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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1382151
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-14 
確定日 2022-02-10 
事件の表示 特願2019− 3096「LED用担体」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月30日出願公開、特開2019− 83328〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年8月7日に出願した特願2017−506875号の一部を平成31年1月11日に新たな特許出願(パリ条約による優先権主張2014年8月8日、ドイツ、2014年10月22日、ドイツ)としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年1月 9日付け:拒絶理由通知書
令和2年4月 3日 :意見書、誤訳訂正書の提出
令和2年9月 8日付け:拒絶査定
令和3年1月14日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和3年1月14日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年1月14日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
1つのLED(2)用の担体(1)であって、
1つの基体(5)を備え、
前記担体は1つの上面(3)を備え、当該上面上に1つのLED(2)を固定するための少なくとも1つの第1のコンタクト面領域(13)を備え、
前記担体(1)の前記上面(3)上には、1つの第2のコンタクト面領域(13)が配設されており、前記第1および前記第2のコンタクト面領域は、前記担体(1)の上面(3)上に、前記第1のコンタクト面領域と前記第2のコンタクト面領域との間で、前記第1および前記第2のコンタクト面領域の無い、1つの中央領域(20)が配設されるように、配設されており、
前記基体(5)には、少なくとも1つの熱的ビア(21)が配設されており、当該熱的ビアは、前記担体の(1)の上面(3)の前記中央領域(20)を前記担体(1)の下面(4)と結合しており、
前記担体(1)上に固定されたLED(2)を、静電放電に対して保護するために、1つの保護装置(6)が前記基体(5)内に一体化されており、
前記第1および第2のコンタクト面領域(13)が配設されている、前記上面(3)の領域にはビア(21,22)が配設されていない、または、前記第1および第2のコンタクト面領域(13)上に固定される前記LEDが前記第1および第2のコンタクト面領域(13)に載置されている、前記上面(3)の領域にはビア(21,22)が配設されていない、ことを特徴とする担体。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和2年4月3日にされた誤訳訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
1つのLED(2)用の担体(1)であって、
1つの基体(5)を備え、
前記担体は1つの上面(3)を備え、当該上面上に1つのLED(2)を固定するための少なくとも1つの第1のコンタクト面領域(13)を備え、
前記担体(1)の前記上面(3)上には、1つの第2のコンタクト面領域(13)が配設されており、前記第1および前記第2のコンタクト面領域は、前記担体(1)の上面(3)上に、前記第1のコンタクト面領域と前記第2のコンタクト面領域との間で、前記第1および前記第2のコンタクト面領域の無い、1つの中央領域(20)が配設されるように、配設されており、
前記基体(5)には、少なくとも1つの熱的ビア(21)が配設されており、当該熱的ビアは、前記担体の(1)の上面(3)の前記中央領域(20)を前記担体(1)の下面(4)と結合しており、
前記担体(1)上に固定されたLED(2)を、静電放電に対して保護するために、1つの保護装置(6)が前記基体(5)内に一体化されている、
ことを特徴とする担体。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「熱的ビア」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献2
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2011−524082号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、当審で付した。)

a 「【技術分野】
【0001】
半導体構成要素のための熱消散手段を備える電気的構成要素アセンブリが記載される。
【背景技術】
【0002】
・・・(中略)・・・
一実施形態によれば、発光ダイオードがバリスタ構成要素に配置される。」

b 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
達成すべき一つの目標は、アセンブリ内の電気的構成要素のための熱消散手段を明記することにある。」

