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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  H04J
審判 一部無効 発明同一  H04J
管理番号 1381447
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2020-06-11 
確定日 2021-11-02 
事件の表示 上記当事者間の特許第4776725号発明「無線通信方法及び無線通信装置」の特許無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
特許第4776725号(以下「本件特許」という。)は,2008年(平成20年)8月12日(優先権主張 平成19年8月13日,平成19年10月29日)を国際出願日とする特願2009−528030号が平成23年7月8日に設定登録されたものである。
その後の手続の経緯は,概ね次のとおりである。
令和2年 6月11日 本件無効審判の請求
令和2年 8月12日 (請求人)手続補正書(審判請求書の補正)の 提出
令和2年11月 9日 (被請求人)審判事件答弁書の提出
令和2年12月10日付け 審理事項通知書
令和3年 1月26日 (被請求人)口頭審理陳述要領書の提出
令和3年 1月27日 (請求人)口頭審理陳述要領書の提出
令和3年 2月 4日 (請求人)上申書の提出
令和3年 2月18日付け 審理事項通知の通知
令和3年 2月24日 (請求人)口頭審理陳述要領書の提出
令和3年 2月24日 (被請求人)口頭審理陳述要領書の提出
令和3年 2月24日 口頭審理
令和3年 3月10日 (請求人)上申書の提出
令和3年 3月10日 (被請求人)上申書の提出

第2 本件発明
本件特許の請求項12に係る発明(以下「本件発明」という。)は,特許請求の範囲の請求項12に記載された事項により特定される,次のとおりのものである(便宜上,請求人の分説に従って示す。以下,付された符号に従って「構成要件A」などという場合がある。)。

「A. 無線通信装置であって,
B. 1スロットに含まれる7シンボルの内の第1,2,6,7番目のシンボルに対応する系列長4の直交系列であって,第2番目のシンボルと第6番目のシンボルとが逆相となる直交系列よりも同相となる直交系列を多く含む,複数の直交系列の内一つを用いてACK,NACK信号を拡散する拡散部と,
C. 拡散された前記ACK,NACK信号を第1,2,6,7番目のシンボルに,第1の参照信号を第3,4,5番目のシンボルに配置する配置部と,
D. 配置された前記ACK,NACK信号と前記第1の参照信号とを送信する送信部と,を有し,
E. 前記配置部は,第2番目のシンボルと第6番目のシンボルとに,参照信号系列に相互に逆相となる値を乗算した第2の参照信号を配置し,第1,3,4,5,7番目のシンボルにCQI信号を配置し,
F. 前記送信部は,配置された前記第2の参照信号および前記CQI信号を送信する無線通信装置。」


第3 請求人の主張
1 請求人の主張の概要
請求人は,「特許第4776725号の特許請求の範囲の請求項12に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め,以下の無効理由1,2を主張し,証拠方法として,甲第1号証〜甲第10号証(以下,それぞれ「甲1」〜「甲10」という。)を提出している。

(1)無効理由1
本件発明は,甲1,甲2,甲3に基づいて,当業者が容易に想到し得たものである。
したがって,本件発明は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから,特許法第123条第1項第2号の規定により,無効とされるべきものである。

(2)無効理由2
本件特許の請求項12に係る発明は,本件特許の優先日前にその優先権の基礎となる出願がなされ,後に国際公開された甲4に記載の発明と同一である。
したがって,本件特許は,特許法第29条の2の規定に違反してされたものであるから,特許法第123条第1項第2号の規定により,無効とされるべきものである。

2 証拠方法
甲1:3GPP TSG RAN WG1 #49, Rl-072857, Orlando, USA, June 25-29, 2007, Texas Instruments, Coherent Uplink ACK/NAK Transmission with High Speed UEs
甲2:3GPP TSG RAN WG1 #49, Rl-072212, Kobe, Japan, May 7-11, 2007, Texas Instruments, Transmission of Downlink CQI in E-UTRA Uplink
甲3:米国特許出願公開第2007/0171995号明細書
甲4:特表2010−519879号公報
甲4−1:甲4の優先権主張番号:60/944,074の内容を示す優先権書類
甲5:www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_49b/Docs
(https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_49b/Docs/)
甲6:www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_49/Docs
(https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_49/Docs)
甲7:特開2006−025415号公報
甲8:特開2005−124158号公報
甲9:3GPP TS36.300 v8.1.0(2007-06),3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2 (Release 8)
甲10:3GPP Portal Specification #:36.300
(https://portal.3gpp.org/desktopmodules/Specifications/SpecificationDetails.aspx?specificationId=2430)


第4 被請求人の主張
被請求人は,「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする,」との審決を求め,「本件特許は特許法第123条第1項各号に挙げられた無効理由を有していない」旨,主張している。


第5 当審の判断
1 本件特許について
請求人は,審査基準第III部第2章第4節に
4.1.2「他のサブコンビネーション」に関する事項が,「他のサブコンビネーション」のみを特定する事項であって,請求項に係るサブコンビネーションの発明の構造,機能等を何ら特定していない場合
この場合は,審査官は,「他のサブコンビネーション」に関する事項は,請求項に係るサブコンビネーションの発明を特定するための意味を有しないものとして発明を認定する。
の記載があることを踏まえれば,
無線通信装置である本件発明の構成要件Bの「第2番目のシンボルと第6番目のシンボルとが逆相となる直交系列よりも同相となる直交系列を多く含む,」構成,及び構成要件Eの「相互に逆相になる」は,「無線通信装置の構成に現れることのない」「基地局側の制御に関する事項」であり,上記「「他のサブコンビネーション」に関する事項」が,「他のサブコンビネーション」のみを特定する事項であって,請求項に係るサブコンビネーションの発明の構造,機能等を何ら特定していない場合」に該当するから,無線通信装置の発明を特定するための意味を有しないものとして発明を認定すべきである旨,主張する(令和 3年 3月10日提出の上申書5〜7ページ)ので,まず,当該主張について検討する。

本件特許の明細書には,次の事項が記載されている(下線は,強調のため当審で付与。)。
「【0045】
一方,図7に示す移動局200において,無線受信部202は,基地局100から送信されたOFDMシンボルをアンテナ201を介して受信し,OFDMシンボルに対しダウンコンバート,A/D変換等の受信処理を行う。」

