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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 F21L |
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管理番号 | 1381655 |
総通号数 | 2 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2022-02-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-10-27 |
確定日 | 2021-11-24 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6691341号発明「発光体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6691341号の請求項1〜12に係る特許を取り消す。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6691341号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜12に係る特許についての出願は、平成26年10月16日(優先権主張 平成26年2月4日)に出願した特願2014−211965号の一部を平成30年11月27日に新たな特許出願(特願2018−221704号)としたものであって、令和2年4月14日に特許権の設定登録がされ、同年4月28日に特許掲載公報が発行された。 その後、その特許について、令和2年10月27日付けで特許異議申立人徐○金龍(以下「特許異議申立人」という。この「○金」は、金という文字を上に1つ下に2つ横並びで記載した文字を示す。)より特許異議の申立てがされ、令和3年3月11日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年5月14日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年6月22日付けで訂正拒絶理由が通知され、これに対して指定期間内に応答がなく、特許権者から同年8月19日に上申書が提出され、審決の予告を希望しない旨の申出が行われたものである。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和3年5月14日付けの訂正請求書による訂正の請求は、「特許第6691341号の特許請求の範囲を、本請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜12について訂正することを求める。」というものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし12について、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載されとおりに訂正するものである。(下線は、訂正箇所を示すため、当審が付与したものである。) [訂正事項1] 特許請求の範囲の請求項1に「前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを押すと消灯する発光体。」と記載されているのを、 「前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを押すと消灯し、 予め設定された色の順番を、使用者が指定する新たな色の順番にカスタム設定する設定モードを備え、 前記指示部を構成する前記2つのボタンのうち、一のボタンまたは/および他のボタンを押すことにより前記予め設定された色の順番を、前記カスタム設定をする設定モードとなり、 あらためて前記指示部を構成する2つのボタンのうち、一のボタンまたは/および他のボタンを押すと、前記カスタム設定する設定モードが終了する発光体。」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3ないし12も同様に訂正する。)。 [訂正事項2] 特許請求の範囲の請求項2に「前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを同時に押すと消灯する発光体。」と記載されているのを、 「前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを同時に押すと消灯し、 予め設定された色の順番を、使用者が指定する新たな色の順番にカスタム設定する設定モードを備え、 前記指示部を構成する前記2つのボタンのうち、一のボタンまたは/および他のボタンを押すことにより前記予め設定された色の順番を、前記カスタム設定をする設定モードとなり、 あらためて前記指示部を構成する2つのボタンのうち、一のボタンまたは/および他のボタンを押すと、前記カスタム設定する設定モードが終了する発光体。」に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3ないし12も同様に訂正する。)。 訂正事項1は、引用関係にある請求項1、3ないし12に対して請求されたものであり、訂正事項2は、引用関係にある請求項2、3ないし12に対して請求されたものである。そして、請求項〔1ないし12〕は一群の請求項である。そうすると、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに請求されたものであるといえる。 なお、上記訂正事項1に関して、訂正請求書の「7 請求の理由」「(2)訂正事項」「ア 訂正事項1」には、「前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを同時に押すと消灯し、」と記載されているが、訂正特許請求の範囲の請求項1や訂正請求書の「7 請求の理由」「(3)訂正の理由」「イ 訂正事項が全ての訂正要件に適合している事実の説明」の記載からみて、訂正事項1に関する上記の「前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを同時に押すと消灯し、」は、「前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを押すと消灯し、」の誤記と認める。 上記訂正事項2に関して、訂正請求書の「7 請求の理由」「(2)訂正事項」「イ 訂正事項2」には、「前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを押すと消灯し、」と記載されているが、訂正特許請求の範囲の請求項2や訂正請求書の「7 請求の理由」「(3)訂正の理由」「イ 訂正事項が全ての訂正要件に適合している事実の説明」の記載からみて、訂正事項2に関する上記の「前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを押すと消灯し、」は、「前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを同時に押すと消灯し、」の誤記と認める。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1について 本件特許の願書に添付された明細書(以下「本件特許明細書」といい、特許請求の範囲又は図面を含めて「本件特許明細書等」という。)の段落【0074】には、「メモリーモードは、図17に示すように、デフォルト設定を変更し、使用できる色種、色順をカスタム設定できる。ボタンAおよびボタンBを同時に5秒間押し続けると、設定モードを開始する。また、ボタンAのみを押した場合、色の順番送りを可能とする。また、ボタンBのみを押した場合、色を選択できる。また、あらためてボタンAおよびBを同時に0.5秒押すと設定モードが終了する。」と記載され(下線は当審が付した。以下同様である。)、同【0081】には、「指示部は、保持部分1401の底に設けられ、ボタンAおよびBを有している。利用者がボタンAまたは/およびBを押すと、ボタンを介して端子が押下され、該押下の回数等の情報が基盤に伝えられる。該情報をもとに基盤は制御部に発光条件の変更指示を与える。」と記載され、本件特許明細書等の請求項4には、「前記予め設定された色の順番を、使用者が指定する新たな色の順番にカスタム設定する設定モードを備え、前記指示部を構成する前記2つのボタンの両方が5秒以上押されると、前記設定モードとなることを特徴とする請求項3に記載の発光体。」と記載され、同請求項5には、「前記予め設定された色の順番を、使用者が指定する新たな色の順番にカスタム設定する設定モードを備え、前記設定モードにおいて、前記指示部を構成する前記2つのボタンのうち、一のボタンが押されると、予め設定された色の順番に沿って発光色を変化させ、他のボタンが押されると、直近の発光色を、前記新たな色の順番のひとつとして設定することを特徴とする請求項3又は4に記載の発光体。」と記載され、図17には、以下の事項が記載されている。 