c 「【0008】
一実施形態によれば、ヒートシンクは板または堅い支持体として実施される。
【0009】
一実施形態によれば、ヒートシンクは、例えば半導体構成要素やバリスタ体などの、ヒートシンクに接続された構成要素との接点を構成するようにはたらく複数の電気的端子を有する。一実施形態によれば、電気的端子は電気伝導層として実施される。例として、一実施形態によれば、電気伝導トラックがヒートシンクに配置される。これらは、いずれの場合にも、複数回の方向の変化を伴う進路を有することができるか、または平らで幾何学的なパターンとして実現されることができる。それはスクリーン印刷によってヒートシンクに加えられる。ヒートシンクが板または堅い支持体として実施される場合は、電気的端子は板の互いに反対側の面に配置されうる。ヒートシンクの複数の電気的端子は好ましくはアノード、カソードおよび/ または接地接点を有し、一実施形態によればヒートシンクの接地接点はバリスタ体の接地接点に接点接続される。ヒートシンクのアノード接点およびカソード接点はバリスタ体または半導体構成要素の対応する接点と接触してもよい。
・・・(中略)・・・
【0013】
電気的構成要素アセンブリの一実施形態によれば、バリスタ体は構成要素として実施されてヒートシンクに取り付けられ、一方で、半導体構成要素は、バリスタ体に取り付けられる。
【0014】
バリスタ体は、好ましくは、少なくともバリスタセラミックと高熱伝導性材料からなる複合材料からなり、該高熱伝導性材料はバリスタセラミックとは異なり、原則としてバリスタ体の非線形抵抗機能に応じて選択される。基質として形成されるバリスタセラミックの適切な組成は、例えば、酸化亜鉛−ビスマス−アンチモンまたは酸化亜鉛−プラセオジム化合物である。
【0015】
一実施形態では、バリスタセラミックは複合材料の主要構成要素または基質として形成され、熱伝導性材料は前記基質の充填材として形成される。高熱伝導性充填材の一例は金属である。」

d 「【0020】
バリスタ体は、バリスタセラミック層と、少なくとも部分的にその間に置かれる内部電極層との積層体を有する多層バリスタとして実施されてもよい。多層バリスタが、焼結されたモノリシックな多層構成要素となるのが好ましい。主要な割合で、酸化亜鉛は好ましくは個々の層のバリスタセラミックとして選ばれ、内部電極は銀、パラジウム、白金、銅、ニッケル、またはこれらの元素の合金を含んでもよい。
【0021】
一実施形態では、多層バリスタとして実施されるバリスタ体の1つまたは複数の層が酸化ジルコニウムを含んでもよい。この場合には、多層バリスタの、セラミックヒートシンクに置かれる少なくとも底部層が、酸化ジルコニウムを含むことが好ましい。これによって、セラミックヒートシンクの、および適切ならばセラミックヒートシンクに存在する導電トラックの、多層バリスタの漂遊容量の影響を取り除くことが可能である。多層バリスタの頂部層もまた、酸化ジルコニウムを含む層として実施されることが可能であろう。このことは、さらなる構成要素がバリスタ体に配置され、前記さらなる構成要素が漂遊容量によって妨害されないままであることを意図されたものである場合は、有利となりうるであろう。
【0022】
任意の多層バリスタに代わって、バリスタ体はバルクバリスタとして実施されることもできる。バルクバリスタは単一のバリスタブロックであり、その外側には、互いに逆の極性の外部接点がある。内側には、しかしながら、バリスタブロックは金属層を有しない。
【0023】
一実施形態によれば、バリスタ体は複数の電気的端子を有し、その第1の電気的端子の少なくとも1つは、半導体構成要素と接触する。前記電気的端子は好ましくはバリスタ体の金属層として実施される。金属層はバリスタ体の頂部側の少なくとも一部分に、例えばスクリーン印刷によって加えられることができる。電気的端子は好ましくは固着可能である。
【0024】
複数の電気的接点がヒートシンクの接触線および/または導電トラックに接続されうる。
【0025】
構成要素アセンブリの一実施形態によれば、バリスタ体の複数の電気的端子は、第1の電気的端子とは分離した、外側に向かってバリスタ体と接触する少なくとも1つの第2の電気的端子を含む。このことは、バリスタ体が前記第2の電気的端子によって、半導体構成要素から離れた第2の電気的ポテンシャルに接続されることを意味する。第2の電気的端子は例えば接地端子であってもよい。この場合には、第2の電気的端子はプリント回路基板の導電トラックに接点接続されてもよい。」

