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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H04N 審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 H04N 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 H04N 審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 H04N |
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管理番号 | 1381627 |
総通号数 | 2 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2022-02-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-03-05 |
確定日 | 2021-11-15 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6191928号発明「撮像装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6191928号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜7〕について訂正することを認める。 特許第6191928号の請求項1、3、4、6、7に係る特許を維持する。 特許第6191928号の請求項2、5に係る特許についての異議申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6191928号の請求項1〜7に係る特許についての出願は、平成19年10月27日(優先権主張平成19年9月19日)に出願された特願2007−279727号の一部を数次の分割を経て平成28年1月4日に新たな特許出願としたものであって、平成29年8月18日にその特許権の設定登録がされ、平成29年9月6日に特許掲載公報が発行された。 その特許についての本件特許異議申立ての経緯は次のとおりである。 平成30年 3月 5日:特許異議申立人キヤノン株式会社により特許異議の申立て、甲第1号証〜甲第6号証の提出 平成30年 5月25日:取消理由通知書 平成30年 7月27日:特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 平成30年 9月14日:特許異議申立人による意見書の提出、参考資料1、2の提出 平成30年12月20日:取消理由通知書 平成31年 3月 5日:特許権者による意見書の提出 平成31年 4月18日:取消理由通知書(決定の予告) 令和 1年 6月24日:特許権者による意見書の提出 令和 1年 9月30日:審尋 令和 1年10月18日:特許権者による回答書の提出 令和 2年 1月31日:特許異議の決定(以下、「一次決定」という。) (結論の概要:訂正後の請求項〔1〜7〕について訂正することを認める。請求項1、3、4、6、7に係る特許を取り消す。請求項2及び5に係る特許についての異議申立てを却下する。) 令和 2年 3月13日:一次決定に対する訴えの提起(令和2年(行ケ)第10032号) 令和 3年 3月30日:判決言渡し(以下、「確定判決」という。) (主文の概要:決定のうち請求項1、3、4、6、7に係る部分を取り消す。) 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)〜(14)のとおりである。なお、以下の訂正事項の番号は、本件訂正請求における訂正事項の番号とした。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「傾き情報の表示位置を切り替える表示制御手段」と記載されているのを、「傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える表示制御手段」と訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3、4、6、7も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 訂正事項2により請求項2が削除されることに伴い、特許請求の範囲の請求項3に「請求項1または請求項2に記載の撮像装置。」と記載されているのを、「請求項1に記載の撮像装置。」と訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (5)訂正事項5 訂正事項4により請求項5が削除されることに伴い、特許請求の範囲の請求項6に「請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置。」と記載されているのを、「請求項3または請求項4に記載の撮像装置。」と訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1に記載のロール方向」と記載されているのを、「前記ロール方向」と訂正する。 (7)訂正事項7 訂正事項2により請求項2が削除されることに伴い、特許請求の範囲の請求項7に「請求項1または請求項2に記載の撮像装置。」と記載されているのを、「請求項1に記載の撮像装置。」と訂正する。 (8)訂正事項8 願書に添付した明細書の段落【0005】に 「 請求項1に記載した本発明に係る撮像装置は、上述した目的を達成するために、撮像素子と、前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と、ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と、前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示し、 撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を切り替える表示制御手段と、を有する撮像装置において、 前記表示制御手段は、前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、 ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えないことを特徴としている。 請求項2に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項1の撮像装置であって、 前記表示制御手段は、前記傾き情報の表示位置を水平方向および/または垂直方向の端辺部に沿った位置に切り替えることを特徴としている。」 と記載されているのを、 「 請求項1に記載した本発明に係る撮像装置は、上述した目的を達成するために、撮像素子と、前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と、ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と、前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示し、 撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える表示制御手段と、を有する撮像装置において、 前記表示制御手段は、前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、 ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えないことを特徴としている。」 に訂正する。 (9)訂正事項9 願書に添付した明細書の段落【0006】に 「 請求項3に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項1または請求項2の撮像装置であって、 前記傾き情報は、ロール方向の傾き量に応じた傾きを示すロール角傾き情報であり、 前記表示制御手段は、前記ロール角傾き情報に対応する表示である傾きガイドを表示することを特徴としている。 請求項4に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項3に記載の撮像装置であって、 前記傾きガイドは、前記撮像装置のロール方向の傾き量が小さい状態から大きくなった際には、表示スケールの色を変える構成としたことを特徴としている。 請求項5に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項3または請求項4の撮像装置であって、 前記表示制御手段は、ピッチ方向の傾き量が所定の範囲内であるときにのみ前記ロール角傾き情報を表示することを特徴としている。」 と記載されているのを、 「 請求項3に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項1の撮像装置であって、 前記傾き情報は、ロール方向の傾き量に応じた傾きを示すロール角傾き情報であり、 前記表示制御手段は、前記ロール角傾き情報に対応する表示である傾きガイドを表示することを特徴としている。 請求項4に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項3に記載の撮像装置であって、 前記傾きガイドは、前記撮像装置のロール方向の傾き量が小さい状態から大きくなった際には、表示スケールの色を変える構成としたことを特徴としている。」 に訂正する。 (10)訂正事項10 願書に添付した明細書の段落【0007】に、 「 請求項6に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項3〜請求項5のいずれか1項の撮像装置であって、 前記表示制御手段は、ピッチ方向の傾き量が所定の範囲を超えたとき前記傾きガイドの表示形態を変更することを特徴としている。 請求項7に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項1に記載のロール方向の傾きが60度であることを特徴としている。」 と記載されているのを、 「 請求項6に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項3または請求項4の撮像装置であって、 前記表示制御手段は、ピッチ方向の傾き量が所定の範囲を超えたとき前記傾きガイドの表示形態を変更することを特徴としている。 請求項7に記載した本発明に係る撮像装置は、前記ロール方向の傾きが60度であることを特徴としている。」 に訂正する。 (11)訂正事項11 願書に添付した明細書の段落【0016】に、 「 本発明によれば、撮像装置のロール方向の傾きに応じて傾き情報の表示位置を見易い位置に変化させ、操作性を向上させ得る撮像装置を提供することができる。 即ち、本発明の請求項1の撮像装置によれば、撮像素子と、前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と、ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と、前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示し、 撮像装置のロール方同の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を切り替える表示制御手段と、を有する撮像装置において、 前記表示制御手段は、前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、 ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えないことにより、 撮像装置を構えたときのロール方向の傾きに応じて画像表示部における傾き情報が見易くなって、正確に把握することができ、延いては操作性を向上させることができる。」 と記載されているのを、 「 本発明によれば、撮像装置のロール方向の傾きに応じて傾き情報の表示位置を見易い位置に変化させ、操作性を向上させ得る撮像装置を提供することができる。 即ち、本発明の請求項1の撮像装置によれば、撮像素子と、前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と、ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と、前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示し、 撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える表示制御手段と、を有する撮像装置において、 前記表示制御手段は、前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、 ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えないことにより、 撮像装置を構えたときのロール方向の傾きに応じて画像表示部における傾き情報が見易くなって、正確に把握することができ、延いては操作性を向上させることができる。」 に訂正する。 (12)訂正事項12 願書に添付した明細書の段落【0017】に、 「 本発明の請求項2の撮像装置によれば、前記表示制御手段は、前記傾き情報の表示位置を水平方向および/または垂直方向の端辺部に沿った位置に切り替えることにより、傾きガイド情報を容易に把握することができる。 本発明の請求項3の撮像装置によれば、前記傾き情報は、ロール方向の傾き量に応じた傾きを示すロール角傾き情報であり、 前記表示制御手段は、前記ロール角傾き情報に対応する表示である傾きガイドを表示することにより、ロール方向の傾きを直感的に容易に把握することができる。」 と記載されているのを、 「_本発明の請求項3の撮像装置によれば、前記傾き情報は、ロール方向の傾き量に応じた傾きを示すロール角傾き情報であり、 前記表示制御手段は、前記ロール角傾き情報に対応する表示である傾きガイドを表示することにより、ロール方向の傾きを直感的に容易に把握することができる。」 に訂正する。 (13)訂正事項13 願書に添付した明細書の段落【0019】に、 「 本発明の請求項5の撮像装置によれば、前記表示制御手段は、ピッチ方向の傾き量が所定の範囲内であるときにのみ前記ロール角傾き情報を表示することにより、ピッチ方向の傾き量が所定の範囲を越えることによるロール角の検出精度の低下を来さないようにユーザに容易且つ正確に把握させることができる。 本発明の請求項6の撮像装置によれば、前記表示制御手段は、ピッチ方向の傾き量が所定の範囲を超えたとき前記傾きガイドの表示形態を変更することにより、傾き検出の精度を維持できるピッチ角の範囲を外れた場合に、それを傾きガイド表示によって、確実に把握することができ、容易に傾き検出の精度を維持できるピッチ角の範囲内で使用することが可能となる。」 と記載されているのを、 「_本発明の請求項6の撮像装置によれば、前記表示制御手段は、ピッチ方向の傾き量が所定の範囲を超えたとき前記傾きガイドの表示形態を変更することにより、傾き検出の精度を維持できるピッチ角の範囲を外れた場合に、それを傾きガイド表示によって、確実に把握することができ、容易に傾き検出の精度を維持できるピッチ角の範囲内で使用することが可能となる。」 に訂正する。 (14)訂正事項14 願書に添付した明細書の段落【0020】に、 「 本発明の請求項7の撮像装置によれば、請求項1に記載のロール方向の傾きが60であることにより、 撮像装置を横位置または縦位置に備えた状態からロール方向に60度を越えるまで傾けた場合に、傾き情報の表示位置が切り替わるため、ロール方向の傾きを的確に把握することが可能となる。」 と記載されているのを、 「 本発明の請求項7の撮像装置によれば、前記ロール方向の傾きが60であることにより、 撮像装置を横位置または縦位置に備えた状態からロール方向に60度を越えるまで傾けた場合に、傾き情報の表示位置が切り替わるため、ロール方向の傾きを的確に把握することが可能となる。」 に訂正する。 2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)一群の請求項 上記訂正事項1〜7は、一群の請求項に対して請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 上記訂正事項8〜14による明細書の訂正に係る請求項は、上記訂正事項1〜7による訂正に係る請求項と同じであって、上記訂正事項8〜14による明細書の訂正は、一群の請求項のすべてについて行われたものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。 したがって、上記訂正事項1〜14は、特許法第120条の5第4項及び同条第9項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。 (2)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正前の請求項1に係る特許発明は、「表示制御手段」について「撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を切り替える」ことを特定している。 これに対して、訂正後の請求項1は、「撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える表示制御手段」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における表示制御手段により切り替えられる表示位置を、訂正前の請求項2に対応する発明特定事項で具体的に特定し、更に画像表示部の形状に応じて定まる「前記画像表示装置の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置」と限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 同様に、訂正後の請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項3、4、6、7も、訂正後の請求項1の「撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える表示制御手段」との記載を引用することにより、表示制御手段により切り替えられる表示位置をより具体的に特定し、更に限定するものである。 よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、「表示位置を切り替える」という発明特定事項について、更に限定した「表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える」にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載を引用する訂正前の請求項2〜7の記載についても実質的に訂正するものであるが、訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2〜7の記載について何ら訂正するものではなく、訂正前の請求項2〜7のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、訂正前の請求項2〜7との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 よって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、明細書の段落【0044】に「プロセッサ104は、(1)式で求められるロール角(撮像装置の傾きを直接的に示すものではない)が、撮像装置が図3(a)に示すような状態、即ち、撮像装置が水平に対し、0度±5度から±60度の範囲である場合は、ロール角を示す表示スケールB1を、LCDモニタ5の表示画面に対して横向き(撮像装置の表示画面の長手方向に沿う方向)状態で前記画面に表示するように構成することができる。・・・(中略)・・・また、さらにロール角が図4(b)に示すように、±60度を越えると画面表示を縦向き状態(縦位置)に切り替えるように構成することができる。」と記載されていること、及び、第13の実施の形態において明細書の段落【0065】に「そこで、図21に示すように撮像装置の角度によって傾きガイド表示Gの表示バーの位置を変化させるとすると、XおよびYが0G付近(例えば閾値0.1G以下)では傾きガイド表示Gの表示バーの位置を、図21の(a)のように長手方向に沿って配置するか、図21の(b)のように短手方向に沿って配置するかどちらにすればよいか判別することができない。そのような場合における表示方法を、図22のフローチャートに示している。 t=nの時の出力値Xt=nおよびYt=nが各々0.1G以下であるか否かを判別し(ステップS11)、両者が0.1G以下ではないときは、そのまま出力値Xt=nおよびYt=nを用いてθを計算して(ステップS12)、モニタに表示する(ステップS13)。」と記載されていることから、「撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える」ことが記載されていることは明らかである。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載を削除するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載を削除するのみであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正事項2により請求項2が削除されることに伴い、訂正前の請求項3に「請求項1または請求項2に記載の撮像装置。」と記載されているのを、「請求項1に記載の撮像装置。」と訂正し、請求項3において請求項2の引用を削除するものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、請求項3において請求項2の引用を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、請求項3において請求項2の引用を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (5)訂正事項4 ア 訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の請求項5の記載を削除するものである。 したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、訂正前の請求項5の記載を削除するのみであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、訂正前の請求項5の記載を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (6)訂正事項5 ア 訂正の目的について 訂正事項5は、訂正事項4により請求項5が削除されることに伴い、訂正前の請求項6に「請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置。」と記載されているのを、「請求項3または請求項4に記載の撮像装置。」と訂正し、請求項6において請求項5の引用を削除するものである。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項5は、請求項6において請求項5の引用を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項5は、請求項6において請求項5の引用を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (7)訂正事項6 ア 訂正の目的について 訂正事項6は、訂正前の請求項7に「請求項1に記載のロール方向」と記載されているのを、「前記ロール方向」と訂正することで他の請求項の記載との整合を図るための訂正である。