力手段である。入力手段11はボタンやタッチパネルなどがあり、情報端末機器1の本体に外部入力装置との接続手段を設けて外部入力装置から入力を行う場合であってもよい。12は入力情報制御手段であり、入力手段11の入力情報を入力とし、前記入力情報に基づいて作成した、給湯機制御情報やサーバー送信情報を出力する。13は機器情報送受信部であり、入力情報制御手段12で作成した前記給湯機制御情報を入力とし、給湯機2に送信する。また、給湯機2や給湯機2と接続している給湯機端末3〜5から送信した情報を受信する。14は情報端末機器1が持つ複数の機能やアプリケーションの、時間や曜日や季節毎などの使用パターンを分析する学習手段で、入力手段11の入力情報によりアプリケーションの利用状態を判定し、使用予測データを作成する。
【0027】
15は学習手段14が作成した情報端末機器1の機能やアプリケーションの、時間や曜日や季節毎などの使用パターンの分析結果から、時間や曜日や季節毎の使用予測データを作成する、使用予測データ作成手段である。16は入力情報制御手段12からの入力情報に基づき、サーバー7にデータを送信したり、管理会社6から送信する情報を受信したりする、サーバー情報送受信部である。17は情報端末機器1のアプリケーション画面などを表示する表示手段である。
【0028】
18は入力情報制御手段12、サーバー情報送受信部16、または使用予測データ作成手段15からの情報に基づき、情報端末機器1の表示手段17に表示する画面を作成する表示情報制御手段である。すなわち、入力手段11の入力情報、または学習手段14で作成した使用予測データの結果を基に、表示手段17に表示する表示情報を作成するとともに表示手段17に表示する画面内容を変更するようにしている。19は使用予測データ作成手段15で作成した使用予測データを記憶する情報記憶手段である。」

「【0043】
また学習手段14は、入力情報制御手段12が判断した情報に基づき、風呂/給湯の操作画面を呼び出すための入力ボタン102が押されたことと、押された時間を認識し(A−5)、時間に対する機能またはアプリケーション毎の利用頻度分布データ(例えば、10分ごとの利用頻度分布データ)を作成する(A−6)。
【0044】
上述したステップ(A−1)からステップ(A−6)は、その他の入力ボタン103、104が押されたときも、同様のステップで利用頻度分布データを作成する。
【0045】
使用予測データ作成手段15は、学習手段14が作成した利用頻度分布データに基づき、機能またはアプリケーション毎の使用予測データを作成する(A−7)。例えば、学習手段14による利用頻度分布データを所定の期間(例えば、2週間など)収集し(A−6)、時間毎に、所定の期間中に最も利用頻度の多かったアプリケーションを画面に表示するといった条件で、使用予測データ作成手段15は、機能またはアプリケーションの時間毎の使用予測データを作成する。」

以上より、引用文献3には、次の技術事項が記載されているといえる。

「 情報端末機器であって、
利用者が情報端末機器1によりアプリケーションを操作するための入力手段11(ボタンやタッチパネルなど)、
情報端末機器1が持つ複数の機能やアプリケーションの、時間や曜日や季節毎などの使用パターンを分析する学習手段14、
学習手段14が作成した情報端末機器1の機能やアプリケーションの、時間や曜日や季節毎などの使用パターンの分析結果から、時間や曜日や季節毎の使用予測データを作成する、使用予測データ作成手段15、
情報端末機器1のアプリケーション画面などを表示する表示手段17、及び、
入力情報制御手段12、サーバー情報送受信部16、または使用予測データ作成手段15からの情報に基づき、情報端末機器1の表示手段17に表示する画面を作成する表示情報制御手段18を備え、
学習手段14は、入力ボタン102が押されたことと、押された時間を認識し、時間に対する機能またはアプリケーション毎の利用頻度分布データ(例えば、10分ごとの利用頻度分布データ)を作成し、
使用予測データ作成手段15は、学習手段14が作成した利用頻度分布データに基づき、機能またはアプリケーション毎の使用予測データを作成し、例えば、学習手段14による利用頻度分布データを所定の期間(例えば、2週間など)収集し、時間毎に、所定の期間中に最も利用頻度の多かったアプリケーションを画面に表示するといった条件で、使用予測データ作成手段15は、機能またはアプリケーションの時間毎の使用予測データを作成すること。」