e 「【0030】
一実施形態によれば、バリスタ体は、バリスタ体の容量を調整する役目を果たす少なくとも1つの内部電極を有する。内部電極はバリスタ体の積層体の層の間に配置されうる。内部電極はバリスタを通る、またはバリスタ体からの過電圧またはサージ電流を消散する接地電極であってよい。内部電極はバリスタ体の少なくとも1つの電気的端子に接続される。しかしながら、この場合には機械的な接点接続は必ずしも必要ではない。したがって、内部電極はバリスタ体内で「浮いている(独語でschwebend)」方式で配置されることもできるだろう。代替として、内部電極は少なくとも1つの、ビアとして指定されてもよい、めっきされたスルーホールによって、少なくとも1つの電気的端子に接続される。
【0031】
一実施形態によれば、複数の内部電極がバリスタ体に存在し、バリスタ体の異なる電気的端子に接触する。内部電極は浮いている方式で実施されてもよく、外側に向かって接点接続されるように実施されてもよい。前記電極はバリスタセラミックまたは誘電体によって互いから隔離されることが好ましく、積層方向に共通の重なり領域を有することが好ましく、それによって容量が形成されうる。一実施形態によれば、内部電極は半導体構成要素の取り付け領域に垂直に延びる。この場合には、バリスタ体はヒートシンクの長手側に置かれうる。すなわち、バリスタ体の積層方向は、ヒートシンクの面に平行に、またはバリスタ体に取り付けられた半導体構成要素の取り付け面に平行に向く。
【0032】
1つの共通の電気的端子に接点接続されたバリスタ体の内部電極は、いずれの場合にも、バリスタ体のもう1つの共通の電気的端子に接点接続された内部電極と同じ平面にあってもよい。内部電極間の容量は、この場合には、バリスタ体の同じ平面に存在する内部電極の互いに面する端部の間に形成される。互いに反対の極性の内部電極は、このような実施形態では正射影においては重ならない。」

f 「【0041】
半導体構成要素は多数の構成要素から選ばれることができる。それは光電子構成要素、例えばLED、キャパシタまたは多層キャパシタ、PTCまたはNTC特性を有するサーミスタまたは多層サーミスタ、ダイオード、または増幅器などでありうる。すべての場合に、バリスタ体は、バリスタ体に接点接続される半導体構成要素を、安全防護対策に配慮するように過電圧に対して保護することが可能である。そして、本明細書のいくつかの実施形態によれば、半導体構成要素から熱を消散することさえも可能である。さらに、半導体構成要素から熱を消散しうるヒートシンクが常に存在する。
【0042】
半導体構成要素としてのLEDは、好ましくは以下の構成要素:リン化ガリウム(GaP)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウムヒ素(GaAsP)、リン化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInP)、リン化アルミニウムガリウム(AlGaP)、ヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)、セレン化スズ(ZnSe)、の1つまたはそれ以上からなる。」

g 「【0050】
図2は、チップとして実施されたバリスタ体2が、頂部側にあるセラミック板3の電気的接点4に配置される、光電子構成要素アセンブリを示す。図1に示したLEDの場合には、バリスタチップ2は、ヒートシンクの金属層4に接触するフリップチップ接点接続部(図示せず)を下側に有してよい。一方で、頂部側では、バリスタチップ2が、バリスタチップ2に取り付けられたLED1の下側の電気的端子5と接触する金属層の形態の電気的端子9aを有する。前記端子はアノードの端子でもカソードの端子でもよい。バリスタチップ2はバルクバリスタとして実施されてもよく、それはバリスタセラミックと、任意で熱伝導率を向上させるための本明細書に記載されたタイプのさらなる添加物とを有する、一体の(層がない)基本体からなる。バリスタ体は、前記バリスタ体の内部を通るLED1の取り付け領域に垂直に延びる熱伝導チャネル10(これは任意であるが)を備えている。熱伝導性チャネル10は金属で満たされた穴または高熱伝導性セラミックで満たされた穴として実施されてもよく、前記熱伝導性セラミックは周囲のバリスタセラミックよりも高い熱伝導性を有する。
【0051】
図3は、積層されたセラミックと電極層または内部電極8との積層体からなるモノリシックな焼結された多層バリスタとしてバリスタ体2が実施される点において異なる、図2による構成要素のアセンブリを示す。各内部電極セットの内部電極8、すなわち同一の極性の内部電極の各セットは、これらの内部電極と共通しており多層バリスタ2に一体化された、めっきされたスルーホール9bとそれぞれ接触する。めっきされたスルーホール9bは多層バリスタ2の頂部側から下側へと延び、多層バリスタの各面に、さらなる構成要素へと、または電気的端子へと接点接続されうる電気的端子領域を形成する。例として、LED1のフリップチップ接点接続部のはんだ球7が、バリスタ体のめっきされたスルーホール9bの露出された端部領域に直接着座する。バリスタ体2の下側では、めっきされたスルーホール9bの端部領域がセラミックプレート3に加えられたメタリック層4に着座する。それゆえに、めっきされたスルーホール9bは、バリスタ体2の外部接点としても機能しうる。」

