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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H02M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02M
管理番号 1382227
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-30 
確定日 2022-02-10 
事件の表示 特願2019− 83634「電力変換器」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年11月 5日出願公開、特開2020−182308〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成31年4月25日の出願であって,令和2年6月23日付けで拒絶の理由が通知され,同年8月21日に意見書とともに手続補正書が提出され,令和3年1月18日付けで拒絶査定(謄本送達日同年1月26日。以下,「原査定」という。)がなされ,これに対して同年3月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ,同年6月3日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告がなされ,同年7月1日に上申書が提出されたものである。


第2 令和3年3月30日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和3年3月30日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により,特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおり補正された。(下線部は,補正箇所である。)

「電源と電動機の間で直流−交流変換を行う電力変換器であって、
前記電力変換器は、直列接続されたスイッチング素子で構成され前記電動機に印加される電圧を制御する3つの電圧変換回路と、前記電力変換器に印加される電圧を平滑化するための平滑コンデンサと、前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記電圧変換回路の駆動信号を生成するモータ制御部と放電制御部を有し、前記平滑コンデンサに蓄電された電荷の放電時に、前記放電制御部は、前記3つの電圧変換回路のスイッチング素子の駆動信号として、オン比率が同じで、かつ第1の電圧変換回路に入力する駆動信号の位相を基準とし、第2の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも進み位相とし、第3の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも遅れ位相とした位相差を設けた信号を生成し、前記スイッチング素子の駆動信号の周波数であるスイッチング周波数は前記電動機の回転駆動力にならない周波数を用い、前記電動機に前記スイッチング周波数と同じ周波数の交流電流を流すようにしたことを特徴とする電力変換器。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の,令和2年8月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「電源と電動機の間で直流−交流変換を行う電力変換器であって、
前記電力変換器は、直列接続されたスイッチング素子で構成され前記電動機に印加される電圧を制御する3つの電圧変換回路と、前記電力変換器に印加される電圧を平滑化するための平滑コンデンサと、前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記電圧変換回路の駆動信号を生成するモータ制御部と放電制御部を有し、前記平滑コンデンサに蓄電された電荷の放電時に、前記放電制御部は、前記3つの電圧変換回路のスイッチング素子の駆動信号として、オン比率が同じで、かつ第1の電圧変換回路に入力する駆動信号の位相を基準とし、第2の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも進み位相とし、第3の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも遅れ位相とした位相差を設けた信号を生成し、前記電動機にスイッチング周波数と同じ周波数の交流電流を流すようにしたことを特徴とする電力変換器。」

2 補正の適否

本件補正は,本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「スイッチング周波数」について,上記のとおり限定を付加するものであって,本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正発明が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下,検討する。

(1)本件特許請求の範囲に記載された事項

本件補正後の特許請求の範囲の請求項1には,次の事項が記載されている。
なお,説明のため,各特定事項毎に,a,b等を付し,以下,それぞれを,「構成a」,「構成b」などという。

「a 電源と電動機の間で直流−交流変換を行う電力変換器であって、
b 前記電力変換器は、直列接続されたスイッチング素子で構成され前記電動機に印加される電圧を制御する3つの電圧変換回路と、前記電力変換器に印加される電圧を平滑化するための平滑コンデンサと、前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御手段を備え、
c 前記制御手段は、前記電圧変換回路の駆動信号を生成するモータ制御部と放電制御部を有し、前記平滑コンデンサに蓄電された電荷の放電時に、前記放電制御部は、前記3つの電圧変換回路のスイッチング素子の駆動信号として、オン比率が同じで、かつ第1の電圧変換回路に入力する駆動信号の位相を基準とし、第2の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも進み位相とし、第3の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも遅れ位相とした位相差を設けた信号を生成し、前記スイッチング素子の駆動信号の周波数であるスイッチング周波数は前記電動機の回転駆動力にならない周波数を用い、前記電動機に前記スイッチング周波数と同じ周波数の交流電流を流すようにしたことを特徴とする電力変換器。」

