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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65G
管理番号 1382089
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-11-24 
確定日 2022-02-17 
事件の表示 特願2019− 64473「段積装置、クレート仕分け装置、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月 8日出願公開、特開2020−164266〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願は、平成31年3月28日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和2年 1月15日付け:拒絶理由通知
令和2年 3月19日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年 8月27日付け:拒絶査定
令和2年11月24日 :審判請求書の提出
令和3年 6月18日付け:当審による拒絶理由通知(以下、「当審拒絶 理由通知」という。)
令和3年 8月 6日 :意見書、手続補正書の提出


第2 本願発明について
本願の請求項1〜9に係る発明は、令和3年8月6日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項7に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項7に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項7】
複数のクレートの種類ごとに割り当てられ、前記種類ごとに前記割り当てられたクレートを段積みする複数の段積装置を備えるクレート仕分け装置を制御するコンピュータに、
前記クレートの種類に応じて、前記複数のクレートを対応する段積装置の上方から落下させて、それぞれ前記割り当てられた前記複数の段積装置へ搬送するステップを、
実行させるプログラム。」


第3 当審拒絶理由通知の概要
当審拒絶理由通知のうち、進歩性に係る拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。

進歩性)本件出願の請求項7〜9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開平9−294963号公報
引用文献2:特開平9−263331号公報
引用文献3:特開昭63−154528号公報


第4 引用文献に記載された事項及び引用発明
1.引用文献1に記載された事項及び引用発明
当審拒絶理由通知に引用された引用文献1である特開平9−294963号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下同様。)。

(1)「【0015】
【実施例】図面は所定形態に折畳まれた多数個の容器をサイズ別に仕分けする作業に用いられる容器仕分け装置を示し、図1に於いて、この容器仕分け装置1は、供給用コンベア2上の積込み位置aに搬送された容器群Bを、積込み位置aの一側部に配設した分離用コンベア3に1群ずつ移載し、分離用コンベア3上の分離位置bに配設した容器分離機4で容器群Bを下段側から1段ずつ分離し、分離用コンベア3上の起立位置cに配設した側壁起立機5で容器Aの長壁部Ac,Acを起立する。
【0016】容器Aは、起立位置cの一側部に配設した検査用コンベア6に1個ずつ移載され、検査用コンベア6上の検査位置dに待機する作業者Cの目で容器A全体が検査され、不良品と判定された容器Aは、同位置側部に配設した不良判定スイッチ7を操作し、不良品毎に入力される。容器Aはまた、検査用コンベア6上の検知位置eに配設した検知センサ8で容器Aのサイズ、特に側壁高さが検知され、同位置後部に接続した仕分け用コンベア9上に順次移載されると共に、不良判定スイッチ7の入力と検知センサ8の検知とに基づいて、仕分け用コンベア9上の仕分け位置f,g,h,i,j,kに配設した分配用コンベア10…にサイズ別に仕分け供給される。分配用コンベア10は、その積重ね位置mに配設した容器積重ね機11で同一サイズの容器Aを上下段に積重ねて次工程に供給し、仕分け用コンベア9上の仕分け位置nに配設した容器回収部12は不良品の容器Aを分離し、洗浄工程又は再生工程に移される。」