しかしながら、訂正事項1の「前記指示部を構成する前記2つのボタンのうち、一のボタンまたは/および他のボタンを押すことにより前記予め設定された色の順番を、前記カスタム設定をする設定モードとなり、あらためて前記指示部を構成する2つのボタンのうち、一のボタンまたは/および他のボタンを押すと、前記カスタム設定する設定モードが終了する」という構成(以下「事項A」ともいう。)は、一のボタンまたは他のボタンを押すことにより設定モードとなり、あらためて一のボタンまたは他のボタンを押すと設定モードが終了する構成を含むものであり、事項Aは、本件特許明細書等には記載されていないし、本件特許明細書等の記載等から、当業者にとって自明な事項であるともいえない。 したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものあるとはいえないので、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、事項Aを含むから、上記(1)で述べたのと同じ理由により、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるとはいえないので、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しない。 3 まとめ したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しないから、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の記載のとおり、訂正後の請求項1ないし12について訂正することを認めることはできない。 第3 本件発明 上記「第2」で述べたとおり、本件訂正は認められないので、特許第6691341号の請求項1〜12に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」〜「本件発明12」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1〜12に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「 【請求項1】 筒状の胴体部分、および、該胴体部分と連結し、利用者が保持するための保持部分を備える発光体であって、 前記発光体は、 光を放射する発光部と、 少なくとも前記発光部に電力を供給する電源部と、 を有し、 前記発光部は、 赤色の光を放射する第1の発光ダイオードと、 青色の光を放射する第2の発光ダイオードと、 緑色の光を放射する第3の発光ダイオードと、 白色の光を放射する第4の発光ダイオードと、 を含み、 前記保持部分は、 ストラップを装着できるストラップホールと、 前記発光部の発光条件の切替え指示を行う指示部と、を備え、 前記指示部は、2つ以上のボタンで構成されるとともに、利用者に押される回数や長さによって、前記発光部の前記発光条件を切替えるように指示し、 前記発光条件とは、前記第1の発光ダイオード、前記第2の発光ダイオード、前記第3の発光ダイオード、および前記第4の発光ダイオードそれぞれの点灯および消灯を含み、 前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを所定時間押すと、前回使用時における消灯直前の色で点灯し、 前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを前記所定時間よりも長い時間押すと、初期設定における1番の色として設定された色で点灯し、 前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを押すと消灯する発光体。 【請求項2】 筒状の胴体部分、および、該胴体部分と連結し、利用者が保持するための保持部分を備える発光体であって、 前記発光体は、 光を放射する発光部と、 少なくとも前記発光部に電力を供給する電源部と、 を有し、 前記発光部は、 赤色の光を放射する第1の発光ダイオードと、 青色の光を放射する第2の発光ダイオードと、 緑色の光を放射する第3の発光ダイオードと、 白色の光を放射する第4の発光ダイオードと、 を含み、 前記保持部分は、 ストラップを装着できるストラップホールと、 前記発光部の発光条件の切替え指示を行う指示部と、を備え、 前記指示部は、2つのボタンで構成されるとともに、利用者に押される回数や長さによって、前記発光部の前記発光条件を切替えるように指示し、 前記発光条件とは、前記第1の発光ダイオード、前記第2の発光ダイオード、前記第3の発光ダイオード、および前記第4の発光ダイオードそれぞれの点灯および消灯を含み、 前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを同時に所定時間押すと、前回使用時における消灯直前の色で点灯し、 前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを前記所定時間よりも長い時間押すと、初期設定における1番の色として設定されたで点灯し、 前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを同時に押すと消灯する発光体。 【請求項3】 前記指示部を構成する前記2つのボタンのうち、一のボタンが押されると予め設定された色の順番に沿って発光色を変化させ、他のボタンが押されると前記予め設定された色の順番を逆送りにして発光色を変化させる請求項1又は2に記載の発光体。 【請求項4】 前記予め設定された色の順番を、使用者が指定する新たな色の順番にカスタム設定する設定モードを備え、 前記指示部を構成する前記2つのボタンの両方が5秒以上押されると、前記設定モードとなることを特徴とする請求項3に記載の発光体。 【請求項5】 前記予め設定された色の順番を、使用者が指定する新たな色の順番にカスタム設定する設定モードを備え、 前記設定モードにおいて、前記指示部を構成する前記2つのボタンのうち、一のボタンが押されると、予め設定された色の順番に沿って発光色を変化させ、他のボタンが押されると、直近の発光色を、前記新たな色の順番のひとつとして設定することを特徴とする請求項3又は4に記載の発光体。 【請求項6】 さらに、前記第4の発光ダイオードの照度を調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の発光体。 【請求項7】 前記胴体部分は、前記保持部分と連結される側とは反対側に、前記発光部が放射する光を遮蔽するヘッド部を有し、 前記ヘッド部は、前記発光部が放射する光を透過する、図形形状からなる切り込み部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の発光体。 【請求項8】 前記胴体部分は、内部に、装飾シートを備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光体。 【請求項9】 前記胴体部分は、前記保持部分から着脱可能であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光体。 【請求項10】 前記保持部分は、内部に、前記発光部が発する熱を散熱する散熱部を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の発光体。 【請求項11】 前記保持部分は、外部に、前記散熱部に通じるように配設された孔部を有することを特徴とする請求項10に記載の発光体。 【請求項12】 前記第4の発光ダイオードは、蛍光体方式で白色を表現する発光ダイオードである請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光体。」 第4 取消理由の概要 令和3年3月11日付けで通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 [理由] 本件発明1〜12は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件発明1〜12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 ・請求項 1、3 ・刊行物等 1、3、2 又は、 ・刊行物等 3、2 ・請求項 2、4、5 ・刊行物等 1、3、2 ・請求項 6 ・刊行物等 1、3、2、6 又は、 ・刊行物等 3、2、6 ・請求項 7〜11 ・刊行物等 1、3、2、6、7 又は、 ・刊行物等 3、2、6、7 ・請求項 12 ・刊行物等 1、3、2、4、5、6、7 又は、 ・刊行物等 3、2、4、5、6、7 [刊行物等一覧] 1:[レビュー]キングブレードX10II〜フルカラーは第二世代へ, http://monta.moe.in/wp/2013/07-27/23-59_1146 2:[レビュー]ボタン電池でフルカラー:カラフルプロ110, http://monta.moe.in/wp/2013/06-22/02-02_1072 3:[レビュー]ターンオン カラフルサンダー220, http://monta.moe.in/wp/2013/08-08/12-14_1157 4:特表2008−542982号公報 5:特開2013−4398号公報 6:特開2013−247108号公報 7:特許第5324681号公報 上記1〜7の刊行物等(以下それぞれ「引用文献1」〜「引用文献7」という。)