4 引用文献4について
当審拒絶理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0061】
スマートフォン1は、ジェスチャに応じて実行される処理に関する情報を操作ガイドに含めてもよい。図8は、ジェスチャに応じて実行される処理に関する情報を操作ガイドに含める例を示す図である。図8に示す例では、吹き出し61b、吹き出し62b、吹き出し63g、吹き出し63h、及び吹き出し63iが操作ガイドとして表示されている。
【0062】
吹き出し61bは、「タップ:詳細表示」という文字列を含み、プロフィール表示領域61を指し示している。すなわち、吹き出し61bは、プロフィール表示領域61に、何らかの処理を実行するためのジェスチャとして、タップが割り当てられていることを示している。さらに、吹き出し61bは、プロフィール表示領域61に対するタップが行われた場合に日記の作者のプロフィールの詳細が表示されることを示している。」

「【図8】



5 引用文献5について
当審拒絶理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0031】
図4中の下部に示す、楕円形状はタッチパネル3上において指が接触された領域を示す。このように、指がタッチパネル3上の楕円形状で示す位置に接触されると、カーナビゲーションECU2の接触検知手段2aは、接触位置と接触範囲を検出して、カーナビゲーションECU2の表示手段2bは、データベース4内の操作可能動作情報を検索して、検出された接触位置と接触範囲に関連する「次に操作可能な動作」を抽出して、例えば図4の上部に示すように、前述した楕円形状の領域の周辺に「ヒント!指を上にスライドすると画面が上に移動します。」というスクロール操作を説明するテキスト表示を実行し、さらに、テキスト表示の中に「指が一本」であることを示すシンボルを表示して、テキスト表示と楕円形状の領域の中間には視線の誘導を促す矢印のシンボルを表示する。」

「【図4】



6 引用文献6について
当審拒絶理由に引用された引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0098】
ある態様においては、分析取扱者310はソーシャルメディア取扱者312とインターフェースで接続し、ソーシャルネットワークプラットフォームにおいて論議される製品/サービスのユーザ活動データを監視および追跡し得、ユーザ活動データを、事前にユーザの許可を得て、商人、ゾーン管理者、またはゾーンスポンサーが利用可能にできる。例えば、ネットワークツールを介して監視されるユーザ活動は、ユーザによる最初の掲示が掲示された後のゾーンを訪れた訪問者数、初期掲示に関していくつのメッセージまたは論議が発生したか、コメントの型式、他の友人による好みの数等に関する分析情報を提供可能である。」

7 引用文献7について
当審拒絶理由に引用された引用文献7には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0086】
「プライバシー設定」とも呼ばれる、ユーザーのオプトイン/オプトアウト設定が、ユーザープロファイルデータベース120に格納される。当然のことながら、ユーザープロファイルデータベース120は、ユーザー装置104上またはユーザー装置104内のストレージではない。従来技術は、各個々のデータ受信者に対して、ユーザーのウェブブラウザ上で設定され、格納される「オプトアウトクッキー」を引き起こすことに依存しているが、ユーザープロファイルデータベース120は、配信サーバー118が、ユーザーのプライバシー設定を、データがそれらの設定に基づいてデータ受信者ウェブサーバー112に渡されるのを選択的に抑制または許可することにより、所与のウェブサイトに対して実施できるようにする。前述のカテゴリーに対してプライバシー設定を可能にすることにより、消費者は、ある種のデータ収集を選択的に許可および阻止でき、また、ある種のデータ要素がデータ受信者ウェブサーバー112に渡されるのを選択的に許可および阻止できる。」

8 引用文献Bについて
原査定に引用された引用文献Bには、図面とともに次の事項が記載されている。

「(第159頁より抜粋)


[当審注]上記には以下の事項が記載されている。
「iPhoneでは、ロック画面で音楽再生機能を操作することができます。音楽再生中にロック画面を表示すると、ロック状態を継続した状態で<ミュージック>の再生コントロールが表示されます。この再生コントロールで、再生や停止、曲のスキップなど、基本的な操作はひと通り行えます。」