h 図2、図3は次のとおりである。

【図2】



【図3】


(イ)上記記載から、引用文献2には、図2に関する次の技術的事項が記載されているものと認められる。
「図2に示されたバリスタ体2は、上面及び下面を備え、前記上面上には、電気的端子9aを左側及び右側にそれぞれ備え、左側の電気的端子9aと右側の電気的端子9aとの間に、電気的端子9aのない領域を備えており、熱伝導チャネル10は、バリスタ体2の上面上の前記電気的端子9aのない領域とバリスタ体2の下面とを結ぶように設けられている。」

(ウ)以上から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。(なお、引用発明の各構成の根拠箇所を参考として当審で付した。)

引用発明
「バリスタ体(バリスタチップ)2であって、
頂部側では、バリスタチップ2が、バリスタチップ2に取り付けられたLED1の下側の電気的端子5と接触する金属層の形態の電気的端子9aを有し、
バリスタ体は、前記バリスタ体の内部を通るLED1の取り付け領域に垂直に延びる熱伝導チャネル10を備え、熱伝導性チャネル10は金属で満たされた穴または高熱伝導性セラミックで満たされた穴として実施されてもよく、前記熱伝導性セラミックは周囲のバリスタセラミックよりも高い熱伝導性を有し、
バリスタチップ2はバルクバリスタとして実施されてもよく、それはバリスタセラミックと、任意で熱伝導率を向上させるためのさらなる添加物とを有する、一体の(層がない)基本体からなり(【0050】)、
バリスタ体2は、上面及び下面を備え、前記上面上には、電気的端子9aを左側及び右側にそれぞれ備え、左側の電気的端子9aと右側の電気的端子9aとの間に、電気的端子9aのない領域を備えており、熱伝導チャネル10は、バリスタ体2の上面上の前記電気的端子9aのない領域とバリスタ体2の下面とを結ぶように設けられている(上記(イ))、
バリスタ体2。」

(エ)また、引用文献2には、「多層バリスタ」(【0020】、【0030】、【0051】)に関する次の技術的事項(以下「技術的事項A」という。)が記載されていると認められる。

技術的事項A
「バリスタ体は、バリスタセラミック層と、少なくとも部分的にその間に置かれる内部電極層との積層体を有する多層バリスタとして実施されてもよく、
一実施形態によれば、バリスタ体は、バリスタ体の容量を調整する役目を果たす少なくとも1つの内部電極を有し、内部電極はバリスタ体の積層体の層の間に配置されうるものであり、内部電極はバリスタを通る、またはバリスタ体からの過電圧またはサージ電流を消散する接地電極であってよく、
内部電極はバリスタ体の少なくとも1つの電気的端子に接続され、しかしながら、この場合には機械的な接点接続は必ずしも必要ではなく、内部電極はバリスタ体内で「浮いている(独語でschwebend)」方式で配置されることもでき、
代替として、内部電極は少なくとも1つの、ビアとして指定されてもよい、めっきされたスルーホールによって、少なくとも1つの電気的端子に接続され、
図3は、積層されたセラミックと電極層または内部電極8との積層体からなるモノリシックな焼結された多層バリスタとしてバリスタ体2が実施される点において異なる、図2による構成要素のアセンブリを示すこと。」

(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「バリスタ体(バリスタチップ)2」は、「頂部側では、バリスタチップ2に取り付けられたLED1の下側の電気的端子5と接触する金属層の形態の電気的端子9aを有」するものであり、「LED1」を固定するための部材であるといえるから、本件補正発明の「担体(1)」に相当し、両者は「1つのLED(2)用」である点で共通する。