「【0051】
判定部208は,復号部207から入力された制御情報が自局宛の制御情報であるか否かをブラインド判定する。例えば,判定部208は,自局のID番号でデマスキングすることによりCRC=OK(誤り無し)となった制御情報を自局宛の制御情報であると判定する。そして,判定部208は,自局宛の制御情報,すなわち,自局に対する下り回線データのリソース割当結果を抽出部205に出力する。また,判定部208は,自局宛の制御情報がマッピングされていたサブキャリアに対応するCCE番号から,自局からのACK/NACK信号の送信に用いるPUCCH番号を判定し,判定結果(PUCCH番号)を制御部209に出力する。例えば,上記L1/L2CCH#1が割り当てられた移動局200の判定部208は,CCE#1に対応するサブキャリアに制御情報がマッピングされているため,CCE#1に対応するPUCCH#1を自局用のPUCCHと判定する。また,上記L1/L2CCH#6が割り当てられた移動局200の判定部208は,CCE#8〜CCE#11に対応するサブキャリアに制御情報がマッピングされているため,CCE#8〜CCE#11において最小番号のCCE#8に対応するPUCCH#8を自局用のPUCCHと判定する。また,判定部208は,復号部207から入力された制御情報に含まれるRS位相を抽出し制御部209に出力する。
【0052】
制御部209は,判定部208から入力されたPUCCH番号に従って,拡散部214及び拡散部219での1次拡散に用いるZC系列の循環シフト量及び拡散部217での2次拡散に用いるウォルシュ系列を制御する。すなわち,制御部209は,判定部208から入力されたPUCCH番号に対応する循環シフト量のZC系列を拡散部214及び拡散部219に設定し,判定部208から入力されたPUCCH番号に対応するウォルシュ系列を拡散部217に設定する。また,制御部209は,判定部208から入力されたRS位相に従って,RS位相付加部222を制御する。また,制御部209は,予め基地局100からCQIを送信するように指示されている場合は,CQI信号の送信を選択し,CQIを送信するように指示されていない場合は,判定部208においてCRC=NG(誤り有り)に基づいて生成されたACK/NACK信号を送信するように,送信信号選択部223を制御する。」

「【0060】
ここで,基地局100は,ACK/NACK送信用に予め決められた2つのウォルシュ系列しか使わないものとする。すなわち,システムとしては4つのウォルシュ系列が利用可能であるが,基地局100は,ウォルシュ系列としてW#0=[1,1,1,1]とW#1=[1,-1,-1,1]の2つしか用いないことを予め報知する。ACK/NACK信号を送信する移動局200はこれらのウォルシュ系列のみを用いるとする。同様に,基地局100は,CQIのRS位相(2シンボル目の位相,6シンボル目の位相)として(+,−)を用いるように報知する。つまり,CQI信号を送信する移動局200は,図7のRS位相付加部222にて,CQIのRS位相を上記の通り付加する。この時,ACK/NACK信号の送信とCQI信号を生成する様子は図8に示す通りである。」

上記記載によると,「基地局は,ウォルシュ系列としてW#0=[1,1,1,1]とW#1=[1,-1,-1,1]の2つしか用いないことを予め報知」し,移動局200は,「判定部208から入力されたPUCCH番号に対応するウォルシュ系列を拡散部217に設定する」ものである。ここで予め報知されるウォルシュ系列は,本件発明の「1スロットに含まれる7シンボルの内の第1,2,6,7番目のシンボルに対応する系列長4の直交系列であって,第2番目のシンボルと第6番目のシンボルとが逆相となる直交系列よりも同相となる直交系列を多く含む,複数の直交系列」であり,移動局200は,当該報知を受信して制御を行う機能を有するものである。

また,「基地局100は,CQIのRS位相(2シンボル目の位相,6シンボル目の位相)として(+,−)を用いるように報知する。つまり,CQI信号を送信する移動局200は,図7のRS位相付加部222にて,CQIのRS位相を上記の通り付加する。」ことから,移動局200は,移動局200は,当該報知を受信して,CQIのRS位相を制御する機能を有するものである。

そうすると,本件発明の「第2番目のシンボルと第6番目のシンボルとが逆相となる直交系列よりも同相となる直交系列を多く含む,」及び「相互に逆相となる」との特定事項は,移動局200を制御しており,請求項に係るサブコンビネーションの発明の構造,機能等を特定していると把握される。

したがって,審査基準第III部第2章第4節に
4.1.1「他のサブコンビネーション」に関する事項が請求項に係るサブコンビネーションの発明の構造,機能等を特定していると把握される場合
この場合は,審査官は,請求項に係るサブコンビネーションの発明を,そのような構造,機能等を有するものと認定する。
と記載されているように,本件特許は,そのような構造,機能等を有するものと認定する。


2 無効理由1について
(1)甲1の記載事項及び甲1発明
本件特許の最先の優先日である2007年8月13日より前に,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1には,次の事項が記載されている。(下線は当審が付与したものである。以下,同様。)。

(1−1)「Title: Coherent Uplink ACK/NAK Transmission with High Speed UEs」
(当審訳:
題名:高速UEでのコヒーレントアップリンクACK/NAK送信)

(1−2)「1.Introduction
Coherent transmission with 3 RS OFDM symbols per slot has been agreed as the working assumption for uplink ACK/NAK transmission corresponding to scheduled downlink data service. Figure 1 shows the block diagram of coherent ACK/NAK transmission scheme per slot, where CS0 - CS5 represent the 6 cyclic shifts per RB and S0 - S6 denote the 7 OFDM symbols per slot. Although the exact RS symbol positions are still to be determined, without loss generality, we assume RS is transmitted in 3rd, 4th, and 5th OFDM symbols this document.


To increase the ACK/NAK multiplexing capacity, block spreading is applied to the RS OFDM symbols and ACK/NAK bearing OFDM symbols, respectively. For example, the RS OFDM symbols are covered by block spreading codes of length 3, while the ACK/NAK bearing OFDM symbols are covered with block spreading codes of length 4. Thus, the maximum number of simultaneous ACK/NAK UEs per slot is 18. However, orthogonality between block spreading codes is lost with high speed UEs, which, coupled with imperfect uplink power control, could significantly impact the UL ACK/NAK detection performance. The target UL ACK/NAK performance is shown in Table 1 [1].」
(当審訳:
1.序文
1スロット当たり3つのRS OFDMシンボルを用いたコヒーレント送信は,スケジュールされたダウンリンクデータサービスに対応するアップリンクACK/NAK送信のための作業仮定として合意されている。図1はスロットあたりのコヒーレントACK/NAK送信方式のブロック図を示し,CS0〜CS5は1RBあたり6回の循環シフトを表し,S0〜S6は1スロットあたり7つのOFDMシンボルを表す。正確なRSシンボルの位置は未決定ではあるが,一般性を失うことなく,本書ではRSが3番目,4番目,および5番目のOFDMシンボルで送信されると仮定する。

ACK/NAKの多重化容量を増加するために,RS OFDMシンボルとACK/NAKベアリングOFDMシンボルそれぞれにプロック拡散を適用した。たとえば,RS OFDMシンボルは長さ3のブロック拡散コードに使用され,ACK/NAKを持つOFDMシンボルは長さ4のブロック拡散コードで拡散される。したがって,1スロットあたりの同時ACK/NAK UEの最大数は18である。しかし,高速UEでは,プロック拡散コード間の直交性は失われ,不完全なアップリンク電力制御が伴うと,UL ACK/NAK検出性能に著しく影響する可能性がある。目標UL ACK/NAK性能を表1[1]に示す。)

(1−3)「2.ACK/NAK Inter - User Interference with Block Spreading
With the coherent ACK/NAK transmission scheme outlined in the previous section, 18 UEs can be multiplexed in one slot. If all UEs are of low speed, then inter - user interference is minimal. On the other hand, if one or more UEs are of high speed, orthogonality between block spreading codes is lost. However, with the LTE UL numerology, even for UEs at 350 km/h, the channel variation within one slot can be well approximated linearly. Thus, for a high speed UE, its channel on the 7 OFDM symbols within one slot can be effectively modeled as [h-3Δ, h-2Δ, h-Δ, h, h+Δ, h+2Δ, h+3Δ], where h denotes the channel in the middle (4th) OFDM symbol and Δ is channel variation between two consecutive OFDM symbols, which clearly depends on the UE speed.