(2)本件出願の記載要件について

ア 特許法36条6項2号明確性)について

上記構成cのうち,本件補正によって追加された事項,すなわち,「前記スイッチング素子の駆動信号の周波数であるスイッチング周波数は前記電動機の回転駆動力にならない周波数を用い」ると共に,「電動機」に流すとされる,「交流電流」の「周波数」について,「前記スイッチング周波数と同じ周波数」であること(以下,「補正事項」という。)について検討する。
上記補正事項は,その記載のみによっては,「前記スイッチング素子の駆動信号の周波数であるスイッチング周波数」が「前記電動機の回転駆動力にならない周波数」であることまでは理解されるものの,当該「前記電動機の回転駆動力にならない周波数」が具体的にどのような周波数であるかを明確に特定することはできない。
そこで,本件明細書の記載を参酌すると,審判請求書によれば,上記補正事項について,その補正の根拠は本件明細書の段落【0035】〜【0037】であるとされていて,当該箇所には次の記載が認められる。(下線は,説明のために当審で付加。以下,同様。)

「【0035】
また、放電制御を実行後に角度位置情報θの時間変化量である角速度があらかじめ定められた値よりも増加(回転速度の増加)したと故障判断部C4が判断された場合には、放電制御部C2は、位相シフト時間Tdisを零または零に相当するような小さい値に設定し、スイッチング素子を駆動したことにより電動機4に流れる電流値Iu、Iv、Iwを零にする。
これにより、放電制御を実行したことにより電動機4にトルクが発生した場合においても、放電状態を継続したままでトルク発生を抑えることが可能である。
【0036】
また、放電制御を実行した際に回転速度があらかじめ定められた値よりも増加した場合には、放電制御部C2は、ただちに放電制御の駆動信号をすべてオフとする。これにより放電制御実行により予期せぬトルク印加を即時停止させることが可能である。
さらに、角度位置取得手段である角度センサ5などの故障により回転速度が正しく読めないと判断された場合には、放電制御部C2は、駆動信号の出力は行わず放電制御を実行しないように制御してもよい。これにより、回転速度が定められた速度よりも高い場合に放電制御を実行して損失を増加させることで、予期せぬブレーキトルクを発生することを回避することができる。
また、スイッチング素子がオフ固定となる故障に関して説明したが、スイッチング素子がオン固定または短絡となる故障が発生した場合は、駆動信号の出力は行わず放電制御を実行しない。これにより放電制御実行による2次故障を回避することが可能である。
【0037】
以上のように実施の形態によれば、機械系の応答速度よりも高いスイッチング周波数の電流を電動機の巻線に流し、電動機の回転駆動力にならずに、インバータである電力変換器のスイッチング損失と電動機の鉄損を増加させることが可能となり、強制放電時間の短縮に寄与する。また、角度位置情報または電流情報を用いずに、スイッチング素子の駆動信号を生成できるので、角度位置取得手段または電流センサの故障時にも放電できる。」

上記記載から,次の事項を読取ることができる。

(ア)放電制御部C2は,位相シフト時間Tdisを零または零に相当するような小さい値に設定し,スイッチング素子を駆動したことにより電動機4に流れる電流値Iu,Iv,Iwを零にすること。(【0035】)
(イ)放電制御部C2は,ただちに放電制御の駆動信号をすべてオフとし,駆動信号の出力は行わず放電制御を実行しないように制御してもよいこと。(【0036】)
(ウ)機械系の応答速度よりも高いスイッチング周波数の電流を電動機の巻線に流し,電動機の回転駆動力にならずに,インバータである電力変換器のスイッチング損失と電動機の鉄損を増加させることが可能となり,強制放電時間の短縮に寄与すること。(【0037】)

上記(ウ)の記載によれば,「機械系の応答速度よりも高いスイッチング周波数の電流を電動機の巻線に流」すことによって,「電動機の回転駆動力になら」ないことまでの記載は認められるものの,上記(ア)〜(ウ)のいずれの記載事項からも,補正事項に係る,「電動機の回転駆動力にならない周波数」が,具体的にどのような周波数のことをいうのかは明確とはいえない。また,本件明細書には,「電動機の回転駆動力にならない周波数」が具体的にどのような周波数のことをいうかについての定義も記載もない。
なお,本件明細書の段落【0016】には,「なお、放電制御部C2のスイッチング周波数は、モータ制御部C1で使用するスイッチング周波数よりも高くすることが望ましい。」との記載は認められるものの,「モータ制御部C1で使用するスイッチング周波数よりも高」いスイッチング周波数と,「電動機の回転駆動力にならない周波数」との関係は,本件明細書の記載からは,明確とはいえない。
したがって,上記補正事項は,本件明細書の記載を参酌したとしても明確とはいえず,本件補正発明は,不明確である。