9 引用文献Cについて
原査定に引用された引用文献Cには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0170】
図18Bは、ある態様による、反復的構造の判定が実行され得る編成マトリックスにおける例示的な構造のブロック図を示す。図18Bに示される例示的な構造は、マトリックス形式の要素1810(たとえば、1810A)であってよい。一態様では、要素1810Aは、列として表される複数の情報要素1812を含み得る。示される態様では、各情報要素1812は異なる曜日と関連付けられる。さらに、各情報要素1812は複数のエントリーを含み得る。同様のエントリーは、図18Bでは行として並べられ得る。たとえば、図18Bの行は、朝の期間、第1のアプリケーションの使用量、第1の位置、第2の位置、第2のアプリケーションの使用量、昼の期間、第1のアプリケーションの使用量(昼の間の)、第1の位置(昼の間の)などを表し得る。さらに、関連度の値が、各エントリー(たとえば、各エントリーの重要度/発生度の尺度、たとえば、「0」が最も重要ではなく「9」が最も重要である)とともに含まれ得る。示される態様では、2番目の行1820は、各曜日の朝におけるアプリケーションの使用量を示し得る。さらに、8番目の行1822は、各曜日の昼における同じアプリケーションの使用量を示し得る。」

「【0180】
任意選択のブロック1914において、編成マトリックスに対するクエリが、1つまたは複数の選択された基準を使用して行われ得る。そのような任意選択の態様では、通信デバイスはさらに、ユーザのプライバシーのレベルを決定し、そのユーザのプライバシーのレベルに基づいてクエリの基準を選択するために構成され得る。」

「【図18B】



10 引用文献Dについて
原査定に引用された引用文献Dには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0049】
制御部20は、ステップSA−3で通信機器と接続した状態であると判定した場合(ステップSA−3:Yes)、ロック状態を解除して(ステップSA−4)、当該通信機器に応じたアプリケーションを起動させる(ステップSA−5)。つまり、制御部20は、ロック画面を表示している状態で通信機器との接続を検出した場合は、ロック状態を自動解除して、即アプリケーションを起動する。ここで、本実施形態におけるロック状態とは、誤操作防止用のロック状態としている。」

第6 当審拒絶理由についての判断
1 理由1(明確性要件違反)及び理由2(サポート要件違反)について
(1)及び(2)に関して、本件補正により、本件補正後の請求項1ないし11に係る発明は、「前提条件のセット」が削除されたものとなり、
(3)に関して、本件補正前の請求項4に記載されていた「前記第1のジェスチャを検出したことに応じて、前記タッチ感知ディスプレイ上に前記特定のアクションと関連付けられた情報と共に前記アプリケーションを表示する」は、本件補正により、本件補正後の請求項3においては、「前記第1のジェスチャを検出したことに応じて、前記タッチ感知ディスプレイ上に前記アプリケーションを表示する」と補正された結果、
請求項1ないし11に係る発明は、明確となり、また、発明の詳細な説明に記載したものとなった。
よって、理由1(明確性要件違反)及び理由2(サポート要件違反)はいずれも解消した。

2 理由3(進歩性欠如)について
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「タッチスクリーン240」及び「ポータブル電子デバイス」はそれぞれ、本願発明1の「タッチ感知ディスプレイ」及び「電子デバイス」に相当する。
そして、引用発明の「ポータブル電子デバイス200」は、「タッチスクリーン240」を含むから、本願発明1の「タッチ感知ディスプレイを有する電子デバイス」に相当する。