Let ci(n) and cj(n) (n = 1, 2, 3, 4) denote two block spreading codes of length 4, assigned to UE i and UE j, respectively, for their ACK/NAK bearing OFDM symbols. Assuming UE j is of high speed, whose channel on the ACK/NAK bearing OFDM symbols can be modeled as h(n) = [h-3Δ, h-2Δ, h+2Δ, h+3Δ], the inter - user inference caused by UE j to UE i, denoted as Ij→i, is

,
where w(n) = [-3 -2 2 3]. Further, denote

.
It is clear that UE of high speed (i.e. with a larger Δ) should be assigned with a smaller

, to minimize its inter - user interference to UE i.」

(当審訳:
2.ブロック拡散でのACK/NAKユーザー間干渉
前記において概説したコヒーレントACK/NAK送信方式では,18台のUEを1つのスロットで多重化することができる。全てのUEが低速の場合,ユーザ間干渉は極めて少ない。一方,1つ以上のUEが高速である場合,ブロック拡散コード間の直交性は失われる。しかしながらLTE ULヌメロロジーにより,350Km/hのUEに対しても,1スロット内のチャネル変動をよく近似できる。したがって,1つのスロット内の7つのOFDMシンボル上の高速UEチャネルは,[h−3△,h−2△,h−△,h,h+Δ,h+2△,h+3△]として効果的にモデル化することができる。ここでのhは中間(4番目)のOFDMシンボル内のチャネルを示し,△は2つの連続するOFDMシンボル間のチャネル変動であり,明らかにUE速度に左右される。

ci(n)およびcj(n)(n=1,2,3,4)は,ACK/NAKベアリングOFDMシンボルのために,それぞれUEiおよびUEjに割り当てられた,長さ4の2つのプロック拡散コードを示すものとする。UEjが高速であると想定すると,ACK/NAKベアリングOFDMシンボル上のチャネルは,h(n)=[h−3△,h−2△,h+2△,h+3△]としてモデル化することができる。UEjによってUEiへ生じるユーザ間干渉は,Ij→iと表記され,w(n)=[−3 −2 2 3]であり,以下のようになる。

さらに,以下を示す。


高速の(すなわち,より大きな△を有する)UEは,UEiへのユーザ間干渉を最小化するために,より小さな

を割り当てられるべきであることは明らかである。)


(1−4)「3. Proposed UL ACK/NAK Transmission Schemes
With the ACK/NAK transmission scheme shown in Figure 1, we assume 3 block spreading codes, denoted as c1 = [1 1 1 1]; c2 = [1 -1 -1 1]; and c3 = [1 1 -1 -1], are used to cover the 4 ACK/NAK bearing OFDM symbols. It is straight forward to verify that

Thus, c2 is most suitable for high speed UE, because

Further, c1 and c3 cannot coexist unless both are assigned to low speed UEs. With the above observations, we propose the follow options to accommodate UL ACK/NAK transmission with high speed UEs.

Option 1: Always assign high speed UE with block spreading code c2. This scheme supports 18 UEs per slot, among which, at most 6 UEs can be of high speed. In other words, 1 high speed UE per cyclic shift with block spreading code c2. The rest 12 UEs can only be of low speed. Further, it may not be possible to implicitly inform each UE its UL ACK/NAK resources (i.e. cyclic shift and block spreading code), e.g. according to the DL control channel indices, because only c2 can be assigned to high speed UEs.

Option 2: Only use c1 and c2 as block spreading codes for UL ACK/NAK transmission. Thus, the multiplexing capacity of this option reduces to 12 UEs per slot. The advantages of this scheme are 1) any of the 12 UEs can be of high speed; and 2) each UE can implicitly obtain its assigned UL ACK/NAK resources, because there is no restriction on the usage of block spreading codes and cyclic shifts.

Option 3: All three block spreading codes can be assigned to any UEs of any speeds. This option has the same multiplexing capacity as Option 1, i.e. 18 UEs per slot. It also shares an advantage with Option 2 on the possible implicit mapping between UL ACK/NAK resources and DL control channel indices. However, because there is no explicit control on inter - user inference, the ACK/NAK performance of Option 3 with high speed UEs is generally much worse than the previous two options. Thus, Option 3 is more suitable for cells of low speed UEs.」
(当審訳:
3.ACK/NAK送信スキーム
図1におけるACK/NAK送信方式では,c1=[1 1 1 1],c2=「1 −1 −1 1],およびc3=[1 1 −1 −1]で表される3つのブロック拡散コードが想定されており,これらは,4つのACK/NAKを持つOFDMシンボルを拡散するために使用される。

であることを証明するのは簡単である。

であることから,c2が高速UEに最も適していることとなる。さらに,c1およびc3は,両方が低速UEに割り当てられない限り,共存することができない。以上の観測により,高速UEによるUL ACK/NAK送信に対応するために,以下のオプションを提案する。

オプション1:高速UEにブロック拡散コードc2を常に割り当てる。この方式は,1スロット当たり18台のUEをサポートし,その中で,6台までのUEが高速であることができる。言い換えれば,ブロック拡散コードc2を用いた1循環シフト当たり1つの高速UEということになる。残りの12台のUEは,低速であることしかできない。さらに,c2のみが高速UEに割り当てられることができるので,例えば,DL制御チャネルインデックスに従って,各UEにUL ACK/NAKリソース(すなわち,循環シフトおよびブロック拡散コード)を暗黙的に通知できない可能性がある。

Option2:オプション2:UL ACK/NAK送信のためのプロック拡散コードとして,c1およびc2のみを使用する。したがって,このオプションの多重化容量は,1スロット当たり12台のUEに減少する。この方式の利点は,1)12台のUEのいずれかが高速であることができること,および2)ブロック拡散コードおよび循環シフトの使用に対する制限がないので,各UEは割り当てられたUL ACK/NAKリソースを暗黙的に取得することができることである。

オプション3:3つ全てのブロック拡散コードが,あらゆる速度のあらゆるUEに割り当てることができる。このオプションは,オプション1と同じ多重化容量,すなわち1スロット当たり18台のUE,がある。また,UL ACK/NAKリソースとDL制御チャネルインデックスとの間の暗黙的なマッピングが可能ということに関して,オプション2と利点を共有する。しかしながら,ユーザ間干渉に対する明確な制御がないので,高速UEを用いたオプション3のACK/NAK性能は一般的に前期2つのオプションよりもはるかに悪い。したがって,オプション3は,低速UEのセルにより適している。)