よって、訂正事項6は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項6が、訂正前の請求項7に記載されていた「ロール方向」の解釈に影響を与えないことは明らかであり、また、訂正前の請求項7の記載について、訂正前の請求項7に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項7に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。 したがって、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項6による訂正は、訂正前の請求項7に記載されていた「ロール方向」を実質的に変更するものではないから、明らかに願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (8)訂正事項7 ア 訂正の目的について 訂正事項7は、訂正事項2により請求項2が削除されることに伴い、訂正前の請求項7に「請求項1または請求項2に記載の撮像装置。」と記載されているのを、「請求項1に記載の撮像装置。」と訂正し、請求項7において請求項2の引用を削除するものである。 したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項7は、請求項7において請求項2の引用を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項7は、請求項7において請求項2の引用を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (9)訂正事項8 ア 訂正の目的について 訂正事項8は、上記訂正事項1に係る訂正及び上記訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。 よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項8は、上記訂正事項1に係る訂正及び上記訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、上記(2)のとおり訂正事項1は請求項1のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、上記(3)のとおり訂正事項2は請求項2のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項8は、上記訂正事項1に係る訂正及び上記訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、上記(2)、(3)のとおり訂正事項1及び訂正事項2はいずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (10)訂正事項9 ア 訂正の目的について 訂正事項9は、上記訂正事項3に係る訂正及び上記訂正事項4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。 よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項9は、上記訂正事項3に係る訂正及び上記訂正事項4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるが、上記(4)のとおり訂正事項3は請求項3のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、上記(5)のとおり訂正事項4は請求項5のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項9は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項9は、上記訂正事項3に係る訂正及び上記訂正事項4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、上記(4)、(5)のとおり訂正事項3及び訂正事項4はいずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (11)訂正事項10 ア 訂正の目的について 訂正事項10は、上記訂正事項5に係る訂正及び上記訂正事項6に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。 よって、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項10は、上記訂正事項5に係る訂正及び上記訂正事項6に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、上記(6)のとおり訂正事項5は請求項6のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、上記(7)のとおり訂正事項6は請求項7のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項10は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項10は、上記訂正事項5に係る訂正及び上記訂正事項6に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、上記(6)及び(7)のとおり訂正事項5及び訂正事項6はいずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (12)訂正事項11 ア 訂正の目的について 訂正事項11は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。 よって、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項11は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、上記(2)のとおり訂正事項1は請求項1のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項11は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項11は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、上記(2)のとおり訂正事項1は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (13)訂正事項12 ア 訂正の目的について 訂正事項12は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。 よって、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項12は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、上記(3)のとおり訂正事項2は請求項2のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項12は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項12は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、上記(3)のとおり訂正事項2は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項12は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (14)訂正事項13 ア 訂正の目的について 訂正事項13は、上記訂正事項4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。 よって、訂正事項13は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項13は、上記訂正事項4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるが、上記(5)のとおり訂正事項4は請求項5のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項13は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項13は、上記訂正事項4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるが、上記(5)のとおり訂正事項4は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項13は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (15)訂正事項14 ア 訂正の目的について 訂正事項14は、上記訂正事項6に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。 よって、訂正事項14は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項14は、上記訂正事項6に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、上記(7)のとおり訂正事項6は請求項7のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項14は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項14は、上記訂正事項6に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、上記(7)のとおり訂正事項6は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項14は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (16)まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1〜7について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正請求により訂正された本件特許請求の範囲の請求項1〜7に係る発明(以下、項番にしたがい「本件発明1」〜「本件発明7」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲に記載された以下のとおりのものである。 ただし、本件発明1については、(A)〜(G)の記号を当審において付与した。以下、「構成要件A」〜「構成要件G」という。 なお、請求項2、5は削除された。 【請求項1】(本件発明1) (A)撮像素子と、 (B)前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と、 (C)ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と、 (D−1)前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示し、 (D−2)撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える (D)表示制御手段と、 (E)を有する撮像装置において、 (F)前記表示制御手段は、前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、 (G)ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えないこと (E)を特徴とする撮像装置。 【請求項2】(本件発明2) (削除) 【請求項3】(本件発明3) 前記傾き情報は、ロール方向の傾き量に応じた傾きを示すロール角傾き情報であり、 前記表示制御手段は、前記ロール角傾き情報に対応する表示である傾きガイドを表示することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。 【請求項4】(本件発明4) 前記傾きガイドは、前記撮像装置のロール方向の傾き量が小さい状態から大きくなった際には、表示スケールの色を変える構成としたことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。 【請求項5】(本件発明5) (削除) 【請求項6】(本件発明6) 前記表示制御手段は、ピッチ方向の傾き量が所定の範囲を超えたとき前記傾きガイドの表示形態を変更することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の撮像装置。 【請求項7】(本件発明7) 前記ロール方向の傾きは60度であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。 第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について 1 取消理由の要旨 本件発明1、3、4、6、7に係る特許に対して平成31年4月18日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (1)請求項1、3、7の特許に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1、3、7に係る特許は、取り消されるべきものである。 (2)請求項4、6の特許に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明および周知技術(甲第3号証に記載された技術、甲第5号証に記載された技術)に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項4、6に係る特許は、取り消されるべきものである。 甲第1号証:特開2007−74077号公報 甲第2号証:特開2004−343476号公報 周知技術として 甲第3号証:特開2006−324948号公報 甲第5号証:特開2001−74450号公報 2 取消理由通知(決定の予告)で採用した各甲号証の記載事項及び各甲号証に記載された発明もしくは技術 (1)甲第1号証 ア 甲第1号証の記載事項 甲第1号証(特開2007−74077号公報。以下「甲1」という。)には、「画像撮像装置、プログラムおよび記録媒体」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【0008】 この問題を解決するために、撮像時に天地方向を自動判定する方法として、たとえば、特開2004−229260号公報(特許文献1)では、デジタルカメラ(画像撮像装置)の撮像時の傾きに応じて、内蔵された傾斜計により、記録する画像の天地方向を決定し、決定した天地方向に対応させた画像ファイル生成して記録する技術(以下、従来技術Aともいう)が開示されている。」 「【0014】 しかしながら、特開2004−229260号公報(特許文献1)に開示されている技術では、図17のように、水平に設置されている撮像対象物701を撮像する場合、画像撮像装置10000の撮像部が、撮像対象物701の真正面にあると、軸方向DI401,DI402にかかる重力加速度の大きさは、ほぼ0となり、内蔵された傾斜計では、撮像対象物701の天地方向を判定することができない。ここで、撮像対象物701は、「XYZ株式会社」の文字が縦方向に印刷された紙である。 【0015】 なお、画像撮像装置10000に内蔵されている傾斜計が、僅かな重力加速度(傾斜)を検出できる程、非常に高性能なものであったとする。この場合、画像撮像装置10000の左端を、撮像対象物701から遠くするために方向D701に上げ、画像撮像装置10000の右端を、撮像対象物701に近くするために方向D702に下げる。これにより、撮像対象物701の撮像結果に影響がない程度に、画像撮像装置10000は、撮像対象物701に対し僅かな傾斜を生じることができる。その結果、傾斜計は、天地方向が判定可能となる。 【0016】 しかしながら、このように僅かな傾斜で天地判定を行うには、以下の問題点がある。 (1)画像撮像装置10000を固定せずに、ユーザが手で持って撮像を行う場合、図17のように、水平に近い状態を保持しようとすると、画像撮像装置10000にユーザの手ぶれが伝わる可能性がある。この場合、画像撮像装置10000の傾斜方向がふらつき、傾斜計は、正確な天地判定ができないという問題が生じる。 (2)撮像対象物701の撮像結果に影響がない程度に、撮像対象物701の天地方向が正しく判定されるよう、ユーザが画像撮像装置10000を手で持って傾斜させたとする。この場合、ユーザが画像撮像装置10000のシャッターボタンを押す操作により手ぶれが生じ、画像撮像装置10000の傾斜方向が変わってしまう可能性がある。この場合、傾斜計は、正確な天地判定ができないという問題が生じる。」 「【0021】 本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、水平に置かれた撮像対象の天地方向を正確に算出可能な画像撮像装置を提供することである。」 「【0038】 したがって、水平に置かれた撮像対象の天地方向を正確に算出することができるという効果を奏する。」 「【0044】 <第1の実施の形態> 図1は、本実施の形態における画像撮像装置1000の外観図を示す図である。図1(A)は、画像撮像装置1000の正面を示す図である。図1(A)を参照して、画像撮像装置1000は、筐体100と、レンズ群110と、シャッターボタン120とを備える。レンズ群110は、筐体100の正面に設けられる。シャッターボタン120は、筐体100の上部に設けられる。レンズ群110は、複数の光学レンズを含む。 【0045】 図1(B)は、画像撮像装置1000の背面を示す図である。図1(B)を参照して、画像撮像装置1000は、表示部150を備える。表示部150は、ユーザに各種情報を、文字や画像等で表示する機能を有し、報知手段として動作する。表示部150は、液晶ディスプレイ(LCD(Liquid Crystal Display))、FED(Field Emission Display)、有機ELディスプレイ(Organic Electro luminescence Display)、ドットマトリクス等その他の画像表示方式の表示機器のいずれであってもよい。表示部150には、撮像時に、撮像対象の画像が逐次表示される。 【0046】 図2は、本実施の形態における画像撮像装置1000の内部構成を示すブロック図である。図2を参照して、画像撮像装置1000は、画像撮像部210と、データバス280とを備える。 【0047】 画像撮像手段としての画像撮像部210は、被写体像をデジタル画像データに変換する撮像処理を行なう。画像撮像部210は、データバス280に接続されている。 【0048】 図3は、本実施の形態における画像撮像部210の構成を示すブロック図である。図3を参照して、画像撮像部210は、レンズ群110と、撮像素子212と、A/D変換部214と、撮像制御部216と、一時記憶部217と、入出力インターフェース部218とを含む。 【0049】 撮像素子212は、レンズ群110を介して、入力された撮像対象の像をアナログ信号に変換する機能を有する。撮像素子212は、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子である。撮像素子212は、変換したアナログ信号を、A/D変換部214へ送信する。」 「【0056】 再び、図2を参照して、画像撮像装置1000は、さらに、制御部220と、入力部230と、一時記憶部240と、記憶部245と、傾斜測定部250とを備える。 【0057】 データバス280には、制御部220、入力部230、一時記憶部240、記憶部245、表示部150、傾斜測定部250、傾斜情報記憶部260および記録媒体アクセス部270が接続されている。」 「【0059】 制御手段としての制御部220は、記憶部245に記憶されたプログラム246に従って、画像撮像装置1000内の各部に対する各種処理や、演算処理等を行なう機能を有する。制御部220は、前述の撮像制御部216と同様なものである。」 「【0061】 制御部220は、天地方向算出手段222、正対方向決定手段224および認識手段226として動作する。天地方向算出手段222は、後述する傾斜測定部250が算出した重力加速度の方向および大きさに基づいて、画像撮像装置1000の天地方向を算出する。」 「【0065】 傾斜測定手段としての傾斜測定部250は、2方向の重力加速度を検出することにより、画像撮像装置1000の傾斜を測定する機能を有する。傾斜測定部250は、重力加速度センサーである。 【0066】 重力加速度センサーは、重力加速度を検出する1以上の方向を有する。この検出方向を軸と呼ぶ。1個の軸を有する重力加速度センサーを、1軸の重力加速度センサーと呼ぶ。2個および3個の軸を有する重力加速度センサーを、それぞれ、2軸の重力加速度センサーおよび3軸の重力加速度センサーと呼ぶ。重力加速度センサーが有する2個以上の軸は、互いに直交する。本実施の形態における傾斜測定部250は、2軸の重力加速度センサーである。 【0067】 次に、傾斜測定部250による傾斜測定方法について説明する。 図4は、平面P301の傾斜度の測定方法を説明するための図である。傾斜度とは、傾斜の角度を示す。図4を参照して、方向D301,D302は、平面P301の傾斜度を測定するために用いる重力加速度センサーの軸方向を表す。方向D303は方向D301の正反対の方向を表す。また、方向D304は、方向D302の正反対の方向を表す。なお、重力加速度センサーの軸としては、方向D301と、方向D303とは同じ軸上にある。また、方向D302と、方向D304とは同じ軸上にある。 【0068】 ベクトルV301は、方向と大きさを持つ重力加速度ベクトルである。重力加速度の大きさ(の標準値)は、9.8m/s2である。以下においては、重力加速度を、一般的な記号g(g=9.8m/s2)で表すことにする。 【0069】 P302は、水平面を表す。方向D303と水平面P302とが成す角度をθ(シータ)とする。 【0070】 方向D303と、重力加速度ベクトルV301とが成す角度をλ(ラムダ)とする。また、重力加速度ベクトルV301の先端から、平面70P301上の方向D303への垂線を、L301とする。また、重力加速度ベクトルV301の平面P301上の方向D303への射影ベクトルをV302とする。また、重力加速度ベクトルV301と、垂線L301とが成す角度をA303とする。 【0071】 射影ベクトルV302は、方向D301,D303の軸方向にかかる重力加速度ベクトルを表す。したがって、以下の式(1)が成立する。 sin(角度A303の大きさ)=|V302|/|V301|・・・(1) なお、式(1)の|x|は、ベクトルxの大きさを表す。 【0072】 角度A303は、180―90―λよりθとなる。また、|V301|は定数gであるので、式(1)は、以下の式(2)となる。 sinθ=|V302|/g ・・・(2) 式(2)を変形すると、以下の式(3)となる。 θ=sin−1(|V302|/g) ・・・(3) 重力加速度センサー(傾斜測定部250)は、軸方向にかかる重力加速度の大きさを測定することが可能である。すなわち、図4では、重力加速度センサーは、重力加速度ベクトルV302の大きさを測定することができる。 【0073】 したがって、式(3)より、θの値を算出することができる。すなわち、重力加速度センサーは、平面P301の傾斜度を測定することができる。そのため、θの値が90未満の場合、方向D301が天地方向の天であり、方向D303が天地方向の地であると判定できる。また、この場合の水平面P302と、平面P301との傾斜度も算出可能となる。 【0074】 また、図4の例とは、逆に、方向D301が天地方向の地であり、方向D303が天地方向の天となる場合でも、上記の方法により、天地判定および傾斜度の算出が可能となる。」 