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審決分類 審判 査定不服 原文新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 C22C
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 C22C
管理番号 1381487
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-12 
確定日 2022-02-08 
事件の表示 特願2018−502633「二相ステンレス鋼及びその形成物品」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月26日国際公開,WO2017/013180,平成30年10月11日国内公表,特表2018−529837,請求項の数(7)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2016年(平成28年)7月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理:2015年7月20日,欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって,令和2年2月4日付けで拒絶理由通知がされ,同年5月11日に意見書及び手続補正書が提出され,同年10月5日付けで拒絶査定がされ,これに対して,令和3年2月12日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 補正の却下の決定
1 補正の却下の決定の結論
令和3年2月12日提出の手続補正書による手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

2 補正の却下の決定の理由
(1)本件補正の内容
本件補正は,請求項1における「Cu 最大2.0;」との記載を,「Cu 最大0.1;」とする補正事項を含むものである。

(2)本件補正の適否についての当審の判断
ア 上記(1)の補正事項は,補正前の請求項1における二相ステンレス鋼の「Cu」の含有量について,「最大2.0」(重量%(wt%))を「最大0.1」(重量%(wt%))とするものである。

イ 国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文,国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下,まとめて「翻訳文等」という。)には,以下の記載がある。
「Cu 最大2.0」(重量%(wt%))(【0014】,【0016】,【0020】,【0021】,【0023】,【0024】,【0047】,【0048】,【0061】,【0062】)
「銅(Cu)は本開示において任意選択的要素であり,もし含まれる場合,硫酸のような酸環境における一般的な耐食性を改善する。しかしながら,Cuの高い含有量は,孔食及び隙間腐食に対する耐性を低下させる。したがって,Cuの含有量は,最大2.0重量%,例えば最大1.0重量%,例えば最大0.8重量%に制限されなければならない。」【0034】
「表1は,実施例で使用される二相ステンレス鋼の組成を示す。」(【0070】)



ウ 上記イの翻訳文等の記載によれば,翻訳文等には,二相ステンレス鋼のCuの含有量について,「最大2.0」(重量%(wt%)),「最大2.0重量%」,「最大1.0重量%」,「最大0.8重量%」,「0.01」(重量%(wt%)),「<0.010」(重量%(wt%))が記載されているものの,「最大0.1」(重量%(wt%))とすることは記載されておらず,また,そのようなことが,翻訳文等に記載した事項から自明な事項とも認められない。
以上によれば,上記(1)の補正事項を含む本件補正は,翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであり,翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。
エ したがって,本件補正は,特許法17条の2第3項の規定に違反するものであり(同法184条の12第2項参照),同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって,補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明と本願についての当審の判断
本件補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1〜7に係る発明は,令和2年5月11日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして,本願については,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-01-17 
出願番号 P2018-502633
審決分類 P 1 8・ 562- WY (C22C)
P 1 8・ 537- WY (C22C)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 粟野 正明
特許庁審判官 境 周一
井上 猛
発明の名称 二相ステンレス鋼及びその形成物品  
代理人 園田・小林特許業務法人  

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