は、特許異議申立人が提出した甲第1〜7号証である。 第5 取消理由についての判断 第5の1 引用文献に記載された事項及び発明 1 引用文献1について (1)引用文献1に記載された事項 引用文献1には、写真及び図面が掲載されているとともに、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下同様である。)。 (1a) 「[レビュー]キングブレードX10II〜フルカラーは第二世代へ ・・・ 発売日 2013年07月25日(シャイニング、スモーク) ・・・ 光源フルカラーRGB LED×1 ・・・ 重量(電池・ストラップ含む) 95g(メーカー公表値) ・・・ 今回取り上げるキングブレードX10IIは第二世代のトップバッターとして配色のカスタマイズ、色の順送り・逆送り機能を搭載したペンライトです。」 (1b) 「■外観■ 全長は旧X10と同様に25cmで、持ち手は2〜3mm細くなっています。 また、今回の発売日には含まれていませんが後ほどスーパーチューブタイプ(全長19.9cm)も発売されます。 ・・・ このように持ち手がスマートになっています。特に尻側の膨らみがキュッとシェイプアップされました。 ・・・ 排熱用の通気口は下を向くように変更されており、旧X10のように汗などの水分がダイレクトにヒートシンク、基板に流れこむことがなくなりました。 ・・・ 電池は単四×3。電池スペースと比較すれば持ち手がどれだけ細くなったかイメージしやすいですね。」 (1c) 「■操作性■ 全ての操作は、 底面にある2つのボタンで行います。 ストラップ側にあって表面がザラザラの方をBボタン、ツルツルな方をAボタンとしています。 デフォルトモード(15色カラーチェンジ)のご使用方法 ● ON・・・スイッチAとスイッチBを同時に軽く押し、指を離してください。 (長押しすると、1番の色から始まります。) ● OFF・・・スイッチAとスイッチBを同時に1秒押してください。 ● カラーチェンジ・・・スイッチAを押すと下記の色順に変わり、スイッチBを押すと色順が逆戻りします。 1.RED→2.BLUE→3.WHITE→4.ORANGE→5.GREEN→6.PURPLE →7.PINK→8.YELLOW→9.LIGHT GREEN→10.LIGHT BLUE →11.LIGHT PINK→12.VIOLET→13.LIME→14.TURQOISE→15.HOT PINK メモリー機能(色順・色数の変更)のご使用方法・・・OFFにした状態で、スイッチBを5秒間長押ししてください。→REDが点滅します。 ・・・スイッチAを押すと色が変わります。スイッチBを押すと色が選択され、点滅が速くなります。 設定したい順に色を選択してください。(最大30番まで設定可能) ・・・色を全て選んだら、スイッチBを長押ししてください。→OFFになり、設定完了となります。 ※設定完了後のON/OFF・カラーチェンジ方法は、デフォルトモードと同じです。 ※30番目を設定すると自動でOFFになり、設定完了となります。 メモリーのリセット方法・・・OFFにした状態で、スイッチBを5秒間長押ししてください。→REDが点滅します。 ・・・スイッチAを長押ししてください。→OFFになり、色順・色数がデフォルトモードにリセットされます。 ※電池を交換しても、設定中のメモリーは保持されます。」 (2)引用文献1に記載された発明 ア 以下、摘記(1b)の画像を上から順に「画像1、2、3、4、5、6及び7」、摘記(1c)の画像を上から順に「画像8及び9」、摘記(1c)の図面を「図1」という。 摘記(1b)、(1c)、画像1〜9及び図1から、ペンライトの持ち手は、筒状の胴体部分と連結された持ち手であり、持ち手が、スイッチAとスイッチBを備え、外部に排熱用の通気口を備え、持ち手には、ストラップホールにストラップが装着されていることが、明らかである。 イ 上記ア及び摘記(1a)〜(1c)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明A] 「筒状の胴体部分と連結された持ち手がスマートになっている、配色のカスタマイズ、色の順送り・逆送り機能を搭載したペンライトであって、 ペンライトは、電池・ストラップを含む重量が95gで、光源が、フルカラーRGB LED×1であり、持ち手が、スイッチAとスイッチBを備え、外部に排熱用の通気口を備え、持ち手には、ストラップホールにストラップが装着され、 ONは、スイッチAとスイッチBを同時に軽く押し、指を離し、長押しすると、1番の色から始まり、 OFFは、スイッチAとスイッチBを同時に1秒押し、 カラーチェンジは、スイッチAを押すと、1.RED→2.BLUE→3.WHITE→4.ORANGE→5.GREEN→6.PURPLE→7.PINK→8.YELLOW→9.LIGHT GREEN→10.LIGHT BLUE→11.LIGHT PINK→12.VIOLET→13.LIME→14.TURQOISE→15.HOT PINKの色順に変わり、スイッチBを押すと色順が逆戻りし、 色順・色数の変更は、OFFにした状態でスイッチBを5秒間長押しするとREDが点滅し、スイッチAを押すと色が変わり、スイッチBを押すと色が選択され点滅が速くなり、設定したい順に色を選択し、色を全て選んだらスイッチBを長押ししてOFFになり設定完了となる、 ペンライト。」 2 引用文献2について 引用文献2には、以下の事項が記載されている。 (2a) 「[レビュー]ボタン電池でフルカラー:カラフルプロ110 ・・・ 発売日 2013年06月21日 ・・・ 光源 フルカラーRGBW LED×1 ・・・ 重量(電池・ストラップ含む) キラキラMサイズ:54.7g キラキラSサイズ:52.5g ホワイトMサイズ:51.7g ホワイトSサイズ:50.4g ・・・ ボタン電池式ペンライトに新たなスタンダードが誕生しました。 カラフルプロ1本で、 ・・・ 全17色もの色を持ち歩くことができます。 ・・・ カラプロのLEDはRGBの三原色に加えてWhiteが搭載されています。計4LEDです。クアッドです。」 3 引用文献3について (1)引用文献3に記載された事項 引用文献3には、写真及び図面が掲載されているとともに、以下の事項が記載されている。 (3a) 「[レビュー]ターンオン カラフルサンダー220 ・・・ 発売日 2013年08月02日(キラキラ先行発売) 2013年08月06日(キラキラ一般発売) ・・・ 光源フルカラーRGB LED×1 ・・・ 重量(電池・ストラップ含む) 97g(メーカー公表値) ・・・ フルカラーペンライトにおいてキンブレX10シリーズと人気を二分するもう一つの雄「カラフルサンダー」(通称カラサン)にも次世代機が登場しました。 その名はカラフルサンダー220。」 (3b) 「■外観■ 全長は旧カラサン110と同じく24.7cmです。 持ち手の太さは2mmほど細くなりました。 ・・・ 冷却用の排熱口を増やすと同時に、「CONCERT PENLIGHT」のシールが小さくなりカッコ良さがやや増しています。(個人の感想です) ・・・ ・・・ 裏面にはボタンが3つ増設されました。 この3つのボタンと 底面の1ボタンの計4つの黒いボタンで操作することになります。 電池ボックスは特に変わっていません。」 (3c) 「■操作性■ Aボタン…順送り Bボタン…逆送り Cボタン…機能呼び出し Dボタン…電源ON、OFF 【ライトON、OFF】 Dボタンを0.5秒長押しで点灯→最後に使用した色と明るさからスタート Dボタンを2.0秒長押しで点灯→色をリセットしてスタート 点灯中にDボタンを2.0秒長押し→消灯 カラサン110では最短1.0秒長押ししないと点灯しなかったところ、220では0.5秒で点灯できるよう改善されました。(カラフルプロと同じ仕様です) 【色の切り替え】 Aボタン…順送り、Bボタン…逆送りで操作するだけです。直感的ですね。 色の順番は初期設定だと、 1. レッド → 2. ローズ → 3. ブルー → 4. ライトブルー → 5. アクアブルー → 6. イエロー → 7. ライトイエロー → 8. オレンジ → 9. グリーン → 10. ライトグリーン → 11. エメラルドグリーン →12. ピンク → 13. ピーチ → 14. サクラピンク → 15. バイオレット → 16. パープル → 17. ホワイトの順です。」 (2)引用文献3に記載された発明 ア 以下、摘記(3b)の画像を上から順に「画像1、2、3、4及び5」、摘記(3c)の図面を「図1」という。 摘記(3b)、(3c)、画像1〜5及び図1から、フルカラーペンライトの持ち手は、筒状の胴体部分と連結された持ち手であり、持ち手が、裏面にA、B及びCボタンと底面にDボタンを備え、外部に冷却用の排熱口を備え、持ち手には、ストラップホールにストラップが装着されていることが、明らかである。 