「【0077】 天地方向を判定する場合、方向D401にかかる重力加速度が重力加速度定数gに近く、方向D402にかかる重力加速度がほぼ0であれば、天地方向算出手段222は、画像撮像装置1000の上部が天地方向の天で、下部が天地方向の地であることを判定する。以下においては、図5の方向D401の軸を第1軸という。また、方向D402の軸を第2軸という。」 「【0079】 すなわち、天地方向算出手段222は、傾斜測定部250が算出した重力加速度の方向および大きさに基づいて、画像撮像装置1000の天地方向を判定する。」 「【0081】 傾斜情報記憶手段としての傾斜情報記憶部260は、データを一時的に記憶する機能を有する。傾斜情報記憶部260は、一時記憶部217と同様なものである。傾斜情報記憶部260は、傾斜測定部250が算出した重力加速度の方向および大きさ、天地方向算出手段222が判定した天地方向の情報を一時的に記憶する。」 【0082】 図7は、傾斜情報記憶部260に記憶されるデータを示す図である。図7を参照して、傾斜情報記憶部260には、重力加速度方向データDT10と、重力加速度大きさデータDT20と、傾斜度データDT30と、天地方向データDT40とが記憶される。」 「【0085】 傾斜度データDT30は、第1軸と水平面とが成す角度および第2軸と水平面とが成す角度のデータである。以下においては、第1軸と水平面とが成す角度を第1傾斜度ともいう。また、第2軸と水平面とが成す角度を第2傾斜度ともいう。第1軸と水平面とが成す角度および第2軸と水平面とが成す角度の各々は、前述したように、重力加速度の方向と、重力加速度の大きさとから算出可能である。」 「【0087】 天地方向データDT40は、画像撮像装置1000の天地方向を示すデータである。天地方向算出手段222は、第1軸と水平面とが成す第1傾斜度が所定の閾値(たとえば、10度)以上であれば、第1軸の方向が天地方向と判断する。また、天地方向算出手段222は、第2軸と水平面とが成す第2傾斜度が所定の閾値以上であれば、第2軸の方向が天地方向と判断する。」 「【0098】 表示部150には、詳細は後述するが、傾斜測定部250により算出された第1傾斜度,第2傾斜度または天地方向についての情報が表示される。 【0099】 図8は、画像撮像装置1000を右に90度回転させた場合の表示部150に表示される画像500の一例を示す。図8を参照して、画像500には、天地方向算出手段222による画像撮像装置1000の天地方向の算出結果が、「上,下,左,右」の文字で表示されている。また、画像500の「上,下,左,右」の文字は、画像撮像装置1000の天地方向の算出結果に応じて、回転して表示されている。画像500の「上」が、天地方向の天に対応し、画像500の「下」が、天地方向の地に対応する。したがって、ユーザは、画像500を参照することで、画像撮像装置1000の天地方向を容易に知ることができる。画像500には、撮像対象となる画像と、「上,下,左,右」の文字とが同時に表示される。 【0100】 なお、水平面に対し、画像撮像装置1000を斜めに傾けた場合、天地方向の判定結果を、文字ではなく、記号等で表した方が、ユーザが直感的に天地方向を判別できる。 【0101】 図9は、水平面P302に対し、画像撮像装置1000を斜めに傾けた場合の表示部150に表示される画像510の一例を示す。図9を参照して、画像510には、記号として矢印512が表示される。矢印512が示すのは、画像撮像装置1000の天地方向の「天」となる。画像510には、撮像対象となる画像と、矢印512とが同時に表示される。」 「【0104】 図10は、画像撮像装置1000で行なわれる処理のフローチャートである。図10を参照して、ステップS110では、傾斜測定部250が、前述したように、画像撮像装置1000の傾斜度を示す第1傾斜度および第2傾斜度を測定する。その後、ステップS120に進む。 【0105】 ステップS120では、天地方向算出手段222が、第1傾斜度および第2傾斜度のいずれかが、所定値A以上であるか否かを判定する。ここで、所定値Aは、傾斜測定部250(重力加速度センサー)の性能、ユーザにとっての適切な傾斜度等を考慮して決定される値である。所定値Aは、たとえば、30〜60の範囲の値である。 【0106】 ステップS120において、YESならば、ステップS122に進む。一方、ステップS120において、NOならば、ステップS132に進む。 【0107】 ステップS122では、天地方向算出手段222が、傾斜測定部250が測定した第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて、画像撮像装置1000の天地方向の算出を行なう。すなわち、撮像対象の天地方向が算出される。その後、ステップS124に進む。 【0108】 ステップS124では、制御部220が、画像撮像装置1000の天地方向の算出結果に基づく情報を表示した画像(以下、報知画像ともいう)を生成し、報知画像を、表示部150に表示させる。報知画像は、たとえば、図9の画像500である。報知画像には、撮像対象となる画像と、傾斜度としての第1傾斜度または第2傾斜度の情報および天地方向の情報の少なくとも一方とが表示される。 【0109】 図11は、一例としての報知画像520を示す図である。図11を参照して、報知画像520は、「上,下,左,右」の文字により、天地方向の情報を表示している。報知画像520には、撮像対象となる画像と、「上,下,左,右」の文字とが同時に表示される。また、図11は、第1傾斜度または第2傾斜度が、所定値A以上の場合の画像撮像装置1000の状態を示す。 【0110】 図12は、画像撮像装置1000が、右に30度傾いた状態である場合の、報知画像600を示す図である。図12を参照して、報知画像600には、文字列を表示する文字画像610が配置されている。文字画像610には、画像撮像装置1000が水平面P302に対し右に30度傾いている旨を示す文字列が表示されている。なお、報知画像600には、撮像対象となる画像と、文字画像610とが同時に表示される。 【0111】 図12のように表示部150に報知画像600を表示することにより、画像撮像装置1000を傾きのない状態にするように、ユーザに注意を促すことが可能となる。そのために、さらに、「左へ30度傾けて、傾きのない状態にしてください」といった、ユーザへの指示を報知画像に表示するようにしてもよい。 【0112】 図13は、画像撮像装置1000が、右に30度傾いた状態である場合の、報知画像600Aを示す図である。図13を参照して、報知画像600Aには、報知画像600に、さらに、天地方向の情報を示す矢印512が表示された画像である。 【0113】 再び、図10を参照して、ステップS124の処理が終了すると、ステップS126に進む。 【0114】 ステップS126では、天地方向算出手段222が、ステップS110により測定された第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて、前述した傾斜度データDT30を、傾斜情報記憶部260に記憶させる。なお、既に、傾斜情報記憶部260に傾斜度データDT30が記憶されている場合、天地方向算出手段222は、最新の傾斜度データDT30を傾斜情報記憶部260に上書き記憶させる。 【0115】 また、天地方向算出手段222は、ステップS122により算出された天地方向の情報に基づいて、前述した天地方向データDT40を、傾斜情報記憶部260に記憶させる。なお、既に、傾斜情報記憶部260に天地方向データDT40が記憶されている場合、天地方向算出手段222は、最新の天地方向データDT40を傾斜情報記憶部260に上書き記憶させる。その後、ステップS150に進む。」 【0116】 ステップS150では、正対方向決定の指示があるか否かが判定される。具体的には、正対方向決定手段224が、入力部230から、押下検知信号を受信したか否かを判定する。ステップS150において、YESならば、後述するステップS152に進む。ステップS150において、YESと判定されるのは、以下の場合である。すなわち、ユーザが、表示部150に表示された報知画像の天地方向の情報を参照し、当該天地方向に対応する画像撮像装置1000の正対方向を決定するために、ユーザがシャッターボタン120の押下操作を行なった場合である。 【0117】 一方、ステップS150において、NOならば、再度、ステップS110の処理が行なわれる。 【0118】 前述のステップS120において、NOならば、ステップS132に進む。 ステップS132では、ステップS122と同様に、天地方向算出手段222が、傾斜測定部250が測定した第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて、画像撮像装置1000の天地方向の算出を行なう。すなわち、撮像対象の天地方向が算出される。 【0119】 なお、画像撮像装置1000が、水平面に対し平行である場合、天地方向算出手段222は、傾斜測定部250が測定した第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて、画像撮像装置1000の天地方向の判定はできない。 【0120】 図14は、画像撮像装置1000が、水平面P302に対し平行である状態を示した図である。図14を参照して、水平面P302上には、撮像対象物701が置かれている。 【0121】 なお、画像撮像装置1000が図14の状態になる前に、必ず1度は、ステップS120において、YESと判定される。すなわち、画像撮像装置1000の電源オン時に、画像撮像装置1000が図14の状態となっていることは、ユーザが意図的にしない限り発生しない。なぜなら、ユーザは撮像処理の前に、画像撮像装置1000の調整(フォーカス等)などの操作を行なうのが一般的であるからである。このとき、画像撮像装置1000は、天地方向が判定できる状態であり、画像撮像装置1000が全くの水平状態でユーザが操作を開始することは、あまりないと考えられる。この後、ユーザは、水平に置かれた撮像対象物701を撮像するために、画像撮像装置1000を水平状態に持っていく。 【0122】 そのため、画像撮像装置1000が図14の状態になる前に、必ず1度は、ステップS126の処理が行われる。したがって、傾斜情報記憶部260には、傾斜度データDT30および天地方向データDT40が記憶されている。 【0123】 この場合、天地方向算出手段222は、傾斜情報記憶部260に記憶されている傾斜度データDT30および天地方向データDT40の少なくとも一方に基づいて、画像撮像装置1000の天地方向の判定を行なう。その後、ステップS134に進む。 【0124】 ステップS134では、制御部220が、画像撮像装置1000の天地方向の算出結果に基づく情報を表示した報知画像を生成し、報知画像を、表示部150に表示させる。」 「【0126】 図16は、画像撮像装置1000が、水平面P302に対し平行である場合の、一例としての報知画像700Aを示す図である。図16を参照して、報知画像700Aには、画像撮像装置1000の天地方向の情報を示す矢印710と、画像撮像装置1000が撮像対象物701(水平面P302)に対し平行である旨が文字により表示されている。なお、報知画像700Aには、さらに、撮像対象物701の画像も表示される。 【0127】 再び、図10を参照して、ステップS134の処理が終了すると、前述したステップS150に進む。ステップS150において、YESならば、ステップS152に進む。」 「【図2】 」 「【図3】 」 「【図4】 」 「【図5】 」 「【図8】 」 「【図9】 」 「【図10】 」 「【図11】 」 「【図12】 」 「【図13】 」 「【図14】 」 「【図16】 」 イ 甲第1号証に記載された発明 甲1に記載された「画像撮像装置」を甲1に記載された発明として認定する。 段落【0044】〜【0049】、【0056】、【0057】、図2によると、「画像撮像装置」(段落【0046】)は、「撮像素子」(段落【0049】)、「撮像時に、撮像対象の画像が逐次表示される」「表示部」(段落【0045】)、「制御部」(段落【0056】)、「傾斜測定部」(段落【0056】)、「傾斜情報記憶部」(段落【0057】)を有している。 段落【0065】、【0066】、【0077】、【0085】、【0104】によると、前記傾斜測定部は、「2方向の重力加速度を検出する」「互いに直交する」「2軸の重力加速度センサー」により、「第1軸(方向D401)と水平面とが成す角度」である「第1傾斜度」および「第2軸(方向D402)と水平面とが成す角度」である「第2傾斜度を測定する」ことが記載されている。 また、段落【0067】、【0072】、【0073】より、「傾斜度」は、「重力加速度センサー」により、「軸方向にかかる重力加速度の大きさ(|V302|)を測定」し、θ=sin−1(|V302|/g)より求められるものである。 よって、前記傾斜測定部は、「2方向の重力加速度を検出する」「互いに直交する」「2軸の重力加速度センサー」により、それぞれの「軸方向にかかる重力加速度の大きさ(|V302|)を測定」し、θ=sin−1(|V302|/g)より第1軸(方向D401)と水平面とが成す角度である第1傾斜度および第2軸(方向D402)と水平面とが成す角度」である第2傾斜度を測定するものといえる。 段落【0061】によると、前記制御部は「天地方向算出手段」として動作することが記載され、段落【0087】によると、前記「天地方向算出手段」は、「第1軸と水平面とが成す第1傾斜度が所定の閾値」「以上であれば、第1軸の方向が天地方向と判断」し、「第2軸と水平面とが成す第2傾斜度が所定の閾値以上であれば、第2軸の方向が天地方向と判断」することが記載され、段落【0107】によると、「第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて、画像撮像装置の」「天地方向の算出」を行うことが記載されている。 よって前記制御部は、第1軸と水平面とが成す第1傾斜度が所定の閾値以上であれば、第1軸の方向が天地方向と判断し、第2軸と水平面とが成す第2傾斜度が所定の閾値以上であれば、第2軸の方向が天地方向と判断することにより、画像撮像装置の天地方向の算出を行う天地方向算出手段として動作するものといえる。 段落【0082】、【0085】、【0087】によると、前記傾斜情報記憶部は、「第1傾斜度」および「第2傾斜度」のデータである「傾斜度データ」と、前記「画像撮像装置」「の天地方向を示すデータ」である「天地方向データ」とを記憶することが記載されている。 段落【0059】によると、前記制御部は、「画像撮像装置」「内の各部に対する各種処理」「を行なう」から、表示部の制御を行うといえる。 段落【0104】〜【0115】、図10によると、前記制御部は、「第1傾斜度および第2傾斜度のいずれかが、所定値」「以上であるか否かを判定」し(段落【0105】、ステップ120)、前記判定において「YESならば、」「第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて、」前記「画像撮像装置」「の天地方向の算出を」行い(段落【0106】〜【0107】、ステップ122)、「天地方向の算出結果に基づく」「天地方向の情報」「を表示した」「報知画像」「を生成し、」前記「報知画像を表示部」「に表示させ」(段落【0108】、ステップ124)、「傾斜度データ」、「天地方向データ」を「傾斜情報記憶部に」記憶する(段落【0114】、【0115】、ステップ126)。 段落【0112】、図13によると、前記報知画像は、一例として「画像撮像装置」「が右に30度傾いた状態にある場合の、」「天地方向の情報を示す矢印」を表示した「報知画像」である。 段落【0118】〜【0123】、図10によると、前記制御部は,前記判定において「NOならば」、「第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて、」「天地方向の算出」を行い(段落【0118】、ステップ132)、「画像撮像装置」「が、水平面に対し平行である場合、」「傾斜測定部」「が測定した第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて、画像撮像装置」「の天地方向の判定はできない」ので、「傾斜情報記憶部」「に記憶されている傾斜度データ」「および天地方向データ」「の少なくとも一方に基づいて、」前記「画像撮像装置」「の天地方向の判定」を行い(段落【0119】、【0123】、ステップ132)、前記「天地方向の算出結果に基づく」天地方向の「情報を表示した報知画像を生成し、」前記「報知画像を表示部」「に表示させる」(段落【0124】、ステップ134)。 そして、「天地方向に対応する画像撮像装置」「の正対方向を決定するために、ユーザがシャッターボタン」「の押下操作を」行うまで、当該動作が繰り返される(段落【0116】、【0117】、図10)。 以上まとめると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 なお、(1a)〜(1i)は、甲1発明の構成を区別するために当審で付与した。以下各構成を「構成1a」〜「構成1i」という。 (甲1発明) (1a)撮像素子と、 (1b)撮像時に、撮像対象の画像が逐次表示される表示部と、 (1c)2方向の重力加速度を検出する互いに直交する2軸の重力加速度センサーにより、それぞれの軸方向にかかる重力加速度の大きさ(|V302|)を測定し、θ=sin−1(|V302|/g)より第1軸(方向D401)と水平面とが成す角度である第1傾斜度および第2軸(方向D402)と水平面とが成す角度である第2傾斜度を測定する傾斜測定部と、 (1d)第1軸と水平面とが成す第1傾斜度が所定の閾値以上であれば、第1軸の方向が天地方向と判断し、第2軸と水平面とが成す第2傾斜度が所定の閾値以上であれば、第2軸の方向が天地方向と判断することにより、前記画像撮像装置の天地方向の算出を行う天地方向算出手段として動作する制御部と、 (1e)第1傾斜度および第2傾斜度のデータである傾斜度データと、前記画像撮像装置の天地方向を示すデータである天地方向データとを記憶する傾斜情報記憶部と、 (1f)を有する前記画像撮像装置において、 (1g)前記制御部は、第1傾斜度および第2傾斜度のいずれかが、所定値以上であるか否かを判定し、前記判定においてYESならば、 (1g−1)第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて、前記画像撮像装置の天地方向の算出を行い、 (1g−2)前記天地方向の算出結果に基づく天地方向の情報を表示した報知画像を生成し、前記報知画像を表示部に表示させ、 (1g−3)前記報知画像は、一例として前記画像撮像装置が右に30度傾いた状態である場合の、天地方向の情報を示す矢印を表示した報知画像であり、 (1g−4)前記傾斜度データと前記天地方向データを、傾斜情報記憶部に記憶し、 (1h−1)前記判定においてNOならば、第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて、前記画像撮像装置の天地方向の算出を行い、 (1h−2)画像撮像装置が水平面に対し平行である場合、傾斜測定部が測定した第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて、画像撮像装置の天地方向の判定はできないので、前記傾斜情報記憶部に記憶されている傾斜度データおよび天地方向データの少なくとも一方に基づいて、前記画像撮像装置の天地方向の判定を行い、 (1h−3)前記天地方向の算出結果に基づく天地方向の情報を表示した報知画像を生成し、前記報知画像を表示部に表示させ、 (1i)天地方向に対応する画像撮像装置の正対方向を決定するために、ユーザがシャッターボタン押下操作を行うまで、当該動作を繰り返す (1f)画像撮像装置。 (2)甲第2号証 ア 甲第2号証の記載事項 甲第2号証(特開2004−343476号公報。以下「甲2」という。)には、「撮像装置、撮像結果の処理装置及び撮像結果の処理方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【0016】 (1)第1の実施の形態 (1−1)第1の実施の形態の構成 図1は、本発明の実施の形態に係る電子スチルカメラを示すブロック図である。この電子スチルカメラ1において、撮像素子2は、CCD(Charge Coupled Device)固体撮像素子により形成され、図示しない光学系によって撮像面に形成された画像による撮像結果を光電変換して出力する。撮像素子2は、所定のタイミング制御回路から出力されるタイミング信号により動作してこのような撮像結果を動画により出力し、ユーザーがシャッターの操作子を操作すると、システム制御回路3による制御により、タイミング制御回路から出力されるタイミング信号が切り換えられ、これによりそれまでの動画による撮像結果に比して解像度の高い静止画による撮像結果を出力する。」 「【0023】 これらによりこの電子スチルカメラ1では、撮像素子2で動画による撮像結果を取得して画像処理回路5で処理した後、表示部6で表示してシャッターチャンスを確認できるようになされている。またユーザーによるシャッター操作により、動画による撮像結果に代えて静止画による撮像結果を撮像素子2で取得し、この撮像結果を画像処理回路5で処理して画像メモリ12に一時保持し、この画像メモリ12に保持した撮像結果を表示部6で確認できるようになされている。またユーザーにより確認が得られると、このようにして画像メモリ12に保持した撮像結果を圧縮伸長回路8によりデータ圧縮してメモリカード7に記録するようになされている。またこのようにしてメモリカード7に記録した撮像結果等による静止画像について、ユーザーの指示により圧縮伸長回路8でデータ伸長して画像メモリ12に保持し、この画像メモリ12に保持した画像データを表示部6で表示して確認できるようになされている。 【0024】 傾き検出センサ14は、この電子スチルカメラ1の傾きを検出して検出結果をシステム制御回路3に出力する。この電子スチルカメラ1において、この傾き検出センサ14は、撮像素子2の水平方向及び垂直方向にそれぞれ傾き検出の基準軸を有する1組のセンサにより構成される。より具体的には、それぞれ水平方向及び垂直方向への加速度を検出する1対の加速度センサの組み合わせによる2軸の加速度センサにより構成される。」 「【0028】 これによりこの実施の形態では、この2種類のセンサの出力信号レベルの比により、電子スチルカメラ1が種々の向きに傾けられた場合でも、光軸回りの傾きを検出できるようになされている。」 「【0030】 システム制御回路3は、図示しないメモリに記録された所定の処理プログラムを実行することにより、この電子スチルカメラ1の全体の動作を制御するコンピュータである。システム制御回路3は、ユーザーによる電源の操作子15の操作により、各部の動作を立ち上げ、撮像素子2により動画による撮像結果を取得して表示部6で表示する。 【0031】 この処理において、システム制御回路3は、傾き検出センサ14による傾き検出結果に基づいて、撮像結果の傾きを表示部6で表示する。またこの傾きの表示においては、傾き検出センサ14の出力信号により、縦長の構図による撮像結果か、横長の構図による撮像結果かを判定し、これら縦長及び横長の構図に対応するように表示を切り換えて、傾きを表示する。 【0032】 すなわちシステム制御回路3においては、X軸方向及びY軸方向に基準軸を設定してなるセンサ出力を絶対値化して比較することにより、これら2つのセンサ出力の振幅を比較する。ここでX軸方向に基準軸を設定してなるセンサ出力の振幅の方が大きいとの判定結果が得られた場合、図2(A)との対比により図4(A)に電子スチルカメラ1を背面より見て示すように、横長の構図による撮像結果と判定し、この状態における表示部6による表示画面の下側に、棒状の表示6Aを形成する。また水平方向に対するX軸方向の傾きを検出し、この棒状の表示6A上の中央を傾き0の位置に設定して、この傾き検出結果に対応する位置にマーカー6Bを表示する。しかしてこの場合、この棒状の表示6Aにおいては、水準器のように電子スチルカメラ1の傾きに応じてマーカー6Bが左右に移動することになる。 【0033】 これに対してY軸方向の基準軸を設定してなるセンサ出力の振幅の方が大きいとの判定結果が得られた場合、図2(B)との対比により図4(B)に電子スチルカメラ1を背面より見て示すように、縦長の構図による撮像結果と判定し、この状態における表示部6による表示画面の下側に、棒状の表示6Aを形成する。