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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する G01N
審判 訂正 判示事項別分類コード:857 訂正する G01N
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する G01N
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する G01N
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G01N
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する G01N
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する G01N
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する G01N
管理番号 1381608
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2021-07-20 
確定日 2021-10-08 
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6721893号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6721893号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第6721893号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成27年9月24日に出願された特願2015−187378号の一部を、平成31年1月8日に新たに出願したものであって、その請求項1−5に係る発明について、令和2年6月23日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、令和3年7月20日に特許権者株式会社ベネフィット−イオン(以下、「請求人」という。)より、本件特許に対して本件訂正審判の請求(以下、「本件請求」という。)がなされたものである。

第2 本件請求の趣旨及び内容
1 本件請求の趣旨
本件請求の趣旨は、「特許第6721893号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。

2 本件訂正の内容
本件訂正の内容は以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。)

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項3に「前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、請求項1又は請求項2に記載の方法。」とあるうち、請求項2を引用するものについて「前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、請求項2に記載の方法。」に訂正する。そして、請求項3の記載を引用する請求項4、5も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に「前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、請求項1又は請求項2に記載の方法。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、
「特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、
前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、
前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、
前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含み、
前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、方法。」と記載し、新たに請求項6とする。

(3)訂正事項3
本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0009】に記載された「本発明の一側面は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含む方法である。前記提供工程では、前記試料を密封するパッケージとして提供用のパッケージを使用し、前記回収工程では、前記試料を密封するパッケージとして前記提供用のパッケージとは異なる回収用のパッケージを使用し、前記提供工程は、前記提供用のパッケージに密封された前記試料と、前記回収用のパッケージと、を前記ユーザに提供する工程である、ようにしてもよく、前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、ようにしてもよい。また、前記分析工程では、前記試料が官能評価される、ようにしてもよい。更に、前記分析工程では、前記ユーザの体臭成分を含むガスがガスクロマトグラフ分析される、ようにしてもよい。」を「本発明の一側面は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含む方法である。前記提供工程では、前記試料を密封するパッケージとして提供用のパッケージを使用し、前記回収工程では、前記試料を密封するパッケージとして前記提供用のパッケージとは異なる回収用のパッケージを使用し、前記提供工程は、前記提供用のパッケージに密封された前記試料と、前記回収用のパッケージと、を前記ユーザに提供する工程である、ようにしてもよく、前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、ようにしてもよい。また、前記分析工程では、前記試料が官能評価される、ようにしてもよい。更に、前記分析工程では、前記ユーザの体臭成分を含むガスがガスクロマトグラフ分析される、ようにしてもよい。本発明の他の側面は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に虹接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含み、前記回収工程は、前氾提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記
ユーザから回収する工程である、方法である。」に訂正する。

(4)訂正事項4
本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0041】に記載されたた「評価装置10では、筒部20が分解され、ユーカリエキスを含む媒体40が取付部26から取り除かれる。」を「評価装置10では、筒部20が分解され、アルデヒド系の香料を含む媒体40が取付部26から取り除かれる。」に訂正する。

第3 当審の判断(下線は当審にて付した。)