イ 特許法36条6項1号(サポート要件)について

(ア)上記アに示したように,上記補正事項のうち,「電動機の回転駆動力にならない周波数」につき,本件明細書段落【0037】からは,機械系の応答速度よりも高いスイッチング周波数の電流を電動機の巻線に流すことや,電動機の回転駆動力にならないことなどの記載は認められるが,その補正の根拠とされる本件明細書段落【0035】〜【0037】には,「電動機の回転駆動力にならない周波数」が具体的にどのような周波数のことをいうものかの記載は無く,本件明細書のその余の箇所を参酌しても,「スイッチング素子の駆動信号の周波数であるスイッチング周波数」として「電動機の回転駆動力にならない周波数」を用いることの記載は認められない。

(イ)また,本件明細書の記載を参酌すると,電気自動車またはハイブリッド自動車などの電動化車両には,電力変換器などに使用されているコンデンサの電荷を即時に放電するために,インバータ回路を駆動してインバータ部またはモータ部で熱消費させる手段が用いられていたことを背景とし(本件明細書段落【0002】),インバータが直流電源に接続されていないとき,インバータ内部の蓄電手段が放電終了したことを示す所定の条件が成立するまで,モータ巻線に電流を流すべく励磁電流指令を非ゼロに,モータのトルクをゼロにすべくトルク電流指令を実質的にゼロに,それぞれ設定してモータ巻線にて放電電流によるジュール熱を発生させるようにした技術は知られていたところ(同【0003】),モータ巻線の抵抗を利用して蓄電手段から放電させる際には,モータのトルク制御時と同様の制御を用いて,トルクをゼロにすべくトルク電流指令値Iq*をゼロに設定する手段を使用しているが,モータ制御の演算は複雑なため,ゲート波形または演算結果から放電動作を確実に実行しているかを判断することは困難であったことを課題とし(同【0005】),モータ制御の演算をすることなく,コンデンサに蓄電された電荷を放電するようにした電力変換器を得ることを目的として(同【0006】),主に,平滑コンデンサに蓄電された電荷の放電時に,放電制御部が,電圧変換回路の高電位側に接続された2つ以上のスイッチング素子の駆動信号として,オン比率が同じで,かつ位相差を設けた信号を生成し,電動機にスイッチング周波数の交流電流を流すようにして当該課題を解決することが理解される(同【0007】)。
また,本件明細書段落【0037】には,機械系の応答速度よりも高いスイッチング周波数の電流を電動機の巻線に流し,電動機の回転駆動力にならずに,インバータである電力変換器のスイッチング損失と電動機の鉄損を増加させることが可能となり,強制放電時間の短縮に寄与する効果を奏する旨の記載も認められる。
一方,本件補正前の特許請求の範囲の請求項1には,すでに,上記課題に対応して,「前記制御手段は、前記電圧変換回路の駆動信号を生成するモータ制御部と放電制御部を有し、前記平滑コンデンサに蓄電された電荷の放電時に、前記放電制御部は、前記3つの電圧変換回路のスイッチング素子の駆動信号として、オン比率が同じで、かつ第1の電圧変換回路に入力する駆動信号の位相を基準とし、第2の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも進み位相とし、第3の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも遅れ位相とした位相差を設けた信号を生成し、前記電動機にスイッチング周波数と同じ周波数の交流電流を流すようにした」ことが特定されていて,このことにより,上記課題は解決されるものであることを,当業者であれば理解する。
そして,本件補正発明は,「スイッチング周波数」について,「前記スイッチング素子の駆動信号の周波数である」ことが特定されると共に,「電動機の回転駆動力にならない周波数」であることも特定されているが,とりわけ,「スイッチング周波数」が「電動機の回転駆動力にならない周波数」であることが,上記課題を解決できると認識できる範囲のものであると当業者が理解するのに十分な記載は,本件明細書には無いのであるから,本件出願時の技術常識を補ったとしても,上記補正事項が加えられた本件補正発明については,「発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えるものであるという他ない。
したがって,本件補正発明は,発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。