また水平方向に対するY軸方向の傾きを検出し、この棒状の表示6A上の中央を傾き0の位置に設定して、この傾き検出結果に対応する位置にマーカー6Bを表示する。しかしてこの場合も、この棒状の表示6Aにおいては、水準器のように電子スチルカメラ1の傾きに応じてマーカー6Bが左右に移動することになる。」 「【0082】 また上述の実施の形態においては、X方向及びY方向に基準軸を有する2軸の加速度センサにより傾きを検出する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これに加えて光軸方向であるZ軸方向に基準軸を有する3軸の加速度センサにより傾きを検出するようにしてもよい。なおこのようにすれば、水平方向に対して光軸の傾きであるいわゆる仰角の変化による傾き検出精度の劣化を防止することができる。」 「【図4】 」 イ 甲第2号証に記載された発明 段落【0016】によると、電子スチルカメラは「撮像面に形成された画像による撮像結果を光電変換して出力する」「撮像素子」を有する。 段落【0023】によると、電子スチルカメラは「撮像素子」で「撮像結果を取得して」、「表示部」「で表示」するものであるから、撮像素子で取得された撮像結果を表示する表示部を有している。 段落【0024】によると、「傾き検出センサ」は、「それぞれ水平方向及び垂直方向への加速度を検出する1対の加速度センサの組み合わせによる2軸の加速度センサにより構成される」ものである。 段落【0028】によると、「2種類のセンサの出力信号レベルの比により、電子スチルカメラ」「が種々の向きに傾けられた場合でも、光軸回りの傾きを検出できる」ものである。 段落【0030】によると、電子スチルカメラは、全体の動作を制御するシステム制御回路を有している。 段落【0031】によると、電子スチルカメラの「システム制御回路」は、「傾き検出センサ」「による傾き検出結果に基づいて、撮像結果の傾きを表示部」「で表示」し、「傾き検出センサ」「の出力信号により、縦長の構図による撮像結果か、横長の構図による撮像結果かを判定し、これら縦長及び横長の構図に対応するように表示を切り換えて、傾きを表示する」ものである。 段落【0032】、【0033】によると、電子スチルカメラの「システム制御回路」「においては、X軸方向及びY軸方向に基準軸を設定してなるセンサ出力を絶対値化して比較することにより、これら2つのセンサ出力の振幅を比較」し、「X軸方向に基準軸を設定してなるセンサ出力の振幅の方が大きいとの判定結果が得られた場合、」「横長の構図による撮像結果と判定し、この状態における表示部」「による表示画面の下側に、棒状の表示」「を形成」し、「Y軸方向の基準軸を設定してなるセンサ出力の振幅の方が大きいとの判定結果が得られた場合、」「縦長の構図による撮像結果と判定し、この状態における表示部による表示画面の下側に、棒状の表示」「を形成」し、「この棒状の表示」「においては、水準器のように電子スチルカメラ」「の傾きに応じてマーカー」「が左右に移動する」ものである。 段落【0082】によると、「X方向及びY方向に基準軸を有する2軸の加速度センサにより傾きを検出する場合」「に限らず、」「光軸方向であるZ軸方向に基準軸を有する3軸の加速度センサにより傾きを検出するように」「すれば、水平方向に対して光軸の傾きであるいわゆる仰角の変化による傾き検出精度の劣化を防止することができる」ものである。 以上によると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 なお、(2a)〜(2g)は、甲2発明の構成を区別するために当審で付与した。以下各構成を「構成2a」〜「構成2g」という。 (甲2発明) (2a)撮像面に形成された画像による撮像結果を光電変換して出力する撮像素子と、 (2b)前記撮像素子で取得された撮像結果を表示する表示部と、 (2c)それぞれ水平方向及び垂直方向への加速度を検出する1対の加速度センサの組み合わせによる2軸の加速度センサにより構成される傾き検出センサとを有し、 (2d)2種類のセンサの出力信号レベルの比により、電子スチルカメラ1が種々の向きに傾けられた場合でも、光軸回りの傾きを検出できる (2e)電子スチルカメラであって、 (2f)全体の動作を制御するシステム制御回路を有し、システム制御回路は、 (2f−1)傾き検出センサによる傾き検出結果に基づいて、撮像結果の傾きを表示部で表示し、 (2f−2)傾き検出センサの出力信号により、縦長の構図による撮像結果か、横長の構図による撮像結果かを判定し、これら縦長及び横長の構図に対応するように表示を切り換えて、傾きを表示し、 (2f−3)X軸方向及びY軸方向に基準軸を設定してなるセンサ出力を絶対値化して比較することにより、これら2つのセンサ出力の振幅を比較し、 (2f−4)X軸方向に基準軸を設定してなるセンサ出力の振幅の方が大きいとの判定結果が得られた場合、横長の構図による撮像結果と判定し、この状態における表示部による表示画面の下側に、棒状の表示を形成し、 (2f−5)Y軸方向の基準軸を設定してなるセンサ出力の振幅の方が大きいとの判定結果が得られた場合、縦長の構図による撮像結果と判定し、この状態における表示部による表示画面の下側に、棒状の表示を形成し、 (2f−6)この棒状の表示においては、水準器のように電子スチルカメラの傾きに応じてマーカーが左右に移動するものであり、 (2g)X方向及びY方向に基準軸を有する2軸の加速度センサにより傾きを検出する場合に限らず、光軸方向であるZ軸方向に基準軸を有する3軸の加速度センサにより傾きを検出するようにすれば、水平方向に対して光軸の傾きであるいわゆる仰角の変化による傾き検出精度の劣化を防止することができる (2e)電子スチルカメラ。 (3)甲第3号証 甲第3号証(特開2006−324948号公報。以下「甲3」という。)には、「撮像装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【0050】 次に撮影者が、図11(a)に示す状態にて、低い建物など横長の被写体を撮影する場合を説明する。撮像装置1の傾きあるいは向きについては、ヨーイング電流値検出手段17x、ピッチング電流値検出手段17yの検出値により判断する。この姿勢(θの姿勢)で撮影した場合、ヨーイング駆動電流値検出手段17x、ピッチング駆動電流値検出手段17yにより、手ぶれ補正機構18のコイル22xに流れる電流値がIxc、コイル22yに流れる電流値がIycということがわかる。マイクロコンピュータ2は、電流値IxcあるいはIycの大きさあるいは位相から、撮像装置1の傾きあるいは向きを判断する。この状態でシャッターボタン32を押すことにより、被写体を撮影することができ、その撮影画像は画像記録手段11に記録される。この記録される撮影画像は、本来は被写体がθだけ傾いた画像データであるが、しかし、このままでは図8 に示すように、見栄えが良くないため、図9に示す状態にて撮像装置1の傾きあるいは向きθを、マイクロコンピュータ2が、画像表示制御手段30に指令することにより、補助線1及び補助線2を画像表示手段31に表示することにより、撮影者は表示画面を見ながら、被写体と撮影画像の傾きあるいは向きが一致するように、撮像装置を正確な水平状態で保持することができ、比較的簡単に撮像の構図を決定することができる。 【0051】 次に撮影者が、図11(a)に示す状態にて、撮像装置が傾いた状態での、被写体を撮影する場合の、補助線の表示様態について説明する。図9に示す状態にて、補助線1は、撮像装置と一緒に傾く補助線であり、撮像装置の傾きにより表示様態は変化せず、撮影の時には、次に説明する補助線2との対比により、撮像装置の傾きを示す機能を果たす。補助線2は、撮像装置の傾きが傾いても、ヨーイング電流値検出手段17x、ピッチング電流値検出手段17yの検出値から、マイクロコンピュータ2が撮像装置1の傾き、あるいは向きを検出し、画像表示制御手段30に指令することにより、常に、天地方向と略一致する方向、あるいは略直交する方向、あるいはその両方向に画像表示手段31に表示される補助線であり、撮像装置が傾いた時には、撮影姿勢によらず、撮像装置の正確な水平状態を補助線1と対比することにより、撮像装置の傾きを示す機能を果たす。また、補助線1と補助線2が一致しない場合に、マイクロコンピュータ2が画像表示制御手段30に指令することにより、表示する色を変えるなどすれば、更に撮像装置の傾きや、水平状態を知ることが容易となる。 【0052】 次に撮影者が図10(a)に示す状態にて、撮像装置1が通常姿勢から傾いておらず、補助線1と、補助線2が略一致状態で撮影する場合の、補助線の表示様態について説明する。第1の実施の形態にて説明したように、補助線1は、撮像装置1と一緒に傾いて画像表示手段31に表示される補助線であり、撮像装置1の傾きにより表示様態は変化せず、撮影の時には、次に説明する補助線2との対比により、撮像装置1の傾きを示す機能を果たす。補助線2は、撮像装置1の傾きが傾いても、ヨーイング電流値検出手段17x、ピッチング電流値検出手段17yの検出値から、マイクロコンピュータ2が撮像装置1の傾き、あるいは向きを検出し、画像表示制御手段30に指令することにより、常に、天地方向と略一致する方向、あるいは略直交する方向、あるいはその両方向に、画像表示手段31に表示される補助線であり、撮像装置1の傾きが傾いた時には、撮影姿勢によらず、撮像装置1の正確な水平状態を補助線1と対比することにより、撮像装置1の傾きを示す機能を果たす。図10(a)に示す状態にて、撮像装置1が通常姿勢から傾いていない状態では、図6に示す状態にて、補助線1と、補助線2の表示様態は、水平方向、あるいは鉛直方向、あるいはその両方向で略一致し、撮影者は撮像装置1が正常な水平状態にあることを、容易に知ることが可能となる。」 段落【0050】〜【0052】によると、甲3には、次の技術(以下「甲3技術」という。)が記載されている。 (甲3技術) 「撮像装置の傾きあるいは向きを、ヨーイング電流値検出手段、ピッチング電流値検出手段の検出値により判断し、撮像装置の傾きあるいは向きを、マイクロコンピュータが、画像表示制御手段に指令することにより、補助線1及び補助線2を画像表示手段に表示する技術であって、補助線1は、撮像装置と一緒に傾いて画像表示手段に表示される補助線であり、補助線2は、撮像装置の傾きが傾いても、常に、天地方向と略一致する方向、あるいは略直交する方向、あるいはその両方向に、表示される補助線であり、補助線1と補助線2が一致しない場合に、表示する色を変える技術。」 (4)甲第5号証 甲第5号証(特開2001−74450号公報。以下「甲5」という。)には、「デジタル水準器及び水準器付き三脚」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、水平度が要求される各種部材または各種機器の設置状態が三次元的にどのような傾斜状態にあるかを検知するデジタル水準器、並びにビデオカメラなどの撮影機器が取り付けられ、パン・チルド動作のために水平度を維持しなければならない水準器付き三脚に関する。」 「【0014】センサー部材41は、取付用基板9に固定されているが、その一例に係るセンサー部材41の具体的構成を図2に示してある。そのセンサー部材41は、センサー41Aと前置増幅器41Bとから構成されており、センサー41Aは、傾斜角センサを用いて傾斜角θを測定するものであって、X方向とこれに直交するY方向とに配設された2つの矩形状の電解槽51と電解槽52とからなっている。これらの電解槽には所要量の電解液が注入されて密閉されており、逆さになってもこれらの電解液は漏れないようになっている。」 「【0017】これら電解槽51、52における各電極A〜Hに発生した電圧は、それぞれ前置増幅器41Bに出力されるが、電解槽51における電極A、Bに発生した電圧は演算増幅器59を介して、電極C、Dに発生した電圧は演算増幅器60を介して、それぞれ差動増幅器61に出力され、該差動増幅器61で差動演算されて出力端T1にX軸方向の傾斜角信号VX として出力される。 【0018】また、他方の電解槽52における電極E、Fに発生した電圧は演算増幅器62を介して、電極G、Hに発生した電圧は演算増幅器63を介して、それぞれ差動増幅器64に出力され、該差動増幅器64で差動演算されて出力端T2にY軸方向の傾斜角信号VY として出力される。」 「【0024】次に、以上のようにしてセンサ41Aで得られた電圧は、前置増幅器41Bで演算処理されてセンサー部材41から傾斜角信号VX と傾斜角信号VY として信号処理部42に出力されるが、これらの傾斜角信号は、先ず内蔵されるアナログ/デジタル変換器によりデジタル信号に変換されてデジタルの傾斜角信号DX と傾斜角信号DYに変換される。」 「【0031】ステップST3では、格納された傾斜角信号DXと傾斜角信号DYがゼロ電圧か否かが判断されるが、このゼロ電圧の判断の誤差範囲は±0.4°と少し粗く設定されており、この誤差範囲内にあればゼロ電圧と判断し、ステップST4に移行して、表示面50における中央に配置された発光ダイオード50Bを「緑色」に点灯させ、この後、ステップST0に戻り、次の表示タイミングによる表示プログラムの実行を待つ。緑色の代わりに或いは緑色と共に音声で知らせるようにしても良い。 【0032】このようにすると、水平状態が維持されているときは、中央の発光ダイオード50Bが「緑色」に点灯されるので、一目して水平状態にあるか否かが離れていても明確に視認でき、又は音声により報知する場合は、目視の必要がない便利さが存在する。 【0033】ステップST3でゼロ電圧を越えていると判断されると、ステップST5に移行して中央に配置された発光ダイオード50Bは「赤色」に点灯し、水平状態にはないことを明示させる。」 段落【0001】、【0014】、【0017】、【0018】、【0024】、【0031】〜【0033】によると、甲5には、次の技術(以下「甲5技術」という。)が記載されている。 (甲5技術) 「ビデオカメラなどの撮影機器が取り付けられ、パン・チルド動作のために水平度を維持しなければならない水準器付き三脚に関して、傾斜角センサを用いて傾斜角θを測定するものであって、X軸方向の傾斜角信号VX、Y軸方向の傾斜角信号VYが出力され、デジタルの傾斜角信号DX と傾斜角信号DYに変換され、傾斜角信号DXと傾斜角信号DYがゼロ電圧か否かが判断され、ゼロ電圧と判断されると、水平状態が維持されて、中央の発光ダイオード50Bが「緑色」に点灯され、ゼロ電圧を越えていると判断されると、中央に配置された発光ダイオード50Bは「赤色」に点灯し、水平状態にはないことを明示させる技術。」 3 判断 (1)本件発明1 ア 本件発明1、甲1発明 本件発明1と甲1発明とを対比するにあたり、本件発明1と甲1発明とを再掲する。 (本件発明1) (A)撮像素子と、 (B)前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と、 (C)ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と、 (D−1)前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示し、 (D−2)撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える (D)表示制御手段と、 (E)を有する撮像装置において、 (F)前記表示制御手段は、前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、 (G)ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えないこと (E)を特徴とする撮像装置。 (甲1発明) (1a)撮像素子と、 (1b)撮像時に、撮像対象の画像が逐次表示される表示部と、 (1c)2方向の重力加速度を検出する互いに直交する2軸の重力加速度センサーにより、それぞれの軸方向にかかる重力加速度の大きさ(|V302|)を測定し、θ=sin−1(|V302|/g)より第1軸(方向D401)と水平面とが成す角度である第1傾斜度および第2軸(方向D402)と水平面とが成す角度である第2傾斜度を測定する傾斜測定部と、 (1d)第1軸と水平面とが成す第1傾斜度が所定の閾値以上であれば、第1軸の方向が天地方向と判断し、第2軸と水平面とが成す第2傾斜度が所定の閾値以上であれば、第2軸の方向が天地方向と判断することにより、前記画像撮像装置の天地方向の算出を行う天地方向算出手段として動作する制御部と、 (1e)第1傾斜度および第2傾斜度のデータである傾斜度データと、前記画像撮像装置の天地方向を示すデータである天地方向データとを記憶する傾斜情報記憶部と、 (1f)を有する前記画像撮像装置において、 (1g)前記制御部は、第1傾斜度および第2傾斜度のいずれかが、所定値以上であるか否かを判定し、前記判定においてYESならば、 (1g−1)第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて、前記画像撮像装置の天地方向の算出を行い、 (1g−2)前記天地方向の算出結果に基づく天地方向の情報を表示した報知画像を生成し、前記報知画像を表示部に表示させ、 (1g−3)前記報知画像は、一例として前記画像撮像装置が右に30度傾いた状態である場合の、天地方向の情報を示す矢印を表示した報知画像であり、 (1g−4)前記傾斜度データと前記天地方向データを、傾斜情報記憶部に記憶し、 (1h−1)前記判定においてNOならば、第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて、前記画像撮像装置の天地方向の算出を行い、 (1h−2)画像撮像装置が水平面に対し平行である場合、傾斜測定部が測定した第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて、画像撮像装置の天地方向の判定はできないので、前記傾斜情報記憶部に記憶されている傾斜度データおよび天地方向データの少なくとも一方に基づいて、前記画像撮像装置の天地方向の判定を行い、 (1h−3)前記天地方向の算出結果に基づく天地方向の情報を表示した報知画像を生成し、前記報知画像を表示部に表示させ、 (1i)天地方向に対応する画像撮像装置の正対方向を決定するために、ユーザがシャッターボタン押下操作を行うまで、当該動作を繰り返す (1f)画像撮像装置。 イ 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)構成要件Aと構成1aとを対比すると、「撮像素子」として一致する。 (イ)構成要件Bと構成1bとを対比する。 構成1bは、「撮像時に、撮像対象の画像が逐次表示される」ものであり、構成要件Bの「撮像素子により撮像された画像を表示する」ものに相当する。 また、構成1bの「表示部」は画像を表示するから、構成要件Bの「画像表示部」に相当する。 したがって、構成要件Bと構成1bとは、「前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部」として一致する。 (ウ)構成要件Cと構成1cとを対比する。 構成1cの「傾斜測定部」は、「第1軸(方向D401)と水平面とが成す角度である第1傾斜度および第2軸(方向D402)と水平面とが成す角度である第2傾斜度を測定する」ものであるから、第1傾斜度および第2傾斜度という水平面からの2つの傾きを検出しているものである。 そうすると、構成要件Cと構成1cとは、2つの傾きを検出する傾き検出部であるという点で共通する。 しかしながら、2つの傾きに関して、本件発明1は、「ロール方向の傾きとピッチ方向の傾き」であるのに対し、甲1発明は、「第1軸(方向D401)と水平面とが成す角度である第1傾斜度」と「第2軸(方向D402)と水平面とが成す角度である第2傾斜度」である点で相違する。 (エ)構成要件D、D−1と構成1g、1g−1〜1g−3とを対比する。 構成1g−1〜1g−3より、構成1gの「制御部」は、「第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて」「算出」される「天地方向の情報を」「表示部に表示」させる構成であり、「第1傾斜度および第2傾斜度」は、構成1cより、「傾斜測定部」により測定されるものである。 よって、甲1発明の「天地方向の情報」は、「傾斜測定部」により「測定」された「第1傾斜度および第2傾斜度」に基づく情報といえる。 ここで、構成1g−2の「表示部」は、構成D−1の「画像表示部」に相当する。 そして、構成1g−2の「天地方向の情報」は、「傾斜測定部」により「測定」された「第1傾斜度および第2傾斜度」に基づいて算出される情報であるから、構成要件D−1の「前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報」とは、前記傾き検出部により検出された傾きに基づく情報である点で共通する。 また、構成1gの「制御部」は、構成1g−2より、「報知画像を表示部に表示させ」るものであるから、構成要件Dの「表示制御手段」に相当する。 そうすると、構成要件D、D−1と構成1g、1g−1〜1g−3とは、前記画像表示部に前記傾き検出部により検出された傾きに基づく情報を表示する表示制御手段である点で共通する。 しかしながら、傾きに基づく情報に関して、本件発明1は、「ロール方向の傾き情報」であるのに対し、甲1発明は、「第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて算出される天地方向の情報」である点で相違する。 (オ)構成要件D−2と構成1g〜1h−3とを対比する。 構成1g〜1h−3の「制御部」の動作は、「撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える」ものではないから、構成要件D−2と相違する。 (カ)構成要件Eと構成1fとを対比すると、甲1発明の「画像撮像装置」は、本件発明1の「撮像素子」、「画像表示部」、「傾き検出部」及び「表示制御手段」に対応する構成を有している点で、本件発明1の「撮像装置」と一致する。 (キ)構成要件F及び構成要件Gと構成1g〜1h−3とを対比する。 上記(オ)のとおり、「表示制御手段」に相当する構成1g〜1h−3の「制御部」は、「撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える」ものではないから、甲1発明においては、「前記表示制御手段は、前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えない」ものでない点で本件発明1と相違する。 ウ 一致点、相違点 以上によると、一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) 撮像素子と、 前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と、 2つの傾きを検出する傾き検出部と、 前記画像表示部に前記傾き検出部により検出された傾きに基づく情報を表示する表示制御手段と、 を有する撮像装置。 (相違点1) 傾き検出部で検出される2つの傾きに関して、本件発明1は、「ロール方向の傾きとピッチ方向の傾き」であるのに対し、甲1発明は、「第1軸(方向D401)と水平面とが成す角度である第1傾斜度」と「第2軸(方向D402)と水平面とが成す角度である第2傾斜度」である点。 (相違点2) 表示制御手段で表示される傾きに基づく情報に関して、本件発明1は、「ロール方向の傾き情報」であるのに対し、甲1発明は、「第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて算出される天地方向の情報」である点。 (相違点3) 表示制御手段が、本件発明1においては、「撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える」ものであるのに対し、甲1発明においては、そのような構成ではない点。 (相違点4) 表示制御手段が、本件発明1においては、「前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えない」ものであるのに対し、甲1発明においては、そのような構成ではない点。 エ 相違点についての検討 (ア)相違点1及び相違点2についての検討 事案に鑑みて、上記相違点のうち、相違点1及び相違点2をまとめて検討する。 