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項3が引用する請求項のうち、請求項1を削除するものであるから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

(2)新規事項の追加、特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の有無について
訂正事項1は、請求項3において、引用する請求項を削除するにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)独立特許要件について
訂正後の請求項3に記載されている事項により特定される発明及び訂正後の請求項3を引用する請求項4及び5に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由はなく、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項1又は2を引用する請求項3の記載を、請求項1を引用するものについて独立形式での記載に改める訂正(以下「訂正事項2−1」という。)、及び、訂正前の請求項1に記載された「前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料に付着した前記ユーザの体臭成分」を、「前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した前記ユーザの体臭成分」とする訂正(以下「訂正事項2−2」という。)を含んでいる。
そして、訂正事項2−1は、本件訂正前の請求項1又は2を引用する請求項3の記載を、請求項1を引用するものについて独立形式での記載に改める訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であり、訂正事項2−2は、訂正前の請求項1に記載された「前記ユーザの体臭成分」を、「前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料に付着した」ものから、「前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した」ものに限定する訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項の追加、特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の有無について
訂正事項2−1は、引用する請求項の数を減少させ、且つ請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項2−2は、訂正前の請求項1に記載された「前記ユーザの体臭成分」を限定するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。そして、本件明細書の発明の詳細な説明に、「【0023】
分析工程(S31)では、回収工程(S2)で回収された衣服を試料として、例えば、臭いセンサとpHチェッカを用いた分析が行われる。これにより、ユーザにおける体臭の発生が集中している部位が特定され、体臭成分が、酸性又はアルカリ性の何れであるかが判定される。また、分析工程(S31)では、回収工程(S2)で回収された衣服を対象として、官能評価が行われる。これにより、ユーザの体臭を、他人がどのように感じているかが判定される。次に、分析工程(S31)では、試料の衣服から、体臭が集中的に発生している部位に対応する部分が裁断され、裁断された布片がバイアルに密封される。裁断される布片の大きさは、例えば、縦5cm×横5cm程度とされる。その後、バイアル内に揮発した体臭成分を含むガスを対象として、ガスクロマトグラフ分析が行われる。ガスクロマトグラフ分析によれば、前述のガスに含まれる体臭成分が定量的に分析される。ガスクロマトグラフ分析は、公知の分析方法である。そのため、これに関する説明は、省略する。」と記載されていることから、訂正事項2−2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
そうすると、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)独立特許要件について
訂正後の請求項6に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由はなく、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

3 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
訂正事項3は、訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)新規事項の追加、特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の有無について
訂正事項3は、訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、上記2と同様に願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは、明らかである。

(3)独立特許要件について
訂正事項3は、上記(1)で説示したとおり同法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、同条第7項に規定される独立特許要件は課されない。

4 訂正事項4について
(1)訂正の目的について
本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0038】には、「S34〜S36の実施態様の一例を説明する。この説明では、選択工程(S32)で、消臭成分として、ミント油とユーカリエキスとアルデヒド系の香料が選択されており、ミント油とユーカリエキスとアルデヒド系の香料の順で、評価工程(S34)が行われるとする。」と記載され、また、この明細書の段落【0040】には、「この官能評価が終了した場合、アルデヒド系の香料については、官能評価は行われていない(S35:No)。そこで、検査官は、筒部20を分解し、ユーカリエキスを含む媒体40を取付部26から取り除き、取付部26を洗浄する。検査官は、未使用の媒体40に、アルデヒド系の香料を含む第三溶液を付着させ、この媒体40を洗浄された取付部26にセットし、筒部20を組み立てる。・・・その後、検査官は、容器部11を加熱しつつ、アルデヒド系の香料を含む媒体40を通過して開口21に到達した臭気を官能評価する。この官能評価の終了に伴い、選択工程(S32)で選択された3個の消臭成分の評価が終了する(S35:Yes)。」と記載されているから、官能評価の終了時に「取付部26」にセットされていた「媒体40」は、「アルデヒド系の香料を含む媒体40」である。
そうすると、願書に添付した明細書の段落【0041】に記載された「評価装置10では、筒部20が分解され、ユーカリエキスを含む媒体40が取付部26から取り除かれる。」は、「評価装置10では、筒部20が分解され、アルデヒド系の香料を含む媒体40が取付部26から取り除かれる。」の誤記であることは明らかであり、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正である。

