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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1382210 |
総通号数 | 3 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-03-05 |
確定日 | 2022-02-07 |
事件の表示 | 特願2016−201426号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月19日出願公開、特開2018− 61684号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成28年10月13日の特許出願であって、令和2年7月22日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月6日に意見書(受付番号52001610239)及び手続補正書(受付番号52001610240)が提出され、同日に意見書(受付番号52001610274)及び手続補正書(受付番号52001610275)が提出され、同年12月2日付け(謄本送達日:同年同月8日)で拒絶査定がなされ、これに対し、令和3年3月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和3年3月5日に提出された手続補正書による補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年3月5日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 (1)本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和2年8月6日提出の手続補正書(受付番号52001610275)によって補正された本件補正前の請求項1に、 「外周面に複数種類の図柄が配置された複数の回胴と、 遊技毎に役を内部抽選する役抽選手段と、 遊技毎に複数の回胴を回転させ、各々の回胴に対応して設けられた停止スイッチの操作を受け付けて、対応する回胴を個々に停止させ、前記内部抽選の結果に応じて図柄を表示する図柄表示制御手段と、 前記遊技には通常遊技と、該通常遊技より有利な有利遊技があり、該有利遊技のストックを複数個記憶することが可能なストック記憶手段と、 前記通常遊技と前記有利遊技を実行する遊技実行手段と、 前記通常遊技から前記有利遊技に移行すると点灯する有利区間表示器と、 を具備し、 前記遊技実行手段は、前記有利区間表示器が点灯していない前記通常遊技において、前記ストック記憶手段が複数個の前記有利遊技のストックを記憶している状態で、1つのストックにより前記有利遊技に移行させた場合、前記有利区間表示器は点灯し、該有利遊技を実行した後に前記通常遊技に一旦戻ってから、次のストックにより次の有利遊技に移行させると、前記有利区間表示器は点灯していること、 を特徴とする遊技機。」 とあったものを、 「外周面に複数種類の図柄が配置された複数の回胴と、 遊技毎に役を内部抽選する役抽選手段と、 遊技毎に複数の回胴を回転させ、各々の回胴に対応して設けられた停止スイッチの操作を受け付けて、対応する回胴を個々に停止させ、前記内部抽選の結果に応じて図柄を表示する図柄表示制御手段と、 前記遊技には通常遊技と、該通常遊技より有利な有利遊技があり、該有利遊技のストックを複数個記憶することが可能なストック記憶手段と、 前記通常遊技と前記有利遊技を実行する遊技実行手段と、 前記通常遊技から前記有利遊技に移行すると点灯する有利区間表示器と、 を具備し、 前記有利区間表示器が点灯していない前記通常遊技において、 前記遊技実行手段は、前記ストック記憶手段が複数個の前記有利遊技のストックを記憶している状態で、1つのストックにより前記有利遊技に移行させた場合、前記有利区間表示器は点灯し、該有利遊技を実行した後に前記有利遊技のストックを記憶している通常遊技状態に一旦戻ってから、次のストックにより次の有利遊技に移行させたときには、前記有利区間表示器は点灯していること、 を特徴とする遊技機。」 とする補正を含むものである。なお、下線は当審で付した。以下同様。 2 補正の目的及び新規事項について (1)補正の目的 本件補正は、本件補正前の請求項1において記載されていた「前記遊技実行手段は、前記有利区間表示器が点灯していない前記通常遊技において、」を「前記有利区間表示器が点灯していない前記通常遊技において、前記遊技実行手段は、」と表現を単に変更するとともに、本件補正前の請求項1において記載されていた「該有利遊技を実行した後に」「一旦戻」る「前記通常遊技」を「前記有利遊技のストックを記憶している通常遊技状態」に限定するものである。 また、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一である。 したがって、本件補正後の請求項1に係る上記の補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項 本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の【0029】、【0215】、【図31】等の記載に基づくものであり、新たな技術的事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 独立特許要件について 本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、次のとおり分説することができる。