a 「ロール方向の傾き」および「ピッチ方向の傾き」と「天地方向の情報」について 本件発明1の「ロール方向の傾き」および「ピッチ方向の傾き」に関連する記載として、明細書には、以下の記載がある。 「【0038】 (前略)また、撮影光学系の光軸をZ軸とするとともに、このZ軸に直交する平面をX−Y平面とする。(後略)」 「【0042】 (前略) 傾き検出手段としての加速度センサ111は、前述した各部を構成したプリント回路基板(PCB)上に実装され、2軸X,Yのデータ(X,Y)と、温度Tのデータを検知してプロセッサ104のI2Cブロック10411に送出する。プロセッサ104は、I2Cブロック10411を介して加速度センサ111から与えられたデータを基に、表示すべきロール角等の傾き情報を、例えばCPUブロック1043により演算し(傾き算出手段)、(後略)」 「【0043】 X0およびY0を2軸X,Yのデータ(X,Y)の各々の重力ゼロ時の出力データとする時、加速度センサ111の水平に対するロール角θは、次の(1)式で示される。 θ[deg]=180/π*arctan{(Y−Y0)/(X−X0)} …(1) 同様に、撮像装置のピッチング方向の傾きを検出し得るように設置された、他の加速度センサ111は、表示すべきピッチ角を検出し、そのデータをプロセッサ104に送出する。プロセッサ104は、加速度センサ111から送出されたデータを基に、表示する撮像装置の傾き(ピッチ角)を、例えばCPUブロック1043により演算し(傾き角算出手段)、(後略)」 「【0058】 (前略)撮像装置を横位置に構えたときに、Z軸のまわりの回転がロール方向、X軸のまわりの回転がピッチ方向、Y軸のまわりの回転がヨー方向となる。(後略)」 「【0059】 このとき、図11に示すように、ロール方向およびピッチ方向の傾きであるロール角およびピッチ角を撮像装置のLCDモニタ5に表示する。」 「【0062】 (前略) 加速度センサ111の水平に対するロール角θは、先に述べた(1)式であらわされ、ピッチ角φは、次の(2)式であらわされる。 φ[deg]=180/π*arctan(Gz/Gxy) Gz=sqrt(Gxyz2−Gxy2) Gxy=sqrt{(X−X0)2+(Y−Y0)2} …(2) ここでGxyzは、1Gの時の出力値、X0およびY0は、各々重力ゼロ時の出力である。」 上記明細書の記載によれば、ロール方向およびピッチ方向の傾きであるロール角およびピッチ角は、光軸Z軸に直交する2軸X,Yのデータから(1)式および(2)式のようにあらわされるものであるから、それぞれ、撮像装置を光軸(Z軸)まわりに回転させるときの角度、および、撮像装置を横位置に構えたときの水平軸(X軸)まわりに回転させるときの角度を意味するものである。 そして、本件発明1の表示制御手段は、撮像装置を光軸(Z軸)まわりに回転させるときの角度((1)式)の情報である「ロール方向の傾き情報」を表示するものである。 それに対して、甲1発明の「第1軸(方向D401)と水平面とが成す角度である第1傾斜度」と「第2軸(方向D402)と水平面とが成す角度である第2傾斜度」は、それぞれの軸方向にかかる重力加速度の大きさ(|V302|)を測定し、θ=sin−1(|V302|/g)より求められる「水平面に対する第1軸の傾き」と「水平面に対する第2軸の傾き」である。 そうすると、甲1発明の「第1傾斜度」と「第2傾斜度」、すなわち水平面に対する第2軸の傾きとは、いずれも、撮像装置を光軸(Z軸)まわりに回転させる方向の傾き、すなわち、本件発明1の「ロール方向の傾き」とは明らかに異なるものであるし、撮像装置を横位置に構えたときの水平軸(X軸)まわりに回転させる方向の傾き、すなわち、本件発明1の「ピッチ方向の傾き」とも明らかに異なるものである。 また、甲1発明の「第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて算出される天地方向」は、それぞれの軸方向にかかる重力加速度の大きさ(|V302|)を測定し、θ=sin−1(|V302|/g)より求められた第1傾斜度および第2傾斜度に対して、第1軸と水平面とが成す第1傾斜度が所定の閾値以上であれば、第1軸の方向が天地方向と判断し、第2軸と水平面とが成す第2傾斜度が所定の閾値以上であれば、第2軸の方向が天地方向と判断しているものであり、撮像装置を光軸(Z軸)まわりに回転させる方向の傾きである本件発明1の「ロール方向の傾き」とは明らかに異なるものである。 b 甲2技術の適用可能性について 次に、甲1発明における「第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて算出される天地方向の情報」を、本件発明1のような「ロール方向の傾き情報」に置き換えることが容易に想到し得るものであるかについて検討する。 (a)甲2技術について 上記第4の2(2)イより、甲2発明は、電子スチルカメラにおいて、水平方向と垂直方向への加速度を検出する2軸の加速度センサの出力信号レベルの比により、光軸回りの傾きを検出できる構成(構成2d)を含むものであり、「ロール方向の傾き」を検出する構成については、公知技術であるといえる。 また、甲2発明には、「3軸の加速度センサにより傾きを検出するようにすれば、水平方向に対して光軸の傾きであるいわゆる仰角の変化による傾き検出精度の劣化を防止することができる」(構成2g)ものであり、「光軸の傾きであるいわゆる仰角」は、ピッチ方向の傾きであって、「ピッチ方向の傾き」を検出する構成についても、公知技術であるといえる。 (b)課題について 本件明細書には、課題に関する記載として、以下の記載がある。 「【0002】 (前略) いずれにしても、撮像装置には、撮影時に、装置本体の傾きを検出し、この傾きの角度をモニタ画面に表示するなどして、撮影者に画面の傾きを認知させるための機能を備えることが望ましい。 (後略)」 「【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、このような撮像装置においては、例えば特許文献1(特開2004−343476号)に開示された撮像装置の場合、表示画面では棒状の表示部を用いて傾きを表示しているが、傾き検出の精度が固定されており、傾き検出の精度を高くしても、それに応じた表示をすることができないという難点がある。 また、特許文献2(特開2007−174156号)および特許文献3(特許第3896505号)にそれぞれ開示された撮像装置の場合、撮影画像や合成画像の傾きを認知させることによって撮像装置の姿勢を認知させる構成になっており、直観的に把握するには便利であるが、撮像装置の傾きの大きさを高い精度で表示することができない、という難点がある。 本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、撮像装置のロール方向の傾きに応じて傾き情報の表示位置や表示形態を切り替えて、使い勝手を良くし、操作性を向上させるユーザインタフェースを実現し得る撮像装置を提供することにある。」 そうすると、本件発明1は、段落【0002】、【0004】より、「撮像装置には、撮影時に、装置本体の傾きを検出し、この傾きの角度をモニタ画面に表示するなどして、撮影者に画面の傾きを認知させるための機能を備えることが望ましい」が、「傾き検出の精度を高くしても、それに応じた表示をすることができないという難点」や、「撮像装置の傾きの大きさを高い精度で表示することができない」という難点があったことを課題とするものであり、「撮像装置のロール方向の傾きに応じて傾き情報の表示位置や表示形態を切り替えて、使い勝手を良くし、操作性を向上させるユーザインタフェースを実現し得る撮像装置を提供する」ものである。 一方、甲1発明は、段落【0008】、【0014】〜【0016】、【0021】、【0038】より、「画像撮像装置」は、従来技術として、「デジタルカメラ(画像撮像装置)の撮像時の傾きに応じて、内蔵された傾斜計により、記録する画像の天地方向を決定し、決定した天地方向に対応させた画像ファイル生成して記録する技術」があるが、「水平に設置されている撮像対象物」「を撮像する場合、」「内蔵された傾斜計では、撮像対象物」「の天地方向を判定することができ」ず、「画像撮像装置」「に内蔵されている傾斜計が、僅かな重力加速度(傾斜)を検出できる程、非常に高性能なものであった」としても、「手ぶれ」により、「傾斜計は、正確な天地判定ができないという問題が生じ」ることを課題とするものであり、「本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、水平に置かれた撮像対象の天地方向を正確に算出可能な画像撮像装置を提供することであ」り、「水平に置かれた撮像対象の天地方向を正確に算出することができるという効果を奏する」ものである。 したがって、甲1発明は、天地を判別することによって課題が解決されるものであるから、甲2発明のように、「ロール方向の傾き」を検出する構成が公知技術であるとしても、甲1発明における「第1傾斜度」と「第2傾斜度」を検出し、「第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて算出される天地方向の情報」を表示する構成を、本件発明1のような「ロール方向の傾き」と「ピッチ方向の傾き」を検出し、「ロール方向の傾き情報」を表示する構成に置き換える動機付けがないものである。 (イ)相違点についてのまとめ 以上のように、相違点1及び相違点2は、当業者が容易に発明できたものではない。 したがって、相違点3及び相違点4について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者であっても、甲1発明及び甲2発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 オ 本件発明1についてのまとめ 本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 (2)本件発明3、4、6、7 本件発明3、4、6、7は、本件発明1を直接若しくは間接に引用する発明であり、上記アのように、本件発明1が当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない以上、本件発明3、4、6、7についても同様に当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 第5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許異議申立書における特許異議申立理由の要旨 特許異議申立書における、請求項1〜7に係る特許(以下、訂正前の請求項1〜7に係る発明については、項番にしたがい「本件特許発明1」〜「本件特許発明7」という。)に対しての特許異議申立理由の要旨は、以下のとおりである。(特許異議申立書の4.の4.1(4)ウ、(5)ア、イ) (1)特許法第29条第1項第3号について(同法第113条第2号) 本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明である。(特許異議申立書の4.の4.1(4)ウ(ア)、(5)ア) (2)特許法第29条第2項について(同法第113条第2号) ア 本件特許発明1、2、3は、甲1発明及び甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 具体的には、本件特許発明1〜3と甲1発明を対比し、相違点について、甲2発明に基づいて当業者が容易に想到できることを主張している。(特許異議申立書の4.の4.1(4)ウ(ア)〜(ウ)、(5)イ) イ 本件特許発明4、6、7は、甲1発明、甲2発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 具体的には、本件特許発明4と甲1発明を対比し、相違点について、甲2発明、周知技術(甲3技術)に基づいて当業者が容易に想到できることを主張し、 本件特許発明6と甲1発明を対比し、相違点について、甲2発明、周知技術(甲5技術)に基づいて当業者が容易に想到できることを主張し、 本件特許発明7と甲1発明を対比し、相違点について、甲2発明、周知技術(甲6技術)に基づいて当業者が容易に想到できることを主張している。(特許異議申立書の4.の4.1(4)ウ(エ)、(カ)、(キ)、(5)イ) ウ 本件特許発明5は、甲2発明、甲第4技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 具体的には、本件特許発明5と甲2発明を対比し、相違点について、甲4技術に基づいて当業者が容易に想到できることを主張している。(特許異議申立書の4.の4.1(4)ウ(オ)、(5)イ) エ 本件特許発明6は、甲2発明、甲4技術、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 具体的には、本件特許発明6と甲2発明を対比し、相違点について、甲4技術、周知技術(甲5技術)に基づいて当業者が容易に想到できることを主張している。(特許異議申立書の4.の4.1(4)ウ(カ)、(5)イ) 甲第1号証:特開2007−74077号公報 甲第2号証:特開2004−343476号公報 甲第3号証:特開2006−324948号公報 甲第4号証:特開2003−66520号公報 甲第5号証:特開2001−74450号公報 甲第6号証:特開昭59−17543号公報 2 平成30年9月14日付け意見書による主張 特許異議申立人は、本件発明1の訂正により追加された発明特定事項は、甲第2号証、及び以下の参考資料1,2に記載されているとおり、周知技術であると主張している。 参考資料1:特開2001−318417号公報 参考資料2:特開2003−60940号公報 3 各甲号証及び各参考資料の記載事項、及び各甲号証及び各参考資料に記載された発明もしくは技術 (1)甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証 甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証の記載事項及び甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証に記載された発明もしくは技術については、上記第4の2に記載したとおりである。 (2)甲第4号証 甲第4号証(特開2003−66520号公報。以下「甲4」という。)には、「カメラ」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、カメラの縦位置、横位置を検知する縦横位置検知センサを有するカメラの改良に関するものである。」 「【0003】また、特開平11−024150号公報において、各々分離された4つの検出片によって転動体を包囲し、カメラの姿勢に応じて前記転動体を、前記4つの検出片で囲まれた転動領域内で転動させ、前記4つの検出片のうち2つの検出片が前記転動体を介して導通されることにより、カメラの縦位置、横位置を検知する縦横位置検知センサを内蔵したカメラが提案されている。そして、例えばデジタルカメラにおいて、撮影後の画像をファイルする際に、縦横位置検知センサで検知された撮影時のカメラの縦位置、横位置情報を記憶させておくことにより、LCD(液晶表示装置)に再生表示させる際に縦位置で撮影したものは縦向きに、横位置で撮影したものは横向きに表示していた。」 「【0005】また、特開平11−024150号公報にあるように、縦横位置検知センサは撮影レンズを上に向けて撮影するような仰角が70度以上になる場合には、カメラを縦に構えても、横に構えても、転動体が正規の位置に位置しない検知不能状態となる場合があるため、仰角センサを設け、仰角が70度以上になると縦横位置検知センサをオフさせていた。このように転動体が正規の位置に位置しない検知不能状態での撮影では、縦横位置検知センサをオフさせていたため、撮影時のカメラの位置情報を撮影後の画像に記録することができず、また、撮影時に検知不能状態であることを撮影者が知り得ないものであった。」 段落【0001】、【0003】、【0005】によると、甲4には、次の技術(以下「甲4技術」という。)が記載されている。 (甲4技術) 「カメラの縦位置、横位置を検知する縦横位置検知センサを有するカメラに関して、各々分離された4つの検出片によって転動体を包囲し、カメラの姿勢に応じて前記転動体を、前記4つの検出片で囲まれた転動領域内で転動させ、前記4つの検出片のうち2つの検出片が前記転動体を介して導通されることにより、カメラの縦位置、横位置を検知する縦横位置検知センサを内蔵し、縦横位置検知センサは撮影レンズを上に向けて撮影するような仰角が70度以上になる場合には、カメラを縦に構えても、横に構えても、転動体が正規の位置に位置しない検知不能状態となる場合があるため、仰角センサを設け、仰角が70度以上になると縦横位置検知センサをオフさせる技術。」 (3)甲第6号証 甲第6号証(特開昭59−17543号公報。以下「甲6」という。)には、「カメラの測光分布制御方式」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「本発明はカメラの撮影姿勢に応じて測光範囲を調整できるようにしたカメラの測光分布制御方式に関する。」(1頁左欄17〜19行) 「本発明は上記実情に鑑みなされたもので画面の異なった部分の輝度を測光する複数の測光回路を設けるとともに、カメラの撮影姿勢に応じて開閉される複数のスイッチ回路を設け、該複数のスイッチ回路から出力される信号に応じて上記複数の測光回路のうち成る部分を測光する測光回路の露出演算への影響を減少或いはなくすような処理回路を備えたことにより、カメラの撮影姿勢に応じた画面のある部分の測光への影響を除くようにして良好な写真を得ることができるようにしたカメラの測光分布制御方式を提供しようとするものである。」(2頁左上欄5〜16行) 「第3図は第1図に示す姿勢差検出装置DEの一例を示すもので、この装置DE内には四角形の空隙があり、この空隙の4隅には姿勢差検出用のスイッチPW1〜PW4が配置され、各スイッチPW1〜PW4の接点間は空隙内のボールBLにより導通されるようになっている。この空隙の4隅のいずれか1つが横位置或いは縦位置撮影の時に下方に位置し、その下方に位置した4隅のいずれか1つにあるスイッチがボールBLによりオンされることになる。第3図ではカメラが水平より45°以上傾くと横位置から縦位置に切換わるようになっている。」(2頁右上欄14〜左下欄5行) 「また、姿勢差検出装置DEはカメラが水平より45°以上傾くと横位置から縦位置の測光分布に切換わるようにしたが第5図の如く姿勢差検出装置DEを縦長にすると、カメラが水平より60°以上傾くと横位置から縦位置に切換わり、横位置の撮影姿勢を優先とした測光分布とすることができる。」(3頁左下欄10〜18行) 「以上の如く、本発明を使用すると姿勢差検出手段の出力により画面内の空の方向の検出が出来るので、空の方向からの光束の測光への寄与をなくし或いは減少し、適切なる測光分布の制御を行ない、適正なる露光の写真を得る確率を著しく増大させることが出来る。」(3頁右下欄19行〜4頁左上欄4行) 以上の記載から、甲6には、次の技術(以下「甲6技術」という。)が記載されている。 (甲6技術) 「カメラの撮影姿勢に応じて測光範囲を調整できるようにしたカメラの測光分布制御方式に関して、画面の異なった部分の輝度を測光する複数の測光回路を設けるとともに、カメラの撮影姿勢に応じた画面のある部分の測光への影響を除くようにして良好な写真を得ることができるようにしたカメラの測光分布制御方式を提供する技術であって、装置DE内には四角形の空隙があり、この空隙の4隅には姿勢差検出用のスイッチPW1〜PW4が配置され、各スイッチPW1〜PW4の接点間は空隙内のボールBLにより導通されるようになっており、この空隙の4隅のいずれか1つが横位置或いは縦位置撮影の時に下方に位置し、その下方に位置した4隅のいずれか1つにあるスイッチがボールBLによりオンされることになり、カメラが水平より45°以上傾くと横位置から縦位置に切換わるようになっており、姿勢差検出装置DEを縦長にすると、カメラが水平より60°以上傾くと横位置から縦位置に切換わり、横位置の撮影姿勢を優先とした測光分布とすることができ、姿勢差検出手段の出力により画面内の空の方向の検出が出来るので、空の方向からの光束の測光への寄与をなくし或いは減少し、適切なる測光分布の制御を行ない、適正なる露光の写真を得る確率を著しく増大させることが出来る技術。」 (4)参考資料1 参考資料1(特開2001−318417公報。以下「参考1」という。)には、「カメラ」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【0019】カメラ傾き検出手段10がカメラを横にした状態と、縦にした状態とを検出すると、これによりカメラ傾き表示手段11が駆動し、図3と図4とのファインダ内に表示するカメラ傾き表示12の表示位置を切り替えるようになっている。 【0020】このように、カメラ傾き検出手段10で検出したカメラの鉛直方向に対する傾きを、カメラ傾き表示手段11によりファインダ内に表示することで、撮影者はカメラの鉛直方向に対する傾きを簡単な構造で知ることができ、容易にカメラを水平状態にして撮影することが可能である。」 段落【0019】、【0020】によると、参考1には、次の技術(以下「参考1技術」という。)が記載されている。 (参考1技術) 「カメラ傾き検出手段がカメラを横にした状態と、縦にした状態とを検出すると、ファインダ内に表示するカメラ傾き表示の表示位置を切り替えるようになっており、カメラ傾き検出手段で検出したカメラの鉛直方向に対する傾きを、カメラ傾き表示手段によりファインダ内に表示することで、撮影者はカメラの鉛直方向に対する傾きを簡単な構造で知ることができ、容易にカメラを水平状態にして撮影することを可能とする技術。」 (5)参考資料2 参考資料2(特開2003−60940公報。以下「参考2」という。)には、「デジタルカメラの姿勢表示装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【0004】したがって本発明の目的は、撮影時におけるカメラ本体の縦横状態が傾斜センサによって正しく認識されているか否かが撮影者によって確認できるデジタルカメラを提供することにある。」 「【0005】 【課題を解決するための手段】本発明に係るデジタルカメラの姿勢表示装置は、カメラ本体の姿勢が横位置および縦位置のいずれであるかを検出する傾斜センサと、画像を表示する画像表示部と、画像表示部の近傍に設けられ、傾斜センサによる検出結果に応じてカメラ本体の姿勢を表示するカメラ姿勢表示部とを備えることを特徴としている。 「【0019】制御回路31には傾斜センサ53が接続されている。傾斜センサ53は従来公知の構成を有し、カメラ本体10(図1)の姿勢が横位置および縦位置のいずれであるかを検出する。すなわち傾斜センサ53は、カメラ本体10の姿勢が、底面が下に位置する正位置、底面が上に位置する上下反転位置、背面から見て右側が下に位置する右下位置、背面から見て左側が下に位置する左下位置のいずれであるかを示す姿勢信号を出力する。姿勢信号に応じて、カメラ姿勢表示部15a、15b、15c、15dのひとつが点灯する。なおファインダ13(図1)内にも、これらのカメラ姿勢表示部と同様な第2のカメラ姿勢表示部54が設けられており、撮影者はファインダ13を除いているときであってもカメラ本体10の姿勢を確認することができる。」 「【0044】図12はカメラ姿勢表示部のさらに他の例を示し、符号(a)はカメラ本体10が正位置にあるときを、また符号(b)はカメラ本体10が右下位置にある状態を示している。この例では、カメラ姿勢表示部は画像表示液晶パネル14の周辺ではなく、画像表示液晶パネル14の中に設けられている。すなわち傾斜センサの検出結果に基づいて、画像表示液晶パネル14のおいて、画像の所定の部位に、鉛直上方を示す矢印62a、62bが表示される。したがって、図12の例によっても、図3の例の場合と同様な効果が得られる。」 段落【0004】、【0005】、【0019】、【0044】によると、参考2には、次の技術(以下「参考2技術」という。)が記載されている。 (参考2技術) 「撮影時におけるカメラ本体の縦横状態が傾斜センサによって正しく認識されているか否かが撮影者によって確認できるデジタルカメラを提供する技術であって、カメラ本体の姿勢が横位置および縦位置のいずれであるかを検出する傾斜センサと、画像を表示する画像表示部と、画像表示部の近傍に設けられ、傾斜センサによる検出結果に応じてカメラ本体の姿勢を表示するカメラ姿勢表示部とを備え、傾斜センサは、カメラ本体の姿勢が、底面が下に位置する正位置、底面が上に位置する上下反転位置、背面から見て右側が下に位置する右下位置、背面から見て左側が下に位置する左下位置のいずれであるかを示す姿勢信号を出力し、傾斜センサの検出結果に基づいて、画像表示液晶パネルの画像の所定の部位に、鉛直上方を示す矢印が表示される技術。」 4 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由についての検討 上記1より特許異議申立理由は、上記1(1)、(2)ア〜エであり、以下に、取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について検討する。 (1)特許法第29条第1項第3号について 上記第4の3(1)ウのように、本件発明1と甲1発明とは、相違点を有するものであるから、本件発明1と甲1発明とは同一でない。 (2)特許法第29条第2項について ア 甲第1号証を主引用例とする理由について (ア)本件発明1、2、3について 特許異議申立人は、本件発明1に対して、甲第2号証に加えて参考資料1、2を提示しているので、参考資料1、2について以下で検討する。 上記第4の3(1)ウで検討したように、本件発明1と甲1発明とを対比すると、少なくとも、相違点1及び相違点2が存在する。 ここで、参考1技術は、カメラ傾き検出手段でカメラの鉛直方向に対する傾きを検出する構成を有するものであるが、具体的な検出方法についての記載はなく、「ロール方向の傾き(カメラの光軸まわりの回転角度)」を検出する技術は認定できない。 また、参考2技術は、カメラ本体の姿勢が、底面が下に位置する正位置、底面が上に位置する上下反転位置、背面から見て右側が下に位置する右下位置、背面から見て左側が下に位置する左下位置のいずれであるかを示す姿勢信号を出力する傾斜センサを有するものであるが、姿勢の検出に関して具体的な記載はなく、「ロール方向の傾き(カメラの光軸まわりの回転角度)」を検出する技術は認定できない。 よって、参考1技術及び参考2技術について検討しても、甲1発明における「第1傾斜度」と「第2傾斜度」を検出し、「第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて算出される天地方向の情報」を表示する構成を、本件発明1のような「ロール方向の傾き」と「ピッチ方向の傾き」を検出し、「ロール方向の傾き情報」を表示する構成に置き換える動機付けがないものである。 したがって、参考1技術及び参考2技術について検討しても、本件発明1は、当業者が容易に発明できたものではない。 本件発明2は、削除された。 本件発明3は、本件発明1を引用する発明であるから、同様に、当業者が容易に発明できたものではない。 (イ)本件発明4、6、7について 特許異議申立人は、本件特許発明4、6、7に対して、甲第2号証に加えて甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証を提示しているので、甲第3号証、甲第5号証、甲第6号証について以下で検討する。 本件発明4、6、7は、本件発明1を直接若しくは間接に引用する発明であるから、甲1発明と対比すると、少なくとも、相違点1及び相違点2が存在する。 ここで、甲3技術は、ヨーイング電流値検出手段、ピッチング電流値検出手段の検出値により、撮像装置の傾きあるいは向きを判断し、天地方向を表示する技術であるから、ヨー方向、ピッチ方向の傾きを検出する構成を含むものである。甲3技術によれば、当業者が、ヨー方向、ピッチ方向の傾きから三角関数等の知識を利用し、ロール方向の傾きを検出する構成を導出することは可能であるといえる。 また、甲5技術は、パン・チルド動作のために水平度を維持しなければならない水準器付き三脚に関して、X軸方向の傾斜角とY軸方向の傾斜角を測定し、水平状態であるか否かを明示する技術であって、水平面に対するX軸方向、Y軸方向の傾きを測定する技術である。 さらに、甲6技術は、カメラの姿勢差検出装置DE内には四角形の空隙があり、この空隙の4隅には姿勢差検出用のスイッチPW1〜PW4が配置され、各スイッチPW1〜PW4の接点間は空隙内のボールBLにより導通されるようになっており、この空隙の4隅のいずれか1つが横位置或いは縦位置撮影の時に下方に位置し、その下方に位置した4隅のいずれか1つにあるスイッチがボールBLによりオンされることになり、カメラが水平より45°もしくは60°以上傾くと横位置から縦位置に切換わる技術である。 しかしながら、甲3技術からピッチ方向の傾きとロール方向の傾きを検出する構成を導出することが可能であるとしても、天地を判別することによって課題が解決される甲1発明における「第1傾斜度」と「第2傾斜度」を検出し、「第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて算出される天地方向の情報」を表示する構成を、本件発明1のような「ロール方向の傾き」と「ピッチ方向の傾き」を検出し、「ロール方向の傾き情報」を表示する構成に置き換える動機付けがないものである。 また、甲5技術は、三脚において、水平面に対するX軸方向、Y軸方向の傾きを測定する技術であり、甲6技術はカメラが水平より一定以上傾くと横位置から縦位置に切換わる技術であるが、「ロール方向の傾き(カメラの光軸まわりの回転角度)」を検出する技術は認定できない。 よって、甲5技術及び甲6技術について検討しても、甲1発明における「第1傾斜度」と「第2傾斜度」を検出し、「第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて算出される天地方向の情報」を表示する構成を、本件発明1のような「ロール方向の傾き」と「ピッチ方向の傾き」を検出し、「ロール方向の傾き情報」を表示する構成に置き換える動機付けがないものである。 したがって、甲3技術、甲5技術、甲6技術について検討しても、本件発明1は、当業者が容易に発明できたものでない以上、本件発明1を直接若しくは間接に引用する発明である本件発明4、6、7は、当業者が容易に発明できたものでない。 イ 甲第2号証を主引用例とする理由について (ア)本件発明5について 本件発明5は削除された。 (イ)本件発明6について 本件発明6と甲2発明とを対比するに当たり、本件発明6は、本件発明1を間接に引用する発明であるから、まずは本件発明1と甲2発明とを対比する。 a 本件発明1、甲2発明 本件発明1と甲2発明とを再掲する。 (本件発明1) (A)撮像素子と、 (B)前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と、 (C)ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と、 (D−1)前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示し、 (D−2)撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える (D)表示制御手段と、 (E)を有する撮像装置において、 (F)前記表示制御手段は、前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、 (G)ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えないこと (E)を特徴とする撮像装置。 (甲2発明) (2a)撮像面に形成された画像による撮像結果を光電変換して出力する撮像素子と、 (2b)前記撮像素子で取得された撮像結果を表示する表示部と、 (2c)それぞれ水平方向及び垂直方向への加速度を検出する1対の加速度センサの組み合わせによる2軸の加速度センサにより構成される傾き検出センサとを有し、 (2d)2種類のセンサの出力信号レベルの比により、電子スチルカメラ1が種々の向きに傾けられた場合でも、光軸回りの傾きを検出できる (2e)電子スチルカメラであって、 (2f)全体の動作を制御するシステム制御回路を有し、システム制御回路は、 (2f−1)傾き検出センサによる傾き検出結果に基づいて、撮像結果の傾きを表示部で表示し、 (2f−2)傾き検出センサの出力信号により、縦長の構図による撮像結果か、横長の構図による撮像結果かを判定し、これら縦長及び横長の構図に対応するように表示を切り換えて、傾きを表示し、 (2f−3)X軸方向及びY軸方向に基準軸を設定してなるセンサ出力を絶対値化して比較することにより、これら2つのセンサ出力の振幅を比較し、 (2f−4)X軸方向に基準軸を設定してなるセンサ出力の振幅の方が大きいとの判定結果が得られた場合、横長の構図による撮像結果と判定し、この状態における表示部による表示画面の下側に、棒状の表示を形成し、 (2f−5)Y軸方向の基準軸を設定してなるセンサ出力の振幅の方が大きいとの判定結果が得られた場合、縦長の構図による撮像結果と判定し、この状態における表示部による表示画面の下側に、棒状の表示を形成し、 (2f−6)この棒状の表示においては、水準器のように電子スチルカメラの傾きに応じてマーカーが左右に移動するものであり、 (2g)X方向及びY方向に基準軸を有する2軸の加速度センサにより傾きを検出する場合に限らず、光軸方向であるZ軸方向に基準軸を有する3軸の加速度センサにより傾きを検出するようにすれば、水平方向に対して光軸の傾きであるいわゆる仰角の変化による傾き検出精度の劣化を防止することができる (2e)電子スチルカメラ。 b 対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 (a)構成要件Aと構成2aとを対比すると、「撮像素子」として一致する。 (b)構成要件Bと構成2bとを対比する。 構成2bの「撮像結果」は、構成2aにより「撮像面に形成された画像」であるから、構成2bの「表示部」は、前記撮像素子で取得された画像を表示するものといえ、構成要件Bの「前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部」に相当する。 したがって、構成要件Bと構成2bとは、「前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部」として一致する。 (c)構成要件Cと構成2c、2dを対比する。 甲2発明は、2種類のセンサ(構成2cの、水平方向と垂直方向への加速度を検出する2軸の加速度センサ)の出力信号レベルの比により、光軸回りの傾きを検出できる構成(構成2d)を含むものであり、光軸周りの傾きはロール方向の傾きであるから、構成要件Cの「ロール方向の傾き」「を検出する傾き検出部」に相当する。 そうすると、構成要件Cと構成2c、2dとは、ロール方向の傾きを検出する傾き検出部であるという点で共通する。 しかしながら、甲2発明は、「ピッチ方向の傾き」を検出する構成を含むものでない点で本件発明1と相違する。 (d)構成要件D、D1、D2と構成2f〜2f−6とを対比する。 構成2f−1の「撮像結果の傾き」は、「傾き検出センサによる傾き検出結果に」基づくものであり、構成2c、2dより、「光軸回りの傾き」である。 そうすると、構成2f−1は、表示部に傾き検出センサによる光軸回りの傾きを表示するものといえ、構成D−1の「前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示」することに相当する。 構成2f−2〜2f−5より、甲2発明は、X軸方向及びY軸方向に基準軸を設定してなるセンサ出力の振幅を比較し、いずれの振幅が大きいかに応じて、縦長の構図による撮像結果か、横長の構図による撮像結果かを判定し、これら縦長及び横長の構図に対応するように表示を切り換えて、傾きを表示するものである。 ここで、X軸方向及びY軸方向に基準軸を設定してなるセンサ出力の振幅について考えると、振幅が等しい場合とは、光軸回りの傾きが45°である場合に相当するので、「いずれの振幅が大きい」場合とは、光軸回りの傾きが45°よりも大きいか小さいかということを意味する。そうすると、縦長の構図による撮像結果か、横長の構図による撮像結果かを判定することは、光軸回りの傾きに応じて判定することといえる。 したがって、甲2発明は、光軸回りの傾きに応じて縦長の構図による撮像結果か、横長の構図による撮像結果かを判定し、それぞれの状態における表示部による表示画面の下側に傾きを表示するものであるといえ、縦長の構図における表示画面の下側とは、表示画面の短辺部に沿った位置であり、横長の構図における表示画面の下側とは、表示画面の長辺部に沿った位置であるから、構成要件D−2の「撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える」ことに相当する。 また、構成2f−1〜2f−6は、システム制御回路にて行われるものであり(構成f)、システム制御回路は、表示を制御するものであるから、構成Dの「表示制御手段」と一致する。 したがって、構成要件D、D1、D2と構成2f〜2f−6とは、前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示し、撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える表示制御手段である点で一致する。 (e)構成要件Eと構成2eとを対比すると、甲2発明の「電子スチルカメラ」は、本件発明1の「撮像素子」、「画像表示部」、「傾き検出部」及び「表示制御手段」に対応する構成を有している点で、本件発明1の「撮像装置」と一致する。 (f)構成要件F及び構成要件Gについて検討する。 上記(c)のとおり、甲2発明は、「ピッチ方向の傾き」を検出する構成を含むものでないため、甲2発明においては、「前記表示制御手段は、前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えない」ものでない点で本件発明1と相違する。 c 一致点、相違点 以上によると、一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) 撮像素子と、 前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と、 ロール方向の傾きを検出する傾き検出部と、 前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示し、 撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える 表示制御手段と、 を有する撮像装置。 (相違点5) 傾き検出部で検出される傾きに関して、本件発明1は、「ピッチ方向の傾き」を検出するのに対し、甲2発明は、そのような傾きを検出しない点。 (相違点6) 表示制御手段が、本件発明1においては、「前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えない」ものであるのに対し、甲2発明においては、そのような構成ではない点。 d 相違点についての検討 相違点5及び6をまとめて検討する。 甲4技術は、各々分離された4つの検出片によって転動体を包囲し、カメラの姿勢に応じて前記転動体を、前記4つの検出片で囲まれた転動領域内で転動させ、前記4つの検出片のうち2つの検出片が前記転動体を介して導通されることにより、カメラの縦位置、横位置を検知する縦横位置検知センサを有するカメラについての技術である。 甲6技術は、カメラの姿勢差検出装置DE内には四角形の空隙があり、この空隙の4隅には姿勢差検出用のスイッチPW1〜PW4が配置され、各スイッチPW1〜PW4の接点間は空隙内のボールBLにより導通されるようになっており、この空隙の4隅のいずれか1つが横位置或いは縦位置撮影の時に下方に位置し、その下方に位置した4隅のいずれか1つにあるスイッチがボールBLによりオンされることになり、カメラが水平より45°もしくは60°以上傾くと横位置から縦位置に切換わる技術である。 しかしながら、甲4技術のようなカメラの縦位置、横位置を検知する技術、甲6技術のようなカメラが水平より一定以上傾くと横位置から縦位置に切換わる技術が公知技術であるとしても、そもそも、甲2発明は、ピッチについて何ら考慮されておらず、ピッチに応じて、ロールの表示を変えることも記載が無く示唆もされていないものであるから、甲4技術、甲6技術を踏まえても、「ピッチ方向の傾き」を検出し、「前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えない」という構成とすることは、容易になし得ることとはいえない。 e 本件発明1と甲2発明との対比検討のまとめ 以上より、相違点5及び6に係る構成を含む本件発明1は、甲2発明及び周知技術(甲4技術、甲6技術)から当業者が容易に発明できたものとはいえない。 f 本件発明6についてのまとめ 本件発明6は、本件発明1を間接に引用する発明であり、上記eのように、本件発明1が当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない以上、本件発明6についても同様に、当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 (3)まとめ 上記(1)、(2)より、特許異議申立理由を採用することはできない。 第6 むすび 以上の通りであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項[1、3、4、6、7]に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項[1、3、4、6、7]に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件請求項2、5に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項2、5に対して、特許異議申立人キヤノン株式会社がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 撮像装置 【技術分野】 【0001】 本発明は、撮像装置に関し、特に、撮像装置の傾きを検出し、この傾き情報に相応する傾きガイド表示を画像表示装置の画面に的確に表示し得る撮像装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 近年、ディジタルカメラ等の撮像装置においては、小型化および軽量化が進み、種々の場所に一層容易に携帯して使用できるようになり、さらには、携帯電話等にもディジタルカメラの機能が組み込まれるようになった。 このようなディジタルカメラを含む撮像装置は、小型化および軽量化が図られ、しかも人が保持するものであるために、必ずしも安定した姿勢において撮影されるものとは限らず、そのため撮影時には、従来にも増して気付きにくい傾きが画像に生じがちである。 一方、撮像装置の撮影手法として、意図的に傾けた構図により撮影するような場合もある。また、撮像姿勢についても、横長の、いわゆる横位置ばかりとは限らず、縦長に構えた、いわゆる縦位置の構図が用いられる場合もある。 いずれにしても、撮像装置には、撮影時に、装置本体の傾きを検出し、この傾きの角度をモニタ画面に表示するなどして、撮影者に画面の傾きを認知させるための機能を備えることが望ましい。 特許文献1(特開2004−343476号)には、静止画像の取得時に、この静止画像の傾きを検出し、この検出した傾きを示す情報を静止画像と共に記録媒体に記録することによって、必要に応じて、後処理により静止画像の傾きを補正し、これによって、ユーザの意図を正しく反映して、撮像結果の傾きを適正に補正することを可能とする撮像装置が開示されている。 【0003】 また、特許文献2(特開2007−174156号)には、動画または静止画に対応した撮影モードを設け、静止画撮影モードで、且つ傾きの表示が要求されている場合にのみ、検出された傾き情報から傾きガイド表示信号を生成して表示処理回路に送出し、撮像画像を表示する画面上に傾きガイド表示を表示する撮像装置が開示されている。 さらに、特許文献3(特許第3896505号)には、カメラに設けた姿勢検出手段によってカメラの姿勢を検出し、画像表示手段の画面上にカメラ自体の水平基準線と、カメラの姿勢に依存して変化する傾き情報と、を撮像画像と同時に表示するようにし、撮影者がこれら表示を参照することによってカメラの傾きを修正するこができるようにした撮像装置が開示されている。 なお、姿勢の確認のために、液体中の気泡を利用した水準器、いわゆるレベル、を、ディジタルカメラを含む撮像装置のホットシューを利用して設置可能としたものも市販されている。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、このような撮像装置においては、例えば特許文献1(特開2004−343476号)に開示された撮像装置の場合、表示画面では棒状の表示部を用いて傾きを表示しているが、傾き検出の精度が固定されており、傾き検出の精度を高くしても、それに応じた表示をすることができないという難点がある。 また、特許文献2(特開2007−174156号)および特許文献3(特許第3896505号)にそれぞれ開示された撮像装置の場合、撮影画像や合成画像の傾きを認知させることによって撮像装置の姿勢を認知させる構成になっており、直観的に把握するには便利であるが、撮像装置の傾きの大きさを高い精度で表示することができない、という難点がある。 本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、撮像装置のロール方向の傾きに応じて傾き情報の表示位置や表示形態を切り替えて、使い勝手を良くし、操作性を向上させるユーザインタフェースを実現し得る撮像装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0005】 請求項1に記載した本発明に係る撮像装置は、上述した目的を達成するために、撮像素子と、前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と、ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と、前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示し、 撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える表示制御手段と、を有する撮像装置において、 前記表示制御手段は、前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、 ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えないことを特徴としている。 【0006】 請求項3に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項1の撮像装置であって、 前記傾き情報は、ロール方向の傾き量に応じた傾きを示すロール角傾き情報であり、 前記表示制御手段は、前記ロール角傾き情報に対応する表示である傾きガイドを表示することを特徴としている。 請求項4に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項3に記載の撮像装置であって、 前記傾きガイドは、前記撮像装置のロール方向の傾き量が小さい状態から大きくなった際には、表示スケールの色を変える構成としたことを特徴としている。 【0007】 請求項6に記載した本発明に係る撮像装置は、請求項3または請求項4の撮像装置であって、 前記表示制御手段は、ピッチ方向の傾き量が所定の範囲を超えたとき前記傾きガイドの表示形態を変更することを特徴としている。 請求項7に記載した本発明に係る撮像装置は、前記ロール方向の傾きが60度であることを特徴としている。 【発明の効果】 【0016】 本発明によれば、撮像装置のロール方向の傾きに応じて傾き情報の表示位置を見易い位置に変化させ、操作性を向上させ得る撮像装置を提供することができる。 