(2)新規事項の追加、特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の有無について
訂正事項4は、上記(1)のとおり明細書中の誤記を訂正するためのものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは、明らかである。

(3)独立特許要件について
訂正事項4は、上記(1)のとおり明細書中の誤記を訂正するためのものであって、特許法第126条第7項の規定を満たすことは明らかである。

第4 むすび
以上のとおり、本件訂正請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項から第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】特定のユーザの体臭成分を分析する方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体臭の抑制に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、加齢臭抑制剤が開示されている。加齢臭抑制剤は、有効成分としてウーロン茶抽出物及び/又は甜茶抽出物を含む。更に、加齢臭抑制剤は、有効成分として緑茶抽出物及び/又は柿果実抽出物を含む。加齢臭抑制剤は、加齢臭を含む臭いに対して用いることができ、特に不飽和アルデヒドに対する消臭効果が顕著である。不飽和アルデヒドとしては、ノネナール及びオクテナールが挙げられる。
【0003】
非特許文献1には、体臭の原因となる主な臭い成分が開示されている。例えば、腋の臭いの原因となる成分として、3−メチル−2−ヘキセン酸とビニルケトン類が例示されている。足の裏の臭いの原因となる成分として、イソ吉草酸が例示されている。頭皮の臭いの原因となる成分として、アルデヒド類と脂肪酸が例示されている。加齢臭の原因となる成分として、特許文献1にも記載されたノネナールが例示されている。
【0004】
非特許文献2には、消臭方法として、化学的消臭法と物理的消臭法と感覚的消臭法と生物的消臭法が開示されている。化学的消臭法は、悪臭成分を化学反応によって臭いのない成分に変えてしまう方法であるとされている。物理的消臭法は、悪臭成分を吸い込んで取り去ってしまう方法であるとされている。感覚的消臭法は、良い香りを使って嫌な臭いを感じないようにする方法であり、この消臭方法には、マスキング法とペアリング法が含まれるとされている。マスキング法は、強い香りで悪臭を感じないようにする方法であり、ペアリング法は、悪臭を良い香りの一部分として取り込んで、更に良い香りに変える方法であるとされている。生物的消臭方法は、悪臭を作り出す雑菌の繁殖を抑制することで、悪臭の発生を抑える方法であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2012/108495号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】第一三共ヘルスケア株式会社、“体臭の原因”、[online]、[平成27年9月2日検索]、インターネット〈URL:http://www.daiichisankyo−hc.co.jp/health/symptom/24_taisyuu/indexl.html〉
【非特許文献2】成定直幸、“悪臭や気になるニオイを消臭する方法について教えてください。”、[online]、エステー株式会社、[平成27年9月16日検索]、インターネット〈URL:http://www.st−c.co.jp/plus/question/answer/03.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
個人の清潔志向の高まりと共に、自身又は他人の体臭を気にする者が多くなっている。例えば、体臭は、家庭内又は職場若しくは学校等の家庭外の複数人が集合する環境下において、他人に配慮すべき、重要な要素となっている。そのため、体臭を抑制することができる消臭製品が多く開発され販売されている。これに対して、現在、流通している消臭製品は、万人を対象とした汎用的な製品である。従って、発明者は、その効果に満足していない者もいると考えた。発明者は、体臭の原因となる体臭成分は、複数の物質が組み合わされた組成物であり、複数の物質の配合は、個人によって異なっていることを、経験的に知っている。
【0008】
本発明は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含む方法である。前記提供工程では、前記試料を密封するパッケージとして提供用のパッケージを使用し、前記回収工程では、前記試料を密封するパッケージとして前記提供用のパッケージとは異なる回収用のパッケージを使用し、前記提供工程は、前記提供用のパッケージに密封された前記試料と、前記回収用のパッケージと、を前記ユーザに提供する工程である、ようにしてもよく、前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、ようにしてもよい。また、前記分析工程では、前記試料が官能評価される、ようにしてもよい。更に、前記分析工程では、前記ユーザの体臭成分を含むガスがガスクロマトグラフ分析される、ようにしてもよい。本発明の他の側面は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含み、前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、方法である。
【0010】
上述した方法によれば、特定のユーザの体臭成分を分析することができる。パッケージへの試料の密封により、試料にユーザの体臭成分以外の臭い成分が付着することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定のユーザの体臭成分を分析する方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】左側は、消臭製品の製造方法のフローチャートである。右側は、製造方法の特定工程のフローチャートである。
【図2】評価装置の概略構成の一例を示す断面図である。容器部が加熱器によって加熱されている状態を示す。
【図3】筒部の概略構成の一例を示す断面図である。容器部の一部は、省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
【0014】
<消臭製品の製造方法及び評価装置>
消臭製品の製造方法は、特定のユーザの体臭成分に対して消臭効果を有する消臭成分を含む、このユーザ専用の消臭製品を製造する方法である。消臭製品は、消臭成分を含む組成物である。消臭製品としては、洗濯洗剤、洗濯柔軟剤、洗濯漂白剤、芳香剤、消臭剤、洗口剤、石鹸、ボディシャンプー、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナーが例示される。この他、消臭製品には、ユーザの皮膚又は頭髪に塗られるデオドラント剤と制汗剤が含まれる。また、消臭製品には、香水及びフレグランス剤のような化粧品が含まれる。更に、消臭製品は、飲料、食品又は菓子であってもよい。消臭製品には、嗜好品が含まれる。例えば、消臭製品には、ガム又は飴が含まれる。即ち、消臭製品には、体臭に対する消臭効果を有する消臭成分を含む組成物による各種の製品が含まれる。例えば、消臭製品が洗濯洗剤であるとする。この製造方法によれば、特定のユーザの体臭成分に対して消臭効果が得られる消臭成分を含む、この個人ユーザに特化した洗濯洗剤が製造される。