(イ)引用発明は、概略、現在時刻又は現在位置のいずれか1つにおいてユーザによって最も使用される可能性があるアプリケーションを、アプリケーションの実行履歴を表す「アプリケーション使用履歴APP−UH」に基づいて予測して、そのアプリケーションを起動するためのアイコンをロックスクリーンに表示するものといえる。
ここで、引用発明の「アプリケーション使用履歴APP−UH」は、「特定のアプリケーションに関連した予め定められたイベントが発生したときに、予め定められたイベントの時刻情報又は位置情報のうちの少なくとも1つ」が記録されるものであり、「特定のアプリケーションに関連した予め定められたイベント」の例として、「アプリケーションが起動するイベント、アプリケーションが終了するイベント、又は、アプリケーションが使用中であるイベント」が挙げられている。
さらに、引用発明は、「例えば、アプリケーション使用履歴APP−UHに基づいて、制御ユニット230は、ユーザが午前9:00時にブラウザを起動させ、かつ特定のニュース・ウェブサイトに接続する可能性が非常に高いことを特定することができ、他の例としては、アプリケーション使用履歴APP−UHに基づいて、制御ユニット230は、ユーザが、学校、又は指導学校の位置周辺で電話アプリケーションを起動させて、又は、特定の電話番号のための電話をする可能性が高いことを特定することができ」及び「ポータブル電子デバイス200は予測されたアプリケーション(例えばインターネットアプリケーション、又は、データ通信プログラム)及び関連している命令、又は、パラメータの(例えばウェブサイト、又は、電話番号)ショートカットアイコンを表示する」といった構成を有していることからすれば、「特定のアプリケーションに関連した予め定められたイベント」として、「特定のアプリケーション」を実行している間にユーザが実行した1つ以上のアクション(例えば、特定のウェブサイトの指定等、特定の電話番号の指定等)を「イベント」として収集して記録するものといえる。
そして、引用文献1の【0003】に記載されているように、ユーザからの指示に応じてアプリケーションを実行することは自明なことである。
そうすると、引用発明は、本願発明1の「前記電子デバイスのユーザからの指示に応じて前記電子デバイス上でアプリケーションを実行すること」に相当する構成を備えるといえる。

(ウ)前記(イ)より、引用発明は、「特定のアプリケーション」を実行している間に、ユーザが実行した1つ以上のアクション(例えば、特定のウェブサイトの指定等、特定の電話番号の指定等)がなされたときに、当該アクションとともに、「時刻情報又は位置情報のうちの少なくとも1つ」を収集して「アプリケーション使用履歴APP−UH」に記録しているといえる。
ここで、引用発明において、「アプリケーション使用履歴APP−UH」に記録される、ユーザが実行した1つ以上のアクション、時刻情報及び位置情報は、本願発明1の「使用データ」に相当する。
また、アプリケーションを実行している間になされるアクションは、アプリケーション内で実行されるアクションといい得るものである。
そうすると、引用発明は、本願発明1の「前記アプリケーションを実行している間、使用データであって、前記アプリケーション内で前記ユーザが実行した1つ以上のアクションを少なくとも含む、使用データを収集すること」に相当する構成を備える。

(エ)前記(イ)及び(ウ)より、引用発明の「アプリケーション使用履歴APP−UH」は、時刻情報又は位置情報のうちの少なくとも1つと、特定のアプリケーションを実行している間にユーザが実行した1つ以上のアクションを関連付けて記憶したものであって、引用発明は、当該「アプリケーション使用履歴APP−UH」に基づいて、現在時刻又は現在位置のいずれか1つにおいてユーザによって最も使用される可能性があるアプリケーション及びアクションを予測するものといえる。ここで、「アプリケーション使用履歴APP−UH」に、現在時刻又は現在位置のいずれにも適合するものが存在しなければ、アプリケーション及びアクションを予測することができないことは明らかであるから、引用発明の「アプリケーション使用履歴APP−UH」に記録された「時刻情報又は位置情報のうちの少なくとも1つ」は、アプリケーションを予測するためのトリガーとなる条件といえるから、本願発明1の「少なくとも1つのトリガー条件」に相当する。
また、引用発明において、時刻情報又は位置情報のうちの少なくとも1つと、特定のアプリケーションを実行している間にユーザが実行した1つ以上のアクション(例えば、特定のウェブサイトの指定等、特定の電話番号の指定等)は、本願発明1の「特定のアクション」に相当する。
よって、引用発明において、時刻情報又は位置情報のうちの少なくとも1つと、特定のアプリケーションを実行している間にユーザが実行した1つ以上のアクションを「アプリケーション使用履歴APP−UH」に記録することと、本願発明1の「前記少なくとも1つのトリガー条件を、前記アプリケーション内で前記ユーザが実行した前記1つ以上のアクションのうち前記特定のアクションと関連付けすること」とは、「少なくとも1つのトリガー条件を、前記アプリケーション内で前記ユーザが実行した前記1つ以上のアクションのうち前記特定のアクションと関連付けすること」との点において共通する。