(1−5)上記(1−2)より,S0−S6は1スロットあたりの7つのOFDMシンボルであって,図1には,ACK/NAKビットのブロック拡散をOFDMシンボルS0,S1,S5,S6の位置に配置し,ACK/NAK RSのブロック拡散をOFDMシンボルS2,S3,S4の位置に配置したスロットが示されている。そして,上記(1−2)の「RSが3番目,4番目,および5番目のOFDMシンボルで送信される」と合わせると,ACK/NAKビットのブロック拡散が,1番目,2番目,6番目および7番目のOFDMシンボルで送信されるものである。

(1−6)そうすると,甲1には,次の発明が記載されていると認められる(以下,「甲1発明」という。)。
「 1スロットあたり7つのOFDMシンボルS0−S6からなり,
RSが3番目,4番目,および5番目のOFDMシンボルで送信され,ACK/NAKビットが1番目,2番目,6番目および7番目のOFDMシンボルで送信され,
ACK/NAKの多重化容量を増加するために,RS OFDMシンボルとACK/NAKを持つOFDMシンボルそれぞれにプロック拡散が適用されており,RS OFDMシンボルは長さ3のブロック拡散コードでカバーされ,ACK/NAKを持つOFDMシンボルは長さ4のブロック拡散コードでカバーされ,
4つのACK/NAKを持つOFDMシンボルをカバーするために,c1=[1 1 1 1],c2=「1 −1 −1 1],およびc3=[1 1 −1 −1]で表される3つのブロック拡散コードを使用する,
コヒーレントアップリンクACK/NAK送信方式。」


(2)甲2の記載事項及び甲2発明
本件特許の最先の優先日である2007年8月13日より前に,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2には,次の事項が記載されている。
(2−1)「2.1.CAZAC Sequence Modulated CQI Transmission
Figure 1 shows an example for multiplexing ACK/NAK and CQI UEs with CAZAC sequence modulated CQI transmission.


ACK/NAK and CQI UEs are orthogonally multiplexed with cyclically shifted CAZAC sequences in each block. Depending on the number of ACK/NAK bits, a UE modulates its assigned CAZAC sequence with BPSK or QPSK. CAZAC sequences for CQI UEs are QPSK modulated.Thus, for each CQI UE, 5 (i.e. 10 CQI information bits) or 6 (i.e. 12 CQI information bits) QPSK symbols can be transmitted in one slot, with 2 or 1 RS blocks for coherent demodulation, respectively. Further, block spreading is applied to ACK/NAK UEs, for both RS and ACK/NAK. Notice that the number of RS blocks for ACK/NAK UEs and CQI UEs can be different.」
(当審訳:
2.1 CAZAC系列変調CQI送信
図1は,CAZAC系列変調CQI送信を用いてACK/NAKおよびCQI UEを多重化する例を示す。



図1:CAZAC系列変調CQI送信を用いたACK/NAK UEおよびCQI UEの多重化

ACK/NAKおよびCQI UEは,各ブロックで循環シフトされたCAZAC系列で直交多重化される。ACK/NAKビットの数に応じて,UEは割り当てられたCAZAC系列をBPSKまたはQPSKで変調する。CQI UEのためのCAZAC系列は,QPSK変調される。したがって,各CQI UEについて,5(すなわち,10CQI情報ビット)または6(すなわち,12CQI情報ビット)のQPSKシンボルはそれぞれ,コヒーレント復調用の2または1のRSブロックと合わせて,1スロットで送信される。さらに,RSとACK/NAKの両方のACK/NAK UEsにブロック拡散を適用した。なお,ACK/NAK UEおよびCQI UEのためのRSブロックの数は,異なっていてもよい。表1は,ACK/NAK送信のための3つのRSブロックを仮定して,系列が変調されたCQI送信を有するACK/NAK UEおよびCQI UEの多重化容量を要約する。)

(2−2)上記図1には,CAZACサイクリックシフトc4及びc5の行には,CAZAC系列で直交多重化されるCQI UEのOFDMシンボルが示され,ここで,「ブロック拡散を伴わないCQI UE」とされている。そして,CAZACサイクリックシフトc5の行は,OFDMシンボルS0,S2,S3,S4,S6にCQIビットを配置し,OFDMシンボルS1,S5にCQI RSを配置したものが示されている。

(2−3) 以上より,甲2には,「CAZAC系列変調CQI送信において,各ブロックでサイクリックシフトされたCAZAC系列で直交多重化され,ブロック拡散を伴わないものであり,第1,3,4,5,7番目のOFDMシンボルにCQIビットを配置し,第2,6番目のOFDMシンボルにCQI RSを配置して,1スロットで送信する,CQI UE」(以下,「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。


(3)甲3の記載事項及び甲3発明
甲3には,次の事項が記載されている。
(3−1)「METHOD AND APPARATUS FOR INCREASING THE NUMBER OF ORTHOGONAL SIGNALS USING BLOCK SPREADING」(1ページ タイトル)
(当審訳:
ブロック拡散を用いて直交信号の数を増やす方法および装置)

(3−2)「[0004] At transmitter 110, a reference signal (also referred to as pilot signal) processor 112 generates reference signal symbols (or pilot symbols). A transmitter (TX) data processor 114 processes (e.g., encodes, interleaves, and symbol maps) traffic data and generates data symbols. As used herein, a data symbol is a modulation symbol for data, a reference signal symbol is a modulation symbol for reference signal, and the term “modulation symbol” refers to a real valued or complex valued quantity which is transmitted across the wireless link. A modulator 120 receives and multiplexes the data and reference symbols, performs modulation on the multiplexed data and reference symbols, and generates transmission symbols. A transmitter unit (TMTR) 132 processes (e.g., converts to analog, amplifies, filters, and frequency up-converts) the transmission symbols and generates a radio frequency (RF) modulated signal, which is transmitted via an antenna 134.」
(当審訳:
[0004]
送信機110において,参照信号(パイロット信号とも呼ばれる)プロセッサ112は,参照信号シンボル(またはパイロットシンボル)を生成する。送信機(TX)データプロセッサ114がトラフィックデータを処理(エンコード,インターリーブ,およびシンボルマップ)し,データシンボルを生成する。本明細書で使用されるように,データシンボルはデータのための変調シンボルであり,参照信号シンボルは,参照信号のための変調シンボルであり,用語「変調シンボル」は,無線リンクを介して送信される実数値または複素数値の量を指す。変調器120はデータ及び参照シンボルを受信して多重化し,多重化されたデータ及び参照シンボルに対して変調を行い,送信シンボルを生成する。送信器ユニット(TMTR)132は送信シンボルを処理(例えば,アナログに変換し,増幅し,フィルタし,周波数をアップコンバートする)し,無線周波数(RF)変調信号を生成し,これはアンテナ134を介して送信される。)

(3−3)「[0011] In light of the foregoing background, embodiments of the invention provide an apparatus, method and system for generating, multiplexing and allocating reference signals to multiple transmitters. The proposed method can produce orthogonally multiplexed signals among the multiple transmitters thereby avoiding corresponding mutual interference.」
(当審訳:
[0011]
前述した背景を踏まえて,本発明の実施形態は,複数の送信機向けに参照信号を生成し,多重化し及び割り当てるための装置,方法及びシステムを提供する。提案する方法は,複数の送信機の間で直交的な多重化信号を生み出し,それにより対応する相互干渉を回避することができる。)