【0015】
実施形態では、消臭製品の製造方法を、単に「製造方法」という。また、製造方法によって製造される消臭製品の利用者となる前述した特定のユーザを、単に「ユーザ」という。製造方法を実行する者を、「製造者」という。製造者は、1人又は複数人によるグループの何れであってもよい。製造者は、法人であってもよい。
【0016】
実施形態における消臭効果は、各種の消臭方法によって得られる効果を含む。消臭方法としては、上述した非特許文献2に記載されたような、化学的消臭法と物理的消臭法と感覚的消臭法と生物的消臭法が知られている。感覚的消臭法には、マスキング法とペアリング法が含まれる。マスキング法による消臭効果は、マスキング効果と称され、ペアリング法による消臭効果は、ペアリング効果と称されることがある。実施形態における消臭効果は、前述した消臭方法を組み合わせて得られる効果であってもよい。消臭成分は、消臭効果を有する所定の成分である。消臭成分に関する説明は、後述する。
【0017】
製造方法は、提供工程(S1)と、回収工程(S2)と、特定工程(S3)と、生成工程(S4)を含む(図1左側のフローチャート参照)。提供工程(S1)は、ユーザの肌に直接触れた状態で使用される布製品を製造者からユーザに提供する工程である。ユーザの肌に直接触れた状態で使用される布製品としては、ユーザの肌に直接触れた状態で着用される衣服、又は枕カバーが例示される。この他、この布製品としては、洗顔後又は入浴後に、ユーザの肌に付着した水分を拭き取るタオルが例示される。実施形態では、衣服を例に説明する。
【0018】
ユーザに提供される衣服は、ユーザの肌に直接触れた状態で着用されるタイプの衣服とされる。このような衣服としては、上半身に着用される下着又はTシャツが例示される。提供工程(S1)では、未着用(未使用)の衣服が製造者において準備される。このとき、製造者は、衣服をパッケージに密封する。パッケージとしては、樹脂製の袋が例示される。例えば、衣服は、ビニル製の袋に密封される。パッケージを形成する樹脂材料は、通気性の低い材質とするとよい。製造者は、衣服をパッケージ内に入れた後、パッケージの開口を閉じる。例えば、パッケージの開口は、所定の粘着剤又は粘着剤が塗布されたテープによって閉じられる。この他、パッケージをチャック付のパッケージとし、衣服をパッケージ内に入れた後、パッケージの開口に設けられたチャックを閉じるようにしてもよい。パッケージは、樹脂製のケースであってもよい。この場合、衣服をケースの本体部に入れた後、蓋がされる。
【0019】
製造者からユーザへの衣服の提供は、例えば、次のようにして行われる。製造者が店舗を有し、ユーザが店舗の近郊にいるとする。この場合、衣服は、店舗に来店したユーザに、直接渡される。製造者がインターネットを利用した営業活動を行っているとする。この場合、製造者は、自身のホームページ等で、利用の申請を受け付ける。製造者は、上述したように衣服をパッケージに密封した後、宅配又は郵便等の公知のサービスを利用し、これを発送する。ユーザは、配達されてきたパッケージを受領する。衣服が、パッケージに密封された状態で、製造者からユーザに提供されると、提供工程(S1)は、終了する。パッケージを受け取ったユーザは、パッケージを開封し、衣服を所定期間着用する。例えば、ユーザは、24時間着用する。その後、製造方法は、回収工程(S2)に移行する。
【0020】
回収工程(S2)は、ユーザが所定期間着用し、且つパッケージに密封された状態の衣服を、製造者がユーザから回収する工程である。ユーザは、衣服を所定期間着用した後、着用した衣服をそのままの状態で、パッケージに密封する。回収工程(S2)で用いられる回収用のパッケージは、提供工程(S1)で用いられた提供用のパッケージとは別の新たなパッケージとされる。この場合、製造者は、提供工程(S1)における衣服の提供時に、回収用のパッケージをユーザに提供する。但し、例えば、提供用のパッケージが、繰り返して衣服を密封できる構造のパッケージである場合、回収工程(S2)では、提供用のパッケージを回収用のパッケージとして再利用するようにしてもよい。回収用のパッケージへの衣服の密封は、提供工程(S1)に関連して上述したように行われる。従って、これに関する説明は、省略する。
【0021】
製造者によるユーザからの衣服の回収は、例えば、次のようにして行われる。製造者が店舗を有し、ユーザが店舗の近郊にいるとする。この場合、衣服は、店舗に来店したユーザから直接回収される。製造者がインターネットを利用した営業活動を行っており、上述したように、製造者のホームページを介して利用申請がされているとする。この場合、ユーザは、衣服をパッケージに密封した後、宅配又は郵便等の公知のサービスを利用し、これを発送する。製造者は、配達されてきたパッケージを受領する。パッケージに密封された状態の衣服が、ユーザから製造者によって回収されると、回収工程(S2)は、終了する。製造者では、回収された衣服は、例えば、冷蔵庫内で保管される。回収された衣服は、既に衣服に付着しているユーザの体臭成分以外の他の臭い成分の付着が防止可能な状態で保管される。例えば、複数のユーザのそれぞれから複数の衣服が回収されているとする。この場合、各ユーザの衣服は、他のユーザの衣服と隔離された状態で保管される。例えば、回収用のパッケージ又は新たなパッケージに密封された状態のまま、保管される。
【0022】
回収工程(S2)の終了に伴い、製造方法は、特定工程(S3)に移行する。特定工程(S3)は、回収工程(S2)で回収された衣服に付着したユーザの体臭成分に対して消臭効果を有する消臭成分を特定する工程である。特定工程(S3)は、分析工程(S31)と、選択工程(S32)と、収容工程(S33)と、評価工程(S34)を含む(図1右側のフローチャート参照)。特定工程(S3)では、評価工程(S34)は、選択工程(S32)で選択された消臭成分の数だけ実施される(S35)。特定工程(S3)では、評価工程(S34)の評価結果に応じて、1個の消臭成分が特定される(S36)。分析工程(S31)は、回収工程(S2)で回収された衣服に付着した体臭成分を同定する工程である。選択工程(S32)は、回収工程(S2)で回収された衣服に付着した体臭成分に対して消臭効果を有すると想定される消臭成分の候補を選択する工程である。選択工程(S32)では、前述の候補となる消臭成分が1個又は複数個選択される。
【0023】
分析工程(S31)では、回収工程(S2)で回収された衣服を試料として、例えば、臭いセンサとpHチェッカを用いた分析が行われる。これにより、ユーザにおける体臭の発生が集中している部位が特定され、体臭成分が、酸性又はアルカリ性の何れであるかが判定される。また、分析工程(S31)では、回収工程(S2)で回収された衣服を対象として、官能評価が行われる。これにより、ユーザの体臭を、他人がどのように感じているかが判定される。次に、分析工程(S31)では、試料の衣服から、体臭が集中的に発生している部位に対応する部分が裁断され、裁断された布片がバイアルに密封される。裁断される布片の大きさは、例えば、縦5cm×横5cm程度とされる。その後、バイアル内に揮発した体臭成分を含むガスを対象として、ガスクロマトグラフ分析が行われる。ガスクロマトグラフ分析によれば、前述のガスに含まれる体臭成分が定量的に分析される。ガスクロマトグラフ分析は、公知の分析方法である。そのため、これに関する説明は、省略する。
