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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A61K 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A61K |
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管理番号 | 1381623 |
総通号数 | 2 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-02-25 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2021-09-30 |
確定日 | 2021-11-18 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第3984930号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3984930号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−4〕について訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第3984930号は、平成15年6月30日を出願日として出願され、その請求項1〜4に係る発明について平成19年7月13日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、令和3年9月30日に本件の訂正審判が請求されたものである。 第2 請求の趣旨および訂正の内容 本件審判の請求の趣旨は、特許第3984930号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜4について訂正することを認める、との審決を求めるものである。 そして、本件審判の請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲における記載にも照らすに、概ね、以下の訂正事項1〜4のとおりである。 1 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の「酸化剤を含有する酸化剤組成物」、「毛髪化粧料」の記載を「第2剤である酸化剤を含有する酸化剤組成物」、「第1剤である毛髪化粧料」と訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3及び4も同様に訂正する。)。 2 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に、さらに、「前記(A)成分の含有量が0.1重量%以上、前記(B)成分の含有量が0.1重量%以上、及び前記(C)成分の含有量が0.01重量%以上である」の記載を追加する訂正をする。 具体的には、訂正前の「重量比Xが5〜40であることを特徴とする」の記載を、「重量比Xが5〜40であり、前記(A)成分の含有量が0.1重量%以上、前記(B)成分の含有量が0.1重量%以上、及び前記(C)成分の含有量が0.01重量%以上であることを特徴とする」と訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3及び4も同様に訂正する。)。 3 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項2の「酸化剤を含有する酸化剤組成物」、「毛髪化粧料」の記載を「第2剤である酸化剤を含有する酸化剤組成物」、「第1剤である毛髪化粧料」と訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3及び4も同様に訂正する。)。 4 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項2に、さらに、「前記(A)成分の含有量が0.1重量%以上、前記(B)成分の含有量が0.1重量%以上、及び前記(C)成分の含有量が0.01重量%以上である」の記載を追加する訂正をする。 具体的には、訂正前の「重量比Xが5〜40であることを特徴とする」の記載を、「重量比Xが5〜40であり、前記(A)成分の含有量が0.1重量%以上、前記(B)成分の含有量が0.1重量%以上、及び前記(C)成分の含有量が0.01重量%以上であることを特徴とする」と訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3及び4も同様に訂正する。)。 第3 当審の判断 1 訂正事項1及び3について (1)訂正の目的について 本件訂正前の請求項1には、 「【請求項1】 使用時に酸化剤を含有する酸化剤組成物と混合される毛髪化粧料であって、下記の(A)〜(F)の各成分を含有するとともに前記(A)、(B)及び(D)の各成分について下記式(1)で示される重量比Xが5〜40であることを特徴とする毛髪化粧料。 (A)炭素数5〜18の分岐状脂肪酸と炭素数8〜16の高級アルコールとからなるエステル。 (B)分岐状炭化水素、及び炭素数14〜30の高級アルコールから選ばれる少なくとも一種。 (C)炭素数16〜25のアルキル基又は炭素数16〜25のアルケニル基を有するエーテル型非イオン性界面活性剤。 (D)カチオン性界面活性剤。 (E)水。 (F)揮発性アルカリ剤。 