(2)「【0025】検査用コンベア6上に設定した検知位置eには、側壁支持棒31により起立状態に支持された容器Aの長壁部Acと対峙する高さ位置に、例えば、光電センサ、リミットスイッチ等の検知手段で構成された検知センサ8が配設され、また、仕分け用コンベア9上に設定された仕分け位置f〜kには、例えば、コンベア、プッシャ等の仕分け手段で構成される容器仕分け機32が送り方向に直交して配設され、不良判定スイッチ7と検知センサ8とが、容器仕分け機32と容器Aのサイズを判定するための判定装置33に接続されている。側壁支持棒31により長壁部Acが起立状態に支持された長容器Aは、その側壁高さを検知センサ8で検知され、検知センサ8から出力される検知信号に基づいて、検知位置eに移動された容器Aのサイズが判定装置33により判定される。その判定と対応する仕分け位置f〜kに容器Aが移動したとき、容器仕分け機32が駆動され、仕分け位置f〜kの一側部に配設した分配用コンベア10…にサイズ別に容器Aを仕分け供給する。仕分け位置f前段にストッパ9aを配設し、該ストッパ9aで後続の容器Aを一旦停止する。
【0026】積重ね位置mに配設した容器積重ね機11は、図8に示すように、同位置に搬送された容器Aの底面部と対峙した容器持上げ台34と、容器持上げ台34の昇降用シリンダ35及び容器保持板36,36からなり、容器持上げ台34は、同位置下部に配設した昇降用シリンダ35の摺動ロッドを容器持上げ台34の下面に固定して、昇降用シリンダ35の作動により、上方両側部に軸支した容器保持板36,36の保持面よりも上方に上昇した位置と、分配用コンベア10の搬送面よりも下方に降下した位置との間を上下動する。
【0027】容器保持板36,36は、容器持上げ台34により所定高さに持上げられた容器Aの両側短辺部と対峙する高さ位置であって、容器Aの両側短辺部を係止する間隔を隔てて軸支され、且つ、容器持上げ台34により所定高さに持上げられた容器Aの両側短辺部に対して係止される係止姿勢と、容器Aの持上げ動作が許容される開放姿勢との間に左右回動可能に設けられている。容器保持板36,36は、その取付け枠37,37との間に、例えば、スプリング、合成ゴム等の弾性部材38,38を張架して、容器Aを係止する係止姿勢に常に回動復帰するように構成している。また、容器保持板36,36は、空気圧式又は油圧式シリンダ等の進退手段(図示省略)により容器Aを係止する方向に左右移動するようにしてもよい。」

(3)「【0032】続いて、図6、図7にも示すように、検知位置eに配設した検知センサ8で側壁支持棒31により起立状態に支持された容器Aの長壁部Acを高さ検知し、検知センサ8から出力される検知信号に基づいて、検知位置eに移動した容器Aは判定装置33によりサイズが判定される。検査済みの容器Aが検査用コンベア6から仕分け用コンベア9に移載されると共に、判定装置33による判定と対応する仕分け位置f〜kに容器Aが移動し、仕分け位置f〜kに配設した容器仕分け機32が駆動して、仕分け位置f〜kの一側部に配設した分配用コンベア10…にサイズ別に仕分けられる。不良品と判定された容器Aは、仕分け用コンベア9上の仕分け位置f〜kを通過し、仕分け位置nに配設した容器回収部12に分離され、例えば、使用不可能な容器Aは再生工程に供給してリサイクルされる。
【0033】次に、図8に示すように、容器積重ね機11を駆動して、積重ね位置mに搬送された容器Aを容器持上げ台34で持上げ、容器持上げ台34に載置された容器Aは、その両側短辺部を容器保持板36,36に当接して左右開放すると共に、容器保持板36,36よりも上方に一旦持上げ、容器保持板36,36を容器Aの両側短辺部に係止して水平姿勢に支持される。以下同様に、積重ね位置mに搬送される容器Aは、容器持上げ台34により順次持上げ、容器保持板36,36間に載置された下段側の容器Aに、容器持上げ台34に載置された容器Aが下方から合致して多数段積重ねられる。この後、多数個の容器A…を積重ねてなる容器群Bは次工程に供給され、或いは、複数群の容器群B…をパレット(図示省略)に一旦載置して、例えば、洗浄工程、組立て工程或いは保管場所、利用者、生産地等の次工程に供給される。」