【0024】
分析工程(S31)では、検知管分析を実施するようにしてもよい。検知管分析では、回収工程(S2)で回収された衣服が、検知管分析用の容器に収容される。検知管分析用の容器には、例えば、ガスクロマトグラフ分析用として、一部が裁断された後の衣服の全体又はその一部が収容される。但し、検知管分析用の容器には、裁断前の衣服の全体を収容するようにしてもよい。検知管分析は、検知管分析用の容器に衣服が収容された状態で、この容器に設けられた導入口に、反応物質が内包された検知管の先端を挿入して行われる。検知管分析によっても、検知管分析用の容器内に揮発したガスに含まれる体臭成分を、定量的に分析することができる。検知管分析は、衣服が収容された検知管分析用の容器を、加熱しながら実施するようにしてもよい。検知管分析の実施により、ガスクロマトグラフ分析の検査品目を減少させることができる。検知管分析は、公知の分析方法である。そのため、これに関する説明は、省略する。
【0025】
分析工程(S31)では、上述した各分析等は、例えば、次のような順序で実施される。先ず、臭いセンサとpHチェッカを用いた分析が行われる。続けて、官能評価が行われる。最後に、ガスクロマトグラフ分析が行われる。検知管分析を実施する場合、検知管分析は、官能評価とガスクロマトグラフ分析との間に行われる。但し、このような実施順序は、例示である。分析工程(S31)における各分析等の実施順序は、これとは異なる順序としてもよい。各分析等の実施順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0026】
製造者では、事前の検討により、体臭の原因となる複数個の体臭成分が特定されている。例えば、イソ吉草酸、吉草酸、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、プロピオン酸、酢酸、3−メチル−3−スルファニルヘキサン−1−オール、3−メルカプト−3メチルヘキサン酸、3−メチル−2−ヘキセン酸、3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサン酸、2−ノネナール、ジアセチル、ジメチルスルフィド、硫化水素、イソアミルメルカプタン、メチルメルカプタン、アンモニア、スカトール、インドール、トリメチルアミン、カダベリンが特定されている。なお、体臭成分として、前述した25個の成分は、例示である。事前に特定される体臭成分は、これら成分の一部であってもよい。また、事前に特定される体臭成分としては、これら以外の成分が含まれていてもよい。
【0027】
更に、製造者では、事前に特定された上述したような体臭成分のそれぞれに対して、消臭効果を有する1個又は複数個の消臭成分が関連付けられたデータベースが準備されている。データベースにおいて体臭成分に関連付けられる消臭成分は、例えば、公知の消臭成分である。例えば、消臭成分は、香料を含む。香料は、天然香料又は合成香料の何れであってもよい。天然香料としては、ミント油と、ユーカリエキスが例示される。合成香料としては、アルデヒド系の香料が例示される。香料は、製造者において新たに生成されたオリジナルの香料(非公知)であってもよい。例えば、香料は、製造者において公知の香料のうちの2個又は3個以上を所定の比率で混合して生成されたオリジナルの香料であってもよい。消臭成分は、各種のフレーバーを含む。
【0028】
この他、消臭成分としては、次のような物質が知られている。即ち、消臭成分としては、植物抽出物が知られている。植物抽出物としては、ポリフェノールと、フラボノイドと、カテキンと、柿タンニンが例示される。更に、植物抽出物としては、シクロデキストリンが挙げられる。シクロデキストリンは、トウモロコシから生成したオリゴ糖である。シクロデキストリンは、分子の中に空洞を有する。シクロデキストリンによる消臭効果は、この空洞の中に臭気成分が閉じ込められることで、発揮されることが知られている。更に、消臭成分としては、両性界面活性剤が知られている。両性界面活性剤によれば、体臭成分を電気的に吸着し、体臭成分が揮発することを防止することができる。更にまた、消臭成分としては、リパーゼといった脂肪分解酵素が知られている。脂肪分解酵素は、体臭成分である脂肪酸を溶解する。
【0029】
実施形態では、2個以上の消臭成分を混合して得られる組成物も、1個の消臭成分として取り扱われる。混合される消臭成分が同じであっても、各消臭成分を混合する比率が異なる場合も、各比率で混合された組成物は、それぞれ1個の消臭成分として取り扱われる。
【0030】
分析工程(S31)では、ガスクロマトグラフ分析の結果、又はガスクロマトグラフ分析及び検知管分析の結果等に従い、衣服に付着した体臭成分が、事前に特定されている体臭成分の中から同定される。その後、選択工程(S32)で、上述したデータベースを用いて、分析工程(S31)で同定された各体臭成分に関連付けられた消臭成分が、1個又は複数個選択される。
【0031】
収容工程(S33)は、回収工程(S2)で回収された衣服を、評価装置10の容器部11の収容室12に収容する工程である。収容室12には、例えば、ガスクロマトグラフ分析の実施に際し一部が裁断された後の衣服の全体又はその一部が収容される。収容室12に収容された衣服は、評価工程(S34)における評価の試料となる。評価装置10は、前述した容器部11と、筒部20を備える(図2及び図3参照)。容器部11は、底を有する筒状の容器である。収容室12は、容器部11の内部に形成された空間である。容器部11は、例えば、ガラス製とされる。容器部11をガラス製とすることで、容器部11の周側壁と底部からの空気の透過を防止することができる。また、容器部11の洗浄が容易となる。
【0032】
筒部20は、第一側の端部と第二側の端部がそれぞれ開口した管状の部材である。第二側の端部は、第一側の端部とは反対側となる筒部20の端部である。実施形態では、筒部20の第一側の開口を、「開口21」という。筒部20の第二側の開口を、「開口22」という。筒部20は、第二側の端部で容器部11と接続される。実施形態では、筒部20の第二側の端部に蓋部25が設けられ、蓋部25を容器部11にねじ止めすることで、容器部11と筒部20が接続される(図2及び図3参照)。そのため、蓋部25の内周壁と容器部11の開口13が形成された部分の外周壁には、それぞれねじ溝が形成されている(図2及び図3に示す「R部」参照)。容器部11と筒部20が接続された状態で、収容室12と開口21は、通じ合う。筒部20には、第一側の端部に開口カバー30が装着される(図2参照)。開口カバー30は、評価工程が実施される毎に交換される(図3参照)。開口カバー30は、例えば、布帛又は紙によって形成される。
【0033】