(イ)引用発明の「バリスタセラミックと、任意で熱伝導率を向上させるためのさらなる添加物とを有する、一体の(層がない)基本体」は、本件補正発明の「1つの基体(5)」に相当する。

(ウ)引用発明の「バリスタ体2は、上面・・・を備え、前記上面上には、電気的端子9aを左側及び右側にそれぞれ備え、左側の電気的端子9aと右側の電気的端子9aとの間に、電気的端子9aのない領域を備え」、「電気的端子9a」は「LED1の下側の電気的端子5と接触する」ことから、引用発明の「左側の電気的端子9a」を備えた領域、「右側の電気的端子9a」を備えた領域、「電気的端子9aのない領域」は、それぞれ本件補正発明の「第1のコンタクト面領域」、「第2のコンタクト面領域」、「1つの中央領域(20)」に相当し、引用発明は、本件補正発明の「前記担体は1つの上面(3)を備え、当該上面上に1つのLED(2)を固定するための少なくとも1つの第1のコンタクト面領域(13)を備え、前記担体(1)の前記上面(3)上には、1つの第2のコンタクト面領域(13)が配設されており、前記第1および前記第2のコンタクト面領域は、前記担体(1)の上面(3)上に、前記第1のコンタクト面領域と前記第2のコンタクト面領域との間で、前記第1および前記第2のコンタクト面領域の無い、1つの中央領域(20)が配設されるように、配設されており」との構成を有する。

(エ)引用発明の「バリスタ体は、前記バリスタ体の内部を通るLED1の取り付け領域に垂直に延びる熱伝導チャネル10を備え、熱伝導性チャネル10は金属で満たされた穴または高熱伝導性セラミックで満たされた穴として実施されてもよく、前記熱伝導性セラミックは周囲のバリスタセラミックよりも高い熱伝導性を有し」、「熱伝導チャネル10は、バリスタ体2の上面上の前記電気的端子9aのない領域とバリスタ体2の下面とを結ぶように設けられている」ことから、引用発明の「熱伝導チャネル10」は、本件補正発明の「熱的ビア(21)」に相当し、引用発明は、本件補正発明の「前記基体(5)には、少なくとも1つの熱的ビア(21)が配設されており、当該熱的ビアは、前記担体の(1)の上面(3)の前記中央領域(20)を前記担体(1)の下面(4)と結合しており」との構成を有する。
また、引用発明の「バリスタ体2」の上面上における、「左側の電気的端子9a」、「右側の電気的端子9a」を備えた領域には、「熱伝導チャネル10」が設けられていないことから、引用発明は、本件補正発明の「前記第1および第2のコンタクト面領域(13)が配設されている、前記上面(3)の領域にはビア(21,22)が配設されていない、または、前記第1および第2のコンタクト面領域(13)上に固定される前記LEDが前記第1および第2のコンタクト面領域(13)に載置されている、前記上面(3)の領域にはビア(21,22)が配設されていない」との構成を有する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「1つのLED(2)用の担体(1)であって、
1つの基体(5)を備え、
前記担体は1つの上面(3)を備え、当該上面上に1つのLED(2)を固定するための少なくとも1つの第1のコンタクト面領域(13)を備え、
前記担体(1)の前記上面(3)上には、1つの第2のコンタクト面領域(13)が配設されており、前記第1および前記第2のコンタクト面領域は、前記担体(1)の上面(3)上に、前記第1のコンタクト面領域と前記第2のコンタクト面領域との間で、前記第1および前記第2のコンタクト面領域の無い、1つの中央領域(20)が配設されるように、配設されており、
前記基体(5)には、少なくとも1つの熱的ビア(21)が配設されており、当該熱的ビアは、前記担体の(1)の上面(3)の前記中央領域(20)を前記担体(1)の下面(4)と結合しており、
前記第1および第2のコンタクト面領域(13)が配設されている、前記上面(3)の領域にはビア(21,22)が配設されていない、または、前記第1および第2のコンタクト面領域(13)上に固定される前記LEDが前記第1および第2のコンタクト面領域(13)に載置されている、前記上面(3)の領域にはビア(21,22)が配設されていない、ことを特徴とする担体。」