即ち、本発明の請求項1の撮像装置によれば、撮像素子と、前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と、ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と、前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示し、 撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える表示制御手段と、を有する撮像装置において、 前記表示制御手段は、前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、 ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えないことにより、 撮像装置を構えたときのロール方向の傾きに応じて画像表示部における傾き情報が見易 くなって、正確に把握することができ、延いては操作性を向上させることができる。 【0017】 本発明の請求項3の撮像装置によれば、前記傾き情報は、ロール方向の傾き量に応じた傾きを示すロール角傾き情報であり、 前記表示制御手段は、前記ロール角傾き情報に対応する表示である傾きガイドを表示することにより、ロール方向の傾きを直感的に容易に把握することができる。 【0018】 本発明の請求項4の撮像装置によれば、前記傾きガイドは、前記撮像装置のロール方向の傾き量が小さい状態から大きくなった際には、表示スケールの色を変える構成としたことにより、表示スケールの色の変化をもってロール方向の傾き量を直感的に把握することができる。 【0019】 本発明の請求項6の撮像装置によれば、前記表示制御手段は、ピッチ方向の傾き量が所定の範囲を超えたとき前記傾きガイドの表示形態を変更することにより、傾き検出の精度を維持できるピッチ角の範囲を外れた場合に、それを傾きガイド表示によって、確実に把握することができ、容易に傾き検出の精度を維持できるピッチ角の範囲内で使用することが可能となる。 【0020】 本発明の請求項7の撮像装置によれば、前記ロール方向の傾きが60であることにより、 撮像装置を横位置または縦位置に備えた状態からロール方向に60度を越えるまで傾けた場合に、傾き情報の表示位置が切り替わるため、ロール方向の傾きを的確に把握することが可能となる。 【図面の簡単な説明】 【0033】 【図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置としてのディジタルカメラの外観を示すものであり、(a)は正面図、(b)は背面図、そして(c)は平面図である。 【図2】本発明の実施の形態に係る撮像装置のシステム構成を模式的に示すブロック図である。 【図3】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置が傾きのある状態から0度付近に戻る際のモニタ表示の表示形態の変化を示す図である。 【図4】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置が傾きのある状態から90度近くまで傾いた場合のモニタ表示の表示形態の変化を示す図である。 【図5】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置が傾いた状態から90度近くに達した際のモニタ表示の表示形態の変化を示す図である。 【図6】本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置におけるモニタ表示の傾きガイド表示の表示形態を示す図である。 【図7】本発明の第3の実施の形態に係る撮像装置におけるモニタ表示の傾きガイド表示のピッチ角の表示形態を示す図である。 【図8】本発明の第4の実施の形態に係る撮像装置におけるモニタ表示の傾きガイド表示のピッチ角の表示形態を示す図である。 【図9】本発明の第4の実施の形態に係る撮像装置において大きなピッチ角となるまで傾斜した場合のモニタ表示の傾きガイド表示の表示形態を示す図である。 【図10】本発明の第8の実施の形態に係る撮像装置におけるモニタ表示のロール角とピッチ角の両方の傾きガイド表示を示す図である。 【図11】本発明の第9の実施の形態に係る撮像装置におけるモニタ表示のロール角とピッチ角の両方の傾きガイド表示の例を説明するための図である。 【図12】本発明の第9の実施の形態に係る撮像装置におけるモニタ表示のロール角とピッチ角の両方の傾きガイド表示の他の例を説明するための図である。 【図13】本発明の第9の実施の形態に係る撮像装置におけるモニタ表示のロール角とピッチ角の両方の傾きガイド表示の表示形態を示す図である。 【図14】本発明の第10の実施の形態に係る撮像装置におけるモニタ表示のロール角とピッチ角の両方の傾きガイド表示の表示形態を示す図である。 【図15】本発明の第11の実施の形態に係る撮像装置における横位置の場合のモニタ表示の傾きガイド表示の表示形態を示す図である。 【図16】本発明の第11の実施の形態に係る撮像装置における横位置の場合のモニタ表示の傾きガイド表示の表示形態を示す図である。 【図17】本発明の第11の実施の形態に係る撮像装置における横位置の場合のモニタ表示の傾きガイド表示の表示形態を示す図である。 【図18】本発明の第11の実施の形態に係る撮像装置における縦位置の場合のモニタ表示の傾きガイド表示の表示形態を示す図である。 【図19】本発明の第11の実施の形態に係る撮像装置における縦位置の場合のモニタ表示の傾きガイド表示の表示形態を示す図である。 【図20】本発明の第11の実施の形態に係る撮像装置における縦位置の場合のモニタ表示の傾きガイド表示の表示形態を示す図である。 【図21】本発明の第13の実施の形態に係る撮像装置におけるモニタ表示の傾きガイド表示の表示形態を示す図である。 【図22】本発明の第13の実施の形態に係る撮像装置におけるモニタ表示の傾きガイド表示の表示形態の制御を説明するためのフローチャートである。 【発明を実施するための形態】 【0034】 以下、実施の形態に基づき、図面を参照して本発明の撮像装置を詳細に説明する。 図1は、本発明の実施の形態におけるディジタルカメラとして構成した撮像装置の外観を示すものであり、(a)は正面図、(b)は背面図、そして(c)は平面図である。また、図2は、撮像装置内部のシステム構成を模式的に示すブロック図である。 図1(a)(c)に示すように、撮像装置の上面には、レリーズスイッチ(シャッタレリーズボタン)SW1、モードダイヤルスイッチSW2および第1ジョグダイヤルスイッチSW3が配設されている。また、撮像装置の正面側には、ストロボ発光部1、測距ユニット2、光学ファインダ3および鏡胴ユニット4が設けられている。鏡胴ユニット4は、撮影レンズを含んでいる。 撮像装置の背面には、図1(b)に示すように、LCDモニタ5、第2ジョグダイヤルスイッチSW4、ズームスイッチ[テレ(TELE)]SW5、ズームスイッチ[ワイド(WIDE)]SW6、上スイッチSW7、右スイッチSW8、OKスイッチSW9、左スイッチSW10、下/マクロスイッチSW11、ディスプレイスイッチSW12、削除スイッチSW13、メニュースイッチSW14および電源スイッチSW15が設けられている。 また、撮像装置の側面には、電池蓋6が設けられている。 【0035】 各スイッチSW1〜SW15は、ユーザが操作するスイッチであり、操作キーユニットを構成する。なお、本発明に係る撮像装置としてのディジタルカメラの外観は、必ずしも図1に示す外観に限定されるものではなく、図1と異なる外観を呈していても構わない。 撮像装置としてのディジタルカメラの各部の機能および作用は、公知であるので、その詳細な説明は省略することにし、次に撮像装置内部のシステム構成を図2に基づき図1を参照しながら説明する。 図2において、固体撮像素子(CCD)101は、光学画像を光電変換するための、例えばCCD(電荷結合素子)またはCMOS(相補型金属酸化物半導体)等を用いて構成される撮像素子である。撮像処理手段としてのフロントエンドIC(F/E−IC)102は、画像ノイズ除去用のため相関二重サンプリングを行う相関二重サンプリング部(CDS)1021と、利得調整を行う利得制御部(AGC)1022と、アナログ−ディジタル変換を行うA/D(アナログ−ディジタル)変換部1023と、駆動タイミング信号を発生するタイミング信号発生部(TG)1024と、を有するIC(集積回路)として構成される。ここで、TG1024には、第1CCD信号処理ブロック1041より、垂直同期信号VDおよび水平同期信号HDが供給されると共に、CPUブロック1043より出力される信号によってCCD101およびF/E−IC102に対し駆動タイミング信号を出力する。 【0036】 ディジタルスチルカメラプロセッサ104(以下、「プロセッサ104」と称する)は、CCD101からF/E−IC102を介しての出力画像データにホワイトバランス設定およびガンマ設定を行い、且つF/E−IC102のTG1024に垂直同期信号VDおよび水平同期信号HDを供給する第1CCD信号処理ブロック1041と、フィルタリング処理により、画像データの輝度データ・色差データへの変換を行う第2CCD信号処理ブロック1042と、装置各部の動作を制御する中央処理ユニット(CPU)ブロック1043と、制御に必要なデータ等を一時的に保存するためのローカルSRAM(スタティックランダムアクセスメモリ)1044と、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器とUSB通信を行うためのUSBブロック1045と、PC等の外部機器とシリアル通信を行うためのシリアルブロック1046と、JPEG圧縮/伸張を行うJPEGコーデック(JPEG−CODEC)ブロック1047と、画像データのサイズを補間処理により拡大/縮小するリサイズ(RESIZE)ブロック1048と、画像データを液晶(LCD)モニタ5やTV(テレビジョン)受像機等の外部表示機器に表示させるためのビデオ信号に変換するTV信号表示ブロック1049と、撮影された画像データを記録するためのメモリカードの制御を行うメモリカードコントローラブロック10410と、を有している。これらの各ブロックは、バスラインを介して相互に接続されている。 【0037】 また、プロセッサ104の外部には、RAW−RGB画像データ(ホワイトバランス調整およびγ調整が行われただけの状態のRGB画像データ)、YUV画像データ(輝度データ・色差データ変換が行われた状態の画像データ)、JPEG画像データ(JPEG圧縮された状態の画像データ)を保存するSDRAM(シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ)103が配置され、このSDRAM103は、プロセッサ104にメモリコントローラ(図示せず)、バスラインを介して接続されている。 このSDRAM103は、プロセッサ104で画像データに各種処理を施す際に、画像データを一時的に保存する。保存される画像データは、例えば、CCD101から、F/E−IC102を経由して取り込んで、第1CCD信号処理ブロック1041でホワイトバランス調整およびカンマ調整が行われた状態のRAW−RGB画像データや、第2CCD信号処理ブロック1042で輝度データ・色差データ変換が行われた状態のYUV画像データ、JPEG・CODECブロック1047で、JPEG圧縮されたJPEG画像データなどである。 プロセッサ104の外部には、さらに、RAM等の内蔵メモリ(メモリカードスロットにメモリカードが装着されていない場合でも撮影画像データを記憶するための内蔵メモリ)107、制御プログラムおよびパラメータなどが格納されたROM(図示せず)が設けられ、これらもバスラインによってプロセッサ104に接続されている。 【0038】 ROMに格納される制御プログラムは、ディジタルカメラの電源スイッチSW15をオンすると、プロセッサ104のメインメモリ(図示せず)にロードされ、プロセッサ104はその制御プログラムに従って各部の動作制御を行うとともに、制御データおよびパラメータ等を内蔵メモリ107等に一時的に保存させる。 鏡胴ユニット4は、被写体の光学画像を取り込むズームレンズ41aを有するズーム光学系41、フォーカスレンズ42aを有するフォーカス光学系42、絞り43aを有する絞りユニット43およびメカニカルシャッタ44aを有するメカニカルシャッタユニット44からなるレンズ鏡筒を備えている。なお、ズームレンズ41a、フォーカスレンズ42aおよび絞り43aは、撮影光学系を構成している。また、撮影光学系の光軸をZ軸とするとともに、このZ軸に直交する平面をX−Y平面とする。 ズーム光学系41、フォーカス光学系42、絞りユニット43およびメカニカルシャッタユニット44は、それぞれ、ズームモータ41b、フォーカスモータ42b、絞りモータ43bおよびメカニカルシャッタモータ44b、によって駆動されるようになっている。 【0039】 この鏡胴ユニット4の各モータ41b〜44bは、モータドライバ45によって駆動され、モータドライバ45は、プロセッサ104のCPUブロック1043によって制御される。 また、鏡胴ユニット4の各レンズ系により得られた光学像を光電変換する固体撮像素子であるCCD101の受光面には、被写体光学像が結像され、CCD101は、被写体光学像を電気的画像情報に変換してF/E−IC102に画像信号を出力する。 これらの信号制御処理は、プロセッサ104の第1CCD信号処理ブロック1041から出力されるVD(垂直同期)−HD(水平同期)信号によりTG1024を介して行われる。そのTG1024は、そのVD−HD信号に基づき駆動タイミング信号を生成する。 プロセッサ104は、CCD101からF/E−IC102を経由して得られる出力データにホワイトバランス調整およびカンマ調整を行うために、第1CCD信号処理ブロック1041により、垂直同期信号VD、水平同期信号HDを供給し、そして第2CCD信号処理ブロック1042により、フィルタリング処理による輝度データ・色差データへの変換を行う。 【0040】 また、CPUブロック1043は、装置各部の動作を制御し、制御に必要なデータ等をローカルSRAM1044に一時的に保存する。また、プロセッサ104は、加速度センサ111から送出される角度データを基に撮像装置の傾きを示すデータを算出しLCDドライバ108を介してその傾き情報を、液晶ディスプレイ(LCD)モニタ5に表示する(詳細は後述する)。 CPUブロック1043は、さらに、ストロボ回路114を制御することによってストロボ発光部1から照明光を発光させる。これに加えて、CPUブロック1043は、測距ユニット2をも制御する。 CPUブロック1043は、プロセッサ104のサブCPU112に接続され、サブCPU112は、操作スイッチSW1〜SW15からなる操作キーユニットに接続されている。この操作キーユニット(SW1〜SW15)は、ユーザが操作するキースイッチ群からなる操作部である。また、サブCPU112は、ROM・RAMをワンチップに内蔵したCPUであり、操作キーユニット(SW1〜SW15)などの出力信号をユーザの操作情報として、CPUブロック1043に出力する。 【0041】 USBブロック1045は、パソコン等の外部機器とUSBコネクタ(図示せず)を介してUSB通信を行い、また、シリアルブロック1046は、シリアルドライバ回路(図示しない)からRS−232Cコネクタ等のシリアル通信コネクタを介して外部機器に接続され、シリアル通信を行う。TV信号表示ブロック1049は、LCDドライバ108を介してLCDモニタ5に接続されるとともに、ビデオアンプ(ビデオAMP)〔TV信号表示ブロック1049から出力されたビデオ信号を75Ωインピーダンスに変換するためのアンプ(アンプリファイア〜増幅器)〕109を介してビデオジャック(カメラをTVなどの外部表示機器に接続するためのジャック)110に接続されている。メモリカードコントローラブロック10410は、メモリカードスロット(図示せず)のカード接点に接続されている。I2C(InterIntegratedCircuit〜I2C)ブロック10411は、傾き検出手段としての加速度センサ111に接続されている。 LCDドライバ108は、駆動回路であり、LCDモニタ5を駆動すると共にTV信号表示ブロック1049から出力されたビデオ信号をLCDモニタ5に表示させる信号に変換する。LCDモニタ5は、モニタ用の表示装置であり、撮影前の被写体の状態を監視すること、また撮影画像を確認することおよび後述する撮像装置の傾きを表示することを意図し、メモリカードまたは内蔵メモリ107に記録された画像データおよび撮像装置の傾き情報を表示するために用いられる。 【0042】 ビデオAMP109は、TV信号表示ブロック1049から出力されるビデオ信号を、75Ωインピーダンス変換するための増幅器であり、ビデオジャック110は、TV受像機等の外部表示機器に接続するための接続ジャックである。 サブCPU112は、ROM/RAMをワンチップに内蔵したCPUであり、前述の操作キーユニット(SW1〜SW15)などの出力信号を、ユーザの操作情報として、前述したCPUブロック1043に出力する。内蔵メモリ107は、撮影した画像データを記憶できるようにするためのメモリである。 傾き検出手段としての加速度センサ111は、前述した各部を構成したプリント回路基板(PCB)上に実装され、2軸X,Yのデータ(X,Y)と、温度Tのデータを検知してプロセッサ104のI2Cブロック10411に送出する。プロセッサ104は、I2Cブロック10411を介して加速度センサ111から与えられたデータを基に、表示すべきロール角等の傾き情報を、例えばCPUブロック1043により演算し(傾き算出手段)、このロール角の表示スケールの大きさに対応した表示画像を選択し(表示処理手段)、この表示画像上の当該ロール角を示す位置に目印となるマーカMの画像を合成して得られた画像をLCDモニタ5等(画像表示装置)に表示する。 【0043】 X0およびY0を2軸X,Yのデータ(X,Y)の各々の重力ゼロ時の出力データとする時、加速度センサ111の水平に対するロール角θは、次の(1)式で示される。 θ[deg]=180/π*arctan{(Y−Y0)/(X−X0)} …(1) 同様に、撮像装置のピッチング方向の傾きを検出し得るように設置された、他の加速度センサ111は、表示すべきピッチ角を検出し、そのデータをプロセッサ104に送出する。プロセッサ104は、加速度センサ111から送出されたデータを基に、表示する撮像装置の傾き(ピッチ角)を、例えばCPUブロック1043により演算し(傾き角算出手段)、LCDモニタ5の一部に撮影画像と重畳して表示することができる(但し、この機能はオプショナルであって省略可能とするが、この機能を設ける場合は、ロール角だけ、またはピッチ角だけ、もしくはロール角とピッチ角の両方、を表示させることをユーザに選択指示させるための選択ボタンを設けることが好ましい)。 プロセッサ104は、ロール角および/またはピッチ角のLCDモニタ5への表示に際し、算出したロール角および/またはピッチ角の大きさを判定し、この角度の大きさに応じて、この角度を表示する表示スケールのレンジを変化させる。この表示スケールには、あたかも液体を用いた水準器、いわゆるレベル、における気泡のような疑似的な気泡像であるマーカMの表示を付加しており、このマーカMが位置するスケールの目盛を見ることによって当該角度を認識する。このため、プロセッサ104は、レンジを選択した表示スケール上に、当該角度を示すマーカMの画像を合成してLCDモニタ5で表示する。また、当該角度は、内蔵メモリ107等に記録するものとする。 【0044】 プロセッサ104は、(1)式で求められるロール角(撮像装置の傾きを直接的に示すものではない)が、撮像装置が図3(a)に示すような状態、即ち、撮像装置が水平に対し、0度±5度から±60度の範囲である場合は、ロール角を示す表示スケールB1を、LCDモニタ5の表示画面に対して横向き(撮像装置の表示画面の長手方向に沿う方向)状態で前記画面に表示するように構成することができる。一方、撮像装置の水平に対する左右方向のロール角が所定の小範囲以内、例えば、0度±5度と水平近傍に至ると、ロール角を精度良く目測することができるように、図3(b)に示すように表示スケールB2のレンジを自動的に拡大させる。また、さらにロール角が図4(b)に示すように、±60度を越えると画面表示を縦向き状態(縦位置)に切り替えるように構成することができる。 さらに、撮像装置は、ロール角が90度±5度(垂直近傍)の領域になると、表示スケールB2を拡大させ、精度を上げるようにする。一般に、ユーザは、撮像装置が水平から左右に大きく傾いている時には、表示スケールB1は、ほとんど目視しなくとも撮像装置が傾いていることを認知することができる。しかしながら、撮像装置が撮影姿勢と考えられる水平状態になった時には、撮像装置が正しく水平になっているか否かを厳密に確認したくなるものであることからして、この実施形態に係る撮像装置では、前述のとおり、ロール角が水平近傍(0度±5度)である場合には、表示スケールB2のレンジを拡大させることができるので、マーカMの位置を精度よく読み取ることができ、このようなユーザの要求に対しても的確に応じることができる。 【0045】 なお、垂直近傍とは、必ずしも0度±5度に限定されるものではなく、例えば、0度±4〜7度であってもよい。 また、図6に示すように、プロセッサ104は、常に1つの表示スケールのみを表示するように構成すると共に、この表示スケールB3の目盛間隔(スケール)を等間隔、つまり線形的には、表示せずに、ロール角が水平に近い場合(マーカMが中央付近にある場合中央)部分を細かいレンジで表示し、ロール角が水平に近くない場合、例えば、0度±5度から60度±5度の場合は、マーカMが位置する部分を粗いレンジで表示するような、非線形的な表示を行うように構成することもできる。 これにより、ロール角を、表示スケールB3自体の切り替えを行うことなく、1つの表示スケールのみを使用し、しかも精度が必要なタイミングでは高い精度で表示することができる。例えば、ロール角が±1度以降を対数表示にしたり、べき乗表示にしたりすることで表示スケールの目盛間隔を任意に非線形的に変更することもできる。 【0046】 また、プロセッサ104の一部に含まれる表示処理手段は、前述のロール角の表示方法において、ロール角が水平に近い状態(0度±5度)である場合と、水平に近くない通常状態(0度±5度から0度±60度)である場合とで、加速度センサ111のサンプリング数や平均処理数を変えるように構成することができる。即ち、水平に近くない通常状態の場合には、瞬時に撮像装置の大体の傾きを表示できるように加速度センサ111におけるロール角のサンプリング数・平均処理数が少なくなるように制御し、これにより、撮像装置の傾きが急激に変えられた場合にも対応することが可能となる。一方、水平状態に近い場合(0度±5度)では、表示処理手段は、加速度センサ111におけるロール角の加速度センサ111のサンプリング数や平均処理数が多くなるように制御することで、傾きの値を高精度で表示するように構成することができる。また、通常状態と水平状態とで、表示スケールに沿って移動するマーカMの移動スピードを変えるように構成することができる。即ち、通常状態では応答速度を上げることで対応を素早くすることを優先させ、水平状態では応答速度を遅くして、ユーザが撮像装置を水平に合わせ易くすることを優先させることができる。 【0047】 また、プロセッサ104は、ピッチ角(いわゆる前後方向の傾き角)が、0度±5度から0度±60度の範囲に入る場合は、図8に示すように、幅広いレンジを持つピッチ角の表示スケールB4をLCDモニク5の表示画面に対して縦向き状態で前記画面に表示するように構成することができる。 また、この表示スケールB4のレンジは、ピッチ角が0度近傍(0度±5度)と垂直近傍(90度±5度)に近づくと、撮像装置の傾きを精度良く目測することができるように、即ち、図7に示す表示スケールB5のように、レンジを自動的に拡大させ高精度な読取りができるように構成することができる。 また、プロセッサ104(表示処理手段)は、前述のピッチ角の表示方法において、ピッチ角が垂直に近い状態(90度±5度)である場合と、垂直に近くない通常状態(0度±5度から0度±30度)である場合とで、加速度センサ111のサンプリング数や平均処理数を変えるように構成することができる。