筒部20には、第一側の端部と第二側の端部との間に、着脱可能な状態で、取付部26が設けられる。実施形態では、筒部20は、第一筒部23と第二筒部24と取付部26に分割した構造とされている(図3参照)。筒部20は、第一筒部23と第二筒部24と取付部26を組み立てて形成されている。組み立てに際し、第一筒部23及び第二筒部24の各内周部分と取付部26の外周部分は、嵌め合わされる。この場合、評価装置10は、第一筒部23と取付部26との接続位置と第二筒部24と取付部26との接続位置から、外気が入り込むことを抑制できる構造とするとよい。実施形態では、評価装置10に、被覆カバー29が設けられる。被覆カバー29は、第一筒部23及び第二筒部24と取付部26との各接続位置を被覆する。被覆カバー29によって、前述した各接続位置からの外気の入り込みを抑制することができる。
【0034】
取付部26には、1個の消臭成分を含む媒体40がセットされる。媒体40に含められる消臭成分は、選択工程(S32)で選択された消臭成分のうちの1個である。取付部26では、媒体40が載せ置かれる載置部27は、複数の貫通孔28が形成された網状とされる。媒体40は、載置部27に所定の部材を用いて固定するようにしてもよい。媒体40は、通気性に優れた材料によって形成される。例えば、媒体40は、通気性に優れた布帛によって形成される。媒体40として、ろ紙を用いるようにしてもよい。選択工程(S32)で選択された各消臭成分を含む溶液は、媒体40に付着される。媒体40への付着に際し、消臭成分を含む溶液を、無臭の液体で希釈するようにしてもよい。消臭成分を含む溶液は、噴霧器を用いて、媒体40に噴霧される。この他、消臭成分を含む溶液を、筆又は刷毛を用いて媒体40に塗布するようにしてもよい。図2及び図3では、媒体40の図示は、簡略化されている。
【0035】
評価工程(S34)は、収容工程(S33)で衣服が収容された収容室12から媒体40を通過して開口21に到達する臭気を評価する工程である。実施形態では、評価工程(S34)における臭気の評価は、臭覚を用いた官能評価によって行われる。図2に示す1点鎖線は、収容室12から開口21へと臭気が流れる方向を示す。官能評価は、検査官によって行われる。検査官は、製造者に含まれる。検査官は、例えば、臭覚による臭気の官能評価について一定の経験を有する者である。検査官は、臭覚測定の資格を有する者であってもよい。臭覚測定の資格としては、臭気判定士が例示される。評価工程(S34)では、筒部20が分解され、選択工程(S32)で選択された一の消臭成分を含む媒体40が取付部26にセットされる(図3参照)。続けて、第一筒部23と第二筒部24と取付部26が組み立てられる。その後、収容室12に衣服が収容された容器部11の部分が、加熱される。実施形態では、この加熱は、容器部11を、加熱器50によって一定の温度に保たれたお湯に漬けて行われる(図2参照)。加熱器50では、加熱温度が40〜60℃の範囲の所定の温度に設定される。前述した加熱温度は、例示である。加熱温度は、諸条件を考慮して適宜設定される。評価工程(S34)における官能評価は、容器部11が加熱されている状態で行われる。
【0036】
評価工程(S34)では、検査官は、衣服が収容された収容室12から開口22に流入し、媒体40を通過し、開口21に到達する臭気を官能評価する。検査官は、選択工程(S32)で選択された全ての消臭成分を対象として、評価工程(S34)を実施する。即ち、選択工程(S32)で複数個の消臭成分が選択されていた場合、検査官は、評価工程(S34)を、選択された消臭成分の数だけ繰り返して行う(S35:No)。検査官は、評価工程(S34)を繰り返す毎に、開ロカバー30を交換する。開ロカバー30によって、筒部20の第一側の端部に、検査官の臭いが付着することを抑制することができる。開ロカバー30を交換することで、前回の評価工程時に開ロカバー30に付着した検査官の臭いに影響されることなく、評価工程(S34)を繰り返して実施することができる。
【0037】
選択された全ての消臭成分が評価された場合(S35:Yes)、検査官は、実施済みの評価工程(S34)における官能評価において、最も優れた消臭効果が得られた一の消臭成分を特定する(S36)。なお、選択工程(S32)で選択された消臭成分が1個である場合、評価工程(S34)は、その1個の消臭成分を対象として1回だけ行われる。この場合、1回の評価工程(S34)における官能評価により、1個の消臭成分の消臭効果が確認され、S36で、その1個の消臭成分が、最も優れた消臭効果が得られた一の消臭成分として特定される。
【0038】
S34〜S36の実施態様の一例を説明する。この説明では、選択工程(S32)で、消臭成分として、ミント油とユーカリエキスとアルデヒド系の香料が選択されており、ミント油とユーカリエキスとアルデヒド系の香料の順で、評価工程(S34)が行われるとする。この場合、検査官は、未使用の媒体40に、ミント油を含む第一溶液を付着させ、この媒体40を、新品又は洗浄された取付部26にセットし、筒部20を組み立てる。更に、検査官は、筒部20の第一側の端部に、未使用の開口カバー30を装着する。その後、検査官は、上述したように容器部11を加熱しつつ、ミント油を含む媒体40を通過して開口21に到達した臭気を官能評価する。
【0039】
この官能評価が終了した場合、ユーカリエキスとアルデヒド系の香料については、官能評価は行われていない(S35:No)。そこで、検査官は、筒部20を分解し、ミント油を含む媒体40を取付部26から取り除き、取付部26を洗浄する。検査官は、未使用の媒体40に、ユーカリエキスを含む第二溶液を付着させ、この媒体40を洗浄された取付部26にセットし、筒部20を組み立てる。更に、検査官は、筒部20の第一側の端部から開口カバー30を取り外し、未使用の開口カバー30を装着する。その後、検査官は、容器部11を加熱しつつ、ユーカリエキスを含む媒体40を通過して開口21に到達した臭気を官能評価する。
【0040】
この官能評価が終了した場合、アルデヒド系の香料については、官能評価は行われていない(S35:No)。そこで、検査官は、筒部20を分解し、ユーカリエキスを含む媒体40を取付部26から取り除き、取付部26を洗浄する。検査官は、未使用の媒体40に、アルデヒド系の香料を含む第三溶液を付着させ、この媒体40を洗浄された取付部26にセットし、筒部20を組み立てる。更に、検査官は、筒部20の第一側の端部から開口カバー30を取り外し、未使用の開口カバー30を装着する。その後、検査官は、容器部11を加熱しつつ、アルデヒド系の香料を含む媒体40を通過して開口21に到達した臭気を官能評価する。この官能評価の終了に伴い、選択工程(S32)で選択された3個の消臭成分の評価が終了する(S35:Yes)。なお、上記では説明を省略したが、筒部20を分解する毎に、第一筒部23と第二筒部24を洗浄するようにしてもよい。
【0041】
次に、検査官は、ミント油とユーカリエキスとアルデヒド系の香料の中から、最も優れた消臭効果が得られた一の消臭成分を特定する(S36)。一の消臭成分が特定されることで、特定工程(S3)は、終了する。評価装置10では、筒部20が分解され、アルデヒド系の香料を含む媒体40が取付部26から取り除かれる。また、筒部20が容器部11から取り外され、衣服が取り出される。その後、評価装置10の全体が洗浄される。
【0042】