(3)むすび

したがって,本件出願は,特許法36条6項1号及び2号の規定に違反するものであり,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび

以上のとおり,本件補正は特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので,同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について

1 本願発明

令和3年3月30日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,令和2年8月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,明細書及び図面の記載からみて,その請求項1に記載された事項により特定される,前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。再掲すれば,次のとおり。

「電源と電動機の間で直流−交流変換を行う電力変換器であって、
前記電力変換器は、直列接続されたスイッチング素子で構成され前記電動機に印加される電圧を制御する3つの電圧変換回路と、前記電力変換器に印加される電圧を平滑化するための平滑コンデンサと、前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記電圧変換回路の駆動信号を生成するモータ制御部と放電制御部を有し、前記平滑コンデンサに蓄電された電荷の放電時に、前記放電制御部は、前記3つの電圧変換回路のスイッチング素子の駆動信号として、オン比率が同じで、かつ第1の電圧変換回路に入力する駆動信号の位相を基準とし、第2の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも進み位相とし、第3の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも遅れ位相とした位相差を設けた信号を生成し、前記電動機にスイッチング周波数と同じ周波数の交流電流を流すようにしたことを特徴とする電力変換器。」

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は,

1.この出願の請求項1ないし3に係る発明は,本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから,特許法29条1項3号の規定により,

2.この出願の請求項1ないし5及び10に係る発明は,本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基づいて,請求項8に係る発明は,下記引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて,並びに,請求項11及び13に係る発明は,下記引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に基づいてその出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,

特許を受けることができない,というものである。

引用文献1:特開2016−46870号公報
引用文献2:特開2015−192526号公報
引用文献3:特開2015−177698号公報


3 引用文献及び引用発明について

(1)引用文献の記載事項
ア 原査定の拒絶の理由において引用した,本願の出願前に既に公知である,特開2016−46870号公報(平成28年4月4日公開。以下,これを「引用文献」という。)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

A 「【0014】
(第1実施形態)
図1に本発明に係る車載用電力変換システム1の第1実施形態の電気的構成を示す。
【0015】
車載用電力変換システム1は、三相交流電動機2を高電圧電源3の出力電圧に基づき駆動するものである。三相交流電動機2は、連結軸2aを介して圧縮機構2bに接続されている。高電圧電源3は、高電圧の直流バッテリ装置であり、その出力電圧(例えば、300V)が、低電圧電源の出力電圧(例えば、12V)に比べて高くなっている直流電源である。低電圧電源は、制御装置60や電子制御装置5に電力を供給するための電源である。三相交流電動機2、連結軸2a、および圧縮機構2bは、冷媒を圧縮する電動コンプレッサを構成する。電動コンプレッサは、冷媒を循環させる車載空調装置用冷凍サイクル装置を構成する主要部品の一つである。三相交流電動機2としては、例えば、同期型交流電動機が用いられる。
【0016】
具体的には、車載用電力変換システム1は、図1に示すように、インバータ回路10、平滑コンデンサ20、30、インダクタ40、リレーユニット50、および制御装置60から構成されている。
【0017】
インバータ回路10は、高電圧電源3の出力電圧に基づいて三相交流電動機2のステータコイル80(図2参照)に三相交流電流を出力する駆動回路である。本実施形態のステータコイル80としては、図2に示すように、U相コイル81、V相コイル82、およびW相コイル83がスター結線されてなるものが用いられる。
【0018】
インバータ回路10は、トランジスタSW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6および還流ダイオードD1、D2、D3、D4、D5、D6から構成される周知の回路である。トランジスタSW1、SW3、SW5は、正極母線11に接続されている。正極母線11には、高電圧電源3の正極電極が接続されている。トランジスタSW2、SW4、SW6は、負極母線12に接続されている。負極母線12には、高電圧電源3の負極電極が接続されている。正極母線11および負極母線12は、インバータ回路10における2つの電源入力電極を構成している。」