以下、分説に係る各発明特定事項を符号に対応させて「発明特定事項A」などという。 「A 外周面に複数種類の図柄が配置された複数の回胴と、 B 遊技毎に役を内部抽選する役抽選手段と、 C 遊技毎に複数の回胴を回転させ、各々の回胴に対応して設けられた停止スイッチの操作を受け付けて、対応する回胴を個々に停止させ、前記内部抽選の結果に応じて図柄を表示する図柄表示制御手段と、 D 前記遊技には通常遊技と、該通常遊技より有利な有利遊技があり、該有利遊技のストックを複数個記憶することが可能なストック記憶手段と、 E 前記通常遊技と前記有利遊技を実行する遊技実行手段と、 F 前記通常遊技から前記有利遊技に移行すると点灯する有利区間表示器と、 を具備し、 G 前記有利区間表示器が点灯していない前記通常遊技において、 前記遊技実行手段は、前記ストック記憶手段が複数個の前記有利遊技のストックを記憶している状態で、1つのストックにより前記有利遊技に移行させた場合、前記有利区間表示器は点灯し、該有利遊技を実行した後に前記有利遊技のストックを記憶している通常遊技状態に一旦戻ってから、次のストックにより次の有利遊技に移行させたときには、前記有利区間表示器は点灯していること、 H を特徴とする遊技機。」 (2)引用文献 ア 引用文献1 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布された特開2014−23648号公報(平成26年2月6日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、スロットマシン(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。 (ア)「【実施例1】 【0036】 本発明が適用されたスロットマシンの実施の形態を図面を用いて説明すると、本実施の形態のスロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筐体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bと、から構成されている。」 (イ)「【0037】 本実施の形態のスロットマシン1の筐体1aの内部には、図2に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、リール2L、リール2C、リール2R)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。 …… 【0054】 ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。」 (ウ)「【0090】 本実施の形態のスロットマシン1は、全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、有効化された入賞ラインLN(以下では、有効化された入賞ラインLNを単に入賞ラインLNと呼ぶ)に役と呼ばれる図柄の組合せが揃うと入賞となる。役は、同一図柄の組合せであっても良いし、異なる図柄を含む組合せであっても良い。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役と、遊技者にとって有利な遊技状態への移行を伴う特別役と、がある。以下では、小役と再遊技役をまとめて一般役とも呼ぶ。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、後述する内部抽選に当選して、当該役の当選フラグがRAMに設定されている必要がある。 …… 【0092】 内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するか否かを、全てのリール2L、2C、2Rの表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の検出時)決定するものである。内部抽選では、まず、スタートスイッチ7の検出時に内部抽選用の乱数値(0〜65535の整数)を取得する。詳しくは、RAM41cに割り当てられた乱数値格納ワークの値を同じくRAM41cに割り当てられた抽選用ワークに設定する。そして、遊技状態及び特別役の持ち越しの有無に応じて定められた各役について、抽選用ワークに格納された数値データと、遊技状態を特定するための遊技状態フラグの値、後述するRTを特定するためのRTフラグの値、賭数及び設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行われる。」 (エ)「【0267】 サブ制御部91は、ナビストックを付与するか否かを決定するナビストック抽選を行う。ナビストック抽選は、メイン制御部41からのコマンドに基づき、所定の抽選条件(RT0〜4において、弱チェリー、強チェリー、SPリプレイが当選したとき)が成立すると実行される。実施例1においては、ナビストック抽選の当選確率は、例えば、弱チェリーに当選したときは1/10、強チェリーに当選したときは1/2、SPリプレイに当選したときは1/1に設定されている。