(オ)前記(エ)より、引用発明において、アプリケーション使用履歴APPUH」に記録された「時刻情報又は位置情報のうちの少なくとも1つ」が現在時刻又は現在位置のいずれか一方に合致するかを判定することによって、この現在時刻又は現在位置のいずれか1つにおいてユーザによって最も使用される可能性があるアプリケーション及びアクションを予測するものといえる。
そして、引用発明は、前記判定及び予測に応じた処理として、「選択されたアプリケーションを起動させるために使用されるショートカットアイコンがポータブル電子デバイスのロックスクリーンに表示され」、「アプリケーションを起動させる実施例において、タッチスクリーン240が予め定められたスライド・オペレーション、又は、予め定められたクリック・オペレーションを受信した場合、ポータブル電子デバイス200はアンロックされ、かつ対応するショートカットアイコンIcのアプリケーションを起動させ、予め定められたスライド・オペレーション、又は、クリック・オペレーションに関しては、ユーザは、ショートカットアイコンIcをクリックしてもよく、かつバー状のアイコンによって示されて方向の方へスライドさせて、アンロック手順を完了させ、対応するアプリケーションを起動させてもよく」及び「ポータブル電子デバイス200は予測されたアプリケーション(例えばインターネットアプリケーション、又は、データ通信プログラム)及び関連している命令、又は、パラメータの(例えばウェブサイト、又は、電話番号)ショートカットアイコンを表示する」との構成を備える。
ここで、引用発明の「ショートカットアイコンIc」及び「バー状のアイコン」は、本願発明1の「インジケーション」に相当し、引用発明における、「ショートカットアイコンIc」に対する「クリック」及び「バー状のアイコン」に対する「スライド・オペレーション」は、本願発明1の「第1のジェスチャ」に相当する。
また、引用文献1の【図3】には、ロックスクリーン上に、「ショートカットアイコンIc」として、

という地球儀風の画像を表示し、この「ショートカットアイコンIc」の横に、スライドの方向を示唆するバー状のアイコンの画像と共に「ニュース」という文字列を表示する様子が示されている。
これら画像及び文字列は、「ショートカットアイコンIc」に対して、予め定められた何らかの操作により「ショートカットアイコンIc」に対応する「インターネットアプリケーション」を起動して、文字列「ニュース」に対応するウェブサイトを表示するとのアクションを実行することにより、当該ウェブサイトが利用可能であることをユーザに示すものであるから、「インジケーション」といい得るものである。
よって、引用発明において、「ショートカットアイコンIc」及び「バー状のアイコン」の画像並びに「ニュース」の文字列を表示することと、本願発明1の「前記少なくとも1つのトリガー条件が満たされたとの判定に応じて、前記ユーザに対し、前記トリガー条件と関連付けられた前記特定のアクションが、利用可能であり、かつ、第1のジェスチャを検出するのに応じて実行されるとのインジケーションであって、前記第1のジェスチャの説明を含むインジケーションを提供すること」とは、「前記少なくとも1つのトリガー条件が満たされたとの判定に応じて、前記ユーザに対し、前記トリガー条件と関連付けられた前記特定のアクションが、利用可能であり、かつ、第1のジェスチャを検出するのに応じて実行されるとのインジケーションを提供すること」の点において共通する。

(カ)引用発明の「ロックスクリーン」は、本願発明1の「ロックスクリーン」に相当し、また、引用発明の「ショートカットアイコンIc」は、本願発明1の「前記トリガー条件と関連付けられた前記特定のアクションに対応するユーザインタフェースオブジェクト」に相当する。
よって、前記(オ)を参酌すれば、引用発明は、本願発明1の「前記インジケーションを提供することは、前記タッチ感知ディスプレイのロックスクリーン上に、前記トリガー条件と関連付けられた前記特定のアクションに対応するユーザインタフェースオブジェクトを表示することを含み」との構成を備える。