(3−4)「[0037] To illustrate how block-spreading can be used to separate different transmitters, we now turn to FIG. 6, illustrating an exemplary time interval 605 containing two distinct RS blocks, namely 604.0 and 604.1. Other blocks can carry data and control, and all blocks are preceded by cyclic-prefix transmission (CP), as common in OFDM-based systems. Two different transmitters which use a common baseline RS sequence [ck(0), ck(1), . . . , ck(L-1)], generated by 601, can be separated using orthogonal block-spreading sequences. For one transmitter, the block-spreading sequence generator 603.0 and 603.1 can generate entries s0=[s0(0), s0(1)]=[+1, +1]. For another transmitter, the corresponding block-spreading sequence generator 603.0 and 603.1 can generate entries using s1=[s1(0), s1(1)]=[+1, -1]. The previous block spreading sequences are the well known Walsh sequences with length 2. The modulator block 602 can be one of the modulators shown in the prior art (for example, FIG. 2 or FIG. 3), but this is not mandatory. The multiplier block 606 in case of Walsh sequences can be a simple sign operator according to the corresponding sign of the Walsh sequence element. In this specific case, the multiplier block 606 only flips the sign bit for the second transmitter in the second RS block. Also, each transmitter can reduce computation by executing 601 and 602 only once per time interval 605.」
(当審訳:
[0037]
異なる送信機の分離にブロック拡散がどのように利用されるか示すために,ここで図6に戻り,2つの別個のRSブロック,すなわち604.0および604.1を含む例示的な時間間隔605を示す。他のブロックはデータおよび制御を搬送することができ,すべてのブロックはOFDMベースのシステムで一般的であるように,サイクリックプレフィックス送信(CP)によって先行される。601によって生成される,一般的なベースラインRS系列[ck(0),ck(1),…,ck(L−1)]を使用する2つの異なった送信機は,直交ブロック拡散系列を使用して分離することができる。1つの送信機については,ブロック拡散シーケンス生成器603.0および603.1が,エントリs0=[s0(0),s0(1)]=[+1,+1]を生成できる。別の送信機については,対応するブロック拡散シーケンス生成器603.0および603.1が,s1=[s1(0),s1(1)]=[+1,−1]を使用するエントリを生成できる。先のブロック拡散シーケンスは,長さ2の周知のウォルシュシーケンスである。変調器ブロック602は従来技術(例えば,図2または図3)に示された変調器のうちの1つとすることができるが,これは必須ではない。ウォルシュシーケンスの場合の乗算器ブロック606は,ウォルシュシーケンス要素の対応する符号による単純な符号演算子とすることができる。この特定の場合,乗算器ブロック606は,第2の送信機についての第2のRSブロックの符号ビットが反転される。また,各送信機は時間間隔605につき1回だけ601および602を実行することにより,計算を削減することができる。)

(3−5)「[0046]The principle of “block spreading” also applies to the multiplexing of other signals, such as acknowledgement (ACK/NAK) and channel quality indicator (CQI) signals from different UEs. In this case, different UEs can use different sequences [ck(0), ck(1), . . . , ck(L-1)] or [sm(0), sm(1) . . . sm(T-1)], that are modulated with an information symbol which is identical to described embodiments. For example, an ACK transmission may correspond to the transmission of the same sequence as for the RS while a NAK transmission may correspond to its algebraic opposite. For CQI transmission, complex modulation symbols can be used to scale the transmitted sequence. Thus, embodiments of the invention can also be applied beyond the RS transmission.」
(当審訳:
[0046]
“ブロック拡散”の原理もまた,相異なるUEからの確認応答(ACK/NAK)及びチャネル品質インジケータ(CQI)信号といった他の信号の多重化に適用される。この場合,相異なるUEが相異なるシーケンス[ck(0),ck(1),・・・,ck(L−1)]又は[sm(0),sm(1),・・・,sm(T−1)]を使用することができ,これらは説明した実施形態と同一の情報シンボルと共に変調される。例えば,ACKの送信はRS用と同じシーケンスの送信に対応してよく,一方でNAKの送信はその代数的な逆に対応してよい。例えば,CQIの送信について,複素変調シンボルを使用して送信されるシーケンスを拡縮することができる。よって,本発明の実施形態は,RSの送信以外にも適用されることができる。)

(3−6)以上の記載より,甲3には,「ベースラインRS系列[ck(0),ck(1),…,ck(L−1)]を使用する2つの異なった送信機において,複数の送信機の間で直交的な多重化信号を生み出すものであって,1つの送信機については,ブロック拡散シーケンスとして長さ2のウォルシュシーケンスの[+1,+1]を用い,別の送信機は,[+1,−1]を用いることで,別の送信機は,乗算器ブロックにおいて,第2のRSブロックの符号ビットを反転する」こと(以下,「甲3発明」という。)が記載されている。


(4)対比
本件発明と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明は,「アップリンクACK/NAK送信方式」であり,ACK/NAKビットはRSとともに,スロットあたり7つのOFDMシンボルで送信されるから,「UE」が「ACK/NAK」及び「RS」を送信するものであり,甲1発明の「UE」は,本件発明の「無線通信装置」に対応する。

イ 甲1発明の「ACK/NAKビット」,「RS」は,それぞれ,本件発明の「ACK,NACK信号」,「第1の参照信号」に相当する。

ウ 甲1発明の「c1=[1 1 1 1],c2=「1 −1 −1 1],およびc3=[1 1 −1 −1]で表される3つのブロック拡散コード」は,「直交系列」であることは明らかである。
そして,c1,c2,c3のブロック拡散コードは,2番目の符号と3番目の符号について,c1とc2とが同相であり,c3は逆相となっているから,甲1発明において使用される3つのブロック拡散符号は,2番目の符号と3番目の符号とが逆相となる直交系列よりも同相となる直交系列を多く含む,複数の直交系列といえる。
ここで,3つのブロック拡散コードは,4つのACK/NAKを持つOFDMシンボルをカバーするものであり,4つのACK/NAKを持つOFDMシンボルは,1番目,2番目,6番目および7番目のOFDMシンボルで送信されるから,各ブロック拡散コードについて,ブロック拡散コードの1番目,2番目,3番目,4番目の符号は,それぞれ,1番目,2番目,6番目,7番目のOFDMシンボルに対応する。
そうすると,甲1発明で使用される「3つのブロック拡散コード」は,本件発明の「1スロットに含まれる7シンボルの内の第1,2,6,7番目のシンボルに対応する系列長4の直交系列であって,第2番目のシンボルと第6番目のシンボルとが逆相となる直交系列よりも同相となる直交系列を多く含む,複数の直交系列」に相当する。