ナビストック抽選では、0を含むナビストック数を付与するか否か、ナビストック数をいくら付与するかが決定される。ナビストックとは、ART(アシストリプレイタイム)に移行させる権利を示す。ナビストックが1つ消化されると、RT2移行後に所定ゲーム数の間(本実施の形態では初期値50ゲームに後述するAT上乗せ抽選で決定したゲーム数を加算したゲーム数)ART(アシストリプレイタイム)に制御され、ナビ演出が実行される。なお、RT2に移行しなくてもRT0で特殊リプレイに当選したが入賞しなかった場合もゲーム数はカウントされる。また、RT0,RT1,RT4でナビストックが付与された場合には、ゲーム数のカウントは行われないがRT2に移行するまでATに制御される。RT0,RT1,RT4でATに制御された状態はARTに制御されるまでの準備期間となり、準備期間はRT0で特殊リプレイが当選してARTに移行させることが可能になるまで続く。なお、ナビストック数が残っているときに、ナビストック数を新たに獲得したときには、残っているナビストック数に今回獲得したナビストック数を上乗せ加算させる。 【0268】 ART開始後は、押し順ベルやGRリプレイの当選時にベルや特殊リプレイ、昇格リプレイ、SPリプレイを入賞させる押し順がナビ演出の実行によって報知されるので、報知された押し順に従って停止操作を行うことにより、確実にメダルを獲得することも可能となるとともに、移行出目を回避し、RT1へ移行してしまうことを回避できる。また、ATに制御された状態でも同様にナビ演出が行われるので、RT2に移行させやすくなる。 【0269】 また、RT0,RT2,RT3ではRT1,RT4よりもリプレイの当選確率が高くなっている。具体的には、例えば、RT0,RT2,RT3ではリプレイの当選確率が1/1.4に設定され、RT1,RT4ではリプレイの当選確率が1/7.3に設定されている。よって、通常状態であるRT1,RT4よりも、RT2やRT3でのARTのほうが遊技者にとって有利な有利状態といえる。」 (オ)「【0377】 次に、実施例2〜実施例6の説明を行うが、上記実施例1と同一の部材や機能、手段については詳しい説明は省略する。 【0378】 なお、実施例2〜実施例6においては、実施例1のRT3に相当する遊技状態がない実施形態となっている。そして、実施例1のRT4に相当する遊技状態をRT3、内部中1に相当する遊技状態をRT4、内部中2に相当する遊技状態をRT5と称して説明する。」 (カ)「【0393】 サブ制御部91は、図39に示すように、ナビストック抽選において1以上のナビストックが決定されたときに、ナビストック数をRAM91cの所定領域に格納する。サブ制御部91は、RAM91cのナビストックの有無に基づき、ATに制御するか否かを特定する。そして、1以上のナビストックが残っている場合には、ART確定報知を経てARTの当選が報知された後にATに制御する。 【0394】 サブ制御部91は、ATの制御を開始すると、対象役の当選時にナビ演出が実行される。この際、RT1においては、リプレイGR1〜6の当選時にナビ演出の対象となり、リプレイGR1〜6の当選時に昇格リプレイを入賞させる押し順がナビ演出により報知されるので、報知された押し順に従って停止操作を行うことによりRT1からRT0に移行させることが可能となる。また、ATの制御開始後は、RT0〜2のどの遊技状態であっても押し順ベルの当選時にはベルを入賞させる押し順が報知されるので、報知された押し順に従って停止操作を行うことにより、確実にメダルを獲得することも可能となる。 【0395】 RT1において昇格リプレイが入賞し、RT0に移行した後は、リプレイGR11〜15の当選時にナビ演出の対象となり、リプレイGR11〜15の当選時に特殊リプレイを入賞させる押し順がナビ演出により報知されるので、報知された押し順に従って停止操作を行うことによりRT0からRT2に移行させることが可能となる。また、前述のように押し順ベルの当選時にはベルを入賞させる押し順が報知されるので、報知された押し順に従って停止操作を行うことにより、確実にメダルを獲得することも可能となるとともに、移行出目を回避し、RT1へ移行してしまうことを回避できる。 【0396】 RT0において特殊リプレイが入賞し、RT2に移行することで、ARTの制御が開始することとなり、ART開始演出が既に行われている場合を除き特殊リプレイの入賞した次ゲームのスタート操作を契機にARTの開始を示すART開始演出を実行し、RAM91cにARTの残りゲーム数の初期値(本実施例では50ゲーム)を設定してARTの残りゲーム数の計数を開始する。この際、ART中に特別役の当選により中断し、ボーナス終了に伴う再開の場合を除いてナビストックを1消費(減算)する。 【0397】 ART開始後は、押し順ベルの当選時にベルを入賞させる押し順が報知されるので、報知された押し順に従って停止操作を行うことにより、確実にメダルを獲得することも可能となるとともに、移行出目を回避し、RT1へ移行してしまうことを回避できる。 【0398】 また、ART中においては、対象役の当選を契機として残りゲーム数を上乗せするか否かを決定する上乗せ抽選を行い、上乗せ抽選においてゲーム数の上乗せが当選した場合には、当選したゲーム数をRAM91cの残りゲーム数に加算する。 【0399】 また、ARTの開始後、1ゲーム消化する毎に残りゲーム数が1減算されるとともに、残りゲーム数が0となる前に特別役が当選した場合には、特別役の当選が確定した旨を示すボーナス確定報知を行う。