(キ)引用発明において、「ショートカットアイコンIc」が表示されるエリアは、本願発明1の「前記ユーザインタフェースオブジェクトの第1の所定のエリア」に相当する。
また、引用発明において、「ショートカットアイコンIc」に対してなされる「クリック」及び「スライド・オペレーション」のうち「クリック」は、「シングルタップ」といい得るものであるから、引用発明の「クリック」及び「スライド・オペレーション」と、本願発明1の「シングルタップ」とは、「シングルタップを含む操作」である点において共通する。
よって、前記(オ)を参酌すれば、引用発明において、「ショートカットアイコンIc」及び「バー状のアイコン」に対してなされるジェスチャが「クリック」及び「スライド・オペレーション」であることと、本願発明1の「前記第1のジェスチャは、前記ユーザインタフェースオブジェクトの第1の所定のエリアにおけるシングルタップ」であることとは、「前記第1のジェスチャは、前記ユーザインタフェースオブジェクトの第1の所定のエリアにおけるシングルタップを含む操作」である点において共通する。

(ク)引用発明の「ポータブル電子デバイスによる制御方法」は、後述する相違点を除けば、本願発明1における「方法」に相当する。

イ 一致点、相違点
したがって、本願発明1と引用発明とは、次の点において一致ないし相違する。

[一致点]
「 方法であって、
タッチ感知ディスプレイを有する電子デバイスにおいて、
前記電子デバイスのユーザからの指示に応じて前記電子デバイス上でアプリケーションを実行することと、
前記アプリケーションを実行している間、使用データであって、前記アプリケーション内で前記ユーザが実行した1つ以上のアクションを少なくとも含む、使用データを収集することと、
少なくとも1つのトリガー条件を、前記アプリケーション内で前記ユーザが実行した前記1つ以上のアクションのうち前記特定のアクションと関連付けすることと、
前記少なくとも1つのトリガー条件が満たされたとの判定に応じて、前記ユーザに対し、前記トリガー条件と関連付けられた前記特定のアクションが、利用可能であり、かつ、第1のジェスチャを検出するのに応じて実行されるとのインジケーションであって、前記第1のジェスチャの説明を含むインジケーションを提供することと
を含み、
前記インジケーションを提供することは、前記タッチ感知ディスプレイのロックスクリーン上に、前記トリガー条件と関連付けられた前記特定のアクションに対応するユーザインタフェースオブジェクトを表示することを含み、
前記第1のジェスチャは、前記ユーザインタフェースオブジェクトの第1の所定のエリアにおけるシングルタップを含む操作である、方法。」

[相違点]
<相違点1>
本願発明1は、「前記収集した使用データに基づいて、自動的に、人の介入なしに、少なくとも1つのトリガー条件を取得することであって、前記収集した使用データに基づいてユーザの行動パターンを識別することを含み、前記ユーザの行動パターンは、前記電子デバイスにおいて前記トリガー条件が存在する場合に、特定のアクションを前記ユーザが実行することを示す、取得すること」との構成を含むのに対して、引用発明は、当該構成を具体的に特定していない点。

<相違点2>
満たされる「少なくとも1つのトリガー条件」が、本願発明1は、「前記少なくとも1つのトリガー条件」すなわち「取得すること」において取得された「少なくとも1つのトリガー条件」であるのに対し、引用発明の「時刻情報又は位置情報のうちの少なくとも1つ」は、本願発明1の「取得すること」に対応する処理によって取得されたものではない点。

<相違点3>
「インジケーション」が、本願発明1は、「前記第1のジェスチャの説明を含む」ものであるのに対し、引用発明において、「バー状のアイコン」の画像は、スライドの方向を示唆するにとどまり、また、「クリック」についてはそのような示唆すらないから、引用発明の「ショートカットアイコンIc」及び「バー状のアイコン」の画像並びに「ニュース」の文字列は、ジェスチャの説明を含むものとはいえない点。

<相違点4>
「シングルタップを含む操作」が、本願発明1においては、「シングルタップ」そのものであるのに対し、引用発明においては、「クリック」と「スライド・オペレーション」である点。

<相違点5>
本願発明1は、「前記ユーザインタフェースオブジェクトの前記第1の所定のエリアとは区別される第2の所定のエリアにおけるシングルタップは、前記ロックスクリーンの表示を継続しつつ、前記電子デバイスに前記特定のアクションを実行させる」との構成を含むのに対し、引用発明は、当該構成を具体的に特定していない点。