特定工程(S3)の終了に伴い、製造方法は、生成工程(S4)に移行する。生成工程(S4)は、特定工程(S3)で特定された消臭成分を含む消臭製品を生成する工程である。特定工程(S3)で特定された消臭成分を含む消臭製品の生成に関し、この消臭製品のベースとなる組成物は、公知の消臭製品と同様に生成される。例えば、消臭製品が洗濯洗剤であり、特定工程(S3)で、ミント油が特定されていたとする。この場合、生成工程(S4)では、ミント油を含む洗濯洗剤が生成される。ミント油を含む洗濯洗剤の生成に関し、この洗濯洗剤のベースとなる組成物(ミント油を除く物質)は、公知の洗濯洗剤と同様の方法により生成される。従って、消臭製品(洗濯洗剤)のベースとなる組成物を生成する方法に関する説明は、省略する。生成工程(S4)の終了に伴い、製造方法は、終了する。
【0043】
生成工程(S4)で生成された消臭製品が液体である場合、消臭製品は、所定の袋又は容器に詰められる。また、生成工程(S4)で生成された消臭製品が固体である場合、消臭製品は、所定の袋又は容器に詰められ、又は所定の包装用紙に包まれる。即ち、生成工程(S4)で生成された消臭製品は、公知の消臭製品と同様、その状態に応じた態様とされ、その後、ユーザに提供される。
【0044】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0045】
(1)製造方法では、提供工程(S1)と回収工程(S2)と特定工程(S3)と生成工程(S4)が実施される(図1左側のフローチャート参照)。提供工程(S1)と回収工程(S2)では、衣服がパッケージに密封された状態で、製造者とユーザとの間を受け渡しされる。特定工程(S3)では、回収工程(S2)で回収された衣服を試料として、衣服に付着した体臭成分に対して消臭効果を有する消臭成分が特定され(S36)、生成工程(S4)では、この消臭成分を含む消臭製品が生成される。
【0046】
そのため、特定のユーザが肌に接触する状態で所定期間着用した衣服を対象として、この衣服に付着した体臭成分に適した消臭成分を特定することができる。提供工程(S1)と回収工程(S2)において、特定工程(S3)での試料となる衣服が外気に曝されることを防止することができる。更に、この衣服に、ユーザ以外の者が触れることを防止することができる。従って、衣服にユーザの体臭成分以外の臭い成分が付着することを抑制することができる。
【0047】
(2)特定工程(S3)では、収容工程(S33)が実施され、続けて、評価工程(S34)が実施される。収容工程(S33)では、収容室12に、回収工程(S2)で回収された衣服が収容される。評価工程(S34)では、収容工程(S33)で衣服が収容された収容室12から媒体40を通過して開口21に到達する臭気が官能評価される。評価工程(S34)は、選択工程(S32)で選択された消臭成分を対象として実施される。評価工程(S34)は、選択工程(S32)で選択された消臭成分が1個である場合、1個の消臭成分を対象として1回実施される。評価工程(S34)は、選択工程(S32)で選択された消臭成分が複数個である場合、複数個の消臭成分のそれぞれを対象として複数回実施される(S35:No)。即ち、評価工程(S34)は、選択工程(S32)で選択された消臭成分の数だけ繰り返される。特定工程(S3)では、選択工程(S32)で選択された1個又は複数個の消臭成分の全てを対象とした評価工程(S34)が実施された場合(S35:Yes)、実施済みの評価工程(S34)における官能評価において、最も優れた消臭効果が得られた一の消臭成分が特定される(S36)。
【0048】
そのため、臭気の官能評価を、外気の影響が抑制された状態で行うことができる。体臭成分を含む臭気が消臭成分を含む媒体40を通過することとなり、消臭成分の消臭効果を適切に評価することができる。複数の消臭成分の中から、体臭成分に対して高い消臭効果が得られる消臭成分を、適切に特定することができる。
【0049】
(3)評価工程(S34)は、容器部11が加熱器50によって加熱された状態で行われる(図2参照)。そのため、衣服に付着した体臭成分を揮発させ易くすることができる。官能評価をスムーズに行うことができる。官能評価の精度を向上させることができる。
【0050】
(4)特定工程(S3)では、評価工程(S34)に先立ち、分析工程(S31)と選択工程(S32)が実施される。製造者では、事前の検討により、体臭の原因となる複数個の体臭成分が特定され、各体臭成分に消臭成分を関連付けたデータベースが構築されている。分析工程(S31)では、ガスクロマトグラフ分析を含む上述した各分析等により、衣服に付着した体臭成分が、事前に特定されている体臭成分の中から同定される。選択工程(S32)では、上述したデータベースを用いて、分析工程(S31)で同定された体臭成分に関連付けられた消臭成分が、1個又は複数個選択される。そのため、評価工程の実施回数を少なくすることができる。その結果、特定工程に要する時間を短縮することができる。
【0051】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は、適宜省略する。
【0052】
(1)ユーザの肌に直接触れた状態で使用される布製品として、衣服を例に説明した(図2参照)。例えば、消臭製品がヘアシャンプーである場合、この布製品は、上述した枕カバー又は帽子とするとよい。この他、消臭製品が洗口剤である場合、この布製品は、マスクとするとよい。ユーザの肌に直接触れた状態で使用される布製品は、消臭製品の種類に応じて適宜決定される。布製品は、布帛を素材として形成された各種の製品を含む。
【0053】
(2)製造方法は、提供工程(S1)と、回収工程(S2)を含む(図1参照)。提供工程(S1)では、未着用(未使用)の衣服がパッケージに密封された状態で、製造者からユーザに提供される。ユーザは、受け取った衣服を所定期間着用する。回収工程(S2)では、ユーザが所定期間着用し、且つパッケージに密封された状態の衣服が、ユーザから製造者に回収される。製造方法では、提供工程(S1)を省略するようにしてもよい。この場合、例えば、製造者は、ユーザに対して、自らが所有する未使用の衣服を、所定期間着用し、その後、パッケージに密封された状態で、製造者に持参又は発送するように依頼する。製造者は、ユーザに対して回収用のパッケージを提供するようにしてもよい。回収工程(S2)では、ユーザが所定期間着用したユーザ所有の衣服がパッケージに密封された状態で、上記同様、ユーザから製造者に回収される。特定工程(S3)以降の各工程は、回収工程(S2)で回収された衣服を対象として、上記同様に実施される。
【0054】
(3)特定工程(S3)では、分析工程(S31)と選択工程(S32)を省略するようにしてもよい。例えば、検査官が、豊富な知識と経験を有している場合、分析工程(S31)と選択工程(S32)を、省略することができる。また、製造者が新たに製造方法による事業を開始する場合、事業の開始時点では、上述したような体臭の原因となる体臭成分が特定されておらず、体臭成分に対して消臭効果を有する消臭成分が関連付けられたデータベースが準備されていない場合もある。このような場合も、分析工程(S31)と選択工程(S32)は、省略される。事業を開始後、各種のデータを蓄積することで、特定工程(S3)に、分析工程(S31)と選択工程(S32)を含めることができる。
【0055】
(4)評価工程(S34)では、検査官によって臭気の官能評価が行われる。評価工程は、収容工程(S33)で衣服が収容された収容室12から媒体40を通過して開口21に到達する臭気を、分析機器を用いて測定して行うようにしてもよい。この場合、S36では、実施済みの評価工程(S34)における測定値から、最も優れた消臭効果が得られた一の消臭成分が特定される(S36)。