B 「【0035】
なお、本実施形態の制御装置60は、ドライバ部61、通常制御部62、放電制御部63、および判定部64から構成されている。
【0036】
次に、本実施形態の制御装置60のインバータ制御処理について説明する。
【0037】
制御装置60は、図3のフローチャートにしたがって、コンピュータプログラムを実行する。図3は、インバータ制御処理を示すフローチャートである。インバータ制御処理は、自動車に衝突等が生じたとき、平滑コンデンサ20から電荷を放電させる処理である。本実施形態では、自動車の衝突後において、車載用電力変換システム1が正常に作動することを想定している。制御装置60は、電子制御装置5から始動信号が与えられたときに、インバータ制御処理の実行を開始する。始動信号は、車両用空調装置スイッチ90がオンされたときに、車両用空調装置スイッチ90から電子制御装置5を通して制御装置60に出力される信号である。
【0038】
まず、ステップ100において、放電制御が実行中であるか否かを判定する。放電制御は、後述するように、コンデンサ20の電荷を放電するための制御である。このとき、放電制御が実行されていないときには、NOと判定する。

…(中略)…

【0040】
次に、ステップ120において、通常運転制御を実施する。具体的には、電子制御装置5から入力される指令値に三相交流電動機2の実際の回転数を近づけるようにインバータ回路10を制御する。このため、インバータ回路10の共通接続端子T1、T2、T3からステータコイル80に三相交流電流が流れる。このため、ステータコイル80に回転磁界が発生する。この回転磁界に同期して回転子84が回転する。これにより、回転子84の実際の回転数が電子制御装置5から入力される指令値に近づくことになる。」

C 「【0045】
以下、本実施形態の放電制御処理の詳細について図4を参照して説明する。図4は、インバータ回路10のトランジスタSW1・・・SW6のスイッチングパタンであって、120度通電制御のスイッチングパタンを示す図である。
【0046】
まず、制御装置60は、放電制御処理において、ステータコイル80に所定回転数の回転磁界を発生させるように、インバータ回路10のトランジスタSW1、SW2、・・・SW6を制御する。」

D 「【0052】
上記第1実施形態では、放電制御処理において、ステータコイル80に回転磁界を発生させるために120度通電制御のスイッチングパタンを用いる例について説明したが、これに限らず、各種のスイッチングパタンを用いてステータコイル80に回転磁界を発生させるようにしてもよい。例えば、放電制御処理において180度通電制御のスイッチングパタンを用いてもよい。図5に180度通電制御のスイッチングパタンを示す。
【0053】
例えば、トランジスタSW1、SW2、・・・SW6を制御して、図5のスイッチングパタンSP1、SP2、SP3、SP4、SP5、SP6を、SP1→SP2→SP3→SP4→SP5→SP6→SP1の順に実行させる
なお、スイッチングパタンSP1では、トランジスタSW1、SW4、SW5がオンし、トランジスタSW2、SW3、SW6がオフする。スイッチングパタンSP2では、トランジスタSW1、SW4、SW6がオンし、トランジスタSW2、SW3、SW5がオフする。スイッチングパタンSP3では、トランジスタSW1、SW3、SW6がオンし、トランジスタSW2、SW4、SW5がオフする。スイッチングパタンSP4では、トランジスタSW2、SW3、SW6がオンし、トランジスタSW1、SW4、SW5がオフする。スイッチングパタンSP5では、トランジスタSW2、SW3、SW5がオンし、トランジスタSW1、SW4、SW6がオフする。スイッチングパタンSP6では、トランジスタSW2、SW4、SW5がオンし、トランジスタSW1、SW3、SW6がオフする。」

E 「

図1」

F 「

図3」

G 「

図5」

イ 上記記載から,引用文献には,次の技術的事項が記載されているものと認められる。

(ア)上記Aの「車載用電力変換システム1は、三相交流電動機2を高電圧電源3の出力電圧に基づき駆動するものである…(中略)…高電圧電源3は、高電圧の直流バッテリ装置であり…(中略)…車載用電力変換システム1は、図1に示すように、インバータ回路10、平滑コンデンサ20、30、インダクタ40、リレーユニット50、および制御装置60から構成され」との記載,及び,上記Eの図1の回路図から,引用文献には,“三相交流電動機2を,高電圧の直流バッテリ装置である高電圧電源3の出力電圧に基づき駆動する車載用電力変換システム1であって,インバータ回路10,平滑コンデンサ,インダクタ,リレーユニット,および制御装置60から構成され”ることが記載されているといえる。