ウ 相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点5について先に検討する。
引用発明において、所定のアプリケーションにおける特定のアクション(例えば、特定のウェブサイトの指定等、特定の電話番号の指定等)を実行するために、「ショートカットアイコンIc」に対する「クリック」及び「スライド・オペレーション」というジェスチャが既に用意されているにもかかわらず、同じ特定のアクションを実行するためのジェスチャとして、「ショートカットアイコンIc」が表示されるエリアとは異なるエリアにおけるジェスチャをさらに用意しておくことを想起することは当業者にとって困難である。また、異なるエリアにおけるいずれのシングルタップによっても同じ特定のアクションを実行することができる構成は、引用文献2ないし7のいずれにも記載されておらず、また、本願優先日前の周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1ないし7に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本願発明2ないし9について
本願発明2ないし9は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用文献1ないし7に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本願発明10及び11について
本願発明10は、本願発明1を「コンピュータプログラム」の発明として特定したものであり、本願発明11は、本願発明1を「電子デバイス」として特定したものであり、いずれも本願発明1に対応する構成を備えるものである。
よって、本願発明10及び11は、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用文献1ないし7に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
1 理由1(新規性欠如)について
前記第6の2(1)イで述べたように、本願発明1と引用発明(引用文献Aに記載された発明)との間には、相違点1ないし5があり、このうち、少なくとも相違点5は、形式的なものではなく実質的な相違点であるから、本願発明1は、引用発明と同一とはいえない。
本願発明2ないし11についても同様である。
よって、本願発明1ないし11は、引用文献Aに記載された発明ではないから、理由1(新規性欠如)は、解消した。

2 理由2(進歩性欠如)について
事案に鑑みて、前記第6の2(1)イに挙げた本願発明1と引用発明(引用文献Aに記載された発明)との間の相違点(相違点1ないし5)のうち、先に相違点5について検討する。
引用文献Bには、音楽再生中にロック画面を表示すると、ロック状態を継続した状態で<ミュージック>アプリケーションの再生コントロールが表示され、この再生コントロールで、再生や停止、曲のスキップなど、基本的な操作はひと通り行えることが記載されているように、所定のエリアに対するジェスチャによりロックスクリーンの表示を継続しつつ電子デバイスに特定のアクション(再生、停止、曲のスキップ等)を実行させることは本願優先日前の周知技術といえる。しかしながら、当該周知技術は、所定のエリアとは区別されるエリアにおけるジェスチャによっても、所定のエリアに対するジェスチャがなされたときと同じ特定のアクションを実行させることを前提とするものではないから、相違点5に係る本願発明1の構成(特に、「前記第1の所定のエリアとは区別される第2の所定のエリア」)を開示するものではない。
また、引用発明においては、所定のアプリケーションにおける特定のアクション(例えば、特定のウェブサイトの指定等、特定の電話番号の指定等)を実行するために、「ショートカットアイコンIc」に対する「クリック」及び「スライド・オペレーション」というジェスチャが既に用意されているにもかかわらず、同じ特定のアクションを実行するためのジェスチャとして、「ショートカットアイコンIc」が表示されるエリアとは異なるエリアにおけるジェスチャをさらに用意しておくことを想起することは当業者といえども困難である。加えて、引用発明は、「ロックスクリーンFlsからアンロックされたとき」に特定のアクションを実行することを想定しており、「ロックスクリーン」の表示を継続した状態であっても特定のアクションを実行することができるように構成を変更することには技術的な阻害要因がある。
以上より、当業者が、引用発明の構成に前記周知技術の構成を付加すること、及び、そのことにより相違点5に係る本願発明1の構成を想到することが容易であるとはいえない。
また、異なるエリアにおけるいずれのシングルタップによっても同じ特定のアクションを実行することができる構成は、引用文献C及びDのいずれにも記載されておらず、また、本願優先日前の周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献AないしDに記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本願発明2ないし11についても同様である。
よって、本願発明1ないし11は、当業者が引用文献AないしDに記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、理由2(進歩性欠如)は、解消した。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-01-18 
出願番号 P2018-192102
審決分類 P 1 8・ 113- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 林 毅
野崎 大進
発明の名称 関連コンテンツを先見的に特定し、タッチ感知デバイス上に表面化させるためのシステム及び方法  
代理人 大塚 康弘  
代理人 特許業務法人大塚国際特許事務所  
代理人 大塚 康徳  
代理人 下山 治  
代理人 永川 行光  
代理人 高柳 司郎  
代理人 木村 秀二  

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