エ 甲1発明において,ACK/NAKを持つOFDMシンボルはブロック拡散コードでカバーされているから,甲1発明の「UE」がACK/NAKビットを拡散する機能を有することは明らかであり,拡散する機能は「拡散部」といえる。
また,甲1発明において,「RSが3番目,4番目,および5番目のOFDMシンボルで送信され,ACK/NAKビットが1番目,2番目,6番目および7番目のOFDMシンボルで送信され」ることから,ブロック拡散コードで拡散されたACK/NAKビット及びACK/NAK RSを,所定のOFDMシンボルに配置するための機能を有することは明らかであり,配置するための機能は「配置部」といえる。

オ 上記アのとおり,「UE」が「ACK/NAK」及び「RS」を送信するから,「ACK/NAK」及び「RS」を送信する「送信部」を「UE」が有することは明らかである。

そうすると,本件発明と甲1発明とは,
「 無線通信装置であって,
1スロットに含まれる7シンボルの内の第1,2,6,7番目のシンボルに対応する系列長4の直交系列であって,第2番目のシンボルと第6番目のシンボルとが逆相となる直交系列よりも同相となる直交系列を多く含む,複数の直交系列の内一つを用いてACK,NACK信号を拡散する拡散部と,
拡散された前記ACK,NACK信号を第1,2,6,7番目のシンボルに,第1の参照信号を第3,4,5番目のシンボルに配置する配置部と,
配置された前記ACK,NACK信号と前記第1の参照信号とを送信する送信部と,を有する無線通信装置。」

である点で一致し,次の点で相違する。
相違点1:
本件発明は,配置部について,「第2番目のシンボルと第6番目のシンボルとに,参照信号系列に相互に逆相となる値を乗算した第2の参照信号を配置し,第1,3,4,5,7番目のシンボルにCQI信号を配置」して,送信部において,「配置された前記第2の参照信号および前記CQI信号を送信する」のに対して,甲1発明では,当該特定を有しない点。

(5)判断
甲2発明には,CQI RS(本件発明の「参照信号系列」に相当する)に「相互に逆相となる値を乗算」することは,開示も示唆もされておらず,当業者に自明な事項でもない。
また,甲3発明は,直交信号の数を増やすものであり,CQIに関する技術ではない。

さらに,甲3を踏まえた甲2発明について検討しても,まず,甲2発明のCQI UEは,CAZAC系列により直交多重化されるものであり,ブロック拡散を伴わない,ものである。
一方,甲3発明は,複数の送信機の間で直交的な多重化信号を生み出すものであって,1つの送信機については,長さ2のウォルシュシーケンスの[+1,+1]を用い,別の送信機は,長さ2のウォルシュシーケンスの[+1,−1]を用い,別の送信機は,乗算器ブロックにおいて,第2のRSブロックの符号ビットを反転するものであるから,RSブロックにブロック拡散を適用することにより直交信号の数を増やして,多重化を図る技術である。

したがって,ブロック拡散を伴わない甲2発明に,ブロック拡散を適用する甲3発明を考慮することには阻害要因がある。

よって,甲1発明に,甲2発明及び甲3発明を適用して,本件発明の相違点1の構成とすることは,当業者が容易になしえたものとはいえない。

(6)小括
以上のとおりであるから,本件発明は,甲1発明乃至甲3発明に基いて,当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。


3 無効理由2
(1)甲4の記載事項及び甲4発明
甲4には,次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は,無線通信に関し,より詳しくは,無線通信システムにおいて制御信号を伝送する方法に関する。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は,割り当てられた時間-周波数資源を介して相異の制御信号を同時に伝送する方法を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は,制御チャネルを介して多数の制御信号を伝送することができる方法を提供することである。」

「【0020】
図1を参照すると,無線通信システムは,端末(10;User Equipment,UE)及び基地局(20;Base Station,BS)を含む。端末(10)は,固定される,或いは移動性を有することができ,MS(Mobile Station),UT(User Terminal),SS(Subscriber Station),無線機器(wireless device)等,他の用語とも呼ばれることができる。基地局(20)は,一般的に端末(10)と通信する固定された地点(fixed station)をいい,ノード-B(Node-B),BTS(Base Transceiver System),アクセスポイント(Access Point)等,他の用語とも呼ばれることができる。一つの基地局(20)には一つ以上のセルが存在することができる。」

「【0023】
図2を参照すると,伝送器(100)は,伝送プロセッサ(transmit processor,110),DFT(Discrete Fourier Transform)を遂行するDFT部(120),およびIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)を遂行するIFFT部(130)を含む。DFT部(120)は,伝送プロセッサ(110)により処理されたデータにDFTを遂行して周波数領域シンボルを出力する。DFT部(120)に入力されるデータは,制御信号及び/または使用者データであってもよい。IFFT部(130)は,入力される周波数領域シンボルに対してIFFTを遂行して伝送信号(transmit signal)を出力する。伝送信号は,時間領域信号となり,伝送アンテナ(190)を介して伝送される。IFFT部(130)を介して出力される時間領域シンボルをOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルまたはDFT拡散後IFFTを適用する点からSC-FDMA(Single Carrier-Frequency Division Multiple Access)シンボルともいう。IFFT部(130)の前段でDFTを遂行してシンボルを拡散させる方式をSC-FDMAという。これはOFDMに比べてPAPR(Peak-to-Average Power Ratio)を低くするにおいて有利である。」

「【0029】
制御領域は,制御信号だけを伝送する領域であって,制御チャネルに割り当てられる。データ領域は,データを伝送する領域であって,データチャネルに割り当てられる。制御チャネルは制御信号を伝送し,データチャネルは使用者デー及び/または制御信号を伝送する。制御チャネルとデータチャネルは一つのサブフレーム内で構成されてもよいが,単一搬送波特性を維持するために,一つの端末は制御チャネルとデータチャネルを一つのサブフレーム内で同時に伝送することはできない。制御チャネルをPUCCH(Physical Uplink Control Channel)といい,データチャネルをPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)という。制御信号には,HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)のためのACK(Acknowledgment)/NACK(Negative-Acknowledgment)信号,ダウンリンクチャネル状態を示すCQI(Channel Quality Indicator),コードブック上のフリーコーディング行列を示すPMI(Precoding Matrix Index),独立的なMIMOチャネルの数を示すRI(Rank Indicator),アップリンク無線資源割当要請のためのスケジューリング要請信号(Scheduling Request Signal)など,多様な種類がある。」

「【0042】
<多重化された制御チャネルの構成>
高容量(large-sized)制御信号を伝送するための制御チャネル(例えば,CQIチャネル)を介して低容量(small-sized)制御信号(例えば,ACK/NACK信号,スケジューリング要請信号等)を多重化して送る方式である。低容量制御信号は,高容量制御信号に比べてその大きさが小さい,例えば,そのビット数が小さい制御信号をいい,必ず絶対的な大きさを限定することではない。」