特別役の当選と同時にRT2は終了し、ARTが中断し、これに伴いARTのゲーム数の計数も中断することとなる。その後、当選した特別役の入賞を経て対応するボーナスに制御され、当該ボーナス終了後に移行するRT3において32ゲームが経過する前に移行出目が停止してRT1に移行するか、ボーナス終了後32ゲーム経過した時点でART確定報知を行い、ATの制御を再開し、これに伴いRT2に再度移行することでART開始演出を行ってARTを再開し、ARTの残りゲーム数の計数も再開する。この場合は、前述のようにナビストックは消費(減算)されないようになっている。尚、RT3においてART確定報知が行われた場合には、その後、押し順ベルが当選し、かつ取りこぼして移行出目が停止してRT1に移行するまではナビ演出が行われないようになっている。 【0400】 また、ARTの開始後、残りゲーム数が0となった場合には、残っているナビストック数が0でなければ、ARTを潜伏させるか否かを決定する潜伏抽選を行い、潜伏させない旨が決定された場合には、当該ゲームの終了時にARTの終了を示すART終了演出を実行した後、次ゲームの賭数設定操作を契機にART開始演出を行ってARTを再開し、ナビストックを1消費(減算)してRAM91cにARTの残りゲーム数の初期値(本実施例では50ゲーム)を設定し、ARTの残りゲーム数の計数を開始する。 【0401】 また、潜伏抽選において潜伏させる旨が決定された場合には、最大32ゲームの潜伏ゲーム数を決定し、当該ゲームの終了時にARTの終了を示すART終了演出を実行した後、ATの制御を終了させる。 【0402】 この状態では、ナビ演出が実行されないので、押し順ベルの当選時に移行出目を回避することは不可能であり、移行出目が停止することでRT1に移行することとなるが、移行出目が停止するまではRT2が維持されることとなり、潜伏ゲーム数が経過するまでに移行出目が停止しなければ、次ゲームの賭数設定操作を契機にART開始演出を行ってARTを再開し、ナビストックを1消費(減算)してRAM91cにARTの残りゲーム数の初期値(本実施例では50ゲーム)を設定し、ARTの残りゲーム数の計数を開始する。 【0403】 また、潜伏抽選において潜伏させる旨が決定され、ATの制御が終了した後、潜伏ゲーム数が経過する前に移行出目が停止し、RT1に移行した場合には、潜伏ゲーム数の経過後、ATの制御を再開し、これに伴いRT2に再度移行することでART開始演出を行ってARTを再開し、ナビストックを1消費(減算)してRAM91cにARTの残りゲーム数の初期値(本実施例では50ゲーム)を設定し、ARTの残りゲーム数の計数を開始する。 【0404】 また、ARTの開始後、残りゲーム数が0となり、残っているナビストック数が0であればART終了演出を実行し、ATの制御を終了する。これに伴いナビ演出が実行されなくなるので、押し順ベルの当選時に移行出目を回避することが不可能となり、移行出目が停止することでRT1に移行することで一連のAT及びARTの制御が終了することとなる。」 上記(ア)〜(カ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、符号h1等を本件補正発明の発明特定事項AないしHに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。 「h1 前面が開口する筐体1aと、この筐体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bと、から構成されているスロットマシン1であって(【0036】)、 a、b1、c1 筐体1aの内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2Rが水平方向に並設されており(【0037】)、 ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動し、この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示され(【0054】)、 b2、c2 全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、有効化された入賞ラインLNに役と呼ばれる図柄の組合せが揃うと入賞となり、各役の入賞が発生するためには、内部抽選に当選する必要があり(【0090】)、 内部抽選は、各役への入賞を許容するか否かを、スタートスイッチ7の検出時に決定するものであり(【0092】)、 d1、e1 ナビストックを付与するか否かを決定するナビストック抽選を行い、ナビストック抽選では、0を含むナビストック数を付与するか否か、ナビストック数をいくら付与するかが決定され、ナビストックが1つ消化されると、RT2移行後に所定ゲーム数の間、ARTに制御され、ナビ演出が実行され(【0267】)、 ART開始後は、押し順ベルやGRリプレイの当選時にベルや特殊リプレイ、昇格リプレイ、SPリプレイを入賞させる押し順がナビ演出の実行によって報知されるので、報知された押し順に従って停止操作を行うことにより、確実にメダルを獲得することも可能となるとともに、移行出目を回避し、RT1へ移行してしまうことを回避でき(【0268】)、 通常状態であるRT1よりも、RT3でのARTのほうが遊技者にとって有利な有利状態といえ(【0269】)、 d2、e2、g