(イ)上記Eの図1の回路図から,トランジスタSW1及びトランジスタSW2,トランジスタSW3及びトランジスタSW4,並びにトランジスタSW5及びトランジスタSW6が,それぞれ直列に接続されている態様を読取ることができ,上記Aの「インバータ回路10は、高電圧電源3の出力電圧に基づいて三相交流電動機2…(中略)…に三相交流電流を出力する駆動回路である…(中略)…インバータ回路10は、トランジスタSW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6…(中略)…から構成され」との記載を参照して,引用文献には,“インバータ回路10は,高電圧電源3の出力電圧に基づいて三相交流電動機2に三相交流電流を出力する駆動回路であり,トランジスタSW1及びトランジスタSW2,トランジスタSW3及びトランジスタSW4,並びにトランジスタSW5及びトランジスタSW6がそれぞれ直列接続されて構成され”ることが記載されているといえる。

(ウ)上記Bの「制御装置60は、ドライバ部61、通常制御部62、放電制御部63、および判定部64から構成され」との記載から,引用文献には,“制御装置60は,ドライバ部61,通常制御部62,放電制御部63,および判定部64から構成され”ることが記載されているといえる。
同じく上記Bの「制御装置60は、図3のフローチャートにしたがって、コンピュータプログラムを実行する。図3は、インバータ制御処理を示すフローチャートである。」との記載,及び同じく上記Bの「通常運転制御…(中略)…は、電子制御装置5から入力される指令値に三相交流電動機2の実際の回転数を近づけるようにインバータ回路10を制御する」との記載から,引用文献には,“制御装置60は,電子制御装置5から入力される指令値に三相交流電動機2の実際の回転数を近づけるようにインバータ回路10を制御する通常運転制御を行”うことが記載されているといえ,以上総合すると,引用文献には,“制御装置60は,ドライバ部61,通常制御部62,放電制御部63,および判定部64から構成され,電子制御装置5から入力される指令値に三相交流電動機2の実際の回転数を近づけるようにインバータ回路10を制御する通常運転制御を行”うことが記載されているといえる。

(エ)上記Bの「インバータ制御処理は…(中略)…平滑コンデンサ20から電荷を放電させる処理である…(中略)…ステップ100において、放電制御が実行中であるか否かを判定する。放電制御は、…(中略)…コンデンサ20の電荷を放電するための制御である」との記載,上記Cの「制御装置60は、放電制御処理において…(中略)…インバータ回路10のトランジスタSW1、SW2、・・・SW6を制御する」との記載,及び上記Fの図3のフローチャートを参照すると,引用文献には,“制御装置60は,放電制御が実行中であるか否かを判定し,放電制御が実行中であれば,インバータ回路10のトランジスタSW1,SW2,・・・SW6を制御してコンデンサ20の電荷を放電するための放電制御を行”うことが記載されているといえる。

(オ)上記Dの「放電制御処理において180度通電制御のスイッチングパタンを用いてもよい。」との記載から,引用文献には,“放電制御処理では,180度通電制御のスイッチングパタンを用いてもよ”いことが記載されているといえる。

(カ)上記Dの「図5に180度通電制御のスイッチングパタンを示す…(中略)…トランジスタSW1、SW2、・・・SW6を制御してSP1→SP2→SP3→SP4→SP5→SP6→SP1の順に実行させる」との記載,及び上記Gの図5の波形から,引用文献には,“オン比率が同じで,かつ,トランジスタSW3及びトランジスタS4からなる回路に対する駆動信号を基準とし,トランジスタSW1及びトランジスタSW2からなる回路の駆動信号は進み位相とし,トランジスタSW5及びトランジスタSW6からなる回路の駆動信号は遅れ位相とした信号が生成され”ることを読取ることができる。