(4)「【0035】図9は検査用コンベア6上の検査位置dに搬送された容器Aの上面及び側面を撮像用カメラ39,40で撮像し、撮像した画像データに基づいて容器Aをサイズ別に仕分けする第2実施例の検査方法を示し、検査位置dに搬送される容器Aの上面側を撮像用カメラ39で上方から撮像し、側壁支持棒31により起立状態に支持された容器Aの長壁部Acを撮像用カメラ40で側方から撮像し、撮像用カメラ39,40で撮像した画像データに基づいて、容器Aの汚れや破損、変形等を判定し、容器Aの長壁部Acを高さ判定し、或いは、容器A全体の大きさ及び形状を判定装置41で判定する。判定装置41による判定に基づいて、仕分け位置f〜kに配設した分配用コンベア10…に対して容器Aをサイズ別に仕分け供給し、仕分け位置nに配設した容器回収部12に不良品と判定された容器Aを供給することで、容器Aをサイズ別に仕分けする作業と、不良品を判定する作業とが機械的に行えると共に、全作業が正確且つ迅速に行え、作業の省力化及び能率アップを図ることができる。」

(5)上記(2)に摘記した段落【0025】の「側壁支持棒31により長壁部Acが起立状態に支持された長容器Aは、その側壁高さを検知センサ8で検知され、検知センサ8から出力される検知信号に基づいて、検知位置eに移動された容器Aのサイズが判定装置33により判定される。その判定と対応する仕分け位置f〜kに容器Aが移動したとき、容器仕分け機32が駆動され、仕分け位置f〜kの一側部に配設した分配用コンベア10…にサイズ別に容器Aを仕分け供給する。」との記載から、「容器仕分け装置1」は、制御装置を有していると認められる。

摘記事項(1)〜(4)及び認定事項(5)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

【引用発明】
「多数個の容器A…をサイズ別に仕分け供給され、多数個の容器A…を積重ねる複数の容器積重ね機11を配設した容器仕分け装置1を制御する制御装置であって、
複数の容器積重ね機11に、多数個の容器A…をサイズ別に仕分け供給するように容器仕分け装置1を制御する制御装置。」

2.引用文献2に記載された事項
当審拒絶理由通知に引用された引用文献2である特開平9−263331号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(1)「【0017】上述した容器Aは、四角形に形成した底部Aaの両側短辺部に各短壁部Ab,Abを内側に対して折畳み可能に連結し、底部Aaの両側長辺部に各長壁部Ac,Acを内側に対して折畳み可能に連結している。且つ、図7に示すように、短壁部Abの両端部に形成した各係止孔Ad…と、長壁部Acの両端部に形成した各係止爪Ae…とを互いに係止し、各短壁部Ab,Ab及び各長壁部Ac,Acを起立状態に固定して上面開放形態に組立てる。且つ、各係止孔Ad…と各係止爪Ae…とを係止解除することで、底部Aa側に折畳まれた各短壁部Ab,Abの上面側に各長壁部Ac,Acを折畳むことができる。」

(2)「【0033】図12は所定形態に折畳まれた容器Aを容器積重ね台41に順次積重ねる第4実施例の積重ね機構7を示し、同機下部に多数段(例えば、10段)の容器Aが積重ねられる大きさ及び形状に形成した容器積重ね台41を上下摺動可能に設け、同台の後方側上部及び後方側下部に軸支した各スプロケット42,43間に昇降用チェーン44を張架し、同昇降用チェーン44の一端側を容器積重ね台41の後端部に連結固定して、後方側下部に配設した減速機付き昇降用モータ45の駆動力により各スプロケット46,47及び駆動チェーン48を介して昇降用チェーン44を上下方向に正逆回転する。つまり、容器積重ね台41上に容器Aが移載されたとき昇降用モータ45を間欠駆動し、1段分の容器Aが積重ねられる所定高さに容器積重ね台41を1段ずつ降下させて多数段積重ねる。この後、降下位置に配設した搬出用コンベア49に多数段積重ねられた各容器A…を一括移載して次工程に搬送するので、容器Aの積重ね作業及び搬出作業が機械的に行え、作業の省力化が図れる。なお、搬出用コンベア49を、例えば、ベルトコンベア、チェーンコンベア、スラストコンベア等の搬送手段で構成し、昇降用チェーン44を、例えば、ベルトやワイヤ等の無端帯で構成してもよい。」