ナビストック抽選において1以上のナビストックが決定されたときに、ナビストック数をRAM91cの所定領域に格納し、RAM91cのナビストックの有無に基づき、ATに制御するか否かを特定し、そして、1以上のナビストックが残っている場合には、ART確定報知を経てARTの当選が報知された後にATに制御し(【0393】)、 ATの制御を開始すると、対象役の当選時にナビ演出が実行され、この際、RT1においては、リプレイGR1〜6の当選時にナビ演出の対象となり、リプレイGR1〜6の当選時に昇格リプレイを入賞させる押し順がナビ演出により報知されるので、報知された押し順に従って停止操作を行うことによりRT1からRT0に移行させることが可能となり(【0394】)、 RT1において昇格リプレイが入賞し、RT0に移行した後は、リプレイGR11〜15の当選時にナビ演出の対象となり、リプレイGR11〜15の当選時に特殊リプレイを入賞させる押し順がナビ演出により報知されるので、報知された押し順に従って停止操作を行うことによりRT0からRT2に移行させることが可能となり(【0395】)、 RT0において特殊リプレイが入賞し、RT2に移行することで、ARTの制御が開始することとなり、RAM91cにARTの残りゲーム数の初期値を設定してARTの残りゲーム数の計数を開始し、この際、ナビストックを1消費(減算)し(【0396】)、 ART開始後は、押し順ベルの当選時にベルを入賞させる押し順が報知されるので、報知された押し順に従って停止操作を行うことにより、確実にメダルを獲得することも可能となるとともに、移行出目を回避し、RT1へ移行してしまうことを回避でき(【0397】)、 ARTの開始後、残りゲーム数が0となった場合には、残っているナビストック数が0でなければ、ARTを潜伏させるか否かを決定する潜伏抽選を行い(【0400】)、 潜伏抽選において潜伏させる旨が決定された場合には、最大32ゲームの潜伏ゲーム数を決定し、当該ゲームの終了時にARTの終了を示すART終了演出を実行した後、ATの制御を終了させ(【0401】)、 潜伏抽選において潜伏させる旨が決定され、ATの制御が終了した後、潜伏ゲーム数が経過する前に移行出目が停止し、RT1に移行した場合には、潜伏ゲーム数の経過後、ATの制御を再開し、これに伴いRT2に再度移行することでART開始演出を行ってARTを再開し、ナビストックを1消費(減算)してRAM91cにARTの残りゲーム数の初期値を設定し、ARTの残りゲーム数の計数を開始する(【0403】)、 h2 スロットマシン1(【0036】)。」 イ 引用文献2 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015−150295号公報(平成27年8月24日出願公開、以下「引用文献2」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。 (ア)「【0019】 ……また、報知ランプ35は、発光ランプ37を備えており、パチスロ10の前方へ向かう方向を照射方向として発光する。報知ランプ35は、パチスロ10における有利遊技状態時に発光する。本実施形態の有利遊技状態には、ボーナス遊技状態(ビックボーナスやレギュラーボーナス)やAT(アシストタイム)遊技状態を含む。AT遊技状態は、内部抽選で当選した役に対する図柄組み合わせを入賞させるために必要なストップボタン29の操作順をアシストする遊技状態である。本実施形態では、AT遊技状態が、ストップボタン29の操作をアシストする操作アシスト状態に相当する。」 (イ)「【0038】 次に、本実施形態のパチスロ10の作用を説明する。 副基板46は、AT遊技状態への移行に伴い、移行したAT遊技状態を進行させる制御を行う。この制御において副基板46は、AT遊技状態を報知するための報知ランプ35を点灯させてAT遊技状態へ移行したことを報知させる。図1に示すように報知ランプ35は、遊技を行う遊技者の正面に位置していることから、報知ランプ35の点灯によって遊技者にAT遊技状態であることを認識させることができる。」 (ウ)「【0067】 ・ 上記実施形態の有利遊技状態を他の有利遊技状態としても良い。例えば、ART(アシストリプレイタイム)遊技状態としても良い。……」 (エ)認定事項2−1 引用文献2に記載された「パチスロ10」では、「報知ランプ35」が「有利遊技状態時に発光する」ことから(上記(ア)を参照。)、逆に、引用文献2に記載された「パチスロ10」は、「有利遊技状態」より有利でない遊技状態でも遊技を実行すること、及び、その遊技では「報知ランプ35」が「発光」しないことが、把握できる。 ウ 引用文献3 原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本願出願前に頒布された特開2007−29631号公報(平成19年2月8日出願公開、以下「引用文献3」という。)には、スロットマシン(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。 (ア)「【0024】 また、実施の形態1のスロットマシン1では、遊技状態として、基本的な遊技を繰り返す基本遊技状態の他に、遊技者が遊技媒体であるメダルの獲得にとって有利な遊技を繰り返し行うことができるボーナス遊技状態及びAT遊技状態を設けている。……」 (イ)「【0030】 表示窓5の右側には、スタートランプ8、投入指示ランプ9、リプレイランプ10、AT遊技告知ランプ11及びゲームオーバーランプ12が設けられている。