イ 上記ア及び摘記(3a)〜(3c)から、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明B」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明B] 「筒状の胴体部分と連結された持ち手を備えた、フルカラーペンライトであって、 フルカラーペンライトは、電池・ストラップを含む重量が97gで、光源が、フルカラーRGB LED×1であり、持ち手が、裏面にA、B及びCボタンと底面にDボタンを備え、外部に冷却用の排熱口を備え、持ち手には、ストラップホールにストラップが装着され、 Dボタンを0.5秒長押しで点灯して最後に使用した色と明るさからスタートし、 Dボタンを2.0秒長押しで点灯して色をリセットしてスタートし、 点灯中にDボタンを2.0秒長押して消灯し、 色の順番は初期設定だと、 1. レッド → 2. ローズ → 3. ブルー → 4. ライトブルー → 5. アクアブルー → 6. イエロー → 7. ライトイエロー → 8. オレンジ → 9. グリーン → 10. ライトグリーン → 11. エメラルドグリーン → 12. ピンク → 13. ピーチ → 14. サクラピンク → 15. バイオレット → 16. パープル → 17. ホワイトの順であり、 Aボタンは順送りで、Bボタンは逆送りである、 フルカラーペンライト。」 4 引用文献4について 引用文献4には、以下の事項が記載されている。 (4a) 「【0020】 実用的な用途において、発光モジュールは、少なくとも一つの発光ダイオードまたはレーザダイオードを含む。発光モジュールの発光ダイオードは、白色発光ダイオードまたは青色発光ダイオード及び蛍光体でできている白色発光ダイオードである可能性がある。発光装置はまた、少なくとも一つの赤色発光ダイオード、少なくとも一つの青色発光ダイオード及び少なくとも一つの緑色発光ダイオードを含む可能性がある。制御回路モジュールは、少なくとも一つの赤色発光ダイオード、少なくとも一つの青色発光ダイオード及び少なくとも一つの緑色発光ダイオードを選択的に発光させることができるので、異なる色を有する発光ダイオードは、光放射の異なる比率を適用することによって異なる色の光を構成することができる。」 5 引用文献5について 引用文献5には、以下の事項が記載されている。 (5a) 「【0005】 一般的に、疑似白色LEDは青色光で蛍光体を励起することで黄色光を得て、この黄色光と青色光とを混合することにより、疑似的な白色光を得ている。このような疑似白色LEDを用いることで、電力―光変換効率の高い光源を得ることが可能である。しかしながら、疑似白色LEDは、およそ460nmと560nm付近に波長ピークを持ち、他の波長成分が不足する為、照らされる物質本来の色合いを再現する演色性に乏しい。特に、赤色や緑色の物質を照らした場合に、これらの色がくすんで見えてしまうことがある。そのため、例えば、博物館などの美術品本来の色を再現することが求められる場所においては、照明装置の光源として疑似白色LEDを用いることは好ましくない。また、疑似白色LEDを用いた場合には、照明の色温度を自由に変更することもできない。 ・・・ 【0019】 LEDユニット10Wは、5個の白色LED1Wおよび1個の抵抗R10Wが直列接続されたLED列2Wが、5列、並列に接続されて構成される。本実施形態においては、白色LED1Wとして、青色光で蛍光体を励起して黄色光を得る手法を用いて疑似的な白色光を得る、疑似白色LEDを用いる。」 6 引用文献6について 引用文献6には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (6a) 「【0030】 本発明に係る棒状ライト100は、筒状の胴体部101と、胴体部101の内部に設けられ、発光する発光部201と、胴体部101の前端に設けられ、発光部201が発する光を遮蔽するヘッド部301と、胴体部101と連結し、手でつかむための保持部401と、保持部401の内部に設けられ、発光部201に動力を供給する電源部501とを備える。 ・・・ 【0039】 また、ヘッド部301は、光を一部透過させる、図形形状からなる切り込み部302を有する構成としてもよい。 【0040】 切り込み部302は、線状の図形形状であり、ヘッド部301へ照射された光が透過可能な箇所をいう。切り込み部302は、星や王冠のような図形や、文字としてもよい。ただし、切り込み部302は照度を十分に抑えられる程度の幅であることが望ましい。第1の実施形態においては、図6に示すようにヘッド部301は、星型の切り込み部302を有している。」 (6b) 「【0041】 また、胴体部101は、更に、内側に装飾シート102を備えてもよい。装飾シート102は、特定の波長の光が透過可能なシートのことをいう。発光部201から発光された特定の波長の光を、該装飾シート102に透過させることで、光が色を有しているように見せる効果がある。また、装飾シート102は、表面に複数の凹凸を備え、光を乱反射させるものであってもよい。具体的には、セロファン、塩化ビニール、フィルム等が挙げられる。」 (6c) 「【0043】 また、胴体部101は、保持部401から着脱可能な構成としてもよい。」 (6d) 「【0046】 制御部601は、制御回路を有したものをいい、具体的にはCPUやICチップ等の基板回路が挙げられる。制御部601では発光部201の発光条件として、例えば発光部201の照度、点滅速度、点滅色等を制御する。 【0047】 保持部401は、更に、制御部601に対して、発光条件の切り替え指示を与えるスイッチ部421を有する構成としてもよい。 【0048】 第1の実施形態では、スイッチ部421を押す回数によって、発光部201の照度を3段階に切り替え可能である。」 (6e) 「【0054】 凸面鏡202は、散熱器具585の内部に設けられ、凸面鏡固定具203によって保持部401に固定される。」 (6f) 図8〜10は、以下のとおりである。 7 引用文献7について 引用文献7には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (7a) 「【請求項1】 筒状の胴体部と、 前記胴体部の内部に位置し、発光する発光部と、 前記胴体部の前端に設けられ、前記発光部が発する光を遮蔽するヘッド部と、 前記胴体部と連結し、側面に孔部を備える手でつかむための保持部と、 前記保持部の内部に設けられ、前記発光部に動力を供給する電源部と、 前記保持部の内部であって、前記孔部に隣り合うように設けられた、前記発光部が発する熱を散熱する散熱部とを有し、 前記胴体部は、前記保持部に差し込まれることで前記保持部に連結し、 前記発光部は、前記胴体部の、前記保持部に差し込まれた部分に位置する棒状 ライト。 【請求項2】 前記ヘッド部は、 光を一部透過させる、図形形状からなる切り込み部を有することを特徴とする請求項1記載の棒状ライト。」 (7b) 「【請求項3】 前記胴体部は、更に、 内側に装飾シートを備えることを特徴とする請求項1または2記載の棒状ライト。」 (7c) 「【請求項4】 前記胴体部は、前記保持部から着脱可能であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の棒状ライト。」 (7d) 「【0054】 凸面鏡202は、散熱器具585の内部に設けられ、凸面鏡固定具203によって保持部401に固定される。」 (7e) 図8〜10は、以下のとおりである。 第5の2 対比・判断 1 引用発明Aを主たる引用発明とした場合 1−1 本件発明1について (1)対比 本件発明1と引用発明Aとを対比する。 ア 引用発明Aの「筒状の胴体部分」、「筒状の胴体部分と連結された持ち手」及び「ペンライト」は、それぞれ、本件発明1の「筒状の胴体部分」、「該胴体部分と連結し、利用者が保持するための保持部分」及び「発光体」に相当する。 したがって、引用発明Aの「筒状の胴体部分と連結された持ち手がスマートになっている、配色のカスタマイズ、色の順送り・逆送り機能を搭載したペンライト」は、本件発明1の「筒状の胴体部分、および、該胴体部分と連結し、利用者が保持するための保持部分を備える発光体」に相当する。 イ (ア) 引用発明Aの「フルカラーRGB LED×1」は、LEDで構成されていることが明らかであり、本件発明1の「光を放射する発光部」に相当する。 (イ) 「ペンライト」の「電池」が、発光部に電力を供給することは、技術常識であることを踏まえると、引用発明Aの「電池」は、本件発明1の「発光部に電力を供給する電源部」に相当する。 (ウ) 引用発明Aの「光源が、フルカラーRGB LED×1」は、赤色の光を放射する発光ダイオード「R」「LED」、緑色の光を放射する発光ダイオード「G」「LED」、青色の光を放射する発光ダイオード「B」「LED」がそれぞれ1つ設けられている光源を意味していることが、明らかである。 したがって、引用発明Aの「光源が、フルカラーRGB LED×1」である構成と、本件発明1の「発光部は、赤色の光を放射する第1の発光ダイオードと、青色の光を放射する第2の発光ダイオードと、緑色の光を放射する第3の発光ダイオードと、白色の光を放射する第4の発光ダイオードと、を含」む構成とは、「発光部は、赤色の光を放射する第1の発光ダイオードと、青色の光を放射する第2の発光ダイオードと、緑色の光を放射する第3の発光ダイオードと、を含」む構成において共通している。 (エ) 上記(ア)〜(ウ)から、 引用発明Aの 「ペンライトは、電池・ストラップを含む重量が95gで、光源が、フルカラーRGB LED×1であ」る構成と、 本件発明1の 「前記発光体は、 光を放射する発光部と、 少なくとも前記発光部に電力を供給する電源部と、 を有し、 前記発光部は、 赤色の光を放射する第1の発光ダイオードと、 青色の光を放射する第2の発光ダイオードと、 緑色の光を放射する第3の発光ダイオードと、 白色の光を放射する第4の発光ダイオードと、 を含」む構成とは、 「前記発光体は、 光を放射する発光部と、 少なくとも前記発光部に電力を供給する電源部と、 を有し、 前記発光部は、 赤色の光を放射する第1の発光ダイオードと、 青色の光を放射する第2の発光ダイオードと、 緑色の光を放射する第3の発光ダイオードと、 を含」む構成において共通している。 ウ 引用発明Aの「ストラップが装着され」る「ストラップホール」は、本件発明1の「ストラップを装着できるストラップホール」に相当する。 引用発明Aの「スイッチAとスイッチB」は、「ONは、スイッチAとスイッチBを同時に軽く押し、指を離し、長押しすると、1番の色から始ま」る等の機能を参照すると、発光部の発光条件の切替え指示を行っていることが明らかであり、本件発明1の、「発光部の発光条件の切替え指示を行う指示部」に相当する。 これらのことと、上記アから、引用発明Aの「ペンライトは」、「持ち手が、スイッチAとスイッチBを備え」、「持ち手には、ストラップホールにストラップが装着され」ている構成は、本件発明1の「前記保持部分は、ストラップを装着できるストラップホールと、前記発光部の発光条件の切替え指示を行う指示部と、を備え」ている構成に相当する。 エ 引用発明Aの「スイッチAとスイッチB」は、「同時に軽く押」されるから、いずれもボタンで構成されていることが明らかであり、本件発明1の「2つ以上のボタンで構成される」「指示部」に相当する。 引用発明Aの「ON」により、消灯していた「フルカラーRGB LED×1であ」る「光源」が点灯し、引用発明Aの「OFF」により、点灯していた「フルカラーRGB LED×1であ」る「光源」が消灯することが明らかであり、引用発明Aの「ON」及び「OFF」により、光源の発光条件を切替えるといえる。 これらのことと、上記イ(エ)及びウを踏まえると、引用発明Aの「ONは、スイッチAとスイッチBを同時に軽く押し、指を離し」、「OFFは、スイッチAとスイッチBを同時に1秒押」す構成と、本件発明1の「前記指示部は、2つ以上のボタンで構成されるとともに、利用者に押される回数や長さによって、前記発光部の前記発光条件を切替えるように指示し、前記発光条件とは、前記第1の発光ダイオード、前記第2の発光ダイオード、前記第3の発光ダイオード、および前記第4の発光ダイオードそれぞれの点灯および消灯を含」む構成とは、「前記指示部は、2つ以上のボタンで構成されるとともに、利用者に押される回数や長さによって、前記発光部の前記発光条件を切替えるように指示し、前記発光条件とは、前記第1の発光ダイオード、前記第2の発光ダイオード、および前記第3の発光ダイオードそれぞれの点灯および消灯を含」む構成において共通している。 オ (ア) 上記エを踏まえると、引用発明Aの「ONは、スイッチAとスイッチBを同時に軽く押し、指を離」す構成と、本件発明1の「前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを所定時間押すと、前回使用時における消灯直前の色で点灯」する構成とは、「前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを所定時間押すと」、「点灯」する構成において共通している。 (イ) また、引用発明Aの「長押し」及び「1番の色」は、それぞれ、本件発明1の「所定時間よりも長い時間」及び「初期設定における1番の色として設定された色」に相当することと、上記エを踏まえると、引用発明Aの「ONは、スイッチAとスイッチBを同時に」「長押しすると、1番の色から始ま」る構成は、本件発明1の「前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを前記所定時間よりも長い時間押すと、初期設定における1番の色として設定された色で点灯」する構成に相当する。 (ウ) さらに、上記エを踏まえると、引用発明Aの「OFFは、スイッチAとスイッチBを同時に1秒押」す構成は、本件発明1の「前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを押すと消灯する」構成に相当する。 以上から、本件発明1と引用発明Aとの一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点1−A> 「筒状の胴体部分、および、該胴体部分と連結し、利用者が保持するための保持部分を備える発光体であって、 前記発光体は、 光を放射する発光部と、 少なくとも前記発光部に電力を供給する電源部と、 を有し、 前記発光部は、 赤色の光を放射する第1の発光ダイオードと、 青色の光を放射する第2の発光ダイオードと、 緑色の光を放射する第3の発光ダイオードと、 を含み、 前記保持部分は、 ストラップを装着できるストラップホールと、 前記発光部の発光条件の切替え指示を行う指示部と、を備え、 前記指示部は、2つ以上のボタンで構成されるとともに、利用者に押される回数や長さによって、前記発光部の前記発光条件を切替えるように指示し、 前記発光条件とは、前記第1の発光ダイオード、前記第2の発光ダイオード、および前記第3の発光ダイオードそれぞれの点灯および消灯を含み、 前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを所定時間押すと、点灯し、 前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを前記所定時間よりも長い時間押すと、初期設定における1番の色として設定された色で点灯し、 前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを押すと消灯する発光体。」 <相違点1−1−A> 「発光部」及び「発光条件」について、本件発明1では、「白色の光を放射する第4の発光ダイオード」「を含み」及び「前記第4の発光ダイオード」「の点灯および消灯を含」むのに対して、引用発明Aでは、そのように特定されていない点。 <相違点2−1−A> 「前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを所定時間押すと、点灯し、」について、本件発明1では、前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを所定時間押すと、「前回使用時における消灯直前の色で」点灯するのに対して、引用発明Aでは、そのように特定されていない点。 (2)判断 相違点について、以下検討する。 ア 相違点1−1−Aについて 引用文献2には、「カラプロのLEDはRGBの三原色に加えてwhiteが搭載されています。」と記載され、「ボタン電池式ペンライト」の「光源 フルカラーRGBW LED×1」(以下「引用文献2に記載された技術事項」ともいう。)が記載されているところ、「光源 フルカラーRGBW LED×1」は、赤色の光を放射する発光ダイオード「R」「LED」、緑色の光を放射する発光ダイオード「G」「LED」、青色の光を放射する発光ダイオード「B」「LED」、白色の光を放射する発光ダイオード「W」「LED」が、それぞれ1つ設けられている光源を意味していることが、明らかである。 引用発明Aと引用文献2に記載された技術事項とは、「ペンライト」において技術分野が共通していることに加え、「光源」に3種類以上のLEDを設けることや「電池」を含むことなど、主要な構造も共通していることから、引用発明Aに引用文献2に記載された技術事項を適用する動機付けは充分にあるといえる。 したがって、引用発明Aに引用文献2に記載された技術事項を適用し、引用発明Aの「光源が、フルカラーRGB LED×1」に、「W」「LED」(白色の光を放射する発光ダイオード)を1つ加えることで、引用発明Aの「光源」(本件発明1の「発光部」に相当。)が「白色の光を放射する発光ダイオード」を含み、その「光源」の発光条件が「白色の光を放射する発光ダイオード」の点灯および消灯を含むように構成して、上記相違点1−1−Aに係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たといえる。 イ 相違点2−1−Aについて 引用発明Bの「フルカラーペンライト」は、「電池」「を含」み、「光源が、フルカラーRGB LED×1であり」、「Dボタンを0.5秒長押しで点灯して最後に使用した色と明るさからスタート」する構成を備えている。 引用発明Aと引用発明Bとは、「ペンライト」において技術分野が共通していることに加え、「光源」に3種類以上のLEDを設けることや「電池」を含むことなど、主要な構造も共通していることから、引用発明Aに引用発明Bを適用する動機付けは充分にあるといえる。 