【相違点】
本件補正発明では、「前記担体(1)上に固定されたLED(2)を、静電放電に対して保護するために、1つの保護装置(6)が前記基体(5)内に一体化されて」いるのに対し、引用発明では、「バリスタチップ2はバルクバリスタとして実施され」ており、「LED1」を「静電放電に対して保護」していると解されるものの、「1つの保護装置」が「基体」内に「一体化されている」とはいえない点。

(4)判断
ア 以下、相違点について検討する。

イ 引用文献2に記載された技術的事項A(上記(2)ア(エ)を参照。)によれば、「図3は、積層されたセラミックと電極層または内部電極8との積層体からなるモノリシックな焼結された多層バリスタとしてバリスタ体2が実施される点において異なる、図2による構成要素のアセンブリを示す」ことから、引用発明の「バリスタ体(バリスタチップ)2」に関し、「バルクバリスタとして実施され」る形態(図2の形態)に代えて、「積層されたセラミックと電極層または内部電極8との積層体からなるモノリシックな焼結された多層バリスタ」の形態を採用することについて示唆されているといえる。
また、上記技術的事項Aによれば、「多層バリスタ」に関し、「バリスタ体は、バリスタセラミック層と、少なくとも部分的にその間に置かれる内部電極層との積層体を有する多層バリスタとして実施されてもよく、一実施形態によれば、バリスタ体は、バリスタ体の容量を調整する役目を果たす少なくとも1つの内部電極を有し、内部電極はバリスタ体の積層体の層の間に配置されうるものであり、内部電極はバリスタを通る、またはバリスタ体からの過電圧またはサージ電流を消散する接地電極であってよ」いことから、上記「多層バリスタ」における「内部電極」は、基体であるバリスタセラミックに一体化されて、静電放電に対して保護するための保護装置に相当するものであるといえる。
ここで、引用発明の「バリスタ体(バリスタチップ)2」が「バルクバリスタとして実施され」る形態(図2の形態)においては、「バリスタ体(バリスタチップ)2」の頂部側には、「LED1の下側の電気的端子5と接触する金属層の形態の電気的端子9a」を有し、「バリスタ体(バリスタチップ)2」の下側には、「ヒートシンクの金属層4に接触するフリップチップ接点接続部」を有しているところ(【0050】)、「バルクバリスタ」とは、「単一のバリスタブロックであり、その外側には、互いに逆の極性の外部接点があり」、「内側には、しかしながら、バリスタブロックは金属層を有しない」(【0022】)ものであるから、上記「電気的端子9a」及び上記「金属層4に接触するフリップチップ接点接続部」は、「バリスタ体(バリスタチップ)2」の外側を通る配線を介して、互いに電気的に接続されているものと解される。
そして、上記技術的事項Aによれば、「内部電極」の電気的接続の態様に関して、「内部電極はバリスタ体の少なくとも1つの電気的端子に接続され、しかしながら、この場合には機械的な接点接続は必ずしも必要ではなく、内部電極はバリスタ体内で「浮いている(独語でschwebend)」方式で配置されることもでき、代替として、内部電極は少なくとも1つの、ビアとして指定されてもよい、めっきされたスルーホールによって、少なくとも1つの電気的端子に接続され」る。そうすると、引用文献2には、引用発明の「バリスタ体(バリスタチップ)2」の形態(図2の形態)を前提として、「バルクバリスタ」に代えて「多層バリスタ」を採用する際に、「熱伝導チャネル10」以外に追加のビアを設けることなく、「内部電極」が「バリスタ体(バリスタチップ)2」の外部配線に接続される形態や、「内部電極」がバリスタ体内で「浮いている(独語でschwebend)」形態を採ることについての示唆があるといえる。
以上を踏まえると、引用発明の「バリスタ体(バリスタチップ)2」に関し、「バルクバリスタとして実施され」る形態に代えて、上記「多層バリスタ」の形態を採用し、上記相違点に係る本件補正発明の構成となすことは、当業者が適宜なし得たことであり、その際、上記引用文献2の示唆に基づいて、「熱伝導チャネル10」以外に追加のビアを設けないこととすることも、当業者が容易に想到し得たことである。そして、このようなものは、本件補正発明の「前記第1および第2のコンタクト面領域(13)が配設されている、前記上面(3)の領域にはビア(21,22)が配設されていない、または、前記第1および第2のコンタクト面領域(13)上に固定される前記LEDが前記第1および第2のコンタクト面領域(13)に載置されている、前記上面(3)の領域にはビア(21,22)が配設されていない」との要件も満たすものとなる。