ウ 上記ア及びイより,引用文献には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「三相交流電動機2を,高電圧の直流バッテリ装置である高電圧電源3の出力電圧に基づき駆動する車載用電力変換システム1であって,インバータ回路10,平滑コンデンサ,インダクタ,リレーユニット,および制御装置60から構成され,
インバータ回路10は,高電圧電源3の出力電圧に基づいて三相交流電動機2に三相交流電流を出力する駆動回路であり,トランジスタSW1及びトランジスタSW2,トランジスタSW3及びトランジスタSW4,並びにトランジスタSW5及びトランジスタSW6がそれぞれ直列接続されて構成され,
制御装置60は,ドライバ部61,通常制御部62,放電制御部63,および判定部64から構成され,電子制御装置5から入力される指令値に三相交流電動機2の実際の回転数を近づけるようにインバータ回路10を制御する通常運転制御を行い,
制御装置60は,放電制御が実行中であるか否かを判定し,放電制御が実行中であれば,インバータ回路10のトランジスタSW1,SW2,・・・SW6を制御してコンデンサ20の電荷を放電するための放電制御を行い,
放電制御処理では,180度通電制御のスイッチングパタンを用いてもよく,オン比率が同じで,かつ,トランジスタSW3及びトランジスタS4からなる回路に対する駆動信号を基準とし,トランジスタSW1及びトランジスタSW2からなる回路の駆動信号は進み位相とし,トランジスタSW5及びトランジスタSW6からなる回路の駆動信号は遅れ位相とした信号が生成される
車載用電力変換システム1。」

4 対比

本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「三相交流電動機2」及び「高電圧の直流バッテリ装置である高電圧電源3」は,本願発明の「電動機」及び「電源」にそれぞれ相当する。
引用発明の「インバータ回路10は,高電圧電源3の出力電圧に基づいて三相交流電動機2に三相交流電流を出力する駆動回路であ」るから,“電源と電動機の間で直流−交流変換を行”っているといえ,引用発明の「車載用電力変換システム1」と本願発明の「電力変換器」とは,共に,“電力変換器”である点で一致するから,引用発明と本願発明とは,“電源と電動機の間で直流−交流変換を行う電力変換器”である点で一致する。

(2)引用発明の「インバータ回路10」は,「高電圧電源3の出力電圧に基づいて三相交流電動機2に三相交流電流を出力する駆動回路であ」って,「トランジスタSW1及びトランジスタSW2,トランジスタSW3及びトランジスタSW4,並びにトランジスタSW5及びトランジスタSW6がそれぞれ直列接続されて構成され」るものであるところ,当該「トランジスタSW1及びトランジスタSW2,トランジスタSW3及びトランジスタSW4,並びにトランジスタSW5及びトランジスタSW6がそれぞれ直列接続され」た回路は,“スイッチング素子を直列接続した3つの電圧変換回路”といえる。
引用発明はまた,「平滑コンデンサ」を備えるものであるが,これは“電力変換器に印加される電圧を平滑化するため”に用いられていることは当業者にとって自明である。
引用発明の「制御装置60」は,上記「インバータ回路10」を制御するものであり,「トランジスタSW1及びトランジスタSW2,トランジスタSW3及びトランジスタSW4,並びにトランジスタSW5及びトランジスタSW6」の“オンオフを制御”することは明らかであるから,上記(1)を踏まえて以上を総合すると,引用発明と本願発明とは,“前記電力変換器は,直列接続されたスイッチング素子で構成され前記電動機に印加される電圧を制御する3つの電圧変換回路と,前記電力変換器に印加される電圧を平滑化するための平滑コンデンサと,前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御手段を備え”る点で一致する。

(3)引用発明の「制御装置60」は,「電子制御装置5から入力される指令値に三相交流電動機2の実際の回転数を近づけるようにインバータ回路10を制御する通常運転制御を行」うところ,当該「制御装置60」の「通常制御部62」は,本願発明の「前記電圧変換回路の駆動信号を生成するモータ制御部」に相当し,当該「制御装置60」の「放電制御部63」は,本願発明の「放電制御部」に相当するといえるから,引用発明と本願発明とは,“前記制御手段は,前記電圧変換回路の駆動信号を生成するモータ制御部と放電制御部を有”する点で一致する。