……AT遊技告知ランプ11は、遊技状態がAT遊技状態に移行した場合に点灯するランプである。……」 (ウ)認定事項3−1 引用文献3に記載された「スロットマシン1」では、「遊技状態として、基本的な遊技を繰り返す基本遊技状態の他に、遊技者が遊技媒体であるメダルの獲得にとって有利な遊技を繰り返し行うことができる……AT遊技状態を設けている」こと(上記(ア)を参照。)、及び、「AT遊技告知ランプ11」が「遊技状態がAT遊技状態に移行した場合に点灯するランプである」ことから(上記(イ)を参照。)、逆に、引用文献3に記載された「スロットマシン1」は、「基本遊技状態」における遊技では、「AT遊技告知ランプ11」が「点灯」しないことが、把握できる。 エ 上記イ及びウからみて、以下の事項が周知であると認められる。 「通常遊技と有利遊技を実行するスロットマシンにおいて、通常遊技では点灯せず、通常遊技から有利遊技に移行すると点灯するランプを具備すること」(以下、「周知技術」という。) (3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(h)は、本件補正発明のAないしHに概ね対応させている。 (a)引用発明の発明特定事項a、b1、c1における「外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R」は、本件補正発明の「外周面に複数種類の図柄が配置された複数の回胴」に相当する。 したがって、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Aを有する。 (b)引用発明の発明特定事項a、b1、c1における「ゲーム」は、本件補正発明の「遊技」に相当する。 また、発明特定事項a、b1、c1によれば、引用発明は、「ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作する」ものであるところ、引用発明の発明特定事項b2、c2における「スタートスイッチ7の検出」が「ゲーム」毎に行われることは、技術常識から自明である。そうすると、引用発明の発明特定事項b2、c2における「各役への入賞を許容するか否かを、スタートスイッチ7の検出時に決定するものであ」る「内部抽選」は、本件補正発明の「遊技毎に役を内部抽選する」ことに相当する。 また、引用発明が「内部抽選」を行うために手段を具備することは明らかであるところ、引用発明の当該手段は、本件補正発明の「役抽選手段」に相当する。 したがって、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Bを有する。 (c)発明特定事項a、b1、c1によれば、引用発明は、「ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動し、この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示され」るから、引用発明は、「遊技毎に複数の回胴を回転させ、各々の回胴に対応して設けられた停止スイッチの操作を受け付けて、対応する回胴を個々に停止させ、図柄を表示する」といえる。 また、発明特定事項b2、c2によれば、引用発明は、「全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、有効化された入賞ラインLNに役と呼ばれる図柄の組合せが揃うと入賞とな」るところ、「各役の入賞が発生するためには、内部抽選に当選する必要があり」、その上、「内部抽選は、各役への入賞を許容するか否かを、スタートスイッチ7の検出時に決定するものであ」るから、引用発明は、「図柄を表示する」ときに「前記内部抽選の結果に応じて図柄を表示する」ということができる。 また、引用発明が上記の処理を行うための手段を具備することは明らかであるところ、引用発明の当該手段は、本件補正発明の「図柄表示制御手段」に相当する。 したがって、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Cを有すると認められる。 (d)発明特定事項d1、e1によれば、引用発明では、「RT1」は「通常状態であ」り、「RT3でのART」は「通常状態であるRT1よりも、」「遊技者にとって有利な有利状態といえ」るものであるから、引用発明の「RT1」における「ゲーム」、及び、「RT3でのART」における「ゲーム」は、それぞれ、本件補正発明の「通常遊技」、及び、「該通常遊技よりも有利な有利遊技」に相当する。 また、発明特定事項d2、e2、gによれば、「ナビストック」は「ARTの制御が開始する」際に「1消費(減算)」されるものであるところ(【0396】)、引用発明は「ナビストック抽選において1以上のナビストックが決定されたときに、ナビストック数をRAM91cの所定領域に格納」するものであるから(【0393】)、引用発明の「ナビストック数を」「格納」する「RAM91cの所定領域」は、本件補正発明の「該有利遊技のストックを複数個記憶することが可能なストック記憶手段」に相当する。 したがって、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Dを有する。 (e)上記(d)で述べたように、引用発明の「RT1」における「ゲーム」、及び、「RT3でのART」における「ゲーム」は、それぞれ、本件補正発明の「通常遊技」、及び、「該通常遊技よりも有利な有利遊技」に相当する。 