(3)「【図12】



(4)上記(3)に摘記した【図12】より、容器Aを容器積重ね台41に積重ねる際、容器Aが容器積重ね台41の上方から1段分の容器Aが積重ねられる所定高さの段差分だけ落下していることが看取できる。


第5 当審の判断
1.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「多数個の容器A…」、「複数の容器積重ね機11」、「容器仕分け装置1」は、本願発明の「複数のクレート」、「複数の段積装置」、「クレート仕分け装置」に相当し、引用発明の「多数個の容器A…をサイズ別に仕分け供給され」ることは、本願発明の「複数のクレートの種類ごとに割り当てられ」ることに、引用発明の「多数個の容器A…を積重ねる」ことは、サイズ別に仕分け供給された多数個の容器A…を積み重ねることであるから、本願発明の「前記種類ごとに前記割り当てられたクレートを段積みする」ことに、それぞれ相当する。また、装置の制御を行う制御装置としてコンピュータを用いることが技術常識であることに照らせば、引用発明の「制御装置」は、本願発明の「コンピュータ」に相当する。
引用発明の「複数の容器積重ね機11に、多数個の容器A…をサイズ別に仕分け供給する」ことは、「クレートの種類に応じて、それぞれ割り当てられた複数の段積装置へ搬送するステップ」の限りにおいて、本願発明の「前記クレートの種類に応じて、前記複数のクレートを対応する段積装置の上方から落下させて、それぞれ前記割り当てられた前記複数の段積装置へ搬送するステップ」と一致する。

以上のとおりであるから、本願発明と引用発明とは、以下の一致点の限りにおいて一致し、以下の相違点において相違する。

【一致点】
「複数のクレートの種類ごとに割り当てられ、前記種類ごとに前記割り当てられたクレートを段積みする複数の段積装置を備えるクレート仕分け装置を制御するコンピュータであって、
前記クレートの種類に応じて、それぞれ前記割り当てられた前記複数の段積装置へ搬送するステップを、
実行させるコンピュータ。」

【相違点1】
本願発明は、「クレート仕分け装置を制御するコンピュータ」に、所定の動作を実行させる「プログラム」であるのに対し、引用発明は、「プログラム」が特定されていない点。

【相違点2】
「それぞれ前記割り当てられた前記複数の段積装置へ搬送するステップ」に関し、本願発明では、「前記複数のクレートを対応する段積装置の上方から落下させて」いるのに対し、引用発明では、多数個の容器を落下させていない点。

2.判断
(1)相違点1について
上記相違点1について検討する。
装置を制御する制御装置としてのコンピュータを実行するために、プログラムが必要であることは、当業者にとって技術常識である。
そして、引用発明も、所定の動作を自動で実行するものであるから、引用発明の制御装置には、所定の動作を実行させるためのプログラムが備えられているというべきである。
してみれば、上記相違点1は、実質的な相違点とはいえない。

(2)相違点2について
上記相違点2について検討する。
上記「第4 2.」に示すとおり、引用文献2には、積重ね機構7は、容器Aを容器積重ね台41の上方から落下させて、容器積重ね台41に順次積重ねること(以下、「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されている。
引用文献2に記載された事項は、引用文献2の段落【0028】、【0032】及び【図8】、【図9】、【図11】に記載された、引用発明の「容器積重ね機11」と同様の構成を備える「積重ね機構7」と等価なものであるし、引用発明の「容器積重ね機11」と引用文献2に記載された事項とは、容器を積重ねるという点で共通の機能を有するものであるから、引用発明に対し、「容器積重ね機11」に代えて、引用文献2に記載された事項を採用する動機付けがあったというべきである。
してみれば、引用発明に対し、引用文献2に記載された事項を採用し、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