X=((A)成分の重量+(B)成分の重量)/(D)成分の重量・・・(1)」 と記載されており、また、本件訂正前の請求項2には、 「【請求項2】 使用時に酸化剤を含有する酸化剤組成物と混合される毛髪化粧料であって、下記の(A)〜(E)及び(G)の各成分を含有するとともに前記(A)、(B)及び(D)の各成分について下記式(1)で示される重量比Xが5〜40であることを特徴とする毛髪化粧料。 (A)炭素数5〜18の分岐状脂肪酸と炭素数8〜16の高級アルコールとからなるエステル。 (B)分岐状炭化水素、及び炭素数が14〜30の高級アルコールから選ばれる少なくとも一種。 (C)炭素数16〜25のアルキル基又は炭素数16〜25のアルケニル基を有するエーテル型非イオン性界面活性剤。 (D)カチオン性界面活性剤。 (E)水。 (G)不揮発性アルカリ剤。 X=((A)成分の重量+(B)成分の重量)/(D)成分の重量・・・(1)」 と記載されている。 上記記載のいずれにおいても、「酸化剤を含有する酸化剤組成物」との文言についてそれが第2剤であることの修飾、また、「毛髪化粧料」との文言についてそれが第1剤であることの修飾はなされておらず、したがって、本件訂正前の請求項1及び2に係る発明の毛髪化粧料は、「毛髪化粧料」を第1剤とし、「酸化剤を含有する酸化剤組成物」を第2剤とするもの、であることの特定がなされていない。 一方、本件特許の明細書には、発明の実施の形態(【0012】〜【0058】)において、「毛髪化粧料」は第1剤としてその使用時に、第2剤である「酸化剤を含有する酸化剤組成物」と混合されるものであることが記載されており、そして、実施例(【0059】〜【0071】)には、「酸化剤を含有する酸化剤組成物」を第2剤(脱色第2剤、染毛第2剤)とし、使用時に当該第2剤と混合される「毛髪化粧料」を第1剤(脱色第1剤、染毛第1剤)とする、2剤式毛髪脱色剤、2剤式染毛剤の例が具体的に記載されており、したがって、本件特許の明細書では一貫して、「毛髪化粧料」は第1剤としてその使用時に、第2剤である「酸化剤を含有する酸化剤組成物」と混合されるものとして、記載されている。 本件特許の明細書におけるこのような記載を考慮すると、「毛髪化粧料」、「酸化剤を含有する酸化剤組成物」について、それぞれ「第1剤」、「第2剤」との修飾がなされていない本件訂正前の請求項1及び2における記載では、「毛髪化粧料」が使用時に「酸化剤を含有する酸化剤組成物」と混合される、ということは理解できるものの、本件特許の明細書にはその説明がない、「毛髪化粧料」が第1剤ではないものや、「酸化剤を含有する酸化剤組成物」が第2剤ではないものも意味していると解する余地を生じさせてしまっているといえる。 以上からみて、本件訂正前の請求項1及び2に記載されている、「酸化剤を含有する酸化剤組成物」、及び、「毛髪化粧料」との文言の意味する範囲は明確ではない。 そして、本件訂正前の請求項1及び2の「酸化剤を含有する酸化剤組成物」との記載を、「第2剤である酸化剤を含有する酸化剤組成物」と訂正し、また、本件訂正前の請求項1及び2の「毛髪化粧料」との記載を、「第1剤である毛髪化粧料」と訂正する訂正事項1及び3は、本件訂正前の請求項1及び2において、「酸化剤を含有する酸化剤組成物」が第2剤であることを特定することで、そうではないものも意味していると解する余地をなくして明確化するものであり、また、「毛髪化粧料」が第1剤であることを特定することで、そうではないものも意味していると解する余地をなくして明確化するものであるといえる。 また、本件特許の明細書に、上記のように明確化することを妨げる記載や、矛盾する記載は存在しない。 よって、訂正事項1及び3は、特許法126条1項ただし書3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記(1)で検討したとおり、本件訂正前の請求項1及び2において、「毛髪化粧料」が第1剤であること、及び、「酸化剤を含有する酸化剤組成物」が第2剤であることを特定することで、そうではないものも意味していると解する余地をなくして明確化するという訂正事項1及び3は、本件特許の願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法126条5項の規定に適合する。 (3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと 上記(1)で検討したとおり、本件訂正前の請求項1及び2において、「毛髪化粧料」が第1剤であること、及び、「酸化剤を含有する酸化剤組成物」が第2剤であることを特定することで、そうではないものも意味していると解する余地をなくして明確化するという訂正事項1及び3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法126条6項の規定に適合する。 2 訂正事項2及び4について (1)訂正の目的について 訂正事項2及び4による請求項1及び2の訂正は、訂正前の請求項1及び2に記載されていた、毛髪化粧料が含有する(A)〜(C)成分の含有量を特定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法126条1項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項2及び4による請求項3及び4の訂正は、当該毛髪化粧料が含有する(A)〜(C)成分の含有量を特定する訂正後の請求項1又は2の記載を直接的又は間接的に引用することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法126条1項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項2及び4の訂正は、特許法126条1項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 毛髪化粧料が含有する(A)〜(C)成分について、(A)成分の含有量が0.1重量%以上であることは本件特許の明細書の【0014】に、また、(B)成分の含有量が0.1重量%以上であることは本件特許の明細書の【0016】に、そして、(C)成分の含有量が0.01重量%以上であることは本件特許の明細書の【0018】に、それぞれ記載されているから、訂正事項2及び4は、本件特許の願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法126条5項の規定に適合する。 (3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと 上記(1)で述べたとおり、訂正事項2及び4による請求項1及び2の訂正は、訂正前の請求項1及び2に記載されていた、毛髪化粧料が含有する(A)〜(C)成分の含有量を特定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。また、訂正後の請求項1又は2の記載を直接的又は間接的に引用する、請求項3及び4の訂正についても同様である。 したがって、訂正事項2及び4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法126条6項の規定に適合する。 (4)独立特許要件について 上記(1)で述べたとおり、訂正事項2及び4による請求項1及び2の訂正は、訂正前の請求項1及び2に記載されていた、毛髪化粧料が含有する(A)〜(C)成分の含有量を特定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在しない。また、訂正後の請求項1又は2の記載を直接的又は間接的に引用する、請求項3及び4の訂正についても同様である。 したがって、訂正後の請求項1〜4に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見出せないから、訂正事項2及び4は、特許法126条7項の規定に適合する。 第4 むすび 以上からみて、本件訂正審判の請求は、特許法126条1項ただし書1号又は3号に規定する事項を目的とし、かつ、同条5項乃至7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 使用時に第2剤である酸化剤を含有する酸化剤組成物と混合される第1剤である毛髪化粧料であって、下記の(A)〜(F)の各成分を含有するとともに前記第1剤である毛髪化粧料中の前記(A)、(B)及び(D)の各成分について下記式(1)で示される重量比Xが5〜40であり、前記(A)成分の含有量が0.1重量%以上、前記(B)成分の含有量が0.1重量%以上、及び前記(C)成分の含有量が0.01重量%以上であることを特徴とする毛髪化粧料。 (A)炭素数5〜18の分岐状脂肪酸と炭素数8〜16の高級アルコールとからなるエステル。 (B)分岐状炭化水素、及び炭素数14〜30の高級アルコールから選ばれる少なくとも一種。 (C)炭素数16〜25のアルキル基又は炭素数16〜25のアルケニル基を有するエーテル型非イオン性界面活性剤。 (D)カチオン性界面活性剤。 (E)水。 (F)揮発性アルカリ剤。 X=((A)成分の重量+(B)成分の重量)/(D)成分の重量・・・(1) 【請求項2】 使用時に第2剤である酸化剤を含有する酸化剤組成物と混合される第1剤である毛髪化粧料であって、下記の(A)〜(E)及び(G)の各成分を含有するとともに前記第1剤である毛髪化粧料中の前記(A)、(B)及び(D)の各成分について下記式(1)で示される重量比Xが5〜40であり、前記(A)成分の含有量が0.1重量%以上、前記(B)成分の含有量が0.1重量%以上、及び前記(C)成分の含有量が0.01重量%以上であることを特徴とする毛髪化粧料。 (A)炭素数5〜18の分岐状脂肪酸と炭素数8〜16の高級アルコールとからなるエステル。 (B)分岐状炭化水素、及び炭素数が14〜30の高級アルコールから選ばれる少なくとも一種。 (C)炭素数16〜25のアルキル基又は炭素数16〜25のアルケニル基を有するエーテル型非イオン性界面活性剤。 (D)カチオン性界面活性剤。 (E)水。 (G)不揮発性アルカリ剤。 X=((A)成分の重量+(B)成分の重量)/(D)成分の重量・・・(1) 【請求項3】 前記酸化剤組成物との混合物の粘度が3000〜30000ミリパスカル秒(mPa・s)である請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料。 【請求項4】 水中油滴型(O/W型)乳化物である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照 |
審理終結日 | 2021-10-22 |
結審通知日 | 2021-10-27 |
審決日 | 2021-11-09 |
出願番号 | P2003-188590 |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(A61K)
P 1 41・ 851- Y (A61K) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
井上 典之 |
特許庁審判官 |
森井 隆信 進士 千尋 |
登録日 | 2007-07-13 |
登録番号 | 3984930 |
発明の名称 | 毛髪化粧料 |
代理人 | 特許業務法人雄渾 |
代理人 | 特許業務法人雄渾 |