したがって、引用発明Aに引用発明Bを適用し、引用発明Aの「ONは、スイッチAとスイッチBを同時に軽く押し、指を離し」た際に、最後に使用した色と明るさからスタートすることで、発光部が消灯している状態において、指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを所定時間押すと、前回使用時における消灯直前の色で点灯するようにすること、すなわち、上記相違点2−1−Aに係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たといえる。 ウ 本件発明1についてのまとめ 上記ア、イから、本件発明1は、引用発明A、引用発明B及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 1−2 本件発明2について (1)対比 本件発明2と引用発明Aとを対比する。 ア 上記1−1(1)ア〜エと同様のことがいえる(本件発明2は「2つのボタン」であるが、本件発明1は「2以上のボタン」であり、この点だけが異なるが、それ以外の部分は、上記1−1(1)ア〜エで述べた対比と同じである。)。 (ア) 上記1−1(1)エを踏まえると、引用発明Aの「ONは、スイッチAとスイッチBを同時に軽く押し、指を離」す構成と、本件発明2の「前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを同時に所定時間押すと、前回使用時における消灯直前の色で点灯」する構成とは、「前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを同時に所定時間押すと」、「点灯」する構成において共通している。 (イ) また、引用発明Aの「長押し」及び「1番の色」は、それぞれ、本件発明1の「所定時間よりも長い時間」及び「初期設定における1番の色として設定された色」に相当することと、上記1−1(1)エを踏まえると、引用発明Aの「ONは、スイッチAとスイッチBを同時に」「長押しすると、1番の色から始ま」る構成は、本件発明2の「前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを前記所定時間よりも長い時間押すと、初期設定における1番の色として設定されたで点灯」する構成に相当する。 (ウ) さらに、上記1−1(1)エを踏まえると、引用発明Aの「OFFは、スイッチAとスイッチBを同時に1秒押」す構成は、本件発明2の「前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを同時に押すと消灯する」構成に相当する 以上から、本件発明2と引用発明Aとの一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点2−A> 「筒状の胴体部分、および、該胴体部分と連結し、利用者が保持するための保持部分を備える発光体であって、 前記発光体は、 光を放射する発光部と、 少なくとも前記発光部に電力を供給する電源部と、 を有し、 前記発光部は、 赤色の光を放射する第1の発光ダイオードと、 青色の光を放射する第2の発光ダイオードと、 緑色の光を放射する第3の発光ダイオードと、 を含み、 前記保持部分は、 ストラップを装着できるストラップホールと、 前記発光部の発光条件の切替え指示を行う指示部と、を備え、 前記指示部は、2つのボタンで構成されるとともに、利用者に押される回数や長さによって、前記発光部の前記発光条件を切替えるように指示し、 前記発光条件とは、前記第1の発光ダイオード、前記第2の発光ダイオード、および前記第3の発光ダイオードそれぞれの点灯および消灯を含み、 前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを同時に所定時間押すと、点灯し、 前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを前記所定時間よりも長い時間押すと、初期設定における1番の色として設定されたで点灯し、 前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを同時に押すと消灯する発光体。」 <相違点1−2−A> 「発光部」及び「発光条件」について、本件発明2では、「白色の光を放射する第4の発光ダイオード」「を含み」及び「前記第4の発光ダイオード」「の点灯および消灯を含」むのに対して、引用発明Aでは、そのように特定されていない点。 <相違点2−2−A> 「前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成する2つのボタンを同時に所定時間押すと、点灯し、」について、本件発明2では、前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、前記指示部を構成する2つのボタンを同時に所定時間押すと、「前回使用時における消灯直前の色で」点灯するのに対して、引用発明Aでは、そのように特定されていない点。 (2)判断 上記相違点1−2−A及び相違点2−2−Aについて検討するに、その内容は上記相違点1−1−A及び相違点2−1−Aと同じであることから、上記1−1(2)で判断したのと同じ理由により、本件発明2は、引用発明A、引用発明B及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 1−3 本件発明3について (1) 請求項1又は2を引用する部分についての対比・判断は、上記1−1ないし上記1−2で述べたとおりである。 (2) 上記1−1(1)エ、上記1−2(1)アを踏まえると、引用発明Aの「スイッチA」及び「スイッチB」は、それぞれ、本件発明3の「指示部を構成する前記2つのボタンのうち、一のボタン」及び「他のボタン」に相当する。 このことから、引用発明Aの「カラーチェンジは、スイッチAを押すと、1.RED→2.BLUE→3.WHITE→4.ORANGE→5.GREEN→6.PURPLE→7.PINK→8.YELLOW→9.LIGHT GREEN→10.LIGHT BLUE→11.LIGHT PINK→12.VIOLET→13.LIME→14.TURQOISE→15.HOT PINKの色順に変わり、スイッチBを押すと色順が逆戻り」する構成は、本件発明3の「前記指示部を構成する前記2つのボタンのうち、一のボタンが押されると予め設定された色の順番に沿って発光色を変化させ、他のボタンが押されると前記予め設定された色の順番を逆送りにして発光色を変化させる」構成に相当する。 (3) したがって、本件発明3は、引用発明A、引用発明B及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 1−4 本件発明4について (1) 請求項3を引用する部分についての対比・判断は、上記1−3で述べたとおりである。 (2) さらに、本件発明4と引用発明Aとを対比する。 上記1−1(1)エを踏まえると、引用発明Aの「スイッチB」と、本件発明4の「前記指示部を構成する前記2つのボタン」とは、「前記指示部を構成する前記ボタン」において共通している。 このことを踏まえると、引用発明Aの「色順・色数の変更は、OFFにした状態でスイッチBを5秒間長押しするとREDが点滅し、スイッチAを押すと色が変わり、スイッチBを押すと色が選択され点滅が速くなり、設定したい順に色を選択し、色を全て選んだらスイッチBを長押ししてOFFになり設定完了となる」する構成と、本件発明4の「前記予め設定された色の順番を、使用者が指定する新たな色の順番にカスタム設定する設定モードを備え、前記指示部を構成する前記2つのボタンの両方が5秒以上押されると、前記設定モードとなる」構成とは、「前記予め設定された色の順番を、使用者が指定する新たな色の順番にカスタム設定する設定モードを備え、前記指示部を構成する前記ボタンが5秒以上押されると、前記設定モードとなる」る構成において共通し、本件発明4は、「前記2つのボタンの両方」が5秒以上押されると、前記設定モードとなる」のに対して、引用発明Aは、「色順・色数の変更は、OFFにした状態でスイッチBを5秒間長押しするとREDが点滅」する点で相違する。 (3) 1つのスイッチを押すと設定モードとなることと、2つのスイッチを同時に押すと設定モードとなることとは、当業者が適宜選択し得る事項にすぎず、引用発明Aの「色順・色数の変更は、OFFにした状態でスイッチBを5秒間長押しするとREDが点滅」する構成を、「色順・色数の変更は、OFFにした状態でスイッチAとスイッチBを同時に5秒間長押しするとREDが点滅」構成とすることで、上記(2)の相違点に係る本件発明4の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (4) したがって、本件発明4は、引用発明A、引用発明B及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 1−5 本件発明5について (1) 請求項3又は4を引用する部分についての対比・判断は、上記1―3ないし1−4で述べたとおりである。 (2) さらに、本件発明5と引用発明Aとを対比する。 引用発明Aの「スイッチA」及び「スイッチB」は、それぞれ、本件発明5の「前記指示部を構成する前記2つのボタンのうち、一のボタン」及び「他のボタン」に相当する。 このことを踏まえると、引用発明Aの「色順・色数の変更は、OFFにした状態でスイッチBを5秒間長押しするとREDが点滅し、スイッチAを押すと色が変わり、スイッチBを押すと色が選択され点滅が速くなり、設定したい順に色を選択し、色を全て選んだらスイッチBを長押ししてOFFになり設定完了となる」ことは、本件発明5の「前記予め設定された色の順番を、使用者が指定する新たな色の順番にカスタム設定する設定モードを備え、前記設定モードにおいて、前記指示部を構成する前記2つのボタンのうち、一のボタンが押されると、予め設定された色の順番に沿って発光色を変化させ、他のボタンが押されると、直近の発光色を、前記新たな色の順番のひとつとして設定する」ことに相当する。 (3) したがって、本件発明5は、引用発明A、引用発明B及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 1−6 本件発明6〜10について (1) 請求項1ないし5を引用する部分についての対比・判断は、上記1−1ないし1−5で述べたとおりである。 (2) さらに、本件発明6〜10と引用発明Aとを対比すると、 本件発明6は、「前記第4の発光ダイオードの照度を調整する」、 本件発明7は、「前記胴体部分は、前記保持部分と連結される側とは反対側に、前記発光部が放射する光を遮蔽するヘッド部を有し、前記ヘッド部は、前記発光部が放射する光を透過する、図形形状からなる切り込み部を有する」、 本件発明8は、「前記胴体部分は、内部に、装飾シートを備える」、 本件発明9は、「前記胴体部分は、前記保持部分から着脱可能である」、 本件発明10は、「前記保持部分は、内部に、前記発光部が発する熱を散熱する散熱部を有する」のに対して、 引用発明Aは、そのように特定されていない点で相違するが、 本件発明6が備える技術事項である「発光ダイオードの照度を調整する」こと(摘記(6d)参照)、本件発明7が備える技術事項である「胴体部分は、保持部分と連結される側とは反対に、発光部が放射する光を遮蔽するヘッド部を有し、前記ヘッド部は、前記発光部が放射する光を透過する、図形形状からなる切り込み部を有する」こと(摘記(6a)、(6f)、摘記(7a)、(7e)参照)、本件発明8が備える技術事項である「胴体部分は、内部に、装飾シートを備える」こと(摘記(6b)、摘記(7b)参照)、本件発明9が備える技術事項である「胴体部分は、保持部分から着脱可能である」こと(摘記(6c)、摘記(7c)参照)、及び、本件発明10が備える技術事項である「保持部分は、内部に、発光部が発する熱を散熱する散熱部を有する」こと(摘記(6e)、(6f)、摘記(7a)、(7d)、(7e)参照)は、いずれも、引用文献6ないし引用文献7記載されており、引用発明Aにおいて、これらの技術事項を採用することは、当業者が容易になし得たことである。 (3) したがって、本件発明6〜10は、引用発明A、引用発明B、引用文献2に記載された技術事項、及び、引用文献6ないし引用文献7に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 1−7 本件発明11について (1) 請求項1ないし10を引用する部分についての対比・判断は、上記1−1ないし1−6で述べたとおりである。 (2) 引用発明Aの「持ち手が」、「外部に排熱用の通気口を備え」ることは、本件発明11の「前記保持部分は、外部に、前記散熱部に通じるように配設された孔部を有すること」に相当する。 (3) したがって、本件発明11は、引用発明A、引用発明B、引用文献2に記載された技術事項、及び、引用文献6ないし引用文献7に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 1−8 本件発明12について (1) 請求項1ないし11を引用する部分についての対比・判断は、上記1−1ないし1−7で述べたとおりである。 (2) さらに、本件発明12と引用発明Aとを対比すると、本件発明12では、「前記第4の発光ダイオードは、蛍光体方式で白色を表現する発光ダイオードである」のに対して、引用発明Aでは、そのように特定されていない点で相違するが、「蛍光体方式で白色を表現する発光ダイオード」(摘記(4a)、摘記(5a))を、上記1−1(2)アの際に採用することは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。 (3) したがって、本件発明12は、引用発明A、引用発明B、引用文献2に記載された技術事項、引用文献6ないし引用文献7に記載された技術事項、及び、引用文献4ないし引用文献5に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 引用発明Bを主たる引用発明とした場合 2−1 本件発明1について (1)対比 本件発明1と引用発明Bとを対比する。 ア 引用発明Bの「筒状の胴体部分」、「筒状の胴体部分と連結された持ち手」及び「フルカラーペンライト」は、それぞれ、本件発明1の「筒状の胴体部分」、「該胴体部分と連結し、利用者が保持するための保持部分」及び「発光体」に相当する。 したがって、引用発明Bの「筒状の胴体部分と連結された持ち手を備えた、フルカラーペンライト」は、本件発明1の「筒状の胴体部分、および、該胴体部分と連結し、利用者が保持するための保持部分を備える発光体」に相当する。 イ (ア) 引用発明Bの「フルカラーRGB LED×1」は、LEDで構成されていることが明らかであり、本件発明1の「光を放射する発光部」に相当する。 (イ) 「フルカラーペンライト」の「電池」が、発光部に電力を供給することは、技術常識であることを踏まえると、引用発明Bの「電池」は、本件発明1の「発光部に電力を供給する電源部」に相当する。 (ウ) 引用発明Bの「光源が、フルカラーRGB LED×1」は、赤色の光を放射する発光ダイオード「R」「LED」、緑色の光を放射する発光ダイオード「G」「LED」、青色の光を放射する発光ダイオード「B」「LED」がそれぞれ1つ設けられている光源を意味していることが、明らかである。 したがって、引用発明Bの「光源が、フルカラーRGB LED×1」である構成と、本件発明1の「発光部は、赤色の光を放射する第1の発光ダイオードと、青色の光を放射する第2の発光ダイオードと、緑色の光を放射する第3の発光ダイオードと、白色の光を放射する第4の発光ダイオードと、を含」む構成とは、「発光部は、赤色の光を放射する第1の発光ダイオードと、青色の光を放射する第2の発光ダイオードと、緑色の光を放射する第3の発光ダイオードと、を含」む構成において共通している。 (エ) 上記(ア)〜(ウ)から、 引用発明Bの 「フルカラーペンライトは、電池・ストラップを含む重量が97gで、光源が、フルカラーRGB LED×1であ」る構成と、 本件発明1の 「前記発光体は、 光を放射する発光部と、 少なくとも前記発光部に電力を供給する電源部と、 を有し、 前記発光部は、 赤色の光を放射する第1の発光ダイオードと、 青色の光を放射する第2の発光ダイオードと、 緑色の光を放射する第3の発光ダイオードと、 白色の光を放射する第4の発光ダイオードと、 を含」む構成とは、 「前記発光体は、 光を放射する発光部と、 少なくとも前記発光部に電力を供給する電源部と、 を有し、 前記発光部は、 赤色の光を放射する第1の発光ダイオードと、 青色の光を放射する第2の発光ダイオードと、 緑色の光を放射する第3の発光ダイオードと、 を含」む構成において共通している。 ウ 引用発明Bの「ストラップが装着され」る「ストラップホール」は、本件発明1の「ストラップを装着できるストラップホール」に相当する。 引用発明Bの「A、B及びCボタン」及び「Dボタン」は、「Dボタンを0.5秒長押しで点灯して最後に使用した色と明るさからスタートし」及び「Aボタンは順送りで、Bボタンは逆送りである」等の機能を参照すると、発光部の発光条件の切替え指示を行っていることが明らかであり、本件発明1の、「発光部の発光条件の切替え指示を行う指示部」に相当する。 これらのことと、上記アから、引用発明Bの「フルカラーペンライトは」、「持ち手が、裏面にA、B及びCボタンと底面にDボタンを備え」、「持ち手には、ストラップホールにストラップが装着され」ている構成は、本件発明1の「前記保持部分は、ストラップを装着できるストラップホールと、前記発光部の発光条件の切替え指示を行う指示部と、を備え」ている構成に相当する。 エ 上記ウを踏まえると、引用発明Bの「A、B及びCボタン」及び「Dボタン」は、本件発明1の「2つ以上のボタンで構成される」「指示部」に相当する。 引用発明Bの「スタート」により、消灯していた「フルカラーRGB LED×1であ」る「光源」が点灯し、引用発明Bの「消灯」により、点灯していた「フルカラーRGB LED×1であ」る「光源」が消灯することが明らかであり、引用発明Bの「スタート」及び「消灯」により、光源の発光条件を切替えるといえる。 