即ち、垂直に近くない通常状態(0度±5度から0度±30度)の場合には、瞬時に撮像装置の大体の傾きを表示できるように加速度センサ111におけるピッチ角のサンプリング数・平均処理数が少なくなるように制御し、これにより、撮像装置の傾きが急激に変えられた場合にも対応することが可能となる。 【0048】 一方、垂直に近い(垂直近傍の)場合(90度±5度)では、プロセッサ104は、加速度センサ111におけるピッチ角の加速度センサ111のサンプリング数や平均処理数が多くなるような制御をすることで、傾きの値を高精度で表示するように構成することができる。また、通常状態(水平近傍を逸脱した状態)と水平に近い状態とで、表示スケールに沿って移動するマーカMの移動スピードを変えるように構成することができる。即ち、通常状態では応答速度を上げることで対応を素早くすることを優先させ、水平状態では応答速度を遅くしてユーザが撮像装置を水平に合わせ易くすることを優先させることができる。 以下では、ロール角とピッチ角の両方を組み合わせて表示させる場合の表示処理手段の機能を果たすプロセッサ104の処理を説明する。 プロセッサ104は、ロール角が0度±60度以下である場合、このロール角を、LCDモニタ5の表示画面に対して横向き状態の表示スケールB1とマーカMとで表示し、ピッチ角は、図10に示すように、縦向き状態の表示スケールB5とマーカMとで表示するように構成することができる。また、ロール角が0度±60度を越える場合(図示せず)には、ロール角の表示を縦向き状態の表示スケールに切り替えると共に、ピッチ角の表示を横向き状態の表示スケールに切り替えるように構成することができる。 【0049】 また、プロセッサ104は、表示レンジの幅を広く表示する表示スケールと、表示レンジの幅を狭く表示する表示スケールとで、その着色を異なるものとするように構成することができる。例えば、ロール角および/またはピッチ角が0度±5度の状態から0度±60度の状態へと傾きが大きくなった際には、表示スケールの着色を変える構成とする。また、ロール角および/またはピッチ角が90度±5度の状態から、90度±30度の状態へと傾きが大きくなった際にも表示スケールの着色を変える構成とする。なお、この着色の変化形態としては、例えば、黒色の表示スケールから赤色の表示スケールへの切り替えを行うことが考えられる。 さらに、撮像装置の操作面に、ロール角だけ、またはピッチ角だけ、もしくはロール角とピッチ角の両方、を傾きガイド表示させることをユーザに選択指示させるための選択ボタン(図示せず)を設ける構成とすることができる。 図3〜10は、本発明の実施の形態に係る撮像装置において傾きを表示する表示方法を示す説明図である。 以下、図3〜9を参照し、第1〜第8の実施の形態に係る撮像装置においてその傾きを表示する具体的表示方法について説明する。 なお、以下に示す各実施の形態における処理は、主として加速度センサ111、プロセッサ104およびLCDモニタ5等により行われる。 【0050】 〔第1の実施の形態〕 この第1の実施の形態では、先に述べた(1)式で求められるロール角が、0度±5度から±60度の範囲である場合は(おおむね画面の長手方向がほぼ水平向きの横位置と考えられる)、図3(a)に示すように、ロール角を示す表示スケールB1を表示し、また、LCDモニタ5の表示画面に対して横向き状態(撮像装置の長手方向)で前記画面の下端近傍位置に表示するように構成してある。この表示スケールB1のレンジは、ロール角が0度±5度と水平に近づいた領域、即ち水平近傍領域に達すると、ロール角を精度良く目測することができるように、自動的にレンジを拡大させる。(図3(a)に示す表示スケールB1のレンジよりも図3(b)に示す表示スケールB2のレンジの方が目盛が拡大されており精度が高い)。また、図4(b)のように、ロール角が±60度を越えると(おおむね画面の長手方向がほぼ垂直向きの縦位置と考えられる)、表示スケールB1のように、自動的に表示が縦向き状態に切り替えられる。さらに、図5(a)に示すように、ロール角が90度±5度から90度±30度の範囲に入る場合は、縮小されたレンジの表示スケールB1を表示し、また、図5(b)に示すように、ロール角が垂直に近い90度±5度の場合は、レンジが拡大されて高精度で角度を出すことができる表示スケールB2を表示するようになる。 【0051】 〔第2の実施の形態〕 この第2の実施の形態では、図6に示すように表示スケールとしては1つの表示スケールB3だけを表示し、この表示スケールB3の目盛間隔(スケール)を線形的な等間隔には表示せずに、ロール角が水平に近い領域の目盛は、細かいレンジで表示し、ロール角が水平に近くない(ロール角が0度±30度)の領域のスケール目盛は、粗いレンジで表示するように構成してある。このように構成することにより、表示スケール自体の切り替えを行うことなくロール角を合理的に表示することができる。表示方法としては、例えば、ロール角が±1度以降を対数表示にしたり、べき乗表示にしたりする方法で表示スケールB3の目盛間隔を任意に変更することが可能である。 【0052】 〔第3の実施の形態〕 この第3の実施の形態では、ロール角またはピッチ角の表示方法としては、第1および第2の実施の形態に示す表示方法と同じであるが、プロセッサ104は、ロール角またはピッチ角が水平に近い状態(0度±5度)である場合と、水平ではない状態(0度±5度から0度±60度)にある場合とで、加速度センサ111のサンプリング数や平均処理数を変えるように構成するものである。即ち、水平ではない通常状態の場合であると、瞬時に撮像装置の大体の傾きを表示できるように加速度センサ111におけるロール角またはピッチ角のサンプリング数・平均処理数が少なくなるように構成し、一方、ロール角またはピッチ角が水平状態に近い場合では、プロセッサ104は、加速度センサ111におけるロール角の加速度センサ111のサンプリング数や平均処理数を多くなるように構成して、傾きの値を高精度で表示することができるようにする。また、この実施の形態においては、通常状態と水平状態とで、表示スケール(B1,B2)に沿って移動するマーカMの移動スピードを変えるように構成することもできる。通常状態では、応答速度が上げられて素早く対応することが可能となり、水平状態では応答速度が遅くはなるが、ユーザが撮像装置を水平に合わせ易くすることができる。 【0053】 〔第4の実施の形態〕 この第4の実施の形態では、ピッチ角が0度±5度から0度±60度の範囲に入る場合は、図9に示すように、幅広い範囲のレンジ(粗いレンジ)を持つピッチ角の表示スケールB4をLCDモニタ5の表示画面に対して縦向き状態で前記画面に表示している。 また、この表示スケールB4のレンジは、ピッチ角が0度±5度と水平に近づくに連れて、撮像装置の傾きを精度良く目測することができるように、図7、図8に示す表示スケールB5のように、レンジを自動的に拡大表示させる。 【0054】 〔第5の実施の形態〕 この第5の実施の形態では、ピッチ角の表示方法としては、第4の実施の形態に示す表示方法と同じであるが、プロセッサ104は、ピッチ角が垂直に近い状態(90度±5度)である場合と、垂直ではない状態(90度±5度から90度±60度)である場合とで、加速度センサ111のサンプリング数や平均処理数を変えるように構成した点が異なる。即ち、通常状態の場合であると、瞬時に撮像装置の大体の傾きを表示できるように加速度センサ111におけるピッチ角のサンプリング数・平均処理数が少なくなるように構成し、一方、ピッチ角が水平状態に近い場合では、プロセッサ104は、加速度センサ111のサンプリング数や平均処理数を多くなるように構成し、傾きの値を高精度で表示することができるように構成する。また、この実施の形態では、通常状態と水平状態とで、表示スケール(B1,B2)を移動させるマーカMの移動スピードを変えるように構成してある。このように構成することで、通常状態では応答速度が上げられて素早く対応することが可能となり、水平状態では応答速度が遅くなり、ユーザが撮像装置を水平に合わせ易くなる。 【0055】 〔第6の実施の形態〕 以下では、ロール角とピッチ角とを組み合わせた第6の実施の形態について図10を参照して説明する。 この第6の実施の形態では、図10に示すように、ロール角が0度±5度以下である場合、このロール角をLCDモニク5の表示画面に対して横向き状態の表示スケールB2で表示し、ピッチ角は縦向き状態の表示スケールB5で表示している。また、ロール角が0度±60度を越えると、図示はしないが、ロール角の表示を縦向き状態の表示スケールに切り替えると共に、ピッチ角の表示を横向き状態の表示スケールに切り替える。 【0056】 〔第7の実施の形態〕 この第7の実施の形態では、表示レンジの幅を広く表示する表示スケールと、表示レンジの幅を狭く表示する表示スケールとで、その着色を異なるものとしている。例えば、ロール角および/またはピッチ角が0度±5度の状態では、黒色の表示であったものを、0度±60度の状態へと傾きが大きくなった際には表示スケールの色を赤色に変えるようにする。また、ロール角および/またはピッチ角が90度±5度の状態から、90度±30度の状態へと傾きが大きくなった際にも表示スケールの色を、例えば、黒色から赤色に変えるようにする。なお、表示スケールの色としては、黒と赤に限ることはなく、青、緑、黄等の組合わせでもよい。 【0057】 〔第8の実施の形態〕 この第8の実施の形態では、撮像装置の操作面に、ロール角だけ、またはピッチ角だけ、もしくはロール角とピッチ角の両方、を表示させることをユーザに選択指示させるための選択ボタン(図示せず)を設けている。 ユーザにとっては、撮影対象に応じて、適宜選択ボタンを操作して的確な撮影を行うことができ利便性が向上する。 【0058】 〔第9の実施の形態〕 次に、上述の撮像装置において、加速度センサ111として直交する3軸の加速度センサを用い、撮像装置のロール角とピッチ角の両方を表示させることを前提とした本発明の第9の実施の形態について説明する。 このように直交する3軸の出力を有する加速度センサ111を用い、この加速度センサ111が撮像装置に組み込まれる方向がわかっていれば、それぞれの軸にかかる加速度の大きさは重力加速度をその軸方向に分解したものになっているため、撮像装置のあらゆる方向の傾きを正確に知ることができる。 この場合、図10に示すように、撮像装置を横位置に構えたときに、Z軸のまわりの回転がロール方向、X軸のまわりの回転がピッチ方向、Y軸のまわりの回転がヨー方向となる。撮像装置を横にほぼ水平に構えたとき、Y軸が検出する加速度は、ほぼ重力加速度に等しく、X軸およびZ軸が検出する値はほぼゼロとなる。このように、重力加速度を主に検出しているのがどの軸であるかを検出することにより、撮像装置の概略の向きを知ることができる。 加速度センサ111が検出した傾きデータは、I2Cブロック10411を介してCPUブロック1043が受信し、重力加速度の主要検出軸および傾きの大きさをソフトウェアまたはハードウェア的に算出し、その結果を表示装置に表示する。 【0059】 このとき、図11に示すように、ロール方向およびピッチ方向の傾きであるロール角およびピッチ角を撮像装置のLCDモニタ5に表示する。 図11の場合、ロール角を示す傾きガイド表示G1およびピッチ角を示す傾きガイド表示G2の表示形態はほぼ同一であるが、表示画面の長手方向に沿う傾きガイド表示G1のゲージがロール方向の傾き、そして表示画面の短手方向に沿う傾きガイド表示G2のゲージがピッチ方向の傾きを示す。それぞれのゲージにおいて、四角いマークの位置が図示のように中央にあるときに傾き、つまりロール角およびピッチ角がゼロ、中央から離れるにつれて傾き角度、つまりロール角およびピッチ角が大きくなることを意味する。 図12に、撮像装置を縦位置に構えたときの表示例を示している。この場合では、ロール方向およびピッチ方向の傾きガイド表示の表示形態は、見かけ上は、図11の場合とほとんど同一であるが、図11との違いは、表示装置の短手方向のゲージを有する傾きガイド表示G3がロール方向の傾きであるロール角を示し、長手方向のゲージを有する傾きガイド表示G4がピッチ方向の傾きであるピッチ角を示している。 【0060】 しかしながら、このように構える方向を変えた場合のロール方向とピッチ方向の傾きガイド表示が入れ替わることで、両者の区別がつきにくくなる。これに対処するため、この実施の形態においては、図13に示すように、ロール方向とピッチ方向の傾きガイド表示の表示色を異ならせ、ロール方向の傾きガイド表示Gr1のマーカの表示色を、例えば赤色とし、そしてピッチ方向の傾きガイド表示Gp1のマーカの表示色を、例えば青色とする。この場合、例えば、撮像装置の向きを図13の横位置から縦位置に変更した場合にも、赤色のほうがロール方向の傾きガイド表示Gr1、そして青色のほうがピッチ方向の傾きガイド表示Gp1となる。このように、表示色を異ならせることによって、縦横が入れ替わった場合においても、それぞれの傾きガイド表示のゲージとロール角およびピッチ角の関係が直感的に理解できるようになる。 【0061】 〔第10の実施の形態〕 第10の実施の形態においては、同様の目的で、図14に示すように、ロール方向とピッチ方向の傾きガイド表示の表示形態を異ならせ、例えばロール方向の傾きガイド表示Gr2のゲージを中央が最も高さが低く幅狭で両端へ向かうに従って漸次高さが高く幅広となる形状とし、そしてピッチ方向の傾きガイド表示Gp2のゲージを通常の幅が均一な長方形状の形状とする。この場合も、例えば、撮像装置の向きを図14の横位置から縦位置に変更した場合にも、両端の幅が広いほうがロール方向の傾きガイド表示Gr2、そして幅が均一のほうがピッチ方向の傾きガイド表示Gp2となる。このように、表示形態を異ならせることによって、縦横が入れ替わった場合においても、それぞれの傾きガイド表示のゲージとロール角およびピッチ角の関係が直感的に理解できるようになる。 なお、これら第9および第10の実施の形態において、ピッチ方向の傾きガイド表示の表示を必ずしも必要としない場面では、プログラムの設定により、ピッチ方向の傾きガイド表示を非表示とする手段を設けることも、図1および図2に示す構成において実現可能である。即ち、それぞれのゲージの表示有無を設定する画面をLCDモニタ5等の表示手段に表示し、操作ボタン(図示せず)などを用いて設定を行った結果をEEPROMまたはメインメモリに記憶させ、表示時に呼び出した設定内容に従って表示を行うなどすればよい。 【0062】 〔第11の実施の形態〕 次に、上述の撮像装置において、加速度センサ111として直交する2軸の加速度センサを用い、撮像装置のピッチ角が所定の範囲内であるときにのみロール角の傾きガイド表示を表示させることを前提とした本発明の第11の実施の形態について説明する。 加速度センサ111は、プロセッサ104等が実装されるメインのPCB(プリント配線基板)、即ちメインボード上に撮像装置に対して垂直に実装され、直交する2軸XおよびYと温度Tのデータを出力する。そのデータから撮像装置の傾きを演算し、それに相応する傾きガイド表示をLCDモニタ5等に表示する。 加速度センサ111の水平に対するロール角θは、先に述べた(1)式であらわされ、ピッチ角φは、次の(2)式であらわされる。 φ[deg]=180/π*arctan(Gz/Gxy) Gz=sqrt(Gxyz2―Gxy2) Gxy=sqrt{(X−X0)2+(Y−Y0)2} ・・・(2) ここでGxyzは、1Gの時の出力値、X0およびY0は、各々重力ゼロ時の出力である。 【0063】 そして、加速度センサ111を撮像装置に対して垂直に実装する。より具体的には、加速度センサ111は、例えば、撮像装置の背面側から見て、右端寄りで且つ下端寄りの部分のメインボード上に垂直に実装されるが、必ずしもこの位置にかぎられるもにではない。この状態でピッチ角を増加させてゆくと、加速度センサ111から出力されるX軸およびY軸の出力値が、次第に小さくなって、ノイズやオフセットずれの影響を受け易くなる。つまり、ピッチ角をつければつけるほど、ロール角の表示精度は低下してゆくことになる。そこで、図15〜図17および図18〜図20に示すようにピッチ角がある角度となった場合、例えば表示を点滅させること、バーに表示していた角度を示すマーカを消すこと、警告音を鳴らすことなどによって警告する。図15〜図17は、横位置の場合を示し、それぞれ(a)は、斜視図、(b)は、側面図である。図15は、撮像装置がほぼ鉛直の状態を示しており、図16は、ややピッチ角を付けた状態を示しており、図17は、大きくピッチ角を付けた場合で、警告のためにロール角の傾きガイド表示Gが点滅している状態を示している。図18〜図20は、縦位置の場合を示し、それぞれ(a)は、斜視図、(b)は、側面図である。図18は、撮像装置が縦位置でほぼ鉛直の状態を示しており、図19は、ややピッチ角を付けた状態を示しており、図20は、大きくピッチ角を付けた場合で、警告のためにロール角の傾きガイド表示Gが点滅している状態を示している。 【0064】 〔第12の実施の形態〕 次に、上述の撮像装置において、撮像装置の温度が所定の範囲内であるときにのみロール角の傾きガイド表示を表示させることを前提とした本発明の第12の実施の形態について説明する。 温度を変化させるとそれに応じて加速度センサ111のX軸およびY軸の出力値が変化する。例えば、温度を上げることにより、X軸およびY軸の出力値が小さくなるとすると、このような場合にはノイズやオフセットずれの影響を受け易くなる。そこで、加速度センサ111の出力Tが規格範囲外の温度となる出力値となった場合には、それまで表示していたピッチ角もしくはロール角の表示を点滅させること、バーに表示していた角度を示すマーカMを消すこと、警告音を鳴らすことなどによって警告する。 この場合にも、表示形態は、例えば図17および図20の場合とほぼ同様となる。 【0065】 〔第13の実施の形態〕 次に、本発明の撮像装置に係る第13の実施の形態について説明する。 上述の撮像装置において、ピッチ角を増大させていって撮像装置を平伏せ状態とした場合には、XおよびYがともに0Gとなりロール角を算出することができない。このような0Gの近傍でもXおよびYの出力値が低下するため、精度が悪くなる。そこで、図21に示すように撮像装置の角度によって傾きガイド表示Gの表示バーの位置を変化させるとすると、XおよびYが0G付近(例えば閾値0.1G以下)では傾きガイド表示Gの表示バーの位置を、図21の(a)のように長手方向に沿って配置するか、図21の(b)のように短手方向に沿って配置するかどちらにすればよいか判別することができない。そのような場合における表示方法を、図22のフローチャートに示している。 t=nの時の出力値Xt=nおよびYt=nが各々0.1G以下であるか否かを判別し(ステップS11)、両者が0.1G以下ではないときは、そのまま出力値Xt=nおよびYt=nを用いてθを計算して(ステップS12)、モニタに表示する(ステップS13)。 【0066】 ところが、Xt=nおよびYt=nの出力値が共に0.1G以下のときは、XおよびYの出力値が、m秒前において共に0.1G以下ではないか否かを判別し(ステップS14)、共に0.1G以下ではないm秒前の出力値Xt=n−mおよびYt=n−mからその角度θを判断し、表示バーの位置を決めて(ステップS15)、ステップS13に移行し、モニタに表示する。そのとき、どちらかの出力値が0.1G以上になるまでその傾きガイド表示のバーの位置を固定し、むやみにバーの位置が変わり見づらくなるのを防ぐ。これは再生時も同じであり、撮像装置の角度により表示向きを回転させるときに、撮像装置を平伏せ状態にすると画像をどちらに回転させればいいか判別できないが、これもモニタリングの表示バーと同様の処理で表示向きを変更する。なお、mの値をいくつにしてもm秒前の状態のXt=n−mおよびYt=n−mが共に0.1G以下にしかならない場合には、第11の実施の形態とほぼ同様にして、警告表示を行う(ステップS16)。 【0067】 〔第14の実施の形態〕 次に、本発明の撮像装置に係る第14の実施の形態について説明する。 ピッチ角をつけていって、XおよびYが共に閾値以下の出力値になった時に、先に述べた通り警告表示とする場合には、高い精度を得る必要がなくなるため、サンプリング数を少なくして、プロセッサ104等の処理系に負荷がかかるのを防ぎ、消費電力を下げるようにする。 【符号の説明】 【0068】 1 ストロボ発光部 2 測距ユニット 3 光学ファインダ 4 鏡胴ユニット 5 LCDモニタ 6 電池蓋 104 ディジタルスチルカメラプロセッサ 108 LCDドライバ 111 加速度センサ 112 サブCPU 1041 第1CCD信号処理ブロック 1043 CPUブロック 10411 I2Cブロック SW1〜SW15 操作キー B1、B2、B3、B4、B5 表示スケール M マーカ G 傾きガイド表示 Gp1、Gp2 ピッチ角の傾きガイド表示 Gr1、Gr2 ロール角の傾きガイド表示 【先行技術文献】 【特許文献】 【0069】 【特許文献1】特開2004−343476号公報 【特許文献2】特開2007−174156号公報 【特許文献3】特許第3896505号公報 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 撮像素子と、前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と、ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と、前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示し、 撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える表示制御手段と、を有する撮像装置において、 前記表示制御手段は、前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え、 ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは、ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えないことを特徴とする撮像装置。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 前記傾き情報は、ロール方向の傾き量に応じた傾きを示すロール角傾き情報であり、 前記表示制御手段は、前記ロール角傾き情報に対応する表示である傾きガイドを表示することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。 【請求項4】 前記傾きガイドは、前記撮像装置のロール方向の傾き量が小さい状態から大きくなった際には、表示スケールの色を変える構成としたことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。 【請求項5】(削除) 【請求項6】 前記表示制御手段は、ピッチ方向の傾き量が所定の範囲を超えたとき前記傾きガイドの表示形態を変更することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の撮像装置。 【請求項7】 前記ロール方向の傾きは60度であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照 |
異議決定日 | 2021-11-01 |
出願番号 | P2016-000295 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YAA
(H04N)
P 1 651・ 851- YAA (H04N) P 1 651・ 853- YAA (H04N) P 1 651・ 121- YAA (H04N) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
清水 正一 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 渡辺 努 |
登録日 | 2017-08-18 |
登録番号 | 6191928 |
権利者 | 株式会社リコー |
発明の名称 | 撮像装置 |
復代理人 | 山口 昭則 |
代理人 | 阿部 琢磨 |
復代理人 | 新川 圭二 |
代理人 | 真田 修治 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 真田 修治 |
復代理人 | 山口 昭則 |
代理人 | 伊東 忠重 |
復代理人 | 新川 圭二 |
代理人 | 黒岩 創吾 |