また、引用発明が上記の「ゲーム」を実行するための手段を具備することは明らかであるところ、引用発明の当該手段は、本件補正発明の「遊技実行手段」に相当する。 したがって、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Eを有する。 (g)上記(d)で述べたように、引用発明の「RT1」における「ゲーム」、「RT3でのART」における「ゲーム」、及び、「RAM91cの所定領域」は、それぞれ、本件補正発明の「通常遊技」、「該通常遊技よりも有利な有利遊技」、及び、「ストック記憶手段」に相当する。 また、上記(e)で述べたように、引用発明は、本件補正発明における発明特定事項Eの「遊技実行手段」に相当する手段を具備する。 また、発明特定事項d2、e2、gによれば、引用発明は、「1以上のナビストックが決定されたときに、」「ATに制御」するものであり(【0393】)、「ATの制御を開始すると、」「RT1においては、」「リプレイGR1〜6の当選時に……RT1からRT0に移行させることが可能とな」るものであり(【0394】)、「RT1において昇格リプレイが入賞し、RT0に移行した後は、」「リプレイGR11〜15の当選時にRT0からRT2に移行させることが可能とな」るものであり(【0395】)、「RT0において特殊リプレイが入賞し、RT2に移行することで、ARTの制御が開始することとなり、」「この際、ナビストックを1消費(減算)」(【0396】)するものであるから、引用発明が具備する「遊技実行手段」に相当する手段は、「前記通常遊技において、」「前記ストック記憶手段が複数個の前記有利遊技のストックを記憶している状態で、1つのストックにより前記有利遊技に移行させ」るものであるといえる。 また、発明特定事項d2、e2、gによれば、引用発明は、「ARTの開始後、残りゲーム数が0となった場合には、残っているナビストック数が0でなければ、ARTを潜伏させるか否かを決定する潜伏抽選を行」い(【0400】)、「潜伏抽選において潜伏させる旨が決定された場合には、」「ATの制御を終了させ」るものであり(【0401】)、「潜伏抽選において潜伏させる旨が決定され、ATの制御が終了した後、潜伏ゲーム数が経過する前に移行出目が停止し、RT1に移行した場合には、潜伏ゲーム数の経過後、ATの制御を再開し、これに伴いRT2に再度移行することでART開始演出を行ってARTを再開」するものであるから(【0403】)、引用発明が具備する「遊技実行手段」に相当する手段は、「該有利遊技を実行した後に前記有利遊技のストックを記憶している通常遊技状態に一旦戻ってから、次のストックにより次の有利遊技に移行させ」るものであるといえる。 したがって、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Gと、「前記通常遊技において、前記遊技実行手段は、前記ストック記憶手段が複数個の前記有利遊技のストックを記憶している状態で、1つのストックにより前記有利遊技に移行させ、該有利遊技を実行した後に前記有利遊技のストックを記憶している通常遊技状態に一旦戻ってから、次のストックにより次の有利遊技に移行させ」る点で共通する。 (h)引用発明の発明特定事項h1及び発明特定事項h2における「スロットマシン1」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。 したがって、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Hを有する。 上記(a)〜(h)によれば、本件補正発明と引用発明は、 「A 外周面に複数種類の図柄が配置された複数の回胴と、 B 遊技毎に役を内部抽選する役抽選手段と、 C 遊技毎に複数の回胴を回転させ、各々の回胴に対応して設けられた停止スイッチの操作を受け付けて、対応する回胴を個々に停止させ、前記内部抽選の結果に応じて図柄を表示する図柄表示制御手段と、 D 前記遊技には通常遊技と、該通常遊技より有利な有利遊技があり、該有利遊技のストックを複数個記憶することが可能なストック記憶手段と、 E 前記通常遊技と前記有利遊技を実行する遊技実行手段と、 を具備し、 G’ 前記通常遊技において、前記遊技実行手段は、前記ストック記憶手段が複数個の前記有利遊技のストックを記憶している状態で、1つのストックにより前記有利遊技に移行させ、該有利遊技を実行した後に前記有利遊技のストックを記憶している通常遊技状態に一旦戻ってから、次のストックにより次の有利遊技に移行させる、 H 遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点1(特定事項F、G) 本件補正発明は、 「前記通常遊技から前記有利遊技に移行すると点灯する有利区間表示器」を具備し、「前記有利区間表示器が点灯していない前記通常遊技において、」「1つのストックにより前記有利遊技に移行させた場合、前記有利区間表示器は点灯し」、また、「次のストックにより次の有利遊技に移行させたときには、前記有利区間表示器は点灯している」のに対し、 引用発明は、 「有利区間表示器」を具備せず、「前記通常遊技において、」「1つのストックにより前記有利遊技に移行させた場合」や「次のストックにより次の有利遊技に移行させたとき」に、「有利区間表示器」が点灯しない点。 (4)判断 ア 相違点1について 相違点1について検討する。 上記(2)エで述べたように、通常遊技と有利遊技を実行するスロットマシンにおいて、通常遊技では点灯せず、通常遊技から有利遊技に移行すると点灯するランプを具備することは、周知技術である。 したがって、通常遊技と有利遊技を実行する引用発明のスロットマシン1に周知技術を付加することで、通常遊技から有利遊技に移行すると点灯するランプを具備するスロットマシンとすることは、当業者が容易に想到できたことである。 この際、周知技術を付加したスロットマシン1において、「通常遊技」にランプが点灯しないことは明らかである。また、周知技術を付加したスロットマシン1において、「1以上のナビストックが残っている場合」に「ART確定報知を経てARTの当選が報知された後にATに制御」する場合、及び、「潜伏抽選において潜伏させる旨が決定され、ATの制御が終了した後、潜伏ゲーム数が経過する前に移行出目が停止し、RT1に移行した場合には、潜伏ゲーム数の経過後、ATの制御を再開し、これに伴いRT2に再度移行することでART開始演出を行ってARTを再開」する場合のいずれにおいても、ランプが点灯することも、明らかである。 したがって、引用発明において、相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項F及び発明特定事項Gをなすことは、当業者が周知技術に基づいて容易になし得たことである。 イ 本件補正発明の奏する効果について 本件補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び周知技術の奏する効果から、予測することができた程度のものである。 (5)請求人の主張 請求人は、審判請求書の【請求の理由】の「d.請求項1に係る発明と引用例との対比」において、 「請求項1に係る発明は、上記の通りで御座いますが、特に「前記有利区間表示器が点灯していない前記通常遊技において、 前記遊技実行手段は、前記ストック記憶手段が複数個の前記有利遊技のストックを記憶している状態で、1つのストックにより前記有利遊技に移行させた場合、前記有利区間表示器は点灯し、該有利遊技を実行した後に前記有利遊技のストックを記憶している通常遊技状態に一旦戻ってから、次のストックにより次の有利遊技に移行させたときには、前記有利区間表示器は点灯していること、」に特徴付けられるもので御座います。 ところで、本願発明と引用文献1等とは一見すると類似しているとは思いますが、上記特徴的構成について具体的に記載乃至示唆しておらず、当業者と雖も容易に創作できるものでは御座いません。 従いまして、本願発明の進歩性は肯定されるべきものと思料致します。」 と主張する。 しかしながら、主張された構成によって進歩性が肯定されないことは、上記(4)で述べたとおりである。 したがって、請求人の主張を採用することはできない。 (6)まとめ 以上のように、本件補正発明は、当業者が、引用発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 補正却下の決定についてのむすび したがって、本件補正は、同法第17条の2において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願に係る発明は、令和2年8月6日提出の手続補正書(受付番号52001610275)により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたものであるところ、その請求項1に係る発明は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、この出願の令和2年8月6日提出の手続補正書(受付番号52001610275)により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 <引用文献等一覧> 1.特開2014−23648号公報 2.特開2015−150295号公報 3.特開2007−29631号公報 3 引用文献 引用文献1、引用文献2及び引用文献3は、上記第2[理由]3(2)ア、イ及びウに記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明(上記第2[理由]1)は、本件補正発明(上記第2[理由]3(1))から、発明特定事項の一部を表現の変更又は上位概念化したものである。 そうすると、本願発明と引用発明とは、事実上、相違点1でのみ相違するから、本願発明も、上記第2[理由]3(4)で示した理由と同様の理由により、当業者が、引用発明及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものである。 5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
審理終結日 | 2021-12-08 |
結審通知日 | 2021-12-09 |
審決日 | 2021-12-21 |
出願番号 | P2016-201426 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) |
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
鉄 豊郎 |
特許庁審判官 |
太田 恒明 澤田 真治 |
発明の名称 | 遊技機 |