(4)引用発明の「放電制御部63」は,「制御装置60におけるインバータ制御処理」において,「放電制御が実行中であるか否かを判定し,放電制御が実行中であれば,インバータ回路10のトランジスタSW1,SW2,・・・SW6を制御してコンデンサ20の電荷を放電するための放電制御を行」うことから,本願発明の「前記平滑コンデンサに蓄電された電荷の放電時に、前記放電制御部は、前記3つの電圧変換回路のスイッチング素子の駆動信号…(中略)…を生成」する構成と共通するといえる。
そして,引用発明の「トランジスタSW3及びトランジスタS4からなる回路」,「トランジスタSW1及びトランジスタSW2からなる回路」,及び「トランジスタSW5及びトランジスタSW6からなる回路」は,それぞれ,“第1の電圧変換回路”,“第2の電圧変換回路”,及び“第3の電圧変換回路”といい得ることから,引用発明において,「放電制御処理では,180度通電制御のスイッチングパタンを用いてもよく,オン比率が同じで,かつ,トランジスタSW3及びトランジスタS4からなる回路に対する駆動信号を基準とし,トランジスタSW1及びトランジスタSW2からなる回路の駆動信号は進み位相とし,トランジスタSW5及びトランジスタSW6からなる回路の駆動信号は遅れ位相とした信号が生成される」ことは,本願発明の「前記3つの電圧変換回路のスイッチング素子の駆動信号として、オン比率が同じで、かつ第1の電圧変換回路に入力する駆動信号の位相を基準とし、第2の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも進み位相とし、第3の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも遅れ位相とした位相差を設けた信号を生成」することに相当するといえる。

(5)上記(3)及び(4)の認定から,引用発明と本願発明とは,“前記制御手段は,前記電圧変換回路の駆動信号を生成するモータ制御部と放電制御部を有し,前記平滑コンデンサに蓄電された電荷の放電時に,前記放電制御部は,前記3つの電圧変換回路のスイッチング素子の駆動信号として,オン比率が同じで,かつ第1の電圧変換回路に入力する駆動信号の位相を基準とし,第2の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも進み位相とし,第3の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも遅れ位相とした位相差を設けた信号を生成する”点で一致する。

(6)以上,(1)〜(5)の検討結果を踏まえると,引用発明と本願発明とは,次の一致点及び相違点を有する。

〈一致点〉
電源と電動機の間で直流−交流変換を行う電力変換器であって,
前記電力変換器は,直列接続されたスイッチング素子で構成され前記電動機に印加される電圧を制御する3つの電圧変換回路と,前記電力変換器に印加される電圧を平滑化するための平滑コンデンサと,前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御手段を備え,
前記制御手段は,前記電圧変換回路の駆動信号を生成するモータ制御部と放電制御部を有し,前記平滑コンデンサに蓄電された電荷の放電時に,前記放電制御部は,前記3つの電圧変換回路のスイッチング素子の駆動信号として,オン比率が同じで,かつ第1の電圧変換回路に入力する駆動信号の位相を基準とし,第2の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも進み位相とし,第3の電圧変換回路に入力する駆動信号は前記第1の電圧変換回路の駆動信号よりも遅れ位相とした位相差を設けた信号を生成する電力変換器。

〈相違点〉
本願発明が,「前記電動機にスイッチング周波数と同じ周波数の交流電流を流すようにした」ものであるのに対し,引用発明は,「三相交流電動機2」にスイッチング周波数と同じ周波数の交流電流を流すことが特定されていない点。

5 当審の判断

上記相違点につき検討する。
引用発明の「車載用電力変換システム1」を構成する「インバータ回路10」は,「高電圧電源3の出力電圧に基づいて三相交流電動機2に三相交流電流を出力する駆動回路であ」ると共に,「制御装置60」は,「電子制御装置5から入力される指令値に三相交流電動機2の実際の回転数を近づけるようにインバータ回路10を制御する通常運転制御を行」うものである以上,「三相交流電動機2」に流れる「三相交流電流」の周波数を,スイッチング周波数と同じ周波数の交流信号とすることは,当業者が普通に採用する事項に過ぎず,またそのことによる効果も,当業者であれば普通に想起し得る程度のことに過ぎない。
したがって,本願発明は,引用文献に記載された引用発明に基づいて当業者が容易になし得たものである。


第4 むすび

以上のとおり,本願発明は,本願出願前に頒布された引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2021-12-03 
結審通知日 2021-12-07 
審決日 2021-12-21 
出願番号 P2019-083634
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H02M)
P 1 8・ 575- Z (H02M)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 篠原 功一
特許庁審判官 山崎 慎一
山澤 宏
発明の名称 電力変換器  
代理人 特許業務法人ぱるも特許事務所  

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