「【0045】
図6を参照すると,CQIチャネルは,周波数領域でZCシーケンス基盤の拡散符号を適用して,循環シフトを介した最大6個の直交符号を活用して端末多重化を遂行する。従って,毎スロット当たり5OFDMシンボルを介してCQIを伝送することができる。
【0046】
CQIチャネルは,コヒーレント検出(coherent detection)のための2個の基準信号を使用する。基準信号のための2OFDMシンボルに低容量制御信号がマッピングされる。即ち,基準信号に低容量制御信号を多重化する。基準信号のための2OFDMシンボルを用いる時,最大12個の直交符号を得ることができる。即ち,時間領域にウォルシュ-アダマール(Walsh-Hadamard,W-H)符号などのような直交拡散符号を適用して,周波数領域で6個の循環シフトを介して得ることができる6個のZCシーケンスを介して,最大12個の2次元直交符号を得ることができる。
【0047】
毎スロット当たり相異の符号を選択して,伝送単位当たり複数のビットを伝送することができる。または,毎スロット当たり同じ符号を選択して周波数跳躍を介したダイバーシティ利得を得ることもできる。例えば,1ビットのACK/NACK信号またはスケジューリング要請信号を考慮すると,(1,1)または(1,−1)の直交符号をビット‘0’(ACK)または‘1’(NACK)に従って選択して伝送する,或いは(1,−1)をACK信号として,(−1,−1)をNACK信号として選択してRSに載せて送ることができる。さらに,2ビットACK/NACK信号を使用すると,(1,1)を(NACK,NACK)またはDTX(Discontinuous Transmission)として,(1,−1)を(ACK,ACK)として,(−1,−1)を(ACK,NACK)として,(−1,1)を(NACK,ACK)として使用することができる。
【0048】
拡散符号は図示したように,ZCシーケンスの前段で処理することができるが,ZCシーケンスの特性がIFFTを遂行した以後にも維持されることを用いてIFFT以後に拡散符号をかけて伝送することもできる。」

「【0083】
前記ではCQIチャネルを基準として記述しているが,本発明の技術的思想は多様な形態の制御チャネルに適用されることができる。例えば,当業者であれば,以下のACK/NACKチャネルに対しても容易に適用することができる。
【0084】
図15は,ACK/NACKチャネルの構造を示す。ACK/NACKチャネルは,HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)を遂行するためのACK(Acknowledgment)/NACK(Negative-Acknowledgment)信号が伝送される制御チャネルである。ACK/NACK信号は,ダウンリンクデータに対する送信及び/または受信確認信号である。
【0085】
図15を参照すると,一つのスロットに含まれる7OFDMシンボルのうち中間部分の3個の連続されるOFDMシンボルには基準信号(reference signal,RS)が載せ,残りの4OFDMシンボルにはACK/NACK信号が載せる。基準信号は,スロット中間の3個の隣接する(contiguous)OFDMシンボルに載せる。このとき,基準信号に使われるシンボルの個数及び位置は制御チャネルに応じて変えられることができ,これと関連するACK/NACK信号に使われるシンボルの個数及び位置もそれに応じて変更されることができる。
【0086】
予め割り当てられる帯域内で制御信号を伝送する時,多重化可能な端末の数または制御チャネルの数を高めるために周波数領域拡散と時間領域拡散を同時に適用する。ACK/NACK信号を周波数領域で拡散させるために周波数領域拡散符号を使用する,周波数領域拡散符号としては,ZCシーケンスを使用することができる。周波数領域拡散されたACK/NACK信号は,IFFTを遂行した後,再び時間領域拡散符号を用いて時間領域で拡散される。例えば,ACK/NACK信号は,4OFDMシンボルに対して長さ4の時間領域拡散符号(w0,w1,w2,w3)を用いて拡散する。また,基準信号も長さ3の拡散符号を介して拡散する。」

【図6】

【図15】


上記【0045】〜【0046】の記載,及び図6より,甲4には,CQIを7OFDMシンボルのうち,第1,3,4,5,7番目のOFDMシンボルに配置し,基準信号のための2OFDMシンボルに,低容量制御信号がマッピングされて,第2,6番目のOFDMシンボルに配置するCQIチャンネルが示されている。
また,図6には,乗算器が示され,「ZC」はコヒーレント検出のための基準信号であるから,図6には,第2,6番目のOFDMシンボルは,基準信号に低容量制御信号に従った直交符号が乗算されているCQIチャンネルが示されている。

さらに,ACK/NACKチャネルの構造を示す図15,及び【0083】〜【0086】には,ACK/NACK信号を第1,2,6,7番目のOFDMシンボルに載せ,基準信号を第3,4,5番目のOFDMシンボルに載せることが示され,ACK/NACK信号は,長さ4の時間領域拡散符号(w0,w1,w2,w3)を用いて拡散される。

そして,CQIチャンネルに基準信号のための2OFDMシンボルに低容量制御信号がマッピングされる(【0046】)ものであって,低容量制御信号は,ACK/NACK信号,スケジューリング要請信号等(【0042】)であるから,【0047】の「1ビットのACK/NACK信号またはスケジューリング要請信号を考慮すると,(1,1)または(1,−1)の直交符号をビット‘0’(ACK)または‘1’(NACK)に従って選択して伝送する,或いは(1,−1)をACK信号として,(−1,−1)をNACK信号として選択してRSに載せて送ることができる。」との記載は,ACK/NACK信号に代えてスケジューリング要請信号を多重化しても良いことが明らかである。
したがって,端末が,CQIチャンネルで,スケジューリング要請信号のビット‘0’または‘1’に従って(1,1)または(1,−1)の直交符号を選択して伝送するとともに,長さ4の時間領域拡散符号(w0,w1,w2,w3)を用いて拡散されるACK/NACK信号を第1,2,6,7番目のOFDMシンボルに載せ,基準信号を第3,4,5番目のOFDMシンボルに載せたACK/NACKチャネルを用いて,ACK/NACK信号を伝送することは,甲4の当初明細書等に記載されている事項といえる。
ここで,【0047】に記載される「RS」は,【0085】の記載を参酌すると,「基準信号」である。

以上を踏まえると,甲4には,次の発明(以下,「甲4発明」という。)が記載されていると認める。
「1スロットに含まれる7シンボルの内の第1,2,6,7番目のシンボルに対応する長さ4の時間領域拡散符号を用いてACK/NACK信号を拡散し,
拡散された前記ACK/NACK信号を第1,2,6,7番目のシンボルに,基準信号を第3,4,5番目のシンボルに配置し,
配置された前記ACK/NACK信号と前記基準信号とをACK/NACKチャネルとして送信し,
CQIチャネルは,第1,3,4,5,7番目のOFDMシンボルにCQIを配置し,基準信号のための2OFDMシンボルは,スケジューリング要請信号がマッピングされて,第2,6番目のOFDMシンボルに配置され,
スケジューリング要請信号のビット‘0’または‘1’に従って選択された(1,1)または(1,−1)の直交符号を,基準信号に乗算し,スケジューリング要請信号を基準信号に載せて送ることができる,端末。」

そして,甲4発明については,本件特許の最先の優先日より前の,優先権主張番号 60/944,074,米国の内容を示す優先権書類である,甲4−1に記載されている。

(2)対比
ア 甲4発明の「端末」は,本件発明の「無線通信装置」に対応する。

イ 甲4発明の「長さ4の時間領域拡散符号」と本件発明の「系列長4の直交系列であって,第2番目のシンボルと第6番目のシンボルとが逆相となる直交系列よりも同相となる直交系列を多く含む,複数の直交系列の内一つ」とは,「系列長4の直交系列」である点で一致する。