ウ また、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項Aの奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

エ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項Aに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)請求人の主張について
請求人は審判請求書において、「引用文献2の図2の説明として段落[0050]には、「図2は、チップとして実施されたバリスタ体2が、頂部側にあるセラミック板3の電気的接点4に配置される、光電子構成要素アセンブリを示す。図1に示したLEDの場合には、バリスタチップ2は、ヒートシンクの金属層4に接触するフリップチップ接点接続部(図示せず)を下側に有してよい。一方で、頂部側では、バリスタチップ2が、バリスタチップ2に取り付けられたLED1の下側の電気的端子5と接触する金属層の形態の電気的端子9aを有する。前記端子はアノードの端子でもカソードの端子でもよい。」との記載があります。特に「バリスタチップ2は、ヒートシンクの金属層4に接触するフリップチップ接点接続部(図示せず)を下側に有してよい、」との記載から、バリスタチップ2は、セラミック板3に表面実装される部品(チップ)であることは、明白であります。」(審判請求書の第6頁第5行〜第15行)、
「引用文献2に記載のバリスタチップ2は、キャリア(本願の基体(5)を備える担体(1)に相当)に表面実装される部品であって、バリスタチップ2(本願の保護装置(6)に相当)の上に、さらにLED1を積層して表面実装する構成を開示しているにすぎないことは明らかです。
これに対して、本願補正後の請求項1に係る発明は、担体の(1)の上面(3)を担体(1)の下面(4)と結合している熱的ビア(21)が配設された基体(5)(特徴C)の内部に一体化され、担体(1)上に固定されたLED(2)を静電放電に対して保護する保護装置(6)(特徴D)、を備える点で引用文献2に開示の発明と相違します。」(審判請求書の第6頁第22行〜第7頁第1行)と主張する。
しかしながら、本件補正発明は、「担体(1)」と「LED(2)」との関係や、「担体(1)」が備える構成要素について特定しているものの、「担体(1)」が他の部材に表面実装されるのか否かなど、「担体(1)」と「LED(2)」以外の部材との関係については特定していないし、本願の明細書等の記載を参酌しても、「担体(1)」が他の部材に対して表面実装されてはならないといった特別な事情も記載されていないから、本件補正発明は、「担体(1)」が他の部材に表面実装されるような態様も含み得る(排除されていない)というべきである(なお、本願の明細書には、「担体1は1つのSMD部品(SMD=Surface-mounted device)である。これよりこの担体1は、1つの配線基板(不図示)上にはんだを用いて固定するのに適している。」(【0051】)などと記載されているから、「担体(1)」は、むしろ、他の部材への表面実装を想定したものであることが把握される。)。
したがって、請求人の主張は、本件補正発明の特定事項に基づかないものであって、採用することができない。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和3年1月14日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成2年4月3日にされた誤訳訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1〜16に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、以下の(1)〜(3)のとおりである。

(1)この出願の請求項1、2、4〜8、13に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(2)この出願の請求項1、2、4、13に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(3)この出願の請求項1〜16に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1又は2に記載された発明及び引用文献3〜5に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:特開2006−339559号公報
引用文献2:特表2011−524082号公報
引用文献3:特開2014−116411号公報
引用文献4:特開2005−150386号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5:特開2012−74501号公報(周知技術を示す文献)

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「熱的ビア」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項Aに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項Aに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 瀬川 勝久
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2021-08-20 
結審通知日 2021-08-25 
審決日 2021-09-16 
出願番号 P2019-003096
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 瀬川 勝久
特許庁審判官 清水 督史
吉野 三寛
発明の名称 LED用担体  
代理人 特許業務法人ナガトアンドパートナーズ  
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