これらのことと、上記イ(エ)及びウを踏まえると、引用発明Bの「裏面にA、B及びCボタンと底面にDボタンを備え」「Dボタンを0.5秒長押しで点灯して最後に使用した色と明るさからスタートし、Dボタンを2.0秒長押しで点灯して色をリセットしてスタートし、点灯中にDボタンを2.0秒長押して消灯」する構成と、本件発明1の「前記指示部は、2つ以上のボタンで構成されるとともに、利用者に押される回数や長さによって、前記発光部の前記発光条件を切替えるように指示し、前記発光条件とは、前記第1の発光ダイオード、前記第2の発光ダイオード、前記第3の発光ダイオード、および前記第4の発光ダイオードそれぞれの点灯および消灯を含」む構成とは、「前記指示部は、2つ以上のボタンで構成されるとともに、利用者に押される回数や長さによって、前記発光部の前記発光条件を切替えるように指示し、前記発光条件とは、前記第1の発光ダイオード、前記第2の発光ダイオード、および前記第3の発光ダイオードそれぞれの点灯および消灯を含」む構成において共通している。 オ (ア) 引用発明Bの「Dボタンを0.5秒長押しで点灯して最後に使用した色と明るさからスタート」する構成は、消灯している状態で行う動作であることが明らかである。 引用発明Bの「0.5秒長押し」は、本件発明1の「所定時間」に相当する。 これらのことと、上記エを踏まえると、引用発明Bの「Dボタンを0.5秒長押しで点灯して最後に使用した色と明るさからスタート」する構成は、本件発明1の「記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを所定時間押すと、前回使用時における消灯直前の色で点灯」する構成に相当する。 (イ) 引用発明Bの「Dボタンを2.0秒長押しで点灯して色をリセットしてスタート」する構成は、消灯している状態で行う動作であることが明らかである。 また、上記(ア)を踏まえると、引用発明Bの「2.0秒長押し」は、本件発明1の「所定時間よりも長い時間」に相当する。 引用発明Bの「初期設定」の「色の順番」「1. レッド」は、本件発明1の「初期設定における1番の色として設定された色」に相当する。 引用発明Bにおいて、「色をリセットしてスタート」すると、上記「1. レッド」から始まることが明らかであるから、引用発明Bの「色をリセットしてスタート」する構成は、本件発明1の「初期設定における1番の色として設定された色で点灯」する構成に相当する。 これらのことと、上記エを踏まえると、引用発明Bの「Dボタンを2.0秒長押しで点灯して色をリセットしてスタート」する構成は、本件発明1の「前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを前記所定時間よりも長い時間押すと、初期設定における1番の色として設定された色で点灯」する構成に相当する。 (ウ) さらに、上記エを踏まえると、引用発明Bの「点灯中にDボタンを2.0秒長押して消灯」する構成は、本件発明1の「前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを押すと消灯する」構成に相当する。 以上から、本件発明1と引用発明Bとの一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点1−B> 「筒状の胴体部分、および、該胴体部分と連結し、利用者が保持するための保持部分を備える発光体であって、 前記発光体は、 光を放射する発光部と、 少なくとも前記発光部に電力を供給する電源部と、 を有し、 前記発光部は、 赤色の光を放射する第1の発光ダイオードと、 青色の光を放射する第2の発光ダイオードと、 緑色の光を放射する第3の発光ダイオードと、 を含み、 前記保持部分は、 ストラップを装着できるストラップホールと、 前記発光部の発光条件の切替え指示を行う指示部と、を備え、 前記指示部は、2つ以上のボタンで構成されるとともに、利用者に押される回数や長さによって、前記発光部の前記発光条件を切替えるように指示し、 前記発光条件とは、前記第1の発光ダイオード、前記第2の発光ダイオード、および前記第3の発光ダイオードそれぞれの点灯および消灯を含み、 前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを所定時間押すと、前回使用時における消灯直前の色で点灯し、 前記発光部が消灯している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを前記所定時間よりも長い時間押すと、初期設定における1番の色として設定された色で点灯し、 前記発光部が発光している状態において、前記指示部を構成するボタンのうち、少なくともいずれかを押すと消灯する発光体。」 <相違点1−1−B> 「発光部」及び「発光条件」が、それぞれ、本件発明1は、「白色の光を放射する第4の発光ダイオード」「を含み」及び「前記第4の発光ダイオード」「の点灯および消灯を含」むのに対して、引用発明Bは、そのように特定されていない点。 (2)判断 相違点について、以下検討する。 ア 相違点1−1−Bについて 相違点1−1−Bは、相違点1−1−Aと同じであるから、その判断についても上記1 1−1(2)アで述べたとおりである。 イ 本件発明1についてのまとめ 上記アから、本件発明1は、引用発明B及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2−2 本件発明3について (1) 請求項1を引用する部分については、上記2−1で述べたとおりである。 (2) 上記2−1(1)エを踏まえると、引用発明Bの「Aボタン」及び「Bボタン」は、それぞれ、「指示部を構成する前記2つのボタンのうち、一のボタン」及び「他のボタン」に相当する。 このことから、引用発明Bの「Aボタンは順送りで、Bボタンは逆送りである」構成は、本件発明3の「前記指示部を構成する前記2つのボタンのうち、一のボタンが押されると予め設定された色の順番に沿って発光色を変化させ、他のボタンが押されると前記予め設定された色の順番を逆送りにして発光色を変化させる」構成に相当する。 (3) したがって、本件発明3は、引用発明B及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2−3 本件発明6〜12について (1) 請求項1、3を引用する部分についての対比・判断は、上記2−1ないし2−2で述べたとおりである。 (2) 引用発明Bの「持ち手が」、「外部に冷却用の排熱口を備え」ることは、本件発明11の「前記保持部分は、外部に、前記散熱部に通じるように配設された孔部を有すること」に相当する。 さらに、本件発明6〜10、12と引用発明Bとを対比すると、本件発明6〜10、12は、上記1 1−6(2)、及び、1−8(2)で述べた本件発明6〜10、12の構成を備えるのに対して、引用発明Bは、そのように特定されていない点で相違し、それらの相違点についての判断は、上記1 1−6(2)、及び、1−8(2)で述べたのと同様のことがいえる。 (3) したがって、本件発明6〜11は、引用発明B、引用文献2に記載された技術事項、及び、引用文献6ないし引用文献7に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明12は、引用発明B、引用文献2に記載された技術事項、引用文献6ないし引用文献7に記載された技術事項、及び、引用文献4ないし引用文献5に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 特許権者の主張について 令和3年5月14日付けの意見書における特許権者の主張は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜12に係る発明に基づくものであるが、本件訂正は、上記「第2」で述べたとおり認められないから、上記主張は採用できない。 4 小括 上記1〜3のとおりであるから、本件発明1〜12は、引用発明A、引用発明B、及び、引用文献2、4ないし7に記載された技術事項に基いて、また、本件発明1、3、6〜12は、引用発明B、及び、引用文献2、4ないし7に記載された技術事項に基いて、いずれも、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件発明1〜12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである 第6 むすび 以上のとおり、本件発明1〜12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
異議決定日 | 2021-10-12 |
出願番号 | P2018-221704 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZB
(F21L)
|
最終処分 | 06 取消 |
特許庁審判長 |
藤井 昇 |
特許庁審判官 |
出口 昌哉 一ノ瀬 覚 |
登録日 | 2020-04-14 |
登録番号 | 6691341 |
権利者 | 株式会社ルイファン・ジャパン |
発明の名称 | 発光体 |
代理人 | 特許業務法人白坂 |