【0056】
(5)評価工程(S34)は、収容室12に衣服が収容された容器部11を、加熱器50によって一定の温度に保たれたお湯に漬けた状態で行われる(図2参照)。評価工程(S34)での加熱は、これとは異なる方法で行うようにしてもよい。例えば、電気ヒータのような電熱器を、容器部11の周囲に貼り付け、又は容器部11の周囲に配置し、電熱器からの熱によって容器部11を加熱するようにしてもよい。温風器からの温風を容器部11に向けて送風し、容器部11を加熱するようにしてもよい。即ち、評価工程(S34)では、容器部11の加熱方法として、種々の方法を採用することができる。容器部11の加熱方法については、諸条件を考慮して適宜決定される。なお、常温であっても、衣服に付着した体臭成分が揮発し、適切に官能評価が行える場合、容器部11の加熱は、省略するようにしてもよい。
【0057】
(6)評価装置10では、筒部20の第二側の端部に蓋部25を設け、蓋部25を容器部11にねじ止めすることで、容器部11と筒部20が接続される(図2参照)。容器部と筒部との接続は、これとは異なる構造によって行うようにしてもよい。例えば、筒部の第二側の端部に、ゴムのような弾性体を設け、この弾性体を容器部の開口に押し込むようにしてもよい。この場合、評価装置では、蓋部25は、省略される。容器部11の開口13が形成された部分の外周壁におけるねじ溝も、省略される。この他、容器部に、開閉扉を設け、衣服を開閉扉を介して出し入れするようにしてもよい。この場合、容器部と筒部は、一体的な構造としてもよい。容器部は、開閉扉が閉じられた状態において、開閉扉の部分が密閉される構造とされる。これにより、外気が、開閉扉の部分から収容室に入り込むことを防止することができる。また、評価工程(S34)における加熱を、加熱器50によって一定の温度とされたお湯によって行う場合、お湯が、開閉扉の部分から収容室に入り込むことを防止することができる。
【0058】
(7)評価装置10では、被覆カバー29が設けられる(図2及び図3参照)。例えば、第一筒部23及び第二筒部24と取付部26との各接続位置からの外気の進入が問題とならない場合、被覆カバー29は、省略するようにしてもよい。例えば、第一筒部23及び第二筒部24と取付部26との各接続を圧入とすることで、各接続位置からの外気の進入を抑制することができる。なお、筒部に対する取付部の着脱は、上記とは異なる構造とするようにしてもよい。例えば、筒部に対する取付部の着脱は、取付部を、筒部の内部に押し入れ、また筒部から引き出して行うようにしてもよい。
【0059】
(8)特定工程(S3)では、評価装置10が用いられる。評価装置10は、他の用途に用いることもできる。即ち、評価装置10は、所定の物を対象として、この物に付着した所定の臭い成分に適した消臭成分を特定する評価に用いることができる。
【0060】
(9)消臭成分を、消臭効果を有する所定の成分とした。このような消臭成分には、香料が含まれる。従って、上述した実施形態によれば、消臭成分として香料を対象とした製造方法を特定することもできる。
【0061】
(10)上述した実施形態によれば、次のような評価装置を特定することもできる。即ち、消臭製品に含ませる消臭成分を特定する評価に用いられる評価装置であって、第一側の端部と前記第一側の端部とは反対側となる第二側の端部とがそれぞれ開口した管状の筒部と、前記筒部の前記第二側で前記筒部と接続され、内部に形成された収容室が前記筒部の前記第一側の開口と通じ合い、前記収容室に、所定の臭い成分が付着した試料が収容される容器部と、を備え、前記筒部には、前記第一側の端部と前記第二側の端部との間に前記消臭成分を含む通気性を有する媒体がセットされる取付部が設けられる、評価装置を特定することもできる。
【0062】
この評価装置によれば、臭気の評価を、外気の影響が抑制された状態で行うことができる。体臭成分を含む臭気が消臭成分を含む媒体を通過することとなり、消臭成分の消臭効果を適切に評価することができる。複数の消臭成分の中から、所定の臭い成分に対して高い消臭効果が得られる消臭成分を、適切に特定することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 評価装置、11 容器部、12 収容室、13 開口
20 筒部、21,22 開口、23 第一筒部、24 第二筒部
25 蓋部、26 取付部、27 載置部、28 貫通孔、29 被覆カバー
30 開ロカバー、40 媒体、50 加熱器
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、
前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、
前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、
前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記提供工程では、前記試料を密封するパッケージとして提供用のパッケージを使用し、
前記回収工程では、前記試料を密封するパッケージとして前記提供用のパッケージとは異なる回収用のパッケージを使用し、
前記提供工程は、前記提供用のパッケージに密封された前記試料と、前記回収用のパッケージと、を前記ユーザに提供する工程である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分析工程では、前記試料が官能評価される、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記分析工程では、前記ユーザの体臭成分を含むガスがガスクロマトグラフ分析される、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、
前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、
前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、
前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含み、
前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2021-09-03 
結審通知日 2021-09-08 
審決日 2021-09-27 
出願番号 P2019-000922
審決分類 P 1 41・ 851- Y (G01N)
P 1 41・ 857- Y (G01N)
P 1 41・ 852- Y (G01N)
P 1 41・ 853- Y (G01N)
P 1 41・ 856- Y (G01N)
P 1 41・ 855- Y (G01N)
P 1 41・ 841- Y (G01N)
P 1 41・ 854- Y (G01N)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 福島 浩司
渡戸 正義
登録日 2020-06-23 
登録番号 6721893
発明の名称 特定のユーザの体臭成分を分析する方法  
代理人 北川 泰隆  
代理人 北川 泰隆  

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