3.請求人の主張について
請求人は審判請求書の「3.本願発明が特許されるべき理由」の「(3)本願発明と引用発明との対比」において、「引用文献1の容易(審決注:「容器」の誤記と認められる。)仕分け機が仕分け対象としている容器は引用文献1の段落0001から一貫して折り畳み可能な容器であって、折り畳み可能な容器がなぜ登場したのかが段落0003で説示され、折り畳み可能な容器特有の問題点が段落0004で解説されており、この種の折り畳み可能な容器を上方から落下させると、風圧により、又は、着地時の反動により、容器の側壁の一部が起立状態又は半起立状態となってしまう虞があり、複数の容器を段積みしたときに引用文献1の解決課題である『容器群全体で嵩張るため、広い積重ねスペースが必要となり、運搬及び輸送に手間が掛かるという問題点』(段落0003)が再発する虞があるからである(平成24(行ケ)10179号,平成22年(行ケ)第10282号)。
なお、引用文献1の図8に示すように引用文献1の容器積重ね機11では、前述したように、仕分けられた容器Aを、既に容器積重ね機11にて段積みされている容器群Aに対してわざわざ下方から積重ねている。このことからも、引用文献1の出願人は、仕分けられた容器Aを上方から落下させるようにして段積みすることが課題解決を阻害することを十分に認識していたものと考えられる。」(第3ページ第22行〜第4ページ第7行)と主張している。また、令和3年8月6日に提出した意見書においても、「この限定補正により追加された特徴は引用文献1の課題解決と全く相容れないものであるから、補正後の請求項7は、拒絶理由のない請求項1と同様に、引用文献1を主引例として想到できないものと考えます。」(第1ページ第24行〜第26行)と主張している。

しかしながら、引用文献2の段落【0017】に「四角形に形成した底部Aaの両側短辺部に各短壁部Ab,Abを内側に対して折畳み可能に連結し、底部Aaの両側長辺部に各長壁部Ac,Acを内側に対して折畳み可能に連結している」と記載されているように、引用文献2に記載された事項における「容器A」は折り畳み可能な容器であって、折り畳み可能な容器であっても、引用文献2に記載された事項のように、1段分の容器Aが積重ねられる所定高さの段差程度であれば、容器積重ね台の上方から落下させて、折畳まれた容器Aを容器積重ね台に順次積重ねることが可能であるといえる。
そして、上記2.(2)で示したとおり、引用文献2に記載された事項は、引用発明が備える「容器積重ね機11」と同様の構成を備える「積重ね機構7」と等価なものであり、引用発明に対し、「容器積重ね機11」に代えて、引用文献2に記載された事項を採用する動機付けがあったというべきであるから、引用発明において、容器Aを落下させるようにして段積みすることが課題解決を阻害するものということはできない。

また、本願の明細書の段落【0027】、【0040】、【0050】、【0054】、【0055】の記載を参酌すれば、本願発明は、段積装置がクレートC1を1つ追加して段積みした場合、第1の分岐部1eから落とされるクレートC1は、段積装置の本体31aの上端からクレート1つ分だけ下降させた位置に落ちるものでしかないから、本願発明の「複数のクレートを対応する段積装置の上方から落下させ」ることによる作用は、引用文献2に記載された機能・作用と同様にクレート1つ分程度の高さだけ落下しているものに過ぎない。

よって、請求人の主張は採用できない。

4.小括
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。


第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2021-12-13 
結審通知日 2021-12-14 
審決日 2021-12-27 
出願番号 P2019-064473
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65G)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 間中 耕治
特許庁審判官 平田 信勝
中村 大輔
発明の名称 段積装置、クレート仕分け装置、及びプログラム  
代理人 家入 健  

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