ウ 甲4発明のACK/NACKチャネルの「基準信号」は,本件発明の「第1の参照信号」に相当する。

エ 甲4発明は,時間領域拡散符号を用いてACK/NACK信号を拡散することから,端末が拡散する機能を有することは明らかであり,拡散する機能は,「拡散部」といえる。

オ 甲4発明の「CQI」,CQIチャネルの「基準信号」は,本件発明の「CQI信号」,「参照信号系列」にそれぞれ相当する。

カ 甲4発明の「スケジューリング要請信号のビット‘0’または‘1’に従って選択された(1,1)または(1,−1)の直交符号を,基準信号に乗算し」た信号は,「スケジューリング要請信号がマッピングされ」た信号であり,「第2,6番目のOFDMシンボルに配置され」る。
そうすると,甲4発明の「スケジューリング要請信号のビット‘0’または‘1’に従って選択された(1,1)または(1,−1)の直交符号を,基準信号に乗算」した信号と,本件発明の「参照信号系列に相互に逆相となる値を乗算した第2の参照信号」とは,「参照信号系列を演算した第2の参照信号」である点で,一致する。

キ 甲4発明は,ACK/NACKチャネルで「拡散された前記ACK,NACK信号を第1,2,6,7番目のシンボルに,基準信号を第3,4,5番目のシンボルに配置」し,CQIチャネルで「第1,3,4,5,7番目のOFDMシンボルにCQIを配置し,基準信号のための2OFDMシンボルは,スケジューリング要請信号がマッピングされて,第2,6番目のOFDMシンボルに配置され」ることから,配置する機能を有することは明らかであり,配置する機能は「配置部」といえる。

ク 甲4発明は,ACK/NACKチャネルで「前記ACK/NACK信号と前記基準信号とを」「送信」し,CQIチャネルで「スケジューリング要請信号を基準信号に載せて送ることができる」ことから,「送信部」を有することは明らかである。

そうすると,本件発明と甲4発明は,
「 無線通信装置であって,
1スロットに含まれる7シンボルの内の第1,2,6,7番目のシンボルに対応する系列長4の直交系列を用いてACK,NACK信号を拡散する拡散部と,
拡散された前記ACK,NACK信号を第1,2,6,7番目のシンボルに,第1の参照信号を第3,4,5番目のシンボルに配置する配置部と,
配置された前記ACK,NACK信号と前記第1の参照信号とを送信する送信部と,を有し,
前記配置部は,第2番目のシンボルと第6番目のシンボルとに,参照信号系列を演算した第2の参照信号を配置し,第1,3,4,5,7番目のシンボルにCQI信号を配置し,
前記送信部は,配置された前記第2の参照信号および前記CQI信号を送信する無線通信装置。」

である点で一致し,次の点で相違する。

相違点2:
「系列長4の直交系列」について,本件発明では,「第2番目のシンボルと第6番目のシンボルとが逆相となる直交系列よりも同相となる直交系列を多く含む,複数の直交系列の内一つ」であるのに対して,甲4発明は,当該事項が特定されていない点。

相違点3:
「参照信号系列を演算した第2の参照信号」について,本件発明は,参照信号系列に「相互に逆相となる値」を乗算した信号であるのに対して,甲4発明は,「スケジューリング要請信号のビット‘0’または‘1’に従って選択された(1,1)または(1,−1)の直交符号」を乗算した信号である点。

(3)判断
相違点2について
甲4発明の「長さ4の時間領域拡散符号」について,甲4には,「時間領域にウォルシュ-アダマール(Walsh-Hadamard,W-H)符号などのような直交拡散符号」【0029】が記載されるように「ウォルシュ-アダマール符号」が例示されている。そして,長さ4の「ウォルシュ-アダマール符号」が,(1,1,1,1),(1,−1,1,−1),(1,1,−1,−1),(1,−1,−1,1)の4通りからなることは,技術常識(甲7,甲8)である。
しかしながら,4通りのウォルシュ-アダマール符号のうち,「第2番目のシンボルと第6番目のシンボルとが逆相となる直交系列よりも同相となる直交系列を多く含む,複数の直交系列の内一つ」を用いることは,甲4発明では特定されておらず,甲4の出願時における技術常識を参酌しても,記載されているに等しい事項ではない。

相違点3について
甲4発明は,「(1,1)の直交符号が選択された場合,相互に同相となる値が乗算され,(1,−1)の直交符号が選択された場合,相互に逆相となる値が乗算」されるから,スケジューリング要請信号に従って,相互に同相の直交符号とするか,相互に逆相の直交符号とするかが選択されるものであり,第2番目のシンボルと第6番目のシンボルが同相となるか,逆相となるかは,系列が多いかどうかは,送信するスケジューリング要請信号による。
これに対して,本件発明は,ACK,NACK信号の拡散にあたり第2番目のシンボルと第6番目のシンボルとが「同相」となる系列を多く含む,複数の直交系列の内一つを用いる一方で,CQI信号の参照信号系列の第2番目のシンボルと第6番目のシンボルとを「相互に逆相」とすることを特定することにより,スロットの第2番目のシンボルと第6番目のシンボルを加算することでCQI信号の参照信号系列の干渉なくACK,NACK信号を受信する一方,第2番目のシンボルと逆相にした第6番目のシンボルを加算することでACK,NACK信号の干渉なくCQI信号の参照信号系列を受信する効果を有するから,課題解決のための具体化手段における微差(周知技術,慣用技術の付加,削除,転換等であって,新たな効果を奏するものではないもの)ではない。

したがって,本件発明と甲4発明とは,相違点2,3を有し,また,実質同一であるともいえない。

(5)小括
以上のとおり,本件発明は,甲4に記載された発明と,同一であるとはいえない。


第6 むすび
無効理由1について,本件発明についての特許は,特許法第29条の規定に違反してされたものとはいえないから,無効理由1によって無効とすることはできない。
無効理由2について,本件発明についての特許は,特許法第29条の2の規定に違反してされたものとはいえないから,無効理由2によって無効とすることはできない。
審判に関する費用については,特許法169条2項において準用する民事訴訟法61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。

よって,結論のとおり審決する。


 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは,この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は,その日数を附加します。)以内に,この審決に係る相手方当事者を被告として,提起することができます。

審判長 吉田 隆之
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2021-06-03 
結審通知日 2021-06-08 
審決日 2021-06-24 
出願番号 P2009-528030
審決分類 P 1 123・ 161- Y (H04J)
P 1 123・ 121- Y (H04J)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 吉田 隆之
特許庁審判官 丸山 高政
衣鳩 文彦
登録日 2011-07-08 
登録番号 4776725
発明の名称 無線通信方法及び無線通信装置  
代理人 平田 憲人  
代理人 岡田 宏樹  
代理人 渡邉 峻  
代理人 大塚 康弘  
代理人 特許業務法人鷲田国際特許事務所  
代理人 辰川 肇  
代理人 大塚 康徳  
代理人 小野寺 良文  

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